JP2003506089A - キメラタンパク質 - Google Patents

キメラタンパク質

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JP2003506089A JP2001515836A JP2001515836A JP2003506089A JP 2003506089 A JP2003506089 A JP 2003506089A JP 2001515836 A JP2001515836 A JP 2001515836A JP 2001515836 A JP2001515836 A JP 2001515836A JP 2003506089 A JP2003506089 A JP 2003506089A
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キルガー,クリスチアン
モツ,ミヒャエル
レーザー,エーファ
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ライオン バイオサイエンス アクチェンゲゼルシャフト
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、a)核酸合成活性を有する第一ドメイン、およびb)相互作用仲介配列、ここで、相互作用仲介配列は、核酸合成活性と滑りかすがいタンパク質との複合体の形成をもたらし、この複合体は、核酸合成活性および/または滑りかすがいタンパク質がそれらの天然の相互作用相手と形成する複合体とは異なる、を含む組換えキメラタンパク質に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、核酸合成活性を有する組換えキメラタンパク質、これらのタンパク
質を含む複合体、これらのタンパク質をコードしている核酸、これらのタンパク
質を含むベクターおよび細胞、これらに対する抗体、これらのタンパク質の応用
、これらを含むキット、ならびに核酸の伸長、増幅、逆転写、配列決定および標
識のための方法に関するものである。
【0002】 多くのタンパク質は細胞中で単量体としてではなく機能的多量体的複合体の一
部として存在する。このような複合体の例は細胞生物学の殆ど全ての分野で記載
されてきた(例えば、転写、翻訳、複製、細胞骨格、シグナル伝達、mRNAプロセ
シング)。
【0003】 あるタンパク質と、以後、ドナータンパク質またはアクセプタータンパク質と
呼称する、別のタンパク質との相互作用または結合は、折り畳まれたタンパク質
中の、タンパク質表面にあって相手との特異的結合または相互作用を担うある種
のアミノ酸またはアミノ酸配列によって行われる。これらのアミノ酸またはこの
ようなアミノ酸配列は、以後本明細書中では「相互作用遂行配列」または相互作
用仲介配列と称する。相互作用の形成に関与するアミノ酸は、一次アミノ酸配列
において必ずしも相互に直接隣接している訳ではなく、より高いまたは低い程度
で保存されているタンパク質またはペプチドの、アミノ酸配列内部での位置がそ
の相互作用の原因であることが、当業者には知られている。以下の記載の中で、
相互作用を仲介する、または相互作用を遂行する配列の決定について言及する場
合、これは前記の両側面を意味することを意図するものである。この関係におい
て、ドナータンパク質とは、別のタンパク質と相互作用し、所望により別のタン
パク質と結合するタンパク質であると理解される。同様に、アクセプタータンパ
ク質とは、別のタンパク質と相互作用し、そして別のタンパク質と結合し得るタ
ンパク質であると理解される。
【0004】 タンパク質−タンパク質相互作用部位の相互作用遂行配列を決定するためには
幾つかの方法がある。これらは、(i) X線構造解析によるドナーおよび/または
アクセプタータンパク質の複合体の三次元構造の決定、または(ii) NMR法を包含
する。もう一つの方法は、(iii) 組換えタンパク質を用いてインビトロで複合体
の結合を再構成し、ドナーまたはアクセプタータンパク質を特異的に変化させる
ことにより相互作用を遂行する配列を決定することである。かかる特異的変化は
、例えば、アラニンを形成させる個別的アミノ酸の突然変異(アラニンスキャニ
ング)または該タンパク質中の配列の除去を包含する。もしアミノ酸または配列
の変化または除去が相互作用または結合活性の喪失を導くならば、それは、その
相互作用を遂行する配列の一部であり、逆にもしアミノ酸または配列の変化また
は除去が相互作用または結合活性の喪失を導かないならば、それは、相互作用遂
行配列の一部ではない。相互作用遂行配列はこのようにして定義できる。
【0005】 タンパク質の相互作用遂行配列を決定するもう一つの方法は、以降「Y2H」と
も略記する二ハイブリッド系の使用に基づくものである。Y2H系は、検出可能な
活性(例えば、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ)を有するタンパク質の、二つの非
共有結合的に連結した部分としての発現に基づいている。このタンパク質は、二
つの部分が互いに空間的に接近していない場合は不活性である。互いに相互作用
し、したがって複合体を形成し得ることが分かっている、二つの調査すべきタン
パク質、即ち、ドナータンパク質およびアクセプタータンパク質、またはこの点
において研究すべき二つのタンパク質は、検出可能な活性を有するタンパク質(
例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ)の二つの部分のうち一方とそれぞれ融合し
て融合タンパク質を形成しそして発現され、その結果、二つの融合タンパク質の
形成をもたらす。融合したドナータンパク質が融合したアクセプタータンパク質
と結合するならば、検出可能タンパク質(例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ)の
この二つの半分は空間的に近位となる。これにより当該タンパク質の活性が回復
し、検出できるようになる。検出可能な活性を有する好適なタンパク質は酵素(
ジヒドロ葉酸レダクターゼ、β-ガラクトシダーゼ)、シグナル伝達タンパク質(
サッカロミセス・セレビシエ、Saccharomyces cerevisiae由来のCdc25)または転
写アクティベーター(Gal4、LexA-VP16)である。二ハイブリッド系を使用する結
合領域の決定は、結合のインビトロ再構成と同じ考察に基づいている:もしある
アミノ酸または配列の変化または除去が結合活性の喪失を導くならば、それは相
互作用遂行配列の一部であり、逆にもしある配列の変化または除去が結合活性の
喪失を導かないならば、それは相互作用遂行配列の一部ではない。
【0006】 さらに、相互作用遂行配列は、タンパク質の多数のフラグメントの相互作用を
調べ、当該タンパク質のどの部分が、相互作用するフラグメント中に常に存在す
るのかを決定することによって、明らかにすることができる。常に存在するこの
領域が、相互作用遂行配列である。相互作用遂行配列中にある、相互作用または
結合に必須のアミノ酸を同定するため、標的突然変異誘発によって個々のアミノ
酸を変化させることができる。結合活性の喪失または増強は、これらの位置がそ
の相互作用に直接関わっていることを示す。
【0007】 インビトロ適用にとって特に好ましい複合体は、重要な酵素活性としてしばし
ばポリメラーゼを含む、原核生物および真核生物複製装置の熱安定性複合体を包
含する。
【0008】 既に述べたように、タンパク質間のインビボ相互作用は、例えば生体系におけ
る核酸の複製において主要な役割を果たしている。即ち、高度にプロセシブな複
製機構が知られており、それは一方では細胞機構であり、他方ではバクテリオフ
ァージT4およびT7に存在する複製機構である。
【0009】 複製装置は多くの要素から成り立っている。これらの中には、a) ポリメラー
ゼ活性を有するタンパク質、b) かすがい構造の形成に関わるタンパク質(かすが
い構造の機能は、とりわけポリメラーゼ活性をその鋳型に結び付け、結合を安定
化し、そのようにしてポリメラーゼと核酸の複合体の解離定数を変化させること
である)、c) このかすがいを鋳型上にロードするタンパク質、d) 鋳型を安定化
するタンパク質、および所望によりe) ポリメラーゼを鋳型上に誘導するタンパ
ク質、が包含される。
【0010】 ポリメラーゼ活性を有するタンパク質は、本明細書中、特に、1個または数個
のヌクレオチドまたはヌクレオシドを1個のヌクレオチドもしくはヌクレオシド
またはポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオシドに結合させることのできるタ
ンパク質であると理解される。上の各々の場合、これらはリボヌクレオチド/リ
ボヌクレオシドまたはデオキシヌクレオチド/デオキシヌクレオシドまたはそれ
らのポリマーであってよい。よってこれらのタンパク質は、そのタンパク質のポ
リメラーゼ反応にとって鋳型が必要であるか否かに拘わらず、DNAポリメラーゼ
に加えてRNAポリメラーゼをも包含する。したがって、ポリメラーゼ活性を有す
るこれらのタンパク質は、核酸合成活性を有するタンパク質でもある。これらは
また、先行技術において知られる伸長タンパク質をも包含する。本明細書中使用
する伸長タンパク質は、以下の性質のうち少なくとも1以上を有するポリメラー
ゼ活性を有するタンパク質または複合体としても理解される:RNAを鋳型として
使用、DNAを鋳型として使用、RNAを合成、DNAを合成、5’-3’方向のエキソヌク
レアーゼ活性または3’-5’方向のエキソヌクレアーゼ活性、鎖置換活性および
プロセシビティーまたは非プロセシビティー。
【0011】 DNAポリメラーゼは、一本鎖DNAを、相補的DNA鎖の合成のための鋳型として使
用する酵素の一群に属する。これらの酵素は、DNA複製、修復および組換えのプ
ロセスを包含する核酸代謝において主要な役割を果たしている。DNAポリメラー
ゼは、細菌細胞からヒト細胞に至る全ての細胞生物、多くのウイルスおよびバク
テリオファージ中で同定されている(Kornberg,A.および Baker,T.A.(1991) DNA
Replication WH Freeman, ニューヨーク、NY)。通常、始原細菌および真性細菌
は合して原核生物群とし、これは、真の細胞核を有する生物である真核生物とは
対照的に、真の細胞核を持たない生物である。様々な生物由来の数多くのポリメ
ラーゼに共通する特徴は、しばしばアミノ酸配列の類似性および構造の類似性で
ある(Wang,J.、Sattar,A.K.M.A.; Wang,C.C.、 Karam,J.D.、Konigsberg,W.H.お
よびSteitz,T.A.(1997) バクテリオファージRB69由来のpolαファミリー複製DNA
ポリメラーゼの結晶構造、Cell 89, 1087-1099)。人間のような生物は多数のDNA
依存ポリメラーゼを持っているが、それらは全てがDNA複製を担っている訳では
なく、幾つかはDNA修復をも実行している。複製DNAポリメラーゼは通常インビボ
では細胞生物の染色体およびウイルスを複製する幾つかのユニットを有するタン
パク質複合体で構成されている。これらの複製ポリメラーゼの総体的性質は、一
般に、数千個のヌクレオチドをDNA鋳型から解離することなくポリマー化する能
力を意味する、高度なプロセシビティーである(Kornberg,A.およびBaker,T.A.(1
991) DNA Replication, WH Freeman,ニューヨーク、NY)。
【0012】 DNAポリメラーゼは特に、伸長速度、即ち、成長するDNA鎖中に取り込むことの
できる1秒当たりのヌクレオチドの数、および、解離定数、という二つの性質に
よって特徴付けられる。もし成長しつつある鎖の中に1個のヌクレオチドが取り
込まれる各工程の後にポリメラーゼがその鎖から再び解離するならば(即ち、結
合事象当たり1回の伸長工程)、プロセシビティーは数値1を持ち、このポリメラ
ーゼはプロセシブでない。核酸が何回も取り込まれる間にそのポリメラーゼが当
該鎖に結合したままであるならば、その伸長または複製様式、したがってまたそ
のポリメラーゼは、プロセシブであると呼ばれ、数値は数千に達し得る(Methods
in Enzymology 262巻、 DNA複製、J.L.Campbell編、Academic Press 1995, pp.
270-280もまた参照されたい)。
【0013】 b)として述べたタンパク質は、開放または閉鎖のいずれか、例えば、環状また
は半環状構造を形成する。このような構造は1または数種のタンパク質によって
形成し得る。かかるタンパク質種の一つはポリメラーゼ活性を持ち得る。
【0014】 これらの構造の形成を担うタンパク質は、それらがポリメラーゼ活性を持たな
い限り、以降「滑りかすがいタンパク質」または「かすがいタンパク質」と呼称
する。
【0015】 真核生物と始原細菌のゲノム構成は全く異なっているが、始原細菌の複製装置
は真核生物の複製装置と類似しており、また真性細菌の細胞構造は始原細菌のそ
れと類似していることが知られている(Edgell,D.R.およびDoolittle,W.F.(1997)
、始原細菌およびDNA複製タンパク質の起源、Cell 89, 995-998)。
【0016】 滑りかすがいはしばしば1または数個の他のタンパク質を介して伸長タンパク
質に結合し、換言するとそれは伸長タンパク質とカップリングする。このような
カップリングタンパク質は、本明細書中で以降カップリングタンパク質と称し、
ここで、カップリングは多数のカップリングタンパク質を介して起こり得る。
【0017】 種々の滑りかすがいタンパク質の三次元構造が既に決定されている。これら滑
りかすがいの総体的構造は極めて類似しており;PCNAの環状の全タンパク質構造
、βサブユニットおよびgp45環の写真は、互いに上に置くと全く重なる(Kelman,
Z.およびO’Donnel,M. (1995) 原核生物および真核生物滑りかすがいの構造的お
よび機能的類似性、Nucleic Acids Res. 23,3613-3620)。それぞれの環は、同等
の寸法と、二本鎖DNA、即ち、2本の相補的DNA鎖で構成されるDNA二本鎖を取り囲
むだけの充分な大きさの中央開口部とを持つ。
【0018】 滑りかすがいはインビボでDNAの周りに自らを位置させることはできず、このD
NAの周りに留め置かれねばならない。原核生物および真核生物では、このような
タンパク質複合体は多数のサブユニットで構成されている。このタンパク質複合
体は、ヌクレオチドの取り込みにより伸長してより長い二本鎖を形成する「プラ
イマー-鋳型二本鎖」中のプライマーの3’末端を認識し、そして滑りかすがいを
このDNAの周りに位置させる。
【0019】 バクテリオファージT7の場合、同じ目的、即ち、下記に定義するプロセシブな
DNA合成は、異なる構造を持つタンパク質複合体によって達成される。このファ
ージは、自身の触媒的ポリメラーゼであるT7ポリメラーゼ、第5遺伝子の遺伝子
産物を発現するが、これは宿主、大腸菌(Escherichia coli)由来のタンパク質、
即ち、チオレドキシンに結合し、レプリカーゼとして高度にプロセシブなDNA複
製を可能にする。この場合、かすがい形成もあるが、このかすがいは例えば真核
生物のPCNAの場合と同じ構造を持つ訳ではない。
【0020】 例えば、ヒトポリメラーゼδの場合のように、タンパク質(カップリングタン
パク質)がそのポリメラーゼの触媒的活性部分とプロセシビティー因子との間の
結合を作ることがしばしば必要である。プロセシビティー因子とは、ポリメラー
ゼのプロセシビティーに影響を及ぼす、そして好ましくはそのプロセシビティー
を増大させる化合物または分子である。滑りかすがいタンパク質はプロセシビテ
ィー因子の一例である。人間においてこのカップリングタンパク質は、δポリメ
ラーゼの小さなサブユニットである(Zhang,S.-J.、Zeng,X.-U.、Zhang,P.、Toom
ey,N.L.、Chuang,R.Y.、Chang,L.-S.およびLee,M.Y.W.T. (1994)。DNAポリメラ
ーゼδのアミノ末端の保存領域は、細胞核抗原結合の増殖に関わっている、J.Bi
ol.Chem. 270, 7988-7992)。しかしながら、T7ポリメラーゼの場合、プロセシビ
ティー因子はカップリングタンパク質の関与無しに当該ポリメラーゼの触媒ユニ
ットと直接結合する。
【0021】 ポリメラーゼのような核酸合成活性を有するタンパク質または伸長タンパク質
のインビトロ適用は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列決定または
逆転写のために、先行技術において広く普及している。
【0022】 PCRまたは配列決定プロセスのような殆どのインビトロ適用では、プロセシビ
ティーは望ましい性質であるが、但し、これらの反応に用いられるこの先行技術
の熱安定性酵素はこの性質を僅かな程度に持っているだけである。
【0023】 米国特許第4683195号、第4800195号および第4683202号は、このような熱安定
性DNAポリメラーゼの、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)への応用を記載している。PC
Rでは、プライマー、鋳型(マトリックスとも呼ばれる)、ヌクレオチド、DNAポリ
メラーゼ、適当な緩衝液および適切な反応条件を用いてDNAを新たに合成する。
好ましくは、DNA鎖の循環的熱融解で生き残る熱安定性ポリメラーゼをこのPCRの
ために使用する。よってTaq DNAポリメラーゼがしばしば使用される(米国特許第
4965188号)。しかしながら、Taq DNAポリメラーゼのプロセシビティーはT7ポリ
メラーゼのプロセシビティーに比して相対的に低い。
【0024】 DNAポリメラーゼはDNA配列決定にも使用する(Sanger他、Proc.Natl.Acad.Sci.
,USA 74:5463-5467(1997))。これに使用できるポリメラーゼの一つは、例えば、
上述のTaqポリメラーゼ(米国特許第5075216号)またはテルモトガ・ネアポリタナ
(Thermotoga neapolitana)由来のポリメラーゼ(WO 96/10640号)またはその他の
熱安定性ポリメラーゼである。近年の方法は、DNAフラグメントの指数関数的増
幅と配列決定とを一つの工程に結び付け、その結果、ゲノムDNAを直接配列決定
することが可能である。この方法のうちの一つ、いわゆるDEXAS法(Nucleic Acid
s Res. 1997 May 15:25(10):2032-2034 全ゲノムDNAからの直接DNA配列決定、Ki
lger C、Paabo S、Biol Chem. 1997 Feb; 378(2):99-105、ゲノムDNAの直接的指
数関数的増幅および配列決定(DEXAS)、Kilger C、Paabo SおよびDE19653439.9お
よびDE19653494.1)は、プライマーに隣接する、完全な、フラグメントの配列特
異的DNAラダーを数サイクルで得るために、デオキシヌクレオチド(dNTP)に比し
てジデオキシヌクレオチドを(ddNTP)区別する能力の低いポリメラーゼ、ならび
に反応緩衝液、好ましくは等モル量で存在しない二つのプライマー、および上記
ヌクレオチドを使用する。さらに進展させたこの方法は、二つのポリメラーゼの
うち一方はddNTPとdNTPとを識別し、そして他方は識別能が低下しているポリメ
ラーゼ混合物の使用を含む(Nucleic Acids Res. 1997 May 15; 25(10)2032-2034
全ゲノムDNAからの直接的DNA配列決定、Kinger C、Paabo S)。
【0025】 DNAポリメラーゼは、RNAからDNAへの逆転写にも用いられる。この場合、RNAは
鋳型として働き、ポリメラーゼは相補的DNA鎖を合成する。例えば、生物テルム
ス・テルムスフィリス(Thermus thermusphilis)(Tth)由来の熱安定性DNAポリメ
ラーゼ(米国特許第5322770号)をこの場合に使用する。
【0026】 幾つかのポリメラーゼはさらに「プルーフリーディング」活性、即ち3’-5’
エキソヌクレアーゼ活性を有する。この性質は、合成される生成物が低率のヌク
レオチド取り込み過誤で生成されるべきである場合、特に望ましい。生物ピロコ
ッカス・ウォセイ(Pyrococcus wosei)由来のポリメラーゼがこの例である。
【0027】 上述の適用に使用される上記の伸長タンパク質の大多数は、実際にはインビボ
複製酵素ではなく、主としてDNA修復に関係すると思われる酵素であり、これが
、それらのプロセシビティーが比較的小さい理由である。さらに、各々の生物は
多くの性質を有する多数のポリメラーゼを持っている。
【0028】 上記のように、このような伸長タンパク質は例えば以下の性質を有する:鋳型
としてのRNAの使用、鋳型としてのDNAの使用、RNAの合成、DNAの合成、5’-3’
方向のエキソヌクレアーゼ活性および3’-5’方向のエキソヌクレアーゼ活性、
鎖置換活性、プロセシビティーもしくは非プロセシビティーまたは熱安定性もし
くは熱感受性。しかしながら、インビボでは、タンパク質複合体はこれらの性質
のうち1または数種を併せ持つのがしばしばである。とりわけ上記のように、滑
りかすがいタンパク質の存在により、そのプロセシビティーが増大した複製複合
体がしばしばインビボで存在する。
【0029】 複製装置の前記要素に加えて、他のDNA修飾タンパク質もまたしばしば、他の
タンパク質を伴う大型の複合体中にインビボで見出される。このような複合体に
おいては、第一のタンパク質由来のターミナルトランスクリプターゼ活性のよう
なDNA修飾活性が、もう一つのタンパク質により該複合体中に導入された1または
数種の活性、例えばエキソヌクレアーゼ活性と合していることがしばしばである
。DNA修飾活性とは、本明細書中で、最初の核酸の化学的、物理的または構造的
変化を導く任意の酵素活性として理解される。DNA修飾活性は少なくとも1個のさ
らなるタンパク質と相互作用がある場合にのみ起こるということもまた時にある
。DNA修飾活性は、少なくとも1個のさらなるタンパク質との相互作用によって低
下または増強するということもあり得る。よって、インビボでは、例えば個々の
活性の総和を有するタンパク質複合体、またはその活性が個々の活性に比して改
善されているタンパク質複合体がしばしば形成される。
【0030】 上記のことは、核酸合成活性を有するインビボ複合体はしばしば、技術的な、
即ちインビトロの適用にとって望ましいさらなる性質を持ち、それは実際の核酸
合成活性を超え、該複合体を形成する他の要素の貢献を受けるという事を示して
いる。
【0031】 例えば、DNA配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応の実施または核酸中への標識の
導入のための、かかるインビボ複合体の直接的技術的応用は、幾つかの理由で過
去にうまくいかなかった。一つの理由は、興味の持たれる複合体の形成に関係す
る全ての因子または個々の要素についての知識の欠如である。もう一つの理由は
、幾つかの要素を含む複合体は、所望の性質に加え、1または幾つかの望ましく
ない性質をも有することである。
【0032】 インビボ複合体のインビトロ使用に対するこれに代わるアプローチは、異なる
起源ではあるが所望の性質を有する要素を合し、このようにして所望の性質を有
する複合体を形成することである。このような性質は、例えば、より高いプロセ
シビティーであってよい。このアプローチに対する実施の上での障害は、互いに
相互作用せねばならない複合体を形成する個々の要素が相互作用をせず、または
極めて僅かに相互作用するだけであり、そのため複合体に所望の性質を付与する
ことができないということであった。
【0033】 よって、本発明の目的は、増大したプロセシビティーを持つ核酸合成活性を有
するタンパク質を提供することである。
【0034】 本発明のさらなる目的は、このようなタンパク質の組み立てを可能にする方法
を提供することである。
【0035】 最後に、より長い核酸が増幅されそして/または配列決定されることを可能に
する、特にPCRによる増幅、および、核酸の配列決定のための方法を提供するこ
とが、本発明の目的である。
【0036】 この目的は、 a) 核酸合成活性を有する第一ドメイン、および b) 相互作用仲介配列 [ここで、相互作用仲介配列は、核酸合成活性と滑りかすがいタンパク質との複
合体の形成をもたらし、この複合体は、核酸合成活性および/または滑りかすが
いタンパク質がそれらの天然の相互作用相手と形成する複合体とは異なる] を含む組換えキメラタンパク質によって本発明に従い達成する。
【0037】 本発明のさらなる態様では、核酸合成活性を有する部分、ここでこの部分は核
酸合成活性を有する部分、および相互作用仲介要素を含む基本タンパク質から誘
導される、と、少なくとも一つの相互作用仲介要素、ここでこの相互作用仲介要
素は基本タンパク質の相互作用仲介要素とは異なっている、を含むキメラタンパ
ク質によってこの目的を達成する。
【0038】 ある態様においてこのタンパク質は、基本タンパク質の相互作用仲介要素を含
む。
【0039】 さらなる態様では、核酸合成活性を有する部分を含むキメラタンパク質、ここ
でこの部分は核酸合成活性を有する部分を含むが相互作用仲介部分は含まない基
本タンパク質、および相互作用仲介部分から誘導する、によってこの目的を達成
する。
【0040】 本発明に係るキメラタンパク質において、核酸合成活性と、核酸合成活性の合
成速度に影響を及ぼす因子との結合を仲介するために、相互作用仲介部分を提供
することができる。好ましい態様において、この因子は滑りかすがいタンパク質
である。
【0041】 一つの態様において、この核酸合成活性はコンセンサスペプチド配列を含むこ
とを意図しており、この配列は配列番号1、2および3を含む群から選択する。
【0042】 さらなる態様において、滑りかすがいタンパク質はコンセンサスペプチド配列
を含むことができ、この配列は配列番号4、5、6および7を含む群から選択する。
【0043】 さらに別の態様において、相互作用仲介配列は配列番号8、9、10、11および12
を含む群から選択されるコンセンサスペプチド配列を含むことができる。特に好
ましい態様では、この相互作用仲介配列は、配列番号8によるコンセンサスペプ
チド配列を含む。
【0044】 さらなる態様において、相互作用仲介配列は、核酸合成活性を有する配列のC
末端にある。
【0045】 さらなる態様において、相互作用仲介配列と核酸活性を有する配列との間にリ
ンカーが位置する。
【0046】 さらに、本発明に係るキメラタンパク質の一つの態様において、組換えキメラ
タンパク質は熱安定性であってよい。
【0047】 本発明に係るキメラタンパク質の一つの態様では、このタンパク質はDNAポリ
メラーゼ活性を有し得る。このタンパク質は3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を
持つことが特に好ましい。
【0048】 本発明に係るキメラタンパク質のさらなる態様では、このタンパク質はRNAポ
リメラーゼ活性を有する。
【0049】 本発明に係るキメラタンパク質のさらなる態様では、このタンパク質は逆転写
酵素活性を有する。
【0050】 本発明に係るキメラタンパク質のさらなる好ましい態様では、この核酸合成活
性によるdNTPおよびddNTPの取り込み速度は5未満の係数で相違する。
【0051】 本発明のさらなる態様において、この目的は、 a) 本発明に係る組換えキメラタンパク質、および b) 滑りかすがいタンパク質、 を含む複合体によって達成する。
【0052】 本発明に係る複合体の好ましい態様では、滑りかすがいタンパク質は配列番号
4、5、6および7による配列を含む群から選択されるコンセンサスペプチド配列を
含む。
【0053】 さらなる態様では、この複合体はさらに核酸を含む。 さらなる態様では、この目的は、本発明に係るキメラタンパク質、とりわけ組
み替えタンパク質をコードしている核酸によって達成する。
【0054】 さらに別の態様において、この目的は、本発明に係る核酸を含むベクターによ
って達成する。好ましい態様において、このベクターは発現ベクターである。
【0055】 さらなる態様では、この目的は、本発明に係るベクターを含む細胞によって達
成する。
【0056】 さらにこの目的は、核酸を伸長するための、本発明に係るキメラタンパク質の
使用によって達成する。
【0057】 この目的はまた、核酸を増幅するための、本発明に係るキメラタンパク質の使
用によって達成する。
【0058】 この目的はまた、RNAをDNAに逆転写するための、本発明に係るキメラタンパク
質の使用によって達成する。
【0059】 この目的はまた、核酸、特にDNAを配列決定するための、本発明に係るキメラ
タンパク質の使用によって達成する。
【0060】 さらに別の態様において、この目的は、核酸の伸長および/または増幅および
/または逆転写および/または配列決定および/または標識のためのキット、特
に試薬キットによって達成し、それは、1または数個の容器内に、 a) 好ましくは組換えタンパク質である本発明に係るキメラタンパク質、およ
び/または b) 本発明に係る複合体、および c) 好ましくは、所望により少なくとも1つのプライマー、緩衝液、ヌクレオ
チド、補助因子および/またはピロフォスファターゼ、 を含んでいる。
【0061】 このキットの好ましい態様では、これは、核酸を増幅するための物質a)および
/またはb)に加えてデオキシヌクレオチドまたは/およびその誘導体を含んでい
る。
【0062】 さらなる態様では、このキットは3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNA
ポリメラーゼを含んでいる。
【0063】 別の態様では、このキットは、逆転写酵素活性を有するa)および/またはb)に
係る物質、ならびに好ましくは逆転写のためのデオキシヌクレオチドおよび/ま
たはその誘導体を含んでいる。
【0064】 本発明に係るキットは、デオキシヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたは
/およびその誘導体に加えて、配列決定のためのジデオキシヌクレオチドまたは
/およびその誘導体を含むことができる。
【0065】 さらなる態様では、この目的は、核酸の鋳型依存性伸長のための方法によって
達成し、ここで、伸長すべきこの核酸または少なくともその一方の鎖には、ハイ
ブリダイゼーション条件下で少なくとも1個のプライマーが提供され、ここでこ
のプライマーは伸長すべき核酸の一部または隣接領域に対し十分相補的であり、
且つこのプライマーはヌクレオチドの存在下でポリメラーゼにより伸長される[
ここで、本発明に係るキメラタンパク質をポリメラーゼとして使用し、好ましく
は滑りかすがいタンパク質がこの反応中に存在する]。
【0066】 さらに別の態様では、この目的は、核酸の増幅のための方法によって達成し、
ここで、増幅すべき核酸にはハイブリダイゼーション条件下で少なくとも2個の
プライマーが加えられ(この2個のプライマーの各々は、増幅すべき核酸の一部
または隣接領域に対し相補的である)、そしてこのプライマーはヌクレオチドの
存在下でポリメラーゼによって伸長する[ここで、本発明に係るキメラタンパク
質およびとりわけ組み替えキメラタンパク質をポリメラーゼとして使用し、好ま
しくは滑りかすがいタンパク質をこの反応に加える]。
【0067】 好ましい態様ではポリメラーゼ連鎖反応を実施する。 特に好ましい態様では、反応混合物は、少なくとも一方が3’-5’エキソヌク
レアーゼ活性を持つ2つのDNAポリメラーゼを含み、その3’-5’エキソヌクレア
ーゼ活性は、キメラタンパク質によって、またはさらなるポリメラーゼによって
、反応混合物に添加する。
【0068】 さらに別の態様では、二つのキメラタンパク質、特に、一方のタンパク質がDN
Aポリメラーゼ活性を持ち、他方が3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有する組換
えキメラタンパク質が存在する。
【0069】 鋳型依存性伸長のための本発明に係る方法において、一つの態様では、配列決
定すべき核酸に隣接する領域に相補的であるプライマーから出発して核酸を配列
決定し、サンガーの方法に従いデオキシヌクレオチドおよびジデオキシヌクレオ
チドまたはその誘導体を使用して鋳型依存性伸長または逆転写を実施することが
できる。
【0070】 鋳型依存性伸長のための、本発明に係る方法のさらなる態様では、核酸の伸長
の間に少なくとも1つの標識を導入できる。
【0071】 特に好ましい態様では、標識されたプライマー、標識されたデオキシヌクレオ
チドおよびその誘導体、標識されたジデオキシヌクレオチドおよびその誘導体な
らびに標識されたリボヌクレオチドおよびその誘導体を含む群から選択される試
薬を使用する。
【0072】 さらに別の態様では、核酸鎖のフォスフォジエステル結合に1個の断裂を作製
し、ポリメラーゼの助けによってこの断裂点のヌクレオチドを標識されたヌクレ
オチドに置き換える、ここでこのポリメラーゼとして本発明に係るキメラタンパ
ク質、特に組換えキメラタンパク質を使用する、ことにより核酸を標識する方法
によってこの目的を達成する。
【0073】 さらに別の態様では、塩基配列およびヘテロローガスな相互作用遂行配列を含
み、相互作用相手に結合するキメラタンパク質を産生する方法によってこの目的
を達成するか、またはそのような結合が相互作用遂行配列の結果として強化され
る、ここで、 a) ドナータンパク質と呼ばれるタンパク質およびアクセプタータンパク質と
呼ばれるタンパク質を含む相互作用系を使用して、ドナータンパク質またはアク
セプタータンパク質のうちいずれの配列が二つの相互作用相手間の相互作用をも
たらすのかを決定し、そして、 b) 相互作用遂行配列を、ドナータンパク質およびアクセプタータンパク質と
は異なり、且つ塩基配列を含む、レシピエントタンパク質中に導入する。
【0074】 一つの態様では、ドナータンパク質およびアクセプタータンパク質は、当該核
酸と結合する複合体を形成する。
【0075】 さらなる態様では、ドナータンパク質およびアクセプタータンパク質は、ポリ
メラーゼ活性、DNA結合活性、RNA結合活性、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性、3
’-5’エキソヌクレアーゼ活性およびリガーゼ活性を含む群から選ばれる一つの
活性を有する複合体を形成する。
【0076】 好ましい態様において、ドナータンパク質は、伸長タンパク質、滑りかすがい
タンパク質、滑りかすがいローダータンパク質およびカップリングタンパク質を
含む群から選ばれる。
【0077】 さらなる態様では、アクセプタータンパク質は、伸長タンパク質、滑りかすが
いタンパク質、滑りかすがいローダータンパク質およびカップリングタンパク質
を含む群から選ばれる。
【0078】 さらに別の態様では、レシピエントタンパク質は、伸長タンパク質、滑りかす
がいタンパク質、滑りかすがいローダータンパク質およびカップリングタンパク
質を含む群から選ばれる。
【0079】 本発明に係る方法の一つの態様では、工程a)を数回反復し、相互作用遂行配列
を表すこの方法で決定された相互作用遂行配列から、コンセンサス配列を決定し
、これを工程b)において、相互作用遂行配列として、ドナータンパク質およびア
クセプタータンパク質とは異なり且つ塩基配列を含むレシピエントタンパク質中
に導入することができる。
【0080】 さらなる態様では、本発明に係る方法により取得可能なキメラタンパク質によ
ってこの目的を達成する。好ましい態様において、この塩基配列は、伸長タンパ
ク質、滑りかすがいタンパク質、滑りかすがいローダータンパク質およびカップ
リングタンパク質を含む群から選ばれるタンパク質のアミノ酸配列の一部である
【0081】 最後に、この目的は、滑りかすがいタンパク質および伸長タンパク質を含む核
酸の鋳型依存性伸長のためのインビトロ複合体によって達成し、ここで、該タン
パク質のうち少なくとも一つは本発明に係るキメラタンパク質である。この関連
において、該複合体が熱安定性である態様が特に好ましい。
【0082】 本発明との関連において、本発明に係るキメラタンパク質のうちいかなるもの
も組換えキメラタンパク質であり得る。
【0083】 この目的はさらに、a)核酸合成活性を有する第一ドメイン、およびb)相互作用
仲介配列が、核酸合成活性と滑りかすがいタンパク質との複合体の形成をもたら
す、ここでこの複合体は核酸合成活性および/または滑りかすがいタンパク質が
それらの天然の相互作用相手と形成する複合体とは異なる、ことを特徴とする相
互作用仲介配列を含む、組換えキメラタンパク質により、本発明に従って達成す
る。
【0084】 よって本発明に係る組換えキメラタンパク質は、核酸合成活性が、例えば、そ
れが天然に起こるようには核酸合成活性と結合し得ない滑りかすがいタンパク質
と結合することを可能にする。故に、天然の相互作用相手とは、生物体内で正常
な生理的条件下で核酸合成活性に結合して存在し得る相手である。
【0085】 本発明の目的は、核酸合成活性を有する部分、ここでこの部分は、核酸合成活
性を有する部分と、相互作用仲介部分を含む基本タンパク質とから誘導される、
および少なくとも一つの相互作用仲介部分、ここでこの相互作用仲介部分は基本
タンパク質の相互作用仲介部分とは相違する、を含むキメラタンパク質によって
、そして、核酸合成活性を有する部分、ここでこの部分は核酸合成活性を有する
部分を含むが相互作用仲介部分は含まない基本タンパク質から誘導される、と相
互作用仲介部分とを含むキメラタンパク質によって達成される。
【0086】 本発明によれば、この目的はさらに、核酸の鋳型依存性伸長のための方法によ
り達成し、ここで伸長すべき核酸または少なくともその一本の鎖にはハイブリダ
イゼーション条件下で少なくとも一つのプライマーが提供され、ここでこのプラ
イマーは伸長すべき核酸の一部またはその隣接領域に対し十分相補性である、ポ
リメラーゼによるプライマー伸長は、本発明に係る組換えキメラタンパク質をポ
リメラーゼとして使用し、好ましくは滑りかすがいタンパク質がこの反応中に存
在することを特徴として、ヌクレオチドの存在下で実施する。
【0087】 本発明の意味において「組換え」とは、例えば当該キメラタンパク質が、例え
ば、遺伝子工学によって生成される(「Gentechnologie, Rompp Basislexikon C
hemie, Georg Thieme Verlag」1998を参照されたい)、または、例えば、化学合
成されることを意味すると理解する。
【0088】 その他の態様は従属請求項から生ずる。 本発明の基礎は、本明細書中で以降基本タンパク質と称する核酸合成活性を有
するタンパク質から出発すると、プロセシビティーを増大させる滑りかすがいタ
ンパク質のような因子とこのタンパク質を相互作用させることによって、このタ
ンパク質のプロセシビティー、またはより正確には核酸合成活性を増大させるこ
とができる[ここで、基本タンパク質はこのままではこの因子と相互作用できず
、もし相互作用するとしてもプロセシビティーの増大には結びつかない]という
驚くべき発見である。これは、核酸合成活性を有するタンパク質に、典型的には
連続したアミノ酸配列の形態の幾つかのアミノ酸の一群[これは本明細書中、相
互作用仲介または相互作用遂行配列と称する]を提供すること(そしてその唯一
の結果は当該タンパク質とプロセシビティーを増大させる因子との間に起こり得
る相互作用である)により、達成される。これにより、前述の先行技術の問題、
即ち、核酸合成活性を有する複合体の所望の個別要素に適合性が欠如していると
いう問題が克服できる。
【0089】 それらに限定されることを望む訳ではないが、この事は、核酸合成活性を有す
るこのようなキメラタンパク質の形成に関する少なくとも以下の3つのアプロー
チを産む。
【0090】 キメラタンパク質の基礎を形成する基本タンパク質は二つの基本形で存在し得
る。第一の形態では、基本タンパク質は、核酸合成活性のみを含んでおり、特に
インビボで核酸合成活性とプロセシビティー因子との相互作用を仲介できる、特
にその相互作用がプロセシビティーの増大を招くようなやり方で仲介ができる配
列(本明細書中、ドメインとも称する)を含まない。
【0091】 第二の形態では、基本タンパク質は、核酸合成活性と、これに加えて特にイン
ビボで核酸合成活性とプロセシビティー因子との相互作用を促進できる、特にそ
の相互作用がプロセシビティーを増大させるようなやり方で促進できる配列を含
む。
【0092】 本発明に係るキメラタンパク質は、基本タンパク質の様々な形態を基礎として
、異なる基本的態様で存在し得る。
【0093】 (i) キメラタンパク質の第一の態様は、基本タンパク質の第一形態を使用し
、核酸合成活性のプロセシビティーを増大させる因子との相互作用を仲介する配
列をこれに結合させることを提供する。この結合は、典型的には、相互作用仲介
配列が核酸合成活性の配列に加わり、所望によりリンカーによって隔てられてい
るというようにして実施される。よってキメラタンパク質のこの第一の態様では
、基本タンパク質に相互作用仲介配列が追加される。
【0094】 (ii) キメラタンパク質の第二の態様では、基本タンパク質の第二形態を使用
する。この場合、核酸合成活性のプロセシビティーを増大させる因子との相互作
用を仲介する基本タンパク質の本来の配列を、核酸合成活性のプロセシビティー
を増大させる因子との相互作用を仲介する別の配列に置き換える。この、別の配
列は、同じ生物の別の遺伝子から、別の生物の同じ遺伝子から、または別の生物
の別の遺伝子から誘導でき、したがっていずれにせよ異なる起源のものである。
その結果、このような組み立ては、基本タンパク質の核酸合成活性が、核酸合成
活性のプロセシビティーを増大させる因子と初めて、または高められた程度で相
互作用することを可能にする。
【0095】 (iii) キメラタンパク質の第三の態様では、基本タンパク質の第二形態を使
用する。この場合、核酸合成活性のプロセシビティーを増大させる因子との相互
作用を仲介する基本タンパク質の本来の配列に、核酸合成活性のプロセシビティ
ーを増大させる因子との相互作用を仲介する別の配列が追加される。この、別の
配列は、同じ生物の別の遺伝子から、別の生物の同じ遺伝子から、または別の生
物の別の遺伝子から誘導でき、したがっていずれにせよ異なる起源のものである
。その結果、このような組み立ては、基本タンパク質の核酸合成活性が、核酸合
成活性のプロセシビティーを増大させる因子と初めて、または高められた程度で
相互作用することを可能にする。
【0096】 上に述べたキメラタンパク質の全ての態様について、このようなキメラタンパ
ク質の(アミノ酸)配列は、典型的には基本タンパク質の配列とは相違していると
いうことが言える。さらなる、但し必然的ではない結果として、核酸合成活性を
有するキメラタンパク質とプロセシビティーを増大させる因子から生成される複
合体は、基本タンパク質とプロセシビティーを増大させる因子との複合体とは相
違している。
【0097】 本記載中に述べたタンパク質、ポリメラーゼおよび伸長タンパク質は全て基本
タンパク質として適当であり、その言及に対する説明は本明細書中になされてい
る。同じことは、他の全ての構成要素、特に複製装置の構成要素、例えばプロセ
シビティー因子、滑りかすがいタンパク質および相互作用仲介もしくは相互作用
遂行配列についても当てはまる。最後に、導入部に記載した定義はこの部分の内
容にも当てはまる。
【0098】 核酸合成活性は多くの生物から誘導できるが、例えば、生物カルボキシテルム
ス・ヒドロゲノホルマンス(Carboxythermus hydrogenoformans)(欧州特許出願EP
0 834 569 A1)、またはテルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、テル
ムス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)、テルムス・クリアロフィルス(Th
ermus chliarophilus)、テルムス・フィリホルミス(Thermus filiformis)、テル
ムス・フラブス(Thermus flavus)、テルムス・オシマイ(Thermus oshimai)、テ
ルムス・ルベル(Thermus ruber)、テルムス・スコトデュクツス(Thermus scotod
uctus)、テルムス・シルバヌス(Thermus silvanus)、テルムス種(Thermus speci
es) ZO5、テルムス種(Thermus species) sp. 17、テルムス・テルムスフィルス(
Thermus thermusphilus)、テロトガ・マリチマ(Therotoga maritima)、テロトガ
・ネアポリタナ(Therotoga neapolitana)、テルモシフォ・アフリカヌス(Thermo
sipho africanus)、アネロセルム・テルモフィルム(Anaerocellum thermophilum
)、バシルス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)またはバシルス・ステアロ
テルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)のような生物のうちの一つから
誘導するのが好ましい。
【0099】 本明細書で配列を述べる時、通常これはアミノ酸配列を指す。核酸配列は普通
、核酸配列であると直接言及する。
【0100】 本発明に係る組換えキメラタンパク質をコードしている種々の核酸は、遺伝子
コードによって当業者により容易に決定でき、そしてその後合成することができ
る。同様に、本発明に係る組換えキメラタンパク質をクローニングおよび発現す
るための好適なベクターおよびそれらの好ましい組換え産生のための方法もまた
、当業者には周知である(例えば、Maniatis他;上記、を参照されたい)。
【0101】 本発明に係る組換えキメラタンパク質に対する、モノクローナル抗体を包含す
る抗体もまた当業者にとって周知である。
【0102】 本発明に係る組換えキメラタンパク質を使用して、例えばポリメラーゼ連鎖反
応、DNA配列決定のために、核酸を標識するために、そして核酸のインビボ合成
を包含するその他の反応のために、核酸を伸長させることができる。
【0103】 よって、本発明のさらなる主題は、鋳型依存性伸長のための方法であって、こ
こで、伸長すべきこの核酸または少なくともその一方の鎖には、ハイブリダイゼ
ーション条件下で少なくとも1個のプライマーが提供され、ここでこのプライマ
ーは伸長すべき核酸の一部または隣接領域に対し十分相補的であり、且つプライ
マー伸長はヌクレオチドの存在下でポリメラーゼにより実施される[ここで、本
発明に係る組換えキメラタンパク質をポリメラーゼとして使用し、加えて、好ま
しい態様では、滑りかすがいタンパク質がこの反応または反応混合物中に存在す
る]。
【0104】 伸長が、鋳型核酸にハイブリダイズしており且つ伸長に利用できる遊離の3’-
OH末端を持つプライマーによって開始する、核酸の鋳型依存性伸長のための方法
は、当業者に周知である。特にポリメラーゼ連鎖反応がこの増幅のために実施さ
れる。二本鎖DNA配列を、ある標的領域の増幅を意図する出発物質として通常使
用する。このDNA二本鎖の部分的鎖の各々にある標的配列に隣接する領域に対し
相補的な2個のプライマーをこのために使用する。しかしながら、プライマーを
ハイブリダイズするため、このDNA二本鎖はまず変性させ、特に熱融解させる。
プライマーのハイブリダイゼーションの後、ポリメラーゼによって伸長を実施し
、その後これを再度変性させて、新たに生成したDNA鎖を鋳型鎖から分離させる
が、この時第一工程で生成した核酸鎖もまた、さらなる伸長サイクルのため、元
の鋳型鎖と共に、鋳型として利用でき、これらの各々を再度プライマーとハイブ
リダイズさせると新たな伸長が起こる。この操作を、中間工程としての熱変性を
伴うサイクルで実施する。
【0105】 本発明に係る組換えキメラタンパク質は逆転写にも使用でき、この場合、本発
明に係るタンパク質自身が逆転写酵素活性を有するか、または、熱安定性インビ
トロ複合体が固有の逆転写酵素活性を持っているか否かに拘わらず、逆転写酵素
活性を有する適当な酵素をさらに添加する。
【0106】 本発明に係る組換えキメラタンパク質は、RNAからDNAへの逆転写にも使用し(
これは本発明に従って好ましい)、この場合、当該タンパク質の核酸合成活性は
固有の逆転写酵素活性を持っている。この逆転写酵素活性は、ポリメラーゼ活性
のみであるか、または現存する5’-3’ DNAポリメラーゼ活性と共に存在してい
てもよい。組換えキメラタンパク質の本発明に係る好ましい態様は、EP-A 0 834
569号に開示されている、生物カルボキシドテルムス・ヒドロジエンフォーマン
ス(Carboxydothermus hydrogenfomans)から誘導される伸長タンパク質を含む。
【0107】 本発明に係る組換えキメラタンパク質のさらなる好ましい用途は、配列決定す
べき核酸の一部に対し十分相補的な少なくとも1個のプライマーから出発して核
酸を配列決定することであり、ここでもまた鋳型依存性伸長を実施し、または、
RNA配列決定の場合は、デオキシヌクレオチドおよびジデオキシヌクレオチドを
使用する逆転写をサンガーの方法に従って実施する。この好ましい態様の枠組み
内では、上に記載したそれぞれの誘導体もまたデオキシヌクレオチドおよびジデ
オキシヌクレオチドとして好適である。特に、核酸を伸長するための本発明に係
る方法にとって、生成する核酸を標識することが好ましい。この目的のため、既
に上で述べたように、標識されたプライマーおよび/または標識されたデオキシ
ヌクレオチドまたは/および標識されたジデオキシヌクレオチドおよび/または
標識されたリボヌクレオチドまたはそれらの適当な誘導体を使用できる。
【0108】 本発明のさらなる主題は、核酸鎖のフォスフォジエステル結合に個別的断裂を
挿入し、ポリメラーゼの助けによってこの断裂点のヌクレオチドを標識されたヌ
クレオチドに置き換える[ここで、このポリメラーゼとして、本発明に係る熱安
定性インビトロ複合体を使用する]ことによる、核酸を標識するための方法であ
る。
【0109】 一般にニック翻訳と呼ばれるこのような方法は、核酸の簡単な標識を可能にす
る。上記の全ての標識されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド
またはそれらの誘導体は、当該ポリメラーゼが基質としてそれらを許容する限り
、これに適している。
【0110】 本発明を以下の実施例および図面によってさらに説明するが、ここからさらな
る利点および態様が生ずる。
【0111】 実施例1:複製因子と滑りかすがいタンパク質の相互作用にとって重要なアミ
ノ酸を決定するための、酵母二ハイブリッド系の使用
【0112】 滑りかすがいタンパク質(本明細書中では以後SCPと称する)と複製因子(本明細
書中では以後RFと称する)の結合領域を決定するため、酵母二ハイブリッド系(Fi
elds S.、Song O.、Nature 1989 Jul 20; 340(6230): 245-6)を使用する。SCPお
よびRFの遺伝子をベクターpGBT9およびpGAD424(CLONTECH Laboratories,Inc.)で
発現させ、GAL4のDNA結合ドメインまたは活性化ドメインを有する融合タンパク
質を生成させる:DNAは生物アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fu
lgidus)(DSM No.4304)から既知の方法によって精製する。この微生物はDSM(「De
utsche Sammlung fur Mikroorganismen」)によって培養した。次いでこの遺伝子
のオープンリーディングフレームを、アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeo
globus fulgidus)のゲノムDNAからPCRによって増幅する。このようにして得られ
たDNAをベクターpGBT9およびpGAD424にクローニングする。二ハイブリッド系に
使用するその他のベクターもまた、以下に記載する方法にとって好適である(例
えば、これらは、pAD-GAL4-2.1、pBD-GAL4、pBD-GAL4 Cam、pCMV-AD、pCMV-BD、
pMyr、pSos、pACT2、pAS2-1、pHISi、pLexA、pM、pHISi-1、pB42AD、pVP16、pGA
D10、pGBKT7、placZi、p8op-lacZ、pGAD GH、pGilda、pAD GL、pGADT7、pGBDU、
pDBLeu、pPC86、pDBTrpを包含し、CLONTECH Laboratories,Inc.から入手できる)
。さらに、修飾されたクローンを同じベクター中にクローニングする。修飾され
たクローンは、除去突然変異、および、SCPおよび/またはRFの個別的アミノ酸
または幾つかのアミノ酸に影響を及ぼす突然変異である。その後、二ハイブリッ
ド系内で互いに相互作用する、修飾されたクローンの能力を測定する。これによ
り、相互作用にとって重要または必須なドメイン、または個々のアミノ酸残基さ
えも決定することができる。
【0113】 遺伝子に除去を導入する幾つかの方法がある。除去を作製する一つの方法は、
SCPまたはRFの遺伝子を含むDNAフラグメントを製造することである。これらのフ
ラグメントはPCRまたは制限消化により、適当なベクターから取得する。さらに
、この二つのタンパク質が誘導される生物由来のゲノムDNAを使用する。これら
の様々なDNAフラグメントおよびゲノムDNAを超音波処理によって小片とし、当該
遺伝子の全長から約100塩基までの間の長さを持つフラグメントを調製的アガロ
ースゲル電気泳動によって精製する。フラグメントの末端は適当な酵素(Klenow
、Pwo-ポリメラーゼまたはその他)を用いる処理によって満たし、または両方の
鎖が同じ長さを持ち、よって平滑となるように消化する。これらのフラグメント
を、SmaIで開裂させた(またはその他の方法で線状化し平滑化した)pGAD424およ
びpGBT9ベクター中に、またはその他の適当なベクター中に、ライゲーションに
よって取り込む。これにより、二ハイブリッド系の両ベクター中にそれぞれ存在
するSCPおよびRFの遺伝子の多数の小フラグメントのバンクがもたらされる。こ
れらのバンクのDNAを複製し、大腸菌(Escherichia coli)での形質転換後に精製
する。
【0114】 次の工程では、二つのバンクを、一つの菌株での、SCPまたはRFとGAL4 DNA結
合ドメインとの融合が、RFまたはSCPとGAL4活性化ドメインとの融合とは異なる
対合型として存在するように、二ハイブリッド系のための適当なハプロイド酵母
菌株中に導入する。すると、この二つの菌株を対合させることにより、二つのバ
ンク由来のプラスミドが同一細胞中に存在する二倍体細胞が生成する。好適な菌
株は、PJ69-4(James P、Halladay J、Craig EA、Genetics 1996 Dec; 144(4): 1
425-36)または二ハイブリッド系にとって好適な遺伝子型を有するその他任意の
菌株である。リポーター遺伝子が活性化される細胞を単離し、プラスミドDNAを
調製によってここから単離し、または挿入物をPCRによって特異的に増幅する。R
FおよびSCPを含む二つの融合タンパク質の相互作用が起こる全クローン中の領域
(または、これは常にある群のクローン中に見出される)を決定することにより、
結合領域(群)を決定する。この決定は遺伝子の各々について4回実施する:活性
化ドメインを有するベクター中のバンクについて1回(専らpGAD424)、DNA結合ド
メインを有するベクター中のバンクで1回(専らpGTB9)、結合相手の完全長クロー
ンについて1回、そしてこのフラグメントの遺伝子バンクについて1回。
【0115】 記載した実験は、SCPに親和性を有する組換えキメラタンパク質の組み立てに
利用できる、最小の結合領域を定義することを可能にする。結合領域の、より詳
細な特性決定を行うため、アミノ酸突然変異を導入し、結合特性に及ぼすそれら
の効果を試験する。これにより当該領域をさらに限定し、結合に関わっているタ
ンパク質中の位置を決定する。同時進行の調製では、結合領域に無作為突然変異
を導入し、結合に及ぼすその効果を決定することにより、結合に関わっている位
置をも決定する。いずれの場合も、突然変異がこのタンパク質を不安定化し、し
たがって間接的な影響を及ぼすのか、または突然変異はタンパク質の安定性に影
響を及ぼさず、したがって直接的効果を有するのかが決定される。
【0116】 これに要する実験操作はManiatis他(Molecular Cloning(第2版、全3巻): A l
aboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、N.Y.(1989))、Aus
ubel他(Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons(1988
))、Abelson,J.N.、およびSimon,M.I.(編) 1991(Methods in Enzymology、194
巻、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Academic press)または
Adams,A. Gottschling,D.E. Kaiser,CA、およびStearns,T.、1997(Methods in Y
east Genetics、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。二
ハイブリッド系の操作はClontech Company(yeast protocols handbook, PT3024-
1)の指示に従って行った。
【0117】 実施例2:SCPおよびRFの結合領域をマッピングするためのさらなる方法 SCPおよびRFを組換えタンパク質として得た。いずれの場合も二つのタンパク
質を支持体上に固定化し、次いで他方のタンパク質を、固定化した相手と結合さ
せるために未結合の形態で加えた。遊離の、即ち、非結合の物質を洗い流し、結
合したタンパク質を、例えば、変性によって溶出させた。結合タンパク質の量が
結合の尺度である(例えば、Anderson D、Koch CA、Grey L、Ellis C. Moran MF
、Pawson T、Science 1990 Nov. 16;250(4983):979-82により使用されている)。
【0118】 このタンパク質の除去突然変異体および修飾されたアミノ酸配列を有する突然
変異体の分析は、結合領域のマッピングを可能にした。除去は、タンパク質分解
的消化または除去された遺伝子の組換え発現によって作り出すことができる。同
じ方法で、該タンパク質の除去型を含む細胞抽出物からの同時免疫沈降によって
結合領域を決定できる。ペプチドによる結合の競合が、結合領域の配列に関する
情報を与える。
【0119】 結合領域をマッピングするためのさらなるアプローチは、ペプチドを作製し、
それぞれの場合においてこのペプチドと他のタンパク質との結合を測定すること
である。ペプチドの配列は無作為であってよく(Songyang Z、Prog Biophys Mol
Biol. 1999; 71(3-4):359-72)、または、その結合領域を同定すべきタンパク質
のアミノ酸配列に基づくものであってもよい(ペプチドスキャン、Brix J、Rudig
er S、Bukau B、Shcneider-Mergener J、Pfanner N、J.Biol.Chem. 1999 Jun 4;
274(23):16522-30)。このようなペプチドは、化学合成によって、またはファー
ジディスプレーのようなその他の方法によって製造でき、結合のために使用でき
る。一例を図3に示す。この場合、このようなペプチドの製造に好適な様々なコ
ンセンサス配列の並置が決定された。
【0120】 さらなる方法は、その結合領域を同定すべきタンパク質のエピトープに対する
抗体を製造することである。この抗体が結合を阻害するならば、抗体のエピトー
プは結合領域と部分重複する(例えば、Fumagalli S、Totty NF、Hsuan JJ、Cour
tneidge SA、Nature 1994 Apr 28;368(6474):871-4)。
【0121】 最後に、結合領域(相互作用仲介配列)を決定しまたはマッピングするもう一つ
の方法は、X線構造解析、核磁気共鳴または電子顕微鏡の方法を用いて当該複合
体の微細構造を解明することである。
【0122】 実施例3:酵母二ハイブリッド系(Y2H)を使用する、アルケオグロブス・フルギ
デュス(Archaeoglobus fulgidus)由来のタンパク質の相互作用の研究 その遺伝子産物がインビトロで相互作用遂行配列および/または核酸合成活性
として使用できるアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由
来の遺伝子のコード化領域をPCRによって増幅し、ベクターpGBT9(図9の縦列)お
よびpGAD424(図9の横列)にクローニングし、酵母PJ69-4a(pGAD424に対して)およ
びPJ69-4α(pGBT9に対して)で、ギャップ修復によりハイブリッドタンパク質と
して発現させた。正の対照もまたPCRにより増幅し、ベクターpGBT9およびpGAD42
4中にクローニングし(これもまた図9の横列を参照されたい)、酵母菌株PJ69-4a(
pGAD424に対して)およびPJ69-4α(pGBT9に対して)で、ギャップ修復によりハイ
ブリッドタンパク質として発現させた。二つのベクターを含む二倍体細胞を対合
によって作製した。3個の独立したリポーター(HIS3、ADE2およびMEL1)の発現を
測定した。HIS3およびADE2遺伝子の発現は、この細胞のヒスチジンまたはアデニ
ンプロトトロフィーを導く。MEL1遺伝子の転写は、その活性が例えば呈色反応に
よって検出できるβ-ガラクトシダーゼ酵素の産生を導く。図9に示す実験では、
ヒスチジン-およびアデニン-欠乏培地で生育する細胞は両方のベクターを持って
いる細胞であり、さらにこれら二つのベクターの発現生成物が互いに結合してい
る。融合タンパク質の相互作用は、リポーター遺伝子の転写を開始する機能的転
写因子の再構成を招く。リポーター遺伝子上にコードされているタンパク質の産
生は、ヒスチジンおよびアデニン栄養素要求性を廃絶する。これは、発現生成物
の結合が転写を開始させ、それが細胞の生育を可能にするという事実によるもの
である。
【0123】 この実験における全ての陽性クローンは、MEL1遺伝子の発現に関しても陽性で
あった。二ハイブリッド系の操作はClontech Company(yeast protocol handbook
、PT3024-1)の指示に従って行う。
【0124】 実施例4:Af0497の相互作用遂行配列の決定 滑りかすがいタンパク質との相互作用をもたらすタンパク質Af0497(伸長タン
パク質)上の相互作用遂行配列を決定するために、まず、Af0497の遺伝子のDNAを
、相互作用遂行配列を含む伸長タンパク質を含む適当なベクターを限定すること
によって取得した。次にこのDNAを超音波によってフラグメント化し、二つのベ
クターpGAD424およびpGBDU中にライゲーションした。これにより、二つのベクタ
ー中の遺伝子の様々なフラグメントのバンクが生成した。続いて酵母二ハイブリ
ッド系を用いて、これらフラグメントのいずれがAf0335との相互作用をもたらし
得るかを決定した。この目的のため、両方のバンクを適当な酵母菌株中で形質転
換した(pGAD424:PJ69-4a、pGBDU:PJ69-4α)。二ハイブリッド系で使用するた
めの適当なベクター中にバンク(Af0497)および滑りかすがいタンパク質を含んで
いる二倍体細胞を、この酵母菌株の対合によって取得した。HIS2リポーターを活
性化する全てのクローン(上記参照)を、ヒスチジンを含まない平板上で単離し、
酵母コロニーのPCRによって挿入物を選択的に増幅した。挿入物の配列を決定し
、Af0497遺伝子上でのそれらの位置を決定した。結果を模式的に図8Aに示す:1
個のクローンを除く見出された全てのクローンは、1または数個の相互作用遂行
配列を含む伸長タンパク質のカルボキシ末端を含んでいた。最小のクローンは51
のアミノ酸で構成されていた。
【0125】 別の生物のホモローガスタンパク質の相互作用遂行配列もまたそのタンパク質
のカルボキシ末端に存在するか否かを決定するため、ピロコッカス・ホリコシ(P
yrococcus horikoshi)由来のポリメラーゼタンパク質および滑りかすがいタンパ
ク質を用いる実験を反復した。この目的のため、ピー・ホリコシ(P.horikosii)
由来のポリメラーゼの大きなサブユニットのバンクを調製し、上記の方法により
ピー・ホリコシ(P.horikosii)由来の滑りかすがいタンパク質との相互作用につ
いて試験した。相互作用するフラグメントはやはり伸長タンパク質のカルボキシ
末端を含んでいた。
【0126】 タンパク質Af0497のカルボキシ末端と滑りかすがいタンパク質との相互作用が
特異的であるか否かを調べるため、Af0497のカルボキシ末端タンパク質フラグメ
ントがアルケグロブス・フルギデュス(Archaeglobus fulgidus)およびその他の
生物由来の他のタンパク質とも相互作用できるか否かを試験した。相互作用を測
定することは全くできず、この事は、この結合が滑りかすがいタンパク質に極め
て特異的であることを示すものである。
【0127】 したがって、ポリメラーゼTaqはSCP(Archaeoglobus fulgidus由来のPCNA)に結
合せず、いかなる相互作用も酵母二ハイブリッド系では測定されなかった。タン
パク質Af0497のカルボキシ末端が、これに融合している別のタンパク質との相互
作用をもたらすか否かを試験するため、TaqおよびAf0497の51のカルボキシ末端
アミノ酸より成る融合タンパク質を製造した。このタンパク質を酵母二ハイブリ
ッド系で相互作用について試験した:図4に示すように、Af0497の相互作用遂行
配列をTaqに融合させると、Taqと滑りかすがいタンパク質Af0335との特異的相互
作用がもたらされる。対応するY2H実験の結果を図4に示す。
【0128】 これは、滑りかすがいタンパク質Af0335との相互作用をもたらすこのフラグメ
ント(伸長タンパク質Af0497のカルボキシ末端)の性質を、実際にはAf0497に特異
的な滑りかすがいタンパク質との相互作用をそこに生じさせるために、別のタン
パク質、とりわけ別のポリメラーゼに融合させ得るまたは移動させ得ることを示
す。
【0129】 エー・フルギデュス(A.fulgidus)由来の6つのタンパク質(図5および図5Bをも
参照されたい)を用いて、PCNAとの相互作用を測定した。これは、これら全ての
タンパク質が、PCNAとの相互作用を仲介する類似の相互作用遂行配列を含んでい
ることを示す。即ち、例えばポリメラーゼδ大サブユニット(Af 0497、TREMBL番
号:029753)、ポリメラーゼδ小サブユニット(Af 1790、TREMBL番号:028484)、
DP2(Af 1722、TREMBL番号:028552)、RPA2(複製因子A)、RFC2(複製因子C)および
PCNA(Af0335、TREMBL番号:029912)である。
【0130】 このような相互作用遂行配列はタンパク質Af0497の最後の50アミノ酸に含まれ
ている。PCNAと相互作用するタンパク質の調査は、全てが、アミノ酸配列のカル
ボキシ末端の直前に位置するモチーフを含んでいることを示した。図8Bは関連配
列の一覧を示すものであり、ここで保存領域は黒色の棒で示してある。
【0131】 このモチーフは他の生物および遺伝子においても保存されている。図5は、こ
うした相互作用遂行配列およびそれから生成するコンセンサス配列の探索結果を
示す。
【0132】 実施例5:SCPとしてのPCNAおよび本発明に係るキメラ伸長タンパク質を使用す
ることによるPCRの効率の増大 この実施例は、PCR反応の効率に及ぼすPCNAの影響を示す。このPCR反応では、
463bpフラグメントをプラスミドDNAから増幅した。図6Aにも示すように、ポリメ
ラーゼとしてTaq融合タンパク質を使用した。PCRのための反応条件は以下の通り
であった:1反応において各dNTP 0.4mM(pH8.3)および各プライマー20pmol。配列
5’-AGGGCGTGGTGCGGAGGGCGGT-3’を有する第一プライマー(配列番号13)および配
列5’-TCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGT-3’を有する第二プライマー(配列番号14)を使用
した。
【0133】 Taq融合タンパク質自身が既にPCR反応で生成物を生ずるため、天然Taq DNAポ
リメラーゼのC末端への50アミノ酸ドメインの融合は、このポリメラーゼの性質
に不都合な影響を及ぼさないことが判明した。よってこのドメインを使用して、
アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来の滑りかすがい
タンパク質PCNAとTaq融合タンパク質との相互作用を仲介し、プロセシビティー
因子としてのその性質の故にPCR反応の効率を増大させることができる(これはPC
R生成物のかなり高い収率に反映されている)。この結果を図7に示す。
【0134】 実施例6:アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)の伸長
タンパク質Af0497とアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)
の滑りかすがいタンパク質Af0335の間の相互作用を検出するための酵母二ハイブ
リッド系
【0135】 図9は、Y2H実験の結果を示すものであり、ここで、A列は、転写活性化ドメイ
ンが発現されるような空のpGAD424ベクター(Clontech、パロアルト、米国)を持
つ細胞を含み、B列は、そこから転写活性化ドメインを有する融合タンパク質と
してサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevesiae)遺伝子CDC48が発現
されるpGAD424ベクターを持つ細胞を含み;C列は、そこから転写活性化ドメイン
を有する融合タンパク質としてアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus
fulgidus)由来の滑りかすがい遺伝子が発現されるpGAD424ベクターを持つ細胞
を含み;D列は細胞を含まず、そしてE列は、そこから転写活性化ドメインを有す
る融合タンパク質としてアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgi
dus)由来の伸長タンパク質遺伝子が発現されるpGAD424ベクターを持つ細胞を含
んでいる。
【0136】 縦列1は、空のpGBT9ベクター(Clontech、パロアルト、米国)を持つ細胞を含み
、縦列2は、そこからDNA結合ドメインを有する融合タンパク質としてサッカロミ
セス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)遺伝子UFD3が発現されるpGBT9ベ
クターを持つ細胞を含み;縦列3は、そこからDNA結合ドメインを有する融合タン
パク質としてアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来の
滑りかすがいタンパク質が発現されるpGBT9ベクターを持つ細胞を含み;縦列4は
、そこからDNA結合ドメインを有する融合タンパク質としてアルケオグロブス・
フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来のカップリングタンパク質が発現さ
れるpGBT9ベクターを持つ細胞を含み;縦列5は、そこからDNA結合ドメインを有
する融合タンパク質としてアルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus ful
gidus)由来の伸長タンパク質が発現されるpGBT9ベクターを持つ細胞を含む。
【0137】 実施例7:キメラ伸長タンパク質を用いるゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応 実施例7は、本発明に係る組換えキメラタンパク質を使用する長いDNAフラグメ
ント上のPCR反応の効率に及ぼす滑りかすがいタンパク質の影響を示す。このPCR
反応では、ヒトゲノムDNAから4954bpフラグメントを増幅した。本発明に係る組
換えキメラタンパク質をポリメラーゼとして使用した。条件は、標準的PCR反応
条件に相当する:pH8.3、1反応において0.4mMの各pNTPおよび20pmolの各プライ
マー。第一プライマー(配列番号15):(5-AGGAACAACATATGACGCACTCT-3)および第
二プライマー(配列番号16):(5’-TAGGTGGCCTGCAGTAATGTTAG-3’)を使用した。
【0138】 図6Aに示した配列を有する本発明に係る組換えキメラタンパク質のみが、滑り
かすがいタンパク質PCNAによる刺激の下で明確且つ特異的なPCR生成物を産生さ
せ、一方、天然Taq DNAポリメラーゼを含有する同じ反応混合物は示された生成
物を産生しなかった。これは、滑りかすがいタンパク質と本発明に係る組換えキ
メラタンパク質との相互作用が、標的DNAからの本発明に係る組換えキメラタン
パク質の、より低い解離を導くということによって説明できる。
【0139】 既に実施例中で部分的に言及した図面を、以下により詳細に説明する。 以下の図面に開示する全ての配列並置は、Altschul,S.F.、Gish,W. Miller,W.
、Myers,E.W.およびLipman,D.J.、J.Mol.Biol. 215,403-410(1990)に従ってBLAS
Tアルゴリズムを用いて決定した。
【0140】 図1: 図1は、種々の生物由来の、即ち伸長タンパク質1についてはヒト、アルケオグ
ロブス・フルギデュス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコッカス・テルモオー
トトロフィクスム(Methanococcus thermoautotrophicusm)、PHBT(Pyrococcus ho
rikoshii)およびメタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus janashii)由来の、
合計4個の異なる伸長タンパク質ドメインの配列並置を示す。この図では、並置
のすぐ下にしばしばコンセンサス配列があり、そこでは変わり得る位置を単一の
記号で示す。角括弧中のアミノ酸は、特別な位置に存在し得る、一文字コードで
表現したアミノ酸を表す。
【0141】 アミノ酸は標準的IUPAC一文字命名法に従って命名し、prositeパターン描写標
準に従って列挙する。以下のアミノ酸はしばしばまとめて分類される: G、A、V、L、I、M、P、FまたはW(非極性側鎖を有するアミノ酸)、配列直下に
しばしば「$」とも記載する。 S、T、N、Q、YまたはC(非荷電極性側鎖を有するアミノ酸)、 K、R、H、DまたはE(荷電且つ極性側鎖を有するアミノ酸)、配列直下にしばし
ば「&」とも記載する。 また、配列または配列プロトコル中、Xは任意のアミノ酸または挿入または除
去を示す。
【0142】 図1は、伸長タンパク質の異なる領域についての4個の異なるコンセンサス配列
を示しており、ここで、例えば伸長タンパク質3はしばしば真性細菌に見出され
、伸長タンパク質4はTaqポリメラーゼをも含み、しばしばPol I型ポリメラーゼ
中に見出すことができる。よって伸長タンパク質3は、真性細菌由来の伸長タン
パク質の保存領域との並置およびここから誘導されるコンセンサス配列を示す。
以下の遺伝子を示す:DP3A_ECOLI:DNA Pol III、αサブユニット、大腸菌(Esch
erichia coli)、BB0579:DNA Pol III、αサブユニット、ボレリア・ブルグドル
フェリ(Borrelia burgdorferi)、DP3A_HELPY:DNA Pol III、αサブユニット、
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori) AA50:アキフェクス・エオリク
ス(Aquifex aeolicus)、セクション50およびDP3A_SALTY:DNA Pol III、αサブ
ユニット、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium))。
【0143】 図2: 図2は、本発明に係る組換えキメラタンパク質の可能な形態の図式を示すもの
であり、ここで、ポリメラーゼの合成活性を増大させる因子である滑りかすがい
は、相互作用遂行配列を含むドメインを介して、核酸合成活性を有する伸長タン
パク質に結合している。
【0144】 図3: 図3は、4個の滑りかすがいコンセンサス配列を示している。 以下の遺伝子が滑りかすがい領域1として示される:ヒトPCNAならびにアルケ
オグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)、メタノコッカス・ジャナ
シ(Methanococcus janashii)、ピロコカッス・ホリコシ(Pyrococcus horikoschi
i)およびメタノコッカス・テルモオートスロフィクス(Methanococcus themoauto
throphicus)由来のそのオルソログ。
【0145】 領域2は、真核生物およびアルケ(Archae)由来の滑りかすがいの第二保存領域
と、それらから誘導されたコンセンサス配列の並置を示す。この並置は、領域1
のために上で既に使用した滑りかすがいの第二領域を用いて確立した。
【0146】 領域3は、真性細菌由来の滑りかすがいの保存領域と、それらから誘導された
コンセンサス配列の並置を示す。以下の遺伝子を示す:AAPOL3B、DP3B_ECOLI、S
.TYPHIM、DP3B_PROMI、DP3B_PSEPUおよびDP3B_STRCO(AAPOL3B:Aquifex Aeolic
usセクション93:DP3B_ECOLI:DNA Pol III、β鎖、Escherichia coli、S.TYPHI
M:DNA Pol III、β鎖、Salmonella typhimurium、P3B_PROMI:DNA Pol III、β
鎖、Proteus mirabilis DP3B_PSEPU:DNA Pol III、β鎖、Pseudomonas putida
DP3B_STRCO:DNA Pol III、β鎖、Streptomyces coelicolor)。
【0147】 領域4は、真性細菌由来の滑りかすがいの第二保存領域(領域3の生物を参照さ
れたい)と、それらから誘導されたコンセンサス配列の並置を示す。
【0148】 図4 図4は、酵母二ハイブリッド系におけるキメラタンパク質の相互作用を示す。
図4に示す結果は、滑りかすがいタンパク質Af0335との相互作用を促進する性質
は、別のタンパク質、特に別のポリメラーゼに移すことができ、そこで滑りかす
がいタンパク質との相互作用をもたらすことを立証している。SCPはそれ自身に
結合し、そしてSCPは、アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgid
us)由来の相互作用遂行配列を含むTaq融合タンパク質と結合することが示される
【0149】 図5: 図5は、種々の生物由来の、そして種々の遺伝子に対する、相互作用遂行配列
の保存領域の、3つの並置を示す: 配列1(ポリメラーゼ遺伝子、Af0497相同体):アルケオグロブス・フルギデ
ュス(Archaeoglobus fulgidus)、ピロディクチウム・オクルツム(Pyrodictium o
ccultum)、エロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)、ピロコッカス・グリコ
ボランス(Pyrococcus glycovorans)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus fu
riosus)、テルモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)、ピロ
コッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus
horikoshii)、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、テルモ
コッカス・フミコランス(Thermococcus fumicolans)およびメタノコッカス・ジ
ャナシ(Methanococcus jannaschii)。 配列2(ポリメラーゼ遺伝子、Af1722相同体):アルケオグロブス・フルギデ
ュス(Archaeoglobus fulgidus)、メタノコッカス・ジャナシ(Methanococcus jan
naschii)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、メタノバクテリ
ウム・テルモオートトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ピ
ロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)およびピロコッカス・アビシイ(
Pyrococcus abyssi)ならびに 配列3(Af、1347同族体)、アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus
fulgidus)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、ピロコッカス・ホリ
コシ(Pyrococcus horikoshii)、メタノバクテリウム・テルモオートフィクム(Me
thanobacterium thermoautotrophicum)およびエロピルム・ペルニクス(Aeropyru
m pernix)。 相互作用遂行配列は、SCPを結合させるために本発明に係るキメラタンパク質
中に導入できる。
【0150】 図5B: 図5Bは、種々の生物由来の、そして種々の遺伝子に対する、相互作用促進配列
の保存領域の、2つの並置を示す: 配列4(RNアーゼ遺伝子、Af 0621同族体):アルケオグロブス・フルギデュス
(Archaeoglobus fulgidus)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、ピ
ロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)およびアラビドプシス・サリア
ナ(Arabidopsis thaliana)ならびに 配列5(ポリメラーゼ遺伝子):アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglo
bus fulgidus)、ピロコッカス・アビシイ(Pyrococcus abyssi)、メタノコッカス
・テルモオートトロフィクム(Methanococcus thermoautotrophicus)、メタノコ
ッカス・ジャナシ(Methanococcus janashii)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)
およびホモ・サピエンス(Homo sapiens)。 相互作用遂行配列は、SCPを結合させるために本発明に係るキメラタンパク質
中に導入できる。
【0151】 図5C: 図5Cは、1または数個の異なるアミノ酸の分類に使用する文字のリストを示し
、ここで、アミノ酸またはその群の性質は「クラス」の下に列挙し、使用する記
号は「キイ」の下に列挙し、そしてその群内のアミノ酸は「残基」の下に列挙す
る。
【0152】 図6A: 図6Aは、本発明に係る組換えキメラタンパク質の好ましい態様の全配列を示す
。この場合、伸長タンパク質と、したがって、核酸合成活性は、テルムス・アカ
ティクス(Thermus aquaticus)から誘導し、相互作用遂行配列はアルケオグロブ
ス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)から誘導した。
【0153】 図6B: 図6Bは、本発明に係る組換えキメラタンパク質の好ましい態様の構造を図解し
た全体図を示す。この場合、伸長タンパク質はテルムス・アカディスク(Thermus
aquaticus)由来であり、相互作用遂行配列はアルケオグロブス・フルギデュス(
Archaeoglobus fulgidus)由来である。
【0154】 図7: 図7は、本発明に係る組換えキメラタンパク質のPCRでの使用を示し;その配列
は図6Aに示してある。この1%アガロースゲルの全ての列で、プラスミドDNAで開
始するPCR反応の増幅物に相当する463bpサイズを有する1個のバンドが観察でき(
463bpフラグメントを含むpCR2.1ベクター;Invitrogen、9704 CH グロニンゲン
、オランダ)、これは以下の条件で実施した:(95℃ 5’変性;30x{95℃30''変性
;55℃30''ハイブリダイゼーション;72℃40''伸長};72℃さらに7の伸長)。反
応混合物50μLのうち20μLをゲルに適用した。第7列はサイズ標準を示す。
【0155】 第2列(PCNA 0.3μg)および第3列(PCNA 2.4μg)では、刺激剤として漸増量の滑
りかすがいタンパク質(PCNA)を一定のMg2+イオン濃度(2.5mM)で添加した後に、
バンドの強度が第1列(PCNA無しでのPCR反応)に比べて増大していることが観察で
きる。これらのバンドの強度のさらなる増大、よってPCR反応における収量の増
大は、より高いMg2+イオン濃度(3.5mM)でPCNAを増量した第4列(PCNA無し)および
第5列(PCNA 0.3μg)および第6列(PCNA 2.4μg)で達成できる。
【0156】 図8A: アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来の滑りかすが
いタンパク質(Af0335)と相互作用するAf0497(上記参照)の全フラグメントの図式
。「B」と表示した矢印は、DNA結合ドメインとの融合物として見出されたクロー
ンを示し、「A」と表示された矢印は、活性化ドメインとの融合物として見出さ
れたクローンを示す。
【0157】 図8B: 図8Bは、以下の遺伝子Af 0497-grUE、af 1195 Rfc、Af 0264 Rad2-Fen1、Af 0
621 RNアーゼH、アルケオグロブス・フルギデュス(Acheaoglobus fulgidus)のC
末端配列の並置を示す。
【0158】 図9: 図9は、酵母二ハイブリッド試験の結果を示し、酵母タンパク質ufd3およびcdc
48(2B;正の対照)、伸長タンパク質および滑りかすがいタンパク質(3E;そして
逆向きの5C)、滑りかすがいタンパク質および滑りかすがいタンパク質(3C)なら
びにカップリングタンパク質および滑りかすがいタンパク質(4C)の間の結合を証
明している。融合タンパク質は、縦列1ではベクターpGBT9(ベクター)、2ではpGB
T9::ufd3(正の対照)、3ではpGBT9::PCNA、4ではpGBT9::klUE、5ではpGBT9::grUE
、横列AではpGAD424(ベクター)、BではpGAD424::cdc48(正の対照)、CではpGAD42
4::PCNA、Dでは空、そしてEではpGAD::grUEから発現される。
【0159】 アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来のタンパク質
の相互作用をY2H系で立証した。その遺伝子産物をインビトロで使用できるアル
ケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)由来の遺伝子のコード化
領域をPCRで増幅し、ベクターpGBT9(図27の縦列)およびpGAD424(図9の横列)中に
クローニングし、酵母PJ69-4a(pGAD424について)およびPJ69-4α(pGBT9について
)中で、ギャップ修復によりハイブリッドタンパク質として発現させた。正の対
照もまたPCRにより増幅し、ベクターpGBT9(図9の縦列も参照されたい)およびpGA
D424(図9の横列も参照されたい)中にクローニングし、酵母菌株PJ69-4a(pGAD424
について)およびPJ69-4α(pGBT9について)中で、ギャップ修復によりハイブリッ
ドタンパク質として発現させた。二つのベクターを含む二倍体細胞を、図9に示
すグリッドに従い対合によって作製した。3つの独立リポーター(HIS3、ADE2およ
びMEL1)の発現を測定した。図9は、ヒスチジンおよびアデニンを欠く培地上での
生育を示す。この実験で生育する細胞は両方のベクターを持っており、そしてさ
らにこの二つのベクターの発現生成物は互いに結合する。この発現生成物の結合
は転写を開始させ、それはヒスチジンおよびアデニン栄養素要求性の廃絶を導く
【0160】 この実験における全ての陽性クローンはMEL1遺伝子の発現に関しても陽性であ
る。この二ハイブリッド系の操作は、Clontech Company(yeast protocol handbo
ok、TP3024-1)の指示に従って行った。
【0161】 図10: サイズ標準を示す第5列を除くこの1%アガロースゲルの全ての列において、PCR
反応の増幅物の50μL調製物のうち20μLをゲルに適用したが、ここでは、以下の
条件:(95℃ 5’変性;35x{95℃30''変性;47℃30''ハイブリダイゼーション;7
2℃12’伸長};72℃さらに10の伸長、の下で、4954塩基対のサイズを有するヒト
ゲノムDNA上でPCRを実施した(Roche Diagnostics、D-68305 マンハイム)。第3列
(PCNA 2.4μg)においては、漸増量の滑りかすがいタンパク質(Archaeoglobus fu
lgidus由来のPCNA)を本発明に係る組換えキメラタンパク質複合体に刺激剤とし
て加えた後に、第1列(PCNA無しのPCR反応)および第2列(PCNA 0.3μg)と比較して
、一定のMg2+イオン濃度(6mM)において一つのバンドが得られ、一方、同じMg2+
イオン濃度においてTaq DNAポリメラーゼを用いると、このPCR反応では定義され
た生成物は生成され得なかった(第4列)。
【0162】 本明細書および請求項に開示した本発明の特徴は、個別的に重要であると同時
に、本発明を様々な態様で実現するためのいかなる組み合わせにおいても重要と
なり得る。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、異なる伸長タンパク質ドメインの4つの配列並置を示す。
【図2】 図2は、本発明に係る組換えキメラタンパク質の模式的表示を示す。
【図3】 図3は、滑りかすがいタンパク質の4つのコンセンサス配列を示す。
【図4】 図4は、酵母二ハイブリッド系の結果の表を示す。
【図5】 図5は、相互作用の原因である配列の幾つかの保存領域の並置を示す。
【図5B】 図5Bは相互作用の原因である配列の幾つかの保存領域の並置を示す。
【図5C】 図5Cは相互作用の原因である配列の幾つかの保存領域の並置を示す。
【図6A】 図6Aは、本発明に係る組換えキメラタンパク質の一つの態様の全配列を示す
【図6B】 図6Bは、本発明に係るキメラタンパク質の基本構造の図式を示す。
【図7】 図7は、本発明に係るキメラタンパク質を用いて実施したポリメラーゼ連鎖反
応の結果を示す。
【図8A】 図8Aは、アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeoglobus fulgidus)(Af033
5)の滑りかすがいタンパク質と相互作用できるAf0497の全フラグメントを示す。
【図8B】 図8Bは、アルケオグロブス・フルギデュス(Archaeglobus fulgidus)由来の
様々な遺伝子のC末端配列の並置を示す。
【図9】 図9は、伸長タンパク質と滑りかすがいタンパク質の相互作用を示す、酵母二
ハイブリッド実験の結果を示す。そして、
【図10】 図10は、本発明に係る組換えキメラタンパク質を用いるゲノムDNAの増幅の
結果を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年10月29日(2001.10.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12Q 1/42 4H045 9/10 1/48 Z C12Q 1/42 1/68 A 1/48 G01N 33/58 A 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/58 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 レーザー,エーファ ドイツ連邦共和国,デー−69121 ハイデ ルベルク,フリッツ−フライ−シュトラー セ 5/アー37 (72)発明者 ケグル,マンフレート ドイツ連邦共和国,デー−69214 エッペ ルハイム,ハウプトシュトラーセ 131 /4 Fターム(参考) 2G045 AA35 DA13 FA16 FB02 4B024 AA11 AA20 BA10 CA04 CA07 GA11 HA01 HA15 4B050 CC01 CC05 DD02 LL03 LL05 4B063 QA01 QA18 QQ28 QQ33 QQ34 QQ42 QQ52 QR55 QR62 QS25 QS34 4B065 AA01X AA01Y AB01 AC14 CA29 CA46 4H045 AA11 BA41 CA11 DA76 DA89 EA50 FA74

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互作用仲介配列が核酸合成活性と滑りかすがいタンパク質
    との複合体の形成をもたらし、その複合体が、核酸合成活性および/または滑り
    かすがいタンパク質がそれらの天然の相互作用相手と形成する複合体とは異なる
    ことを特徴とする、 a) 核酸合成活性を有する第一ドメイン、および、 b) 相互作用仲介配列、 を含む組換えキメラタンパク質。
  2. 【請求項2】 核酸合成活性を有する部分、ここでこの部分は核酸合成活性
    を有する部分および相互作用仲介部分を含む基本タンパク質から誘導される、と
    、 少なくとも一つの相互作用仲介部分、ここでこの相互作用仲介部分は基本タンパ
    ク質の相互作用仲介部分とは相違する、 を含むキメラタンパク質。
  3. 【請求項3】 当該タンパク質が基本タンパク質の相互作用仲介部分を含ん
    でいることを特徴とする、請求項2に記載のキメラタンパク質。
  4. 【請求項4】 核酸合成活性を有する部分、ここでこの部分は核酸合成活性
    を有する部分を含むが相互作用仲介部分は含まない基本タンパク質から誘導され
    る、および、 相互作用仲介部分、 を含むキメラタンパク質。
  5. 【請求項5】 相互作用仲介部分が、核酸合成活性と、核酸合成活性の合成
    速度に影響を及ぼす因子との間の結合を仲介することを特徴とする、請求項1〜4
    のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
  6. 【請求項6】 当該因子が滑りかすがいタンパク質であることを特徴とする
    、請求項5に記載のキメラタンパク質。
  7. 【請求項7】 核酸合成活性がコンセンサスペプチド配列、ここでこの配列
    は配列番号1、2および3を含む群から選ばれる、を含む、 ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  8. 【請求項8】 滑りかすがいタンパク質がコンセンサスペプチド配列、ここ
    でこの配列は配列番号4、5、6および7を含む群から選ばれる、を含む、 ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  9. 【請求項9】 相互作用仲介配列が、配列番号8、9、10、11および12を含む
    群から選ばれるコンセンサスペプチド配列を含む、 ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  10. 【請求項10】 相互作用仲介配列が、配列番号8のコンセンサスペプチド
    配列を含む、 ことを特徴とする、請求項9に記載の組換えキメラタンパク質。
  11. 【請求項11】 相互作用仲介配列が、核酸合成活性を有する配列のC末端
    にある、 ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  12. 【請求項12】 リンカーが、相互作用仲介配列と、核酸活性を有する配列
    との間に位置する、 ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  13. 【請求項13】 キメラタンパク質が熱安定性である、 ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  14. 【請求項14】 当該タンパク質がDNAポリメラーゼ活性を有する、 ことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  15. 【請求項15】 当該タンパク質が3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有す
    る、 ことを特徴とする、請求項14に記載の組換えキメラタンパク質。
  16. 【請求項16】 当該タンパク質がRNAポリメラーゼ活性を有する、 ことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  17. 【請求項17】 当該タンパク質が逆転写酵素活性を有する、 ことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質
  18. 【請求項18】 核酸合成活性によるdNTPおよびddNTPの取り込み速度
    が5未満の係数で相違している、 ことを特徴とする、請求項14に記載の組換えキメラタンパク質。
  19. 【請求項19】 a) 請求項1〜18のいずれか1項に記載の組換えキメラタン
    パク質、および、 b) 滑りかすがいタンパク質、 を含む複合体。
  20. 【請求項20】 滑りかすがいタンパク質が、配列番号4、5、6および7の配
    列を含む群から選ばれるコンセンサスペプチド配列を含む、 請求項19に記載の複合体。
  21. 【請求項21】 さらに核酸を含む、請求項19または20に記載の複合体。
  22. 【請求項22】 請求項1〜18のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク
    質をコードしている核酸。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の核酸を含むベクター。
  24. 【請求項24】 これが発現ベクターである、請求項23に記載のベクター。
  25. 【請求項25】 請求項23または24に記載のベクターを含む細胞。
  26. 【請求項26】 核酸を伸長するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の組換えキメラタンパク質の使用。
  27. 【請求項27】 核酸を増幅するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の組換えキメラタンパク質の使用。
  28. 【請求項28】 RNAからDNAへの逆転写のための、請求項1〜18のいずれか1
    項に記載の組換えキメラタンパク質の使用。
  29. 【請求項29】 DNAを配列決定するための、請求項1〜18のいずれか1項に
    記載の組換えキメラタンパク質の使用。
  30. 【請求項30】 1または数個の別々の容器に、 a) 請求項1〜18のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質、および/ま
    たは b) 請求項19〜21項のいずれか1項に記載の複合体、および好ましくは、 c) 所望により少なくとも1個のプライマー、緩衝剤、ヌクレオチド、補助因子
    、および/またはピロフォスファターゼ、 を入れた、核酸の伸長および/または増幅および/または逆転写および/または
    配列決定および/または標識のための試薬キット。
  31. 【請求項31】 核酸を増幅するために、物質a)および/またはb)に加えて
    デオキシヌクレオチドまたは/およびその誘導体を含む、 ことを特徴とする、請求項30に記載のキット。
  32. 【請求項32】 3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ
    を含む、 ことを特徴とする、請求項30または31に記載のキット。
  33. 【請求項33】 逆転写酵素活性を有するa)および/またはb)の物質と、好
    ましくは逆転写のためのデオキシヌクレオチドおよび/またはその誘導体を含む
    、 ことを特徴とする、請求項30に記載のキット。
  34. 【請求項34】 デオキシヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたは/お
    よびそれらの誘導体に加えて、配列決定のためのジデオキシヌクレオチドまたは
    /およびその誘導体を含む、 ことを特徴とする、請求項30に記載のキット。
  35. 【請求項35】 伸長すべき核酸または少なくともその一方の鎖に、ハイブ
    リダイゼーション条件の下で少なくとも1個のプライマー、ここでこのプライマ
    ーは伸長すべき核酸の一部または隣接領域に対し十分相補的であり、且つこのプ
    ライマーはヌクレオチドの存在下でポリメラーゼにより伸長される、が提供され
    る、核酸の鋳型依存性伸長のための方法であって、 請求項1〜18のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質をポリメラーゼとし
    て使用し、そして、好ましくは反応中に滑りかすがいタンパク質が存在する、 ことを特徴とする方法。
  36. 【請求項36】 増幅すべき核酸に、ハイブリダイゼーション条件の下で少
    なくとも2個のプライマー、ここでこの2個のプライマーの各々は増幅すべき核酸
    の一部または隣接領域に対し相補的であり、且つこのプライマーはヌクレオチド
    の存在下でポリメラーゼにより伸長される、を添加する、核酸の増幅のための方
    法であって、 請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質をポリメラーゼとして使用
    し、そして、好ましくは滑りかすがいタンパク質を反応に添加する、 ことを特徴とする方法。
  37. 【請求項37】 ポリメラーゼ連鎖反応を実施する、 ことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 反応混合物が2つのDNAポリメラーゼを含み、うち少なくと
    も一方は3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を持ち、そしてこの3’-5’エキソヌク
    レアーゼ活性が、組換えキメラタンパク質によって、またはさらなるポリメラー
    ゼによって反応混合物に添加される、 ことを特徴とする、請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 請求項1〜18のいずれか1項に記載の2つの組換えキメラタ
    ンパク質が反応中に存在し、一方が請求項14に記載のタンパク質であり、他方が
    請求項15に記載のタンパク質である、 ことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
  40. 【請求項40】 配列決定すべき核酸に隣接する領域に対し相補的なプライ
    マーから出発して核酸を配列決定するため、デオキシヌクレオチドおよびジデオ
    キシヌクレオチドまたはそれらの誘導体を用いてサンガーの方法に従い、鋳型依
    存性伸長または逆転写を実施する、 ことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
  41. 【請求項41】 核酸の伸長の間に標識を導入する、 ことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
  42. 【請求項42】 標識されたプライマー、標識されたデオキシヌクレオチド
    およびその誘導体、標識されたジデオキシヌクレオチドおよびその誘導体ならび
    に標識されたリボヌクレオチドおよびその誘導体を含む群から選ばれる試薬を使
    用する、 ことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
  43. 【請求項43】 核酸鎖のフォスフォジエステル結合に単一の断裂を作製し
    、ポリメラーゼの助けによってこの断裂点のヌクレオチドを標識されたヌクレオ
    チドに置換することにより、核酸を標識するための方法であって、 請求項1〜18のいずれか1項に記載の組換えキメラタンパク質をポリメラーゼとし
    て使用する、 ことを特徴とする方法。
  44. 【請求項44】 請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質に対
    する抗体。
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