JP2003515736A - 内燃機関の燃焼室内で実行される燃焼過程を監視するための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内燃機関の燃焼室内で実行される燃焼過程を監視するための装置であって、燃焼室の壁部に組み込み可能なケーシング（１）を有しており、該ケーシング（１）が、組み込んだ状態で燃焼室に向かって延びる測定区分を有しており、該ケーシング（１）が、このケーシング（１）の縦軸線に沿って延びる多数の孔（３）を有しており、これらの孔（３）内にそれぞれ光ガイド（２）が配置されており、前記孔（３）の第１の端部（３）内に位置する、各光ガイド（２）の第１の端部が、燃焼室内から光を受光し、それぞれの光ガイドの第２の端部が光学式／電子式の評価装置に接続されている。前記孔が、燃焼室に隣接する区分（３Ａ）を有しており、該区分（３Ａ）が、ケーシング（１）の縦軸線に対して角度（α）を成して、測定区分の外側面を通ってケーシング（１）から延びており、光ガイド（２）の第１の端部が、端部区分（３Ａ）の内側に位置する端部に向けられた光侵入開口（６）と、この光侵入開口（６）に向き合うミラー面（５）とを有していて、該ミラー面（５）が入射光線を光ガイド（２）の縦軸線の方向に偏光させるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１の上位概念部に記載した形式の装置に関する。

【０００２】 内燃機関（オットー機関もディーゼル機関も）の改良のためには、燃料消費及
び排ガス発生及び雑音発生をさらに減少させるために、燃焼中に実行される燃焼
過程をできるだけ十分に認識することが要求される。

【０００３】 燃焼過程及びこれに関連する現象を観察し、分析することができるようにする
ために、最近では種々の測定方法及び測定装置が開発されている。内燃機関の予
開発及び大量開発においては（基本研究とは異なり）、勿論、燃焼室への光学的
なアクセスを、本来の燃焼室形状及び例えば燃焼室壁の熱的な状態が十分不変に
維持されるように構成する方法及び装置が用いられる。

【０００４】 このような公知の方法及び装置においては、燃焼室内で火炎によって放射され
る光が光ガイドによって燃焼室から出力結合（ａｕｓｋｏｐｐｅｌｔ）されて、
光／電圧変換器（フォトマルチプライヤ、フォトダイオード又はＣＣＤアレイ）
に供給される。この変換器において生じた電圧が、光の強度に比例し、ＡＤ変換
器によって、ＥＤＶ技術によってさらに処理可能なデジタルデータに変換される
。従ってこの方法及び装置は、電気的な補助電圧又は供給電圧若しくは外部光結
合（例えばレーザ光線による）を必要としない。

【０００５】 ドイツ連邦共和国特許公開第１９８３０２１３号明細書によれば、請求項１の
上位概念部に記載した形式の、内燃機関の点火プラグの形状の装置が公知である
。この公知の装置においては、本来の点火に従った火炎燃焼段階及び火炎の早期
の拡散段階を分析するために、点火プラグのケーシングの外周面に１群の光ガイ
ドを組み込むことが公知である。この装置によって、燃焼室の部分領域だけを覗
くことができ、エンジンの燃焼室内における火炎拡散の場所的に分解された観察
は、点火プラグに設けられた多数の収集孔が１群の光ガイドのうちのそれぞれ幾
つかだけが互いに結合された時に、限定的にのみ可能である。

【０００６】 これと同じことは、シリンダヘッドシールに組み込まれた光ガイドが設けられ
ていて、この光ガイドが燃焼室と評価ユニットとの間の結合を形成するようにな
っている装置が、ドイツ連邦共和国特許公開第１１９８２３５９４号明細書によ
り公知である。この場合、光ガイドは、透光性のシールエレメントを介して燃焼
室内に開口している。

【０００７】 本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置を改良して、燃焼室の熱的又は機械
的な状態に影響を与えることなしに、及び簡単な構造で、燃焼過程を場所的に分
解して観察することができるようにすることである。

【０００８】 この課題は、請求項１に記載した特徴によって解決された。

【０００９】 本発明の有利な構成及び実施態様は従属請求項に記載されている。

【００１０】 本発明による装置の構成によれば、簡単な構成で、燃焼室の熱的又は機械的な
状態に影響を与えることなしに、エンジンの燃焼室内の火炎の拡散を場所的に分
解して観察することが可能である。本発明による装置は、オットー機関において
もディーゼル機関においても使用することができる。

【００１１】 本発明の実施例が以下に図面を用いて詳しく説明されている。

【００１２】 図面中： 図１は、本発明による装置の実施例の測定区分の端部の平面図、 図２は、図１の線Ａに沿った断面図、 図３Ａは、光ガイド及び光侵入開口の配置を示す、図２に示したケーシングの
部分図、 図３Ｂは、図３Ａに対応する、変化実施例を示す図、 図３Ｃは、図３Ａに対応する、さらに別の変化実施例を示す図、 図４Ａは、光ガイドの実施例の燃焼室側の端部の斜視図、 図４Ｂは、図４Ａに示した光ガイドの側面図、 図４Ｃは、図４Ａに示した光ガイドの正面図、 図５は、点火プラグの形状の装置の実施例の端部の平面図、 図５Ａは、図５に示した実施例の、一部破断して示した部分断面図、 図５Ｂは、図５Ａの一部に対応する、変化実施例を示す図、 図６は、噴射ノズルの形状の装置の実施例の端部の平面図、 図６Ａは、図６に示した実施例の、一部破断して示した部分断面図、 図６Ｂは、図６Ａの一部に対応する、変化実施例を示す図、 図７は、図１乃至図６のいずれか１つに示した装置のための評価ユニットの実
施例である。

【００１３】 図１及び図２に概略的に示した装置の実施例は、例えば円筒形のケーシング又
はホルダ１を有しており、このホルダ１内に、多数の孔例えば９つの孔３が形成
されており、これらの孔３内にそれぞれ１つの光ガイド（Ｌｉｃｈｔｌｅｉｔｅ
ｒ）２が配置されていて、この光ガイド２の縦軸（長手方向軸）はケーシング１
の縦軸に対して平行に延びている。

【００１４】 残りの光ガイドによって冠状に取り囲まれている中央の光ガイド２の代わりに
、セクタ状に分解された発光と燃焼室圧とを同時に測定することを可能にするた
めに、圧力センサを組み込んでもよい（図示せず）。後述されているように、光
ガイドの冠は、点火プラグの中央電極又は噴射ノズル装置を包囲している。

【００１５】 円筒形のケーシング１は典型的には１０ｍｍ〜１２ｍｍの直径を有していて、
ねじによって、このために設けられたシリンダヘッドの孔内に組み込まれており
、この場合、図２の上端部には測定区分が形成されており、この測定区分は燃焼
室内に延びている。乗用車（Ｐｋｗ）用ディーゼルエンジンにおいては、孔は例
えばグロープラグ用孔として適している。

【００１６】 ケーシング１の孔３は、それぞれ１つの燃焼室側の端部区分３Ａを有しており
、この端部区分は、ケーシング１の縦軸線及びひいては光ガイドに対して所定の
角度を成して、測定区分の外側面を通って（図示していない）燃焼室内に延びて
いる。

【００１７】 図３Ａに示されているように、燃焼光は、孔の端部区分３Ａを通って光ガイド
２に入力結合される。

【００１８】 図３Ｂ及び図３Ｃに示されているように、孔３の端部区分３Ａ内には、有利な
形式で石英ガラス棒４の形状の別の光ガイドが挿入されている。この石英ガラス
棒は、孔３の端部区分３の汚れを阻止し、その燃焼室側の表面を容易に洗浄する
ことができる。この石英ガラス棒の燃焼室側の表面は、覗き角度９（図５及び図
６）を要求に合わせて調節するために、凸状又は凹状に研削されている。

【００１９】 図３Ｂでは、この石英ガラス棒４は、測定区分の外側面で終わっている。また
図３Ｃによれば、石英ガラス棒は、突き出して構成されていて、この突き出しは
、内燃機関のすべての運転時点において、レンズが、「自由燃焼」によって汚れ
が確実に取り除かれる温度に達するように寸法設計されている。これは、レンズ
が数ｎｍ（ナノメートル）の厚さだけを有していていて、それによって光学的に
透過性の触媒作用を有する層（例えばＰｌａｔｉｎ；基板）が被覆され、この層
は、レンズ表面において必要な「自由燃焼温度」を低下させるように配慮する。
突き出し部を有する石英ガラス棒４が組み込まれている場合には、側方からの光
の入射を阻止するために、石英ガラス棒の円筒形部分の非透光性のコーティング
が設けられる。

【００２０】 孔３の終端区分３Ａ若しくはこの終端区分３Ａ内に配置された石英ガラス棒４
を介して入射する燃焼光は、孔３内に組み込まれた光ガイド２に入力結合される
。この光ガイド２は同様に、終端区分３Ａ若しくは石英ガラス棒４の直径よりも
有利には大きい直径を有する石英ガラス棒である。

【００２１】 この石英ガラス棒２は、図４Ｂ及び図４Ｃによれば、その円筒形部分でやはり
非透光性のコーティング７を備えている。光を入力結合するために、石英ガラス
棒２の縦軸線に対して平行な窓６が研削形成されていて、光を偏光させるために
、後ろ側で鏡面仕上げされた斜めの面５が研削形成されている（Ｂ）。鏡面仕上
げされた面の角度は、終端区分３Ａの角度α（図３Ａ）に相応して寸法設計され
ている。

【００２２】 傾斜した面５の角度及び石英ガラス棒４のレンズ研削部は、ケーシング１内に
組み込まれたすべての光ガイド２，４によって燃焼室全体ができるだけ一様に見
ることができるように、寸法設計されている。

【００２３】 石英ガラス棒２から放射された光はケーシング１内でフレキシブルな光ガイド
２０に入力結合され（図２参照）、それによって、さらに処理するために燃焼室
から、図７に示した評価ユニットにガイドされる。

【００２４】 図７に示した評価ユニットにおいて、全光を測定するために、燃焼光が相応の
光／電圧変換器２１（フォトマルチプライヤ又はフォトダイオード）に供給され
、そこで光の強度に比例する電圧に変換される。電圧は増幅器２２（少なくとも
１００ｋＨｚの帯域幅を有する直流増幅器）で増幅され、チャンネル形式で（図
示していない）ＥＤＶ保護された測定データ処理装置に供給される。

【００２５】 有利には、光ガイド２０の光信号は光学式の光スプリッターで多数の分岐光に
分割されるので、光学フィルタ２６によって、燃焼過程のための特性を表す波長
（例えばＯＨの光線：３１０ｎｍ）が測定される。

【００２６】 オットー機関においては、図５、図５Ａ及び図５Ｂに示されているように、ケ
ーシング１点火プラグの外套によって形成されている場合には、特に有利な使用
が得られる。

【００２７】 相応の小型化において、光ガイドプラグによって公知の光ガイドを設けてもよ
いので、火炎燃焼段階の観察が可能である。

【００２８】 終端区分３Ａによって形成された光侵入孔の角度α及び石英ガラス棒のレンズ
研削部は、光ガイド２及び場合によっては４によって、燃焼室天井に位置する点
火プラグにおいても燃焼室全体を見ることができ、個別の光ガイドの覗き円錐形
が燃焼室縁部に直接接触するように、構成されている。

【００２９】 このような配置構成によって、火炎拡散の、場合によって生じる不均一性を、
発光（全光）のセクタ別の強度差を評価することによって、或いは１つ又は複数
の非連続的な波長を評価することによって、分析することができる。さらにまた
新鮮混合気の自己点火の局所的な発生（いわゆる「ノッキング」）を検出するこ
とも可能である。

【００３０】 直接噴射式のディーゼルエンジンにおいては、図６，図６Ａ及び図６Ｂに示さ
れているように、ケーシング１が噴射ノズルの一部を形成していれば、特に有利
に使用することができる。

【００３１】 孔３の終端区分３Ａ若しくはこの孔内に配置された石英ガラス棒４は、ノズル
孔１３から噴射される噴射流１４の方向に正確に位置するように位置決めされ、
しかも、その角度αに関連して、直接噴射式のディーゼルエンジンにおいて常に
存在するピストン凹部内に「見える」ように構成されている。

【００３２】 それによって、噴射流の均一性のセクタに分解された分析、及び実際に運転さ
れているエンジンにおける火炎の分析が可能である。

【００３３】 図５Ａ、図６Ａ若しくは図５Ｂ及び図６Ｂに示された実施例のうちの１つの実
施例と比較して判るように、終端区分３Ａの角度α若しくはその長さ又は、別の
光ガイド４の長さは、所望の観察範囲が得られるように寸法設計されている。

【００３４】 すべての実施例において、終端区分３Ａはケーシング１の外周部領域に開口し
ているが、所望の観察範囲を得るために、終端区分をケーシングの燃焼室側の端
面に開口させることも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による装置の実施例の測定区分の端部の平面図である。

【図２】 図１の線Ａに沿った断面図である。

【図３】 Ａは、光ガイド及び光侵入開口の配置を示す、図２に示したケーシングの部分
図、Ｂは、図３Ａに対応する、変化実施例を示す図、Ｃは、図３Ａに対応する、
さらに別の変化実施例を示す図である。

【図４】 Ａは、光ガイドの実施例の燃焼室側の端部の斜視図、Ｂは、図４Ａに示した光
ガイドの側面図、Ｃは、図４Ａに示した光ガイドの正面図、

【図５】 Ａは、図５に示した実施例の、一部破断して示した部分断面図、Ｂは、図５Ａ
の一部に対応する、変化実施例を示す図である。

【図６】 Ａは、図６に示した実施例の、一部破断して示した部分断面図、Ｂは、図６Ａ
の一部に対応する、変化実施例を示す図である。

【図７】 図１乃至図６のいずれか１つに示した装置のための評価ユニットの実施例を示
す概略図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2G065 AA04 AA18 AB05 AB18 BA09 BA18 BB02 BB11 BB14 BB26 BC03 BC13 DA06 2G087 AA13 BB11 CC17 CC38 DD01 EE11 EE24 FF18 【要約の続き】 ている。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関の燃焼室内で実行される燃焼過程を監視するための
   装置であって、燃焼室の壁部に組み込み可能なケーシング（１）を有しており、
   該ケーシング（１）が、組み込んだ状態で燃焼室に向かって延びる測定区分を有
   しており、該ケーシング（１）が、このケーシング（１）の縦軸線に沿って延び
   る多数の孔（３）を有しており、これらの孔（３）内にそれぞれ光ガイド（２）
   が配置されており、前記孔（３）の第１の端部（３）内に位置する、各光ガイド
   （２）の第１の端部が、燃焼室内から光を受光し、それぞれの光ガイドの第２の
   端部が光学式／電子式の評価装置に接続されている形式のものにおいて、 前記孔（８）が、燃焼室に隣接する区分（３Ａ）を有しており、該区分（３Ａ
   ）が、ケーシング（１）の縦軸線に対して角度（α）を成して、測定区分の外側
   面を通ってケーシング（１）から延びており、光ガイド（２）の第１の端部が、
   端部区分（３Ａ）の内側に位置する端部に向けられた光侵入開口（６）と、この
   光侵入開口（６）に向き合うミラー面（５）とを有していて、該ミラー面（５）
   が入射光線を光ガイド（２）の縦軸線の方向に偏光させることを特徴とする、内
   燃機関の燃焼室内で実行される燃焼過程を監視するための装置。
2. 【請求項２】 端部区分（３Ａ）に別の光ガイド（４）が配置されていて、
   この別の光ガイド（４）が、燃焼室内に向けられたレンズ状の端部と、第１の光
   ガイド（２）の光侵入開口（６）に位置する別の端部とを有している、請求項１
   記載の装置。
3. 【請求項３】 前記別の光ガイド（４）が、測定区分の外側面を越えて燃焼
   室内に突入し、この光ガイドの円筒形の外周面で非透光性のコーティングを備え
   ている、請求項２記載の装置。
4. 【請求項４】 光ガイド（４）の、燃焼室に向けられた区分又は燃焼室内に
   向けられた区分が、光学的に透過性の、触媒的に作用する層でコーティングされ
   ている、請求項２又は３記載の装置。
5. 【請求項５】 ケーシング（１）が点火プラグの外周面であって、縦方向に
   延びる孔（３）がケーシングの外周面に同心配置で配置されている、請求項１か
   ら４までのいずれか１項記載の装置。
6. 【請求項６】 光ガイド（２）の第１の端部が、その外周面で偏平部を有し
   ており、該偏平部が、ミラー面（５）に向き合って位置していて、光侵入開口（
   ６）を形成している、請求項１から５までのいずれか１項記載の装置。
7. 【請求項７】 端部区分（３Ａ）が、ケーシング（１）の外周面で終わって
   いる、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 端部区分（３Ａ）がケーシング（１）の端面で終わっている
   、請求項１から７までのいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 第１の光ガイド（２）及び／又は別の光ガイド（４）が、石
   英ガラス棒によって形成されており、該石英ガラス棒の外周面に非透光性のコー
   ティング（７）が施されている、請求項１から８までのいずれか１項記載の装置
   。
10. 【請求項１０】 第１の光ガイド（２）の第２の端部が、フレキシブルな光
    ガイド（２０）の端部に光学的に結合されていて、該光ガイド（２０）がケーシ
    ング（１）から延びていて、評価装置に接続されている、請求項１から９までの
    いずれか１項記載の装置。