JP2003342099A - 4h型炭化珪素単結晶育成用種結晶と4h型炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法 - Google Patents
4h型炭化珪素単結晶育成用種結晶と4h型炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法Info
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Abstract
を取り出せる4H型炭化珪素単結晶育成用種結晶を提供
する。 【解決手段】 (11−20)面から[000−1]C
軸を中心に[−1100]軸方向に−45度以上45度
以下の範囲にある任意の一方向に、3°以上、60°以
下傾いた面を単結晶育成面とする4H型炭化珪素単結晶
育成用種結晶である。このような単結晶育成用種結晶を
用いることにより高品質で大口径の4H型炭化珪素単結
晶インゴットを得ることができる。
Description
結晶育成用種結晶と4H型炭化珪素単結晶及びその製造
方法に係わり、特に、電力デバイスや高周波デバイスな
どの基板ウエハとなる良質で大型の単結晶インゴット及
びその製造方法に関するものである。
的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質か
ら、耐環境性半導体材料として注目されている。また近
年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス、高周波
高耐圧電子デバイス等の基板ウエハとしてSiC単結晶
ウエハの需要が高まっている。しかしながら、大面積を
有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定に供
給し得る結晶成長技術は、いまだ確立されていない。そ
れゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性
を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻ま
れていた。
再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半
導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得てい
た。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面
積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御すること
は困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純
物キャリア濃度の制御も容易ではない。
て珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル
成長させることにより立方晶の炭化珪素単結晶を成長さ
せることも行われている。この方法では、大面積の単結
晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もある
こと等により多くの欠陥(〜107個/cm2)を含む
SiC単結晶しか成長させることができず、高品質のS
iC単結晶を得ることは容易でない。これらの問題点を
解決するために、SiC単結晶{0001}ウエハを種
結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法
が提案されている(Yu. M. Tairov an
d V. F. Tsvetkov,Journal
of Crystal Growth, Vol.52
(1981) pp.146−150)。
晶の核形成過程が制御でき、また不活性ガスにより雰囲
気圧力を100Paから15kPa程度に制御すること
により、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールで
きる。
する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結
晶粉末は、坩堝(通常黒鉛)の中に収納され、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kP
a)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原
料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように温度勾配が
設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配によ
り形成される)により種結晶方向へ拡散、輸送される。
が種結晶上で再結晶化することにより実現される。この
際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不
純物ガスを添加する、あるいは、SiC原料粉末中に不
純物元素あるいはその化合物を混合することにより、制
御可能である。
的なものに、窒素(n型)、ホウ素、アルミニウム(p
型)がある。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶
の結晶多形(6H型、4H型、15R型、等)及び形
状、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶
を成長させることができる。
の結晶多形(ポリタイプ)は、通常6H型と4H型であ
り、現在この二つのポリタイプのSiC単結晶ウエハが
市販されている(不安定ポリタイプである15R型の大
型SiC単結晶は得られていない)。中でも、4H型の
SiC単結晶ウエハは、高い電子移動度を有し、パワー
デバイス用途に適していると言われている。
用いる{0001}面種結晶の面極性によってほぼ決定
される。{0001}面には、極性の異なる(000
1)Si面と(000−1)C面の2種類があり({0
001}はこれら2つの面の総称である)、それぞれの
面の最表面はSi原子層、C原子層で覆われている。
性面を成長面として用いた場合にも成長可能であるが、
4H型のSiC単結晶は、(000−1)C面種結晶を
用いた場合のみ成長可能である。従って、パワーデバイ
ス用途に適した4H型のSiC単結晶を得るには、(0
00−1)C面種結晶上に成長する必要がある。
iC単結晶から口径2インチ(50mm)から3インチ
(75mm)の{0001}面SiC単結晶ウエハが切
り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供
されている。しかしながら、これらのSiC単結晶ウエ
ハには、成長方向に貫通する直径数μmのピンホール欠
陥(マイクロパイプ欠陥)が50〜200個/cm2程
度含まれていた。
の技術で作られたSiC単結晶にはマイクロパイプ欠陥
が50〜200cm-2程度含まれていた。P. G.
Neudeck etal., IEEE Elect
ron Device Letters, Vol.1
5 (1994) pp.63〜65に記載されている
ように、これらの欠陥は素子を作製した際に、漏れ電流
等を引き起こし、その低減はSiC単結晶のデバイス応
用における最重要課題とされている。
面に垂直な面を種結晶として用いて、<0001>方向
と垂直方向にSiC単結晶を成長させることにより、完
全に防止できることが、特開平5−262599号公報
に開示されている。また、<0001>方向と垂直方向
にSiC単結晶を成長させた場合には、成長結晶が種結
晶のポリタイプ構造を完全に引き継ぐことも報告されて
いる。
造にとっても有用な面である。H.Yano et a
l., Materials Science For
um, Vol.338〜342 (2000) p
p.1105〜1108に示されているように、例えば
{0001}面に垂直な面である(11−20)面を用
いたMOS(金属−酸化膜−半導体)型電界効果トラン
ジスタは、(0001)Si面上に作製したものと比べ
て、格段に高いチャネル移動度を示す。
成長したSiC単結晶はマイクロパイプ欠陥を含まず、
さらに、[11−20]方向に成長したSiC単結晶イ
ンゴットを切断研磨して得られる(11−20)ウエハ
は高性能のSiCデバイスを作製するのに適している。
しかしながら、この方向にSiC単結晶を成長した場
合、J. Takahashi et al., Jo
urnal of Crystal Growth,
Vol.181 (1997) pp.229〜240
に記載されているように、結晶中に多量の(0001)
面積層欠陥が導入されてしまう。
に開示されている方法を用いても、マイクロパイプ欠陥
は抑制できるものの、今度はデバイスに悪影響を与える
積層欠陥が多量に発生してしまっていた。
であり、欠陥の少ない良質の4H型大口径SiC単結晶
ウエハを、再現性良く製造し得る4H型SiC単結晶の
製造方法を提供するものである。
C単結晶からなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であ
って、該単結晶の(11−20)面から、[000−
1]C軸を中心に[−1100]軸方向に−45°以上
45°以下の範囲にある任意の一方向に、3°以上60
°以下傾いた面を単結晶育成面とする4H型SiC単結
晶育成用種結晶である。
らなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単
結晶の(11−20)面から、[000−1]C軸を中
心に[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の
範囲にある任意の一方向に、3°以上30°以下傾いた
面を単結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結
晶である。
らなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単
結晶の(11−20)面から、[000−1]C軸を中
心に[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の
範囲にある任意の一方向に、6°以上30°以下傾いた
面を単結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結
晶である。 (4) また、本発明は、(1)〜(3)の何れかに記
載の4H型SiC単結晶育成用種結晶を用いて、昇華再
結晶法により前記種結晶上に4H型SiC単結晶を成長
させる工程を包含する4H型SiC単結晶の製造方法で
ある。 (5) また、本発明は、(4)に記載の製造方法によ
り得られた4H型SiC単結晶インゴットであって、該
インゴットの口径が20mm以上である4H型SiC単
結晶インゴットである。 (6) また、本発明は、(4)に記載の製造方法によ
り得られた4H型SiC単結晶インゴットを加工、研磨
してなる4H型SiC単結晶ウエハであって、かつ、ウ
エハ径が20mm以上である4H型SiC単結晶ウエハ
である。 (7) また、本発明は、(6)に記載の4H型SiC
単結晶ウエハにエピタキシャル成長してなる4H型Si
C単結晶エピタキシャルウエハである。である。
4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単結晶の
(11−20)面から[000−1]C軸を中心に[−
1100]軸方向に−45°以上45°以下の範囲にあ
る任意の一方向に、3°以上、60°以下傾いた面を単
結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結晶であ
る。
り、マイクロパイプ欠陥、積層欠陥の発生を防止するこ
とができ、大型の4H−SiC単結晶インゴットを製造
することが可能である。なお、本発明において、種結晶
は六方晶SiC単結晶であり、面指数はミラー指数表示
法に基いて記載される。参考として、図2に六方晶Si
C単結晶の面指数を説明する概略図を示す。
を成長した場合に積層欠陥が発生するメカニズムについ
ては、J. Takahashi and N. Oh
tani, Phys. Stat. Sol.
(b), Vol.202 (1997) pp.16
3〜175に記載されている。改良レーリー法によるS
iC単結晶の成長においては、原料から昇華したSiC
分子が種結晶表面(成長が進行していった段階では、結
晶成長表面)に吸着し、これが結晶に規則正しく取り込
まれていくことによって結晶が成長する。
取り込まれる際に、正規の配位ではなく、誤った配位で
取り込まれることによって誘起される。誤った配位で取
り込まれたSiC分子は、結晶中に局所的な歪をもたら
し、この歪が原因となって積層欠陥が発生する。ここで
問題とされている積層欠陥は、結晶成長中においてのみ
発生する結晶成長誘起欠陥であり、結晶成長後に成長結
晶に機械的応力、電気的ストレス等が加えられることに
より発生する結晶欠陥とは区別される。
でなされたものであり、種結晶として、(11−20)
面から[000−1]C軸を中心に[−1100]軸方
向に−45°以上45°以下の範囲にある任意の一方向
に、3°以上、60°以下傾いた面を単結晶育成面とす
る4H型SiC単結晶を用いることにより、吸着分子が
誤った配位で結晶中に取り込まれることを防止し、積層
欠陥の発生を抑制したものである。なお、以下の説明に
おいて、単結晶育成面の傾き角度を「オフ角度」、該オ
フ角度が導入される方向を「オフ方向」と称する。
オフ角度の導入されていない(11−20)面種結晶上
に結晶を成長させた場合、結晶成長表面上でSiC分子
は吸着配位として複数の配位形態を取り得る(例えば、
模式的に図3(a)の(1)と(2)の配位で示され
る)。
の結合配位がエネルギー的には最も安定な配位である
が、SiC単結晶の場合、配位間のエネルギー差が極め
て小さいために、吸着SiC分子が正規の配位(最安定
配位)とは異なった配位で結晶中に取り込まれてしまう
ことがしばしば起こる。このように誤った配位で取り込
まれたSiC分子が起点となって積層欠陥がSiC単結
晶中に発生する。
種結晶上に結晶を成長させる場合には、図3(b)に示
すように、成長表面にはステップが形成されている。ス
テップ間隔(密度)はオフ角度の大きさに依存し、オフ
角度が小さくなるほどステップ間隔は大きくなり、逆に
オフ角度が大きくなるとステップ間隔は小さくなる。
くなると、原料より飛来するSiC分子は全てステップ
で取り込まれるようになる。ステップにSiC分子が吸
着し、取り込まれる場合には、その配位は一義的に決定
され、誤った配位で結晶中に取り込まれることはない。
結果、積層欠陥発生が抑制される。なおオフ角度が小さ
い場合には、ステップ密度が低下し、その結果SiC分
子がステップとステップの間に存在するテラス(図3
(a)のオフ角度の導入されていない(11−20)面
に相当)上でも結晶に取り込まれるようになるため、本
発明の効果が期待できない。
とは、他の材料系でも行われてきた。しかしながら、今
回、本発明者等は、数多くの実験及び考察の結果とし
て、数ある条件の中から特に、SiC単結晶の(11−
20)面においてオフ方向を、[000−1]C軸を中
心に[−1100]方向に−45°以上45°以下の範
囲にある一方向とすることによって積層欠陥が効果的に
抑制でき、さらに大型の4H型SiC単結晶が得られる
ことを見出した。
は、<0001>方向には[0001]Siと[000
−1]Cとの2方向があり(すなわち<0001>はこ
れら2方向の総称)、その内の[000−1]C方向の
ことである。(11−20)面におけるオフ方向として
は、[000−1]C軸方向以外にも、[−1100]
方向([000−1]C方向の垂直方向)と[000
1]Si方向([000−1]C方向の180°反対方
向)の二つが結晶学的には考えられるが、[−110
0]方向にオフ角度を付けた場合には、本発明の効果は
得られない。これは、[000−1]C方向にオフ角度
を付けた場合と[−1100]方向にオフ角度を付けた
場合とで、形成されるステップの構造等が異なり、[−
1100]方向にオフ角度を付けた場合には、ステップ
でのSiC分子の吸着配位に任意性が残ってしまうため
であると考えられる。
付けた場合には、積層欠陥の低減は達成されるが、大型
の4H型SiC単結晶を得ることが困難になる。このこ
とを図4を用いて説明する。図4(a)に示したよう
に、(11−20)面から[0001]Si方向にオフ
角度を付けた種結晶を用いた場合、種結晶のポリタイプ
を引き継ぐ方向(<0001>軸に垂直方向。図中で
は、[11−20]方向)に成長した部分(図中(i)
の部分)では、種結晶のポリタイプ(この場合4H型)
を完全に引き継ぎ、成長結晶は4H型のポリタイプを呈
する。
タイプが決定されない部分(引き継ぐべき種結晶部が存
在しない図中(ii)の部分)では、その成長方向に現
れている{0001}面極性(図4(a)の場合は(0
001)Si面)によって成長ポリタイプが決定され
る。このように成長方向に対して{0001}面が傾い
ている場合にも、その面極性によって成長結晶の一部分
のポリタイプが決定されることを、発明者らは数多くの
実験から見出した。
には4H型のポリタイプ結晶は成長せず、図4(a)の
場合には、成長条件を如何様に変化させようとも、(i
i)の成長結晶部分のポリタイプは6H型(または、1
5R型ポリタイプの混在した6H型)となる。因って
(11−20)面からのオフ方向を[0001]Si方
向とした場合には、積層欠陥は低減されるものの、4H
型単一ポリタイプの大型SiC単結晶を得ることはでき
ない。
ら[000−1]C方向にオフ角度を付けた種結晶を用
いた場合には(図4(b))、種結晶からの引き継ぎに
よってポリタイプが決定されない部分(図中(ii)の
部分)においても、(000−1)C面上の成長となる
ため、成長条件を最適化すれば、(ii)の成長結晶部
分においても4H型の結晶を得ることが可能である。こ
のようにして得られたSiC単結晶は4H型単一ポリタ
イプで大型であるという特徴を有する。
オフ方向とオフ角度の関係を図5に示す。本発明の効果
を得るには、オフ方向が、[000−1]C軸を中心に
[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の範囲
にある必要がある。すなわち、図5に示すβが−45°
≦β≦45°である必要がある。ここで、オフ方向が
[000−1]C方向から−45°未満または45°超
の場合には、ステップの構造が[−1100]方向にオ
フ角度を付けた場合と類似の構造となり、ステップでの
SiC分子の吸着配位に任意性が残ってしまうため、本
発明の効果が期待できない。
は、3°以上60°以下(3°≦α≦60°)、より好
ましくは3°以上30°以下(3°≦α≦30°)、さ
らに好ましくは6°以上30°以下(6°≦α≦30
°)である。オフ角度(α)が3°未満では、種結晶表
面のステップ間隔が大きくなり過ぎ、テラス上でSiC
分子が取り込まれるようになるため、積層欠陥が発生す
る。また、オフ角度が60°超になると、従来の<00
01>方向へのSiC単結晶成長と類似の成長様式とな
り、マイクロパイプ欠陥が発生してしまい、好ましくな
い。
晶育成用種結晶の好ましい実施形態を以下に具体的に例
示する。
らなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単
結晶の(11−20)面から、[000−1]C軸を中
心に[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の
範囲にある任意の一方向に、3°以上60°以下傾いた
面を単結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結
晶である。
らなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単
結晶の(11−20)面から、[000−1]C軸を中
心に[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の
範囲にある任意の一方向に、3°以上30°以下傾いた
面を単結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結
晶である。
らなる4H型SiC単結晶育成用種結晶であって、該単
結晶の(11−20)面から、[000−1]C軸を中
心に[−1100]軸方向に−45°以上45°以下の
範囲にある任意の一方向に、6°以上30°以下傾いた
面を単結晶育成面とする4H型SiC単結晶育成用種結
晶である。
iC単結晶育成用種結晶はいずれも、上述したように、
吸着分子が誤った配位で結晶中に取り込まれることを防
止することにより積層欠陥の発生を抑制し、大型の4H
型SiC単結晶の作製を可能としたものである。
種結晶の製造方法について説明する。
は、まず、[000−1]C方向に成長した4H型のS
iC単結晶(マイクロパイプ欠陥を含むが積層欠陥は存
在しない)から、(11−20)面から、[000−
1]C軸を中心に[−1100]軸方向に−45°以上
45°以下の範囲にある任意の一方向に、オフ角度が3
°以上60°以下になるようにウエハを切り出し、鏡面
研磨することによって製造することができる。なお切り
出しの際、オフ角度の前記任意の方向からのずれは±1
°以内であることが好ましい。
を有する本発明の4H型SiC単結晶育成用種結晶を用
いた、4H型SiC単結晶の製造方法である。当該製造
方法は、昇華再結晶法により、前記種結晶上に4H型S
iC単結晶を成長させる工程を包含することを特徴とす
るものであり、当該方法によって、マイクロパイプ欠
陥、積層欠陥等の結晶欠陥が少ない良質の4H型SiC
単結晶を再現性良く得ることができる。
mm以上の口径を有する4H型SiC単結晶インゴット
を製造することができる。該4H型SiC単結晶インゴ
ットは、20mm以上という大口径を有しながら、デバ
イスに悪影響を及ぼすマイクロパイプ欠陥が皆無で、且
つ積層欠陥が極めて少ないという利点を有する。
C単結晶インゴットの製造方法について具体的に説明す
る。
説明する。図6は、本発明で用いる製造装置であり、種
結晶を用いた改良型レーリー法によってSiC単結晶を
成長させる装置の一例である。
説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結
晶1の上に原料であるSiC粉末2を昇華再結晶化させ
ることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、黒
鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けられる。原料のSi
C粉末2は、黒鉛製坩堝3の内部に充填されている。
の内部に、黒鉛の支持棒6により設置される。黒鉛製坩
堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト7
が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置11
により高真空排気(10−3Pa以下)することがで
き、かつ内部雰囲気をArガスにより圧力制御すること
ができる。
9およびArガス用マスフローコントローラ10により
なされる。また、二重石英管5の外周には、ワークコイ
ル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒
鉛製坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加
熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び
下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を
設け坩堝上部及び下部からの光を取りだし、二色温度計
を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の
温度を種温度とする。
に係る4H型SiC単結晶を製造する。まず、本発明の
4H型SiC単結晶育成用種結晶1を黒鉛製坩堝3の蓋
4の内面に取り付ける。黒鉛製坩堝3の内部には、原料
2を充填する。次いで、原料を充填した黒鉛製坩堝3
を、種結晶を取り付けた蓋4で閉じ、黒鉛製フェルト7
で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管
5の内部に設置する。
ワークコイル8に電流を流し、原料温度を所定温度(通
常2000℃程度)に上げる。その後、雰囲気ガスとし
てArガスを流入させ、石英管内圧力を所定圧力(通常
約80kPa)に保ちながら、原料温度を目標温度(通
常2400℃程度)まで上昇させる。所定の成長圧力
(通常1.3kPa程度)に時間をかけて減圧し、その
後、口径が20mm以上になるように所定時間単結晶成
長を続け、本発明に係る4H型SiC単結晶を得ること
ができる。
単結晶の製造方法によって製造された4H型SiCイン
ゴットを加工、研磨してなる、口径20mm以上の4H
型SiC単結晶ウエハである。本発明の4H型SiC単
結晶ウエハは、まず、上記で得られた4H型SiC単結
晶インゴットを切り出し、従来汎用の手段によって研磨
することによって製造される。このようにして製造され
るウエハを用いることによって、光学的特性の優れた青
色発光素子、電気的特性の優れた電子デバイスを製作す
ることができる。
単結晶ウエハにエピタキシャル成長してなる4H型Si
C単結晶エピタキシャルウエハである。該エピタキシャ
ルウエハは、上記で得られた4H型SiC単結晶ウエハ
を基板として用いて、4H型SiCのエピタキシャル成
長を行うことによって製造される。
は、特には限定されず適宜好ましい条件を選択すること
が好ましいが、具体的には、成長温度1500℃、シラ
ン(SiH4)、プロパン(C3H8)、水素(H2)の流
量が、それぞれ1.0〜10.0×10-9m3/se
c、0.6〜6.0×10-9m3/sec、1.0〜1
0.0×10-5m3/secである条件が挙げられ、本
発明において好ましく用いることができる。
択されることが好ましく、一般的には大気圧である。成
長時間は所望の成長膜厚が得られる程度行えばよく特に
限定されないが、例えば1〜20時間で、1〜20μm
の膜厚が得られる。このようにして製造されるエピタキ
シャルウエハは、ウエハ全面に渡って非常に平坦で、マ
イクロパイプ欠陥、積層欠陥に起因する表面欠陥の非常
に少ない良好な表面モフォロジーを有する。
図6を参照して説明した結晶成長装置を用いて、SiC
単結晶を製造した。まず、[000−1]C方向に成長
した4H型のSiC単結晶(マイクロパイプ欠陥を含む
が積層欠陥は存在しない)から、(11−20)面から
[000−1]C方向([000−1]C方向からのず
れは±1°以内)に10°オフしたウエハを切り出し、
鏡面研磨した後、種結晶とした(口径は、一番小さいと
ころで20mmであった)。
内面に取り付けた。黒鉛製坩堝3の内部には、原料2を
充填した。次いで、原料を充填した黒鉛製坩堝3を、種
結晶を取り付けた蓋4で閉じ、黒鉛製フェルト7で被覆
した後、黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内
部に設置した。
ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで
上げた。その後、雰囲気ガスとしてArガスを流入さ
せ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原料温
度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成長圧
力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その
後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度勾配
は15℃/cmで、成長速度は約0.8mm/時であっ
た。得られた結晶の口径は22mmで、高さは16mm
程度であった。
及びラマン散乱により分析したところ、4H型単一ポリ
タイプのSiC単結晶が成長したことを確認できた。ま
た、マイクロパイプ欠陥と積層欠陥を評価する目的で、
成長した単結晶インゴットから(0001)面ウエハと
(−1100)面ウエハを切り出し、研磨した(これら
2つのウエハは、単結晶インゴットを成長方向に平行に
切断することによって得られる)。
表面をエッチングし、顕微鏡により、(0001)ウエ
ハにおいてはマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角
形エッチピットの数を、(−1100)面ウエハにおい
ては積層欠陥に対応する線状のエッチピットの数を調べ
たところ、マイクロパイプ欠陥は全く存在せず、また積
層欠陥は平均で4個/cmであることがわかった。
単結晶インゴットから、今度は(11−20)面ウエハ
を切り出し(成長方向と垂直に切断。口径は22m
m)、厚さ300μmまで研磨し、SiC単結晶(11
20)面鏡面ウエハを作製した。
板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行っ
た。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度
1500℃、シラン(SiH4)、プロパン(C
3H8)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10
-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、5.0×
10-5m 3/secであった。成長圧力は大気圧とし
た。成長時間は4時間で、膜厚としては約5μm成長し
た。
光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面
モフォロジーを観察したところ、ウエハ全面に渡って非
常に平坦で、マイクロパイプ欠陥、積層欠陥に起因する
表面欠陥の非常に少ない良好な表面モフォロジーを有す
るSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分か
った。
100)面でへき開し、へき開面を溶融KOHでエッチ
ングし、エピタキシャル薄膜中の積層欠陥密度を調べた
ところ、基板ウエハと同様に平均で4個/cmであっ
た。
度を有しない(11−20)面種結晶上へのSiC単結
晶成長について述べる。種結晶として、[000−1]
C方向に成長した4H型のSiC単結晶(マイクロパイ
プ欠陥を含むが積層欠陥は存在しない)から、(11−
20)面ウエハ((11−20)面からのずれは±0.
5°以内)を切り出し、鏡面研磨した後、種結晶とした
(口径は、一番小さいところで20mmであった)。
面に取り付け、黒鉛製坩堝3の内部に、原料粉末2を充
填した。原料を充填した黒鉛製坩堝3を、蓋4で閉じ、
黒鉛製フェルト7で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に
乗せ、二重石英管5の内部に設置した。
ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで
上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガスを流
入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原
料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成
長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、
その後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度
勾配は摂氏15℃/cmで、成長速度は約0.8mm/
時であった。得られた結晶の口径は22mmで、高さは
16mm程度であった。
及びラマン散乱により分析したところ、4H型のSiC
単結晶が成長したことを確認できた。また、マイクロパ
イプ欠陥と積層欠陥を評価する目的で、成長した単結晶
インゴットから(0001)面ウエハと(−1100)
面ウエハを切り出し、研磨した。
表面をエッチングし、顕微鏡により、(0001)面ウ
エハにおいてはマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六
角形エッチピットの数を、(−1100)面ウエハにお
いては積層欠陥に対応する線状のエッチピットの数を調
べたところ、マイクロパイプ欠陥は全く存在しなかった
ものの、積層欠陥密度は平均で170個/cmと大きか
った。
単結晶インゴットから、今度は(11−20)面ウエハ
を切り出し(口径22mm)、厚さ300μmまで研磨
し、SiC単結晶(1120)面鏡面ウエハを作製し
た。さらに、このSiC単結晶鏡面ウエハを基板として
用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiC
エピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1500
℃、シラン(SiH4)、プロパン(C3H8)、水素
(H2)の流量が、それぞれ5.0×10-9m3/se
c、3.3×10-9m3/sec、5.0×10-5m3/
secであった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は
4時間で、膜厚としては約5μm成長した。
光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面
モフォロジーを観察したところ、積層欠陥に起因すると
思われる表面欠陥がウエハ表面に観測された。
100)面でへき開し、へき開面を溶融KOHでエッチ
ングし、エピタキシャル薄膜中の積層欠陥密度を調べた
ところ、基板ウエハと同様に平均で170個/cmであ
った。
1]Si方向にオフした(11−20)面種結晶上への
SiC単結晶成長について述べる。種結晶として、[0
00−1]C方向に成長した4H型のSiC単結晶(マ
イクロパイプ欠陥を含むが積層欠陥は存在しない)か
ら、(11−20)面から[0001]Si方向([0
001]Si方向からのずれは±1°以内)に10°オ
フしたウエハを切り出し、鏡面研磨した後、種結晶とし
た(口径は、一番小さいところで20mmであった)。
面に取り付け、黒鉛製坩堝3の内部に、原料粉末2を充
填した。原料を充填した黒鉛製坩堝3を、蓋4で閉じ、
黒鉛製フェルト7で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に
乗せ、二重石英管5の内部に設置した。
ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで
上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガスを流
入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原
料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成
長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、
その後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度
勾配は15℃/cmで、成長速度は約0.75mm/時
であった。得られた結晶の口径は22mmで、高さは1
5mm程度であった。
及びラマン散乱により分析したところ、種結晶のポリタ
イプを引き継いで成長した部分では4H型、種結晶のポ
リタイプを引き継がないで成長した部分では6H型のS
iC単結晶(ポリタイプの混在したSiC単結晶)が成
長したことを確認した。
価する目的で、成長した単結晶インゴットから(000
1)面ウエハと(−1100)面ウエハを切り出し、研
磨した。その後、約530℃の溶融KOHでウエハ表面
をエッチングし、顕微鏡により、(0001)ウエハに
おいてはマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エ
ッチピットの数を、(−1100)面ウエハにおいては
積層欠陥に対応する線状のエッチピットの数を調べたと
ころ、マイクロパイプ欠陥は全く存在しなかったもの
の、4H型と6H型のポリタイプの境界で線状のエッチ
ピットが多数発生しているのが分かった。
のポリタイプが混在したSiC単結晶インゴットから、
今度は(11−20)面ウエハを切り出し(口径22m
m)、厚さ300μmまで研磨しSiC単結晶(112
0)面鏡面ウエハを作製した。
板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行っ
た。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度
1500℃、シラン(SiH4)、プロパン(C
3H8)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10
-9m3/sec、3.3×10-9m3/sec、5.0×
10-5m 3/secであった。成長圧力は大気圧とし
た。成長時間は4時間で、膜厚としては約5μm成長し
た。
乱によりポリタイプを分析したところ、基板の4H型の
部分上には4H型のエピタキシャル層が形成され、また
6H型の部分上には6H型のエピタキシャル層が形成さ
れているのが分かった。さらに、ノマルスキー光学顕微
鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロ
ジーを観察したところ、4H型と6H型のポリタイプの
境界に多数の表面欠陥が観測された。
100)面でへき開し、へき開面を溶融KOHエッチン
グで調べたところ、基板ウエハと同様にエピタキシャル
薄膜中の4H型と6H型のポリタイプ境界に多数の欠陥
が観測された。
ば、種結晶を用いた改良型レーリー法により、マイクロ
パイプ欠陥、積層欠陥等の結晶欠陥が少ない4H型単一
ポリタイプの大型SiC単結晶を再現性良く成長させる
ことができる。このような4H型SiC単結晶ウエハを
用いれば、光学的特性の優れた青色発光素子、電気的特
性の優れた電子デバイスを製作することができる。ま
た、この発明により作製した4H型のSiC単結晶ウエ
ハを用いれば、従来に比べ格段に低損失な電力デバイス
が作製可能である。
ある。
C方向と[0001]Si方向)と成長ポリタイプの関
係を説明する図である。
を説明する図である。
置の一例を示す構成図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 炭化珪素単結晶からなる4H型炭化珪素
単結晶育成用種結晶であって、該単結晶の(11−2
0)面から、[000−1]C軸を中心に[−110
0]軸方向に−45°以上45°以下の範囲にある任意
の一方向に、3°以上60°以下傾いた面を単結晶育成
面とする4H型炭化珪素単結晶育成用種結晶。 - 【請求項2】 炭化珪素単結晶からなる4H型炭化珪素
単結晶育成用種結晶であって、該単結晶の(11−2
0)面から、[000−1]C軸を中心に[−110
0]軸方向に−45°以上45°以下の範囲にある任意
の一方向に、3°以上30°以下傾いた面を単結晶育成
面とする4H型炭化珪素単結晶育成用種結晶。 - 【請求項3】 炭化珪素単結晶からなる4H型炭化珪素
単結晶育成用種結晶であって、該単結晶の(11−2
0)面から、[000−1]C軸を中心に[−110
0]軸方向に−45°以上45°以下の範囲にある任意
の一方向に、6°以上30°以下傾いた面を単結晶育成
面とする4H型炭化珪素単結晶育成用種結晶。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載の4H
型炭化珪素単結晶育成用種結晶を用いて、昇華再結晶法
により前記種結晶上に4H型炭化珪素単結晶を成長させ
る工程を包含する4H型炭化珪素単結晶の製造方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の製造方法により得られ
た4H型炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴ
ットの口径が20mm以上である4H型炭化珪素単結晶
インゴット。 - 【請求項6】 請求項4に記載の製造方法により得られ
た4H型炭化珪素単結晶インゴットを加工、研磨してな
る4H型炭化珪素単結晶ウエハであって、かつ、ウエハ
径が20mm以上である4H型炭化珪素単結晶ウエハ。 - 【請求項7】 前記請求項6に記載の4H型炭化珪素単
結晶ウエハにエピタキシャル成長してなる4H型炭化珪
素単結晶エピタキシャルウエハ。
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