JP2003342717A - 真空アーク方式蒸着装置及びこれを用いた成膜方法 - Google Patents

真空アーク方式蒸着装置及びこれを用いた成膜方法

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JP2003342717A JP2002152871A JP2002152871A JP2003342717A JP 2003342717 A JP2003342717 A JP 2003342717A JP 2002152871 A JP2002152871 A JP 2002152871A JP 2002152871 A JP2002152871 A JP 2002152871A JP 2003342717 A JP2003342717 A JP 2003342717A
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浩一 前田
Akihiro Kondou
暁裕 近藤
Yusuke Tanaka
裕介 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マクロパーティクルの少ない皮膜の成膜速度
を高めるとともに、絶縁性皮膜の成膜においても安定し
た真空アーク放電を長時間持続させる。 【解決手段】 蒸発材5と基体Sとの間に、蒸発面5A
と略同軸状に第1の空心コイル6を配置する。蒸発材5
の周囲に、蒸発面5Aと略同軸状に第2の空心コイル7
を配置する。第2の空心コイル7の磁力線X2が、蒸発
面5Aにおいて、前方側に向かうにしたがい蒸発面5A
と略直交する方向に延びる、あるいは、前方側に向かう
にしたがい径方向外方側に発散する方向に延びるように
設定する。蒸発材5の後方に、第3のコイル8を、蒸発
面5Aと略同軸状に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば切削工具な
どの表面に、絶縁性皮膜を成膜するために用いられる真
空アーク方式蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、真空アーク放電によって蒸発
材の蒸発面から皮膜形成材料を蒸発させて皮膜形成材料
物質イオンを含むプラズマを生成させ、このプラズマ中
の皮膜形成材料物質イオンと反応性ガスとを反応させて
なる絶縁性物質を基体表面に蒸着する真空アーク方式蒸
着装置は一般的によく知られている。ところで、真空ア
ーク放電によって蒸発材の蒸発面から皮膜形成材料を蒸
発させるときには、この蒸発面に形成されるアークスポ
ットから皮膜形成材料物質の微小な溶融粒子であるマク
ロパーティクルが放出されることになるが、このマクロ
パーティクルが成膜される皮膜へ混入してしまうと、皮
膜の平滑性を損ねるだけでなく、密着力の低下を引き起
こし皮膜が剥離しやすくなることから、マクロパーティ
クルの皮膜への混入量をできる限り低減することが要求
されている。
【0003】このような要求をもとに、例えば、特開平
2−194167号公報に開示されたような真空アーク
方式蒸着装置が提案されている。これは、真空チャンバ
ーの所定位置の開口部に対して、真空アーク方式蒸発源
が取り付けられたものであり、真空チャンバー内には成
膜すべき基体が収容されるとともに、真空アーク方式蒸
発源内には蒸発材がその略円形をなす蒸発面を基体側に
向けるように収容されている。そして、蒸発材と基体と
の間に位置するように、蒸発材における蒸発面と略同軸
状に空心コイルが配置されており、この空心コイルの磁
力線は、蒸発面から前方側(基体側)に向かって、一旦
収束してから径方向外方側に発散するようにして真空チ
ャンバー内に至るようになっている。
【0004】このような真空アーク方式蒸着装置では、
真空アーク放電によって、蒸発材の蒸発面から皮膜形成
材料を蒸発させて皮膜形成材料物質イオンを含むプラズ
マを生成させると、このプラズマが空心コイルの磁力線
によって真空チャンバー内に配置された基体にまで誘導
される。あらかじめ同じ真空チャンバー内に反応性ガス
を導入しておき、この反応性ガスとプラズマ中の皮膜形
成材料物質イオンとが反応して、基体の表面に皮膜が成
膜されるのである。このとき、真空アーク放電によるア
ークスポットから放出された電荷をもたないマクロパー
ティクルは、空心コイルの磁力線による誘導効果を受け
ないので、一旦収束してから発散するような磁力線を用
いることにより、マクロパーティクルに対して皮膜形成
材料物質イオンを選択的に基体まで導くことができて、
基体表面に成膜される皮膜に混入するマクロパーティク
ルが低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような真空アーク方式蒸着装置では、皮膜形成材料物質
イオンを含むプラズマを誘導するための磁力線を生じさ
せる空心コイルが、蒸発材と基体との間に配置されてい
ることから、必然的に蒸発材と基体との間隔が大きくな
り、生成されたプラズマを効率よく基体にまで誘導して
導くことができないので、成膜速度を十分に得ることが
できず、生産性を向上させることが困難であった。
【0006】また、基体表面への成膜に際して、真空チ
ャンバー内に反応性ガスを導入し、この反応性ガスとプ
ラズマ中の皮膜形成材料物質イオンとを反応させてなる
絶縁性物質を基体表面に蒸着して絶縁性皮膜を成膜する
ような反応性コーティングが行われる場合、上記の真空
アーク方式蒸着装置のような空心コイルの配置では、そ
の磁力線が、蒸発面において、この蒸発面の前方側に向
かうにしたがい径方向内方側に収束する方向に延びるよ
う設定されるために、蒸発面の外周部分からの放電が減
少してしまい、この蒸発面が外周部分から絶縁性物質に
よって次第に覆われていって、しばらくすると、真空ア
ーク放電が持続しなくなるという問題があった。
【0007】なお、特開平11−36063号公報に開
示されているように、蒸発材の周囲に空心コイルを配置
することによって、蒸発面において、前方側に向かうに
したがい蒸発面と略直交する方向に延びる、あるいは、
前方側に向かうにしたがい径方向外方側に発散する方向
に延びるような磁力線を生じさせた真空アーク方式蒸着
装置もあるが、これを用いた場合でも、成膜速度が十分
に得られないという問題が残ってしまう。
【0008】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、マクロパーティクルの少ない皮膜の成膜速度を高め
ることができるとともに、絶縁性皮膜の成膜においても
安定した真空アーク放電を長時間持続させることができ
る真空アーク方式蒸着装置及びこれを用いた成膜方法を
提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決して、
このような目的を達成するために、本発明による真空ア
ーク方式蒸着装置は、真空アーク放電によって、蒸発材
の蒸発面から皮膜形成材料を蒸発させて皮膜形成材料物
質イオンを含むプラズマを生成させ、このプラズマ中の
前記皮膜形成材料物質イオンと反応性ガスとを反応させ
てなる絶縁性物質を基体表面に蒸着する真空アーク方式
蒸着装置であって、前記蒸発材と前記基体との間に、前
記蒸発面と略同軸状に第1の空心コイルが配置されてい
るとともに、前記蒸発材の周囲に、前記蒸発面と略同軸
状に第2の空心コイルが配置されていて、前記第2の空
心コイルの磁力線が、前記蒸発面において、前方側に向
かうにしたがい前記蒸発面と略直交する方向に延びる、
あるいは、前方側に向かうにしたがい径方向外方側に発
散する方向に延びるように設定されていることを特徴と
するものである。このような構成とすると、蒸発材と基
体との間に第1の空心コイルが配置されているため、こ
の第1の空心コイルの磁力線による誘導効果によって、
電荷をもたないマクロパーティクルに対して皮膜形成材
料物質イオンを選択的に基体まで導いて、基体表面に成
膜される皮膜に混入するマクロパーティクルを低減する
ことができる。加えて、蒸発材の周囲に第2の空心コイ
ルが配置されて、その磁力線が、蒸発面において、前方
側に向かうにしたがい蒸発面と略直交する方向に延び
る、あるいは、前方側に向かうにしたがい径方向外方側
に発散する方向に延びるように設定されていることか
ら、蒸発面の外周部分からの放電が減少せず、この蒸発
面が外周部分から絶縁性物質によって次第に覆われてい
くことがないので、安定した真空アーク放電を長時間に
亘って継続していくことができる。さらには、生成され
たプラズマが、蒸発材の周囲に配置された第2の空心コ
イル及び蒸発材と基体との間に配置された第1の空心コ
イルの磁力線によって、効率よく基体にまで誘導されて
導かれていくので、その成膜速度を高めることも可能と
なる。
【0010】また、本発明においては、前記蒸発材の後
方に、第3のコイルが、前記蒸発面と略同軸状に配置さ
れていることが好ましく、このような構成とすると、第
3のコイルの磁力線によって、真空アーク放電によるア
ークスポットを蒸発面上で高速に周回移動させることに
より、蒸発材を効率よく消耗できる。
【0011】また、本発明による成膜方法は、本発明の
真空アーク方式蒸着装置を用いて、基体表面に絶縁性皮
膜を成膜することを特徴とするから、マクロパーティク
ルの少ない皮膜の成膜速度を高めるとともに、絶縁性皮
膜の成膜においても安定した真空アーク放電を長時間持
続させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付し
た図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形
態による真空アーク方式蒸着装置の概略説明図である。
【0013】本実施形態による真空アーク方式蒸着装置
は、図1に示すように、基体Sが収容された真空チャン
バー1の所定位置に形成された開口部に対して、真空ア
ーク方式蒸発源10が取り付けられたものであり、この
真空アーク方式蒸発源10は、略円筒状をなす小径部2
と、小径部2の外方側に一段拡径するようにして連結さ
れた略円筒状をなす大径部3とを有していて(小径部2
と大径部3とからなる略多段円筒状をなすプラズマダク
トを有していて)、小径部2が上記の真空チャンバー1
の開口部に取り付けられている。
【0014】大径部3における小径部2との連結部分と
反対側には、略リング状をなす絶縁部材(図示略)を介
して、略円板状をなすホルダ4が装着されていて、さら
に、このホルダ4の中央部に略円板状をなす例えばAl
などからなる蒸発材5が取り付けられていることによ
り、蒸発材5が、その略円形をなす蒸発面5Aを真空チ
ャンバー1側に向けるようにして、大径部3内に収容さ
れている。なお、この略円形をなす蒸発面5Aの軸線O
を、蒸発面5Aの前方側に向かって延長すると、大径部
3及び小径部2の中心を通過して、真空チャンバー1内
に収容された基体S付近に到達するようになっており、
基体Sが蒸発面5Aの軸線O上付近に位置させられてい
る。実際には、真空チャンバー1内に収容される基体S
は、軸線O上の一点を中心に回転移動させられるのであ
り、この回転移動中に軸線O上を通過するように配置さ
れている。
【0015】また、真空チャンバー1はアーク電源(図
示略)のプラス側に接続され、かつ、ホルダ4がアーク
電源のマイナス側に接続されており、これにより、真空
チャンバー1とこの真空チャンバー1と同電位の小径部
2及び大径部3とを陽極とし、ホルダ4に取り付けられ
た蒸発材5を陰極とする真空アーク放電が行われるよう
になっている。
【0016】そして、略円筒状をなす小径部2の外周側
には、この小径部2を周回するように、すなわち、蒸発
材5と真空チャンバー1内に収容された基体Sとの間に
位置するように、略リング状をなす第1の空心コイル6
が、その軸線を蒸発面5Aの軸線Oと略一致させて配置
されている。この第1の空心コイル6に励磁電流を流し
たときに発生する磁力線X1は、蒸発面5Aの前方にお
いて、軸線O方向の前方側に向かうにしたがって(蒸発
面5Aから基体S側へ向かうにしたがって)、小径部2
の手前からいったん収束しつつ、この小径部2を通過し
た後、径方向外方側に発散するようにして真空チャンバ
ー1内に至るように設定されている。
【0017】また、略円筒状をなす大径部3の外周側に
は、この大径部3の最外方部分を周回するように、すな
わち、蒸発材5の周囲に、略リング状をなす第2の空心
コイル7が、その軸線を蒸発面5Aの軸線Oと略一致さ
せて配置されている。この第2の空心コイル7に励磁電
流を流したときに発生する磁力線X2は、蒸発面5Aに
おいて、蒸発面5Aから軸線O方向の前方側に向かうに
したがい蒸発面5Aと略直交する方向に延びる、あるい
は、蒸発面5Aから軸線O方向の前方側に向かうにした
がい径方向外方側に発散する方向に延びるように設定さ
れている。
【0018】さらに、蒸発材5の後方、すなわち、大径
部3に装着されたホルダ4の外方側には、第3のコイル
が、その軸線を蒸発面5Aの軸線Oと略一致させて配置
されている。
【0019】また、図示はしないが、アーク電源のプラ
ス側には、トリガー電極を備えた機械式のアーク点火機
構が接続されており、このトリガー電極を、蒸発材5の
蒸発面5Aに対して、接触・非接触させることにより、
蒸発面5Aにアークスポットを有する真空アーク放電を
点弧させるようになっている。さらに、図示はしない
が、真空チャンバー1には、例えばN2などの反応性ガ
スを導入するための反応性ガス導入手段と、真空チャン
バー1内を所定の真空度に保つための排気手段と、基体
Sに負の電圧を印加するためのバイアス電源とが接続さ
れている。
【0020】このような真空アーク方式蒸着装置を用い
て、基体Sの表面に絶縁性皮膜を成膜するには、まず、
真空チャンバー1内を排気手段によって所定の真空度に
保った状態にしてから、アーク点火機構を作動して真空
アーク放電を点弧させ、蒸発材5を陰極として真空アー
ク放電を発生させる一方、第1,2の空心コイル6,7
及び第3の空心コイル8に直流の励磁電流を流して、こ
れらコイル6,7,8の磁力線を発生させる。
【0021】励磁電流を流すことによって、蒸発材5と
基体Sとの間に配置された第1の空心コイル6は、蒸発
面5Aの前方において、軸線O方向の前方側に向かうに
したがって、小径部2の手前からいったん収束しつつ、
この小径部2を通過した後、径方向外方側に発散するよ
うにして真空チャンバー1内に至るように設定された磁
力線X1を発生させる。
【0022】同じく、励磁電流を流すことによって、蒸
発材5の周囲に配置された第2の空心コイル7は、蒸発
面5Aにおいて、蒸発面5Aから軸線O方向の前方側に
向かうにしたがい蒸発面5Aと略直交する方向に延び
る、あるいは、蒸発面5Aから軸線O方向の前方側に向
かうにしたがい径方向外方側に発散する方向に延びるよ
うに設定された磁力線X2を発生させる。
【0023】そして、真空アーク放電によって生成され
た、蒸発面5Aに形成されるアークスポットから放出さ
れた皮膜形成材料物質イオンと電子とからなるプラズマ
が、上記の磁力線X1,X2に沿って、小径部2内を通
過して基体Sに誘導されて導かれていく。つまり、電子
が磁力線に巻きつくようにして磁力線X1,X2に沿っ
て基体Sにまで導かれ、その電子の流れによって皮膜形
成材料物質イオンも負のバイアス電圧を印加した基体S
に導かれるようになっている。
【0024】このプラズマ中の皮膜形成材料物質イオン
は、真空チャンバー1内に反応性ガス導入手段によって
導入された反応性ガスと反応して絶縁性物質となり、こ
れが、基体Sの表面に堆積していくことによって、基体
Sの表面に、例えばAlNなどの絶縁性皮膜が成膜され
る。
【0025】上記のような構成とされた本実施形態によ
る真空アーク方式蒸着装置によれば、蒸発材5と基体S
との間に第1の空心コイル6が配置されて、その磁力線
X1が、小径部2の手前からいったん収束しつつ、この
小径部2を通過してから発散するように設定されている
ため、電荷をもたないマクロパーティクルが磁力線X1
による誘導効果を受けず直進して、その多くが例えば大
径部3内に付着して、基体Sにまで到達する量が減少す
る。つまり、電荷を持たないマクロパーティクルに対し
てターゲット材料物質イオンを選択的に基体Sまで導く
ことで、基体Sの表面に成膜される絶縁性皮膜に混入す
るマクロパーティクルの量を低減することができ、か
つ、表面の平滑性を高めた絶縁性皮膜を得ることができ
る。
【0026】また、蒸発材5の周囲に第2の空心コイル
7が配置されて、その磁力線X2が、蒸発面5Aにおい
て、前方側に向かうにしたがい蒸発面5Aと略直交する
方向に延びる、あるいは、前方側に向かうにしたがい径
方向外方側に発散する方向に延びるように設定されてい
るため、略円形をなす蒸発面5Aの外周部分からの放電
が減少することがなくなり、蒸発面5Aがその外周部分
から絶縁性物質によって次第に覆われていくこともなく
なるので、安定した真空アーク放電を長時間に亘って継
続していくことができる。
【0027】さらに、真空アーク放電によって生成され
るプラズマが、蒸発材5の周囲に配置された第2の空心
コイル7及び蒸発材5と基体Sとの間に配置された第1
の空心コイル6の磁力線X1,X2によって、効率的に
基体Sにまで誘導されて導かれていくので、基体Sの表
面への絶縁性皮膜の成膜速度を高め、生産性の向上を図
ることができる。
【0028】加えて、本実施形態においては、蒸発材5
の後方に、第3のコイル8が配置されていることで、こ
の第3のコイル8の磁力線により、真空アーク放電によ
って蒸発面5A上に形成されるアークスポットを、この
蒸発面5A上で高速に周回移動させることができるの
で、蒸発材5を効率よく使用することができる。
【0029】以上説明したように、このような真空アー
ク方式蒸着装置を用いて、基体Sの表面へ絶縁性皮膜を
成膜するときには、安定した真空アーク放電を長時間に
亘って継続でき、かつ、マクロパーティクルの混入の少
ない絶縁性皮膜の成膜速度を高めることができるのであ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、蒸発材と基体との間に
第1の空心コイルが配置されているため、この第1の空
心コイルの磁力線による誘導効果で、電荷をもたないマ
クロパーティクルに対して皮膜形成材料物質イオンを選
択的に基体まで導いて、基体表面に成膜される皮膜に混
入するマクロパーティクルを低減し、平滑性の高い絶縁
性皮膜を成膜することができる。また、蒸発材の周囲に
第2の空心コイルが配置されて、その磁力線が、蒸発面
において、前方側に向かうにしたがい蒸発面と略直交す
る方向に延びる、あるいは、前方側に向かうにしたがい
径方向外方側に発散する方向に延びるように設定されて
いることから、蒸発面の外周部分からの放電が減少せ
ず、この蒸発面が外周部分から絶縁性物質によって次第
に覆われていくことがないので、安定した真空アーク放
電を長時間に亘って継続することができる。さらに、生
成されたプラズマが、蒸発材の周囲に配置された第2の
空心コイル及び蒸発材と基体との間に配置された第1の
空心コイルの磁力線によって、効率よく基体にまで誘導
されて導かれていくので、その成膜速度を高めて、生産
性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態による真空アーク方式蒸
着装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 小径部 3 大径部 4 ホルダ 5 蒸発材 5A 蒸発面 6 第1の空心コイル 7 第2の空心コイル 8 第3のコイル 10 アーク方式蒸発源 O 蒸発面の軸線 S 基体 X1 第1のコイルの磁力線 X2 第2のコイルの磁力線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 暁裕 兵庫県明石市魚住町金ヶ崎西大池179番地 1 エムエムシーコベルコツール株式会社 内 (72)発明者 田中 裕介 兵庫県明石市魚住町金ヶ崎西大池179番地 1 エムエムシーコベルコツール株式会社 内 Fターム(参考) 4K029 BA58 BD05 CA04 DD06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空アーク放電によって、蒸発材の蒸
    発面から皮膜形成材料を蒸発させて皮膜形成材料物質イ
    オンを含むプラズマを生成させ、このプラズマ中の前記
    皮膜形成材料物質イオンと反応性ガスとを反応させてな
    る絶縁性物質を基体表面に蒸着する真空アーク方式蒸着
    装置であって、 前記蒸発材と前記基体との間に、前記蒸発面と略同軸状
    に第1の空心コイルが配置されているとともに、 前記蒸発材の周囲に、前記蒸発面と略同軸状に第2の空
    心コイルが配置されていて、 前記第2の空心コイルの磁力線が、前記蒸発面におい
    て、前方側に向かうにしたがい前記蒸発面と略直交する
    方向に延びる、あるいは、前方側に向かうにしたがい径
    方向外方側に発散する方向に延びるように設定されてい
    ることを特徴とする真空アーク方式蒸着装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の真空アーク方式蒸着
    装置において、 前記蒸発材の後方に、第3のコイルが、前記蒸発面と略
    同軸状に配置されていることを特徴とする真空アーク方
    式蒸着装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の真空
    アーク方式蒸着装置を用いて、基体表面に絶縁性皮膜を
    成膜することを特徴とする成膜方法。
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