JP2003519190A

JP2003519190A - 水性イオン性溶液及び、特に眼科学におけるその使用

Info

Publication number: JP2003519190A
Application number: JP2001549672A
Authority: JP
Inventors: ジャン−クロード・イヴァン; ベネディクト・マリー・ドミニク・アルレ; ディディエ・ルルワ
Original assignee: ラボラトワール・ゴエマー・ソシエテ・アノニム
Priority date: 1999-12-31
Filing date: 2000-12-28
Publication date: 2003-06-17
Also published as: US7700077B2; PT1242098E; DE60035799D1; FR2803205B1; DE60035799T2; FR2803205A1; US20030152645A1; AU3029501A; EP1242098A2; WO2001049304A3; US20060003025A1; CA2396045C; CA2396045A1; EP1242098B1; WO2001049304A2; ATE368468T1

Abstract

(57)【要約】本発明は、海水から得られる水性イオン性溶液であって、そのイオン組成が、質的観点からは海水のものであり、量的観点からは一方ではそのｐＨが４乃至９、好ましくは７乃至８であり、他方ではその重量オスモル濃度が１５０乃至７００，好ましくは２５０乃至３５０mOsm/kgである溶液の、目及びその付属器官を処置及び洗浄するための使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、特に海水から得られるタイプの水性イオン性溶液、及び特に眼科に
おけるその使用に関する。これら水性イオン性溶液には新規なものがある。したがって、本発明は、新規
な工業製品としてのこれらに関する。

【０００２】

【従来の技術】

後者とは別に、海水から得られる水性イオン性溶液は既知である。これらの、気道、口腔、皮膚、及び婦人科粘膜の予防、洗浄、及び処置におけ
る応用は既に提案されている。

【０００３】実際のところ、当業者が予測しうる応用は、これらのみであると思われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、出願人は、・一方では、広範な研究の後に、かかる既知の溶液が、その組成、そのｐＨ、及
びその重量オスモル濃度が調整されているならば、目及びその付属器官の処置の
ために使用可能であることを見出し、・他方では、かかるタイプの水性イオン性溶液であって、その量的なイオン組成
、ｐＨ、及び重量オスモル濃度が新規である溶液を開発する、という功績を挙げた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

したがって、本発明の主題は、海水から得られる水性イオン性溶液であって、
そのイオン組成、ｐＨ、及び重量オスモル濃度が調整された溶液の、目及びその
付属器官を処置及び洗浄するための使用である。

【０００６】

【発明の実施の形態】

質的観点からは、本発明により使用される溶液のイオン組成は、海水のもので
ある。

【０００７】例示のため、マニュアル"Handbook of Chemistry and Physics" 63rd edition
, 1982-1983, CRC PRESSのF163頁に記載の、海水の組成を以下の表に示す。

【０００８】

【表１】

【０００９】同マニュアルの同頁には、海水のｐＨが８乃至９である旨が記載されている。

【００１０】更に、海水の重量オスモル濃度が１０００mOsm/kgより大なることが既知であ
る（IFREMER, Department of Coastal Environment and Management of the Mar
ine Environment）。

【００１１】量的観点からは、海水から得られるかかる溶液のイオン組成は、ｐＨが４乃至
９、好ましくは７乃至８であり、他方ではその重量オスモル濃度が１５０乃至７
００，好ましくは２５０乃至３５０mOsm/kgであるように選択される。

【００１２】本発明による使用において、特に奨励される結果を示すものの中では、・海水を希釈すること、特に蒸留水で、２乃至５倍の割合で希釈することによっ
て得られる水性イオン性溶液、・淡水化なる語により知られる技術によって海水から得られ、更に少なくとも一
のそのイオンについて任意に豊富化された、水性イオン性溶液、・海塩から人工的に得られた、水性イオン性溶液、を挙げることができる。

【００１３】本発明による水性イオン性溶液は、新規な工業製品を構成するものであり、特
に海水から得られるものであり、・ｐＨ値が、好ましくは海水の最低ｐＨ値未満、または最高でこれと同等であり
、・重量オスモル濃度が、海水のそれよりも低く、・組成が、イオン性の観点からは、質的及び量的にも海水のものであるが、例外
として、量的観点からは一方ではカリウム濃度が海水よりも高く、他方ではＮａ
、Ｍｇ、Ｃａ、及びＣｌ濃度が海水よりも低く、前記濃度が −Ｎａ⁺について、１３００乃至１５００、好ましくは５００乃至１０００mg/l
、 −Ｋ⁺について、４５００乃至６５００、好ましくは５０００乃至６０００mg/l
、 −Ｍｇ⁺⁺について、５０乃至１３００、好ましくは１００乃至５００mg/l、 −Ｃａ⁺⁺について、２０乃至３５０、好ましくは４０乃至２００mg/l、 −Ｃｌ^-について、４０００乃至６０００、好ましくは４５００乃至５０００mg/
l、であることを特徴とする。

【００１４】海水の場合には、対応する値は、１９９８年８月乃至１９９９年７月に、Sain
t-Malo沖にて採取された海水に行われた、１３４の測定結果：ｐＨ：７．７０乃至８．３０重量オスモル濃度：＞１０００mOsm/kg [Ｎａ⁺] ：１０５００乃至１１５００mg/l [Ｋ⁺] ：３６５乃至４２０mg/l [Ｍｇ⁺⁺] ：１２００乃至１４５０mg/l [Ｃａ⁺⁺] ：３８０乃至４３５g/l [Ｃｌ^-] ：１８９００乃至２０５００mg/l を反映する範囲によって例示される。

【００１５】本発明による新規な水性イオン性溶液は、特に目及びその付属器官の処理及び
洗浄に適当である。

【００１６】しかしながら、これらは、気道、口腔、皮膚、及び粘膜、特に婦人科粘膜の洗
浄及び処置においても、必要に応じてｐＨ及び重量オスモル濃度を任意に調整し
た後に使用することもできる。

【００１７】本発明による、上記の水性イオン性溶液は、目及びその付属器官の処置及び洗
浄のために使用される場合、・これらは涙の生理学的ｐＨ及び重量オスモル濃度を有する、・これらは保存料を含まない、という点で注目すべきである。

【００１８】後者の利点は、非常に重要である。

【００１９】実際に、目用のほとんどの薬剤中に存在する保存料は、角膜にとって有害であ
ると考えられる。

【００２０】本発明による水性イオン性溶液の調製のためには、Saint-Malo沖の海流の激し
い動きのある水域において、水深５乃至１０メートルにて採取された海水が使用
されるが、この水は、３２g/lより多量の塩含量によって特徴付けられ、これは
本来カルシウム、マグネシウム、及び微量元素が豊富なものである。

【００２１】この水を、選択的電気透析に処す。まず最初に、塩化ナトリウムのみを除去し
て所望の重量オスモル濃度を達成し、その後治療用途によってイオン濃度を調整
する。所望のｐＨは、好ましくはＮａ⁺イオンをプロトンに対して交換すること
によって得られる。

【００２２】選択的電気透析は、EURODIA Industrie SA社によりEURODIAの商品名で市販のE
UR 6Bタイプの装置を用いて行うことができる。

【００２３】様々なパラメーター（ｐＨ、重量オスモル濃度、イオン濃度）のそれぞれの調
整に相当する、選択的電気透析の様々な段階は、既知の方法により実行される。

【００２４】

【実施例】

試験した溶液の特徴は、以下の通りである。ｐＨ：７．４５重量オスモル濃度：３０９mOsm/kg [Ｎａ⁺] ：６８０mg/l [Ｋ⁺] ：５８１８mg/l [Ｍｇ⁺⁺] ：１２８mg/l [Ｃａ⁺⁺] ：５４mg/l [Ｃｌ^-] ：４８５０mg/l

【００２５】 Draize試験から誘導される試験の利用により、この溶液が目に対してあまり刺
激性でなく、いずれにせよ生理血清または生理食塩水よりも刺激性が少ないこと
が示された。

【００２６】 Draize試験により、多数回適用の後に目の刺激を評価することが可能であり、
これはalbinoラビットの目に行ってよい。

【００２７】この試験に使用される参照溶液は、上述のように、生理食塩水（すなわち塩化
ナトリウムの溶液（０．９％ＮａＣｌ））からなる。生理食塩水は、従来は、偶
発的な化学品流出の際の目の洗浄に、乳児の目の洗浄に、また人工涙用の溶媒と
して、洗眼水として、または眼科洗浄溶液として使用されている。これは、Fren
ch Agency for the Safety of Health Productsによれば、眼科における参照溶
液である。

【００２８】 Draize試験により、１２匹のalbinoラビットを二つのグループに分ける（参照
グループと試験溶液を用いるグループ）。

【００２９】右目の結膜の盲嚢に、１時間間隔で連続的に六回の投与を行うが、・一方で、参照グループのラビットの場合には、５０μlの生理食塩水を、・他方、もう一方のグループのラビットの場合には、５０μlの試験溶液を、投与する。

【００３０】ラビットの処置した目を、点眼前、そして第一回及び第六回の点眼のそれぞれ
１時間後、及び、第六回の点眼の１、２、及び３日後に、細隙顕微鏡（Slit Lam
p AIT-20, Topcon, Topcon France-F-92300 Levallois-Perret）を使用して試験
する。

【００３１】結膜、虹彩、及び角膜に得られる効果を、観察する。

【００３２】結膜に関しては、下記が観察された：（ａ）水腫性浸潤物、０乃至４のスコアを付与、スコア０は浸潤物のないことを
示し、スコア４は瞼が完全に閉じたことを示す、（ｂ）分泌物、０（チャージなし）乃至３（瞼及び毛が、目の周囲の広い領域に
渡って湿る）のスコアを付与、（ｃ）赤み（ｃ）、０乃至３のスコアを付与、スコア０は正常な脈管を示し、ス
コア３は結膜の強烈な赤みを示す。

【００３３】結膜への効果の評価のために、下式：（ａ＋ｂ＋ｃ）×２を適用することによって得られる数値が選択される。

【００３４】虹彩の場合には、０乃至２のスコアが付与されるが、スコア０は正常な虹彩に
相当し、スコア２は光への反応を示さないが他方で出血及び深刻な傷を示す虹彩
に相当する。

【００３５】虹彩への効果の評価のために、下式：（ｄ）×５により与えられる数値が選択される。

【００３６】最後に、角膜に関しては、一方では不透明性の強度（ｅ）（スコア０は不透明
性のない場合に付与され、スコア４は虹彩が見えない、完全な角膜不透明性に付
与される）が、他方では不透明な領域（ｆ）（０乃至４のスコアを付与、後者は
全領域の３／４より大なる不透明化に相当する）が評価される。

【００３７】評価のためには、下式：ｅ×ｆ×５によって与えられる値が選択される。

【００３８】結膜、虹彩、及び角膜について、各測定において、各動物について得られた値
の全体は、最大で１１０である、個々の目の刺激指数（ＩＯＩ）を表す。

【００３９】６匹のラビットについて得られた値の算術的平均は、平均目刺激指数（ＭＯＩ
）を表す。

【００４０】最大の目刺激指数（ＭＯＩmax）は、各測定において得られた個々の最大値で
ある。

【００４１】本発明による溶液を用いて、また生理食塩水を用いて得られた結果を、下記の
表Ｉ及び表IIにまとめるが、ここでは：・Day 1/0 は、点眼の１日前に行われた測定を示し、・Day 1/1 は、第一回の点眼の１時間後に行われた測定を示し、・Day 1/6 は、第六回の点眼の１時間後に行われた測定を示し、・Day 2 は、最後の点眼の２４時間後に行われた測定を示し、・Day 3 は、最後の点眼の４８時間後に行われた測定を示し、・Day 4 は、最後の点眼の７２時間後に行われた測定を示す。

【００４２】

【表２】

【００４３】

【表３】

【００４４】これらの値を比較すると、Day 1/6の測定から本発明の溶液が優れていること
が明示され、Day 2及びDay 3では有利になっていることが観察され、これは、上
記の溶液が特に長期間の処置について、また多数回の適用を要する患者にとって
、有利であることを意味する。

【００４５】この場合は、一般的観点からいって、製品、特に眼科製品であって、本発明に
よる水性イオン性溶液、より一般的には海水から得られるあらゆる水性イオン性
溶液を使用して調製されるものを、例えば、目の洗浄を企図したローションの形
態で、洗眼薬、眼科用ゲルの形態で、または目用挿入物における水に代えて、提
供しても良い。

【００４６】こうしたローションの組成は、下記：・水性イオン性溶液：１００％とする残量・サリチル酸：０．１％・ハマメリス水０．４％の通りであって良い。

【００４７】かかるローションは、いっそう好ましくは、出願人により１９９９年１０月１
３日に「目の洗浄及び入浴のための装置（Device for washing and bathing the
eye）」と題して出願された仏国特許出願に係るタイプの装置を使用して投与さ
れてもよい。

【００４８】例として、一日当たり、２乃至３回の目の洗浄または入浴を行うことが可能な
ことが報告される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者ディディエ・ルルワフランス・Ｆ−35730・プルルテュイ・ラ・アモニー・（番地なし) Ｆターム(参考） 4C076 AA12 BB24 CC10 FF67 GG42 4C087 AA01 AA02 AA05 BA01 CA01 MA17 MA58 NA06 NA14 ZA33

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】海水から得られる水性イオン性溶液であって、そのイオン組
成が、質的観点からは海水のものであり、量的観点からは一方ではそのｐＨが４
乃至９、好ましくは７乃至８であり、他方ではその重量オスモル濃度が１５０乃
至７００，好ましくは２５０乃至３５０mOsm/kgである溶液の、目及びその付属
器官を処置及び洗浄するための使用。
【請求項２】水性イオン性溶液が、海水を希釈すること、特に蒸留水で、
とりわけ２乃至５倍の割合で希釈することによって得られる、請求項１に記載の
使用。
【請求項３】水性イオン性溶液が、淡水化なる語により知られる技術によ
って海水から得られ、更に少なくとも一のそのイオンが任意に豊富化される、請
求項１に記載の使用。
【請求項４】水性イオン性溶液が、海塩から人工的に得られる、請求項１
に記載の使用。
【請求項５】・ｐＨ値が、好ましくは海水の最低ｐＨ値未満、または最高
でこれと同等であり、・重量オスモル濃度が、海水のそれよりも低く、・組成が、イオン性の観点からは、質的及び量的にも海水のものであるが、例外
として、量的観点からは一方ではカリウム濃度が海水よりも高く、他方ではＮａ
、Ｍｇ、Ｃａ、及びＣｌ濃度が海水よりも低く、前記濃度が −Ｎａ⁺について、１３００乃至１５００、好ましくは５００乃至１０００mg/l
、 −Ｋ⁺について、４５００乃至６５００、好ましくは５０００乃至６０００mg/l
、 −Ｍｇ⁺⁺について、５０乃至１３００、好ましくは１００乃至５００mg/l、 −Ｃａ⁺⁺について、２０乃至３５０、好ましくは４０乃至２００mg/l、 −Ｃｌ^-について、４０００乃至６０００、好ましくは４５００乃至５０００mg/
l、であることを特徴とする、海水から得られる新規な水性イオン性溶液。
【請求項６】請求項５に記載の水性イオン性溶液に基づく、または請求項
１乃至４のいずれか一項に記載の、目及びその付属器官を処置及び洗浄するため
の眼科用製品。