JP2003328047A - 溶融金属の精錬方法 - Google Patents
溶融金属の精錬方法Info
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Abstract
率を高める精錬方法の提供。 【解決手段】溶融金属13中に浸漬管11を浸漬し、浸漬管
内の溶融金属上部の雰囲気圧力を増減させることによ
り、浸漬管内への溶融金属の吸込みと浸漬管内からの溶
融金属の吐出を交互に行う精錬方法であって、浸漬管に
旋回流付与手段21を配置し、吐出される溶融金属に管内
の周方向の流動を付与すると共に、浸漬管内の溶融金属
中にガスを供給する溶融金属の精錬方法。溶融金属を吐
出する際の浸漬管内の圧力変化速度は100kPa/s以上とす
ることが好ましい。旋回流付与手段の直径と長さの比は
0.5〜5とすることが好ましい。
Description
物の低減、脱ガス反応の促進およびスラグ−メタル間反
応の促進などを効率的に行うことが可能な溶融金属の精
錬方法に関する。
として、溶融金属中にガスを吹き込んで溶融金属中に気
泡を生成させ、介在物をこの気泡で捕捉して浮上させ除
去する方法、溶融金属の脱ガス反応を促進する方法、ま
たは脱りんや脱硫のスラグメタル反応を促進させる方法
が知られている。そして、気泡をより微細にすること、
および気泡を溶融金属中に広く分散させることが、溶融
金属の脱ガス反応の促進、スラグ−メタル間反応の促進
または微小介在物の浮上除去に有効であることが知られ
ている。
いて、溶融金属中に微細な気泡を生成させる方法や気泡
を分散させる方法について、例えば、下記の方法が提案
されている。
孔性耐火物からなる吹き込みプラグを用いた気泡の発生
方法について、耐火物稼働面の単位面積当たりのガス吹
き込み量を所定量以下とするガス吹き込み方法が開示さ
れいる。ガス吹き込み量を所定量以下とすることによ
り、微細気泡の生成が可能であるとされている。
孔質耐火物で形成されたガス吐出部を先端部に備えるバ
ブリングランスを用い、バブリングランスを溶鋼内で回
転させながらガスを吹き込む方法が開示されている。バ
ブリングンスの回転によって、多孔質耐火物稼働面から
の気泡の離脱が促され、微細な気泡の生成が可能であ
り、気泡が上昇する際に、バブリングランスの周りに螺
旋状に付着するため、気泡の合体が起こりにくく、微細
気泡が維持されるとされている。
下の問題点がある。
れた方法は、多孔質の耐火物を用いているが、溶鋼と耐
火物との濡れ性が小さいため、各孔から生じた気泡が耐
火物表面を覆うように成長し、耐火物稼働面から離脱す
る前に容易に合体する。同公報に開示された方法では、
例えば直径が10mm以下の微細な気泡を溶融金属中に
生成させることは困難である。
れた方法においては、生成した気泡は螺旋状の経路をた
どるとはいえ、バブリングランスの周囲を上昇して速や
かに溶鋼表面に到達し、そこで消滅するため、気泡を溶
融金属中に広く分散させることは困難である。したがっ
て、気泡により介在物を捕捉する頻度が小さくなり、介
在物を浮上除去する効果が小さくなる。
の問題を解決し、溶融金属中の介在物除去、脱ガス反応
およびスラグメタル反応などを促進させることができる
溶融金属の精錬方法を提供することにある。
題を達成するため、溶融金属中に浸漬管を浸漬したこと
をシミュレートする水モデル試験により、気泡の微細化
方法について検討を加え、以下の知見を得た。 (a)浸漬管内の加圧工程において浸漬管内に形成され
る溶融金属の下降流中にガスを吹き込むことにより微細
な気泡が形成され、この気泡が浸漬管から吐出される溶
融金属に随伴し、溶融金属浴中に広く分散される。
合には、浸漬管から吐出された気泡は一層広く溶融金属
浴中に分散される。 (c)溶融金属を吐出する際の浸漬管内の溶融金属上部
の雰囲気圧力の変化速度が100kPa/s以上になる
と、平均気泡径は著しく小さくなる。 (d)浸漬管内部に設けられる旋回流付与手段の直径D
と旋回流付与手段の長さLとの比、D/Lの値が0.5
〜5のときに、介在物除去率ηが高い値となる。
づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の
(1)〜(3)に示す溶鋼の精錬方法にある。
管内の溶融金属上部の雰囲気圧力を増減させることによ
り、浸漬管内への溶融金属の吸込みと浸漬管内からの溶
融金属の吐出を交互に行う溶融金属の精錬方法であっ
て、溶融金属の通過する浸漬管に旋回流付与手段を配置
し、吐出される溶融金属に浸漬管内の周方向に流動を付
与すると共に、浸漬管内の溶融金属中にガスを供給する
ことを特徴とする溶融金属の精錬方法。 (2)前記(1)に記載の溶融金属の精錬方法におい
て、溶融金属を吐出する際の浸漬管内の溶融金属上部の
雰囲気圧力の変化速度は、100kPa/s以上である
ことが好ましい。 (3)前記(1)または(2)に記載の溶融金属の精錬
方法において、浸漬管内に配置された旋回流付与手段の
直径Dと旋回流付与手段の長さLとの比、D/Lの値
は、0.5〜5であることが好ましい。
漬管内の基準圧力に対して加圧することにより圧力が上
昇することを意味し、大気圧力に対して加圧する場合に
限定されるものではない。「加圧工程」とは、前記の加
圧により浸漬管内の溶融金属の浴面が下降する工程を意
味する。また、後出の「減圧」についても同様であっ
て、「減圧」とは、浸漬管内の基準圧力に対して減圧す
ることにより圧力が低下することを意味し、「減圧工
程」とは、前記の減圧により浸漬管内の溶融金属の浴面
が上昇する工程を意味する。
浸漬したとき、外気と遮断される浸漬管の内部領域をい
い、「浸漬管内の溶融金属上部の雰囲気圧力」とは、浸
漬管内の溶融金属上部の内部空間の圧力をいう。
る」とは、前記の浸漬管の内部領域に存在する溶融金属
中にガスを吹き込むことをいう。例えば、溶融金属と接
する浸漬管の内壁面にガス吹き込み口を設け、ガスを吹
き込むようにしてもよいし、また、バブリングランスを
浸漬し、該バブリングランスからガスを吹き込むように
してもよい。
内の軸方向に進行する溶融金属の流れに対して、浸漬管
の周方向の流速成分を与えることが可能な手段をいう。
浸漬管の軸の周りに捩れた「ねじれ羽根」型、「螺旋羽
根」型、「プロペラ」型などのいずれであっても良い。
また、旋回流付与手段は、旋回流付与手段自体が浸漬管
の軸に対して回転しない非回転固定型、溶融金属の流動
により回転力を得て回転する回転型、駆動機構を有し、
溶融金属の流動による力以外の駆動力により旋回流付与
手段を回転させる駆動型などのいずれであっても良い。
のとしては、外周に回転磁界を与える磁石を設け、電磁
力により溶融金属に旋回力を与える方式のものであって
も良い。「旋回流付与手段の直径」とは、浸漬管内に設
置された旋回流付与手段の直径をいい、「旋回流付与手
段の長さ」とは、浸漬管の中心軸方向にける旋回流付与
手段の設置長さをいう。
を検討するために、以下の水モデル試験を行った。
に形成したノズルからガスを吹き込み、水の流動状態と
ガスの吹き込み方向とを種々変更して、気泡の形成およ
び移動挙動を調査した。さらに、容器の内部に非回転型
ねじれ羽根(以下、単に「ねじれ羽根」という)を設置
し、気泡の形成および移動挙動に及ぼすねじれ羽根の影
響を調査した。同水モデル試験においては、溶融金属と
耐火物との滴れ性の悪さに近似させるため、容器の内面
には撥水剤を塗布した。
容器の底面もしくは側面から、水中にガスを吹き込んだ
状態を示す概念図であり、図1(a)は、静止した水に
容器底面からガスを吹き込んだ状態、図1(b)は、水
平方向に流れる水に容器底面からガスを吹き込んだ状
態、図1(c)は、下方向に流れる水に容器側面からガ
スを吹き込んだ状態をそれぞれ示す。
器底面からガスを吹き込んだ場合には、水中に分散され
た気泡は比較的大きな径を有していた。この理由は、離
脱前の成長過程の気泡に加わる力は表面張力と浮力のみ
であって、気泡の成長により浮力が表面張力を上回った
時点ではじめて気泡がノズルから離脱するためである。
平方向に流れる水に容器底面からガスを吹き込んだ場合
には、水中に分散された気泡は、図1(a)の場合より
も小さな径を有していた。この理由は、気泡には浮力の
みならず、水流によるせん断力も加わるので、ノズルか
らの気泡の離脱が促進され、図1(a)の場合よりも速
い段階で気泡が離脱するためである。
水に容器側面からガスを吹き込んだ場合は、気泡は図1
(b)の場合と同程度の小さな径を有しており、図1
(b)の場合よりも長時間気泡が水中に滞留した。この
理由は、図1(b)の場合と同様に、水流により、ノズ
ルからの気泡の離脱が促進されるため、気泡が小さくな
り、さらに、気泡は一旦下方に押し流され、下降流の影
響を受けない領域に至ったときに初めて浮上するためで
ある。
内にねじれ羽根を挿入し固定して、容器内の下方向に流
れる水に容器内の周方向の速度成分を与えて旋回運動を
させ、その水に容器側面からガスを吹き込んだ場合は、
気泡は図1(b)および(c)の場合と同程度の小さな
径を有していた。さらに、生成した気泡は容器内を真下
ではなく斜め下方に旋回しながら押し出され、図1
(c)の場合よりも広範囲に気泡が分散された。
を生成させ、その気泡を溶融金属内に広範囲に分散さ
せ、長期間滞留させるには、図1(c)に示した方法が
有効であるとの知見を得た。次に、本発明者らは、この
方法によって生成させた微細な気泡を溶融金属中に広く
分散させることができる実用的で簡便な方法を確立すべ
く検討を行った。
を設置した浸漬管を浸漬させ、浸漬管の内部を減圧して
溶融金属を吸引させ、次いで、浸漬管の内部を加圧して
吸引した溶融金属を吐出させることにより、浸漬管の内
部に溶融金属の下降流を形成させるとともに、この下降
流中にガスを吹き込む方法を想到した。そして以下の水
モデル試験を行った。
式図である。同図に示すように、水モデル試験装置は、
取鍋を模した容器2に溶融金属を模した水3が入れら
れ、溶融金属浴を模した水浴が形成されており、浸漬管
1が水浴に浸漬されている。浸漬管1の下部は水浴中に
開口し、上部は閉じた減圧空間となっており、この減圧
空間は減圧バルブ6を介して図示しない減圧設備に、加
圧バルブ7を介して図示しない加圧設備に、それぞれ接
続されている。また、浸漬管1の内部の圧力は、圧力計
8によって検出され、これにより浸漬管1の内部の圧力
変化速度を求めることができる。この水モデル試験装置
のガス吹き込み口4は、浸漬管内壁の円周上に90度お
きに4ヵ所配設されている。また、内部に「ねじれ羽
根」が固定された浸漬管も用意した。
圧バルブ6を開、加圧バルブ7を閉として、浸漬管1の
内部の圧力を減圧し、容器2の中の水3を浸漬管1の内
部に吸引した。以下、この工程を「減圧工程」ともい
う。
を開として、浸漬管1の内部の圧力を加圧し、先の工程
で浸漬管1の内部に吸引させた水3を再び容器2の中へ
吐出させた。以下、この工程を「加圧工程」ともいう。
ガスを吹き込んだ。
向の水流が形成される。この水流中にガスを吹き込むこ
とにより、微細な気泡5が形成されるとともに、気泡が
浸漬管から吐出される水流に随伴し、水浴中に広く分散
されることを確認した。さらに、内部にねじれ羽根が固
定されている浸漬管を使用した場合は、吐出された気泡
が羽根のない場合よりも一層広く水浴中に分散されるこ
とを確認した。
を生成させる諸条件を検討すべく、溶融金属として溶鋼
を用いた小規模試験を行った。本発明の目的は、脱りん
や脱硫などのスラグメタル反応、脱窒素や脱水素などの
脱ガス反応および溶融金属中の介在物の浮上分離を効率
的に行うものであるが、微細気泡を利用する点では同一
構成となる。したがって、以下では溶鋼中の介在物を浮
上させ除去する場合を例に説明する。
と同様の基本構成を備えた、溶鋼量1000kgの小型
試験装置を用いた。内径が0.5mの取鍋に溶鋼を装入
し、その溶鋼浴中に内径0.1mの浸漬管を浸漬し、浸
漬管の内部を減圧して溶鋼を吸引させる減圧工程と、浸
漬管の内部を加圧して吸引した溶鋼を吐出させる加圧工
程とを順次繰り返し、前記加圧工程では、浸漬管の下部
(開口端から上方に0.03mに位置)に設けたガス吹
き込み口からArガスを吹き込んだ。
の分散状況および介在物除去能力について評価を行っ
た。気泡径と気泡分散状況については、溶鋼を用いた試
験での浴内観察が困難なため、溶鋼表面に浮上してきた
気泡をビデオカメラで撮影し、その画像処理を行うこと
により評価した。また、介在物除去能力は、介在物濃度
の指標として全酸素濃度(以下、「T.[O]」(pp
m)という)を用いた下記式で定義される介在物除去率
η(−)により評価した。
[O])/処理前T.[O] (2)浸漬管内圧力変化速度 図3は、加圧工程における浸漬管内部の圧力変化速度と
平均気泡径dB との関係を示すグラフである。ここ
で、圧力変化速度とは、加圧工程における圧力変化速度
の最大値である。
kPa/s以上になると平均気泡径dB は著しく低下
する。したがって、溶鋼中に微細な気泡を生成させるた
めには、圧力変化速度を100kPa/s以上とするの
が好ましい。さらに微細な気泡を安定して生成させるに
は、150kPa/s以上とすることが一層好ましい。
の上限は特に限定されないが、同値が過大である場合に
は溶鋼のスプラッシュが発生するおそれがあるので、1
500kPa/s以下とするのが好ましい。
じれ羽根がある場合には、ねじれ羽根がない場合に比べ
て、平均気泡径dB は小さくなる。
去率に及ぼす浸漬管内のねじれ羽根の有無の影響を比較
した。
在物除去率ηとの関係を示すグラフである。同図の結果
によれば、在物除去率ηは、浸漬管内にねじれ羽根を設
置することにより向上する。
ち、ねじれ羽根を設置した場合は、生成した気泡径が低
下するため、気泡総表面積が増加し、介在物と気泡が接
触するチャンスが増大して精錬効率が向上する。さら
に、浸漬管から下方への気泡の放出方向が、浸漬管の斜
め下方となるため、気泡の分散する領域が拡大し、一層
広い範囲に存在する介在物が捕捉の対象となる。以上の
2つの理由により介在物除去率ηが増加したと解釈され
る。
の値 処理時間を5分として、浸漬管内のねじれ羽根の直径D
と長さLとの比D/Lの値を変更して介在物除去率に及
ぼす影響を検討した。
Lの値と介在物除去率ηとの関係を示すグラフである。
同図の結果によれば、介在物除去率ηは、比D/Lの値
に対して上に凸の関係を有し、D/Lの値が0.5以
上、5以下の範囲において、介在物除去率ηは0.85
以上の高い値を示す。
の値が0.5未満の場合には、旋回流速成分が小さくな
り、ねじれ羽根による溶鋼の旋回効果が薄れてしまい、
気泡の分散は、ねじれ羽根のない場合に比してわずかに
良い程度である。その結果、介在物の捕捉効果も、ねじ
れ羽根がない場合に比してわずかに良い程度の結果とな
る。
は、ねじれ羽根による旋回効果が大きくなりすぎて、気
泡は浸漬管の下端を通過直後にほぼ水平方向に進み、浸
漬管外周部の浴面へ速やかに到達してしまう。その結
果、気泡の浴内滞留時間が減少し、精錬効果も低減して
しまう。
するためには、比D/Lの値を0.5〜5の範囲とする
ことが好ましい。さらに好ましくは、0.7〜3であ
る。
場合の装置構成の一例を示す模式図である。
が形成されている。下方が開口され上方が閉塞された浸
漬管11が昇降可能に備え付けられている。同図は、浸
漬管11が溶鋼浴中に浸漬されている状態を示す。浸漬
管の内部には、ねじれ羽根21が浸漬管に固定配置され
ている。浸漬管の上部は、減圧バルブ16を介して図示
しない減圧設備、および加圧バルブ17を介して図示し
ない加圧設備に、それぞれ接続されている。
が、例えば、浸漬管を取鍋の蓋形状のものに固定し、こ
の蓋形状のものをクレーンまたはホイストなどで取鍋上
縁に載せたり、はずしたりしてもよい。取鍋内溶鋼浴面
の高さが大きく変動しない場合、すなわち、取鍋上縁か
ら浴面までの距離が過大または過小でない限りにおいて
は、この方式は簡易法として設備費の低減に有効であ
る。
ジェクター等の排気機能を有する設備であるが、精密な
制御が必要な場合や前記排気設備の能力が低い場合など
には、前記排気設備と減圧バルブ16の間に減圧室を設
けてもよい。この場合は、減圧室とは浸漬管の内部の容
積に比べて十分大きな容積を有し、予め内部の圧力が減
圧されており、減圧バルブ16を開とすることにより、
浸漬管の内部が速やかに減圧されるようにする必要があ
る。
給することが可能な設備であり、一般に、高圧ガスを保
有するタンクあるいはボンベ、およびタンクあるいはボ
ンベ出口の圧力調整器または加圧バルブのすぐ上流の圧
力調整器により圧力変化速度をコントロールすることが
可能な設備である。また、この圧力調整器の下流に流量
可変弁を置き、この開度により加圧工程の圧力変化速度
をコントロールすることも可能である。
よって検出され、この検出値により圧力変化速度を求め
ることができる。本発明における加圧工程の圧力変化
は、その最大値で管理するのがよい。その理由は、加圧
工程の時間は短いため、圧力変化速度が一定値となる期
間は極めて短いこと、および微小気泡の生成に対しては
最大圧力変化速度の影響が大きいことによる。
びガス吹き込み時期 浸漬管11内へのガス吹き込み位置について説明する。
口部から上方0.01〜0.5m程度の部位で浸漬管耐
火物の内部に埋め込まれたステンレス製のパイプが浸漬
管内面に開口しており、Arガスを溶鋼中に吹き込むた
めのガス吹き込み口14を形成している。ガス吹き込み
口の設置部位は、浸漬管の下端開口部に近いほど、加圧
工程においてガス吹き込み口が溶鋼流と接する時間を長
くすることが可能であり、1サイクル当たりの効率が向
上するが、過度に下端開口部に近いと気泡を含んだ溶鋼
流が下方に加速されず、気泡が取鍋の底面近傍に到達で
きない。
吹き込み口でも、開口部から少なくとも0.01m程度
離れていることが望ましく、0.03m程度離れている
ことが一層望ましい。
間題がある。加圧工程の浴面の位置(減圧工程における
浴面の最終到達位置)は、このガス吹き込み口に対し、
浴面低下速度に応じて高くする必要がある。なぜなら、
加圧工程における浴面の下降速度は、吹き込み口から離
れた気泡の下降速度よりも大きく、加圧工程直前での浴
面の高さが不十分であると、下降する気泡に浴面が追い
ついてしまい、気泡が浸漬管内で浮上してしまうおそれ
があるからである。この観点から、吹き込み口の開口部
からの距離は0.5m以下であることが望ましい。
ラグまたはポーラスれんが、あるいは、貫通孔を有する
耐火物を設けてもよい。
においてガスを吹き込むが、それ以外の工程、例えば、
減圧工程でのガス吹き込みを妨げるものではない。例え
ば、ガス吹き込み口の閉塞を防止するため、減圧工程に
おいて少量または加圧工程と同量のガス吹き込みを行っ
てもよい。
例えば、次のように実施することができる。まず、減圧
バルブ16を開、加圧バルブ17を閉として、浸漬管1
1の内部の圧力を減圧し、取鍋12の中の溶鋼13を浸
漬管11の内部に吸引する(減圧工程)。次いで、減圧
バルブ16を閉、加圧バルブ17を開として、浸漬管1
1の内部の圧力を加圧し、先の工程で浸漬管11の内部
に吸引した溶鋼13を再び取鍋12の中へ吐出する(加
圧工程)。加圧工程において、ガス吹き込み口14から
Arガスを吹き込む。減圧工程と加圧工程とで1サイク
ルの操作となるが、このサイクルを順次繰り返して行う
ことが望ましい。
した直後に加圧バルブ17を開としたり、加圧バルブ1
7を閉とした直後に減圧バルブ16を開としてもよい
が、その中間に減圧バルブおよび加圧バルブが同時に閉
となる時間を設定してもよい。減圧バルブや加圧バルブ
を閉とした直後は浸漬管内の溶鋼表面が不安定に揺動し
ている場合があり、そのような状態で加圧バルブや減圧
バルブを開にすると浸漬管内の溶鋼が飛散して浸漬管の
上部に地金として付着し、操業が困難となることがある
ためである。
ガス気泡を断続的に生成することができる。また、加圧
工程において浸漬管から吐出される溶鋼は下降流を形成
し、取鍋の底面に到達した後に水平流となり、取鍋径が
小さい場合には取鍋の内壁を伝わる上昇流となり、取鍋
径が大きい場合には取鍋内壁よりも中心側で気泡はその
浮力により上昇に転じる。これらの溶鋼流の作用によ
り、微細なArガス気泡は溶鋼浴中に広く分散され、効
率的に介在物を除去することができる。
内溶鋼に浸漬して同様の操作を実施してもよい。その場
合、浴面の変動が問題とならない場合には、浸漬管内の
加圧工程と減圧工程とを同期させてもよい。また、ある
浸漬管が加圧工程にあるときに、別の浸漬管を減圧工程
として浴面の変動を抑制してもよい。さらに、複数の浸
漬管間で工程を時間的に少しずつずらして、常にどれか
の浸漬管が加圧工程となるようにしてもよい。
溶鋼の精錬に適用した場合の装置構成を示す模式図であ
る。
内の溶融金属に二つの浸漬管を用いて本発明法を適用し
た場合の装置構成の一例を示す模式図である。上記の図
7および図8において、同一要素は同一数字を有する符
号を用い、例えば、浸漬管11、11aおよび11bの
ように示す。
は、取鍋12から連続的に注入される溶鋼13が収容さ
れて溶鋼浴が形成されており、浸漬管11が昇降可能に
備え付けられている。同図は、浸漬管が溶鋼浴に浸漬さ
れている状態を示す。浸漬管の内部には、ねじれ羽根2
1、21aおよび21bがそれぞれ固定配置されてい
る。浸漬管11の上部は減圧バルブ16を介して図示し
ない減圧設備に、加圧バルブ17を介して図示しない加
圧設備に、それぞれ接続されている。
るが、取鍋の場合と同様に、浸漬管を蓋形状のものに固
定し、この蓋形状のものをクレーンやホイストなどでタ
ンデイツシュ上部に載せたり、はずしたりしてもよい。
例えば、タンデイツシュに溶鋼を注入する前に、この蓋
形状のものと一緒に浸漬管をタンディッシュに据え付
け、タンデイツシュの予熱とともに浸漬管の予熱を実施
してもよい。タンデイツシュ内の浴面は鋳造初期やヒー
ト間で若干低下する場合があるが、一般的にほぼ同じ高
さを維持するため、この方式は簡易法として設備費の低
減に有効である。
検出され、これにより浸漬管の内部の圧力変化速度を求
めることができる。浸漬管の下端開口部から上方の部位
で、浸漬管耐火物の内部に埋め込まれたステンレス製の
パイプが浸漬管内面に開口しており、Arガスを溶鋼中
に吹き込むためのガス吹き込み口14を形成している。
なお、ガス吹き込み口の先端に、ボーラスプラグまたは
ボーラスれんが、あるいは、貫通孔を有する耐火物を設
けてもよい。
工程および加圧工程は、取鍋における精錬の場合と同様
に実施できる。図7に示す装置のように、浸漬管が一つ
の場合、減圧工程と加圧工程とによって、タンディッシ
ュ内の溶鋼レベルが変動する。しかし、図8に示す装置
構成の場合、二つの浸漬管の加圧工程と減圧工程のサイ
クルを反転して同期させることにより、溶鋼レベルの変
動を最小限にすることができる。ただし、二つの浸漬管
の距離が接近している場合は、一方の浸漬管から吐出さ
れた微細気泡を含んだ溶鋼の一部分が、他方の浸漬管に
吸引される可能性があるので、例えば、タンディッシュ
内に堰20を設けて相互の浸漬管の干渉を防止してもよ
い。
漬管を溶鋼に浸漬して同様の操作を実施してもよい。そ
の場合、例えば、複数の浸漬管の間で工程を時間的に少
しずつずらして、常にどれかの浸漬管が加圧工程となる
ようにしてもよい。
を収容する容器の容量が大きい場合には、気泡の分散性
を高めて介在物除去時間を短縮することである。連続鋳
造の場合、タンデイツシュ内の溶鋼の滞留時間が限られ
ているため、高能率で精錬をする必要があるが、複数の
浸漬管を用いることにより高能率処理を実現できる。
損傷を抑制するために表面に耐火物を備えるが、浸漬管
の径が大きい場合には耐火物に亀裂が発生しやすくなる
ので、これを回避するために浸漬管の大径化に変えて浸
漬管の数を増やすことも有効である。
スの種類 上述の説明では、溶融金属浴中に浸漬管をほぼ鉛直に浸
漬する場合を例示したが、本発明法はこれに限られるも
のではない。装置の取り合いを考慮し、溶融金属浴中に
浸漬管を傾斜させて浸漬させることも可能である。浸漬
管を傾斜させることによって、気泡の移動経路も傾斜す
るので気泡の滑留時間を長くすることができる。
浸漬管の表層部を構成する耐火物の施工の観点から円形
であることが好ましいが、楕円、矩形もしくは多角形と
することもできる。
鋼に限られるものではない。例えば、Al、Cuなどの
非鉄金属の製造工程においても、介在物を除去するプロ
セスを必要とする溶融金属の精錬であれば、本発明の精
錬方法を適用することができる。
込むガスがArである場合を例示したが、本発明法はこ
れに限られるものではない。ガスの種類は、対象とする
溶融金属と精錬の目的に応じて適宜選定することができ
る。ガスの種類としては、例えば、Ar、N2、H2、
He、CO、炭化水素などのガスを用いることができ
る。
とならない程度の酸素ガスあるいは酸化性ガス(例え
ば、CO2 ガス)を用いることもできる。もちろん、
これらのガスを2種以上混合した混合ガスを用いること
もできる。例えば、溶融金属中に溶解すると金属製品の
品質に悪影響を及ぼすガスを他のガスに変えたり、他の
ガスとの混合ガスを用いたりすることが挙げられる。ま
た、別の方法としてガスの流量を抑制するなどの方法も
ある。
6に示す基本構成を有する精錬装置を用いて介在物を除
去する精錬試験を行った。
り、浸漬管の内径は0.1mである。また、浸漬管内壁
の下端開口部から0.5mの位置の周方向に均等間隔を
なすようにして内径2mmのステンレス製のパイプを合
計8本埋め込み、ガス吹き込み口とした。溶鋼浴に浸漬
管を浸漬し、浸漬管の内部を減圧して、浸漬管の内部に
溶鋼を吸引する減圧工程と、浸漬管の内部を加圧して、
吸引した溶鋼を吐出する加圧工程とを順次繰り返し実施
するとともに、前記加圧工程において、ガス吹き込み口
から、Arガスを吹き込んだ。加圧工程における浸漬管
内部の圧力変化速度(最大圧力変化速度)は、75〜3
00kPa/sの範囲で変化させた。加圧工程と減圧工
程とによる1サイクル当たりの所要時間は2秒として、
処理時間は10分とした。
根を有しない場合の試験、および取鍋底部にポーラスプ
ラグを設け、そのポーラスプラグからArガスを10分
間吹き込む試験(以下、「バブリング法」という)も行
った。バブリング法におけるArガス吹き込み速度は、
0.2×10−4Nm3/s(1.25L/min)と
した。表1に、試験条件(ねじれ羽根の条件、圧力変化
速度、ガス吹き込み速度および精錬処理前T.[O])
ならびに試験結果(精錬処理後T.[O]および介在物
除去率)を示す。
ねじれ羽根を有しない比較例の試験であり、試験番号5
〜12は、ねじれ羽根を有する本発明例の試験であり、
試験番号13は、バブリング法による比較例の試験であ
る。ねじれ羽根を有しない試験番号1〜4は、介在物除
去率が0.50〜0.83である。これに対して、ねじ
れ羽根を有する試験番号5〜12は、介在物除去率が
0.63〜0.95と高く、良好であった。試験番号5
は、同じ圧力変化速度の比較例である試験番号1よりも
良好な結果となっている。また、本発明例である試験番
号6〜12は、0.84〜0.95と好成績であった。
は、介在物除去率が0.44と非常に劣った結果であっ
た。以上の試験結果から、本発明法による優れた精錬効
果が確認された。
に微細な気泡を発生させるとともに、気泡を溶融金属中
に広く分散させることができるので、溶融金属中の介在
物を効率的に除去することができる。また、脱ガスを促
進し、脱りん、脱硫などのスラグ−メタル間反応も促進
することができる。
しくは側面から、水中にガスを吹き込んだ状態を示す概
念図であり、図1(a)は、静止した水に容器底面から
ガスを吹き込んだ状態、図1(b)は、水平方向に流れ
る水に容器底面からガスを吹き込んだ状態、図1(c)
は、下方向に流れる水に容器側面からガスを吹き込んだ
状態をそれぞれ示す。
平均気泡径dB との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
物除去率ηとの関係を示すグラフである。
場合の装置構成の一例を示す模式図である。
溶鋼の精錬に適用した場合の装置構成を示す模式図であ
る。
に二つの浸漬管を用いて本発明を適用した場合の装置構
成の一例を示す模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】溶融金属中に浸漬管を浸漬し、浸漬管内の
溶融金属上部の雰囲気圧力を増減させることにより、浸
漬管内への溶融金属の吸込みと浸漬管内からの溶融金属
の吐出を交互に行う溶融金属の精錬方法であって、溶融
金属の通過する浸漬管に旋回流付与手段を配置し、吐出
される溶融金属に浸漬管内の周方向に流動を付与すると
共に、浸漬管内への溶融金属中にガスを供給することを
特徴とする溶融金属の精錬方法。 - 【請求項2】溶融金属を吐出する際の浸漬管内の溶融金
属上部の雰囲気圧力の変化速度が100kPa/s以上
であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の精
錬方法。 - 【請求項3】浸漬管内に配置された旋回流付与手段の直
径Dと旋回流付与手段の長さLとの比、D/Lの値が
0.5〜5であることを特徴とする請求項1または2に
記載の溶融金属の精錬方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002136517A JP3864842B2 (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | 溶融金属の精錬方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003328047A true JP2003328047A (ja) | 2003-11-19 |
JP3864842B2 JP3864842B2 (ja) | 2007-01-10 |
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JP (1) | JP3864842B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004315893A (ja) * | 2003-04-16 | 2004-11-11 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶融金属の精錬方法 |
JP2007126720A (ja) * | 2005-11-04 | 2007-05-24 | Japan Atomic Energy Agency | 溶湯精錬装置及び溶湯精錬方法 |
JP2016079450A (ja) * | 2014-10-15 | 2016-05-16 | Jx金属株式会社 | Cu−Ga合金スパッタリングターゲット |
-
2002
- 2002-05-13 JP JP2002136517A patent/JP3864842B2/ja not_active Expired - Fee Related
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