JP2003340220A - フィルター用不織布及びエンジン用フィルター - Google Patents
フィルター用不織布及びエンジン用フィルターInfo
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Abstract
期間持続し、且つ保持容量が高く、目詰まりが生じ難い
フィルター用不織布とその製造方法、及び該不織布を用
いたエンジン用フィルターを提供すること。 【解決手段】 異なる2以上の繊維層を積層させてなる
不織布であって、コールターポロメーターIIを用いたバ
ブルポイント法(ASTM F−316−80に基づ
く)によって算出される該不織布の平均ポアサイズが3
0〜60μm、該不織布全体の細孔径総面積が0.01
1cm2/cm2以上である不織布。
Description
離除去する際に用いられるフィルター用不織布に関し、
より詳細には、塵埃、及びカーボン粒子などの被捕集物
に対する保持量に優れ、長期間に亘って優れた清浄効率
を持続し得るフィルター用不織布とその製造方法、及び
不織布を用いたフィルターに関する。
し、清浄度の高い空気を得る方法として、空気をフィル
ターに通す方法が常用されている。フィルターに求めら
れる性能は、用途によって異なるため、紙や繊維など各
種材料がフィルターとして用いられている。例えば自動
車などのエンジン用フィルターの場合、フィルターには
清浄効率が高いことも然ることながら、清浄効率の持続
性が求められている。
めたフィルターとして密度勾配型不織布が注目されてい
る。一般的に密度勾配型不織布は、密度の異なる繊維層
を複数積層させたものであって、各繊維層には、繊維径
の異なる繊維を用いたり、或いは該繊維の配合比率を調
節し、積層させた繊維層の密度が不織布の一方から他方
の面に向けて段階的に大きくなる様に構成されている。
また繊維同士の結合には、各種バインダーを用いて繊維
同士を固着させたり、或いは接着作用を有する繊維を配
合し、該繊維の一部を溶融させて他の繊維と付着させて
いる。
子などの微粒物に対する清浄効率が十分でないため、繊
維層の緻密化によって清浄効率を向上させる技術が提案
されている。緻密化方法としては例えば、微細な繊維を
用いて繊維層を緻密化して繊維と繊維の間に形成される
ポアサイズ(細孔径)を小さくしたり、或いは樹脂を含
浸させてポア径を減少させる技術が提案されている。し
かしながらこれら不織布をフィルターとして使用する場
合、カーボン等の微粒物に対する清浄効率は向上するも
のの、目詰まりが生じやすくなり、フィルターとしての
使用寿命が短くなるという問題が生じていた。また緻密
化した場合、塵埃やカーボン粒子などに対する保持量が
低下するという問題が生じていた。
フィルター用不織布が提案されている。例えば特開平9
−192427号には、熱接着性疎水性繊維と非熱接着
性疎水性繊維で構成される2以上の繊維層を空気流出側
の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さく
なる様に積層させた不織布を、水洗して油剤の付着量を
低減させることによって、目詰りを抑止しつつ、砂塵に
対する清浄効率を向上させる技術が提案されている。
は、融点差20℃以上を有する2つの繊維形成性を有す
る重合体を複合成分として並列に配してなる複合繊維を
少なくとも30%含有するウエッブに1方向から作用バ
ーブ数が40以上150以下になる条件でニードルパン
チを施した後、該ウエッブを該複合繊維の低融点成分の
融点以上、高融点成分の融点以下の温度で熱処理した不
織布が提案されている。
ジン用フィルターには、塵埃等に対する清浄効率も然る
ことながら、塵埃等に対する高い保持量が求められてい
る。また近年のコスト削減要求から、より少ない繊維層
の積層数で高い清浄効率、保持量を有すると共に、加工
性,一体成型性にも優れた特性を有する不織布が求めら
れている。
する高い捕集率を長期間持続し、且つ保持容量が高く、
目詰まりが生じ難いフィルター用不織布とその製造方
法、及び該不織布を用いたエンジン用フィルターを提供
することである。
発明とは、異なる2以上の繊維層を積層させてなる不織
布であって、コールターポロメーターIIを用いたバブル
ポイント法(ASTMF−316−80に基づく)によ
って算出される該不織布の平均ポアサイズが30〜60
μm、該不織布全体の細孔径総面積が0.011cm2/
cm2以上であることに要旨を有する不織布である。
着繊維で構成されていることが望ましい。
が被処理気体流入側から被処理気体流出側に向けて段階
的、或いは連続的に大きいこと、繊維層を構成する繊維
の平均デニールが被処理気体流入側から被処理気体流出
側に向けて段階的、或いは連続的に小さいことも本発明
の好ましい実施態様である。
させたものが好ましく、物理的結合として繊維を交絡さ
せたものがより好ましい。この様な物理的結合は、ニー
ドルパンチまたはウォータージェットによることが推奨
される。
されないが、好適な製造方法としては、繊維を配合して
なる異なる繊維層を2以上積層させた後、繊維層間を繊
維の交絡によって物理的に結合させ、次いで加熱処理し
て繊維の一部を溶融させて繊維同士を付着せしめて不織
布を形成した後、該不織布の繊維密度の大きい面に液体
を付与し、次いで該液体付着面に加熱ローラーを接触さ
せると共に、他方の面に雰囲気温度の加熱ローラーを接
触させるカレンダー処理を施すことによって得られる。
ン吸気用フィルターに好適である。
く、鋭意研究を重ねた結果、異なる2以上の繊維層を積
層させてなる不織布の平均ポアサイズを30〜60μ
m、細孔径総面積を0.011cm2/cm2以上とした
不織布は、塵埃、カーボン粒子を含む気体に対する清浄
効率に優れ、しかも高い塵埃,カーボンに対する保持量
を有することを見出したのである。
ポロメーターII(コールター社製)を用いてバブルポイ
ント法(ASTMF−316−80に基づく)によって
算出した値である。尚、コールターポロメーターIIによ
る測定は、不織布を液体で浸漬させ、該不織布の密層面
を下側、粗層面を上側に設置し、該不織布の上側から気
体の圧力を増加させがら供給し、この圧力と不織布表面
の液体表面張力の関係からポアサイズを測定する方法で
あり、具体的なコールターポロメーターIIの操作・測定
方法は、該装置の説明書に基づいて行なう。
メーターIIを用いて算出した値であり、個々のポアサイ
ズとそれに対応するポア数を積算したものを全て足した
値(単位面積当りの細孔の総面積(cm2/cm2))で
ある。
ーボン粒子などの微粒物がポアを通過し易くなるため、
該微粒物に対する初期清浄効率が不十分になる。また3
0μm未満とすると微粒物に対する初期清浄効率が高ま
るものの、短時間で目詰まりが生じやすいため、長期間
優れた清浄効率を維持できない。
未満では、埃塵に対するフィルターの塵埃保持量やカー
ボン粒子などの微粒物に対する保持量が不十分である。
該細孔総面積は好ましくは0.012cm2/cm2以
上、より好ましくは0.013cm2/cm2以上、更に
好ましくは0.018cm2/cm2以上である。細孔総
面積は大きい程、優れた保持量を示し、清浄効率持続性
が向上するため、平均ポアサイズが上記範囲内である限
り、上限は特に限定されない。
は、初期清浄効率(JIS D 1612に基づく)は
95%以上、より好ましくは96%以上有し、また最終
捕集率(JIS D 1612に基づく)は96%以
上、より好ましくは99.4%以上有する。また塵埃
(JIS Z 8901に基づく)に対する保持量(J
ISD 1612に基づく)は230g/0.1m3以
上、カーボン粒子(JISZ 8901に基づく)に対
する保持量は3.6g/0.1m3以上の優れた保持性
を有し、極めて優れた上記フィルター性能を長期間持続
できる。
と被接着繊維を均一となる様に配合させてなる繊維シー
ト(ウエッブ)を積層させた後、ニードルパンチ等の物
理的処理によって一体化させ、更に熱処理を施して繊維
同士を付着させて不織布を製造し、更に該不織布の繊維
密度の大きい面に液体を付与した後に加熱ローラーで処
理することによって上記平均ポアサイズと細孔総面積を
有する不織布を製造できる。
方法に基づいて詳述するが、本発明の不織布は上記特性
を有するものであれば下記製造方法によって製造された
ものに限定されない。
する熱処理を施した際に、繊維の一部が溶融して他の繊
維と付着することによって繊維同士が結合し得る繊維を
用いることが望ましい。この様に繊維の溶融を利用して
繊維同士を結合させることによって、該加工品を用いた
一体成型性(加工不織布の一部を用いて該不織布の支持
枠を一体的に成型する際の不良が少ない)にも優れた特
性を示す不織布が得られる。
いて繊維同士を固着させる方法もあるが、バインダー量
が増えると、ポアサイズの調節が難しく、また目詰まり
が生じやすいためフィルターの寿命が短くなる。また加
工時に不織布に割れが生じて加工不良が発生し易い。特
にバインダーを用いる場合、後述する様な一体成型をす
ることができないため、本発明ではバインダーを使用し
ない。
維を用いて繊維層を構成することが望ましい。
おいて溶融を開始する繊維である。この様な接着繊維と
しては、単一繊維、複合繊維のいずれであってもよい。
単一繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン
繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維などが例示さ
れる。また複合繊維としては、サイドバイサイド型複合
繊維、芯鞘型複合繊維などが例示される。但し、繊維が
過剰に溶融すると繊維強度が低下するので、単一繊維よ
りも複合繊維を用いることが望ましい。複合繊維とする
場合、低融点成分が溶融を開始する温度よりも30℃以
上高い温度でないと溶融を開始しない高融点成分(芯)
と、100〜220℃の範囲において溶融を開始する低
融点成分(鞘)を組み合わせてなる芯鞘型複合繊維が推
奨される。この様な芯鞘型複合繊維としては、変性ポリ
エステルとポリエステルの組合せが好適である。勿論、
ポリプロピレン(芯)−ポリエチレン(鞘)複合繊維、
66ナイロン(芯)−6ナイロン(鞘)複合繊維、ポリ
エステル(芯)−ポリエチレン(鞘)複合繊維も用いる
ことができる。
融点成分との配合比率は特に限定されず、通常市販され
ている繊維を用いればよい。
開始温度では、溶融開始しない繊維をいい、接着繊維と
の融点差が少なくとも30℃以上であることが望まし
い。この様な被接着繊維としては単一繊維が望ましい。
単一繊維としてはナイロンなどのポリアミド系繊維、ポ
リエステル繊維が例示される。
との質量比は、好ましくは50:50〜30:70の範
囲内となる様にすること好ましい。接着繊維の割合が多
くなると、接着繊維の過剰な溶融によるポア径閉塞や細
孔総面積減少が生じることがある。尚、各繊維の繊維長
は特に限定されず、公知のものを用いればよい。
割合となる様に、公知の方法によって繊維層を構成すれ
ばよい。本発明の不織布は上記繊維を任意の方法で配合
してなる繊維層を2以上積層させたものであるが、上記
平均ポアサイズと細孔径総面積が得られるのであれば、
不織布の厚みや各繊維層の厚み、繊維層の積層数は特に
限定されない。したがって所望の用途に応じた厚み,積
層数とすればよいが、厚みを増したり、積層数を増大さ
せると、製造コストが増大することがあるので、少ない
積層数で上記平均ポアサイズと細孔径総面積が得られる
様に繊維密度や繊維径などを調節することが好ましい。
理気体流出側に向けて繊維層の密度が段階的、或いは連
続的に大きくなる様に積層させて不織布を構成すること
が望ましい(以下、高密度繊維層を密層、低密度繊維層
を粗層という)。この様に密度勾配を有する不織布は、
塵埃等の比較的大きな粒子を流入側の繊維層で捕捉する
ことができるので、被処理気体流出側の繊維層(密層
側)での目詰まりを抑制できる。また粒子サイズに応じ
て不織布厚み方向に分散させながら塵埃等を蓄積できる
ため、単位面積当りの保持量も増加できる。
密度を高めるには、平均デニールの小さい繊維を用いる
ことが望ましく、また比較的大きな粒子の捕捉を目的と
する粗層は、平均デニールの大きい繊維を用いることが
望ましい。したがって被処理気体流入側(粗層側)から
被処理気体流出側(密層側)に向けて各繊維層の平均デ
ニールが段階的、或いは連続的に小さくなる様にするこ
とが望ましい。
ついては特に限定されないが、不織布の加工性を確保す
るためには、化学的結合よりも、物理的結合によって一
体化させることが望ましい。物理的結合とは、繊維層同
士を繊維の交絡によって結合した状態をいい、例えばこ
の様な物理的結合によって繊維同士を交絡させる方法と
しては、ニードルパンチ加工やウォータージェット加工
などが好適である。ニードルパンチ加工やウォータージ
ェット加工などの物理的結合処理を施す場合、不織布の
密層側からニードルパンチ加工(或いはウォータージェ
ット加工)することが望ましい。密層側からニードルパ
ンチ加工すると、粗層側からニードルパンチ加工する場
合に比べて、交絡に伴うポア形状の崩れや、ポア径の増
大が抑止できるので、上記範囲内の平均ポアサイズ及び
細孔総面積が得られる。したがってカーボン等の微細な
粒状物に対する初期清浄効率の低下が少ない。ニードル
パンチ加工を施す場合の加工条件としては特に限定され
ないが、針深度を深くし過ぎるとポア径が増大すること
がある。また針深度が浅すぎると十分な交絡処理ができ
ないため、通常、針深度は8〜15mmとすることが好
ましい。この際用いる打込み針は通常用いる針でよい
が、針直径は密層面を形成する繊維層のポア径よりも大
きいため、針打込みによって密層面のポア径は大きくな
る。したがって十分な交絡処理を行ないつつ、ポア径の
増大を抑止するためには、単位面積当りの針打込み本数
(ペネ数)は40〜100本/cm2とすることが好ま
しい。
熱処理を施して熱接着繊維と被接着繊維を接着させる。
この際の熱処理方法としては特に限定されないが、上記
接着繊維の溶融開始温度以上であって、被接着繊維の溶
融開始温度未満の温度に加熱し、これら繊維同士を付着
させればよい。
生じているため、表面性状を整えるとともに、寸法安定
性を確保し、且つ繊維密度を高めるために、該加熱処理
後、不織布の密層面に上記低融点成分の溶融開始温度以
上に加熱したローラーを接触させるカレンダー処理を施
す。加熱ローラーと該密層面を接触させることによって
毛羽立っている繊維を密層面の繊維に付着させて表面性
状が整えられ、繊維層の密度は高くなる。しかしながら
加熱ローラーとの接触によって、既に付着していた接着
繊維と被接着繊維の付着部分が溶融し、再付着すること
があるが、ローラーによって加圧されているため、該再
付着時に過剰な付着を生じたり、或いはローラーによっ
て処理された毛羽立ち繊維が、新たに繊維に付着する。
したがって、該加熱ローラーとの接触によって、密層面
のポア径減少、ポア数減少、ポア閉塞が生じたり、或い
は繊維が付着する際にポア径が広がった状態で付着する
ことがある。この様な加熱ローラーで処理された不織布
の細孔総面積は減少しているため、不織布をフィルター
として用いると、塵埃、特にカーボン粒子に対する保持
量が低い。
ーとの接触に先立って、密層面に液体を付着させておく
ことが望ましい。密層面に液体を付着させておくと、液
体の加熱によって生じる蒸気微粒子が、該密層面を構成
する繊維に付着した状態となり、接着繊維と被接着繊維
の付着部分の溶融,再付着や、毛羽立繊維が溶融等によ
って被接着繊維などの他の繊維に付着する場合に生じる
ポア径減少、ポア数減少、ポア閉塞などを抑止できる。
その結果、処理後の不織布密層面は、表面性状が整えら
れ、また高密度であるが、平均ポアサイズは上記範囲内
であり、且つ不織布全体の細孔総面積の減少が殆どない
ため、塵埃、カーボン粒子に対する保持量も高い。しか
も液体付与によって、不織布内に微細な通気孔(気道)を
多数形成,維持できる結果、塵埃,カーボンに対する高
い清浄効率を長期間維持できる。
ず、例えば水や静電防止剤などの油剤が好適である。油
剤を用いる場合、油剤溶液とすることが望ましく、油剤
濃度を好ましくは0.05〜10質量%、より好ましく
は0.1〜5質量%とすることが有用である。
の方法で液体と不織布密層面を接触させればよく、密層
に液体を均一に付着させるには液体を噴霧する方法が好
適である。
適宜調節すればよいが、加熱ローラーの温度を下記範囲
とした場合の液体付着量は好ましくは1〜20g/
m2、より好ましくは2〜10g/m2とすることが望ま
しい。液体付着量が少ない場合、上記液体付着効果が十
分に得られない。また液体付着量が多くなりすぎると、
上記効果を得るためにはローラーの温度を高くしなけれ
ばならいが、温度上昇によって、液体を付着させていな
い不織布粗層面の繊維が溶融,再付着を起こしてポアの
閉塞などが生じることがあるので好ましくない。
が、不織布密層面に接するローラーの温度は、好ましく
は接着繊維の溶融温度以上、被接着繊維の溶融温度未満
の温度とすることが好ましく、例えば190〜230℃
とすることが望ましい。尚、不織布の粗層面のポアサイ
ズや表面性状等は整える必要はないので、該粗層面に接
するローラーの温度は雰囲気温度とすればよく、特に加
熱する必要はない。
ンス)は特に限定されず、必要に応じて適宜変更すれば
よい。
〜60μmであって、且つポア径面積が0.011cm
2/cm2以上を有する本発明のフィルター用不織布を得
ることができる。
に裁断してフィルターとして用いることができる。また
不織布に各種加工を施すことも望ましく、例えばプリー
ツ加工を施してもよい。特に自動車等の車両エンジン用
フィルターとして用いる場合、フィルターの効果の持続
性をより高め、効率的な利用を図る観点から、プリーツ
加工を施すことが好ましく、公知の方法に基づいてプリ
ーツ加工すればよい。
たフィルターの一部を圧縮する等して該フィルターの支
持枠(つば部)を一体的に成型してもよい。本発明の不
織布は繊維同士の結合にバインダーを用いていないた
め、一体成型時にフィルターに割れが生じることがな
い。
が、例えばプリーツ加工を施した不織布をプレス装置の
鋳型に装着した後、該不織布の接着繊維のみが溶融し、
被接着繊維が溶融しない程度の温度で加熱した鋳型を圧
接すると、該不織布の外周4辺が圧縮されてつば部を形
成する。この様にしてプリーツ加工を施した不織布と該
不織布の支持枠を一体的に成型できる。即ち、本発明の
不織布を用いれば、該繊維結合部は熱によって溶融して
成型が容易になるとともに、冷やされる過程で繊維同士
の再付着が生じて強固な枠を形成できるのである。また
他の成型方法として、例えば特開平8−309136号
に記載の成型方法を参照とする。この様に本発明の不織
布はフィルターの一部を利用して支持枠を成型できるた
め、ゴムなどの枠を使用する必要がなく、コスト的にも
有利である。
625デニール) ・ポリエステル繊維(繊度1.25デニール,繊維長さ
44mm,融点260℃)50質量% ・ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(繊度2
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)50質量% 中層:目付量90g/m2の繊維層(平均繊度3.0デ
ニール) ・ポリエステル繊維(繊度2デニール,繊維長さ51m
m,融点260℃)50質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度4
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)50質量% 粗層:目付量60g/m2の繊維層(平均繊度5.0デ
ニール) ・ポリエステル繊維(繊度6デニール,繊維長さ51m
m,融点260℃)50質量% ・ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(繊度4
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)50質量% 上記繊維層を、密層−中層−粗層の順に積層させ、密層
側から、ニードルパンチ加工(深さ11mm、打ち込み
本数63本/cm2)を施してから、ピンテンター式熱
処理機で熱処理(210℃,47秒間)し、次いで密層
表面に水を噴霧(吹付け量10g/m2)した後、密層
を加熱ローラー(表面温度215℃)に、粗層を雰囲気
温度ローラーに接触(ローラー間のクリアランス2.5
mm)させてカレンダー処理を行ない、次いで冷却して
フィルター用不織布を得た。
(2質量%)を吹付けた(吹付け量10g/m2)以外
は、実施例1と同様にしてフィルター用不織布を作成し
た。
78デニール) ・ポリエステル繊維(繊度1.25デニール,繊維長さ
44mm,融点260℃)30質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度2
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)70質量% 中層:目付量90g/m2の繊維層(平均繊度2.6デ
ニール) ・ポリエステル繊維(繊度2デニール,繊維長さ51m
m,融点260℃)70質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度4
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)30質量% 粗層:目付量60g/m2の繊維層(平均繊度3.0デ
ニール) ・ポリエステル繊維(繊度6デニール,繊維長さ51m
m,融点260℃)70質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度4
デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)30質量% 上記各繊維層を、密層−中層−粗層の順に積層させ、密
層側から、ニードルパンチ処理(深さ11mm、打ち込
み本数63本/cm2)を施した以外は実施例1と同様
にしてフィルター用不織布を作成した。
てフィルター用不織布を作成した。
/m2)すると共に、中層の目付量を変更(目付量17
0g/m2)した以外は実施例4と同様にしてフィルタ
ー用不織布を作成した。
m2の繊維層(平均繊度:1.738デニール) ・ポリエステル繊維(繊度1.25デニール,繊維長さ
44mm,融点260)25質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度2
デニール,繊維長さ44mm,低融点ポリエステルの融
点160℃)25質量% ・ポリエステル−低融点ポリエステル複合繊維(繊度
1.7デニール,繊維長さ51mm,低融点ポリエステ
ルの融点160℃)50質量% を用いた以外は実施例4と同様にしてフィルター用不織
布を作成した。尚、該密層は繊維接着点が少なくなるよ
うに調節したものである。
を調べた。尚、被処理気体は不織布の粗層から導入し、
密層から流出させた。結果を表2に示す。
気体流入側(粗層)を上面にしてコールターポロメータ
ーII(コールター社製)を用い、バブルポイント法(A
STMF−361−80)によって測定した値 細孔総面積(cm2/cm2):不織布の被処理気体流入
側(粗層)を上面にしてコールターポロメーターII(コ
ールター社製)を用い、バブルポイント法(ASTMF
−361−80)によって測定した個々のポアサイズ及
びそれに対応するポア数を積算した値を和して算出した
値 目付(g/m3):JIS L1906 4.2に基づ
いて測定した値 厚 さ(mm):JIS L1906 4.2に基づ
き、荷重2KPaで測定した不織布の厚み 清浄効率(初期清浄効率,終期清浄効率):JIS D
1612に基づき、試験風速60m/secとし、粉体
としてJIS Z8901No.8を用いた。
く測定値 塵埃保持量(g/0.1m3):JIS D1612に
基づく測定値 カーボン保持量(g/0.1m3):JIS D161
2も基づく測定値 成形性:上記不織布にプリーツ加工を施した後、プリー
ツ加工した不織布の外周部を熱圧着させて枠を成型した
際の成型性
せた後、加熱ローラーで処理したため、水蒸気によって
ポアの閉塞や縮小などのつぶれが抑制され、不織布の有
する細孔総面積が大きく、またポアサイズの調整が適度
に行なわれていた。水付与を行なっていない実施例4
は、加熱ローラー処理時にポアの閉塞が生じると共に、
残存するポアサイズが大きくなり、細孔総面積が小さく
なった。実施例1と実施例4を対比すると、実施例1は
圧損が小さく、初期捕集率に優れ、且つ、塵埃保持量が
大きく、またカーボン保持量も高くなっている。
剤含有液を密層に付着させた後、加熱ローラーで処理し
たものである。実施例2の不織布は平均ポアサイズは実
施例4と同程度であるが、油剤含有液を付着させた結
果、加熱ローラー処理時にポアの閉塞,縮小などのつぶ
れが抑制され、また細孔総面積が大きくなっており、そ
の結果、圧損が小さく、初期捕集率に優れ、且つ、塵埃
保持量、カーボン保持量も高くなっている。
を増加させた結果、加熱処理時にポアが縮小して平均ポ
アサイズはやや小さくなった。しかしながら、水を付着
させてから加熱ローラー処理した結果、ポアの閉塞が抑
制され、細孔総面積は実施例2と同程度得られた。実施
例3と実施例4を対比すると、実施例3は塵埃保持量が
大きく、またカーボン保持量も高い。
した結果、実施例5の平均ポアサイズは大きいものの、
細孔総面積は不十分であり、塵埃保持量が小さく、また
カーボン保持量も小さい。
着を調整して平均ポアサイズを保持し、細孔総面積が大
きくなる様にしたものであるが、十分な細孔総面積が得
られなかった。その結果、塵埃保持量、カーボン保持量
共に十分な結果が得られなかった。
を二層以上積層させた不織布における平均ポアサイズと
細孔総面積との関係は、平均ポアサイズが30〜60μ
mであって、且つ細孔径総面積が0.011cm2/c
m2以上となる場合に、優れたフィルターの性能を発揮
することがわかる。
1〜4は成型性に問題はなかったが、実施例5,6はプ
リーツ部の端やコーナー部が不均一になっていた。
気清浄機や流体処理装置に用いるフィルター用不織布、
特に自動車などのエンジン吸気用フィルターに求められ
ている塵埃、特にカーボン粒子に対する初期清浄効率に
優れ、またこれら被捕集物保持量が大きいため目詰まり
しにくく、処理量も増大でき、長期間優れた清浄効率を
持続できるという特性を有する。また本発明の不織布は
3層程度の積層数で優れた効果を発揮し、また成型性に
も優れているため、製造コスト的にも有用である。本発
明の不織布はコンパクトで、且つ高性能なフィルターが
求めらるエンジン用吸気フィルターとして好適である。
Claims (9)
- 【請求項1】 異なる2以上の繊維層を積層させてなる
不織布であって、コールターポロメーターIIを用いたバ
ブルポイント法(ASTM F−316−80に基づ
く)によって算出される該不織布の平均ポアサイズが3
0〜60μm、該不織布全体の細孔径総面積が0.01
1cm2/cm2以上であることを特徴とする清浄効率と
被捕集物保持量に優れたフィルター用不織布。 - 【請求項2】 各繊維層は接着繊維と、被接着繊維で構
成されているものである請求項1に記載のフィルター用
不織布。 - 【請求項3】 前記不織布における繊維層の繊維密度が
被処理気体流入側から被処理気体流出側に向けて段階
的、或いは連続的に大きくなるものである請求項1また
は2に記載のフィルター用不織布。 - 【請求項4】 前記不織布における繊維層を構成する繊
維の平均デニールが、被処理気体流入側から被処理気体
流出側に向けて段階的、或いは連続的に小さくなるもの
である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルター用不
織布。 - 【請求項5】 物理的結合によって繊維層を積層させた
ものである請求項1〜4のいずれかに記載のフィルター
用不織布。 - 【請求項6】 前記物理的結合は、繊維を交絡させたも
のである請求項5に記載のフィルター用不織布。 - 【請求項7】 前記物理的結合は、ニードルパンチまた
はウォータージェットを用いたものである請求項5また
は6に記載のフィルター用不織布。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の不織布
を用いたエンジン用フィルター。 - 【請求項9】 請求項1に記載されたフィルター用不織
布の製造方法であって、繊維を配合してなる繊維層を2
以上積層させた後、繊維層間を繊維の交絡によって物理
的に結合させ、次いで加熱処理して繊維の一部を溶融さ
せて繊維同士を付着せしめて不織布を形成した後、該不
織布の繊維密度の大きい面に液体を付与し、次いで該液
体付着面に加熱ローラーを接触させると共に、他方の面
に雰囲気温度の加熱ローラーを接触させるカレンダー処
理を施すことを特徴とするフィルター用不織布の製造方
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