JP2003507065A - Pgrp−lポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体 - Google Patents

Pgrp−lポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体

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JP2003507065A JP2001518858A JP2001518858A JP2003507065A JP 2003507065 A JP2003507065 A JP 2003507065A JP 2001518858 A JP2001518858 A JP 2001518858A JP 2001518858 A JP2001518858 A JP 2001518858A JP 2003507065 A JP2003507065 A JP 2003507065A
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 本発明は、PGRP−Lと呼ばれる新規なヒトタンパク質およびマウスタンパク質、ならびにこれらのタンパク質をコードする単離されたヌクレオチドに関する。このヒトタンパク質を産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法がまた、提供される。本発明はさらに、この新規なヒトタンパク質に関する障害を、診断および処置するために有用な診断方法および治療方法に関する。本発明はまた、ケラチノサイト、肝臓組織により発現される新規ペプチドグリカン認識結合タンパク質に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、ケラチノサイト、肝臓組織により発現される新規ペプチドグリカン
認識結合タンパク質に関する。より詳細には、ヒトおよびマウスペプチドグリカ
ン認識タンパク質関連タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供され、
本明細書中、図1A〜Bおよび図2A〜Bにおいて、それぞれ、PGRP−L(
肝臓)として言及され、ヒトペプチドグリカン認識タンパク質(PGRP)なら
びにマウスTag−7の両方に対する相同性を有する。PGRP−Lポリペプチ
ドもまた提供される。さらに、これらを産生するためのベクター、宿主細胞およ
び組換え方法が提供される。本発明はまた、PGRP−Lポリペプチドの活性の
阻害および増強ならびにPGRP−Lの遺伝子発現を検出するための診断方法の
両方に関する。
【0002】 (発明の背景) ペプチドグリカンならびにリポ多糖(LPS)は、ヒトにおける広範な生理的
応答および免疫応答を誘発する(illicit)多くの細菌の表面成分である
。特に、ペプチドグリカンは、細菌感染のほとんどの徴候(熱、急性期応答、炎
症、敗血症性ショック、白血球増加症、眠気、倦怠感、膿瘍(abcess)形
成および関節炎(Dziarskiら、JBC、273(15):8680(1
998)を参照のこと)を含む)を再現することにより、それ自体を臨床的に明
らかにすることが示されてきた。さらに、この型のペプチドグリカン(すなわち
、ムラミルジペプチド、N−アセチルグルコサミニル−β(1−4)−N−アセ
チルムラミルテトラペプチドなどの特定の立体異性体またはアナログ)が、広範
な活性(より大きな発熱性を示すこと、急性関節炎を誘導すること、マクロファ
ージを刺激すること、および初回刺激部位において出血性壊死を引き起こすこと
(Kotaniら、Fed Proc、45(11):2534(1986)を
参照のこと)を含む)を誘発することが示された。
【0003】 ヒトにおいて、微量血漿タンパク質として発見されたリポ多糖結合タンパク質
が存在することが実証されている(Schumannら、Science、24
9(4975):1429(1990)を参照のこと)。このリポ多糖結合タン
パク質が機能する1つの作用の様式が、リポ多糖と高い親和性の複合体を形成す
ることによるものであり、次いで、この複合体が、マクロファージおよび単球に
結合し、腫瘍壊死因子の分泌を誘導すると考えられる。Dziarskiおよび
Gupta(Dziarskiら、JBC、269(3):2100(1994
)を参照のこと)は、マウスリンパ球の表面上に存在する70kDaのレセプタ
ータンパク質が、ヘパリン、ヘパリノイド(heparinoid)、細菌性リ
ポテイコ酸、ペプチドグリカン、およびリポ多糖を結合するために作用すること
を実証した。
【0004】 最近、Dziarskiらは、CD14(マクロファージ、および多形核白血
球の表面上に存在するグリコシルホスファチジルイノシトール結合タンパク質)
が、ペプチドグリカンおよびリポ多糖を結合することを実証した。さらに、CD
14のリポ多糖に対する結合親和性は、血漿中に存在するLPS結合タンパク質
の存在下において有意に増加された。LPS結合タンパク質は転移分子(tra
nsfer molecule)として機能し、それによって、LPS結合タン
パク質はLPSを結合し、そしてLPSをCD14レセプターに提示すると考え
られる(Dziarskiら、JBC、273(15):8680(1998)
を参照のこと)。
【0005】 Yoshidaらは、カラムクロマトグラフィーを使用して、ペプチドグリカ
ン結合タンパク質をカイコ(Bombyx mori)の血液リンパから単離し
た。このタンパク質は、ペプチドグリカンに対して非常に特異的な親和性を有す
ることが見出された(Yoshidaら、JBC、271(23):13854
(1996)を参照のこと)。さらに、Kangらは、最近、ペプチドグリカン
結合タンパク質をガ(Trichoplusia ni)からクローン化した。
このペプチドグリカン結合タンパク質は、不溶性のペプチドグリカンに強く結合
することが示された(Kangら、PNAS、95(17):10078(19
98)を参照のこと)。この研究において、このペプチドグリカン結合タンパク
質は、T.niにおける細菌感染によって上方制御された。昆虫の免疫系は、先
天免疫についてのモデルとして見なされる。従って、Kangらは、T.niペ
プチドグリカン結合タンパク質のマウスホモログおよびヒトホモログの両方をク
ローン化し得た。すべてのこれらのペプチドグリカン結合タンパク質は、相同性
領域ならびにこのタンパク質の3次構造において(おそらく、結合ドメインの形
成の補助において)機能し得る4つの保存されたシステイン残基を共有していた
。ペプチドグリカンが、細菌細胞壁の必須の成分であり、そしてそれが、炎症お
よびマクロファージ活性化に対するサイトカイン分泌に由来する多くの生理学的
応答を誘導すると仮定すると、あたかもこのタンパク質のファミリーは、ペプチ
ドグリカンの結合および認識、抗原(例えば、細胞壁成分など)の提示、および
免疫系の活性化(例えば、TNFのようなサイトカインの分泌)に関与する遍在
性のグループであり得るように見える。
【0006】 TNFは、組織損傷を生じるプロ炎症性作用(例えば、血管内皮細胞における
凝血原活性の誘導(Pober,J.S.ら、J.Immunol.136:1
680(1986))、好中球およびリンパ球の接着の増加(Pober,J.
S.ら、J.Immunol.138:3319(1987))、ならびにマク
ロファージ、好中球および血管内皮細胞からの血小板活性化因子の放出の刺激(
Camussi,G.ら、J.Exp.Med.166:1390(1987)
)について注目される。
【0007】 最近の文献は、多くの感染(Cerami,A.ら、Immunol.Tod
ay 9:28(1988))、免疫障害、腫瘍性病理学(例えば、いくつかの
悪性腫瘍を伴う悪液質において(Oliff,A.ら、Cell 50:555
(1987))の病原において、ならびに自己免疫病理学および対宿主性移植片
病理学(Piguet,P.−F.ら、J.Exp.Med.166:1280
(1987))において、TNFを関係付けている。TNFと癌および感染の病
理学との関連性は、しばしば宿主の異化状態に関連している。癌患者における主
要な問題は、体重減少(通常、食欲不振に関連する)である。この生じる広範な
るいそう(wasting)は、「悪液質」として知られる(Kern,K.A
.ら、J.Parent.Enter.Nutr.12:286−298(19
88))。悪液質は、進行性の体重減少、食欲不振および悪性腫瘍の増殖に対す
る応答における集塊(body mass)の持続性の侵食を含む。従って、悪
液性状態は有意な罹患率に関連し、そして大多数の癌死亡率の原因である。多く
の研究は、TNFが、癌、感染病理および他の異化状態における悪液質の重要な
媒介物であることを示唆してきた。
【0008】 TNFは、グラム陰性敗血症および内毒素ショックの病態生理学的(熱、倦怠
感、食欲不振および悪液質を含む)な結果において中心的な役割を果たすと考え
られる(Michie,H.R.ら、Br.J.Surg.76:670−67
1(1989);Debets,J.M.H.ら、Second Vienna
Shock Forum,463−466頁(1989);Simpson,
S.Q.ら、Crit.Care Clin.5:27−47(1989))。
内毒素は、TNF(Kornbluth,S.K.ら、J.Immunol.1
37:2585−2591(1986))および他のサイトカインの産生および
分泌を刺激する強力な単球/マクロファージ活性化因子である。TNFは、内毒
素の多くの生物学的効果を模倣し得るので、内毒素に関連する疾患の臨床症状に
対する原因である中心的な媒介物であると結論付けられた。TNFおよび他のサ
イトカイン誘導性単球は、内毒素に対する代謝性応答および神経ホルモン応答を
媒介する(Michie,H.R.ら、N.Eng.J.Med.318:14
81−1486(1988))。ヒトボランティアに対する内毒素投与は、イン
フルエンザ様症状(熱、頻脈、代謝速度およびストレスホルモン放出の増加を含
む)を伴う急性の疾患を生じる(Revhaug,A.ら、Arch.Surg
.123:162−170(1988))。増大したレベルの循環するTNFは
また、グラム陰性敗血症を罹患する患者において見出されてきた(Waage,
A.ら、Lancet l:355−357(1987));Hammerle
,A.F.ら、Second Vienna Shock Forum 715
−718頁(1989);Debets,J.M.H.ら、Crit.Care
Med.17:489−497(1989);Calandra,T.ら、J
.Infec.Dis.161:982−987(1990))。
【0009】 上記で議論されるように、これらの病理状態におけるTNF産生の増加および
TNFレベルの上昇に基づくと、TNFの中和に指向される受動免疫治療は、グ
ラム陰性敗血症および内毒血症において有益な効果を有し得る。カケクチン(後
に、TNFと同一であることが見出された)として特徴づけられた「モジュレー
ター」物質に対する抗体が、Ceramiらにより開示された。(EPO特許公
報0,212,489,1987年3月4日)。このような抗体は、診断的免疫
アッセイおよび細菌感染におけるショックの治療において有用であると言われた
。Rubinら(EPO特許公報0,218,868,1987年4月22日)
は、ヒトTNFに対するモノクローナル抗体、このような抗体を分泌するハイブ
リドーマ、そのような抗体を産生する方法、およびTNFの免疫アッセイにおけ
るそのような抗体の使用を開示した。Yoneら(EPO特許公報0,288,
088,1988年10月26日)は、(特に、川崎病(Kawasaki’s
pathology)および細菌感染における)抗TNF抗体(mAbを含む
)および病理の免疫アッセイ診断における抗TNF抗体の有用性を開示した。川
崎病(乳児急性熱皮膚粘膜リンパ節症候群;Kawasaki,T.、Alle
rgy 16:178(1967);Kawasaki,T.、Shonica
(Pediatrics)26:935(1985))を伴う患者の体液は、そ
の病理の進行に関連した上昇したTNFレベルを含むと言われた(Yoneら、
前出)。
【0010】 Kiselevらは、tag7を単離した。tag7は、TNFファミリーの
リガンドに対して、遠い相同性を有する分泌されたマウスサイトカインである(
Kiselev,S.L.ら,J Biol.Chem.,273:18633
−39(1998))。tag7は、インビトロでマウスL929細胞における
アポトーシスを誘発し、従って、アポトーシスを通じて理解される、インビボで
の有意な細胞障害性を有する分子であり得ることが見出された。さらにtag7
は、造血組織およびリンパ組織において構成的に発現され、そのことは、tag
7が、正常な免疫系機能において役割を果たし得ることを示唆する。
【0011】 従って、病理状態に関与する分子を提供する必要性が存在する。このような新
規のタンパク質は、免疫認識、抗原提示および免疫系の活性化のような分野にお
いて、免疫系を増強する際に有用であり得る。これらのタンパク質に対する抗体
またはアンタゴニストは、TNFおよびTNF様サイトカインに関連する障害(
例えば、内毒素ショックおよび自己免疫障害)を減少または除去する際に有用で
あり得る。
【0012】 (発明の要旨) 本発明は、ヒトおよびマウスPGRP−L(本明細書中ではまとめて、PGR
P−Lと呼ぶ)のポリペプチドをコードする新規のポリヌクレオチドに関する。
さらに、本発明は、ポリペプチドおよびポリペプチドを産生するためのベクター
、宿主細胞、抗体および組換え方法に関する。また、提供するのは、PGRP−
Lポリペプチドに関連する障害および状態を検出するための方法であり、そして
このような障害または状態を処置または予防するための治療法である。本発明は
さらに、PGRP−Lの結合パートナーを同定するためのスクリーニング方法に
関する。
【0013】 (詳細な説明) (定義) 以下の定義は、本明細書全体を通して使用される特定の用語の理解を容易にす
るために提供される。
【0014】 本発明において、「単離された(単離した)」とは、その本来の環境(例えば
、それが天然に存在する場合は天然の環境)から取り出された物質をいい、した
がって、その天然の状態から「人間の手によって」変更されている。例えば、単
離されたポリヌクレオチドは、ベクターまたは物質の組成物の一部であり得るか
、あるいは細胞中に含まれ得、そしてなお「単離され」得る。なぜなら、そのベ
クター、物質の組成物、または特定の細胞は、ポリヌクレオチドの本来の環境で
はないからである。
【0015】 本発明において、「分泌」PGRP−Lタンパク質とは、ER、分泌小胞、ま
たは細胞外間隙にシグナル配列の結果として指向され得るPGRP−Lタンパク
質、ならびにシグナル配列を必ずしも含まないが細胞外間隙に放出されるタンパ
ク質をいう。PGRP−L分泌タンパク質が、細胞外間隙に放出される場合、こ
のPGRP−L分泌タンパク質は、「成熟」PGRP−Lタンパク質を産生する
ために細胞外プロセシングを受け得る。細胞外間隙への放出は、エキソサイトー
シスおよびタンパク質分解切断を含む多くの機構によって生じ得る。
【0016】 本明細書中で使用される場合、ヒトPGRP−L「ポリヌクレオチド」とは、
配列番号1に含まれる核酸配列を有する分子、またはATCCに寄託されたクロ
ーン、HPJEV37内に含まれるcDNAをいう。例えば、ヒトPGRP−L
ポリヌクレオチドは、5’および3’非翻訳配列、シグナル配列を含むかもしく
は含まないコード領域、分泌タンパク質コード領域を含む全長cDNA配列のヌ
クレオチド配列、ならびにこの核酸配列のフラグメント、エピトープ、ドメイン
、および改変体を含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、ヒトPGRP
−L「ポリペプチド」とは、広く定義される場合、ポリヌクレオチドから生じた
翻訳されたアミノ酸配列を有する分子をいう。
【0017】 特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、1200bp,80
0bp,600bp,400bp,200bp,100bp,または50bpの
長さ未満である。さらなる実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、P
GRP−Lコード配列の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含むが、任意
のPGRP−Lイントロンのすべてまたはその一部を含まない。別の実施形態に
おいて、PGRP−Lコード配列を含む核酸は、ゲノム隣接遺伝子(すなわち、
ゲノムにおけるPGRP−L遺伝子に対して5’または3’)のコード配列を含
まない。
【0018】 本発明では、図1A−Bに示されるヒトPGRP−L配列(配列番号1)は、
寄託されたローンの配列を重複させることによって生成された(コンティグ分析
)。図1A−Bに示される配列(配列番号1)についてのすべてまたはほとんど
を含む代表的クローンが、2000年8月7日に、アメリカンタイプカルチャー
コレクション(「ATCC」)に寄託された。ATCCは、10801 Uni
versity Boulevard,Manassas,VA 20110−
2209,USAに位置する。ATCC寄託は、特許手続目的のための微生物の
寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項に拠って行われた。
【0019】 PGRP−L「ポリヌクレオチド」はまた、ストリンジェントなハイブリダイ
ゼーション条件下で、図1A−Bに開示される配列(配列番号1)、その相補体
、図2A−Bに開示される配列(配列番号3)、その相補体、または寄託された
クローン内のcDNAにハイブリダイズし得るポリヌクレオチドを含む。「スト
リンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50%ホルムアミド、5×
SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリ
ン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%デキストランサル
フェート、および20μg/ml変性剪断サケ***DNAを含む溶液中での42
℃での一晩インキュベーション、続いて0.1×SSC中で約65℃にてフィル
ターを洗浄することをいう。
【0020】 中程度に高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件でPGRP−
Lポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子もまた意図される。ハイブリ
ダイゼーションのストリンジェンシーおよびシグナル検出の変化は、主として、
ホルムアミド濃度(より低い百分率のホルムアミドが、低下したストリンジェン
シーを生じる);塩条件、または温度の操作を通じて達成される。例えば、より
低いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(20×SSPE=3M NaC
l;0.2M NaH2PO4;0.02M EDTA、pH7.4)、0.5%
SDS、30%ホルムアミド、100μg/mlサケ***ブロッキングDNA
を含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション;次いで1×SSPE、0.
1% SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さらに、さらにより低いストリン
ジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーション後に
行われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SSC)で行われ得る。
【0021】 上記の条件における変化が、ハイブリダイゼーション実験においてバックグラ
ウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬の含有および/ま
たは置換によって達成され得ることに留意のこと。代表的なブロッキング試薬と
しては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ***DNA、およ
び市販の特許処方物が挙げられる。特異的ブロッキング試薬の含有は、適合性の
問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。
【0022】 もちろん、ポリA+配列(例えば、配列表に示されるcDNAの任意の3’末
端ポリA+領域(tract))に、またはT(もしくはU)残基の相補的スト
レッチにのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、「ポリヌクレオチド」の
定義に包含されない。なぜなら、このようなポリヌクレオチドは、ポリ(A)ス
トレッチまたはその相補体を含む任意の核酸分子(例えば、プライマーとしてオ
リゴdTを用いて生成される、事実上任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブ
リダイズするからである。
【0023】 PGRP−Lポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデ
オキシリボヌクレオチドから構成され得、これは、非改変RNAもしくは非改変
DNAまたは改変RNAもしくは改変DNAであり得る。例えば、PGRP−L
ポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混
合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領
域の混合物であるRNA、一本鎖、またはより代表的には二本鎖もしくは一本鎖
および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分
子から構成され得る。さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドは、RNAもしく
はDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む、三本鎖領域から構成され得る
。PGRP−Lポリヌクレオチドはまた、安定性のために、または他の理由のた
めに改変された、1つ以上の改変された塩基またはDNAもしくはRNA骨格を
含み得る。「改変された」塩基としては、例えば、トリチル化された塩基および
イノシンのような普通でない塩基が挙げられる。種々の改変が、DNAおよびR
NAに対して行われ得;したがって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的
、または代謝的に改変された形態を含む。
【0024】 PGRP−Lポリペプチドは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、
すなわち、ペプチドアイソスター(isostere)によって互いに連結した
アミノ酸から構成され得、そして遺伝子がコードする20個のアミノ酸以外のア
ミノ酸を含み得る。PGRP−Lポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような
天然のプロセスによって、または当該技術分野で周知の化学改変技術によっての
いずれかで、改変され得る。このような改変は、基本テキスト、およびより詳細
な研究論文、ならびに多くの研究文献に十分記載される。改変は、ペプチド骨格
、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、PGRP−
Lポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ型の改変が、所定のPGRP−Lポ
リペプチド中のいくつかの部位で同じまたは種々の程度で存在し得ることが理解
される。また、所定のPGRP−Lポリペプチドは多くの型の改変を含み得る。
PGRP−Lポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として分枝状であり
得、そしてポリペプチドは、分枝を含むかまたは含まない、環状であり得る。環
状、分枝状および分枝した環状のPGRP−Lポリペプチドは、天然の翻訳後プ
ロセスから生じ得るか、または合成方法によって作製され得る。改変としては、
アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、
ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質
または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphot
idylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、
脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成
、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸
化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(pegylatio
n)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノ
イル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸のトランスファ
ーRNA媒介付加、およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、PROTEI
NS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIE
S,第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and
Company,New York(1993);POSTTRANSLATI
ONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEI
NS,B.C.Johnson編,Academic Press,New Y
ork,1−12頁(1983);Seifterら,Meth Enzymo
l 182:626−646(1990);Rattanら,Ann NY A
cad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
【0025】 「配列番号1」とは、ヒトPGRP−Lポリヌクレオチド配列をいうが、「配
列番号2」とは、ヒトPGRP−Lポリペプチド配列をいう。
【0026】 「生物学的活性を有する」PGRP−Lポリペプチドとは、特定の生物学的ア
ッセイで測定した場合、用量依存性を伴なっても伴なわなくても、PGRP−L
ポリペプチド(成熟形態を含む)の活性と類似であるが、必ずしも同一ではない
活性を示すポリペプチド(例えば、ヒトPGRP−Lポリペプチドおよび/また
は成熟PGRP−Lポリペプチド)をいう。用量依存性が存在する場合、PGR
P−Lポリペプチドの用量依存性と同一である必要はないが、むしろPGRP−
Lポリペプチドと比較した場合に、所定の活性における用量依存性に実質的に類
似する(すなわち、候補ポリペプチドは、PGRP−Lポリペプチドと比較して
、より大きな活性を示すか、または約1/25以上、そして好ましくは約1/1
0以上の活性、そして最も好ましくは約1/3以上の活性を示す)。
【0027】 (PGRP−Lポリヌクレオチドおよびポリペプチド) 図2A−B(配列番号:3)に示されるヌクレオチド配列によってコードされ
るタンパク質は、全長マウスPGRP−L(mPGRP−L)タンパク質である
。マウスPGRP−Lタンパク質の推定分子量は、約57.8kDaである。
【0028】 クローンHPJEV37を、ヒトPC3前立腺由来の細胞株cDNAライブラ
リーより単離した。このクローンは、図1A−Bに同定される全体のコード領域
を含む。寄託されたクローンは、およそ合計1200ヌクレオチドを有するcD
NAを含み、174アミノ酸残基の推定のオープンリーディングフレームをコー
ドする(図1A−Bを参照のこと)。オープンリーディングフレームは、ヌクレ
オチド3〜5によってコードされるアルギニン残基で始まり、そしてヌクレオチ
ド525から527によってコードされる停止コドンによって終わる。図1A−
Bに開示されるヌクレオチド配列(配列番号:1)によってコードされるタンパ
ク質は、全長ヒトPGRP−Lタンパク質の部分的なアミノ酸配列である。以下
でより詳細に示されるように、当業者には、全長ヒトPGRP−Lタンパク質を
コードする全長cDNAを単離することは、従来的である。部分的なヒトPGR
P−Lタンパク質の推定分子量は、約18.6kDaである。
【0029】 続くノザン分析は、肝臓組織におけるhPGRP−Lの強力な発現を実証した
。約1.0kbのマイナーな転写物(プロセスされていないRNA前駆体または
代替のスプライス改変体を表すようである)を有する、約2〜2.5kbの単一
の初めの転写物観察された。主要な2〜2.5kb点者物の発現が、肝臓組織に
おいて最も高かった。
【0030】 配列番号1として同定されたhPGRP−Lヌクレオチド配列を、寄託された
クローンより得られた部分的に相同な(「重複」)配列から構築した。重複配列
を、図1A〜Bに示される最終配列(配列番号1)を生じる高い重複性の、単一
の連続する配列に構築した。
【0031】 従って、配列番号1および翻訳された配列番号2ならびに配列番号3および翻
訳された配列番号4は、十分に正確であり、そして他には、当該分野で周知であ
りそして以下にさらに記載される種々の用途に適切である。例えば、配列番号1
または配列番号3は、配列番号1、配列番号3または寄託されたクローンに含ま
れるcDNA中に含まれる核酸配列を検出する核酸ハイブリダイゼーションプロ
ーブを設計するために有用である。これらのプローブはまた、生物学的サンプル
中の核酸分子にハイブリダイズし、これにより本発明の種々の法医学的方法およ
び診断方法を可能にする。同様に、配列番号2または配列番号4から同定される
ペプチドは、hPGRP−Lおよび/またはmPGRP−Lに特異的に結合する
抗体を産生するために使用され得る。
【0032】 それにもかかわらず、配列決定反応によって生成されるDNA配列は、配列決
定のエラーを含み得る。このエラーは、誤って同定されたヌクレオチドとして、
または生成されたDNA配列におけるヌクレオチドの挿入または欠失として存在
する。誤って挿入されたか、または欠失されたヌクレオチドは、推定アミノ酸配
列のリーディングフレームにおいてフレームシフトを引き起こす。これらの場合
において、作製されるDNA配列は、実際のDNA配列と99.9%(例えば、
1000塩基を超えるオープンリーディングフレームにおける1塩基の挿入また
は欠失)を超えて同一であり得るにもかかわらず、推定アミノ酸配列は、実際の
アミノ酸配列とは異なる。
【0033】 従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における正確さを必要とするこ
れらの適用のために、本発明は、配列番号1として同定された作製されたヌクレ
オチド配列、および配列番号2として同定された推定の翻訳されたアミノ酸配列
のみではなく、ATCCに寄託されたhPGRP−LのヒトcDNAを含むプラ
スミドDNAのサンプルもまた提供する。各々の寄託されたクローンのヌクレオ
チド配列は、公知の方法に従って寄託されたクローンの配列決定によって容易に
決定され得る。次いで、推定hPGRP−Lアミノ酸配列は、このような寄託物
から証明され得る。さらに、寄託されたクローンによってコードされるタンパク
質のアミノ酸配列はまた、ペプチド配列決定によって、または寄託されたヒトP
GRP−LcDNAを含む適切な宿主細胞中でタンパク質を発現させ、このタン
パク質を収集し、そしてその配列を決定することによって、直接的に決定され得
る。
【0034】 本発明は、図1A〜Bに示されるhPGRP−Lポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチド配列、図1A〜B(配列番号1)に示されるポリヌクレオチドコ
ード配列、図2A〜Bに示されるPGRPポリペプチド、図2A〜Bに示される
ポリヌクレオチドコード配列(配列番号3)、およびそれらに相補的な鎖を含む
か、あるいはそれからなるポリヌクレオチドに関する。
【0035】 本発明はまた、配列番号1、配列番号2、または寄託されたクローンに対応す
るhPGRP−L遺伝子に関する。対応するhPGRP−L遺伝子は、本明細書
中に開示される配列情報を使用して、公知の方法に従って単離され得る。このよ
うな方法は、開示された配列からプローブまたはプライマーを調製する工程、お
よびゲノム物質の適切な供給源からhPGRP−L遺伝子を同定または増幅する
工程を包含する。
【0036】 また本発明において、PGRP−Lの対立遺伝子改変体、種ホモログおよびオ
ーソログ(ortholog)が提供される。種ホモログは、本明細書中で提供
される配列から適切なプローブまたはプライマーを作製しそして所望のホモログ
について適切な核酸供給源をスクリーニングすることにより、単離されそして同
定され得る。
【0037】 本発明のPGRP−Lポリぺプチドは、任意の適切な様式で調製され得る。こ
のようなポリぺプチドとしては、単離された天然に存在するポリぺプチド、組換
え的に生成されたポリぺプチド、合成的に生成されたポリぺプチド、またはこれ
らの方法の組合せによって生成されたポリぺプチドが挙げられる。このようなポ
リぺプチドを調製するための手段は、当該分野において十分に理解される。
【0038】 本発明のPGRP−Lポリぺプチドは、分泌タンパク質の形態(成熟形態を含
む)であり得るか、またはより大きいタンパク質(例えば、融合タンパク質)の
部分であり得る(以下を参照のこと)。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列
、精製を補助する配列(例えば、複数のヒスチジン残基)、または組換え生成の
間の安定性のためのさらなる配列を含むさらなるアミノ酸配列を含むことは、し
ばしば有利である。
【0039】 PGRP−Lポリぺプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そし
て好ましくは実質的に精製される。PGRP−Lポリぺプチド(分泌されたポリ
ぺプチドを含む)の組換え的に生成されたバージョン(version)は、S
mithおよびJohnson、Gene 67:31−40(1988)に記
載される1工程の方法により、実質的に精製され得る。PGRP−Lポリぺプチ
ドはまた、当該分野において周知の方法において、PGRP−Lタンパク質に対
して惹起される本発明の抗体を使用して、天然、合成または組換えの供給源から
精製され得る。
【0040】 寄託されたクローンに存在しないかもしれないPGRP−L遺伝子の5’部分
または3’部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能である。これらの方
法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタープローブ探索、特異的プ
ローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である5’および3’「
RACE」プロトコルと類似するかまたは同一のプロトコル。例えば、5’RA
CEに類似する方法は、所望の全長転写物の欠けている5’末端を生成するため
に利用可能である(Fromont−Racineら、Nucleic Aci
ds Res.21(7):1683−1684(1993))。
【0041】 簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をお
そらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレ
オチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライ
マーを含むプライマーセットを使用して、それぞれ、ヒトPGRP−Lの全長遺
伝子の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、
そしてこれを使用して全長遺伝子を生成し得る。
【0042】 この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが
、ポリA+RNAをも使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスフ
ァターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RN
Aの5’リン酸基を排除し得る。次いで、ホスファターゼが不活化されるべきで
あり、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造
を除去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理するべきである
。この反応は、次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチド
に連結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。
【0043】 この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第
一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を、
連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子
の公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のた
めのテンプレートとして使用する。次いで、得られた生成物を配列決定し、そし
て分析して5’末端配列がPGRP−L遺伝子に属することを確認する。
【0044】 あるいは、ヒトPGRP−Lコードエキソンを含むゲノムクローンを、以下で
議論されるようにヒトゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより単離
し得る。一旦、ポジティブクローンを同定すると、ゲノムクローンに含まれるD
NA挿入物を単離し得、そしてそのDNAを配列決定し得る。一旦DNA配列を
決定すると、多くのコンピューターベースのDNA配列分析プログラム(例えば
、BLASTおよびGRAILのような)を利用して、ヒトPGRP−L遺伝子
に関連するコードエキソンおよび非コードイントロンの同定、およびそれにより
寄託されたクローンには予め存在しないかもしれないヒトPGRP−L全長遺伝
子の任意の5’部分の同定を可能にする。
【0045】 (ポリヌクレオチドおよびポリペプチドフラグメント) 本発明はさらに、本明細書中に記載される単離された核酸分子のフラグメント
に関する。例えば、寄託されたcDNA(クローンHPJEV37)のヌクレオ
チド配列、寄託されたcDNAによりコードされるポリペプチド配列をコードす
るヌクレオチド配列、図1A〜B(配列番号2)に記載されるポリペプチド配列
をコードするヌクレオチド配列、図1A〜B(配列番号1)に記載されるヌクレ
オチド配列、またはそれらに対する相補鎖、図2A〜B(配列番号4)に記載さ
れるポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列、図2A〜B(配列番号3
)に記載されるヌクレオチド配列、またはそれらに対する相補鎖を有する単離さ
れた核酸分子のフラグメントによって、少なくとも15nt、そしてより好まし
くは少なくとも約20nt、なおより好ましくは少なくとも30nt、そしてさ
らにより好ましくは少なくとも約40、50、100、150、200、250
、300、325、350、375、400、450、500、550または6
00nt長のPGRP−Lポリヌクレオチドが意図される。これらのフラグメン
トは、多数の用途(これは、本明細書中に考察されるような診断プローブおよび
プライマーが挙げられるが、これらに限定されない)有する。当然のことながら
、より大きなフラグメント(例えば、601〜1500nt長のフラグメント)
もまた、図1A〜B(配列番号1)、図2A〜B、またはそれらに対する相補鎖
に示されるように、寄託されたcDNA(クローンHPJEV37)のヌクレオ
チド配列に全てではなくてもほとんど対応するフラグメントである場合、本発明
に従って有用である。例えば、少なくとも20nt長のフラグメントは、例えば
、寄託されたcDNAのヌクレオチド配列、または図1A〜B(配列番号1)に
示されるようなヌクレオチド配列、または図2A〜B(配列番号3)に示される
ようなヌクレオチド配列からの20以上の連続する塩基を含むフラグメントを意
図する。この文脈において、「約(おおよそ)」は、特に記載された範囲、いず
れかの末端もしくは両方の末端において、数個(5、4、3、2、または1)の
ヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな範囲を含む。これらのポリヌクレオチド
によりコードされるポリペプチドもまた本発明により含まれる。
【0046】 さらに、hPGRP−L(クローンHPJEV37)ポリヌクレオチドフラグ
メントの代表的な例としては、例えば、配列番号1(図1A〜B)の末端に対し
て、おおよそのヌクレオチド数3〜53、54〜104、105〜152、15
3〜200、201〜251、252〜302、303〜350、351〜40
1、402〜452および/または453〜514もしくはそれに対する相補鎖
の配列を有するフラグメント、または寄託されたクローン中に含まれるcDNA
が挙げられる。さらに、図2A〜Bに開示される配列のポリヌクレオチドフラグ
メントの代表的な例としては、例えば、図2A〜Bに開示される配列のおおよそ
のヌクレオチド数157〜198、199〜258、259〜309、310〜
360、361〜411、412〜459、460〜510、511〜561、
562〜609、610〜660、661〜711、712〜762、763〜
813、814〜864、865〜915、916〜966、967〜1017
、1018〜1068、1069〜1119、1120〜1170、1171〜
1221、1222〜1272、1273〜1323、1324〜1374、1
375〜1425、1426〜1476、1477〜1527、1528〜15
78、1579〜1629、1630〜1680、1681〜1731、173
2〜1746および/または1423〜1503またはそれらに対する相補鎖の
配列を有するフラグメントが挙げられる。この文脈において、「約(おおよそ)
」は、特に記載された範囲、いずれかの末端もしくは両方の末端において、数個
(5、4、3、2、または1)のヌクレオチドだけ大きいかまたは小さな範囲を
含む。これらのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドもまた本発明
により含まれる。本発明はまた、中程度の高ストリンジェンシーハイブリダイゼ
ーション条件および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で上記の1以上のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含
む。これらのポリヌクレオチドフラグメントおよびポリヌクレオチドによりコー
ドされるポリペプチドもまた、本発明により含まれる。
【0047】 好ましくは、本発明のポリヌクレオチドフラグメントは、PGRP−L機能的
活性を示すポリペプチドをコードする。PGRP−L「機能的活性」を示すポリ
ペプチドとは、PGRP−Lタンパク質と関連した1つ以上の公知の機能的活性
を示し得るポリペプチドを意味する。このような機能的活性としては、アポトー
シス(例えば、実施例38および39を参照のこと)、ペプチドグリカン結合(
例えば、実施例37を参照のこと)、生物学的活性、抗原性[抗PGRP−L抗
体に結合する(または結合について、PGRP−Lポリペプチドと競合する)能
力]、免疫原性(PGRP−Lポリペプチドに結合する抗体を生成する能力)、
本発明のPGRP−Lポリペプチドとマルチマーを形成する能力、およびPGR
P−Lポリペプチドについてのレセプターまたはリガンドに結合する能力が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0048】 PGRP−Lポリペプチド、ならびにそれらのフラグメント、改変体、誘導体
、およびアナログの機能的活性は、種々の方法によってアッセイされ得る。
【0049】 例えば、抗PGRP−L抗体(例えば、抗hPGRP−Lおよび抗mPGRP
−L)への結合について本発明の全長ポリペプチドに結合するかまたはそれと競
合する能力についてアッセイする、1つの実施形態では、当該分野で公知の種々
の免疫アッセイが、用いられ得る。このようなアッセイとしては、ラジオイムノ
アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫ア
ッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサ
イチュ免疫アッセイ(例えば、コロイド金、酵素または放射性同位体標識を用い
る)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセ
イ、血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインA
アッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような技術を用いる競合および非
競合アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、
抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。別の実施形
態では、この一次抗体は、この一次抗体に対する二次抗体または試薬の結合を検
出することによって検出される。さらなる実施形態では、この二次抗体が標識さ
れる。多くの手段が、免疫アッセイにおける結合の検出について当該分野で公知
であり、そして本発明の範囲内である。
【0050】 別の実施形態では、PGRP−Lリガンドが同定されたか、または本発明のポ
リペプチドフラグメント、改変体、もしくは誘導体が多量体化する能力が評価さ
れる場合、結合が、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパ
ク質アフィニティークロマトグラフィー、ならびにアフィニティーブロッティン
グのような当該分野で周知の手段によって、アッセイされ得る。一般には、Ph
izicky、E.ら、1995、Microbiol.Rev.59:94−
123を参照のこと。別の実施形態では、その基質へのPGRP−Lの結合の生
理学的相関(シグナル伝達)がアッセイされ得る。
【0051】 さらに、本明細書中に記載のアッセイ(実施例を参照のこと)および当該分野
で公知の他のアッセイは、PGRP−Lポリペプチドならびにそれらのフラグメ
ント、改変体、誘導体、およびアナログが、PGRP−Lが関連する生物学的活
性を(インビトロまたはインビボのいずれかで)惹起する能力を測定するために
、慣用的に適用され得る。他の方法は、当業者に公知であり、そして本発明の範
囲内である。
【0052】 本発明はさらに、本明細書中に記載されるPGRP−Lポリペプチドのフラグ
メントに関する。例えば、寄託されたcDNA(クローンHPJEV37)によ
りコードされる単離されたPGRP−Lポリペプチドのフラグメント、図1A〜
B(配列番号2)に示されるポリペプチド配列、および/または図2A〜B(配
列番号4)に示されるポリペプチド配列によって、配列番号2中に含まれるポリ
ペプチドフラグメント、配列番号4中に含まれるポリペプチドフラグメント、お
よび/または寄託されたクローン中に含まれるcDNAによりコードされるポリ
ペプチドフラグメントを含むことが意図される。タンパク質フラグメントは、「
自立構造(free−standing)」であり得るか、あるいはより大きな
ポリぺプチド内(そのフラグメントが、部分または領域を(最も好ましくは単一
の連続した領域として)形成する)に含まれ得る。本発明のポリペプチドフラグ
メントの代表的な例としては、例えば、図1A〜B(配列番号2)に開示される
アミノ酸配列のおおよそのアミノ酸数1〜20、21〜40、41〜60、61
〜80、81〜100、102〜120、121〜140、141〜160、ま
たは161〜174のフラグメントを含む。本発明のポリペプチドフラグメント
の代表的な例としては、例えば、図2A〜B(配列番号4)に開示されるアミノ
酸配列のおおよそのアミノ酸数1〜20、21〜40、41〜60、61〜80
、81〜100、102〜120、121〜140、141〜160、もしくは
161〜200、201〜250、251〜300、301〜350、351〜
400、401〜450、451〜500および/または500〜530のフラ
グメントを含む。さらに、ポリペプチドフラグメントは、少なくとも20、30
、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、1
40、または150アミノ酸の長さであり得る。この文脈において、「約(おお
よそ)」とは、特に記載された範囲、いずれかの末端もしくは両方の末端におい
て、これより数個(5、4、3、2、または1)のアミノ酸だけ大きいかまたは
小さな範囲または値を含む。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドもまた、本発明に含まれる。
【0053】 タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、タンパク質の1つ以
上の生物学的機能の損失の改変を生じるとしても、他の機能的活性(例えば、生
物学的活性、多量体化する能力、PGRP−Lリガンドに結合する能力)は、な
お保持され得る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または成熟形態を認識する
抗体を誘導すし、そして/またはその抗体に結合する、短縮型PGRP−L形態
の能力は、完全なポリペプチド、または成熟ポリペプチドの大部分より少ない残
基が、N末端から除去される場合には、一般的に保持される。完全なポリペプチ
ドのN末端残基を欠く特定のポリペプチドが、このような免疫学的活性を保持す
るか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、および当該分野において公
知の他の方法によって容易に決定され得る。多数の欠失したN末端アミノ酸残基
を有するPGRP−Lムテインは、いくつかの生物学的活性または免疫原性活性
を保持し得るようである。実際に、6つ程度に少ないPGRP−Lアミノ酸残基
からなるペプチドは、しばしば免疫応答を惹起し得る。
【0054】 従って、好ましいポリペプチドフラグメントとしては、アミノ末端もしくはカ
ルボキシ末端またはその両方からの連続した一連の欠失した残基を有する、図1
A〜Bに示されるhPGRP−Lタンパク質が挙げられる。例えば、任意の数の
アミノ酸(1〜60の範囲)は、図1A〜Bに示されるhPGRP−Lポリペプ
チドのアミノ末端から欠失され得る。同様に、任意の数のアミノ酸(1〜30の
範囲)が、図1A〜Bに示されるhPGRP−Lタンパク質のカルボキシ末端か
ら欠失され得る。さらに、上記のアミノ末端およびカルボキシ末端の欠失の任意
の組み合わせは好ましい。同様に、これらのポリペプチドフラグメントをコード
するポリヌクレオチドもまた好ましい。
【0055】 具体的に、図1A〜Bに示されるhPGRP−LポリペプチドのN末端欠失は
、PGRP−Lに対して一般式mにより表され得、ここでmは、2〜173の整
数であり、ここでmは、図1A〜B(配列番号2)において同定されるアミノ酸
残基の位置に対応する。さらに具体的に、本発明は、図1A〜B(配列番号2)
の以下の残基のアミノ酸配列を含むか、あるいはこれらからなる、ポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドを提供する:G−2〜S−174;W−3〜S−
174;H−4〜S−174;W−5〜S−174;V−6〜S−174;G−
7〜S−174;A−8〜S−174;H−9〜S−174;T−10〜S−1
74;L−11〜S−174;G−12〜S−174;H−13〜S−174;
N−14〜S−174;S−15〜S−174;R−16〜S−174;G−1
7〜S−174;F−18〜S−174;G−19〜S−174;V−20〜S
−174;A−21〜S−174;I−22〜S−174;V−23〜S−17
4;G−24〜S−174;N−25〜S−174;Y−26〜S−174;T
−27〜S−174;A−28〜S−174;A−29〜S−174;L−30
〜S−174;P−31〜S−174;T−32〜S−174;E−33〜S−
174;A−34〜S−174;A−35〜S−174;L−36〜S−174
;R−37〜S−174;T−38〜S−174;V−39〜S−174;R−
40〜S−174;D−41〜S−174;T−42〜S−174;L−43〜
S−174;P−44〜S−174;S−45〜S−174;C−46〜S−1
74;A−47〜S−174;V−48〜S−174;R−49〜S−174;
A−50〜S−174;G−51〜S−174;L−52〜S−174;L−5
3〜S−174;R−54〜S−174;P−55〜S−174;D−56〜S
−174;Y−57〜S−174;A−58〜S−174;L−59〜S−17
4;L−60〜S−174;G−61〜S−174;H−62〜S−174;R
−63〜S−174;Q−64〜S−174;L−65〜S−174;V−66
〜S−174;R−67〜S−174;T−68〜S−174;D−69〜S−
174;C−70〜S−174;P−71〜S−174;G−72〜S−174
;D−73〜S−174;A−74〜S−174;L−75〜S−174;F−
76〜S−174;D−77〜S−174;L−78〜S−174;L−79〜
S−174;R−80〜S−174;T−81〜S−174;W−82〜S−1
74;P−83〜S−174;H−84〜S−174;F−85〜S−174;
T−86〜S−174;A−87〜S−174;V−88〜S−174;S−8
9〜S−174;L−90〜S−174;R−91〜S−174;S−92〜S
−174;L−93〜S−174;H−94〜S−174;Y−95〜S−17
4;T−96〜S−174;A−97〜S−174;R−98〜S−174;R
−99〜S−174;P−100〜S−174;S−101〜S−174;V−
102〜S−174;Y−103〜S−174;T−104〜S−174;S−
105〜S−174;S−106〜S−174;T−107〜S−174;R−
108〜S−174;P−109〜S−174;L−110〜S−174;P−
111〜S−174;P−112〜S−174;A−113〜S−174;C−
114〜S−174;N−115〜S−174;S−116〜S−174;C−
117〜S−174;A−118〜S−174;R−119〜S−174;T−
120〜S−174;A−121〜S−174;S−122〜S−174;A−
123〜S−174;R−124〜S−174;P−125〜S−174;P−
126〜S−174;T−127〜S−174;S−128〜S−174;R−
129〜S−174;R−130〜S−174;H−131〜S−174;V−
132〜S−174;Y−133〜S−174;S−134〜S−174;G−
135〜S−174;N−136〜S−174;L−137〜S−174;G−
138〜S−174;P−139〜S−174;A−140〜S−174;F−
141〜S−174;A−142〜S−174;G−143〜S−174;H−
144〜S−174;S−145〜S−174;A−146〜S−174;G−
147〜S−174;N−148〜S−174;I−149〜S−174;P−
150〜S−174;D−151〜S−174;P−152〜S−174;V−
153〜S−174;T−154〜S−174;S−155〜S−174;A−
156〜S−174;Y−157〜S−174;A−158〜S−174;A−
159〜S−174;S−160〜S−174;A−161〜S−174;Q−
162〜S−174;P−163〜S−174;Q−164〜S−174;T−
165〜S−174;Q−166〜S−174;P−167〜S−174;A−
168〜S−174;C−169〜S−174。これらのポリヌクレオチドによ
りコードされるポリペプチドはまた、本発明により含まれる。
【0056】 また上記のように、タンパク質のC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、
タンパク質の1つ以上の生物学的機能の損失の改変を生じるとしても、他の機能
的活性(例えば、生物学的活性、多量体化する能力、PGRP−Lリガンドに結
合する能力)は、なお保持され得る。例えば、ポリペプチドの完全な形態または
成熟形態を認識する抗体を誘導すし、そして/またはその抗体に結合する、短縮
型PGRP−Lムテインの能力は、完全なポリペプチド、または成熟ポリペプチ
ドの大部分より少ない残基が、C末端から除去される場合には、一般的に保持さ
れる。完全なポリペプチドのC末端残基を欠く特定のポリペプチドが、このよう
な免疫学的活性を保持するか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、お
よび当該分野において公知の他の方法によって容易に決定され得る。多数の欠失
したC末端アミノ酸残基を有するPGRP−Lムテインは、いくつかの生物学的
活性または免疫原性活性を保持し得るようである。実際に、6つ程度に少ないP
GRP−Lアミノ酸残基からなるペプチドは、しばしば免疫応答を惹起し得る。
【0057】 従って、本発明はさらに、一般式1−n(ここでnは2〜173の整数であり
、ここでnは、図1A〜B(配列番号2)において同定されるアミノ酸残基の位
置に対応する)により記載されるように、図1A〜B(配列番号2)に示される
hPGRP−Lポリペプチドのアミノ酸配列のカルボキシ末端から1以上の残基
が欠失されたポリペプチドを提供する。さらに具体的に、本発明は、図1A〜B
(配列番号2)の以下の残基のアミノ酸配列を含むか、あるいはそれらからなる
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する:R−1〜S−173;
R−1〜P−172;R−1〜F−171;R−1〜P−170;R−1〜C−
169;R−1〜A−168;R−1〜P−167;R−1〜Q−166;R−
1〜T−165;R−1〜Q−164;R−1〜P−163;R−1〜Q−16
2;R−1〜A−161;R−1〜S−160;R−1〜A−159;R−1〜
A−158;R−1〜Y−157;R−1〜A−156;R−1〜S−155;
R−1〜T−154;R−1〜V−153;R−1〜P−152;R−1〜D−
151;R−1〜P−150;R−1〜I−149;R−1〜N−148;R−
1〜G−147;R−1〜A−146;R−1〜S−145;R−1〜H−14
4;R−1〜G−143;R−1〜A−142;R−1〜F−141;R−1〜
A−140;R−1〜P−139;R−1〜G−138;R−1〜L−137;
R−1〜N−136;R−1〜G−135;R−1〜S−134;R−1〜Y−
133;R−1〜V−132;R−1〜H−131;R−1〜R−130;R−
1〜R−129;R−1〜S−128;R−1〜T−127;R−1〜P−12
6;R−1〜P−125;R−1〜R−124;R−1〜A−123;R−1〜
S−122;R−1〜A−121;R−1〜T−120;R−1〜R−119;
R−1〜A−118;R−1〜C−117;R−1〜S−116;R−1〜N−
115;R−1〜C−114;R−1〜A−113;R−1〜P−112;R−
1〜P−111;R−1〜L−110;R−1〜P−109;R−1〜R−10
8;R−1〜T−107;R−1〜S−106;R−1〜S−105;R−1〜
T−104;R−1〜Y−103;R−1〜V−102;R−1〜S−101;
R−1〜P−100;R−1〜R−99;R−1〜R−98;R−1〜A−97
;R−1〜T−96;R−1〜Y−95;R−1〜H−94;R−1〜L−93
;R−1〜S−92;R−1〜R−91;R−1〜L−90;R−1〜S−89
;R−1〜V−88;R−1〜A−87;R−1〜T−86;R−1〜F−85
;R−1〜H−84;R−1〜P−83;R−1〜W−82;R−1〜T−81
;R−1〜R−80;R−1〜L−79;R−1〜L−78;R−1〜D−77
;R−1〜F−76;R−1〜L−75;R−1〜A−74;R−1〜D−73
;R−1〜G−72;R−1〜P−71;R−1〜C−70;R−1〜D−69
;R−1〜T−68;R−1〜R−67;R−1〜V−66;R−1〜L−65
;R−1〜Q−64;R−1〜R−63;R−1〜H−62;R−1〜G−61
;R−1〜L−60;R−1〜L−59;R−1〜A−58;R−1〜Y−57
;R−1〜D−56;R−1〜P−55;R−1〜R−54;R−1〜L−53
;R−1〜L−52;R−1〜G−51;R−1〜A−50;R−1〜R−49
;R−1〜V−48;R−1〜A−47;R−1〜C−46;R−1〜S−45
;R−1〜P−44;R−1〜L−43;R−1〜T−42;R−1〜D−41
;R−1〜R−40;R−1〜V−39;R−1〜T−38;R−1〜R−37
;R−1〜L−36;R−1〜A−35;R−1〜A−34;R−1〜E−33
;R−1〜T−32;R−1〜P−31;R−1〜L−30;R−1〜A−29
;R−1〜A−28;R−1〜T−27;R−1〜Y−26;R−1〜N−25
;R−1〜G−24;R−1〜V−23;R−1〜I−22;R−1〜A−21
;R−1〜V−20;R−1〜G−19;R−1〜F−18;R−1〜G−17
;R−1〜R−16;R−1〜S−15;R−1〜N−14;R−1〜H−13
;R−1〜G−12;R−1〜L−11;R−1〜T−10;R−1〜H−9;
R−1〜A−8;R−1〜G−7。これらのポリヌクレオチドによりコードされ
るポリペプチドもまた、本発明により含まれる。
【0058】 さらに、上記のN末端またはC末端の欠失のいずれかを組み合わせて、N末端
およびC末端欠失型PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチドを産生し
得る。本発明はまた、アミノ末端およびカルボキシ末端の両方から1つ以上の欠
失したアミノ酸を有するポリペプチドを提供する。このポリペプチドは、一般的
に、配列番号2の残基m−nを有するものとして記載され得、ここでnおよびm
は、上記のような整数である。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドもまた、本発明に含まれる。
【0059】 また、ATCC寄託番号PTA−2330に含まれるcDNAクローンにより
コードされるhPGRP−Lアミノ酸配列の部分からなるポリペプチドをコード
するヌクレオチド配列が含まれる。ここでこの部分は、ATCC寄託番号PTA
−2330に含まれるcDNAクローンによりコードされる完全アミノ酸配列の
アミノ末端からの1〜約164アミノ酸の任意の整数のアミノ酸残基、またはA
TCC寄託番号PTA−2330に含まれるcDNAクローンによりコードされ
る完全アミノ酸配列のカルボキシ末端からの1〜約164アミノ酸の任意の整数
のアミノ酸残基、または上記のアミノ末端およびカルボキシ末端の任意の整数の
アミノ酸残基、あるいは、上記のアミノ末端欠失およびカルボキシ末端欠失の任
意の組み合わせを排除する。上記欠失変異体ポリペプチド形態の全てをコードす
るポリヌクレオチドもまた提供される。
【0060】 本願はまた、m−nとして本明細書中に記載されるhPGRP−Lポリペプチ
ド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%または99%同一であるポリペプチドを含むタンパク質に関する。好まし
い実施形態では、本願は、本明細書中に記載される特定のhPGRP−LのN末
端欠失およびC末端欠失のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくと
も80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一
であるポリペプチドを含むタンパク質に関する。これらのポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドもまた本発明により含まれる。
【0061】 さらに、図2A〜Bに示されるmPGRP−LポリペプチドのC末端欠失は、
一般式1−nにより記載され得る。ここでnは、2〜530の整数であり、ここ
でnは、図2A〜B(配列番号4)において同定されるアミノ酸残基の位置に対
応する。より具体的には、本発明は、図2A〜B(配列番号4)の以下の残基の
アミノ酸配列を含むか、あるいはこれらからなるポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドを提供する:M−1〜E−529;M−1〜V−528;M−1〜
E−527;M−1〜T−526;M−1〜F−525;M−1〜H−524;
M−1〜P−523;M−1〜W−522;M−1〜T−521;M−1〜R−
520;M−1〜L−519;M−1〜L−518;M−1〜N−517;M−
1〜F−516;M−1〜L−515;M−1〜A−514;M−1〜N−51
3;M−1〜G−512;M−1〜P−511;M−1〜C−510;M−1〜
H−509;M−1〜T−508;M−1〜L−507;M−1〜V−506;
M−1〜L−505;M−1〜Q−504;M−1〜R−503;M−1〜H−
502;M−1〜G−501;M−1〜L−500;M−1〜L−499;M−
1〜K−498;M−1〜Y−497;M−1〜D−496;M−1〜P−49
5;M−1〜R−494;M−1〜L−493;M−1〜L−492;M−1〜
G−491;M−1〜E−490;M−1〜R−489;M−1〜I−488;
M−1〜A−487;M−1〜C−486;M−1〜S−485;M−1〜P−
484;M−1〜L−483;M−1〜A−482;M−1〜D−481;M−
1〜R−480;M−1〜V−479;M−1〜T−478;M−1〜N−47
7;M−1〜L−476;M−1〜A−475;M−1〜A−474;M−1〜
E−473;M−1〜N−472;M−1〜P−471;M−1〜L−470;
M−1〜S−469;M−1〜G−468;M−1〜T−467;M−1〜Y−
466;M−1〜N−465;M−1〜G−464;M−1〜V−463;M−
1〜F−462;M−1〜A−461;M−1〜V−460;M−1〜G−45
9;M−1〜F−458;M−1〜G−457;M−1〜R−456;M−1〜
S−455;M−1〜N−454;M−1〜Y−453;M−1〜G−452;
M−1〜R−451;M−1〜T−450;M−1〜H−449;M−1〜A−
448;M−1〜G−447;M−1〜V−446;M−1〜W−445;M−
1〜H−444;M−1〜W−443;M−1〜G−442;M−1〜R−44
1;M−1〜G−440;M−1〜Q−439;M−1〜Y−438;M−1〜
L−437;M−1〜Y−436;M−1〜G−435;M−1〜D−434;
M−1〜S−433;M−1〜G−432;M−1〜V−431;M−1〜V−
430;M−1〜F−429;M−1〜S−428;M−1〜Y−427;M−
1〜G−426;M−1〜I−425;M−1〜D−424;M−1〜D−42
3;M−1〜W−422;M−1〜K−421;M−1〜R−420;M−1〜
V−419;M−1〜D−418;M−1〜Q−417;M−1〜H−416;
M−1〜F−415;M−1〜R−414;M−1〜Q−413;M−1〜M−
412;M−1〜S−411;M−1〜R−410;M−1〜M−409;M−
1〜D−408;M−1〜A−407;M−1〜A−406;M−1〜C−40
5;M−1〜S−404;M−1〜Q−403;M−1〜F−402;M−1〜
T−401;M−1〜T−400;M−1〜C−399;M−1〜P−398;
M−1〜P−397;M−1〜A−396;M−1〜P−395;M−1〜V−
394;M−1〜Y−393;M−1〜T−392;M−1〜H−391;M−
1〜H−390;M−1〜V−389;M−1〜Y−388;M−1〜L−38
7;M−1〜F−386;M−1〜G−385;M−1〜L−384;M−1〜
P−383;M−1〜L−382;M−1〜R−381;M−1〜L−380;
M−1〜P−379;M−1〜T−378;M−1〜P−377;M−1〜H−
376;M−1〜G−375;M−1〜R−374;M−1〜Y−373;M−
1〜P−372;M−1〜A−371;M−1〜A−370;M−1〜G−36
9;M−1〜W−368;M−1〜R−367;M−1〜C−366;M−1〜
R−365;M−1〜P−364;M−1〜H−363;M−1〜I−362;
M−1〜A−361;M−1〜P−360;M−1〜C−359;M−1〜G−
358;M−1〜L−357;M−1〜F−356;M−1〜A−355;M−
1〜E−354;M−1〜T−353;M−1〜F−352;M−1〜E−35
1;M−1〜K−350;M−1〜T−349;M−1〜A−348;M−1〜
L−347;M−1〜T−346;M−1〜A−345;M−1〜V−344;
M−1〜Q−343;M−1〜A−342;M−1〜L−341;M−1〜Q−
340;M−1〜E−339;M−1〜Q−338;M−1〜S−337;M−
1〜I−336;M−1〜N−335;M−1〜Q−334;M−1〜L−33
3;M−1〜Q−332;M−1〜L−331;M−1〜H−330;M−1〜
E−329;M−1〜P−328;M−1〜E−327;M−1〜L−326;
M−1〜K−325;M−1〜Q−324;M−1〜L−323;M−1〜L−
322;M−1〜V−321;M−1〜L−320;M−1〜A−319;M−
1〜E−318;M−1〜W−317;M−1〜V−316;M−1〜Q−31
5;M−1〜Q−314;M−1〜A−313;M−1〜L−312;M−1〜
T−311;M−1〜P−310;M−1〜A−309;M−1〜S−308;
M−1〜T−307;M−1〜L−306;M−1〜A−305;M−1〜A−
304;M−1〜G−303;M−1〜N−302;M−1〜Q−301;M−
1〜R−300;M−1〜R−299;M−1〜F−298;M−1〜N−29
7;M−1〜S−296;M−1〜R−295;M−1〜F−294;M−1〜
V−293;M−1〜P−292;M−1〜D−291;M−1〜G−290;
M−1〜N−289;M−1〜V−288;M−1〜G−287;M−1〜A−
286;M−1〜G−285;M−1〜Y−284;M−1〜Y−283;M−
1〜E−282;M−1〜R−281;M−1〜L−280;M−1〜L−27
9;M−1〜H−278;M−1〜S−277;M−1〜L−276;M−1〜
P−275;M−1〜P−274;M−1〜H−273;M−1〜P−272;
M−1〜R−271;M−1〜P−270;M−1〜I−269;M−1〜Q−
268;M−1〜S−267;M−1〜L−266;M−1〜H−265;M−
1〜N−264;M−1〜G−263;M−1〜L−262;M−1〜L−26
1;M−1〜A−260;M−1〜G−259;M−1〜D−258;M−1〜
L−257;M−1〜A−256;M−1〜G−255;M−1〜N−254;
M−1〜L−253;M−1〜F−252;M−1〜A−251;M−1〜M−
250;M−1〜T−249;M−1〜L−248;M−1〜R−247;M−
1〜S−246;M−1〜A−245;M−1〜Q−244;M−1〜P−24
3;M−1〜D−242;M−1〜L−241;M−1〜L−240;M−1〜
T−239;M−1〜F−238;M−1〜V−237;M−1〜R−236;
M−1〜P−235;M−1〜A−234;M−1〜T−233;M−1〜L−
232;M−1〜Q−231;M−1〜D−230;M−1〜W−229;M−
1〜C−228;M−1〜G−227;M−1〜E−226;M−1〜T−22
5;M−1〜G−224;M−1〜L−223;M−1〜G−222;M−1〜
P−221;M−1〜P−220;M−1〜S−219;M−1〜W−218;
M−1〜T−217;M−1〜Q−216;M−1〜S−215;M−1〜R−
214;M−1〜H−213;M−1〜L−212;M−1〜F−211;M−
1〜T−210;M−1〜L−209;M−1〜G−208;M−1〜L−20
7;M−1〜D−206;M−1〜G−205;M−1〜A−204;M−1〜
L−203;M−1〜T−202;M−1〜I−201;M−1〜A−200;
M−1〜L−199;M−1〜L−198;M−1〜R−197;M−1〜D−
196;M−1〜V−195;M−1〜T−194;M−1〜T−193;M−
1〜P−192;M−1〜T−191;M−1〜K−190;M−1〜A−18
9;M−1〜K−188;M−1〜D−187;M−1〜N−186;M−1〜
P−185;M−1〜L−184;M−1〜T−183;M−1〜A−182;
M−1〜G−181;M−1〜V−180;M−1〜D−179;M−1〜P−
178;M−1〜S−177;M−1〜S−176;M−1〜A−175;M−
1〜N−174;M−1〜P−173;M−1〜F−172;M−1〜A−17
1;M−1〜D−170;M−1〜M−169;M−1〜L−168;M−1〜
G−167;M−1〜P−166;M−1〜W−165;M−1〜T−164;
M−1〜A−163;M−1〜R−162;M−1〜I−161;M−1〜N−
160;M−1〜A−159;M−1〜L−158;M−1〜T−157;M−
1〜D−156;M−1〜G−155;M−1〜T−154;M−1〜D−15
3;M−1〜C−152;M−1〜P−151;M−1〜I−150;M−1〜
A−149;M−1〜L−148;M−1〜C−147;M−1〜D−146;
M−1〜S−145;M−1〜P−144;M−1〜L−143;M−1〜N−
142;M−1〜A−141;M−1〜V−140;M−1〜S−139;M−
1〜H−138;M−1〜A−137;M−1〜Q−136;M−1〜L−13
5;M−1〜G−134;M−1〜A−133;M−1〜E−132;M−1〜
L−131;M−1〜G−130;M−1〜F−129;M−1〜L−128;
M−1〜L−127;M−1〜P−126;M−1〜K−125;M−1〜V−
124;M−1〜A−123;M−1〜V−122;M−1〜T−121;M−
1〜S−120;M−1〜G−119;M−1〜D−118;M−1〜P−11
7;M−1〜A−116;M−1〜L−115;M−1〜V−114;M−1〜
V−113;M−1〜G−112;M−1〜Y−111;M−1〜E−110;
M−1〜R−109;M−1〜G−108;M−1〜N−107;M−1〜Q−
106;M−1〜V−105;M−1〜D−104;M−1〜H−103;M−
1〜Q−102;M−1〜A−101;M−1〜V−100;M−1〜E−99
;M−1〜S−98;M−1〜I−97;M−1〜L−96;M−1〜A−95
;M−1〜Q−94;M−1〜L−93;M−1〜E−92;M−1〜P−91
;M−1〜S−90;M−1〜L−89;M−1〜S−88;M−1〜H−87
;M−1〜P−86;M−1〜D−85;M−1〜P−84;M−1〜E−83
;M−1〜T−82;M−1〜T−81;M−1〜N−80;M−1〜H−79
;M−1〜S−78;M−1〜P−77;M−1〜A−76;M−1〜K−75
;M−1〜L−74;M−1〜L−73;M−1〜L−72;M−1〜R−71
;M−1〜Q−70;M−1〜H−69;M−1〜L−68;M−1〜S−67
;M−1〜N−66;M−1〜H−65;M−1〜T−64;M−1〜S−63
;M−1〜S−62;M−1〜N−61;M−1〜K−60;M−1〜A−59
;M−1〜S−58;M−1〜L−57;M−1〜I−56;M−1〜W−55
;M−1〜A−54;M−1〜S−53;M−1〜A−52;M−1〜T−51
;M−1〜I−50;M−1〜S−49;M−1〜A−48;M−1〜E−47
;M−1〜T−46;M−1〜V−45;M−1〜P−44;M−1〜V−43
;M−1〜K−42;M−1〜Q−41;M−1〜E−40;M−1〜L−39
;M−1〜E−38;M−1〜A−37;M−1〜L−36;M−1〜A−35
;M−1〜Q−34;M−1〜I−33;M−1〜I−32;M−1〜S−31
;M−1〜D−30;M−1〜M−29;M−1〜L−28;M−1〜L−27
;M−1〜P−26;M−1〜L−25;M−1〜S−24;M−1〜S−23
;M−1〜A−22;M−1〜A−21;M−1〜G−20;M−1〜P−19
;M−1〜E−18;M−1〜P−17;M−1〜W−16;M−1〜L−15
;M−1〜L−14;M−1〜L−13;M−1〜G−12;M−1〜L−11
;M−1〜V−10;M−1〜I−9;M−1〜W−8;M−1〜L−7。これ
らのポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドもまた、本発明により含
まれる。
【0062】 本願はまた、1−nとして本明細書中に記載されるmPGRP−Lポリペプチ
ド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%または99%同一であるポリペプチドを含むタンパク質に関する。好まし
い実施形態では、本願は、本明細書中に記載される特定のmPGRP−LのC末
端欠失のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対して少なくとも80%、85%
、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリペプチ
ドを含むタンパク質に関する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドもまた本発明により含まれる。
【0063】 本発明の特に好ましいフラグメントの間では、PGRP−Lの構造的特質また
は機能的特質によって特徴付けられるフラグメントがある。このようなフラグメ
ントとしては、PGRP−L、図1A〜B(配列番号2)、および図2A〜B(
配列番号4)の、αヘリックス、αヘリックス形成領域(「α領域」)、βシー
トおよびβシート形成領域(「β領域」)、ターンおよびターン形成領域(「タ
ーン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、
疎水性領域、α両親媒性、β両親媒性、表面形成領域、および高い抗原性インデ
ックス領域(すなわち、Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラ
メーターを用いて同定される場合、1.5以上の抗原性インデックスを有する4
つ以上の連続アミノ酸を含む)を含むアミノ酸残基が挙げられる。特定の好まし
い領域は、図4および/または図5に示されるものであり、そして限定されない
が、図1A〜B(配列番号2)、および図2A〜B(配列番号4)に示されるア
ミノ酸配列の分析によって同定される上記の型の領域が挙げられ、そのような好
ましい領域としては、(以下のようなコンピュータープログラムのデフォルトパ
ラメーターを用いて推定される場合)以下が挙げられる;Garnier−Ro
bsonで推定されるα−領域、β−領域、ターン領域、およびコイル領域;C
hou−Fasmanで推定されるα−領域、β−領域、ターン領域、およびコ
イル領域;Kyte−Doolittleで推定される親水性領域;Hopp−
Woodsで推定される疎水性領域;Eisenbergのα−両親媒性領域お
よびβ−両親媒性領域;Eminiの表面形成領域;ならびにJameson−
Wolfの高い抗原性インデックス領域。これらのポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドもまた、本発明に含まれるフラグメントを含む。
【0064】 さらなる実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、PGRP−Lの機
能的特質をコードする。これに関して本発明の好ましい実施形態は、PGRP−
Lのαヘリックス、αヘリックス形成領域(「α領域」)、βシートおよびβシ
ート形成領域(「β領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)
、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、
α両親媒性、β両親媒性、フレキシブル領域、表面形成領域、および高い抗原性
インデックス領域を含むフラグメントを含む。
【0065】 上記のように、図4および/または図5に示されるPGRP−Lの構造的特質
または機能的特質を示すデータ(それぞれ、表IおよびII)は、種々のモジュ
ールおよびデフォルトパラメーターに対して設定するDNA*STARのアルゴ
リズムを使用して作製された。好ましい実施形態において、表Iおよび/または
IIの、列VIII、IX、XIII、およびXIVに示されるデータは、抗原
性に関して高い程度の潜在能力を示すPGRP−Lの領域を決定するために使用
され得る。高い抗原性領域は、抗原認識が免疫応答の開始プロセスの際に生じ得
る環境においてポリペプチドの表面上におそらく曝露される、ポリペプチドの領
域を示す値を選択することによって、列VIII、IX、XIII、および/ま
たはIVに示されるデータから決定される。
【0066】 これらに関して特定の好ましい領域は、図4および5に示されるが、表Iおよ
びIIに示されるようにデータの表での表示を用いることによって示されるかま
たは同定され得る。図4および5を作製するために使用されたDNA*STAR
コンピューターアルゴリズムは、表形式で表IおよびIIにデータを示すために
使用された。表IおよびIIのデータの表形式は、好ましい領域の特定の境界を
用意に決定するために使用され得る。
【0067】 表IおよびIIに示される上記の好ましい表域としては、それぞれ、図1A〜
Bおよび図2A〜Bに示されるアミノ酸配列の分析によって同定される上記の型
の領域が挙げられるが、これらに限定されない。表IおよびIIに示されるよう
に、このような好ましい領域としては、GarnierRobson α領域、
GarnierRobson β領域、GarnierRobsonターン領域
、およびGarnierRobsonコイル領域、ChouFasman α領
域、ChouFasman β領域、およびChouFasmanコイル領域、
KyteDoolittle親水性領域、Hopp−Woods疎水性領域、E
isenberg α両親媒性領域およびEisenberg β両親媒性領域
、KarplusSchulzフレキシブル領域、Emini表面形成領域なら
びに高い抗原性インデックスのJamesonWolf領域が挙げられる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】 これに関して非常に好ましいフラグメントの間には、いくつかの構造特徴をあ
わせた(例えば、上記の特徴の2、3、4、5以上)PGRP−Lの領域を含む
ものがある。
【0070】 他の好ましいフラグメントは、生物学的に活性なPGRP−Lフラグメントで
ある。生物学的に活性なフラグメントは、PGRP−Lポリペプチドの活性に対
して、同一である必要はないが、類似した活性を示すものである。このフラグメ
ントの生物学的活性としては、改善された所望の活性、または減少した所望され
ない活性が挙げられ得る。
【0071】 しかし、多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可
能であり、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列
のいくつかは、配列番号1に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能で
あったかもしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本
発明の範囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従
って、好ましくは、本発明から、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配
列(ここで、aは配列番号1の1〜1188の間の任意の整数であり、bは15
〜PGRP−Lの整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号1に示される
ヌクレオチド残基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含
む1つ以上のポリヌクレオチドが除外される。
【0072】 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ保有部分を
含むペプチドおよびポリペプチドを提供する。これらのエピトープは、本発明の
ポリペプチドの免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープである。「免疫原性
エピトープ」は、本発明のポリペプチド全体、またはそのフラグメントが免疫原
である場合、インビボで抗体応答を誘発するタンパク質の一部として定義される
。一方、抗体が結合し得るポリペプチドの領域は、「抗原決定基」または「抗原
性エピトープ」として定義される。タンパク質のインビボ免疫原性エピトープの
数は、一般的に抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら(
1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−
4002を参照のこと。しかし、抗体は、ファージディスプレイのような方法を
用いることによって、任意の抗原性エピトープ(それが免疫原性エピトープであ
るかどうかに関わらず)に対して作製され得る。例えば、Petersen G
.ら(1995)Mol.Gen.Genet.249:425−431を参照
のこと。従って、本発明に含まれるのは、免疫原性エピトープと抗原性エピトー
プの両方である。
【0073】 免疫原性エピトープを含む例示されたアミノ酸配列の列挙は、表IおよびII
に示される。Jameson−Wolf抗原性分析は、デフォルトパラメーター
(Power MacIntosh用バージョン3.11、DNASTAR,I
nc.,1228 South Park Street Madison,W
I)を用いてコンピュータープログラムPROTEANを用いて実施された。表
IおよびIIに列挙されていないポリペプチドの部分は、非免疫原性とみなされ
ていない。表IおよびIIの免疫原性エピトープは、例示された列挙であって、
網羅的な列挙ではない。なぜなら、他の免疫原性エピトープは、使用された特定
のアルゴリズムによって単に認識されないからである。他の免疫原性エピトープ
を含むアミノ酸残基は、Jameson−Wolf分析に類似したアルゴリズム
を用いてか、または当該分野で公知の方法を用いる抗原性応答に関するインビボ
試験によって、慣用的に決定され得る。例えば、Geysenら、前出;米国特
許第4,708,781号;同第5,194,392号;同第4,433,09
2号;および同第5,480,971号(その全体が参考として援用される上記
の参考文献)を参照のこと。
【0074】 本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、好ましくは、
本発明のポリペプチド(例えば、図1A〜B(配列番号2)に示されるアミノ酸
配列中に含まれるポリペプチドおよび図2A〜B(配列番号4)に示されるアミ
ノ酸配列中に含まれるポリペプチド)のアミノ酸配列内に含まれる、少なくとも
5、少なくとも6、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくと
も20、少なくとも25、少なくとも30、およびより好ましくは約30〜約5
0の間のアミノ酸の配列を含む。hPGRP−L特異的抗体を作製するために使
用され得る、抗原性ポリペプチドまたはペプチドの非限定的な例としては、以下
が挙げられる:図1A〜B(配列番号2)に示されるような、配列番号2の以下
のアミノ酸残基を含むポリペプチド:おおよそ、Gly−12〜Phe−18;
Ala−34〜Ala−47;Gly−51〜Tyr−57;Gln−64〜L
eu−75;Arg−80〜His−84;Thr−96〜Tyr−133;G
ly−135〜Leu−137;Ser−145〜Thr−154;Ala−1
61〜Pro−167;およびPro−172〜Ser−174。mPGRP−
L特異的抗体を作製するために使用され得る、抗原性ポリペプチドまたはペプチ
ドの非限定的な例としては、以下が挙げられる:図2A〜B(配列番号4)に示
されるような、配列番号4の以下のアミノ酸残基を含むポリペプチド:おおよそ
、Glu−18〜Ser−24;Ala−37〜Val−45;Ala−59〜
Leu−68;Ala−76〜Leu−93;Ala−101〜Tyr−111
;Ala−116〜Val−122;Leu−143〜Ala−159;Phe
−172〜Arg−197;His−213〜Trp−229;Asp−242
〜Ser−246;Gln−268〜Pro−275;Val−288〜Ala
−305;Lys−325〜His−330;Asn−335〜Gln−340
;Ala−348〜Thr−353;Ile−362〜Leu−382;Pro
−397〜Cys−399;Ala−406〜Gln−413;Phe−415
〜Gly−426;Gly−432〜Gly−435;Gly−440〜Gly
−442;His−449〜Gly−457;Tyr−466〜Ala−475
;Thr−478〜Pro−484;Cys−486〜Leu−499;Pro
−511〜Asn−513;およびThr−521〜Asn−530。これらの
ポリペプチドフラグメントは、以下に図4および5に示されるように、Jame
son−Wolf抗原性インデックスの分析によってPGRP−Lタンパク質の
抗原性エピトープを保有することが決定された。
【0075】 表IおよびIIのアミノ酸配列が免疫原性エピトープを含むことが特に指摘さ
れる。表IおよびIIは、Jameson−Wolf分析によって決定された免
疫原性エピトープの重要な残基のみを列挙する。従って、N末端、C末端のいず
れか、またはN末端およびC末端の両方に対する、さらなる隣接残基が表Iおよ
びIIの配列に添加されて、本発明のエピトープ保有ポリペプチドを生成し得る
。従って、表IおよびIIの免疫原性エピトープとしては、さらなるN末端アミ
ノ酸残基またはC末端アミノ酸残基を含み得る。さらなる隣接アミノ酸残基は、
本発明のポリペプチドからの連続的な隣接N末端配列および/または隣接C末端
配列、異種ポリペプチド配列であり得るか、あるいは本発明のポリペプチドから
の連続した隣接配列および異種ポリペプチド配列の両方を含み得る。
【0076】 免疫原性エピトープおよび/または抗原性エピトープを含む、本発明のポリペ
プチド(例えば、図1A〜B(配列番号2)に示されるアミノ酸配列に含まれる
ポリペプチドおよび図2A〜B(配列番号4)に示されるアミノ酸配列に含まれ
るポリペプチド)は、少なくとも7アミノ酸残基の長さである。「少なくとも」
とは、免疫原性エピトープおよび/または抗原性エピトープを含む本発明のポリ
ペプチドが、7アミノ酸残基長であり得るか、あるいは7アミノ酸と本発明の全
長ポリペプチドのアミノ酸残基の数との間の任意の整数であり得ることを意味す
る。免疫原性エピトープおよび/または抗原性エピトープを含む好ましいポリペ
プチドは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50
、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100アミノ
酸残基の長さである。しかし、7と全長ポリペプチドのアミノ酸残基の数との間
の各整数および全ての整数が、本発明に含まれることが指摘される。
【0077】 免疫原性エピトープ保有フラグメントおよび/または抗原性エピトープ保有フ
ラグメントは、上記のように連続するアミノ酸残基の数によって特定されるか、
またはさらに配列番号2のアミノ酸配列上のこれらのフラグメントのN末端部分
およびC末端部分によって特定されるかのいずれかであり得る。例えば、少なく
とも7または少なくとも15の連続したアミノ酸残基長のフラグメントが配列番
号2のアミノ酸配列上で占有し得るN末端位およびC末端位の全ての組み合わせ
は、本発明に含まれる。また、「少なくとも7の連続したアミノ酸残基の長さ」
は、7アミノ酸残基長、あるいは7アミノ酸と本発明の全長ポリペプチドのアミ
ノ酸残基の数との間の任意の整数を意味する。特に、7と全長ポリペプチドのア
ミノ酸残基の数との間の各整数および全ての整数が、本発明に含まれる。
【0078】 本発明の免疫原性エピトープ保有ポリペプチドおよび/または抗原性エピトー
プ保有ポリペプチドは、例えば、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体
を作製する際、および本発明のポリペプチドを検出するための免疫アッセイにお
いて有用である。抗体は、例えば、本発明のポリペプチドのアフィニティー精製
において有用である。抗体はまた、特に当該分野で公知の方法を用いる本発明の
ポリペプチドに関して、種々の定性的免疫アッセイまたは定量的免疫アッセイに
慣用的に使用され得る。例えば、Harlowら、Antibodies:A
Laboratory Manual(Cold Spring Harbor
Laboratory Press;第2版、1988)を参照のこと。
【0079】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で公知の合成方法および組
換え方法を含む、ポリペプチドを作製するために任意の従来の手段によって生成
され得る。例えば、エピトープ保有ペプチドは、化学合成の公知方法を用いて合
成され得る。例えば、Houghtenは、多数のペプチド(例えば、HA1ポ
リペプチドのセグメントの単一アミノ酸改変体を示す248の個々そして異なる
13残基のポリペプチドの10〜20mg)の合成に関する単純な方法を記載し
、これらの各々は、4週間未満に調製され、そして(ELISA型の結合研究に
よって)特徴付けられた(Houghten,R.A.Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 82:51315135(1985))。この「同時
多重ペプチド合成(SMPS)」プロセスは、米国特許第4,631,211号
(Houghtenおよび共同研究者達(1986))にさらに記載される。こ
の手順において、種々のペプチドの固相合成のための個々の樹脂は、別々の溶媒
浸透可能小胞に含まれて、固相方法に関与する多くの同一の反復工程の最適な使
用を可能にする。完全な手動手順は、同時に実施される500〜1000または
それより多くの合成を可能にする(Houghtenら(1985)Proc.
Natl.Acad.Sci.82:5131−5135の5134)。
【0080】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で周知の方法に従って抗体
を誘導するために使用され得る。これらの周知の方法としては、インビボ免疫、
インビトロ免疫、およびファージディスプレイ法が挙げられるが、それらに限定
されない。例えば、Sutcliffeら、前出;Wilsonら、前出、およ
びBittleら、J.Gen.Virol.、66:2347−2354(1
985)を参照のこと。インビボ免疫を使用する場合、動物を遊離ペプチドを用
いて免疫し得る;しかし、抗ペプチド抗体力価は、高分子キャリア(例えば、キ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または破傷風トキソイド)にペプチ
ドを結合させることによりブーストされ得る。例えば、システイン残基を含むペ
プチドは、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(M
BS)のようなリンカーを用いてキャリアに結合され得る。その一方、他のペプ
チドは、より一般的な結合剤(例えば、グルタルアルデヒド)を用いてキャリア
に結合され得る。ウサギ、ラット、およびマウスのような動物は、遊離のペプチ
ドまたはキャリア結合ペプチドのいずれかを用いて、例えば、約100μgのペ
プチドまたはキャリアタンパク質およびフロイントアジュバントを含むエマルジ
ョンを腹腔内注射および/または皮内注射することにより免疫される。いくつか
のブースター注射が、抗ペプチド抗体の有用な力価を提供するために、例えば、
約2週間の間隔で、必要とされ得る。この力価は、例えば、固体表面に吸着した
遊離のペプチドを用いるELISAアッセイにより検出され得る。免疫した動物
由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペプチド抗体の選択(例えば、当該
分野で周知の方法に従う固体支持体上のペプチドへの吸着および選択された抗体
の溶出による)により上昇し得る。
【0081】 当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピト
ープフラグメントおよび/または抗原性エピトープフラグメントを含む本発明の
ポリペプチドは、異種ポリペプチド配列に融合され得る。例えば、本発明のポリ
ペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメイ
ンまたはそれらの部分(CH1、CH2、CH3、またはこれらの全体のドメイ
ンおよび部分の両方を含むこれらの任意の組み合わせ)と融合し得、これがキメ
ラポリペプチドを生じる。このような融合タンパク質は、精製を容易にし得、そ
してインビボにおける半減期を増加する。このことは、例えば、ヒトCD4ポリ
ペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または
軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示された。
例えば、EPA0,394,827;Trauneckerら、Nature,
331:84−86(1988)を参照のこと。ジスルフィド架橋二量体構造を
有する融合タンパク質はまた、そのIgG部分に起因して、単量体ポリペプチド
またはそれらのフラグメント単独よりも、他の分子の結合および中和において効
果的であることが見出された。例えば、Fountoulakisら、J.Bi
ochem.、270:3958−3964(1995)を参照のこと。上記の
エピトープをコードする核酸がまた、エピトープタグとして目的の遺伝子と合わ
され得、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る。
【0082】 (ポリヌクレオチド改変体およびポリペプチド改変体) 本発明はまた、本明細書中に開示されるポリドペプチド配列(例えば、図2A
〜Bに開示される成熟ポリペプチド配列、または図1A〜Bに開示される配列)
または本明細書中に記載される任意のポリペプチドフラグメントに対して、少な
くとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%
同一であるポリペプチド配列を含むか、あるいはこれらからなるPGRP−Lポ
リペプチド改変体を含む。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
がまた、本発明に含まれる。
【0083】 本発明はまた、本明細書中に開示されるポリペプチド配列(例えば、図1A〜
B、図2A〜Bに開示される核酸配列)、これらに対する相補鎖、またはそのフ
ラグメントに対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%または99%同一であるポリヌクレオチド配列を含むか、あるいは
これらからなるPGRP−Lポリヌクレオチド改変体を含む。これらのポリヌク
レオチドによってコードされるポリペプチドがまた、本発明に含まれる。
【0084】 「改変体」とは、PGRP−Lのポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異
なるがそれらの必須の特性は保持している、ポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドをいう。一般的に、改変体は全体的に非常に類似しており、そして、多くの領
域において、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチドと同一である。
【0085】 本発明の問い合わせヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一」
であるヌクレオチドを有するポリヌクレオチドによって、そのポリヌクレオチド
のヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列がPGRP−Lポリぺプチドをコ
ードする問い合わせヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5つまでの
点変異を含み得ることを除いて、問い合わせ配列に対して同一であることを意図
する。換言すれば、問い合わせヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一
のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、問い合わせ配列の
ヌクレオチドの5%までが、欠失され得るか、または別のヌクレオチドで置換さ
れ得るか、あるいは問い合わせ配列中の総ヌクレオチドの5%までの数のヌクレ
オチドが問い合わせ配列中に挿入され得る。問い合わせ(query)配列は、
配列番号1に示される配列全体、ORF(オープンリーディングフレーム)、ま
たは本明細書中で記載されるように特定される任意のフラグメントであり得る。
【0086】 実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリぺプチドが、本発明のヌク
レオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログ
ラムを使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象
配列との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列とも呼ばれる)を決
定するための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App. Bio
sci.6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づくFASTD
Bコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い
合わせ配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、U
からTに変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、
同一性パーセントである。同一性パーセントを算定するためにDNA配列のFA
STDB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matrix=Un
itary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、J
oining Penalty=30、Randomization Grou
p Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalt
y=5、Gap Size Penalty 0.05、Window Siz
e=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0087】 対象配列が、5’または3’欠失のために(内部欠失のためではなく)対象配
列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。これは、
同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログラムが対象配列の5’
および3’の短縮を考慮しないからである。5’末端または3’末端で短縮され
ている対象配列について、対象配列に対して、同一性パーセントは、対象配列の
総塩基のパーセントとして一致/整列されない対象配列の5’および3’である
対象配列の塩基の数を計算することによって補正される。ヌクレオチドが一致/
整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで
、このパーセントは、特定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラ
ムによって算定された同一性パーセントから差し引かれ、最終的な同一性パーセ
ントのスコアに到達する。この補正されたスコアが、本発明の目的に使用される
ものである。FASTDB整列によって示されるように、対象配列と一致/整列
されない、対象配列の5’および3’の塩基の外側の塩基のみが、同一性パーセ
ントのスコアを手動で調整する目的で算定される。
【0088】 例えば、90塩基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために100塩
基の照会配列に整列される。欠失は、対象配列の5’末端で生じ、従って、FA
STDB整列は、5’末端の最初の10塩基で一致/整列を示さない。10個の
不対合塩基は、配列の10%(一致していない5’および3’末端での塩基の数
/照会配列の塩基の総数)を表し、そのため10%は、FASTDBプログラム
によって算定される同一性パーセントのスコアから差し引かれる。残りの90塩
基が完全に一致する場合は、最終的な同一性パーセントは90%である。別の例
では、90塩基の対象配列が、100塩基の照会配列と比較される。この場合、
欠失は、内部欠失であり、その結果、照会と一致/整列しない対象配列の5’ま
たは3’の塩基は存在しない。この場合、FASTDBによって算定される同一
性パーセントは手動で補正されない。再び、照会配列と一致/整列しない対象配
列の5’および3’の塩基のみが手動で補正される。他の手動の補正は、本実施
形態の目的のためにはなされない。
【0089】 本発明の問い合わせアミノ酸配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であ
るアミノ酸配列を有するポリペプチドによって、対象ポリペプチドのアミノ酸配
列が(その対象ポリペプチド配列が問い合わせアミノ酸配列の各100アミノ酸
あたり5つまでのアミノ酸変更を含み得ることを除いて)問い合わせ配列に対し
て同一であることを意図する。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に対して少
なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、対象配
列のアミノ酸残基の5%までが、挿入、欠失、インデル(indel)、または
別のアミノ酸で置換され得る。問い合わせ配列のこれらの変更は、問い合わせア
ミノ酸配列のアミノ末端位もしくはカルボキシ末端位で生じ得るか、あるいはこ
れらの末端位置間のどこかで生じ得、問い合わせ配列の残基間で個々にか、また
は問い合わせ配列内で1個以上連続する群としてかのいずれかで間に散在する。
【0090】 実際的な問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、配列番号2に示
されるアミノ酸配列、配列番号4に示されるアミノ酸配列、または寄託されたD
NAクローンによりコードされるアミノ酸配列に、少なくとも80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるかどうかは、
公知のコンピュータープログラムを用いて簡便に決定され得る。問い合わせ配列
(本発明の配列)と対象の配列との間の最良の全体の一致を決定するための好ま
しい方法はまた(包括的な配列整列とも呼ばれる)、Brutlagら(Com
p.App.Biosci.6:237−245(1990))のアルゴリズム
に基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定され得る。問い
合わせ配列と対象配列との間の配列整列は、ヌクレオチド配列の両方またはアミ
ノ酸配列の両方のいずれかである。包括的な配列整列の結果は、パーセント同一
性である。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパラメーターは:M
atrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Penal
ty=1、Joining Penalty=20、Randomizatio
n Group Length=0、Cutoff Score=1、Wind
ow Size=配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Size
Penalty=0.05、Window Size=500または対象アミ
ノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0091】 対象配列が、N末端またはC末端欠失により(内部の欠失のためではなく)問
い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなければならな
い。これは、包括的な同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBプログ
ラムが対象配列の5’および3’の短縮を考慮しないからである。問い合わせ配
列に対する、N末端およびC末端で短縮されている対象配列についての、同一性
パーセントは、対象配列の総塩基のパーセントとして、対応する対象残基と一致
/整列しない、対象配列のN末端およびC末端である対象配列の残基の数を計算
することによって補正される。残基が一致/整列されているか否かの決定は、F
ASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパーセントは、同
一性パーセントから差し引かれ、上記のFASTDBプログラムによって特定の
パラメーターを使用して計算され、最終的な同一性パーセントのスコアに到達す
る。この最終的な同一性パーセントのスコアは、本発明の目的で使用されるもの
である。問い合わせ配列と一致/整列していない対象配列のN末端およびC末端
側の残基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的のために考慮
される。すなわち、問い合わせ残基位置のみが、対象配列の最も遠いN末端およ
びC末端残基の外側に位置する。
【0092】 例えば、90アミノ酸残基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために
100残基の問い合わせ配列と整列される。欠失が対象配列のN末端で生じ、そ
してそれゆえFASTDB整列は、N末端での最初の10残基の一致/整列を示
さない。10個の不対合残基は、配列の10%(一致していないN末端およびC
末端での残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、その結果FAST
DBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから10%が差し
引かれる。残りの90残基が完全に一致した場合、最終的な同一性パーセントは
90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合わ
せ配列と比較される。この場合、欠失は、内部欠失であり、そのため問い合わせ
配列と一致/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない。こ
の場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正され
ない。再び、FASTDB整列において示される、問い合わせ配列と一致/整列
しない対象配列のN末端およびC末端の外の残基位置のみが手動で補正される。
他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0093】 PGRP−L改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における
変化を含み得る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を
生成するが、コードされるポリぺプチドの特性または活性を変化させない変化を
含むポリヌクレオチド改変体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな
置換によって生成されるヌクレオチド改変体が、好ましい。さらに、任意の組合
せにおいて5〜10、1〜5、もしくは1〜2アミノ酸が置換、欠失、または付
加される改変体もまた、好ましい。PGRP−Lポリヌクレオチド改変体は、種
々の理由(例えば、特定の宿主についてのコドン発現を至適化する(ヒトmRN
Aにおけるコドンを、E.coliのような細菌宿主によって好ましいコドンに
変化させる))のために、生成され得る。
【0094】 天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色
体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つを
いう。(Genes II、Lewin,B.,編 John Wiley &
Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、
ポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリぺプチドレベルのいずれかで変化し
得、そして本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体は、変異誘発
技術によってまたは直接的な合成によって生成され得る。
【0095】 タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を使用して、改変体は、
本発明のポリぺプチドの特性を改善または変化させるために作製され得る。例え
ば、1つ以上のアミノ酸は、生物学的機能の実質的な欠損を伴わずに、分泌タン
パク質のN末端またはC末端から欠失され得る。Ronら、J.Biol.Ch
em.268:2984−2988(1993)の著者らは、3、8、または2
7個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失させた後でさえもヘパリン結合活性を有
する改変体KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンγは、この
タンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失させた後、1
0倍までのより高い活性を示した(Dobeliら、J.Biotechnol
ogy 7:199−216(1988))。
【0096】 さらに、豊富な証拠は、改変体が、天然に存在するタンパク質の生物学的活性
に類似する活性をしばしば保持することを実証する。例えば、Gayleおよび
共同研究者ら(J.Biol.Chem 268:22105−22111(1
993))は、ヒトサイトカインIL−1aの広範囲にわたる変異分析を行った
。彼らは、ランダムな変異誘発を使用して、分子の全長にわたって改変体当たり
平均2.5アミノ酸の変化になる、3,500個を超える個々のIL−1a変異
体を作製した。複数の変異が、全ての潜在的なアミノ酸の位置で試験された。こ
の研究者らは、「分子の大部分は、[結合活性または生物学的活性]のいずれに
対してもほとんど影響を伴わないで変化され得る」ことを見出した。(要約を参
照のこと)。実際、試験された3,500個を超えるヌクレオチド配列のうち、
わずか23個の独特なアミノ酸配列が、野生型と活性が有意に異なるタンパク質
を生成した。
【0097】 さらに、ポリぺプチドのN末端またはC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失
が、1つ以上の生物学的機能の改変または欠失を生じたとしても、他の生物学的
活性はなお保持され得る。例えば、分泌される形態を認識する抗体を誘導および
/または結合する、欠失改変体の能力は、分泌される形態の大多数より少ない残
基が、N末端またはC末端から除去される場合に保持されるようである。タンパ
ク質のN末端またはC末端残基を欠損する特定のポリぺプチドが、このような免
疫原性活性を保持するか否かは、本明細書中に記載される慣用的な方法、および
そうでなければ当該分野において公知の慣用的な方法によって容易に決定され得
る。
【0098】 従って、本発明はさらに、実質的な生物学的活性を示すPGRP−Lポリぺプ
チド改変体を含む(例えば、図1A〜Bにおいて開示されるPGRP−Lポリペ
プチドの改変体および図2A〜Bにおいて開示されるPGRP−Lポリペプチド
の改変体)。このような改変体としては、活性に対する影響をほとんど有さない
ように、当該分野において公知の一般的な法則に従って選択される、欠失、挿入
、逆位、反復、および置換が挙げられる。
【0099】 本願は、本明細書中に開示される核酸配列(例えば、配列番号2のm−nとし
て以下に開示されるNおよび/またはC末端欠失のアミノ酸配列を有するポリペ
プチドをコードする)に対して、それらがPGRP−L機能活性を有するポリペ
プチドをコードするか否かに関わらず、少なくとも80%同一、85%同一、9
0%同一、95%同一、96%同一、97%同一、98%同一、または99%同
一である核酸分子に関する。なぜならば、特定の核酸分子が、PGRP−L機能
活性を有するポリペプチドをコードしない場合ですら、当業者はこの核酸分子を
使用する方法(例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)プライマーとして)をなお知っているからである。PGRP−
L機能活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用として
は、特に、(1)cDNAライブラリー中のPGRP−L遺伝子またはその対立
遺伝子またはその改変体を単離すること;(2)Vermaら(Human C
hromosomes:A Manual of Basic Techniq
ues、Pergamon Press,New.York.(1988))に
記載されるような、PGRP−L遺伝子の正確な染色***置を提供するための、
***中期染色体スプレッド(spread)に対するインサイチュハイブリダイ
ゼーション(例えば、「FISH」);および(3)特定の組織におけるPGR
P−LのmRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析が挙げられる。
【0100】 しかし、本明細書中に開示される核酸配列に対して、少なくとも80%、85
%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な配列を有する
核酸分子が好ましい。これらは、事実、PGRP−L機能活性を有するポリペプ
チドをコードする。「PGRP−L機能活性を有するポリペプチド」によって、
例えば、特に、免疫アッセイまたは生物学的アッセイにおいて測定されるように
、本発明のPGRP−Lポリペプチド(例えば、可溶性PGRP−L(例えば、
PGRP−Lの細胞外ドメイン中に含まれる配列を有する))の機能的活性と類
似する活性(しかし、同一である必要はない)を示すポリペプチドが意図される
。例えば、PGRP−L機能活性は、PGRP−Lリガンドを結合するPGRP
−Lポリペプチドの能力を決定することにより慣用的に測定され得る。PGRP
−L機能活性はまた、このポリペプチドを発現している細胞を誘導するために、
遊離しているかまたは細胞表面上で発現している同属リガンドのようなポリペプ
チドの能力を決定することにより測定され得る。
【0101】 もちろん、遺伝コードの縮重に起因して、当業者は、寄託されたcDNAの核
酸配列、図1A〜B(配列番号1)に示される核酸配列、またはそれらのフラグ
メントに対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%または99%同一な配列を有する多くの核酸分子が「PGRP−L機能
活性を有する」ポリペプチドをコードすることを直ちに認識する。事実、これら
のヌクレオチド配列のいずれかの縮重改変体は全て、同じポリペプチドをコード
するので、多くの場合において、これは、上記の比較アッセイを行うことなく、
なお当業者に明らかである。縮重改変体ではないこのような核酸分子については
、妥当な数がまた、PGRP−Lの機能活性を有するポリペプチドをコードする
ことは当該分野でさらに認識される。これは、以下でさらに記載されるように、
タンパク質機能を有意にあまりもたらさないかまたはもたらさないようであるか
のいずれかであるアミノ酸置換(例えば、1つの脂肪族アミノ酸を第2の脂肪族
アミノ酸と置換すること)を、当業者が、十分認識しているためである。
【0102】 例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する指針は
、Bowieら、Science 247:1306−1310(1990)に
おいて提供され、ここで、著者らは変化に対するアミノ酸配列の寛容性を研究す
るための2つの主要なストラテジーがあることを指摘する。
【0103】 第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然の選択によるアミノ酸置換の寛
容を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較して、保存されるアミノ酸
が同定され得る。これらの保存されるアミノ酸は、タンパク質の機能について重
要であるようである。対照的に、置換が自然の選択によって寛容されたアミノ酸
の位置は、これらの位置がタンパク質の機能に重要ではないことを示す。従って
、アミノ酸置換を寛容する位置は改変され得るが、タンパク質の生物学的活性を
なおも維持する。
【0104】 第2のストラテジーは、タンパク質機能に重要な領域を同定するために、クロ
ーン化された遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するための遺伝子工学を
使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発(
分子中の各残基で1つのアラニン変異の導入)が、使用され得る。(Cunni
nghamおよびWells,Science 244:1081−1085(
1989))。次いで、得られた変異分子は生物学的活性について試験され得る
【0105】 著者らが言及するように、これらの2つのストラテジーは、タンパク質がアミ
ノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミ
ノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容されるようであるかを示
す。例えば、(タンパク質の三次構造内に)ほとんど埋もれているアミノ酸残基
は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されな
い。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸
のAla、Val、Leu、およびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerお
よびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsn
およびGlnの置換、塩基性残基のLys、Arg、およびHisの置換;芳香
族残基のPhe、Tyr、およびTrpの置換、ならびに小さなサイズのアミノ
酸のAla、Ser、Thr、Met、およびGlyの置換を含む。
【0106】 保存的なアミノ酸置換に加えて、PGRP−Lの改変体は、(i)1つ以上の
非保存的なアミノ酸残基との置換、ここでは置換されるアミノ酸残基は、遺伝コ
ードによってコードされるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくて
もよい、または(ii)置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基での置換、また
は(iii)別の化合物(例えば、ポリぺプチドの安定性および/もしくは可溶
性を増加するための化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との成熟ポリ
ぺプチドの融合、または(iv)さらなるアミノ酸(例えば、IgG Fc融合
領域ペプチド、またはリーダーもしくは分泌配列、または精製を容易にする配列
)とのポリぺプチドの融合を含む。このような改変体ポリぺプチドは、本明細書
中の教示から、当業者の範囲内であると考えられる。
【0107】 例えば、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ酸での荷電されたアミノ
酸のアミノ酸置換を含むPGRP−Lポリぺプチド改変体は、改善された特性(
例えば、より少ない凝集性)を有するタンパク質を生成し得る。薬学的処方物の
凝集は、凝集体の免疫原活性に起因して、活性の減少およびクリアランスの増加
の両方をもたらす。(Pinckardら、Clin.Exp.Immunol
.2:331−340(1967);Robbinsら、Diabetes 3
6:838−845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Th
erapeutic Drug Carrier Systems 10:30
7−377(1993))。
【0108】 本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、50
アミノ酸置換を超えず、さらにより好ましくは、40アミノ酸置換を超えず、な
おより好ましくは、30アミノ酸置換を超えず、そしてなおさらにより好ましく
は、20アミノ酸置換を超えないアミノ酸配列を有する本発明のアミノ酸配列を
含むポリペプチドに関する。当然、好ましさの増大する順番に、ペプチドまたは
ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むが、10、9、8、7、
6、5、4、3、2、または1アミノ酸置換を超えないPGRP−Lポリペプチ
ドのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することが非常に好ましい。特定の実
施形態において、図1A〜Bのアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、
本明細書に記載の成熟形態および/または他のフラグメント)における付加、置
換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、10
〜50、または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が好ましい。特定の実
施形態において、図2A〜Bのアミノ酸配列またはそのフラグメント(例えば、
本明細書中に記載の成熟形態および/または他のフラグメント)における付加、
置換、および/または欠失の数は、1〜5、5〜10、5〜25、5〜50、1
0〜50または50〜150であり、保存的アミノ酸置換が好ましい。
【0109】 (抗体) さらに、本発明のポリペプチドは、(特異的な抗体抗原結合をアッセイするた
めの当該分野で周知のイムノアッセイによって決定されるような)本発明の、ポ
リペプチド、ポリペプチドフラグメント、または配列番号2および/または4の
改変体、ならびに/あるいはエピトープに免疫特異的に結合する抗体およびT細
胞抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、
モノクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体
、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライ
ブラリーによって産生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(
例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエ
ピトープ結合フラグメントを含むが、限定されない。本明細書中で使用される場
合、用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロリン分子の免疫学的に
活性な部分、すなわち、免疫特異的に抗原に結合する抗原結合部位を含む分子を
いう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば
、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、任意のクラス(
例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)
または任意のサブクラスであり得る。
【0110】 最も好ましくは、この抗体は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり
、これには、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(sc
Fv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)ならびにVLまたはV
Hドメインのいずれかを含むフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない
。単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または以下
の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1ドメイン、C
H2ドメインおよびCH3ドメイン。また、可変領域とヒンジ領域、CH1ドメ
イン、CH2ドメインおよびCH3ドメインとの任意の組み合わせもまた含む抗
原結合フラグメントがまた本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳
動物を含む任意の動物起点由来であり得る。好ましくは、この抗体は、ヒト、ネ
ズミ(murine)(例えば、マウスおよびウサギ)、ロバ、シップウサギ(
ship rabbit)、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ
である。本明細書中で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのア
ミノ酸配列を有する抗体を含み、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーまたは
1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックであり、そして内因
性免疫グロブリンを発現しない動物から単離さた抗体(下に記載のように、およ
び例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号
において記載のような)を含む。
【0111】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多重
特異性の抗体であり得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なる
エピトープに対して特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドおよび異
種のエピトープ(例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持体物質)、の両方
に特異的であり得る。例えば、PCT公開WO 93/17715;同WO 9
2/08802;同WO 91/00360;同WO 92/05793;Tu
ttら、J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第4
,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、
同第5,573,920号、同第5,601,819号;Kostelnyら、
J.Imunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。
【0112】 本発明の抗体は、これらが認識または特異的に結合する、本発明のポリペプチ
ドのエピトープまたは部分に関して記載または特定化され得る。このエピトープ
またはポリペプチドの部分は、例えば、N末端およびC末端位置によって、連続
するアミノ酸残基におけるサイズによって本明細書中に記載されるように特定さ
れ得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体
はまた、排除され得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドを特異的に結
合し、そして本発明のポリペプチドの排除を可能にする抗体を含む。
【0113】 本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載または特定化され得る。本
発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルソログまたはホモログを結合し
ない抗体が、含まれる。本発明のポリペプチドに対して少なくとも95%、少な
くとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少な
くとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%および
少なくとも50%の同一性(当該分野で公知の方法および本明細書中に記載され
る方法を用いて計算されるように)を有するポリペプチドを結合する抗体もまた
、本発明に含まれる。特定の実施形態において、本発明の抗体は、ヒトタンパク
質の、マウスホモログ、ラットホモログおよび/またはウサギホモログならびに
対応するそれらのエピトープと交差反応する。本発明のポリペプチドに対して9
5%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、6
5%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性(当該分野で公知
の方法および本明細書中に記載される方法を用いて計算されるように)を有する
ポリペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態にお
いて、上記の交差反応性は、本明細書中に開示された、任意の単一特異的な抗原
性または免疫原性ポリペプチド、あるいは2、3、4、5以上の特異的抗原性お
よび/または免疫原生ポリペプチドの組み合わせに関する。さらに、ストリンジ
ェントなハイブリダイゼーション条件下(本明細書中で記載されるような)で本
発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードさ
れるポリペプチドを結合する抗体が、本発明に含まれる。本発明の抗体はまた、
本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性について記載または特定化さ
れ得る。好ましい結合親和性としては、5×10-2M未満、10-2M未満、5×
10-3M未満、10-3M未満、5×10-4M未満、10-4M未満、5×10-5
未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、1
-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未
満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、
5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×
10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満または10-15M未満の解離
定数すなわちKdを有する親和性が挙げられる。
【0114】 本発明はまた、競合性結合を決定するための当該分野で公知の任意の方法(例
えば、本明細書中で記載されるイムノアッセイ)によって決定されるような、本
発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ま
しい実施形態において、この抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少
なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少
なくとも60%、または少なくとも50%、エピトープへの結合を競合的に阻害
する。
【0115】 本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用し得る。例えば、本発明は、本発明のポリペプチドとのレセプター/リ
ガンド相互作用を部分的または完全にのいずれかで破壊する抗体を含む。好まし
くは、本発明の抗体は、本明細書中で開示された抗原性エピトープ、またはその
部分を結合する。本発明は、レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の
両方の特徴を有する。本発明はまた、リガンド結合を妨害しないがレセプター活
性化を妨害するレセプター特異的抗体の特徴を有する。レセプター活性化(すな
わち、シグナル伝達)は、本明細書中に記載の技術、そうでなければ、当該分野
で公知の技術により決定され得る。例えば、レセプター活性化は、レセプターの
リン酸化(例えば、チロシンまたはセリン/トレオニン)、または免疫沈降それ
に続いてウェスタンブロット分析(例えば、上記のような)によってその基質を
検出することにより、決定され得る。特定の実施形態において、この抗体の非存
在下で、リガンド活性またはレセプター活性を、その活性の少なくとも95%、
少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、
少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する抗体が
提供される。
【0116】 本発明はまた、リガンド結合およびレセプター活性化の両方を妨げるレセプタ
ー特異的抗体、ならびにレセプターリガンド複合体を認識し、そして好ましくは
、結合していないレセプターまたは結合していないリガンドを特異的に認識しな
いレセプター特異的抗体の特徴を有する。同様に、本発明は、リガンドと結合し
、そしてレセプターへのリガンドの結合を妨げる中和抗体、およびリガントと結
合し、それによりレセプター活性化を妨げるが、リガンドがレセプターを結合す
ることを妨げない抗体を含む。さらに、本発明は、レセプターを活性化する抗体
を含む。これらの抗体は、レセプターアゴニストとして作用し得、すなわち、例
えば、レセプターの二量化を誘発することによってリガンド媒介レセプター活性
化の生物学的活性化の全てまたはサブセットのいずれかを増強するかまたは活性
化し得る。この抗体は、本明細書中に開示される本発明のペプチドの特異的生物
学的活性を含む生物学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストまたは逆ア
ゴニストとして特定化され得る。上記抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法
を用いて作製され得る。例えば、PCT公開WO96/40281;米国特許第
5,811,097号;Dengら、Blood 92(6):1981−19
88(1998);Chenら、Cancer Res.58(16):366
8−3678(1998);Harropら、J.Immunol.161(4
):1786−1794(1998);Zhuら、Cancer Res:58
(15):3209−3214(1998);Yoonら、J.Immunol
.160(7):3170−3179(1998);Pratら、J.Cell
.Sci.111(Pt2):237−247(1998);Pitardら、
J.Immunol.Methods 205(2):177−190(199
7);Liautardら、Cytokine 9(4):233−241(1
997);Carlsonら、J.Biol.Chem.272(17):11
295−11301(1997);Tarymanら、Neuron 14(4
):755−762(1995);Mullerら、Structure 6(
9):1153−1167(1998);Bartunekら、Cytokin
e 8(1):14−20(1996)(上記の文献は、全て、その全体が参考
として本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0117】 本発明の抗体は、例えば、これらに限定されないが、本発明のポリペプチドを
精製し、検出し、そして標的化するために使用され得る。これらは、インビトロ
およびインビボの両方での診断方法および治療方法を含む。例えば、この抗体は
、生物学的サンプルにおける本発明のポリペプチドのレベルを定性的におよび定
量的に測定するためのイムノアッセイにおける使用を有す。例えば、Harlo
wら,Antibodies:A Laboratory Manual,(C
old Spring Harbor Laboratory Press,第
2版,1988)(本明細書中でその全体が参照として援用される)を参照のこ
と。
【0118】 以下にさらに詳細に議論されるように、本発明の抗体は、単独または他の化合
物との組み合わせのいずれかで使用され得る。この抗体はさらに、ポリペプチド
または他の化合物へN末端でもしくはC末端で異種ポリペプチドに組換え的に融
合され得るか、または化学的に結合(共有結合および非共有結合を含む)され得
る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子およ
び異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素のようなエフェクター分子
へ組換え的に融合または結合され得る。例えば、PCT公開WO92/0849
5;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,9
95号;および欧州特許第396,387号を参照のこと。
【0119】 本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合性付着(covalent attachment)が、抗体が抗イディオタイプ応答を産生するのを妨げ
ないような、抗体に対する任意の型の分子の共有結合性付着による)誘導体を含
む。例えば、制限されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチ
ル化、ぺグ化(pegylation)、リン酸化(phosphylatio
n)、アミド化、既知の保護基/ブロック基(blocking group)
による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質
への連結などによって改変された抗体が挙げられる。多数の任意の化学的改変が
、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成など
を含むが、これらに制限されない公知の技術によって実行され得る。さらに、誘
導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0120】 本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。
目的の抗原に対するポリクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手順によっ
て産生され得る。例えば、本発明のポリペプチドが種々の宿主動物(ウサギ、マ
ウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)に投与されて、抗原に対して
特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導し得る。種々のアジュバン
トが、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得、そして
フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル(
mineral gel)、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニック
(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、
キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カ
ルメット−ゲラン杆菌)およびcorynebacterium parvum
のような潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。こ
のようなアジュバントはまた、当該分野で周知である。
【0121】 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレ
イ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該分野で公知の広範な種々
の技術を用いて調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知
の以下に挙げられるハイブリドーマ技術を使用して産生され得、例えば、Har
lowら、Antibodies:A Laboratory Manual,
(Cold Spring Harbor Laboratory Press
,第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal An
tibodies and T−Cell Hybridomas 563−6
81(Elsevier,N.Y.1981)(上記の参考文献は、その全体が
参考として援用される)に教示される。本明細書中で使用される場合、用語「モ
ノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ技術を通して生成された抗体に限定さ
れない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核生物、原核生物、または
ファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体をいい、そしてその生成
される方法に由来する抗体ではない。
【0122】 ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生およびスクリーニングする方法
は、当該分野で慣用的かつ周知であり、そして実施例に詳細に議論される。非限
定的な実施例において、マウスは、本発明のポリペプチドまたはそのようなペプ
チドを発現する細胞を用いて免疫され得る。一旦免疫応用が検出される(例えば
、抗原に特異的な抗体がマウスの血清中に検出される)と、マウスの脾臓を収集
しそして脾細胞を単離する。次に、その脾細胞を周知の技術によって任意の適切
な骨髄腫細胞(例えば、ATCCから入手可能な細胞株SP20由来の細胞)に
融合させる。ハイブリドーマを限界希釈によって選択およびクローン化する。次
に、ハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌
する細胞について、当該分野で公知の方法によってアッセイする。一般的に高い
レベルの抗体を含む腹水(ascites fluid)が、陽性ハイブリドー
マクローンを用いてマウスを免疫させることによって、産生され得る。
【0123】 従って、本発明は、モノクローナル抗体および本発明の抗体を分泌するハイブ
リドーマ細胞を培養する工程を包含する方法によって産生される抗体を、生成す
る方法を提供し、ここで、好ましくは、このハイブリドーマは、骨髄腫細胞と本
発明の抗原で免疫したマウスから単離された脾細胞とを融合させ、次いで本発明
のポリペプチドと結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて、
融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることによって生成される
【0124】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術により産生し得
る。例えば、本発明のFabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメントは
、パパイン(Fabフラグメントを産生するため)またはペプシン(F(ab’
)2フラグメントを産生するため)のような酵素を使用して、免疫グロブリン分
子のタンパク質分解性切断によって産生され得る。F(ab’)2フラグメント
は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。例えば、本発
明の抗体はまた、当該分野に公知の種々のファージディスプレイ方法を用いて産
生され得る。ファージディスプレイ方法において、機能的な抗体ドメインは、そ
れらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に提示
される。特定の実施形態において、このようなファージを、レパートリー抗体ラ
イブラリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウ
ス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために利用し得る。目的の抗原
と結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、抗原を用いて、(例えば、
標識化抗原、あるいは固体表面または固体ビーズへ結合または捕捉された抗原を
使用して)選択または同定し得る。これらの方法において使用されるファージは
、代表的に、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタ
ンパク質のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安
定化されたFvの抗体ドメインを有するファージから発現されたfdおよびM1
3結合ドメインを含む糸状(filamentous)ファージである。本発明
の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例としては、
以下に開示される方法が挙げられる:Brinkmanら、J.Immunol
.Methods 182:41〜50(1995);Amesら、J.Imm
unol.Methods 184:177〜186(1995);Kettl
eboroughら、Eur.J.Immunol.24:952〜958(1
994);Persicら、Gene 187 9〜18(1997);Bur
tonら、Advances in Immunology 57:191〜2
80(1994);PCT公開 PCT/GB91/01134;PCT公開
WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO9
2/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/2
0401;ならびに米国特許第5,698,426号;同第5,223,409
号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,
908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,5
71,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第
5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号
および同第5,969,108号(これらのそれぞれは、その全体が参考として
援用される)。
【0125】 上記参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体
をコードする領域は、ヒト抗体を含む抗体の全体、または任意の他の所望の抗原
結合フラグメントを作製するために単離および使用され得、そして例えば、以下
に詳細に記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細
菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。例えば、Fab、Fab’お
よびF(ab’)2フラグメントを組換え的に産生するための技術はまた、当該
分野で公知の方法を用いて使用され得る。この方法は、例えば、以下に開示され
る方法である:PCT公開WO92/22324;Mullinaxら、Bio
Techniques 12(6):864−869(1992);およびSa
waiら、AJRI 34:26−34(1995);およびBetterら、
Science 240:1041−1043(1998)(上記の参考文献は
、その全体が参考として援用される)。
【0126】 単鎖のFvsおよび抗体を産生するために用いられ得る技術の例としては、米
国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Huston
ら、Methods in Enzymology 203:46−88(19
91);Shuら、PNAS 90:7995−7999(1993);および
Skerraら、Science 240:1038−1040(1988)に
記載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビト
ロ検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗体または
ヒト抗体の使用が好ましくあり得る。キメラ抗体は、この抗体の異なる部分が異
なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域
およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)である。キメラ抗体を産生す
るための方法は、当該分野において公知である。例えば、Morrison,S
cience 229:1202(1985);Oiら、BioTechniq
ues 4:214(1986);Gilliesら、(1989)J.Imm
unol.Methods 125:191−202;および米国特許第5,8
07,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号
を参照のこと(これらは、本明細書中でその全体が参照として援用される)。ヒ
ト化抗体は、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫
グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する、非ヒ
ト種抗体由来の抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域におけるフ
レームワーク残基は、CDRドナー抗体由来の対応する残基と置換され、抗原結
合を改変(好ましくは、改善)する。これらのフレームワーク置換は、当該分野
で周知の方法により同定され、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を
同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリング、ならび
に特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によ
る。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechm
annら、Nature 332:323(1988)(これらは本明細書中で
その全体が参考として援用される)を参照のこと)。抗体は、例えば、以下を含
む当該分野で公知の種々の技術を用いてヒト化され得る:CDR−グラフティン
グ(grafting)(欧州特許第239,400号;PCT公開 WO91
/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号お
よび同第5,585,089号)、ベニヤリング(veneering)または
リサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許第592,106号
;欧州特許第519,596号;Padlan、Molecular Immu
nology 28(4/5):489−498(1991); Studni
ckaら、Protein Engineering 7(6):805−81
4(1994);Roguskaら、PNAS 91:969−973(199
4))、およびチェーンシャッフリング(chain shuffling)(
米国特許第5,565,332号)。
【0127】 完全なヒト抗体が、ヒト患者の治療的処置に対して特に望ましい。ヒト抗体は
、当該分野で公知の種々の方法によって作製され得、これらの方法としては、ヒ
ト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプ
レイ方法が挙げられる。米国特許第4,444,887号および同第4,716
,111号;ならびにPCT公開WO98/46645、WO98/50433
、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO
96/33735、およびWO91/10741(これらの各々は、その全体が
参考として本明細書中に援用される)もまた参照のこと。
【0128】 ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンの発現は出来ないが、ヒト免疫
グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを用いて産生され得る
。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子およびヒト軽鎖免疫グロブリン遺伝子
の複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入され得
る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域および多様性領域(diversity
region)は、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えて、マウスの
胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子およびマウス軽鎖
免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々
にまたは同時に非機能的にされ得る。特に、JH領域のホモ接合性の欠失は、内
因性抗体の産生を妨げる。この改変された胚性幹細胞を増殖させ、そして胚盤胞
に微量注入して、キメラマウスを産生する。次に、このキメラマウスを、ヒト抗
体を発現するホモ接合性の子孫を産生するために繁殖させる。トランスジェニッ
クマウスを、選択された抗原(例えば、本発明のポリペプチドの全体または一部
)を用いて通常の様式で免疫する。その抗原に対するモノクローナル抗体は、従
来のハイブリドーマ技術を用いた免疫したトランスジェニックマウスから得られ
得る。ヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間のトランスジェニック
マウスの再編成によってかくまわれ(harbored)、そしてその後、クラ
ススイッチングおよび体細胞変異を受ける。従って、そのような技術の使用によ
って、治療的に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体の
産生が可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、Lo
nbergおよびHuszar、Int.Rev.Immunol.13:65
−93(1995)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産
生するためのこの技術のならびにそのような抗体を産生するためのプロトコール
の詳細な議論については、例えば、PCT公開WO98/24893;WO92
/01047;WO96/34096;WO96/33735;欧州特許第0
598 877;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号
;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,0
16号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,88
5,793号;同第5,916,771号;および同第5,939,598号を
参照のこと(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)。さら
に、Abgenix,Inc.(Freemont,CA)およびGenpha
rm(San Jose,CA)のような企業は、上記の技術に類似した技術を
用いて選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事し得る。
【0129】 選択されたエピトープを完全に認識するヒト抗体を、「ガイドされた(gui
ded)選択」といわれる技術を用いて産生し得る。このアプローチにおいて、
選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトー
プを完全に認識するヒト抗体の選択を導くために使用される(Jespersら
、Bio/technology 12:899−903(1988))。
【0130】 さらに、本発明のポリペプチドに対する抗体は、当業者に周知の技術を用いて
、本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成するために
順々に利用され得る。(例えば、GreenspanおよびBona、FASE
B J.7(5):437−444(1989);ならびにNissinoff
、J.Immunol.147(8):2429−2438(1991)を参照
のこと)。例えば、結合し、そしてポリペプチドのマルチマー化(multim
erization)および/または本発明のポリペプチドのリガンドに対する
結合を競合的に阻害する抗体を用いて、このポリペプチドのマルチマー化および
/または結合ドメインを「模倣し」、そして結果として、ポリペプチドおよび/
またはそのリガンドに結合し、そして中和する抗イディオタイプを生成し得る。
このような中和抗イディオタイプまたはこのような抗イディオタイプのFabフ
ラグメントは、治療レジメンにおいて使用されて、ポリペプチドリガンドを中和
し得る。例えば、このような抗イディオタイプ抗体を使用して、本発明のポリペ
プチドを結合し得るか、そして/またはそのリガンド/レセプターを結合し得、
それによって、その生物学的活性をブロックし得る。
【0131】 (抗体をコードするポリヌクレオチド) 本発明はさらに、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、ストリンジェント
な条件下またはより低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で(
例えば、上記のような)、抗体(好ましくは、本発明のポリペプチドへ特異的に
結合する抗体)をコードするポリヌクレオチド、好ましくは、配列番号2および
/または4のアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドに結合する抗体をコードす
るポリヌクレオチド、に対してハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。
【0132】 当該分野で公知の任意の方法によって、これらのポリヌクレオチドが得られ得
、そしてこれらポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、決定され得る。例えば
、抗体のヌクレオチド配列が公知である場合、この抗体をコードするポリヌクレ
オチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドからアセンブルされ得(例え
ば、Kutmeierら、BioTechniques 17:242(199
4)に記載されるように)、これは、手短に言えば、抗体をコードする配列の部
分を含むオーバーラップするヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチド
のアニーリングおよび連結、ならびに次いでPCRによるこの連結されたオリゴ
ヌクレオチドの増幅を含む。
【0133】 あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な供給源からの核酸か
ら作製され得る。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは入手不可能だが
、その抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、
化学的に合成され得るか、あるいは適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブ
ラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞(例えば、本発明の抗体
の発現のために選択されたハイブリドーマ細胞)から生成されたcDNAライブ
ラリー、またはそれから単離された核酸(好ましくはポリA+RNA))を、例
えば、抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定す
るために、その配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プラ
イマーを使用するPCR増幅によって、またはその特定の遺伝子配列に特異的な
オリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって得られ得る。PC
Rによって作製された増幅された核酸は、次いで、当該分野で周知の任意の方法
を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0134】 一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されると、
抗体のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の操作について当該分野で周知の
方法(例えば、組換えDNA技術、部位指向性変異誘発、PCRなど(例えば、
Sambrookら、1990,Molecular Cloning,A L
aboratory Manual,第2版、Cold Spring Har
bor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY
およびAusubelら編、1998,Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley&Sons
,NYに記載の技術を参照のこと。これらは両方がその全体において本明細書に
参考として援用される。))を用いて操作され、例えば、アミノ酸の置換、欠失
、および/または挿入を生成するように異なるアミノ酸配列を有する抗体を作製
し得る。
【0135】 特定の実施形態では、重鎖および/または軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列
は、相補性決定領域(CDR)の配列を同定するために、当該分野で周知の方法
、例えば、他の重鎖および軽鎖の可変領域の既知のアミノ酸配列を比較して、配
列超可変性領域を決定する方法、によって、調べられ得る。慣用的組換えDNA
技術を使用して、一つ以上のCDRが、フレームワーク領域内、例えば、上記の
ように、非ヒト抗体をヒト化させるためにヒトフレームワーク領域内に挿入され
得る。このフレームワーク領域は、天然に存在、または共通するフレームワーク
領域であり得、そして好ましくはヒトフレームワーク領域であり得る(ヒトフレ
ームワーク領域の一覧については、例えばChothiaら、J.Mol.Bi
ol. 278:457−479(1998)を参照のこと)。好ましくは、フ
レームワーク領域およびCDRの組合せによって生成するポリヌクレオチドは、
本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、上で
考察したように、一つ以上のアミノ酸の置換は、フレームワーク領域内で起こり
、そして好ましくは、このアミノ酸置換は、その抗原への抗体の結合を改善する
。さらに、このような方法は、アミノ酸置換させるため、または鎖内ジスルフィ
ド結合に参加している一つ以上の可変領域システイン残基を欠失させて、一つ以
上の鎖内ジスルフィド結合が欠けた抗体分子を生成させるために、使用され得る
。ポリペプチドに対する他の改変は、本発明および当該分野の技術によって達成
される。
【0136】 さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的
活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともに、スプライシングすることによる、「
キメラ抗体」(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.
81:851−855(1984);Neubergerら、Nature 3
12:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:
452−454(1985))の産生のために開発された技術が、使用され得る
。上記のように、キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物の種に由来する分子(
例えばマウスmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有
する分子)であり、例えばヒト化抗体である。
【0137】 あるいは、一本鎖抗体の産生について記載された技術(米国特許第4,946
,778号;Bird,Science 242:423−42(1998);
Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:58
79−5883(1998);およびWardら、Nature 334:54
4−54(1989))は、一本鎖抗体を産生するために適合され得る。一本鎖
抗体は、アミノ酸架橋を介して、Fv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結
し、一本鎖ポリペプチドを生じることによって形成される。E.coliにおけ
る機能的Fvフラグメントのアセンブリのための技術もまた使用され得る(Sk
erraら、Science 242:1038−1041(1988))。
【0138】 (抗体産生の方法) 本発明の抗体は、抗体の合成について当該技術分野で公知の方法によって、特
に化学合成によって、または好ましくは組換え発現技術によって、産生され得る
【0139】 本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログ(例えば、
本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖、または本発明の一本鎖抗体)の組換え発現は
、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。
本発明の、抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの部分(好ま
しくは重鎖もしくは軽鎖の可変ドメインを含む)をコードするポリヌクレオチド
が一旦得られれば、抗体分子の産生のためのベクターは、当該分野で周知の技術
を使用する組換えDNA技術によって産生され得る。従って、ヌクレオチド配列
をコードする抗体を含むポリヌクレオチドの発現によってタンパク質を調製する
ための方法は、本明細書中に記載される。当業者に周知の方法は、抗体コード配
列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するた
めに使用され得る。これらの方法は、例えば,インビトロ組換えDNA技術、合
成技術、およびインビボ遺伝子組換えを含む。従って、本発明は、本発明の抗体
分子をコードするヌクレオチド配列、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはプロ
モーターに作動可能に連結された、重鎖もしくは軽鎖の可変ドメイン、を含む複
製可能ベクターを提供する。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコー
ドするヌクレオチド配列を含み(例えば、PCT国際公開第WO 86/058
07号;PCT国際公開第WO 89/01036;および米国特許第5,12
2,464号を参照のこと。)、そして、この抗体の可変領域は、重鎖または軽
鎖の全体の発現のためにこのようなベクター内にクローニングされ得る。
【0140】 発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移入され、次いでトランスフ
ェクト細胞は、従来の技術によって本発明の抗体を産生するために培養される。
従って、本発明は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、またはその重
鎖もしくは軽鎖、または異種のプロモーターに作動可能に連結された、本発明の
一本鎖抗体を含む宿主細胞を含む。二本鎖抗体の発現のための好ましい実施形態
では、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、下記の詳細のように、免
疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞において共発現され得る。
【0141】 種々の宿主発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現させるために利用され
得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、かつ続いて精製
され得るビヒクルを表わすが、また、適切なヌクレオチドをコードする配列で形
質転換またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明の抗体分子
を発現し得る細胞を表わす。これらには、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA発現ベク
ター、プラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターを用い
て形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のよう
な微生物;抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換され
た酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体をコード
する配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感
染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイ
クウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した植物細胞
系または抗体をコードする配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、
Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノム
に由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳
動物のウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモー
ター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保
有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞
)。好ましくは、Escherichia coliのような細菌細胞、そして
より好ましくは、特に、組換え抗体分子全体の発現のために真核生物細胞が、組
換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由
来の主要最初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わされ
た、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞が、抗
体のための効果的な発現系である(Foeckingら、Gene 45:10
1(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(
1990))。
【0142】 細菌系において、多くの発現ベクターが、抗体分子の発現を意図する使用に依
存して有利に選択され得る。例えば、多量のこのようなタンパク質が産生される
場合、抗体分子の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される融合タンパク
質産物の高レベルの発現を指向するベクターが所望され得る。このようなベクタ
ーには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体をコードする配列が
lacZをコードする領域と共にベクターにインフレーム(in frame)
で個別に連結され得、その結果、融合タンパク質が産生されるE.coli発現
ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.2:1791(198
3));pINベクター(Inouye&Inouye、Nucleic Ac
ids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke
&Schuster、J.Biol.Chem.24:5503−5509(1
989))など。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ(GST)との融合タンパク質として、外来性ポリペプチドを発現させるため
に使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そして溶
解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および
結合、それに続く遊離グルタチオン存在化での溶出によって容易に精製され得る
。このpGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を
含むように設計され、その結果、このクローニングされた標的遺伝子産物は、G
ST部分から放出され得る。
【0143】 昆虫系においては、Autographa californica核多角体
病ウィルス(AcNPV)は、異種遺伝子を発現するためのベクターとして使用
される。このウィルスは、Spodoptera frugiperda細胞に
おいて増殖する。抗体をコードする配列は、このウィルスの非必須の領域(例え
ばポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモ
ーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
【0144】 哺乳動物宿主細胞においては、多数のウィルスに基づく発現系が利用され得る
。アデノウィルスが発現ベクターとして使用される場合においては、目的の抗体
をコードする配列は、アデノウィルスの転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロ
モーターおよび3つの部分に分かれるリーダー配列、に連結され得る。次いで、
このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換えによって、アデノウ
ィルスゲノムに挿入され得る。ウィルスのゲノムの非必須領域(例えば、E1ま
たはE3領域)における挿入は、生存可能で、感染した宿主において抗体分子を
発現する能力のある組換えウィルスを生じる(例えば、Logan&Shenk
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1
984)を参照のこと)。特異的開始シグナルはまた、挿入された抗体をコード
する配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG
開始コドンおよび隣接する配列を含む。さらに、この開始コドンは、挿入部分全
体の翻訳を確実にするために、所望されるコード配列のリーディングフレーム(
reading frame)と相が同じでなければならない。これらの外因性
翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、種々の起源、天然および合成の両方であ
り得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネータ
ー、などの含有によって高められ得る(Bittnerら、Methods i
n Enzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
【0145】 さらに、宿主細胞系統は、選択され得、これは挿入配列の発現を調節し、また
は、所望される特異的な様式で遺伝子産物を改変し、そしてプロセシングする。
タンパク質産物のこのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(
例えば切断)は、タンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は
、タンパク質および遺伝子産物の、翻訳後プロセシングおよび改変のための、特
徴的で特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系は、発現された外来タ
ンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。こ
の目的のために、遺伝子産物の、第一の転写、グリコシル化、およびリン酸化の
正確なプロセシングのための細胞機構を有する、真核生物宿主細胞が、使用され
得る。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、
COS、MDCK、293、3T3、WI38、そして特に、例えば、BT48
3、Hs578T、HTB2、BT20およびT47Dのような乳癌細胞株、な
らびに、例えば、CRL7030およびHs578Bstのような正常な乳腺細
胞株を含むが、これらに限定されない。
【0146】 組換えタンパク質の長期間の高収率産生のために、安定発現が好ましい。例え
ば、安定に抗体分子を発現する細胞株が操作され得る。ウィルスの複製起点を含
む発現ベクターを使用するよりも、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例
えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル
化部位、など)、および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換され
得る。外来DNAの導入に続いて、操作された細胞は、1〜2日間富化培地で増
殖させられ得、次いで、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミドにおける
選択マーカーは、選択に対する耐性を与え、そして細胞が、プラスミドをその染
色体内に安定に組み込み、そして増殖して、細胞増殖巣を形成し、これを今度は
クローニングし得、細胞株に拡大され得ることを可能にする。この方法は、抗体
分子を発現する細胞株を操作するために、有利に使用され得る。このような操作
された細胞株は、直接的または間接的に抗体分子と相互作用する化合物のスクリ
ーニングおよび評価において、特に有用であり得る。
【0147】 多数の選択系が使用され得、この選択系は、単純ヘルペスウィルスチミジンキ
ナーゼ(Wiglerら、Cell 11:223(1977))、ヒポキサン
チン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Sz
ybalski、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:20
2(1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Low
yら、Cell 22:817(1980))の遺伝子を含むが限定されず、こ
れらの遺伝子は、tk−、hgprt−またはaprt−細胞においてそれぞれ
使用され得る。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子の選択の根拠として使
用され得る:dhfr、これはメトトレキサートに対する耐性を与える(Wig
lerら、Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);
O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:15
27(1981));gpt、これはミコフェノール酸に対する耐性を与える(
Mulligan&Berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
78:2072(1981));neo、これはアミノグリコシドG−418
に対する耐性を与える(Clinical Pharmacy 12:488−
505;Wu and Wu、Biotherapy 3:87−95(199
1);Tolstoshev、Ann.Rev.Pharmacol.Toxi
col. 32:573−596(1993);Mulligan、Scien
ce 260:926−932(1993);およびMorgan and A
nderson、Ann.Rev.Biochem.62:191−217(1
993);May、1993年、TIB TECH 11(5):155−21
5);ならびにhygro、これはハイグロマイシンに対する耐性を与える(S
anterreら、Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術
の分野で周知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために、慣用的に適用
され得、そしてこのような方法は、以下に記載されている:例えば、Ausub
elら(編)、Current Protocols in Molecula
r Biology、John Wiley&Sons、NY(1993);K
riegler、Gene Transfer and Expression
、A Laboratory Manual、Stockton Press、
NY(1990);ならびに12章および13章、Dracopoliら(編)
、Current Protocols in Human Genetics
、John Wiley&Sons、NY(1994);Colberre−G
arapinら、J.Mol.Biol. 150:1(1981)(これらは
その全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0148】 抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大され得る(総説として、
BebbingtonおよびHentschel、The use of ve
ctors based on gene amplification fo
r the expression of cloned genes in
mammalian cells in DNA cloning、Vol.3
.(Academic Press、New York、1987)を参照のこ
と)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが、増幅可能であると、宿主
細胞の培養物に存在するインヒビターのレベルにおける増加は、マーカー遺伝子
のコピーの数を増加する。増幅領域は抗体遺伝子と結合しているので、抗体の産
生もまた増加する(Crouseら、Mol.Cell.Biol.3:257
(1983))。
【0149】 宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター(重鎖由来のポリペプチドをコード
する第一のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクター
)で、同時トランスフェクトされ得る。この二つのベクターは、重鎖および軽鎖
のポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択マーカーを含み得る。あ
るいは、単一のベクターが使用され得、これは重鎖および軽鎖両方のポリペプチ
ドをコードし、そして発現することができる。このような状況において、過剰の
毒性の遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に軽鎖が配置されるべきである(Pr
oudfoot、Nature 322:52(1986);Kohler、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))
。重鎖および軽鎖のためのコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得る
【0150】 一旦、本発明の抗体分子が、動物によって産生されるか、化学的に合成される
か、または組換えにより発現されると、当該分野で公知の、免疫グロブリン分子
の精製のための任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換
、アフィニティー(特に、プロテインAの後に特異的抗原に対するアフィニティ
ーによる)、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、
またはタンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって、精製され得る
。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、本明細書中に記載されるか
またはそうでなければ当該分野において公知の、異種ポリペプチド配列に融合さ
れ得、精製を容易にする。
【0151】 本発明は、融合タンパク質を作製するために、本発明のポリペプチド(または
それらの一部、好ましくは、ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40
、50、60、70、80、90もしくは100個のアミノ酸)と組換え的に融
合したか、あるいは化学的に結合(共有結合および非共有結合の両方を含む)し
た抗体を含む。この融合は、必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列
を介して起こり得る。この抗体は、本発明のポリペプチド(またはそれらの一部
、好ましくは、ポリペプチドの少なくとも10、20、30、40、50、60
、70、80、90もしくは100個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であり得
る。例えば、抗体は、本発明のポリペプチドを、インビトロまたはインビボのい
ずれかで、特定の細胞表面レセプターに特異的な抗体に融合させるかまたは結合
させることによって、本発明のポリペプチドを特定の細胞型に標的化するために
使用され得る。本発明のポリペプチドに融合されたかまたは結合された抗体はま
た、当該分野で公知の方法を使用してインビトロイムノアッセイおよび精製方法
にて使用され得る。例えば、Harborら、前出およびPCT公開WO 93
/21232;EP 439,095;Naramuraら、Immunol.
Lett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981号;
Gilliesら、PNAS 89:1428−1432(1992);Fel
lら、J.Immunol.146:2446−2452(1991)(これら
は、それらの全体において参考として援用される)を参照のこと。
【0152】 本発明はさらに、可変領域以外の抗体のドメインに融合されたかまたは結合さ
れた本発明のポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、本発明のポリペプチド
は、抗体のFc領域、あるいはその一部に融合または結合され得る。本発明のポ
リペプチドに融合された抗体部分は、定常領域、ヒンジ領域、CH1ドメイン、
CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、あるいはそれらのドメイン全体または
部分の任意の組合せを含み得る。このポリペプチドはまた、上記の抗体部分に融
合または結合し、マルチマーを形成し得る。例えば、本発明のポリペプチドと融
合したFc部分は、Fc部分間のジスルフィド結合を介して二量体を形成し得る
。より高次なマルチマー形態は、このポリペプチドをIgAおよびIgMの部分
に融合することにより作製され得る。本発明のポリペプチドを抗体部分に融合ま
たは結合するための方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特許第
5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,046号
;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112,9
46号;EP 307,434;EP 367,166;PCT公開WO 96
/04388;WO 91/06570;Ashkenaziら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991
);Zhengら、J.Immunol.154:5590〜5600(199
5);およびVilら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89
;11337〜11341(1992)(上記の参考文献は、それらの全体が参
考として援用される)を参照のこと。
【0153】 上記で議論されたように、ポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、または
配列番号2および/もしくは4の改変体に対応するポリペプチドは、上記の抗体
部分と融合または結合され得、このポリペプチドのインビボの半減期を増加する
か、または当該分野で公知の方法を使用するイムノアッセイにおいて使用される
。さらに、配列番号2および/または4に対応するポリペプチドは、精製を容易
にするために、上記の抗体部分に融合または結合され得る。1つの報告された実
施例は、ヒトCD4ポリペプチドの第1の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グ
ロブリンの重鎖もしくは軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパ
ク質を記載する。(EP 394,827;Trauneckerら、Natu
re 331:84−86(1988))。ジスルフィド連結した二量体構造(
IgGに起因する)を有する抗体に融合または結合した本発明のポリヌクレオチ
ドはまた、単量体分泌タンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも、他
の分子との結合および中和においてより効率的であり得る。(Fountoul
akisら、J.Biochem.270:3958−3964(1995))
。多くの場合において、融合タンパク質のFc部分は、治療および診断において
有利であり、従って、例えば、改良された薬物動態学的な特性を生じ得る。(E
P A 232,262)。あるいは、融合タンパク質が発現、検出、および精
製された後のFc部分の欠損は、好ましい。例えば、この融合タンパク質が免疫
化のための抗原として使用される場合、このFcタンパク質は、治療および診断
を妨げ得る。薬物の開発において、例えば、ヒトタンパク質(例えばhIL−5
)は、hIL−5のアンタゴニストを同定するためのハイスループットスクリー
ニングアッセイの目的のために、Fcタンパク質と融合された。(Bennet
tら、J.Molecular Recognition 8:52−58(1
995);Johansonら、J.Biol.Chem.270:9459−
9471(1995)を参照のこと)。
【0154】 さらに、本発明の抗体またはそれらのフラグメントは、精製を容易にするペプ
チドのような、マーカー配列と融合され得る。好ましい実施形態において、この
マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN、Inc.
,9259 Eton Avenue,Chatsworth,CA,9131
1)において提供されるタグのようなヘキサ−ヒスチジンペプチドであり、それ
らの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 86:821−824(1984)に記載されるように
、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用
な他のペプチドタグには、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピト
ープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell 37:767(19
84))および「flag」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】 本発明はさらに、診断剤、または治療剤に結合する抗体またはそのフラグメン
トを含む。この抗体は、例えば、臨床試験の手順の一部(例えば、所定の治療レ
ジメの有効性を決定するための)として、腫瘍の発生または進行をモニターする
ために診断的に使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物質にカップリングす
ることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例には、種々の酵素、補欠分
子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽電子射出断層
撮影法を使用する陽電子射出金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられ
る。この検出可能な物質は、当該分野で公知の技術を用いて、抗体(もしくはそ
れらのフラグメント)に直接的にかまたは中間体(例えば、当該分野で公知のリ
ンカーなど)を介して間接的にかのいずれかで、カップリングあるいは結合され
得る。本発明に従う診断薬として使用するための抗体に結合され得る金属イオン
としては、例えば、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵素
の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラク
トシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族
複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙
げられ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオ
レセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオ
レセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の
例には、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシ
フェリン、およびエクオリンが挙げられ;適切な放射性物質の例には、125I
、131I、111Inまたは99Tcが挙げられる。
【0156】 さらに、抗体またはそのフラグメントは、細胞毒(例えば、細胞増殖抑制剤ま
たは細胞破壊剤)、治療剤または放射性金属イオン(例えば、α−放射核(例え
ば、213Biなど))のような治療的な部分と結合され得る。細胞毒または細
胞毒性の薬剤は、細胞に有害な任意の薬剤を含む。例には、パクリタキセル、サ
イトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイ
シン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビ
ンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシア
ントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、
1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン
、リドカイン、プロプラノロール、およびプロマイシンならびにそれらのアナロ
グまたはホモログが挙げられる。治療剤としては、代謝拮抗物質(例えば、メト
トレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フ
ルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオ
エパ(tioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU
)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosp
hamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン(
streptozotocin)、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジ
アミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(anth
racycline)(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、お
よびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチ
ノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(a
nthramycin)(AMC))、ならびに抗有糸***剤(例えば、ビンク
リスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】 本発明の結合体は、所定の生物学的応答の改変のために使用され得、この治療
剤または薬物部分は、古典的な化学治療剤に制限されると解釈されるべきではな
い。例えば、この薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質または
ポリペプチドであり得る。このようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシ
ンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素のような毒素;腫瘍壊死因
子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来
成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス剤(例えば、TNF
−α、TNF−β、AIM I(国際公開番号WO 97/33899を参照の
こと)、AIM II(国際公開番号WO 97/34911を参照のこと)、
Fasリガンド(Takahasiら、Int.Immunol.6:1567
−1574(1994))、VEGI(国際公開番号WO99/23105を参
照のこと)、血栓剤または抗血管形成剤(例えば、アンジオスタチン(angi
ostatin)またはエンドスタチン(endostatin))のようなタ
ンパク質;あるいは、生物学的応答改変剤(例えば、リンホカイン、インターロ
イキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インタ
ーロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「
GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の成
長(増殖)因子など)が挙げられ得る。
【0158】 抗体はまた、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体支持体に
付着され得る。このような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリル
アミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルクロリドまたはポリプロピレンが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】 このような治療部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnon
ら、「Monoclonal Antibodies For Immunot
argeting Of Drugs In Cancer Therapy」
Monoclonal Antibodies And Cancer The
rapy、Reisfeldら(編)、243−56頁(Alan R.Lis
s,Inc.1985);Hellstromら、「Antibodies F
or Drug Delivery」Controlled Drug Del
ivery(第2版)、Robinsonら(編)、623−53頁(Marc
el Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibody
Carriers Of Cytotoxic Agents In Can
cer Therapy:A Review」Monoclonal Anti
bodies’84:Biological And Clinical Ap
plications、Pincheraら(編)、475−506頁(198
5);「Analysis,Results,And Future Pros
pective Of The Therapeutic Use Of Ra
diolabeled Antibody In Cnacer Therap
y」Monoclonal Antibodies For Cancer D
etection And Therapy、Baldwinら(編)、303
−16頁(Academic Press 1985)およびThorpeら、
「The Preparation And Cytotoxic Prope
rties Of Antibody−Toxin Conjugates」、
Immunol.Rev.62:119−58(1982)を参照のこと。
【0160】 あるいは、抗体は2次抗体に結合され、米国特許第4,676,980号(こ
れは、その全体が本明細書に参考として援用される)におけるSegalによる
記載のような抗体異種結合体(heteroconjugate)を形成し得る
【0161】 単独、あるいは細胞毒性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与
される、抗体に結合する治療部分を有するかまたは有さない抗体が、治療薬とし
て使用され得る。
【0162】 (免疫表現型分類(immunophenotyping)) 本発明の抗体は、細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類のために利
用され得る。本発明の遺伝子の翻訳生成物は、細胞特異的マーカーとして、ある
いはより詳細には、特定の細胞型の分化および/または成熟の種々の段階で差示
的に発現される細胞マーカーとして有用であり得る。特異的エピトープ、または
エピトープの組み合わせに対して指向されるモノクロナール抗体は、マーカーを
発現する細胞集団のスクリーニングを可能とする。種々の技術が、マーカーを発
現する細胞集団をスクリーニングするために、モノクロナール抗体を用いて利用
され得、そしてその技術には、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁
気分離、固体マトリクス(すなわち、プレート)に付着した抗体を用いる「パン
ニング」、ならびにフローサイトメトリー(例えば、米国特許第5,985,6
60号;およびMorrisonら、Cell,96:737−49(1999
)を参照のこと)が挙げられる。
【0163】 これらの技術は、血液学的悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における最少
残留疾患(minimal residual disease)(MRD))
および対宿主性移植片病(GVHD)を予防するための移植術における「非自己
」細胞と共に見出され得るような、細胞の特定集団のスクリーニングを可能にす
る。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血において見出され得るような増殖お
よび/または分化を起こし得る、造血幹細胞および先祖細胞のスクリーニングを
可能にする。
【0164】 (抗体結合についてのアッセイ) 本発明の抗体は、当該分野において公知の任意の方法により、免疫特異的結合
のためにアッセイされ得る。用いられ得る免疫アッセイとしては、(いくつかの
ものについてだけ名称を挙げると、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ
、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、
免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッ
セイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテイ
ンA免疫アッセイのような技術を用いる競合アッセイ系および非競合アッセイ系
が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは慣用的であり、
そして当該分野において周知である(例えば、その全体が本明細書中に参考とし
て援用される、Ausubelら編,1994,Current Protoc
ols in Molecular Biology,第1巻、John Wi
ley & Sons,Inc.,New Yorkを参照のこと)。例示的な
免疫アッセイが、以下に簡潔に記載される(が、これらは限定を目的とすること
が意図されない)。
【0165】 免疫沈降プロトコルは一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロ
テアーゼインヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン
酸ナトリウム)を補充したRIPA緩衝液(1% NP−40またはTrito
n X−100、1% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、0.
15M NaCl、pH7.2での0.01M リン酸ナトリウム、1% Tr
asylol)のような溶解緩衝液中で細胞の集団を溶解する工程、目的の抗体
を細胞溶解物に添加する工程、一定時間(例えば、1〜4時間)4℃でインキュ
ベートする工程、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズ
を細胞溶解物に添加する工程、約1時間以上4℃でインキュベートする工程、溶
解緩衝液中でビーズを洗浄する工程、およびSDS/サンプル緩衝液中でビーズ
を再懸濁する工程を含む。目的の抗体の、特定の抗原を免疫沈降する能力は、例
えば、ウエスタンブロット分析により、アッセイされ得る。当業者は、抗体の抗
原への結合を増加するように、そしてバックグラウンドを減少させるように改変
され得るパラメータ(例えば、セファロースビーズを用いて細胞溶解物を事前に
きれいにする工程)に関して、認め得る。免疫沈降プロトコルに関するさらなる
考察については、例えば、Ausubelら編,1994、Current P
rotocols in Molecular Biology,第1巻、Jo
hn Wiley & Sons、Inc.,New York,10.16.
1を参照のこと。
【0166】 ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製する工程、タ
ンパク質サンプルのポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に応じた8
%〜20%SDS−PAGE)中での電気泳動の工程、タンパク質サンプルをそ
のポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンのよ
うな膜に移す工程、ブロッキング溶液(例えば、3% BSAまたは脱脂粉乳を
有するPBS)中でその膜をブロックする工程、その膜を洗浄緩衝液(例えば、
PBS−Tween 20)中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液中で希釈さ
れた一次抗体(目的の抗体)を有するその膜をブロックする工程、その膜を洗浄
緩衝液中で洗浄する工程、ブロッキング緩衝液中で希釈された酵素基質(例えば
、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)あるいは放射性
分子(例えば、32Pまたは125I)に結合した二次抗体(一次抗体を認識す
る、例えば、抗ヒト抗体)を用いてその膜をブロックする工程、洗浄緩衝液中で
その膜を洗浄する工程、ならびにその抗原の存在を検出する工程を含む。当業者
は、検出されるシグナルを増加させるように、そしてバックグラウンドノイズを
減少させるように改変され得るパラメータに関して、認め得る。ウエスタンブロ
ットプロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編
,1994,Current Protocols in Molecular
Biology,第1巻、John Wiley & Sons,Inc.,
New York,10.8.1を参照のこと。
【0167】 ELISAは、抗原を調製する工程、96ウェルマイクロタイタープレートの
ウェルをその抗原でコーティングする工程、酵素基質(例えば、西洋ワサビペル
オキシダーゼまたはアルカリホスフォターゼ)のような検出可能な化合物に結合
した目的の抗体をそのウェルに添加し、そして一定時間インキュベートする工程
、および抗原の存在を検出する工程を含む。ELISAにおいて、目的の抗体は
、検出可能な化合物に結合している必要はない;その代わり、検出可能な化合物
に結合した第二の抗体(目的の抗体を認識する)がウェルに添加され得る。さら
に、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体がウェルにコーティングさ
れ得る。この場合、検出可能な化合物に結合した第二の抗体が、コーティングさ
れたウェルへの目的の抗原の添加に続いて、添加され得る。当業者は、検出され
るシグナルを増加させるように改変され得るパラメータ、および当該分野におい
て公知のELISAの他のバリエーションに関して、認め得る。ELISAに関
するさらなる考察については、例えば、Ausubelら編,1994,Cur
rent Protocols in Molecular Biology,
第1巻、John Wiley & Sons,Inc.,New York,
11.2.1を参照のこと。
【0168】 抗体の抗原に対する結合親和性および抗体−抗原相互作用のオフレート(of
f−rate)が、競合結合アッセイにより決定され得る。競合結合アッセイの
一つの例は、ラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、標識した
抗原(例えば、3Hまたは125I)と、漸増量の非標識抗原の存在下での目的
の抗体とのインキュベーション、および標識した抗原に結合した抗体の検出を含
む。目的の抗体の、特定の抗原に対する親和性、および結合オフレートは、スキ
ャッチャードプロット分析によるデータから決定され得る。第二の抗体との競合
はまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定され得る。この場合、抗原は、漸増
量の非標識第二抗体の存在下で、標識した化合物(例えば、3Hまたは125I
)に結合した目的の抗体とともにインキュベートされる。
【0169】 (治療用途) 本発明はさらに、抗体を基礎とした治療に関し、この治療は、本発明の抗体を
、1つ以上の開示された疾患、障害、または状態を処置するために、動物、好ま
しくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトの患者に投与する工程を含む。本発
明の治療化合物としては、本発明の抗体(本明細書中に記載するような、それら
のフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)ならびに本発明の抗体をコード
する核酸(本明細書中に記載するような、それらのフラグメント、アナログおよ
び誘導体ならびに抗イディオタイプ抗体を含む)が挙げられるがこれらに限定さ
れない。本発明の抗体は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態(本明細書中に記載する任意の1つ以上の疾
患、障害、または状態を含むがこれらに限定されない)を処置、阻害または予防
するために使用され得る。本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活
性に関連した疾患、障害または状態の処置および/または予防は、それらの疾患
、障害または状態に関連した症状を緩和する工程を含むがこれに限定されない。
本発明の抗体は、当該分野で公知であるか、または本明細書中に記載されるよう
に、薬学的に受容可能な組成物中に提供され得る。
【0170】 本発明の抗体が治療的に使用され得る方法の1つの要約は、身体内で局所的に
または全身的に、あるいは(例えば、補体(CDC)により、またはエフェクタ
ー細胞(ADCC)により媒介されるような)抗体の直接的細胞傷害性により、
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを結合させることを含む。これら
のアプローチのいくつかは、より詳細に以下に記載される。本明細書中で提供さ
れる教示を与えられれば、当業者は、過度の実験なしに、診断上の目的、モニタ
リングの目的あるいは治療上の目的のために、本発明の抗体を使用する方法がわ
かる。
【0171】 本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活
性を増加させるために役立つ、他のモノクローナル抗体またはキメラ抗体、ある
いはリンホカインまたは造血増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL
−7など)と組み合わせて有利に利用され得る。
【0172】 本発明の抗体は、単独で、または他の型の処置(例えば、放射線療法、化学療
法、ホルモン治療、免疫治療および抗腫瘍剤)との組み合わせで投与され得る。
一般的に、(抗体の場合には)患者の種と同じ種である種起源または種反応性の
生成物の投与が好ましい。従って、好ましい実施形態においては、ヒトの抗体、
フラグメント誘導体、アナログ、または核酸が、治療または予防のために、ヒト
の患者に投与される。
【0173】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(そのフラグメントを含む)に
関するイムノアッセイ、およびそれらに関連した障害の治療の両方のために、本
発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する、高親和性および/または
強力な、インビボでの阻害抗体および/または中和抗体、そのフラグメント、ま
たはその領域を使用することが好ましい。このような抗体、フラグメント、また
は領域は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(そのフ
ラグメントを含む)に対して親和性を有する。好ましい結合親和性としては、5
×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5
×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5
×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、
5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10- 13 M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10-15Mより小さい
解離定数すなわちKdを有する結合親和性が挙げられる。
【0174】 (遺伝子治療) 特定の実施形態において、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含
む核酸は、本発明のポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連した疾
患または障害を処置、阻害または予防するために、遺伝子治療の目的で投与され
る。遺伝子治療とは、発現したか、または発現可能な核酸の、被験体への投与に
より行われる治療をいう。本発明のこの実施形態において、核酸は、それらのコ
ードされたタンパク質を産生し、そのタンパク質は治療効果を媒介する。
【0175】 当該分野で利用可能な遺伝子治療のための任意の方法は、本発明に従って使用
され得る。例示的な方法が以下に記載される。
【0176】 遺伝子治療の方法の一般的な概説については、Goldspielら,Cli
nical Pharmacy 12:488−505(1993);Wuおよ
びWu,Biotherapy 3:87−95(1991);Tolstos
hev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573
−596(1993);Mulligan,Science 260:926−
932(1993);ならびにMorganおよびAnderson,Ann.
Rev.Biochem.62:191−217(1993);May,TIB
TECH 11(5):155−215(1993)を参照のこと。使用され得
る、組換えDNA技術分野において一般的に公知である方法は、Ausubel
ら(編),Current Protocols in Molecular
Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);お
よびKriegler,Gene Transfer and Express
ion,A Laboratory Manual,Stockton Pre
ss,NY(1990)に記載される。
【0177】 好ましい局面において、化合物は抗体をコードする核酸配列を含有し、上記核
酸配列は、適切な宿主において、抗体、またはそのフラグメントもしくはキメラ
タンパク質、あるいはその重鎖もしくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部であ
る。特に、このような核酸配列は、抗体コード領域に作動可能に連結したプロモ
ーターを有し、上記プロモーターは誘導性であるかまたは構成性であり、そして
必要に応じて組織特異的である。別の特定の実施形態においては、抗体をコード
する配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを
促進する領域に隣接した核酸分子が使用され、従って抗体をコードする核酸の染
色体内の発現を提供する(KollerおよびSmithies,Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935(1989);
Zijlstraら,Nature 342:435−438(1989))。
特定の実施形態において、発現した抗体分子は単鎖抗体であるか;あるいはこの
核酸配列は、この抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする配列またはそのフラ
グメントを含む。
【0178】 核酸の患者への送達は、直接的(この場合、患者は核酸または核酸保有ベクタ
ーに直接的に曝される)か、または間接的(この場合、細胞は最初にインビトロ
で核酸で形質転換され、次いで患者に移植される)のいずれかであり得る。これ
らの2つのアプローチは、インビボ遺伝子治療として、またはエキソビボ遺伝子
治療としてそれぞれ公知である。
【0179】 特定の実施形態において、核酸配列はインビボで直接的に投与され、そこで核
酸配列は発現されて、コードされた生成物を産生する。これは、当該分野で公知
の多数の方法(例えば、それらを適切な核酸発現ベクターの一部分として構築し
、そしてそれを細胞内になるように投与することにより(例えば、欠損性または
弱毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクター(米国特許第4,980
,286号を参照のこと)を用いた感染により)、あるいは、裸のDNAの直接
注射により、あるいは、微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biol
istic、Dupont)の使用により、あるいは脂質または細胞表面のレセ
プターでコーティングするか、もしくは薬剤をトランスフェクトすることにより
、あるいは、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセル中へのカプセル化に
より、あるいは、それらを核に入ることが公知であるペプチドと結合させて投与
することにより、レセプター媒介のエンドサイトーシスを受けるリガンドと結合
させて投与することにより(例えば、WuおよびWu,J.Biol.Chem
.262:4429−4432(1987)を参照のこと)(レセプターを特異
的に発現する細胞の型を標的にするために用いられ得る)などのいずれかにより
達成され得る。別の実施形態において、核酸−リガンド複合体が形成され得、こ
こで、リガンドはエンドソームを破壊するフソジェニック(fusogenic
)ウイルス性ペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避するようにする。さ
らに別の実施形態において、核酸は、特異的なレセプターを標的とすることによ
り、細胞特異的な取り込みおよび発現についてインビボで標的とされ得る(例え
ば、PCT公開第WO92/06180号;同第WO92/22635号;同第
WO92/20316号;同第WO93/14188号、同第WO93/202
21号を参照のこと)。あるいは、核酸は、細胞内部に導入され得、そして相同
組換えにより、発現のために宿主細胞DNA中に組み込まれ得る(Koller
およびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:8932−8935(1989);Zijlstraら,Nature 3
42:435−438(1989))。
【0180】 具体的な実施形態において、本発明の抗体をコードする核酸配列を含むウイル
スベクターが使用される。例えば、レトロウイルスベクターが用いられ得る(M
illerら,Meth.Enzymol.217:581−599(1993
)を参照のこと)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルス性ゲノムの正
確なパッケージングおよび宿主細胞DNAへの正確な組込みのために必要な構成
要素を含む。遺伝子治療において使用される抗体をコードする核酸配列は、一つ
以上のベクター中にクローン化され、これは、患者内への遺伝子の送達を容易に
する。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、Boesenら,Bi
otherapy 6:291−302(1994)(これは、幹細胞を化学療
法に対してより耐性にするために、mdrI遺伝子を造血性幹細胞に送達するた
めの、レトロウイルスベクターの使用を記載する)に見出され得る。遺伝子治療
におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、以下である
。:Clowesら,J.Clin.Invest.93:644−651(1
994);Kiemら,Blood 83:1467−1473(1994);
SalmonsおよびGunzberg,Human Gene Therap
y 4:129−141(1993);ならびにGrossmanおよびWil
son,Curr.Opin.in Genetics and Devel.
3:110−114(1993)。
【0181】 アデノウイルスは、遺伝子治療において使用され得る他のウイルスベクターで
ある。アデノウイルスは、特に、気道上皮へ遺伝子を送達するための魅力的なビ
ヒクルである。アデノウイルスは、自然に気道上皮に感染し、そこで軽い疾患を
起こす。アデノウイルスベースの送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮
細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非***細胞に感染することができ
るという利点を有する。KozarskyおよびWilson,Current
Opinion in Genetics and Development
3:499−503(1993)は、アデノウイルスベースの遺伝子治療の概
説を示す。Boutら,Human Gene Therapy 5:3−10
(1994)は、アカゲザルの気道上皮に遺伝子を移すためのアデノウイルスベ
クターの使用を示した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、
Rosenfeldら,Science 252:431−434(1991)
;Rosenfeldら,Cell 68:143−155(1992);Ma
strangeliら,J.Clin.Invest.91:225−234(
1993);PCT公開第WO94/12649号;およびWangら,Gen
e Therapy 2:775−783(1995)に見出され得る。好まし
い実施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。
【0182】 アデノ随伴ウイルス(AAV)もまた、遺伝子治療における使用が提案されて
きた(Walshら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:
289−300(1993);米国特許第5,436,146号)。
【0183】 遺伝子治療への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクショ
ン、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような
方法により、組織培養中の細胞へ遺伝子を移入する工程を包含する。通常、移入
の方法は、細胞への選択マーカーの移入を含む。次いで、細胞は、移入された遺
伝子を取り込みそして発現する細胞を単離するために選沢下に置かれる。次いで
、それらの細胞は患者に送達される。
【0184】 この実施形態においては、得られた組換え細胞のインビボ投与の前に、核酸が
細胞に導入される。このような導入は、当該分野において公知の任意の方法によ
り実施され得、それらの方法としては以下が挙げられるが、これらに限定されな
い:トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクショ
ン、核酸配列を含むウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターによる
感染、細胞融合、染色体媒介性遺伝子移入、微小核体媒介の遺伝子移入、スフェ
ロプラスト融合など。細胞への外来遺伝子の導入については、当該分野において
多数の技術が公知であり(例えば、LoefflerおよびBehr,Meth
.Enzymol.217:599−618(1993);Cohenら,Me
th.Enzymol.217:618−644(1993);Cline,P
harmac.Ther.29:69−92m(1985)を参照のこと)、そ
してレシピエント細胞の必要な発生的および生理学的機能が破壊されないならば
、本発明に従って使用され得る。この技術は、細胞への核酸の安定した移入を提
供するべきであり、その結果、この核酸は、細胞により発現可能であり、好まし
くは、遺伝性でかつその細胞の子孫により発現可能である。
【0185】 得られた組換え細胞は、当該分野において公知の様々な方法により、患者へ送
達され得る。組換え血球(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)は、好まし
くは、静脈内に投与される。使用が考えられる細胞の量は、所望の効果、患者の
状態などに依存し、当業者により決定され得る。
【0186】 遺伝子治療の目的のために核酸が導入され得る細胞は、任意の所望の入手可能
な細胞型を包含し、以下を含むがそれらに限定されない:上皮細胞、内皮細胞、
ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単
球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球のような、血球;様々な
幹細胞または前駆細胞、特に、造血幹細胞または造血前駆細胞(例えば、骨髄、
臍帯血、末梢血、胎児の肝臓などから得られるような細胞)。
【0187】 好ましい実施形態において、遺伝子治療に使用される細胞は、患者に対して自
己由来である。
【0188】 遺伝子治療において組換え細胞が使用される実施形態において、抗体をコード
する核酸配列は、細胞またはそれらの子孫によりその核酸配列が発現可能である
ように細胞に導入され、そして次いで組換え細胞は、治療的効果のためにインビ
ボで投与される。特定の実施形態において、幹細胞または前駆細胞が用いられる
。単離され得、そしてインビトロで維持され得る任意の幹細胞および/または前
駆細胞が、本発明のこの実施形態に従って潜在的に使用され得る(例えば、PC
T公開第WO94/08598号:StempleおよびAnderson,C
ell 71:973−985(1992);Rheinwald,Meth.
Cell Bio.21A:229(1980);ならびにPittelkow
およびScott,Mayo Clinic Proc.61:771(198
6)を参照のこと)。
【0189】 特定の実施形態において、遺伝子治療の目的で導入されるべき核酸は、コード
領域に作動可能に連結された誘導性プロモーターを含有し、その結果、核酸の発
現は、適切な転写誘導因子の存在または不在を制御することにより制御可能であ
るようになる。
【0190】 本発明の化合物または薬学的組成物は、好ましくは、ヒトでの使用の前にイン
ビトロで、そして次いでインビボで、所望の治療活性または予防活性について試
験される。例えば、化合物または薬学的組成物の、治療有用性または予防有用性
を証明するためのインビトロアッセイとしては、細胞株または患者組織サンプル
に対する化合物の効果が挙げられる。細胞株および/または組織サンプルに対す
る化合物または組成物の効果は、当業者に公知である技術(ロゼット形成アッセ
イおよび細胞溶解アッセイが挙げられるがこれらに限定されない)を利用して決
定され得る。本発明に従って、特定の化合物の投与が示されるか否かを決定する
ために用いられ得るインビトロアッセイとしては、インビトロ細胞培養アッセイ
が挙げられ、このアッセイでは、患者組織サンプルが培養物において増殖され、
そして化合物に曝されるか、そうでなければ化合物が投与され、そして、組織サ
ンプルに対するそのような化合物の効果が観察される。
【0191】 (融合タンパク質) 本発明の任意のPGRP−Lポリペプチドは、融合タンパク質を産生するため
に使用され得る。例えば、このPGRP−Lポリペプチドは、第2のタンパク質
と融合される場合、抗原性タグとして使用され得る。本発明のPGRP−Lポリ
ペプチドに対して惹起される抗体は、そのPGRP−Lに結合することによって
、第2のタンパク質を間接的に検出するために使用され得る。さらに、分泌され
るタンパク質は、細胞位置を輸送シグナルに基づいて標的化するので、本発明の
PGRP−Lポリペプチドは、他のタンパク質に一旦融合されると標的化分子と
して使用され得る。
【0192】 本発明のPGRP−Lポリペプチドと融合され得るドメインの例は、異種シグ
ナル配列のみならず、他の異種機能性領域をも含む。融合は、必ずしも直接的で
ある必要はないが、リンカー配列を介して起こり得る。
【0193】 特定の好ましい実施形態において、本発明のPGRP−Lタンパク質は、PG
RP−Lポリペプチドがm−nとして上記されているものである、融合タンパク
質を含む。好ましい実施形態において、本願は、本明細書中に記載される特定の
N末端欠失およびC末端欠失のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする
核酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%または99%同一である、核酸に関する。これらのポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドもまた、本発明により包含される。
【0194】 さらに、融合タンパク質はまた、PGRP−Lポリペプチドの特徴を改良する
ために操作され得る。例えば、さらなるアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域が、
宿主細胞からの精製または続く取り扱いおよび貯蔵の間の安定性および持続性を
改良するためにPGRP−LポリペプチドのN末端へ付加され得る。また、ペプ
チド部分は精製を容易にするためにPGRP−Lポリペプチドへ付加され得る。
このような領域は、PGRP−Lポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。
ポリペプチドの取り扱いを容易にするためのペプチド部分の付加は、当該分野で
よく知られる慣用の技術である。
【0195】 さらに、PGRP−Lポリペプチド(フラグメント、そして特にエピトープを
含む)は、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と組み合わせられ、
キメラポリぺプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は精製を容易にし、そ
してインビボにおける増大した半減期を示す。1つの報告された例は、ヒトCD
4ポリペプチドの最初の2つのドメイン、および哺乳動物の免疫グロブリンの重
鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載して
いる(EP A 394,827;Trauneckerら、Nature 3
31:84−86(1988))。ジスルフィド結合二量体構造(IgGに起因
する)を有する融合タンパク質もまた、単量体分泌タンパク質またはタンパク質
フラグメント単独よりも、他の分子に結合しそして中和するのに効率的であり得
る(Fountoulakisら、J.Biochem.270:3958−3
964(1995))。
【0196】 同様に、EP−A−O 464 533(カナダ国対応特許第2045869
号)は、別のヒトタンパク質またはその部分とともに免疫グロブリン分子の定常
領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク
質のFc部分は、治療および診断において有益であり、従って、例えば、改良さ
れた薬物動態学的な特性を生じ得る(EP−A 0232 262)。あるいは
、融合タンパク質が発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠
失させることが望ましい。例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として使
用される場合、Fc部分は、治療および診断を妨害し得る。例えば、薬物の発見
において、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニスト
を同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイの目的のためにFc
部分と融合されてきた(D.Bennettら、J.Molecular Re
cognition 8:52−58(1995);K.Johansonら、
J.Biol.Chem.270:9459−9471(1995)を参照のこ
と)。
【0197】 さらに、PGRP−Lポリペプチドはマーカー配列(例えば、PGRP−Lの
精製を容易にするペプチド)に融合され得る。好ましい実施形態において、マー
カーアミノ酸配列は、とりわけヘキサ−ヒスチジンペプチド(例えば、pQEベ
クター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Cha
tsworth,CA,91311)において提供されるタグ)であり、これら
の多くが市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 86:821−824(1989)に記載されるように、
ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合の良い精製を提供する。精製のた
めに有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ赤血球凝集
素タンパク質由来のエピトープに対応する(Wilsonら、Cell 37:
767(1984))。
【0198】 従って、任意のこれら上記の融合物は、PGRP−Lポリヌクレオチドまたは
PGRP−Lポリペプチドを使用して操作され得る。
【0199】 (ベクター、宿主細胞、およびタンパク質産生) 本発明はまた、PGRP−Lポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、お
よび組換え技術によるポリペプチドの産生に関連する。例えば、ベクターは、フ
ァージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、またはレトロウイル
スベクターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製コンピテント、または
複製欠損であり得る。後者の場合、一般的にウイルス増殖は、補完性(comp
lementing)宿主細胞にのみ生じる。
【0200】 PGRP−Lポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために選択マーカーを
含むベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウ
ム沈澱物のような沈澱物、または荷電脂質との複合体において導入される。ベク
ターがウイルスである場合、このベクターは、適切なパッケージング細胞株を使
用してインビトロでパッケージングされ、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
【0201】 PGRP−Lポリヌクレオチド挿入物は、適切なプロモーター(いくつか挙げ
れば、例えば、ファージλPLプロモーター、E.coli lacプロモータ
ー、trpプロモーター、phoAプロモーターおよびtacプロモーター、S
V40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレトロウイ
ルスLTRのプロモーター)に作動可能に連結されるべきである。他の適切なプ
ロモーターは当業者に公知である。発現構築物はさらに、転写開始のための部位
、転写終結のための部位、そして転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位
を含む。この構築物によって発現される転写物のコード部分は、好ましくは、始
めに翻訳開始コドン、および翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に位置さ
れる終結コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含む。
【0202】 示されるように、発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカー
を含む。このようなマーカーは、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクター
ゼ遺伝子、G418耐性遺伝子、またはネオマイシン耐性遺伝子、ならびにE.
coliおよび他の細菌において培養するためのテトラサイクリン耐性遺伝子、
カナマイシン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子を含む。適切な宿主の代
表的な例は、細菌細胞(例えば、E.coli、Streptomycesおよ
びSalmonella typhimurium細胞);真菌細胞(例えば、
酵母細胞);昆虫細胞(例えばDrosophilia S2およびSpodo
ptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、29
3細胞、およびBowesメラノーマ細胞);ならびに植物細胞を含むが、これ
らに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は、当該
分野で公知である。
【0203】 細菌における使用のために好ましいベクターの中には、pQE70、pQE6
0およびpQE−9(QIAGEN,Inc.から入手可能);pBluesc
riptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16
a、pNH18A、pNH46A(Stratagene Cloning S
ystems,Inc.から入手可能);およびptrc99a、pKK223
−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia B
iotech,Inc.から入手可能)を含む。好ましい真核生物ベクターの中
には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG(S
tratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMSG
およびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。他の適切なベクタ
ーは、当業者に容易に明らかである。
【0204】 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ
ェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、または他の方法によっ
てもたらされ得る。このような方法は、Davisら、Basic Metho
ds In Molecular Biology (1986)のような多く
の標準的研究室マニュアルに記載される。PGRP−Lポリペプチドは、実際、
組換えベクターを欠損する宿主細胞によって発現され得ることが特に意図される
【0205】 PGRP−Lポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、
酸抽出、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィ
ー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー
、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフ
ィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培
養物から回収され得、そして精製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマト
グラフィー(「HPLC」)が精製のために使用される。
【0206】 PGRP−Lポリペプチド、および好ましくは分泌形態はまた、以下から回収
され得る:直接単離されるかまたは培養されるかにかかわらず、体液、組織およ
び細胞を含む天然の供給源から精製された産物;化学的合成手順の産物;ならび
に、例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細
胞を含む、原核生物宿主または真核生物宿主から組換え技術によって産生された
産物。組換え産生手順に使用される宿主に依存して、PGRP−Lポリペプチド
は、グリコシル化されてもまたはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、
本明細書中に記載される技術を使用して単離される全長PGRP−Lポリペプチ
ドはまた、宿主媒介プロセスの結果として、いくつかの場合において、最初の改
変されたメチオニン残基を含み得る。従って、一般に、翻訳開始コドンによって
コードされるN末端メチオニンが、すべての真核生物細胞における翻訳後のどの
タンパク質からも高い効率で除去されることは当該分野において周知である。ほ
とんどのタンパク質におけるN末端メチオニンもまた、ほとんどの原核生物にお
いて効率的に除去されるが、いくつかのタンパク質について、この原核生物除去
プロセスは、N末端メチオニンが共有結合するアミノ酸の性質に依存しており、
非効率的である。
【0207】 本明細書において議論されるベクター構築物を含む宿主細胞を含むことに加え
て、本発明はまた、脊椎動物起源(特に、哺乳動物起源)の一次(primar
y)宿主細胞、二次(secondary)宿主細胞、および不死化宿主細胞を
含み、これらの宿主細胞は、内因性の遺伝物質(例えば、PGRP−Lコード配
列)を欠失または置換するように、そして/または本発明のPGRP−Lポリヌ
クレオチドと作動可能に連結され、そして内因性のPGRP−Lポリヌクレオチ
ドを活性化、変更、および/または増幅する遺伝物質(例えば、異種ポリヌクレ
オチド配列)を含むように操作されている。例えば、当該分野で公知の技術は、
相同組換えを介して、異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエン
ハンサー)ならびに内因性PGRP−Lポリヌクレオチド配列を作動可能に連結
するために使用され得る(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許
第5,641,670号;1996年9月26日に公開された国際公開第WO
96/29411号;1994年8月4日に公開された国際公開第WO 94/
12650号;Kollerら,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A 86:8932−8935(1989);およびZijlstraら,Na
ture 342:435−438(1989)を参照のこと。これらの各々の
開示は、それら全体が参考として援用される)。
【0208】 さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術を用いて化学合成さ
れ得る(例えば、Creighton,1983,Proteins:Stru
ctures and Molecular Principles,W.H.
Freeman & Co.,N.Y.およびHunkapiller,M.ら
,Nature,310:105−111(1984)を参照のこと)。例えば
、本発明のPGRP−Lポリペプチドのフラグメントに対応するペプチドは、ペ
プチド合成機の使用により合成され得る。さらに、所望の場合、非古典的アミノ
酸または化学的アミノ酸アナログが、置換または付加としてこのPGRP−Lポ
リペプチド配列に導入され得る。非古典的アミノ酸としては、以下が挙げられる
がこれらに限定されない:通常のアミノ酸のD異性体、2,4−ジアミノ酪酸、
a−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、g−Abu、
e−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノ
プロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、
サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン
、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b−アラ
ニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸)
、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸、および一般のアミノ酸アナロ
グ。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0209】 天然に存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され
得る。これらの技術としては、オリゴヌクレオチド媒介変異誘発、アラニンスキ
ャニング、PCR変異誘発、部位特異的変異誘発(例えば、Carterら、N
ucl.Acids Res.13:4331(1986);およびZolle
rら、Nucl.Acids Res.10:6487(1982)を参照のこ
と)、カセット変異誘発(例えば、Wellsら、Gene 34:315(1
985)を参照のこと)、制限選択変異誘発(restriction sel
ection mutagenesis)(例えば、Wellsら、Philo
s.Trans.R.Soc.London SerA 317:415(19
86)を参照のこと)変異誘発が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】 本発明は、翻訳の間または翻訳後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、リ
ン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質
分解切断、抗体分子または他の細胞性リガンドへの結合などによって示差的に改
変されたPGRP−Lポリペプチドを含む。任意の多数の化学的改変は、以下を
含むがこれらに限定されない公知の技術によって実施され得る:臭化シアン、ト
リプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特
異的化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在
下での代謝合成;など。
【0211】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後修飾としては、例えば、以下などが挙
げられる:N結合型もしくはO結合型の糖鎖(N末端またはC末端のプロセシン
グ)、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N結合型もしくはO結合型の糖鎖の化
学修飾、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付
加もしくは欠失。このポリペプチドはまた、検出可能な標識(例えば、酵素標識
、蛍光標識、同位体標識または親和性標識)を用いて改変して、このタンパク質
の検出および単離が可能にされ得る。
【0212】 本発明によってまた、さらなる利点(例えば、このポリペプチドの可溶性、安
定性および循環時間の増加、または免疫原性の減少)を提供し得る、PGRP−
Lの化学修飾誘導体が提供される(米国特許第4,179,337号を参照のこ
と)。誘導体化のための化学部分は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレング
リコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシ
メチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなど)から選択され得
る。このポリペプチドは、この分子内のランダムな位置で、またはこの分子内の
所定の位置で改変され得、そして1、2、3以上の結合した化学部分を含み得る
【0213】 このポリマーは、任意の分子量であり得、そして分枝状であっても非分枝状で
あってもよい。ポリエチレングリコールに関しては、好ましい分子量は、取り扱
いおよび製造の容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間(用語「約
(およそ)」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつかの分子は示
した分子量よりも重く、いくつかは示した分子量よりも軽いことを示す)である
。所望の治療プロフィール(例えば、所望される持続放出の時間、(存在する場
合には)生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または抗
原性の欠如、および治療タンパク質またはアナログに対するポリエチレングリコ
ールの他の公知の効果)に依存して、他のサイズが用いられ得る。例えば、ポリ
エチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2
500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、60
00、6500、7000、7500、8000、8500、9000、950
0、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000
、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、
15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、1
7,500、18,000、18、500、19,000、19,500、20
,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,
000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,0
00、80,000、85,000、90,000、95,000、または10
0,000kDaの平均分子量を有し得る。
【0214】 上記のように、ポリエチレングリコールは、分枝構造を有し得る。分枝ポリエ
チレングリコールは、例えば、米国特許第5,643,575号;Morpur
goら、Appl.Biochem.Biotechnol.56:59−72
(1996);Vorobjevら、Nucleosides Nucleot
ides 18:2745−2750(1999);およびCalicetiら
、Bioconjug.Chem.10:638−646(1999)(これら
の各々の開示が、本明細書中で参考として援用される)において記載される。
【0215】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、このタンパク質の
機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してタンパク質に結合
されるべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法が存在する(例えば、本
明細書中に参考として援用される、EP 0 401 384(G−CSFにP
EGを結合する)、Malikら,Exp.Hematol.20:1028−
1035(1992)(塩化トレシルを用いたGM−CSFのペグ化(pegy
lation)を報告する)もまた参照のこと)。例えば、ポリエチレングリコ
ールは、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)によってア
ミノ酸残基を介して共有結合され得る。反応性基は、活性化ポリエチレングリコ
ール分子が結合し得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としては
、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る;遊離のカルボキシル基
を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基および
C末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル残基もまた、ポリエチレン
グリコール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。治療目的のため
に好ましいのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合で
ある。
【0216】 上記のように、ポリエチレングリコールは、多数の任意のアミノ酸残基への連
結を介してタンパク質に結合され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、リ
ジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、またはシ
ステイン残基への共有結合を介して、タンパク質に結合され得る。1つ以上の反
応化学が使用されて、ポリエチレングリコールが、タンパク質の特定のアミノ酸
残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはシ
ステイン)にかまたはタンパク質のアミノ酸残基の1つより多くの型(例えば、
リジン、ヒスチジン、グルタミン、システインおよびその組み合わせ)に、結合
され得る。
【0217】 N末端で化学修飾されたタンパク質を具体的に所望し得る。ポリエチレングリ
コールを本発明の組成物の例示として用いて、種々のポリエチレングリコール分
子から(分子量、分枝などによって)、反応混合物中でのタンパク質(またはペ
プチド)分子に対するポリエチレングリコール分子の比、行われるべきペグ化反
応の型、および選択されたN末端ペグ化タンパク質の獲得方法を選択し得る。N
末端ペグ化調製物の獲得方法(すなわち、必要な場合、この部分を他のモノペグ
化部分から分離すること)は、ペグ化タンパク質分子の集団からの、N末端ペグ
化物質の精製により行われ得る。N末端修飾で化学修飾された選択的タンパク質
は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なる型の第1級アミノ基
(リジン対N末端)の示差的反応性を利用する還元的アルキル化によって達成さ
れ得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いた、N末端で
のタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0218】 上記で示されたように、本発明のタンパク質のペグ化は、かなり多数の手段に
よって達成され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、直接的または介在リ
ンカーによってのいずれかで、タンパク質に結合され得る。タンパク質にポリエ
チレングリコールを結合させるためのリンカーレス(linkerless)系
は、Delgadoら、Crit.Rev.Thera.Drug Carri
er Sys.9:249−304(1992);Francisら、Inte
rn.J.of Hematol.68:1−18(1998);米国特許第4
,002,531号;米国特許第5,349,052号;WO95/06058
;およびWO98/32466(これらの各々の開示は、本明細書中で参考とし
て援用される)に記載される。
【0219】 介在するリンカーを伴わずに、タンパク質のアミノ酸残基に直接的にポリエチ
レングリコールを結合させる1つの系は、トレシル化(tresylated)
MPEG(これは、塩化トレシル(tresylchloride)(ClSO 2 CH2CF3)を使用して、モノメトキシ(monmethoxy)ポリエチレ
ングリコール(MPEG)を改変することによって生成される)を使用する。ト
レシル化MPEGとのタンパク質の反応に際して、ポリエチレングリコールは、
タンパク質のアミン基に直接結合される。従って、本発明は、本発明のタンパク
質と2,2,2−トリフルオロエタン(trifluoreothane)スル
ホニル基を有するポリエチレングリコール分子とを反応させることによって生成
されるタンパク質−ポリエチレングリコール結合体を含む。
【0220】 ポリエチレングリコールはまた、多くの異なる介在リンカーを使用して、タン
パク質に結合され得る。例えば、米国特許第5,612,460号(この開示全
体が、本明細書中で参考として援用される)は、タンパク質にポリエチレングリ
コールを結合させるためのウレタンリンカーを開示する。ポリエチレングリコー
ルが、リンカーによってタンパク質に結合されるタンパク質−ポリエチレングリ
コール結合体はまた、MPEG−スクシンイミジルスクシネート(succin
imidylsuccinate)、1,1'−カルボニルジイミダゾールで活
性化されたMPEG、MPEG−2,4,5−トリクロロフェニルカルボネート
(trichloropenylcarbonate)、MPEG−p−ニトロ
フェノールカルボネート、および種々のMPEG−スクシネート誘導体のような
化合物とのタンパク質の反応によって生成され得る。さらなる多くのポリエチレ
ングリコール誘導体、およびタンパク質にポリエチレングリコールを結合させる
ための反応化学が、WO98/32466(この開示全体が、本明細書中で参考
として援用される)に記載される。本明細書中に示される反応化学を使用して生
成されるペグ化タンパク質産物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0221】 本発明の各タンパク質に結合されたポリエチレングリコール部分の数(すなわ
ち、置換の程度)もまた、変動し得る。例えば、本発明のペグ化タンパク質は、
平均して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、2
0個またはそれより多いポリエチレングリコール分子を連結し得る。同様に、平
均の置換の程度は、タンパク質1分子あたり1〜3、2〜4、3〜5、4〜6、
5〜7、6〜8、7〜9、8〜10、9〜11、10〜12、11〜13、12
〜14、13〜15、14〜16、15〜17、16〜18、17〜19、また
は18〜20個のポリエチレングリコール部分のような範囲内である。置換の程
度を決定する方法は、例えば、Delgadoら、Crit.Rev.Ther
a.Drug Carrier Sys.9:249−304(1992)にお
いて考察される。
【0222】 本発明のPGRP−Lポリペプチドは、モノマーまたはマルチマー(すなわち
、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびより高度のマルチマー)であり得る。
従って、本発明は、モノマーおよびマルチマーの本発明のPGRP−Lポリペプ
チド、それらの調製ならびにそれらを含む組成物(好ましくは薬学的組成物)に
関する。特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、モノマー、ダイマー、
トリマーまたはテトラマーである。さらなる実施形態では、本発明のマルチマー
は、少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマーで
ある。
【0223】 本発明によって含まれるマルチマーは、ホモマーまたはヘテロマーであり得る
。本明細書中で用いられる場合、用語ホモマーは、(本明細書中に記載されるP
GRP−Lの、フラグメント、改変体、スプライス改変体、および融合タンパク
質を含む)本発明のPGRP−Lポリペプチドのみを含むマルチマーをいう。こ
れらのホモマーは、同一または異なるアミノ酸配列を有するPGRP−Lポリペ
プチドを含み得る。特定の実施形態では、本発明のホモマーは、同一のアミノ酸
配列を有するPGRP−Lポリペプチドのみを含むマルチマーである。別の特定
の実施形態では、本発明のホモマーは、異なるアミノ酸配列を有するPGRP−
Lポリペプチドを含むマルチマーである。特定の実施形態では、本発明のマルチ
マーは、ホモダイマー(例えば、同一および/または異なるアミノ酸配列を有す
るPGRP−Lポリペプチドを含む)あるいはホモトリマー(例えば、同一また
は異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む)である。さらなる実施形態
では、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダイマー、少なくとも
ホモトリマーまたは少なくともホモテトラマーである。
【0224】 本明細書中で用いられる場合、用語ヘテロマーとは、本発明のPGRP−Lポ
リペプチドに加えて1以上の異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質の
ポリペプチド)を含むマルチマーをいう。特定の実施形態では、本発明のマルチ
マーは、ヘテロダイマー、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーである。さら
なる実施形態では、本発明のヘテロマー性マルチマーは、少なくともヘテロダイ
マー、少なくともヘテロトリマーまたは少なくともヘテロテトラマーである。
【0225】 本発明のマルチマーは、疎水性、親水性、イオン性および/もしくは共有結合
的な結合の結果であり得、そして/または例えば、リポソーム形成によって間接
連結され得る。従って、1つの実施形態では、本発明のマルチマー(例えば、ホ
モダイマーまたはホモトリマーなど)は、本発明のポリペプチドが溶液中で互い
に接触する場合に形成される。別の実施形態では、本発明のへテロマルチマー(
例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマー)は、本発明のポリペプチドぺ
が、溶液中で本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質にお
ける異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触した場合に形成される。
他の実施形態では、本発明のマルチマーは、本発明のPGRP−Lポリペプチド
との、および/または本発明のPGRP−Lポリペプチド間での共有結合によっ
て形成される。このような共有結合は、ポリぺプチド配列(例えば、配列番号2
に記載されるか、またはクローンHPJEV37によってコードされるポリペプ
チドに含まれる)に含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、この
共有結合は、ネイティブ(すなわち、天然に存在する)ポリペプチドにおいて相
互作用するポリペプチド配列内に位置するシステイン残基間での架橋である。別
の例では、この共有結合は、化学的操作または組換え操作の結果である。あるい
は、このような共有結合は、PGRP−L融合タンパク質中の異種ポリペプチド
配列において含まれる1以上のアミノ酸残基を含み得る。1例では、共有結合は
、本発明の融合タンパク質に含まれる異種配列間にある(例えば、米国特許第5
,478,925号を参照のこと)。特定の例では、この共有結合は、(本明細
書中に記載されるような)本発明のPGRP−L−Fc融合タンパク質に含まれ
る異種配列間にある。別の特定の例では、本発明の融合タンパク質の共有結合は
、共有結合したマルチマーを形成し得る別のタンパク質(例えば、オステオプロ
テゲリン(oseteoprotegerin)など)由来の異種ポリペプチド
配列間にある(例えば、国際公開番号WO 98/49305号(この内容はそ
の全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。別の実施形態で
は、2以上の本発明のPGRP−Lポリペプチドは、合成リンカー(例えば、ペ
プチドリンカー、炭水化物リンカーまたは可溶性ポリマーリンカー)を通して連
結される。例としては、米国特許第5,073,627号(本明細書中に参考と
して援用される)に記載されるペプチドリンカーが挙げられる。ペプチドリンカ
ーによって隔てられた複数のPGRP−Lポリペプチドを含むタンパク質は、従
来の組換えDNA技術を用いて産生され得る。
【0226】 本発明のマルチマーPGRP−Lポリペプチドを調製するための別の方法は、
ロイシンジッパーポリペプチド配列に融合されたPGRP−Lポリペプチドの使
用を含む。ロイシンジッパードメインは、そのドメインが見出されるタンパク質
のマルチマー形成を促進するポリペプチドである。ロイシンジッパーは元々、い
くつかのDNA結合タンパク質において同定され(Landschulzら,S
cience 240:1759、(1988))、そしてそれ以来種々の異な
るタンパク質において見出されている。とりわけ公知のロイシンジッパーは、ダ
イマー形成またはトリマー形成をする、天然に存在するペプチドおよびその誘導
体である。可溶性マルチマーPGRP−Lタンパク質を生成するために適切なロ
イシンジッパードメインの例は、本明細書中に参考として援用されるPCT出願
WO 94/10308に記載されるロイシンジッパードメインである。溶液中
でダイマー形成またはトリマー形成をするペプチドに融合された可溶性PGRP
−Lポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞中で発現され
、そして得られる可溶性マルチマーPGRP−Lは、当該分野で公知の技術を用
いて培養上清から回収される。
【0227】 トリマーPGRP−Lは、増強された生物学的活性の利点を提供し得る。好ま
しいロイシンジッパー部分は、トリマーを優先的に形成する部分である。1例は
、本明細書中に参考として援用されるHoppeら(FEBS Letters
344:191,(1994))および米国特許出願第08/446,922
号に記載されるような肺サーファクタントプロテインD(SPD)に由来するロ
イシンジッパーである。天然に存在するトリマータンパク質由来の他のペプチド
は、トリマーPGRP−Lの調製において用いられ得る。
【0228】 別の例では、本発明のタンパク質は、本発明のFlag(登録商標)−PGR
P−L融合タンパク質に含まれるFlag(登録商標)ポリペプチド配列間の相
互作用によって結合される。さらなる実施形態では、本発明のタンパク質の結合
は、本発明のFlag(登録商標)−PGRP−L融合タンパク質に含まれる異
種ポリペプチド配列と抗Flag(登録商標)抗体との間の相互作用によって結
合する。
【0229】 本発明のマルチマーは、当該分野で公知の化学技術を使用して生成され得る。
例えば、本発明のマルチマーに含まれることが所望されるポリペプチドは、当該
分野で公知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を使用して、化学的
に架橋され得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これは本明細書中
で参考として援用される)を参照のこと)。さらに、本発明のマルチマーは、当
該分野で公知の技術を使用して生成されて、マルチマー中に含まれることが所望
されるポリペプチドの配列内に位置するシステイン残基間に、1つ以上の分子間
架橋を形成し得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これは、本明細
書中にその全体が参考として援用される)を参照のこと)。さらに、本発明のポ
リペプチドは、このポリぺプチドのC末端またはN末端へのシステインまたはビ
オチンの付加により慣用的に改変され得、そして当該分野で公知の技術が、1つ
以上のこれらの改変されたポリペプチドを含むマルチマーを生成するために適用
され得る(例えば、米国特許第5,478,925号(これはその全体が本明細
書中で参考として援用される)を参照のこと)。さらに、当該分野で公知の技術
は、本発明のマルチマーに含まれることを所望されるポリペプチド成分を含むリ
ポソームを生成するために適用され得る(例えば、米国特許第5,478,92
5号(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0230】 あるいは、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の遺伝子操作技術を用いて
生成され得る。1つの実施形態では、本発明のマルチマーに含まれるポリペプチ
ドは、本明細書中に記載されるかさもなくば当該分野で公知の融合タンパク質技
術を用いて組換え生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用
される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。特定の実施形態では
、本発明のホモダイマーをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカーポリペプチドをコードする配
列に連結し、次いでさらに元々のC末端からN末端の方向とは逆方向でポリペプ
チドの翻訳産物をコードする合成ポリヌクレオチド(リーダー配列を欠く)に連
結することによって生成される(例えば、本明細書中にその全体が参考として援
用される、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。別の実施形態では
、本明細書中に記載されるかさもなくば当該分野で公知の組換え技術を適用して
、膜貫通ドメイン(または疎水性もしくはシグナルペプチド)を含み、そして膜
再構成技術によってリポソームに組み込まれ得る、本発明の組換えポリペプチド
を生成する(例えば、本明細書中にその全体が参考として援用される、米国特許
第5,478,925号を参照のこと)。
【0231】 (PGRP−Lポリヌクレオチドの使用) 本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドは、当業者に直ぐに明らかとなる多数
の用途を有する。以下の説明は例示的であるとみなされるべきであり、そして公
知の技術を利用する。
【0232】 実際の配列データ(反復多型性)に基づく染色体マーキング試薬は現在ほとん
ど利用可能ではないため、新しい染色体マーカーを同定する必要性が存在するま
まである。
【0233】 簡単に言うと、配列は、配列番号1で示される配列からPCRプライマー(好
ましくは、15〜25bp))を調製することによって染色体にマッピングされ
得る。プライマーが、ゲノムDNA中の1つより多くの予測されたエキソンにま
たがらないように、プライマーは、コンピューター分析を使用して選択され得る
。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッド
のPCRスクリーニングのために使用される。配列番号1に対応するヒトPGR
P−L遺伝子を含むハイブリッドのみが、増幅されたフラグメントを産生する。
【0234】 同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体に対してポリヌクレオチドをP
CRマッピングする迅速な方法を提供する。単一のサーマルサイクラーを使用し
て1日あたり3つ以上のクローンが帰属され得る。さらに、PGRP−Lポリヌ
クレオチドの下位位置決定(sublocalization)は、特定の染色
体フラグメントのパネルを用いて達成され得る。使用され得る他の遺伝子マッピ
ング戦略は、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソート(lab
eled flow sorted)染色体でのプレスクリーニングおよび、染
色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによ
る前選択を含む。
【0235】 PGRP−Lポリヌクレオチドの正確な染色***置はまた、中期染色体スプレ
ッド(spread)の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)
を使用して達成され得る。この技術は500または600塩基ほどの短さのポリ
ヌクレオチドを使用する;しかし2,000〜4,000bpのポリヌクレオチ
ドが好ましい。この技術の総説に関しては、Vermaら、「Human Ch
romosomes:a Manual of Basic Techniqu
es」,Pergamon Press,New York (1988)を参
照のこと。
【0236】 染色体マッピングについては、PGRP−Lポリヌクレオチドは、個々に(単
一染色体またはその染色体上の単一部位をマークするために)またはパネルで(
複数部位および/または複数染色体をマークするために)使用され得る。好まし
いポリヌクレオチドは、cDNAの非コード領域に対応する。なぜならば、コー
ド配列は、遺伝子ファミリー内でより保存的であるようであり、従って染色体マ
ッピングの間の交差ハイブリダイゼーションの機会が増加するからである。
【0237】 一旦、ポリヌクレオチドが正確な染色***置にマッピングされると、ポリヌク
レオチドの物理的な位置は、連鎖分析において使用され得る。連鎖分析は、染色
***置と特定の疾患の提示との間の同時遺伝(coinheritance)を
確立する(疾患マッピングデータは、例えば、V.McKusick,Mend
elian Inheritance in Man(Johns Hopki
ns University Welch Medical Libraryを
通じてオンラインで利用可能である)に見出される)。1メガベースのマッピン
グ分解能および20kbあたり1遺伝子と仮定すると、疾患と関連づけられた染
色体領域に正確に位置決めされたcDNAは、50〜500の潜在的な原因遺伝
子のうちの1つであり得る。
【0238】 従って、一旦同時遺伝が確立されると、PGRP−Lポリヌクレオチド、およ
び罹患個体と非罹患個体との間に対応する遺伝子における差異が試験され得る。
第1に、染色体における目に見える構造変化(例えば、欠失または転座)が染色
体スプレッドにおいてまたはPCRにより試験される。構造的変化が存在しない
場合は、点変異の存在を確認する。いくらかまたは全ての罹患個体で観察された
が、正常個体では観察されない変異は、この変異がこの疾患を引き起こし得るこ
とを示す。しかし、PGRP−Lポリペプチドおよびいくらかの正常個体由来の
対応する遺伝子の完全な配列決定は、多型に由来する変異を区別するために必要
である。新たな多型が同定されると、この多型ポリペプチドは、さらなる連鎖分
析のために使用され得る。
【0239】 さらに、罹患していない個体と比較した場合に、罹患した個体における増加ま
たは減少した遺伝子の発現は、PGRP−Lポリヌクレオドを用いて評価され得
る。いずれかのこれらの改変(発現の改変、染色体の再構成、または変異)が、
診断マーカーまたは予後マーカーとして使用され得る。
【0240】 前述に加えて、PGRP−Lポリヌクレオドは、三重らせん体形成またはアン
チセンスDNAもしくはRNAを通して遺伝子発現を制御するために使用され得
る。両方の方法は、DNAまたはRNAへのポリヌクレオドの結合に依存する。
これらの技術について、好ましいポリヌクレオドは、通常、20〜40塩基長で
あり、そして転写に関与する遺伝子の領域(三重らせん−Leeら、Nucl.
Acids Res.6:3073(1979);Cooneyら、Scien
ce 241:456(1988);およびDervanら、Science
251:1360(1991)を参照のこと)またはmRNA自体(アンチセン
ス−Okano、J.Neurochem.56:560(1991);Oli
godeoxy−nucleotides as Antisense Inh
ibitors of Gene Expression、CRC Press
、Boca Raton、FL(1988))のいずれかに対して相補的である
。三重らせん体形成は、DNAからのRNA転写の遮断を最適に生じるが、一方
アンチセンスRNAのハイブリダイゼーションは、ポリペプチドへのmRNA分
子の翻訳をブロックする。両方の技術は、モデル系において効果的であり、そし
て本明細書中に開示された情報を使用して、疾患を処置するための試みにおいて
、アンチセンスのポリヌクレオチドまたは三重らせん体のポリヌクレオドを設計
し得る。
【0241】 PGRP−Lポリヌクレオドはまた、遺伝子治療に有用である。遺伝子治療の
目的の1つは、遺伝的欠損を補正するための試みにおいて、欠損遺伝子を有する
生物に正常な遺伝子を挿入することである。PGRP−Lポリヌクレオチドは、
非常に正確な様式において、そのような遺伝的欠損を標的化する手段を提供する
。別の目的は、宿主のゲノムには存在しなかった新しい遺伝子を挿入し、それに
より宿主細胞において新しい形質を産生することである。
【0242】 このPGRP−Lポリヌクレオチドはまた、微量の生物学的サンプルから個体
を同定するのに有用である。米国陸軍は、例えば、その個体の識別のために、制
限体断片長多型(RFLP)の使用を考えている。この技術において、個体のゲ
ノムDNAは、1つ以上の制限酵素で消化され、そしてサザンブロットでプロー
ブ化されて個体を識別するための独特のバンドを生じる。この方法は、紛失、入
れ替え、または盗難され得、ポジティブな識別を困難にする「認識票」の現在の
制限に患わされることがない。PGRP−Lポリヌクレオチドは、RFLPのさ
らなるDNAマーカーとして使用され得る。
【0243】 PGRP−Lポリヌクレオチドはまた、個体のゲノムの選択された部分の塩基
ごとの実際のDNA配列を決定することにより、RFLPの代わりとして使用さ
れ得る。これらの配列を使用して、そのような選択されたDNAを、増幅および
単離するためのPCRプライマーを調製し得る。次いで、これは配列決定され得
る。この技術を使用して、個体を同定し得る。なぜなら、各個体は独特なDNA
配列のセットを有するからである。一旦、独特なIDデータベースが、個体に対
して確立されると、その個体(生存または死亡している)のポジティブな識別が
、非常に小さな組織サンプルからなされ得る。
【0244】 法医学的生物学はまた、本明細書中に開示されるようにDNAに基づく識別技
術を使用することから有益である。非常に小さな生物学的サンプル(例えば、組
織(例えば、髪または皮膚)あるいは体液(例えば、血液、唾液、***、など)
)から得られたDNA配列を、PCRを使用して増幅し得る。1つの先行技術に
おいて、多型座位(例えば、DQa クラスII HLA遺伝子)から増幅され
た遺伝子配列を法医学的生物学において使用して、個体を識別する(Erlic
h,H.、PCR Technology、Freeman and Co.(
1992))。一旦、これらの特定の多型座位が増幅されれば、それらを1つ以
上の制限酵素で消化して、DQa クラスII HLA遺伝子に対応するDNA
でプローブされた、サザンブロットにおいて識別するバンドのセットを生じる。
同様に、PGRP−Lポリヌクレオチドを、法医学的目的のための多型性マーカ
ーとして使用し得る。
【0245】 特定の組織の供給源を同定し得る試薬についての必要性がまた存在する。例え
ば、起源のわからない組織とともに提示される場合、法医学において、そのよう
な必要性が生じる。適切な試薬は、例えば、特定の組織に特異的な、PGRP−
L配列から調製されるDNAプローブまたはプライマーを含み得る。そのような
試薬のパネルは、種および/または器官の型により組織を同定し得る。同様の様
式において、これらの試薬を使用して、汚染について組織培養物をスクリーニン
グし得る。
【0246】 PGRP−Lは、肝臓組織で発現されることが見出されているので、PGRP
−Lポリヌクレオチドはまた、生物学的サンプル中に存在する組織(単数または
複数)または細胞型(単数または複数)の差示的同定のためのハイブリダイゼー
ションプローブとして有用である。同様に、PGRP−Lポリペプチドに指向さ
れるポリペプチドおよび抗体は、組織(単数または複数)または細胞型(単数ま
たは複数)の差示的同定のための免疫学的プローブの提供に有用である。さらに
、上記組織または細胞(特に、肝臓および免疫系の組織または細胞)の多くの障
害に関して、「標準の」PGRP−L遺伝子発現レベル(すなわち、肝臓および
/または免疫系の障害(単数または複数)を有さない個体由来の健常組織中のP
GRP−L発現レベル)に対して有意により高いかまたはより低いレベルの本発
明のPGRP−L遺伝子発現が、このような障害を有する個体から採取された特
定の組織(例えば、本発明のPGRP−Lポリペプチドおよび/もしくはポリヌ
クレオチドを発現する組織(例えば、肝臓組織、免疫組織、癌性組織および創傷
組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、滑液または髄液)におい
て検出され得る。
【0247】 従って、本発明は、以下の工程を含む障害の診断方法を提供する:(a)個体
の細胞または体液中のPGRP−L遺伝子発現レベルをアッセイする工程;(b
)標準的なPGRP−L遺伝子発現レベルと、このPGRP−L遺伝子発現レベ
ルを比較し、それにより、標準の発現レベルと比較して、アッセイされたPGR
P−L遺伝子発現レベルの増加または減少が肝臓および/または免疫系における
障害を示す、工程。
【0248】 少なくとも、PGRP−Lポリヌクレオドは、サザンブロットのゲル上の分子
量マーカーとして、特定の細胞型における特異的mRNAの存在についての診断
プローブとして、新規のポリヌクレオドを発見するプロセスにおける「減算した
(subtract−out)」公知の配列に対するプローブとして、「遺伝子
チップ」または他の支持体に付着するためのオリゴマーを選択および作製するた
めに、DNA免疫技術を用いて抗DNA抗体を惹起するために、および免疫応答
を惹起する抗原として使用され得る。
【0249】 (PGRP−Lポリペプチドの使用) 本発明のPGRP−Lポリペプチドは、当業者に直ぐに明らかとなる多数の用
途を有する。以下の記述は、例示として考慮されるべきであり、そして公知の技
術を利用する。
【0250】 PGRP−Lポリペプチドは、抗体ベースの技術を使用して生物学的サンプル
中のタンパク質レベルをアッセイするために使用され得る。例えば、組織におけ
るタンパク質発現は、古典的免疫組織学的方法で研究され得る。(Jalkan
en,M.ら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985)
;Jalkanen,M.ら、J.Cell.Biol.105:3087−3
096(1987)を参照のこと)。タンパク質の遺伝子発現を検出するのに有
用な、他の抗体に基づく方法には、イムノアッセイ(例えば、酵素結合イムノソ
ルベントアッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA))が含
まれる。適切な抗体アッセイの標識は、当該分野で公知であり、そして酵素標識
(例えば、グルコースオキシダーゼ);放射性同位体(例えば、ヨウ素(125
I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、イン
ジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc));ならびに蛍光標
識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)ならびにビオチンが挙げられる
【0251】 生物学的サンプル中の分泌タンパク質のレベルをアッセイすることに加えて、
タンパク質はまた、画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質のインビ
ボ画像化のための抗体の標識またはマーカーは、X線撮影法、NMR、またはE
SRにより検出可能なものを含む。X線撮影法のために適切な標識は、放射性同
位体(例えば、バリウムまたはセシウム)を含み、これは検出可能な放射線を放
射するが、被験体に対して明らかには有害ではない。NMRおよびESRのため
の適切なマーカーは、検出可能な特徴的なスピンを有するマーカー(例えば、重
水素)を含み、これは、関連するハイブリドーマのための栄養分を標識すること
により抗体中に取り込まれ得る。
【0252】 放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc、(131I、125I、123I、 121 I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115m In、113mIn、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc
)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd
)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、 177 Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186
Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru)、放射線不透過性物質、または核
磁気共鳴により検出可能な物質のような適切な検出可能な画像化部分で標識され
た、タンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、哺乳動物に(例えば、非
経口的、皮下、または腹腔内に)導入され、免疫系の障害について検査される。
被験体のサイズおよび用いられる画像化システムは、診断画像を生成するために
必要な画像化部分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部
分の場合には、ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99mTc
の約5〜20ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フ
ラグメントは、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを発
現する細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像化は、S.W.Bu
rchielら、「Immunopharmacokinetics of R
adiolabeled Antibodies and Their Fra
gments」(Tumor Imaging:The Radiochemi
cal Detection of Cancerの第13章、S.W.Bur
chielおよびB.A.Rhodes編、Masson Publishin
g Inc.(1982))に記載される。
【0253】 1つの実施形態において、本発明は、異種ポリペプチドまたは核酸と会合する
本発明のポリペプチド(例えば、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる
ポリペプチドおよび/または抗体)を投与することによる、本発明の組成物の細
胞への特異的な送達のための方法を提供する。1つの例において、本発明は、治
療タンパク質を標的化細胞中へ送達するための方法を提供する。別の例において
、本発明は、一本鎖核酸(例えば、アンチセンスまたはリボザイム)または二本
鎖核酸(例えば、細胞のゲノムに組み込み得るか、またはエピソームにて複製し
得、そして転写され得るDNA)を、標的化細胞に送達するための方法を提供す
る。
【0254】 別の実施形態において、本発明は、毒素または細胞傷害性プロドラッグに関連
する本発明のポリペプチドを投与することによる細胞の特異的な破壊(例えば、
腫瘍細胞の破壊)のための方法を提供する。
【0255】 「毒素」とは、内因性の細胞傷害性エフェクタ系、放射性同位体、ホロ毒素(
holotoxin)、改変型毒素、毒素の触媒サブユニット、または規定の条
件下で細胞死を引き起こす細胞中もしくは細胞表面には通常存在しない任意の分
子もしくは酵素を結合および活性化する1つ以上の化合物を意味する。本発明の
方法に従って使用され得る毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:当該分野で公知の放射性同位体、固有のまたは誘導された内因性の細胞
傷害性エフェクタ系に結合する化合物(例えば、抗体(またはその補体固定含有
部分)、チミジンキナーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNAse、α毒素、リシン
、アブリン、Pseudomonas外毒素A、ジフテリア毒素、サポリン、モ
モルジン(momordin)、ゲロニン(gelonin)、ヤマゴボウ抗ウ
イルスタンパク質、αサルシン(sarcin)およびコレラ毒素。「毒素」は
また、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療薬または放射活性金属イオン(
例えば、α−放射体(例えば、213Bi))もしくは他の放射性同位体(例えば
103Pd、133Xe、131I、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、35S、9 0 Y、153Sm、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、90イッ
トリウム、117スズ、186レニウム、166ホルミウム、および188レニウム);発光
標識(例えば、ルミノール);および蛍光標識(例えば、フルオレセインおよび
ローダミン)、ならびにビオチンを含む。
【0256】 当該分野において公知の技術は、本発明のポリペプチド(抗体を含む)を標識
化するために適用され得る。このような技術としては、二官能性結合剤の使用(
例えば、米国特許第5,756,065号;同第5,714,631号;同第5
,696,239号;同第5,652,361号;同第5,505,931号;
同第5,489,425号;同第5,435,990号;同第5,428,13
9号;同第5,342,604号;同第5,274,119号;同第4,994
,560号;および5,808,003号を参照のこと;これら各々の内容は、
本明細書中に参考としてその全体を援用する)が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0257】 従って、本発明は、障害の診断方法を提供し、これは以下を含む:(a)個体
の細胞または体液におけるポリペプチドの発現をアッセイする工程;および(b
)アッセイされた遺伝子の発現レベルを標準の遺伝子の発現レベルと比較し、そ
れによって標準の発現レベルと比較してアッセイされたPGRP−Lポリペプチ
ドの遺伝子発現レベルにおける増加または減少が障害を示す工程。
【0258】 さらに、PGRP−Lポリペプチドを用いて疾患を処置し得る。例えば、患者
は、PGRP−Lポリペプチドの非存在またはレベルの減少を元に戻すこと(例
えば、インスリンを用いて)、異なるポリペプチドの非存在またはレベルの減少
を補充すること(例えば、ヘモグロビンBに対するヘモグロビンS)、ポリペプ
チドの活性を阻害すること(例えば、癌遺伝子)、ポリペプチドの活性を活性化
すること(例えば、レセプターに結合することによって)、膜結合レセプターを
遊離リガンドと競合させることによって膜結合レセプターの活性を減少させるこ
と(例えば、炎症を低減させる際に用いられる可溶性TNFレセプター)、また
は所望の応答をもたらすこと(例えば、血管の成長)の試みにおいて、PGRP
−Lポリペプチドが投与され得る。
【0259】 同様に、PGRP−Lポリペプチドに対して指向される抗体もまた用いられ、
疾患を処置し得る。例えば、PGRP−Lポリペプチドに対して指向される抗体
の投与は、ポリペプチドを結合して、そしてポリペプチドの過剰産生を低減し得
る。同様に、抗体の投与は、例えば、膜に結合したポリペプチド(レセプター)
へ結合することにより、ポリペプチドを活性化し得る。
【0260】 少なくとも、PGRP−Lポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSD
S−PAGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用
され得る。宿主細胞の形質転換を評価する方法として、PGRP−Lポリペプチ
ドがまた用いられ、抗体を惹起し得、次いで、この抗体が使用され、組換え細胞
からのタンパク質発現を測定する。さらに、PGRP−Lポリペプチドが使用さ
れ、以下の生物学的活性を試験し得る。
【0261】 (遺伝子治療方法) 本発明はまた、遺伝子治療における本発明のポリヌクレオチドの使用を包含す
る。この遺伝子治療は、本発明のPGRP−Lポリペプチドの発現を達成するた
めの、核酸(DNA、RNAおよびアンチセンスDNAまたはRNA)配列の動
物への導入に関する。この方法は、プロモーターおよび標的組織によるこのポリ
ペプチドの発現のために必要な他の任意の遺伝エレメントと、作動可能に連結し
たPGRP−Lポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを必要とする。この
ような遺伝子治療および送達技術は当該分野において公知である(例えば、本明
細書中に参考として援用される、WO90/11092を参照のこと)。
【0262】 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボでPGRP−Lポリヌクレオ
チドと作動可能に連結したプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたは
RNA)を用いて操作され、次いで、操作された細胞は、このポリペプチドを用
いて処置される患者に提供される。このような方法は、当該分野において周知で
ある。例えば、Belldegrun,A.ら、J.Natl.Cancer
Inst.85:107−216(1993);Ferrantini,M.ら
、Cancer Research 53:1107−1112(1993);
Ferrantini,M.ら、J.Immunology 153:4604
−4615(1994);Kaido,T.ら、Int.J.Cancer 6
0:221−229(1995);Ogura,H.ら、Cancer Res
earch 50:5102−5106(1990);Santodonato
,L.ら、Human Gene Therapy 7:1−10(1996)
;Santodonato,L.ら、Gene Therapy 4:1246
−1255(1997);およびZhang,J.−F.ら、Cancer G
ene Therapy 3:31−38(1996)を参照のこと。これらは
、本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態においては、操作される
細胞は、動脈細胞である。この動脈細胞は、動脈、動脈の周囲の組織への直接的
な注射を介して、またはカテーテル注入を介して患者に再導入され得る。
【0263】 以下により詳細に考察されるように、PGRP−Lポリヌクレオチド構築物は
、注射可能な物質を動物の細胞に送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋
肉、皮膚、肺、肝臓など)の間質空間への注射)により送達され得る。PGRP
−Lポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性のキャリア
中で送達され得る。
【0264】 1つの実施形態においては、PGRP−Lポリヌクレオチドは、裸のポリヌク
レオチドとして送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRN
Aとは、細胞への侵入を補助し、促進し、または容易にするために作用するいか
なる送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェ
クチンまたは沈殿剤などを含む)も含まない配列をいう。しかし、PGRP−L
ポリヌクレオチドはまた、当業者に周知の方法により調製され得るリポソーム処
方物中およびリポフェクチン処方物中などで送達され得る。このような方法は、
例えば、米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号および同
第5,580,859号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記
載される。
【0265】 遺伝子治療方法において使用されるPGRP−Lポリヌクレオチドベクター構
築物は、好ましくは、宿主ゲノム中に組み込まれもせず、かつ複製を可能にする
配列を含まない構築物である。適切なベクターとしては、Stratagene
から入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびp
SG;Pharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよ
びpSVL;ならびにInvitrogenから入手可能なpEF1/V5、p
cDNA3.1、およびpRc/CMV2が挙げられる。他の適切なベクターは
、当業者に容易に明らかである。
【0266】 当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、PGRP−L DNA配列の発
現を駆動するために用いられ得る。適切なプロモーターとしては、アデノウイル
スプロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);または異種
プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター);RS
ウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(例えば、MMTプロモ
ーター、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;アルブミ
ンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイル
スチミジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロ
モーター);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;およびヒト成
長ホルモンプロモーターが挙げられる。このプロモーターはまた、PGRP−L
についてネイティブなプロモーターであり得る。
【0267】 他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞に導入する1つの主
要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合成の一過性の性質である。研
究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて、6ヶ月までの期間の間、所
望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
【0268】 PGRP−Lポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺
、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢
、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含す
る)の間隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、器官組織の細網線維間
の、細胞間の液体ムコ多糖マトリクス、血管または室の壁における弾性線維、線
維性組織のコラーゲン線維、あるいは筋肉細胞を囲む結合組織内の同じマトリク
スまたは骨の裂孔中の結合組織内の同じマトリクスを包む。これは、同様に、循
環の血漿およびリンパチャンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉
組織の間隙空間への送達は、以下で議論される理由のために好ましい。PGRP
−Lポリヌクレオチド構築物は、これらの細胞を含む組織への注射によって、好
都合に送達され得る。PGRP−Lポリヌクレオチド構築物は、好ましくは、分
化した持続性の非***細胞に送達され、そしてその細胞において発現されるが、
送達および発現は、非分化細胞または完全には分化していない細胞(例えば、血
液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る。インビボでの筋肉細
胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発現する能力において、特に適格で
ある。
【0269】 裸の核酸配列注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05
mg/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは、この投薬
量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり、そしてより好まし
くは約0.05mg/kgから約5mg/kgである。もちろん、当業者が認識
するように、この投薬量は、注射の組織部位に応じて変化する。核酸配列の適切
かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される状態
および投与経路に依存し得る。
【0270】 好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非経口注射経路による。しかし、他
の非経口経路もまた用いられ得、これには、例えば、特に、肺または気管支の組
織、咽喉または鼻の粘膜への送達のためのエアーゾル処方物の吸入が挙げられる
。さらに、裸のPGRP−L DNA構築物が、血管形成術の間にこの手順にお
いて用いられるカテーテルによって動脈に送達され得る。
【0271】 裸のポリヌクレオチドは、送達部位での直接の針注射、静脈内注射、局所投与
、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝子銃」を含むがこれらに限定されない
、当該分野で公知の任意の方法によって送達される。これらの送達方法は、当該
分野で公知である。
【0272】 実施例において証明されるように、インビボで投与された裸のPGRP−L核
酸配列は、ウサギの大腿動脈におけるPGRP−Lポリペプチドの成功裏の発現
をもたらした。
【0273】 この構築物はまた、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフ
ェクチン、沈殿剤などのような送達ビヒクルを用いて送達され得る。このような
送達方法は、当該分野で公知である。
【0274】 特定の実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチド構築物は、リポソー
ム調製物中で複合体化している。本発明にて使用するためのリポソーム調製物は
、カチオン性(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)および中性の調製
物を包含する。しかしながら、カチオン性リポソームとポリアニオン性核酸との
間で強固な荷電複合体を形成し得るので、カチオン性リポソームが特に好ましい
。カチオン性リポソームは、機能的形態において、プラスミドDNA(本明細書
中で参考として援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad
.Sci.USA(1987)84:7413〜7416);mRNA(本明細
書中で参考として援用される、Maloneら、Proc.Natl.Acad
.Sci.USA(1989)86:6077〜6081);および精製された
転写因子(本明細書中で参考として援用される、Debsら、J.Biol.C
hem.(1990)265:10189〜10192)の細胞内送達を媒介す
ることが示されている。
【0275】 カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジ
オレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTM
A)リポソームは特に有用であり、そして商標LipofectinのもとにG
IBCO BRL,Grand Island,N.Y.(本明細書中で参考と
して援用される、Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA(1987)84:7413〜7416をもまた参照のこと)より入手可
能である。他の市販のリポソームとしては、トランスフェクテース(trans
fectace)(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boe
hringer)が挙げられる。
【0276】 当該分野で周知の技術を使用して、他のカチオン性リポソームを、容易に入手
可能な物質より調製し得る。DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−
3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記述に関して、例
えばPCT公開第WO 90/11092号(本明細書中で参考として援用され
る)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は文献にて説明されており、例
えば、本明細書中で参考として援用される、P.Felgnerら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 84:7413〜7417を参照のこと
。類似した方法を使用して、他のカチオン性脂質物質よりリポソームを調製し得
る。
【0277】 同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avant
i Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に
入手可能であり、または容易に入手可能な物質を使用して簡単に調製され得る。
そのような物質としてはとりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホ
スファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC
)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホス
ファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はまた、
DOTMA出発物質およびDOTAP出発物質と適切な割合において混合され得
る。これらの物質を使用してリポソームを生成する方法は、当該分野で周知であ
る。
【0278】 例えば、商業的に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレ
オイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファ
チジルエタノールアミン(DOPE)を種々の組み合わせにおいて使用し、コレ
ステロールを添加してもしなくても、従来のリポソームを生成し得る。従って、
例えば、超音波処理バイアル中への窒素ガス流下で、各50mgのDOPGおよ
びDOPCを乾燥することにより、DOPG/DOPC小胞を調製し得る。この
サンプルを一晩真空ポンプ下に置き、そして次の日、脱イオン水で水和する。次
いで、浴を、15ECで循環させながら、最大設定にて、逆位カップ(浴タイプ
)プローブを装備したHeat Systems モデル350超音波処理器を
使用して、このサンプルを栓をしたバイアル中にて2時間超音波処理する。ある
いは、負に荷電した小胞を、超音波処理なしで調製して多重膜小胞を生成し得る
か、または核孔膜(nucleopore membrane)を通して押し出
すことにより別々の大きさの単膜小胞を生成し得る。他の方法は、当業者に公知
でありそして利用可能である。
【0279】 このリポソームとしては、多重膜小胞(MLV)、小さな単膜小胞(SUV)
または大きな単膜小胞(LUV)が挙げられ得、SUVが好ましい。当該分野で
周知の方法を使用して、種々のリポソーム−核酸複合体が調製される。例えば、
本明細書中で参考として援用される、Straubingerら、Method
s of Immunology(1983)、101:512〜527を参照
のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラスチューブの壁面にリン脂質の
薄膜を堆積させ、そしてその後、カプセル化されるべき物質の溶液で水和するこ
とによって調製され得る。SUVはMLVの長期超音波処理により調製され、単
膜リポソームの均質集団を生成する。封入されるべき物質を、予め形成されたM
LVの懸濁液に添加し、次いで、超音波処理する。カチオン性脂質を含むリポソ
ームを使用する場合、乾燥した脂質膜を、滅菌水または10mM Tris/N
aClのような等張性緩衝溶液のような適切な溶液中に再懸濁し、超音波処理し
、次いで、予め形成されたリポソームをDNAと直接混合する。正に荷電したリ
ポソームのカチオン性DNAへの結合に起因して、リポソームおよびDNAは非
常に安定な複合体を形成する。SUVは、小核酸フラグメントを用いての用途を
見出す。LUVは、当該分野で周知の多くの方法により調製される。一般に使用
される方法としては、Ca2+−EDTAキレート化(Papahadjopou
losら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:4
83;Wilsonら、Cell(1979)17:77);エーテル注入(D
eamer,D.およびBangham,A.、Biochim.Biophy
s.Acta(1976)443:629;Ostroら、Biochem.B
iophys.Res.Commum.(1977)76:836;Frale
yら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:33
48);界面活性剤透析(Enoch,H.およびStrittmatter,
P.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:14
5);および逆相エバポレーション(REV)(Fraleyら、J.Biol
.Chem.(1980)255:10431;Szoka、F.およびPap
ahadjopoulos,D.、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA(1978)75:145;Schaefer−Ridderら、Scie
nce(1982)215:166)が挙げられ、これらの文献は本明細書中で
参考として援用される。
【0280】 一般に、DNAのリポソームに対する割合は約10:1から約1:10までで
ある。好ましくは、その割合(ration)は約5:1から約1:5までであ
る。より好ましくは、その割合は約3:1から約1:3までである。さらにより
好ましくは、その割合は約1:1である。
【0281】 米国特許第5,676,954号(本明細書中で参考として援用される)はカ
チオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウスへの注入につい
て報告する。米国特許第4,897,355号、同第4,946,787号、同
第5,049,386号、同第5,459,127号、同第5,589,466
号、同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,
055号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考と
して援用される)は、DNAを細胞および哺乳動物にトランスフェクトする際に
使用するためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589,466号、
同第5,693,622号、同第5,580,859号、同第5,703,05
5号および国際公開第WO94/9469号(これらは本明細書中で参考として
援用される)は、DNA−カチオン性脂質複合体を哺乳動物に送達する方法を提
供する。
【0282】 特定の実施形態において、PGRP−Lをコードする配列を含むRNAを含む
レトロウイルス粒子を使用して、エキソビボまたはインビボで細胞を操作し得る
。レトロウイルスプラスミドベクターを誘導し得るレトロウイルスとしては、モ
ロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベ
イ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免
疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスが挙げられるが
、これらに限定されない。
【0283】 このレトロウイルスプラスミドベクターを使用して、パッケージング細胞株を
形質導入し、プロデューサー細胞株を形成する。トランスフェクトされ得るパッ
ケージング細胞の例としては、その全体が本明細書中で参考として援用される、
Miller、Human Gene Theapy 1:5〜14(1990
)にて記載されるようなPE501、PA317、R−2、R−AM、PA12
、T19−14X、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+E
−86、GP+envAm12およびDAN細胞株が挙げられるが、これらに限
定されない。このベクターは、当該分野で公知の任意の手段により、パッケージ
ング細胞を形質導入し得る。そのような手段としては、エレクトロポレーション
、リポソームの使用、およびCaPO4沈殿が挙げられるが、それらに限定され
ない。1つの代替法において、このレトロウイルスプラスミドベクターをリポソ
ームにカプセル化するか、または脂質に結合して、次いで宿主に投与し得る。
【0284】 このプロデューサー細胞株は、PGRP−Lをコードするポリヌクレオチドを
含む感染性レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、そのようなレトロ
ウイルスベクター粒子を使用して、インビトロまたはインビボのどちらかにおい
て、真核生物細胞を形質導入し得る。この形質導入された真核生物細胞は、PG
RP−Lを発現する。
【0285】 特定の他の実施形態において、アデノウイルスベクター中に含まれるPGRP
−Lポリヌクレオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで細胞を操作する。
アデノウイルスは、それがPGRP−Lをコードし、そして発現し、それと同時
に通常の溶解性ウイルス生活環にて複製するその能力に関して不活化されるよう
に操作され得る。アデノウイルス発現は、そのウイルスDNAの宿主細胞染色体
への組み込み無しに達成され、その結果、挿入性変異誘発についての心配が軽減
される。さらに、アデノウイルスは、何年もの間、腸の生ワクチンとして優れた
安全側面を伴って使用されている(Schwartz,A.R.ら(1974)
Am.Rev.Respir.Dis.、109:233−238)。最終的に
、アデノウイルス媒介性遺伝子移入が、コトンラットの肺へのα−1−アンチト
リプシンおよびCFTRの移入を含む多くの例において実証されている(Ros
enfeld,M.A.ら(1991)Science、252:431〜43
4;Rosenfeldら(1992)Cell 68:143〜155)。さ
らに、ヒト癌における原因因子としてアデノウイルスを確立しようとする広範な
研究は、一様に否定的であった(Green,M.ら(1979)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,76:6606)。
【0286】 本発明において有用である適切なアデノウイルスベクターが、例えば、Koz
arskyおよびWilson、Curr.Opin.Genet.Devel
.3:499〜503(1993);Rosenfeldら、Cell 68:
143〜155(1992);Engelhardtら、Human Gene
t.Ther.、4:759〜769(1993);Yangら、Nature
Genet.7:362〜369(1994);Wilsonら、Natur
e、365:691〜692(1993);および米国特許第5,652,22
4号に記載されており、これらは本明細書中で参考として援用される。例えば、
アデノウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト293細胞にて増殖さ
れ得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含み、そして構成的にE
laおよびElbを発現し、このことは、このベクターから欠失している遺伝子
の産物を提供することによって欠損アデノウイルスを補完する。Ad2に加えて
、他の多様なアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、およびAd7)もまた
、本発明において有用である。
【0287】 好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損性である
。複製欠損アデノウイルスは、感染性粒子を形成するために、ヘルパーウイルス
および/またはパッケージング細胞株の助けを必要とする。得られたウイルスは
、細胞に感染する能力があり、そしてプロモーターに作動可能に連結された目的
のポリヌクレオチドを発現し得るが、ほとんどの細胞にて複製し得ない。複製欠
損アデノウイルスは、次の遺伝子:E1a、E1b、E3、E4、E2aまたは
L1からL5までのすべてまたは一部のうちの1つ以上にて欠失され得る。
【0288】 特定の他の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して、エ
キソビボまたはインビボでこの細胞を操作する。AAVは、感染性粒子を生成す
るためにヘルパーウイルスを必要とする、天然に存在する欠損ウイルスである(
Muzyczka,N.,Curr.Topics in Microbiol
.Immunol.,158:97(1992))。AAVはまた、***中では
ない細胞の中にそのDNAを組み込み得る数少ないウイルスの中の1つである。
300塩基対程度の小さいAAVを含むベクターがパッケージされ得、そして組
み込み得るが、外来性DNAのためのスペースは約4.5kbに限られる。その
ようなAAVの生成および使用の方法は当該分野で公知である。例えば、米国特
許第5,139,941号、同第5,173,414号、同第5,354,67
8号、同第5,436,146号、同第5,474,935号、同第5,478
,745号および同第5,589,377号を参照のこと。
【0289】 例えば、本発明において使用するために適切なAAVベクターは、DNA複製
、キャプシド形成、および宿主細胞組み込みに必要な配列すべてを含む。Sam
brookら、Molecular Cloning:A Laborator
y Manual、Cold Spring Harbor Press(19
89)において見い出される方法のような、標準的クローニング方法を使用して
、PGRP−Lポリヌクレオチド構築物を、このAAVベクターに挿入する。次
いで、リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿など
を含む、任意の標準的技術を使用して、この組み換えAAVベクターを、ヘルパ
ーウイルスに感染しているパッケージング細胞にトランスフェクトする。適切な
ヘルパーウイルスとしては、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニ
アウイルス、またはヘルペスウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞が
トランスフェクトおよび感染されると、それらはPGRP−Lポリヌクレオチド
構築物を含む感染性AAVウイルス粒子を生成する。次いで、エキソビボまたは
インビボのいずれかで、これらのウイルス粒子を使用して真核生物細胞を形質導
入する。この形質導入細胞は、そのゲノムに組み込まれたPGRP−Lポリヌク
レオチド構築物を含み、そしてPGRP−Lを発現する。
【0290】 遺伝子治療の別の方法は、相同組み換え(例えば、米国特許第5,641,6
70号、1997年6月24日発行;国際公開第WO96/29411号、19
96年9月26日公開;国際公開第WO94/12650号、1994年8月4
日公開;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
6:8932〜8935(1989);およびZijlstraら、Natur
e、342:435〜438(1989)を参照のこと)を介して、異種制御領
域および内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、PGRP−Lをコードしている
配列)を作動可能に連結する工程を含む。この方法は、標的細胞中に存在してい
るが、通常はその細胞中で発現しないかまたは所望するよりも低いレベルで発現
する、遺伝子の活性化を含む。
【0291】 当該分野で公知の標準的技術を使用して、ポリヌクレオチド構築物を作製する
。この構築物は、プロモーターを、そのプロモーターに隣接した標的化配列とと
もに含む。適切なプロモーターが、本明細書中に記載されている。標的化配列は
、内在性配列に対して十分に相補的であり、プロモーター−標的化配列と内在性
配列との相同組換えを可能にする。標的化配列は、所望される内在性PGRP−
Lポリヌクレオチド配列の5’末端の十分近くに存在し、それゆえ、相同組換え
に際して、プロモーターは、内在性配列に作動可能に連結される。
【0292】 このプロモーターおよび標的化配列は、PCRを使用して増幅され得る。好ま
しくは、この増幅されたプロモーターは、5’末端および3’末端に別の制限酵
素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモ
ーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末
端は、増幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプ
ロモーターおよび標的化配列を消化し、そしてともに連結する。
【0293】 裸のポリヌクレオチドとしてか、もしくは上記により詳細に記載されるような
リポソーム、ウイルス配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、
沈殿剤などのようなトランスフェクション促進剤と一緒にかのいずれかで、この
プロモーター−標的化配列構築物を細胞に送達する。直接針注射、静脈内注射、
局所投与、カテーテル注入、粒子加速器などを含む任意の方法により、Pプロモ
ーター−標的化配列を送達し得る。この方法を、下記により詳細に記載する。
【0294】 プロモーター−標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。この構築物と
内在性配列との間に相同組換えが起こり、その結果、内在性PGRP−L配列は
、このプロモーターの制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、内在
性PGRP−L配列の発現を駆動する。
【0295】 好ましくは、PGRP−Lをコードするポリヌクレオチドは、そのタンパク質
の分泌を促進する分泌シグナル配列を含む。代表的に、このシグナル配列は、コ
ード領域の5’末端に向かってかまたは5’末端で発現される、そのポリヌクレ
オチドのコード領域に位置する。このシグナル配列は、目的のポリヌクレオチド
に対して同種または異種であり得、そしてトランスフェクトされる細胞に対して
同種または異種であり得る。さらに、当該分野で公知の方法を使用して、このシ
グナル配列は化学合成され得る。
【0296】 その投与様式によって、治療効果を提供するのに十分な量にて1つ以上の分子
が発現される限り、上記のポリヌクレオチド構築物のうちのいずれかの任意の投
与様式が使用され得る。これは、直接針注射、全身注射、カテーテル注入、バイ
オリスティック(biolistic)注射器、粒子加速器(すなわち、「遺伝
子銃」)、ゲルフォームスポンジデポー(depot)、他の市販デポー(de
pot)物質、浸透圧ポンプ(例えば、Alzaミニポンプ)、経口用または坐
剤用の固形(錠剤または丸剤)薬学的処方物、および手術中のデカンティングま
たは局所適用を含む。例えば、ラット肝臓およびラット脾臓へのリン酸カルシウ
ム沈澱した裸のプラスミドの直接注射、または門脈へのタンパク質被覆プラスミ
ド直接注射は、ラット肝臓における外来遺伝子の遺伝子発現をもたらした(Ka
nedaら、Science、243:375(1989))。
【0297】 局所投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達ビ
ヒクルと複合体を形成した本発明の組換え分子は、動脈領域内部に直接注射によ
り投与されるか、または動脈領域内部に局所投与される。動脈領域内部での組成
物の局所投与とは、その組成物を動脈内に数センチメートル、好ましくは数ミリ
メートルで注射することを言う。
【0298】 局所投与の別の方法は、外科的創傷内またはその周辺に本発明のポリヌクレオ
チド構築物を接触させることである。例えば、患者は手術を経験し得、そしてこ
のポリヌクレオチド構築物は創傷内部の組織表面上に被覆され得るか、またはそ
の構築物は創傷内部の組織領域に注射され得る。
【0299】 全身投与に有用な治療組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクルと複合体
を形成した本発明の組換え分子を含む。全身投与で使用するために適切な送達ビ
ヒクルは、特定部位に対してそのビヒクルを標的化するリガンドを含むリポソー
ムを含む。
【0300】 全身投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアーゾル、経口および経皮
(局所的)送達が挙げられる。当該分野で標準的な方法を使用して、静脈内注射
が実行され得る。当該分野で標準的な方法を使用して、エアーゾル送達もまた実
行され得る(例えば、本明細書中で参考として援用される、Stribling
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 189:11277〜1
1281、1992を参照のこと)。動物の腸内の消化酵素による分解に耐える
能力をもつキャリアに対して本発明のポリヌクレオチド構築物が複合体を形成す
ることにより、経口送達は実行され得る。そのようなキャリアの例としては、当
該分野で公知であるもののような、プラスチックカプセルまたは錠剤が挙げられ
る。皮膚内へ通過可能な親油性試薬(例えば、DMSO)と本発明のポリヌクレ
オチド構築物を混合することによって、局所的送達は実行され得る。
【0301】 送達される物質の有効量を決定することは、例えば、その物質の化学構造およ
び生物学的活性、動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびそ
の重症度、ならびに投与経路を含む、多数の因子に依存し得る。処置の頻度は、
1用量あたりの投与されるポリヌクレオチド構築物の量ならびに被験体の健康お
よび病歴のような多くの因子に依存する。正確な量、投薬回数および投薬のタイ
ミングは、主治医または主治獣医により決定される。
【0302】 本発明の治療的組成物は、任意の動物に、好ましくは哺乳動物および鳥類に投
与され得る。好ましい哺乳動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、
ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが挙げられ、特にヒトが好ましい。
【0303】 (PGRP−Lの生物学的活性および治療的用途) PGRP−LポリヌクレオチドもしくはPGRP−Lポリペプチド、またはP
GRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストをアッセイに使用して、PGR
P−Lに関連した1つ以上の生物学的活性(例えば、先天免疫に関連したペプチ
ドグリカンの結合および/または細胞におけるアポトーシスの誘導など)につい
て試験し得る(例えば、それぞれ、実施例37、38および39)。PGRP−
LポリヌクレオチドもしくはPGRP−Lポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストが特定のアッセイにおいて活性を示す場合、
PGRP−Lはその生物学的活性に関連した疾患に関与し得るようである。従っ
て、PGRP−Lを使用して、関連した疾患を処置し得る。
【0304】 PGRP−Lポリペプチドは、免疫系の認識、抗原提示および免疫系の活性化
に関連した生物学的活性に関与すると考えられる。従って、本発明の組成物(本
発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび抗体、それらのフラグメントおよ
び改変体ならびにアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)は、上記に
列挙した生物学的活性と関連した疾患および/または障害の診断、検出および/
または処置において用いられ得る。好ましい実施形態では、本発明の組成物(本
発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび抗体、それらのフラグメントおよ
び改変体ならびにアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)は、感染性
因子の免疫系認識(例えば、微生物感染およびウイルス感染、ならびに/または
以下の「感染性疾患」の下で記載される通り)、抗原提示(例えば、および/ま
たは以下の「免疫活性」および「感染性疾患」に記載される通り)、免疫系活性
化(例えば、自己免疫障害、および/または以下の「免疫活性」の下で記載され
る通り)、アポトーシス(例えば、癌治療剤として、および/または以下の「ア
ポトーシス活性」の下で記載される通り)、骨粗鬆症、肝臓損傷、神経変性障害
および加齢に関連した疾患および/または障害の診断、検出および/または処置
において用いられ得る。従って、本発明のポリヌクレオチド、翻訳産物および抗
体(アゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)は、感染性因子の免疫認
識、免疫系の活性化、アポトーシス、抗原提示、骨粗鬆症、肝臓損傷、神経変性
障害および加齢を含むがこれらに限定されない活性に関連した疾患および/また
は障害の診断、検出および/または処置において有用である。
【0305】 より一般的には、この遺伝子に対応するポリヌクレオチド、翻訳産物および抗
体は、以下の系に関連した疾患および/または障害の診断、検出および/または
処置に有用であり得る。
【0306】 (感染性疾患) 背景の節で議論されるように、PGRP−Lは、ヒトペプチドグリカン認識タ
ンパク質と相同性を共有し、これはペプチドグリカン結合および抗原提示におけ
る役割を果たし、従って細菌感染に対する免疫応答を媒介すると考えられている
。従って、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGR
P−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは、感染因子を処置または検出するた
めに使用され得る。例えば、免疫応答を媒介することによって(特に、ペプチド
グリカン結合および免疫細胞への抗原提示を介して)、感染性疾患は処置され得
る。免疫応答は、既存の免疫応答を増大することによってか、または新しい免疫
応答を開始することによってかのいずれかで増大され得る。あるいは、PGRP
−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGRP−Lのアゴニスト
またはアンタゴニストはまた、必ずしも免疫応答を誘発することなく、感染因子
を直接阻害し得る。PGRP−Lポリヌクレオチドを発現する細胞が、病原(例
えば、細菌)の認識、ならびに免疫系への抗原のプロセシングおよび提示を媒介
すると考えられている。「感染への強力な細胞応答」とは、細菌(グラム陽性お
よびグラム陰性)、ウイルス、真菌、寄生生物などからの感染により誘導される
細胞、細胞株、組織、組織培養物、または患者への任意の遺伝型の変化、表現型
の変化、および/または形態的な変化を意図する。示されるように、このような
細胞応答は、通常の生理的な感染応答(例えば、抗原プロセシングおよび提示、
免疫応答)だけでなく、異常免疫系認識、免疫系における異常な抗原プロセシン
グおよび提示、感染への異常免疫系応答、免疫細胞の活性化、生存、遊走、およ
び分化、ならびに免疫易感染性の個体の感染、および肝細胞および/または身体
中の他の細胞(例えば、免疫系細胞)の増殖/アポトーシスの異常調節に関連し
た疾患を含む。
【0307】 ウイルスは、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはP
GRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストにより処置または検出され得る疾
患または症状を引き起こし得る、病原菌の一例である。ウイルスの例としては、
以下のDNAおよびRNAのウイルス科が挙げられるが、それらに限定されない
:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイルス、
ビルナウイルス科、ブンヤウイルス科、カルシウイルス科、サルコウイルス科(
Circoviridae)、コロナウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナ
ウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例えば、サイトメガロウイルス、単
純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス)、モノネガウイルス(Mononeg
avirus)(例えば、パラミクソウイルス科、麻疹ウイルス、ラブドウイル
ス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザ)、パポバウイルス
科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(例えば、痘
瘡ウイルスまたはワクシニアウイルス)、レオウイルス科(例えば、ロタウイル
ス)、レトロウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、
およびトガウイルス科(例えば、ルビウイルス)。これらの科内に入るウイルス
は、以下を含むがこれらに限定されない、種々の疾患または症状を引き起こし得
る:関節炎、細気管支炎、脳炎、眼の感染症(例えば、結膜炎、角膜炎)、慢性
疲労症候群、肝炎(A型、B型、C型、E型、慢性活動性、デルタ型)、髄膜炎
、日和見感染症(例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリンパ腫、水痘、出血
熱、麻疹、流行性耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、感冒、ポリオ、白血
病、風疹、性感染病、皮膚病(例えば、カポージ、いぼ)、およびウイルス血症
。PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、これらの任意の症状または疾患が
、処置または検出され得る。
【0308】 同様に、疾患または症状を引き起こし得、かつPGRP−Lポリヌクレオチド
またはポリペプチド、あるいはPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニスト
によって、処置または検出され得る、細菌性因子あるいは真菌性因子は、以下の
グラム陰性およびグラム陽性の細菌科および真菌を含むがこれらに限定されない
:Actinomycetales(例えば、Corynebacterium
、Mycobacterium、Norcardia)、Aspergillo
sis、Bacillaceae(例えば、Anthrax、Clostrid
ium)、Bacteroidaceae、Blastomycosis、Bo
rdetella、Borrelia、Brucellosis、Candid
iasis、Campylobacter、Coccidioidomycos
is、Cryptococcosis、Dermatocycoses、Ent
erobacteriaceae(Klebsiella、Salmonell
a、Serratia、Yersinia)、Erysipelothrix、
Helicobacter、Legionellosis、Leptospir
osis、Listeria、Mycoplasmatales、Neisse
riaceae(例えば、Acinetobacter、Gonorrhea、
Menigococcal)、Pasteurellaceaの感染症(例えば
、Actinobacillus、Heamophilus、Pasteure
lla)、Pseudomonas、Rickettsiaceae、Chla
mydiaceae、Syphilis、およびStaphylococcal
。これらの細菌または真菌の科は、以下を含むがこれらに限定されない疾患また
は症状を引き起こし得る:菌血症、心内膜炎、眼感染症(結膜炎、結核、ブドウ
膜炎)、歯肉炎、日和見感染症(例えば、AIDSに関連した感染症)、爪周囲
炎、プロテーゼ関連感染症、ライター病、気道感染症(例えば、百日咳または蓄
膿症)、敗血症、ライム病、ネコ引っ掻き病、赤痢、パラチフス熱、食中毒、腸
チフス、肺炎、淋病、髄膜炎、クラミジア、梅毒、ジフテリア、ライ病、パラ結
核、結核、狼瘡、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風、膿痂疹、リウマチ熱、猩紅熱
、性感染病、皮膚病(例えば、蜂巣炎、皮膚真菌症(dermatocycos
es))、毒血症、***症、創傷感染症。PGRP−Lポリペプチドまたは
ポリヌクレオチド、あるいはPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストを
用いて、これらの任意の症状もしくは疾患を処置または検出し得る。
【0309】 さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGR
P−Lのアゴニストまたはアンタゴニストにより処置もしくは検出され得る疾患
または症状を引き起こす寄生生物性因子としては以下のファミリーが挙げられる
がこれらに限定されない:アメーバ、バベシア、コクシジウム、クリプトスポリ
ジウム、二核アメーバ、交疫、外部寄生生物、ジアルジア鞭毛虫、蠕虫、リーシ
ュマニア、タイレリア、トキソプラスマ、トリパノソーマ、およびトリコモナス
。これらの寄生生物は、以下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症
状を引き起こし得る:疥癬、ツツガムシ病、眼性感染症、腸疾患(例えば、赤痢
、ジアルジア鞭毛虫症)、肝臓疾患、肺疾患、日和見感染症(例えば、AIDS
関連)、マラリア、妊娠合併症、およびトキソプラスマ。PGRP−Lポリペプ
チドまたはポリヌクレオチド、あるいはPGRP−Lのアゴニストまたはアンタ
ゴニストを用いて、これらの任意の症状もしくは疾患を処置または検出し得る。
【0310】 好ましくは、PGRP−Lポリペプチドまたはポリヌクレオチド、あるいはP
GRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストを用いる処置は、患者に有効量の
PGRP−Lポリペプチドを投与するか、または患者から細胞を取り出して、P
GRP−Lポリヌクレオチドをこの細胞に供給し、そして患者に操作した細胞を
戻す(エキソビボ治療)かのいずれかによるものであり得る。さらに、PGRP
−Lポリペプチドまたはポリヌクレオチドはワクチン中の抗原として用いられて
、感染性疾患に対する免疫応答を惹起し得る。
【0311】 (アポトーシス活性) 同様に、PGRP−Lは、tag7(これは、Kiselevらによってマウ
スL929細胞のアポトーシスをインビトロで誘導することが示された)と相同
性を有することが示される。従って、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリ
ペプチド、ならびにPGRP−Lのアンタゴニストまたはアゴニストによって処
置または検出され得る、細胞生存の増大あるいはアポトーシスの阻害に関連する
疾患には、癌(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を有する癌腫、およびホル
モン依存性腫瘍、これらは以下:結腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細
胞腫、神経膠芽細胞腫、肺癌、腸の癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、
筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、骨巨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、
乳癌、前立腺癌、カポージ肉腫および卵巣癌を含むが、これらに限定されない)
;自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、
胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s disease)、クロー
ン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに
慢性関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックス
ウイルスおよびアデノウイルス)、炎症、対宿主性移植片病、急性移植片拒絶、
ならびに慢性移植片拒絶、が挙げられる。好ましい実施形態において、PGRP
−Lポリヌクレオチド、ポリペプチド、および/または本発明のアンタゴニスト
は、特に上記に列挙される癌の増殖、進行、および/または転移を阻害するため
に使用される。
【0312】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストによって処置または検出され得る、細胞生存の
増大に関連するさらなる疾患または状態には、悪性疾患ならびに以下のような関
連する障害の進行および/または転移が挙げられるが、これらに限定されない:
白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽
球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病を含む)を含む)ならび
に慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白
血病))、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン
病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、な
らびに固形腫瘍(肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟
骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosa
rcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫
瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁
平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞
腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、セミノー
マ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌
、上皮癌、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細
胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(mena
ngioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)を含むが、これ
らに限定されない)。
【0313】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストによって処置または検出され得る、アポトーシ
スの増大に関連する疾患には、以下が挙げられる:AIDS;神経変性障害(例
えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎
、小脳変性および脳腫瘍または以前に関連した疾患);自己免疫障害(例えば、
多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェッ
ト病(Behcet’s disease)、クローン病、多発性筋炎、全身性
エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎ならびに慢性関節リウマチ)、脊髄
形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、対宿主性移植片病、虚血性傷害(
心筋梗塞、発作および再灌流傷害によって生じるようなもの)、肝臓傷害(例え
ば、肝炎関連肝臓傷害、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(cholestosi
s)(胆管傷害)および肝臓癌);毒物誘導性肝臓疾患(アルコールによって引
き起こされるようなもの)、敗血症性ショック、悪液質ならびに食欲不振。
【0314】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにPGRP−L
のアゴニストもしくはアンタゴニストによって検出および/または処置され得る
過剰増殖の疾患および/または障害の例としては、肝臓、腹部、骨、***、消化
器系、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲
状腺)、眼、頭部および頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚
、軟組織、脾臓、胸部、ならびに泌尿生殖器に位置する新生物が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0315】 同様に、他の過剰増殖障害もまた、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポ
リペプチド、またはPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストにより処
置または検出され得る。このような過剰増殖性障害の例としては、以下が挙げら
れるがこれらに限定されない:高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、
パラプロテイン血症、紫斑、サルコイドーシス、セザリー症候群、ヴァルデンス
トレームマクログロブリン血症、ゴシェ病、組織球増殖症、および任意の他の過
剰増殖性疾患、加えて上記に列挙した器官系に見出される新生物。 (免疫活性) 同様に、tag7は、造血組織およびリンパ様組織において恒常的に発現され
たことが見出され、このことはtag7が正常な免疫系機能に関与し得ることを
示唆する。従って、tag7とのPGRP−Lの相同性に基づいて、PGRP−
Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lのアゴニストも
しくはアンタゴニストは、免疫細胞の増殖、分化、もしくは動員(走化性)を活
性化または阻害することにより、免疫系の欠損または障害の処置において有用で
あり得る。免疫細胞は、造血と呼ばれるプロセスを介して発達し、多能性幹細胞
から骨髄性細胞(血小板、赤血球、好中球およびマクロファージ)およびリンパ
系細胞(Bリンパ球およびTリンパ球)を生成する。これら免疫の欠損または障
害の病因は、遺伝的、身体的(somatic)(例えば、癌またはいくつかの
自己免疫性障害)、後天的(例えば、化学療法もしくは毒素による)または感染
的であり得る。さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、
またはPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の免疫系の疾
患または障害のマーカーまたは検出物質(detector)として使用され得
る。
【0316】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストは、造血細胞の欠損または障害の処置または
検出において有用であり得る。PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプ
チド、またはPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の(ま
たは多くの)型の造血細胞の減少に関連した障害を処置する試みにおいて、多能
性幹細胞を含む造血細胞の分化および増殖を増加させるために用いられ得る。免
疫不全症候群の例としては、血液タンパク質の障害(例えば、無ガンマグロブリ
ン血症、低ガンマグロブリン血症)、毛細血管拡張性運動失調、分類不能型免疫
不全、ディ・ジョージ症候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球接着
不全症候群、リンパ球減少、食細胞殺細菌機能不全、重症複合型免疫不全(SC
ID)、ヴィスコット−オールドリッチ障害、貧血、血小板減少、またはヘモグ
ロビン尿症が挙げられるが、それらに限定されない。自己免疫障害の処置、予防
、診断および/または予後において、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドま
たはポリペプチド(例えば、アゴニスト抗PGRP−L抗体)、およびそれらの
アゴニストまたはアンタゴニストはまた、有用であり得る。多くの自己免疫障害
は、免疫細胞によって外来性物質として不適切に自己を認識することから生じる
。この不適切な認識は、宿主組織の破壊をもたらす免疫応答を引き起こす。従っ
て、免疫応答、特にT細胞の増殖、分化または走化性を阻害し得る本発明のポリ
ヌクレオチドおよびポリペプチドの投与は、自己免疫障害の防止において効果的
な治療であり得る。
【0317】 本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGR
P−Lアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アゴニスト抗PGRP−L抗
体)を使用して処置、診断または予後判定され得る自己免疫疾患または障害とし
ては、以下の1つ以上が挙げられるがこれらに限定されない:自己免疫性溶血性
貧血、自己免疫性新生児血小板減少、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性血
球減少症、溶血性貧血、抗リン脂質症候群(antiphospholipid
syndrome)、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、心筋炎、再発性多発性
軟骨炎、リウマチ性心疾患、糸球体腎炎(例えば、IgAネフロパシー)、多発
性硬化症、神経炎、ブドウ膜炎眼炎、多発性内分泌腺症、紫斑病(例えば、ヘー
ノホ−シェーンライン紫斑病)、ライター病、スティッフマン症候群、自己免疫
性の肺の炎症、ギヤン−バレー症候群、インスリン依存性糖尿病、および自己免
疫炎症性の眼、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺機能低下症(すなわち、橋本甲状腺
炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、レセプター自
己免疫(例えば、(a)グレーブス病、(b)重症筋無力症、および(c)イン
スリン耐性、自己免疫性溶解性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、慢性関節
リウマチ、抗コラーゲン抗体を有する強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎/皮
膚筋炎、悪性貧血、突発性アジソン病、不妊症、糸球体腎炎(例えば、原発性糸
球体腎炎およびIgAネフロパシー)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、
糖尿病、およびアドレナリン作動性薬物耐性(喘息または嚢胞性線維症を有する
アドレナリン薬物耐性を含む)、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、他の内
分泌腺不全、白斑、脈管炎、MI後心臓切開症候群(post−MI,card
iotomy syndrome)、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、喘息、炎症性
ミオパシー、および他の炎症性障害、肉芽腫性(granulamatous)
障害、変性性障害、および萎縮性障害))。
【0318】 特定の好ましい実施形態において、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体
、またはポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のアゴニストまたはアンタ
ゴニストを使用して、慢性関節リウマチが処置、予防、予後判定および/または
診断される。別の特定の好ましい実施形態において、本発明のPGRP−Lポリ
ペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のアゴニス
トまたはアンタゴニストを使用して、全身性エリテマトーデスが処置、予防、予
後判定および/または診断される。別の特定の好ましい実施形態において、本発
明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド、および/ある
いは本発明のアゴニストまたはアンタゴニストを使用して、特発性血小板減少性
紫斑病が処置、予防、予後判定および/または診断される。別の特定の好ましい
実施形態において、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌク
レオチド、および/あるいは本発明のアゴニストまたはアンタゴニストを使用し
て、IgAネフロパシーが処置、予防、予後判定および/または診断される。好
ましい実施形態において、自己免疫疾患および障害、ならびに/または上記に列
挙される疾患および障害に関連する状態は、抗PGRP−L抗体を使用して処置
、予防、予後判定および/または診断される。
【0319】 同様に、アレルギー性の反応および状態(例えば、喘息(特に、アレルギー性
喘息))または他の呼吸性の問題はまた、本発明のPGRP−Lポリペプチド、
抗体、またはポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のアゴニストまたはア
ンタゴニストを使用して処置、予防、予後判定および/または診断され得る。さ
らに、これらの分子は、アナフィラキシー、抗原性分子に対する過敏症(hpe
rsensitivity)、または血液型不適合を処置、予防、予後判定およ
び/または診断するために使用され得る。
【0320】 さらに、炎症性状態もまた、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、また
はポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のPGRP−Lアゴニストまたは
アンタゴニスト(例えば、抗PGRP−L抗体)を用いて、処置、診断、予防、
および/または予後判定され得る。このような炎症性状態としては、例えば以下
が挙げられるがこれらに限定されない:呼吸障害(例えば、喘息およびアレルギ
ー);胃腸の障害(例えば、炎症性腸疾患);癌(例えば、胃癌、卵巣癌、肺癌
、膀胱癌、肝臓癌および乳癌);CNS障害(例えば、多発性硬化症、血液脳関
門透過性、虚血性脳傷害および/または発作、外傷性脳傷害、神経変性傷害(例
えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病)、AIDS関連痴呆、およびプ
リオン疾患);心臓血管障害(例えば、アテローム硬化症、心筋炎、心臓血管疾
患、および心肺バイパス合併症);ならびに、炎症(例えば、慢性肝炎(Bおよ
びC)、慢性間接リウマチ、痛風、外傷、敗血症性ショック、膵炎、サルコイド
ーシス、皮膚炎、腎臓虚血再灌流障害、グレーヴス病、全身性エリテマトーデス
、真性糖尿病(すなわち、1型糖尿病)、および同種異系の移植拒絶)によって
特徴付けられる多くのさらなる疾患、状態、および障害。
【0321】 特定の実施形態において、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体またはポ
リヌクレオチド、および/あるいはそれらのアゴニストまたはアンタゴニストは
、移植拒絶、対宿主性移植片病、自己免疫および炎症性疾患(例えば、免疫複合
体に誘導される脈管炎、糸球体腎炎、溶血性貧血、重症筋無力症、II型コラー
ゲン誘導関節炎、実験的アレルギー性および超急性異種移植片拒絶、慢性間接リ
ウマチ、ならびに全身性エリテマトーデス(SLE)を、処置、診断、予防、お
よび/または予後判定するのに有用である。器官の拒絶は、免疫応答を介して移
植組織の宿主免疫細胞の破壊によって生じる。同様に、免疫応答はまた、GVH
Dに関与するが、しかしこの場合は、外来移植された免疫細胞は、宿主組織を破
壊する。免疫応答(特に、T細胞の活性化、増殖、分化、または走化性)を阻害
する本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド、およ
び/あるいはPGRP−Lポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは、
器官拒絶またはGVHDの予防における有効な治療でありえる。
【0322】 同様に、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド
、および/あるいは本発明のアゴニストまたはアンタゴニストはまた、炎症を調
節、診断または予後判定するために使用され得る。例えば、本発明のPGRP−
Lポリペプチド、抗体またはポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のアゴ
ニストまたはアンタゴニストが、炎症性応答に関与する細胞の活性化、増殖およ
び/または分化を阻害するので、これらの分子は、慢性状態および急性状態の両
方の炎症性状態(感染に関連する炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、ま
たは全身性炎症性応答症候群(SIRS))、虚血再灌流障害、内毒素死亡率、
関節炎、補体媒介超急性拒絶、腎炎、サイトカインまたはケモカインに誘導され
る肺傷害、炎症性腸疾患、クローン病、およびサイトカイン(例えば、TNFま
たはIL−1)の過剰産生によって生じる状態が挙げられるがこれらに限定され
ない)を処置、診断または予後判定するために使用され得る。
【0323】 さらに、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド
、および/あるいは本発明のアゴニストまたはアンタゴニストはまた、うっ血活
性(出血の停止)または血栓崩壊活性(血塊形成)を調節するために使用され得
る。例えば、うっ血活性または血栓崩壊活性を増加することによって、本発明の
PGRP−Lポリペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド、および/あるいは
本発明のアゴニストまたはアンタゴニストは、血液凝固障害(例えば、無線維素
原血症、因子欠損)、血液小板障害(例えば、血小板減少症)、あるいは外傷、
手術、または他の原因から生じる創傷を処置するために使用され得る。あるいは
、うっ血活性または血栓崩壊活性を減少し得る本発明のPGRP−Lポリペプチ
ド、抗体、またはポリヌクレオチド、および/あるいは本発明のアゴニストまた
はアンタゴニストは、心臓発作(梗塞)、発作または瘢痕の処置において重要な
血塊を阻害または溶解するために使用され得る。
【0324】 PGRP−Lポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/あるいはアゴニ
ストまたはアンタゴニストは、感染因子を処置、検出、および/または予防する
ために使用され得る。例えば、免疫応答を増加すること(特に、B細胞および/
またはT細胞の増殖、活性化および/または分化を増加すること)によって、感
染性疾患は、処置、検出、および/または予防され得る。免疫応答は、既存の免
疫応答の増大によってか、または新しい免疫応答の開始によってかのいずれかで
増加され得る。あるいは、PGRP−Lポリペプチド、抗体、ポリペプチドおよ
び/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストはまた、本質的に免疫応答を誘発
することなく、感染因子(感染因子を列挙する適用の節などを参照のこと)を直
接阻害し得る。
【0325】 本発明のさらなる好ましい実施形態としては、以下の適用におけるPGRP−
Lポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/あるいはアゴニストまたはア
ンタゴニストの使用が挙げられるが、これらに限定されない: 免疫系をブーストするため、1以上の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM
およびIgE)の増加した量を産生するため、より高い親和性の抗体産物(例え
ば、IgG、IgA、IgMおよびIgE)を誘導するため、および/または免
疫応答を増大するための、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター
、モルモット、ブタ、ミニブタ(micro pig)、ニワトリ、ラクダ、ヤ
ギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類およびヒト、最も好ましく
はヒト)への投与。
【0326】 機能的な内因性抗体分子を産生することが不可能であるか、または別の易感染
性の内因性免疫系を有するが、別の動物からの再構築または部分的に再構築され
る免疫系の手段により、ヒト免疫グロブリン分子を産生することが可能である動
物(上に列挙される動物を含むが、これらに限定されず、トランスジェニック動
物もまた含む)への投与。(例えば、公開されたPCT出願WO 98/248
93、WO/9634096、WO/9633735、およびWO/91107
41を参照のこと)。
【0327】 特定の抗原に対する免疫応答性を増大するワクチンアジュバント。
【0328】 腫瘍特異的免疫応答を増大するためのアジュバント。
【0329】 抗ウイルス免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発
明の組成物を使用して増大され得る抗ウイルス免疫応答は、ウイルスおよび本明
細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連
するウイルスを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、ウイルス、
疾患、または症状(これは、AIDS、髄膜炎、デング熱、EBV、および肝炎
(例えば、B型肝炎)からなる群から選択される)に対する免疫応答を増大する
ためのアジュバントとして使用される。別の特定の実施形態において、本発明の
組成物は、ウイルス、疾患、または症状(これは、HIV/AIDS、RSウイ
ルス、デング熱、ロタウイルス、日本脳炎、インフルエンザAおよびB、パライ
ンフルエンザ、麻疹、サイトメガロウイルス、狂犬病、ジュニン(Junin)
、チクングニヤ、リフトバレー熱、単純疱疹、および黄熱病からなる群から選択
される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0330】 抗細菌免疫応答または抗真菌免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュ
バントとして本発明の組成物を使用して増大され得る抗細菌免疫応答または抗真
菌免疫応答としては、細菌または真菌、および本明細書中に記載されるか、また
はさもなくば当該分野で公知の疾患または症状に関連する細菌または真菌が挙げ
られる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌または真菌、疾患、
または症状(これは、破傷風、ジフテリア、ボツリスム、およびB型髄膜炎から
なる群から選択される)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして
使用される。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、細菌または
真菌、疾患、または症状(これは、Vibrio cholerae、Myco
bacterium leprae、Salmonella typhi、Sa
lmonella paratyphi、Meisseria meningi
tidis、Streptococcus pneumoniae、Group
B streptococcus、Shigella spp.、Enter
otoxigenic Escherichia coli、Enterohe
morrhagic E.coli、Borrelia burgdorfer
i、およびPlasmodium(マラリア)からなる群から選択される)に対
する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0331】 抗寄生生物免疫応答を増大するためのアジュバント。アジュバントとして本発
明の組成物を使用して増大され得る抗寄生生物免疫応答としては、寄生生物、お
よび本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の疾患または症
状に関連する寄生生物が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の組成物
は、寄生生物に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される
。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、Plasmodium(マ
ラリア)に対する免疫応答を増大するためのアジュバントとして使用される。
【0332】 病原に対するB細胞応答性の刺激物質として。
【0333】 T細胞のアクチベーターとして。
【0334】 免疫抑制性治療を受ける前の、個体の免疫状態を増大させる薬剤として。
【0335】 より高い親和性抗体を誘導するための薬剤として。
【0336】 血清免疫グロブリン濃度を増加するための薬剤として。
【0337】 免疫無防備状態の個体の回復を促進するための薬剤として。
【0338】 高齢の集団の間の免疫応答性をブーストするための薬剤として。
【0339】 骨髄移植および/または他の移植(例えば、同種異系または外因性の器官移植
)の前、間、または後の免疫系エンハンサーとして。移植に関して、本発明の組
成物は、移植の前、同時、および/または後に投与され得る。特定の実施形態に
おいて、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回復の開始前に投与される
。別の特定の実施形態において、本発明の組成物は、移植の後、T細胞集団の回
復の開始後であるが、B細胞集団の完全な回復の前に最初に投与される。
【0340】 B細胞および/またはT細胞免疫不全個体の間の免疫応答性をブーストするた
めの薬剤として。本発明のPGRP−Lポリペプチド(例えば、目的のPGRP
−Lポリペプチドを含むPGRP−L−Fc融合タンパク質、およびアゴニスト
抗PGRP−L抗体またはアンタゴニスト抗PGRP−L抗体)、またはポリヌ
クレオチド、あるいはそれらのアンタゴニストまたはアゴニストの投与によって
回復または処置され得るT細胞欠損としては、例えば、ディジョージ奇形、胸腺
発育不全、第3および第4咽頭嚢症候群、22q11.2欠損、慢性粘膜皮膚カ
ンジダ症、ナチュラルキラー細胞欠損(NK)、特発性CD4+ Tリンパ球減
少、顕著なT細胞欠損を伴う免疫欠損(不特定)、および細胞媒介免疫の不特定
の免疫欠損が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、デ
ィジョージ奇形またはディジョージ奇形に関連する状態は、本発明のPGRP−
Lポリペプチド(例えば、目的のPGRP−Lポリペプチドを含むPGRP−L
−Fc融合タンパク質、およびアゴニスト抗PGRP−L抗体またはアンタゴニ
スト抗PGRP−L抗体)またはポリヌクレオチド、あるいはそれらのアンタゴ
ニストまたはアゴニストの投与によって回復または処置される。
【0341】 本発明のPGRP−Lポリペプチド(例えば、目的のPGRP−Lポリペプチ
ドを含むPGRP−L−Fc融合タンパク質、およびアゴニスト性またはアンタ
ゴニスト性抗PGRP−L抗体)またはPGRP−Lポリヌクレオチド、あるい
はそれらのアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによって寛解または
処置され得る他の免疫不全症としては、重症複合型免疫不全(SCID;例えば
、X連鎖SCID、常染色体SCID、およびアデノシンデアミナーゼ不全症)
、毛細血管拡張性運動失調、ヴィスコット−オールドリッチ症候群、短肢性(s
hort−limber)小人症、X連鎖リンパ球増多症症候群(XLP)、ネ
ゼロフ症候群(例えば、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ不全症)、MHCク
ラスII不全症が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態におい
て、毛細血管拡張性運動失調または毛細血管拡張性運動失調に関連する状態が、
本発明のPGRP−Lポリペプチド(例えば、目的のPGRP−Lポリペプチド
を含むPGRP−L−Fc融合タンパク質、およびアゴニスト性またはアンタゴ
ニスト性抗PGRP−L抗体)またはPGRP−Lポリヌクレオチド、あるいは
それらのアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによって寛解または処
置され得る。
【0342】 B細胞機能の後天的欠損を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬
剤として。PGRP−Lポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/または
それらのアゴニストもしくはアンタゴニストを投与することによって寛解または
処置され得る、B細胞機能の後天的欠損を生じる状態としては、HIV感染、A
IDS、骨髄移植、およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0343】 一時的な免疫不全を有する個体間で免疫応答性をブーストするための薬剤とし
て。PGRP−Lポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチドおよび/またはそれら
のアゴニストもしくはアンタゴニストを投与することによって寛解または処置さ
れ得る、一時的な免疫不全を生じる状態としては、ウイルス感染(例えば、イン
フルエンザ)からの回復、栄養失調に関連する状態、感染性単核細胞症からの回
復、またはストレスに関連する状態、麻疹からの回復、輸血からの回復、手術か
らの回復が挙げられるが、これらに限定されない。
【0344】 単球、樹状細胞および/またはB細胞による抗原提示のレギュレーターとして
。1つの実施形態において、PGRP−L(可溶性形態、膜結合形態または膜貫
通形態)は、インビトロまたはインビボで抗原提示を増強するかまたは抗原提示
をアンタゴナイズする。さらに、関連する実施形態において、この抗原提示の増
強またはアンタゴナイズは、抗腫瘍処置としてかまたは免疫系を調節するために
有用であり得る。
【0345】 個体の免疫系を、TH1細胞性応答とは反対に、体液性応答(すなわち、TH
2)の発生に指向するための薬剤として。
【0346】 腫瘍増殖を誘導し、従って、腫瘍を抗腫瘍性薬剤に対してより感受性にするた
めの手段として。例えば、多発性骨髄腫は、緩慢な細胞***(dividing
)の疾患であり、従って、実質的に全ての抗腫瘍性レジメンに対して不応性であ
る。これらの細胞は、より迅速に増殖させた場合、これらの感受性プロフィール
は、おそらく変化するであろう。
【0347】 AIDS、慢性リンパ球障害および/または分類不能性免疫不全症(Comm
on Variable Immunodificiency)のような病理に
おけるB細胞の産生の刺激因子として。
【0348】 手術、外傷または遺伝的欠陥後のリンパ組織の生成および/または再生のため
の治療として。
【0349】 SCID患者の間で観察されるような免疫不全を生じる遺伝性の障害のための
遺伝子ベースの治療として。
【0350】 PGRP−L媒介応答を阻害または増強するための抗体を生成するための抗原
として。
【0351】 T細胞を活性化する手段として。
【0352】 単球に影響を及ぼす寄生生物疾患(リーシュマニア属(Leshmania)
)に対して防御するために単球/マクロファージを活性化する手段として。
【0353】 移植前の骨髄サンプルの前処理として。このような処理は、B細胞提示を増加
し、従って回復を加速する。
【0354】 PGRP−Lポリペプチドによって誘発される分泌サイトカインを調節する手
段として。
【0355】 本発明のPGRP−Lポリペプチドまたはポリヌクレオチド、あるいはアゴニ
ストは、インビトロまたはインビボにおいてIgE濃度を調節するために使用さ
れ得る。
【0356】 さらに、本発明のPGRP−Lポリペプチドまたはポリヌクレオチド、あるい
はそれらのアゴニストは、IgE媒介アレルギー応答を処置または予防するため
に使用され得る。このようなアレルギー反応としては、ぜん息、鼻炎および湿疹
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0357】 上記の適用の全ては、獣医学的医療に適用され得る。
【0358】 PGRP−Lのアンタゴニストとしては、結合および/または阻害性の抗体、
アンチセンス核酸、リボザイムまたは可溶性形態のPGRP−Lレセプター(例
えば、PGRP−L−Fc融合タンパク質)(例えば、実施例9を参照のこと)
が挙げられる。これらは、上記のリガンドの活性の多くを無効にし、そして以下
のような臨床的または実用的な適用を見い出すことが予測される。
【0359】 外来因子または自己に対する種々の局面の免疫応答をブロックする手段として
。例としては、狼瘡および関節炎のような自己免疫障害、ならびに皮膚アレルギ
ー、炎症、腸疾患、損傷および病原体に対する免疫応答が挙げられる。本発明者
らの現在のデータは、B細胞およびT細胞に関連する病理におけるPGRP−L
の潜在的役割を直接的に言及するが、他の細胞型が、発現またはTR2に対する
応答性を獲得し得る可能性も存在する。従って、PGRP−L(CD40および
そのリガンドのような)は、免疫系の状態およびその細胞が局在する微小環境に
よって調節され得る。
【0360】 自己免疫疾患(例えば、特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス
およびMS)に関連するB細胞増殖およびIg分泌を妨げるための治療として。
【0361】 内皮細胞におけるB細胞および/またはT細胞の遊走のインヒビターとして。
この活性は、組織構造または同属の応答を破壊し、そして例えば、免疫応答の破
壊および敗血症のブロックにおいて有用である。
【0362】 対宿主性移植片病または移植片拒絶のインヒビターとして。
【0363】 ALL、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、プラスマ
細胞腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫およびEBV変換性(EBV−tr
ansformed)疾患のようなB細胞および/またはT細胞の悪性疾患のた
めの治療。
【0364】 未定量有意性の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclona
lgammopathy of undetermined signific
ance)(MGUS)、ヴァルデンストレーム疾患、関連する特発性単一クロ
ーン性高ガンマグロブリン血症、およびプラスマ細胞腫のような疾患における、
慢性の高ガンマグロブリン血症事象のための治療。
【0365】 ラージB細胞リンパ腫の細胞増殖を減少するための治療。
【0366】 慢性骨髄性白血病に関連するB細胞およびIgの関与を減少する手段。
【0367】 免疫抑制剤。
【0368】 本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体またはポリヌクレオチド、ならびに
/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストは、インビトロまたはインビボでの
IgE濃度を調節するために使用され得る。
【0369】 別の実施形態において、本発明のPGRP−Lポリペプチド、抗体またはポリ
ヌクレオチドならびに/あるいはアゴニストまたはアンタゴニストの投与は、ぜ
ん息、鼻炎および湿疹を含むがこれらに限定されない、IgE媒介アレルギー反
応を処置または予防するために使用され得る。
【0370】 PGRP−Lポリペプチド誘導性B細胞活性化に関連した、ERK1、COX
2およびサイクリンD2を含むシグナル経路のインヒビター。
【0371】 アゴニストおよびアンタゴニストは、例えば、上記のような、薬学的に受容可
能なキャリアを含む組成物において使用され得る。
【0372】 アンタゴニストは、例えば、特定の自己免疫疾患および慢性炎症疾患および感
染性疾患における、マクロファージおよびその前駆体、ならびに好中球、好塩基
球、Bリンパ球およびいくつかのT細胞サブセット(例えば、活性化T細胞およ
びCD8細胞傷害性T細胞ならびにナチュラルキラー細胞)の、PGRP−Lポ
リペプチド走化性および活性化を阻害するために使用され得る。自己免疫疾患の
例としては、多発性硬化症およびインスリン依存性糖尿病が挙げられる。アンタ
ゴニストはまた、単核食細胞の漸増および活性化を妨げることによって、珪肺症
、サルコイドーシス、特発性肺線維症を含む、感染性疾患を処置するために使用
され得る。これらはまた、好酸球の産生および遊走を妨げることによって、特発
性好酸球増多症候群を処置するために使用され得る。内毒素性ショックはまた、
マクロファージの遊走およびそれらの本発明のPGRP−Lポリペプチドの産生
を妨げることによって、アンタゴニストによって、処置され得る。アンタゴニス
トはまた、動脈壁における単球浸潤を妨げることによって、アテローム性動脈硬
化症を処置するために使用され得る。アンタゴニストはまた、ケモカイン誘導性
の肥満細胞および好塩基球の脱顆粒ならびにヒスタミンの放出を阻害することに
よって、ヒスタミン媒介性のアレルギー反応および免疫学的障害(後期アレルギ
ー反応、慢性じんま疹およびアトピー性皮膚炎を含む)を処置するために使用さ
れ得る。IgE媒介性アレルギー反応(例えば、アレルギー性のぜん息、鼻炎お
よび湿疹)もまた処置され得る。アンタゴニストはまた、創傷領域への単球の誘
引を妨げることによって、慢性炎症および急性炎症を処置するために使用され得
る。これらはまた、正常な肺マクロファージ集団を調節するために使用され得る
。なぜなら、慢性および急性の炎症性肺疾患は、肺における単核食細胞の隔離(
sequestration)に関与するからである。アゴニストはまた、患者
の関節における滑液への単球の誘引を妨げることによって、慢性関節リウマチを
処置するために使用され得る。単球の流入および活性化は、変性および炎症性の
両方の関節症の病理において有意な役割を果たす。アンタゴニストはまた、IL
−1およびTNFに主に起因する有害なカスケードを干渉するために使用され得
、これは、他の炎症性サイトカインの合成を妨げる。このようにして、アンタゴ
ニストは、炎症を予防するために使用され得る。アンタゴニストはまた、PGR
P−Lポリペプチドによって誘導されるプロスタグランジン非依存性の発熱を阻
害するために使用され得る。アンタゴニストはまた、骨髄不全(例えば、再生不
良性貧血および骨髄異形成症候群)を処置するために使用され得る。アンタゴニ
ストはまた、肺における好酸球の蓄積を妨げることによって、ぜん息およびアレ
ルギーを処置するために使用され得る。アンタゴニストはまた、ぜん息性の肺の
顕著な特徴である、上皮下基底膜線維症を処置するために使用され得る。
【0373】 PGRP−Lポリペプチドに対する抗体は、損傷後の肺への好中球の浸潤を妨
げることによって、PGRP−Lに結合しそしてPGRP−L活性を阻害してA
RDSを処置するために使用され得る。本発明のアンタゴニストは、本明細書中
以下に記載されるような、薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物中で使用さ
れ得る。
【0374】 本発明のアゴニストおよびアンタゴニストはまた、創傷および組織の修復の刺
激、新脈管形成の刺激、血管またはリンパの疾患または障害の修復の刺激におけ
る用途を有する。さらに、本発明のアゴニストおよびアンタゴニストは、粘膜表
面の再生を刺激するために使用され得る。
【0375】 さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGR
P−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト
はまた、うっ血活性(出血の停止)または血栓崩壊活性(血塊形成)を調節する
ために使用され得る。例えば、うっ血活性または血管崩壊活性を増加することに
よって、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGRP
−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは
、血液凝固障害(例えば、無線維素原血症、因子欠損症(factor def
iciencies))、血小板障害(例えば、血小板減少症)、あるいは外傷
、手術または他の場合から生じる創傷を処置するために使用され得る。あるいは
、うっ血活性または血管崩壊活性を減少し得る、PGRP−Lポリヌクレオチド
またはポリペプチド、あるいはPGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドのアゴニストまたはアンタゴニストは、凝固を阻止または溶解するために使用
され得、これは、心臓麻痺(梗塞形成)、発作、または瘢痕の処置に重要である
【0376】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはPGRP−Lポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストはまた、
自己免疫障害の処置または検出に有用であり得る。多くの自己免疫障害は、免疫
細胞による、自己物質の外来物質としての不適切な認識から生じる。この不適切
な認識は、宿主組織の崩壊を導く免疫応答を生じる。従って、免疫応答(特に、
T細胞の増殖、分化または走化性)を阻害し得る、PGRP−Lポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチド、あるいはPGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのアゴニストまたはアンタゴニストの投与は、自己免疫障害の予防における
効果的な治療であり得る。
【0377】 別の実施形態において、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペ
プチドあるいはPGRP−Lアンタゴニスト(例えば、抗PGRP−L抗体)は
、分類不能性免疫不全症(Common Variable Immunodi
ficiency)(「CVID」;「後天性無ガンマグロブリン血症」および
「後天性低ガンマグロブリン血症」としても公知である)またはこの疾患のサブ
セットを有する個体を、処置、診断および/または予後判定するために使用され
得る。この実施形態に従って、CVIDを有する個体またはCVIDのサブセッ
トを有する個体は、CVIDを有さない個体と比較した場合に、それらのT細胞
上に異常なレベルのPGRP−Lレセプターを発現する。本明細書中で記載され
るかまたは当該分野で公知の任意の手段は、本発明のPGRP−Lレセプターポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドを検出するために(例えば、本発明のPGR
P−LポリペプチドのFACS検出またはELISA検出、および本発明のPG
RP−LポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションまたはPCR検出)、およ
び少なくともB細胞またはその成分(例えば、RNA)を含むサンプルと比較し
た場合の少なくともT細胞またはそのいくらかの成分(例えば、RNA)を含む
サンプルにおける、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド
の発現プロフィールを差次的に決定するために、適用され得る。少なくともT細
胞またはそのいくらかの成分(例えば、RNA)を含むサンプルが、PGRP−
Lポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を反映すると決定され、そして少
なくともB細胞またはその成分(例えば、RNA)を含むサンプルが、PGRP
−Lレセプターポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現の正常未満のレベル
を反映すると決定される例において、これらのサンプルは、CVID(すなわち
、「後天性無ガンマグロブリン血症」および「後天性低ガンマグロブリン血症」
)の発症と相関され得る。
【0378】 CVIDを罹患している人々の被験体は、CVIDを有さない個体で観察され
るレベルと比較した、末梢または循環中のT細胞における両方のPGRP−Lポ
リペプチドの高いレベルの発現によって特徴付けられ得る。対照的に、CVID
を罹患していない人々は、代表的に、低レベルのPGRP−Lポリペプチド発現
によって特徴付けられ得る。従って、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドお
よび/またはポリペプチド、ならびに/あるいはそれらのアゴニストまたはアン
タゴニストは、CVIDのこのサブセットの差次的診断において、本発明の方法
に従って使用され得る。例えば、CVIDを罹患していると疑われる人(「被験
体」)から得た末梢T細胞のサンプルが、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチ
ドおよび/またはポリペプチドの相対的な発現レベルについて分析され得る。次
いで、本発明のこれらの分子の1以上の発現レベルが、CVIDを罹患していな
いことが既知の人(「コントロール」)において発現される本発明の同分子の発
現レベルと比較され得る。被験体とコントロールから得られたサンプル間の、本
発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、ならびに/
あるいはそれらのアゴニストおよび/またはアンタゴニストの発現レベルにおけ
る有意な差異は、この被験体がCVIDのこのサブセットを罹患していることを
示唆する。
【0379】 特定の実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド
、あるいはそれらのアゴニスト(例えば、抗PGRP−L抗体)は、欠損性の血
清免疫グロブリン産生、再発性の感染および/または免疫機能不全によって特徴
付けられる障害を処置または予防するために使用される。さらに、PGRP−L
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、あるいはそれらのアゴニスト(例えば、
抗PGRP−L抗体)は、関節、骨、皮膚および/または耳下腺の感染、血液由
来の感染(例えば、敗血症、髄膜炎、敗血症性関節炎および/または骨髄炎)、
自己免疫疾患(例えば、本明細書中に開示されるような自己免疫疾患)、炎症性
障害、および悪性疾患、ならびに/あるいはこれらの感染、疾患および/または
悪性疾患に関連する任意の疾患または障害または状態(CVID、他の原発性免
疫不全、HIV疾患、CLL、再発性気管支炎、静脈洞炎、中耳炎、結膜炎、肺
炎、肝炎、髄膜炎、帯状ヘルペス(例えば、重篤な帯状ヘルペス)および/また
はニューモシスティスを含むが、これらに限定されない)を処置または予防する
ために使用され得る。
【0380】 別の実施形態において、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリ
ペプチドまたはPGRP−Lアンタゴニスト(例えば、抗PGRP−L抗体)は
、自己免疫疾患または障害を有する個体を処置、診断または予知するために用い
られる。この実施形態に従って、自己免疫疾患または障害を有する個体は、自己
免疫疾患または障害を有さない個体と比較した場合、異常に高レベルのPGRP
−Lを発現する。本明細書中に記載の任意の手段または当該分野で公知の他の方
法は、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを検出する
ため(例えば、本発明のPGRP−LポリペプチドのFACS分析もしくはEL
ISA検出および本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドのハイブリダイゼーシ
ョンもしくはPCR検出)および生物学的サンプル中の本発明のPGRP−Lポ
リヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現プロフィールを決定するため
に適用され得る。
【0381】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、あるいはPGRP−L
のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは
、1以上の生物学的活性について試験するためにアッセイにおいて使用され得る
。PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、あるいはPGRP−L
ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストが特
定のアッセイにおいて活性を示す場合、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくは
ポリペプチドは、この生物学的活性に関連した疾患に関与し得るようである。従
って、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、この関連した疾
患を処置するために用いられ得る。
【0382】 特定の実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチ
ド、あるいはPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニスト
またはアンタゴニストは、急性骨髄性白血病を処置、診断、予防、および/また
は予知するために使用され得る。好ましい実施形態において、本明細書中に記載
されるように、毒素または放射化性同位体に結合体化されたPGRP−Lポリヌ
クレオチドもしくはポリペプチド、あるいはPGRP−Lポリヌクレオチドもし
くはポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストは、急性骨髄性白血病を処
置、診断、予防、および/または予知するために用いられ得る。さらに好ましい
実施形態において、本明細書中に記載されるように、毒素または放射活性同位体
に結合体化されたPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、あるい
はPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニストまたはアン
タゴニストは、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、および
/またはホジキン病を処置、診断、予防、および/または予知するために用いら
れ得る。
【0383】 別の特定の実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペ
プチド、またはPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニス
トもしくはアンタゴニストを使用して、T細胞の欠損を処置、診断、予後、およ
び/または予防し得る。T細胞の欠損としては、例えば、DiGeorge奇形
、胸腺発育不全、第3および第4咽頭嚢症候群、22q11.2欠損、慢性皮膚
粘膜カンジダ症、ナチュラルキラー細胞の欠損(NK)、特発性CD4+ Tリ
ンパ球減少、優性T細胞欠損(非特異的)を伴う免疫欠損、および細胞媒介免疫
の非特異的免疫欠失が挙げられるが、これらに限定されない。
【0384】 別の特異的実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペ
プチド、またはPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニス
トもしくはアンタゴニストを使用して、選択的IgA欠損、ミエロペルオキシダ
ーゼ欠損、C2欠損、毛細管拡張性運動失調、DiGeorge奇形、分類不能
型免疫不全(CVI)、X連鎖無ガンマグロブリン血、重症複合免疫不全(SC
ID)、慢性肉芽腫症(CGD)、およびWiskott−Aldrich症候
群を処置、診断、予後、および/または予防する。
【0385】 処置または検出され得る自己免疫障害の例としては、アディソン病、溶血性貧
血、抗リン脂質症候群、慢性関節リウマチ、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸
球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴズ病、多発性硬化症、重症筋無力
症、神経炎、眼炎痛、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多発性内分泌腺症、紫斑病、ラ
イター病、スティッフマン症候群、自己免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデ
ス、自己免疫性の肺の炎症、ギヤン−バレー症候群、インスリン依存性糖尿病、
および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
【0386】 本発明の組成物を用いて処置、予防、および予後され得るさらなる自己免疫疾
患(これは、非常に可能性がある)は、自己免疫性甲状腺炎(すなわち、橋本甲
状腺炎)(しばしば、例えば、細胞媒体および体液チーズ様細胞傷害によって特
徴付けられる)、全身性エリテマトーデス(しばしば、例えば、循環および局所
的に産生された免疫複合体によって特徴付けられる)、グッドパスチャー症候群
(しばしば、例えば、抗−基底膜抗体によって特徴付けられる)、天疱瘡(しば
しば、例えば、表皮棘融解抗体によって特徴付けられる)、レセプター自己免疫
(例えば、(a)グレーヴズ病(しばしば、例えば、TSHレセプター抗体によ
って特徴付けられる)、(b)重症筋無力症(しばしば、例えば、アセチルコリ
ンレセプター抗体によって特徴付けられる)、および(c)インスリン抵抗性(
しばしば、例えば、インスリンレセプター抗体によって特徴付けられる))、自
己免疫性溶血性貧血(しばしば、例えば、抗体感作RBCの貪食作用によって特
徴付けられる)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(しばしば、例えば、抗体感作
血小板によって特徴付けられる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0387】 (おそらく)本発明の組成物により処置、予防および/または診断され得るさ
らなる自己免疫障害としては、慢性関節リウマチ(例えば、関節における免疫複
合体により、しばしば特徴付けられる)、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症(例え
ば、核小体抗体および他の核抗体により、しばしば特徴付けられる)、混合結合
組織病(例えば、抽出可能な核抗原(例えば、リボ核タンパク)に対する抗体に
より、しばしば特徴付けられる)、多発性筋炎(例えば、非ヒストンANAによ
り、しばしば特徴付けられる)、悪性貧血(例えば、抗壁細胞抗体、抗ミクロソ
ーム抗体、および抗内因子抗体により、しばしば特徴付けられる)、続発性アデ
ィソン病(例えば、体液媒介性副腎細胞傷害性および細胞媒介性副腎細胞傷害性
により、しばしば特徴づけらる)、不妊症(例えば、抗***抗体により、しばし
ば特徴付けられる)、糸球体腎炎(例えば、糸球体基底膜抗体もしくは免疫複合
体により、しばしば特徴付けられる)、水泡性類天疱瘡(例えば、基底膜におけ
るIgGおよび補体により、しばしば特徴付けられる)、シェーグレン症候群(
例えば、複数の組織抗体および/または特定の非ヒストンANA(SS−B)に
より、しばしば特徴付けられる)、真性糖尿病(例えば、細胞媒介性島細胞抗体
および体液性島細胞抗体により、しばしば特徴付けられる)、ならびにアドレナ
リン作用薬耐性(喘息または襄胞性線維症を伴うアドレナリン作用薬耐性を含む
)(例えば、β−アドレナリン作用性レセプター抗体により、しばしば特徴付け
られる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0388】 (おそらく)本発明の組成物により処置、予防および/または診断され得るさ
らなる自己免疫障害としては、活動性慢性肝炎(例えば、平滑筋抗体により、し
ばしば特徴付けられる)、原発性胆汁性肝硬変(例えば、ミトコンドリア抗体に
より、しばしば特徴付けられる)、他の内分泌線不全(例えば、いくつかの場合
において特定の組織抗体によって、しばしば特徴付けられる)、白斑(例えば、
メラノサイト抗体により、しばしば特徴付けられる)、脈管炎(例えば、血管壁
におけるIgGおよび補体、ならびに/または低血清補体により、しばしば特徴
付けられる)、心筋梗塞後症候群(post−MI)(例えば、心筋抗体により
、しばしば特徴付けられる)、心臓切開症候群(例えば、心筋抗体により、しば
しば特徴付けられる)、じんま疹(例えば、IgEに対するIgG抗体およびI
gM抗体により、しばしば特徴付けられる)、アトピー性皮膚炎(IgEに対す
るIgG抗体およびIgM抗体により、しばしば特徴付けられる)、喘息(例え
ば、IgEに対するIgG抗体およびIgM抗体により、しばしば特徴付けられ
る)、ならびに他の炎症障害、肉芽腫性障害、変性障害および萎縮性障害が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0389】 好ましい実施形態において、上記の疾患および障害に関連する、自己免疫疾患
および自己免疫障害および/または自己免疫状態は、本発明のPGRP−L抗体
および/または抗PGRP−L抗体および/または可溶性PGRP−Lポリペプ
チドを使用して、処置、予防および/または診断される。
【0390】 同様に、ぜん息(特にアレルギー性ぜん息)または他の呼吸の問題のような、
アレルギー反応およびアレルギー状態もまた、PGRP−Lポリヌクレオチドも
しくはポリペプチド、またはPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチ
ドのアゴニストもしくはアンタゴニストにより処置され得る。さらに、これらの
分子を使用し、抗原性分子に対するアナフィラキシー、過敏症または血液型不適
合性を処置し得る。
【0391】 特定の実施形態において、本発明のPGRP−L抗体、および/または抗PG
RP−L抗体、および/または可溶性PGRP−Lポリペプチドは、自己免疫性
疾患および炎症性疾患である、移植拒絶、対宿主性移植片病、自己免疫および炎
症性疾患(例えば、免疫複合体誘導血管炎、糸球体腎炎、溶血性貧血、重症筋無
力症、II型コラーゲン誘導動脈炎、実験アレルギー性および超急性異種移植変
拒絶、慢性関節リウマチ、および全身性エリテマトーデス(SLE)を処置、診
断、予防および/または予測するのに有用である。
【0392】 さらに、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、また
はPGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニストもしくはア
ンタゴニスト(例えば、抗PGRP−L抗体)をまた用いて、炎症状態を処置、
診断、予防および/または予測し得る。このような炎症性状態としては、以下が
挙げられるがこれらに限定されない:例えば、呼吸器障害(例えば、喘息および
アレルギーなど);胃腸障害(例えば、炎症性腸疾患など);癌(例えば、胃癌
、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、肝臓癌、および乳癌など);CNS障害(例えば、多
発性硬化症、血液脳関門透過性、虚血性脳損傷、および/または脳梗塞、外傷性
脳損傷、神経変性性障害(例えば、パーキンソン病およびアルツハイマー病など
)、AIDS関連痴呆、およびプリオン病);心血管障害(例えば、アテローム
性動脈硬化症、心筋炎、心血管疾患、および心肺バイパス合併症など);ならび
に炎症によって特徴付けられる多くのさらなる疾患、状態、および障害(例えば
、慢性肝炎(BおよびC)、慢性関節リウマチ、痛風、外傷、敗血性ショック、
膵炎、サルコイドーシス、皮膚炎、腎虚血再還流障害、グレーヴス病、全身性エ
リテマトーデス、真性糖尿病(例えば、I型糖尿病)、および同種異系移植拒絶
など)。
【0393】 PRGP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPRGP−Lポ
リヌクレオチドもしくはポリペプチドのアゴニストもしくはアンタゴニストはま
た、器官拒絶または対宿主性移植片病(GVHD)の処置および/または予防に
有用であり得る。器官拒絶は、免疫反応による、移植された組織の宿主免疫細胞
破壊によって生じる。同様に、免疫反応はまた、GVHDに関するが、この場合
、外来の移植された免疫細胞が、宿主組織を破壊する。PRGP−Lポリヌクレ
オチドもしくはポリペプチド、またはPRGP−Lポリヌクレオチドもしくはポ
リペプチドのアゴニストもしくはアンタゴニスト(免疫応答、特にT細胞の増殖
、分化、または走化性を阻害する)の投与は、器官拒絶またはGVHDを予防す
るのに有効な治療であり得る。
【0394】 同様に、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニ
ストもしくはアンタゴニストをもまた使用し、炎症を調節し得る。例えば、PG
RP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはア
ンタゴニストは、炎症応答に関与する細胞の増殖および分化を阻害し得る。これ
らの分子を使用して、感染に関連する炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症
、または全身炎症応答症候群(SIRS))、虚血再灌流傷害に関連する炎症、
内毒素致死に関連する炎症、関節炎に関連する炎症、補体媒介性超急性拒絶に関
連する炎症、腎炎に関連する炎症、サイトカインまたはケモカインが誘導する肺
傷害に関連する炎症、炎症性腸疾患に関連する炎症、クローン病に関連する炎症
またはサイトカイン(例えば、TNFまたはIL−1)の過剰生成から生じる炎
症を含む、慢性および急性の両方の状態の炎症状態を処置し得る。
【0395】 特定の実施形態において、本発明の組成物は、寄生生物に対する免疫応答を増
強するためのアジュバントとして使用される。別の特定の実施形態において、本
発明の組成物は、Plasmodium(マラリア)に対する免疫応答を増強す
るためのアジュバントとして使用される。
【0396】 病原体に対するB細胞応答性の刺激物質として。
【0397】 免疫抑制治療の受容前の、個体の免疫状態を上昇させる薬剤として。
【0398】 より高い親和性抗体を誘導するための薬剤として。
【0399】 血清免疫グロブリン濃度を増加させる薬剤として。
【0400】 免疫無防備状態の個体の回復を加増させるための薬剤として。
【0401】 老齢集団の間で免疫応答性をブーストするための薬剤として。
【0402】 骨髄移植および/または他の移植(例えば、同種異系または異種器官の移植)
の前、その間、またはその後の免疫系エンハンサーとして。移植に関して、本発
明の組成物は、移植の前に、移植における夾雑物、および/または移植後に、投
与され得る。特定の実施形態において、本発明の組成物は、移植後、T細胞集団
の回復の開始の前に、投与される。別の特定に実施形態において、本発明の組成
物は、T細胞集団の回復の開始の後であるが、B細胞集団の完全な回復の前に、
最初に投与される。
【0403】 B細胞免疫欠損の個体(例えば、部分的または完全な脾摘出を受けた個体)間
の免疫応答性をブーストするための薬剤として。PGRP−Lポリヌクレオチド
もしくはポリペプチド、またはそのアゴニストを投与することによって、回復ま
たは処置され得るB細胞免疫欠損としては、以下が挙げられるが、これらの限定
されない:重度の複合型免疫欠損(SCID)−X連鎖、SCID常染色体の、
アデノシンデアミナーゼ欠損(ADA欠損)、X連鎖無ガンマグロブリン血症(
XLA)、ブルートン病(Bruton’s disease)、先天性無ガン
マグロブリン血症、X連鎖乳児無ガンマグロブリン血症、後天性無ガンマグロブ
リン血症、成体開始無ガンマグロブリン血症、遅発性無ガンマグロブリン血症、
異常ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブリン血症、新生児期の一過性の低ガ
ンマグロブリン血症、不特定の低ガンマグロブリン血症、無ガンマグロブリン血
症、分類不能型免疫不全(CVI)(後天性)、ヴィスコット‐オールドリッチ
症候群(WAS)、IgM上昇を伴うX連鎖免疫不全(X-linked im
munodeficiency with hyper IgM)、IgM上昇
を伴う非X連鎖免疫不全、選択的IgA欠損、IgGサブクラス欠損(IgA欠
損を伴うか、または伴わない)、通常または上昇したIgsを伴う抗体欠損、胸
腺腫を伴う免疫欠損、Lg重鎖欠失、κ鎖欠損、B細胞リンパ増殖性障害(BL
PD)、選択性IgM免疫欠損、劣性無ガンマグロブリン血症(スイス型)、網
状発育不全、新生児.好中球減少症、重度の先天性白血球減少症、免疫欠損を伴
う胸腺リンパ形成不全症−発育不全または形成異常、毛細血管拡張性運動失調、
短四肢化小人症、X連鎖リンパ増殖性症候群(XLP)、Igsを伴うネゼロフ
症候群−複合型免疫欠損、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損(PNP)、
MHCクラスII欠損(不全リンパ球症候群)および重度の複合型免疫欠損。
【0404】 (抗新脈管形成活性) 新脈管形成の内因性の、刺激因子とインヒビターとの間の天然に存在する平衡
は、阻害影響が優勢である平衡である。Rastinejadら、Cell 5
6:345〜355(1989)。新生血管形成が正常な生理学的条件下におい
て生じるまれな場合(例えば、創傷治癒、器官再生、胚発生、および雌性生殖プ
ロセス)において、新脈管形成は、厳密に調節され、そして空間的および時間的
に定められる。病的な新脈管形成の条件(例えば、固形腫瘍増殖を特徴付ける)
の下において、これらの調節の制御はできない。調節されていない新脈管形成は
病的になり、そして多くの新生物性疾患および非新生物性疾患の進行を維持する
。多くの重篤な疾患は、固形腫瘍の増殖および転移、関節炎、いくつかの型の眼
の障害および乾癬を含む、異常な新生血管形成により支配される。例えば、Mo
sesら、Biotech.9:630〜634(1991);Folkman
ら、N.Engl.J.Med.、333:1757〜1763(1995);
Auerbachら、J.Microvasc.Res.29:401〜411
(1985);Folkman、Advances in Cancer Re
search、KleinおよびWeinhouse編、Academic P
ress、New York、175〜203頁(1985);Patz、Am
.J.Opthalmol.94:715〜743(1982);およびFol
kmanら、Science 221:719〜725(1983)による概説
を参照のこと。多くの病的状態において、新脈管形成のプロセスは、その疾患状
態に寄与する。例えば、固形腫瘍の増殖が新脈管形成に依存することを示唆する
有意なデータが蓄積されている。FolkmanおよびKlagsbrun、S
cience 235:442〜447(1987)。
【0405】 本発明は、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチ
ド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストの投与による新生
血管形成に関連する疾患または障害の処置を提供する。本発明のポリヌクレオチ
ドおよびポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置
し得る悪性状態および転移性状態には、本明細書に記載の悪性疾患、固形腫瘍、
および癌、ならびに当該分野で公知の他のもの(このような障害の総説について
は、Fishmanら、Medicine、第2版、J.B.Lippinco
tt Co.,Philadelphia(1985)を参照のこと)が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0406】 本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよびポリペプチド(PGRP−Lア
ゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)を用いて処置され得る新生血管
形成に関連する眼疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後線維増殖症、ブドウ
膜炎、未熟児黄斑変性の網膜症、角膜移植新生血管形成、および脈絡膜新生血管
形成または虹彩新生血管形成に関連する他の眼炎症性疾患、眼腫瘍または疾患。
例えば、Waltmanら、Am.J.Ophthal.85:704−710
(1978)およびGartnarら、Surv.Ophthal.22:29
1−312(1978)。さらに、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよ
びポリペプチド(PGRP−Lアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む
)を用いて処置され得る障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定され
ない:血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム性動脈硬化症性プラーク
、遅延した創傷治癒、顆粒化、血友病性関節、過形成性瘢痕、偽関節骨折、オー
スラー−ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマおよび脈管接着
【0407】 さらに、本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよびポリペプチド(PGR
P−Lアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む)を用いて処置され得る
障害および/または状態は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固形
腫瘍、白血病のような血液発生腫瘍、腫瘍転移、カポージ肉腫、良性腫瘍(例え
ば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫)、慢性
関節リウマチ、乾癬、眼の脈管形成疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜
症、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖、ルベオーシ
ス、網膜芽細胞腫、ブドウ膜炎(uvietis)および遅延型創傷治癒、子宮
内膜症、脈管形成、顆粒化、過形成性瘢痕(ケロイド)、偽関節骨折、強皮症、
トラコーマ、血管接着、心筋の新脈管形成、冠状側副枝(coronary c
ollaterals)、大脳側副枝、動静脈奇形、虚血性四肢新脈管形成、オ
ースラー−ウェーバー(Osler−Webber)症候群、プラーク新生血管
形成、毛細血管拡張症、血友病性関節、血管線維腫、線維筋性形成異常、創傷顆
粒化、クローン病、アテローム性動脈硬化症、胚着床制御月経に必要とされる血
管新生を防ぐことによる産児制限剤、病的結果としての新脈管形成を有する疾患
(例えば、ネコ引っ掻き病(Rochele minalia quintos
a)、潰瘍(Helicobactor pylori)、バルトネラ症および
細菌性血管腫症状)。
【0408】 (創傷治癒および上皮細胞増殖) 本発明のなおさらなる局面に従って、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくは
ポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストを、
治療目的のため、例えば、創傷治癒の目的のために上皮細胞増殖および基底ケラ
チノサイトを刺激するため、ならびに毛包産生および皮膚創傷の治癒を刺激する
ために、利用するためのプロセスが提供される。PGRP−Lポリヌクレオチド
またはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニスト
は、以下を含む創傷治癒を刺激することにおいて臨床的に有用であり得る:外科
的創傷、切除の創傷、深い創傷(真皮および表皮の損傷を含む)、眼組織の創傷
、歯の組織の創傷、口腔の創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚の潰瘍、肘の潰瘍、動脈性
の潰瘍、静脈うっ滞潰瘍、熱への曝露または化学物質による熱傷、および他の異
常な創傷治癒状態(例えば、***、栄養失調、ビタミン欠乏、ならびにステロ
イド、放射能療法および抗腫瘍性薬物および代謝拮抗物質を用いる全身性処置に
関連する合併症。PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならび
にPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは、皮膚の欠失後の皮膚の
回復を促進するために使用され得る。
【0409】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにPGRP−L
のアゴニストもしくはアンタゴニストは、創傷床(wound bed)への皮
膚移植片の付着を増大するため、および創傷床からの再上皮形成を刺激するため
に使用され得る。以下は、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、
PGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストが創傷床への付着を増大するた
めに使用され得る、移植片の型である:自家移植片、人工皮膚、同種移植片(a
llograft)、自己植皮片、自己表皮移植片(autoepdermic
graft)、無血管性(avacular)移植片、ブレア−ブラウン移植
片、骨移植片、胚胎組織移植片、真皮移植片、遅延移植片、皮膚移植片、表皮移
植片、筋膜移植片、全層皮膚移植片、異種移植片(heterologous
graft)、異種移植片(xenograft)、同種移植片(homolo
gous graft)、増殖性移植片、層板状の移植片、網状移植片、粘膜移
植片、オリエ−ティールシュ移植片、大網移植片(omenpal graft
)、パッチの移植片、茎状移植片、全層移植片(penetrating gr
aft)、分層植皮片、分層皮膚移植片。PGRP−Lポリヌクレオチドもしく
はポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは
、皮膚の強度を助長するため、および高齢の皮膚の外見を改善するために使用さ
れ得る。
【0410】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにPGRP−L
のアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、肝細胞増殖、および肺、***、膵
臓、胃、小腸(small intesting)、および大腸における上皮細
胞増殖における変化を生じると考えられる。PGRP−Lポリヌクレオチドもし
くはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニスト
は、上皮細胞(例えば、皮脂細胞(sebocyte)、毛包、肝実質細胞、肺
胞上皮細胞II型(type II pneumocyte)、ムチン産生杯細
胞、および他の上皮細胞、ならびに皮膚、肺、肝臓、および胃腸管内に含まれる
それらの先祖)の増殖を促進し得る。PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポ
リペプチド、PGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは、内皮細胞、
ケラチノサイト、および基底ケラチノサイトの増殖を促進し得る。
【0411】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストはまた、照射、化学療法処置またはウイルス感
染から生じる腸の毒性の副作用を低減するために使用され得る。PGRP−Lポ
リヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたは
アンタゴニストは、小腸粘膜に対する細胞保護的な効果を有し得る。PGRP−
Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストま
たはアンタゴニストはまた、化学療法およびウイルス感染から生じる粘膜炎(m
ucositis)(口潰瘍)の治癒を刺激し得る。
【0412】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストは、熱傷を含む、完全なおよび部分的な厚さの
皮膚欠損における皮膚の十分な再生(すなわち、毛包、汗腺、および皮脂腺の再
増殖)、乾癬のような他の皮膚欠損の処置においてさらに使用され得る。PGR
P−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニス
トまたはアンタゴニストは、表皮水疱症、これらの損傷の再上皮形成を促進する
ことによる頻繁な開放性かつ疼痛性の水疱を生じる内在的な真皮への表皮の接着
における欠損を処置するために使用され得る。PGRP−Lポリヌクレオチドま
たはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは
また、胃潰瘍および十二指腸潰瘍を処置し、そして粘膜の内層の瘢痕形成ならび
により迅速な腺の粘膜および十二指腸の粘膜の内層の再生による治癒を助けるた
めに使用され得る。炎症性腸疾患(例えば、クーロン病および潰瘍性大腸結腸炎
)は、それぞれ、小腸または大腸の粘膜表面の崩壊を生じる疾患である。従って
、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストは、粘膜表面の再表面化(resulfaci
ng)を促進して、より迅速な治癒を助けるため、および炎症性腸疾患の進行を
予防するために、使用され得る。PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプ
チド、PGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストを用いる処置は、胃腸管
全体の粘膜の産生に対して有意な効果を有することが予測され、そして腸粘膜を
、摂取されたかまたは外科手術後の有害な物質から保護するために使用され得る
。PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストは、PGRP−Lの発現減少(under e
xpression)に関連する疾患を処置するために使用され得る。
【0413】 さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGR
P−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは、種々の病的状態に起因する肺への
損傷を予防および治癒するために使用され得る。PGRP−Lポリヌクレオチド
またはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニスト
のような増殖因子は、急性または慢性の肺損傷を予防または処置するために、増
殖および分化を刺激し得、そして肺胞および気管支(brochiolar)上
皮の修復を促進し得る。例えば、気管支上皮および肺胞(aveoli)の壊死
を生じる、気腫(これは、肺胞の進行性の損失を生じる)および吸入損傷(すな
わち、煙の吸入および熱傷から生じる)は、PGRP−Lポリヌクレオチドまた
はポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストを使
用して効果的に処置され得る。また、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリ
ペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは、肺胞上
皮細胞II型の増殖および分化を刺激するために使用され得、これは、未熟な乳
児における硝子膜疾患(例えば、乳児呼吸窮迫症候群および気管支肺異形成症)
のような疾患を処置または予防することを助け得る。
【0414】 PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lの
アゴニストまたはアンタゴニストは、肝細胞の増殖および分化を刺激し得、そし
て従って、肝臓疾患および病状(例えば、肝硬変により生じる劇症肝不全、肝炎
ウイルスおよび毒性物質(すなわち、アセトアミノフェン、四塩化炭素(car
bon tetraholoride)、および他の当該分野で公知の肝臓毒素
)により生じる肝臓損傷)を緩和または処置するために使用され得る。
【0415】 さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびにPGR
P−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは、真性糖尿病の発症を処置または予
防するために使用され得る。新たにI型糖尿病およびII型糖尿病と診断された
患者において、いくつかの島細胞機能が残っている場合、PGRP−Lポリヌク
レオチドまたはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタ
ゴニストは、その疾患の持続性の発現を緩和、遅延または予防するように、その
島機能を維持するために使用され得る。また、PGRP−Lポリヌクレオチドま
たはポリペプチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストまたはアンタゴニストは
、島細胞機能を改善または促進するための島細胞移植における補助として使用さ
れ得る。 (再生) PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにPGRP−L
のアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて、細胞を分化させ、増殖させ、そ
して誘引して、組織の再生を導き得る(Science 276:59−87(
1997)を参照のこと)。組織の再生を用いて、先天性欠損、外傷(創傷、熱
傷、切開、または潰瘍)、加齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関節炎(os
teocarthritis)、歯周病、肝不全)、美容形成手術を含む手術、
線維症、再灌流傷害、もしくは全身性サイトカイン損傷により損傷を受けた組織
を修復、置換、または保護し得る。
【0416】 本発明を用いて再生し得る組織としては、以下が挙げられる:器官(例えば、
膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋、または心筋)、
血管系(血管およびリンパ管を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱
、および靭帯)の組織。好ましくは、再生は、瘢痕なく、または瘢痕が低減され
て生じる。再生はまた、新脈管形成を含み得る。
【0417】 さらに、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、ならびにPG
RP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストは、治癒するのが困難な組織の再
生を増加させ得る。例えば、腱/靭帯の再生を増大させることによって、損傷後
の回復時間が早まる。本発明の、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペ
プチド、ならびにPGRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストはまた、損
傷を回避する試みにおいて予防的に使用され得る。処置され得る特定の疾患は、
腱炎、手根管症候群、および他の腱欠損または靭帯欠損を含む。非治癒創傷の組
織再生のさらなる例としては、褥瘡性潰瘍、脈管不全、外科的創傷、および外傷
性創傷に関連する潰瘍が挙げられる。
【0418】 同様に、神経および脳組織はまた、神経細胞を増殖および分化させるためにP
GRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lのアゴ
ニストもしくはアンタゴニストを使用することによって再生され得る。本方法を
用いて処置され得る疾患としては、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患、神経
障害、または機械的および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳血管疾
患、および発作(stoke))が挙げられる。詳細には、末梢神経傷害と関連
する疾患、末梢神経障害(例えば、化学療法または他の医学的療法から生じる)
、局在神経障害、および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキン
ソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候
群)はすべて、PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはP
GRP−Lのアゴニストもしくはアンタゴニストを用いて処置され得る。
【0419】 (走化性) PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、
細胞(例えば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮細
胞および/または内皮細胞)を、身体中の特定の部位(例えば、炎症、感染、ま
たは過剰増殖の部位)に誘引または動員する。次いで、動員された細胞は、特定
の外傷または異常性を撃退および/または治癒し得る。
【0420】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストは、特定の細胞の走化性活性を増大し得る。
次いで、これらの走化性分子を使用して、身体中の特定の位置に標的化した細胞
の数を増加させることによって、炎症、感染、過剰増殖性障害、または任意の免
疫系障害を処置し得る。例えば、走化性分子を使用して、傷害を受けた位置に免
疫細胞を誘引することによって、組織に対する創傷および他の外傷を処置し得る
。走化性分子として、PGRP−Lは、線維芽細胞を誘引し得、これは創傷を処
置するために使用され得る。
【0421】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストが走化性活性を阻害し得ることもまた意図さ
れる。これらの分子はまた、障害を処置するために使用され得る。従って、PG
RP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lのアゴニ
ストもしくはアンタゴニストは、走化性のインヒビターとして使用され得る。
【0422】 (結合活性) PGRP−Lポリペプチドは、PGRP−Lに結合する分子、またはPGRP
−Lが結合する分子についてスクリーニングするために使用され得る。PGRP
−Lとこの分子との結合は、結合したPGRP−Lまたは分子の活性を活性化(
アゴニスト)、増大、阻害(アンタゴニスト)、または減少させ得る。そのよう
な分子の例としては、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば、レセプ
ター)、または低分子が挙げられる。
【0423】 好ましくは、この分子は、PGRP−Lの天然のリガンド(例えば、リガンド
のフラグメント)、または天然の基質、リガンド、構造的模倣物、もしくは機能
的模倣物に密接に関連する(Coliganら、Current Protoc
ols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参照の
こと)。同様に、この分子は、PGRP−Lが結合する天然のレセプター、また
は少なくとも、PGRP−Lによって結合され得るレセプターのフラグメント(
例えば、活性部位)に密接に関連し得る。いずれの場合においても、この分子は
、公知の技術を用いて合理的に設計され得る。
【0424】 好ましくは、これらの分子についてのスクリーニングは、分泌タンパク質とし
て、または細胞膜上にのいずれかで、PGRP−Lを発現する適切な細胞を産生
する工程を包含する。好ましい細胞としては、哺乳動物、酵母、Drosoph
ila、またはE.coli由来の細胞が挙げられる。次いで、PGRP−Lを
発現する細胞(または、発現されたポリペプチドを含む細胞膜)を、好ましくは
、PGRP−Lまたはこの分子のいずれかの結合、活性の刺激、または活性の阻
害を観察するための分子を潜在的に含む試験化合物と接触させる。
【0425】 アッセイはPGRP−Lへの候補化合物の結合を単純に試験し得、ここで結合
は、標識によって、または標識された競合物との競合に関するアッセイにおいて
検出される。さらに、アッセイは、候補化合物がPGRP−Lへの結合によって
生成されるシグナルを生じるか否かを試験し得る。
【0426】 あるいは、アッセイは、無細胞調製物、固体支持体に接着されたポリペプチド
/分子、化学ライブラリー、または天然産物の混合物を用いて実施され得る。ア
ッセイはまた、候補化合物を、PGRP−Lを含む溶液と混合する工程、PGR
P−L/分子の活性または結合を測定する工程、およびPGRP−L/分子の活
性または結合を、標準と比較する工程を単純に包含し得る。
【0427】 好ましくは、ELISAアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を用いて、サンプル(例えば、生物学的サンプル)におけるPGRP−L
のレベルまたは活性を測定し得る。抗体は、PGRP−Lへの直接的もしくは間
接的のいずれかの結合、または基質についてのPGRP−Lとの競合によって、
PGRP−Lのレベルまたは活性を測定し得る。
【0428】 さらに、PGRP−Lが結合するレセプターは、当業者に公知の多くの方法(
例えば、リガンドパニングおよびFACSソーティング(Coliganら、C
urrent Protocols in Immun.,1(2)、第5章(
1991))によって同定され得る。例えば、発現クローニングは、ポリアデニ
ル化RNAがこのポリペプチドに応答する細胞(例えば、NIH3T3細胞(こ
れは、FGFファミリータンパク質に対する複数のレセプターを含むことが公知
である)、およびSC−3細胞)から調製される場合に用いられ、そしてこのR
NAから作製されたcDNAライブラリーは、プールに分けられ、そしてこのポ
リペプチドに応答性でないCOS細胞または他の細胞をトランスフェクトするた
めに使用される。ガラススライド上で増殖しているトランスフェクトされた細胞
は、それらを標識化した後に、本発明のポリペプチドに曝露される。このポリペ
プチドは、種々の手段(部位特異的プロテインキナーゼに対する認識部位のヨウ
素化または封入を含む)によって標識化され得る。
【0429】 固定化およびインキュベーション後、スライドは、オートラジオグラフィー分
析に供される。陽性プールを同定し、そしてサブプールを、反復性のサププール
化および再スクリーニングプロセスを使用して調製および再びトランスフェクト
して、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを得る。
【0430】 レセプター同定のための代替のアプローチとして、標識ポリペプチドは、レセ
プター分子を発現する調製物を、細胞膜と光親和性に連結し得るか、または抽出
し得る。架橋された材料は、PAGE分析によって分離され、そしてX線フィル
ムに曝露される。ポリペプチドのレセプターを含む標識複合体が切り出され得、
ペプチドフラグメントへと分離され得、そしてタンパク質微小配列決定に供され
得る。微小配列決定から得られるアミノ酸配列を使用して、1組の縮重オリゴヌ
クレオチドプローブを設計してcDNAライブラリーをスクリーニングし、推定
レセプターをコードする遺伝子を同定する。
【0431】 さらに、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフ
リング、および/またはコドンシャッフリングの技術(集合的に「DNAシャッ
フリング」という)を利用して、PGRP−Lの活性を調節し得、それによって
PGRP−Lのアゴニストおよびアンタゴニストを効果的に生成する。一般に、
米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830
,721号、同第5,834,252号、および同第5,837,458号、な
らびにPatten,P.A.ら、Curr.Opinion Biotech
nol.8:724〜33(1997);Harayama,S.Trends
Biotechnol.16(2):76〜82(1998);Hansso
n,L.O.ら、J.Mol.Biol.287:265〜76(1999);
ならびにLorenzo,M.M.およびBlasco,R.Biotechn
iques 24(2):308〜13(1998)(これらの特許および刊行
物の各々は、本明細書において参考として援用される)を参照のこと。1つの実
施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドの
変更は、DNAシャッフリングによって達成され得る。DNAシャッフリングは
、相同組換えまたは部位特異的な組換えによる、2つ以上のDNAセグメントの
、所望のPGRP−L分子へのアセンブリを含む。別の実施形態において、PG
RP−Lポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドは、組換えの前に、誤り
がちな(error−prone)PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他
の方法によるランダム変異誘発に供することによって、変更され得る。別の実施
形態において、PGRP−Lの1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイ
ン、フラグメントなどは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切
片、部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えられ得る。好ましい実施形態に
おいて、この異種分子は、PGRP−Lファミリーのメンバーである。さらに好
ましい実施形態において、この異種分子は、例えば、血小板由来増殖因子(PD
GF)、インスリン様増殖因子(IGF−I)、トランスホーミング増殖因子(
TGF)−α、表皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TG
F−β、骨形態形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、BMP−5、BM
P−6、BMP−7、アクチビンAおよびアクチビンB、デカペンタプレジック
(decapentaplegic)(dpp)、60A、OP−2、ドーサリ
ン(dorsalin)、増殖分化因子(GDF)、結節(nodal)、MI
S、インヒビン−α、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β
5、および神経膠由来神経栄養因子(GDNF)のような増殖因子である。
【0432】 他の好ましいフラグメントは、生物学的に活性なPGRP−Lフラグメントで
ある。生物学的に活性なフラグメントは、PGRP−Lの活性に類似の活性を示
すが、必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラグメントの生物学的
活性は、改善された所望の活性、または減少した所望されない活性を含み得る。
【0433】 さらに、本発明は、本発明のポリペプチドの作用を調節する化合物を同定する
ために化合物をスクリーニングする方法を提供する。このようなアッセイの例は
、哺乳動物線維芽細胞、本発明のポリペプチド、スクリーニングされるべき化合
物および3[H]チミジンを、線維芽細胞が通常増殖する細胞培養条件下で組み合
わせる工程を包含する。コントロールアッセイは、スクリーニングされるべき化
合物の非存在下で実施され得、そしてこの化合物の存在下での線維芽細胞の増殖
の量と比較して、各々の場合における3[H]チミジンの取り込みの決定によって
、この化合物が増殖を刺激するか否かを決定し得る。線維芽細胞の増殖の量は、 3 [H]チミジンの取り込みを測定する液体シンチレーションクロマトグラフィー
によって測定される。アゴニスト化合物およびアンタゴニスト化合物の両方が、
この手順により同定され得る。
【0434】 別の方法において、本発明のポリペプチドに対するレセプターを発現する哺乳
動物細胞または膜調製物は、この化合物の存在下において標識化した本発明のポ
リペプチドとともにインキュベートされる。次いで、この化合物がこの相互作用
を増強またはブロックする能力が、測定され得る。あるいは、スクリーニングさ
れるべき化合物の相互作用に従う既知のセカンドメッセンジャー系の応答および
PGRP−Lレセプターが測定され、そしてこの化合物がこのレセプターに結合
し、そしてセカンドメッセンジャー応答を誘発する能力を測定して、この化合物
が潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定する。このよう
なセカンドメッセンジャー系には、cAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャ
ネルまたはホスホイノシチド加水分解が挙げられるが、これらに限定されない。
【0435】 これらの上記のアッセイの全ては、診断マーカーまたは予後マーカーとして使
用され得る。これらのアッセイを用いて発見される分子は、PGRP−L/分子
を活性化または阻害することによって、疾患を処置するか、または患者における
特定の結果(例えば、血管増殖)をもたらすために使用され得る。さらに、アッ
セイは、適切に操作された細胞または組織からのPGRP−Lの産生を阻害また
は増強し得る因子を発見し得る。
【0436】 従って、本発明は、以下の工程を含む本発明のポリペプチドに結合する化合物
を同定する方法を包含する:(a)候補結合化合物をPGRP−Lとともにイン
キュベートする工程;および(b)結合が生じたか否かを決定する工程。さらに
、本発明は、以下の工程を含むアゴニスト/アンタゴニストを同定する方法を包
含する:(a)候補化合物をPGRP−Lとともにインキュベートする工程、(
b)生物学的活性をアッセイする工程、および(b)PGRP−Lの生物学的活
性が改変されているか否かを決定する工程。
【0437】 (アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)) 特定の実施形態において、本発明に従うアンタゴニストは、配列番号1に含ま
れる配列もしくはその相補鎖に対応する核酸、および/または寄託されたクロー
ンHPJEV37に含まれるヌクレオチド配列である。1つの実施形態において
、アンチセンス配列は、生物体により内部で生成され、別の実施形態において、
アンチセンス配列は、別々に投与される(例えば、O’Connor,J.,N
eurochem.56:560(1991)を参照のこと)。Oligode
oxynucleotides as Antisense Inhibito
rs of Gene Expression,CRC Press,Boca
Raton,FL(1988)。アンチセンス技術を使用して、アンチセンス
DNAもしくはRNAを通してか、または3重らせんの形成を通して遺伝子発現
を制御し得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neuroch
em.56:560(1991);Oligodeoxynucleotide
s as Antisense Inhibitors of Gene Ex
pression,CRC Press,Boca Raton,FL(198
8)で議論される。3重らせん形成は、例えば、Leeら、Nucleic A
cids Research 6:3073(1979);Cooneyら、S
cience 241:456(1988);およびDervanら、Scie
nce、251:1300(1991)において議論される。これらの方法は、
相補的なDNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。
【0438】 例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部
分を使用して、約10〜40塩基対長のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチド
を設計し得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相
補的であるように設計され、それにより転写およびレセプターの産生を阻害する
。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダ
イズし、そしてmRNA分子のレセプターポリペプチドへの翻訳をブロックする
【0439】 1つの実施形態において、本発明のPGRP−Lアンチセンス核酸は、外来の
配列からの転写により細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部が
転写され、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。このようなベクタ
ーは、PGRP−Lアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベク
ターは、それが転写されて所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソ
ームのベクターのままであるか、または染色体に組込まれ得る。このようなベク
ターは、当該分野において標準的な組換えDNA技術方法により構築され得る。
ベクターは、脊椎動物細胞において複製および発現のために使用される、当該分
野で公知のプラスミド、ウイルスなどであり得る。PGRP−Lをコードする配
列またはそのフラグメントの発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作
用する、当該分野で公知の任意のプロモーターにより得る。そのようなプロモー
ターは、誘導性または構成的であり得る。このようなプロモーターとしては、S
V40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、Nat
ure、29:304−310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末
端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell、22:787
−797(1980))、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagnerら、P
roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445
(1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、N
ature、296:39−42(1982))などが挙げられるが、これらに
限定されない。
【0440】 本発明のアンチセンス核酸は、RGRP−L遺伝子のRNA転写物の少なくと
も一部に相補的な配列を含む。しかし、完全に相補的であることは好ましいが、
必ずしも必要ではない。本明細書中で言及される「少なくともRNAの一部に相
補的な」配列は、RNAとハイブリダイズし得るに十分な相補性を有し、安定な
二重鎖を形成する配列を意味し;従って、二本鎖PGRP−Lアンチセンス核酸
の場合において、二重鎖DNAの一本鎖が試験され得るか、または三重鎖形成が
アッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセン
ス核酸の長さの両方に依存する。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど
、PGRP−L RNAとのより多くの塩基ミスマッチを含み得、これは、安定
な二重鎖(または三重鎖の場合もあり得る)を含み得、そしてなお形成し得る。
当業者は、ハイブリダイズ複合体の融点を決定するために標準的な手順を使用す
ることによりミスマッチの許容の程度を確認し得る。
【0441】 メッセージの5’末端に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、AUG開
始コドンまででかつAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列)は、翻訳の阻害の
際に最も効率的に働くべきである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的
な配列は、同様にmRNAの翻訳を阻害する際に有効であることが示された。一
般的に、Wagner,R.、1994、Nature 372:333−33
5を参照のこと。従って、図1A〜Bに示されるPGRP−Lの5’−もしくは
3’−の非翻訳、非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、内
因性PGRP−L mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスアプローチに使用さ
れ得る。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開
始コドンの相補物を含むべきである。mRNAコード領域に相補的なアンチセン
スオリゴヌクレオチドは、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが、本
発明に従って使用され得る。PGRP−L mRNAの5’領域、3’領域また
はコード領域にハイブリダイズするように設計されるか否かにかかわらず、アン
チセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、そして好まし
くは6〜約50ヌクレオチド長にわたるオリゴヌクレオチドである。特定の局面
において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくと
も17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレ
オチドである。
【0442】 本発明のポリヌクレオチドは、DNA、もしくはRNA、またはキメラ混合物
、あるいはそれらの誘導体もしくは改変バージョン、一本鎖、または二本鎖であ
り得る。このオリゴヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格にお
いて改変され、例えば、分子の安定性、ハイブリダーゼーションなどを改善し得
る。このオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビ
ボで宿主細胞レセプターを標的化するために)、または細胞膜を通した輸送を促
進する因子(例えば、Letsingerら、1989、Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitre
ら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652
;PCT公開番号WO88/09810(1988年12月15日公開)を参照
のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134(
1988年4月25日公開)を参照のこと)、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤(hybridization−triggered cleavage a
gent)(例えば、Krolら、1988,BioTechniques、6
:958−976を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zon
,1988,Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を含み得
る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、
ハイブリダーゼーション誘引架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘引切断
剤など)に結合体化され得る。
【0443】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの改変された塩基部分を
含み得、この塩基部分は、以下を含むがそれらに限定されない群から選択される
:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨー
ドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カル
ボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2
−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシ
ル、β−D−ガラクトシルキューオシン(galactosylqueosin
e)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メ
チルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグ
アニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチ
ルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2
−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシ
メチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニ
ルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybut
oxosine)、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−
メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチル
ウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢
酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カ
ルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン
【0444】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下を含むがそれらに限定されない
群から選択される少なくとも1つの改変された糖部分を含み得る:アラビノース
、2−フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソース。
【0445】 さらなる別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を
含むがそれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの改変されたリン
酸骨格を含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチ
オエート、ホスホロアミデート(phosphoramidate)、ホスホロ
ジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホル
ムアセタール(formacetal)またはそれらのアナログ。
【0446】 さらなる別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、a−ア
ノマーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的
なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、通常のb−ユニットとは反対
に、その鎖は互いに平行にする(Gautierら、1987、Nucl.Ac
ids Res.、15:6625−6641)。このオリゴヌクレオチドは、
2’−O−メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら、1987、Nuc
l.Acids Res.、15:6131−6148)、またはキメラRNA
−DNAアナログである(Inoueら、1987、FEBS Lett.21
5:327−330)。
【0447】 本発明のポリヌクレオチドは当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動D
NA合成機により(このような装置はBiosearch,Applied B
iosystemsなどから市販されている)の使用により)合成され得る。例
えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(198
8、Nucl.Acids Res.16:3209)により合成され得、メチ
ルホスホネートオリゴヌクレオチドは、制御された細孔ガラス(control
led pore glass)ポリマー支持体(Sarinら、1988、P
roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:7448−7451
)の使用などにより調製され得る。
【0448】 PGRP−Lコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが、使用さ
れ得るが、転写された非翻訳領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好
ましい。
【0449】 本発明による潜在的なアンタゴニストはまた、触媒RNA、すなわちリボザイ
ムを含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364、1990年10月4
日公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(19
90)を参照のこと)。一方、部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザ
イムを使用して、PGRP−L mRNAを破壊し得るが、ハンマーヘッド型リ
ボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相
補的な塩基対を形成する隣接領域により決定される位置で、mRNAを切断する
。たった1つの必要条件は、標的mRNAが以下の2つの塩基の配列を有するこ
とである:5’−UG−3’。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および生成は
当該分野で周知であり、そしてHaseloffおよびGerlach、Nat
ure、334:585−591(1988)に、より十分に記載される。PG
RP−Lのヌクレオチド配列内に多くの潜在的なハンマーヘッド型リボザイム切
断部位が存在する(図1A〜B)。好ましくは、このリボザイムは、切断認識部
位がPGRP−L mRNAの5’末端付近に位置するように;すなわち、効率
を増大し、そして非機能的mRNA転写物の細胞内蓄積を最小化するように、操
作される。
【0450】 アンチセンスアプローチの場合、本発明のリボザイムは、改変されたオリゴヌ
クレオチド(例えば、安定性、標的化などについて改良された)から構成され得
、そしてインビボにおいてPGRP−Lを発現する細胞に送達されるべきである
。リボザイムをコードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの
導入のための上記と同じ様式で細胞中に導入され得る。送達の好ましい方法は、
強力な構成的プロモーター(例えば、pol IIIまたはpl IIプロモー
ターのような)の制御下でリボザイムを「コードする」DNA構築物を使用する
ことを含み、その結果、トランスフェクトした細胞は、内因性PGRP−Lメッ
セージを破壊しそして翻訳を阻害するに十分な量のリボザイムを生成する。リボ
ザイムはアンチセンス分子と異なり触媒性であるので、より低い細胞内濃度が効
率のために必要とされる。
【0451】 アンタゴニスト/アゴニスト化合物を利用して、新生物細胞および組織上での
本発明のポリペプチドの細胞増殖(growth)および増殖(prolife
ration)効果を阻害し得る。すなわち、腫瘍の新脈管形成を刺激し、それ
により異常な細胞成長および増殖を(例えば、腫瘍形成または増殖において)遅
延または防止する。
【0452】 アンタゴニスト/アゴニストをまた利用して、本明細書中に記載される疾患を
処置し得る。
【0453】 (他の活性) ヒトPGRP−Lポリペプチドを発現する細胞は、例えば、肝臓組織、および
免疫の組織、ならびに内分泌系を含む感染に対して強力な細胞性応答を有すると
考えられる。
【0454】 従って、特定の疾患および感染(例えば、免疫無防備状態の個体の細菌感染)
;細胞生存、分泌、活性化、移動、分化および増殖の増大または低下に関連する
疾患;肝臓細胞増殖および機能の欠陥、細胞性免疫、免疫不全、および内分泌不
全に関連する疾患;を有する哺乳動物における特定の組織は、相当する「標準的
な」哺乳動物(すなわち、この疾患を有さない同じ種の哺乳動物)と比較して、
有意に変化したレベル(例えば、増大または減少)の、PGRP−Lポリペプチ
ド、およびPGRP−LポリペプチドをコードするmRNAを発現する。肝臓組
織の増殖および/または機能における欠陥に関する疾患としては、例えば、肝細
胞腫、肝芽腫、黄疸、肝炎、肝代謝性疾患および肝細胞前駆細胞の分化に寄与す
る状態が挙げられる。免疫不全および低下した細胞免疫に関連する疾患としては
、細菌感染(例えば、AIDS患者におけるMycobacteriumに起因
する皮膚感染)および皮膚の細菌感染に関連する疾患(例えば、腫脹、蜂巣炎、
丹毒、膿痂疹)が挙げられる。さらに、障害を有さない同じ種の哺乳動物由来の
血清と比較して、PGRP−Lポリペプチドの変更したレベルが、この障害を有
する哺乳動物由来の特定の体液(例えば、リンパ、血清、血漿、尿、および髄液
)中で検出され得ると考えられる。従って本発明は、診断の間に有用な診断方法
を提供する。この方法は、哺乳動物細胞または体液中のPGRP−Lポリペプチ
ドをコードする遺伝子の発現レベルをアッセイする工程、およびこの遺伝子発現
レベルを標準的なPGRP−L発現レベルと比較する工程(これにより、標準を
超える遺伝子発現レベルの上昇および低下は、この疾患を示す)を包含する。
【0455】 「PGRP−Lポリペプチド」をコードする遺伝子の発現レベルをアッセイす
る(こと)」とは、PGRP−LポリペプチドのレベルまたはPGRP−Lポリ
ペプチドをコードするmRNAのレベルを、第1の生物学的サンプルにおいて直
接的(例えば、絶対のポリペプチドレベルまたはmRNAレベルを決定または評
価することによって)または相対的(例えば、第2の生物学的サンプル中のPG
RP−LポリペプチドレベルまたはmRNAレベルに対して比較することによっ
て)のいずれかで定性的または定量的に測定または評価することを意図する。好
ましくは、第1の生物学的サンプル中のPGRP−Lタンパク質レベルまたはm
RNAレベルを測定または評価し、そして標準のPGRP−Lタンパク質レベル
またはmRNAレベルに対して比較し、この標準は、疾患状態を有さない個体か
ら得られる第2の生物学的サンプルから得られる。当該分野で認識されるように
、一旦標準的なPGRP−Lタンパク質レベルまたはmRNAレベルが既知にな
れば、これを、比較のための標準として反復して用い得る。
【0456】 「生物学的サンプル」とは、PGRP−Lタンパク質またはmRNAを含む、
個体、体液、細胞株、組織培養物または他の供給源から得られる任意の生物学的
サンプルを意図する。生物学的サンプルは、哺乳動物の体液(例えば、リンパ、
血清、血漿、尿、滑液および髄液)、および肝臓組織、ならびに他の組織を含む
。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は、当該分野で周知である
。生物学的サンプルがmRNAを含む場合、組織生検が好ましい供給源である。
診断が従来方法に従って既に行われた場合、本発明は、予測指標として有用であ
り、これにより変化したPGRP−L遺伝子発現を表す患者は、正常レベルの遺
伝子を発現する患者に対して、より悪い臨床結果を被る。診断用核酸は、被験体
の生物学的サンプル、例えば、血液、尿、唾液、組織生検、または検体から、当
該分野で公知の技術を用いて、得られ得る。ゲノムDNAは、検出のために直接
用いられ得るか、または分析前に、PCRもしくは他の増幅技術を用いて酵素的
に増幅され得る。RNAまたはcDNAは、類似の様式で用いられ得る。欠失お
よび挿入は、正常表現型に比較した、増幅した産物のサイズの変化により検出さ
れ得る。標識したPGRP−Lヌクレオチド配列に対して増幅したDNAをハイ
ブリダイズすることにより、点変異(ポイントミューテーション)は、同定され
得る。完全適合(パーフェクトマッチ)配列は、RNase消化、または溶融温
度での差によって不適合(ミスマッチ)二重鎖から識別され得る。DNA配列の
差異はまた、ゲル(変性剤あり、またはなしで)中のDNAフラグメントの電気
泳動移動度の変化により、または直接DNA配列決定により、検出され得る(例
えば、Myersら、Science 230:1242(1985))。特定
の位置での配列変化はまた、ヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、RNaseお
よびS1保護または化学切断方法)によって表され得る(Cottonら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397〜4401(19
85)を参照のこと)。別の実施形態において、PGRP−Lポリヌクレオチド
配列またはそのフラグメントを含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを構築
し、例えば、遺伝子変異の有効なスクリーニングを実施し得る。アレイ技術は、
周知であり、そして一般的適合性を有し、そして遺伝子発現、遺伝子結合、およ
び遺伝子多様性を含む分子遺伝学における種々の疑問に取組むために用いられ得
る(例えば、Cheeら、Science 274:610〜613(1996
)を参照のこと)。診断アッセイは、本明細書に記載の方法さもなければ当該分
野で公知の方法による、PGRP−L遺伝子の変異の検出を通じて、特定の疾患
に対する感受性を診断または検出するプロセスを提供する。
【0457】 さらに、被験体由来のサンプルから、PGRP−LのポリペプチドまたはmR
NAの異常に減少または上昇したレベルを決定する工程を含む方法によって、特
定の疾患が診断され得る。減少したまたは上昇した発現は、当該分野で周知の任
意の方法を用いてRNAレベルで測定され得る。この方法としては以下が挙げら
れるがこれらに限定されない:ノーザンブロット分析(Haradaら、Cel
l 63:303〜312(1990))、S1ヌクレアーゼマッピング(Fi
jitaら、Cell 49:357〜367(1987))、RNAse保護
、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応と逆転写の組合せ(
RT−PCR)(Makinoら、Technique 2:295〜301(
1990)、リガーゼ鎖反応と逆転写の組合せ(RT−LCR)および他のハイ
ブリダイゼーション方法。
【0458】 当該分野で公知の任意の技術によって、生物学的サンプル中のPGRP−Lポ
リペプチドのレベルをアッセイし得る。この方法としては、ラジオイムノアッセ
イ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析および酵素結合免疫吸着アッセ
イ(ELISA)ならびに他の抗体ベースの技術が挙げられるがこれらに限定さ
れない。例えば、組織中のPGRP−Lポリペプチド発現は、古典的な免疫組織
学的方法(Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976−9
85(1985);Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3
087−3096(1987))を用いて研究され得る。適切な標識は、当該分
野で公知であり、そして酵素標識(例えば、グルコースオキシダーゼ)、および
放射性同位体(例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)
、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc
))ならびに蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)ならびにビ
オチンが挙げられる。本発明のポリペプチドは、血管内皮細胞増殖を刺激する能
力の結果として、種々の疾患状態(例えば、血栓、動脈硬化症、および他の心血
管状態)に起因して虚血組織の再血管新生化を刺激するための処置に使用され得
る。これらのポリペプチドはまた、上記のように、新脈管形成を刺激するため、
そして再血管新生を切断するために使用され得る。
【0459】 このポリペプチドはまた、損傷、火傷、術後組織修復、および潰瘍に起因する
創傷を処置するために使用され得る。なぜなら、このポリペプチドは、異なる起
源の種々の細胞(例えば、線維芽細胞および骨格筋細胞)に対して***促進的で
あり、従って、障害されたまたは疾患の組織の修復または置換を促進するからで
ある。
【0460】 本発明のポリペプチドはまた、神経成長を刺激するために、そして特定の神経
障害または神経変性性状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、およ
びAIDS関連複合体)で生じる神経損傷を処置および予防するために、用いら
れ得る。PGRP−Lは、軟骨細胞増殖を刺激する能力を有し得、従って、PG
RP−Lは、骨および歯周の再生を強化し、そして組織移植または骨移植片にお
いて補助するために使用され得る。
【0461】 本発明のポリペプチドはまた、ケラチノサイト増殖を刺激することにより、日
焼けに起因する皮膚の加齢を防止するために用いられ得る。
【0462】 PGRP−Lポリペプチドはまた、毛髪の損失を防止するためにも使用され得
る。なぜなら、FGFファミリーメンバーは、毛髪形成細胞を活性化し、そして
メラニン形成細胞増殖を促進するからである。同じ理由で、本発明のポリペプチ
ドを、他のサイトカインと組合せて使用する場合、造血細胞および骨髄細胞の増
殖および分化を刺激し得る。
【0463】 PGRP−Lポリペプチドはまた、移植の前に器官を維持するために、または
初代組織の細胞培養を支持するために、使用され得る。
【0464】 本発明のポリペプチドはまた、初期胚において分化するための中胚葉性起源の
組織を誘導するために使用され得る。
【0465】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストはまた、上記で考察したように、造血系列に
加えて、胚性幹細胞の分化または増殖を増大または減少させ得る。
【0466】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストはまた、哺乳動物の特徴(例えば、身長、体
重、毛髪の色、目の色、皮膚、脂肪組織のパーセンテージ、色素沈着、サイズ、
および形状)を調整するために用いられ得る(例えば、形成手術)。同様に、P
GRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lのアゴ
ニストもしくはアンタゴニストはまた、エネルギーの異化、同化、処理、利用お
よび貯蔵に影響する哺乳動物の代謝を調節するために用いられ得る。
【0467】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストは、バイオリズム、心臓の調律、抑うつ(抑
うつ障害を含む)、暴力傾向、疼痛に対する耐性、生殖能力(好ましくは、アク
チビンまたはインヒビン様活性による)、ホルモンレベルもしくは内分泌レベル
、食欲、リビドー、記憶、ストレス、または他の認知の質に影響することにより
、哺乳動物の精神状態または生理状態を変化するために用いられ得る。
【0468】 PGRP−Lポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはPGRP−Lの
アゴニストもしくはアンタゴニストはまた、食品添加物または保存剤(例えば、
能力、脂肪含量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、補因子ま
たは他の栄養的成分を増大または減少させるため)として用いられ得る。
【0469】 上記の適用は、広範な種々の宿主において用途を有する。このような宿主とし
ては、ヒト、マウス(murine)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウ
マ、マウス(mouse)、ラット、ハムスター、ブタ、ミニブタ、ニワトリ、
ヤギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ヒト以外の霊長類、およびヒトが挙げられる
がこれらに限定されない。特定の実施形態において、宿主は、マウス、ウサギ、
ヤギ、モルモット、ニワトリ、ラット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、イヌ、また
はネコである。好ましい実施形態において、宿主は、哺乳動物である。最も好ま
しい実施形態において、宿主はヒトである。
【0470】 (実施例) (実施例1:PGRP−L cDNAクローンの寄託されたサンプルからの単
離) PGRP−LについてのcDNAを、pCMVSport3のマルチクローニ
ング部位に挿入する。pCMVSport3はアンピシリン耐性遺伝子を含み、
そしてE.coli株DH10B(Life Technologiesから入
手可能である)に形質転換され得る。(例えば、Gruber,C.E.ら、F
ocus 15:59(1993)を参照のこと)。
【0471】 2つのアプローチを使用して、寄託されたサンプルから、PGRP−Lを単離
し得る。第1に、寄託されたクローンを、当業者に公知の技術(例えば、ベクタ
ー供給者によって提供される技術または関連の刊行物もしくは特許において提供
される技術)を用いて、適切な宿主(例えば、XL−1 Blue(Strat
agene))に形質転換する。形質転換体を1.5%寒天プレート(適切な選
択薬剤、例えば、アンピシリンを含む)に、1プレートあたり約150の形質転
換体(コロニー)の密度でプレーティングする。次いで、単一のコロニーを使用
して、当業者に周知の核酸単離技術(例えば、Sambrookら、Molec
ular Cloning:A Laboratory Manual、第2版
、(1989)、Cold Spring Harbor Laborator
y Press)を用いて、DNAを生成する。
【0472】 あるいは、配列番号1の両端(すなわち、クローンの5’NTおよび3’NT
によって囲まれる配列番号1の領域内)に由来する、17〜20ヌクレオチドの
2つのプライマーを合成し、そしてこれらを使用して、寄託されたcDNAプラ
スミドをテンプレートとして使用して、PGRP−L cDNAを増幅する。ポ
リメラーゼ連鎖反応を、慣用の条件下で、例えば、0.5μgの上記cDNAテ
ンプレートとの反応混合物の25μl中で実施する。簡便な反応混合物は、1.
5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、それぞれ20μMの
dATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライマーおよび
0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。35サイクルのPCR(94℃
での変性を1分間;55℃でのアニールを1分間;72℃での伸長を1分間)を
、Perkin−Elmer Cetus自動化サーマルサイクラーを用いて実
施する。増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分析し、そして予想される分
子量のDNAバンドを切り出し、そして精製する。PCR産物を、DNA産物を
サブクローニングおよび配列決定することによって選択された配列であることを
確認する。
【0473】 寄託されたクローンに存在しないかもしれないPGRP−L遺伝子の5’非コ
ード部分または3’非コード部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能で
ある。これらの方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタープロー
ブ探索、特異的プローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である
5’および3’「RACE」プロトコルと類似するかまたは同一のプロトコル。
例えば、5’RACEに類似する方法は、所望の全長転写物の欠けている5’末
端を生成するために利用可能である(Fromont−Racineら、Nuc
leic Acids Res.21(7):1683−1684(1993)
)。
【0474】 簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をお
そらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレ
オチドに特異的なプライマーおよび目的のPGRP−L遺伝子の公知の配列に特
異的なプライマーを含むプライマーセットを使用して、PGRP−L全長遺伝子
の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そし
てこれを使用して全長遺伝子を生成し得る。
【0475】 この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが
、ポリA+RNAを使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスファ
ターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解または損傷RNA
の5’リン酸基を排除し得る。次いで、ホスファターゼを不活化するべきであり
、そしてRNAをメッセンジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除
去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処理するべきである。こ
の反応は、次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドに連
結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸基を残す。
【0476】 この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第
一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を、
連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子
の公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のた
めのテンプレートとして使用する。次いで、得られた生成物を配列決定し、そし
て分析して5’末端配列がPGRP−L遺伝子に属することを確認する。
【0477】 (実施例2:PGRP−Lゲノムクローンの単離) ヒトゲノムP1ライブラリー(Genomic Systems、Inc.)
を、実施例1に記載される方法に従って、配列番号1に対応するcDNA配列に
ついて選択されたプライマーを用いるPCRによってスクリーニングする(Sa
mbrookもまた参照のこと)。
【0478】 (実施例3:PGRP−Lポリペプチドの組織分布) PGRP−L mRNA発現の組織分布を、とりわけ、Sambrookらに
よって記載されるノーザンブロット分析についてのプロトコルを用いて決定する
。例えば、実施例1に記載される方法によって生成されるPGRP−Lプローブ
を、rediprimeTM DNA labeling system(Ame
rsham Life Science)を用いて、製造者の指示に従って、P 32 で標識する。標識後、プローブを、CHROMA SPIN−100TMカラム
(Clontech Laboratories、Inc.)を使用して、製造
者のプロトコル番号PT1200−1に従って精製する。次いで、精製した標識
プローブを使用して、種々のヒト組織をmRNA発現について試験する。
【0479】 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)を含む多重組織ノーザン
(MTN)ブロット(Clontech)を、ExpressHybTMハイブリ
ダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造者のプロトコル番号P
T1190−1に従って、標識プローブで試験する。ハイブリダイゼーションお
よび洗浄後、ブロットをマウントして、そして−70℃で一晩フィルムに露出し
、そしてフィルムを標準的な手順に従って現像する。
【0480】 (実施例4:PGRP−Lの染色体マッピング) オリゴヌクレオチドプライマーのセットを、配列番号1の5’末端の配列に従
って設計する。このプライマーは、好ましくは約100ヌクレオチドにわたる。
次いで、このプライマーセットを、以下のセットの条件下でポリメラーゼ連鎖反
応に使用する:95℃で30秒;56℃で1分;70℃で1分。このサイクルを
32回反復し、次いで1回、70℃で5分間のサイクルを行う。個々の染色体ま
たは染色体フラグメントを含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios,Inc)
に加えて、ヒト、マウス、およびハムスターのDNAを鋳型として使用する。反
応物を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれか
で分析する。染色体マッピングを、特定の体細胞ハイブリッドにおける約100
bpのPCRフラグメントの存在によって決定する。
【0481】 (実施例5:PGRP−Lの細菌性発現) PGRP−LポリペプチドをコードするPGRP−Lポリヌクレオチドを、実
施例1に概説するように、DNA配列の5’および3’末端に対応するPCRオ
リゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅して挿入フラグメントを合成する。
cDNA挿入物を増幅するために使用されるプライマーは、発現ベクターに増幅
産物をクローニングするために、プライマーの5’末端にBamHIおよびXb
aIのような制限部位を好ましくは含むべきである。例えば、BamHIおよび
XbaIは、細菌性発現ベクターpQE−9(Qiagen,Inc.,Cha
tsworth,CA)の制限酵素部位に対応する。このプラスミドベクターは
、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTGで調節可能
なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6
−ヒスチジンタグ(6−His)、および制限酵素クローニング部位をコードす
る。
【0482】 詳細には、細菌ベクター中の図1AのPGRP−Lタンパク質をクローン化す
るために、5’プライマーは、配列番号1中のPGRP−L配列のアミノ末端コ
ード配列の多数のヌクレオチドに続く下線のNdeI制限部位を含む、配列5’
GCAGCACATATGCGCGGCTGGCACTGGGTG 3’(配
列番号15)を有する。当業者はもちろん、5’プライマーが始まるタンパク質
コード配列中の点は、このタンパク質より短い完全PGRP−Lタンパク質の任
意の所望の部分をコードするDNAセグメントを増幅するように変えられ得る。
3’プライマーは、配列番号1のPGRP−L DNAのコード配列の3’末端
に相補的な多数のヌクレオチドに続く下線のAsp718制限部位を含む配列5
’ GCAGCAGGTACCTTAGGAGCTGGGGAAAG 3’(配
列番号16)を有する。
【0483】 pQE−9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、そして、増幅され
たフラグメントを細菌性RBSにおいて開始されるリーディングフレームを維持
しながらpQE−9ベクターに連結する。次いで連結混合物を、lacIリプレ
ッサーを発現し、かつまたカナマイシン耐性(Kanr)を与えるプラスミドp
REP4の多重コピーを含む、E.coli株M15/rep4(Qiagen
,Inc.)を形質転換するために使用する。形質転換体を、それらのLBプレ
ート上で生育する能力によって同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性
コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、そして制限分析によって確認
する。
【0484】 所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)およびKan(
25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(O/N)
増殖させる。O/N培養物を、1:100〜1:250の比で大量培養物に接種
するために使用する。細胞を、0.4と0.6との間の光学密度600(O.D
600)まで増殖させる。次いで、IPTG(イソプロピル−B−D−チオガラ
クトピラノシド)を最終濃度1mMになるように加える。IPTGは、lacI
リプレッサーの不活化により誘導し、P/Oを除去し、遺伝子発現の増加を導く
【0485】 細胞を、さらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離(6000×
gで20分間)によって収集する。細胞ペレットを、カオトロピック剤である6
MグアニジンHCl中に、4℃で3〜4時間攪拌することによって可溶化させる
。細胞細片を遠心分離によって取り除き、そしてポリペプチドを含む上清を、ニ
ッケル−ニトリロ三酢酸(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂カラム(QI
AGEN,Inc.前出より入手可能)にロードする。6×Hisタグを有する
タンパク質は、Ni−NTA樹脂に高い親和性で結合し、そして単純な1工程手
順で精製され得る(詳細には、The QIAexpressionist(1
995)QIAGEN,Inc.,前出を参照のこと)。
【0486】 手短に言えば、上清を、6Mグアニジン−HCl、pH8のカラムにロードし
、このカラムを、最初に10容量の6Mグアニジン−HCl、pH8で洗浄し、
次いで10容量の6Mグアニジン−HCl、pH6で洗浄し、最後にポリペプチ
ドを、6Mグアニジン−HCl、pH5で溶出する。
【0487】 次いで、精製したPGRP−Lタンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PB
S)または50mM 酢酸ナトリウム、pH6の緩衝液および200mM Na
Clに対して透析することにより再生させる。あるいは、PGRP−Lタンパク
質はNi−NTAカラムに固定化している間に、首尾よく再折畳みされ得る。推
奨条件は以下の通りである:プロテアーゼインヒビターを含む、500mM N
aCl、20%グリセロール、20mM Tris/HCl pH7.4中の6
M〜1M尿素の直線勾配を使用する再生。再生は1.5時間以上の時間をかけて
行うべきである。再生後、タンパク質を250mMイミダゾールの添加によって
溶出させる。イミダゾールを、PBSまたは50mM酢酸ナトリウム pH6の
緩衝液および200mM NaClに対する最終の透析工程によって除去する。
精製したPGRP−Lタンパク質を、4℃で保存するか、または−80℃で冷凍
する。
【0488】 上記の発現ベクターに加えて、本発明はさらに、PGRP−Lポリヌクレオチ
ドに作動可能に連結されたファージオペレーターおよびプロモーターエレメント
を含み、pHE4aと呼ばれる発現ベクターを含む(ATCC受託番号2096
45、1998年2月25日に寄託)。このベクターは以下を含む:1)選択マ
ーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)E.col
i複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlacオペレータ
ー配列、5)シャイン−ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペロンリプレ
ッサー遺伝子(laqIq)。複製起点(oriC)は、pUC19(LTI,
Gaithersburg,MD)に由来する。プロモーター配列およびオペレ
ーター配列を合成的に作製する。
【0489】 NdeIおよびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718によっ
てベクターを制限処理し、制限生成物をゲルで泳動し、そしてより大きな方のフ
ラグメント(スタッファー(stuffer)フラグメントは約310塩基対で
あるはずである)を単離することによって、DNAをpHEaに挿入し得る。D
NA挿入物を、NdeI(5’プライマー)およびXbaI、BamHI、Xh
oI、またはAsp718(3’プライマー)に対する制限部位を有するPCR
プライマーを使用して、実施例1に記載のPCRプロトコルに従って生成する。
PCR挿入物を、ゲル精製し、そして適合する酵素で制限処理する。挿入物およ
びベクターを標準的なプロトコルに従って連結する。
【0490】 操作されたベクターは、上記のプロトコルにおいて、細菌系でタンパク質を発
現させるために容易に置換され得る。
【0491】 (実施例6:封入体からのPGRP−Lポリペプチドの精製) 以下の代替方法は、PGRP−Lポリペプチドが封入体の形態で存在する場合
に、E.coli中で発現されたR12ポリペプチドを精製するために使用され
得る。他に指定されない場合には、以下のすべての工程は4〜10℃で行われる
【0492】 E.coli発酵の生産期の完了後、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、そし
て15,000rpmの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)に
よって細胞を採集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予想され
る収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適切
な量(重量による)を、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を含む緩衝溶液に懸濁させる。細胞を、高剪断ミキサーを使用して均質な懸濁
液に分散させる。
【0493】 次いで、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(
Microfluidics,Corp.またはAPV Gaulin,Inc
.)に2回、4000〜6000psiで溶液を通すことによって溶解させる。
次いでホモジネートを、最終濃度0.5M NaClになるようにNaCl溶液
と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離を行う。得られたペレットを
、0.5M NaCl、100mM Tris、50mM EDTA、pH7.
4を使用して再度洗浄する。
【0494】 得られた洗浄した封入体を、1.5M 塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜
4時間可溶化する。7000×gで15分間の遠心分離の後、ペレットを廃棄し
、そしてポリペプチドを含む上清を4℃で一晩インキュベートしてさらなるGu
HCl抽出を可能にする。
【0495】 不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、Gu
HCl可溶化タンパク質を、GuHCl抽出物と、50mM ナトリウム、pH
4.5、150mM NaCl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝液とを
、激しい攪拌で迅速に混合することによって、再折畳みさせる。再折畳みした希
釈タンパク質溶液を、さらなる精製工程の前の12時間、混合しないで4℃で保
つ。
【0496】 再折畳みされたポリペプチド溶液を清澄にするために、40mM酢酸ナトリウ
ム、pH6.0で平衡化した、適切な表面積を有する0.16μmメンブレンフ
ィルターを備えるあらかじめ準備した接線濾過ユニット(例えば、Filtro
n)を使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、Poros
HS−50,Perseptive Biosystems)上にロードする
。カラムを40mM 酢酸ナトリウム、pH6.0で洗浄し、そして同じ緩衝液
中の250mM、500mM、1000mM、および1500mM NaClで
、段階的な様式で溶出する。溶出液の280nmにおける吸光度を連続的にモニ
ターする。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに分析する。
【0497】 次いでPGRP−Lポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量の水と
混合する。次いで希釈されたサンプルを、あらかじめ準備した強アニオン(Po
ros HQ−50,Perseptive Biosystems)交換樹脂
および弱アニオン(Poros CM−20,Perseptive Bios
ystems)交換樹脂の直列カラムのセットにロードする。カラムを40mM
酢酸ナトリウム、pH6.0で平衡化する。両方のカラムを、40mM 酢酸
ナトリウム、pH6.0、200mM NaClで洗浄する。次いでCM−20
カラムを10カラム容量の直線勾配(0.2M NaCl、50mM 酢酸ナト
リウム、pH6.0から1.0M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム、pH
6.5の範囲)を用いて溶出させる。画分を、溶出液の定常A280モニタリング
下で収集する。次いで、(例えば、16% SDS−PAGEによって判明した
)ポリペプチドを含む画分をプールする。
【0498】 得られたPGRP−Lポリペプチドは、上記の再折畳みおよび精製工程の後で
95%より高い純度を示すはずである。5μgの精製タンパク質がロードされる
場合、いかなる主たる混在バンドも、クマシーブルー染色した16% SDS−
PAGEゲルから観察されないはずである。精製PGRP−Lタンパク質はまた
、エンドトキシン/LPS混在について試験され得、そして代表的には、LPS
含量はLALアッセイに従って、0.1ng/ml未満である。
【0499】 (実施例7:バキュロウイルス発現系におけるPGRP−Lのクローニング
および発現) この実施例では、PGRP−Lを発現するために、プラスミドシャトルベクタ
ーpA2を使用してPGRP−Lポリヌクレオチドをバキュロウイルスに挿入す
る。この発現ベクターは、Autographa californica核多
角体病ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてB
amHI、XbaI、およびAsp718のような簡便な制限部位を含む。シミ
アンウイルス40(「SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデ
ニル化のために使用する。組換えウイルスの容易な選択のために、プラスミドは
、同方向にある弱いDrosophilaプロモーターの制御下でE.coli
由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子、続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル
化シグナルを含む。挿入された遺伝子は、両方の側で、クローン化したPGRP
−Lポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイルスを生成するために、野生型
ウイルスDNAとの細胞媒介性の相同組換えのためのウイルス配列と隣接する。
【0500】 他の多くのバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941
、およびpAcIM1)は、当業者が容易に理解するように、構築物が転写、翻
訳、分泌などのために適切に配置されたシグナル(必要とされる場合、シグナル
ペプチドおよびインフレームなAUGを含む)を提供する限りにおいて、上記の
ベクターの代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Lucko
wら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
【0501】 具体的には、寄託されたクローンに含まれるPGRP−L cDNA配列(こ
れは、AUG開始コドンおよび任意の天然に付随するリーダー配列を含む)を、
実施例1に記載されるPCRプロトコルを使用して増幅させる。天然に存在する
シグナル配列を使用して分泌タンパク質を産生する場合、pA2ベクターは第2
のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、ベクターは、Summersら
(「A Manual of Methods for Baculoviru
s Vectors and Insect Cell Culture Pr
ocedures」、Texas Agricultural Experim
ental Station Bulletin No.1555(1987)
)に記載される標準的な方法を用いて改変され、バキュロウイルスリーダー配列
を含ませ得る(pA2 GP)。
【0502】 より詳細には、全長PGRP−Lタンパク質をコードする寄託されたプラスミ
ドにおけるcDNA配列(AUG開始コドンおよび配列番号1に示される天然に
会合したリーダー配列を含む)を、この遺伝子の5’および3’配列に対応する
PCRオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する。5’プライマーは、
以下の配列: 5’ GCAGCAAGGATCCGCCATCCGCGGCTGGCACTG
GGTGGGCGCC 3’(配列番号17) を有し、これは、BamHI制限酵素部位(真核生物細胞における翻訳の開始の
ために有効なシグナル)(Kozak,M.,J.Mol.Biol.196:
947−950(1987))、続いて、図1に示される完全PGRP−Lタン
パク質の配列の多数のヌクレオチド(AUG開始コドンで開始する)を含む。3
’プライマーは、以下の配列: 5’ GCAGCAGGTACCTTAGGAGCTGGGGAAAGGACA
GGCTGG 3’(配列番号18) を有し、これは、KpnI制限部位、続いて図1における3’非コード配列に相
補的な多数のヌクレオチドを含む。
【0503】 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」,BIO
101 Inc.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲ
ルから単離する。次いでフラグメントを適切な制限酵素で消化し、そして再び1
%アガロースゲルで精製する。
【0504】 プラスミドを対応する制限酵素で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公
知の慣用の手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化し得る。
次いでDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 In
c.,La Jolla,Ca)を使用して、1%アガロースゲルから単離する
【0505】 フラグメントおよび脱リン酸化したプラスミドを、T4 DNAリガーゼを用
いて互いに連結する。E.coli HB101またはXL−1 Blue(S
tratagene Cloning Systems,La Jolla,C
a)細胞のような他の適切なE.coli宿主を、連結混合液で形質転換し、そ
して培養プレート上に拡げる。プラスミドを含む細菌を、個々のコロニー由来の
DNAを消化し、そして消化産物をゲル電気泳動によって分析することにより同
定する。クローニングしたフラグメントの配列をDNA配列決定によって確認す
る。
【0506】 このポリヌクレオチドを含む5μgのプラスミドを、Felgnerら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417(19
87)によって記載されたリポフェクション法を使用して、1.0μgの市販の
線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovi
rus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA)ととも
に同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNA
および5μgのプラスミドを、50μlの無血清グレース培地(Life Te
chnologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含む、
マイクロタイタープレートの滅菌したウェル中で混合する。その後、10μlの
リポフェクチンおよび90μlグレース培地を加え、混合し、そして室温で15
分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合液を、無血清グレ
ース培地1mlを加えた35mm組織培養プレートに播種したSf9昆虫細胞(
ATCC CRL 1711)に滴下して加える。次いでプレートを27℃で5
時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をプレートから除
去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加す
る。次いで培養を27℃で4日間継続する。
【0507】 4日後上清を収集し、SummersおよびSmith、前出によって記載さ
れたようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Tec
hnologies Inc.,Gaithersburg)を含むアガロース
ゲルを、galが発現しているクローン(青色に着色したプラークを生ずる)の
容易な同定および単離を可能にするために使用する。(この型の「プラークアッ
セイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.,
Gaithersburgによって配布される、昆虫細胞培養およびバキュロ
ウイルス学のための使用者ガイドの中の9−10頁に見出され得る)。適切なイ
ンキュベーションの後、青色に着色したプラークをマイクロピペッター(例えば
、Eppendorf)のチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を
、200μlのグレース培地を含む微小遠心分離チューブ中で再懸濁させ、そし
て組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を、35mmディッシュに播種したSf
9細胞に感染させるために使用する。4日後、これらの培養ディッシュの上清を
採集し、次いで4℃に貯蔵する。
【0508】 ポリペプチドの発現を確認するために、10%熱非働化FBSを補充したグレ
ース培地中でSf9細胞を増殖させる。細胞を、約2の感染多重度(「MOI」
)で、ポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスで感染させる。放射性標
識したタンパク質を所望する場合には、6時間後に培地を除去し、そしてメチオ
ニンおよびシステインを含まないSF900 II培地(Life Techn
ologies Inc.,Rockville,MDから入手可能)に置き換
える。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35S−システ
イン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに16時間イン
キュベートし、次いで遠心分離によって採集する。上清中のタンパク質および細
胞内タンパク質を、SDS−PAGE、次いで(放射性標識した場合)オートラ
ジオグラフィーによって分析する。
【0509】 精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定法を使用して、産
生されたPGRP−Lタンパク質のアミノ末端配列を決定し得る。
【0510】 (実施例8:哺乳動物細胞におけるPGRP−Lの発現) PGRP−Lポリペプチドを、哺乳動物細胞中で発現させ得る。代表的な哺乳
動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント
、タンパク質コード配列、ならびに転写の終結および転写物のポリアデニル化に
必要なシグナルを含む。さらなるエレメントとしては、エンハンサー、コザック
配列、および、RNAスプライシングのドナー部位およびアクセプター部位に隣
接する介在配列が挙げられる。非常に効率的な転写は、SV40由来の初期およ
び後期プロモーター、レトロウイルス(例えばRSV、HTLVI、HIVI)
由来の長末端反復(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プ
ロモーターを用いて達成される。しかし、細胞エレメント(例えば、ヒトアクチ
ンプロモーター)もまた、使用され得る。
【0511】 本発明を実施する際の使用に適切な発現ベクターとしては、例えば、pSVL
およびpMSG(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pR
SVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 3714
6)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、
ならびにpCMVSport3.0のようなベクターが挙げられる。使用され得
る哺乳動物宿主細胞としては、ヒトHela細胞、293細胞、H9細胞および
Jurkat細胞、マウスNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos 1細
胞、Cos 7細胞およびCV1細胞、ウズラQC1−3細胞、マウスL細胞、
ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0512】 あるいは、PGRP−Lポリペプチドは、染色体に組み込まれたPGRP−L
ポリヌクレオチドを含む、安定な細胞株中で発現され得る。DHFR、gpt、
ネオマイシン、ハイグロマイシンのような選択可能なマーカーを用いる同時トラ
ンスフェクションは、トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にす
る。
【0513】 トランスフェクトされたPGRP−L遺伝子はまた、大量のコードされたタン
パク質を発現するために増幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)マー
カーは、目的の遺伝子の数百または数千さえものコピーを有する細胞株の開発に
有用である。(例えば、Altら、J.Biol.Chem.253:1357
−1370(1978);HamlinおよびMa、Biochem.et B
iophys.Acta、1097:107−143(1990):Pageお
よびSydenham、Biotechnology 9:64−68(199
1)を参照のこと)。別の有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(
GS)である(Murphyら、Biochem J.227:277−279
(1991);Bebbingtonら、Bio/Technology 10
:169−175(1992))。これらのマーカーを使用して、哺乳動物細胞
を選択培地中で増殖させ、そしてもっとも高い耐性を有する細胞を選択する。こ
れらの細胞株は、染色体に組み込まれた、増幅された遺伝子を含む。チャイニー
ズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、タンパク質の産生のためにし
ばしば使用される。
【0514】 プラスミドpSV2−DHFR(ATCC受託番号37146)の誘導体であ
る、発現ベクターpC4(ATCC受託番号209646)およびpC6(AT
CC受託番号209647)は、ラウス肉腫ウイルス(Cullenら、Mol
ecular and Cellular Biology,438−447(
1985年3月))の強力なプロモーター(LTR)、およびCMVエンハンサ
ー(Boshartら、Cell 41:521−530(1985))のフラ
グメントを含む。例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718の制限酵
素切断部位を有するマルチプルクローニングサイトは、PGRP−Lのクローニ
ングを容易にする。ベクターはまた、ラットプレプロインスリン遺伝子の3’イ
ントロン、ポリアデニル化および終結シグナル、ならびに、SV40初期プロモ
ーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。
【0515】 具体的には、プラスミドpC4を、BagHIおよびKpnIによって消化し
、次いで当該分野で公知の手順に従って、仔ウシ腸ホスファターゼ(phosp
hate)を使用して脱リン酸化する。次いで、このベクターを1%アガロース
ゲルから単離する。
【0516】 寄託されたクローンにおけるPGRP−Lタンパク質をコードするcDNA配
列を、この遺伝子の5’および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプ
ライマーを使用して増幅する。5’プライマーは、配列5’GCAGCAAGG ATCC GCCATCCGCGGCTGGCACTGGGTGGGCGCC3’
(配列番号17)を有し、これは、BgHI制限酵素部位(真核生物細胞におけ
る翻訳の開始のために有効なシグナル)(Kozak,M.,J.Mol.Bi
ol.196:947−950(1987))、続いて、図1に示される完全P
GRP−Lタンパク質の配列の多数のヌクレオチド(AUG開始コドンで開始す
る)を含む。3’プライマーは、配列5’GCAGCAGGTACCTTAGG
AGCTGGGGAAAGGACAGGCTGG3’(配列番号18)を有し、
これは、KpnI制限部位、続いて図1における3’非コード配列に相補的な多
数のヌクレオチドを含む。
【0517】 天然に存在するシグナル配列が、分泌タンパク質を産生するために使用される
場合、このベクターは、第二のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天
然に存在するシグナル配列が使用されない場合には、このベクターは、細胞から
タンパク質を分泌させるための異種シグナル配列を含むように改変され得る(例
えば、WO96/34891を参照のこと)。
【0518】 次いで、増幅フラグメントを、BagHIおよびKpnIで消化し、市販のキ
ット(「Geneclean」、BIO 101 Inc.,La Jolla
,Ca.)を使用して1%アガロースゲルから精製する。次いで、単離されたフ
ラグメントおよび脱リン酸化したベクターを、T4 DNAリガーゼで連結する
。次いで、E.coli HB101またはXL−1 Blue細胞を形質転換
し、そしてプラスミドpC4に挿入されたフラグメントを含む細菌を、例えば、
制限酵素分析を用いて同定する。
【0519】 活性なDHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トラン
スフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC4を、リポフェクチン
(Felgnerら、前出)を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoと
ともに同時トランスフェクトする。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マ
ーカーである、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する酵素をコー
ドするTn5由来のneo遺伝子を含む。細胞を、1mg/mlのG418を補
充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し、そして
10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/mlのG
418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプレート(
Greiner,Germany)中に播種する。約10〜14日後、単一のク
ローンをトリプシン処理し、次いでメトトレキサートの異なる濃度(50nM、
100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して、6ウェルのペ
トリ皿または10mlのフラスコに播種する。次いで、メトトレキサートの最高
濃度で増殖するクローンを、さらに高い濃度(1μM、2μM、5μM、10m
M、20mM)のメトトレキサートを含む新たな6ウェルプレートに移す。同じ
手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで繰り返す
。PGRP−Lの発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウエスタンブロット
によって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0520】 (実施例9:N末端および/またはC末端欠失変異体の構築) 以下の一般的なアプローチを使用して、N末端またはC末端欠失PGRP−L
欠失変異体をクローニングし得る。一般には、約15〜25ヌクレオチドの2つ
のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1のポリヌクレオチドの所望の5
’位および3’位に由来する。プライマーの5’位および3’位は、所望のPG
RP−Lポリヌクレオチドフラグメントに基づいて決定される。必要な場合は、
開始コドンおよび終止コドンを5’プライマーおよび3’プライマーにそれぞれ
付加し、ポリヌクレオチドフラグメントによってコードされるPGRP−Lポリ
ペプチドフラグメントを発現する。好ましいPGRP−Lポリヌクレオチドフラ
グメントは、明細書の「ポリヌクレオチドおよびポリペプチドフラグメント」の
節において上記にで開示されるN末端およびC末端欠失変異体をコードするフラ
グメントである。
【0521】 所望のベクターにおけるPGRP−Lポリヌクレオチドフラグメントのクロー
ニングを促進するための制限部位を含むさらなるヌクレオチドもまた、5’およ
び3’プライマー配列に付加され得る。PGRP−Lポリヌクレオチドフラグメ
ントは、本明細書中で議論されるかまたは当該分野において公知の適切なPCR
オリゴヌクレオチドプライマーおよび条件を用いて、ゲノムDNAから、または
寄託されたcDNAクローンから増幅される。本発明のPGRP−Lポリヌクレ
オチドフラグメントによってコードされるPGRP−Lポリペプチドフラグメン
トは、全長ポリペプチドと同じ一般的な様式で発現および精製され得るが、慣用
的な改変が、特定のフラグメントと全長ポリペプチドとの間の化学的特性および
物理的特性における差異に起因して必要であり得る。
【0522】 本発明の限定ではなく例示の手段として、PGRP−Lポリペプチドフラグメ
ントA−35〜S−174をコードするポリヌクレオチドは、以下のように増幅
およびクローニングされる:A−35で開始するポリペプチドフラグメントのN
末端部分をコードするポリヌクレオチド配列をインフレームに、制限酵素部位、
続いて開始コドンを含む5’プライマーを生成する。S−174で終結するPG
RP−LポリペプチドフラグメントのC末端部分をコードするポリヌクレオチド
配列をインフレームに、制限酵素部位、続いて終止コドンを含む相補的3’プラ
イマーを生成する。
【0523】 増幅したポリヌクレオチドフラグメントおよび発現ベクターを、プライマー中
の部位を認識する制限酵素で消化する。次いで、消化したポリヌクレオチドをと
もに連結する。PGRP−Lポリヌクレオチドフラグメントを、制限発現ベクタ
ーに、好ましくはPGRP−Lポリペプチドフラグメントコード領域をプロモー
ターから下流に配置する様式で挿入する。連結混合物を、標準的な手順を用いて
、本明細書中の実施例に記載されるように、コンピテントE.coli細胞に形
質転換する。プラスミドDNAを耐性コロニーから単離し、そしてクローニング
されたDNAのアイデンティティを制限分析、PCRおよびDNA配列決定によ
って確認する。
【0524】 (実施例10:PGRP−Lのタンパク質融合物) PGRP−Lポリぺプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。こ
れらの融合タンパク質は、種々の適用について使用され得る。例えば、PGRP
−Lポリぺプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、
およびマルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(実施例5を参
照のこと;EP A 394,827;Trauneckerら、Nature
331:84−86(1988)もまた参照のこと)。同様に、IgG−1、
IgG−3、およびアルブミンへの融合は、インビボでの半減期を増大させる。
PGRP−Lポリぺプチドに融合した核局在化シグナルは、タンパク質を特定の
細胞内局在に標的化し得る。一方、共有結合ヘテロダイマーまたはホモダイマー
は、融合タンパク質の活性を増大または減少させ得る。融合タンパク質はまた、
1つより多い機能を有するキメラ分子を作製し得る。最後に、融合タンパク質は
、非融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の可溶性および/または安定性
を増大させ得る。上記の融合タンパク質の全ての型は、ポリぺプチドのIgG分
子への融合を概説する以下のプロトコル、または実施例5に記載されるプロトコ
ルを改変することによって作製され得る。
【0525】 簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’および3’
末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマーは
また、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)へのクローニングを
容易にする都合の良い制限酵素部位を有するべきである。
【0526】 例えば、pC4(受託番号第209646号)またはpA2が使用される場合
、ヒトFc部分は、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamH
I部位が破壊されるべきであることに注意のこと。次に、ヒトFc部分を含有す
るベクターが、BamHIによって再び制限され、ベクターを線状化し、そして
実施例1に記載するPCRプロトコルによって単離されたPGRP−Lポリヌク
レオチドが、このBamHI部位に連結される。このポリヌクレオチドは、終止
コドンなしにクローン化され、そうでなければ、融合タンパク質は産生されない
ことに注意すること。
【0527】 天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場
合、pC4は、第二のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在
するシグナル配列が使用されない場合、このベクターは、異種シグナル配列を含
むように改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
【0528】 ヒトIgG Fc領域: GGGATCCGGAGCCCAAATCTTCTGACAAAACTCACA
CATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAATTCGAGGGTG
CACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGG
ACACCCTCATGATCTCCCGGACTCCTGAGGTCACAT
GCGTGGTGGTGGACGTAAGCCACGAAGACCCTGAGG
TCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGC
ATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACA
ACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCC
TGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGT
GCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAACCCCCATCG
AGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAG
AACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATG
AGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGG
TCAAAGGCTTCTATCCAAGCGACATCGCCGTGGAGT
GGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGA
CCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCT
TCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGT
GGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGC
ATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCC
TCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGAGTGCGACGGCCGC
GACTCTAGAGGAT(配列番号5)。
【0529】 (実施例11:抗体の産生) a)ハイブリドーマ技術 本発明の抗体は、種々の方法によって調製され得る。(Current Pr
otocols,第2章を参照のこと)。例えば、本発明のポリペプチドを発現
する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与
される。好ましい方法において、本発明のポリペプチドの調製物が調製され、そ
して精製されて、天然の夾雑物を実質的に含まないようにされる。次いで、より
大きな比活性のポリクローナル抗血清を生成するために、このような調製物は、
動物に導入される。
【0530】 最も好ましい方法において、本発明のポリペプチドに特異的なモノクローナル
抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製され得る(Koehlerら、Na
ture 256:495(1975);Koehlerら、Eur.J.Im
munol.6:511(1976);Koehlerら、Eur.J.Imm
unol.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclo
nal Antibodies and T−Cell Hybridomas
,Elsevier,N.Y.、563−681頁(1981))。一般に、動
物(好ましくは、マウス)を本発明のポリぺプチドで免疫すること、またはより
好ましくは、分泌ポリぺプチド発現細胞で免疫することを含む。このようなポリ
ペプチド発現細胞は、任意の適切な組織培養培地において培養され得る;10%
ウシ胎仔血清(約56℃で非働化した)を補充し、そして約10g/lの非必須
アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのス
トレプトマイシンを補充したEarle改変イーグル培地において細胞を培養す
ることが好ましい。
【0531】 このようなマウスの脾細胞は抽出され、そして適切なミエローマ細胞株と融合
される。任意の適切なミエローマ細胞株は、本発明に従って用いられ得る;しか
し、ATCCから入手可能な親ミエローマ細胞株(SP2O)を用いることが好
ましい。融合後、得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に
維持し、次いでWandsら(Gastroenterology 80:22
5−232(1981))に記載されるように限界希釈によってクローニングす
る。このような選択によって得られるハイブリドーマ細胞は、次いで本発明のポ
リぺプチドに結合し得る抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイされ
る。
【0532】 あるいは、本発明のポリぺプチドに結合し得るさらなる抗体を、抗イディオタ
イプ抗体を使用して2段階工程の手順において生成し得る。このような方法は、
抗体それ自体が抗原であり、それゆえ第二の抗体に結合する抗体を得ることが可
能であるという事実を利用する。この方法に従って、タンパク質特異的抗体を使
用して、動物(好ましくは、マウス)を免疫する。次いで、このような動物の脾
細胞を使用して、ハイブリドーマ細胞を産生する。そして、このハイブリドーマ
細胞は、タンパク質特異的抗体に結合する能力が本発明のポリペプチドによって
ブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定するためにスクリーニングされ
る。このような抗体は、タンパク質特異的抗体に対する抗イディオタイプ抗体を
含み、そして動物を免疫してさらなるタンパク質特異的抗体の形成を誘導するた
めに使用され得る。
【0533】 ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、「ヒト化」キメラモノクローナル
抗体を使用することが好ましくあり得る。このような抗体は、上記のモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝的構築物を使用すること
によって産生され得る。キメラ抗体を産生するための方法は当該分野で公知であ
る(総説については、Morrison,Science 229:1202(
1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);
Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、
EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neuber
gerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 8702671
;Boulianneら、Nature 312:643(1984);Neu
bergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと)。
【0534】 (b)scFvのライブラリーからのポリペプチドに対する抗体フラグメント
の単離) ヒトPBLから単離した天然に存在するV遺伝子を、ドナーが曝露されていて
もよいし、曝露されていなくてもよい本発明のポリペプチドに対する反応性を含
む抗体フラグメントの大きいライブラリーに構築する(例えば、米国特許第5,
885,793号(その全体が参考として本明細書に援用される)を参照のこと
)。
【0535】 (ライブラリーのレスキュー) WO 92/01047に記載のように、ヒトPBLのRNAからscFvの
ライブラリーを構築する。抗体フラグメントを提示するファージをレスキューす
るため、ファージミドを保有する約109個のE.coliを用いて、50ml
の2×TY(1%グルコースおよび100μg/mlのアンピシリンを含有する
)(2×TY−AMP−GLU)を接種し、そして振盪しながら0.8のO.D
.まで増殖させる。この培養物の5mlを用いて50mlの2×TY−AMP−
GLUを接種(innoculate)し、2×108TUのΔ遺伝子3ヘルパ
ー(M13Δ遺伝子III、WO92/01047を参照のこと)を添加し、そ
して培養物を振盪なしで37℃で45分間インキュベートし、次いで振盪しなが
ら37℃で45分間インキュベートする。この培養物を10分間4000r.p
.m.で遠心分離し、そしてペレットを2リットルの2×TY(100μg/m
lアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含有する)中に再懸濁し、
そして一晩増殖させる。ファージをWO92/01047に記載のように調製す
る。
【0536】 M13Δ遺伝子IIIを以下のように調製する:M13Δ遺伝子IIIヘルパ
ーファージは、遺伝子IIIタンパク質をコードしない。それゆえ、抗体フラグ
メントを提示するファージ(ファージミド)は、抗原に対するより大きい結合ア
ビディティーを有する。ファージ形態形成の間、野生型遺伝子IIIタンパク質
を供給するpUC19誘導体を保有する細胞においてヘルパーファージを増殖さ
せることにより、感染性M13Δ遺伝子III粒子を作製する。培養物を振盪な
しで37℃で1時間インキュベートし、次いで振盪しながら37℃でさらに1時
間インキュベートする。細胞を遠心沈殿(IEC−Centra 8,4000
revs/分で10分間)し、100μg/mlのアンピシリンおよび25μ
g/mlのカナマイシンを含有する2×TYブロス(2×TY−AMP−KAN
)300ml中で再懸濁し、そして37℃で振盪しながら一晩増殖させた。ファ
ージ粒子を、2回のPEG沈殿(Sambrookら、1990)により培養培
地から精製および濃縮し、2ml PBSに再懸濁し、そして0.45μmのフ
ィルター(Minisart NML;Sartorius)を通過させ、約1
13形質導入単位/ml(アンピシリン耐性クローン)の最終濃度を得る。
【0537】 (ライブラリーパニング) Immunotubes(Nunc)を、本発明のポリペプチドの100μg
/mlまたは10μg/mlのいずれかの4mlを用いてPBS中で一晩被膜す
る。チューブを2%Marvel−PBSを用いて37℃で2時間ブロックし、
次いでPBS中で3回洗浄する。約1013TUのファージをチューブに適用し、
そして、回転盤で上下に傾けながら室温で30分間インキュベートし、次いでさ
らに1.5時間静置しておく。チューブをPBS 0.1%Tween−20で
10回、そしてPBSで10回洗浄する。1mlの100mMトリエチルアミン
を添加し、そして回転盤上で15分間上下に回転させることによりファージを溶
出し、その後この溶液を0.5mlの1.0M Tris−HCl,pH7.4
で直ちに中和する。次いで、溶出したファージを細菌とともに37℃で30分間
インキュベートすることにより、ファージを用いて、10mlの対数増殖中期の
E.coli TG1に感染させる。次いで、E.coliを1%グルコースお
よび100μg/mlアンピシリンを含有するTYEプレート上にプレートする
。次いで、得られる細菌ライブラリーを、上記のようにΔ遺伝子3ヘルパーファ
ージでレスキューし、次の回の選択のためのファージを調製する。次いで、この
プロセスを、アフィニティー精製の全4回について反復し、3回目および4回目
にはチューブ洗浄をPBS、0.1%Tween−20で20回、そしてPBS
で20回に増加する。
【0538】 (結合剤の特徴付け) 第3回目および4回目の選択から溶出したファージを用いて、E.coli
HB 2151を感染させ、そして可溶性scFvをアッセイのために単一コロ
ニーから生成する(Marksら、1991)。50mM炭酸水素塩、pH9.
6中の本発明のポリペプチドの10ピコグラム/mlのいずれかで被膜したマイ
クロタイタープレートを用いてELISAを実行する。ELISA中の陽性クロ
ーンをPCRフィンガープリンティング(例えば、WO92/01047を参照
のこと)、次に配列決定することによりさらに特徴付ける。これらのELISA
陽性クローンはまた、当該分野において公知の技術(例えば、エピトープマッピ
ング、結合親和性、レセプターシグナル形質導入、抗体/抗原結合をブロックす
るかまたは競合的に阻害する能力、および競合的アゴニスト活性または競合的ア
ンタゴニスト活性など)によりさらに特徴付けられ得る。
【0539】 (実施例12:高処理能力スクリーニングアッセイのためのPGRP−Lタン
パク質の産生) 以下のプロトコルは、試験されるPGRP−Lポリペプチドを含む上清を産生
する。次いで、この上清は、実施例14〜21に記載されるスクリーニングアッ
セイにおいて使用され得る。
【0540】 第一に、ポリ−D−リジン(644 587 Boehringer−Man
nheim)ストック溶液(PBS中に1mg/ml)を、PBS(カルシウム
もマグネシウムも含まない17−516F Biowhittaker)中で1
:20に希釈して、作業溶液50μg/mlにする。200μlのこの溶液を、
各ウェル(24ウェルプレート)に添加し、そして室温で20分間インキュベー
トする。溶液を各ウェルにわたって分配させることを確実にする(注記:12チ
ャンネルピペッターを、1つおきのチャンネルにチップをつけて使用し得る)。
ポリ−D−リジン溶液を吸引除去し、そして1ml PBS(リン酸緩衝化生理
食塩水)でリンスする。PBSは、細胞をプレートする直前までウェル中に残す
べきであり、そしてプレートは2週間前までに予めポリリジンでコーティングし
得る。
【0541】 293T細胞(P+20を過ぎて細胞を保有しない)を、2×105細胞/ウ
ェルで、0.5mlのDMEM(Dulbecco改変Eagle培地)(4.
5G/LのグルコースおよびL−グルタミン(12−604F Biowhit
taker)を含む)/10%熱非働化FBS(14−503F Biowhi
ttaker)/1×Penstrep(17−602E Biowhitta
ker)中にプレートする。細胞を一晩増殖させる。
【0542】 翌日、滅菌溶液容器(basin)中で、300μlLipofectami
ne(18324−012 Gibco/BRL)および5ml Optime
m I(31985070 Gibco/BRL)/96ウェルプレートを、一
緒に混合する。少容量のマルチチャンネルピペッターを用いて、実施例8〜10
に記載する方法によって産生されたポリヌクレオチド挿入物を含む約2μgの発
現ベクターを、適切に標識された96ウェルの丸底プレート中にアリコートする
。マルチチャンネルピペッターを用いて、50μlのLipofectamin
e/Optimem I混合物を各ウェルに添加する。ピペットで緩やかに吸い
上げたり下げたりして混合する。室温で15〜45分間インキュベートする。約
20分後、マルチチャンネルピペッターを使用して150μlのOptimem
Iを各ウェルに添加する。コントロールとして、挿入物を欠失するベクターD
NAの1つのプレートは、トランスフェクションの各セットでトランスフェクト
されるべきである。
【0543】 好ましくは、トランスフェクションは、以下の作業をタッグチームを組んで(
tag−teaming)行うべきである。タッグチームを組むことによって、
時間に関する労力は半減され、そして細胞にはPBS上であまり多くの時間を過
ごさせない。まず、Aさんは、培地を細胞の4つの24ウェルプレートから吸引
除去し、次いでBさんが0.5〜1mlのPBSで各ウェルをリンスする。次い
で、Aさんは、PBSリンスを吸引除去し、そしてBさんは、1つおきのチャン
ネルにチップのついた12チャンネルピペッターを使用して、200μlのDN
A/Lipofectamine/Optimem I複合体を、まず奇数のウ
ェルに、次いで偶数のウェルにと、24ウェルプレート上の各列に添加する。3
7℃で6時間インキュベートする。
【0544】 細胞をインキュベートする間に、1×ペンストレップ(penstrep)を
有するDMEM中の1%BSAか、または2mMグルタミンおよび1×ペンスト
レップを含むHGS CHO−5培地(116.6mg/LのCaCl2(無水
物);0.00130mg/L CuSO4−5H2O;0.050mg/LのF
e(NO33−9H2O;0.417mg/LのFeSO4−7H2O;311.
80mg/LのKCl;28.64mg/LのMgCl2;48.84mg/L
のMgSO4;6995.50mg/LのNaCl;2400.0mg/LのN
aHCO3;62.50mg/LのNaH2PO4−H2O;71.02mg/Lの
Na2HPO4;0.4320mg/LのZnSO4−7H2O;0.002mg/
Lのアラキドン酸;1.022mg/Lのコレステロール;0.070mg/L
のDL−α−酢酸トコフェロール;0.0520mg/Lのリノール酸;0.0
10mg/Lのリノレン酸;0.010mg/Lのミリスチン酸;0.010m
g/Lのオレイン酸;0.010mg/Lのパルミトレイン酸(palmitr
ic acid);0.010mg/Lのパルミチン酸;100mg/LのPl
uronic F−68;0.010mg/Lのステアリン酸;2.20mg/
LのTween80;4551mg/LのD−グルコース;130.85mg/
mlのL−アラニン;147.50mg/mlのL−アルギニン−HCl;7.
50mg/mlのL−アスパラギン−H2O;6.65mg/mlのL−アスパ
ラギン酸;29.56mg/mlのL−シスチン−2HCl−H2O;31.2
9mg/mlのL−シスチン−2HCl;7.35mg/mlのL−グルタミン
酸;365.0mg/mlのL−グルタミン;18.75mg/mlのグリシン
;52.48mg/mlのL−ヒスチジン−HCl−H2O;106.97mg
/mlのL−イソロイシン;111.45mg/mlのL−ロイシン;163.
75mg/mlのL−リジンHCl;32.34mg/mlのL−メチオニン;
68.48mg/mlのL−フェニルアラニン;40.0mg/mlのL−プロ
リン;26.25mg/mlのL−セリン;101.05mg/mlのL−スレ
オニン;19.22mg/mlのL−トリプトファン;91.79mg/mlの
L−チロシン(Tryrosine)−2Na−2H2O;および99.65m
g/mlのL−バリン;0.0035mg/Lのビオチン;3.24mg/Lの
D−Caパントテネート;11.78mg/Lの塩化コリン;4.65mg/L
の葉酸;15.60mg/Lのi−イノシトール;3.02mg/Lのナイアシ
ンアミド;3.00mg/LのピリドキサールHCl;0.031mg/Lのピ
リドキシンHCl;0.319mg/Lのリボフラビン;3.17mg/Lのチ
アミンHCl;0.365mg/Lのチミジン;0.680mg/Lのビタミン
12;25mMのHEPES緩衝剤;2.39mg/LのNaヒポキサンチン;
0.105mg/Lのリポ酸;0.081mg/Lのプトレシンナトリウム−2
HCl;55.0mg/Lのピルビン酸ナトリウム;0.0067mg/Lの亜
セレン酸ナトリウム;20μMのエタノールアミン;0.122mg/Lのクエ
ン酸鉄;リノール酸と複合体化した41.70mg/Lのメチル−B−シクロデ
キストリン;オレイン酸と複合体化した33.33mg/Lのメチル−B−シク
ロデキストリン;レチナールアセテートと複合体化した10mg/Lのメチル−
B−シクロデキストリン)のいずれかの適切な培地を調製する。2mmグルタミ
ンおよび1×ペンストレップ(penstrep)を用いて、浸透圧モル濃度を
327mOsmに調整する(10%BSAストック溶液のために、1L DME
M中にBSA(81−068−3 Bayer)100gを溶解した)。培地を
濾過し、そして50μlを内毒素アッセイのために15mlポリスチレンコニカ
ル中に収集する。
【0545】 トランスフェクション反応を、好ましくはタッグチームを組んでインキュベー
ション時間の終わりに終結させる。Aさんは、トランスフェクション培地を吸引
除去し、その間Bさんは、1.5mlの適切な培地を各ウェルに添加する。使用
された培地に依存して45時間または72時間、37℃でインキュベートする:
1%BSAは45時間、またはCHO−5は72時間。
【0546】 4日目に、300μlのマルチチャンネルピペッターを使用して、600μl
を1mlの深底ウェルプレート1枚にアリコートし、そして残りの上清を2ml
の深底ウェルにアリコートする。次いで、各ウェルからの上清を実施例14〜2
1に記載するアッセイにおいて使用し得る。
【0547】 活性が、上清を使用して以下に記載する任意のアッセイにおいて得られる場合
、この活性は、PGRP−Lポリぺプチドから直接に(例えば、分泌タンパク質
として)か、または他のタンパク質のPGRP−L誘導発現によって(このタン
パク質は、次いで上清中に分泌される)のいずれかに由来することが特に理解さ
れる。従って、本発明はさらに、特定のアッセイにおける活性によって特徴づけ
られる上清中のタンパク質を同定する方法を提供する。
【0548】 (実施例13:GASレポーター構築物の構築) 細胞の分化および増殖に関与する1つのシグナル伝達経路は、Jak−STA
T経路と呼ばれる。Jak−STAT経路において活性化されたタンパク質は、
多くの遺伝子のプロモーターに位置する、γ活性化部位「GAS」エレメントま
たはインターフェロン感受性応答エレメント(「ISRE」)に結合する。これ
らのエレメントに対するタンパク質の結合は、関連する遺伝子の発現を変化させ
る。
【0549】 GASエレメントおよびISREエレメントは、Signal Transd
ucers and Activators of Transcriptio
n、すなわち「STAT」と呼ばれるクラスの転写因子によって認識される。S
TATファミリーには6つのメンバーが存在する。Stat1およびStat3
は、Stat2と同様に(IFNαに対する応答が広範であるように)、多くの
細胞型において存在する。Stat4は、より限定されており、そして多くの細
胞型には存在しないが、IL−12での処理後のTヘルパークラスI細胞に見出
されている。Stat5は、元々は***成長因子と呼ばれたが、骨髄性細胞を含
む他の細胞においてより高い濃度で見出されている。それは、多くのサイトカイ
ンによって組織培養細胞において活性化され得る。
【0550】 STATは活性化されて、Janus Kinase(「Jak」)ファミリ
ーとして知られる1セットのキナーゼによるチロシンリン酸化に際して細胞質か
ら核へトランスロケートする。Jakは、可溶性のチロシンキナーゼの別個のフ
ァミリーの代表であり、そしてTyk2、Jak1、Jak2、およびJak3
を含む。これらのキナーゼは、有意な配列類似性を示し、そして一般には休止細
胞において触媒的に不活性である。
【0551】 Jakは、以下の表によって要約されるように広範なレセプターによって活性
化される。(SchidlerおよびDarnell,Ann.Rev.Bio
chem.64:621−51(1995)による総説から改変)。Jakを活
性化し得るサイトカインレセプターファミリーは、2つの群に分けられる:(a
)クラス1は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−7、IL−9
、IL−11、IL−12、IL−15、Epo、PRL、GH、G−CSF、
GM−CSF、LIF、CNTF、およびトロンボポエチンに対するレセプター
を含み;そして(b)クラス2は、IFN−a、IFN−g、およびIL−10
を含む。クラス1レセプターは、保存されたシステインモチーフ(4つの保存さ
れたシステインおよび1つのトリプトファンのセット)、およびWSXWSモチ
ーフ(Trp−Ser−Xxx−Trp−Ser(配列番号6)をコードする膜
近接(proxial)領域)を共有する。
【0552】 従って、リガンドのレセプターへの結合の際に、Jakは活性化され、これは
次いでSTATを活性化し、これは、次いでトランスロケートし、そしてGAS
エレメントに結合する。この全プロセスは、Jak−STATシグナル伝達経路
に包含される。
【0553】 それゆえ、GASまたはISREエレメントの結合によって反映されるJak
−STAT経路の活性化は、細胞の増殖および分化に関与するタンパク質を示す
ために使用され得る。例えば、増殖因子およびサイトカインは、Jak−STA
T経路を活性化することが知られている。(以下の表を参照のこと)。従って、
レポーター分子に連結したGASエレメントを使用することにより、Jak−S
TAT経路のアクチベーターが同定され得る。
【0554】
【表3】 実施例14〜15に記載される生物学的アッセイにおいて使用される、プロモ
ーターエレメントを含む合成GASを構築するために、PCRに基づいたストラ
テジーを用いてGAS−SV40プロモーター配列を生成する。5’プライマー
は、IRF1プロモーターにおいて見出され、そして一定の範囲のサイトカイン
での誘導の際にSTATに結合することが以前に実証されたGAS結合部位の4
つの直列のコピーを含むが(Rothmanら、Immunity 1:457
−468(1994))、他のGASエレメントまたはISREエレメントを代
わりに使用し得る。5’プライマーはまた、SV40初期プロモーター配列に対
して相補的な18bpの配列も含み、そしてXhoI部位に隣接する。5’プラ
イマーの配列は以下である:
【0555】
【化1】 下流プライマーはSV40プロモーターに対して相補的であり、そしてHin
d III部位に隣接する:5’:GCGGCAAGCTTTTTGCAAAG
CCTAGGC:3’(配列番号8)。
【0556】 PCR増幅を、Clontechから入手したB−gal:プロモータープラ
スミド中に存在するSV40プロモーターのテンプレートを用いて実施する。得
られたPCRフラグメントをXhoI/Hind IIIを用いて消化し、そし
てBLSK2−(Stratagene)にサブクローニングする。正方向およ
び逆方向のプライマーを用いる配列決定により、挿入物が以下の配列を含むこと
を確認する:
【0557】
【化2】 このGASプロモーターエレメントがSV40プロモーターに結合されると、
次に、GAS:SEAP2レポーター構築物を操作する。ここで、レポーター分
子は、分泌アルカリホスファターゼ、すなわち「SEAP」である。しかし、明
らかに、この実施例または他の実施例のいずれにおいても、任意のレポーター分
子が、SEAPの代わりとなり得る。SEAPの代わりに使用され得る周知のレ
ポーター分子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(C
AT)、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グ
リーン蛍光タンパク質(GFP)、または抗体により検出可能な任意のタンパク
質が挙げられる。
【0558】 上記の配列により確認された合成GAS−SV40プロモーターエレメントを
、GAS−SEAPベクターを作製するために、HindIIIおよびXhoI
を用いて、増幅したGAS:SV40プロモーターエレメントでSV40プロモ
ーターを有効に置換し、Clontechから入手したpSEAP−プロモータ
ーベクターにサブクローニングする。しかし、このベクターはネオマイシン耐性
遺伝子を含まず、それゆえ、哺乳動物の発現系には好ましくない。
【0559】 従って、GAS−SEAPレポーターを発現する哺乳動物の安定な細胞株を作
製するために、GAS−SEAPカセットを、SalIおよびNotIを用いて
GAS−SEAPベクターから取り出し、そしてGAS−SEAP/Neoベク
ターを作製するために、マルチクローニング部位におけるこれらの制限部位を用
いて、ネオマイシン耐性遺伝子を含むバックボーンベクター(例えば、pGFP
−1(Clontech))に挿入する。一旦、このベクターを哺乳動物細胞に
トランスフェクトすれば、次いでこのベクターは、実施例14〜15に記載され
るようにGAS結合についてのレポーター分子として使用され得る。
【0560】 他の構築物を、上記の説明を使用し、そしてGASを異なるプロモーター配列
で置換して、作製し得る。例えば、NFK−BおよびEGRプロモーター配列を
含むレポーター分子の構築を、実施例16および17に記載する。しかし、多く
の他のプロモーターを、これらの実施例に記載のプロトコルを使用して置換し得
る。例えば、SRE、IL−2、NFAT、またはオステオカルシンのプロモー
ターを単独で、または組み合わせて(例えば、GAS/NF−KB/EGR、G
AS/NF−KB、Il−2/NFAT、またはNF−KB/GAS)置換し得
る。同様に、他の細胞株(例えば、HELA(上皮細胞)、HUVEC(内皮細
胞)、Reh(B細胞)、Saos−2(骨芽細胞)、HUVAC(大動脈細胞
)、または心筋細胞)を、レポーター構築物の活性を試験するために使用し得る
【0561】 (実施例14:T細胞の活性についての高処理能力スクリーニングアッセイ) 以下のプロトコルを使用して、因子を同定すること、およびPGRP−Lを含
有する上清がT細胞を増殖および/または分化するか否かを決定することによっ
て、T細胞活性を評価する。PGRP−LのT細胞の活性を実施例13で作製し
たGAS/SEAP/Neo構築物を用いて評価する。従って、SEAP活性を
増加させる因子は、Jaks−STATSシグナル伝達経路を活性化する能力を
示す。このアッセイに使用したT細胞は、Jurkat T細胞(ATCC受託
番号TIB−152)であるが、Molt−3細胞(ATCC受託番号CRL−
1552)およびMolt−4細胞(ATCC受託番号CRL−1582)細胞
もまた使用し得る。
【0562】 Jurkat T細胞は、リンパ芽球性CD4+ Th1ヘルパー細胞である
。安定な細胞株を作製するために、およそ200万のJurkat細胞をDMR
IE−C(Life Technologies)を用いて、GAS−SEAP
/neoベクターでトランスフェクトする(以下に記載のトランスフェクション
手順)。トランスフェクトした細胞を、およそ20,000細胞/ウェルの密度
で播種し、そして1mg/mlのジェネティシン(genticin)に対して
耐性であるトランスフェクト体を選択する。耐性コロニーを増殖させ、次いで、
漸増する濃度のインターフェロンγに対するそれらの応答について試験する。選
択したクローンの用量応答を示す。
【0563】 詳細には、以下のプロトコルにより、200ulの細胞を含む75のウェルに
ついて十分な細胞を得る。従って、複数の96ウェルプレートについて十分な細
胞を産生するために、これをスケールアップするか、または複数で実施するかの
いずれかを行う。Jurkat細胞をRPMI+10%血清および1%のPen
−Strep中で維持する。T25フラスコ中で2.5mlのOPTI−MEM
(Life Technologies)と10ugのプラスミドDNAとを組
み合わせる。50ulのDMRIE−Cを含む2.5mlのOPTI−MEMを
添加し、そして、室温で15〜45分間インキュベートする。
【0564】 インキュベート時間の間、細胞濃度をカウントし、必要な細胞数(トランスフ
ェクションあたり107個)をスピンダウンし、そして最終濃度が107細胞/m
lとなるようにOPTI−MEM中で再懸濁する。次いで、OPTI−MEM中
の1×107個の細胞の1mlをT25フラスコに加え、そして37℃で6時間
インキュベートする。インキュベーションの後、10mlのRPMI+15%の
血清を添加する。
【0565】 Jurkat:GAS−SEAP安定レポーター株をRPMI+10%血清、
1mg/mlジェネティシン、および1%のPen−Strep中で維持する。
これらの細胞は、実施例12に記載のプロトコールにより産生されるようにPG
RP−LポリペプチドまたはPGRP−L誘導ポリペプチドを含む上清で処理さ
れる。
【0566】 上清での処理日に細胞を洗浄すべきであり、そして1mlあたり500,00
0個の細胞の密度となるように新鮮なRPMI+10%血清中に再懸濁するべき
である。必要な細胞の正確な数は、スクリーニングされる上清の数に依存する。
1枚の96ウェルプレートについて、およそ1000万個の細胞(10枚のプレ
ートについて1億個の細胞)を必要とする。
【0567】 12チャンネルのピペットを用いて96ウェルのディッシュに細胞を分与する
ために、三角のリザーバーボートに細胞を移す。200ulの細胞を、12チャ
ンネルのピペットを用いて、それぞれのウェルに移す(従って、ウェル当たり1
00,000個の細胞を添加する)。
【0568】 全てのプレートに播種した後、50ulの上清を、12チャンネルピペットを
用いて、上清を含む96ウェルプレートから各ウェルに直接的に移す。さらに、
外来性のインターフェロンγの用量(0.1、1.0、10ng)を、ウェルH
9、ウェルH10、およびウェルH11に添加し、アッセイについてのさらなる
陽性コントロールとして使用する。
【0569】 上清で処理したJurkat細胞を含む96ウェルディッシュをインキュベー
ターに48時間置く(注記:この時間は48〜72時間の間で変更可能である)
。次いで、各ウェルから35ulのサンプルを12チャンネルのピペットを用い
て、不透明な96ウェルプレートに移す。不透明なプレートを(セロファンのカ
バーを用いて)覆うべきであり、そして実施例18に記載のSEAPアッセイを
実施するまで、−20℃で保存するべきである。残存する処理した細胞を含むプ
レートを4℃に置き、そして、所望するならば、特定のウェル上でのアッセイを
繰り返すための物質の供給源として供する。
【0570】 陽性コントロールとして、100ユニット/mlのインターフェロンγを使用
し得、これは、Jurkat T細胞を活性化することが公知である。代表的に
は、30倍を超える誘導が、陽性コントロールのウェルにおいて観察される。
【0571】 (実施例15:骨髄性の活性を同定する高処理能力スクリーニングアッセイ) 以下のプロトコルを使用して、PGRP−Lが骨髄性細胞を増殖および/また
は分化させるか否かを決定することによりPGRP−Lの活性を評価する。骨髄
性細胞の活性を実施例12において産生されたGAS/SEAP/Neo構築物
を用いて評価する。従って、SEAP活性を増加させる因子は、Jaks−ST
ATSシグナル伝達経路を活性化させる能力を示す。このアッセイに使用した骨
髄性細胞は、U937(前単球(pre−monocyte)細胞株)であるが
、TF−1、HL60、またはKG1をも使用し得る。
【0572】 U937細胞を、実施例13において産生されたGAS/SEAP/Neo構
築物で、一過性にトランスフェクトするために、DEAE−Dextran法(
Kharbandaら、1994,Cell Growth & Differ
entiation,5:259−265)を用いる。最初に、2×10e7
のU937細胞を回収し、そしてPBSで洗浄する。U937細胞を、通常、1
00単位/mlのペニシリンおよび100mg/mlのストレプトマイシンを補
充した10%熱非働化ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI 1640培地中
で増殖させる。
【0573】 次に、0.5mg/ml DEAE−Dextran、8ugのGAS−SE
AP2プラスミドDNA、140mM NaCl、5mM KCl、375uM
Na2HPO4・7H2O、1mM MgCl2、および675uM CaCl2
を含む1mlの20mM Tris−HCl(pH 7.4)緩衝液に細胞を懸
濁する。37℃で45分間インキュベートする。
【0574】 10% FBSを含むRPMI 1640培地で細胞を洗浄し、次いで、10
mlの完全培地に再懸濁し、そして37℃で36時間インキュベートする。
【0575】 GAS−SEAP/U937安定細胞を、400ug/mlのG418中で細
胞を増殖させることにより得る。G418を含まない培地を使用して、慣用的に
増殖させるが、1〜2ヶ月毎に細胞を二継代の間、400ug/ml G418
中で再増殖させるべきである。
【0576】 これらの細胞を1×108個の細胞(これは10枚の96ウェルプレートアッ
セイのために十分である)を回収することにより試験し、そしてPBSで洗浄す
る。上記の200mlの増殖培地中に、5×105細胞/mlの最終密度で細胞
を懸濁する。96ウェルプレートにおいてウェルあたり200ulの細胞(すな
わち、1×105細胞/ウェル)をプレートする。
【0577】 実施例12に記載されるプロトコルにより調製された上清の50ulを添加す
る。37℃で48〜72時間インキュベートする。陽性コントロールとして、1
00単位/mlのインターフェロンγを使用し得、これはU937細胞を活性化
させることが公知である。代表的には、30倍を超える誘導が、陽性コントロー
ルウェルにおいて観察される。実施例18に記載のプロトコルに従って上清をS
EAPアッセイする。
【0578】 (実施例16:ニューロン活性を同定する高処理能力スクリーニングアッセイ
) 細胞が分化および増殖を経る場合、一群の遺伝子が多くの異なるシグナル伝達
経路を介して活性化される。これらの遺伝子の1つであるEGR1(初期増殖応
答遺伝子1)は、活性化時に種々の組織および細胞型において誘導される。EG
R1のプロモーターはこのような誘導を担う。レポーター分子に結合したEGR
1プロモーターを使用して、PGRP−Lによる細胞の活性化を評価し得る。
【0579】 詳細には、以下のプロトコルをPC12細胞株におけるニューロン活性を評価
するために使用する。PC12細胞(ラット褐色細胞腫(phenochrom
ocytoma)細胞)は、多くのマイトジェン(例えば、TPA(テトラデカ
ノイルホルボールアセテート)、NGF(神経成長因子)、およびEGF(上皮
増殖因子))での活性化により、増殖および/または分化することが公知である
。この処理の間にEGR1遺伝子発現を活性化する。従って、SEAPレポータ
ーに結合したEGRプロモーターを含む構築物でPC12細胞を安定にトランス
フェクトすることにより、PC12細胞の活性化をPGRP−Lにより評価し得
る。
【0580】 EGR/SEAPレポーター構築物を以下のプロトコルにより組み立て得る。
EGR−1プロモーター配列(−633〜+1)(Sakamoto Kら、O
ncogene 6:867−871(1991))を以下のプライマーを用い
て、ヒトゲノムDNAからPCR増幅し得る: 5’GCGCTCGAGGGATGACAGCGATAGAACCCCGG−
3’(配列番号10) 5’GCGAAGCTTCGCGACTCCCCGGATCCGCCTC−3
’(配列番号11)。
【0581】 次いで、実施例13において作製したGAS:SEAP/Neoベクターを使
用して、EGR1増幅産物をこのベクターに挿入し得る。制限酵素XhoI/H
indIIIを使用してGAS:SEAP/Neoベクターを直鎖状化し、GA
S/SV40スタッファー(stuffer)を取り除く。これらと同じ酵素を
用いて、EGR1増幅産物を制限処理する。ベクターとEGR1プロモーターと
を連結する。
【0582】 細胞培養のための96ウェルプレートを調製するために、コーティング溶液(
コラーゲンI型(Upstate Biotech Inc.カタログ番号08
−115)の30%エタノール(滅菌濾過)での1:30希釈)を1つの10c
mプレートあたり2ml、または96ウェルプレートのウェルあたり50ml添
加し、そして2時間風乾させる。
【0583】 PC12細胞を、予めコートした10cm組織培養ディッシュ上で、ペニシリ
ン(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100ug/ml)を補充
した、10%ウマ血清(JRH BIOSCIENCES、カタログ番号124
49−78P)、5%熱非働化ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI−164
0培地(Bio Whittaker)中で慣用的に増殖させる。1つから4つ
への分割を3〜4日毎に行う。細胞を掻き取ることによりプレートから取り出し
、そして15回より多く上下にピペッティングして再懸濁する。
【0584】 EGR/SEAP/Neo構築物を、実施例12に記載のLipofecta
mineプロトコルを使用して、PC12にトランスフェクトする。EGR−S
EAP/PC12安定細胞を、300ug/mlのG418中で細胞を増殖させ
ることにより得る。G418を含まない培地を慣用的な増殖のために使用するが
、1〜2ヶ月毎に、細胞を2継代の間、300ug/mlのG418中で再増殖
させるべきである。
【0585】 ニューロン活性をアッセイするために、およそ70〜80%コンフルエントで
細胞を有する10cmプレートを、古い培地を除去することによりスクリーニン
グする。細胞をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)を用いて1回洗浄する。次い
で、細胞を低血清培地(抗生物質とともに1%ウマ血清および0.5% FBS
を含むRPMI−1640)中で一晩、飢餓(starve)させる。
【0586】 翌朝、培地を除去し、そしてPBSで細胞を洗浄する。プレートから細胞を掻
き取り、細胞を2mlの低血清培地中で懸濁する。細胞数をカウントし、そして
より低血清の培地を添加し、5×105細胞/mlの最終細胞密度に到達させる
【0587】 200ulの細胞懸濁液を96ウェルプレートの各ウェルに添加する(1×1
5細胞/ウェルに等しい)。実施例12により産生された50ulの上清を、
37℃で48〜72時間添加する。陽性コントロールとして、EGRを介してP
C12細胞を活性化することが公知の成長因子(例えば、50ng/ulの神経
成長因子(NGF))を使用し得る。代表的には、50倍を超えるSEAP誘導
が陽性コントロールウェルにおいて見られる。実施例18に従って、上清をSE
APアッセイする。
【0588】 (実施例17:T細胞の活性についての高処理能力スクリーニングアッセイ) NF−KB(核因子KB)は、広範な種々の薬剤(炎症性サイトカインである
IL−1およびTNF、CD30およびCD40、リンホトキシン−αおよびリ
ンホトキシン−βを含む)により、LPSまたはトロンビンへの曝露により、な
らびに特定のウイルス遺伝子産物の発現により活性化される転写因子である。転
写因子として、NF−KBは免疫細胞の活性化に関与する遺伝子の発現、アポト
ーシスの制御(NF−KBは、アポトーシスから細胞を保護するようである)、
B細胞およびT細胞の発生、抗ウイルス応答および抗菌応答、ならびに複数のス
トレス応答を調節する。
【0589】 刺激されない条件において、NF−KBは、I−KB(インヒビターKB)を
有する細胞質に保持される。しかし、刺激の際に、I−KBはリン酸化され、そ
して分解され、NF−KBの核への往復(shuttle)を引き起こし、これ
により標的遺伝子の転写を活性化する。NF−KBにより活性化される標的遺伝
子としては、IL−2、IL−6、GM−CSF、ICAM−1およびクラス1
MHCが挙げられる。
【0590】 その中心的な役割および一定の範囲の刺激に応答する能力に起因して、NF−
KBプロモーターエレメントを利用するレポーター構築物を、実施例11におい
て産生された上清をスクリーニングするために使用する。NF−KBのアクチベ
ーターまたはインヒビターは、疾患の処置に有用である。例えば、NF−KBの
インヒビターを、急性または慢性的なNF−KBの活性化に関連する疾患(例え
ば、慢性関節リウマチ)を処置するために使用し得る。
【0591】 NF−KBプロモーターエレメントを含むベクターを構築するために、PCR
に基づいたストラテジーを用いる。上流のプライマーは、NF−KB結合部位(
GGGGACTTTCCC)(配列番号12)の4つの直列のコピー、SV40
初期プロモーター配列の5’末端に対して相補的な18bpの配列を含み、そし
てXhoI部位に隣接する: 5’:GCGGCCTCGAGGGGACTTTCCCGGGGACTTTCC
GGGGACTTTCCGGGACTTTCCATCCTGCCATCTCAA
TTAG:3’(配列番号13)。
【0592】 下流プライマーは、SV40プロモーターの3’末端に対して相補的であり、
そしてHindIII部位に隣接する: 5’:GCGGCAAGCTTTTTGCAAAGCCTAGGC:3’(配列
番号8)。
【0593】 PCR増幅を、Clontechから入手したpB−gal:プロモータープ
ラスミドに存在するSV40プロモーターのテンプレートを使用して実施する。
得られたPCRフラグメントをXhoIおよびHindIIIで消化し、そして
BLSK2−(Stratagene)にサブクローニングする。T7およびT
3プライマーを用いる配列決定により、挿入物が以下の配列を含むことを確認す
る:
【0594】
【化3】 次に、XhoIおよびHindIIIを使用して、pSEAP2−プロモータ
ープラスミド(Clontech)に存在するSV40最小プロモーターエレメ
ントをこのNF−KB/SV40フラグメントで置換する。しかし、このベクタ
ーはネオマイシン耐性遺伝子を含まず、そしてそれゆえ哺乳動物の発現系には好
ましくない。
【0595】 安定な哺乳動物細胞株を作製するために、NF−KB/SV40/SEAPカ
セットを制限酵素SalIおよびNotIを使用して上記のNF−KB/SEA
Pベクターから取り出し、そしてネオマイシン耐性を含むベクターに挿入する。
詳細には、SalIおよびNotIでpGFP−1を制限処理した後に、NF−
KB/SV40/SEAPカセットをpGFP−1(Clontech)に挿入
し、GFP遺伝子を置換した。
【0596】 一旦、NF−KB/SV40/SEAP/Neoベクターを作製した後は、実
施例14に記載のプロトコルに従って、安定なJurkat T細胞を作製し、
そして維持する。同様に、これらの安定なJurkat T細胞を含む上清をア
ッセイするための方法がまた、実施例14に記載される。陽性コントロールとし
て、外因性のTNFα(0.1、1、10ng)をウェルH9、H10、および
H11に添加し、代表的には、5〜10倍の活性化が観察される。
【0597】 (実施例18:SEAP活性についてのアッセイ) 実施例14〜17に記載されるアッセイのためのレポーター分子として、SE
AP活性を、以下の一般的な手順に従ってTropix Phospho−li
ght Kit(カタログ番号BP−400)を用いてアッセイする。Trop
ix Phospho−light Kitは、以下で使用される希釈緩衝液、
アッセイ緩衝液、および反応緩衝液を供給する。
【0598】 ディスペンサーに2.5×希釈緩衝液を満たし、そして15ulの2.5×希
釈緩衝液を35ulの上清を含むオプティプレート(Optiplate)に分
与する。プラスチックシーラーでプレートをシールし、そして65℃で30分間
インキュベートする。一様でない加温を避けるためにオプティプレートを離して
おく。
【0599】 サンプルを室温まで15分間冷却する。ディスペンサーを空にし、そしてアッ
セイ緩衝液を満たす。50mlのアッセイ緩衝液を添加し、そして室温で5分間
インキュベートする。ディスペンサーを空にし、そして反応緩衝液を満たす(以
下の表を参照のこと)。50ulの反応緩衝液を添加し、そして室温で20分間
インキュベートする。化学発光シグナルの強度は時間依存的であり、そしてルミ
ノメーターで5つのプレートを読み取るために約10分間を費やすので、1回に
5つのプレートを処理し、10分後に2つ目のセットを開始するべきである。
【0600】 ルミノメーターにおける相対的な光の単位(light unit)を読み取
る。ブランクとしてH12をセットし、そして結果を印字する。化学発光の増加
は、レポーター活性を示す。
【0601】
【表4】 (実施例19:低分子の濃度および膜透過性における変化を同定するハイスル
ープットスクリーニングアッセイ) レセプターへのリガンドの結合は、カルシウム、カリウム、ナトリウムのよう
な低分子およびpHの細胞内レベルを変化させ、ならびに膜電位を変化させるこ
とは公知である。これらの変化を特定細胞のレセプターに結合する上清の同定を
行うアッセイで測定し得る。以下のプロトコルは、カルシウムについてのアッセ
イを記載するが、このプロトコルは、カリウム、ナトリウム、pH、膜電位、ま
たは蛍光プローブにより検出可能な任意の他の低分子における変化を検出するよ
うに容易に改変し得る。
【0602】 以下のアッセイは、蛍光測定画像化プレートリーダー(「FLIPR」)を使
用して低分子と結合する蛍光分子(Molecular Probes)におけ
る変化を測定する。明らかに、低分子を検出する任意の蛍光分子を本明細書で用
いるカルシウム蛍光分子、fluo−3の代わりに使用し得る。
【0603】 接着細胞については、細胞を10,000〜20,000細胞/ウェルで、底
が透明なCo−star黒色96ウェルプレートに播種する。プレートをCO2
インキュベーター内で20時間インキュベートする。接着細胞をBiotek洗
浄器内で200ulのHBSS(Hank’s Balanced Salt
Solution)で二回洗浄し、最後の洗浄後、緩衝液100ulを残す。
【0604】 1mg/ml fluo−3のストック溶液を10%プルロン酸(pluro
nic acid)DMSOで作製する。細胞にfluo−3を負荷するため、
12ug/ml fluo−3(50ul)を各ウェルに添加する。このプレー
トをCO2インキュベーター中、37℃で60分間インキュベートする。プレー
トをBiotek洗浄器で、HBSSにより4回洗浄し、緩衝液100ulを残
す。
【0605】 非接着細胞については、細胞を培養培地からスピンダウンする。細胞を、50
mlのコニカルチューブ内でHBSSを用いて2〜5×106細胞/mlに再懸
濁する。細胞懸濁液1mlあたり、1mg/ml fluo−3の10%プルロ
ン酸DMSO溶液4ulを加える。次に、チューブを37℃の水浴中に30〜6
0分間置く。細胞をHBSSで二回洗浄し、1×106細胞/mlに再懸濁し、
そしてマイクロプレートに100ul/ウェルずつ分配する。プレートを100
0rpmで5分間遠心分離する。次に、プレートをDenley CellWa
sh中で200ulで一回洗浄した後、吸引工程により最終容量を100ulに
する。
【0606】 非細胞ベースのアッセイについては、各ウェルは、fluo−3のような蛍光
分子を含有する。上清をウェルに添加し、そして蛍光変化を検出する。
【0607】 細胞内カルシウムの蛍光を測定するため、FLIPRを以下のパラメーターに
ついて設定する:(1)システムゲインは、300〜800mWであり;(2)
曝露時間は、0.4秒間であり;(3)カメラF/ストップは、F/2であり;
(4)励起は488nmであり;(5)発光は530nmであり;そして(6)
サンプル添加は50ulである。530nmにおける発光の増加は、細胞内Ca ++ 濃度の増加を生じる、PGRP−LまたはPGRP−Lにより誘導される分子
のいずれかの分子により引き起こされる細胞外シグナル伝達事象を示す。
【0608】 (実施例20:チロシンキナーゼ活性を同定するハイスループットスクリーニ
ングアッセイ) プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、多様な群の膜貫通キナーゼおよび
細胞質キナーゼを表す。レセプタープロテインチロシンキナーゼ(RPTK)群
の中には、PDGF、FGF、EGF、NGF、HGFおよびインスリンレセプ
ターサブファミリーを含む、一定の範囲の有糸***促進性(mitogenic
)および代謝性増殖因子のレセプターがある。さらに、対応するリガンドが未知
である大きなRPTKファミリーがある。RPTKのリガンドは、主として分泌
される低分子量タンパク質を含むが、膜結合型および細胞外マトリックスタンパ
ク質も含む。
【0609】 リガンドによるRPTKの活性化は、リガンド媒介レセプター二量体化を含み
、これはレセプターサブユニットのトランスリン酸化および細胞質チロシンキナ
ーゼの活性化を生じる。細胞質チロシンキナーゼとしては、srcファミリー(
例えば、src、yes、lck、lyn、fyn)のレセプター関連チロシン
キナーゼ、ならびにJakファミリーのような非レセプター結合型および細胞質
ゾルプロテインチロシンキナーゼが挙げられる。これらのメンバーは、サイトカ
インスーパーファミリー(例えば、インターロイキン、インターフェロン、GM
−CSFおよびレプチン)のレセプターによって誘発されるシグナル伝達を媒介
する。
【0610】 チロシンキナーゼ活性を刺激し得る公知の因子は広範であるので、PGRP−
LあるいはPGRP−Lによって誘導される分子がチロシンキナーゼシグナル伝
達経路を活性化し得るか否かを同定することは興味深い。従って、以下のプロト
コルを設計して、チロシンキナーゼシグナル伝達経路を活性化し得るこのような
分子を同定する。
【0611】 標的細胞(例えば、初代ケラチノサイト)を約25,000細胞/ウェルの密
度で、Nalge Nunc(Naperville,IL)から購入した96
ウェルLoprodyne Silent Screen Plateに播種す
る。プレートを100%エタノールで30分間、二回リンスして滅菌し、水でリ
ンスし、そして一晩乾燥させる。幾つかのプレートを、100mlの細胞培養グ
レードI型コラーゲン(50mg/ml)、ゼラチン(2%)またはポリリジン
(50mg/ml)(これらは全て、Sigma Chemicals(St.
Louis,MO)から購入し得る)で、またはBecton Dickins
on(Bedford,MA)から購入した10%Matrigel、あるいは
仔ウシ血清で2時間コーティングし、PBSでリンスし、そして4℃で保存する
。増殖培地に5,000細胞/ウェルを播種し、製造業者のAlamar Bi
osciences,Inc.(Sacramento,CA)が記載するよう
に、alamarBlueを使用して48時間後に細胞数を間接定量することに
より、これらのプレート上の細胞増殖をアッセイする。Becton Dick
inson(Bedford,MA)のFalconプレートカバー#3071
を使用し、Loprodyne Silent Screen Plateを覆
う。Falcon Microtest III細胞培養プレートもまた、いく
つかの増殖実験において使用し得る。
【0612】 抽出物を調製するため、A431細胞をLoprodyneプレートのナイロ
ン膜上に播種し(20,000/200ml/ウェル)、そして完全培地中で一
晩培養する。細胞を無血清基本培地中で24時間インキュベートして静止させる
。EGF(60ng/ml)または実施例12で生成した上清50μlで5〜2
0分間処理した後、培地を除去し、100mlの抽出緩衝液(20mM HEP
ES pH7.5、0.15M NaCl、1%TritonX−100,0.
1%SDS、2mM Na3VO4、2mM Na427およびBoeheri
nger Mannheim(Indianapolis,IN)から入手した
プロテアーゼインヒビターの混合物(#1836170))を各ウェルに添加し
、そしてプレートを回転振盪器上、4℃で5分間振盪する。次に、プレートを真
空トランスファーマニホルド(vacuum transfer manifo
ld)に設置し、そしてハウスバキュームを使用して抽出物を各ウェルの底の0
.45mm膜で濾過する。抽出物をバキュームマニホールドの底の96ウェル捕
獲/アッセイプレートに集め、そして直ちに氷上に置く。遠心分離により明澄化
した抽出物を得るため、界面活性剤で5分間可溶化した後、各ウェルの含有物を
取り出し、4℃、16,000×gで15分間遠心分離する。
【0613】 濾過抽出物をチロシンキナーゼ活性のレベルについて試験する。チロシンキナ
ーゼ活性を検出する多数の方法が公知であるが、本明細書においては方法の一つ
を記載する。
【0614】 一般的に、特定の基質(ビオチン化ペプチド)上のチロシン残基をリン酸化す
る能力を決定することにより、上清のチロシンキナーゼ活性を評価する。この目
的に使用し得るビオチン化ペプチドとしては、PSK1(細胞***キナーゼcd
c2−p34のアミノ酸6〜20に相当)およびPSK2(ガストリンのアミノ
酸1〜17に相当)が挙げられる。両方のペプチドは、一連のチロシンキナーゼ
の基質であり、Boehringer Mannheimから入手可能である。
【0615】 以下の成分を順に添加することにより、チロシンキナーゼ反応を設定する。ま
ず、5μMビオチン化ペプチド10μlを添加した後、順に、ATP/Mg2+
5mM ATP/50mM MgCl2)10μl、5×アッセイ緩衝液(40
mM塩酸イミダゾール、pH7.3、40mM β−グリセロリン酸塩、1mM
EGTA、100mM MgCl2、5mM MnCl2、0.5mg/ml
BSA)10μl、バナジン酸ナトリウム(1mM)5μl、最後に水5μlを
加える。成分を穏やかに混合し、反応混合物を30℃で2分間プレインキュベー
トする。コントロール酵素または濾過上清10μlを加えて反応を開始させる。
【0616】 次に、120mM EDTA 10μlを添加することによりチロシンキナー
ゼアッセイ反応を停止し、その反応物を氷上に置く。
【0617】 反応混合物の50μlのアリコートをマイクロタイタープレート(MTP)モ
ジュールに移し、37℃で20分間インキュベートすることにより、チロシンキ
ナーゼ活性を測定する。これにより、ストレプトアビジン(streptava
din)コーティング96ウェルプレートをビオチン化ペプチドと会合させる。
MTPモジュールを300μl/ウェルのPBSで4回洗浄する。次に、西洋ワ
サビペルオキシダーゼに結合体化した抗ホスホチロシン(phospotyro
sine)抗体(抗P−Tyr−POD(0.5u/ml))75μlを、各ウ
ェルに添加した後、37℃で1時間インキュベートする。ウェルを上記のように
洗浄する。
【0618】 次に、ペルオキシダーゼ基質溶液(Boehringer Mannheim
)100μlを加え、室温で少なくとも5分間(最長30分間)インキュベート
する。ELISAリーダーを使用して、405nmにおけるサンプルの吸光度を
測定する。結合したペルオキシダーゼ活性のレベルをELISAリーダーを使用
して定量する。これは、チロシンキナーゼ活性のレベルを反映する。
【0619】 (実施例21:リン酸化活性を同定するハイスループットスクリーニングアッ
セイ) 実施例20に記載のプロテインチロシンキナーゼ活性アッセイの可能性のある
代替物および/または補完物(compliment)として、主要な細胞内シ
グナル伝達中間体の活性化(リン酸化)を検出するアッセイもまた使用し得る。
例えば、下記のように、一つの特定のアッセイは、Erk−1およびErk−2
キナーゼのチロシンリン酸化を検出し得る。しかし、Raf、JNK、p38M
AP、Mapキナーゼキナーゼ(MEK)、MEKキナーゼ、Src、筋肉特異
的キナーゼ(MuSK)、IRAK、TecおよびJanusのような他の分子
、ならびに他の任意のホスホセリン、ホスホチロシンまたはホスホスレオニン分
子のリン酸化を、以下のアッセイにおいてこれらの分子でErk−1またはEr
k−2を置き換えることにより検出し得る。
【0620】 詳細には、96ウェルELISAプレートのウェルをプロテインG(1μg/
ml)0.1mlにより室温(RT)で2時間コーティングしてアッセイプレー
トを作製する。次に、プレートをPBSでリンスし、3%BSA/PBSにより
RTで1時間ブロックする。次に、プロテインGプレートをErk−1およびE
rk−2に対する二つの市販のモノクローナル抗体(100ng/ウェル)(S
anta Cruz Biotechnology)で処理(RTで1時間)す
る。(他の分子を検出するために、上記の任意の分子を検出するモノクローナル
抗体を交換することにより、この工程を容易に改変し得る)。PBSで3〜5回
リンスした後、使用時まで、プレートを4℃で保存する。
【0621】 A431細胞を20,000/ウェルで96ウェルLoprodyneフィル
タープレートに播種し、増殖培地中で一晩培養する。次に、細胞を基本培地(D
MEM)中で48時間飢餓させた後、EGF(6ng/ウェル)または実施例1
2で得た上清50μlで5〜20分間処理する。次に、細胞を可溶化し、抽出物
を濾過して直接アッセイプレート中に入れる。
【0622】 抽出物を用いてRTで1時間インキュベートした後、ウェルを再度リンスする
。陽性コントロールとして、市販のMAPキナーゼ調製物(10ng/ウェル)
をA431抽出物の代わりに使用する。次に、プレートを、Erk−1およびE
rk−2キナーゼのリン酸化エピトープを特異的に認識する市販のポリクローナ
ル(ウサギ)抗体(1μg/ml)で処理する(RTで1時間)。この抗体を標
準的な手順によりビオチン化する。次に、結合ポリクローナル抗体をユーロピウ
ムストレプトアビジンおよびユーロピウム蛍光増強剤とWallac DELF
IA装置内で連続的にインキュベートする(時間分解性蛍光)ことによって定量
する。バックグラウンドを超える蛍光シグナルの増加は、PGRP−LまたはP
GRP−Lによって誘導される分子によるリン酸化を示す。
【0623】 (実施例22:PGRP−L遺伝子における変化の決定方法) 目的の表現型(例えば、疾患)を提示する家族全員または個々の患者から単離
されるRNAを単離する。次に、cDNAをこれらのRNAサンプルから当該分
野で公知のプロトコルを使用して生成する(Sambrookを参照のこと)。
次に、このcDNAを、配列番号1における目的の領域を取り囲むプライマーを
用いるPCRのテンプレートとして使用する。示唆されるPCR条件は、Sid
ransky,D.ら、Science 252:706(1991)に記載の
緩衝溶液を使用し、95℃で30秒間;52〜58℃で60〜120秒間;およ
び70℃で60〜120秒間の35サイクルからなる。
【0624】 次に、PCR産物を、SequiTherm Polymerase(Epi
centre Technologies)を用い、5’末端にT4ポリヌクレ
オチドキナーゼで標識したプライマーを使用して配列決定する。PGRP−Lの
選択したエキソンのイントロン−エキソン境界もまた決定し、ゲノムPCR産物
を分析してその結果を確認する。次に、PGRP−Lにおいて疑わしい変異を有
するPCR産物のクローン化および配列決定を行い、直接配列決定の結果を確認
する。
【0625】 PGRP−LのPCR産物を、HoltonT.A.およびGraham M
.W.、Nucleic Acids Research,19:1156(1
991)に記載のようにTテールベクターにクローン化し、T7ポリメラーゼ(
United States Biochemical)で配列決定する。罹患
個体を、非罹患個体には存在しないPGRP−Lにおける変異により同定する。
【0626】 ゲノム再配置もまた、PGRP−L遺伝子における改変を決定する方法として
観察する。実施例2に従って単離したゲノムクローンを、ジゴキシゲニンデオキ
シ−ウリジン5’−三リン酸(Boehringer Manheim)を用い
てニックトランスレーションし、そしてJohnson,Cg.ら、Metho
ds Cell Biol.35:73−99(1991)に記載のようにFI
SHを行う。PGRP−Lゲノムの遺伝子座への特異的ハイブリダイゼーション
のために、大過剰のヒトcot−1 DNAを用いて標識プローブとのハイブリ
ダイゼーションを行う。
【0627】 染色体を、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(phenylido
le)およびヨウ化プロピジウムで対比染色し、CバンドおよびRバンドの組み
合わせを生成する。正確なマッピングのための整列イメージを、三重バンドフィ
ルターセット(Chroma Technology,Brattleboro
,VT)と冷却電荷結合素子カメラ(Photometrics,Tucson
,AZ)および可変励起波長フィルター(Johnson Cvら、Genet
.Anal.Tech.Appl.,8:75(1991))とを組み合わせて
用いて得る。ISee Graphical Program System(
Inovision Corporation,Durham,NC)を使用し
て、イメージ収集、分析および染色体部分長測定を行う。(プローブによってハ
イブリダイズした)PGRP−Lのゲノム領域の染色体変化を、挿入、欠失およ
び転座として同定する。これらのPGRP−L変化を関連疾患の診断マーカーと
して使用する。
【0628】 (実施例23:生物学的サンプル中のPGRP−Lの異常レベルを検出する方
法) PGRP−Lは生物学的サンプル中で検出され得、そしてこのPGRP−Lレ
ベルの上昇または低下が検出されるなら、このポリペプチドは、特定表現型のマ
ーカーである。検出方法は数多くあり、そしてそれ故、当業者は以下のアッセイ
をそれらの特定の必要性を満たすように改変し得ることが理解される。
【0629】 例えば、抗体サンドイッチELISAを使用し、サンプル中、好ましくは、生
物学的サンプル中のPGRP−Lを検出する。マイクロタイタープレートのウェ
ルを、PGRP−Lに対する特異的抗体を最終濃度0.2〜10μg/mlで用
いてコーティングする。この抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのい
ずれかであって、実施例11に記載の方法により産生される。ウェルに対するP
GRP−Lの非特異的結合が減少するように、このウェルをブロックする。
【0630】 次に、コーティングしたウェルを、PGRP−L含有サンプルを用いてRTで
2時間より長くインキュベートする。好ましくは、サンプルの系列希釈を使用し
て結果を確認すべきである。次に、プレートを脱イオン水または蒸留水で三回洗
浄し、結合していないポリペプチドを除去する。
【0631】 次に、特異的抗体−アルカリホスファターゼ結合体50μlを25〜400n
gの濃度で加え、室温で2時間インキュベートする。プレートを再び脱イオン水
または蒸留水で三回洗浄し、結合していない結合体を除去する。
【0632】 4−メチルウンベリフェリルリン酸(MUP)またはp−ニトロフェニルリン
酸(NPP)基質溶液75μlを各ウェルに添加し、そして室温で1時間インキ
ュベートする。反応物をマイクロタイタープレートリーダーにより測定する。コ
ントロールサンプルの系列希釈を使用して検量線を作成し、そしてX軸(対数ス
ケール)にPGRP−Lポリペプチド濃度を、そしてY軸(直線スケール)に蛍
光または吸光度をプロットする。検量線を用いてサンプル中のPGRP−L濃度
を補間する。
【0633】 (実施例24:ポリペプチドの処方) PGRP−L組成物を、個々の患者の臨床状態(特に、PGRP−Lポリペプ
チド単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の
他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(good medical pract
ice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的
とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0634】 一般的提案として、用量当り、非経口的に投与されるPGRP−Lの合計薬学
的有効量は、患者体重で約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にある
が、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。さらに好ましくは、このホル
モンについて、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、最も好ましく
はヒトに対して約0.01mg/kg/日と約1mg/kg/日との間である。
連続投与する場合、代表的には、PGRP−Lを約1μg/kg/時間〜約50
μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下注入(例
えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ溶液もま
た使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後
の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
【0635】 PGRP−Lを含む薬学的組成物を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(in
tracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点
滴剤、または経皮パッチによるなど)、口腔内あるいは経口または鼻腔内スプレ
ーとして投与する。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固
体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の製剤補助剤をいう。本
明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下
および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0636】 PGRP−Lはまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性組成物
の適切な例は、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態の半
透過性ポリマーマトリックスを包含する。徐放性マトリックスとしては、ポリラ
クチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミ
ン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman U.ら
、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−
ヒドロキシエチルメタクリレート)(R.Langerら、J.Biomed.
Mater.Res.15:167−277(1981)、およびR.Lang
er,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニ
ルアセテート(R.Langerら)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ
酪酸(EP133,988)が挙げられる。徐放性組成物はまた、リポソームに
捕捉されたPGRP−Lポリペプチドを包含する。PGRP−Lを含有するリポ
ソームは、それ自体が公知である方法により調製される:DE3,218,12
1;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)8
2:3688−3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.A
cad.Sci.(USA)77:4030−4034(1980);EP52
,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP1
42,641;日本国特許出願第83−118008号;米国特許第4,485
,045号および同第4,544,545号ならびにEP第102,324号。
通常、リポソームは、小さな(約200〜800Å)単層型であり、ここでは、
脂質含有量は、約30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最
適な分泌ポリペプチド治療のために調整される。
【0637】 非経口投与のために、1つの実施形態において、一般に、PGRP−Lは、そ
れを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量
および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合す
るものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合す
ることにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化剤、および
ポリペプチドに対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
【0638】 一般に、PGRP−Lを液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはそ
の両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、
生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア
、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャ
リアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロー
ス溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒク
ルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
【0639】 キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適
切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対
して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩
、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のよう
な抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリア
ルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリ
ンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシ
ン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロ
ースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖
類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトール
またはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;およ
び/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界
面活性剤が挙げられる。
【0640】 PGRP−Lは、代表的には約0.1mg/ml〜100mg/ml、好まし
くは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜8のpHで、このようなビヒクル中に
処方される。前記の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することによ
り、ポリペプチド塩が形成されることが理解される。
【0641】 治療的投与に用いられるPGRP−Lは無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例
えば0.2ミクロン膜)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一
般に、治療用ポリペプチド組成物は、滅菌アクセスポートを備える容器、例えば
、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアル
に配置される。
【0642】 PGRP−Lポリペプチドは、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、
密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物
として保存される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾
過した1%(w/v)PGRP−Lポリペプチド水溶液5mlを充填し、そして
得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥したPGRP−Lポリペプチドを、注
射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
【0643】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分を満たした一つ以上の
容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品
の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような
容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関
する政府機関による承認を表す。さらに、PGRP−Lを他の治療用化合物と組
み合わせて使用し得る。
【0644】 本発明の組成物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与され得る。
本発明の組成物とともに投与され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、そ
れらに限定されない:TNFファミリーの他のメンバー、化学療法剤、抗生物質
、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤、従来の免疫療法剤、サイトカ
イン、および/または増殖因子。組み合わせは、付随的にか(例えば、混合物と
して)、別々であるが同時にもしくは並行して;または逐次的にかのいずれかで
投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が治療混合物としてともに投与され
る提示(presentation)を含み、そして組み合わせた薬剤が、別々
であるが同時に(例えば、同じ個体へ別々の静脈ラインを通じての場合)投与さ
れる手順もまた含む。「組み合わせ」投与は、第1に与えられる化合物または薬
剤の1つ、続いて第2という別々の投与を包含する。
【0645】 1つの実施形態において、本発明の組成物は、TNFファミリーの他のメンバ
ーと組合わせて投与される。本発明の組成物とともに投与され得るTNF分子、
TNF関連分子またはTNF様分子としては、以下が挙げられるが、これらに限
定されない:可溶性形態のTNF−α、リンホトキシン−α(LT−α、TNF
−βとしても公知)、LT−β(複合ヘテロトリマーLT−α2−β中に見出さ
れる)、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4−1B
BL、DcR3、OX40L、TNF−γ(国際公開番号WO96/14328
)、AIM−I(国際公開番号WO97/33899)、エンドカイン−α(国
際公開番号WO98/07880)、TR6(国際公開番号WO98/3069
4)OPG、およびニュートロカイン−α(国際公開番号WO98/18921
)、OX40、および神経成長因子(NGF)、ならびに可溶性形態のFas、
CD30、CD27、CD40および4−IBB、TR2(国際公開番号WO9
6/34095)、DR3(国際公開番号WO97/33904)、DR4(国
際公開番号WO98/32856)、TR5(国際公開番号WO98/3069
3)、TR6(国際公開番号WO98/30694)、TR7(国際公開番号W
O98/41629)、TRANK、TR9(国際公開番号WO98/5689
2)、TR10(国際公開番号WO98/54202)、312C2(国際公開
番号WO98/06842)、およびTR12、ならびに可溶性形態のCD15
4、CD70、およびCD153。
【0646】 本発明の組成物と組合わせて投与され得る従来の非特異的免疫抑制剤としては
、ステロイド類、シクロスポリン、シクロスポリンアナログ、シクロホスファミ
ドメチルプレドニゾン、プレドニゾン、アザチオプリン、FK−506、15−
デオキシスペルグアリン(15−deoxyspergualin)、および応
答T細胞の機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制剤が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0647】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、抗生物質薬剤と組み合わされ
て投与される。本発明の組成物と組み合わされ得る抗生物質薬剤としては、テト
ラサイクリン、メトロニダゾール、アモキシシリン、β−ラクタマーゼ、アミノ
グリコシド、マクロライド、キノロン、フルオロキノロン、セファロスポリン、
エリスロマイシン、シプロフロキサシンおよびストレプトマイシンが挙げられる
が、これらに限定されない。
【0648】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、単独でかまたは抗炎症剤と組
み合わせて投与される。本発明の組成物とともに投与され得る抗炎症剤としては
、グルココルチコイドおよび非ステロイド抗炎症剤、アミノアリールカルボン酸
誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸、アリ
ールプロピオン酸誘導体、ピラゾール類、ピラゾロン類、サリチル酸誘導体、チ
アジンカルボキサミド類、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオ
ニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrin
e)、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾー
ル、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン
、オキサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、
ピフオキシム、プロカゾン、プロキサゾール、およびテニダプが挙げられるが、
これらに限定されない。
【0649】 別の実施形態において、本発明の組成物は、化学療法剤と組み合わせて投与さ
れる。本発明の組成物とともに投与され得る化学療法剤としては、抗生物質誘導
体(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、およびダクチ
ノマイシン);抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);抗代謝物(例えば
、フルオロウラシル、5−FU、メトトレキサート、フロクスウリジン、インタ
ーフェロンα−2b、グルタミン酸、プリカマイシン(plicamycin)
、メルカプトプリン、および6−チオグアニン);細胞傷害剤(例えば、カルム
スチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホス
ファミド、エストラムスチン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、マイトマイ
シン、ブスルファン、シス−プラチン、および硫酸ビンクリスチン);ホルモン
(例えば、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エ
チニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテス
トステロン、ジエチルスチルベストロールジホスフェート、クロロトリアニセン
、およびテストラクトン);ナイトロジェンマスタード誘導体(例えば、メファ
レン(mephalen)、クロランブシル(chlorambucil)、メ
クロレタミン(ナイトロジェンマスタード)およびチオテパ);ステロイド類お
よび組み合わせ(例えば、ベタメタゾンリン酸ナトリウム);ならびにその他(
例えば、ジカルバジン(dicarbazine)、アスパラギナーゼ、ミトー
テン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、およびエトポシド)が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0650】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、サイトカインと組み合わせて
投与される。本発明の組成物とともに投与され得るサイトカインとしては、IL
2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL13
、IL15、抗CD40、CD40L、IFN−γおよびTNF−αが挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0651】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、新脈管形成タンパク質と組み
合わせて投与される。本発明の組成物とともに投与され得る脈管形成タンパク質
としては、欧州特許番号EP−399816に開示されるようなグリオーム由来
増殖因子(GDGF);欧州特許番号EP−682110に開示されるような血
小板由来増殖因子A(PDGF−A);欧州特許番号EP−282317に開示
されるような血小板由来増殖因子B(PDGF−B);国際公開番号WO92/
06194号に開示されるような胎盤増殖因子(PlGF);Hauserら、
Gorwth Factors、4:259−268(1993)に開示される
ような胎盤増殖因子2(PlGF−2);国際公開番号WO90/13649号
に開示されるような血管内皮増殖因子(VEGF);欧州特許番号EP−506
477に開示されるような血管内皮増殖因子A(VEGF−A);国際公開番号
WO96/39515号に開示されるような血管内皮増殖因子2(VEGF−2
);国際公開番号WO96/26736号に開示されるような血管内皮増殖因子
B−186(VEGF−B186);国際公開番号WO98/02543号に開
示されるような血管内皮増殖因子D(VEGF−D);国際公開番号WO98/
07832号に開示されるような血管内皮増殖因子D(VEGF−D);および
ドイツ国特許番号DE19639601に開示されるような血管内皮増殖因子E
(VEGF−E)が挙げられるが、これらに限定されない。上記の参考文献は、
本明細書で参考として援用される。
【0652】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、線維芽細胞増殖因子と組み合
わせて投与される。本発明の組成物とともに投与され得る線維芽細胞増殖因子と
しては、FGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FG
F−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、
FGF−12、FGF−13、FGF−14、およびFGF−15が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0653】 さらなる実施形態において、本発明の組成物は、他の治療レジメンまたは予防
レジメン(例えば、放射線治療)と組み合わせて投与される。
【0654】 (実施例25:PGRP−Lのレベル低下を処置する方法) 本発明は、体内におけるPGRP−L活性のレベルを減少させる必要のある個
体を処置するための方法に関し、その方法は、治療有効量のPGRP−Lアンタ
ゴニストを含む組成物をそのような個体に投与する工程を包含する。本発明にお
ける使用のために好ましいアンタゴニストは、PGRP−L特異的な抗体である
【0655】 さらに、個体におけるPGRP−Lの標準または正常発現レベルの低下により
引き起こされる状態は、PGRP−Lを、好ましくは分泌形態で投与することに
より処置し得ることが理解される。従って、本発明はまた、PGRP−Lポリペ
プチドのレベルの増加が必要な個体の処置方法を提供する。この方法は、このよ
うな個体に、このような個体でPGRP−Lの活性レベルを増加させる量のPG
RP−Lを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0656】 例えば、PGRP−Lポリペプチドのレベルが低下した患者は、ポリペプチド
を、1日用量0.1〜100μg/kgで6日続けて服用する。好ましくは、ポ
リペプチドは分泌形態である。投与および処方物に基づく投薬計画の正確な詳細
は、実施例24に提供されている。
【0657】 (実施例26:PGRP−Lのレベル上昇を処置する方法) 本発明はまた、体内におけるPGRP−L活性のレベルを増加させる必要のあ
る個体を処置するための方法に関し、その方法は、治療有効量のPGRP−Lま
たはそのアゴニストを含む組成物をそのような個体に投与する工程を包含する。
【0658】 アンチセンス技術を、PGRP−Lの産生を阻害するために使用する。この技
術は、ガンのような様々な病因に起因するPGRP−Lポリペプチド、好ましく
は分泌形態のPGRP−Lポリペプチドのレべルを低下させる方法の1つの例で
ある。
【0659】 例えば、PGRP−Lのレベルが異常に上昇したと診断された患者に、アンチ
センスポリヌクレオチドを、1日当たり0.5、1.0、1.5、2.0および
3.0mg/kgで静脈内に21日間投与する。この処置に対して十分な耐性が
あれば、7日間の休薬期間後に、この処置を繰り返す。アンチセンスポリヌクレ
オチドの処方は、実施例24に提供されている。
【0660】 (実施例27:遺伝子治療を使用する処置方法−エキソビボ) 遺伝子治療の1つの方法は、PGRP−Lポリペプチドを発現し得る線維芽細
胞を患者に移植する方法である。一般に、線維芽細胞は、皮膚生検により被験者
から得られる。得られた組織を組織培養培地中に配置し、小片に分割する。小塊
の組織を組織培養フラスコの湿潤表面に置き、ほぼ10片を各フラスコに置く。
このフラスコを倒置し、しっかりと閉めた後、室温で一晩放置する。室温で24
時間後、フラスコを反転させ、組織塊をフラスコの底に固定させたままにし、そ
して新鮮培地(例えば、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを
含有するHamのF12培地)を添加する。次いで、フラスコを37℃で約1週
間インキュベートする。
【0661】 この時点で、新鮮培地を添加し、次いで数日ごとに取り換える。さらに二週間
培養した後に単層の線維芽細胞が出現する。単層をトリプシン処理し、さらに大
きなフラスコにスケールアップする。
【0662】 Moloneyマウス肉腫ウイルスの長末端反復が隣接するpMV−7(Ki
rschmeier,P.T.ら、DNA,7:219−25(1988))を
EcoRIおよびHindIIIで消化した後、仔ウシ腸ホスファターゼで処理
する。線状ベクターをアガロースゲルで分画し、そしてガラスビーズを使用して
精製する。
【0663】 PGRP−LをコードするcDNAを、実施例1に記載のそれぞれ5’および
3’末端配列に対応するPCRプライマーを使用して増幅し得る。好ましくは、
5’プライマーはEcoRI部位を含み、そして3’プライマーはHindII
I部位を含む。等量の、Moloneyマウス肉腫ウイルス線状骨格および増幅
したEcoRIおよびHindIIIフラグメントを、T4 DNAリガーゼの
存在下で一緒に加える。得られた混合物を二つのフラグメントを連結するのに適
した条件下で維持する。次いで、連結混合物を使用し、細菌HB101を形質転
換する。次いで、ベクターが正確に挿入されたPGRP−Lを有することを確認
する目的のために、それを、カナマイシンを含む寒天上にプレーティングした。
【0664】 アンフォトロピックpA317またはGP+am12パッケージング細胞を、
10%仔ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むDul
becco改変Eagles培地(DMEM)中、組織培養でコンフルエントな
密度まで増殖させる。次いで、PGRP−L遺伝子を含むMSVベクターを培地
に加え、そしてパッケージング細胞にベクターを形質導入する。このとき、パッ
ケージング細胞はPGRP−L遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(こ
こで、パッケージング細胞をプロデューサー細胞という)。
【0665】 形質導入されたプロデューサー細胞に新鮮培地を添加し、次いで培地を10c
mプレートのコンフルエントなプロデューサー細胞から採取する。感染性ウイル
ス粒子を含む使用済み培地を、ミリポアーフィルターを通して濾過し、はがれた
プロデューサー細胞を除去した後、この培地を使用して、線維芽細胞を感染させ
る。線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから培地を除去し、そしてプロ
デューサー細胞からの培地で速やかに置き換える。この培地を除去し、そして新
鮮培地と置き換える。ウイルスの力価が高ければ、実質的にすべての線維芽細胞
が感染され、選択は必要ではない。力価が非常に低ければ、neoまたはhis
のような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用することが必要で
ある。一旦、線維芽細胞が効率的に感染したなら、線維芽細胞を分析し、PGR
P−Lタンパク質が産生されているか否かを決定する。
【0666】 次いで、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス3マイクロ
キャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで宿主に移植する
【0667】 (実施例28:内因性PGRP−L遺伝子を用いる遺伝子治療) 本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、例えば、米国特許第5,641,67
0号(1997年6月24日発行);国際公開番号WO96/29411(19
96年9月26日公開);国際公開番号WO94/12650(1994年8月
4日公開);Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
、86:8932−8935(1989);およびZijlstraら、Nat
ure,342:435−438(1989)に記載されるように、相同組換え
を介して内因性PGRP−L配列とプロモーターとを作動可能に結合させること
を包含する。この方法は、標的細胞中に存在するがこの細胞中に発現されないか
または所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の活性化を含む。
【0668】 ポリヌクレオチド構築物を、プロモーターおよび標的化配列を含むように作製
する。これは、このプロモーターに隣接する内因性PGRP−Lの5’非コード
配列に相同である。この標的化配列は、PGRP−Lの5’末端に十分に近いの
で、このプロモーターは、相同組換えに際して内因性配列に作動可能に連結され
る。このプロモーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅し得る。好ま
しくは、この増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上に別個の制限
酵素部位を含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、この増幅したプ
ロモーターの5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5
’末端は、この増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。
【0669】 増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消化し
、続いて、仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび消
化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下で共に添加する。得られた
混合物を、2つのフラグメントを連結するのに適した条件下で維持する。この構
築物を、アガロースゲル上でサイズ分画し、次いで、フェノール抽出およびエタ
ノール沈殿によって精製する。
【0670】 この実施例において、ポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーションを
介して、裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチド
構築物をまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス配
列、ウイルス粒子、沈殿剤など)と共に投与し得る。このような送達方法は、当
該分野で公知である。
【0671】 一旦、細胞をトランスフェクトすると、プロモーターが内因性PGRP−L配
列に作動可能に連結されることを生じる相同組換えが起こる。これは、細胞中の
PGRP−Lの発現を生じる。発現を、免疫学的染色によって、または当該分野
で公知の任意の他の方法によって検出し得る。
【0672】 線維芽細胞を、皮膚生検により被験体から得る。得られた組織を、DMEM+
10%仔ウシ血清中に配置する。指数関数的に増殖しているかまたは初期定常相
の線維芽細胞を、トリプシン処理し、そして栄養培地を有するプラスチック表面
からリンスする。細胞懸濁液のアリコートを計数のために取り出し、そして残り
の細胞を遠心分離に供する。この上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレ
クトロポレーション緩衝液(20mM HEPES(pH7.3)、137mM
NaCl、5mM KCl、0.7mM Na2HPO4、6mM デキストロ
ース)中に再懸濁する。細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞を1m
g/mlのアセチル化ウシ血清アルブミンを含有するエレクトロポレーション緩
衝液中に再懸濁する。最終細胞懸濁液は、約3×106細胞/mlを含む。エレ
クトロポレーションは、再懸濁の直後に実施するべきである。
【0673】 プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、PGRP−L遺
伝子座に標的化するプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18(MB
I Fermentas,Amherst,NY)を、HindIIIで消化す
る。CMVプロモーターを、5’末端上にXbaI部位および3’末端上にBa
mHI部位を用いて、PCRによって増幅する。2つのPGRP−L非コード配
列を、PCRを介して増幅する:一方のPGRP−L非コード配列(PGRP−
Lフラグメント1)を、5’末端でHindIII部位、および3’末端でXb
a部位を用いて増幅する;他方のPGRP−L非コード配列(PGRP−Lフラ
グメント2)を、5’末端でBamHI部位、および3’末端でHindIII
部位を用いて増幅する。このCMVプロモーターおよびPGRP−Lフラグメン
トを、適切な酵素(CMVプロモーター−XbaIおよびBamHI;PGRP
−Lフラグメント1−XbaI;PGRP−Lフラグメント2−BamHI)で
消化し、共に連結する。得られた連結産物を、HindIIIで消化し、そして
HindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結する。
【0674】 プラスミドDNAを、0.4cmの電極キャップ(Bio−Rad)を備える
滅菌キュベットに添加する。最終DNA濃度は、一般に、少なくとも120μg
/mlである。次いで、0.5mlの細胞懸濁液(約1.5×106細胞を含む
)を、このキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を穏や
かに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置(Bi
o−Rad)を用いて実施する。静電容量および電圧量を、それぞれ、960μ
Fおよび250〜300Vに設定する。電圧量を増加させるにつれて細胞の生存
は減少するが、導入したDNAをこれらのゲノムへ安定に組み込んた細胞の生存
する割合は、劇的に増加する。これらのパラメーター与えると、約14〜20m
Secのパルス時間を観察するはずである。
【0675】 エレクトロポレーションした細胞を、室温にて約5分間保持し、ついでキュベ
ットの内容物を、無菌の移動用ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞を
、10cmディッシュ中の10mlの予め温めた栄養培地(15%仔ウシ血清を
有するDMEM)に直接添加し、そして37℃にてインキュベートする。翌日、
この培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置き換え、そしてさらに16
〜24時間インキュベートする。
【0676】 次いで、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス(cyto
dex)3マイクロキャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれ
かで宿主に注射する。ここでこの線維芽細胞はタンパク質産物を生成する。次い
で、この線維芽細胞は、上記のように患者へと導入され得る。
【0677】 (実施例29:遺伝子治療を使用する処置方法−インビボ) 本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置するためにインビボ遺伝
子治療方法を使用することである。この遺伝子治療法は、PGRP−Lポリペプ
チドの発現を増大または減少させるための、動物への裸の核酸(DNA、RNA
、およびアンチセンスDNAまたはRNA)配列の導入に関する。PGRP−L
ポリヌクレオチドは、プロモーター、または標的組織によるPGRP−Lポリペ
プチドの発現に必要な任意の他の遺伝子エレメントに、作動可能に連結され得る
。このような遺伝子治療および送達の技術および方法は、当該分野で公知であり
、例えば、WO90/11092、WO98/11779;米国特許第5693
622号、同第5705151号、同第5580859号;Tabata H.
ら(1997)Cardiovasc.Res.35(3):470−479;
Chao J.ら(1997)Pharmacol.Res.35(6):51
7−522;Wolff J.A.(1997)Neuromuscul.Di
sord.7(5):314−318、Schwartz B.ら(1996)
Gene Ther. 3(5):405−411;Tsurumi Y.ら(
1996)Circulation 94(12):3281−3290(19
96)(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0678】 PGRP−Lポリヌクレオチド構築物は、注入可能な物質を動物の細胞に送達
する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙
空間への注入)によって送達され得る。このPGRP−Lポリヌクレオチド構築
物は、薬学的に受容可能な液体または水性キャリア中で送達され得る。
【0679】 用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への侵入を補助
、促進、または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列
、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈澱剤などを含む
)も含まない配列をいう。しかし、PGRP−Lポリヌクレオチドはまた、当業
者に周知の方法によって調製され得るリポソーム処方物(例えば、Felgne
r P.L.ら(1995)Ann.NY Acad.Sci.772:126
−139およびAbdallah B.ら(1995)Biol.Cell 8
5(1):1−7で教示されたもの)中で送達され得る。
【0680】 この遺伝子治療方法において使用されるPGRP−Lポリヌクレオチドベクタ
ー構築物は、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列も
含まない構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモーターが、DNAの
発現を駆動するために用いられ得る。他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸
配列を標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオ
チド合成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入
されて、6ヶ月までの間の期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが
示された。
【0681】 このPGRP−Lポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳
、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、
胆嚢、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包
含する)の間隙空間に送達され得る。この組織の間隙空間は、細胞間液、ムコ多
糖基質(器官組織の細網線維、血管または腔(chamber)の壁における弾
性線維、線維性組織におけるコラーゲン線維に間にある)、あるいは結合組織鞘
性筋肉細胞内または骨の裂孔中の同じ基質を包含する。これは、同様に、循環の
血漿およびリンパチャンネルのリンパ液により占められた空間である。筋肉組織
の間隙空間への送達は、以下に考察する理由のために好ましい。それらは、これ
らの細胞を含む組織への注入によって、好都合に送達され得る。それらは、好ま
しくは、分化した持続性の非***細胞に送達され、そしてその細胞において発現
されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には分化していない細胞(
例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る。インビボ
で、筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そして発現する能力において、
特に適格である。
【0682】 裸のPGRP−Lポリヌクレオチド注入のために、DNAまたはRNAの有効
投薬量は、約0.05g/kg体重から約50mg/kg体重の範囲にある。好
ましくは、この投薬量は、約0.005mg/kgから約20mg/kgであり
、そしてより好ましくは、約0.05mg/kgから約5mg/kgである。も
ちろん、当業者が認識するように、この投薬量は、注入の組織部位に従って変化
する。核酸配列の適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、
そして処置される状態および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織
の間隙空間への非経口注入経路によってである。しかし、他の非経口経路もまた
用いられ得、これには、例えば、特に肺または気管支組織、咽喉、または鼻の粘
膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸のPGR
P−Lポリヌクレオチド構築物が、血管形成術の間にこの手順において用いられ
るカテーテルによって動脈に送達され得る。
【0683】 インビボでの筋肉における注入PGRP−Lポリヌクレオチドの用量応答効果
を、以下のようにして決定する。PGRP−LポリペプチドをコードするmRN
Aの生成のための適切なPGRP−L鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法
論に従って調製する。この鋳型DNA(これは環状または線状のいずれかであり
得る)を裸のDNAとして使用するか、またはリポソームと複合体化するかのい
ずれかである。次いで、マウスの四頭筋に、種々の量の鋳型DNAを注入する。
【0684】 5〜6週齢の雌性および雄性のBalb/Cマウスに、0.3mlの2.5%
Avertinを腹腔内注射することにより麻酔する。1.5cmの切開を大腿
前部で行い、そして四頭筋を直接可視化する。PGRP−L鋳型DNAを、0.
1mlのキャリアに入れて、1cc注射器で27ゲージ針を通して1分間にわた
って、筋肉の遠位挿入部位から約0.5cmのところで膝に、約0.2cmの深
さで注入する。縫合を、将来の位置決定のために注入部位の上で行い、そしてそ
の皮膚をステンレス鋼クリップで閉じる。
【0685】 適切なインキュベーション時間(例えば、7日)後、筋肉抽出物を、四頭全体
を切り出すことによって調製する。個々の四頭筋の5枚毎の15μm切片を、P
GRP−Lポリぺプチド発現について組織化学的に染色する。PGRP−Lタン
パク質発現についてのタイムコースは、異なるマウスからの四頭を異なる時間で
採取すること以外は、同様な様式で行い得る。注入後の筋肉中のPGRP−LD
NAの持続性を、注入したマウスおよびコントロールマウスからの全細胞性DN
AおよびHIRT上清を調製した後、サザンブロット分析によって決定し得る。
マウスにおける上記実験の結果は、PGRP−Lの裸のDNAを用いて、ヒトお
よび他の動物において適切な投薬量および他の処置パラメーターを外挿するため
に使用し得る。
【0686】 (実施例30:PGRP−Lトランスジェニック動物) PGRP−Lポリペプチドはまた、トランスジェニック動物において発現され
得る。マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ(m
icro−pig)、ヤギ、ヒツジ、ウシおよびヒト以外の霊長類(例えば、ヒ
ヒ、サルおよびチンパンジー)を含むがこれらに限定されない任意の種の動物は
、トランスジェニック動物を作製するために用いられ得る。特定の実施形態にお
いて、本明細書に記載されるかまたはさもなければ当該分野で公知の技術が、遺
伝子治療プロトコルの一部として、ヒトにおける本発明のポリペプチドの発現の
ために用いられる。
【0687】 当該分野で公知の任意の技術を、導入遺伝子(すなわち、本発明のポリヌクレ
オチド)の動物への導入に用いて、トランスジェニック動物の創始系統(fou
nder line)を生成し得る。このような技術は、前核マイクロインジェ
クション(Patersonら、Appl.Microbiol.Biotec
hnol.40:691−698(1994);Carverら、Biotec
hnology(NY)11:1263−1270(1993);Wright
ら、Biotechnology(NY)9:830−834(1991);お
よびHoppeら、米国特許第4,873,191号(1989));生殖系列
への遺伝子移入を媒介するレトロウイルス(Van der Puttenら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:6148−6152(
1985))、胚盤胞または胚;胚性幹細胞における遺伝子標的化(Thomp
sonら、Cell 56:313−321(1989));細胞または胚のエ
レクトロポレーション(Lo、1983、Mol Cell.Biol.3:1
803−1814(1983));遺伝子銃を用いた本発明のポリヌクレオチド
の導入(例えば、Ulmerら、Science 259:1745(1993
)を参照のこと);胚性多能性(pleuripotent)幹細胞への核酸構
築物の導入および胚盤胞へのこの幹細胞の再移入;ならびに***媒介遺伝子移入
(Lavitranoら、Cell 57:717−723(1989));な
どを含むがこれらに限定されない。このような技術の総説については、本明細書
中にその全体が参考として援用される、Gordon、「Transgenic
Animals」、Intl.Rev.Cytol.115:171−229
(1989)を参照のこと。
【0688】 当該分野で公知の任意の技術を用いて、本発明のポリヌクレオチドを含むトラ
ンスジェニッククローンを生成し得る(例えば、培養された、静止状態に誘導さ
れた胚細胞、胎児細胞または成体の細胞由来の除核した卵母細胞の核への核移入
(Campellら、Nature 380:64−66(1996);Wil
mutら、Nature 385:810−813(1997)))。
【0689】 本発明は、その全ての細胞に導入遺伝子を有するトランスジェニック動物、な
らびにいくつかの細胞(しかしその全ての細胞ではない)に導入遺伝子を有する
動物(すなわち、モザイク動物またはキメラ)を提供する。導入遺伝子は、1つ
の導入遺伝子としてまたはコンカテマー(例えば、頭−頭タンデム型または頭−
尾タンデム型)のような複数のコピーとして組み込まれ得る。この導入遺伝子は
また、例えば、Laskoらの教示(Laskoら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 89:6232−6236(1992))に従って特定
の細胞型に選択的に導入され得、そして活性化され得る。このような細胞型特異
的活性化に必要とされる調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれ
らは当業者に明らかである。ポリヌクレオチド導入遺伝子が、内在性遺伝子の染
色体部位に組み込まれることが所望される場合、遺伝子の標的化が好ましい。
【0690】 手短に言えば、このような技術が利用される場合、内在性遺伝子に対して相同
ないくつかのヌクレオチド配列を含むベクターが、染色体配列との相同な組換え
を介して内在性遺伝子のヌクレオチド配列に組み込まれ、そのヌクレオチド配列
の機能を破壊することを目的として設計される。導入遺伝子はまた、特定の細胞
型に選択的に導入され得、従って、例えば、Guら(Guら、Science
265:103−106(1994))の教示に従って、導入された細胞型にお
いてのみ内在性遺伝子が不活化される。そのような細胞型特異的不活化に必要と
される調節配列は、目的の特定の細胞型に依存し、そしてそれらは当業者に明ら
かである。この節に列挙されている文献の各々の内容は、本明細書中でその全体
が参考として援用される。
【0691】 一旦トランスジェニック動物が作製されると、その組換え遺伝子の発現は、標
準的な技術を利用してアッセイされ得る。最初のスクリーニングは、サザンブロ
ット分析またはPCR技術によって達成されて、導入遺伝子の組み込みが起きた
ことを動物組織の分析により確認し得る。トランスジェニック動物の組織におけ
る導入遺伝子のmRNA発現レベルはまた、動物から得た組織サンプルのノーザ
ンブロット分析、インサイチュハイブリダイゼーション分析、および逆転写酵素
PCR(rt−PCR)を含むがこれらに限定されない技術を用いて評価され得
る。トランスジェニック遺伝子発現組織のサンプルはまた、導入遺伝子産物に特
異的な抗体を用いて免疫細胞化学的または免疫組織化学的に評価され得る。
【0692】 一旦、創始動物が作製されると、それらは、交配され、同系交配され、異系交
配されるかまたは交雑されて、特定の動物のコロニーを生じ得る。そのような交
配戦略の例は、以下を含むがそれらに限定されない:別の系統を樹立するための
1つより多くの組み込み部位を有する創始動物の異系交配;各導入遺伝子の相加
的発現効果によって、より高いレベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジェ
ニックを作製するための別々の系統の同系交配;増強された発現およびDNA分
析による動物のスクリーニングの必要性の排除の両方のための、所定の組み込み
部位に対してホモ接合性の動物を作製するヘテロ接合性トランスジェニック動物
の交雑;複合ヘテロ接合性またはホモ接合性系統を作製するための別々のホモ接
合系統の交雑;ならびに目的の実験モデルに適切な異なるバックグラウンド上に
導入遺伝子を配置するための交配。
【0693】 本発明のトランスジェニック動物は、PGRP−Lポリペプチドの生物学的機
能の詳述、異常なPGRP−L発現に関連する状態および/または障害の研究、
ならびにこのような状態および/または障害の改善に有効な化合物についてのス
クリーニングに有用な動物モデル系を含むがこれらに限定されない用途を有する
【0694】 (実施例31:PGRP−L ノックアウト動物) 内因性PGRP−L遺伝子発現もまた、標的化された相同組換えを使用してP
GRP−L遺伝子および/またはそのプロモーターを不活性化あるいは「ノック
アウトする」ことによって減少し得る(例えば、Smithiesら、Natu
re 317:230−234(1985);ThomasおよびCapecc
hi、Cell 51:503−512(1987);Thompsonら、C
ell 5:313−321(1989)を参照のこと;これらの各々は、本明
細書中でその全体が参考として援用される)。例えば、内因性ポリヌクレオチド
配列(この遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)と相同性のDNAに
隣接される、本発明の改変体、非機能的なポリヌクレオチド(または完全に関連
のないDNA配列)を、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーを
用いてまたは用いずに使用し、インビボで本発明のポリペプチドを発現する細胞
をトランスフェクトし得る。別の実施態様において、当該分野で公知の技術を、
目的の遺伝子を含むが、発現しない細胞中でノックアウトを生じるために使用す
る。標的化された相同組換えを介した、このDNA構築物の挿入は、標的化され
た遺伝子の不活性化を生じる。このようなアプローチは、胚性幹細胞に対する改
変が不活性な標的化された遺伝子を有する動物の子孫を作製するために使用され
得る研究および農業分野に特に適する(例えば、ThomasおよびCapec
chi 1987およびThompson 1989、前出を参照のこと)。し
かし、このアプローチは、当業者に明白な、適切なウイルスベクターを使用して
、組換えDNA構築物がインビボで要求された部位に直接投与され、または標的
化される場合、ヒトにおける使用に慣用的に適合され得る。
【0695】 本発明のさらなる実施形態において、本発明のポリペプチドを発現するために
遺伝子操作される細胞、あるいは本発明のポリペプチドを発現しないように遺伝
子操作される細胞(例えば、ノックアウト)を、インビボで患者に投与する。こ
のような細胞は、患者(すなわち、ヒトを含む動物)またはMHC適合性ドナー
から入手され得、そして線維芽細胞、骨髄細胞、血球(例えば、リンパ球)、脂
肪細胞、筋細胞、内皮細胞などを含み得るが、それらに限定されない。この細胞
を、例えば、形質導入(ウイルスベクターおよび好ましくは細胞ゲノム中に導入
遺伝子を組み込むベクターを使用する)、またはトランスフェクション手順(プ
ラスミド、コスミド、YAC、裸のDNA、エレクトロポレーション、リポソー
ムなどの使用を含むが、これらに限定されない)によって、細胞中に本発明のポ
リペプチドのコード配列を導入するために、あるいはこのコード配列および/ま
たは本発明のポリペプチドに結合している内因性の調節配列を破壊するために、
組換えDNA技術を使用してインビトロで遺伝子操作する。本発明のポリペプチ
ドのコード配列を強力な構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーターまたは
プロモーター/エンハンサーの制御下に配置し、PGRP−Lポリペプチドの発
現および好ましくは分泌を達成し得る。本発明のポリペプチドを発現および好ま
しくは分泌する操作した細胞を、例えば、循環中において、または腹腔内で患者
中へ全身的に導入し得る。
【0696】 あるいは、この細胞をマトリックスに組み込み得、そして身体に移植し得る(
例えば、遺伝子操作した線維芽細胞を皮膚移植片の一部として移植し得る);遺
伝子操作した内皮細胞をリンパ移植片または脈管移植片の一部として移植し得る
(例えば、Andersonら、米国特許第5,399,349号ならびにMu
lliganおよびWilson、米国特許第5,460,959号を参照のこ
と。これらの各々は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。
【0697】 投与される細胞が非自己または非MHC適合性細胞である場合、それらを、こ
の導入細胞に対する宿主免疫応答の発生を妨害する周知の技術を使用して投与し
得る。例えば、この細胞を被包性の形態で導入し得、構成成分と即時の細胞外環
境との交換が可能である間は、導入細胞が宿主免疫系によって認識され得ない。
【0698】 本発明のノックアウト動物は、PGRP−Lポリペプチドの生物学的機能の詳
述、異常なPGRP−L発現に関連する状態および/または障害の研究、ならび
にこのような状態および/または障害を寛解させる場合に有効な化合物のスクリ
ーニングにおいて有用な動物モデル系を含むが、それらに限定されない用途を有
する。 (実施例32:B細胞増殖および分化の刺激または阻害を検出するアッセイ) 機能的体液性免疫応答の生成は、B系列の細胞とそれらの微小環境との間に、
可溶性のシグナル伝達および同族のシグナル伝達の両方を必要とする。シグナル
は、陽性の刺激(B系列の細胞がプログラムされた発生を持続するようにさせる
)、または陰性の刺激(細胞が電流発生経路を阻止するように指示する)を伝え
得る。現在までに、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL
−10、IL−13、IL−14およびIL−15を含む、多数の刺激シグナル
および阻害シグナルがB細胞応答性に影響することが見出されている。興味深い
ことに、これらのシグナルはそれ自体は弱いエフェクターであるが、種々の同時
刺激タンパク質と組み合わせて、B細胞集団中の活性化、増殖、分化、ホーミン
グ、耐性、および死を誘導し得る。
【0699】 B細胞同時刺激タンパク質の最も研究されたクラスの1つがTNFスーパーフ
ァミリーである。このファミリー内で、CD40、CD27およびCD30は、
そのそれぞれのリガンドである、CD154、CD70およびCD153と共に
種々の免疫応答を調節することが見出されている。これらのB細胞集団およびそ
れらの前駆細胞の増殖および分化の検出および/または観察を可能にするアッセ
イは、種々のタンパク質がこれらのB細胞集団上に、増殖および分化の点で有し
得る効果を決定する際に価値のあるツールである。以下に列挙するのは、B細胞
集団およびそれらの前駆体の分化、増殖、または阻害の検出を可能にするように
設計された2つのアッセイである。
【0700】 (インビトロアッセイ)−精製されたPGRP−Lタンパク質、またはそれら
の短縮化形態を、B細胞集団およびそれらの前駆体において活性化、増殖、分化
もしくは阻害および/または死を誘導する能力について評価する。精製したヒト
扁桃腺B細胞へのPGRP−Lタンパク質の活性(定性的に0.1〜10,00
0ng/mLの用量範囲にわたって測定した)を、標準的なBリンパ球同時刺激
アッセイにおいて評価する。このアッセイでは、精製した扁桃腺B細胞を、プラ
イミング因子として、ホルマリン固定Staphylococcus aure
us Cowan I(SAC)、または固定した抗ヒトIgM抗体のいずれか
の存在下で培養する。IL−2およびIL−15のような第2のシグナルは、ト
リチウム化チミジン取り込みにより測定した場合、SACおよびIgM架橋と協
同してB細胞増殖を誘発する。新規な協同因子を、このアッセイを用いて容易に
同定し得る。このアッセイは、CD3陽性細胞の磁気ビーズ(MACS)枯渇に
よりヒト扁桃腺B細胞を単離する工程を包含する。得られる細胞集団は、CD4
5R(B220)の発現により評価する場合、95%のB細胞より大きい。
【0701】 それぞれのサンプルの種々の希釈物を96ウェルプレートの個々のウェルに配
置し、ここへ、培養培地(10%FBS、5×10-5M 2ME、100U/m
lペニシリン、10μg/mlストレプトマイシン、および10-5希釈のSAC
を含有するRPM1640)中で懸濁した、総量150μl中の、105B細胞
を添加する。増殖または阻害を、因子の添加後72時間から開始して、3H−チ
ミジン(6.7Ci/mM)で20hパルス(1μCi/ウェル)により定量す
る。陽性コントロールおよび陰性コントロールは、それぞれIL2および培地で
ある。
【0702】 (インビボアッセイ)−BALB/cマウスに、緩衝液のみ、または2mg/
kgのPGRP−Lタンパク質、またはそれらの短縮形態を、1日2回注射(i
.p.)する。マウスにこの処置を4日間連続して与え、この時点でそれらを屠
殺し、そして分析のために種々の組織および血清を収集した。正常な脾臓および
PGRP−Lタンパク質で処理した脾臓由来のH&E切片の比較により、脾臓細
胞でのPGRP−Lタンパク質の活性の結果、例えば、動脈周囲リンパ性鞘の拡
散および/または赤色脾髄領域の有核の細胞充実性の有意な増加(これは、B細
胞集団の分化および増殖の活性化を示し得る)が確認される。B細胞マーカーで
ある、抗CD45R(B220)を用いる免疫組織化学的研究を用いて、脾臓細
胞への任意の生理的な変化(例えば、脾臓組織崩壊)が、樹立されたT細胞領域
に浸潤する漠然と規定されたB細胞区画内のB細胞提示の増加に起因するか否か
を決定する。
【0703】 PGRP−Lタンパク質で処置したマウス由来の脾臓のフローサイトメトリー
分析を用いて、PGRP−Lタンパク質が、ThB+であるCD45R(B22
0)dull B細胞の比を、コントロールマウスで観察される比よりも特異的
に増加するか否かを示す。
【0704】 同様に、増加した成熟B細胞のインビボでの提示の推定される結果は、血清I
g力価が相対的に増加である。従って、血清IgMおよびIgAレベルを緩衝液
処置マウスとPGRP−Lタンパク質処置マウスとの間で比較する。
【0705】 本実施例において記載する研究は、PGRP−Lタンパク質の活性を試験した
。しかし、当業者は、PGRP−Lポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子治
療)、PGRP−Lのアゴニスト、および/またはアンタゴニストを試験するた
めに、例示する研究を容易に改変し得る。
【0706】 (実施例33:T細胞増殖アッセイ) CD3誘導性の増殖アッセイをPBMCで実行し、そして3H−チミジンの取
り込みにより測定する。このアッセイを以下のように実行する。96ウェルプレ
ートを、CD3に対するmAb(HIT3a,Pharmingen)の100
μl/ウェル、またはアイソタイプ適合のコントロールmAb(B33.1)(
0.05M 炭酸水素緩衝液、pH9.5中、1μg/ml)で4℃で1晩、コ
ートし、次いでPBSで3回洗浄する。PBMCをヒト末梢血から、F/H勾配
遠心分離により単離し、そしてPGRP−Lタンパク質の種々の濃度での存在下
で、10%FCSおよびP/Sを含有するRPMI中、mAbでコートしたプレ
ートの4通りのウェル(5×104/ウェル)に添加する(総量200μl)。
関連するタンパク質緩衝液および培地単独がコントロールである。37℃での培
養の48時間後、プレートを1000rpmで2分間回転させ、そして100μ
lの上清を除去し、そして、増殖への効果が観察される場合、IL−2(または
他のサイトカイン)の測定のために−20℃で貯蔵した。ウェルに0.5μCi
3Hチミジンを含有する100μlの培地を補充し、そして37℃で18〜2
4時間培養する。ウェルを収集し、そして3Hチミジンの取り込みを増殖の指標
として用いた。抗CD3単独が増殖の陽性コントロールである。IL−2(10
0U/ml)をまた、増殖を増強するコントロールとして用いる。T細胞の増殖
を誘導しないコントロール抗体をPGRP−Lタンパク質の効果についての陰性
コントロールとして用いる。
【0707】 本実施例において記載される研究は、PGRP−Lタンパク質の活性を試験し
た。しかし、当業者は、PGRP−Lポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子
治療)、PGRP−Lのアゴニスト、および/またはアンタゴニストを試験する
ために、例示する研究を容易に改変し得る。
【0708】 (実施例34:MHCクラスII、同時刺激分子および接着分子の発現、なら
びに単球および単球由来ヒト樹状細胞の細胞分化へのPGRP−Lの効果) 樹状細胞を末梢血において見出される増殖前駆体の増殖により生成する:接着
性PBMCまたは清浄化単球画分を、GM−CSF(50ng/ml)およびI
L−4(20ng/ml)とともに7〜10日間培養する。これらの樹状細胞は
、非成熟細胞の特徴的表現型(CD1、CD80、CD86、CD40およびM
HCクラスII抗原の発現)を有する。TNF−αのような活性化因子での処理
は、表面表現形に迅速な変化(MHCクラスIおよびII、同時刺激分子および
接着分子の発現の増加、FCγRIIの下方制御、CD83の上方制御)を生じ
る。これらの変化は抗原提示能力の増加、および樹状細胞の機能的成熟と関連す
る。
【0709】 表面抗原のFACS分析を以下の様に実施する。細胞を、PGRP−Lまたは
LPS(陽性コントロール)の漸増する濃度で1〜3日処理し、1%BSAおよ
び0.02mMアジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄し、次いで1:20希
釈の適切なFITC標識モノクローナル抗体またはPE標識モノクローナル抗体
とともに、4℃で30分間インキュベートする。さらなる洗浄後、標識した細胞
をFACScan(Becton Dickinson)でのフローサイトメト
リーにより分析する。
【0710】 (サイトカインの生成への効果)樹状細胞により生成されるサイトカイン、特
にIL−12は、T細胞依存性免疫応答の開始において重要である。IL−12
は、Th1ヘルパーT細胞免疫応答の発生に強力に影響し、そして細胞傷害性T
細胞機能およびNK細胞機能を誘導する。ELISAを用いて以下のようにIL
−12放出を測定する。樹状細胞(106/ml)を、PGRP−Lの漸増する
濃度で24時間処理する。LPS(100ng/ml)を、陽性コントロールと
して細胞培養に添加する。次いで、細胞培養からの上清を収集し、そして市販の
ELISAキット(例えば、R&D Systems(Minneapolis
,MN))を用いてIL−12含量について分析する。キットに提供される標準
的プロトコールを用いる。
【0711】 MHCクラスII、同時刺激分子および接着分子の発現への効果。細胞表面抗
原の3つの主なファミリー:接着分子、抗原提示に関与する分子、およびFcレ
セプター、が、単球上で同定され得る。MHCクラスII抗原および他の同時刺
激分子(例えば、B7およびICAM−I)の発現の調節は、単球の抗原提示能
力、およびT細胞活性化を誘導する能力に変化を生じ得る。Fcレセプターの発
現増加は、単球細胞傷害性活性、サイトカイン放出および食菌作用の改善と相関
し得る。
【0712】 FACS分析は、以下のような表面抗原を試験するために用いられる。単球を
、PGRP−LまたはLPS(陽性コントロール)の漸増する濃度で1〜5日処
理し、1%BSAおよび0.02mMアジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄
し、次いで1:20希釈の適切なFITC標識モノクローナル抗体またはPE標
識モノクローナル抗体とともに、4℃で30分間インキュベートする。さらなる
洗浄後、標識した細胞をFACScan(Becton Dickinson)
でのフローサイトメトリーにより分析する。
【0713】 (単球活性化および/または生存の増加)単球を活性化する(あるいは、不活
化する)および/または単球の生存を増加する(あるいは、単球生存を低下させ
る)分子についてのアッセイは、当該分野で公知であり、そして本発明の分子が
単球のインヒビターまたはアクチベーターとして機能するか否かを決定するため
に慣用的に適用され得る。PGRP−L、PGRP−Lのアゴニストまたはアン
タゴニストは、以下に記載の3つのアッセイを用いてスクリーニングされ得る。
これらのアッセイのそれぞれについて、末梢血単核細胞(PBMC)を、His
topaque勾配(Sigma)を通じた遠心分離により、単一のドナーle
ukopack(American Red Cross,Baltimore
,MD)から精製する。単球を向流遠心性エルトリエーション(counter
flow centrifugal elutriation)によりPBMC
から単離する。
【0714】 (単球生存アッセイ)ヒト末梢血単球は、血清または他の刺激の非存在下で培
養した場合、次第に生存度を失う。それらの死は、内部調節されたプロセス(ア
ポトーシス)から生じる。活性化因子、例えばTNFαの培養への添加は、劇的
に、細胞生存を改善し、そしてDNAの断片化を妨げる。プロピジウムヨード(
PI)染色を用いて、以下のようにアポトーシスを測定する。単球を、100n
g/mlのTNF−α(陰性コントロール)の存在下、および試験される種々の
濃度の化合物の存在下で、ポリプロピレンチューブ中の無血清培地(陽性コント
ロール)中で、48時間培養する。細胞を、最終濃度5μg/mlでPIを含有
するPBS中で2×106/mlの濃度に懸濁し、次いでFACScan分析の
前に5分間室温でインキュベートする。PI取り込みは、この試験パラダイムに
おけるDNAの断片化と相関することを示している。
【0715】 (サイトカイン放出への影響)単球/マクロファージの重要な機能は、刺激後
のサイトカインの放出を通じた免疫系の他の細胞集団への調節活性である。サイ
トカイン放出を測定するためのELISAは、以下のように実施する。ヒト単球
を、5×105細胞/mlの密度で、PGRP−Lの漸増する濃度とともに、お
よび同じ条件下でPGRP−Lの非存在下で、インキュベートする。IL−12
の生成については、この細胞を、PGRP−Lの存在下でIFN(100U/m
l)で1晩プライムする。次いで、LPS(10ng/ml)を添加する。馴化
培地を24時間後に収集し、そして使用するまで凍結保存する。次いで、TNF
−α、IL−10、MCP−1およびIL−8の測定を市販のELISAキット
(例えば、R&D Systems Minneapolis,MN)を用い、
そしてキットに提供される標準的プロトコールを適用して実施する。
【0716】 (酸化的バースト(Oxidative burst))精製した単球を96
ウェルプレートに2〜1×105細胞/ウェルでプレートする。PGRP−Lの
漸増濃度をウェルの総量0.2mlの培養培地(RPMI 1640+10%F
CS、グルタミンおよび抗生物質)に添加する。3日間のインキュベーション後
、このプレートを遠心分離し、そして培地をウェルから除く。マクロファージの
単層に、1ウェルあたり0.2mlのフェノールレッド溶液(140mM Na
Cl、10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0、5.5mMデキストロース
、0.56mMフェノールレッドおよび19U/mlのHRPO)を、刺激物質
(200nM PMA)とともに添加する。このプレートを37℃で2時間イン
キュベートし、そして1ウェルあたり20μlの1N NaOHを添加して反応
を停止する。吸光度を610nmで読む。マクロファージにより生成されるH2
2の量を算出するため、既知のモル濃度のH22溶液の標準曲線をそれぞれの
実験について実施する。
【0717】 本実施例において記載される研究は、PGRP−Lタンパク質の活性を試験し
た。しかし、当業者は、PGRP−Lポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子
治療)、PGRP−Lのアゴニストおよび/またはアンタゴニストの活性を試験
するために、例示する研究を容易に改変し得る。
【0718】 (実施例35:PGRP−L生物学的効果) (星状細胞および神経アッセイ) 上記のように、Escherichia coliで発現され、そして精製さ
れた組換えPGRP−Lを、皮質ニューロン細胞の生存、神経突起成長または表
現形分化を促進する活性について、およびグリア線維性酸性タンパク質免疫陽性
細胞、星状細胞の増殖の誘導について試験し得る。バイオアッセイのための皮質
細胞の選択は、皮質構造中のFGF−1およびFGF−2の広く行き渡っている
発現、ならびにFGF−2処理から生じる皮質ニューロン生存の以前に報告され
た増強に基づく。チミジン取り込みアッセイを用いて、例えば、これらの細胞へ
のPGRP−Lの活性を解明し得る。
【0719】 さらに、インビトロにおける皮質ニューロンまたは海馬ニューロンへのFGF
−2(塩基性FGF)の生物学的効果を記載する以前のレポートは、ニューロン
生存および神経突起成長の両方における増大を実証している(Walicke,
Pら、「Fibroblast growth factor promote
s survival of dissociated hippocampa
l neurons and enhances neurite exten
sion」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:3012〜
3016(1986)、この文献におけるアッセイはその全体が参考として援用
される)。しかし、PC−12細胞で実行される実験からの報告は、これらの2
つの応答が必ずしも同義でないこと、そしてどのFGFを試験しいるかだけでな
く、どのレセプターが標的細胞で発現されているかにも依存し得ることを示唆す
る。神経突起成長を誘導するPGRP−Lの能力を、一次の皮質ニューロン培養
パラダイムを用いて、例えば、チミジン取り込みアッセイを用いてFGF−2で
得られた応答と比較し得る。
【0720】 (線維芽細胞および内皮細胞アッセイ) ヒト肺線維芽細胞をClonetics(San Diego,CA)から入
手し、そしてCloneticsからの増殖培地で維持する。真皮性微小血管内
皮細胞をCell Applications(San Diego,CA)か
ら得る。増殖アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞および真皮性微小血管内皮
細胞を、96ウェルプレートの増殖培地中で1日間、5,000細胞/ウェルで
培養し得る。次いでこの細胞を0.1%BSA基礎培地中で1日間インキュベー
トする。新鮮な0.1%BSA培地で培地を置換した後、細胞を試験タンパク質
と3日間インキュベートする。Alamar Blue(Almar Bios
ciences,Sacramento,CA)を10%の最終濃度になるよう
に各ウェルに添加する。この細胞を4時間インキュベートする。細胞生存度をC
ytoFluor蛍光リーダーでの読取りにより測定する。PGE2アッセイに
ついては、ヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレート中で1日間、5,000細
胞/ウェルで培養する。0.1%BSA基礎培地に培地を変換した後、細胞をI
L−1αとともに、またはそれをともなわずに、FGF−2またはPGRP−L
と24時間インキュベートする。上清を収集し、そしてEIAキット(Caym
an,Ann Arbor,MI)によりPGE2についてアッセイする。IL
−6アッセイについては、ヒト肺線維芽細胞を、96ウェルプレート中で1日間
、5,000細胞/ウェルで培養する。0.1%BSA基礎培地に培地を変換し
た後、細胞をIL−1αとともに、またはそれをともなわずに、FGF−2また
はPGRP−Lと24時間インキュベートする。上清を収集し、そしてELIS
Aキット(Endogen,Cambridge,MA)によりIL−6につい
てアッセイする。
【0721】 ヒト肺線維芽細胞をFGF−2またはPGRP−Lとともに基礎培地中で3日
間培養し、その後、線維芽細胞の増殖への効果を評価するためAlamar B
lueを添加する。FGF−2は、PGRP−Lでの刺激に匹敵して用いられ得
る10〜2500ng/mlの刺激を示すはずである。
【0722】 (パーキンソンモデル) パーキンソン病における運動機能の喪失は、黒質線条体のドーパミン作動性投
射ニューロンの変性から生じる線条体ドーパミンの欠乏に起因する。広範に特徴
付けされたパーキンソン病の動物モデルは、1−メチル−4フェニル1,2,3
,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)の全身投与を含む。CNSにおいて、
MPTPは、星状細胞に取り込まれ、そしてモノアミンオキシダーゼBにより1
−メチル−4−フェニルピリジン(MPP+)に異化され、そして放出される。
引き続き、MPP+は、ドーパミンの高親和性再取り込みトランスポーターによ
りドーパミン作動性ニューロンに能動的に蓄積する。次いで、MPP+は、電気
化学勾配によりミトコンドリア中で濃縮され、そしてニコチン酸アミドアデニン
二リン酸:ユビキノン酸化還元酵素(複合体I)を選択的に阻害し、これにより
電子伝達を妨害し、そして最終的に活性酸素を生成する。
【0723】 FGF−2(塩基性FGF)が黒質のドーパミン作動性ニューロンへの栄養活
性を有することが組織培養パラダイムにおいて実証されている(Ferrari
ら、Dev.Biol.1989)。近年、Unsicker博士のグループは
、線条体のゲル型インプラントでのFGF−2投与がMPTP曝露と関連する毒
性から黒質のドーパミン作動性ニューロンのほぼ完全な防御を生じることを実証
している(OttoおよびUnsicker,J.Neuroscience,
1990)。
【0724】 FGF−2を用いたデータに基づいて、PGRP−Lは、インビトロにおける
ドーパミン作動性ニューロン生存を増強する際において、PGRP−LがFGF
−2の作用と類似の作用を有するか否かを決定するために評価され得、そして、
PGRP−Lはまた、線条体におけるドーパミン作動性ニューロンを、MPTP
処理と関連する損傷からの防御についてインビボで試験され得る。PGRP−L
の潜在的効果を、まずドーパミン性ニューロン細胞培養パラダイムにおいてイン
ビトロで試験する。妊娠14日のWistarラット胚由来の中脳底板を解剖す
ることにより、培養物を調製する。組織をトリプシンで分離し、そしてポリオル
チニン−ラミニンでコートしたカバーガラスに200,000細胞/cm2の密
度で播いた。この細胞をダルベッコ改変イーグル培地およびホルモン補充物(N
I)を含有するF12培地中で維持する。インビトロで8日後、培養物をパラホ
ルムアミドで固定し、そしてチロシンヒドロキシラーゼ(ドーパミン作動性ニュ
ーロンについての特異的マーカー)での免疫組織化学染色のために処理する。分
離した細胞培養物を胚性ラットから調製する。培養培地を3日ごとに変化させ、
そしてこの因子をまたその時点ごとに添加する。
【0725】 ドーパミン作動性ニューロンを妊娠14日(この発生時間は、ドーパミン作動
性前駆細胞が増殖する段階を過ぎる)で動物から単離するので、チロシンヒドロ
キシラーゼ免疫陽性ニューロンの数の増加は、インビトロで生存しているドーパ
ミン作動性ニューロンの数の増加を示す。従って、もしPGRP−Lがドーパミ
ンニューロンの生存を延長するように作用するならば、PGRP−Lがパーキン
ソン病に関与し得ることを示唆する。
【0726】 本実施例において記載される研究は、PGRP−Lタンパク質の活性を試験し
た。しかし、当業者は、PGRP−Lポリヌクレオチドの活性(例えば、遺伝子
治療)、PGRP−Lのアゴニスト、および/またはアンタゴニストを試験する
ために、例示する研究を容易に改変し得る。
【0727】 (実施例36:PGRP−LによるTNFα誘導性接着分子発現の抑制) 炎症および新脈管形成の領域に対するリンパ球の漸増は、リンパ球上の細胞表
面接着分子(CAM)と血管内皮との間の特異的なレセプター−リガンド相互作
用に関する。この接着プロセスは、通常の設定および病理学的設定の両方におい
て、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−
1)、および内皮細胞(EC)における内皮白血球接着分子−1(E−セレクチ
ン)の発現を含む、多段階カスケードに続く。血管内皮におけるこれらの分子お
よび他の分子の発現は、白血球が局所血管系に接着し得、そして炎症応答の発生
の間に局所組織に溢出し得る効率を決定する。サイトカインおよび増殖因子の局
所濃度は、これらのCAMの発現の調節に関与する。
【0728】 腫瘍壊死因子α(TNF−a)(強力なプロ炎症性サイトカイン)は、内皮細
胞における3つ全てのCAMの刺激因子であり、そして広範な種々の炎症応答に
関与し得、しばしば病理学的結果をもたらす。
【0729】 TNF−a誘導性CAM発現の抑制を媒介するPGRP−Lの潜在能力を試験
し得る。改変型ELISAアッセイ(これは、固相吸着剤としてECを使用する
)を使用して、FGFファミリーのタンパク質のメンバーを用いて同時刺激した
場合に、TNF−a処理ECにおけるCAM発現の量を測定する。
【0730】 この実験を行うために、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)培養物を、プール
した索採取物から得、そして10%FCSおよび1%ペニシリン/ストレプトマ
イシンを補充した増殖培地(EGM−2;Clonetics,San Die
go、CA)中で、5%CO2を含む37℃の加湿インキュベーターにおいて維
持する。HUVECを、EGM培地中1×104細胞/ウェルの濃度で、96ウ
ェルプレート中に、37℃で18〜24時間またはコンフルエントになるまで播
種する。続いて、単層を、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlス
トレプトマイシンを補充したRPMI−1640の無血清溶液で3回洗浄し、そ
して所定のサイトカインおよび/または増殖因子を用いて、37℃にて24時間
処理した。インキュベーション後、次いで、この細胞を、CAM発現について評
価する。
【0731】 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、標準的な96ウェルプレートにおいて
コンフルエントになるまで増殖させる。増殖培地を、細胞から取り除き、そして
90μlの199培地(10%FBS)に置き換える。試験のためのサンプルお
よびポジティブコントロールまたはネガティブコントロールを、このプレートに
三連で添加する(10μl容量で)。プレートを、37℃にて、5時間(セレク
チンおよびインテグリン発現)または24時間(インテグリン発現のみ)のいず
れかでインキュベートする。プレートを吸引して、培地を除去し、そして100
μlの0.1%パラホルムアルデヒド−PBS(Ca++およびMg++を有す
る)を各ウェルに添加する。プレートを、4℃にて30分間保持する。
【0732】 次いで、固定液をウェルから除去し、そしてウェルをPBS(+Ca、Mg)
+0.5% BSAを用いて1回洗浄し、そして排水する。このウェルを乾燥さ
せないこと。10μlの希釈した一次抗体を、試験ウェルおよびコントロールウ
ェルに添加する。抗ICAM−1−ビオチン、抗VACM−1−ビオチンおよび
抗E−セレクチン−ビオチンを、10μg/mlの濃度(0.1mg/mlスト
ック抗体の1:10希釈)で使用する。細胞を、加湿した環境において、37℃
にて30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5
%BSAを用いて3回洗浄する。
【0733】 次いで、20μlの希釈したExtrAvidin−Alkaline Ph
osphotase(1:5,000希釈)を各ウェルに添加し、そして37℃
にて30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5
% BSAを用いて3回洗浄する。1錠のp−ニトロフェノールホスフェート(
pNPP)を、5mlのグリシン緩衝液(pH10.4)に溶解させる。グリシ
ン緩衝液中のpNPP基質100μlを、各試験ウェルに添加する。三連の標準
ウェルを、グリシン緩衝液中のExtrAvidin−Alkaline Ph
osphotaseの操作希釈(working dilution)(1:5
,000(100)>10-0.5>10-1>10-1.5)から調製する。5μlの各
希釈物を、三連のウェルに添加し、そして各ウェル中の得られたAP含量は、5
.50ng、1.74ng、0.55ng、0.18ngである。次いで、10
0μlのpNPP試薬を、標準ウェルの各々に添加しなければならない。このプ
レートを、37℃にて4時間インキューベートしなければならない。3M Na
OHの50μlの容量を、全てのウェルに添加する。この結果を、プレートリー
ダーにおいて405nmにて定量する。バックグラウンド減算オプションを、グ
リシン緩衝液のみで満たしたブランクウェルにおいて使用する。このテンプレー
トを、各々の標準ウェルにおけるAP結合体の濃度を示すように設定する[5.
50ng;1.74ng;0.55ng;0.18ng]。結果を、各サンプル
中の結合したAP結合体の量として示す。
【0734】 本実施例において記載される研究は、PGRP−Lタンパク質の活性を試験し
た。しかし、当業者は、例証した研究を容易に改変して、PGRP−Lポリヌク
レオチド(例えば、遺伝子治療)、PGRP−Lのアゴニスト、および/または
アンタゴニストの活性を試験し得る。
【0735】 (実施例37:ペプチドグリカン結合アッセイ) 不溶性ペプチドグリカンを、本明細書中に参考としてその全体が援用される、
当該分野において記載されている(Araki,Y.,Nakatani,T.
,Nakayama,K.およびIto,E.,1972,J.Biol.Ch
em.,247:6312〜632)ように、Micrococcus lut
eusから調製する。
【0736】 ペプチドグリカン結合アッセイを、280ulの10mMリンゴ酸塩緩衝液(
pH6.5/0.15M NaCl)中0.32mgのペプチドグリカンを、4
0ulの1Mイミダゾール/0.5M NaCl/20mM Tris−HCl
(pH7.9)中3〜6ug(μg)のPGRPと、4℃で30分間インキュベ
ートすることにより行う。上清の1/16およびペレットの1/16を、分析の
ために除去した。タンパク質を、2%SDS/PAGE泳動緩衝液中で煮沸する
ことによりペプチドグリカンと分離し、SDS/15%ポリアクリルアミドゲル
上で電気泳動を行い、そしてクーマシーブリリアントブルーで染色した。
【0737】 上記のアッセイは、結合の可視化を高める程度に変更され、および/または洗
練されるが、このアッセイの一般的なスキームは、基本的に維持する、というこ
とは当業者により認識され得る。さらに、ペプチドグリカン結合アッセイは、本
明細書中に参考としてその全体が援用される、Yoshidaら、JBC,27
1(23):13854(1996)に記載されている。
【0738】 (実施例38:PGRP−Lのアポトーシス能力の測定) 第1のインキュベーション工程において、抗ヒストン抗体を、吸着によってマ
イクロタイタープレートモジュールの壁に固定する。続いて、この壁上の非特異
的結合部位を、インキュベーション緩衝液(例えば、ブロッキング溶液)での処
理によって飽和させる。第2のインキュベーション工程の間に、PGRP−Lで
処理した適切な細胞(例えば、WEHI 164細胞)サンプルに含まれるヌク
レオソームは、そのヒストン成分を介して、固定された抗ヒストン抗体に結合す
る。第3のインキュベーション工程において、抗DNAペルオキシダーゼは、ヌ
クレオソームのDNA成分と反応する。未結合のペルオキシダーゼ結合体の全て
を洗浄工程によって除去した後、免疫複合体に保持されるペルオキシダーゼの量
を、基質としてABTS(2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリ
ンスルホネート])を使用して分光光学的に決定する。抗ヒストン抗体は、この
サンプル由来のヒストンH1、H2A、H2B、H3、およびH4と反応する。
抗DNA POD抗体は、一本鎖および二本鎖のDNAに結合する。従って、こ
のELISAにより、モノヌクレオソームおよびオリゴヌクレオソームの検出が
可能になる。そしてこのELISAを、アポトーシス細胞死を測定するために適
用し得る。細胞死のレベルを、吸光度(A405nm/A490)によって示さ
れる細胞質性ヒストン結合DNAフラグメントの量によって測定する(Boeh
ringer mannheim Catalogue、0990 C 93
2 1541170を参照のこと)。
【0739】 (実施例39:アポトーシスアッセイ) A.)細胞死アッセイ 当該分野において公知のアッセイを使用し得るか、または以下のAlamar
ブルーアッセイを含めて慣用的に改変し得る。Alamarブルーとは、細胞増
殖から生じる増殖培地の化学的還元に応答して、蛍光発光と色変化との両方を起
こす、酸化還元指示薬である。細胞が、培養物中で増殖するにつれて、先天的な
代謝活性が、すぐ周囲の環境の化学的還元を引き起こす。増殖に関連する還元は
、酸化(非蛍光性の青色)形態から還元(蛍光性の赤色)形態への変化の指標を
引き起こす。すなわち、刺激された増殖は、より強いシグナルを生成し、そして
阻害された増殖は、より弱いシグナルを生成し、そして全シグナルは、細胞の全
数とこれらの代謝活性とに比例する。活性のバックグラウンドレベルは、飢餓培
地単独を用いて、観察される。これが、陽性コントロールサンプル(増殖培地中
のsFasL)、陰性コントロールサンプル(培地のみ)、およびタンパク質希
釈物から観察される出力と比較される。
【0740】 Jurkat細胞(ATCC登録番号TIB−152)を、RPMI 164
0(Hyclone #SH30027.01)、10% FBS(Hyclo
ne #AHK9040)、1% P/S(Biowhittaker #17
−602E)、および1% L−グルタミン(Biowhittaker #1
7−905C)中で増殖させる。あるいは、L929細胞(ATCC登録番号C
CL−1)を、DMEM(Hyclone #AKD11647)、10% F
BS(Hyclone #AHK9040)、1% P/S(Biowhitt
aker #17−602E)、および1% L−グルタミン(Biowhit
taker #17−905C)中で増殖させる。細胞を、無血清培地またはP
BSで洗浄し、そして遠心分離(200×gにおいて5分間)によって収穫する
。細胞を、合計100μlの5%FBS培地中に50,000細胞/ウェルで、
96ウェルプレート内にアリコート採取する。
【0741】 本発明の精製されたポリペプチドを、5%FBS培地中で系列希釈して、10
00ng/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml、および0
.1ng/mlの最終濃度にする。100μlのポリペプチド希釈物を各ウェル
に添加し、そして陽性コントロール(培養培地中のsFasL(Fisher
# NC9542546))および陰性コントロール(培地のみ)を調製する。
これらのプレートを、37℃で16時間インキュベートする。
【0742】 100μlの上清を、各ウェルから除去し、そして100μlの20%Ala
marブルー(PBSで希釈したAlamarブルー)を各ウェルに添加する。
プレートを37℃で5時間インキュベートし、次いでElisaリーダー(外径
570nm〜630nm)で読み取る。陰性コントロールより弱いシグナルを有
する読み取り、および好ましくは、陽性コントロールに匹敵するシグナルは、ア
ッセイされたポリペプチドに起因するアポトーシス活性の指標となる。
【0743】 B.)アポトーシスアッセイ 当該分野において公知のアッセイを使用し得るか、または以下のアネキシンV
染色アッセイを含めて慣用的に改変し得る。アネキシンVとは、アネキシン−V
−FLUOS染色を介して検出され得る細胞表面タンパク質であり、そして膜の
変化に起因するアネキシンVの検出の損失は、以下のアッセイにおけるアポトー
シスの指標となる。活性のバックグラウンドレベルは、飢餓培地単独を用いて、
観察される。これが、陽性コントロールサンプル(増殖培地中のsFasL)、
陰性コントロールサンプル(培地のみ)、およびタンパク質希釈物から観察され
る出力と比較される。
【0744】 Jurkat細胞(ATCC登録番号TIB−152)を、RPMI 164
0(Hyclone #SH30027.01)、10% FBS(Hyclo
ne #AHK9040)、1% P/S(Biowhittaker #17
−602E)、および1% L−グルタミン(Biowhittaker #1
7−905C)中で増殖させる。あるいは、L929細胞(ATCC登録番号C
CL−1)を、DMEM(Hyclone #AKD11647)、10% F
BS(Hyclone #AHK9040)、1% P/S(Biowhitt
aker #17−602E)、および1% L−グルタミン(Biowhit
taker #17−905C)中で増殖させる。細胞を、無血清培地またはP
BSで洗浄し、そして遠心分離(200×gにおいて5分間)によって収穫する
。細胞を、合計100μlの5%FBS培地中に1,000,000細胞/ウェ
ルで、96ウェルプレート内にアリコート採取する。
【0745】 本発明の精製されたポリペプチドを、5%FBS培地中で系列希釈して、10
00ng/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml、および0
.1ng/mlの最終濃度にする。100μlのポリペプチド希釈物を各ウェル
に添加し、そして陽性コントロール(培養培地中のsFasL(Fisher
# NC9542546))および陰性コントロールサンプル(培地のみ)を調
製する。これらのプレートを、37℃で16時間インキュベートする。
【0746】 細胞をPBSで洗浄し、そして遠心分離(200×gにおいて5分間)によっ
て収穫する。細胞を、100μlの染色溶液(アネキシン−V−FLUOS染色
キット(Roche # 1858777))中に再懸濁させ、そして15分間
インキュベートする。サンプルを、フローサイトメーターを使用して分析する。
陰性コントロールと比較して減少した値を有する読み取り、および好ましくは、
陽性コントロールに匹敵する値を有する読み取りは、アッセイされたポリペプチ
ドに起因するアポトーシス活性の指標となる。
【0747】 本発明のPGRP−Lポリヌクレオチドおよびポリペプチド(抗体を含む)は
、米国仮出願番号60/149,715に開示されており、これは、その全体が
、本明細書中に参考として援用される。
【0748】 本発明を、前述の説明および実施例に詳細に記載された以外の方法で実施し得
ることは、明らかである。本発明の多数の改変およびバリエーションが、上記の
教示を考慮して可能であり、従って、それは、添付の特許請求の範囲の範囲内に
ある。
【0749】 発明の背景、詳細な説明、および実施例において引用された各文書の全開示(
特許、特許出願、学術文献、要約、実験マニュアル、書籍または他の開示を含む
)は、本明細書中に参考として援用される。さらに、コンピュータおよび紙の両
方の形式で本明細書とともに提出された配列表が、参考としてその全体が本明細
書中に援用される。
【0750】
【表5】 (カナダ) 出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶
または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁
長官(Commissioner of Patents)が、長官により指名
された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料の
サンプルの供与を許可する旨を請求し、出願人は、国際出願の公表のための規則
上の準備が完了する前に、書面によりその旨を国際事務局に告知しなければなら
ない。
【0751】 (ノルウェー) 出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0752】 (オーストラリア) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、
あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発
明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addre
ssee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国
特許法第3.25(3)号規定)。
【0753】 (フィンランド) 出願人はここにおいて、出願が(特許および統制委員会(National
Board of Patents and Regulations)により
)公開に付されるかあるいは公開を経ずに国立特許および法規委員会による決定
を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を
、請求する。
【0754】 (英国) 出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は専門家に対してのみ利用可
能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための規則上の
準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない
【0755】 (デンマーク) 出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるか
あるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの
供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は
、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能
にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとす
る。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供
与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家
は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of
recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、
個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0756】 (スウェーデン) 出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付される
かあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁による決定を受けるまでは、サンプ
ルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請
求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対
してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s Gui
deのVolume Iのannex Zに記載された書式PCT/RO/13
4による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサン
プルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする
。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(lis
t of recognized experts)に記載された任意の者か、
あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0757】 (オランダ) 出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取
り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規
定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ利用可能にされる旨を
、請求する。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条
に基づき出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に
、出願人によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A−Bは、ヒトPGRP−L(hPGRP−L)のヌクレオチド配列(配
列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。その推定完全アミノ
酸配列は、174アミノ酸残基を含み、そして約18,595Daの推定分子量
を有する。
【図2】 図2A−Bは、マウスPGRP−L(mPGRP−L)のヌクレオチド配列(
配列番号3)および推定アミノ酸配列(配列番号4)を示す。その推定完全アミ
ノ酸配列は、530アミノ酸残基を含み、そして約57,764Daの推定分子
量を有する。マウスPGRP−Lアミノ酸配列は、図3A−Bに示される、17
4のアミノ酸の長さに渡るヒトPGRP−Lアミノ酸配列と91%の相同性を共
有する。全長mPGRP−Lは、約アミノ酸Met−1〜約アミノ酸Ala−2
2のシグナル配列を含み、成熟mPGRP−Lは、約アミノ酸Ser−23で始
まる。
【図3】 図3A−Bは、「DNAStar」と呼ばれるコンピュータプログラムの一部
である「Megalign」ルーチンにより決定されるような、図1A−Bのヒ
トPGRP−Lタンパク質のアミノ酸配列(hPGRP−Lと表示;配列番号2
)、図2A−BのマウスPGRP−Lタンパク質(mPGRP−Lと表示;配列
番号4)との間の類似性の領域を示す。これらタンパク質配列間の同一のアミノ
酸残基には、影を施した。
【図4】 図4および表Iは、叙述したコンピュータプログラムのデフォルトパラメータ
ーを使用して作製された図1A−BのヒトPGRP−Lアミノ酸配列(配列番号
2)の構造分析を示す。α、β、ターンおよびコイル領域;親水性および疎水性
の領域;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指標および表面確率が示される。「
抗原性指標−Jameson−Wolf」グラフにおいては、図1A−B(配列
番号2)において示されるようなアミノ酸残基:Gly−12〜Phe−18;
Ala−34〜Ala−47;Gly−51〜Tyr−57;Gln−64〜L
eu−75;Arg−80〜His−84;Thr−96〜Tyr−133;G
ly−135〜Leu−137;Ser−145〜Thr−154;Ala−1
61〜Pro−167;およびPro−172〜Ser−174は、示されるヒ
トPGRP−Lタンパク質の非常に抗原性の領域と対応する。
【図5】 図5および表IIは、叙述したコンピュータプログラムのデフォルトパラメー
ターを使用して作製された図2A−BのマウスPGRP−Lアミノ酸配列(配列
番号4)の構造分析を示す。α、β、ターンおよびコイル領域;親水性および疎
水性の領域;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指標および表面確率が示される
。「抗原性指標−Jameson−Wolf」グラフにおいては、図2A−B(
配列番号4)において示されるようなアミノ酸残基:Glu−18〜Ser−2
4;Ala−37〜Val−45;Ala−59〜Leu−68;Ala−76
〜Leu−93;Ala−101〜Tyr−111;Ala−116〜Val−
122;Leu−143〜Ala−159;Phe−172〜Arg−197;
His−213〜Trp−229;Asp−242〜Ser−246;Gln−
268〜Pro−275;Val−288〜Ala−305;Lys−325〜
His−330;Asn−335〜Gln−340;Ala−348〜Thr−
353;Ile−362〜Leu−382;Pro−397〜Cys−399;
Ala−406〜Gln−413;Phe−415〜Gly−426;Gly−
432〜Gly−435;Gly−440〜Gly−442;His−449〜
Gly−457;Tyr−466〜Ala−475;Thr−478〜Pro−
484;Cys−486〜Leu−499;Pro−511〜Asn−513;
およびThr−521〜Asn−530は、示されるマウスPGRP−Lタンパ
ク質の非常に抗原性の領域と対応する。 図4および図5におけるデータはまた、表Iおよび表IIに表の形態で表され
る。欄は、見出し「残基」「位置」、およびローマ数字I〜XIVで標識される
。欄の見出しは、図1A−Bおよび2A−B、および表IおよびIIに示される
アミノ酸配列の以下の特徴を言う:「残基」:配列番号2および配列番号4およ
び図1A−Bおよび2A−Bのアミノ酸残基;「位置」:配列番号2および配列
番号4および図1A−Bおよび2A−Bの対応する残基の位置;I:α領域−G
arnier−Robson;II:α領域−Chou−Fasman;III
:β領域−Garnier−Robson;IV:β領域−Chou−Fasm
an;V:ターン領域−Garnier−Robson;VI:ターン領域−C
hou−Fasman;VII:コイル領域−Garnier−Robson;
VIII:親水性プロット−Kyte−Doolittle;IX:疎水性プロ
ット−Hopp−Woods;X:α,両親媒性領域−Eisenberg;X
I:β,両親媒性領域−Eisenberg;XII:可撓性領域−Karpl
us−Schulz;XIII:抗原性指数−Jameson−Wolf;およ
びXIV:表面確率プロットEmini。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 C07K 14/47 4C084 A61P 37/04 16/18 4C085 C07K 14/47 C12N 1/15 4H045 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/566 C12Q 1/02 33/68 1/68 C12R 1:19 G01N 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/68 5/00 A //(C12P 21/02 A61K 37/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ヤング, ポール イー. アメリカ合衆国 メリーランド 20878, ゲイザースバーグ, ベックウィズ ス トリート 122 (72)発明者 ローゼン, クレイグ エイ. アメリカ合衆国 メリーランド 20882, レイトンズビル, ローリング ヒル ロード 22400 (72)発明者 デュアン, ロクサーヌ ディー. アメリカ合衆国 メリーランド 20817, ベセスダ, ノースフィールド ロード 5515 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB10 BB14 BB20 BB29 BB46 BB50 BB51 CB01 DA13 DA36 FB02 FB03 FB05 FB08 GC10 GC22 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA02 DA06 FA18 GA11 HA01 HA12 HA17 4B063 QA01 QA05 QA18 QA19 QQ08 QQ13 QQ41 QQ79 QR32 QR55 QR80 QS34 QS36 QS38 4B064 AG01 BA15 CA02 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26 AA90X AA91X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA43 CA46 4C084 AA02 AA03 AA06 AA07 AA13 BA01 BA02 CA53 NA14 ZB092 4C085 AA13 AA14 DD62 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 EA20 EA22 FA72 FA73 FA74 HA06

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号1のポリヌクレオチドフラグメント、またはATCC寄託番号
    PTA−2330に含まれるcDNA配列のポリヌクレオチドフラグメント; (b)配列番号2のポリペプチドフラグメント、またはATCC寄託番号PT
    A−2330に含まれるcDNA配列をコードする、ポリヌクレオチド; (c)配列番号2のポリペプチドドメイン、またはATCC寄託番号PTA−
    2330に含まれるcDNA配列をコードする、ポリヌクレオチド; (d)配列番号2のポリペプチドエピトープ、またはATCC寄託番号PTA
    −2330に含まれるcDNA配列をコードする、ポリヌクレオチド; (e)生物学的活性を有する、配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌ
    クレオチド、またはATCC寄託番号PTA−2330に含まれるcDNA配列
    ; (f)配列番号1の改変体であるポリヌクレオチド; (g)配列番号1の対立遺伝子改変体であるポリヌクレオチド; (h)配列番号2の種相同体をコードするポリヌクレオチド; (i)(a)〜(h)において特定されるポリヌクレオチドのいずれか1つに
    ストリンジェント条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドであって、こ
    こで、該ポリヌクレオチドは、A残基のみまたはT残基のみのヌクレオチド配列
    を有する核酸分子に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズしない、ポリヌ
    クレオチド、 からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有
    するポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記ポリヌクレオチドフラグメントが、成熟形態または分泌
    タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された
    核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号2として同
    定される配列、またはATCC寄託番号PTA−2330に含まれるコード配列
    をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号1の全体の
    ヌクレオチド配列、またはATCC寄託番号PTA−2330に含まれるcDN
    A配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記ヌクレオチド配列が、C末端またはN末端のいずれかか
    らの連続するヌクレオチド欠失を含む、請求項2に記載の単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記ヌクレオチド配列が、C末端またはN末端のいずれかか
    らの連続するヌクレオチド欠失を含む、請求項3に記載の単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、組換えベクタ
    ー。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む組換え宿主細胞
    を、作製する方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法によって産生される、組換え宿主細胞
  10. 【請求項10】 ベクター配列を含む、請求項9に記載の組換え宿主細胞。
  11. 【請求項11】 単離されたポリペプチドであって、以下: (a)配列番号2のポリペプチドフラグメント、またはATCC寄託番号PT
    A−2330に含まれるコードされた配列; (b)生物学的活性を有する、配列番号2のポリペプチドフラグメント、また
    はATCC寄託番号PTA−2330に含まれるコードされた配列; (c)配列番号2のポリペプチドドメイン、またはATCC寄託番号PTA−
    2330に含まれるコードされた配列; (d)配列番号2のポリペプチドエピトープ、またはATCC寄託番号PTA
    −2330に含まれるコードされた配列; (e)分泌タンパク質の成熟形態; (f)全長分泌タンパク質; (g)配列番号2の改変体; (h)配列番号2の対立遺伝子改変体;または (i)配列番号2の種相同体、 からなる群より選択される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、
    単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記成熟形態または前記全長分泌タンパク質が、C末端ま
    たはN末端のいずれかからの連続するアミノ酸欠失を含む、請求項11に記載の
    単離されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドに特異的に結
    合する、単離された抗体。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドを発現する、
    組換え宿主細胞。
  15. 【請求項15】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、 (a)該ポリペプチドが発現されるような条件下で、請求項14に記載の組換
    え宿主細胞を培養する工程;および (b)該ポリペプチドを回収する工程、 を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法によって産生される、ポリペプチ
    ド。
  17. 【請求項17】 医学的状態を予防、処置、または緩和する方法であって、
    治療有効量の、請求項11に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載のポリヌ
    クレオチドを、哺乳動物被験体に投与する工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 被験体において、分泌タンパク質の発現または活性に関す
    る病理学的状態または病理学的状態に対する感受性を診断する方法であって、 (a)請求項1に記載のポリヌクレオチドにおいて変異の存在または非存在を
    決定する工程;および (b)該変異の存在または非存在に基づいて病理学的状態、または病理学的状
    態に対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 被験体において、分泌タンパク質の発現または活性に関す
    る病理学的状態または病理学的状態に対する感受性を診断する方法であって、 (a)生物学的サンプルにおいて請求項11に記載のポリペプチドの発現の存
    在または量を決定する工程、および (b)該ポリペプチドの発現の存在または量に基づいて病理学的状態、または
    病理学的状態に対する感受性を診断する工程、 を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 請求項11に記載のポリペプチドに対する結合パートナー
    を同定する方法であって、 (a)請求項11に記載のポリペプチドを結合パートナーと接触させる工程;
    および (b)該結合パートナーが該ポリペプチドの活性をもたらすかどうかを決定す
    る工程、 を包含する、方法。
  21. 【請求項21】 配列番号2のcDNA配列に対応する、遺伝子。
  22. 【請求項22】 生物学的アッセイにおいて活性を同定する方法であって、
    ここで該方法が、以下: (a)細胞において配列番号1を発現させる工程; (b)その上清を単離する工程; (c)生物学的アッセイにおいて活性を検出する工程;および (d)該活性を有する該上清においてタンパク質を同定する工程、 を包含する、方法。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の方法によって産生される、産物。
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