JP2003335933A - 射出成形体 - Google Patents
射出成形体Info
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Abstract
んど損なうことなく、優れた耐衝撃性、耐熱性、さらに
は耐加水分解性を具備した生分解性の射出成形体を提供
すること。 【解決手段】 生分解性射出成形体は、乳酸系樹脂と芳
香族脂肪族ポリエステルを含有する樹脂組成物からなる
射出成形体であり、乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエス
テルの混合割合が、質量比で、70:30〜90:10
の範囲内である。樹脂組成物中には、さらに無機フィラ
ーを5〜30質量%含有してもよく、また、さらにカル
ボジイミド化合物を含有してもよい。
Description
形体に関し、特に、乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエス
テルを含有する生分解性の射出成形体に関するものであ
る。
ク製品が棄却された場合に自然環境中で経時的に分解・
消失し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが
求められている。従来のプラスチックは、自然環境中で
長期にわたって安定であり、しかも嵩比重が小さいた
め、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景
観や野生動植物の生活環境を損なうといった問題点が指
摘されていた。そこで、生分解性樹脂材料が注目を集め
るようになった。生分解性樹脂は、土壌中や水中で、加
水分解や生分解によって徐々に崩壊・分解が進行し、微
生物の作用により最終的には無害な分解物となることが
知られている。また、コンポスト(堆肥化)処理によっ
て、容易に廃棄物処理を行うことができる。
は、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエス
テル化合物、デンプン変性体、およびこれらのブレンド
体等がある。これらの生分解性樹脂材料はそれぞれ固有
の特徴を有し、この特徴に応じた用途展開が考えられ
る。中でも脂肪族ポリエステルが、幅広い特性と汎用樹
脂に近い加工性を有するため広く使われ始めている。ま
た、脂肪族ポリエステルの中でも乳酸系樹脂は、透明性
・剛性・耐熱性等が優れていることから、ポリスチレン
やポリエチレンテレフタレートの代替材料として、フィ
ルム包装材や射出成形分野において注目されている。
射出成形品などに用いられるABSと比較した場合、乳
酸系樹脂の耐衝撃性は低く、ABSの代替材料として使
用することは難かしい。そのため、耐衝撃性付与の手段
として、特開平10−87976に開示されているよう
に、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルとしてポリブ
チレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジ
ペート共重合体などを配合する手法が取られている。こ
の方法では、耐衝撃性改良効果をだすためには脂肪族ポ
リエステルの配合量を多くしなければならず、成形体の
軟質化や耐熱性の低下が生じることとなり実用上十分で
ない。耐衝撃性としては、家電部品や車の部品として使
用されている樹脂の性能から考え、JISK−7110
に基づいたアイゾット衝撃強度(ノッチ付き、23℃)
で、15kJ/m2以上が好ましい。耐熱性としては同
様に、JISK−7191に基づいた荷重たわみ温度
(A法、エッジワイズ)で、55℃以上が好ましい。ま
た、乳酸系樹脂は他の脂肪族ポリエステルと比較して、
工業的に大量に生産されようとしており、原料供給面、
および価格面において有利であるため、射出成形体に占
める乳酸系樹脂の配合量が多い方が、製品を安定、かつ
安価に供給することが可能である。
合した成形体は、長期保管や長期使用によって、空気中
の水蒸気や、内容物または外部からの水分によって、加
水分解を生じ、機械物性の低下を招くなど、実用上大き
な問題があった。特に、60℃、60%RH以上の高温
多湿の雰囲気下では、短期間で加水分解が生じ、成形体
は数時間から数週間で分解してしまうことがある。な
お、耐加水分解性の観点からは、85℃、80%RHの
雰囲気下で、100時間の湿熱試験において、分子量保
持率が70%以上であることが実用上好ましい。
性、耐衝撃性に優れ、さらには生分解性をほとんど損な
うことなく優れた耐加水分解性を具備した生分解性の射
出成形体を提供することである。
な現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、効果の高い本発
明を完成するに至った。すなわち本発明の射出成形体
は、乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエステルを含有する
樹脂組成物からなる射出成形体であり、前記乳酸系樹脂
と前記芳香族脂肪族ポリエステルの混合割合が、質量比
で、70:30〜90:10の範囲内であることを特徴
とする。ここで、前記樹脂組成物中に、さらに、無機フ
ィラーを5〜30質量%含有することができる。また、
前記樹脂組成物は、さらにカルボジイミド化合物を含有
することができる。また、前記芳香族脂肪族ポリエステ
ルは、ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合
体、あるいはテトラメチレンアジペート/テレフタレー
ト共重合体であることができる。また、上記射出成形体
を60〜130℃の範囲内の温度で結晶化させてもよ
い。また、上記射出成形体は、JISK−7110に基
づいて測定したアイゾット衝撃強度が15kJ/m2以
上であり、かつ、JISK−7191に基づいてエッジ
ワイズ方向で測定した荷重たわみ温度が55℃以上であ
ることができる。
る。本発明に用いる乳酸系樹脂とは、構造単位がL−乳
酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸である
ポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸で
ある、ポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体をいい、さ
らには、α−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシ
カルボン酸単位や(脂肪族)ジオール/(脂肪族)ジカ
ルボン酸との共重合体であってもよい。しかし、この
時、乳酸系樹脂のDL構成が、L体:D体=100:0
〜90:10、もしくは、L体:D体=0:100〜1
0:90であることが好ましく、L体:D体=100:
0〜94:6、もしくは、L体:D体=0:100〜
6:94であることがより好ましい。かかる範囲外で
は、部品の耐熱性が得られにくく、用途が制限されるこ
とがある。乳酸系樹脂の代表的なものとしては、島津製
作所製ラクティシリーズ、三井化学製レイシアシリー
ズ、カーギル・ダウ製Nature Worksシリーズなどがあげ
られる。
開環重合法など公知のいずれの方法を採用することがで
きる。例えば、縮重合法ではL−乳酸またはD−乳酸、
あるいはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組
成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環
重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に
応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用
してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドに
はL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2
量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸か
らなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混
合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつ乳
酸系樹脂を得ることができる。
応じ、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非
脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチ
レンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用い
てもよい。さらにまた、分子量増大を目的として少量の
鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ
化合物、酸無水物などを使用することもできる。
ロキシ−カルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体
(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL
−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒ
ドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキ
シ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチ
ル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等
の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクト
ン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が
挙げられる。
ールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげ
られる。また、上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハ
ク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデ
カン二酸等が挙げられる。
0万の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは
10万〜25万である。乳酸系樹脂の重量平均分子量が
5万より小さいと、実用物性がほとんど発現されず、4
0万より大きいと、溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣
る。
肪族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族
ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分からなる
生分解性を有する芳香族脂肪族ポリエステルである。芳
香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル
酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等
が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
ドデカン二酸等が挙げられ、脂肪族ジオール成分として
は、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げら
れる。なお、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボ
ン酸成分あるいは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種
類以上を用いることもできる。本発明において、最も好
適に用いられる芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸
であり、脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、
脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールである。
からなる脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが
知られているが、芳香族脂肪族ポリエステルにおいて生
分解性を発現させるためには芳香環の合間に脂肪族鎖が
存在することが必要である。そのため、本発明に用いら
れる芳香族脂肪族ポリエステルの芳香族ジカルボン酸成
分は、50モル%以下にすることが好ましい。上記芳香
族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、ポリブ
チレンアジペートとテレフタレートの共重合体(BAS
F社製の「Ecoflex」)やテトラメチレンアジペ
ートとテレフタレートの共重合体(Eastman C
hemicals社製の「EastarBio」)など
があげられる。
割合は、質量比で70:30〜90:10の範囲内であ
ることが好ましく、75:25〜85:15の範囲内で
あることがさらに好ましい。芳香族脂肪族ポリエステル
の配合量が、樹脂組成物全体量に対して30質量%を越
えると、成形体の軟質化や耐熱性の低下を生じやすい。
また、10質量%を下回ると耐衝撃性の改良効果が得ら
れない。従来、乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良する手段と
しては、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルを配合す
る方法が一般的に知られている。乳酸系樹脂以外の脂肪
族ポリエステルとしては、脂肪族ジカルボン酸またはそ
の誘導体と脂肪族多価アルコールを主成分とする脂肪族
ポリエステルが広く用いられている。代表的なものとし
ては、昭和高分子社製ビオノーレシリーズなどがある。
合することで耐衝撃性改良効果を発現するためには、乳
酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの割合を樹脂組成物
全量中30質量%以上にする必要がある。しかし、射出
成形体に占める乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの
割合が30質量%以上になると、成形体の軟質化や、耐
熱性の低下が生じ、実用上問題を生じる。
いれば、乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエステルとを質
量比で70:30〜90:10、より好ましくは75:
25〜85:15の範囲で混合することによって、脂肪
族ポリエステルを30質量%以上配合した場合と同等以
上の耐衝撃性の改良効果が得られるため、耐衝撃性、耐
熱性を両立させることが容易になる。
耐熱性をさらに向上させるためには、成形体に熱処理を
行って結晶化させることが有効である。熱処理温度は、
60〜130℃の範囲が好ましく、70〜90℃の範囲
がより好ましい。熱処理温度が60℃より低いと、結晶
化が進行せず、130℃より高いと、成形体を冷却した
時に変形や収縮が生じやすい。加熱時間は組成、および
熱処理温度によって適宜決められるが、例えば、加熱温
度が70℃の場合には15分〜5時間熱処理を行うこと
が好ましい。また、加熱温度が130℃の場合には10
秒〜30分熱処理を行うことが好ましい。結晶化させる
方法としては、射出成形後に金型の温度を上げて金型内
で結晶化させる方法や、射出成形体を非晶状態で金型か
ら取り出した後、熱風、蒸気、温水、遠赤外線ヒータ
ー、IHヒーターなどで結晶化させる方法等が挙げられ
る。このとき、射出成形体を固定しなくてもよいが、成
形体の変形を防止するために、金型、樹脂型などで固定
することが好ましい。また、生産性を考慮に入れると、
梱包した状態で熱処理を行うことが好ましい。
無機フィラーを配合することで、金型からの離型時にお
ける変形防止効果、加熱時における収縮、反りなどの防
止効果が得られる。無機フィラーの添加量は、樹脂組成
物全量中5〜30質量%の範囲内であることが好まし
い。無機フィラーの添加量が5質量%より小さいと、金
型からの離型時に変形を生じたり、加熱時の収縮が大き
くなる。また、添加量が30質量%を上回る場合には、
成形体の強度低下を生じ実用上問題が生じる。
ては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイ
ト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、黒鉛、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモ
ン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウ
ム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノト
ライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、金属
粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン、有機
系バルーンなどが挙げられる。また、上記無機フィラー
表面をチタン酸、脂肪酸、シランカップリング剤などで
処理することにより樹脂との接着性を向上させ、無機フ
ィラーの効果を向上させることが可能である。
を付与するために、樹脂組成物100質量部に対してカ
ルボジイミド化合物を0.5〜10質量部の範囲内で添
加することが効果的である。かかる範囲を下回る場合
は、耐加水分解性改良効果が発現されず、上回る場合に
は、カルボジイミド化合物のブリードアウトによる成形
体の外観不良や、可塑化による機械物性の低下が起こ
る。また、生分解性やコンポスト分解性が損なわれるこ
とがある。
ド化合物としては、下記一般式で表される基本構造を有
するものが挙げられる。 −(N=C=N−R−)n− ただし、式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結
合単位を示す。通常nは、1〜50の間で適宜設定され
る。また、Rとしては、例えば、脂肪族、脂環族、芳香
族の結合単位等が挙げられる。
フェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレ
ンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイ
ミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソ
プロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−
ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ト
リイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等や、これ
らの単量体があげられる。本発明において、カルボジイ
ミド化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光
安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、可塑剤等の添加剤
を処方することができる。
法について説明する。乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエ
ステル、必要に応じて、さらに無機フィラー、カルボジ
イミド化合物、その他の添加剤の混合は、同一の射出成
形機にそれぞれの原料を投入して行うことができる。射
出成型機に原料を投入し、混合した後、そのまま射出成
形機から射出成形する方法、あるいは、ドライブレンド
した原料を二軸押出機を用いてストランド形状に押出し
てペレットを作成した後、再度射出成形機を用いて射出
成形体を作成する方法がある。
分子量の低下を考慮しなければならないが、均一に混合
させるためには後者を選択することが好ましい。本発明
においては、例えば乳酸系樹脂、芳香族脂肪族ポリエス
テルを十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を
用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレット
を作成する。ただし、乳酸系樹脂はL−乳酸構造とD−
乳酸構造の組成比によって融点が変化すること、芳香族
脂肪族ポリエステルの混合の割合によって樹脂組成物の
融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜
選択することが好ましい。実際には100〜250℃の
温度範囲が通常選択される。
燥して水分を除去した後、射出成形を行う。本発明の射
出成形方法としては、特に限定されないが、代表的には
熱可塑性樹脂用の一般的な射出成形法、ガスアシスト成
形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法を採用すること
ができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でイ
ンモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サ
ンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM
等を採用することもできる。
スアシスト成形機及び射出圧縮成形機等と、これらに用
いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置及
び原料乾燥装置等から構成される。成形条件は射出シリ
ンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度
を170℃〜210℃の範囲で成形する事が好ましい。
形サイクル(型閉〜射出〜保圧〜冷却〜型開〜取出)の
冷却時間を短くするため、金型温度はできるだけ低温に
設定することが好ましい。金型温度は、一般的には15
℃〜55℃であり、チラーを用いることも望ましい。し
かし、後結晶化時の成形体の収縮や反り、変形を抑える
ためにはこの範囲で高温にすることが有利である。
「無機フィラー充填系」の場合には、無機フィラーの充
填量が多くなるほど成形品表面にフローマークが発生し
易くなる。無機フィラー充填系の射出速度は、樹脂組成
物に無機フィラーを充填しない「未充填系」の射出速度
よりも低速にする必要がある。例えば、タルク15質量
%を含む樹脂組成物を肉厚2mmのプレート金型を備え
たスクリュー径25mmの射出成形機で射出成形する場
合、射出速度が30mm/秒以下であればフローマーク
の無い成形体が得られた。未充填系の場合には50mm
/秒でもフローマークは発生しなかった。
及び保持時間を十分に取ることが好ましい。例えば、保
持圧力は30MPa〜100MPaの範囲内で、保持時
間は成形体の形状や肉厚に応じて1秒〜15秒の範囲内
で適宜設定されることが好ましい。上記の肉厚2mmの
プレートを成形する場合には保持時間は3秒前後とな
る。
一定時間金型内で保持することにより、金型内で結晶化
させることができる。金型温度としては、60℃〜13
0℃であることが好ましく、さらに好ましくは70℃〜
90℃である。金型温度が60℃より下回ると結晶化に
長時間を要し、サイクルが長くなり過ぎる。一方130
℃より上回るとリリース時に変形を生じることがある。
衝撃性、さらには耐加水分解性を備えるため家電製品、
自動車部品、その他一般成形品として従来の樹脂と同様
に使用することができる。例えば、本発明によって、電
卓型成型体を形成することができる。図1(a)は、本
発明の実施態様の1つである電卓型成型体の平面図であ
り、(b)はその正面図である。1〜6は貫通孔の穴あ
き部であり、1は計算結果等を表示する窓部となる部
分、2,3は数字等のキー部分となる部分、4,5,6
は爪を掛ける部分である。
説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるも
のではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すよ
うな条件で測定を行い、算出した。
し、23℃におけるエッジワイズ方向のアイゾット衝撃
強度について測定を行った。なお、アイゾット衝撃強度
は、15kJ/m2を実用基準とした。
み温度の測定をした。測定は、エッジワイズ方向、試験
片に加える曲げ応力1.80MPaの条件で行った。荷
重たわみ温度は、55℃以上を実用基準とした。
1に示す電卓型非晶成形体を得た。この時の成形条件
は、シリンダー温度195℃、金型温度25℃、射出圧
力110MPa、射出時間1.5sec、保持圧力80
MPa、保持時間3.0秒、背圧10MPa、スクリュ
ー回転数110rpmであった。成形後に測定室内(温
度23℃、湿度50%RH)で成形体を状態調整した
後、図1におけるXとYの寸法を測定した。その後、指
定された加熱条件(温度及び時間)でアニール処理を実
施した。ただし、アニール処理には恒温恒湿オーブンを
用い、成形体に負荷のかからない状態で静置して行っ
た。アニール処理後、直ちに成形体を取り出し測定室内
で状態調整を行った。24時間、状態調整を行った後、
再度XとYの寸法を測定し、アニール処理による収縮率
を算出した。測定には三次元測定機を用いた。XとYの
収縮率が共に1.0%未満であるものを記号「○」、X
またはYの収縮率のいずれかが1.0以上、2.0未満
であるものを記号「△」、XとYの収縮率が共に2.0
%以上であるものを記号「×」で示した。
の重量平均分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶
媒としてクロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol
%、溶液注入量200μL、溶媒流速1.0mL/分、
溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、乳
酸系樹脂の重量平均分子量を算出した。ただし、用いた
標準ポリスチレンの重量平均分子量は、200000
0、430000、110000、35000、100
00、4000、600である。
時間経過後の分子量保持率を以下の式により算出した。
分子量保持率は、70%以上を実用基準とした。 分子量保持率(%)={(湿熱試験後の重量平均分子
量)/(湿熱試験前の重量平均分子量)}×100
ダウ社製の「Nature Works 4031D」
(L−乳酸/D−乳酸=98.5/1.5、重量平均分
子量20万)、芳香族脂肪族ポリエステルとしてBAS
F社製の「Ecoflex」(テレフタル酸24モル
%、アジピン酸26モル%、1,4−ブタンジオール5
0モル%)を用い、「Nature Works 403
1D、Ecoflex」を質量比85:15の割合でド
ライブレンドして樹脂組成物を得た。これを、三菱重工
社製の40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180
℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペ
レットを東芝機械社製の射出成形機「IS50E」(ス
クリュー径25mm)を用い、L100mm×W100
mm×t3mm、又はt4mmの厚さが異なる2種類の
板材(以下、それぞれ「3mm板」、「4mm板」と称
す)を射出成形した。主な成形条件は以下の通りであ
る。 1)温度条件:シリンダー温度(195℃)、金型温度
(20℃) 2)射出条件:射出圧力(115MPa)、保持圧力
(55MPa) 3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm)、背圧
(15MPa) 次に、射出成形体をベーキング試験装置(大栄科学精器
製作所製、「DKS−5S」)内に静置し、70℃で
3.5時間熱処理を行った。4mm板を用いてアイゾッ
ト衝撃強度、3mm板を用いて荷重たわみ温度の評価を
行った。結果を表1に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」のドライブレンド割合を質量比で80:20に変更
した以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作成し
た。また、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1
に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」のドライブレンド割合を質量比で75:25に変更
した以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作成し
た。また、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1
に示す。
肪族ポリエステルとして、Eastman Chemi
cals社製の「EastarBio」(テレフタル酸
22モル%、アジピン酸28モル%、1,4−ブタンジ
オール50モル%)を用い、「Nature Work
s 4031D」と、「Eastar Bio」を質量比
で80:20の割合でドライブレンドした樹脂組成物に
変更した以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作
成した。また、実施例1と同様にして評価を行った。結
果を表1に示す。
ク株式会社製の「ミクロエースL1」を用い、「Nat
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」と、「ミクロエースL1」とを質量比で80:1
5:5の割合でドライブレンドした樹脂組成物に変更し
た以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作成し
た。また、耐衝撃性、耐熱性に加えて寸法安定性の評価
を行った。結果を表2に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」と、「ミクロエースL1」とを質量比で70:1
5:15の割合でドライブレンドした樹脂組成物に変更
した以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作成し
た。また、実施例5と同様の評価を行った。結果を表2
に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」と、「ミクロエースL1」とを質量比で50:2
0:30の割合でドライブレンドした樹脂組成物に変更
した以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作成し
た。また、実施例5と同様の評価を行った。結果を表2
に示す。
の代わりに、「Nature Works 4031D」
を用いた以外は実施例1と同様にして、射出成形体を作
成した。また、実施例1と同様の評価を行った。結果を
表3に示す。
リエステルとして昭和高分子社製の「ビオノーレ300
3」を用い、「Nature Works 4031D」
と、「ビオノーレ3003」とを質量比で80:20の
割合でドライブレンドした樹脂組成物に変更した以外は
実施例1と同様にして、射出成形体を作成した。また、
実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
ure Works 4031D」と、「ビオノーレ30
03」とを質量比で60:40の割合でドライブレンド
した樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様にし
て、射出成形体を作成した。また、実施例1と同様の評
価を行った。結果を表3に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」とを質量比で95:5の割合でドライブレンドした
樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様にして、射
出成形体を作成した。また、実施例1と同様の評価を行
った。結果を表3に示す。
ure Works 4031D」と、「Ecofle
x」とを質量比で60:40の割合でドライブレンドし
た樹脂組成物に変更した以外は実施例1と同様にして、
射出成形体を作成した。また、実施例1と同様の評価を
行った。結果を表3に示す。
ボジイミド化合物として、ラインケミー社製の「スタバ
クゾールP」を用い、「Nature Works 40
31D」と、「Ecoflex」と、「ミクロエースL
1」と、「スタバクゾールP」とを表4に示すように、
実施例8は質量比で70:15:15:1.5の割合
で、実施例9は質量比で70:15:15:3.0の割
合でドライブレンドした樹脂組成物に変更した以外は実
施例1と同様にして、射出成形体を作成した。また、耐
衝撃性、耐熱性、耐加水分解性の評価を行った。結果を
表4に示す。
9の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15kJ/m
2以上、荷重たわみ温度が55℃以上であり、耐衝撃性
および耐熱性共に優れていることが分かった。また、表
2から明らかなように、無機フィラーをさらに添加した
実施例5〜7の射出成形体は、寸法安定性に優れている
ことが分かった。表4から明らかなように、カルボジイ
ミド化合物をさらに添加した実施例8〜9の射出成形体
は、高い分子量保持率を有することが分かった。なお、
実施例1〜9の射出成形体は、生分解性であるので、環
境保護の観点からも優れたものである。一方、比較例
1,2,4の射出成形体は、アイゾット衝撃強度が15
kJ/m 2未満であり、耐衝撃強度に劣っているもので
あった。また、比較例2,3,5の射出成形体は、荷重
たわみ温度が55℃未満であり、耐熱性に劣ったもので
あった。このように、比較例1〜5では、耐衝撃性及び
耐熱性の1つ以上において、実用不可能なものであっ
た。
ている生分解性をほとんど損なうことなく、優れた耐衝
撃性、耐熱性、さらには耐加水分解性を具備した生分解
性射出成形品を提供することができる。
出成形体の平面図であり、(b)は正面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 乳酸系樹脂と芳香族脂肪族ポリエステル
を含有する樹脂組成物からなる射出成形体であり、前記
乳酸系樹脂と前記芳香族脂肪族ポリエステルの混合割合
が、質量比で、70:30〜90:10の範囲内である
ことを特徴とする射出成形体。 - 【請求項2】 前記樹脂組成物中に、さらに、無機フィ
ラーを5〜30質量%含有することを特徴とする請求項
1記載の射出成形体。 - 【請求項3】 前記樹脂組成物が、さらにカルボジイミ
ド化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記
載の射出成形体。 - 【請求項4】 前記芳香族脂肪族ポリエステルが、ポリ
ブチレンアジペート/テレフタレート共重合体、あるい
はテトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合体
であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項
記載の射出成形体。 - 【請求項5】 射出成形体を60〜130℃の範囲内の
温度で結晶化させたことを特徴とする請求項1から4の
いずれか1項記載の射出成形体。 - 【請求項6】 JISK−7110に基づいて測定した
アイゾット衝撃強度が15kJ/m2以上であり、か
つ、JISK−7191に基づいてエッジワイズ方向で
測定した荷重たわみ温度が55℃以上であることを特徴
とする請求項1から5のいずれか1項記載の射出成形
体。
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