JP2003507337A - チロシンキナーゼrafおよびrasを用いて脈管形成を調節するために有用な方法および組成物 - Google Patents

チロシンキナーゼrafおよびrasを用いて脈管形成を調節するために有用な方法および組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、Rafおよび/またはRasタンパク質、修飾RafまたはRasタンパク質、およびこうしたものをコードする核酸を用いて組織における脈管形成を調節するための方法を記載する。詳細には、本発明は、不活性Rafおよび/またはRasタンパク質、またはそれらをコードする核酸を用いて脈管形成を抑制するための方法、あるいは活性Rafおよび/またはRasタンパク質、またはそれらをコードする核酸を用いて脈管形成を増強するための方法を記載する。本発明は、RafまたはRasタンパク質あるいはそれらの修飾形をコードする核酸を提供するための遺伝子伝達系の使用も記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願に関する説明) 本出願は、2000年7月5日出願の米国仮特許出願番号60/215,95
1および1999年8月13日出願の米国仮特許出願番号60/148,924
に対する優先権を主張するものである。
【0002】 (技術分野) 本発明は、一般には医薬品の分野に関するものであり、詳細にはプロテインキ
ナーゼRafまたはRas、RafまたはRasの変異体を用い、Rafまたは
Rasを調節する試薬を用い、およびそれらをコードする核酸を用いて組織の脈
管形成を調節するための方法および組成物に関する。
【0003】 (発明の背景) 脈管形成は、組織への新しい血管の成長を含む組織血管新生の過程であり、新
生血管新生とも呼ばれる。この過程は、内皮細胞および平滑筋細胞の侵潤によっ
て媒介される。この過程は、血管が既存の血管から新芽形成し得る、血管の新た
な成長が前駆細胞から生じる(脈管形成)、または存在する小血管の直径が拡張
するという3つの方法のいずれかで進行すると考えられている。Bloodら、
Bioch.Biophys.Acta,1032:89−118(1990)
【0004】 脈管形成は、新生児成長における重要な課程であるが、創傷治癒においても、
また組織炎症、関節炎、腫瘍の成長、糖尿病性網膜症、網膜の新生血管形成によ
る黄斑変性、および同様の状態を含む多種多様な臨床的疾患の病因においても重
要である。脈管形成に関連するこれらの臨床的症状は、脈管形成性疾患と呼ばれ
る。Folkmanら、Science,235:442−447(1987)
。脈管形成は、創傷治癒および黄体成長周期において発生するが、一般に、成人
または成熟組織には存在しない。例えば、Mosesら、Science,24
8:1408−1410(1990)を参照のこと。
【0005】 脈管形成の抑制は腫瘍の成長を制限するために有用な治療法になるであろうと
いうことが提案されている。(1)βFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)など
の「脈管形成分子」の放出の抑制、(2)抗βFGF抗体の使用などによる脈管
形成分子の中和、(3)ビトロネクチン受容体αβの抑制因子の使用、およ
び(4)脈管形成促進(angiogenic stimuli)に対する内皮細胞の応答の阻害
による脈管形成の抑制が提案されている。この後者の戦略は注目されており、F
lokmanら、Cancer Biology,3:89−96(1992)
には、コラゲナーゼ抑制剤、基底膜交替阻害剤、脈管形成抑制ステロイド、真菌
由来脈管形成抑制剤、血小板第4因子、トロンボスポンジン、D−ペニシラミン
および金チオリンゴ酸などの関節炎薬、ビタミンD類似体、α−インターフェ
ロン、および脈管形成を抑制するために用いられる可能性があるこれらに類する
ものなどを含む幾つかの内皮細胞応答阻害剤が記載されている。提案されている
その他の脈管形成抑制剤については、Bloodら、Bioch.Biophy
s.Acta.,1032:89−118(1990)、Mosesら、Sci
ence,248:1408−1410(1990)、Ingberら、Lab
.Invest.59:44−51(1988)、および米国特許第5,092
,885号、第5,112,946号、第5,192,744号、第5,202
,352号、第5,753,230号および第5,766,591号を参照のこ
と。しかし、前述の参考文献に記載されている脈管形成抑制剤の中には、Raf
タンパク質を含むものはない。
【0006】 脈管形成が起るには、腫瘍細胞が侵入および転移形成中に用いるものと類似し
た方式で、内皮細胞がまず分解し、血管基底膜を交差しなければならない。
【0007】 脈管形成は、血管インテグリンと細胞外基質タンパク質との間の相互作用に依
存することが以前に報告されている。Brookら、Science,264:
569−571(1994)。さらに、脈管形成血管細胞の計画細胞死(アポト
ーシス)は、この相互作用によって開始され、これは、血管インテグリンαβ の一定の拮抗体によって阻害されるであろうということが報告されている。B
rookら、Cell,79:1157−1164(1994)。より最近では
、ビトロネクチン受容体(αβ)に対する基質メタロプロテイナーゼ−2(
MMP−2)の結合は、αβ拮抗体を用いて阻害することができ、その結果
、プロテイナーゼの酵素作用を抑制することができることが報告されている。B
rooksら、Cell,85:683−693(1996)。
【0008】 (発明の開示) 本発明は、脈管形成がプロテインキナーゼRaf(本明細書中において、一般
的に、Rafとも呼ぶ)の活性に依存する組織における脈管形成の調節を考える
ものである。
【0009】 疾病状態に関連する組織における脈管形成を調節するための組成物および方法
を考える。脈管形成調節量のRafタンパク質を含む組成物を脈管形成の調節に
応じる疾病状態について治療を受ける組織に投与する。Rafタンパク質を供給
する組成物は、精製タンパク質、生物活性タンパク質の断片、組換え生成Raf
タンパク質もしくはタンパク質の断片もしくは融合タンパク質、またはRafタ
ンパク質を発現するための遺伝子/核酸発現ベクターを含むことができる。
【0010】 Rafタンパク質が不活性化されるかまたは阻害される場合、その調節は、脈
管形成の抑制である。Rafタンパク質が活性であるかまたは活性化される場合
、その調節は、脈管形成の増強である。
【0011】 治療すべき組織は、脈管形成の調節が望ましいあらゆる組織であることができ
る。脈管形成抑制は、有害な新生血管形成を発生させる病んだ組織の治療に有用
である。こうした組織の例には、炎症組織、固形腫瘍、転移、最狭窄を被る組織
、およびこれらに類する組織が挙げられる。
【0012】 増強作用は、卒中、心筋梗塞後のまたは慢性潰瘍に関連するものなどの低酸素
組織を有する患者、糖尿病またはその他の状態のために異常、すなわち血行不良
がある虚血肢を有する患者の組織を治療するために有用である。治癒しない、従
って、血管細胞の増殖および新生血管形成の増大が有益であり得る慢性創傷の患
者も治療することができる。
【0013】 本明細書中に記載するような修飾アミノ酸配列を含むRafタンパク質の使用
が特に好ましい。Raf−caaxおよびその発現をコードする核酸構成体など
のRaf融合タンパク質を含む幾つかの特に有用な修飾Rafタンパク質を本明
細書中に記載する。これらは本発明の範囲内である。
【0014】 本発明は、核酸、Rafタンパク質をコードする核酸セグメントを有する核酸
、およびコドン375にリジンを除くいずれかのアミノ酸残基を有するRafタ
ンパク質を含むウイスル性または非ウイルス性遺伝子導入ベクター、および製薬
上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成の
抑制に適する医薬組成物も包含する。特に好ましい実施形態は、Raf K37
5Mと呼ばれている、以下の実施例に記載するRafタンパク質を用いる。もう
一つの不活性Raf構成体は、カルボキシ末端部分が欠失したRafタンパク質
をコードする核酸である。一つの好ましい実施形態では、不活性Rafタンパク
質であるRaf 1−305と呼ばれているRafタンパク質を用いる。
【0015】 キナーゼ活性を有するRafタンパク質をコードするセグメントを有する核酸
を含むウイルス性または非ウイルス性の遺伝子導入ベクターおよびそのための製
薬上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成
を促進すること(stimulating)に適する医薬組成物も考えられる。好ましい核
酸は、Raf−caaxである抑制性Raf融合タンパク質をコードする。もう
一つの抑制性Raf構成体は、タンパク質のアミノ末端部分が欠失したRafタ
ンパク質をコードする核酸を含有する。一つの好ましい実施形態は、Raf 3
06−648と呼ばれている、以下の実施例に記載するRafタンパク質を用い
る。
【0016】 本発明は、さらに、本明細書中に記載するように、Rafをシグナル化する役
割のために、本明細書中において、一般に、Rasとも呼ぶ小GTPアーゼRa
sによって組織における脈管形成を調節することをも意図している。Rasおよ
びRafの調節を併用して、組織における脈管形成を調節することも考えられる
。こうした複合調節は、タンパク質、または修飾タンパク質をコードする核酸の
複合製剤の脈管形成調節量を一回で投与する形態を取ることもできるし、または
個々の投薬量を別々に投与する形態を取ることもできる。
【0017】 調節がRasタンパク質によるRaf媒介脈管形成路に関係する場合、疾病状
態に関係する組織における脈管形成を調節するための組成物および方法を考える
。脈管形成調節量のRasタンパク質を含む組成物を脈管形成の調節に応答する
疾病状態について治療を受ける組織に投与する。Rasタンパク質を供給する組
成物は、精製タンパク質、生物活性Rasタンパク質の断片、組換え生成Ras
タンパク質もしくはタンパク質断片もしくは融合タンパク質、またはRasタン
パク質を発現するための遺伝子/核酸発現ベクターを含むことができる。
【0018】 Rasタンパク質が不活性化されるかまたは阻害される場合、その調節は、脈
管形成の抑制である。Rasタンパク質が活性であるかまたは活性化される場合
、その調節は、脈管形成の増強である。S17N RasまたはV12C40
Rasなどの優性陰性Rasタンパク質のために用いる医薬組成物および方法を
Raf系統のタンパク質に関するものと類似の方法で用いるために考える。本発
明のさらに進んだ側面において、G12V RasまたはV12S35Rasな
どの優性活性Rasタンパク質のために用いる医薬組成物および方法をRaf系
統のタンパク質に関するものに匹敵する用途のために考える。
【0019】 Rafタンパク質またはRafタンパク質を発現することができるヌクレオチ
ド配列、およびRasタンパク質またはRasタンパク質を発現することができ
るヌクレオチド配列を含む脈管形成調節量の医薬組成物を投与することを含む、
疾病状態に関連する組織における脈管形成を調節するための方法をさらに考える
。こうした方法において、所望の調節が脈管形成の抑制である場合は、Rafま
たはRasの一方または両方が不活性である。所望の調節が脈管形成の促進であ
る場合は、RafまたはRasの一方または両方が活性である。
【0020】 (図面の簡単な説明) 本開示のタンパク質を形成構成する図において: 図1A〜1Dは、エコトロピックパッケージングされたレトロウイルスがマウ
ス細胞にのみを感染させることを示すものである。エコトロピックパッケージン
グ細胞は、β−ガラクトシダーゼ(β−Gal)遺伝子をコードするレトロウイ
ルス構成体でトランスフェクションし、24時間後に上澄み液を回収した。ウイ
ルスを含有する上澄み液をマウス由来線維芽細胞(図1A)、マウス由来内皮細
胞(図1B)ヒト上皮腺癌細胞(図1C)、またはヒト黒色腫細胞(図1D)の
いずれかの上に24時間定置し、標準法を用いてβ−Gal活性を視覚化した。
【0021】 図2は、マウス内皮細胞株において、βFGF誘導Raf活性の増大が、Ra
f K375Mでの事前の感染によってブロックされることを示すものである。
エコトロピックパッケージング細胞を、欠損Rafキナーゼ遺伝子をコードする
レトロウイルス構成体でトランスフェクションし、24時間後に上澄み液を回収
した。ウイルスを含有する上澄み液をマウス内皮細胞上に24時間定置した。そ
の後、細胞をβFGFで5分間処理して、溶解した。Rafキナーゼ活性は、放
射活性標識32Pを有するMEK基質をホスホリル化する免疫沈降Rafキナー
ゼの能力によって定量した。反応混合物は、SDS PAGEによって分別し、
走査濃度計測を用いて定量した。
【0022】 図3A〜3Bは、マウス皮下脈管形成モデルにおいて、変異不活性Raf K
375Mが、βGFG誘発脈管形成をブロックすることを示すものである。脈管
形成は、Raf K375Mを発現するレトロウイルス発現パッケージング細胞
を伴う、または伴わない400ng/mLのβFGFを含有する250uLの氷
冷成長因子誘導マトリゲルをマウス側腹部に皮下注射することによって誘発した
。5日後、内皮特異的FITC接合Bandeiriea Simplific
a B5レクチンを尾静脈経由で注射し、30分間循環させて、取り外した。そ
の後、脈管形成組織を除去し、抽出して、蛍光含量について分析することによっ
て、脈管形成を定量した(図3A)。新生血管形成は、光学切片法によって確認
した(図3B)。
【0023】 図4A〜4Bは、変異活性Rafが、マウス皮下脈管形成モデルにおける脈管
形成を促進することを示すものである。脈管形成は、GFP対照またはアミノ末
端欠失Rafキナーゼ(Raf306〜648)を発現するレトロウイルス発現
パッケージング細胞を含有する250uLの氷冷成長因子誘導マトリゲルをマウ
ス側腹部に皮下注射することによって誘発した。5日後、脈管形成組織を除去し
、抽出して、蛍光含量について分析することによって、脈管形成を定量した(図
4A)。新生血管形成は、切片法およびメイソンのトリクロームを用いる染色法
によって確認した(図4B)。
【0024】 図5A〜5Dは、腫瘍へのRaf K375Mキナーゼのレトロウイルス伝達
が、内皮特異的な方式でアポトーシスを誘発することを示すものである。ヒトの
腫瘍を無胸腺wehi(ν/ν)マウスの側腹部に皮下注射して、移植した。腫
瘍が100mmに達した時、10pfuのエコトロピックパッケージングさ
れたRaf K375Mを含有する培養上澄み液を腫瘍内に注射した。48時間
後、腫瘍を回収し、切り出して、免疫組織化学法を実施した。内皮細胞は、vW
F発現によって同定し(図5A)、一方、フラッグタグマーカーを用いて、Ra
f K375Mキナーゼ遺伝子に感染した細胞を示した(図5B)。これらの各
マーカーは、アポトーシス細胞を示すTUNELマーカーと共に局在するように
見える。(図5Cおよび5D)。
【0025】 図6A〜6Bは、Raf K375キナーゼ遺伝子の内皮伝達が、腫瘍の成長
を抑制し、腫瘍の退縮を促進することを示すものである。ヒトの腫瘍を無胸腺w
ehi(ν/ν)マウスの側腹部に皮下注射して、100mmに成長させた。
この時点で、腫瘍隣接部にRaf K375Mキナーゼを発現するパッケージン
グ細胞の単独注射を行うか、またはウイルス上澄み液の一連の腫瘍内注射を開始
した。この戦略によって、対照GFP遺伝子の注射では見られなかった腫瘍の急
速な退縮が生じた(図6A)。この退縮は、急速に発生し、実験の間中維持され
た(図6B)。
【0026】 図7は、イントロンが欠失下完全コード配列であるヒトc−Rafをコードす
るcDNA配列を示すものである。この配列は、遺伝子バンク受入番号X034
84(GI=35841、HSRAFR)によって入手できる(配列番号1)。
【0027】 図8は、図7に示した核酸配列の中で示されるヒトc−Rafのコード配列に
関するコードされた翻訳アミノ酸残基配列を示すものである(配列番号2)。
【0028】 図9は、脈管形成が、Ras−Raf−MEK−ERK経路の活性化依存する
ことを示すものである。Ras活性は、Rasプルダウン検定法によって測定さ
れるようにβFGFに暴露したニワトリ絨耗尿膜(CAM)溶解物中で高めた。
日齢10日のニワトリ胚からのCAMを、PBSか30ナノグラム(ng)のβ
FGFのいずれかで飽和したフィルターディスクを用いて局所的に刺激した。5
分後、CAM組織の一部を切除し、溶解緩衝液中で均一化した後、RafのRa
s結合ドメインをコードするGST融合ペプチドにより沈降される容積によって
、Ras活性を決定した。活性RasのみがRafに結合するため、グルタチオ
ン−S−トランスフェラーゼ(GST)に接合するRafのRas結合ドメイン
から成る組換えタンパク質が発生した。次に、組織溶解物から活性Rasを沈降
させることができるセファロースビーズにGSTを接合させた。
【0029】 図10は、野生型ヒトRas(H−Rasを含まない)のcDNAコードドメ
インのヌクレオチド配列を示すものである(配列番号3)。c−Ha−Ras1
始原腫瘍遺伝子についての完全コード配列は、遺伝子バンク(GI=19089
0、HUMRASH)を通して入手できる(配列番号5)。
【0030】 図11は、図10に示した野生型ヒトRas(H−Rasを含まない)のdD
NAヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸残基配列を示す(配列番号
4)。
【0031】 図12は、変異ヌルRasでの感染が、CAMにおける成長因子誘発性脈管形
成をブロックしたことを示すものである。変異ヌルRas、S17N Ras(
位置17のSerがAsnに置換されている野生型H−Ras)をコードする1
5マイクロリットル(uL)の高力価ニワトリ肉腫レトロウイルス、RCAS(
A)を、図9に記載したように、βFGFで刺激されるようCAM上のフィルタ
ーディスクに局所的に塗付した。脈管形成は、72時間後、血管分枝点をカウン
トすることによって評価した。
【0032】 図13Aおよび13Bは、Ras−Raf−MEK−ERK経路を選択的に活
性化する変異Ras構成体、Ras V12S35での感染は、脈管形成を誘発
し、これに対してPI3K経路を選択的に活性化する変異構成体、Ras V1
2C40は、脈管形成を誘発しないことを、略図およびグラフでそれぞれ示すも
のである。Ras構成体、Ras V12S35を活性化するRaf−MEK−
ERK、またはRas構成体、Ras V12C40を活性化するPI3キナー
ゼをコードする15uLの高力価RCAS(A)ウイルスをフィルターディスク
に局所的に塗付し、結果を図12において説明したように評価した。
【0033】 図14は、ヒトRaf(H−Rafを含まない)のカルボキシ末端をコードす
るヌクレオチド配列が、K−Ras膜局在化ドメインの20のアミノ酸残基配列
をコードするヌクレオチド配列と融合する、融合タンパク質Raf−caaxを
コードするヌクレオチド配列を示すものである(配列番号6)。
【0034】 図15は、Raf−caax、図14に示した融合ヌクレオチド配列から発生
する融合タンパク質のアミノ酸残基配列を示すものである(配列番号7)。
【0035】 図16A〜16Eおよび図16Fは、MEK阻害剤、PD98059が、変異
活性RasまたはRafのいずれかによって誘発された脈管形成をブロックする
ことを、写真およびグラフでそれぞれ示すものである。活性Ras構成体、Ra
s V12(G12Vとも呼ばれる)、および活性化Raf構成体、Raf−c
aaxをコードするウイルスを、図12において説明したように、フィルターデ
ィスクに局所的に塗付した。24時間後、一(1)ナノモルのMEK阻害剤、P
D98059をディスクに添加した。その後、図12において説明したように、
CAMを評価した。プロットしたデータは、20の胚の平均±SEである。
【0036】 図17A〜17Fおよび17Gは、それぞれ、RasではなくRafによって
誘発される脈管形成がインテグリンのブロックによる抑制に対して無反応である
ことを写真およびグラフで示すものである。変異活性RasおよびRaf構成体
の両方による感染によって顕著な脈管形成が誘発されるが、Rasによって誘発
される脈管形成のみがαβインテグリンブロック抗体によって抑制された。
日齢10日のニワトリ胚からのCAMはPBS(対照)、βFGF、RCAS(
A)レトロウイスル構成体G12V−RasまたはRaf−caaxのいずれか
で飽和したフィルターディスクを用いて、図9および12において説明したよう
に刺激した。LM609、インテグリンαβに対するモノクローナル抗体を
24時間後に静脈内伝達し、72時間後、血管分枝点の分析によって脈管形成を
評価した。代表的なCAMを挿入写真で示す。データは、20の胚の平均±SE
である。
【0037】 図18A〜18Dおよび18Eは、それぞれ、CAMの変異ヌルフォーカス癒
着キナーゼ、FRNKとの共感染によって、Rasはブロックされたが、Raf
誘発性脈管形成はブロックされなかったことを写真およびグラフで示すものであ
る。Ras V12またはRaf−caaxをコードするRCAS(A)ウイル
スは、FAK関連ヌルキナーゼ(FRNK)をコードするRCAS(B)ウイル
スと共に、図12において説明したようにCAMフィルターディスクに局所的に
塗付した。データは、20の胚の平均±SEである。
【0038】 図19Aおよび図19B〜19Gは、それぞれ、FRNKが、マウス皮下脈管
形成モデルにおいてβFGFおよびRas(Rafではない)誘発性脈管形成を
ブロックしたことをグラフおよび写真で示すものである。脈管形成は、400n
g/mLのβFGFかまたは記載の遺伝子を発現するモロニーレトロウイルス発
現パッケージング細胞のいずれかを含有する250uLの氷冷成長因子誘導マト
リゲルをマウスの側腹部に皮下注射することによって誘発した。FRNKレトロ
ウイルスは、vsv.g被覆タンパク質を用いてパッケージングされた高力価ウ
イルスとしてマトリゲルに添加した。5日後、内皮特異的FITC接合Band
eiriea Simplifica B5レクチンを尾静脈経由で注射し、循
環させた。その後、脈管形成組織を除去し、抽出して、蛍光含量について分析す
ることによって、脈管形成を定量した。
【0039】 図20Aおよび20Bは、CAMと、変異ヌルフォーカス癒着キナーゼ、FR
NKとの共感染によって、RafのRas誘導活性化がブロックされたことを示
すものである。24時間後に脈管形成組織の一部を切除して、可溶化し、Raf
を免疫沈降させて、キナーゼ死MEKをポスポリル化する能力によってRaf活
性を評価したこと以外は、図18において説明したようにCAMを処理した。図
20Aは、結果の上の組合せのもとで評価した全Rafタンパク質に対する免疫
沈降活性を示すものである。図20Bは、これらの条件のもとでの活性Raf測
定の結果をグラフで表すものである。
【0040】 (発明の詳細な説明) A.定義 アミノ酸残基:ポリペプチドのそのペプチド結合部における化学的消化(加水
分解)によって生じたアミノ酸。本明細書中に記載するアミノ酸残基は、好まし
くは「L」異性体である。しかし、望ましい機能特性がポリペプチドによって保
持される限り、「D」異性体の残基を一切のL−アミノ酸残基に代えて用いるこ
とができる。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を指
す。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基を
指す。標準ポリペプチド命名法(J.Biol.Chem.,243:3552
−59(1969)に記載、37CFR§1.822(b)(2)に採用)に準
拠。
【0041】 本明細書中では、すべてのアミノ酸残基配列が左右の配向がアミノ末端のカル
ボキシ末端への通常の方向である式によって表されることにご留意いただきたい
。さらに、アミノ酸前記配列の始めまたは終わりのダッシュは、一つ以上のアミ
ノ酸残基のさらなる配列へのペプチド結合を示すことにご留意いただきたい。
【0042】 ポリペプチド:近接アミノ酸残基のα−アミノ基とカルボキシ基の間のペプチ
ドによって互いに結合したアミノ酸残基の線状配列を指す。
【0043】 ペプチド:本明細書中で用いる時、ポリペプチドの場合のように互いに結合し
た約50個以下のアミノ酸残基の線状配列を指す。
【0044】 環状ペプチド:典型的なペプチドの場合のように幾つかのアミド結合を含むヘ
テロ原子環構造を有する化合物を指す。環状ペプチドは、線状ペプチドのn−末
端が線状ペプチドの末端カルボキシレートとアミド結合を形成した「頭−尾」環
化線状ポリペプチドであることもできるし、あるいはポリマーが、ホモデティッ
クまたはヘテロデティックであり、環を閉じるためにアミド結合、および/また
はジスルフィドブリッジ、チオエステル、チオアミド、グアニジノ、およびこれ
らに類する結合などのその他の結合を含む環状構造を含むこともできる。
【0045】 タンパク質:ポリペプチドの場合のように互いに結合した50個より多いアミ
ノ酸残基の線状配列を指す。
【0046】 融合タンパク質:典型的なペプチド結合によって機能するように連結された(
「融合した」)少なくとも二つの異なるポリペプチドドメインを含むポリペプチ
ドを指し、この場合、二つのドメインは、自然界では融合が見られないペプチド
に該当する。
【0047】 合成ペプチド:自然発生タンパク質およびそれらの断片を含まないペプチド結
合によって互いに連結したアミノ酸残基の化学生成鎖を指す。
【0048】 B.一般的考察 本発明は、一般に、脈管形成がプロテインキナーゼRafタンパク質によって
媒介されるという発見、および脈管形成を増強するためまたは抑制するために、
それぞれ、活性または不活性Rafタンパク質のいずれかを供給することによっ
て、脈管形成を調節することができるという発見に関する。本発明は、Rasタ
ンパク質がRafに作用し、その結果、脈管形成を調節することができるという
発見にも関する。
【0049】 この発見は、脈管形成、新しい血管の形成が多様な疾病過程において果たす役
割のため、重要である。他方で、疾病状態に関連する組織が組織増殖のために脈
管形成を必要とする場合には、脈管形成を抑制し、それによって病んだ組織の増
殖を抑制することが望ましい。傷ついた組織が組織の増殖および治癒のために脈
管形成を必要とする場合には、脈管形成を増強または促進し、それによって組織
の治癒および増殖を促進することが望ましい。
【0050】 新しい血管の成長が病んだ組織に関連する病理学の原因である場合、またはそ
れに寄与する場合には、脈管形成の抑制によって疾病の有害作用が低減されるで
あろう。脈管形成を抑制することによって、人が疾病に介在し、症状を改善して
、場合によっては疾病を治癒することができる。
【0051】 脈管形成の抑制的調節の恩恵を受けるであろう疾病および新生血管形成に関連
する組織の例には、癌、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症などの眼病、炎症性
疾患、再狭窄、およびこれに類するものが挙げられる。有害組織の増殖を持続さ
せるために新しい血管の成長が必要とされる場合には、脈管形成の抑制によって
組織に対する血液の供給を低下させ、その結果、血液供給必要量に基づく組織質
量の低下に寄与する。特に好ましい例には、腫瘍が厚さ数ミリメートルを越えて
成長するために、および固形腫瘍転移の定着のために新生血管形成を継続的に要
する腫瘍の成長が挙げられる。
【0052】 新しい血管の成長が組織の治癒に寄与する場合には、脈管形成の増強が治癒を
助長する。こうした例には、異常、すなわち、糖尿病またはその他の疾病状態の
結果として血行不良がある虚血肢の患者の治療が挙げられる。治癒しない、従っ
て血管細胞増殖および新生血管形成の増大の恩恵を受ける可能性がある慢性創傷
の患者も考えられる。
【0053】 本発明の方法は、治療が脈管形成に対して非常に選択的であり、他の生物学的
過程に対してはそうではないため、一部に有効である。
【0054】 前に説明したように、脈管形成には、「新芽形成」を含む組織の新生血管形成
、脈管形成、または血管拡大を含む多様な過程が含まれ、これらの脈管形成過程
のすべてが、Rafタンパク質のみまたはRasタンパク質との両方による影響
を受ける。外傷性創傷治癒、黄体形成および胚形成を除いて、大部分の脈管形成
過程は、疾病過程に関係し、従って、本治療法の使用は、疾病に対して選択的で
あり、有害な副作用を有さないと考えられる。
【0055】 C.Rafタンパク質 本発明に用いるプロテインキナーゼRafタンパク質は、使用目的に依存して
変化し得る。用語「Rafタンパク質」または「Raf」は、活性または不活性
いずれかの形態の多様な形態のプロテインキナーゼRafタンパク質を集合的に
指すために用いる。
【0056】 「活性Rafタンパク質」は、脈管形成を増強、促進、活性化、誘発または増
大させる多様な形態のあらゆるRafタンパク質を指す。脈管形成の増強を測定
するための検定物質を本明細書中に記載するが、これを制限と解釈しないでいた
だきたい。脈管形成レベルが、Rafを検定系に添加していない対照のレベルよ
り少なくとも10%大きい、好ましくは25%大きい、さらに好ましくは50%
大きい場合、タンパク質は、活性とみなす。増強を測定するための好ましい検定
物質は、MEK基質が32Pでホスホリル化される実施例に記載するようなイン
ビトロRafキナーゼである。例となる活性Rafタンパク質は、実施例に記載
する。
【0057】 「不活性Rafタンパク質」は、脈管形成を抑制、低下、阻害または制限する
多様な形態のあらゆるRafタンパク質を指す。脈管形成の抑制を測定する検定
物質を本明細書中に記載するが、これを制限と解釈しないでいただきたい。脈管
形成レベルが、外因性Rafを検定系に添加していない対照のレベルより少なく
とも10%低い、好ましくは25%低い、さらに好ましくは50%低い場合、タ
ンパク質は、不活性とみなす。抑制を測定するための好ましい検定物質は、ME
K基質が32Pでホスホリル化される実施例に記載するようなインビトロRaf
キナーゼである。例となる不活性Rafタンパク質は、実施例に記載する。
【0058】 本発明に有用なRafタンパク質は、組織を含む天然源からの単離、組換えD
NA発現および精製による生産、およびこれらに類するものを含むあらゆる多様
な方法で生成することができる。Rafタンパク質は、対象となる組織に遺伝子
治療系を導入し、その後、組織内でタンパク質を発現させることによって、「イ
ンシトゥ」で生じることもできる。
【0059】 Rafタンパク質をコードする遺伝子は、当該技術分野において既知の多様な
方法によって調製することができ、本発明は、この点に関して制限するものとみ
なさないでいただきたい。例えば、天然由来のRafは、哺乳動物、鳥、ウイル
ス、およびこれらに類する種からの多様な同族体を含むことがよく知られており
、遺伝子は、タンパク質を発現するあらゆる組織からcDNAクローニング法を
用いて容易にクローニングすることができる。本発明に用いるために好ましいR
afは、c−Rafと呼ばれている哺乳動物または鳥の同族体などの細胞タンパ
ク質である。ヒトc−Rafが特に好ましい。本発明のさらに好ましいRafタ
ンパク質は、構造上活性であるが、Ras媒介活性化に依存しないRafの融合
タンパク質である。こうしたRafタンパク質は、融合タンパク質であり得る。
好ましいRas非依存性Rafタンパク質は、Raf−caaxであり、これは
、実施例においてさらに説明するようなK−Ras膜局在化ドメインと野生型R
afのカルボキシ末端融合タンパク質である。
【0060】 D.Rasタンパク質 本発明に用いるためのRas系統GTPアーゼは、使用目的に依存して変化し
得る。用語「Rasタンパク質」または「Ras」は、活性または不活性いずれ
かの形態の多様な形態のRasタンパク質を集合的に指すために本明細書中では
用いる。
【0061】 「活性Rasタンパク質」は、脈管形成を増強、促進、活性化、誘発または増
大させる多様な形態のあらゆるRasタンパク質を指す。Rasによる脈管形成
の増強を測定するための検定物質を本明細書中に記載するが、これを制限と解釈
しないでいただきたい。脈管形成レベルが、Rasを検定系に添加していない対
照のレベルより少なくとも10%大きい、好ましくは25%大きい、さらに好ま
しくは50%大きい場合、タンパク質は、活性とみなす。例となる活性Rasタ
ンパク質は、V12とも呼ばれるRas G12V、およびRas V12S3
5であり、これら両方は、実施例でさらに説明する。
【0062】 「不活性Rasタンパク質」は、脈管形成を抑制、阻害、遅延または停止させ
る多様な形態のあらゆるRasタンパク質を指す。脈管形成の抑制を測定する検
定物質を本明細書中に記載するが、これを制限と解釈しないでいただきたい。脈
管形成レベルが、外因性Rasを検定系に添加していない対照のレベルより少な
くとも10%低い、好ましくは25%低い、さらに好ましくは50%低い場合、
タンパク質は、不活性とみなす。例となる不活性Rasタンパク質には、Ras S17N(または時としてN17)と呼ばれるヌル変異Ras、およびV12
C40が挙げられ、これら両方は、実施例においてさらに説明する。
【0063】 本発明に有用なRasタンパク質は、組織を含む天然源からの単離、組換えD
NA発現および精製による生産、およびこれらに類するものを含むあらゆる多様
な方法で生成することができる。Rasタンパク質は、対象となる組織に遺伝子
治療系を導入し、その後、組織内でタンパク質を発現させることによって、「イ
ンシトゥ」で生じることもできる。
【0064】 Rasタンパク質をコードする遺伝子は、当該技術分野において既知の多様な
方法によって調製することができる。本発明は、この点に関して制限するものと
みなさないでいただきたい。例えば、天然由来のRasは、哺乳動物、鳥、ウイ
ルス、およびこれらに類する種からの多様な同族体を含むことがよく知られてお
り、遺伝子は、タンパク質を発現するあらゆる組織からcDNAクローニング法
を用いて容易にクローニングすることができる。
【0065】 集合形のRasタンパク質は、Rafタンパク質について本明細書中で説明す
る同じ多様な実施形態において用いることができることは、本発明の教示からお
わかりいただけよう。従って、Rasタンパク質を用いるための詳細は、繰り返
さない。例えば、Rasは、脈管形成を調節するために活性形態で存在すること
もあるし、または不活性形態で存在することもあり、あるいは、Rasは、ベク
ター伝達系の使用によるRasタンパク質生成物の核酸発現によって、および多
様な医薬品(治療用)組成物形態で、および本発明を実施するための製品形態で
供給されることもある。列挙したRaf系試薬の代わりにRas系試薬を用いて
脈管形成を調節する方法も考えられる。
【0066】 E.RafまたはRasタンパク質を発現するための組換えDNA分子および
発現系 本発明は、本発明において特に使用する幾つかのヌクレオチド配列を記載する
。これらは、本発明に有用なRafまたはRasタンパク質をコードする核酸配
列、ならびに多様なDNAセグメント、組換えDNA(rDNA)分子、および
Rafおよび/またはRasタンパク質の発現のために構成されるベクターを定
義する。
【0067】 従って、本発明のDNA分子(セグメント)は、全構造遺伝子、構造遺伝子の
断片、および本明細書中でさらに説明するような転写単位をコードする配列を含
むことができる。
【0068】 好ましいDNAセグメントは、本明細書中で定義するようなRafタンパク質
をコードするヌクレオチド配列、またはその生物活性断片である。
【0069】 もう一つの好ましいDNAセグメントは、本明細書中で定義するようなRas
タンパク質をコードするヌクレオチド配列、またはその生物活性断片である。生
物活性に関しては、発現されたタンパク質が、配位結合などの細胞中で見られる
無傷タンパク質の生物活性、または活性形態の場合には酵素活性の少なくとも一
部を有するであろうことを意味する。
【0070】 好ましいc−Rafおよびh−Rasのアミノ酸残基配列およびヌクレオチド
配列は、実施例において説明する。
【0071】 好ましいDNAセグメントは、本明細書中に記載するRafまたはRasタン
パク質に対応するアミノ酸残基配列またはそれらの部分と実質的に同じであり、
好ましくは本質的にそれらから成るアミノ酸残基配列をコードする。代表的なお
よび好ましいDNAセグメントは、実施例においてさらに説明する。
【0072】 タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸残基配列は、遺伝子コードによって
、タンパク質をコードする構造遺伝子のデオキシリボ核酸(DNA)配列に直接
関係づけられる。従って、構造遺伝子またはDNAセグメントは、それがコード
するアミノ酸残基配列、すなわち、タンパク質またはポリペプチドによって定義
することができる。
【0073】 遺伝子コードの重要、且つ、よく知られている特徴は、その重剰性である。す
なわち、タンパク質を作るために用いられる大部分のアミノ酸では、一つより多
いヌクレオチド暗号トリプレット(コドン)によって、特定のアミノ酸残基をコ
ードまたは指定することができる。従って、多数の異なるヌクレオチド配列によ
って、アミノ酸残基配列をコードすることができる。こうしたヌクレオチド配列
は、すべての生物において結果的に同じアミノ酸残基配列を生じることができる
ため、機能的に同等である。時として、プリンまたはピリミジンのメチル化変異
体が所定のヌクレオチド配列に組み込まれることがある。しかし、こうしたメチ
ル化は、いずれにせよコード関係には影響を及ぼさない。
【0074】 核酸は、ポリリボヌクレオチドにせよ、ポリデオキシリボヌクレオチドにせよ
、すなわち、RNAにせよ、DNAにせよ、あるいはそれらの類似体であるにせ
よ、なんらかのポリヌクレオチドまたは核酸断片である。一定の分子生物学的方
法には1本鎖のDNAまたはRNAが好ましいが、好ましい実施形態において、
核酸分子は、二重鎖のDNAのセグメント、すなわちDNAセグメントの形態で
ある。
【0075】 DNAセグメントは、化学合成法および組換えアプローチを含む多数の手段に
よって、好ましくはクローニングまたは複製連鎖反応(PCR)によって生産さ
れる。RafまたはRasタンパク質のすべてまたは一部のみをコードするDN
Aセグメントは、化学技術、例えば、Matteucciら、J.Am.Che
m.Soc.,103:3185−3191(1981)のホスホトリエステル
法によって、または自動合成法を用いることによって容易に合成することができ
る。加えて、より大きなDNAセグメントは、DNAセグメントを規定するオリ
ゴヌクレオチド群を合成し、続いてハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドをラ
イゲーションして、完全なセグメントを造るなど、よく知られた方法によって容
易に調製することができる。別法には、RafまたはRasタンパク質をコード
する膜を包含すると考えられるcDNAライブラリーに基づき用いられる一対の
オリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRによる好ましいDNAセグメント
の単離が挙げられる。
【0076】 勿論、化学合成により、天然アミノ酸残基配列をコードする塩基の代わりに適
する塩基を用いることによって、あらゆる望ましい修飾を簡単に行うことができ
る。この方法はよく知られており、本明細書中に記載する多様な、異なる、「修
飾された」RafまたはRasタンパク質の生成に容易に適用することができる
【0077】 さらに、RafまたはRasタンパク質をコードする構造遺伝子から本質的に
成るDNAセグメントは、その後、特定部位のまたはランダムな突然変異誘発な
どによって修飾して、あらゆる望ましい置換を導入することができる。Rafま
たはRasタンパク質の多様な対立型およびRafまたはRasタンパク質をコ
ードする遺伝子も本発明における使用に適するものと考えられる。
【0078】 1.RafまたはRas遺伝子のクローニング 本発明のRafまたはRas遺伝子は、多様な生化学的方法によって、適する
ゲノムDNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)源からクローニングする
ことができる。これらの遺伝子のクローニングは、実施例に記載する、また当該
技術分野において既知の一般法によって行うことができる。
【0079】 本発明の方法における使用に適するRafまたはRas遺伝子をクローニング
するための核酸源には、これらのタンパク質を発現すると考えられる組織からの
ゲノムDNAまたはcDNAライブラリーの形態でのメッセンジャーRNA(m
RNA)を挙げることができる。好ましい組織は、ヒト肺組織であるが、その他
一切の適する組織を用いることができる。
【0080】 好ましいクローニング法には、標準法を用いたcDNAライブラリーの作成、
および本明細書中に記載するヌクレオチド配列に基づく対になったオリゴヌクレ
オチドプライマーを用いたPCR増幅によるRafコードまたはRasコードヌ
クレオチド配列の単離が含まれる。あるいは、本明細書中に記載する核酸配列に
基づくハイブリダイゼイションプローブを用いる通常の核酸ハイブリダイゼイシ
ョン法によって、所望のcDNAクローンをcDNAまたはゲノムライブラリー
から特定し、単離することができる。適するRafコードまたはRasコード核
酸を単離およびクローニングするその他の方法は、当業者には容易に明らかとな
るものである。
【0081】 2.発現ベクター 本発明は、本明細書中に記載するRafおよび/またはRasタンパク質をコ
ードするDNAセグメントを含む組換えDNA分子(rDNA)を考える。発現
可能なrDNAは、本発明のRafまたはRasコードDNAセグメントにベク
ターを機能するように(フレーム内で、発現可能に)連結させることによって、
生産することができる。RafコードおよびRasコード核酸が存在し、それ自
体にまたは別のプロモータに機能するように連結された複合発現が構築されるこ
とが想像される。このように、組換えDNA分子は、自然界では通常ともに見ら
れないヌクレオチド配列の少なくとも二つの核酸(すなわち、遺伝子およびベク
ター)を含むハイブリッドDNA分子である。
【0082】 本発明のDNAセグメントが機能するように連結されるベクターの選択は、当
該技術分野においてよく知られているように、直接的には、所望の機能的特性、
例えばタンパク質発現、および形質転換すべき宿主細胞に依存する。組換えDN
A分子を構築する技術分野における典型的な考え。本発明が考慮するベクターは
、それが機能するように連結されるベクターDNAセグメントに含まれる構造遺
伝子の複製、好ましくは発現も命じることが少なくともできる。
【0083】 原核および真核発現ベクターは、ベクター構築の技術分野における通常の技術
者にはよく知られており、AusebelらによってCurrent Prot
ocols in Molicular Biology,Wiley and Sons,New York(1993)に、およびSambrookらによ
ってMolecular Cloning:A laboratory Man
ual,Cold Spring Harbaor Laboratory(1
989)に記載されている。これらの文献は、本明細書中で言及する一般組換え
DNA法の多くも記載している。
【0084】 一つの実施形態において、本発明が考慮するベクターには、原核レプリコン、
すなわち、それで形質転換された細菌宿主細胞などの原核宿主細胞の染色体外に
おいて組換えDNA分子を直接自律複製し、維持する能力を有するDNAが含ま
れる。こうしたレプリコンは、当該技術分野においてよく知られている。加えて
、原核レプリコンを含むこうした実施形態は、その発現がそれで形質転換された
細菌宿主に耐薬物性を付与する遺伝子も含む。典型的な細菌耐薬物性遺伝子は、
アンピシリンまたはテトラサイクリンに耐性を付与するものである。
【0085】 原核レプリコンを含むこうしたベクターは、それらによって形質転換された大
腸菌(E.coli)などの細菌宿主細胞において構造遺伝子の発現(転写およ
び翻訳)を命じることができる原核プロモータも含むことができる。プロモータ
は、RNAポリメラーゼの結合を可能ならしめ、転写を生じさせるDNA配列に
よって形成された発現調節要素である。プロモータまたはその他のこうした調節
性核酸配列は、所望の発現調節および/または作用に依存して誘導または構成す
ることができる。細菌宿主に適合するプロモータ配列は、典型的に、本発明のD
NAセグメントを挿入するために都合が良い制限部位を含むプラスミドベクター
に供給される。こうしたベクタープラスミドの典型は、Biorad Labo
ratories(カルフォルニア州、リッチモンド)から入手できるpUC8
、pUC9、pBR322およびpBR329、Invitrogen(カルフ
ォルニア州、サンディエゴ)から入手できるpRSET、およびPhamaci
a(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)から入手できるpKK223である
【0086】 真核細胞に適合する発現ベクター、好ましくは脊椎動物細胞に適合するものも
本発明の組換えDNA分子を形成するために用いることができる。真核細胞発現
ベクターは、当該技術分野においてよく知られており、幾つかの市場供給源から
入手することができる。典型的に、こうしたベクターは、所望のDNAセグメン
トを挿入するために都合が良い制限部位を含んで供給される。こうしたベクター
の典型は、pSVLおよびpKSV−10(Pharmacia)、pBPV−
1/pML2d(International Biotechnologie
s,Inc.)、pTDT1(ATCC、#31255)、pRc/CMV(I
nvitrogen,Inc.)、実施例に記載する好ましいベクター、および
これに類する真核発現ベクターである。
【0087】 本発明の文脈において、遺伝子発現に特に好ましい系には、遺伝子伝達成分、
すなわち、対象となる組織に遺伝子を伝達する能力が含まれる。適するベクター
は、所望のタンパク質を発現するように設計製作され、予め選択した標的組織を
感染させることができる特徴を有する組換えDNAウイルス、アデノウイルスま
たはレトロウイルスベクターなどの「感染性」ベクターである。本明細書中に記
載するレトロウイルスベクター系が特に好ましい。
【0088】 発現を命じるために組換えウイルスまたはウイルス要素を利用する哺乳動物細
胞系を設計製作することができる。例えば、アデノウイスル発現を用いると、ポ
リペプチドのコード配列をアデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例えば、遅延
プロモータおよび3連リーダー配列にライゲーションすることができる。その後
、このキメラ遺伝子をインビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルス
ゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E
1またはE3)における挿入によって、生存可能であり、感染宿主においてポリ
ペプチドを発現することができる組換えウイルスを生じることとなろう(例えば
、Loganら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,81:3
655−3659(1984)を参照のこと)。あるいは、ワクシニアウイルス
7.5Kプロモータを用いることができる(例えば、Mackettら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.,USA,79:7415−7419(19
82);Mackettら、J.Virol.,49:857−864(198
4);Panicaliら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA
.79:4927−4931(1982)を参照のこと)。染色体外因子のよう
な複製する能力を有するウシ乳頭腫ウイルス系ベクターには、特に興味深いもの
がある(Sarverら、Mol.Cell.Biol.,1:486(198
1))。このDNAが標的細胞に侵入するとすぐに、プラスミドは、細胞1個あ
たり約100から200のコピーを複製する。挿入されたcDNAの転写は、宿
主の染色体へのプラスミドの組込みを必要とせず、そのため高レベルの発現を生
じる。これらのベクターは、ネオ遺伝子などのプラスミドにおける選択可能マー
カーを含むことによって、安定した発現のために用いることができる。あるいは
、レトロウイルスゲノムは、宿主細胞におけるポリペプチドコードヌクレオチド
配列の発現を導入および命じることができるベクターとして用いるために修飾す
ることができる(Coneら、Proc.Natl.Acad.Sci.,US
A,81:6349−6353(1984))。高レベルの発現は、メタロチオ
ニンIIAプロモータおよび熱ショックプロモータを含む(しかし、これらに限
定されない)導入可能なプロモータを用いて達成することもできる。
【0089】 最近、ヒト卵巣癌保有ヌードマウスにおけるサイトメガロウイルス(CMV)
プロモータ 対 ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモータ発動チミジンキナー
ゼ(TK)遺伝子療法の長期生存者が研究されている。アデノウイルス媒介CM
Vプロモータ発動単純性疱疹ウイルスTK遺伝子療法の細胞致死有効度が、RS
V発動療法より2〜10倍有効であることがわかった。(Tongら、Hybr
idoma 18(1):93−97(1999))。低レベルの発現に続き誘
導可能な高レベルの発現を必要とする遺伝子療法の適用のためのキメラプロモー
タの設計も説明されている(Suzukiら、Human Gene Thra
py 7:1883−1893(1996))。
【0090】 組換えタンパク質の長期高収率生産には、安定した発現が好ましい。複製のウ
イルス起原を含む発現ベクターを用いるのではなく、適する発現調節要素(例え
ば、プロモータおよびエンハンサ配列、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位
など)および選択可能マーカーによって調節されたcDNAを用いて宿主細胞を
形質転換することができる。上述したように、組換えプラスミドにおける選択可
能マーカーによって、選択物に耐性が付与されると共に、細胞がプラスミドをそ
れらの染色体に安定に組み込み、成長して、フォーカスを形成することができ、
これを次々にクローニングして、細胞株に拡大することができる。
【0091】 例えば、異なるDNAの導入後、設計製作細胞を放置して、栄養強化培地中で
1〜2日間成長させ、その後、選択培地に切り替える。それぞれtk、hgp
rt、aprt細胞内で用いることができる、単純性疱疹ウイルスジミジン
キナーゼ(Wiglerら、Cell,11:223(1977))、ヒポキサ
ンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalskaら、P
roc.Natl.Acad.Sci.,USA,48:2026(1962)
)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell
,22:817(1980))遺伝子を含む(しかし、これらに限定されない)
多数の選択系を用いることができる。また、代謝拮抗物質耐性付与遺伝子を選択
の基準として用いることができる。例えば、メトトレキセートに耐性を付与する
dhfrのための遺伝子(Wiglerら、Proc.Natl.Acad.S
ci.,USA,77:3567(1980);O’Hareら、Proc.N
atl.Acad.Sci.,USA,78:1527(1981);マイコフ
ェノール酸に耐性を付与するgptのための遺伝子(Mulliganら、Pr
oc.Natl.Acac.Sci.,USA,78:2072(1981))
;アミノグリコシドG−418に耐性を付与するneoのための遺伝子(Col
berre−Garapinら、J.Mol.Biol.,150:1(198
1));およびハイグロマイシンに耐性を付与するhygroのための遺伝子(
Santerreら、Gene,30:147(1984))。最近、その他の
選択可能遺伝子、すなわち、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用
することができるtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用す
ることができるhisD(Hartmanら、Proc.Natl.Acad.
Sci.,USA,85:804(1988));およびオルチニン脱炭酸酵素
抑制剤、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOに耐性を付与
するODC(オルチニン脱炭酸酵素)(McConlogue L.,In:C
urrent Communication in Molecular Bi
ology(分子生物学における最新情報),Cold Spring Har
bor Laboratory編集(1987))が説明されている。
【0092】 ヒト遺伝子療法のために考慮される最も重要なベクターは、レトロウイルス起
原から誘導される(Wilson,Clin.Exp.Immunol.107
(Sup.1):31−32(1997);Bankら、Bioessays
18(12):999−1007(1996);Robbinsら、Pharm
acol.Ther.80(1):35−47(1998))。遺伝子伝達の治
療上の可能性およびアンチセンス療法は、多様な組織を治療するための多くのベ
クター系の開発を刺激してきた(脈管系:Stephanら、Fundam.C
lin.Pharmacol.11(2):97−110(1997);Fel
damanら、Cardiovasc.Res.35(3):391−404(
1997);Vassalliら、Cardiovasc.Res.35(3)
:459−69(1997);Baekら、Circ.Res.82(3):2
95−305(1998)、腎臓:Lienら、Kidney Int.Sup
pl.61:S85−8(1997)、肝臓:Ferryら、Hum Gene
Ther.9(14):1975−81(1998)、筋肉:Marshal
lら、Curr.Opn.Genet.Dev.8(3):360−5(199
8))。これらの組織に加えて、ヒト遺伝子療法の重要な標的は、癌、それ自体
の腫瘍または関係組織である(Runnebaum,Anticancer R
es.,17(4B):2887−90(1997);Spearら、J.Ne
urovirol.4(2):133−47(1998))。
【0093】 本発明の方法における使用に容易に適合し得るウイルス遺伝子療法ベクター系
の特定の例を以下に簡単に記載する。レトロウイルス遺伝子伝達は、Feder
spielおよびHughes(Methods in Cell Biol.
52:179−214(1998))によって最近再考察されており、これは、
ニワトリ白血病ウイルス(ALV)レトロウイルス系統(Federspiel
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,93:4931(19
96);Federspielら、Proc.Natl.Acad.Sci.,
USA,91:11241(1994))を詳細に説明している。ALVおよび
マウス白血病ウイルス(MLV)を含むレトロウイルスベクターは、Svobo
daによってさらに説明されている(Gene 206:153−163(19
98))。
【0094】 修飾レトロウイルス/アデノウイルス発現系は、本発明の方法の実施に容易に
適合し得る。例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)系は、Karavana
sら、Crit.Rev.in Oncology/Hematology,2
8:7−30(1998)によって再考察されている。アデノウイルス発現系は
、Gene Expression Systems(Fernandez &
Hoeffler編集,Academic Press,カルフォルニア集、
サンディエゴ、第5章、112〜157頁(1999)において、Von Se
ggernおよびNemerowによって再考察されている。
【0095】 タンパク質発現系は、インビボおよびインビトロの両方で有効に用いられるこ
とが実証されている。例えば、単純性疱疹ウイルス(HSV)タイプ1アンプリ
コンベクターによるヒト扁平上皮癌への有効遺伝子伝達が説明されている(Ca
rewら、1998,Am.J.Surg.,176:404−408)。単純
性疱疹ウイルスは、神経系への遺伝子伝達に用いられている(Goinsら、J
.Neurovirol.3(Sup.1):S80−8(1997))。HS
V−TKを用いる自殺型標的ベクターが固形腫瘍に関して試験されている(Sm
ileyら、Hum.Gene Ther.8(8):965−77(1997
))。単純性疱疹ウイルスタイプ1ベクターは、結腸癌細胞に関する癌遺伝子療
法に用いられている(Yoonら、Ann.Surg.228(3):366−
74(1998))。肝実質細胞を治療するためのHSV/AAV(アデノ関連
ウイルス)ハイブリッドを含むハイブリッドベクターは、トランスフェクション
の時間の長さを延長するように開発されている(Fraefelら、Mol.M
ed.,3(12):813−825(1997))。
【0096】 ワクシニアウイルスは、その大きなゲノムのため、ヒト遺伝子療法のために開
発されている(Peplinskiら、Surg.Oncol.Clin.N.
Am.,7(3):575−88(1998))。プリンヌクレオチドピロホス
ホリラーゼを発現するチミジンキナーゼ欠失ワクシニアウイルスは、腫瘍志向型
遺伝子療法ベクターとして用いるために説明されている(Puhlmanら、H
uman Gene Therapy.,10:649−657(1999))
【0097】 アデノ関連ウイルス2(AVV)は、ヒト遺伝子療法に用いるために説明され
ているが、AAVは、哺乳動物細胞における最適な複製およびパッケージングの
ためにヘルパーウイルス(アデノウイルスまたは疱疹ウイルスなど)を必要とす
る(Snoeckら、Exp.Nephrol.,5(6):514−20(1
997);Rabinowitzら、Curr.Opn.Biotechnol
.,9(5):470−5(1998))。しかし、感染性組換えAVVのイン
ビトロパッケージングが説明されており、これによって、この系により期待がも
たれる(Dingら、Gene Therapy.,4:1167−1172(
1997))。エコトロピックレトロウイルス受容体cDNAのAAV媒介伝達
によって、ヒトの樹立および初代細胞のエコトロピックレトロウイルス導入が可
能となることが示されている(Qingら、J.Virology.,71(7
):5663−5667(1997))。ヒト野生型p53を発現するAAVベ
クターを用いる癌遺伝子療法が実証されている(Qazilbashら、Gen
e Therapy.,4:675−682(1997))。AAVベクターを
用いる血管細胞への遺伝子伝達も示されている(Maedaら、Cardiov
ascular Res.,35:514−521(1997))。AAVは、
肝臓志向型遺伝子療法に適するベクターとして実証されている(Xiaoら、J
.Virol.,72(12):10222−6(1998))。脳組織および
中枢神経系の遺伝子療法に用いるためのAAVベクターは、実証されている(C
hamberlinら、Brain Res.,793(1−2):169−7
5(1998);Dringら、Gene Therapy.,5(6):82
0−7(1998))。AAVベクターは、また、肺の遺伝子療法およびヒト嚢
胞性線維症上皮細胞への伝達のためのアデノウイルスベクター(AdV)と比較
されている(Teramotoら、J.Virol.,72(11):8904
−12(1998))。
【0098】 中間世代のレトロウイルス生産細胞によって機能的に組み込ませる非組込みA
dVを作るために有用な質の各ウイルスを組み込むキメラAdV/レトロウイル
ス遺伝子療法ベクター系(Fengら、Nat.Biotechnology.
,15(9):866−70(1997);Bilbaoら、FASEB J.
,11(8):624−34(1997))。この強力な新世代の遺伝子療法ベ
クターを、癌を標的にした遺伝子療法に適応させている(Bilbaoら、Ad
v.Exp.Med.Biol.,451:365−74(1998))。ヒト
平伏茎癌細胞の皮下腫瘍結節の成長が抑制されたp53を発現するAdVの単独
注射(Asgariら、Int.J.Cancer.,71(3):377−8
2(1997))。進行性非小細胞肺癌の患者における野生型p53のAdV媒
介遺伝子伝達は、説明されている(Schulerら、Human Gene
Therapy.,9:2075−1082(1998))。この同じ癌は、A
dVベクターにより媒介されるp53遺伝子置換療法の対象となっている(Ro
thら、Semin.Oncol.,25(3 Suppl 8):33−7(
1998))。p53のAdV媒介遺伝子伝達は、インビボでの内皮細胞分化お
よび脈管形成を抑制する(Riccioniら、Gene Ther.5(6)
:747−54(1998))。転移性黒色腫のための免疫療法として、黒色腫
抗原gp75のアデノウイルス媒介発現も説明されている(Hirschowi
tzら、Gene Therapy.,5:975−983(1998))。A
dVは、エコトロピックレトロウイルスでのヒト細胞の感染を助長し、レトロウ
イルス感染効率を上げる(Scott−Taylorら、Gene Ther.
,5(5)621−9(1998))。AdVベクターは、血管平滑筋細胞(L
iら、Chin.Med.J.(Eng1).,110(12):950−4(
1997))、扁平上皮癌細胞(Goebelら、Otolarynol He
ad Neck Surg.,119(4):331−6(1998))、食道
癌細胞(Senmaruら、Int.J.Cancer.,78(3):366
−71(1998))、メサンギウム細胞(Nahmanら、J.Invest
ig.Med.,46(5):204−9(1998))、グリア細胞(Che
nら、Cancer Res.,58(16):3504−7(1998))、
および動物の関節(Ikedaら、J.Rheumatol.,25(9):1
666−73(1998))への遺伝子伝達のために用いられている。より最近
では、AcVによって媒介されるカテーテルに基づく囲心遺伝子伝達が実証され
ている(Marchら、Clin.Cardiol.,22(1 Suppl
1):I23−9(1999))。固有調節遺伝要素でのAdV系の操作によっ
て、インビボでのAdV媒介の調節可能な標的遺伝子発現を可能にする(Bur
cinら、PNAS(USA).,96(2):355−60(1999))。
【0099】 アルファウイルスは、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス誘導ベ
クターと共に用いるために適する発現カセットでの形質転換に適するパッケージ
ング細胞株を用いて、ヒト遺伝子療法適用のために開発されている(Poloら
、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,96:4598−460
3(1999))。非細胞変性フラビウイルスレプリコンRNAに基づく系も開
発されている(Varnavskiら、Virology,255(2):36
6−75(1999))。自殺型HSV−TK遺伝子含有シンドビスウイルスベ
クターは、腫瘍細胞内に細胞特異的に標的を定めるために用いられている(Ii
jimaら、Int.J.Cancer.,80(1):110−8(1998
))。
【0100】 ヒトフォーミーウイルス(HFV)系レトロウイルスも遺伝子療法ベクターと
して有望である(Trowbridgeら、Human Gene Thera
py.,9:2517−2525(1998))。フォーミーウイルスベクター
は、自殺型遺伝子療法のために設計されている(Nestlerら、Gene
Ther.,4(11):1270−7(1997))。組換えマウスサイトメ
ガロウイルスおよびプロモータ系も高レベルの発現のためにベクターとして用い
られている(Manningら、J.Virol.Meth.,73(1):3
1−9(1998);Tongら、Hybridoma,18(1):93−7
(1998))。
【0101】 仙台ウイルス系ベクターの生成によって、非分割細胞への遺伝子伝達を実行可
能にしている(Nakanishiら、J.Controlled Relea
se,54(1):61−8(1998))。
【0102】 非分割体細胞の形質転換を可能にするその他の努力において、レンチウイルス
ベクターが調査されている。複製欠陥ヒト免疫不全ウイルス(HIV)系ベクタ
ーを用いる嚢胞性線維症の遺伝子治療が説明されている(Goldmanら、H
uman Gene Therapy,8:2261−2268(1997))
。レンチウイルスベクターによって肝臓および筋肉に伝達される遺伝子の持続的
発現も示されている(Kafriら、Nat.Genet.,17(3):31
4−7(1997))。しかし、安全性への関心は非常に強く、改善されたベク
ターの開発が急速に進んでいる(Kimら、J.Virol.,72(2):9
94−1004(1998))。HIV LTRおよびTatの調査は、ベクタ
ーを開発するためのゲノムの構造についての重要な情報をもたらす(Sadai
eら、J.Med.Virol.,54(2):118−28(1998))。
このように、有効なHIV系ベクターに関する遺伝学的要件は、現在、より良く
理解されている(Gasmiら、J.Virol.,73(3):1828−3
4(1999))。自己不活性化ベクター、または条件パッケージング細胞株が
説明されている(例えば、Zufferyら、J.Virol.,72(12)
:9873−80(1998);Miyoshiら、J.Virol.,72(
10):8150−7(1998);Dullら、J.Virol.,72(1
1):8463−71(1998);およびKaulら、Virology,2
49(1):167−74(1998))。HIVベクターによるヒトリンパ球
およびCD34+細胞の有効な導入が示されている(Douglasら、Hum
.Gene Ther.,10(6):935−45(1999);Miyos
hiら、Science,283(5402):682−6(1999))。ネ
コ免疫不全ウイルス(FIV)レンチウイルスベクターによる非分割ヒト細胞の
有効な導入が説明されており、これによってHIV系ベクターを用いることに関
連する安全上の関心が最小になる(Poeschlaら、Nature Med
icine,4(3):354−357(1998))。FIVベクターによる
ヒト血液単核細胞の増殖性感染が示されている(Johnstonら、J.Vi
rol.,73(3):249−8(1999))。
【0103】 多くのウイルスベクターは取り扱いが難しく、挿入されるDNAに対する容量
が制限されるが、これらの制限および不利点は、対処されている。例えば、単純
化ウイルスパッケージング細胞株に加えて、ヒト疱疹ウイルス、単純性疱疹ウイ
ルスタイプ1(HSV−1)、およびエプスタイン−バーウイルス(EBV)か
ら誘導されるミニウイルスベクターは、遺伝基質の操作およびウイルスベクター
の生成を単純化するように開発されている(Wangら、J.Virology
,70(12):8422−8430(1996))。アダプタープラスミドが
ヘルパー非依存性レトロウイルスベクターへの異種DNAの挿入を単純化するこ
とは、以前に示されている(J.Virology,61(10):3004−
3012(1987))。
【0104】 幾つかの非ウイルスベクターも説明されているので、ウイルスベクターが、遺
伝子療法を果たすための唯一の手段ではない。上皮成長因子/DNAポリプレッ
クス(EGF/DNA)の使用に基づく標的化非ウイルス遺伝子伝達ベクターは
、有効で特異的な遺伝子伝達をもたらすことが示されている(Cristian
o,Anticancer Res.,18:3241−3246(1998)
)。カチオン性リポソームを用いる脈管系および中枢神経系の遺伝子療法は、実
証されている(Yangら、J.Neurotrauma,14(5):281
−97(1997))。カチオン性リポソームを用いる膵臓炎の一時的な遺伝子
療法も果たされている(Denhamら、Ann.Surg.227(6):8
12−20(1998))。遺伝子伝達のためのキトサン系ベクター/DNA複
合体は有効であることが示されている(Erbacherら、Pharm.Re
s.,15(9):1332−9(1998))。テルプレックス系に基づく非
ウイルスDNA伝達ベクターが説明されている(Kimら、53(1−3):1
75−82(1998))。ウイルス粒子被覆リポソーム複合体を用いて、遺伝
子伝達を果たすこともできる(Hiraiら、Biochem.Biophys
.Res.Commun.,241(1):112−8(1997))。
【0105】 チミジンキナーゼ遺伝子をコードする非ウイルスT7ベクターを直接腫瘍に注
射することによる癌遺伝子療法が説明されている(Chenら、Human G
ene Therapy,9:729−736(1998))。プラスミドDN
A製剤は、直接注射遺伝子伝達に重要である(Hornら、Hum.Gene
Ther.,6(5):656−73(1995))。修飾プラスミドベクター
は、特に、直接注射用に改造されている(Hartikkaら、Hum.Gen
e Ther.7(10):1205−17(1996))。
【0106】 このように、多種多様な遺伝子伝達/遺伝子治療ベクターおよび構成体が当該
技術分野において知られている。こうしたベクターは、本発明の方法における使
用に合わせて容易に作り変えられる。組換えDNA/分子生物学技術を用いて、
核酸セグメント(活性または不活性のいずれか)をコードする機能するように連
結されたRafまたはRasを、選択した発現/伝達ベクターに挿入する適切な
操作によって、本発明の実施のために多くの同等のベクターを生じることができ
る。
【0107】 F.脈管形成を調節するための方法 一つの側面において、本発明は、疾病過程または状態に関連する組織における
脈管形成を調節し、これによって、脈管形成に依存する組織における事象に影響
を及ぼすための方法を提供する。一般に、本方法は、疾病過程または状態に関連
するまたは被る組織に、Rafタンパク質あるいは活性または不活性Rafを発
現する核酸ベクターを含む脈管形成調節量の組成物を投与することを含む。
【0108】 さらなる方法は、疾病過程または状態に関連する組織に、Rasタンパク質あ
るいは活性または不活性Rasを発現する核酸ベクターを含む脈管形成調節量の
組成物を投与することを含む。もう一つの方法側面は、疾病過程または状態に関
連する組織に、脈管形成調節量のRafおよびRasタンパク質あるいは活性ま
たは不活性RafおよびRasを発現する一つ以上の核酸ベクターを投与するこ
とを含む。
【0109】 皮膚、筋肉、腸、結合組織、脳組織、神経細胞、関節、骨、および脈管形成の
促進によって血管が侵入するこれらに類する組織を含むあらゆる多様な組織、ま
たは器質化した組織から成る器官は、疾病状態での脈管形成を持続させることが
できる。
【0110】 本発明の多くの実施例において、本発明に従って治療されるべき患者は、ヒト
の患者であるが、本発明は、すべての哺乳類について有効である。この文脈にお
いて、「患者」は、ヒトの患者、ならびに脈管形成を含む疾病に関連する組織の
治療が望まれるあらゆる哺乳動物種、特に、農業用および家庭用哺乳動物種の獣
医の患者、哺乳類である。
【0111】 このように、本発明を具体化する方法は、Rafおよび/またはRasタンパ
ク質あるいはRafおよび/またはRasタンパク質を発現するための核酸ベク
ターを含む治療上有効な量の生理学的に許容できる組成物を患者に投与すること
を含む。
【0112】 RafまたはRasタンパク質の投与についての投薬量範囲は、本明細書中で
さらに説明するように、タンパク質の形態およびその力価に依存し、脈管形成お
よび脈管形成によって媒介される病状を改善する望ましい効果をもたらすのに十
分多い量である。投薬量は、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全、および
これらに類するものなどの有害な副作用をもたらすほど多くてはならない。一般
に、投薬量は、患者の年齢、状態、性別および疾病の程度によって変化し、当業
者によって決定され得る。万一なんらかの合併症がある場合には、医師個人が投
薬量を調整することもできる。
【0113】 治療上有効な量は、治療を受ける組織において計れる程度の脈管形成の調節を
ひき起こすのに十分な、RafまたはRasタンパク質、あるいは(活性または
不活性の)RafまたはRasタンパク質をコードする核酸の量、すなわち、脈
管形成調節量である。脈管形成の調節は、本明細書中に記載するようなCAM検
定、腫瘍細胞の検査、または当業者には既知のその他の方法によってインビトロ
で測定またはモニターすることができる。
【0114】 RafまたはRasタンパク質、あるいはこうしたタンパク質を発現する核酸
ベクターは、注射によって、または時間をかけて徐々に注入することによって非
経口的に投与することができる。典型的に、治療すべき組織には、全身投与によ
って体内において接近することができ、従って、最も多くの場合、治療用組成物
の静脈内投与によって治療するが、標的となる組織が標的分子を含む可能性があ
る場合には、その他の組織および送達手段が考慮される。従って、本発明の組成
物は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、キャビティー内投与、
経皮投与することができ、また所望とあらば、蠕動手段によって送達することが
できる。
【0115】 RafまたはRasタンパク質あるいはRafまたはRasタンパク質を発現
する核酸ベクターを含有する治療用組成物は、通常、例えば、単位用量の注射の
ような静脈内投与をすることができる。本発明の治療用組成物に関して用いる場
合、用語「単位用量」は、患者に対する単位投薬量として適する物理的に個別の
単位を指し、各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の作
用物質を必要な生理学的に許容され得る希釈剤、すなわち担体またはビヒクルと
共に含有する。
【0116】 一つの好ましい実施形態において、作用物質は、1回分の投薬量で静脈内投与
される。局所投与は、直接注射によって、または標的器官系の微小循環系を分離
することによって解剖学的に分離したコンパートメント、循環系における再潅流
、または病んだ組織に関連する脈管系の標的領域に対するカテーテルに基づく一
時的閉塞を利用することによって達成することができる。
【0117】 組成物は、投薬処方に適合するように、また治療に有効な量で投与される。投
与すべき量およびタイミングは、治療を受ける患者、有効成分を利用する患者の
系、および所望の治療効果の度合いに依存する。投与することが必要な有効成分
の正確な量は、開業医の判断に依存し、各個人に固有のものである。しかし、全
身適用に適する投薬量範囲は、本明細書中で開示しており、投与の経路に依存す
る。投与に適する養生法も可変的であるが、典型的には、最初の投与後、一時間
以上の間隔で後続注射またはその他の投与により投薬を繰り返す。あるいは、イ
ンビボ療法用に指定された範囲の血液中濃度を維持するのに十分な持続点滴静脈
内注射が考えられる。
【0118】 1.脈管形成の抑制 脈管形成の抑制が重要である、脈管形成疾患と呼ばれる多様な疾病があり、こ
うした疾病には、免疫性および非免疫性炎、慢性関節リウマチおよび乾癬などの
炎症性疾患、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、再狭窄、アテローム斑における
毛細血管増殖および骨粗しょう症などの血管の不適切なまたは不適当な侵潤に関
連する疾患、ならびに固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、水晶体後方線維増
殖症、血管腫、カポジ肉腫および腫瘍の成長を持続させるために新生血管形成を
必要とするこれらに類する癌などの癌関連疾患が挙げられるが、それらに限定さ
れない。
【0119】 従って、疾病状態に関連する組織における脈管形成を抑制する方法は、病状を
改善し、疾病によっては、疾病の治癒に寄与することができる。一つの実施形態
において、本発明は、疾病状態に関連する組織、それ自体における脈管形成の抑
制を考える。組織における脈管形成の程度、従って、本発明によって達成される
抑制の程度は、多様な方法によって評価することができる。
【0120】 従って、一つの実施形態において、治療を受ける組織は炎症を起こした組織で
あり、炎症を起こした組織の新生血管形成がある場合、抑制される脈管形成は、
炎症を起こした組織の脈管形成である。この特定の方法には、慢性関節リウマチ
の患者などにおける関節炎組織、免疫性または非免疫性炎組織、感染組織などに
おける脈管形成の抑制が挙げられる。
【0121】 もう一つの実施形態において、治療を受ける組織は、糖尿病性網膜症、黄斑変
性または血管新生緑内障などの網膜疾患を病む患者の網膜組織であり、網膜組織
の新生血管形成がある場合、抑制される脈管形成は、網膜組織の脈管形成である
【0122】 さらなる実施形態において、治療を受ける組織は、固形腫瘍、転移、皮膚癌、
乳腺癌、血管腫または血管線維腫およびこれらに類する癌の患者の腫瘍組織であ
り、腫瘍組織の新生血管形成がある場合、抑制される脈管形成は、腫瘍組織の脈
管形成である。本発明の方法によって治療できる典型的な固形腫瘍組織には、肺
、膵臓、乳腺、結腸、喉頭、卵巣およびこれらに類する組織が挙げられる。新生
血管形成が腫瘍の成長において重要な役割を果たすため、腫瘍組織の脈管形成の
抑制は、特に好ましい実施形態である。腫瘍組織の新生血管形成が不在の場合、
腫瘍組織は必要な栄養を得ることができず、成長が低速し、さらなる成長が停止
し、退縮して、結局、壊死することとなり、結果的に腫瘍を殺すこととなる。
【0123】 言い換えれば、本発明は、本発明の方法に従って腫瘍の脈管形成を抑制するこ
とにより腫瘍の新生血管形成を抑制する方法を規定する。類似して、本発明は、
本脈管形成抑制法を実施することによって腫瘍の成長を抑制する方法を提供する
【0124】 本方法は、転移の形成に対しても特に有効であるが、それは、(1)それらの
形成は、転移癌細胞が原発腫瘍から出ることができるように原発腫瘍の脈管形成
を求めるため、および(2)続発部位におけるそれらの定着が、転移の成長を持
続させるために新生血管形成を必要とするためである。
【0125】 さらにその上の実施形態において、本発明は、固形腫瘍に向けた、転移の定着
を制御するための通常の化学療法などのその他の療法と共に本方法の実施を考え
る。脈管形成抑制剤の投与は、典型的には化学療法中またはその後で行われるが
、腫瘍組織が脈管形成を誘発することによる有害な侵攻に反応して、腫瘍組織へ
の血液供給および栄養の供給によって回復しりであろう場合には、化学療法の養
生法の後で脈管形成を抑制することが好ましい。加えて、転移に対する予防とし
て固形腫瘍が除去されている場合、外科手術後に脈管形成抑制法を施すことが好
ましい。
【0126】 本発明法を腫瘍新生血管形成の抑制に適用することに関するかぎり、本方法は
、腫瘍組織の成長の抑制、腫瘍転移形成の抑制、および定着した腫瘍の退縮にも
適用することができる。
【0127】 再狭窄は、血管形成の成功を妨げる経皮経管冠動脈形成部位の組織への平滑筋
細胞(SMC)の移行および増殖の過程である。再狭窄中のSMCの移行および
増殖は、本方法によって抑制される脈管形成の過程であると考えることができる
。従って、本発明は、血管形成処置後の患者において、本方法に従って脈管形成
を抑制することによって再狭窄を抑制することも考える。際狭窄の抑制には、環
状血管壁に再狭窄の危険があるため、典型的には血管形成処置後に、典型的には
約2〜約28日間、さらに典型的には処置後最初の約14日間、不活性化チロシ
ンキナーゼを投与する。
【0128】 疾病状態に関連する組織における脈管形成を抑制するために、および従って、
脈管形成関連疾病の治療のための方法を実施するためにも、本方法は、脈管形成
が発生している、または発生する危険がある組織を、不活性化Rafタンパク質
またはそのタンパク質を発現するベクターを含む治療上有効な寮の組成物と接触
させることを含む。脈管形成の抑制および腫瘍の退縮は、治療用組成物との最初
の接触後7日という早さで発生する。不活性RafまたはRasタンパク質に対
する追加のまたは持続的な暴露は、7日〜6週間が好ましく、好ましくは14日
〜約28日である。調節効果がより早く検出できる場合には、より短い期間の暴
露が有用であり得るが、投与して、少なくとも12時間、後続暴露することが好
ましい。
【0129】 2.脈管形成の増強 脈管形成を促進または増強することが望ましい場合には、組織への活性Raf
またはRasタンパク質の投与が有用である。投与の経路およびタイミングは、
抑制のために本明細書中で上に記載した方法に相当する。
【0130】 G.治療用組成物 本発明は、本明細書中に記載する治療法を実施するために有用な治療用組成物
を考える。本発明の治療用組成物は、生理学的に許容できる担体と共に、有効成
分としてそれに溶解または分散した本明細書中に記載するようなRafまたはR
asタンパク質あるいはRafまたはRasタンパク質を発現することができる
ベクターを含有する。好ましい実施形態において、治療目的で哺乳類またはヒト
の患者に投与する時、治療用組成物は、免疫原性ではない。
【0131】 本明細書中で用いる用語「製薬上許容され得る」、「生理学的に許容できる」
およびそれらの文法上の語尾変化は、それらを組成物、担体、希釈剤および試薬
に適用する場合、同義で用い、悪心、眩暈、急性胃蠕動およびこれらに類するも
のなどの望ましくない生理学的影響を生じることなく、それらの材料を哺乳類に
または哺乳類の表面に投与することができることを表す。
【0132】 その中に溶解または分散した有効成分を含有する薬理組成物の調製は、当該技
術分野においてより理解されており、処方によって限定する必要はない。典型的
に、こうした組成物は、溶液または懸濁液のように注射可能に調製されるが、使
用の前に溶液または懸濁液にするのに適する固体剤形を調製することもできる。
製剤は、乳剤にすることもできるし、リポソーム組成物として提供することもで
きる。
【0133】 有効成分は、製薬上許容され得る、有効成分と相溶性の、および本明細書中に
記載する治療法において用いるために適する量の賦形剤と混合することができる
。適する賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、
エタノールまたはその他、およびそれらの混合物である。加えて、所望とあらば
、組成物は、有効成分の有効性を向上させる湿潤または乳化剤、pH緩衝剤およ
びこれらに類するものなどの補助物質を少量含有することができる。
【0134】 本発明の治療用組成物は、その中の成分の製薬上許容され得る塩を含むことが
できる。製薬上許容され得る塩は、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸、あ
るいは酢酸、酒石酸、マンデル酸およびこれらに類するものなどの有機酸を用い
て生成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基とで生成される)を含む。
遊離カルボキシル基とで生成される塩は、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム
、アンモニウム、カルシウムまたは第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピル
アミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカ
インおよびこれらに類するものなどの有機塩基から誘導することもできる。
【0135】 生理学的に許容できる担体は、当該技術分野においてよく知られている。液状
担体の例は、有効成分および水の他に材料を含有しない、あるいは生理学的pH
値でのリン酸ナトリウム、生理食塩水またはそれら両方(リン酸緩衝生理食塩水
など)を含有する無菌水溶液である。その上さらに、水性担体は、一つ以上の緩
衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよびカリウムなどの塩、デキストロース、ポリ
エチレングリコールおよびその他の溶質を含むことができる。
【0136】 液体組成物は、水に加えて、および水を除外して、液層を含むこともできる。
こうした追加の液層の例は、グリセリン、綿実油などの植物油、および水−油乳
濁液である。
【0137】 治療用組成物は、脈管形成調節量の本発明のRafまたはRasタンパク質、
または有効量のRafまたはRasタンパク質を発現するのに十分な組換えDN
A発現ベクターを含有し、典型的には、全治療用組成物の重量に対して少なくと
も0.1重量%の量のRafまたはRasタンパク質を含有するように処方され
る。重量%は、全組成物に対するRafタンパク質の重量比である。従って、例
えば、0.1重量%は、全組成物100gに対してRafまたはRasタンパク
質0.1gである。DNA発現ベクターに関しては、投与量は、発現ベクター、
治療を受ける組織、および考えられるこれらに類するものの特性に依存する。投
与するのに適する量は、ベクターの量、または予想される発現タンパク質の量に
よって測定することができる。
【0138】 H.製品(article of manufacture) 本発明は、本発明のRafまたはRasタンパク質を提供するためのラベル付
容器である製品も考える。製品は、包装材料および包装材料内に収容される薬剤
を含む。
【0139】 製品中の薬剤は、RafまたはRasタンパク質を供給するために適する本発
明の一切の組成物であり、開示されている指標に従って本発明中に記載するよう
な製薬上許容され得る形態に処方する。従って、組成物は、Rafおよび/また
はRasタンパク質あるいはRafおよび/またはRasタンパク質を発現する
ことができるDNA分子を含むことができる。製品は、本明細書中で示す状態の
治療に用いるために十分な量の薬剤を単位投薬量または複数回用の投薬量で含有
する。
【0140】 包装材料は、それらの中に収容される薬剤を、例えば、脈管形成の抑制または
増強によって助長される状態およびこれらに類する本明細書中に開示する状態を
治療するために使用することを示すラベルを含む。ラベルは、使用についての説
示、および市販するために求められる可能性があるような関連情報をさらに含む
ことができる。包装材料は、薬剤を保管するための容器(複数を含む)を含むこ
とができる。
【0141】 本明細書中で用いる用語「包装材料」は、ガラス、プラスチック、紙、フォイ
ル、および薬剤を固定された手段の範囲内で保持することができるこれらに類す
るものなどの材料を指す。従って、例えば、包装材料は、プラスチックまたはガ
ラス製バイアル、積層体の封筒、および薬剤を含む医薬組成物を収容するために
用いられるこれらに類する容器であることができる。
【0142】 好ましい実施形態において、包装材料は、製品の内容物およびその中に収容さ
れている薬剤の使用を説明する具体的な表示であるラベルを含む。
【0143】 実施例 本発明に関する以下の実施例は例示的であり、もちろん本発明を特に
限定するとみなすべきではない。さらに現在既知であるか、将来開発される、本
発明のそのような変形は、当業者の権限内であり、以下で請求する本発明の範囲
内に入ると考えられる。
【0144】 1.c−Raf発現作成物の調製 本発明の方法によって、血管形成を調節するのに有用な発現作成物を調製する
ために、c−Raf cDNAを操作し、発現作成物/ベクター内に挿入する。
【0145】 野生種(すなわち内在性)ヒトc−Rafをコード化するcDNA配列は、図
7に示す核酸配列(SEQ ID NO.:1、ヌクレオチド130...20
76)に表され、Rafタンパク質のコード化翻訳アミノ酸残基配列(SEQ
ID NO.:2)は図8に示されている。
【0146】 本発明は、血管形成を調節する2種類のc−Raf機能について説明する。前
に述べたように、1種類は血管形成を増加させるRaf分子を含むため、活性タ
ンパク質と考えられる。血管形成を誘起する野生種Rafは各種の突然変異とと
もに、本発明で示されている。
【0147】 この状況で、血管成長を誘起するために、インビボでの腫瘍重量を増加させる
能力に関して機能する野生種c−Rafの1つの好ましい突然変異は、Rafの
アミノ酸残基306−648(Raf306−648)のみが発現されるRaf
突然変異作成物である。この作成物は、全体の調節キナーゼドメインを欠失して
いるため、構成的に活性なRafタンパク質と呼ばれる。
【0148】 Rafの突然変異は血管形成に対する正反対の調節効果を有することが示され
ており、血管形成を刺激する代わりに阻害する。そのような突然変異は、不活性
Raf突然変異と呼ばれる。この阻害活性を付与する突然変異を持つタンパク質
は、成長因子刺激から生じる向上したRaf活性と同様に、Rafの内在性活性
から発生することを含めて、新血管形成を阻害するという点で優性陰性Rafタ
ンパク質とも呼ばれる。したがって、本発明の野生種c−Rafのある突然変異
も、血管成長を阻止するその能力に関して、優性陰性遺伝子として機能するため
、たとえば、インビボでの腫瘍重量が減少する。
【0149】 Raf作成物の阻害例は、リジンアミノ酸残基375が別のアミノ酸、好まし
くはメチオニン(すなわちRaf K375M)に突然変異されるRaf突然変
異である。キナーゼドメインにおける点突然変異は、ATP結合を防止し、血管
細胞および腫瘍細胞の情報伝達および増殖に関係するキナーゼ依存性Raf機能
も阻害する。別の阻害性Raf突然変異体は、キナーゼドメインを欠失する、切
断Rafタンパク質(すなわちRaf1−305)の形のアミノ酸残基1−30
5を含む。
【0150】 点突然変異に関して、望ましい阻害または刺激活性で生じる突然変異は、本発
明での使用を考慮される。Rafタンパク質の望ましい調節効果が無傷である限
り、望ましいRafタンパク質(突然変異またはその断片)と発現されたアミノ
酸タグ、抗原エピトープ、蛍光タンパク質または他のそのようなタンパク質、あ
るいはペプチドを組合わせた融合タンパク質作成物も考慮される。
【0151】 cDNAで望ましいc−Raf突然変異を生成するには、当業者に既知の標準
の特定部位突然変異誘発手順を用いた。望ましい突然変異を含むよう設計された
PCRプライマーも、次のクローニングステップを促進するために、制限部位を
用いて設計された。ニワトリ、ヒトならびに同族体の既知のcDNA配列および
それに続く新たな作成物の形成に基づくPCR増幅技法によって、Rafコード
化核酸配列のフラグメント全体は、核酸作成物から切除された。
【0152】 特に図7に示す野生種Raf cDNA配列は、本発明の原理を証明するため
にRaf突然変異体を作成する複数の方法で改良された。これらの突然変異体は
、本明細書で述べるレトロウィルス発現系に挿入された。
【0153】 Raf K375Mと呼ばれる第1の突然変異Rafは、アミノ酸残基位置3
75のリジンがメチオニンで置換された野生種ヒトRaf内で作成された。Ra
f K375Mは、本明細書で定義される「不活性」Rafタンパク質である。
【0154】 Raf 306−648と呼ばれる第2の突然変異体は、アミノ末端部が削除
された野生種ヒトRaf内で作成され、切断されたカルボキシ末端残基306−
648を残した。Raf 306−648は本明細書で定義された「活性」Ra
fタンパク質である。
【0155】 Raf 1−305と呼ばれる第3の突然変異Rafは、カルボキシ末端部が
削除された野生種ヒトRafで作成され、切断アミノ酸末端残基1−305を残
した。Raf 1−305は本明細書で定義された「活性」Rafタンパク質で
ある。
【0156】 本発明のRafまたはRasタンパク質の発現に使用される別の発現ベクター
も、米国特許第4,797,368号、第5,173,414号、第5,436
,146号、第5,589,377号、第5,670,488号に記載されたア
デノウィルスベクターを含む。RafまたはRas調節タンパク質の送達の別の
方法には、米国特許第5,675,945号に記載された非ウィルスベクター系
によるRafまたはRas cDNAの送達と、米国特許第5,589,466
号に記載された裸のDNAとしてのcDNA自体の送達が含まれる。本発明の作
成物の送達も、ウィルスベクターの局所投与に限定されず、ウィルスベクター調
製物も血管底への全身送達のために静脈注射されるか、皮下注射、組織内注射な
どを行うこともできる。これらのベクターも、たとえば腫瘍の局部注射による新
血管形成増加部位を標的とすることができる。
【0157】 インビトロ発現タンパク質も、タンパク質またはポリペプチドの送達に有用な
方法によって、選択されたRafまたはRasタンパク質発現および精製の後の
送達について考慮される。そのような方法の1つは、米国特許第4,356,1
67号、第5,580,575号、第5,542,943号および第5,643
,599号で述べられるようなリポソーム送達を含む。本発明のRafまたはR
asタンパク質の発現および/または送達で使用する、他のベクターおよびタン
パク質送達系は、当業者に既知である。
【0158】 2.ヒト腫瘍モデル 本発明の有効性を証明するために、ヒト腫瘍細胞を無胸腺症マウスの脇腹に皮
下移植し、約100mmまで増殖させた。この異種移植モデルにおいて、移植
片周囲のマウス内皮細胞は、正常な血管形成シグナルに反応する増殖中のヒト腫
瘍内へ増殖する脈管構造を形成し、腫瘍は血管形成されるようになる。したがっ
て、マウス内皮細胞によって微細血管が形成され、これに対して腫瘍組織自体は
ヒト細胞を含む。
【0159】 3.レトロウィルス送達ベクターはマウス血統細胞に感染し、ヒト腫瘍細胞に
は感染しない Clonetechのレトロウィルス発現ベクター系を用いて、本明細書で説
明するRafの作成物を含むエコトロフィックレトロウィルスを作成した。感染
レトロウィルスの組織特異性を証明するために、図1の凡例に示すようなエコト
ロフィックパッケージング細胞を用いて、β−ガラクトシダーゼを発現するレト
ロウィルス発現ベクター作成物をパッケージした。
【0160】 マウス内皮細胞であるマウス3T3、ヒト上皮腺癌LS174細胞およびヒト
メラノーマM21細胞をインビトロで培養し、それぞれエコトロフィックパッケ
ージしたレトロウィルスに曝露した。マウス細胞のみが検出可能なβ−ガラクト
シダーゼを発現し、マウス細胞のみが本発現系のエコトロフィックパッケージさ
れたレトロウィルスに感染したことが示された。
【0161】 4.不活性RafキナーゼはインビトロでRafキナーゼ活性を阻害する 不活性Rafキナーゼの細胞効果を証明するために、βFGFによって誘起さ
れたマウス上皮細胞を用いたインビトロモデルを用いた。マウス上皮細胞へのβ
FGF投与によるRaf活性の正常な誘起は、これらの細胞が、図2の凡例に示
すような不活性Raf K375Mキナーゼ作成物を発現する最初にレトロウィ
ルス作成物に感染されたときに阻害された。図2のデータは、不活性Rafキナ
ーゼを発現するベクターに細胞が最初に感染したときに、Rafキナーゼ活性の
量は実質的に減少していることを示している。
【0162】 5.不活性Rafキナーゼはインビボでの血管形成を阻害する 血管形成のインビボマウス皮下モデルを用いて、不活性Rafキナーゼの効果
を研究した。そのために、図3の凡例に示すような不活性Raf K375Mキ
ナーゼタンパク質を生成するレトロウィルスを発現する細胞とともに、または単
独で、βFGFを注射することによって、マウスに血管形成を誘起した。図3に
示すように、不活性Rafキナーゼの存在は実質的に、血管形成指数を低下させ
た。
【0163】 6.活性Rafキナーゼはインビボでの血管形成を誘起する 血管形成のマウス皮下モデルを用いて、活性Rafキナーゼの効果を研究した
。そのために、図4の凡例に示すような活性Raf 306−648キナーゼを
生成するレトロウィルスを発現する細胞を注射して、血管形成を誘起した。図4
に示すように、突然変異的に活性なRafキナーゼはインビボでの血管形成を誘
起する。
【0164】 7.不活性Rafキナーゼはアポトーシスを誘起する 上述したマウス異種移植モデルを用いて、不活性Rafのインビボ効果を研究
した。そのために、図5の凡例に示すように、150万個のヒト腺癌LS174
細胞を注射してモデルを作成した。約100mmの腫瘍塊のせ異性に続いて、
不活性Raf K375Mキナーゼを発現するレトロウィルスを腫瘍塊に注射し
、48時間後に腫瘍塊の切片に対して免疫組織化学法を行った。図5(フラッグ
タグ)に示す結果は、レトロウィルス感染が内皮固有であることを示しており、
さらにvWF菌株によって、上皮細胞がレトロウィルス感染に対して共存された
ことを示している。染色データを組合わせると、内皮細胞、ウィルス感染および
アポトーシス発生がすべて共存していることが示され、不活性Rafタンパク質
のウィルス送達が内皮固有であり、不活性Rafがアポトーシスを誘起すること
を示している。
【0165】 8.不活性Rafキナーゼは腫瘍縮退を誘起する 上述したマウス異種移植モデルを用いて、不活性Rafの腫瘍縮退に対するイ
ンビボ効果を研究した。そのために、図6の凡例に示すようにモデルを作成し、
不活性Raf K375Mキナーゼをウィルス上澄またはウィルス発現細胞とし
て指示どおりに与えた。生成した腫瘍は、不活性Rafキナーゼの導入時に迅速
に縮退するのがわかった。
【0166】 9.血管形成はRaf−Raf−MEK−ERK経路の活性化に依存する 成長因子受容体とインテグリン受容体連結および活性化の、血管形成の調節に
関与する有糸***促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)/細胞外シグ
ナル調節キナーゼ(ERK)カスケードの活性化に対する相互作用を決定するた
めに、以下の実施例9〜11の研究を実施した。インテグリン仲介細胞付着によ
るMAPKカスケードの活性化は、Aplinら、Pharmacol. Re
v., 50:197−263(1998)が概観したように、多くの研究所に
よって研究されている。階層的ERKカスケードは、小型のグアノシントリホス
フェート(GTPase)Rasを補充する有糸***促進因子および成長因子の
受容体を持つ細胞膜で開始する。Rasは次にプロテインキナーゼのRafに結
合し、それを膜に補充することによってRafを活性化し、Rafはまだ明らか
になっていない機構で活性化される。活性化されたRafは次に、MEK(MA
PK/ERKキナーゼ)をリン酸化および活性化する。次いでMEKは、ERK
1およびERK2をリン酸化および活性化し、これらは次に核に転座し、転写因
子をトランス活性化して、変化した遺伝子発現によって増殖、分化または有糸分
裂を行う(Tibblesら、Cell. Mol. Life Sci.,
55:1230−1254(1999))。
【0167】 成長因子および/またはインテグリンシグナル伝達によって仲介される、Ra
fの活性化におけるRasの上流調節は本研究の主題であるが、シグナル伝達気
泡はまだ完全に理解されていない(Stewartら、J. Biol. Ch
em., 275:8854−8862(2000);Howeら、J. Bi
ol. Chem., 273:27268−27274(1998)を参照)
。しかし、さらに重要なことに、細胞膜受容体信号伝達を通じて血管形成を調節
するRas−Raf−MEK−ERKカスケードの活性化は、本発明以前には述
べられていない。
【0168】 A.RasはβFGFへの曝露によって生じる それゆえ、血管形成がRas−Raf−MEK−ERK経路に依存するかどう
かを最初に評価するために、Rasプルダウン検定法で決定されたように、βF
GFに曝露させたヒヨコ漿尿膜(CAM)ライゼート中でRas活性を測定した
【0169】 正常な胚血管形成によって成熟した血管が生成された後に、血管形成をCAM
上で誘起することができる。血管形成は、Leibovichら、Nature
, 329:630(1987)およびAusprunkら、Am. J. P
athol., 79:597(1975)で述べられているように、特定のサ
イトカインまたは腫瘍フラグメントに反応して誘起されることが示されている。
CAMはヒヨコ胚から調製し、次に血管形成の誘起とその阻害を行った。10日
齢のヒヨコ胚はMcIntyre Poultry(カリフォルニア州レイクサ
イド)より入手し、湿度60%で37℃にてインキュベートした。小型の工作用
ドリル(Dremel、Emerson Electric社の部門、ウィスコ
ンシン州ラシーン)を用いて、卵の端の気嚢真上に殻を破って小孔を開けた。第
2の孔は、卵の太い側の殻の、以前に卵をロウソクにすかして判定した胚血管を
避けた領域にドリルで開けた。最初の孔に負圧を加えると、CAM(漿尿膜)が
卵殻膜から引き離され、CAM上に偽気嚢が作成された。小型モデル研削砥石を
用いて、下がったCAMの上の殻から1.0センチメートル(cm)×1.0c
m平方の窓を切除した。小窓によって、下にあるCAMに直接触れられるように
なった。
【0170】 次に、血管形成が収まる胚発生10日目に、生じたCAM調製物を使用した。
したがって後者の調製物は、必要な場合に以下で説明するように、サイトカイン
処理または腫瘍接触に反応した新たな血管形成の誘起について、本発明で使用し
た。
【0171】 1)成長因子によって誘起された血管形成 血管形成はサイトカインまたは成長因子によって誘起されることが示されてい
る。血管形成は、組換え塩基性線維芽細胞成長因子(βFGF)または血管内皮
細胞成長因子(VEGF)を含むHanks Balanced Salt S
olution(ハンクス平衡塩溶液、HBSS、GIBCO、ニューヨーク州
グランドアイランド)すなわちHBSSで平衡にした5ミリメートル(mm)×
5mmのWhatmanフィルタディスクを、9日または10日齢のヒヨコ胚の
CAM上に、血管を避けた領域に配置して誘起し、窓は後でテープで封をした。
他の成長因子も血管成長の誘起に有効である。血管形成阻害が拮抗剤、たとえば
LM609モノクローナル抗体などの静脈注射によって評価される検定法の場合
、血管形成は、線維芽細胞増殖培地中のβFGFまたはVEGFによって最初に
誘起し、次に実施例10に述べるように阻害剤を投与する。血管形成は72時間
後に顕微鏡写真法によって監視した。
【0172】 10日齢ヒヨコ胚によるCAMは、PBSまたは30ナノグラム(ng)のβ
FGFのどちらかによって飽和させたフィルタディスクによって局所的に刺激し
た。5分後、CAM組織を切開し、溶解緩衝液中で均質化し、次に、RafのR
as結合ドメインをコード化するGST融合ペプチドによって沈殿される能力に
よって、Ras活性を決定した。活性RasのみがRafに結合するため、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)に結合されたRafのRas結合
ドメインより成る組換えタンパク質が生成した。これに対してGSTはセファロ
ースビードに結合し、組織ライゼートから活性Rasを沈殿させることができた
【0173】 結果を図9に示すが、βFGFに曝露したCAMライゼート中のRas活性は
、Rasプルダウン検定法によって決定されたように上昇した。したがってRa
sは、CAM中でβFGFに曝露させることによって誘起される。CAMの血管
由来の血管形成におけるRasの役割は、実施例10で述べるようにさらに評価
する。
【0174】 B.Rasは血管形成に必要である 次に、血管形成がCAM調製物中でのRasの活性化に依存するかどうかを判
定するために、CAMを優性陰性Ras突然変異体S17N Rasを発現させ
る目的で、以下に述べるようにRasのβFGF活性化と組合わせて、RCAS
レトロウィルス調製物に曝露した。この突然変異体は、GTPに対して優先的親
和性を有するGDPと結合し、そのためRas−GEFを隔離することによって
内在性Ras活性化を阻害する突然変異体を与えることが示されている。それゆ
え、CAM血管形成モデルでの突然変異体の使用により、血管形成でのRasの
役割を評価する方法が与えられる。
【0175】 S17N Ras突然変異体は、前に述べた標準の特定部位突然変異誘発によ
って、位置17にあるセリン(S)残基のコード化トリプレットを、アスパラギ
ン(N)をコード化するコドンによって置換して、野生種ヒトRas(Wt H
−Ras)配列から作成される。このような突然変異体は、たとえばStewa
rdら、J.Biol. Chem., 275:8854−8862(200
0)によって、他者が述べている。
【0176】 優性陰性発現作成物のレトロウィルス作成物を調製するために、wt H−R
asに対してこのような突然変異誘起を行い、それをコード化する核酸配列を図
10に示す(SEQ ID NO.:3)。図11(SEQ ID NO.:4
)は、図10に示す野生種ヒトRas(wt H−Ras)のcDNAヌクレオ
チド配列によってコード化されるアミノ酸残基配列を示す。以下に述べるのと同
様に、S17N Rasを作成する目的でwt H−Ras cDNA内で望ま
しい突然変異を発生させるために、当業者に既知の標準の特定部位突然変異誘発
手順を使用した。望ましい突然変異を含むよう設計されたPCRプライマーも、
次のクローニングステップを促進するために制限部位を持つように設計された。
ニワトリ、ヒトなどのRas同族体の既知のcDNA配列に基づくPCR増幅技
法およびその後の新たな作成物の形成によって、Rasコード化核酸配列のセグ
メント全体を核酸作成物から削除できる。PCRによって作成されたすべての突
然変異作成物も、クローンの予測DNA配列を確認するために、PCRによって
配列決定できる。
【0177】 次に生じた突然変異Ras配列を、本明細書で述べるレトロウィルス発現ベク
ター作成物として調製した。本発明で使用するための好ましい発現作成物の1つ
は、RCAS(A)作成物である。この発現ベクターは、力価を向上させるため
に強化ブライアンポリメラーゼ(BP)を含む、一連の複製適格性ニワトリ肉腫
ウィルスに基づいており、正常なニワトリ細胞上で発現されるA型エンベロープ
グルコプロテインに対して特異性である(Methods in Cell B
iology, 52:179−214(1997)で概説されている;Hug
hesら、J. Virol. 61:3004−3012(1987);Fe
kete&Cepko, Mol. Cellular Biol. 13:2
604−2613(1993);Itohら、Development 122
:291−300(1996);およびStottら、BioTechniqu
es 24:660−666(1998)も参照)。本明細書ではRCASと呼
ぶ、RCAS(A)の完全な配列は、当業者に既知であり、データベースで利用
できる。
【0178】 5マイクログラム(ug)の調製RCAS作成物を次に、ニワトリ固定化線維
芽細胞系、DF−1(ミネソタ大学Doug Fosterより寄贈)に形質移
入した。この細胞系は初期ヒヨコ胚線維芽細胞と同様に、ウィルス作成が可能で
あるが、DF−1細胞系はより高い力価を生成した。ウィルス上澄は、無血清C
LM培地[組成:DMSO、ギ酸、グルタミン酸およびMEMビタミン溶液を補
充したF−10培地ベース]中でサブコンフルエントDF−1産生細胞系から収
集した。35ミリリットルのウィルス上澄を、4℃にて2時間、22,000r
pmにて超遠心分離法によって濃縮した。これらの濃縮ウィルスペレットを、元
の体積の100倍の無血清CLM培地によって再懸濁させ、分割して、−80℃
で保存した。RCAS−GFPと呼ばれる緑蛍光タンパク質(GFP)をコード
化するヌクレオチド配列を持つ対照ウィルスベクターの連続希釈、48−72時
間インキュベートした初期ヒヨコ胚線維芽細胞に対する感染によって力価を評価
した。濃縮後に得られたウィルスストックの力価は日常的に10Iu/mlを
超えた。
【0179】 ウィルスストックを用いたCAMアッセイの場合、酢酸コルチゾンに浸した直
径6mmのWhatmanフィルタディスクを、3mgの酢酸コルチゾンの95
%エタノール溶液に30分間浸漬して調製した。ディスクは層流フード内で乾燥
させて、次に20μlのウィルスストックに、ディスク1枚当たり10分間浸漬
した。これらのディスクは10日齢ヒヨコ胚のCAMに当て、セロハンテープで
封をして、37℃にて18〜24時間インキュベートした。次に偽PBSまたは
成長因子を5μg/mlの濃度で、CAM組織へのウィルス追加としての体積1
5マイクロリットル(ul)の適切なウィルスストック中のCAMに加えた。7
2時間後、CAMを収穫し、ディスク下のCAMの分岐点数の二重盲検計数によ
って決定した血管形成指数の変化を検査した。キナーゼ検定法の場合、ディスク
下の組織はRIPAで収集し、モータグラインダで均質化し、前に実施例4で述
べたようにRafを決定した。免疫蛍光検査研究では、ディスク下のCAM組織
をOCT内で凍結し、低温保存し、4umで切断し、アセトン中で1分間固定し
、3%標準ヤギ血清で1時間インキュベートし、次いで以前述べたようにウサギ
一次抗体中でインキュベートし(Eliceiriら、J. Cell. Bi
ol., 140:1255−1263(1998))、PBS中で洗浄し、蛍
光二次抗体を用いて検出した。
【0180】 図12に示す結果は、突然変異体ヌルRASであるS17Nによる感染がCA
Mでの成長因子誘起の血管形成を阻止したことをグラフで明らかにしているが、
血管形成を誘起するためにβFGFに曝露しなかったCAMには何の効果もなか
った。したがって、RasはβFGF誘起血管形成に必要である。
【0181】 C.Raf−MEK−ERK経路によるRasシグナル伝達は、重要な血管形
成調節因子である 血管形成の調節におけるRaf−MEK−ERK経路のRasの役割をさらに
評価するために、上述したように別のH−Ras突然変異タンパク質をCAM調
製物中で使用し、その結果を以下と図13に示す。この状況で、本発明は血管形
成を調節できる2種類のRas機能について述べる。Rafタンパク質について
以前説明したように、1種類は血管形成を増進させるRas分子を含み、そのた
めに活性タンパク質と見なされる。野生種Rasは各種の突然変異とともに、血
管形成を誘起することが本発明に示されている。
【0182】 この状況でインビボで血管成長を誘起し、それゆえ腫瘍重量を増加させる能力
に関して機能する野生種H−Rasの好ましい突然変異の1つは、アミノ酸(a
a)残基位置12に、グリシン(G)をバリン(V)に変える点突然変異を含む
、V12とも呼ばれるRas G12V突然変異体である。この突然変異Ras
は構成的に活性である。
【0183】 本発明で構成性血管形成活性剤として述べられている別のH−Ras突然変異
タンパク質は、Ras V12S35であり、ここでは位置12のグリシンがバ
リン(V)に変更され、位置35のトレオニン(T)がセリン(S)に変更され
、両方の突然変異がRas V12S35で生じた。この突然変異H−Rasタ
ンパク質は、図13Aに示すようにRaf−MEK−ERK経路を選択的にのみ
活性化することが示されている。
【0184】 血管形成のH−Ras陰性調節因子はRas V12C40突然変異体であり
、ここで位置12のグリシンはRas V12S35でと同様にバリン(V)に
変更されたが、他の突然変異は位置40で、ここでチロシン残基(Y)がシステ
イン(C)に変更されて、それゆえ両方の突然変異がRas V12C40で生
じた。この突然変異H−Rasは、AktおよびRacをP1−3キナーゼ(図
13Aに示すP13K)経路を選択的に活性化することが知られている。それゆ
えRas V12C40はRaf−MEK−ERK経路で機能せず、血管形成を
刺激しないどころか、むしろ阻害する。血管形成に対する阻害活性を付与する突
然変異を有するタンパク質も、成長因子刺激から生じる高いRアs活性と同様に
Rasの内在性活性から生じるものを含め、新血管形成を阻害するという点で、
優性陰性Rasタンパク質と呼ばれる。したがって、本発明の野生種H−Ras
のある突然変異も、血管成長を阻止し、そのためにインビボでの腫瘍重量を減少
させるという能力に関して、優性陰性として機能することができる。3種類のH
−Ras作成物および突然変異タンパク質は、Jonesonら、Scienc
e, 271:810−812(1996)が以前に述べている。
【0185】 点突然変異に関して、望ましい阻害または刺激活性を生じる突然変異は、本発
明での使用について考慮される。(以下の実施例に示すような)望ましいRas
(またはRafタンパク質)(突然変異またはそのフラグメント)と、発現アミ
ノ酸タグ、抗原エピトープ、蛍光タンパク質、またはそのような他のタンパク質
またペプチドを組合わせた融合タンパク質作成物も、Rasタンパク質の望まし
い調節効果が無傷である限り考慮される。
【0186】 血管形成のシグナル伝達経路活性化における追加のRas突然変異タンパク質
の役割を評価するために、それぞれのレトロウィルス発現作成物を上述にように
調製した。15ulの高力価の、Raf−MEK−ERK活性化Ras作成物を
コード化するRCAS(A)ウィルスであるRas V12S35または、Ra
s作成物を活性化するPI3キナーゼをコード化するRCAS(A)ウィルスで
あるRas V12C40は、10日齢CAM調製物中のフィルタディスクに局
所的に塗布し、シグナル伝達経路の選択的活性化の点で、突然変異Rasタンパ
ク質の血管形成に対する効果について、上述のように結果を評価した。
【0187】 図13Aおよび図13Bは、Ras−Raf−MEK−ERK経路を選択的に
活性化する突然変異Ras作成物であるRas V12S35による感染が血管
形成を誘起したが、これに対して、PI3K経路を突然変異作成物であるRas V12C40は誘起しなかったことを、図とグラフで示している。したがって
これらの結果によって、Ras V12S35タンパク質が血管形成刺激剤であ
り、血管形成のRas仲介活性化は、H−Ras突然変異体V12C40が使用
するP13K経路によってではなく、Raf−MEK−ERK経路の活性化によ
って生じることが確認された。
【0188】 D.RasまたはRas独立Raf誘起血管形成にどちらにも、MEK−ER
K経路のMEK成分が必要である 血管形成調節において、Raf−MEK−ERK経路でのRasおよびRaf
の独立した役割をさらに評価するために、Raf−Caaxと呼ばれ、Ras結
合不在時に構成的および酵素的に活性であることが知られる原形質膜を標的とす
るRaf突然変異タンパク質を、MEK活性化の既知の阻害剤であるPD980
59とともに、本明細書で述べるようにCAM調製物で使用した。図14は融合
タンパク質Raf−caaxをコード化する核酸配列を示し、ここでヒトRaf
(wt H−Raf)のカルボキシ末端をコード化する核酸配列は、K−ras
膜局在化ドメインの20個のアミノ酸残基配列(SEQ ID NO.:6)を
コード化するヌクレオチド配列に融合されている。図15(SEQ ID NO
.:7)は、図14に示した融合ヌクレオチド配列から生じた融合タンパク質で
ある、Raf−caaxのアミノ酸残基配列を示す。融合タンパク質は、Lee
versら、Nature, 369:411−414(1994)およびSt
okoeら、Science, 264:1463−1467(1994)によ
って述べられている。
【0189】 Rafによって誘起された血管形成とともに、Ras独立Raf誘起血管形成
を評価するために、MEK阻害剤であるPD98059を上述のようにCAM調
製物中で使用した。実施例9Cで述べたように調製した、活性化Ras作成物で
あるRas V12(Ras G12V)および活性化Raf作成物であるRa
f−caaxをコード化するウィルスは、実施例9Bで述べたようにフィルタデ
ィスクに局所的に塗布した。24時間後、1ナノモルのMEK阻害剤、PD98
059をディスクに加えた。次にCAMを実施例9Bおよび図12で述べたよう
に評価した。プロットしたデータは、胚20個の平均±標準誤差である。
【0190】 図16A−16Eおよび図16Fはそれぞれ、MEK阻害剤であるPD980
59が、突然変異活性Ras(図16B)またはRaf(図16D)のいずれか
によって誘起された血管形成(図16Cおよび図16E)を阻止したことを図と
グラフで示している。したがってRasおよびRafは両方とも、MEK−ER
K経路によって血管形成を誘起する。プロットしたデータは、個別に処理したC
AMの写真による結果をグラフで表している。
【0191】 10.RasではなくRafに誘起された血管形成は、インテグリン遮断によ
る阻害に不応性である インテグリンシグナル伝達が、血管形成を生じるRas−Raf−MEK−E
RK経路を活性化する方法を判断するために、ανβインテグリン遮断抗体の
存在下で、突然変異活性RasおよびRaf作成物によるCAM検定法を実施し
た。10日齢のヒヨコ胚によるCAMを、図9および12で述べたようにPBS
(対照)、βFGF、RCAS(A)レトロウィルス作成物G12V−Rasま
たはRaf−caaxのいずれかで飽和したフィルタディスクを用いて刺激した
。インテグリンανβに対するモノクローナル抗体であるLM609は、24
時間後に静脈送達し、血管形成は72時間後に血管分岐点分析によって評価した
。代表的なCAMは挿入図に示す。データは、胚20個の平均±標準誤差である
【0192】 図17A〜17Fおよび図17Gはそれぞれ、RasではなくRafによって
誘起された血管形成が、インテグリン社団による阻害に不応性であることを図と
グラフで示している。突然変異活性RasおよびRaf作成物の両方による感染
は、図17Bおよび図17でそれぞれ示されるように顕著な血管形成を誘起した
が、図17Eに示すように、Ras誘起血管形成のみがανβインテグリン遮
断抗体によって阻害された。検定法で使用するRaf構成物はRas独立性であ
るため、Raf誘起血管形成のインテグリン阻害の欠如は、インテグリン信号伝
達がRafのRas仲介活性化の間か前に生じることを示している。プロットし
たデータは、個別に処理したCAMの写真の結果をグラフで示している。
【0193】 11.病巣付着キナーゼによるRas−Raf−MEK−ERK経路の調節 Ras−Raf−MEK−ERK血管形成経路の成長因子受容体活性化の役割
を判断するために、不活性病巣付着キナーゼであるFRNKと呼ばれる突然変異
ヌル病巣付着キナーゼの存在下で、Ras V12またはRaf−caax発現
タンパク質のいずれかを用いて、上述したようにCAM血管形成検定法を実施し
た。
【0194】 上述したように調製した、Ras V12またはRaf−caaxをコード化
するRCAS(A)ウィルスは、FAK関連ヌルキナーゼ(FRNK)をコード
化するRCAS(B)ウィルスとともに、実施例9B(図12)で述べたように
CAMフィルタディスクに局所的に塗布した。データは胚20個の平均±標準誤
差である。
【0195】 結果は図18A〜18Dおよび18Eに示す。18A〜18Dは、CAMの突
然変異ヌル病巣付着キナーゼFRNKとの同時感染がRasを遮断したことを図
で示している;しかし、未処理Ras(図18A)、未処理Raf(図18C)
およびFRNK処理Raf(図18D)と比較した図18Bの少数の血管によっ
て示されるように、Raf誘起血管形成は遮断しなかった。プロットしたデータ
は、個別に処理したCAMの写真による結果をグラフで示している。
【0196】 CAM検定法のデータは、以前述べたように調製した、マウス皮下血管形成モ
デルで確認された。血管形成は、400ng/mlのβFGFまたは説明した遺
伝子を発現するMoloneyレトロウィルス発現パッケージング細胞を含む2
50ulの氷冷成長因子削減マトリゲルを、マウスの脇腹に皮下注射して誘起し
た。高い力価のウィルスがvsv gコートタンパク質によってパッケージされ
ているため、FRNKレトロウィルスをマトリゲルに追加した。5日後、内皮特
異性FITC結合Bandeiriea Simplifica B5レクチン
を尾血管から注射し、循環させた。次に血管形成組織を除去、抽出および検定す
ることによって、蛍光含量について血管形成を定量化した。
【0197】 図19Aおよび19B〜19Gはそれぞれ、マウス皮下血管形成モデルにおい
て、FRNKがβFGFおよび、RafではなくRas誘起血管形成を遮断した
ことをグラフと図で示している。
【0198】 キナーゼ活性化がRas−Raf−MEK−ERK経路で生じるレベルを確認
するために、CAMをレトロウィルス発現FRNK、突然変異ヌル病巣付着キナ
ーゼと、Ras G12VまたはRaf−caaxのどちらかとともに同時感染
させた。CAMは、24時間後に血管形成組織を切除、可溶化し、Raf免疫沈
降させ、キナーゼ死滅MEKをリン酸化する能力によってRaf活性を評価する
ことを除いて、図18に示すように処理した。図20Aおよび20Bは、CAM
と突然変異ヌル病巣付着キナーゼFRNKの同時感染が、RafのRas誘起活
性化を遮断したことを示している。図20Aは、結果の上の各組合せで検定した
、総Rafタンパク質に対する免疫沈降活性Rafタンパク質を示している。図
20Bは、これらの条件下での活性Raf測定の結果をグラフにプロットしてい
る。したがって、FRNKはRaf活性を直接阻害しないが、むしろRasによ
ってRafの活性を阻害している。
【0199】 12.考察 上の研究は、インビボでの血管形成にはRafキナーゼが必要かつ十分である
ことを示している。さらに、突然変異によって不活性であるRafキナーゼを成
長する血管にターゲティングすると、局所的な内皮アポトーシスを誘起する。同
じターゲティングは血管形成も抑制し、、事前に存在していたヒト腫瘍の抑制、
さらには縮退さえ生じる。
【0200】 突然変異不活性形のRafキナーゼ(Raf K375M)をコード化する遺
伝子のレトロウィルス送達によって、生体胚での腫瘍血管形成に対する実質的な
影響が証明された。重要なことに、使用したレトロウィルスベクターは、マウス
系統の増殖細胞に特異的に感染する。したがって、ヒト腫瘍異種移植片の血管区
画のみが感染した(図1および4)。不活性Raf K375Mキナーゼの送達
は、インビトロでの成長因子誘起Rafキナーゼ活性を抑制し、インビボでの成
長因子誘起血管形成を遮断する(図2および3)。これに対して、突然変異活性
形のRafキナーゼ(Raf306−648)のレトロウィルス送達は、インビ
ボでの血管形成を誘起するのに十分であった(図4)。さらに、マウスの腫瘍に
対する不活性Rafキナーゼを発現するウィルスの送達は、内皮特異的な方法で
アポトーシスを誘起することがわかった(図5)。最後に、ヒト腫瘍を接種し、
不活性Rafを発現するウィルスで処理した動物は、迅速な腫瘍縮退を受け、こ
れは実験の期間を通して維持された(図6)。したがって、Rafキナーゼは血
管形成に十分かつ必要であり、このキナーゼのターゲティングは血管形成を抑制
し、血管形成依存性疾患を予防する。
【0201】 実施例9〜11で述べ、図9、12、13および16〜20で示したように、
マウスとニワトリにおける上述の血管形成検定法の結果として、本発明は、血管
形成活性剤タンパク質であるRaf−caax、Ras G12V Rasおよ
びRas V12S35と、血管形成阻害剤タンパク質であるRas S17N
およびRas V12C40を提供する。さらに本研究は、RasがRafの活
性化に必要であるが、インテグリン仲介シグナル伝達が、Raf活性化の下流で
はなく、その間か、前に相互作用することを示す、Ras−Raf−MEK−E
RK経路のRas仲介活性化を理解するための基礎を提供する。
【0202】 上述の明細書は当業者が、本発明を実施するのに十分であるが、、本明細書で
示し、説明した以外の本発明の各種変更は、上述の説明から当業者には明らかと
なり、添付請求項の範囲内となる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
本開示のタンパク質を形成構成する図において:
【図1】 第1図は、エコトロピックパッケージングされたレトロウイルスがマウス細胞
にのみを感染させることを示すものである。A:ウイルスを含有する上澄み液を
マウス由来線維芽細胞、B:マウス由来内皮細胞、C:ヒト上皮腺癌細胞、D:
ヒト黒色腫細胞。
【図2】 第2図は、マウス内皮細胞株において、βFGF誘導Raf活性の増大が、R
af K375Mでの事前の感染によってブロックされることを示すものである
【図3】 第3図は、マウス皮下脈管形成モデルにおいて、変異不活性Raf K375
Mが、βFGF誘発脈管形成をブロックすることを示すものである。A:脈管形
成の定量、B:新生血管形成の光学切片法による確認。
【図4】 第4図は、変異活性Rafが、マウス皮下脈管形成モデルにおける脈管形成を
促進することを示すものである。A:脈管形成の定量、B:新生血管形成の切片
法およびメイソンのトリクロームを用いる染色法による確認。
【図5】 第5図は、腫瘍へのRaf K375Mキナーゼのレトロウイルス伝達が、内
皮特異的な方式でアポトーシスを誘発することを示すものである。A:vWF発
現による内皮細胞の同定、B:Raf K375Mキナーゼ遺伝子感染細胞、C
及びD:各マーカーのアポトーシス細胞を示すTUNELマーカーと共に局在す
るように見える。
【図6】 第6図は、Raf K375キナーゼ遺伝子の内皮伝達が、腫瘍の成長を抑制
し、腫瘍の退縮を促進することを示すものである。A:対照GFP遺伝子の注射
では見られなかった腫瘍の急速な退縮、B:この退縮の急速な発生及び実験期間
中の維持。
【図7】 第7図は、イントロンが欠失した完全コード配列であるヒトc−Rafをコー
ドするcDNA配列を示すものである。
【図8】 第8図は、第7図に示した核酸配列の中で示されるヒトc−Rafのコード配
列に関するコードされた翻訳アミノ酸残基配列を示すものである(配列番号2)
【図9】 第9図は、脈管形成が、Ras−Raf−MEK−ERK経路の活性化依存す
ることを示すものである。
【図10】 第10図は、野生型ヒトRas(H−Rasを含まない)のcDNAコードド
メインのヌクレオチド配列を示すものである(配列番号3)。
【図11】 第11図は、第10図に示した野生型ヒトRas(H−Rasを含まない)の
cDNAヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸残基配列を示す(配列
番号4)。
【図12】 第12図は、変異ヌルRasでの感染が、CAMにおける成長因子誘発性脈管
形成をブロックしたことを示すものである。
【図13A】 第13A図は、Ras−Raf−MEK−ERK経路を選択的に活性化する変
異Ras構成体、Ras V12S35での感染は、脈管形成を誘発し、これに
対してPI3K経路を選択的に活性化する変異構成体、Ras V12C40は
、脈管形成を誘発しないことを、略図でそれぞれ示すものである。
【図13B】 第13B図は、Ras−Raf−MEK−ERK経路を選択的に活性化する変
異Ras構成体、Ras V12S35での感染は、脈管形成を誘発し、これに
対してPI3K経路を選択的に活性化する変異構成体、Ras V12C40は
、脈管形成を誘発しないことを、グラフでそれぞれ示すものである。
【図14】 第14図は、ヒトRaf(H−Rafを含まない)のカルボキシ末端をコード
するヌクレオチド配列が、K−Ras膜局在化ドメインの20のアミノ酸残基配
列をコードするヌクレオチド配列と融合する、融合タンパク質Raf−caax
をコードするヌクレオチド配列を示すものである(配列番号6)。
【図15】 第15図は、Raf−caax、第14図に示した融合ヌクレオチド配列から
発生する融合タンパク質のアミノ酸残基配列を示すものである(配列番号7)。
【図16】 第16図は、MEK阻害剤、PD98059が、変異活性RasまたはRaf
のいずれかによって誘発された脈管形成をブロックすることを、写真(A〜E)
およびグラフ(F)でそれぞれ示すものである。
【図17】 第17図は、それぞれ、RasではなくRafによって誘発される脈管形成が
インテグリンのブロックによる抑制に対して無反応であることを写真(A〜F)
およびグラフ(G)で示すものである。
【図18】 第18図は、それぞれ、CAMの変異ヌルフォーカス癒着キナーゼ、FRNK
との共感染によって、Rasはブロックされたが、Raf誘発性脈管形成はブロ
ックされなかったことを写真(A〜D)およびグラフ(E)で示すものである。
【図19】 第19図は、それぞれ、FRNKが、マウス皮下脈管形成モデルにおいてβF
GFおよびRas(Rafではない)誘発性脈管形成をブロックしたことをグラ
フ(A)および写真(B〜G)で示すものである。
【図20A】 第20A図は、CAMと、変異ヌルフォーカス癒着キナーゼ、FRNKとの共
感染によって、RafのRas誘導活性化がブロックされたことを示すものであ
る。結果の上の組合せのもとで評価した全Rafタンパク質に対する免疫沈降活
性を示す。
【図20B】 第20B図は、CAMと、変異ヌルフォーカス癒着キナーゼ、FRNKとの共
感染によって、RafのRas誘導活性化がブロックされたことを示すものであ
る。本明細書に記載した条件のもとでの活性Raf測定の結果をグラフで表すも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 27/06 A61P 29/00 29/00 35/00 35/00 A61K 37/52 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 チエレツシユ,デイビツド・エイ アメリカ合衆国、カリフオルニア・92024、 エンシニタス、ローン・ヒル・レイン・ 3277 Fターム(参考) 4C076 AA19 BB01 BB13 BB15 BB31 CC01 CC03 EE60 4C084 AA02 AA03 AA16 DC25 MA02 NA13 NA14 ZA33 ZA36 ZA96 ZB15 ZB26

Claims (67)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包装材料および前記包装材料内に収容された医薬組成物を含
    む製品であって、前記医薬組成物は疾病状態に関連する組織における脈管形成を
    調節することができ、前記包装材料は脈管形成を調節することによって疾病状態
    を治療するために前記医薬組成物を用いることができるということを示すラベル
    を含み、および、前記医薬組成物はRafタンパク質またはRafタンパク質を
    発現することができるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、前
    記製品。
  2. 【請求項2】 前記Rafタンパク質が活性Rafタンパク質であり、およ
    び前記調節が脈管形成を増強するものである、請求項1に記載の製品。
  3. 【請求項3】 前記活性Rafタンパク質が野生型Rafである、請求項2
    に記載の製品。
  4. 【請求項4】 前記活性Rafタンパク質が融合タンパク質である、請求項
    3に記載の製品。
  5. 【請求項5】 前記活性Raf融合タンパク質がRaf−caaxである、
    請求項4に記載の製品。
  6. 【請求項6】 前記組織が血行不良を有する、請求項2に記載の製品。
  7. 【請求項7】 前記Rafタンパク質が不活性Rafタンパク質であり、前
    記調節が脈管形成を抑制するものである、請求項1に記載の製品。
  8. 【請求項8】 前記不活性Rafタンパク質が、位置375のアミノ酸がリ
    ジンではないように残基375に変異を有する、請求項7に記載の製品。
  9. 【請求項9】 前記組織が炎症を起こしており、前記状態が関節炎または慢
    性関節リウマチである、請求項7に記載の製品。
  10. 【請求項10】 前記組織が固形腫瘍または固形腫瘍転移である、請求項7
    に記載の製品。
  11. 【請求項11】 前記投与が化学療法と共に行われる、請求項10に記載の
    製品。
  12. 【請求項12】 前記組織が網膜組織であり、前記状態が網膜症、糖尿病性
    網膜症または黄斑変性である、請求項7に記載の製品。
  13. 【請求項13】 前記組織が冠動脈管形成術部位にあり、前記状態が再狭窄
    である、請求項7に記載の製品。
  14. 【請求項14】 前記投与が、静脈内投与、経皮投与、関節滑液嚢内投与、
    筋肉内投与、または経口投与を含む、請求項1に記載の製品。
  15. 【請求項15】 前記投与が一回用量の静脈内投与を含む、請求項1に記載
    の製品。
  16. 【請求項16】 前記医薬組成物がリポソームをさらに含む、請求項1に記
    載の製品。
  17. 【請求項17】 前記医薬組成物が前記ヌクレオチド配列を発現することが
    できるウイルス発現ベクターを含む、請求項1に記載の製品。
  18. 【請求項18】 前記医薬組成物が前記ヌクレオチド配列を発現することが
    できる非ウイルス性発現ベクターを含む、請求項1に記載の製品。
  19. 【請求項19】 疾病状態に関連する組織における脈管形成を調節するため
    の方法であって、Rafタンパク質またはRafタンパク質を発現することがで
    きるヌクレオチド配列を含む脈管形成調節量の医薬組成物を前記組織に投与する
    ことを含む、前記方法。
  20. 【請求項20】 前記Rafタンパク質が活性Rafタンパク質であり、前
    記調節が脈管形成を増強するものである、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記活性Rafタンパク質が野生型Rafである、請求項
    20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記活性Rafタンパク質が融合タンパク質である、請求
    項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記活性Raf融合タンパク質がRaf−caaxである
    、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記組織が血行異常を有する、請求項20に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記Rafタンパク質が不活性Rafタンパク質であり、
    前記調節が脈管形成を抑制するものである、請求項19に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記不活性Rafタンパク質が、位置375のアミノ酸が
    リジンではないように残基375に変異を有する、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記組織が炎症を起こしており、前記状態が関節炎または
    慢性関節リウマチである、請求項25に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記組織が固形腫瘍または固形腫瘍転移である、請求項2
    5に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記投与が化学療法と共に行われる、請求項28に記載の
    方法。
  30. 【請求項30】 前記組織が網膜組織であり、前記状態が網膜症、糖尿病性
    網膜症または黄斑変性である、請求項25に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記組織が冠動脈管形成術部位にあり、前記組織には再狭
    窄についての危険がある、請求項25に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記投与が、静脈内投与、経皮投与、関節滑液嚢内投与、
    筋肉内投与、または経口投与を含む、請求項19に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記投与が一回用量の静脈内投与を含む、請求項19に記
    載の方法。
  34. 【請求項34】 前記医薬組成物がリポソームをさらに含む、請求項19に
    記載の方法。
  35. 【請求項35】 前記医薬組成物が前記ヌクレオチド配列を発現することが
    できるレトロウイルス発現ベクターを含む、請求項19に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記医薬組成物が前記ヌクレオチド配列を発現することが
    できる非ウイルス性発現ベクターを含む、請求項19に記載の方法。
  37. 【請求項37】 キナーゼ活性を有するRafタンパク質をコードする核酸
    セグメントを有する核酸を含むウイルス性遺伝子導入ベクター、および製薬上許
    容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成を促進
    するための医薬組成物。
  38. 【請求項38】 キナーゼ活性を有するRafタンパク質をコードする核酸
    セグメントを有する核酸を含む非ウイルス性遺伝子導入ベクター、および製薬上
    許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成を促
    進するための医薬組成物。
  39. 【請求項39】 キナーゼ活性を有さないRafタンパク質をコードする核
    酸セグメントを有する核酸を含むウイルス性遺伝子導入ベクター、および製薬上
    許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成を抑
    制するための医薬組成物。
  40. 【請求項40】 キナーゼ活性を有さないRafタンパク質をコードする核
    酸セグメントを有する核酸を含む非ウイルス性遺伝子導入ベクター、および製薬
    上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成を
    抑制するための医薬組成物。
  41. 【請求項41】 キナーゼ活性を有する治療量のRafタンパク質、および
    製薬上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形
    成を促進するための医薬組成物。
  42. 【請求項42】 キナーゼ活性を有さない治療量のRafタンパク質、およ
    び製薬上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管
    形成を抑制するための医薬組成物。
  43. 【請求項43】 包装材料および前記包装材料内に収容された医薬組成物を
    含む製品であって、前記医薬組成物は疾病状態に関連する組織における脈管形成
    を調節することができ、前記包装材料は脈管形成を調節することによって疾病状
    態を治療するために前記医薬組成物を用いることができるということを示すラベ
    ルを含み、および、前記医薬組成物は、Rasタンパク質またはRasタンパク
    質を発現することができるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを含む
    、前記製品。
  44. 【請求項44】 前記Rasタンパク質またはRasタンパク質をコードす
    るオリゴヌクレオチドが、抑制性Rasタンパク質である、請求項43に記載の
    製品。
  45. 【請求項45】 前記抑制性Rasが、Ras V12C40である、請求
    項44に記載の製品。
  46. 【請求項46】 前記抑制性Rasが、Ras S17Nである、請求項4
    4に記載の製品。
  47. 【請求項47】前記Rasタンパク質またはRasタンパク質をコードする
    オリゴヌクレオチドが、促進性Rasタンパク質である、請求項43に記載の製
    品。
  48. 【請求項48】 前記促進性Rasが、Ras G12Vである、 請求項
    47に記載の製品。
  49. 【請求項49】 前記促進性Rasが、Ras V12S35である、 請
    求項47に記載の製品。
  50. 【請求項50】 疾病状態に関連する組織における脈管形成を調節するため
    の方法であって、Rasタンパク質またはRasタンパク質をコードするヌクレ
    オチド配列を含む脈管形成調節量の医薬組成物を前記組織に投与することを含む
    、前記方法。
  51. 【請求項51】 前記Rasタンパク質またはRasタンパク質をコードす
    るオリゴヌクレオチドが、不活性Rasタンパク質である、請求項50に記載の
    方法。
  52. 【請求項52】 前記不活性Rasが、Ras V12C40である、請求
    項51に記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記不活性Rasが、Ras S17Nである、請求項5
    1に記載の方法。
  54. 【請求項54】 前記Rasタンパク質またはRasタンパク質をコードす
    るオリゴヌクレオチドが、活性Rasタンパク質である、請求項50に記載の方
    法。
  55. 【請求項55】 前記活性Rasが、Ras GV12である、請求項54
    に記載の方法。
  56. 【請求項56】 前記活性Rasが、Ras V12S35である、請求項
    54に記載の方法。
  57. 【請求項57】 製薬上許容され得る担体または賦形剤中の、脈管形成調節
    活性を有するRasタンパク質をコードする核酸セグメントを有する核酸を含む
    ウイルス性遺伝子導入ベクターを含む、標的哺乳動物組織における脈管形成を調
    節するための医薬組成物。
  58. 【請求項58】 前記Rasタンパク質が脈管形成抑制活性を有する、標的
    哺乳動物における脈管形成を抑制するための請求項57に記載の医薬組成物。
  59. 【請求項59】 前記Rasタンパク質が、Ras V12C40である、
    請求項58に記載の医薬組成物。
  60. 【請求項60】 前記Rasタンパク質が、Ras S17Nである、請求
    項58に記載の医薬組成物。
  61. 【請求項61】 前記Rasタンパク質が、脈管形成活性化活性を有する、
    請求項57に記載の医薬組成物。
  62. 【請求項62】 前記Rasタンパク質が、Ras G12Vである、請求
    項61に記載の医薬組成物。
  63. 【請求項63】 前記Rasタンパク質が、Ras V12S35である、
    請求項61に記載の医薬組成物。
  64. 【請求項64】 脈管形成調節活性を有するRasタンパク質をコードする
    核酸セグメントを有する核酸を含む非ウイルス性遺伝子導入ベクター、および製
    薬上許容され得る担体または賦形剤を含む、標的哺乳動物組織における脈管形成
    を調節するための医薬組成物。
  65. 【請求項65】 疾病状態に関連する組織における脈管形成を調節する方法
    であって、Rafタンパク質またはRafタンパク質を発現することができるヌ
    クレオチド配列、およびRasタンパク質またはRasタンパク質を発現するこ
    とができるヌクレオチド配列を含む、脈管形成調節量の医薬組成物を前記組織に
    投与することを含む、前記方法。
  66. 【請求項66】 前記調節が脈管形成の抑制であり、前記Rafタンパク質
    およびRasタンパク質の少なくとも一方が不活性である、請求項65に記載の
    方法。
  67. 【請求項67】 前記調節が脈管形成の促進であり、前記Rafタンパク質
    およびRasタンパク質の少なくとも一方が活性である、請求項65に記載の方
    法。
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