JP2003518000A - プロドラッグ化合物およびその調製方法 - Google Patents

プロドラッグ化合物およびその調製方法

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JP2003518000A JP2000586378A JP2000586378A JP2003518000A JP 2003518000 A JP2003518000 A JP 2003518000A JP 2000586378 A JP2000586378 A JP 2000586378A JP 2000586378 A JP2000586378 A JP 2000586378A JP 2003518000 A JP2003518000 A JP 2003518000A
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ジェイ. ロブル,トーマス
デュボワ,バンサン
フェルナンド,アンヌ−マリー
ガングウォー,サンジーブ
ルイス,エバン
エイチ. ニーダー,マシュー
トルエ,アンドレ
ビスキー,ピーター
ティー. ヤーラントン,ジョフリー
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コールター ファーマシューティカル,インコーポレイティド
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Abstract

(57)【要約】 本発明に係るプロドラッグは、治療剤の修飾形態であり、そして治療剤、オリゴペプチド、安定性基、及び場合によりリンカー基を含む。本プロドラッグは酵素トロアーゼ(trouase)により解裂される。本プロドラッグ化合物の製法も開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願の相互参照 本願は、1998年12月11日に出願された米国特許出願番号第60/11
1,793号および1999年2月8日に出願された米国特許出願番号第60/
119,312号の優先権を主張する。緒言 技術分野 本発明は、新規化合物およびその製造法と対象とする。前記化合物は一般的に
プロドラッグとして作用し、ほとんどの場合既存化合物、特に細胞毒性薬剤の修
飾された形態である。これらのプロドラッグは所望の標的に対する特異性はより
高く、所望されない標的に対する特異性は低減されている。背景 アントラサイクリンおよびビンカアルカロイドなど多くの治療薬は、癌の治療
に特に効果的である。しかし、これらの分子は多くの場合、急性毒性、特に骨髄
および粘膜毒性ならびにアントラサイクリンの場合慢性心臓毒性およびビンカア
ルカロイドの場合慢性神経毒性という特徴が生体内である。同様に、メトトレキ
セートはリューマチ性疾患などの炎症性反応の治療に使用されることもあるが、
毒性が高いので用途が限定される。腫瘍細胞に対する効能を高め、これらの製品
の副作用(毒性、非腫瘍細胞の破壊など)の数および重篤性を低減するため、よ
り特異的な抗腫瘍薬の開発が望ましい。より特異的な抗炎症薬の開発も望まれる
【0002】 毒性の問題を極力抑えるため、治療薬がプロドラッグの形態で患者に与えられ
ると有利である。プロドラッグは、その構造が特定の化学的または酵素的修飾を
受けることにより、生体内で薬剤(活性治療化合物)に変換できる分子である。
毒性を低下させる目的には、この変換は循環系または非標的組織よりも作用部位
または標的組織に限定されるべきである。しかし、プロドラッグは、血液および
血清中での安定性が低いという特徴があり、これは血液および血清がプロドラッ
グを分解する酵素を含むからである。
【0003】 このような問題を克服した望ましい種類のプロドラッグが、特許協力条約国際
公開WO 96/05863および米国特許第5,962,216号に開示され
ており、両特許を参照により本願に組み込む。しかし、そのようなプロドラッグ
の製造法と同様に、さらに有用なプロドラッグ化合物およびそのようなプロドラ
ッグの製造法が望まれる。
【0004】 本発明の特殊な目的は、公知の範囲中に存在する類似構造(特に最も近い構造
)のプロドラッグに比較して高い作用の特異性、低減した毒性およびより高い血
中安定性を示すプロドラッグである。発明の開示 本発明の化合物は、安定化基に結合しているオリゴペプチドに直接または間接
的に結合している、プロドラッグ形態の治療薬である。
【0005】 より一般的には、本発明は、治療薬の新規プロドラッグ化合物、特に従来技術
の製品に比べ治療特性が向上した、特に癌性腫瘍の治療および/またはリューマ
チ性疾患などの炎症性反応の治療において治療特性が向上した抗腫瘍治療薬を含
んでなるプロドラッグであると記載できる。向上した治療特性には、毒性の低減
および薬効の増加がある。高い作用特異性、低減した毒性、血清および血液中で
の高い安定性を示し、標的細胞に関連する酵素により活性化されるまで標的細胞
中に入らないプロドラッグが特に望ましい。腫瘍を特徴づけられる(診断、癌の
進行、腫瘍細胞から分泌される因子のアッセイなど)マーカーであるプロドラッ
グ化合物も企図される。
【0006】 本発明は、本発明による化合物および任意に製薬上許容される補助薬または賦
形剤を含んでなる薬剤組成物にも関する。 さらに、治療薬の修飾によりプロドラッグを作り毒性を低減する方法が開示さ
れる。 本発明のプロドラッグを作るいくつかの方法が記載される。詳細な説明 略語 Aca=6−アミノカプロン酸 Acn=アセトニトリル Aib=アミノイソ酪酸 All=アリル Aloc=アリルオキシカルボニル Amb=4−(アミノメチル)安息香酸 APP=3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸 DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド Boc=t−ブチロキシカルボニル Cap=カプロン酸 DBN=1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン DBO=1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン DCM=ジクロロメタン DIC=N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド DIEA=ジイソプロピルエチルアミン Dg=ジグリコール酸 DMF=ジメチルホルムアミド DNR=ダウノルビシン Dox=ドキソルビシン Et2O=ジエチルエーテル Fmoc=9−フルオレニルメチルオキシカルボニル Gl=グルタル酸 HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−
テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート HBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テ
トラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート HEPES=ヒドロキシエチルピペリジン HOBt=N−ヒドロキシベンゾトリアゾール HPLC=高速液体クロマトグラフィー MeOH=メタノール NAA=3−アミノ−4,4−ジフェニル酪酸 Nal=2−ナフチルアラニン Naph=1,8−ナフタレンジカルボン酸 Nle=ノルロイシン NMP=N−メチルピロリジン Nva=ノルバリン PAM樹脂=4−ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドメチル Phg=フェニルグリシン Pyg=ピログルタミン酸 Pyr=3−ピリジルアラニン RT,rt=室温 Suc=コハク酸 TCE=トリクロロエチル TFA=トリフルオロ酢酸 THF=テトラヒドロフラン Thi=2−チエニルアラニン Thz=チアゾリジン−4−カルボン酸 Tic=テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 本発明の化合物は、安定化基に結合したオリゴペプチドに直接または間接的に
結合した、プロドラッグ形態の治療薬である。
【0007】 より一般的には、本発明は、治療薬の新規プロドラッグ化合物、特に従来技術
の製品に比べ治療特性が向上した、特に癌性腫瘍の治療および/またはリューマ
チ性疾患などの炎症性反応の治療において治療特性が向上した抗腫瘍治療薬を含
んでなるプロドラッグであると記載できる。向上した治療特性には、毒性の低減
および薬効の増加がある。高い作用特異性、低減した毒性、血清および血液中で
の高い安定性を示し、標的細胞に関連する酵素により活性化されるまで標的細胞
中に入らないプロドラッグが特に望ましい。腫瘍を特徴づけられる(診断、癌の
進行、腫瘍細胞から分泌される因子のアッセイなど)マーカーであるプロドラッ
グ化合物も企図される。
【0008】 本発明は、本発明による化合物および任意に製薬上許容される補助薬または賦
形剤を含んでなる薬剤組成物にも関する。 さらに、治療薬の修飾によりプロドラッグを作り毒性を低減する方法が開示さ
れる。 本発明のプロドラッグを作るいくつかの方法が記載される。 プロドラッグ 本発明のプロドラッグは、修飾された形態の治療薬であり、以下のようないく
つかの部分を含んでなる: (1)治療薬 (2)オリゴペプチド (3)安定化基 (4)任意に連結基。
【0009】 プロドラッグの各部分を以下により詳細に議論する。プロドラッグのこれらの
部分の典型的な配向は以下のとおりである。 (安定化基)−(オリゴペプチド)−(任意の連結基)−(治療薬) 安定化基は、オリゴペプチドの第一の結合部位でオリゴペプチドに直接結合し
ている。オリゴペプチドは、オリゴペプチドの第二の結合部位で、直接または間
接的に治療薬に結合している。オリゴペプチドと治療薬が間接的に結合している
場合、連結基が存在する。
【0010】 プロドラッグの2つの部分の直接的な結合は、その2つの部分の間の共有結合
を意味する。したがって、安定化基およびオリゴペプチドは、オリゴペプチドの
第一の結合部位、通常オリゴペプチドのN末端で、共有結合により直接的に結合
している。オリゴペプチドと治療薬が直接的に結合している場合、それらはオリ
ゴペプチドの第二の結合部位で互いに共有結合により結合している。オリゴペプ
チドの第二の結合部位は通常オリゴペプチドのC末端であるが、オリゴペプチド
の他の部位でもよい。
【0011】 プロドラッグの2つの部分の間接結合は、その2つの部分のそれぞれが連結基
と共有結合により結合していることを意味する。別な実施様態では、プロドラッ
グは、治療薬へのオリゴペプチドの間接的な結合を有する。したがって、通常、
オリゴペプチドは、連結基に共有結合しており、連結基は治療薬に共有結合して
いる。
【0012】 本発明のプロドラッグは、治療薬に直接または間接的に結合しているオリゴペ
プチド中で切断可能である。プロドラッグが効力を有するには、治療薬に結合し
ているオリゴペプチドがそれ自体プロドラッグの活性部分であるか、通常1つま
たは複数のエキソペプチダーゼによりプロドラッグの活性部分に容易に変換可能
である。プロドラッグの活性部分は、プロドラッグ化合物の残りの部分から放出
されると同時に標的細胞に入り直接治療効果を発揮するか、標的細胞中でさらな
る変換をしばしば起こすプロドラッグの部分である。
【0013】 安定化基およびオリゴペプチドの構造は、血中または非標識組織中に存在する
可能性のある酵素とは別の酵素によるオリゴペプチドのクリアランスを制限する
ようにさらに選択される。安定化基はプロドラッグの分解を妨げ、エキソペプチ
ドースによるプロドラッグの好ましい変化または他の物理的なプロドラッグ特性
を提供するように働く可能性がある。オリゴペプチドのアミノ酸配列はトロアー
ゼに対する特異性をさらに確実にするように設計される。
【0014】 治療薬、特に抗腫瘍および/または抗炎症性治療薬を、治療薬の修飾によりプ
ロドラッグ形態にして不活性化することが望ましい。本発明によれば、標的細胞
は通常腫瘍細胞またはマクロファージおよび単核細胞などのリューマチ性疾患に
関連するような抗炎症性反応に関わる細胞である。治療薬を修飾してプロドラッ
グ形態にすると、治療薬の副作用のいくつかが低減される傾向もある。
【0015】 標的細胞では、治療薬(任意に1つまたは2つのアミノ酸に結合し、あるいは
連結基にも結合している)は、直接特定の細胞内作用部位で、または細胞内プロ
テアーゼの作用下で修飾された後、標的細胞を殺し、またはその増殖を阻害する
。正常細胞は生体内でトロアーゼをほとんどまたは全く放出しないので、本発明
による化合物は不活性な状態に保たれ、正常細胞内に入らない、または入るとし
ても比較的少量である。
【0016】 プロドラッグは患者に投与され、安定な形態で血流により運ばれ、標的細胞の
周辺にくるとトロアーゼにより作用する。この酵素は正常細胞の細胞外近傍には
最低限の量しか存在しないので、プロドラッグは維持され、その活性な部分(治
療薬を含む)はせいぜい最低限の量しか正常細胞中に入らない。しかし、腫瘍ま
たは他の標的細胞の近傍では、局所的な環境中の関連酵素の存在によりプロドラ
ッグの切断が起こる。図2に示した例は、Nキャップテトラペプチドプロドラッ
グが細胞外でプロドラッグの他の部分から切断され標的細胞に入ることを示して
いる。標的細胞に入れば、プロドラッグはさらに修飾されて治療効果を与える。
プロドラッグの活性部分がある程度正常細胞に入ることもあるが、活性部分は主
に標的細胞の近傍でプロドラッグの残りから放出される。したがって正常細胞へ
の毒性は最低限になる。
【0017】 治療薬を含むプロドラッグの活性部分の放出は、標的細胞に隣接した環境中で
起こるのが好ましい。標的細胞中では、治療薬は、その特異的細胞内作用部位で
直接、または細胞内プロテアーゼまたは他の酵素の作用により修飾を受けてから
作用し、他の形態に修飾されて標的細胞を殺しまたはその増殖を阻害する。本発
明の代表的なプロドラッグのこの作用を模式的に示した概略図が図2に示されて
いる。
【0018】 本方法は、正常細胞が分泌しない酵素または他の因子を標的細胞が排出する場
合、標的細胞の破壊に特に有用であり、そのように意図されている。ここで「正
常細胞」とは、プロドラッグが目的とされる使用法に適切に投与されたときプロ
ドラッグが遭遇するであろう非標的細胞を意味する。正常(すなわち非標的)細
胞は、プロドラッグの活性部分(治療薬を含む)を連結している結合をプロドラ
ッグの残りの部分から生体内で切断する原因となる標的細胞酵素をほとんどまた
は全く放出しないので、本発明の化合物は不活性な状態に保たれ、正常細胞内に
入らない。
【0019】 別な実施様態において、プロドラッグの配向は、オリゴペプチドのC末端ブロ
ックがオリゴペプチドに結合し治療薬がオリゴペプチドのN末端に直接または間
接的に結合するように、逆になっていてもよい。 トロアーゼ トロアーゼは、標的組織でのプロドラッグの特異的活性化に重要であると考え
られている酵素である。トロアーゼはオリゴペプチド切断部位のカルボニル側で
ロイシンとイソロイシンの間に著しい識別力を示すエンドペプチドである。顕著
な特性は、適切なアッセイ条件下では、トロアーゼはスクシニルβAlaLeu
AlaLeu−ダウノルビシンを容易に切断するが、スクシニルβAlaIle
AlaLeu−ダウノルビシンの切断ではその活性が20分の1になることであ
る。
【0020】 トロアーゼは、標的細胞と関連があると考えられている。トロアーゼは、標的
細胞または標的細胞と関連のある間質組織またはマクロファージなどの正常細胞
により製造されている可能性が高い。したがって、例えば、標的細胞の細胞外近
傍では他の方法でトロアーゼが分泌されるか、または存在することもある。多く
の場合、本発明のプロドラッグは癌治療用の治療薬を含み、標的細胞は腫瘍細胞
である。したがって、トロアーゼは標的細胞により細胞外に分泌されるか、また
は一般的に腫瘍に関連してかなりの量の細胞溶解があるためトロアーゼは細胞外
に存在することもある。細胞溶解は、他の標的部位である炎症性組織にも関連が
ある。
【0021】 しかし、トロアーゼ活性はヒトの血漿中で低い。トロアーゼ活性は、癌細胞抽
出物ならびに培養した癌細胞、赤血球およびさまざまなヒトの組織、特に腎臓か
ら得た調整済み培地内で観察されてきた。癌細胞トロアーゼは、約5.1の見か
けのpI、約68kDのゲル濾過による分子量および中性pH活性極大を有する
。これは、メタロプロテイナーゼインヒビターEDTAおよび1,10−フェナ
ントロリンにより阻害されるが、セリン、チオールあるいはアミノエチルベンゼ
ンスルホネート、E64、ペプスタチン、ロイペプシン、アプロチニン、CA0
74またはフマギリンなどの酸性プロテイナーゼインヒビターには阻害されない
。さらに、EDTA不活性化トロアーゼは、コバルト(50〜100μM)およ
びマンガン(50〜1000μM)により再活性化できるが、亜鉛または銅イオ
ンでは再活性化されない。
【0022】 ヒーラ子宮頚管癌細胞ホモジェネート超遠心分離(145,000xg 30
分)上清からのトロアーゼの部分的な精製方法は、以下のとおり4つの工程から
なる。 1.15Qカラム(Pharmacia)を用い、pH7.2で0.01%
Triton X−100を含む20mMトリエチルアミンクロライド中の、0
から0.5M NaCl直線グラジェントで溶離されるアニオン交換クロマトグ
ラフィー、 2.CoCl2で予備充填されたChelating Sepharose
Fast Flow(Pharmacia)を用い、pH7.2で0.01%
Triton X−100および0.02%NaN3を含む10mMリン酸ナト
リウム、0.5M NaCl中の、0から100mMイミダゾール直線グラジェ
ントで溶離されるアフィニティークロマトグラフィー、 3.予備天然電気泳動 4.7.8 mm X 60 cm TSK Gel G−3000SWXL
(TosoHaas)を用い0.3mL/分で50mMリン酸カリウム、200
mM硫酸カリウム、pH7.2で溶離されるゲル濾過高速液体クロマトグラフィ
ー。
【0023】 トロアーゼ切断の後、プロドラッグの活性部分のさらなる切断が細胞内または
細胞外で起こる可能性があり、アミノエキソペプチダーゼにより触媒作用を受け
ると考えられている。生体外の実験により、ヒトの血液ならびに癌腫細胞環境中
に、広い特異性を持つアミノエキソペプチダーゼが存在することが示されている
。 安定化基 プロドラッグの重要な部分は安定化基であり、プロドラッグ化合物が患者に投
与される時循環する血液中でプロドラッグが分解しないように保護する役割をし
、プロドラッグが標的細胞の近傍に比較的劣化せずに到達するようにする。安定
化基は、プロドラッグを血液、血清および正常細胞中に存在するプロテイナーゼ
およびペプチダーゼによる分解から保護する。特に、安定化基はオリゴペプチド
のN末端をキャップし、そのためNキャップまたはNブロックとも呼ばれること
もあるため、Nキャップなしではプロドラッグが影響されやすいエキソペプチダ
ーゼに対して保護する役割をする。
【0024】 プロドラッグは、血液、心臓、脳、骨髄中、粘膜内などで切断されないので、
この化合物は出発治療薬よりも生体内で毒性が低い。このような毒性の低下は、
特に骨髄および粘膜毒性などの急性効果ならびに心臓または神経毒性に当てはま
る。 理想的には、37℃で2時間ヒト血液中でのプロドラッグ化合物の保存により
試験される場合安定化基がプロドラッグを分解、特に加水分解から保護し、任意
のアッセイ条件下でヒト血液中に存在する酵素によるプロドラッグの切断が20
%未満、好ましくは2%未満である場合、安定化基は本発明のプロドラッグに有
用である。
【0025】 より詳細には、安定化基は、 (1)非アミノ酸または (2)(i)炭素数4以上の遺伝学的にコードされていないアミノ酸または(i
i)オリゴペプチドのN末端に、βカルボキシ基で結合しているアスパラギン酸
またはγカルボキシ基で結合しているグルタミン酸のいずれかのアミノ酸である
【0026】 例えば、ジカルボン酸(または高次のカルボン酸)または製薬上許容できるそ
の塩は安定化基として使用できる。非アミノ酸安定化基の好ましいリストは、コ
ハク酸、ジグリコール酸、マレイン酸、ポリエチレングリコール、ピログルタミ
ン酸、酢酸、1または2ナフチルカルボン酸およびグルタル酸である。 さらに、凝集性の正に帯電したプロドラッグをマウスに血管内投与すると、急
性毒性が見られた。しかし、負に帯電した安定化基による変換によりプロドラッ
グの電荷が逆になると、そのような毒性は見られなかった。この効果は以下に詳
しく述べる。
【0027】 したがって、治療薬の凝集が問題である場合、結合された安定化基は負に帯電
または中性であることが好ましい。生体内毒性 多くの細胞毒性化合物は、本来溶解性が低い。例えば、正に帯電したアントラ
サイクリンは高濃度で凝集体を形成し、これらの凝集体が静脈内に投与されると
、静脈内凝固を引き起こす。発明者らは、トロアーゼが、疎水性ペプチド配列の
特定の組を認識することを見出した。これらの疎水性配列(例えば、β−Ala
−Leu−Ala−Leu)の1つが細胞毒性化合物(例えば、ドキソルビシン
)と結合していると、溶解性が低下した化合物となり、静脈注射用の水性配合物
(抗癌剤の送達の好ましい方法)中で大きな凝集体を形成する。ほとんどのペプ
チドが、生理学的pHにおいて露出された、正に帯電したアミノ末端を有するの
で、このような凝集体は生体内で多価の正に帯電した表面を形成する。静脈内に
与えられたこれらの凝集体は、投与の数分以内(通常30分未満)でマウスに連
鎖的な凝固および死を引き起こした。これにより、凝集体懸濁液が配合された正
に帯電しているプロドラッグは、使用に不適となる。
【0028】 いくつかの実験により、凝集体はドキソルビシン結合ペプチドで形成されてい
るという仮説が支持されている。同様に配合された溶液のレーザー光散乱および
サイズ排除限外濾過による観察では、10kD未満の分子量を持っている物質は
ごく一部であると示された。凝集体の平均分子量は、約70kDであると分かっ
た。動物に静脈内投与とともにヘパリンを同時投与すると(実施例6参照)、急
性毒性は著しく低下し、または無くなった。動物に同じ薬剤の希薄溶液を与える
と(合計投与量は同じ)、急性毒性はなかった。これらの結果を文献の報告と合
わせると、不十分な溶解性のため凝集体を形成する化合物のペプチドプロドラッ
グは最適な治療を与えないという結論が支持される。この凝集体問題への解決法
は、これらのペプチドプロドラッグをより実際的にする。所望の配合濃度での不
十分な溶解性のためこれらのペプチドプロドラッグが凝集体を形成する場合、ペ
プチド鎖の安定化基は負に帯電または中性の官能性で終わらなければならない。
ペプチドプロドラッグの安定化基としてスクシニルを使用すると、プロドラッグ
は急性毒性を持たなくする(実施例6参照)。これにより、ヒトの実際的な治療
法としてのペプチドプロドラッグの使用における重大な問題が解決される。
【0029】 3つ以上のカルボン酸を有する化学基もプロドラッグの一部分として許容され
るので、ジカルボン酸(または高次のカルボン酸)を有する末端基はより一般的
にはNキャップとして定義される。本明細書で使用されるNキャップは、2つ以
上のカルボン酸を含む化学基のモノアミド誘導体であって、アミドがペプチドの
アミノ末端に結合し残りのカルボン酸が遊離しており結合してないものである。
この目的のため、Nキャップは、コハク酸、グルタル酸またはフタル酸であるの
が好ましく、コハク酸が最も好ましい。本発明のプロドラッグ化合物において有
用なNキャップの他の例は、ジグリコール酸、フマル酸、ナフタレンジカルボン
酸、アコニット酸、カルボキシケイ皮酸、トリアゾールジカルボン酸、グルコン
酸、4−カルボキシフェニルボロン酸、ポリエチレングリコール酸、ブタンジス
ルホン酸およびマレイン酸である。 オリゴペプチド オリゴペプチドは、短鎖のポリペプチド、通常20以下のアミノ酸と定義され
ている。しかし、本発明のプロドラッグに有用なオリゴペプチドは少なくとも4
つのアミノ酸でできている。上限としては、12以下のアミノ酸のオリゴペプチ
ドが最も有用であるが、オリゴペプチドは12のアミノ酸より長い鎖長を有する
こともあり、科学分野で一般的に認められる用語の定義に当てはまり、本発明の
範囲にも該当する。したがって、本発明のプロドラッグのオリゴペプチド部分は
4つ以上のアミノ酸を有する。通常、本発明のプロドラッグのオリゴペプチド部
分は、4から12のアミノ酸を有する。番号付けの方法 オリゴペプチドは、(AA)n−AA4−AA3−AA2−AA1の配列または式
を有し、 上式において AAはそれぞれ独立に遺伝学的にコードされたアミノ酸を表し; nは0から12の整数であり; AA4は、遺伝学的にコードされていないアミノ酸であり; AA3は、いかなるアミノ酸でもよく; AA2は、いかなるアミノ酸でもよく; AA1は、いかなるアミノ酸でもよい。 これは、位置配列P(n−2)−P2−P1−P1’−P2’に相当する。トロ
アーゼはP1とP1’位置の間を切断すると考えられる。特に断りのない限り、
アミノ酸は全てL配置である。
【0030】 オリゴペプチド中の好ましいアミノ酸は以下のとおりである. P2位置では、以下のいずれかである:βアラニン、チアゾリジン−4−カル
ボン酸、2−チエニルアラニン、2−ナフチルアラニン、D−アラニン、D−ロ
イシン、D−メチオニン、D−フェニルアラニン、3−アミノ−3−フェニルプ
ロピオン酸、γ−アミノ酪酸、3−アミノ−4,4−ジフェニル酪酸。
【0031】 P2位置中にテトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、4−アミノメチル
安息香酸、アミノイソ酪酸も可能である。 P1位置では以下のいずれかである:ロイシン、チロシン、フェニルアラニン
、p−Cl−フェニルアラニン、p−ニトロフェニルアラニン、バリン、ノルロ
イシン、ノルバリン、フェニルグリシン、トリプトファン、テトラヒドロイソキ
ノリン−3−カルボン酸、3−ピリジルアラニン、アラニン、グリシン、チエニ
ルアラニン。
【0032】 P1位置中にメチオニン、バリン、プロリンも可能である。 P1’位置では以下のいずれかである:アラニン、ロイシン、チロシン、グリ
シン、セリン、3−ピリジルアラニン、2−チエニルアラニン。 アミノイソ酪酸、スレオニン、フェニルアラニンも可能である。 P2’位置では以下のいずれかである:ロイシン、フェニルアラニン、イソロ
イシン、アラニン、グリシン、チロシン、2−ナフチルアラニン、セリン。
【0033】 P2’位置では、βアラニンも可能である。 本発明のプロドラッグに有用なオリゴペプチドは以下のものがある:D−Al
aThiβAlaβAlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:1)、T
hiβAlaβAlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:2)、βAl
aβAlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:3)、βAlaAlaA
laIle(SEQ ID NO:4)、βAlaAlaAlaLeu(SEQ
ID NO:5)、βAlaPheTyrLeu(SEQ ID NO:6)
、βAlaPheThrPhe(SEQ ID NO:7)、βAlaPheG
lyIle(SEQ ID NO:8)、βAlaPheGlyLeu(SEQ
ID NO:9)、βAlaPhePhePhe(SEQ ID NO:10
)、βAlaPhePheIle(SEQ ID NO:11)、βAlaPh
ePheLeu(SEQ ID NO:12)、βAlaPheAlaIle(
SEQ ID NO:13)、βAlaPheAlaLeu(SEQ ID N
O:14)、ThiGlyAlaLeu(SEQ ID NO:15)、Nal
GlyAlaLeu(SEQ ID NO:16)、βAlaLeuTyrLe
u(SEQ ID NO:17)、βAlaLeuThiLeu(SEQ ID
NO:18)、βAlaLeuThrPhe(SEQ ID NO:19)、
βAlaLeuThrIle(SEQ ID NO:20)、βAlaLeuT
hrLeu(SEQ ID NO:21)、βAlaLeuSerLeu(SE
Q ID NO:22)、βAlaLeuPyrLeu(SEQ ID NO:
23)、βAlaLeuLeuLeu(SEQ ID NO:24)、βAla
LeuGlyPhe(SEQ ID NO:25)、βAlaLeuGlyIl
e(SEQ ID NO:26)、ThiLeuGlyLeu(SEQ ID
NO:27)、βAlaLeuGlyLeu(SEQ ID NO:28)、A
ibLeuGlyLeu(SEQ ID NO:29)、βAlaLeuPhe
Ile(SEQ ID NO:30)、βAlaLeuPheLeu(SEQ
ID NO:31)、βAlaLeuAibLeu(SEQ ID NO:32
)、βAlaLeuAlaAla(SEQ ID NO:33)、βAlaLe
uAlaβAla(SEQ ID NO:34)、βAlaLeuAlaPhe
(SEQ ID NO:35)、βAlaLeuAlaGly(SEQ ID
NO:36)、βAlaLeuAlaIle(SEQ ID NO:37)、β
AlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:38)、TicLeuAla
Leu(SEQ ID NO:39)、ThzLeuAlaLeu(SEQ I
D NO:40)、ThiLeuAlaLeu(SEQ ID NO:41)、
NalLeuAlaLeu(SEQ ID NO:42)、NAALeuAla
Leu(SEQ ID NO:43)、D−LeuLeuAlaLeu(SEQ
ID NO:44)、D−AlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:
45)、D−MetLeuAlaLeu(SEQ ID NO:46)、APP
LeuAlaLeu(SEQ ID NO:47)、AmbLeuAlaLeu
(SEQ ID NO:48)、βAlaLeuAlaNal(SEQ ID
NO:49)、βAlaLeuAlaSer(SEQ ID NO:50)、β
AlaLeuAlaTyr(SEQ ID NO:51)、βAlaMetTy
rPhe(SEQ ID NO:52)、βAlaMetTyrLeu(SEQ
ID NO:53)、βAlaMetGlyIle(SEQ ID NO:5
4)、ThiMetGlyLeu(SEQ ID NO:55)、βAlaMe
tPhePhe(SEQ ID NO:56)、βAlaMetPheIle(
SEQ ID NO:57)、TicMetAlaLeu(SEQ ID NO
:58)、NalMetAlaLeu(SEQ ID NO:59)、NAAM
etAlaLeu(SEQ ID NO:60)、βAlaMetAlaLeu
(SEQ ID NO:61)、APPMetAlaLeu(SEQ ID N
O:62)、βAlaNleTyrIle(SEQ ID NO:63)、βA
laNleTyrLeu(SEQ ID NO:64)、βAlaNleThr
Ile(SEQ ID NO:65)、βAlaNleThrLeu(SEQ
ID NO:66)、βAlaNleGlyPhe(SEQ ID NO:67
)、βAlaNleGlyIle(SEQ ID NO:68)、βAlaNl
eGlyLeu(SEQ ID NO:69)、βAlaNlePheIle(
SEQ ID NO:70)、βAlaNleAlaIle(SEQ ID N
O:71)、βAlaNleAlaLeu(SEQ ID NO:72)、βA
laNleAlaPhe(SEQ ID NO:73)、βAlaNvaAla
Leu(SEQ ID NO:74)、βAlaPheTyrIle(SEQ
ID NO:75)、ThiProGlyLeu(SEQ ID NO:76)
、ThiProAlaLeu(SEQ ID NO:77)、NalProAl
aLeu(SEQ ID NO:78)、βAlaProAlaLeu(SEQ
ID NO:79)、βAlaPhe(Cl)AlaLeu(SEQ ID
NO:80)、βAlaPhe(NO2)AlaIle(SEQ ID NO:
81)、βAlaPhe(NO2)AlaLeu(SEQ ID NO:82)
、βAlaPhgAlaLeu(SEQ ID NO:83)、βAlaPyr
AlaLeu(SEQ ID NO:84)、TicThrGlyLeu(SE
Q ID NO:85)、βAlaThiGlyIle(SEQ ID NO:
86)、βAlaThiAlaLeu(SEQ ID NO:87)、βAla
TicAlaIle(SEQ ID NO:88)、βAlaTicAlaLe
u(SEQ ID NO:89)、βAlaValAlaLeu(SEQ ID
NO:90)、βAlaTrpAlaLeu(SEQ ID NO:91)、
βAlaTyrTyrPhe(SEQ ID NO:92)、βAlaTyrT
yrIle(SEQ ID NO:93)、βAlaTyrTyrLeu(SE
Q ID NO:94)、βAlaTyrThrLeu(SEQ ID NO:
95)、βAlaTyrPheLeu(SEQ ID NO:96)、βAla
TyrGlyIle(SEQ ID NO:97)、ThiTyrGlyLeu
(SEQ ID NO:98)、βAlaTyrGlyLeu(SEQ ID
NO:99)、βAlaTyrPheIle(SEQ ID NO:100)、
βAlaTyrAlaIle(SEQ ID NO:101)、ThiTyrA
laLeu(SEQ ID NO:102)およびβAlaTyrAlaLeu
(SEQ ID NO:103)。ブロッキングアミノ酸 プロドラッグのオリゴペプチド部分は、オリゴペプチド配列のAA4として、
すなわち上述の番号付け方式による位置配列P2位置のブロッキングアミノ酸を
含む。ブロッキングアミノ酸は遺伝学的にコードされていないアミノ酸である。
【0034】 P2位置のブロッキングアミノ酸の機能は、トロアーゼによるプロドラッグの
切断の選択性を維持し、プロドラッグ化合物の治療薬部分に最も近く結合してい
る(直接的に結合または間接的に結合している)オリゴペプチドのその部分で、
他の酵素によるオリゴペプチドの切断を阻害することである。より詳細には、ブ
ロッキングアミノ酸を位置P2に置くことにより、オリゴペプチド配列AA4
AA3−AA2−AA1および位置配列P2−P1−P1’−P2’の4つのアミ
ノ酸のペプチド結合中の望ましくない切断が低減される。トロアーゼはオリゴペ
プチドのP1およびP1’位置の間を切断すると考えられている。血液および正
常細胞はさまざまなペプチダーゼと関連があることが知られているので、ブロッ
キングアミノ酸をP2位置に置くことにより、プロドラッグが標的細胞の近傍に
行くまでプロドラッグのオリゴペプチド部分を生体内で保護するのに役立つ。具
体的には、ブロッキングアミノ酸をP2位置に置くことにより、P2とP1の間
での望ましくない切断からオリゴペプチドが保護されると考えられる。ブロッキ
ングアミノ酸がないと、プロドラッグは血液および正常組織中に存在するエキソ
ペプチダーゼおよびエンドペプチダーゼに影響されやすく、これらの両方の種類
の酵素は、ブロッキングアミノ酸がない場合、プロドラッグがその標的に達する
前にプロドラッグを分解してしまう可能性がある。以下の実施例2はプロドラッ
グの重要な特徴を説明している。 治療薬 本発明によるプロドラッグ形態への修飾に特に有用な治療薬は、狭い治療領域
を持つ治療薬である。狭い治療領域を持つ薬剤または治療薬とは、一般的な医療
標準により毒性が明らかな投与量が、明らかな効能を示す投与量に非常に近いも
のである。
【0035】 安定化基およびオリゴペプチドならびに任意に連結基に結合して本発明のプロ
ドラッグを形成する治療薬は、癌、炎症性疾患または他の健康状態の治療に有用
である可能性がある。好ましくは、前記治療薬は以下に挙げる種類の化合物から
選択される:アルキル化剤、増殖抑制薬、チュービュリン結合剤、ビンカアルカ
ロイド、エネジイン、ポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、プ
テリジン族の薬剤、タキサン、アントラサイクリン、ドラスタチン、トポイソメ
ラーゼインヒビター、シスプラチン。
【0036】 詳細には、治療薬は以下の化合物から選択されるのが好都合である:ドキソル
ビシン、ダウノルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、カリケアマイシン
、エトポシド、エトポシドホスフェート、CC−1065、デュオカマイシン、
KW−2189、メトトレキセート、メトプテリン、アミノプテリン、ジクロロ
メトトレキセート、ドセタキセル、パクリタキセル、エピチオロン、コンブレタ
スタチン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、ドラスタチン10、ドラスタ
チン11、ドラスタチン15、トポテカン、キャンプトテカン、マイトマイシン
C、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、フル
ダラビン、タモキシフェン、シトシンアラビノシッド、アデノシンアラビノシッ
ド、コルヒチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、メルフ
ァランあるいはこれらの誘導体または類似体。 連結基 オリゴペプチドと治療薬の間の連結基は、以下の理由で好都合である。 1.AA1アミノ酸の酵素的放出を容易にするための立体効果考慮のためのスペ
ーサーとして。 2.治療薬およびオリゴペプチドの間の適当な付着化学作用を提供するため。 3.プロドラッグ結合体を作る合成プロセスを改善するため(例えば、収率また
は特異性を増すために結合の前に治療薬またはオリゴペプチドを連結基と予備変
換することにより)。 4.プロドラッグの物性を向上させるため。 5.薬剤の細胞内放出の追加機構を提供するため。
【0037】 連結基構造は、要求される機能性により規定される。可能性のある連結基化学
作用の例は、ヒドラジド、エステル、エーテルおよびメルカプトである。アミノ
カプロン酸は二官能性連結基の例である。アミノカプロン酸が連結基に使用され
ている場合、それはオリゴペプチドの番号付け方法においてアミノ酸であると計
算されない。 薬剤組成物 本発明は、本発明による化合物、特にプロドラッグ化合物および任意に製薬上
許容できる補助薬または賦形剤を含んでなる薬剤組成物も含む。
【0038】 本発明は、健康状態の治療用の医薬製品を調製するための薬剤組成物の使用に
も関する。 薬剤組成物は、例えば、患者に非経口的に、特に静脈中へ、筋肉中へまたは腹
腔内へ投与される。非経口投与用の本発明の薬剤組成物は、滅菌された水性また
は非水性溶液、懸濁液またはエマルションを含んでなる。製薬上許容できる溶媒
または賦形剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、注射
可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルまたはシクロデキストリンが利用
できる。これらの組成物は、湿潤剤、乳化剤および/または分散剤も含んでもよ
い。
【0039】 滅菌は、細菌学的フィルターの使用、組成物への殺菌剤の混合または照射など
、いくつかの方法で実施できる。使用時に滅菌水または他の滅菌済み注射可能な
媒体に溶解できる滅菌済み固形組成物の形態で調製することもできる。 薬剤組成物は、投与の目的である健康状態の治療を改善または延長するために
、当業界に公知であり(ビタミンC、酸化防止剤など)、本発明の化合物ととも
に使用できる補助薬を含んでもよい。
【0040】 患者への本発明による化合物の投与量は一般的に、少なくともBruce A
.Chabner and Jerry M.Collins,Cancer
Chemotherapy,Lippincott Ed.,ISBN−0−3
97−50900−6(1990)に記載された当分野に公知の通常の治療薬の
投与量であり、あるいは治療する医師の判断において、プロドラッグ配合物の優
れた効果または治療される患者の特定の状況を提供するように調節してもよい。
したがって、本発明による化合物の調製に使用された治療薬によって投与量は変
動する。 プロドラッグ化合物による治療 治療上有効な投与量の薬剤組成物を、特に非経口的にまたは静脈中に患者へ投
与することを含んでなる健康状態の治療処置の方法も本発明の範囲内である。
【0041】 プロドラッグ化合物は、癌、腫瘍性疾患、腫瘍、炎症性疾患および感染性疾患
など多くの健康状態の治療に有用である。好ましい疾患の例は、乳癌、直腸結腸
癌、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、脳癌および膵臓癌である。製薬上許容で
きる賦形剤(等張性食塩水など)中に処方された状態で、プロドラッグ化合物は
、0.05mg/kg/投与量/日から300mg/kg/投与量/日の範囲の
静脈中投与量で動物またはヒトに投与することができる。点滴静注または他のゆ
っくりとした注入方法により投与することもできる。
【0042】 獣医学的な使用法も企図されるが、本発明のプロドラッグを通常受け取るのは
ヒトの患者である。 プロセス化学一般的手順 オリゴペプチド:ペプチドの合成の一般的方法 本発明のプロドラッグ結合体中のペプチドすなわちオリゴペプチド配列は、固
相ペプチド合成(BocまたはFmoc化学を用いる)または溶液相合成により
合成できる。一般的なBocおよびFmoc方法は広く用いられ、以下の参考文
献に記載されている:Merrifield,J.A.Chem.Soc.,8
8:2149(1963);Bodanszky and Bodanszky
,The Practice of Peptide Synthesis,S
pringer−Verlag,Berlin,7−161(1994);St
ewart,Solid Phese Peptide Synthesis,
Pierce Chemical,Rockford,(1984)。 一般的なFmoc固相方法 自動または手作業の好ましい固相合成方法を用いて、固体樹脂に結合した生長
鎖へのアミノ酸の段階的付加により、所望の長さおよび配列のペプチドが合成さ
れる。Fmoc適合樹脂の例には、Wang樹脂、HPMA−PEGA樹脂、R
ink酸樹脂またはヒドロキシエチル−フォトリンカー樹脂があるがこれらに限
定されない。ペプチド鎖のC末端は高分子樹脂に共有結合しており、保護基のつ
いたαアミノアミノ酸がカップリング試薬により段階的に付加された。好ましい
αアミノ保護基はFmoc基であり、カップリング条件に対して安定であり、穏
和なアルキリン条件下で容易に除去できる。反応溶媒は、DMF、NMP、DC
M、MeOHおよびEtOHが好ましいが、これらに限定されない。カップリン
グ剤の例としては、DCC、DIC、HATU、HBTUがある。N末端保護基
の切断は、DMF中10〜100%ピペリジン中で、0〜40℃、好ましくは室
温で実施される。合成の最後で、最終的なFmoc保護基を上記のN末端切断処
置により除去する。樹脂上に残ったペプチドを、樹脂を酸性条件下で処理するこ
とにより、酸に敏感な側鎖保護基とともに樹脂から切断する。例えば、酸性切断
条件は、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸(TFA)の混合物である。ヒド
ロキシエチル−フォトリンカー樹脂を使用する場合、切断を引き起こす適切な波
長は、λ365nmの紫外光である。この方法を図で表したものを図3に示す。 固相合成による一般的なNキャップ方法 N末端変換ペプチドの調製は、固相で行うのが好都合である。ペプチド合成が
終了し、ペプチドがまだ固形担体上にあるうちに末端Fmocを除去する。次に
、選択したNキャップを、通常のペプチドカップリング条件を用いてペプチドの
N末端にカップリングする。Nキャップカップリング終了と同時に、上述の方法
を用いてペプチドを樹脂から切断する。 一般的なBoc固相方法 Boc化学を用いた固相方法では、Merrifield樹脂またはPAM樹
脂が有用である。カップリング剤で活性化されBocで保護されたアミノ酸の逐
次付加により、固相上の生長鎖にアミノ酸が結合する。カップリング剤の例とし
てはDCC、DIC、HATU、HBTUがある。反応溶媒は、DMF、DCM
、MeOHおよびNMPである。Boc保護基の切断は、DCM中10〜100
%TFA中で、0〜40℃で、好ましくは室温で実施される。ペプチド鎖組立の
終了と同時に、N末端保護基(通常Boc)を上述のとおり除去する。液体フッ
化水素またはジクロロメタン中のトリフルオロメタンスルホン酸を用いて樹脂か
らペプチドを除去する。 溶液相合成によるFmocオリゴペプチドの調製の一般的手順 別法としては、プロドラッグペプチド中間体は、BocまたはFmoc化学の
いずれかを用いて溶液相合成により作ることができる。この方法の図式説明にお
いて(図4)、C末端Leuテトラペプチドが一般的に例として用いられるが、
他のC末端テトラペプチドを用いても類似の反応が実施できることを理解された
い。固相法と同様な(N末端方向またはC末端方向への)段階的組立により、ま
たは2つの好適に保護されたジペプチドまたはトリペプチドを1つのアミノ酸と
カップリングすることにより、ペプチドを作ることができる。
【0043】 溶液相合成の1つの方法としては、図4に示されるFmoc化学を用いたプロ
ドラッグペプチド中間体の段階的組み立てがある。C末端には副生成物の形成を
減らすため保護基をつけなければならない。図4中のC末端R基は、Me、tB
u、ベンジルまたはTCEである(Nキャップがメチルスクシニルであるとき、
C末端R基はメチルではあり得ないことに注意されたい)。DMFが溶媒として
挙げられているが、DMSO、CH3CNまたはNMPなどの他の溶媒(または
それらの混合物)を代わりに用いてもよい。生長するペプチド鎖の保護されたア
ミノ末端の脱保護において、ピペリジンの代わりに、ピリジン、Et3Nまたは
他の塩基を用いてもよい。同様に、HBTUが活性化剤として上記の図表中で挙
げられているが、DCC、DIC、DCC+HOBt、OSu、活性化エステル
、アジドまたはトリフェニルホスフォニルアジドなどの他の活性剤を用いてもよ
い。また、保護基のついたペプチド酸クロライドまたは酸ブロマイドを用いて、
直接アミノ酸またはペプチドフラグメントにカップリングしてもよい。オリゴペ
プチドの組み立て終了と同時に、N末端が脱保護されC末端に保護基のついたペ
プチドは、所望のNキャップを受け入れる用意が整っている。 溶液相合成によるNキャップオリゴペプチドの調製の一般的手順 溶液相合成によりNキャップオリゴペプチドを組み立てる場合、わずかに変更
された手順でNキャップを合成する必要がある(図4)。第一に、Fmocオリ
ゴペプチドのC末端は、NキャップよりもC末端の選択的脱保護に適合した酸不
安定または水素化敏感保護基により保護する必要がある。次に、Fmoc保護基
をオリゴペプチドから除去しN末端を露出する必要がある。N末端が脱保護され
C末端が保護された状態で、オリゴペプチドを所望のNキャップの活性化された
ヘミエステルと反応させる。Nキャップは、塩基および適切な溶媒中で、DCC
またはHATUなどのアミノ酸を活性化させる方法を用いて活性化できる。また
は、メチルヘミスクシネートが使用される場合、DIEA、トリエチルアミンま
たはCs2CO3などの有機または無機塩基の存在下で不活性溶媒を用いて、メチ
ルヘミスクシニルクロライド(または他の酸ハライド)(図4)によりカップリ
ングを行ってもよい。このような合成の一例としては、メチルヘミスクシネート
とオリゴペプチド38ベンジルエステルとの反応がある。このカップリング方法
は、当業界で一般的に用いられる方法のいずれでも良い(例えば、Bodans
zky,M.,The Practice of Peptide Synth
esis,Springer Verlag,185(1984);Bodan
szky,M.,Principles of Peptide Synthe
sis,Springer Verlag,159(1984)を参照)。次い
で、ベンジル基を触媒的水素化により除去して、所望のNキャップメチルスクシ
ニル形態のオリゴペプチド38を提供する。好適な、選択的に除去できるC末端
保護基の他の例には、tBu、アルコキシ−メチルおよびTCEがあるが、これ
らに限定されない。この工程を実施するための他の方法は文献に記載されている
【0044】 ジまたはトリペプチドの「フラグメント縮合」など上記の方法のいかなる組合
せも考えられる。反応条件は当業界に公知であり、与えられた引用中に詳述され
ている。上記の方法の利点は、溶液相合成により製造された生成物の精製しやす
さである。 プロドラッグ結合体 結合および脱保護工程の一般的方法 本発明において記載されるオリゴペプチド−治療薬のNキャップ形態(プロド
ラッグ結合体)は、ペプチド合成に使用される標準的な活性化試薬のいずれかを
用い、オリゴペプチドのFmoc形態(FmocがオリゴペプチドのN末端に結
合している)をダウロルビシンまたは適切な治療薬とカップリングすることによ
り合成できる(図6)。溶媒は、トルエン、酢酸エチル、DMF、DMSO、C
3CN、NMP、THF、DCMまたは当業界に公知な他の好適な不活性溶媒
であり、試薬はその中に可溶である。好ましい溶媒は、DMFおよびNMPであ
る。適切な温度範囲は、−25〜25℃であり、室温が好ましい。活性化剤は以
下のものから選択できる:PyBOP、HBTU、HATU、EDC、DIC、
DCC、DCC+HOBT、OSu活性化エステル、アジドまたはトリフェニル
ホスホニルアジド。HBTUまたはHATUが好ましい活性化剤である。または
、保護基のついたペプチドの酸クロライドまたは酸ブロマイドをこのカップリン
グ反応に用いることもできる。2〜4当量の、好都合には2〜2.5当量の塩基
がカップリング反応に必要である。塩基は、CsCO3、NaCO3またはK2
3などの無機塩基またはTEA、DIEA、DBU、DBN、DBO、ピリジ
ン、置換ピリジン、N−メチルモルホリンなど、好ましくはTEAまたはDIE
Aである有機塩基から選択できる。反応は、−15℃〜50℃の、好都合には−
10℃と10℃の間の温度で実施できる。反応時間は5〜90分の間であり、好
都合には20〜40分である。反応混合物を水に注ぎ形成した沈殿を濾過するこ
とにより、生成物を単離できる。粗生成物を、DCM、THF、酢酸エチルまた
はアセトニトリルから、好ましくはジクロロメタンまたはアセトニトリルから再
結晶することにより、さらに精製できる。次いで、単離したオリゴペプチド治療
薬結合体のFmoc形態を、10から100倍過剰な塩基を−10℃〜50℃の
温度で用いて、2〜90分、好ましくは3〜8分間かけて脱保護する。理想的に
は、5〜60当量の塩基が好ましい。Fmoc基を脱保護するにはピペリジンが
好ましい塩基である。オリゴペプチド治療薬結合体の脱保護されたアミノ末端を
、活性化ヘミエステルとしてのジアシッドアンハイドライドによりアシル化し、
最終的なオリゴペプチド治療薬のNキャップ形態(プロドラッグ)を得る。
【0045】 または、最終的なプロドラッグは、スクシニルNキャップオリゴペプチドのメ
チルヘミエステル形態などのオリゴペプチドの保護されたNキャップ形態から同
様に調製し、治療薬に結合してもよい。この方法は図6に説明されている。 保護されたNキャップオリゴペプチド治療薬は、治療薬の安定性に適合した方
法で脱保護される。例えば、アントラサイクリンでは、発明者らはメチル基で保
護し、エステラーゼで脱保護する。他の治療薬では、発明者らはベンジル保護基
および脱保護に触媒的水素化を選択するだろう。
【0046】 負に帯電したNキャップオリゴペプチド治療薬の塩の形態は、以下の群から選
択された溶媒とともに実施される:アルコール(メタノール、エタノールまたは
イソプロパノールを含む)、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ダイグ
ライムまたは他の極性溶媒。ナトリウム源は、1当量のNaHCO3、NaOH
、Na2CO3、NaOAc、NaOCH3(一般的にナトリウムアルコキシド)
またはNaHである。Na+を充填したイオン交換カラム(強イオンまたは弱イ
オン交換器)も、適切な場合、Nキャップオリゴペプチド治療薬の塩形態を作る
最後の工程に有用である。ナトリウムは本願において例としてのみ記載されてい
る。製薬上許容される塩はいかなるものでも、負に帯電したNキャップに使用で
きる。
【0047】 一般的に、プロドラッグはその溶解性を増すために、製薬上許容できる塩の形
態に変換してもよい。Nキャップオリゴペプチド治療薬は、製薬上許容できる塩
、すなわちNaHCO3、Na2CO3、NaOH、トリ(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン、KHCO3、K2CO3、CaCO3、NH4OH、CH3NH2、(C
32NH、(CH33N、アセチルトリエチルアンモニウムにより中和され、
プロドラッグの好ましい塩形態はナトリウムである。好ましい中和塩は、NaH
CO3である。
【0048】 ドキソルビシンおよびダウノルビシンなどのアントラサイクリンタイプの分子
が、非常に低濃度で有機溶媒中でゲルを形成することが詳細に記載されている(
Matzanke,B.F.,et al.,Eur.J.Biochem.,
207:747−55(1992);Chaires,J.B.,et al.
,Biochemistry、21:3927−32(1982);Hayak
awa,E.,et al.,Chem.Pharm.Bull.,39:12
82−6(1991))。発明者らは、ペプチドアントラサイクリン結合体を形
成する際、これが、高収量のきれいな生成物を得ることに対する大きな障害にな
ることを見出した。ゲル形成は、望ましくない副反応の発生に結びつく。この問
題をできるだけ抑える方法としては、非常に希薄な溶液(1〜2%)をカップリ
ング反応に使用することがあるが、プロセス環境では実用的でない(多量の廃物
、複雑な単離)。この問題を克服するために、発明者らは、尿素および他のカオ
トロピック試薬を用いて、ゲルを形成する強い疎水性力および水素結合力を断ち
切る方法を発明した。したがって、カップリング反応が尿素含有溶媒、好都合に
はDMFまたはNMPの20%から飽和尿素溶液中で行われる場合、反応物の濃
度が10%を超えても副反応は2%未満に抑えることができる。この発明により
、高濃度での結合工程が実用的になり、良好な収率および他の同位体試薬として
尿素を用いない手順よりも高い純度を得ることができる。 一般的な酵素方法 酸または塩基による触媒作用により、保護基のついたNキャップオリゴペプチ
ド治療薬を完全なNキャップ化合物へ加水分解すると、穏和な酸性または塩基性
条件下でも多くの治療薬が不安定であるため、複雑な反応混合物が生成する。発
明者らは、酵素が、基質または生成物を破壊せずに加水分解を促進できることを
見出した。この反応に好適な酵素は、エステラーゼ、リパーゼから選択でき、天
然の水溶性形態でもよいし、市販の固形担持物質にクロスカップリングまたは付
着により固定化されていてもよい。評価された可溶性酵素のうちで、Candi
da Antarctica“B”リパーゼ(Altus Biologics
)が特に有用である。クロスカップリングにより固定化された酵素の例としては
、ChiroCLEC−PC(商標)(Altus Biologics)があ
る。Candida Antarctica“B”リパーゼ(Altus Bi
ologics)は、NHS活性化Sepharose(商標)4 Fast
Flow(American Pharmacia Biotech)との反応
で固定化できる。加水分解の間反応混合物のpHを注意深く制御し、pH安定装
置により、NaHCO3溶液を制御しながら添加して5.5と7.5の間、好都
合には5.7と6.5の間に維持する。反応が終了すると、濾過された反応混合
物の凍結乾燥により生成物を単離する。固定化酵素はフィルターケーキ上に残っ
ており、望まれる場合再利用される。 一般的なアリルエステル法 アリルへミエステル形態のNキャップオリゴペプチドと治療薬とをカップリン
グし、遊離の酸を結合体から放出することによってもプロドラッグを調製できる
。図8は、スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leuとドキソルビシンを
用いたこのプロセスを示す。
【0049】 アリルスクシニルβAla−Leu−Ala−Leuとドキソルビシンとのカ
ップリングは、オリゴペプチド結合方法のいずれによっても実施できる。 アリルスクシニルβAla−Leu−Ala−Leu−ドキソルビシンは、公
知の方法(Casimir,J.R.,et al.,Tet.Lett.36
/19 3409(1995))により調製されたアリルヘミスクシネートをβ
Ala−Leu−Ala−Leu−ドキソルビシンと反応させることにより、図
4に示した保護基 のついたテトラペプチド前駆体のドキソルビシンへのカップリングが上記の方法
で記載されたのと同様に合成できる。好適な不活性溶媒は、THF、ジクロロメ
タン、酢酸エチル、トルエン、好ましくはTHFであり、反応が進行するにつれ
酸形態の生成物がTHFから沈殿する。単離された酸は、上述のようにそのナト
リウム塩に変換される。反応時間は、0〜60℃の間、好ましくは15〜30℃
の温度で、10〜180分の間、好都合には10〜60分である。
【0050】 アリル基の除去は、当業界に公知であり専門誌に記載されているとおり(Ge
net,J−P.,et al.,Tet.Lett.,50,497,199
4;Bricout,H.,et al.,Tet.Lett,54:1073
(1998),Genet,J−P.et al.,Synlett,680(
1993);Waldmann,H.,et al.,Bioorg.Med.
Chem.,7:749(1998);Shaphiro,G.,Buechl
er,D.,Tet.Lett.,35:5421(1194))、Pd(0)
またはNi(0)、好都合にはPd(0)に促進されたアリル基のアクセプター
分子への遷移により実施できる。触媒の量は、基質に対して0.5〜25モル%
である。 一般的なトリチルまたは置換トリチル法 プロドラッグは、図7に示した方法により合成してもよい。この手法は、R’
がトリチルまたは置換トリチルであるR’テトラペプチドを利用する。R’テト
ラペプチドと治療薬のカップリングは、0〜20℃で30〜120分、保護基の
ついたオリゴペプチドと治療薬の結合について上記で記載した方法のいずれによ
っても行うことができる。
【0051】 トリチルまたは置換トリチル基の除去は酸性条件下で行われ、正に帯電したプ
ロドラッグが得られる。この正に帯電したプロドラッグは、図4に示され上述の
とおりNキャップされている。トリチルの脱保護は、酢酸、ギ酸および希塩酸に
より実施できる。 プロドラッグは、無水コハク酸と反応させることによりスクシニルまたはグル
タリルオリゴペプチド38治療薬に変換できる。スクシニルまたはグルタリルオ
リゴペプチド38治療薬は、製薬上許容できる塩に変換できる。カップリング工
程の溶媒、DMF、DMSO、CH3CN、NMPまたは他の好適な溶媒が当業
界に公知である。 一般的な逆方向固相結合法 本発明のプロドラッグ化合物は、「段階的」逆方向(N末端からC末端へ)法
による固相化学を用いて合成できる。
【0052】 方法の1つとしては、樹脂を利用したスクシニルヘミエステル、例えば、スク
シニルモノベンジルエステルまたはアリルエステルの固定化がある。選択できる
樹脂の例は「Wang樹脂」(Wang,S.S.,J.Am.Chem.So
c.,95:1328(1973);Zhang,C.,Mjaili,A.M
.M.,Tet.Lett.,37:5457(1996))、「Rink樹脂
」(Rink,H.,Tet.Lett.,28:3787(1987))、「
トリチルまたは置換トリチル樹脂」(Chen,C.,et al.,J.Am
.Chem.Soc.,116:2661(1994);Bartos,K.,
et al.,Peptides Proc.22nd European Pe
ptide Symposium (1992);Schneider,C.H
.;Eberle,A.N.(eds.),ESCOM,Leiden,pp.
281(1993)である。次いで、固定化されたエステルを脱保護し、同じよ
うにC末端が保護されたβアラニンと反応させる。これらの工程をロイシン、ア
ラニン、最後にロイシンエステルで繰り返し、その後固定化されたスクシニルテ
トラペプチドへのドキソルビシンのカップリングを行う。次いで、穏和な酸性条
件を用いこの分子を樹脂から外して、遊離のスクシニルオリゴペプチド38ドキ
ソルビシンを形成する。この方法を図9の図式に示す。相合成の他の形式として
は、スクシニルテトラペプチドエステルが固定化された場合である。それはC末
端を脱保護され、ドキソルビシンへのカップリングを行い、図9に示すように最
終的に樹脂から外される。プロドラッグ分子の酸形態は上述のとおり最終的にそ
のナトリウム塩に変換される。 特定の化合物 本発明の化合物には、プロドラッグ、Suc−βAla−Leu−Ala−L
eu−Dox、Suc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dnrおよびグル
タリル−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxがある。
【0053】 また、本発明のプロドラッグの調製方法にとって重要な、以下の中間体化合物
も特許請求される。 中間体: βAla−Leu−Ala−Leu−Dox トリチル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox ジフェニルメチル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox ベンジロキシカルボニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−OBn βAla−Leu−Ala−Leu−OBn メチル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−OBnメチル−スク
シニル−βAla−Leu−Ala−Leu Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu Fmoc−Thi−Tyr−Gly−Leu Fmoc−βALa−Leu−Ala−Leu−Dnr Fmoc−Thi−Tyr−Gly−Leu−Dnr Suc−Thi−Tyr−Gly−Leu−Dnr Gl−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox βAla−Leu−Ala−Leu−Dox乳酸エステル アリル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox Suc−βAla−Leu−Ala−Leu Suc−βAla−Leu−Ala−Leuのメチルエステル Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox メチル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxおよびアリル
ヘミスクシネート実施例 実施例1: トロアーゼおよびヒトの血液による、可能性のあるプロドラッグのスクリーニン
グ 消化生成物のHPLC分析に基づき、ペプチジルトキシンの遊離毒素への活性
化は、一連の酵素触媒切断反応により起こる。例えば、N−キャップテトラペプ
チジルトキシン、スクシニル−βアラニル−ロイシル−アラニル−ロイシル−ド
キソルビシンは、少なくとも2種の酵素に触媒作用を受ける2工程で、癌腫細胞
または癌腫細胞調整済み培地中でロイシル−ドキソルビシンに変換される。最初
のエンドペプチダーゼ切断は、AA3(P1)とAA2(P1’)アミノ酸の間で
おき、アラニル−ロイシル−ドキソルビシンを生じる。続いて、エキソペプチダ
ーゼがアラニンを除去し、ロイシル−ドキソルビシンを与えるが、ロイシル−ド
キソルビシンは細胞に吸収されそこで活性毒素、ドキソルビシンが放出されると
知られている。
【0054】 高治療指数のNキャップペプチジルトキシンプロドラッグの良好な候補は、癌
細胞により活性化されるが、ヒト全血中では比較的安定でなくてはならない。3
種の異なる癌腫の試料を用いて、種々のNキャップペプチジルトキシンをスクリ
ーニングした。3種の癌腫は以下のとおりである。 (a)MCF 7/6 (乳癌)細胞ホモジェネート (b)MCF 7/6 (乳癌)調整済み培地および (c)ヒーラ(子宮頚癌)細胞抽出物アニオン交換フラクションプール。
【0055】 加水分解により単一のアミノ酸毒素結合体に分解される化合物は、ヒト全血中
の安定性についてさらに試験した。 試験試料は、3種の異なる癌腫酵素の試料および全血とともに37℃で2時間
インキュベートし、アセトニトリルで抽出し、蛍光検出を用いてHPLCにより
分析した。例外がいくつかあったが、癌腫酵素切断の結果は、ヒーラ細胞の部分
的に精製したフラクション、MFC 7/6細胞ホモジェネートまたはMCF
7/6調整済み培地で同じであった。 癌腫細胞酵素溶液の調製 (a)MCF 7/6細胞ホモジェネート MCF 7/6細胞を、DMEM:F12(1:1)、50mg/Lウシ血清
アルブミン、ITS−XおよびLipid Concentrateを含む血清
を含まない培地で集密まで成長させた。細胞100mlを4℃、10,000x
gで20分間遠心分離し、上清をデカンテーションすることにより取り入れた。
ペレットを、2mLのリン酸緩衝化生理食塩水(Gibco)に再懸濁し、18
,000xgで10分間遠心分離した。上清をデカンテーションした後、細胞(
およそ300μL湿潤)を、1.7mLの10mM pH7.2 HEPES
緩衝液(ナトリウム塩)中で粉砕することにより均質化した。ホモジェネートを
18,000xg、4℃で、5分間遠心分離し、上清を小分けし、その後の化合
物スクリーニングで使用するため−20℃以下で保存した。 (b)MCF 7/6 調整済み培地 MCF 7/6細胞を、10%ウシ胎仔血清、0.05%(w/v)L−グル
タミン、250 IU/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイ
シンを含むDMEM/F12(1:1)培地中で集密まで成長させた。リン酸緩
衝化生理食塩水で細胞を2回洗浄し、DMEM/F12(1:1)、0.02%
BSA、ITS−X中で、5%CO2、37℃で24時間インキュベーション
した。調整済み培地をデカンテーションし、YM10(10,000MWカット
オフ)限外濾過メンブラン(Millipore)とともに撹拌された細胞装置
を用いて、10mM HEPES 緩衝液、pH7.2で1回交換し、20倍に
濃縮した。この溶液を小分けして、化合物スクリーンで使用するため−20℃で
保存した。 (c)ヒーラ細胞アニオン交換フラクションプール: 300億の市販ヒーラ細胞(ヒト子宮頚癌、Computer Cell C
ulture Center,Seneffe,Belgium)を、108m
Lのリーシス水溶液中で、超音波処理器およびダンス型ホモジェナイザーで均質
化した。リーシス溶液は、0.02%w/v Triton X−100、0.
04% w/vアジ化ナトリウムおよびプロテアーゼインヒビターのカクテル(
2錠/50mL Complete(商標)、EDTAを含まないタブレット、
Roche Molecular Biochemicals)を含んでいた。
細胞ホモジェネートを、4℃で、5000xgで30分間遠心分離し、ダンス型
ホモジェナイザーを用いて第二のリーシス溶液108mLにペレットを均質化し
上記と同じく遠心分離した。上清を合わせ、4℃で、60,000xgで90分
間遠心分離した。 クロマトグラフィー 超遠心分離上清の1部を、0.01%(w/v)Triton X−100お
よび0.02%(w/v)アジ化ナトリウムを含む20mMトリエタノールアミ
ン−HCl pH7.2緩衝液(平衡化緩衝液)で2倍に希釈した。約180m
gのタンパクに相当する、得られた溶液30mLを、2.6×9.4cm So
urce(商標)15Q(Amersham Pharmacia Biote
ch)低圧アニオン交換クロマトグラフィーカラムに4℃で充填した(1ml/
分)。前記カラムを250mlの平衡化緩衝液で1mL/分の流量で洗浄した。
タンパクは、流量3ml/分で、NaClの直線濃度グラジェント(平衡化緩衝
液中0〜0.5M、グラジェントの全体積1000ml)で溶出した。2分のフ
ラクションを集め、βアラニル−ロイシル−アラニル−ロイシル−ドキソルビシ
ンを基質として酵素活性測定に用いた。L−アラニル−L−ロイシル−ドキソル
ビシンへの変換を、アントラサイクリン部分の蛍光検出を利用した逆相HPLC
により定量化した。最も高い活性を持つフラクションを集め(フラクション#4
3〜46;約0.13M NaCl)、プロテアーゼインヒビター(Compl
ete(商標)、EDTAを含まないタブレット、Roche Molecul
ar Biochemicals)を補い、小分けして−80℃で保存した。 ヒトの全血 ヒトの全血は、市販の酸緩衝化クエン酸全血採取チューブを用いて集めた。 化合物スクリーニング 試験化合物を、以下の酵素溶液とともに、12.5μg/mLの濃度で、37
℃で2時間インキュベートした。 a)10mM HEPES、1mM CoCl2,pH 7.2中で1:27に
希釈したMFC 7/6 細胞ホモジェネート b)MFC 7/6 調整済み培地 c)10mM HEPES、1mM CoCl2,pH 7.2中で1:57に
希釈したヒーラ細胞アニオン交換フラクションプール1 d)1mM CoCl2を含むヒト全血 インキュベーションに続き、3体積のアセトニトリルを加えて反応を停止し、
混合物からタンパクを除いた。試料を、18,000gで5分間遠心分離し、1
00μLの上清を300μLの水と混合してからHPLC分析を行った。
【0056】 HPLC分析には、50μLの試料を4.6×50mM 2μ TSK Su
per−ODSクロマトグラフィーカラムに40℃で注入し、20mM酢酸アン
モニウム水性緩衝液pH4.5中の26%から68%アセトニトリルの3分間直
線勾配を用いて2mL/分で溶出させた。検出は、励起波長235nmおよび発
光波長560nmを用いた蛍光により行った。
【0057】 与えられた条件下でトロアーゼにより切断されヒト全血中で安定なオリゴペプ
チドを、図9A〜9Cに示す。 実施例2 トロアーゼの特異性は、P2位置の遺伝学的にコードされていないアミノ酸に
より提供されている。
【0058】 特異性は、P2位置での遺伝学的にコードされたアミノ酸よりも遺伝学的にコ
ードされていないアミノ酸の取り込みにより提供される。具体的には、遺伝学的
にコードされていないアミノ酸βアラニンを位置P2に含む(スクシニルNキャ
ップ)−(オリゴペプチド38)−ダウノルビシンを、実施例1に記載したとお
り調製された各酵素試料とともに、37℃で2時間インキュベートした。得られ
た混合物をHPLC分析にかけ、切断の程度を評価した。これらの結果を、遺伝
学的にコードされたアミノ酸L−アラニンがP2位置に置換されている以外同じ
化合物について同じインキュベーションをした結果と比較した。細胞ホモジェネ
ートによる切断の程度(速度)は、P2 β−アラニン化合物に対してP2 L
−アラニン化合物では1.3倍速かった。調整済み培地による切断の程度は、2
つの化合物で同じであった。しかし、部分的に精製されたトロアーゼ試料では、
P2 L−アラニン化合物の切断の程度は、P2 βアラニン化合物の0.6倍
でしかなかった。これらの結果は、P2のL−アラニンの存在が酵素のより粗な
混合物の第二の切断部位を与えており;したがって生体内で活性のある薬剤の放
出が腫瘍細胞に局所化する可能性を低下させることを示している。 実施例3: プロドラッグは、腫瘍異種移植片モデル中で効果があり良好に許容される。 (スクシニルNキャップ)−(オリゴペプチド38)−Dox治療薬は、エスト
ロゲン依存性MCF 7/6乳癌およびアドリアマイシン耐性直腸結腸癌腫 C
XF280/10およびLS−174Tを含む、いくつかのヌードマウス異種移
植片モデル中でヒトの腫瘍の成長を阻害するのに有効であると分かっている。例
えば、皮下にLS−174Tを移植された10匹のマウスを、週一回の(スクシ
ニルNキャップ)−(オリゴペプチド38)−Dox治療薬の静脈投与を5回行
い治療すると、有意で、投与量に依存した、再製可能な平均生存日数(MDS)
の伸びが見られ、同時に、賦形剤処理群(第1群)に比べ(スクシニルNキャッ
プ)−(オリゴペプチド38)−Dox治療薬の投与量57(第2群)、64(
第3群)および71(第4群)mg/kgで腫瘍の大きさ(腫瘍体積)の減少が
見られ、最も高い投与量はドキソルビシン40 mg/kgに相当する(図11
)。この薬剤は、抗腫瘍効能を示す反復投与濃度および投与の頻度で、安全で良
好に許容された。投与量に依存した体重減少がある程度観察された。これを支持
する研究では、106.8 mg/kgまでの(スクシニルNキャップ)−(オ
リゴペプチド38)−Dox治療薬の投与量で、腎臓毒性および骨髄抑制は観察
されなかった。 実施例4 プロドラッグは、コンパレーターよりも安全で有効である。
【0059】 ドキソルビシンと比べて著しく高い投与量の(スクシニルNキャップ)−(オ
リゴペプチド38)−Dox治療薬を投与し、LS−174Tヒト結腸直腸癌腫
異種移植片モデル中に著しい毒性なしに効能をもたらすことができた。有効投与
量49(第3群)、57(第4群)および64mg/kg(第5群)の(スクシ
ニル(第五群)Nキャップ)−(オリゴペプチド38)−Dox治療薬は、急速
に成長するアドリアマイシン耐性LS−174T腫瘍の阻害において、3.0m
g/kgのドキソルビシン(第2群)および食塩水(第1群)に比べ、優れた効
能を示した(図12)。3mg/kg以上のドキソルビシンの反復投与で(第2
群)、投与を限定する毒性(心臓毒性および骨髄抑制)が観察された。したがっ
て、発明者らは、ドキソルビシンよりも高い投与量の(スクシニルNキャップ)
−(オリゴペプチド38)−Dox治療薬が投与でき、全身性毒性よりも腫瘍阻
害に好都合であることを示した。 実施例5 βAlaLeuAlaLeu−Dox 凝集体 溶解性の低いアントラサイクリン薬剤は、水性緩衝液中に調製されるとき凝集
体を形成することが示されている。Menozzi,et al.,Self−
association of doxorubicin and relat
ed compounds in aqueous solutions,J.
Pharmaceut.Sci.,73(6):766−770(1984)。
Confalonieri,C. et al.,The use of ne
w laser particle sizer and shape ana
lyzer to detect and evaluate gelatin
ous microparticles suspended in reco
nstituted anthracycline infusion sol
utions,J.Pharmaceut.Biomed.Anal.,9(1
):1−8(1991)。Amicon Centricon(商標)フィルタ
ーユニットで溶液を濾過する試みによる、17.4μMol/ml水溶液中のβ
AlaLeuAlaLeu−Dox 凝集体の大きさの推定。ドキソルビシン(
17.4μMol/ml)およびβAlaLeuAlaLeu−Dox(17.
4μMol/ml)をそれぞれ蒸留水に溶解し、3,000、10,000、3
0,000および50,000分子量カットオフ(MWCO)のCentric
onフィルター中に入れた。フィルターユニットのそれぞれを、1500gの力
で2時間遠心分離した。残った薬剤とフィルターを通った薬剤の量を、λ475
nmで定量化し、パーセントに変換した。以下の表1は、81%のドキソルビシ
ンが3,000MWCOフィルターを通過したが、結合体βAlaLeuAla
Leu−Doxはわずか5%しか3,000MWCOフィルターを通過しなかっ
たことを示す。データは、50,000MWCOユニットが40%を超えるβA
laLeuAlaLeu−Doxを保持することも示している。これらのデータ
は、βAlaLeuAlaLeu−Dox凝集体の相当なパーセンテージが50
kD(凝集体あたり50分子を超える)より大きいことを示している。これは、
以下の実施例6の特定投与量で、結合体が凝集体の形態であることを示している
。したがって、このデータは、オリゴペプチド38−ドキソルビシン治療薬凝集
体は、この正に帯電した分子凝集体に見られる急性毒性の原因であることを支持
している。
【0060】
【表1】
【0061】 実施例6 マウスへのβAlaLeuAlaLeu−Doxの静脈注射 プロタミン、ポリリジンまたはそれらの凝集体などの正に帯電したポリマーと
血管の管腔表面との相互作用により急性毒性が起こる可能性があるということが
知られている。DeLucia III,A.,et al.,Efficac
y and toxicity of differently charge
d polycationic protamine−like peptid
es for heparin anticoagulation rever
sal,J.Vasc.Surg.18:49−60(1993)。Ekram
i,H.M and Shen,W.C.,Carbamylation de
creases the cytotoxicity but not the
drug−carrier properties of polylysi
nes,J.Drug Targ.,2:469−475(1995)。さらに
、ラビットの心筋層中で、ヘパリンがプロタミンサルフェートの毒性効果を低減
することが示されている。Wakefield,T.W.,et al.,He
parin−mediated reductions of the tox
ic effects of protamine sulfate on r
abbit myocardium,J.Vasc.Surg.,16:47−
53(1992)。ここで見られる急性毒性が正に帯電したプロドラッグ凝集体
によるものであるという仮説を試験するため、対照(iv)と4,000I.U
.ヘパリンivのいずれかによる1時間の前処理に続き、βAlaLeuAla
Leu−Dox(174μMol/ml)をマウスに与えた。表2は、ヘパリン
の後では、以前には急性致死量であったβAlaLeuAlaLeu−Doxの
毒性が著しく低下したことを示す。
【0062】 これらのデータは、急性毒性は、プロタミンまたはポリリジンに見られるのと
類似な効果を起こす正に帯電した凝集体によるものであるという仮説を支持して
いる。負に帯電または中性である本発明のプロドラッグは、この望ましくない副
作用を克服している。
【0063】
【表2】
【0064】 上記の仮説と一致して、βAlaLeuAlaLeu−Doxの末端アミノ基
を負に帯電した部分でキャップをすると、250mgドキソルビシン,HCl
eq/Kgもの高い投与量での急性毒性効果が完全に消失した。 この証拠として、関連した実験では、群あたり3匹から5匹のマウスが、25
0mg/kg(Dox−HCle.g.)スクシニルβAlaLeuAlaLe
u−DoxおよびグルタリルβAlaLeuAlaLeu−Doxのiv丸薬で
処理された時、全てのマウスが最長8日まで生存した。 以下の実施例の分析方法 固相または溶液相手法を用いて合成されたペプチドシーケンスは、分析HPL
C(方法A、BおよびD)により粗生成物の純度が80%を超えると示された場
合、さらなる精製なしに用いた。そうでない場合、分取HPLC方法Cを用いて
物質を精製した。
【0065】 HPLC方法A 分析HPLC分析を、C−18カラム(4μm、3.9×150 mm ID
、流量1mL/分)を用い、溶媒A(0.1% TFA/H2O)と溶媒B(0
.1% TFA/ACN)のグラジェントで溶離してWaters 2690で
行い、データをλ254nmでWaters Millennium syst
emを用いて処理した。分析HPLCグラジェントは、溶媒A90%で始め、1
4分かけて溶媒B100%で終わった(直線)。この方法および以下の方法の化
合物の純度は、ピーク曲線の下の相対面積パーセントである。
【0066】 HPLC方法B 分析HPLC分析を、C−8カラム(3.5μm、4.6×150 mm I
D、流量1mL/分)を用い、溶媒A(80% 20mMギ酸アンモニウムおよ
び20%アセトニトリル)と溶媒B(20% 20mMギ酸アンモニウムおよび
80%アセトニトリル)のグラジェントで溶離してWaters 2690で行
い、データをλ254nmでWaters Millennium syste
mを用いて処理した。分析HPLCグラジェントは、溶媒A100%で始め、3
0分かけて溶媒B100%で終わった(直線)。 HPLC方法C 粗生成物の分取精製を、C−4カラム(15μm、40×100 mm ID
、流量30mL/分)を用い、溶媒A(H2O)と溶媒B(MeOH)のグラジ
ェントで溶離してWaters Delta Prep 4000 syste
mで行った。分取HPLCグラジェントは、溶媒A80%で始め、70分かけて
溶媒Bで終わった(直線)。データは、λ254nmでWaters Mill
ennium systemを用いて処理した。
【0067】 HPLC方法D 分析HPLCを、Hewlett Packard instrument:
カラム:TSK superODS(TosoHaas);溶媒A(TFA 0
.1%水溶液)溶媒B(0.1%TFAアセトニトリル溶液);グラジェント:
溶媒B30〜36%を2分間、溶媒B36〜41%を10分間、溶媒B41〜9
0%を3分間、90%Bで5分間、検出λ254nmで行った。 NMRおよびMS 追加の構造決定を、NMRおよびMS技術により行い、その結果は特許請求さ
れた化合物を支持した。 TLC法 シリカゲル60F−254nm−0.25mmプレート(Merck)で、D
CM/MeOH/H2O/ギ酸88% 85/15/1/2を溶離に用いてTL
C分析を行った。
【0068】 ニンヒドリン試験 溶液A:エタノール(10mL)中のニンヒドリン(500mg);溶液B:
エタノール(20mL)中のフェノール(80mg);溶液C:ピリジン(10
0mL)中のKSCN(0.01M水溶液、2mL)。方法:数ミリグラムの生
成物を試験管に導入し、溶液Aを2滴、溶液Bを2滴、溶液Cを2滴加えた。混
合物を沸騰している水浴中に5分間放置した。遊離アミンが存在すると、溶液は
紫になる。 特定のオリゴペプチド合成実施例 市販試薬の入手源 ドキソルビシンおよびダウノルビシンは明治製菓(日本)から、Pd(PPh 34はStrem chem(Newburyport、MA)から、PEGは
Shearwater(Huntsville,Alabama)から、溶媒、
HATUはAldrich(Milwaukee,WI)から入手した。全ての
樹脂およびアミノ酸は、ABI(Foster City,CA)、Novab
iochem(San Diego,CA)、Advanced Chem T
ech(Louisville,KY)、Peptide Internati
onal(Louisville,KY)、SynPep(Dublin,CA
)のいずれかから入手した。
【0069】 実施例7 Fmoc形態のオリゴペプチド38ベンジルエステル[Fmoc−βAla−L
eu−Ala−Leu−OBn] Fmoc形態のオリゴペプチド38(24.34g、0.04モル)を、DM
F(350mL)およびマグネティックスターラーの入っている丸底フラスコに
入れた。テトラペプチドが溶解した後、ベンジルブロマイド(4.76mL、0
.04モル)、続いて炭酸セシウム(13.04g、0.04モル)を撹拌しな
がら溶液に加えた。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。次いで、反応混合
物を、450mLの氷水が入っているフラスコにゆっくりと注いだ。大量の白色
固形物が沈殿し、それを吸引濾過で集めた。生成物を水で洗浄し(2×200m
L)、真空デシケーター中においた。生成物(24.2g、87%)をHPLC
で同定した(純度:95%)。MS m/z C405047の計算値698.
4、実測値699.5。
【0070】 実施例8 オリゴペプチド38ベンジルエステル[βAla−Leu−Ala−Leu−O
Bn] 丸底フラスコ(25mL)中で、Fmoc形態のオリゴペプチド38ベンジル
エステル(0.7g、1.0mmol)を、5mLの無水DMFに溶解した。ピ
ペリジン(1.2mL、12.1mmol)を溶液に加え、混合物を室温で25
分間撹拌した。水(6mL)で反応を停止し、酢酸エチル(2×10mL)で抽
出した。合わせた有機層を水(2×5mL)、塩水(5mL)でさらに洗浄し、
硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去すると白色固形物(0.8g)が得られ
た。生成物の純度はわずか67%であった。MS m/z C254045の計
算値476.3、実測値477.2。
【0071】 実施例9 オリゴペプチド38ベンジルエステルのメチルスクシニルNキャップ形態[モノ
メチル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−OBn] 丸底フラスコ(250mL)中で、メチルヘミスクシネート(3.19g、2
4.2mmol)を無水DMF(50ml)に溶解した。DIEA(4.22m
L、24.2mmol)、続いてHBTU(9.17g、24.2mmol)を
溶液に加えた。混合物を室温で45分間撹拌した。この混合物に、無水DMF(
150mL)に溶かしたオリゴペプチド38ベンジルエステル(未精製、10.
14g、21.3mmolを含む)の溶液を加えた。この混合物を室温で2.5
時間連続して撹拌した。次いで、反応混合物を、撹拌しながら200mLの氷水
を入れたフラスコにゆっくりと注いだ。大量の白色固形物が沈殿し、それを酢酸
エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(2×200mL
)、塩水(200mL)でさらに洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除
去すると、白色固形物が得られた。この粗生成物を酢酸エチル中で再結晶すると
、純度80%の生成物7.53g(60%)が得られた。MS m/z C30 4648の計算値591.4、実測値590.33。
【0072】 実施例10 オリゴペプチド38のメチルスクシニルNキャップ形態[メチルスクシニル−β
Ala−Leu−Ala−Leu] オリゴペプチド38ベンジルエステルのメチルスクシニルNキャップ形態(1
.0g、純度86%;1.46mmol)を、100mLのエタノールの入った
三角フラスコに入れた。数分間撹拌の後溶液は濁った。エタノール50mLを加
えたが、溶液は依然として不透明であった。溶液を水素化反応器に移した。この
反応器に、Pd−C(90mg、10%湿潤、50%水;0.042mmol)
を加えた。室温で2時間水素化の後、反応を停止し触媒を濾過した。溶媒を除去
すると、白色固形物(0.77g、78%)が得られた。MS m/zC234048の計算値501.2、実測値500.3。 実施例11 Nキャップアリルヘミスクシネートの合成 Casimir,J.R.,et al.,Tet.Lett.36(19)
:3409,(1995)の手順に従ってこの分子を合成した。10.07g(
0.1モル)のコハク酸無水物および5.808g(0.1モル)のアリルアル
コールを100mLトルエン中で6時間還流した。反応混合物を減圧下で濃縮し
た。15.5g;98%。得られた物質は、後の反応に使用できるほど純度が高
かった。この半固形生成物の純度および同定を、1HNMRおよび13CNMR、
LC/MSにより行った。
【0073】 実施例12 アリルスクシニルオリゴペプチド38−Doxの合成 丸底フラスコ(50mL)中で、オリゴペプチド38のN−キャップ−アリル
ヘミスクシニル形態(1g、1.9mmol)およびドキソルビシン(1.1g
、1.9mmol)を無水DMF(50ml)中で溶解した。混合物を5分間撹
拌した後、DIEA(0.66ml、3.8mmol)、続いてHATU(0.
76g、1.9mmol)を溶液に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。DM
Fをロータリーエバポレーターで除き、残渣を4.0mlの1:1 DCM:M
eOHに溶解した。この溶液に、100mlのエーテルを撹拌しながらゆっくり
と加えた。赤い沈殿が生じ、吸引濾過で集めた。固形物をエーテル(2×2ml
)で洗浄し、真空デシケーター中で乾燥すると、方法BによるHPLC純度90
%のアリル−スクシニル−オリゴペプチド38−Dox治療薬を得た。
【0074】 実施例13 アリルスクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−ドキソルビシンからの
SSLDの調製 アリル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−ドキソルビシン0
.1g(0.095mmol)を2mLのTHFに溶かした撹拌中の溶液に、0
.05g(0.095mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウムを固体として窒素雰囲気下で加えた。10分後、反応中に生成した沈殿を
濾過して除き、THFで洗浄した。乾燥重量:0.1g。固形物を、HPLC、 1 HNMR、LC/MSでスクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−D
oxであると同定した。
【0075】 実施例14 オリゴペプチド38のFmoc形態の合成[Fmoc−βAla−Leu−Al
a−Leu] オリゴペプチド38のFmoc形態を、標準的なFmoc化学により固相手法
を用いて合成した。典型的な合成は、Wangのアルコキシ樹脂(0.60mm
ol/gm添加量)を使用した。Fmocに保護されたアミノ酸を、固相ペプチ
ド合成に用いた。樹脂上1mMのペプチドの規模で、3当量のアミノ酸を、活性
化剤としてのHBTUにより5分間予備活性化し、その後2当量のDIEAとと
もに樹脂に加えた。カップリング反応を2時間行い、次いでDMF(25mL×
3)およびDCM(25mL×3)で洗浄した。類似な条件を用いて、カップリ
ング反応を2当量のアミノ酸を用いて繰り返した。ニンヒドリン試験を用いて反
応の進行をモニターし、ニンヒドリン試験により2時間後に不完全な反応が示さ
れた場合、3回目のカップリング反応を行った。20%ピペリジンのDMF溶液
を用いて、15〜20分間で脱保護を行った。所望のペプチドが樹脂上で組み立
てられるまで、次のアミノ酸でカップリング工程を繰り返した。樹脂を95%T
FAおよび5%水の溶液で処理することにより、樹脂からペプチドを最終的に切
断した。反応混合物を2時間室温で撹拌した後、樹脂を減圧下で濾過し、TFA
で2回洗浄した。濾液を合わせ、400mLの冷エーテルを加えてペプチドを沈
殿させた。ペプチドを減圧下で濾過し乾燥すると、オリゴペプチド38のFmo
c形態が得られた(方法AによるHPLC純度94%)。粗ペプチドを、さらな
る精製なしに次の工程で用いた。
【0076】 実施例15 オリゴペプチド98のFmoc形態の合成[Fmoc−Thi−Tyr−Gly
−Leu] オリゴペプチド98のFmoc形態を、標準的なFmoc化学による固相手法
およびWangアルコキシ樹脂(0.60mmol/gm 添加量)を用いて合
成した。Fmoc保護アミノ酸およびFmoc−Thi−OHを固相ペプチド合
成に用いた。樹脂上1mMのペプチドの規模で、3当量のアミノ酸を、活性化剤
としてのHBTUにより5分間予備活性化し、その後2当量のDIEAとともに
樹脂に加えた。カップリング反応を2時間行い、次いでDMF(25mL×3)
およびDCM(25mL×3)で洗浄した。類似な条件を用いて、カップリング
反応を2当量のアミノ酸を用いて繰り返した。ニンヒドリン試験を用いて反応の
進行をモニターし、ニンヒドリン試験により2時間後に不完全な反応が示された
場合、3回目のカップリング反応を行った。20%ピペリジンのDMF溶液を用
いて、15〜20分間で脱保護を行った。所望のペプチドが樹脂上で組み立てら
れるまで、次のアミノ酸でカップリング工程を繰り返した。樹脂を95%TFA
および5%水の溶液で処理することにより、樹脂からペプチドを最終的に切断し
た。反応混合物を2時間室温で撹拌した後、樹脂を減圧下で濾過し、TFAで2
回洗浄した。濾液を合わせ、400mLの冷エーテルを加えてペプチドを沈殿さ
せた。ペプチドを減圧下で濾過し乾燥すると、オリゴペプチド98のFmoc形
態が得られた(方法AによるHPLC純度88%)。オリゴペプチド98の未精
製Fmoc形態を、さらなる精製なしに次の工程で用いた。
【0077】 実施例16 オリゴペプチド38−Dnr治療薬のFmoc形態の合成[Fmoc−βAla
−Leu−Ala−Leu−Dnr] ダウノルビシン塩酸塩(185mg、0.329mmol)およびオリゴペプ
チド38のFmoc形態(200mg、0.329mmol)を室温で無水DM
F(15mL)に溶かした。高速で撹拌中のこの溶液に、DIEA(0.115
mL、0.658mmol)を一回で加え、反応混合物を室温で15分間撹拌し
た。反応混合物を、氷浴を用いて0℃に冷却し、138mg(0.362mmo
l)のHATUを10分かけてゆっくりと加えた。反応混合物を室温でさらに9
0分間撹拌した。氷冷水(200mL)を反応混合物に加えると、赤色沈殿が形
成された。沈殿を、コースフリット上で集め、3×50mLの水および3×50
mLジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥すると、オリゴペプチド38−D
nr治療薬のFmoc形態を得た(収率94%、方法AによるHPLC純度95
%)。この生成物を、さらなる精製なしに次の工程で使用した。 実施例17 オリゴペプチド98−ダウノルビシン治療薬のFmoc形態の合成(Fmoc−
Thi−Tyr−Gly−Leu−Dnr) ダウノルビシン塩酸塩(90mg、0.16mmol)およびオリゴペプチド
98のFmoc形態(120mg、0.16mmol)を室温で無水DMF(1
5mL)に溶解した。この高速で撹拌中の溶液に、DIEA(0.56mL、0
.16mmol)を一回で加え、反応混合物を室温で15分間撹拌した。氷浴を
用いて反応混合物を0℃に冷却し、61mg(0.16mmol)のHATUを
10分かけてゆっくりと加えた。反応混合物を室温でさらに90分撹拌した。氷
冷水(150mL)を反応混合物に加えると、赤色の沈殿が生じた。この沈殿を
コースフリット上に集め、3×50mLの水と3×50mLのジエチルエーテル
で洗浄し減圧下で乾燥すると、オリゴペプチド98−ダウノルビシン治療薬のF
moc形態(収率94%、方法AによるHPLC純度91%)を得た。この生成
物を、さらなる精製なしに次の工程で用いた。
【0078】 実施例18 Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−ドキソルビシンの調製 3.0g(5.17mmol)のドキソルビシン塩酸塩と3.15g(5.1
7mmol)のFmoc−βAla−Leu−Ala−Leuを、窒素雰囲気下
で、室温で230mLの乾燥DMFに溶解した。高速で撹拌中のこの溶液に、1
.798mL(10.34mmol)のDIEAを一回で加え、反応混合物を室
温で15分撹拌した。反応混合物を氷/塩水浴で約−2℃に冷却し、58mLの
DMFに溶かした2.56g(6.73mmol)のHATUを、高速で撹拌し
ながら12分かけて滴下した。反応混合物を−2℃でさらに30分撹拌し、0.
285mL(1.64mmol)のDIEAを一回で加えた。0℃の水580m
Lを加えると、直ちに綿状の赤色沈殿が生じた。沈殿を粗いガラスフリット上に
集め、3×50mLの水と3×50mLのジエチルエーテルで洗浄し16時間風
乾すると、5.21gのFmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox
を物理的収率90.23%、方法BによるHPLC純度90.23%で得た。 実施例19 Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxからのスクシニル−βA
la−Leu−Ala−Leu−Doxの調製 230mLの乾燥DMFに溶かした5.0g(4.41mmol)のFmoc
−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxの溶液に、室温および窒素雰囲気
下で、21.8mL(220mL)のピペリジンを一回で加えると、赤から紫に
変色した。反応混合物を室温で5分間撹拌し、ドライアイス/アセトン浴で約−
20℃に冷却した。反応温度を−5℃未満に保ちながら22.5g(0.225
mol)のコハク酸無水物を一回で加えた。−10℃から−5℃で約2分撹拌す
ると、紫から赤/オレンジに変色した。冷却浴を取り除き、反応混合物を10分
間撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターにより反応混合物の体積を約1
00mLに減らし、125mLのクロロホルムで希釈した。この溶液に、140
0mLのジエチルエーテルを素早く加えると赤色沈殿が生じた。この沈殿を、中
程度のガラスフリット上に単離し、5×200mLのジエチルエーテルで粉砕す
ると、89.13%のHPLC純度を持つ物質が生じた。この沈殿を1×20m
Lのジエチルエーテルで再び洗浄し、風乾すると、3.62gのスクシニル−β
Ala−Leu−Ala−Leu−Dox(物理的収率81%、HPLC純度8
8.2%)を得た。この物質を、0℃で30mLの水の中で撹拌し、33.98
mL(0.95当量)0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、得られた懸濁
液を、固形物が全て溶解するまで攪拌した。溶液を凍結乾燥すると、3.77g
のスクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxが99%の物理的収
率で得られた(方法BによるHPLC純度89.06%)。
【0079】 実施例20 オリゴペプチド38−Dnr治療薬のNキャップスクシニル形態の合成[Suc
−βAla−Leu−Ala−Leu−Dnr] ピペリジン(0.442mL、4.48mmol)を、オリゴペプチド38−
Dnr治療薬のFmoc形態(100mg、0.089mmol)を5mLの乾
燥DMFに溶かした溶液に加えた。反応混合物を室温で5分間攪拌し、次いでド
ライアイス/アセトン浴を用いて−20℃に冷却した。無水コハク酸(458m
g、4.54mmol)を、冷却した反応混合物に一回で加えた。反応を−5℃
で5分間高速で攪拌し、次いで室温でさらに90分間攪拌した。無水ジエチルエ
ーテル250mLを反応混合物に加え、得られた赤色沈殿を中程度のガラスフリ
ット上に単離した。フィルターケーキを、50mLのジエチルエーテルで2回連
続して洗浄し、減圧乾燥すると、オリゴペプチド38−Dnr−治療薬のNキャ
ップスクシニル形態が得られた(収率80%、方法BによるHPLC純度88%
)。LC/MSにより、分子量995(理論値996)が得られた。
【0080】 実施例21 オリゴペプチド98−ダウノルビシン治療薬のNキャップスクシニル形態の合成
[Suc−Thi−Tyr−Gly−Leu−Dnr] オリゴペプチド98−ダウノルビシン治療薬のFmoc形態(100mg、0
.079mmol)を5mLの乾燥DMFに溶かした溶液に、ピペリジン(0.
391mL、3.95mmol)を一回で加えると赤から紫に変色した。反応混
合物を室温で5分間攪拌し、次いでドライアイス/アセトン浴を用いて−20℃
に冷却した。無水コハク酸407mg(4.02mmol)を、冷却した反応混
合物に一回で加えた。反応を−5℃で5分間攪拌し、次いで室温でさらに90分
間攪拌した。無水ジエチルエーテル200mLを反応混合物に加えると、赤色沈
殿が生じた。この沈殿を中程度のガラスフリット上に単離し、3×50mLのジ
エチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥すると、オリゴペプチド98−Dnr治
療薬のNキャップスクシニル形態が得られた(収率80%、方法AによるHPL
C純度81%)。LC/MSにより1141の分子量を得た(理論値1142)
【0081】 実施例22 オリゴペプチド38−Dox治療薬のNキャップグルタリル形態[Gl−βAl
a−Leu−Ala−Leu−Dox]のナトリウム塩の合成 オリゴペプチド38−Dox治療薬のFmoc形態の(100mg、0088
mmol)をDMF(4.5mL)に溶かした溶液にピペリジン(436μL、
4.413mmol)を加えた。室温で5分間攪拌した後、反応混合物を−5℃
に冷却し、無水グルタル酸(624mg、5.472mmol)を素早く加えた
。色が変わると同時に冷却浴を取り除き、混合物を室温でさらに10分間攪拌し
た。DMFをロータリーエバポレーターで除去し、残渣をクロロホルム(2.5
mL)に溶かした。ジエチルエーテル(14mL)を加え、得られた沈殿を濾過
した。フィルターケーキをジエチルエーテルで洗浄し、風乾し、水(14mL)
で再懸濁した。固形物が完全に溶解するまで0.025M NaOH(4mL、
0.10mmol)を懸濁液に滴下するとナトリウム塩が生じた。この溶液を凍
結乾燥すると、オリゴペプチド38−Dox治療薬のグルタリルNキャップ形態
のナトリウム塩が、収率97%および方法DでのHPLC純度87%で得られた
【0082】 実施例23 結合体すなわちオリゴペプチド38とドキソルビシンのメチルスクシニルNキャ
ップ形態の酵素経路カップリングの前駆体を調製する「尿素法」 乾燥した窒素雰囲気下で、26.04g(52.0mmol)のオリゴペプチ
ド38のメチルスクシニル−N−キャップ形態、23.26g(40.2mmo
l)のドキソルビシン塩酸塩を、800mLの乾燥した尿素飽和(約30%w/
v)DMFに懸濁/溶解し、14.8 19.948mL。114.16mmo
l DIEA。この混合物を、約25分かけて0〜3℃に冷却した。この時点で
、21.2g(56.0mmol)のHATUを、約100mLの尿素飽和DM
F溶液として、10分かけて加えた(この溶液の体積は最小限に保たれなくては
ならない)。反応混合物を−2〜2℃で10分間攪拌し、激しく攪拌しながら、
約5分かけて2%v/v酢酸を含む氷冷した塩水4000mLに注いだ。生成物
を、多孔度が中程度の溶融ガラスフィルターで濾過し、多量の水で洗浄し、減圧
下で乾燥した。物理的収率43g:104.47%、HPLC方法Bによる純度
93.45%。
【0083】 実施例24 オリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態の合成[
メチルスクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox(MeOSuS
LD)] 丸底フラスコ(50mL)中で、オリゴペプチド−38のNキャップメチルヘ
ミスクシニル形態(0.25g、0.5mmol)およびドキソルビシン(0.
29g、0.5mmol)を無水DMF(20mL)に溶解した。混合物を5分
攪拌した後、DIEA(0.17mL、1.0mmol)、続いてHBTU(0
.19g、0.5mmol)を溶液に加えた。溶液を室温で4時間攪拌した。D
MFをロータリーエバポレーターで除去し、残渣を4.0mLのメチレンクロラ
イド:メタノール 1:1に溶解した。この溶液に、攪拌しながら40mLのエ
ーテルをゆっくりと加えた。赤色沈殿が生じ、吸引濾過で集めた。固形物をエー
テル(2×10mL)で洗浄し、真空デシケーターで乾燥した。0.50gの生
成物(98%)が純度96%で生成した。
【0084】 実施例25 オリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態の加水分
解 架橋酵素の使用 オリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態(1.
0g、0.975mmol)および100mLのDMFを500mLのフラスコ
に入れた。懸濁液をマグネティックスターラーで激しく攪拌した。オリゴペプチ
ド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態が完全に溶解したとき
、400mLの脱イオン水を加え、得られた溶液を35℃で攪拌した。1gの洗
浄済みCLEC−PC(Altus Biologics)固定化酵素のスラリ
ーを脱イオン水で3回すすぎ、使用前に10mLの20%DMF水溶液に再懸濁
し、10mLの20%DMF水溶液に懸濁し、得られた懸濁液を、一定時間毎に
HPLCでモニターしながら35℃で攪拌した。オリゴペプチド38−Dox治
療薬のメチルスクシニルNキャップ形態が全て消費されると(約18時間)、反
応混合物を0.45μMナイロンメンブレンフィルターで濾過し、CLEC−P
C酵素を除いた。CLEC−PCケーキを3×10mLのメタノールで洗浄し、
メタノール洗液を濾過した反応混合物と合わせた。濾過した反応混合物とメタノ
ール洗液を、高真空ポンプと30℃の水浴を備えたロータリーエバポレーターで
赤いゴム状になるまで濃縮した。次いで、赤いゴム状物質を、50mL脱イオン
水に室温で懸濁し、メカニカルスターラーにより高速で攪拌した。この懸濁液に
、100mLの脱イオン水に77.8mgの炭酸水素ナトリウム(0.926m
mol、0.95当量)を溶かした溶液を2分かけて加えた。懸濁液を室温で2
0分攪拌した。反応混合物を0.45μMナイロンメンブレンフィルターで濾過
し、凍結乾燥した。0.936gのオリゴペプチド38−Dox治療薬のスクシ
ニルNキャップ形態のナトリウム塩が、収率およそ100%、HPLC方法Bで
の純度84%で単離された。1Hおよび13C NMRスペクトルを、それぞれ6
00および150MHzの分光器で測定し、エレクトロスプレーMSは所望の構
造と一致していた。
【0085】 実施例26 オリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態の加水分
解[メチルスクシニルβAla−Leu−Ala−Leu−dox] 可溶性酵素の使用 11.0g(10.72mmol)のオリゴペプチド38−Dox治療薬のメ
チルスクシニルNキャップ形態を、800mLのHPLCグレードの水に懸濁し
、Ultraturrax T8ホモジナイザーで60分間均質化すると、均一
に分散した懸濁液が得られた。この懸濁液を35℃で攪拌し(500rpm)、
76mM炭酸水素ナトリウム水溶液でpH6.05に調整した。1.0gのC.
Antarctica“B”リパーゼ(Altus Biologics)を加
え、反応混合物を35℃で48時間攪拌した。48時間の反応時間の間、一定時
間毎に76mM炭酸水素ナトリウムを添加してpHを5.3から6.2の間に保
ち、反応をHPLCで一定時間毎にモニターした。48時間後、HPLCにより
反応は約98%終了した。76mM炭酸水素ナトリウム水溶液で反応混合物をp
H7に調整し、Celite 521のパッドで濾過した。澄んだ反応混合物を
、5mLの氷酢酸でpH約3に酸性化すると、ゴム状の赤色沈殿が形成した。こ
の沈殿を、Celite 521で濾過し、Celiteパッドをメタノールで
すすぎ、メタノール溶液を10〜20μM溶融ガラスフィルターにより濾過し、
濾液をロータリーエバポレーターにより除去することにより単離し、ゴム状の赤
色生成物7.31gを得た。この生成物を、70mLの76mM炭酸水素ナトリ
ウム(0.95当量)に溶かしてナトリウム塩に変換し、凍結乾燥すると、7.
30gのオリゴペプチド38−Dox治療薬のスクシニルNキャップ形態のナト
リウム塩を、物理的収率66.1%、HPLCによる純度84.5%で得た。
【0086】 生成物は、上記の実施例と同一であった。 実施例27 オリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスクシニルNキャップ形態の固定化
Candida Antarctica “B”リパーゼ加水分解 30.0gのCandida Antarctica “B”リパーゼ(Al
tus Biologics)を300mLの水に溶かし、3×4lの50mM
炭酸水素ナトリウム水溶液(pH=6.4)で透析した。透析の後、透析された
溶液は約300mLであった。360mLのPharmacia NHS−活性
化Sepharose 4 Fast Flowを粗いガラス溶融ロートにおき
、5×450mL氷冷1mM塩酸ですすいだ。すすいだNHS−活性化Seph
aroseを透析した酵素溶液と合わせた。得られた懸濁液を室温(約22℃)
で2.0時間攪拌した。次いで、sepharose/酵素結合体を、粗い溶融
ガラスフィルターで単離し、1000mLの100mM TRIS水溶液(pH
=7.45)中で15分間攪拌した。この懸濁液を濾過し、他の1000mLの
100mM TRIS水性緩衝液(pH=7.45)とともに4℃で終夜インキ
ュベーションした。翌朝固定化酵素を濾過し、水で洗浄後、2000mL三口丸
底フラスコに入れた。43gのオリゴペプチド38−Dox治療薬のメチルスク
シニルNキャップ形態を加え、固形物を800mL脱イオン水中に懸濁した。フ
ラスコにオーバーヘッドスターラーおよびpH安定器を付け、シリンジポンプの
調節により反応混合物のpHを5.9〜6.2に保った。シリンジポンプには、
0.1M炭酸水素ナトリウムが充填されていた。反応の進行をHPLCによりモ
ニターした。6日後、固定化酵素を濾過し、液相を凍結乾燥した。乾燥固形物を
約1lの乾燥THF中に懸濁し、濾過した。42.66g、物理的収率98.3
4%、方法BによるHPLC純度93.43%(254nm)、94.43%(
480nm)。 実施例28 オリゴペプチド38−治療薬の乳酸塩の合成[βAla−Leu−Ala−Le
u−Dox乳酸塩] ピペリジン(26mL、264mmol)を、オリゴペプチド38−Dox治
療薬のFmoc形態(6.00g、5.3mmol)をDMF(265mL)に
溶かした溶液に加えた。室温で5分攪拌の後、反応混合物を氷塩浴中におき、予
備冷却した(4℃)pH3の10%乳酸緩衝液(600mL)を直ちに加えた。
水溶液をDCM(3×500mL)で抽出し、過剰な塩を固相抽出により除いた
。C18 ODS−Aシリカゲル(120g)をガラスフリット中で調整し(5
00mLメタノール、2×500mL水)、粗生成物乳酸塩の水溶液を充填した
。水で洗浄し(2×500mL)乾燥した後、フィルターケーキをメタノールに
溶解した。メタノールを蒸発させ、残渣を水に溶解した。得られた溶液を凍結乾
燥すると、オリゴペプチド38−Dox治療薬の乳酸塩3.54g(収率67%
、HPLC純度方法B:89%)が得られた。
【0087】 実施例29 オリゴペプチド38−Dox治療薬の乳酸塩[βAla−Leu−Ala−Le
u−Dox乳酸塩]から出発するオリゴペプチド38−Dox治療薬のスクシニ
ルNキャップ形態[スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox]
の合成 DIEA(417μL、2.40mmol)を、オリゴペプチド38−Dox
治療薬の乳酸塩(1.200g、1.20mmol)をDMF(35mL)に溶
かした溶液に加えた。室温で15分攪拌後、無水コハク酸97%(2)(0.1
44g、1.44mmol)を加えた。混合物を2時間攪拌し、DMFをロータ
リーエバポレーターで除いた。残渣を、CHCl3/CH3OH 4/1(6mL
)の混合物に溶解し、Et2O/ヘキサン 1/1の混合物200mLを加えた
。混合物を30分間攪拌した後、沈殿を定量紙(Whatman 42)で濾過
し、洗浄し(Et2O/ヘキサン 1/1)、風乾した。フィルターケーキを水
(150mL)に懸濁し、1M NaOH(±1.2当量、1.5mL)を完全
な溶解まで滴下した(pH=7.2)。溶液を凍結乾燥すると、1.218gの
オリゴペプチド38−Dox治療薬のスクシニルNキャップ形態が得られた(9
7%収率;HPLC純度方法B:80.2%)。 実施例30 オリゴペプチド38−Dox治療薬のFmoc形態[Fmoc−βAla−Le
u−Ala−Leu−Dox]から出発するオリゴペプチド38−Dox治療薬
のスクシニルNキャップ形態[スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu
−Dox]の合成 ピペリジン(2180μL、22.06mmol)を、Fmoc形態のオリゴ
ペプチド38−Dox治療薬(0.50g、0.44mmol)をDMF(21
.5mL)に溶かした溶液に加えた。室温で5分攪拌後、反応混合物を−5℃に
急速に冷却し、コハク酸無水物(2.25g、22.51mmol)を直ちに加
えた。色が変わると同時に冷却浴を取り除き、混合物を室温で10分間攪拌した
。DMFをロータリーエバポレーターで除き、残渣をクロロホルム(12.5m
L)に溶解した。ジエチルエーテル(360mL)を素早く加えた。すぐに沈殿
が生じた。沈殿をWhatman42濾紙で濾過し、Et2Oで洗浄した。固形
物を水(120mL;pH=4.1)に懸濁し、0.025MのNaOH(20
mL、0.53mmol)を完全な溶解まで滴下した(pH=7.4)。この溶
液を凍結乾燥すると、オリゴペプチド38−Dox治療薬のスクシニルNキャッ
プ形態が収率89%、方法DによるHPLC純度91%で得られた。
【0088】 したがって、本発明は、 (1)標的細胞中に入ることのできる治療薬 (2)(AA)n−AA4−AA3−AA2−AA1の式を有するオリゴペプチドで
あって、 上式において AAはそれぞれ独立に遺伝学的にコードされたアミノ酸を表し、 nは0から12の整数であり、 AA4は、遺伝学的にコードされていないアミノ酸であり、 AA3は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA2は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA1は、いかなるアミノ酸でもよく、 (3)全血中に存在する酵素による前記オリゴペプチドの切断を阻害する安定化
基 (4)任意にトロアーゼにより切断されない連結基 を含んでなる化合物であって、 オリゴペプチドの第一の結合部位でオリゴペプチドが直接安定化基に結合してお
り、オリゴペプチドのAA1がオリゴペプチドの第二の結合部位で直接治療薬に
結合するかまたは連結基を介して間接的に治療薬に結合しており、 前記化合物が標的細胞に関連する酵素により選択的に切断されるようなプロドラ
ッグ化合物を含む。
【0089】 さらに、治療薬が患者への投与用である治療薬の毒性を低減する方法であって
、 トロアーゼにより切断可能なオリゴペプチドをオリゴペプチドの第一の結合部位
で安定化基に結合し、オリゴペプチドの第二の結合部位で直接または間接的に治
療薬を結合することによる、共有結合的なプロドラッグ形成を含んでなる方法で
あって、前記プロドラッグがトロアーゼにより選択的に切断されそれによりプロ
ドラッグが患者に投与される時治療薬の毒性を低減する方法。
【0090】 本発明は、以下の工程を含んでなるプロドラッグ化合物薬剤を作る方法を含む
: (1)Fmocに保護されたオリゴペプチドを、治療薬の存在下で活性化剤によ
り活性化し、Fmocに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体を作る工程、 (2)Fmocに保護されたオリゴペプチド治療薬に塩基を接触させて脱保護す
る工程、 (3)オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程、 (4)安定化基−オリゴペプチド治療薬結合体を、製薬上許容できる塩で中和す
る工程。
【0091】 本発明は、以下の工程を含んでなるプロドラッグ化合物の製造を含む: (1)アルキルエステルに保護された安定化基オリゴペプチドを、治療薬の存在
下において活性化剤で活性化し、アルキルエステルに保護された安定化基オリゴ
ペプチド治療薬結合体を作る工程、 (2)アルキルエステルに保護された安定化基オリゴペプチド治療薬を脱保護す
る工程、 (3)安定化基オリゴペプチド治療薬を製薬上許容できる塩で中和する工程。
【0092】 本発明の他の態様は、以下の工程を含んでなるプロドラッグ化合物の製造方法
である: (1)トリルに保護されたオリゴペプチドを治療薬の存在下で、活性化剤で活性
化し、トリルに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体を作る工程、 (2)トリルに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体を、酸性条件下で、0〜
25℃で30〜120分、脱保護する工程、 (3)オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程、 (4)安定化基−オリゴペプチド−治療薬を、製薬上許容できる塩で中和する工
程。
【0093】 本発明の化合物は、上記の方法全てにより作られるプロドラッグを含む。 本明細書で言及された全ての出版物および特許出願書は、各出版物または特許
出願書が参照により組み込まれるよう詳細かつ個別に指示されたかのように、参
照により同じ程度に本願に組み込まれる。 本発明は完全に記載されたので、追記された特許請求の精神または範囲から逸
脱することなく、多くの変更または修正を本発明に加えられることが、当業者に
は明らかであろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 略語、名前および構造の表である。
【図1B】 略語、名前および構造の表である。
【図1C】 略語、名前および構造の表である。
【図1D】 略語、名前および構造の表である。
【図2】 標的細胞の細胞外近傍のおける本発明のプロドラッグの切断の典型的な図式で
ある。
【図3】 本発明の典型的な中間体であるFmoc−βAla−Leu−Ala−Leu
の合成を表す。
【図4】 本発明の典型的な中間体であるメチル−スクシニルβAla−Leu−Ala
−Leuの「Fmoc経路」合成を表す。
【図5】 本発明の典型的な中間体であるSuc−βAla−Leu−Ala−Leu−
Doxの塩の形態の「Fmoc経路」合成を表す。
【図6】 本発明の典型的な中間体であるSuc−βAla−Leu−Ala−Leu−
Doxの塩の形態の「コハク酸エステル経路」合成を表す。
【図7】 本発明の典型的な中間体である、保護基のついたβAla−Leu−Ala−
Leu−Doxの合成を表す。
【図8】 本発明の典型的な中間体であるSuc−βAla−Leu−Ala−Leu−
Doxの塩の形態の「アリルエステル経路」合成を表す。
【図9】 本発明の典型的な中間体であるSuc−βAla−Leu−Ala−Leu−
Doxの「樹脂経路」合成を表す。
【図10A】 本発明のプロドラッグに有用なオリゴペプチドの表である。
【図10B】 本発明のプロドラッグに有用なオリゴペプチドの表である。
【図10C】 本発明のプロドラッグに有用なオリゴペプチドの表である。
【図11】 薬剤を含む賦形剤または薬剤を含まない賦形剤を与えられた動物のマウスゼノ
グラフモデルの生存のグラフである。
【図12】 ドキソルビシンプロドラッグおよびドキソルビシンを比較する、マウスゼノグ
ラフモデルの生存のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/407 A61K 31/407 31/437 31/437 31/4745 31/4745 31/513 31/513 31/519 31/519 31/52 31/52 31/5517 31/5517 31/555 31/555 31/7004 31/7004 31/7028 31/7028 31/7048 31/7048 31/7064 31/7064 31/7068 31/7068 33/24 33/24 47/42 47/42 A61P 29/00 A61P 29/00 35/00 35/00 C07K 5/10 ZNA C07K 5/10 ZNA 7/00 7/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フェルナンド,アンヌ−マリー ベルギー国,ベー1050 ブリュッセル,ア ブニュドゥ ラ クーロンヌ 1ウー (72)発明者 ガングウォー,サンジーブ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94501, アラメダ,サード ストリート 1354,ア パートメント 102 (72)発明者 ルイス,エバン アメリカ合衆国,カリフォルニア 94015, ダリー シティ,パリサデス ドライブ 166 (72)発明者 ニーダー,マシュー エイチ. アメリカ合衆国,カリフォルニア 94010, バーリンゲーム,エッジヒル ドライブ 1107 (72)発明者 トルエ,アンドレ ベルギー国,ベー3009 ヘラン,プレディ クエランセル #29 (72)発明者 ビスキー,ピーター アメリカ合衆国,カリフォルニア 94002, ベルモント,コンチネンタルズ ウェイ 1016,アパートメント 207 (72)発明者 ヤーラントン,ジョフリー ティー. アメリカ合衆国,カリフォルニア 94010, バーリンゲーム,バルボア アベニュ 1148 Fターム(参考) 4C076 AA95 BB11 CC04 CC27 CC42 EE41 FF63 FF68 4C086 AA01 AA02 BA14 CB03 CB07 CB09 CB22 EA04 EA10 EA11 MA01 MA05 MA66 NA10 NA13 NA15 ZB11 ZB26 4C206 AA01 AA02 FA23 FA53 GA02 GA30 JB16 KA01 KA06 MA01 MA05 MA86 NA10 NA13 NA15 ZB11 ZB26 4H045 AA10 AA20 AA30 BA13 BA14 BA15 BA16 BA17 BA51 BA53 EA20 FA33

Claims (67)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)標的細胞中に入ることのできる治療薬 (2)(AA)n−AA4−AA3−AA2−AA1の式を有するオリゴペプチドで
    あって、 上式において AAはそれぞれ独立に遺伝学的にコードされたアミノ酸を表し、 nは0から12の整数であり、 AA4は、遺伝学的にコードされていないアミノ酸であり、 AA3は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA2は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA1は、いかなるアミノ酸でもよく、 (3)全血中に存在する酵素による前記オリゴペプチドの切断を阻害する安定化
    基 (4)任意にトロアーゼにより切断されない連結基 を含んでなる化合物であって、 オリゴペプチドの第一の結合部位でオリゴペプチドが直接安定化基に結合してお
    り、オリゴペプチドのAA1がオリゴペプチドの第二の結合部位で直接治療薬に
    結合するかまたは連結基を介して間接的に治療薬に結合しており、 前記化合物が標的細胞に関連する酵素により選択的に切断される、前記化合物。
  2. 【請求項2】 nが0から8の整数である、請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 標的細胞が腫瘍または炎症性細胞である、請求項1に記載の
    化合物。
  4. 【請求項4】 標的細胞に関連する酵素がトロアーゼである、請求項1に記
    載の化合物。
  5. 【請求項5】 トロアーゼが、治療薬のために標的細胞の細胞外近傍に存在
    する、請求項4に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 トロアーゼが、オリゴペプチドのAA3とAA2の間の結合を
    切断する、請求項4に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 プロドラッグの活性部分が、トロアーゼによる切断前よりも
    トロアーゼによる切断後では標的細胞に浸透しやすく、活性部分が少なくとも治
    療薬を含んでいる、活性部分を有するプロドラッグである請求項4に記載の化合
    物。
  8. 【請求項8】 プロドラッグの活性部分が治療薬からなる、請求項7に記載
    の化合物。
  9. 【請求項9】 プロドラッグの活性部分が、治療薬および少なくとも連結基
    を含む、請求項7に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 プロドラッグの活性部分が治療薬およびオリゴペプチドの
    AA1を含む、請求項7に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 AA1に結合したオリゴペプチドのAA2をさらに含んでな
    る、請求項9に記載の化合物。
  12. 【請求項12】 オリゴペプチドが、以下のものから選択される、請求項1
    に記載の化合物:D−AlaThiβAlaβAlaLeuAlaLeu(SE
    Q ID NO:1)、ThiβAlaβAlaLeuAlaLeu(SEQ
    ID NO:2)、βAlaβAlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO
    :3)、βAlaAlaAlaIle(SEQ ID NO:4)、βAlaA
    laAlaLeu(SEQ ID NO:5)、βAlaPheTyrLeu(
    SEQ ID NO:6)、βAlaPheThrPhe(SEQ ID NO
    :7)、βAlaPheGlyIle(SEQ ID NO:8)、βAlaP
    heGlyLeu(SEQ ID NO:9)、βAlaPhePhePhe(
    SEQ ID NO:10)、βAlaPhePheIle(SEQ ID N
    O:11)、βAlaPhePheLeu(SEQ ID NO:12)、βA
    laPheAlaIle(SEQ ID NO:13)、βAlaPheAla
    Leu(SEQ ID NO:14)、ThiGlyAlaLeu(SEQ I
    D NO:15)、NalGlyAlaLeu(SEQ ID NO:16)、
    βAlaLeuTyrLeu(SEQ ID NO:17)、βAlaLeuT
    hiLeu(SEQ ID NO:18)、βAlaLeuThrPhe(SE
    Q ID NO:19)、βAlaLeuThrIle(SEQ ID NO:
    20)、βAlaLeuThrLeu(SEQ ID NO:21)、βAla
    LeuSerLeu(SEQ ID NO:22)、βAlaLeuPyrLe
    u(SEQ ID NO:23)、βAlaLeuLeuLeu(SEQ ID
    NO:24)、βAlaLeuGlyPhe(SEQ ID NO:25)、
    βAlaLeuGlyIle(SEQ ID NO:26)、ThiLeuGl
    yLeu(SEQ ID NO:27)、βAlaLeuGlyLeu(SEQ
    ID NO:28)、AibLeuGlyLeu(SEQ ID NO:29
    )、βAlaLeuPheIle(SEQ ID NO:30)、βAlaLe
    uPheLeu(SEQ ID NO:31)、βAlaLeuAibLeu(
    SEQ ID NO:32)、βAlaLeuAlaAla(SEQ ID N
    O:33)、βAlaLeuAlaβAla(SEQ ID NO:34)、β
    AlaLeuAlaPhe(SEQ ID NO:35)、βAlaLeuAl
    aGly(SEQ ID NO:36)、βAlaLeuAlaIle(SEQ
    ID NO:37)、βAlaLeuAlaLeu(SEQ ID NO:3
    8)、TicLeuAlaLeu(SEQ ID NO:39)、ThzLeu
    AlaLeu(SEQ ID NO:40)、ThiLeuAlaLeu(SE
    Q ID NO:41)、NalLeuAlaLeu(SEQ ID NO:4
    2)、NAALeuAlaLeu(SEQ ID NO:43)、D−LeuL
    euAlaLeu(SEQ ID NO:44)、D−AlaLeuAlaLe
    u(SEQ ID NO:45)、D−MetLeuAlaLeu(SEQ I
    D NO:46)、APPLeuAlaLeu(SEQ ID NO:47)、
    AmbLeuAlaLeu(SEQ ID NO:48)、βAlaLeuAl
    aNal(SEQ ID NO:49)、βAlaLeuAlaSer(SEQ
    ID NO:50)、βAlaLeuAlaTyr(SEQ ID NO:5
    1)、βAlaMetTyrPhe(SEQ ID NO:52)、βAlaM
    etTyrLeu(SEQ ID NO:53)、βAlaMetGlyIle
    (SEQ ID NO:54)、ThiMetGlyLeu(SEQ ID N
    O:55)、βAlaMetPhePhe(SEQ ID NO:56)、βA
    laMetPheIle(SEQ ID NO:57)、TicMetAlaL
    eu(SEQ ID NO:58)、NalMetAlaLeu(SEQ ID
    NO:59)、NAAMetAlaLeu(SEQ ID NO:60)、β
    AlaMetAlaLeu(SEQ ID NO:61)、APPMetAla
    Leu(SEQ ID NO:62)、βAlaNleTyrIle(SEQ
    ID NO:63)、βAlaNleTyrLeu(SEQ ID NO:64
    )、βAlaNleThrIle(SEQ ID NO:65)、βAlaNl
    eThrLeu(SEQ ID NO:66)、βAlaNleGlyPhe(
    SEQ ID NO:67)、βAlaNleGlyIle(SEQ ID N
    O:68)、βAlaNleGlyLeu(SEQ ID NO:69)、βA
    laNlePheIle(SEQ ID NO:70)、βAlaNleAla
    Ile(SEQ ID NO:71)、βAlaNleAlaLeu(SEQ
    ID NO:72)、βAlaNleAlaPhe(SEQ ID NO:73
    )、βAlaNvaAlaLeu(SEQ ID NO:74)、βAlaPh
    eTyrIle(SEQ ID NO:75)、ThiProGlyLeu(S
    EQ ID NO:76)、ThiProAlaLeu(SEQ ID NO:
    77)、NalProAlaLeu(SEQ ID NO:78)、βAlaP
    roAlaLeu(SEQ ID NO:79)、βAlaPhe(Cl)Al
    aLeu(SEQ ID NO:80)、βAlaPhe(NO2)AlaIl
    e(SEQ ID NO:81)、βAlaPhe(NO2)AlaLeu(S
    EQ ID NO:82)、βAlaPhgAlaLeu(SEQ ID NO
    :83)、βAlaPyrAlaLeu(SEQ ID NO:84)、Tic
    ThrGlyLeu(SEQ ID NO:85)、βAlaThiGlyIl
    e(SEQ ID NO:86)、βAlaThiAlaLeu(SEQ ID
    NO:87)、βAlaTicAlaIle(SEQ ID NO:88)、
    βAlaTicAlaLeu(SEQ ID NO:89)、βAlaValA
    laLeu(SEQ ID NO:90)、βAlaTrpAlaLeu(SE
    Q ID NO:91)、βAlaTyrTyrPhe(SEQ ID NO:
    92)、βAlaTyrTyrIle(SEQ ID NO:93)、βAla
    TyrTyrLeu(SEQ ID NO:94)、βAlaTyrThrLe
    u(SEQ ID NO:95)、βAlaTyrPheLeu(SEQ ID
    NO:96)、βAlaTyrGlyIle(SEQ ID NO:97)、
    ThiTyrGlyLeu(SEQ ID NO:98)、βAlaTyrGl
    yLeu(SEQ ID NO:99)、βAlaTyrPheIle(SEQ
    ID NO:100)、βAlaTyrAlaIle(SEQ ID NO:
    101)、ThiTyrAlaLeu(SEQ ID NO:102)およびβ
    AlaTyrAlaLeu(SEQ ID NO:103)。
  13. 【請求項13】 オリゴペプチドのAA1が、フェニルアラニン、イソロイ
    シン、アラニン、グリシン、チロシン、2−ナフチルアラニン、セリンおよびβ
    アラニンから選択される、請求項1に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 オリゴペプチドのAA2が、ロイシン、チロシン、グリシ
    ン、セリン、3−ピリジルアラニン、2−チエニルアラニン、アミノイソ酪酸、
    スレオニンおよびフェニルアラニンから選択される、請求項1に記載の化合物。
  15. 【請求項15】 オリゴペプチドのAA3が、ロイシン、チロシン、フェニ
    ルアラニン、p−Cl−フェニルアラニン、p−ニトロフェニルアラニン、バリ
    ン、ノルロイシン、ノルバリン、フェニルグリシン、トリプトファン、テトラヒ
    ドロイソキノリン−3−カルボン酸、3−ピリジルアラニン、アラニン、グリシ
    ン、チエニルアラニン、メチオニン、バリンおよびプロリンから選択される、請
    求項1に記載の化合物。
  16. 【請求項16】 オリゴペプチドのAA4が、βアラニン、チアゾリジン−
    4−カルボン酸、2−チエニルアラニン、2−ナフチルアラニン、D−アラニン
    、D−ロイシン、D−メチオニン、D−フェニルアラニン、3−アミノ−3−フ
    ェニルプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、3−アミノ−4,4−ジフェニル酪酸、
    テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、4−アミノメチル安息香酸および
    アミノイソ酪酸から選択される、請求項1に記載の化合物。
  17. 【請求項17】 安定化基が、ジカルボン酸または高次のカルボン酸である
    、請求項1に記載の化合物。
  18. 【請求項18】 安定化基が、コハク酸、ジグリコール酸、マレイン酸、ポ
    リエチレングリコール、ピログルタミン酸およびグルタル酸から選択される、請
    求項1に記載の化合物。
  19. 【請求項19】 安定化基が炭素数4以上の遺伝学的にコードされていない
    アミノ酸である、請求項1に記載の化合物。
  20. 【請求項20】 安定化基が、アスパラギン酸のβカルボキシ基でオリゴペ
    プチドに結合しているアスパラギン酸またはグルタミン酸のγカルボキシ基でオ
    リゴペプチドに結合しているグルタミン酸である、請求項1に記載の化合物。
  21. 【請求項21】 治療上有効な投与量の治療薬を患者に投与すると、患者の
    体内で治療薬の凝集が起こる場合、安定化基が負に帯電または中性である、請求
    項1に記載の化合物。
  22. 【請求項22】 治療上有効な投与量で患者の静脈中に投与されると治療薬
    が凝集する場合、安定化基が負に帯電または中性である、請求項21に記載の化
    合物。
  23. 【請求項23】 患者に投与される時、安定化基が、化合物と血管中に並ぶ
    内皮細胞との間の相互作用を低減する、請求項1に記載の化合物。
  24. 【請求項24】 治療薬が、アルキル化剤、増殖抑制薬、チュービュリン結
    合剤、ビンカアルカロイド、エネジイン、ポドフィロトキシンまたはポドフィロ
    トキシン誘導体、プテリジン族の薬剤、タキサン、アントラサイクリン、ドラス
    タチン、トポイソメラーゼインヒビター、シスプラチンから選択される、請求項
    1に記載の化合物。
  25. 【請求項25】 治療薬が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンブラス
    チン、ビンクリスチン、カリケアマイシン、エトポシド、エトポシドホスフェー
    ト、CC−1065、デュオカマイシン、KW−2189、メトトレキセート、
    メトプテリン、アミノプテリン、ジクロロメトトレキセート、ドセタキセル、パ
    クリタキセル、エピチオロン、コンブレタスタチン、コンブレタスタチンA4
    スフェート、ドラスタチン10、ドラスタチン11、ドラスタチン15、トポテ
    カン、キャンプトテカン、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、5−フルオ
    ロウラシル、6−メルカプトプリン、フルダラビン、タモキシフェン、シトシン
    アラビノシッド、アデノシンアラビノシッド、コルヒチン、カルボプラチン、マ
    イトマイシンC、ブレオマイシン、メルファランあるいはこれらの誘導体または
    類似体から選択される、請求項1に記載の化合物。
  26. 【請求項26】 治療薬が、細胞内活性部位を有する、請求項1に記載の化
    合物。
  27. 【請求項27】 オリゴペプチドのAA1が治療薬に直接結合している、請
    求項1に記載の化合物。
  28. 【請求項28】 オリゴペプチド配列のAA1が連結基を介してオリゴペプ
    チドの第二の結合部位で治療薬に間接的に結合し、連結基がアミノカプロン酸、
    ヒドラジド基、エステル基、エーテル基およびメルカプト基から選択される、請
    求項1に記載の化合物。
  29. 【請求項29】 (1)(a)標的細胞に入ることのできる治療薬、 (b)(AA)n−AA4−AA3−AA2−AA1の式を有するオリゴペプチドで
    あって、 上式において AAはそれぞれ独立に遺伝学的にコードされたアミノ酸を表し、 nは0から12の整数であり、 AA4は、遺伝学的にコードされていないアミノ酸であり、 AA3は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA2は、いかなるアミノ酸でもよく、 AA1は、いかなるアミノ酸でもよく、 (c)全血中に存在する酵素による前記オリゴペプチドの切断を阻害する安定化
    基 (d)任意にトロアーゼにより切断されない連結基 を含んでなる化合物であって、 オリゴペプチドの第一の結合部位でオリゴペプチドが直接安定化基に結合してお
    り、オリゴペプチドのAA1がオリゴペプチドの第二の結合部位で直接治療薬に
    結合するかまたは連結基を介して間接的に治療薬に結合しており、 前記化合物が標的細胞に関連する酵素により選択的に切断される化合物および (2)製薬上許容できるキャリアーを含んでなる薬剤組成物。
  30. 【請求項30】 治療薬が患者への投与用である治療薬の毒性を低減する方
    法であって、トロアーゼにより切断可能なオリゴペプチドをオリゴペプチドの第
    一の結合部位で安定化基に結合し、オリゴペプチドの第二の結合部位で直接また
    は間接的に治療薬を結合することによる、共有結合的なプロドラッグ形成を含ん
    でなる方法であって、前記プロドラッグがトロアーゼにより選択的に切断されそ
    れによりプロドラッグが患者に投与される時治療薬の毒性を低減する方法。
  31. 【請求項31】 プロドラッグが、プロドラッグ結合のない治療薬の投与量
    に比べて、より多い投与量の治療薬を患者に投与することを可能とする、請求項
    30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 請求項30の方法により形成されたプロドラッグ。
  33. 【請求項33】 (1)Fmocに保護されたオリゴペプチドを、治療薬の
    存在下で活性化剤により活性化し、Fmocに保護されたオリゴペプチド治療薬
    結合体を作る工程、 (2)Fmocに保護されたオリゴペプチド治療薬に塩基を接触させて脱保護す
    る工程、 (3)オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程、 (4)安定化基−オリゴペプチド治療薬結合体を、製薬上許容できる塩で中和す
    る工程を含んでなるプロドラッグ化合物薬剤の製造方法。
  34. 【請求項34】 オリゴペプチドがβAlaLeuAlaLeuのFmoc
    形態である、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 治療薬がアントラサイクリンである、請求項33に記載の
    方法。
  36. 【請求項36】 Fmocに保護されたオリゴペプチドを活性化剤により活
    性化させる工程が、活性化剤をHATU、HBTU、DCC、DIC、DCC+
    HOBt、EDC、OSuおよびPyBOPから選択することをさらに含んでな
    る、請求項33に記載の方法。
  37. 【請求項37】 Fmocに保護されたオリゴペプチドを活性化する工程が
    、HATUまたはHBTU活性化剤を用いる、請求項33に記載の方法。
  38. 【請求項38】 Fmocに保護されたオリゴペプチド治療薬を脱保護する
    工程が、ピペリジン、DBU、DBN、DBO、トリエチルアミンまたはNaO
    Hから選択することをさらに含んでなる、請求項33に記載の方法。
  39. 【請求項39】 オリゴペプチドを治療薬に活性化する工程が、カオトロピ
    ック試薬で飽和した溶媒を用いることをさらに含んでなる、請求項33に記載の
    方法。
  40. 【請求項40】 オリゴペプチドを治療薬にカップリングする工程が、カオ
    トロピック試薬、尿素で飽和した溶媒DMFを使用することをさらに含んでなる
    、請求項33に記載の方法。
  41. 【請求項41】 オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程が、安
    定化基の無水物または活性化エステルを用いる、請求項33に記載の方法。
  42. 【請求項42】 請求項33の方法により作られた組成物。
  43. 【請求項43】 (1)アルキルエステルに保護された安定化基オリゴペプ
    チドを、治療薬の存在下において活性化剤で活性化し、アルキルエステルに保護
    された安定化基オリゴペプチド治療薬結合体を作る工程、 (2)アルキルエステルに保護された安定化基オリゴペプチド治療薬を脱保護す
    る工程、 (3)安定化基オリゴペプチド治療薬を製薬上許容できる塩で中和する工程を含
    んでなるプロドラッグ化合物の製造方法。
  44. 【請求項44】 アルキルエステルで保護された安定化基オリゴペプチドが
    、メチルまたはエチルエステル基で保護されている、請求項43に記載の方法。
  45. 【請求項45】 オリゴペプチドがメチルスクシニルで保護されたβAla
    LeuAlaLeuである、請求項43に記載の方法。
  46. 【請求項46】 治療薬がアントラサイクリンである、請求項43に記載の
    方法。
  47. 【請求項47】 アルキルエステルに保護された安定化基オリゴペプチドを
    活性化剤により活性化させる工程が、HATU、HBTU、DCC、DIC、D
    CC+HOBt、EDC、OSuおよびPyBOPから選択することを含んでな
    る、請求項43に記載の方法。
  48. 【請求項48】 アルキルエステルで保護された安定化基オリゴペプチド治
    療薬結合体を脱保護する工程が、エステラーゼ、CHIRO CLEC−PC(
    商標)、ブタ肝臓エステラーゼ、Candida Antarctica Bリ
    パーゼおよびSepharose固定化Candida Antarctica
    Bリパーゼから選択された酵素で脱保護することをさらに含んでなる、請求項
    43に記載の方法。
  49. 【請求項49】 アルキルエステルで保護された安定化基オリゴペプチドを
    活性化させる工程が、カオトロピック試薬で飽和した溶媒を用いることをさらに
    含んでなる、請求項43に記載の方法。
  50. 【請求項50】 オリゴペプチドを治療薬に活性化する工程が、カオトロピ
    ック試薬、尿素で飽和した溶媒DMFを使用することをさらに含んでなる、請求
    項43に記載の方法。
  51. 【請求項51】 アルキルエステルで保護された安定化基オリゴペプチド治
    療薬の濃度が、結合溶媒および脱保護溶媒中で1〜25%である、請求項43に
    記載の方法。
  52. 【請求項52】 アルキルエステル保護基がアルキルヘミスクシニルエステ
    ルである、請求項43に記載の方法。
  53. 【請求項53】 アルキルエステルで保護された安定化基オリゴペプチド治
    療薬を脱保護する工程が、Pd(P(Ph34)を用いて脱保護することをさら
    に含んでなる、請求項43に記載の方法。
  54. 【請求項54】 請求項43に記載の方法により作られた組成物。
  55. 【請求項55】 (1)トリルに保護されたオリゴペプチドを治療薬の存在
    下で、活性化剤で活性化し、トリルに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体を
    作る工程、 (2)トリルに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体を、酸性条件下で、0〜
    25℃で30〜120分、脱保護する工程、 (3)オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程、 (4)安定化基−オリゴペプチド−治療薬を、製薬上許容できる塩で中和する工
    程を含んでなるプロドラッグ化合物の製造方法。
  56. 【請求項56】 オリゴペプチドがトリル形態のβAlaLeuAlaLe
    uである、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 治療薬がアントラサイクリンである、請求項55に記載の
    方法。
  58. 【請求項58】 トリルに保護されたオリゴペプチドを活性化剤により活性
    化させる工程が、活性化剤をHATU、HBTU、DCC、DIC、DCC+H
    OBt、EDC、OSuおよびPyBOPから選択することをさらに含んでなる
    、請求項55に記載の方法。
  59. 【請求項59】 オリゴペプチドを治療薬に活性化する工程が、カオトロピ
    ック試薬で飽和した溶媒を使用することをさらに含んでなる、請求項55に記載
    の方法。
  60. 【請求項60】 活性化の工程が、カオトロピック試薬としての尿素で飽和
    した溶媒DMFをさらに含んでなる、請求項59に記載の方法。
  61. 【請求項61】 オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程が、安
    定化基の無水物または活性化エステルの使用をさらに含んでなる、請求項55に
    記載の方法。
  62. 【請求項62】 オリゴペプチド治療薬を安定化基と反応させる工程が、安
    定化基としてコハク酸無水物またはグルタル酸無水物あるいはコハク酸またはグ
    ルタル酸のそれぞれのメチルヘミエステルを使用することをさらに含んでなる、
    請求項61に記載の方法。
  63. 【請求項63】 安定化基−オリゴペプチド−治療薬を中和する工程が、製
    薬上許容できる塩として炭酸水素ナトリウム結合体を使用することをさらに含ん
    でなる、請求項55に記載の方法。
  64. 【請求項64】 トリルに保護されたオリゴペプチド治療薬結合体の濃度が
    、結合溶媒中で1〜25%である、請求項55に記載の方法。
  65. 【請求項65】 請求項55の方法により製造された組成物。
  66. 【請求項66】 Suc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox、S
    uc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dnrおよびグルタリル−βAla
    −Leu−Ala−Leu−Doxから選択される化合物。
  67. 【請求項67】 βAla−Leu−Ala−Leu−Dox、トリチル−
    βAla−Leu−Ala−Leu−Dox、ジフェニルメチル−βAla−L
    eu−Ala−Leu−Dox、ベンジロキシカルボニル−βAla−Leu−
    Ala−Leu−Dox、Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−OB
    n、βAla−Leu−Ala−Leu−OBn、メチル−スクシニル−βAl
    a−Leu−Ala−Leu−OBn、メチル−スクシニル−βAla−Leu
    −Ala−Leu、Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu、Fmoc−
    Thi−Tyr−Gly−Leu、Fmoc−βALa−Leu−Ala−Le
    u−Dnr、Fmoc−Thi−Tyr−Gly−Leu−Dnr、Suc−T
    hi−Tyr−Gly−Leu−Dnr、Gl−βAla−Leu−Ala−L
    eu−Dox、βAla−Leu−Ala−Leu−Dox乳酸エステル、アリ
    ル−スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox、Suc−βAl
    a−Leu−Ala−Leu、Suc−βAla−Leu−Ala−Leuのメ
    チルエステル、Fmoc−βAla−Leu−Ala−Leu−Dox、メチル
    −スクシニル−βAla−Leu−Ala−Leu−Doxおよびアリルヘミス
    クシネートから選択された化合物。
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