JP2003314620A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2003314620A
JP2003314620A JP2002114189A JP2002114189A JP2003314620A JP 2003314620 A JP2003314620 A JP 2003314620A JP 2002114189 A JP2002114189 A JP 2002114189A JP 2002114189 A JP2002114189 A JP 2002114189A JP 2003314620 A JP2003314620 A JP 2003314620A
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rubber
tooth
toothed belt
belt
fiber
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JP2002114189A
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Masakuni Yoshida
正邦 吉田
Sadakichi Sakanaka
貞吉 阪中
Naonobu Hirai
尚信 平井
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯部を構成するナイロン繊維、アラミド繊
維、超高分子量繊維等からなる歯布と樹脂フィルムとを
接着したもので、歯部の耐久性を飛躍的に向上させる歯
付ベルトを提供するものである。 【解決手段】 長手方向に沿って所定間隔で配置したゴ
ム9を基材とした複数の歯部3と、心線1を埋設したゴ
ム9を基材とした背部2を有し、前記歯部3の表面に歯
布4を被覆し、前記歯布4表面に接着層10を介して樹
脂フィルム11を積層してなる歯付ベルトAにおいて、
前記歯布4の緯糸7又は経糸8のいずれか一方が、超高
分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリエステル
繊維のいずれかである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車用
エンジンのカム軸又はカム軸とインジェクションポンプ
の駆動用、大型自動2輪の後輪の駆動用あるいは、一般
産業用機械の同期伝動用等に使用される歯布被覆の歯付
ベルトに関するものである。特に、高負荷用ベルトに関
して、耐摩耗性及び耐歯欠け性を維持しつつ、特にベル
トの歯布及び歯部の損傷を防ぐ為に改善した歯付ベルト
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのカム軸、インジェク
ションポンプ、オイルポンプ、ウォータポンプ等を駆動
する歯付ベルトは、エンジンの高出力化に伴い、ベルト
への負荷が増大している。また、エンジンルームのコン
パクト化に伴う雰囲気温度の上昇など歯付ベルトの使用
環境は近年特に厳しくなってきている為、さらなる耐久
性の向上が要求されている。また、近年大型自動2輪車
の後輪駆動用にこれまでのチェーンあるいはシャフト駆
動から、静粛性、メンテナンスフリー性が請けて、ベル
トでの駆動方式がとられるようになってきている。さら
に、一般産業用に使用される歯付ベルトについても、射
出成形機等の高負荷駆動用等に用いられるものは取替え
周期の延長を要求されている。
【0003】歯付ベルトの故障形態は、心線の屈曲疲労
及びゴムの耐熱性不良による亀裂発生からのベルト切断
と過負荷や歯布及び歯ゴムの耐熱化不足、歯布の摩耗に
よる歯欠けに大別される。心線の屈曲疲労及びゴムの耐
熱性不足によるベルト切断に対しては、心線材質、心線
構成の太径化等の改良、心線処理剤の耐熱性改良が実施
されている。また、ゴムの耐熱性改良についても水素添
加ニトリルゴムの使用等により故障は減少している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特に、ベルトに高負荷
が掛かるエンジン又は産業用駆動装置を駆動する歯付ベ
ルトは、高負荷のためプーリ軸が撓んだり、ベルトの片
寄り走行が発生し、プーリフランジ等との摩擦によるベ
ルト側面の異常摩耗及び側面の損傷による切断、歯欠け
が発生しやすい。
【0005】又、高負荷によりベルトが伸びて、オート
テンショナーが作動せず、ベルトに適正な負荷が掛から
なくなり、エンジンの正常な動作を妨げる現象が生じる
等の問題がある。
【0006】また、ベルト側面摩耗、損傷、ベルトの伸
びに対し、プーリ歯とかみ合う歯付ベルト表面の歯布材
料に摩擦係数低減作用のあるフッ素樹脂や層状のグラフ
ァイト等を添加した処理を施すことや、心線材料の検討
が実施されているが、未だに十分な改良策が見出されて
いない。
【0007】歯付ベルトはガラス繊維、アラミド繊維等
からなる心線がゴム配合物中に接着埋設されており、歯
部はナイロン繊維、アラミド繊維等からなる帆布が覆う
複合体である前述の歯付きベルトに対する要求に対し、
心線とゴムの高接着力の要求、特に高負荷、高温下で使
用する歯付きベルトに対しては、高耐熱接着力の要求が
強まっている。
【0008】本発明は、歯部を構成するナイロン繊維、
アラミド繊維、超高分子量繊維等からなる歯布と樹脂フ
ィルムとを接着したもので、歯部の耐久性を飛躍的に向
上させる歯付ベルトを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する為、
本発明者らは鋭意研究の結果、樹脂フィルムと歯布とを
接着層を介在し圧着することで、プーリ等により歯付ベ
ルトの歯部にかかる抵抗を樹脂フィルムが持つ低摩擦係
数の効果により低減でき、また優れた耐摩耗性により負
荷を低減し歯部の耐久性を向上できる歯付ベルトとでき
ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明
の請求項1に記載の歯付ベルトは、長手方向に沿って所
定間隔で配置したゴムを基材とした複数の歯部と、心線
を埋設したゴムを基材とした背部を有し、前記歯部の表
面に歯布を被覆し、前記歯布表面に接着層を介して樹脂
フィルムを積層してなる歯付ベルトにおいて、前記歯布
の緯糸又は経糸のいずれか一方が、超高分子量ポリエチ
レン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維のいずれか
である。歯布を構成する緯糸又は経糸のいずれか一方
に、超高分子量ポリエチレン(以下、UHMW−PE
(Ultra High Molecular Weight-Poly Ethylene)とい
う。)繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維のいずれ
かを使用することで、歯部の耐久性を飛躍的に向上する
ことができ、歯布表面に積層してなる樹脂フィルムによ
る摩擦低減効果を得ることが可能となる。また、樹脂フ
ィルムにUHMW−PEを使用した場合、接着層を介し
て、歯布と樹脂フィルムが強固に接着する。
【0010】請求項2に記載の歯付ベルトは、請求項1
において、前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニトリル
ゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合した配合ゴムであ
る。歯部及び背部のゴムが、水素化ニトリルゴム(以
下、H−NBRという。)に不飽和カルボン酸金属塩を
配合した配合を使用することによって心線との接着力を
より確実なものとすることができ、高負荷下で発生する
ベルト背面の亀裂、損傷によるベルトの損傷を防止する
ことができる。また、歯布表面の接着層との接着性も向
上し、さらには樹脂フィルムの接着性をより強固なもの
とできる。
【0011】請求項3に記載の歯付ベルトは、請求項1
又は2において、前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニ
トリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を総ポリマーに対
して15〜40質量部添加したものである。不飽和カル
ボン酸金属塩の量が5質量未満であるとゴム硬度が所定
の硬度にならず、一方40質量部を越えるとゴム硬度が
大きくなりすぎ、ベルト剛性が高くなり、屈曲疲労性に
劣りベルト寿命が短くなる。
【0012】請求項4に記載の歯付ベルトは、請求項1
〜3のいずれかにおいて、前記接着層が水素化ニトリル
ゴム又はウレタンエラストマーのいずれかで形成されて
いるものである。接着層として、H−NBR又は、ウレ
タンエラストマーのいずれかを使用すると、加温時に溶
融状態の樹脂フィルムの中にH−NBR又は、ウレタン
エラストマーの溶融物が入り込む。これによって、樹脂
フィルムと接着層が強固に接着する。
【0013】請求項5に記載の歯付ベルトは、請求項1
〜3のいずれかにおいて、前記接着層がニトリルゴムと
エチレンプロピレン三元共重合体を混合したものであ
る。接着層として、ニトリルゴムとエチレンプロピレン
三元共重合体(以下、NBR/EPDMという。)を使
用すると、加温時に溶融状態の樹脂フィルムの中にNB
R/EPDMの溶融物が入り込む。これによって、樹脂
フィルムと接着層が強固に接着する。
【0014】請求項6に記載の歯付ベルトは、請求項1
〜5のいずれかにおいて、前記超高分子量ポリエチレン
繊維の分子量が、10万〜300万であるものである。
超高分子量ポリエチレン繊維として、特に、分子量を粘
度法で表現すると50万〜300万のUHMW−PE繊
維が好ましい。このUHMW−PE繊維は、耐摩耗性、
摩擦係数の低いという特性を有し、ゴム加硫温度以上で
ある140℃以上に加熱しても冷却後はこれらの特性が
劣化することなく元の状態に戻るためである。このUH
MW−PE繊維の中でも、分子量が10万〜150万、
好ましくは30万〜120万であることがより好まし
い。分子量が10万以下であると加硫時粘度が極端に落
ち流れてしまう。また、分子量が300万以上であると
樹脂の製造ができないからである。なお、UHMW−P
E繊維の接着面は無処理でも良いが、表面を処理(コロ
ナ処理、バフ処理等)しても良い。また塩素化PPのよ
うなプライマーを処理しても良い。
【0015】請求項7に記載の歯付ベルトは、請求項1
から6のいずれかにおいて、前記歯付ベルトの背面硬度
が、80度(JISA型硬度計)以上であるものであ
る。歯付ベルトの背面硬度が80度(JISA型硬度
計)以上、好ましくは85度以上である為、応力が負荷
された場合であっても、ゴムの変形を抑制することがで
きる。また歯部の硬度も上昇するため同様のことがいえ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を説明する。なお、本発明に係る歯付ベルトは以下の実
施の形態例に限定されるものではない。
【0017】図1は、本実施形態に係る歯付ベルトAの
全体斜視概略図である。図1は、本実施形態に係る歯付
ベルトAの全体斜視概略図である。図1において、歯付
ベルトAは、長手方向に沿って所定間隔で配置したゴム
9を基材とした複数の歯部3と、歯部3と連続する背部
2と、背部2に埋設された心線1と、歯部3の表面に被
覆された歯布4とを有する構造である。そして、歯布4
は、ベルトの長手方向に延在する緯糸7と、ベルトの幅
方向に延在する経糸8とを織成して成る繊維材料を基材
として構成される。また、歯布4の表面には、接着層1
0と樹脂フィルム11とが積層されて構成されている。
【0018】歯部3及び背部2の基材となるゴム9の材
質には特に制限はなく、使用条件に応じて適切なものが
適宜選択される。自動車エンジン用及び各種エンジン用
歯付ベルトの場合、耐熱性と耐油性を備えたH−NB
R、CR、CSM等が使用される。一般産業用機械に用
いられる歯付ベルトには、H−NBR、CR、CSM以
外に、NBR、EPDM、エチレンプロピレン共重合体
(EPR)、SBR、イソプロピレンゴム(IR)、天
然ゴム(NR)、フッ素ゴム、シリコンゴム等何れの場
合も使用可能である。本実施形態例においては、ゴム9
として、H−NBRに不飽和カルボン酸金属塩を配合し
た配合ゴムと、有機過酸化物又は硫黄化合物のいずれか
を架橋して形成したゴムについて例示する。
【0019】H−NBRとしては、耐熱性の観点から水
素添加率が少なくとも90%以上であることが必要であ
り、92〜98%が好適である。そして、本実施形態例
にかかるゴム9は、このH−NBRに不飽和カルボン酸
金属塩を配合することによって、モジュラス(引張弾性
率)や硬度を高めるようにしているものであり、モジュ
ラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き裂き強
度や硬度を確保する為には、前述のようにH−NBRに
不飽和カルボン酸金属塩を総ポリマーに対して15〜4
0質量部配合することが好ましい。或いは不飽和カルボ
ン酸金属塩5〜15質量部混合し、短繊維をポリマー成
分100に対して1〜20質量部配合することもでき
る。
【0020】ここで、短繊維には、摩擦時に低温で溶融
しにくい高融点、又は融点を持たない綿、ビニロン、ア
ラミド、無機繊維等が好ましい。その長さは5mm以下
であることが好ましい。繊維長が5mmを越える場合
は、ゴムをカレンダー又は押し出し機等で圧延シート状
にする時に、配向し易く、ベルトになった場合に、屈曲
により早期にクラックが発生し易い。また、短繊維の配
向方向は、ベルト幅方向が好ましいが、ベルト長さ方向
の配向であってもよい。短繊維の配合量が1質量部より
少ないと、短繊維を配合した効果が現れない。一方、短
繊維の量が20質量部より多くなると、ゴムのムーニ粘
度が上昇し加工(練り工程で分散不良、シート圧延工程
で圧延できない、表面肌が悪く厚みが出ない等)でき
ず、歯を精度良く形成することが困難となる。
【0021】なお、不飽和カルボン酸金属塩の量が5質
量部未満であるとゴム硬度が所定の硬度にならない。一
方40質量部を越えるとゴム硬度が大きくなりすぎ、ベ
ルト剛性が高くなり、屈曲疲労性に劣りベルト寿命が短
くなる。このように、H−NBRに不飽和カルボン酸金
属塩を配合したゴムを使用することによって、背部2の
背面硬度が80度(JISA型硬度計)以上とすること
ができる。背面硬度が80度(JISA型硬度計)以
上、好ましくは85度以上とできることから、応力が負
荷された場合であっても、ゴムの変形を抑制することが
できる。
【0022】不飽和カルボン酸金属塩はカルボキシル基
を有する不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合したも
のであり、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタ
クリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸などのジカルボン酸が好ましく、金属として
はベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、チタン、クロム、モリブデン、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、カドミウ
ム、アルミニウム、錫、鉛、アンチモンなどを用いるこ
とができる。
【0023】ゴム9は、以上のようにして、配合された
後、有機過酸化物又は硫黄化合物のいずれかと架橋して
構成されている。
【0024】有機過酸化物としては、特に限定されるも
のではないが、従来よく使用される任意のものであって
良い。例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド(t-buty
l hydroperoxide)、1,1,3,3テトラブチルヒドロペルオ
キシド(1,1,3,3-tetramethylbutylhydroperoxide)、
p−メンタンヒドロペルオキシド(p-menthane hydrope
roxide)、クメンヒドロペルオキシド(cumene hydrope
roxide)、ジイソピロプルベンゼンヒドロペルオキシド
(di-isopiropylbenzene hydroperoxide)、ジテトラブ
チルペルオキシド(di-tetra-buthyl peroxide)、ジク
ミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、テトラブチク
ミルペルオキシド(tetra-butyl cumylperoxid)、1,3
ビス(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン
(1,3-bis(tert-butylperoxy isopropyl)benzen)、ト
リアルキルイソシヌレート(trialkyl isocyanurate)
等を挙げることが出来る。
【0025】硫黄化合物としては一般的な硫黄や硫黄化
合物、加硫剤としてはチウラム(Thiurams)系、塩化ジ
チオカルボメート(Salt of Dithiocarbates)系、スル
フォンアミド(Sulfenamides)系、チアゾール(Thiazo
les)系等を挙げることが出来る。また有機化合物と硫
黄化合物、加硫剤を併用しても良い。
【0026】以上のようにゴム9を基材として構成され
る背部2に埋設される心線1は、一般には、ガラス繊維
及びアラミド繊維が使用される。また、ポリベンゾオキ
サゾール、ポリパラフェニレンナフタレート、ポリエス
テル、アクリル、カーボン、スチールを組成とする撚コ
ードのいずれでも使用できる。ガラス繊維の組成は、E
ガラス、Sガラス(高強度ガラス)のいずれでもよく、
フィラメントの太さ及びフィラメントの集束本数及びス
トランド本数に制限されない。
【0027】この心線1は、レゾルシンとホルマリンの
初期縮合物とゴムラテックスを混合したRFL液によっ
て処理されたものが用いられる。レゾルシンとホルマリ
ンのモル比は1:1.5〜3にすることがゴム9との接
着力を高める上で好ましい。また、レゾルシンとホルマ
リンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分100
質量部に対してその樹脂分が2〜30質量部になるよう
にラテックスと混合したうえ、全固形濃度を5〜40%
濃度に調節される。このラテックスとしては、スチレン
・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、クロロス
ルホン化ポリエチレン、H−NBR、エピクロルヒドリ
ン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン
−ビニルエステル共重合体等が使用できる。
【0028】また、歯布4を構成する緯糸7と、経糸8
としては、いずれか一方に、UHMW−PE繊維、アラ
ミド繊維、ポリエステル繊維を使用し、他方にナイロ
ン、ポリベンゾオキサゾール、綿、ポリオレフィン等の
何れか又はこれらの組み合わせを採用できる。繊維の形
態は、フィラメント糸及び紡績糸の何れでも良く、単独
組成の撚糸又は混撚糸、混紡糸の何れであっても良い。
また、織成構成は綾織り、繻手織り、平織り等何れであ
っても良い。
【0029】なお、この歯布を構成する繊維材料とし
て、緯糸7と、経糸8のいずれにもUHMW−PE繊
維、アラミド繊維、ポリエステル繊維を採用しても構わ
ない。この場合は、これら緯糸7及び経糸8をH−NB
R用接着処理をしなくても物理的に融点以上に加熱され
たUHMW−PE繊維の溶融状態の中に樹脂フィルムが
熱接着し、樹脂フィルムと繊維が強固に接着する。この
H−NBR用接着処理とは、後述する歯布にゴム糊処理
を施すことをいう。
【0030】この歯布4は、RFL液、イソシアネート
溶液あるいはエポキシ溶液によって処理されたあと、歯
部3に用いたゴム9と同質のゴムを含浸付着させ加硫す
るゴム糊処理が行われたものである。具体的にはゴム9
に使用したポリマー分を溶剤によって溶解したゴム糊を
作製した後、これを含浸付着させ、そして乾燥させた後
に加硫してゴム付帆布にする。また、必要に応じて老化
防止剤を添加することもできる。
【0031】ゴム9を溶解する溶剤としては、メチルエ
チルケトン(MEK)、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミド、クロロホルムなどから選ばれた溶剤を
使用することができる。そして、ゴム9を溶解して得ら
れたゴム糊は、この歯布4に塗布、吹き付け等によって
含浸付着させ加硫させることが好ましい。
【0032】以上のようにして構成される歯付ベルトA
の歯布4の表面に積層され、歯布4表面を被覆する樹脂
フィルムとの強度な接着力を得るため使用される接着層
10としては、H−NBR、ウレタンエラストマー、N
BR/EPDMのいずれかを用いることができる。ここ
で、NBR/EPDMの割合は10/90〜90/10
質量部、好ましくは30/70〜70/30質量部であ
る。接着層10の厚みとしては0.1mm〜0.5m
m、好ましくは0.2〜0.3mm程度がより好まし
い。0.1mm以下であると成形機の制御範囲を超えて
しまう。また0.5mm以上でも良いがコスト的に不利
となる。また、製品の用途としては高負荷にならない場
合は、接着層が無くても使用出来る。
【0033】また、この接着層10の表面に積層する樹
脂フィルム11としては、特に限定されるものではない
が、一般に、樹脂フィルムは熱により劣化する。そのた
め、歯部や背部等のゴムの加硫温度で分解してしまい、
フィルムが劣化するものは、ベルトとして使用に耐えな
い。また、樹脂素材の物性、特に伸び特性が大きくなけ
れば、歯が出ない等不具合が生ずることから、伸びの特
性としては100%以上、好ましくは300%以上が要
求される。これらのことから、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレンに代表されるオレフィン樹脂、6ナイロ
ン、66ナイロンに代表されるナイロン樹脂、熱可塑性
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等を樹脂
フィルムとして用いることができる。ところが、ナイロ
ン樹脂は耐摩粍性がよいが、材料の持つ摩擦係数が高
い。また、ポリエステル樹脂は熱水により分解するとい
う欠点を持っている。さらに、熱可塑性ウレタン樹脂は
高価であり、フッ素樹脂は高価であるとともに耐摩耗性
に劣り、接着が困難であることから、これら樹脂の中で
も、特に、オレフィン樹脂であるポリエチレン樹脂が好
ましい。樹脂フィルム11の厚さは50μm〜200μ
m、好ましくは70μm〜150μmがより好ましい。
【0034】また、ポリエチレン樹脂として、特に、分
子量を粘度法で表現すると50万〜300万のUHMW
−PE樹脂が好ましい。このUHMW−PE樹脂は、耐
摩耗性、摩擦係数の低いという特性を有し、ゴム加硫温
度以上である140℃以上に加熱しても冷却後はこれら
の特性が劣化することなく元の状態に戻るためである。
このUHMW−PE樹脂の中でも、分子量が10万〜1
50万、好ましくは30万〜120万であることがより
好ましい。10万以下であると加硫時粘度が極端に落ち
流れてしまう。また、300万以上であると樹脂の製造
ができないからである。なお、UHMW−PE樹脂の接
着面は無処理でも良いが、表面を処理(コロナ処理、バ
フ処理等)しても良い。また塩素化PPのようなプライ
マーを処理しても良い。
【0035】本実施形態例においては、これら接着層1
0と樹脂フィルム11を150℃〜170℃に加温し
て、これらを加圧して圧着している。一般に、UHMW
−PE樹脂と歯部3及び背部2の基材として用いられて
いるゴム9であるH−NBRの接着は非極性材料と極性
材料の接着であり基本的には不可能である。
【0036】そこで、本発明においては、歯布4の緯糸
7、経糸8のどちらか一方にUHMW−PE繊維、アラ
ミド繊維、ポリエステル繊維を用いることや接着層10
として、NBR/EPDM、H−NBR、ウレタンエラ
ストマーのいずれかを介在させることにより、歯布4の
表面に樹脂フィルム11を接着している。歯布の緯糸
7、経糸8のどちらか一方にUHMW−PE繊維、アラ
ミド繊維、ポリエステル繊維を用いることによって、物
理的に融点以上に加温された歯布の繊維材料の溶融状態
の中に樹脂フィルムが熱接着する。また、NBR/EP
DM、H−NBR、ウレタンエラストマーと他方の繊維
材料とが、加硫接着し、物理的に融点以上に加温された
UHMW−PE樹脂の溶融状態の中に接着層10として
用いられているNBR/EPDM、H−NBR、ウレタ
ンエラストマーの溶融物が入り込み両者が強固に接着す
る。このように樹脂フィルムと繊維と接着層10が強固
に接着する。
【0037】接着層10としてNBR/EPDMを使用
した場合、ゴム9加硫時にゴム9のH−NBRと、接着
層10の成分であるNBRとの間で加硫接着が生ずる。
そして、EPDMと、UHMW−PE樹脂間でエチレン
を介在し強固に接着する。また、同時に、前述したよう
に、ゴム9の加硫時に加温されるとともに、加圧されて
いるため、溶融状態のUHMW−PE樹脂の中にEPD
Mの溶融物が入り込み両者が物理的に強固に接着する。
これによって、歯布4の表面にUHMW−PEからなる
樹脂フィルム11が被覆される。
【0038】また、接着層10として、H−NBR又
は、ウレタンエラストマーを使用した場合は、加温、加
圧されることによって、樹脂フィルム11を構成するU
HMW−PEが溶融状態の時に、歯布4内に食い込み、
冷却後、これら食い込んだUHMW−PEがアンカー効
果によって、歯布4の表面に強固に接着した状態とな
る。
【0039】以上のように、歯布4の表面に、樹脂フィ
ルムが強固に接着された歯付ベルトとなるため、高負荷
下で発生するベルト歯面の亀裂、損傷によるベルトの損
傷を防止することができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例)表1に示す配合からなるゴムを通常の方法で
混練し、カレンダーロールにて所定の厚さのゴムシート
A−1及びA−2を調整した。また、歯布は、表2に示
す繊維を用いて、表2に示す処理を行いB−1、B−
2、B−3及びB−4を得た。表2におけるRFL処理
は、表3に示すC−1の配合からなるRFL処理液に、
歯布を浸漬し、120℃にて乾燥後180℃にて2分間
熱処理したものである。また、表2におけるゴム糊処理
は、表4に示すゴム配合物を表3に示すC−2及びC−
3のように、MEK、トルエンに溶かした後にイソシア
ネート化合物としてポリアリールポリイソシアネート
(商品名PAPI)を添加した処理液に、適宜、MBI
やN-(1,3-Dimethyl-Butyl)-N'-Phenyl-p-Phenylend
iamine、フッ素樹脂粉末又はグラファイト等の減摩材を
添加混合した処理液に歯布を浸漬し乾燥したものであ
る。接着層には、表4に示す配合からなるゴムを通常の
方法で混練し、カレンダーロールにて所定の厚さのゴム
シートF−1及びF−2を調整した。表面の樹脂フィル
ムとしては表5に示すものを使用した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】次に、ベルト作製用のZBS歯形120歯
数の金型に上記の樹脂フィルム/接着層/歯布を巻き付
け、SZ撚一対のRFL及び水素化ニトリルゴムをトル
エン等の溶剤にて溶かしたゴム糊及びフェノール樹脂に
て接着処理された表6に示す心線を表7のピッチにてス
パイラルに所定の張力で巻き付けた。この心線の上に、
表1のゴムシートを貼り付けた。更に、加硫缶に投入し
て通常の圧入方式により歯形を形成させた後165℃に
て30分加圧加硫して、ベルト背面を一定厚さに研磨し
一定幅(30mm)にカットして走行用歯付ベルトを得
た。表8にベルト歯布の外観について示す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】作製したベルトのサイズは、ベルト幅15
mm、ベルト歯形ZBS、歯数120歯、歯ピッチ9.
525mmであり、通常120ZBS30と表示され
る。次に、歯布としてB−1(表2参照)を使用してベ
ルトの走行試験を行った。走行試験装置として、図2に
示す22歯のクランクプーリ12、44歯のカムプーリ
13、19歯のウォータポンププーリ15、偏心プーリ
19、アイドラー21からなるレイアウトの試験装置を
使用する。クランクプーリ回転数4000rpmでベル
トに掛かる有効張力を3700Nとし、初張力を350
Nにて走行試験を行った。表9に各ベルトの走行試験の
結果をまとめて示す。なお、各ベルトの背面硬度はJI
SA型硬度計で、85度以上であった。
【0051】
【表9】
【0052】表8から外観的にはUHMW−PEが優れ
ていることがわかる。また、表9から歯布と樹脂フィル
ムとの接着力が100N以下の比較例1のベルトは、早
期にベルトが破損するのに対し、実施例1乃至3の歯布
と樹脂フィルムとの接着力が100N以上のベルトは、
ベルト破損時間が大幅に改善できることがわかる。な
お、各ベルトの樹脂フィルムと歯布の接着力は、JIS
K6854に従って測定した。
【0053】
【発明の効果】上記のように、本発明は、歯布の緯糸又
は経糸のいずれか一方に超高分子量ポリエチレン繊維、
アラミド繊維、ポリエステル繊維のいずれかを使用し、
接着層を介して樹脂フィルムを積層することによって、
高負荷下で発生するベルト歯部にかかる歯飛びの不良現
象を防止することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯付ベルトの概略斜視図である。
【図2】歯付ベルトの走行試験装置の概略図である。
【符号の説明】
A 歯付ベルト 1 心線 2 背部 3 歯部 4 歯布 7 緯糸 8 経糸 9 ゴム 10 接着層 11 樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 尚信 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って所定間隔で配置したゴ
    ムを基材とした複数の歯部と、心線を埋設したゴムを基
    材とした背部を有し、前記歯部の表面に歯布を被覆し、
    前記歯布表面に接着層を介して樹脂フィルムを積層して
    なる歯付ベルトにおいて、前記歯布の緯糸又は経糸のい
    ずれか一方が、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド
    繊維、ポリエステル繊維のいずれかである歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニト
    リルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合した配合ゴム
    である請求項1に記載の歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニト
    リルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を総ポリマーに対し
    て15〜40質量部添加した請求項1又は2に記載の歯
    付ベルト。
  4. 【請求項4】 前記接着層が水素化ニトリルゴム又はウ
    レタンエラストマーのいずれかで形成されている請求項
    1〜3のいずれかに記載の歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 前記接着層がニトリルゴムとエチレンプ
    ロピレン三元共重合体を混合したものである請求項1〜
    3のいずれかに記載の歯付ベルト。
  6. 【請求項6】 前記超高分子量ポリエチレン繊維の分子
    量が、10万〜300万である請求項1〜5のいずれか
    に記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 前記歯付ベルトの背面硬度が、80度
    (JISA型硬度計)以上である請求項1〜6のいずれ
    かに記載の歯付ベルト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107216555A (zh) * 2017-05-16 2017-09-29 宁波丰茂远东橡胶有限公司 低延伸性汽车多楔带
JP2020093881A (ja) * 2018-12-12 2020-06-18 Nok株式会社 歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルト

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JP2020093881A (ja) * 2018-12-12 2020-06-18 Nok株式会社 歯付ベルトの製造方法及び歯付ベルト
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