JP2003329270A - 調温換気方法および装置 - Google Patents

調温換気方法および装置

Info

Publication number
JP2003329270A
JP2003329270A JP2002133148A JP2002133148A JP2003329270A JP 2003329270 A JP2003329270 A JP 2003329270A JP 2002133148 A JP2002133148 A JP 2002133148A JP 2002133148 A JP2002133148 A JP 2002133148A JP 2003329270 A JP2003329270 A JP 2003329270A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
outside air
temperature
phase change
ventilation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002133148A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsunori Nagano
克則 長野
Toru Mochida
徹 持田
Kazumi Shimakura
一實 嶋倉
Seiko Takeda
清香 武田
Shigeo Yoshida
繁夫 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Homes Co Ltd
Original Assignee
Panahome Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panahome Corp filed Critical Panahome Corp
Priority to JP2002133148A priority Critical patent/JP2003329270A/ja
Publication of JP2003329270A publication Critical patent/JP2003329270A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Air-Conditioning Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築物の屋外空間から屋内空間へと外気を取
り込んで換気を行なう際に、外気の温度を適切かつ効率
的、経済的に調温して、居住環境を良好に維持する。 【解決手段】 屋外空間から屋内空間への外気の取り込
み経路中で、外気を相変化蓄熱材と接触させて外気を調
温し、調温された外気を屋内空間へ供給する工程(a)
と、屋外空間から取り込まれた外気または屋内空間の空
気を、前記相変化蓄熱材と接触させて相変化蓄熱材に蓄
熱させたのち、屋外空間へと排出する工程(b)とを含
む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調温換気方法およ
び装置に関し、詳しくは、建築物の屋内空間に外気を取
り込んで換気を行なう際に、外気を適度な温度に調整し
てから屋内空間へと取り込めるようにする方法と、この
調温方法に用いる調温装置とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】通常、建築物の屋内空間に外気を取り込
んで換気を行なうには、壁面に取り付けられた換気扇を
作動させたり、外気と取り込んで各室へ新鮮な空気を送
り込む送風装置や換気ダクトを備えておいたりしてい
る。しかし、屋内の空気に比べて外気が極端に低温であ
ったり高温であったりした場合、換気によって室内の温
度が大きく変動して、居住者に不快感を与えたり、居住
者の健康に悪影響を与えたりする問題がある。そこで、
換気装置で外気を取り込む際に、ヒータで加温して調温
してから室内に放出したり、空調装置内で室内からの排
気と熱交換することで調温してから室内に放出したりす
ることも提案されている。
【0003】さらに、屋外に比べて温度変化が少ない床
下空間に一旦外気を取り込み、床下空間である程度まで
調温された空気を室内に取り込む方法も提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の調温方
法のうち、ヒータによる加温や空調装置による熱交換で
外気を調温する方法では、ヒータなどの加熱装置あるい
は熱交換装置が必要であり、稼動コストがかさむという
欠点がある。また、床下空間で調温するだけでは、外気
と室内空気との温度差が十分に解消できず、居住者にと
って十分に快適な調温が達成でき難い。そこで、本発明
の課題は、建築物の屋外空間から屋内空間へと外気を取
り込んで換気を行なう際に、外気の温度を適切かつ効率
的、経済的に調温して、居住環境を良好に維持できるよ
うにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる調温換気
方法は、建築物の屋外空間から屋内空間へと外気を取り
込む換気方法であって、前記屋外空間から屋内空間への
外気の取り込み経路中で、外気を相変化蓄熱材と接触さ
せて外気を調温し、調温された外気を屋内空間へ供給す
る工程(a)と、前記屋外空間から取り込まれた外気また
は屋内空間の空気を、前記相変化蓄熱材と接触させて相
変化蓄熱材に蓄熱させたのち、屋外空間へと排出する工
程(b)とを含む。 〔建築物〕木造、コンクリート造などの一般住宅、集合
住宅、オフィスビル、病院、介護施設、工場、その他の
公衆施設など、使用者にとって快適な温度環境を維持す
る必要がある各種の建築物に適用できる。動植物の飼育
や生育を行なう作業施設にも適用できる。
【0006】屋内空間とは、一般住宅の居室や集会室、
作業室などに使用される個々の部屋のほか、廊下や階段
などの共用空間も含まれる。特別な場合を除いて、居住
や作業に利用することがない建築物の床下空間や屋根裏
空間、軒下空間などは、屋内空間には含めない。換気
は、個々の部屋毎に行なうこともできるし、複数の部屋
あるいは建築物の屋内空間全体をまとめて行なう場合も
ある。屋内空間の使用環境や必要換気量などの条件によ
って、調温すべき温度範囲や必要な換気能力が変わる。 〔外気の取り込み経路〕屋外空間の外気は、自然通風あ
るいは強制通風で屋内空間へと取り込まれる。
【0007】外気の取り込み経路は、基本的には、通常
の建築物における換気構造が採用できる。具体的には、
屋外空間と屋内空間を仕切る外壁に換気孔を設けるだけ
の場合もあるし、建築物の外壁に開口する換気口から、
周囲を壁で囲まれた換気ダクトなどを経由して個々の部
屋や空間ごとに外気を送りこむ場合もある。外気の取り
込み経路を、建築物の外壁内や屋根裏空間、床下空間な
どに設けることができる。特に、床下空間に外気の取り
込み経路を設けると、外気が床下空間を移動する間に、
ある程度の調温作用を受け、全体としての調温性能を高
めることができる。屋根裏空間や床下空間を利用する場
合、特別な換気ダクトを設けず、これらの空間自体を外
気の取り込み経路として利用することもできる。
【0008】〔相変化蓄熱材〕蓄熱材とは、熱エネルギ
ーの貯蔵容量が大きな材料を意味する。相変化蓄熱材と
は、融解熱や転移熱など物質の相変化によって熱エネル
ギーの効率的な出し入れが行なわれる材料であり、潜熱
蓄熱材とも呼ばれる。ここで、蓄熱とは、温熱と冷熱と
の両方を意味で用いられる。相変化蓄熱材は、温度が変
化せずに熱交換が行なわれるので、外気を一定温度に調
温するのに適している。要求される調温機能に合わせ
て、相変化温度が適切な条件にある相変化蓄熱材を使用
する。具体的には、通常の居住環境では、相変化温度が
15〜35℃の範囲にあるものが好ましい。より望まし
くは、相変化温度が20〜28℃の範囲である。相変化
は、固相と液相、および、液相と気相、まれには固相と
気相との間で生じる。通常は、固相と液相との間の相変
化を利用する。相変化温度は、相変化の方向によって少
しずれが生じる。例えば、固相から液相への相変化温度
と、液相から固相への相変化温度が違うこともある。そ
の場合には、両方の相変化温度の平均値で相変化蓄熱材
の相変化温度を規定すればよい。勿論、厳密な評価を行
なう場合には、使用時の相変化方向とそのときの相変化
温度を評価する。
【0009】単位重量あるいは単位容積当たりの熱容量
が大きな材料が、効率的な調温に有効である。具体的に
は、相変化熱量が10〜400kJ/kgの範囲にある
ものが使用でき、好ましくは相変化熱量が40kJ/k
g以上の材料を用いる。具体的な材料としては、パラフ
ィン系、脂肪酸系などの芳香族低次化合物や無機含水塩
系などの相変化蓄熱材料が挙げられる。なお、相変化蓄
熱材は、相変化による調温(潜熱)だけではなく、顕熱
による調温作用を有していてもよい。この場合、相変化
で対応できる熱量や温度の範囲では、一定温度で潜熱に
よる調温作用が発揮され、相変化では対応できなくなっ
たあとも、顕熱による調温作用で、ある程度の調温作用
を発揮することができる。
【0010】〔外気との接触〕相変化蓄熱材を外気と接
触させるには、固体または液体の相変化蓄熱材を直接に
外気と接触させることもできるが、その場合は、固体の
表面または液面だけしか外気と接触して熱の出入りに関
与できず、熱交換の効率が十分に上がらない場合があ
る。そこで、相変化蓄熱材と外気との熱交換が効率的に
行なわれるように、相変化蓄熱材の担持構造を工夫する
ことが望ましい。具体的には、相変化蓄熱材を、繊維質
基材や多孔質基材に担持させておくことができる。相変
化蓄熱材が相変化しても、基材から脱落したり流出し難
い材料や構造が好ましい。多孔質基材は、相変化時に相
変化蓄熱材の脱落や流出が起こり難く、外気の流通抵抗
が少なく、相変化蓄熱材の担持量も大きい。外気と相変
化蓄熱材との接触および熱交換が効率的に行なわれる。
【0011】相変化蓄熱材を担持する具体的材料とし
て、セラミック、発泡ガラス、発泡シリカ、ゼオライト
などの多孔質体が挙げられる。相変化蓄熱材の担持体の
形状は、外気との接触効率や流通抵抗などを考慮して適
切に設定することができる。具体的には、管状や格子
状、あるいは、多数の貫通孔が並べられたハニカム構造
などが採用できる。相変化蓄熱材の担持体を、小さな粒
塊状に形成しておき、粒塊状の担持体を、容器などに集
積あるいは充填しておくことができる。粒塊状の担持体
の形状は、球形のほか、多面体、柱状、燐片状あるいは
無定形のものも使用できる。担持体の粒径は、0.5〜
30mmの範囲が採用でき、1〜10mmがより好まし
い。
【0012】〔調 温〕外気の調温は、外気を相変化蓄
熱材と接触させたときに、相変化蓄熱材の相変化にとも
なう温熱または冷熱が外気に供給されることで果たされ
る。相変化蓄熱材の相変化温度に比べて高温の外気は、
相変化蓄熱材との接触で、相変化蓄熱材に生じる相変化
に伴ない、熱を奪われて冷却される。相変化蓄熱材の相
変化温度に比べて低温の外気は、相変化蓄熱材との接触
で、相変化蓄熱材の相変化に伴ない、熱が供給されて加
温される。その結果、外気は、相変化温度と同じ温度か
極めて近い狭い一定範囲の温度に調温されることにな
る。但し、外気と相変化蓄熱材との接触時間が短けれ
ば、外気は相変化温度まで調温されない場合もある。こ
の場合も、外気を直接に屋内空間に供給するよりは適温
に近い温度まで調温されることになる。
【0013】調温時における、相変化蓄熱材に対する外
気の通過速度は、熱交換が十分かつ効率的に行なわれる
ように設定する。本発明では、風速が小さな場合でも十
分に大きな熱交換性能が得られるのが特徴であるが、一
般には、面風速を毎秒数cm以上に保つことが望まし
い。 〔蓄 熱〕外気の調温を行なう前に、相変化蓄熱材に蓄
熱を行なっておく。蓄熱工程では、外気を、相変化蓄熱
材と接触させて相変化蓄熱材に蓄熱させたのち、再び屋
外空間へと排出する。外気が有する温熱あるいは冷熱が
相変化蓄熱材に蓄熱されることになる。
【0014】したがって、相変化蓄熱材の相状態によっ
て、相変化を起こさせるために必要な外気の温度条件が
違ってくる。例えば、液相から固相への相変化を起こさ
せるには、相変化温度よりも低温の外気が必要であり、
固相から液相への相変化を起こさせるには、相変化温度
よりも高温の外気が必要である。前記調温時と蓄熱時
で、相変化蓄熱材が逆方向の相変化を起こすことで、効
率的な熱利用が果たせる。外気の代わりに、屋内空間の
空気を利用することもできる。屋内空間には、調温され
た外気が供給されるが、屋内空間での居住者の活動や冷
暖房などの影響で、屋内空間の空気は、調温外気の温度
よりも上昇したり降下したりする。この温度差を利用す
れば、屋内空気で相変化蓄熱材に蓄熱を行なうことが可
能である。
【0015】蓄熱時における、相変化蓄熱材に対する空
気の通過速度も、前記調温時と同様に、熱交換が十分か
つ効率的に行なわれるように設定する。この場合も、前
記したように、風速が小さな場合でも十分に大きな熱交
換性能が得られるが、一般には、面風速を毎秒数cm以
上に保つことが望ましい。 〔調 湿〕室内空間に送り込む外気は、調温に加えて調
湿を行なっておくことができる。調湿とは、空気の湿度
を適切な状態に調整することを意味する。乾燥と加湿と
を含む概念である。
【0016】調湿は、調温の前に行なってもよいし、調
温の後に行なうこともできる。調温と調湿を同時に行な
うこともできる。通常は、外気を調湿してから調温した
ほうが効率的である。具体的な調湿手段としては、通常
の建築環境用の調湿装置や方法が採用できる。本発明と
組み合わせる調湿手段として、吸放湿性に優れた無機ま
たは有機の調湿材に外気を接触させる方法がある。調湿
材としては、珪質頁岩、シリカゲル、超吸水性ポリマ
ー、塩化カルシウム、ゼオライト、活性炭などが挙げら
れる。
【0017】これらの調湿材は、調温材と同様に、多孔
質基材などに担持させておくことができる。調湿手段を
蓄熱器に組み込んでおくにも便利である。 〔調温換気装置〕基本的には、相変化蓄熱材による調温
機能を果たす蓄熱器と、蓄熱器への外気の流通を制御す
る空気の流通経路や送風手段、流通切換手段などからな
る。蓄熱器以外の構造は、通常の換気装置や換気ダクト
などの構造や設備装置が利用できる。具体的な装置構造
として、屋外空間から屋内空間へと外気が流通する換気
路を備える。換気路の配置構造は、基本的には、通常の
換気ダクトや換気通路と同様でよい。
【0018】換気路のうち、外気を導入する部分の一端
は、屋外空間に連通させる。具体的には、建築物の外壁
や布基礎、屋根などに、ダクト状の換気導入路を開口し
ておくことができる。屋根裏空間や床下空間、壁内空間
などを換気路の一部として利用することもできる。この
場合、これらの空間が屋外空間と連通していれば、換気
ダクトなどが直接に屋外空間に開口している必要はな
い。換気路には、室内空間への連通構造も備えている。
具体的には、通常の建築物における換気口や換気吹き出
し口の構造が採用できる。室内空間への換気の吹き出し
口は、床面、壁面、天井面、柱面などに設置できる。
【0019】換気路の途中には、蓄熱器が配置される。
蓄熱器には相変化蓄熱材が収容される。換気路を流通す
る外気は、蓄熱器の内部で相変化蓄熱材と接触して、調
温作用を受ける。また、蓄熱器の相変化蓄熱材を外気と
の接触で蓄熱させる。蓄熱器のうち、外気の出口側は、
室内空間に連通する換気路の残りの部分すなわち屋内連
結路と排気路とに連通する。排気路は屋外空間に連通
し、蓄熱器を通過した外気を、屋外空間に排出すること
ができる。蓄熱器を通過した外気は、調温工程では屋内
空間に供給され、蓄熱工程では屋外空間に排出される。
このような外気の流れを切換制御するには、方向切換ダ
ンパなどの流れの切換手段を備えておく。切換手段は、
通常の換気設備などと同様に空気流を効率的に切換制御
できるダンパや弁などが使用される。切換手段の制御操
作は、屋内空間などから電気的に遠隔操作できるように
しておくのが好ましい。屋内空間および屋外空間に備え
た温度センサで取得された温度情報をもとに、切換手段
の切換動作を自動制御することもできる。
【0020】換気路として、必要に応じて、蓄熱器を経
由せずに、外気を直接に屋内空間に供給できる第2の屋
内連結路を備えておくことができる。具体的には、換気
路のうち、蓄熱器よりも上流側に、切換手段を介して、
室内空間に連通する第2の屋内連結路を設けておくこと
ができる。第2の屋内連結路およびその屋内空間への連
通個所の構造は、前記した蓄熱器の下流側で屋内空間に
連通する第1の屋内連結路と同様の構造が採用できる。
換気路を、床下空間に配置しておくことで、換気路と流
通する外気と、床下空間の内部温度との間で熱交換をさ
せて、調温することができる。この調温作用は、相変化
蓄熱材による調温ほどは効率的ではないが、相変化蓄熱
材による調温の補完あるいは補助として利用できる。こ
の場合、床下空間に設置される換気路の長さが長いほ
ど、調温作用を受け易い。
【0021】〔蓄熱器〕蓄熱器は、基本的には通常の機
械設備や熱システムにおける蓄熱機構と同様の技術が適
用できる。蓄熱器は、相変化蓄熱材を収容する容器構造
を備える。容器構造は、鋼材などの金属やプラスチック
などの樹脂で構成することができる。具体的な容器形状
として、円筒、多角筒、直方体などが挙げられる。容器
構造は、外気の出入り口などを除いて気密構造にしてお
く。外部との熱遮断を行なうために断熱材などの熱遮断
構造を備えておくことが望ましい。蓄熱器の内部におけ
る外気の流れをスムーズにしたり相変化蓄熱材との接触
効率を高めたりするための制御板や堰、仕切りなどを設
けておくこともできる。相変化蓄熱材の位置決めや移動
防止のための構造も設けられる。蓄熱器の内部温度を測
定する温度センサや外気の流量を検出する流量センサを
備えておくこともできる。
【0022】相変化蓄熱材の担持体は、予め蓄熱器の内
部形状に対応して成形加工しておくことができる。例え
ば、円筒状の内部形状に対応して円筒状の相変化蓄熱材
担持体を用意する。板状や棒状、管状さらには粒塊状の
相変化蓄熱材担持体を、容器構造の内部に押し込んだり
堆積させたりして詰め込むこともできる。蓄熱器には、
1種類の相変化蓄熱材だけを収容していても良いし、複
数種の相変化蓄熱材を別個の区画あるいは混在させて収
容しておくこともできる。例えば、相変化温度が異なる
複数種の相変化蓄熱材を組み合わせれば、調温により変
化させる温度の幅を大きくできたり、温度条件の異なる
外気にも対応させ易くなったり、蓄熱器の性能向上を図
ることができる。
【0023】蓄熱器は、外気が流通する換気路に対し
て、1基のみを設置しておくこともできるが、直列ある
いは並列に複数基の蓄熱器を設置しておくことができ
る。複数の蓄熱器は、同じ相変化蓄熱材を収容したもの
であってもよいし、相変化温度などの特性が相違する複
数種の相変化蓄熱材が収容された蓄熱器を組み合わせて
使用することもできる。相変化温度の違う蓄熱器を組み
合わせれば、温度環境の変化に対応させたり、調温条件
を変更したりすることが可能になる。 〔調湿機能付蓄熱器〕蓄熱器の内部に、相変化蓄熱材と
ともに調湿材を収容しておくことができる。
【0024】調湿材の収容形態は、前記した相変化蓄熱
材の収容形態と同様でよい。蓄熱器における外気の通過
経路において、調湿材と相変化蓄熱材あるいはそれらの
担持体は、何れを上流側に設置することもできるが、通
常は、調湿材が上流側に配置される。調湿材と相変化蓄
熱材とを並列的に配置したり、調湿材と相変化蓄熱材と
を混在させたりしておくこともできる。蓄熱器の本体に
対して、調湿材の収容構造だけをカセット式に着脱でき
るようにしたり、外気を調湿材の収容部に選択的に流通
できるようにしたりして、必要なときだけ、調湿機能を
発揮させることもできる。逆に、外気が、相変化蓄熱材
とは接触せずに調湿材だけと接触するように、外気の流
れを切換制御できるようにしておくこともできる。
【0025】勿論、蓄熱器とは別に、調湿材またはその
担持体を収容した調湿器を、前記換気路の一部に設置し
ておくこともできる。
【0026】
【発明の実施形態】図1に示す建築物は、調温換気装置
が床下空間14に設置されている。建築物10は、一般
住宅であり、外壁で囲まれた居住空間12と、居住空間
12の下方に設けられた床下空間14とを有する。本発
明で、調温あるいは調湿を行なう必要がある屋内空間と
は、居住空間12である。床下空間14は、屋内空間お
よび屋外空間の何れでもなく、換気装置の一部として機
能する 〔調温換気装置〕床下空間14には、蓄熱器20が設置
されている。図2に示すように、蓄熱器20は、断熱性
の優れた筒状容器22の内部に、相変化蓄熱材を多孔質
基材に担持した成形物からなる相変化蓄熱材担持体70
と、調湿材を多孔質基材に担持した成形物からなる調湿
材担持体80とを、軸方向に前後に並べて収容してい
る。筒状容器22の長さ方向で、相変化蓄熱材担持体7
0の占める割合のほうが調湿材担持体80よりも大きく
なっている。
【0027】図1に示すように、床下空間14には、蓄
熱器20と屋外空間とをつなぐ換気導入路32が設けら
れている。換気導入路32の材料や構造は、通常の換気
ダクトなどと同様である。屋外空間の外気は、換気導入
路32を経て蓄熱器20へと流入する。換気導入路32
の途中で蓄熱器20に至るまでの位置には、流体の流れ
方向を切り換えることのできる切換ダンパ34が設けら
れている。切換ダンパ34には、蓄熱器20に至る経路
との間で切換自在な別の経路として、第2室内連結路6
2が接続されている。第2室内連結路62は、床下空間
14から床面を貫通して居住空間12に開口している。
居住空間12への開口部分には送風ファン64が設置さ
れている。さらに、この切換ダンパ34には、屋外空間
に連通する補助換気導入路35も接続されている。
【0028】蓄熱器20の出口側(図1,2の右側)に
は、排気路42が接続されている。排気路42は、建築
物10の外壁で屋外空間に開口している。屋外空間への
開口部分には送風ファン46が設置されている。排気路
42の途中にも切換ダンパ34が取り付けられている。
切換ダンパ44には、居住空間12に開口する別の室内
連結路すなわち第1室内連結路52が接続されている。
第1室内連結路52の開口部分にも送風ファン54が設
置されている。 〔調温換気工程〕図1に矢印で示す経路を経て、外気を
調温してから居住空間12に送り込む。
【0029】換気導入路32に取り込まれた外気は、切
換ダンパ34の切換設定によって、蓄熱器20のほうへ
と送り込まれる。図2に示すように、蓄熱器20に入っ
た外気は、まず、調湿材担持体80を通過することで、
湿気を除去されたり水分を補給されたりして、適度な湿
度に調整される。次に、外気は相変化蓄熱材担持体70
と接触して、相変化蓄熱材が有する温熱または冷熱を受
け取り、ほぼ相変化温度に等しい温度に調整される。な
お、相変化蓄熱材には、後述する蓄熱工程で予め、温熱
または冷熱が蓄熱されている。
【0030】温度および湿度が調整された外気は、蓄熱
器20を出て排気路42に送られ、切換ダンパ44の切
換設定によって、第1室内連結路52を経て、居住空間
12に供給される。第1室内連結路52の送風ファン5
4を作動させることで、換気導入路32から蓄熱器2
0、排気路42、第1室内連結路52へと外気を強制的
に流通させることができる。第2室内連結路62の送風
ファン64は作動を止めておき、切換ダンパ34では、
補助換気導入路35から第2室内連結路62へ、直接に
外気が流れ込まないようにしておく。
【0031】居住空間12には、温度および湿度が調整
された新鮮な外気が供給され、居住空間12の居住環境
は良好に維持される。なお、居住空間12に外気が供給
されるのに合わせて、居住空間12の汚れた空気は、窓
などの開口や換気口から屋外空間に排出される。この居
住空間12の排気は、自然の流通で行っても良いし、強
制送風で行なっても良い。 〔蓄熱工程〕図3に矢印で示す経路を経て外気を流通さ
せることで、相変化蓄熱材に蓄熱を行なう。
【0032】換気導入路32に取り込まれた外気は、切
換ダンパ34の切換設定によって、蓄熱器20のほうへ
流通する。調温換気工程と同様に、外気は、まず、調湿
材担持体80を通過することで、調湿材に過剰に溜まっ
た水分を外気に移行させたり、過剰に乾燥した調湿材に
水分を供給したりすることができる。次に、外気を相変
化蓄熱材担持体70と接触させることで、相変化蓄熱材
と外気との間で熱交換が行われ、相変化蓄熱材の相変化
による蓄熱が行なわれる。具体的には、相変化蓄熱材が
液相である場合、相変化温度よりも低温の外気を供給す
ることで、相変化蓄熱材を固相に相変化させる。固相状
態の相変化蓄熱材は、調温工程では、相変化温度よりも
高温の外気を冷却して調温する機能が発揮できる。
【0033】固相の相変化蓄熱材に、相変化温度よりも
高温の外気を接触させて、液相に相変化させておくと、
その後の調温工程では、相変化温度よりも低温の外気を
加温して調温する機能が発揮できる。相変化蓄熱材に温
熱または冷熱を与えた外気は、蓄熱器20を出て排気路
42に送られ、切換ダンパ44の切換設定によって、排
気路42の末端から屋外空間に排出される。排気路42
の送風ファンを作動させることで、換気導入路32から
蓄熱器20、排気路42へと外気を強制的に流通させる
ことができる。なお、切換ダンパ34の切換設定および
送風ファン64の作動によって、補助換気導入路35か
ら取り込まれた外気を、第2室内連結路62から居住空
間12へと直接に流入させれば、蓄熱工程の間も、居住
空間12の換気を行なうことができる。必要であれば、
窓などによる自然流通、壁取り付け換気扇による強制換
気などで換気を行なってもよい。
【0034】〔相変化調温なしの換気〕図4に示すよう
に、相変化蓄熱材による調温換気の必要がない環境条件
の場合には、蓄熱器20を使用しない換気も行なえる。
すなわち、換気導入路32に取り込んだ外気を、切換ダ
ンパ34から直接、第2室内連結路62を経て居住空間
12に供給する。居住空間12の空気は、第1室内連結
路52を前工程とは逆に流通して、切換ダンパ34から
排気路42に入り、屋外空間に排出される。第2室内連
結路62の送風ファン64、排気路42の送風ファン4
2を作動させれば、上記した外気の流れを強制的に作り
出すことができる。第1室内連結路52の送風ファン5
4も、前工程とは逆回転させれば、強制的な排気流を作
り出すのに有効である。
【0035】この換気工程では、相変化蓄熱材による調
温作用は機能しないが、床下空間14による調温作用が
期待できる。床下空間14は、気象条件や昼夜の別に関
わらず、比較的に一定の温度範囲に維持されている。そ
のため、外気は、換気導入路32から第2室内連結路6
2への比較的に長い距離にわたって床下空間14を通過
する間に、適度な温度に調整されてから、居住空間12
へと送り込まれる。したがって、相変化蓄熱材による高
度な調温機能が不要である場合、蓄熱器20の点検や交
換、修理などを行う場合にも、床下空間14による、あ
る程度の調温機能を発揮させて、居住空間12の温度環
境が極端に低下しないようにすることができる。
【0036】〔循環調温工程〕図5に矢印で示すよう
に、外気の取り込みを行なわずに、室内空気の調温だけ
を行なうこともできる。居住空間12の空気を、第2室
内連結路62に取り込む。前工程とは逆方向に空気が流
れ、切換ダンパ34の切換設定で、空気は蓄熱器20に
送られる。蓄熱器20では、空気が、調湿材担持体80
による調湿作用、相変化蓄熱材担持体70による調温作
用を受ける。蓄熱器20を出た空気は、排気路42、切
換ダンパ44および第1室内連結路52を経て、再び居
住空間12に戻される。
【0037】その結果、居住空間12には、温度および
湿度が調整された空気が常に循環していることになり、
居住空間12の居住環境を良好に維持することができ
る。 〔複数の工程の組み合わせ〕前記した各工程を適宜に組
み合わせて、それぞれの機能を複合的に発揮させること
もできる。例えば、図1の調温換気工程で、居住空間1
2の空気を、換気導入路32から蓄熱器20に送れば、
外気の供給に加えて、居住空間12の空気の一部を循環
させて、調温および調湿を行うことができる。外気に室
内空気を混合することで、ある程度までの調温・調湿が
行なわれるので、蓄熱器20の負担を軽減することがで
きる。
【0038】図3の蓄熱工程で、蓄熱器20からでた外
気の一部を切換ダンパ44から第1室内連結路52を経
て居住空間12に供給することもできる。上記何れの場
合も、切換ダンパ44では、入力流を2方向の出力流に
分割する切換状態が設定できるようにしておく。 〔調温制御の具体例〕 <夏季の外気冷却>夏季は、昼間の外気温度が高く、外
気をそのまま居住空間12に送り込むと、居住者に不快
な思いをさせる。また、居住空間12を冷房している場
合、換気によって室内温度が上昇し、冷房の効果が損な
われる。但し、夏季においても、夜間には外気温度が下
がる。
【0039】そこで、相変化蓄熱材の相変化温度を、例
えば、26℃に設定しておく。外気温が26℃以下に下
がる夜間に、図3に示す蓄熱工程を実行する。26℃以
下の外気が蓄熱器20に導入されると、外気と接触した
相変化蓄熱材は、液相から固相へと相変化を起こす。そ
の結果、固相に転移した相変化蓄熱材には冷熱が蓄えら
れる。朝になって日射が強くなり、外気温が26℃を超
えると、図1に示す調温工程を実行する。外気が蓄熱器
20に導入されると、26℃を超える外気で相変化蓄熱
材が相変化を起こすが、相変化が完了するまでは、相変
化蓄熱材の温度は相変化温度を超えることはない。した
がって、外気は相変化蓄熱材との接触で冷却される。外
気の温度は、ほぼ26℃になってから、居住空間12へ
と供給される。
【0040】居住空間12は、常に約26℃の新鮮な外
気で換気され、居住者に快適な環境を与える。居住空間
12が、例えば26℃以下に冷房されている場合でも、
真昼の30℃を大きく超えるような外気を直接に居住空
間12に送り込むのに比べると、換気による冷房効果の
低下が防止され、冷房装置の負担も軽減される。この場
合、昼間における相変化蓄熱材から外気への供給冷熱量
が、夜間に相変化蓄熱材に蓄えられる冷熱量を超えない
限り、昼夜における蓄熱工程と調温工程との繰り返しに
よって、居住空間12は常に快適な温度環境に維持され
ることになる。
【0041】蓄熱器20に調湿材が収容されている場合
は、一般的に湿気が多い夏季の外気から過剰な水分を除
去して、湿気の少ない外気で換気を行なうことができ
る。勿論、外気が乾燥し過ぎているときには、調湿材か
ら適度な湿気が供給される。 <冬季の外気加温>冬季は、夜間の外気温が低下するの
で、外気をそのまま居住空間12に送り込むと、居住者
に冷たい思いをさせる。また、居住空間12を暖房して
いる場合、換気によって室内温度が下降し、暖房の効果
が損なわれる。但し、冬季においても、日照のある昼間
には外気温度は、ある程度まで上がる。
【0042】この場合、相変化蓄熱材の相変化温度を、
例えば、15℃に設定する。外気温が15℃以上に上が
る昼間に、図3に示す蓄熱工程を実行する。15℃以上
の外気が蓄熱器20に導入されると、相変化蓄熱材は、
固相から液相へと相変化を起こす。その結果、相変化蓄
熱材には温熱が蓄えられる。なお、居住空間12が暖房
されている場合、暖房によって昇温した室内空気の一部
を、第2室内連結路62から蓄熱器20に送り込み、第
1室内連結路52から居住空間12に戻すようにする
と、相変化蓄熱材に比較的に高温の空気を送って、相変
化蓄熱材の蓄熱量を増大させることができる。この場
合、相変化温度が比較的に高く設定されていても、相変
化による蓄熱が行なえる。
【0043】夕方から夜になって、外気温が15℃より
も下がると、図1に示す調温工程を実行する。外気が蓄
熱器20に導入されると、15℃未満の外気で相変化蓄
熱材が相変化を起こすが、相変化が完了するまでは、相
変化蓄熱材の温度は相変化温度を下回ることはない。し
たがって、外気は相変化蓄熱材との接触で加温される。
外気の温度はほぼ15℃になってから、居住空間12へ
と供給される。居住空間12は、常に約15℃の新鮮な
外気で換気され、居住者に快適な環境を与える。居住空
間12が、例えば15℃以上に暖房されている場合で
も、夜間の15℃を大きく下回るような冷気を直接に居
住空間12に送り込むのに比べると、換気による暖房効
果の低下および暖房装置への負担が軽減される。
【0044】蓄熱器20に導入する外気を、一旦、屋外
空間から床下空間に導入してから蓄熱器20に送るよう
にすると、屋外の低温外気が床下空間である程度まで温
められてから蓄熱器20に送られるので、蓄熱器20に
蓄えられた温熱を有効に利用することができる。通常、
床下空間は、10℃前後を維持するので、温度5℃の外
気を床下空間で10℃に温めてから蓄熱器20に送り込
めば、相変化蓄熱材は10℃から15℃までの昇温に要
する熱エネルギーを供給するだけで済む。 <常時調温換気>昼間、夜間に関わらず、図1に示す居
住空間12への外気の取り込みによる換気を、継続して
行なうことができる。
【0045】この場合、蓄熱器20に収容された相変化
蓄熱材の相変化温度を境界点にして、相変化温度よりも
高温の外気は相変化温度まで冷却されてから居住空間1
2に供給され、相変化温度よりも低温の外気は相変化温
度まで加温されてから居住空間12に供給されることに
なる。建築物10の温度環境において、前記相変化温度
が、環境温度の変化範囲に対して丁度中間の温度程度で
あり、相変化温度を上回る時間と下回る時間とがほぼ同
程度であるというような条件に設定できれば、相変化蓄
熱材における冷熱と温熱の出入りがほぼ相殺されること
になる。その結果、調温工程と蓄熱工程との切り換えを
行なわなくても、居住空間12の温度は、継続的に相変
化温度付近に維持されることになる。
【0046】したがって、このような換気方法を適用す
るには、建築物10の温度環境を十分に検討した上、適
切な相変化温度特性を有する相変化蓄熱材を選択するこ
とが重要である。 <蓄熱器の切換>図6に示す調温換気装置は、2基の蓄
熱器20を切換運転する。建築物10の床下空間14に
は、各部材に付けた番号のうち添え字の英記号で区別さ
れるA系統およびB系統の2系統の換気系統を備える。
各換気系統A、Bは、蓄熱器20A、20Bと、屋外空
間と蓄熱器20A、20Bとを連通させる換気導入路3
2A、32Bと、蓄熱器20A、20Bと居住空間12
とを連通させる室内連結路52A、52Bとを備える。
換気導入路32A、32Bには、正逆切換自在な送風フ
ァン34A、34Bを備え、室内連結路52A、52B
にも正逆切換自在な送風ファン54A、54Bを備えて
いる。
【0047】図6では、まず、換気系統Bで前記した調
温工程を行なう。換気導入路32Bから取り込んだ外気
を、蓄熱器20Bで調温し、室内連結路52Bから居住
空間12に送り込む。換気系統Aでは、排気工程が行わ
れている。居住空間12の空気を、室内連結路52Aか
ら蓄熱器20Aを通過させ、換気導入路32Aを経て、
屋外空間に排出する。このとき、居住空間12の空気が
有する温熱または冷熱を、蓄熱器20Aの相変化蓄熱材
に受け渡すことができる。前記した蓄熱工程と同様の作
用が行なわれる。
【0048】調温工程を実行している換気系統Bで、蓄
熱器20Bに蓄えられていた温熱または冷熱が少なくな
ると、送風ファン32B、54Bを切り換えて、空気の
流れを逆方向にし、前記した排気工程を実行する。それ
と同時に、排気工程を実行していた換気系統Aでは、送
風ファン32B、54Aを切り換えて、空気の流れを逆
方向にし、今度は調温工程を実行する。蓄熱器20Aに
は、排気工程で蓄熱された温熱または冷熱が十分にある
ので、居住空間12に送り込む外気の調温が良好に維持
できる。2つの換気系統A、Bを、調温工程と排気工程
とに交互に切り換えて動作させることで、蓄熱器20
A、Bの相変化蓄熱材は、逆方向の相変化による放熱と
蓄熱とを交互に繰り返し、居住空間12に送り込む外気
を常に適切な調温状態に持つことができる。
【0049】具体的な調温制御の条件として、冬季にお
ける調温作用を説明する。外気の温度は5℃とする。蓄
熱器20A、Bの相変化蓄熱材の相変化温度を約20℃
に設定しておく。調温工程では、5℃の外気を18〜1
9℃程度まで温めて、居住空間12に送り込む。排気工
程では、居住空間12での居住者の活動や暖房によって
20℃を超える空気から、蓄熱器20の相変化蓄熱材に
熱を移行させ、20℃以下になった空気が屋外空間に排
気される。このような条件で稼動させれば、継続的に調
温と蓄熱とを効率的に繰り返すことができ、居住空間1
2には常に適切に調温された外気が供給される。
【0050】上記実施形態では、昼と夜という1日の温
度差をもとに調温工程と蓄熱工程とを切り換える方法に
比べて、蓄熱器20の熱容量が小さくて済む。1日分の
調温工程で消費する温熱または冷熱を溜めておく蓄熱器
20はかなり大型化になるが、前記調温工程と排気工程
とを繰り返す方法では、1サイクル毎の調温工程および
排気工程の時間を短く設定することができるのである。
一つの蓄熱器20の熱容量が少なくて、長時間の調温工
程が実施できない条件でも、十分に対応することが可能
になる。例えば、10分間隔で調温工程と排気工程とを
繰り返すような制御が可能でなる。蓄熱器20を大幅に
小型化できることになる。
【0051】なお、温度環境によっては、調温工程と排
気工程とで、熱交換が良好に行なうのに適した温度に差
があり、1種類の相変化蓄熱材で両方の工程を最適化す
ることが難しい場合がある。この場合には、後述するよ
うな、相変化温度が異なる複数の相変化蓄熱材を組み合
わせた蓄熱器20を使用することが望ましい。 〔粒塊状蓄熱材担持体の使用〕図7に示す実施形態は、
粒塊状の相変化蓄熱材担持体を使用する。蓄熱器20の
筒状容器22には、粒塊状蓄熱材担持体72と粒塊状調
湿材担持体82とが、前後に区画された領域に分けて充
填されている。
【0052】粒塊状蓄熱材担持体72は、セラミックな
どの多孔質材料に相変化蓄熱材を担持させ、粉砕するこ
となどによって所定の粒径に調整したものである。粒塊
状調湿材担持体82も、セラミックなどの多孔質材料に
調湿材を担持させて、粉砕などで所定粒径に調整してい
る。このような粒塊状の蓄熱材担持体72は、外気と接
触できる表面積が大きく、通気抵抗も少ないので、効率
的な調温作用が発揮できる。筒状容器22の形状に関わ
らず、必要量だけの相変化蓄熱材を収容することがで
き、調温機能の調整も容易である。
【0053】粒塊状相変化蓄熱材担持体72の具体例と
して、RUBITHERM Gmbh社製の蓄熱材製品
GR25が挙げられる。この製品は、パラフィン系有機
物を粒径が1〜3mmの粒状セラミックに担持させたも
のであり、重量組成は、セラミック67%にパラフィン
33%となっている。かさ密度0.78g/cm3で間
隙率42.8%となり、融点23.5℃、凝固点25.
0℃、潜熱量43kJ/kg、15℃での熱伝導率0.
13W/(m・K)の性状を示す。 〔相変化特性の異なる蓄熱材の組み合わせ〕図8に示す
実施形態は、一つの蓄熱器20に相変化特性の異なる複
数種の相変化蓄熱材を収容しておく。
【0054】蓄熱器20は前後方向に4区画に分割され
ている。各区画にはそれぞれ別の相変化蓄熱材担持体7
0a〜70dが収容されている。各相変化蓄熱材担持体
70a〜70dの相変化温度は、70aから70dへと
段階的に高く設定されている。例えば、相変化蓄熱材担
持体70a=10℃、相変化蓄熱材担持体70b=14
℃、相変化蓄熱材担持体70c=17℃、相変化蓄熱材
担持体70c=20℃などと設定する。このような蓄熱
器20を用いて、図1に示す調温工程を行う場合を想定
する。外気温は5℃とする。
【0055】5℃の外気は、蓄熱器20で、相変化蓄熱
材担持体70a(相変化温度10℃)と接触して、10
℃程度まで調温される。つづいて、相変化蓄熱材担持体
70b(相変化温度14℃)、相変化蓄熱材担持体70
c(相変化温度17℃)、相変化蓄熱材担持体70d
(相変化温度20℃)に順次接触することで、段階的に
加温され、最終的には20℃程度に調温される。この実
施形態では、外気の温度と最終的に調温する温度との差
を、非常に大きく取ることができる。また、個々の相変
化蓄熱材担持体70a〜70dについては、比較的に狭
い温度範囲で加温または冷却するだけでよいので、比較
的に安価で入手し易い相変化蓄熱材の材料を使用するこ
とが可能になる。各相変化蓄熱材担持体70a〜70d
は最も効率的に熱交換ができる相変化温度の近くで動作
させるので、全体としての蓄熱器20の熱交換効率は極
めて高くなる。
【0056】蓄熱器20に収容する相変化温度の違う相
変化蓄熱材担持体70a〜70dの数、あるいは、段階
的な相変化の段数を増やすほど、効率的な熱交換が可能
であるが、段数が増えるにつれ、細かく相変化温度を変
えた相変化蓄熱材を用意する手間が増え、製造が面倒に
なる。通常は、2段から10段まで程度で実施でき、5
段程度が実用的である。隣接する段の相変化温度の差
は、1〜20℃の範囲で設定でき、2℃程度が実用的で
ある。上記実施形態の蓄熱器20は、蓄熱工程でも、外
気が有する温熱あるいは冷熱を効率的に取り込むことが
できる。外気温が変動しても、蓄熱効率を良好に維持す
ることができる。
【0057】さらに、上記実施形態の蓄熱器20は、前
記図6の実施形態で排気工程に使用することも勿論可能
である。この場合も、比較的高温の室内空気から複数段
階を経て効率的に大量の熱を取り戻すことができ、熱エ
ネルギーの有効利用が図れる。
【0058】
【発明の効果】本発明にかかる調温換気方法および装置
は、外気を相変化蓄熱材と接触させて調温してから屋内
空間に供給する工程と、外気または屋内空気を相変化蓄
熱材と接触させてから排気することで相変化蓄熱材に蓄
熱を行なう工程とを、屋内温度と外気温との差などの温
度環境条件によって適切に切り換えるだけで、屋内空間
の温度環境を快適に維持することができる。冷暖房装置
などを用いて調温するのに比べて、はるかに設備が簡単
になり、消費エネルギーや稼動コストが大幅に削減でき
る。複雑な作動構造設備がないので保守管理も容易であ
り、長期間にわたって安定した性能が発揮できる。
【0059】特に、相変化蓄熱材では、相変化による調
温作用が行なわれている間は、相変化蓄熱材の温度は変
わらずに効率的な熱交換が行なわれるので、外気を相変
化温度とほぼ同じ温度に、自動的に調温することができ
る。複雑な温度制御回路や温調装置を使用しなくても、
確実かつ効率的に正確な調温が達成できる。また、調湿
材と組み合わせて、調温および調湿の両方の機能を良好
に発揮させるのも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す調温換気装置の全体
構成図
【図2】 蓄熱器の拡大断面図
【図3】 別の工程状態を表す全体構成図
【図4】 別の工程状態を表す全体構成図
【図5】 別の工程状態を表す全体構成図
【図6】 調温換気装置の別の実施形態を表す全体構成
【図7】 蓄熱器の別の実施形態を表す拡大断面図
【図8】 蓄熱器の別の実施形態を表す拡大断面図
【符号の説明】
10 住宅 12 室内空間 14 床下空間 20 蓄熱器 32 屋外連結路 34、44 切換ダンパ 46、54、64 送風ファン 42 排気路 52、62 室内連結路 70 相変化蓄熱材担持体 80 調湿材担持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 持田 徹 北海道札幌市豊平区福住3−2−1−15− 302 (72)発明者 嶋倉 一實 北海道札幌市西区発寒2−1−2−1 (72)発明者 武田 清香 北海道札幌市南区真駒内南町5−4−3 (72)発明者 吉田 繁夫 大阪府豊中市新千里西町1丁目1番4号 ナショナル住宅産業株式会社内 Fターム(参考) 3L054 BG10 BH07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建築物の屋外空間から屋内空間へと外気を
    取り込む換気方法であって、 前記屋外空間から屋内空間への外気の取り込み経路中
    で、外気を相変化蓄熱材と接触させて外気を調温し、調
    温された外気を屋内空間へ供給する工程(a)と、 前記屋外空間から取り込まれた外気または屋内空間の空
    気を、前記相変化蓄熱材と接触させて相変化蓄熱材に蓄
    熱させたのち、屋外空間へと排出する工程(b)とを含む
    調温換気方法。
  2. 【請求項2】前記工程(a)が、前記外気を調湿材にも接
    触させて外気を調湿し、調湿された外気を屋内空間へ供
    給し、 前記工程(b)が、前記外気を、調湿材にも接触させて調
    湿材の水分含量を調整したのち、屋外空間へと排出する
    請求項1に記載の調温換気方法。
  3. 【請求項3】さらに、前記屋内空間の空気を、前記相変
    化蓄熱材と接触させて屋内空気を調温し、調温された屋
    内空気を再び屋内空間へと戻す工程(c)を含む請求項1
    または2に記載の調温換気方法。
  4. 【請求項4】建築物の屋外空間から屋内空間へと外気を
    取り込む換気装置であって、 前記屋外空間から屋内空間へと外気が流通する換気路
    と、 前記換気路の途中に配置され、相変化蓄熱材が収容さ
    れ、前記外気が相変化蓄熱材と接触して流通する蓄熱器
    と、 前記蓄熱器のうち、前記外気の出口側と前記屋外空間と
    を連通させる排気路と、 前記蓄熱器の外気の出口側を、前記屋外空間に連通する
    状態と、前記屋外空間に連通する状態とに選択的に切り
    換える切換手段とを備える調温換気装置。
  5. 【請求項5】前記蓄熱器が、前記相変化蓄熱材を担持す
    る多孔質基材をさらに有する請求項4に記載の調温換気
    装置。
  6. 【請求項6】前記蓄熱器が、前記相変化蓄熱材に加えて
    さらに調湿材を収容する請求項4または5に記載の調温
    換気装置。
  7. 【請求項7】前記換気路から分岐され、蓄熱器を経由せ
    ずに屋内空間へと連通する屋内連結路と、 前記換気路が、前記蓄熱器に連通する状態と、前記屋内
    連結路に連通する状態とを選択的に切り換える切換手段
    とをさらに備える請求項4〜6の何れかに記載の調温換
    気装置。
JP2002133148A 2002-05-08 2002-05-08 調温換気方法および装置 Pending JP2003329270A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002133148A JP2003329270A (ja) 2002-05-08 2002-05-08 調温換気方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002133148A JP2003329270A (ja) 2002-05-08 2002-05-08 調温換気方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003329270A true JP2003329270A (ja) 2003-11-19

Family

ID=29696302

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002133148A Pending JP2003329270A (ja) 2002-05-08 2002-05-08 調温換気方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003329270A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002955A (ja) * 2004-06-15 2006-01-05 Sanyo Electric Co Ltd 空気調和装置
JP2006328143A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Hitachi Chem Co Ltd 蓄熱材及びその製造方法
JP2008281252A (ja) * 2007-05-09 2008-11-20 Mitsui Home Co Ltd 換気システム
JP2009511848A (ja) * 2005-10-10 2009-03-19 エムジー イノベーションズ コーポレーション 相変化物質熱交換器
JP2013113463A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Passiv Energie Japan Inc 蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニット
JP2013242108A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Nippon Jukankyo Kk 室内換気システム
JP2016057029A (ja) * 2014-09-11 2016-04-21 白川 利久 局所乾燥冷却換気扇
JP2017227397A (ja) * 2016-06-23 2017-12-28 パナホーム株式会社 調湿システム
KR20180027657A (ko) * 2016-09-05 2018-03-15 한온시스템 주식회사 이동형 공조장치
KR101967119B1 (ko) * 2018-12-27 2019-04-09 에이치엘비생명과학(주) 열택배 공급 장치 및 열택배 공급 시스템
CN114484667A (zh) * 2022-01-19 2022-05-13 新疆兵团城建集团有限公司 一种绿色节能的建筑通风用装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5731742A (en) * 1980-08-05 1982-02-20 Iwao Yanase Method and device for cooling and heating
JPH0960981A (ja) * 1995-08-25 1997-03-04 Misawa Homes Co Ltd 建物の暖房装置
JP2002089863A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 National House Industrial Co Ltd 蓄熱床構造

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5731742A (en) * 1980-08-05 1982-02-20 Iwao Yanase Method and device for cooling and heating
JPH0960981A (ja) * 1995-08-25 1997-03-04 Misawa Homes Co Ltd 建物の暖房装置
JP2002089863A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 National House Industrial Co Ltd 蓄熱床構造

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002955A (ja) * 2004-06-15 2006-01-05 Sanyo Electric Co Ltd 空気調和装置
JP2006328143A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Hitachi Chem Co Ltd 蓄熱材及びその製造方法
JP2009511848A (ja) * 2005-10-10 2009-03-19 エムジー イノベーションズ コーポレーション 相変化物質熱交換器
JP2008281252A (ja) * 2007-05-09 2008-11-20 Mitsui Home Co Ltd 換気システム
JP2013113463A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Passiv Energie Japan Inc 蓄熱エレメント及びそれを用いた換気ユニット
JP2013242108A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Nippon Jukankyo Kk 室内換気システム
JP2016057029A (ja) * 2014-09-11 2016-04-21 白川 利久 局所乾燥冷却換気扇
JP2017227397A (ja) * 2016-06-23 2017-12-28 パナホーム株式会社 調湿システム
KR20180027657A (ko) * 2016-09-05 2018-03-15 한온시스템 주식회사 이동형 공조장치
KR102483698B1 (ko) * 2016-09-05 2023-01-03 한온시스템 주식회사 이동형 공조장치
KR101967119B1 (ko) * 2018-12-27 2019-04-09 에이치엘비생명과학(주) 열택배 공급 장치 및 열택배 공급 시스템
CN114484667A (zh) * 2022-01-19 2022-05-13 新疆兵团城建集团有限公司 一种绿色节能的建筑通风用装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ma et al. A review of heating, ventilation and air conditioning technologies and innovations used in solar-powered net zero energy Solar Decathlon houses
CN112020388B (zh) 利用湿度波动来冷却、加热及稳定湿度
JP7038551B2 (ja) 湿度変動からのエネルギーの収穫
Hauer Thermal energy storage with zeolite for heating and cooling applications
JP2003329270A (ja) 調温換気方法および装置
KR20070054230A (ko) 환기 장치 및 건물
Lee et al. Housing design methodology for passive hygrothermal control and effect verification via field measurements
JPH0960981A (ja) 建物の暖房装置
JP2004197974A (ja) 住宅の空調装置および空調方法
JP2524299B2 (ja) ソ―ラ―システムハウスのハンドリングボックス
JP4524348B1 (ja) 省エネルギー換気システム
US20140260003A1 (en) Wall structure
JP2003083656A (ja) 冷房装置
JP4341848B2 (ja) 空気集熱式ソーラー除湿涼房システム
Nagano Development of the PCM floor supply air-conditioning system
US4702227A (en) Solar energy collector and system
JPH0961006A (ja) 建物の冷房装置
JPH0555781B2 (ja)
Chen et al. Development of an intelligent envelope system with energy recovery ventilation for passive dehumidification in summer and solar collection in winter
Barzin et al. Application of PCM Energy Storage in Combination with Night Ventilation for Space Cooling
Mizuno et al. A study on desiccant system regenerated by waste heat from home-use solid oxide fuel cell cogeneration system
GB2541634A (en) Device for local ventilation with recovery of heat and humidity
Paul et al. Mathematical Model Development of a Solar Assisted Liquid Desiccant Air Conditioning System with Fin Coil Dehumidifier
JPH05340599A (ja) 住宅における空調装置
Catalina et al. Impact of moisture buffering on energy performance of cooling ceilings

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071009

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080325