JP2003307599A - 電子線照射装置 - Google Patents

電子線照射装置

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JP2003307599A
JP2003307599A JP2002112798A JP2002112798A JP2003307599A JP 2003307599 A JP2003307599 A JP 2003307599A JP 2002112798 A JP2002112798 A JP 2002112798A JP 2002112798 A JP2002112798 A JP 2002112798A JP 2003307599 A JP2003307599 A JP 2003307599A
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electron beam
electrons
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irradiation
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Katsuhiro Ono
勝弘 小野
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】解決しようとする課題は、被照射体通路の全周
囲から低エネルギー電子線を照射する方式であって、電
子線に含有されるX線を減少させた純化した電子線を被
照射体に照射して、被照射体の内部に生物学的影響や光
学的な影響を与えない、安価で処理能力を高めたコンパ
クトな電子線照射を実現することである。 【解決手段】本発明では、被照射体通路と同軸の円錐状
の軌道を走行する加速された電子を、円板状の電子透過
窓を通過させた後に、これと同軸的に設けられた磁石を
用いて被照射体通路に向かって集中させるとともに、前
記の電子透過窓の前方に設けた同軸コリメータを用いて
X線の分布を制限することによって、被照射体通路内の
被照射体に純化された電子線のみを照射するようにして
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、粒状物体の表面の
滅菌や、粒状又は線状物体の表面に塗布した樹脂の硬化
等を行うために、これらの被照射体に電子線を照射する
装置であって、特に、電子線に混入して放出されるX線
の線量を減少して被照射体の内部への悪影響を無くした
電子線照射処理ができることを特徴とするコンパクトな
低エネルギー電子線照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の面照射型の電子線照射装置は、公
開特許公報、特開平11−19190号に記載されてい
るように、固定されたドラム管状の真空容器の中に直線
状の金属フィラメントを取付け、これを通電加熱するこ
とによって放出される熱電子を500kV以下の電圧で
加速し、前記の金属フィラメントと並行に設けられた薄
い金属箔で出来た平板状の電子透過窓を透過させて、略
大気圧下にある被照射体に電子線を照射するようになっ
ている。従来の電子線照射装置の概略の横断面図を図1
1に示している。図11において、1001は真空容器
であり、1003は電子銃構造体であり、1002は電
子銃構造体1003等を支持するターミナルであり、1
004は陰極フィラメントであり、1005はグリッド
であり、1006は電子を透過させる電子透過窓であ
る。陰極フィラメント1004から放出された電子がグ
リッド1005に印加された電位差で加速され、更に電
子透過窓1006との間に印加された500kV以下の
電位差で加速されて電子透過窓1006を透過する。透
過した電子線は照射室内において矢印1009の方向か
ら矢印1010の方向に落下する被照射体1011に照
射される。この装置は大型であり、電子線が一方向にの
み照射されるようになっているのでシート状の被照射体
に電子線を照射する場合には適するが、粒状や線状の物
体や気体に電子線を照射するのには適さない。このよう
な場合には、例えば、公開特許公報、特開平10−26
8100号に記載のように粒状の被照射体1011を傾
斜面上で転がしながら電子線を照射する方法や、図11
に示すように粒状の被照射体を鉛直下方に落下させなが
ら横方向から電子線を照射する方法等が採用されてい
る。このような場合に、粒状の被照射体の全表面に均一
には電子線を照射できないだけでなく、粒状の被照射体
が電子透過窓に衝突して電子透過窓が破損する事故が頻
発する問題があった。更に、電子線の吸収によって加熱
された電子透過窓の熱が被照射体を過熱して被照射体を
変質させる不都合があった。
【0003】被照射体が例えば殻付きの穀物等の表面を
殺菌する場合などでは、穀物の内部に生物学的な影響を
与えてはならない。又、被照射体が光ファイバのように
長い導光体である場合には、内部の伝光特性に悪影響を
与えてはならない。特に、被照射体が光ファイバの場合
には伝光距離が長いので、内部に着色等の光学的な変化
が僅かでも生じれば、伝光特性の劣化が起こりやすい。
このような悪影響を防止するために電子線の加速エネル
ギーを100keV程度に抑え、電子線の最大飛程を表
面の20μm程度に限定するのが好ましい。しかしなが
ら、従来の電子線照射装置では、上述のように陰極フィ
ラメント1004、グリッド1005、電子透過窓10
06、被照射体1011とが同一方向に配列されてお
り、陰極フィラメント1004から放出された電子が前
記のように加速されてグリッド1005や電子透過窓1
006やその周辺に衝突した場合に制動輻射によるX線
の発生が避けられず、電子透過窓1006を透過した電
子線にはX線が混入しているので、このX線が上記の被
照射体の内部に侵入して上記のような生物学的なもしく
は光学的な悪影響を被照射体に与えるのを避けることが
出来ない。
【0004】更に、電子透過窓1006から放出された
電子線の内で被照射体1011に衝突しなかった電子線
が被照射体通路の壁1008、1012等に衝突した場
合にも制動輻射によってX線が発生し、このX線が被照
射体1011の内部に侵入して上記のような生物学的な
もしくは光学的な付加的な悪影響を被照射体に与えるこ
とになる。上記のような目的の場合には、電子線を一方
向から照射したのでは、被照射体の反対方向の表面は電
子線が到達しないので、被照射体の両側から対向して照
射する方法が考えられるが、この場合には、上述の場合
よりも混入するX線の影響が大きくなる場合が多かっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、殻付きの穀物等の表面を殺菌することや光ファイバ
の表面に塗布した樹脂の硬化処理をすること等を目的と
してこれらの被照射体に電子線を照射する場合に、この
電子線に混入して放射されたX線がこれらの被照射体に
到達しないようにして、被照射体の内部に悪影響を与え
ない電子線照射処理ができるコンパクトな電子線照射装
置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、高真空状態
に維持された真空領域内に設けられた環状の陰極から放
出された電子を、環状の電子通過孔を有する陽極との間
で加速して円錐状の軌道で走行させ、前記の真空領域の
外部に取り出す為の環状の電子透過窓を透過させた後
に、透過した電子を円筒状の領域を有する被照射体通路
の全周方向からこの円筒状の領域に向かう方向に偏向さ
せる電子集中手段を用いることにより、被照射体通路内
を通過する被照射体の全表面に均一に電子線を照射し
て、狭いスペースに於いて高速の照射処理ができるよう
になっている。
【0007】上記の電子集中手段の一つとして前記の被
照射体通路と同軸的に配設した磁石を用いることによ
り、被照射体通路の中心軸に平行な磁束密度成分と被照
射体通路の中心軸に向かう磁束密度成分とを有する空間
を形成し、この空間に電子を走行させて、これらの磁束
密度成分と電子との相互作用により、電子が走行するに
従って中心軸の回りでの回転力を受けるとともに被照射
体通路に近づくようになっている。
【0008】一方、加速された電子の一部が前記の電子
透過窓やその周辺の構造体に衝突したときに制動輻射さ
れるX線は、その進路が環状のコリメータによって制限
されて前記の被照射体通路の内部に到達しないようにな
っている。このようにして、電子線が進行する電子パス
とX線が進行するX線パスとが分離され、実質的に純化
された電子線のみが前記の被照射体通路内に侵入して前
記の被照射体に照射されるようになっている。ここで、
電子パスは電子の実質的な通路を、X線パスはX線の実
質的な通路を意味している。
【0009】前記の被照射体が粒状物体である場合に
は、前記の被照射体は、前記の被照射体通路内の円筒状
の領域を被照射体移送器によって鉛直下方に移動させら
れるとともに、被照射体移送器にある多数のガス噴出口
から高速度で噴出する圧縮ガスによって高速度で回転さ
せられる。この円筒状の領域の外周から均一に電子線が
照射されるので、この粒状の被照射体の表面は電子線の
みによって均一に照射処理される。電子線のエネルギー
が100keV程度の場合には、被照射体の表面層の密
度がおよそ1g/cmとすると、照射された電子線は
およそ0.1mmよりも深くは進入しないし、上述のよ
うに、この電子線には電子線よりも深部に侵入するX線
が実質的に含まれていないので、被照射体の内部に生物
学的な又は光学的な悪影響を与えることがないようにな
っている。
【0010】本発明の特許請求項1に係わる電子線照射
装置は、真空領域を形成する真空容器と、この真空領域
の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出され
た電子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段に
よって加速された電子を前記の真空領域の外部に透過さ
せる電子透過窓と、この電子透過窓を透過した電子が照
射される被照射体を通過させる被照射体通路と、前記の
電子透過窓を透過した電子が前記の被照射体通路と同軸
的に分布して進行する電子パスをこの電子に混入して放
射されたX線が進行するX線パスから実質的に分離する
パス分離手段とを含んで構成されていることを特徴とす
るものである。この発明を採用することによって、前記
の電子透過窓を透過して前記の被照射体通路の全周にわ
たって均一に分布しながら前記の被照射体通路に接近す
る電子線に含まれるX線を分離して、X線を実質的に含
まない電子線を容易に取り出すことが出来るので、この
純化された電子線を被照射体の表面に均一に照射するこ
とにより、被照射体の限定された表面層よりも内部にお
いては生物学的な影響も光学的な影響も与えずに、表面
層のみに目的とする電子線照射を行えるようになった。
【0011】本発明の特許請求項2に係わる電子線照射
装置は、請求項1に記載の装置において、前記の被照射
体通路の一部を取り囲んで設けられた第1の筒状遮蔽体
と、この第1の筒状遮蔽体と遮蔽ギャップを有して対向
して設けられた第2の筒状遮蔽体とを含んでおり、前記
の電子は前記の遮蔽ギャップを通って前記の被照射体通
路内に侵入する様に構成されたことを特徴とするもので
ある。前記の被照射体通路は、前記の遮蔽ギャップ以外
の位置において前記の第1の筒状遮蔽体と前記の第2の
筒状遮蔽体で覆われており、前記の電子もこれに含まれ
るX線も前記の遮蔽ギャップの部分以外では前記の被照
射体通路内に侵入出来ないようになっている。電子線は
前記の遮蔽ギャップの位置において前記の被照射体通路
の全周囲から入射される。前記の遮蔽ギャップ内には前
記のX線が侵入しないようにできるので、前記の遮蔽ギ
ャップを通過して前記の被照射体通路内に侵入する電子
線の線量に対するX線の線量の含有率は低減できる。こ
の発明を採用することによって、前記の被照射体通路内
を通過する被照射体に、実質的にX線を含まない純化さ
れた電子線を照射でき、被照射体の内部には生物学的な
影響も光学的な影響も与えないで表面層のみの処理がで
きる。
【0012】本発明の特許請求項3に係わる電子線照射
装置は、請求項1又は請求項2に記載の装置において、
前記のパス分離手段は、前記の電子透過窓を透過した電
子を前記の被照射体通路の内部に向かわせるように偏向
する電子集中手段を含んで構成されていることを特徴と
するものである。この発明を採用することによって、前
記の電子透過窓を透過して略大気圧下を進行する電子が
前記の被照射体通路の全周囲から前記の被照射体通路内
に集中して導かれて、この被照射体通路内の限られた領
域内において前記の被照射体に多量の電子が照射され
る。又、前記の電子線に混入したX線は偏向されないの
で容易に分離することが出来、前記の被照射体通路内に
在る被照射体に実質的にX線を含まない純化された電子
線が照射され、この純化された電子線はそのエネルギー
で決るごく浅い部分で吸収されてしまい、深部には生物
学的な影響も光学的な影響も与えないように出来た。
【0013】本発明の特許請求項4に係わる電子線照射
装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の
装置において、前記のパス分離手段は、前記の電子透過
窓を透過した電子に混入して放射されたX線が前記の被
照射体通路の内部に到達するのを実質的に防止できるよ
うにX線の分布を制限するX線分布制限手段を含んで構
成されていることを特徴とするものである。本発明を採
用することによって、前記の電子透過窓を透過した電子
に含まれるX線は前記のX線分布制限手段によって前記
の被照射体通路の開口部を避けるように進行方向が限定
されて前記の被照射体通路内に侵入できないようになっ
ているので、このX線が被照射体に照射されることが無
く、電子線のエネルギーで決るごく浅い部位よりも深い
部位には被照射体に生物学的な影響も光学的な影響も与
えないように出来た。
【0014】本発明の特許請求項5に係わる電子線照射
装置は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の
装置において、前記の電子パスは前記の遮蔽ギャップの
位置において前記の被照射体通路と実質的に交叉し、前
記のX線パスは前記の遮蔽ギャップの位置において前記
の被照射体通路と実質的に交叉しないように構成された
ことを特徴とするものである。本発明を採用することに
よって、前記の電子透過窓を透過して略大気圧下を前記
の被照射体通路と同軸的に分布して進行する電子線は前
記の被照射体通路内に導かれ、前記の電子透過窓を透過
して略大気圧下を前記の被照射体通路と同軸的に分布し
て進行するX線は前記の遮蔽ギャップ以外の位置に導か
れて遮蔽され、前記の被照射体通路内に侵入することが
出来ないので、前記の被照射体通路内に在る被照射体に
実質的にX線を含まない純化された電子線のみが照射さ
れ、被照射体は電子線の最大飛程で決るごく浅い部分で
吸収されてしまい、深部には生物学的な影響も光学的な
影響も与えないように出来た。
【0015】本発明の特許請求項6に係わる電子線照射
装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の
装置において、前記の被照射体通路内の被照射体に吸収
される電子の線量に対する前記の被照射体通路内の被照
射体に吸収されるX線の線量の比率が、前記のパス分離
手段によって小さくされたことを特徴とするものであ
る。ここで言う被照射体通路内とは前記の被照射体が存
在し得る空間のことである。本発明を採用することによ
って、前記のパス分離手段を用いて電子の純化が実質的
に行われることになり、従来の電子線照射に比べて、電
子線の最大飛程で決るごく浅い部位よりも深い部位にお
いては被照射体に生物学的な悪影響も光学的な悪影響を
も与えないように出来た。
【0016】本発明の特許請求項7に係わる電子線照射
装置は、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の
装置において、前記の電子透過窓と前記の被照射体通路
とは実質的に共通な中心軸を有しており、前記の電子集
中手段はこの中心軸に対して実質的に軸対称に分布する
磁束を有する磁石を含んでいることを特徴とするもので
ある。本発明を採用することによって、前記の電子透過
窓を通過した電子のみを前記の被照射体通路の周方向に
均等に分布した状態で前記の被照射体通路内に向かって
偏向できる電子集中手段を簡単な構造で実現できた。
【0017】本発明の特許請求項8に係わる電子線照射
装置は、請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の
装置において、前記のX線分布制限手段は、原子番号が
大きな材質からなるX線吸収層と、このX線吸収層の表
面に設けられており、原子番号が小さな材質からなる電
子線吸収層とを含んでいることを特徴とするものであ
る。本発明を採用することによって、電子がこのX線分
布制限手段に衝突した場合には、表面に設けられた電子
吸収層で実質的に全ての電子が吸収されて新たにX線を
発生することが実質的に無いし、前記の電子透過窓を透
過したX線がX線分布制限手段に侵入した場合には、こ
のX線は表面に設けられた電子線吸収層を透過してその
深部にあるX線吸収層で実質的に全量吸収される。前記
のX線分布制限手段はX線の分布を前記の遮蔽ギャップ
を含まない同軸的な領域に制限するが、特定の角度を成
した方向にX線を放出できる放射スペースがあり、前記
の電子透過窓を通過した電子がこの放射スペースを通っ
て前記のX線分布制限手段を通過した後に、前記の電子
集中手段によって前記の被照射体通路内に導かれる。
【0018】本発明の特許請求項9に係わる電子線照射
装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の
装置において、前記の電子透過窓を透過した電子の内で
前記の被照射体に衝突しない電子が衝突する位置にある
部分は原子番号が鉄よりも小さな材質でできていること
を特徴とするものである。本発明を採用することによっ
て、前記の電子透過窓を透過した電子の内で前記の被照
射体に衝突しなかった電子が衝突する壁の全部又は一部
が、従来の電子線照射装置で通常使われていた鉄材より
も小さな原子番号の材質でできているので、X線の発生
が少なく、全体としてX線の発生量が減少しており前記
の被照射体の内部への生物学的又は光学的な悪影響が実
質的に無くなっている。前記の壁がグラファイトのよう
に原子番号が小さく、耐熱性がある材質で出来ているこ
とがより好ましい。
【0019】本発明の特許請求項10に係わる電子線照
射装置は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載
の装置において、前記の電子透過窓を透過した電子の内
で前記の被照射体に衝突しない電子が衝突する位置にあ
る部分の表面が、その内部の材質よりも原子番号が小さ
な材質で実質的に覆われていることを特徴とするもので
ある。本発明を採用することによって、前記の電子透過
窓を透過した電子の内で前記の被照射体に衝突しなかっ
た電子が衝突する構造体の表面がより小さな原子番号の
材質で覆われており、その表面層の厚さを前記の電子の
最大飛程よりも厚くしておくとX線の発生が比較的少な
く、ここで発生したX線がごく微量である為に前記の被
照射体の内部への生物学的及び光学的な悪影響が実質的
に無くなっている。本発明は、機械的強度等の設計上の
理由等によって前記の構造体全体を原子番号が小さな材
質で構成できない場合に好都合である。また、壁の表面
に同軸状の凹凸を設けておくと、壁から発生する二次X
線の方向を限定するのに都合がよい。
【0020】本発明の特許請求項11に係わる電子線照
射装置は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記
載の装置において、前記の陰極と、前記の電子加速手段
と、前記の電子透過窓と、前記の被照射体通路と、前記
のパス分離手段とが実質的に同軸に構成されていること
を特徴とするものである。本発明を採用することによっ
て、簡単な構造でありながら、前記の電子透過窓を透過
した電子に混入したX線を除外して純化した電子のみを
効率良く前記の被照射体に照射することができる。又、
前記の陰極やこれを絶縁して支持する構造体等の直径を
小さく保った状態で、簡単な構造でありながら、電子ビ
ームを円錐状に走行させて前記の被照射体通路に近づけ
ることができ、前記の被照射体通路の全周囲から周方向
に均一な密度の純化した電子線を被照射体に照射できる
ので、装置全体がコンパクトになり、狭い設置場所に於
いて処理能力を高めた電子線照射装置を実現できた。
【0021】本発明の特許請求項12に係わる粒状物体
の殺菌方法、及び粒状物体殺菌装置は、請求項1乃至請
求項11のいずれか1項に記載の電子線照射装置を使用
して低エネルギー電子線を粒状物体の表面に照射するこ
とを特徴とする方法、及び装置である。本発明を採用す
ることによって、実質的にX線を含有しない低エネルギ
ー電子線を照射でき、穀物の内部に生物学的な影響を与
えないで表面の滅菌ができる。穀物のような食料品は極
度に安全性が求められるが、本発明の電子線照射装置を
使用することによって極めて安全に表面の滅菌を行う事
ができるようになった。
【0022】本発明の特許請求項13に係わる光ファイ
バの製造方法、及び光ファイバ製造装置は、請求項1乃
至請求項11のいずれか1項に記載の電子線照射装置を
使用して低エネルギー電子線を光ファイバの表面に照射
することを特徴とする方法、及び装置である。本発明を
採用することによって、実質的にX線を含有しない低エ
ネルギー電子線を照射でき、光ファイバの内部に光学的
な影響を与えないで表面の樹脂の硬化処理等を行うこと
ができ、光ファイバの伝送特性に影響を与えることなく
高速度に光ファイバを製造することができるようになっ
た。光ファイバでは長い距離を光が伝播するので、光フ
ァイバの内部にごく僅かな着色等の光学的な影響を受け
ても全体として伝送特性への影響が懸念されるので、こ
のような悪影響の可能性を排除した本発明は極めて有効
である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態で
ある電子線照射装置の縦断面図であり、図2は図1の一
部分を拡大して表した図面であって本発明の作用を説明
する為の断面図であり、図3は図1のAA’の矢印方向
から見た横断面図であって本発明の作用を説明する為の
図面であり、図4は電子集中手段としての電磁石の構造
と磁束の分布の例を表す縦断面図であり、図5から図7
までは本発明の原理を説明する原理図であり、図8は本
発明の主要構成要素であるX線分布制限手段の一例を表
した縦断面図(a)と正面図(b)であり、図9は本発
明の他の実施形態である電子線照射装置の縦断面図であ
り、図10は図9の一部を拡大して表した縦断面図であ
り、図11は従来の電子線照射装置を示す横断面図であ
る。同じ部分は同じ番号を付与している。簡略化の為に
断面のハッチングは部分的に省略している。
【0024】図1に示す様に、真空容器1は、排気管1
6に接続された図示しない真空ポンプによって排気され
て常時10−6〜10−8Torr程度の真空度に保た
れた真空空間101の領域を形成している。真空空間1
01内において真空容器1の壁に絶縁筒13が取り付け
られており、絶縁筒13の他端には環状の電子銃取付台
14が固定されている。電子銃取付台14には環状の取
付金具17を介して環状の陰極2と外側引出電極301
と内側引出電極302とが同軸状に取り付けられてい
る。外側引出電極301は陰極2よりも径が大きく、陰
極2の外側から陰極2を覆っており、内側引出電極30
2は陰極2よりも径が小さく、陰極2の内側から陰極2
を覆っている。これらの先端部は環状の隙間303を形
成しており、陰極2から放出された電子の一部が環状に
分布して通過するようになっている。外側引出電極30
1と内側引出電極302には陰極2に対して正の電圧が
印加され、電子引出電極3を構成している。
【0025】陰極2を支える電子銃取付台14は環状の
セラミックからなる絶縁筒13に支えられており、絶縁
筒13は同軸的に構成されたカバー18、19、20、
21によって覆われており、電子の走行方向から絶縁筒
13が全く見えないようになっており、浮遊電子が絶縁
筒13に帯電するのを防いでいる。これによって、絶縁
筒13の耐電圧が向上し、安定な動作をするようになっ
ている。
【0026】環状の陰極2は六硼化ランタン等の電子放
出面を有しており、環状構造体の内部に取り付けられた
図示しないヒーターによって加熱されて熱電子を放出す
る。環状の陰極2及びヒーターには高電圧リード線15
から−100kV程度の負の高電圧が印加される。高電
圧リード線15は図示しない高電圧端子を介して外部の
図示しない高電圧電源に接続されている。電子引出電極
3は陰極2に対して正のバイアス電圧が印加でき、この
バイアス電圧は前記の高電圧電源によって可変でき、陰
極2から放出される電子の量をすばやく制御できるよう
になっている。
【0027】前記の電子引出電極3に対向した位置に、
環状の電子通過孔401を形成して陽極構体4と陽極リ
ング5が同軸状に設けられている。陽極構体4と陽極リ
ング5は、電子通過孔401を有する陽極を構成して、
前記の電子引出電極3との間で電子を加速するようにな
っており、これらは電子加速手段を構成している。内側
引出電極302と外側引出電極301の、陽極構体4と
陽極リング5に対向する表面は180度よりも大きくな
っており、逆に、陽極構体4と陽極リング5の、内側引
出電極302と外側引出電極301に対向する表面は1
80度よりも小さくなっている。このために、環状の隙
間303を通過した電子は電子分布を広げながら加速さ
れて電子通過孔401を通過するようになっている。
【0028】陽極構体4は、真空容器1と被照射体通路
10の境界を形成する円筒403に同軸的に取り付けら
れている。円筒403には、これと直交する平板で出来
た平板部402が気密に取り付けられており、平板部4
02は真空容器1の一部分を構成している。円筒403
は真空容器1を貫通した状態で大気圧になった被照射体
通路10の一部を形成しており、被照射体通路10内に
電子線やX線が入射するのを防止する第1の筒状遮蔽体
の一部を形成している。図1に示した平板部402には
放射状に設けられた多数の孔405があり、孔405は
前記の電子通過孔401と繋がっており円錐状の電子通
路406を形成している。前記の個々の孔405の間に
は図示しない隔壁があり、機械的強度を保つとともにそ
の内部を流れる水によって強制冷却されている。孔40
5の近傍には環状の冷却水路が設けられており、強制冷
却されるようになっている。
【0029】陽極構体4及び陽極リング5と平板部40
2との間に位置し、これらと絶縁された状態で、被照射
体通路10の中心軸を中心として平板部402の隔壁と
並行して放射状に配列された電流検出線501が設けら
れており、加速された電流の一部を検出できるようにな
っている。検出された電流は気密に保持された導電端子
502を介して図示しない高電圧制御回路に入力され、
この入力値に応じて電子引出電極3を構成する外側引出
電極301,内側引出電極302の電位が制御されて、
陰極2の電子放出面から放出される電流が制御されるよ
うになっている。陰極2からの電流放出は空間電荷制限
領域で行われるようになっている。これらにより、陰極
2の温度変化や、陰極2の変形や変位による加速電流へ
の影響が実質的に無視できるとともに、電流の遮断や、
立ち上げは速やかに行えるようになっている。
【0030】図1に示すように、前記の平板部402の
表面に電子透過窓構体6が取り付けられている。電子透
過窓構体6の中央には貫通した穴があり、被照射体通路
10の一部を形成している。前記の平板部402と電子
透過窓構体6との間はO―リングなどによって気密に接
続されている。電子透過窓構体6には多数の窪み601
と、これと連通した部分を有する環状の溝602が設け
られており、これらは前記の電子通路406の一部を成
している。これらの近傍に環状の冷却水路603が設け
られており、強制冷却されるようになっている。個々の
窪み601の間には図示しない隔壁があり、機械的強度
を保つとともに、冷却水を通過する水路が設けられてい
る。前記の電子通路406と被照射体通路10の間の環
状部分604は被照射体通路10内に電子線やX線が入
射するのを防止する第1の筒状遮蔽体の一部を形成して
いる。
【0031】図1に示すように、電子透過窓構体6の環
状溝602の端部には環状の電子透過窓7が電子ビーム
溶接等により気密に取り付けられており、真空容器1の
一部として高真空状態に保たれた真空空間101を成す
真空領域を形成している。電子透過窓7は、厚みが10
μm程度のチタニューム箔で出来ており、100keV
のエネルギーを持って入射した電子のおよそ50%を透
過することができる。
【0032】図1に示すように、電子透過窓7の外側に
は、従来この分野でよく使われていたステンレス鋼等の
鉄材よりも原子番号が小さいアルミニュームやカーボン
等の非磁性の材質で表面が覆われた照射室壁11があ
り、前記の被照射体通路10よりも大きな半径の部分を
有する照射室空間111を形成している。前記の電子透
過窓7の外側表面に対向した位置において、電子集中手
段として作動する電磁石8が照射室壁11の外側に取り
付けられている。電磁石8は、被照射体通路10と同軸
的に設けられた環状の第1の磁極802と、これと同軸
的に設けられており、第1の磁極802よりも大きな径
を持った環状の第2の磁極801と、この間に巻かれた
コイル803と、第2の磁極801の先端部分に設けら
れた内側半径がより小さい先端磁極804とを有してお
り、電子集中手段を構成している。
【0033】電磁石8によって生じる磁束805の分布
の例を図4に示している。図4に示すように、前記の第
1の磁極802、第2の磁極801、先端磁極804の
形状により、電子透過窓7に近い側に円錐状に広がった
磁束分布を呈している。第1の磁極802の内径は電子
透過窓7の内径と同程度か若しくはよりも小さくなって
おり、第2の磁極801と先端磁極804の内径は電子
透過窓7の外径よりも大きくなっている。
【0034】粒状の被照射体に適した図1に示す実施形
態では、電磁石8の外側には遮蔽体12が設けられてお
り、X線の遮蔽をしている。被照射体通路10は装置全
体を貫通しており、この被照射体通路10の内部に被照
射体移送器151が配設されており、図示しないポンプ
によって窒素等の気体が送り込まれ、周囲に空けられた
多数のガス噴出口153から窒素等の気体が外側の被照
射体通路10内に噴出するようになっている。粒状の被
照射体100は被照射体通路10の通路内壁154と、
被照射体移送器151の外表面152とで囲まれた通路
空間155内で転がりながら鉛直下方に移送される。こ
の通路空間155にある粒状の被照射体100は、前記
のガス噴出口153から高速度で噴出されたガスが衝突
して高速度で回転させられるようになっている。このよ
うに、被照射体100は高速度で自転しながら鉛直下方
に移送される。被照射体移送器151、通路内壁154
の表面は鉄材よりも原子番号が小さいアルミニュームや
カーボン等の非磁性の材質で出来ており、これらの表面
に入射した電子によってX線が発生し難いようになって
いる。
【0035】照射室空間111内に於いて、X線の進行
可能範囲を限定してX線分布制限手段として機能する同
軸コリメータ30が、電子透過窓7に対向してこれと同
軸状に設けられている。同軸コリメータ30は図8に縦
断面図(a)と正面図(b)で示す構造となっている。
図8に於いて、リング状構体31と同軸的に複数の環状
の筒32が環状の放射スペース34を有して設けられて
おり、これら複数の環状の筒32の間には複数の支持板
33が設けられており、この支持板33によって環状の
筒32とリング状構体31とが機械的に支持されてい
る。支持板33の幅は小さく、その数も少ないので放射
スペース34内では電子は中心軸の回りの回転と進行が
できるようになっている。
【0036】リング状構体31はタングステンやモリブ
デン等のように原子番号が大きくてX線の減衰率が大き
い材質で出来ており、電子透過窓7から電子線に混入し
て放出されたX線を透過できないようになっている。環
状の筒32も同様の材質で出来ており、厚みが1〜2m
m程度であって100keV程度のエネルギーを有する
電子線の制動輻射によって生じるX線は実質的に透過で
きないようになっている。リング状構体31、環状の筒
32、支持板33の表面にはグラファイトなどのように
原子番号が鉄よりも小さく、X線が発生しにくく、且
つ、耐熱性に優れた材質で覆われており、この部分に入
射した電子線が実質的に全て吸収され、X線は実質的に
発生しないようになっている。
【0037】被照射体通路10及び第1の磁極802と
同軸状に、第2の筒状遮蔽体160が設けられており、
その先端部分は円(R,Z)で表される。これは、
原子番号が大きくX線の遮蔽効果が大きいタングステン
等で出来ていて、電子やX線を通過させないようになっ
ている。前記第1の筒状遮蔽体の先端は円(R
)で表され、第2の筒状遮蔽体160とギャップを
もって同軸状に対向しているリング状構体31の先端と
一致している。ここで、半径座標RとRはほぼ同じ
値になっているが、ある程度は異なった値であっても良
い。Z座標ZとZ にはΔZの異差があり、円
(R,Z)と円(Z,R)の間は隙間がΔZの
遮蔽ギャップ170を形成している。電子線もX線も遮
蔽ギャップ170に到達すれば被照射体通路10内に侵
入できるようになっている。
【0038】上記の第1の筒状遮蔽体を構成する、円筒
403、環状部分604、リング状構造体31の表面と
第2の筒状遮蔽体160の表面の、電子が入射する可能
性がある部分は鉄材よりも原子番号が小さいアルミニュ
ームやカーボン等の非磁性の材質で出来ており、その内
部はタングステンやモリブデンのようなX線の遮蔽効果
が大きな材質で出来ていて、X線がこの部分を通過して
被照射体通路10内に侵入することがないようになって
いる。又、これらの表面に入射した電子によってX線が
発生し難いようにもなっている。
【0039】図8に示す様に、リング状構造体31と環
状の筒32の内で少なくとも半径が小さいものは外側に
広がった構造となっており、電子透過窓7から電子に混
じって放出されるX線は遮蔽ギャップ170に到達でき
ない。図2に示す様に、同軸コリメータ30の環状の放
射スペース34は第2の筒状遮蔽体160の先端部を表
す円(R,Z)と、これよりも大きな半径Rを持
つ円(R,Z)とを見込むような開口を持ってお
り、電子透過窓7又はこれよりも陰極2に近い位置から
放射されるX線は、その分布をこの範囲に限定され、被
照射体通路10の遮蔽ギャップ170に到達することは
ない。この領域に限定されたX線が照射室壁11に衝突
した場合にも、照射室壁11に吸収され、ここで二次X
線が発生し難いように照射室壁11の表面の材質が選定
されている。更に、X線が発生したとしても遮蔽ギャッ
プ170に到達しないように進行方向を限定できる図示
しないリング状凹凸面又は傾斜面を有している。
【0040】図1のAA’から見た横断面図の主要部を
図3に表している。図3においては、見易くする為に同
軸コリメータ30は省略している。図1から図3に示す
ように、前記の照射室空間111と前記の被照射体通路
10の間には被照射体隔壁156があり、粒状の被照射
体100が被照射体隔壁156を通り抜け出来ないよう
になっている。したがって、被照射体100が照射室空
間111に進入出来なくなっており、前記の電子透過窓
7に接触することは無い。被照射体隔壁156は中心軸
C-C’に平行な狭い幅の多数のスリット157を有して
おり、照射室空間111と前記の被照射体通路10との
間の開口率は80%以上になっているので、照射室空間
111から遮蔽ギャップ170に飛来する電子は大部分
が被照射体通路10内に進入して、回転しながら通過す
る被照射体100の表面に吸収される。
【0041】被照射体隔壁156の表面はグラファイト
のように原子番号が鉄よりも小さくてX線発生率が小さ
な材質で表面が覆われており、一部の電子が被照射体隔
壁156に衝突してもX線が実質的に発生しないように
なっている。被照射体隔壁156に衝突した電子は被照
射体隔壁156に吸収されて熱に変わるが、被照射体隔
壁156の熱伝導と前記の高圧ガスの吹き付けによる強
制冷却効果等で温度上昇が低く抑えられている。高圧ガ
スの吹き付けによって被照射体100は被照射体隔壁1
56に接触するが、被照射体隔壁156の温度が低く成
っており被照射体100を変質させることは無いように
している。又、環状の電子透過窓7は被照射体通路10
と直交した平面内に含まれる様に配設されているので、
電子透過窓7が電子の吸収によって高温度になっても、
その輻射熱が被照射体100に至り難くなっている。被
照射体100に与えられる熱は少量であり、被照射体1
00は高圧ガスの吹き付けによって高速回転するととも
に冷却されるので温度上昇は低く抑えられる。
【0042】以下において、電子透過窓7を透過した電
子を被照射体通路10内の領域に集中させる電子集中手
段の作用について図2から図7を参照して述べる。被照
射体通路10の中心軸C-C’と直交して同軸的に配設さ
れた環状の電子透過窓7を図5に模式的に示している。
ここで、Z軸は被照射体通路10の中心軸C-C’と一致
しており、図1の下側が正の座標になっており、R軸は
半径方向を表している。図5に示すように任意の点の座
標を円柱座標(r、θ、z)で表す。電子透過窓7上の
点P(r、θ、z)において、半径方向に角度
φだけZ軸に対して傾斜して、真空領域に在る円錐状
の電子通路406から電子が入射した場合を考える。入
射した電子は電子透過窓7内でエネルギーを減少すると
ともに散乱されて図5に示すように点P(r
θ、z)とZ軸を含む平面内、及びこれと直交する
面の方向に立体的に広がった指向性の速度分布を有して
電子透過窓7の外側の大気圧領域である照射室空間11
1に進入する。
【0043】図5の点P(r、θ、z)とZ軸
を含む平面における断面図を図6の(a)に、これと直
角な方向の断面図を図6の(b)に示している。図6の
(a)の角度φはRZ平面内における電子の散乱角度
を示しており、半径方向散乱角と呼ぶ。図6の(b)に
おける角度φはRZ平面に垂直な面内における電子の
散乱角度を示しており、横方向散乱角と呼ぶ。100k
eVの運動エネルギーを持って初速度vで角度φ
け傾斜して電子透過窓7に入射した電子は、20keV
程度のエネルギーを減少させて透過した電子の初速度が
幾分減少する。これをvとすると、透過電子のR,
θ、Z方向の速度成分v、vθ、vは、それぞれ、
=v・sin(φ−φ)・cos(φ)、
θ=―v ・cos(φ−φ)・sin
(φ)、v=v・cos(φ−φ)・cos
(φ)で表される。
【0044】環状の電子透過窓7の外側には電子集中手
段として作動する前記の電磁石8が、その中心軸がZ軸
に一致するように設けられており、電子透過窓7の内側
の近傍及び外側では図4に示すように半径方向の磁束密
度成分B,Z軸方向の磁束密度成分Bをもった磁束
805が存在するので、この領域に入った電子は概略e
(v−v)の回転力が中心軸の回りに与え
られることになる。ここで、vとvは電子のZ方向
速度成分とR方向速度成分を、eは素電荷をそれぞれ表
している。電子が電磁石8に近づくに従って強い回転力
を与えるように磁束密度の各成分B,Bの空間分布
を与えておくと、電子は電磁石8に近づくにつれて強い
正方向回転力を受けてZ軸の周りで正方向に回転しよう
とする。図7の(a)には、Z軸の回りで正方向回転し
ている電子が磁束密度成分、B,Bによって受ける
力の方向を模式的に示している。この場合には電子は正
方向に回転しながらZ軸方向に減速され、半径が縮小す
る方向に力を受けることになる。図7の(b)には、Z
軸の回りで負方向に回転している電子が磁束密度成分、
,Bによって受ける力を示している。この場合に
は電子はZ軸の回りで負方向に回転しながらZ軸方向に
加速され、R軸の方向に発散されることになる。電子透
過窓7を透過した直後の電子のθ方向速度vθが図6の
(b)における負方向である場合には正方向回転が強調
され、電子はZ軸方向に向かう力を受けながらZ軸に近
づいてゆく。θ方向速度vθの影響でZ軸から逸れた軌
道となるが、この電子の軌道は、磁束密度成分、B
がゼロの場合に比べてZ軸への最近接距離が小さく
なっている。この様子を模式的に図2、図3に示してい
る。
【0045】図2は、−100kVの電圧が印加された
環状の陰極2から放出されておよそ−99.7kVが印
加された電子引出電極3によって均一な電子密度をもっ
て引き出されて、環状の隙間303を通過した後、環状
の電子通過孔401を形成して接地電位に設定された陽
極構体4、陽極リング5から成る陽極によって加速され
た電子ビーム701がコーン状の軌道で真空領域の電子
通路406を走行し、環状の電子透過窓7を透過して8
0keVの運動エネルギーをもって大気圧領域に於いて
半径方向散乱角φと横方向散乱角φをもって散乱さ
れた電子の軌道をRZ平面に投影して模式的に表してい
る。
【0046】図3において、真空領域に在る電子通路4
06を通って電子透過窓7に近づいてくる電子の軌道の
代表例が軌道701に示されている。環状陰極2の平均
半径の部分から走行して点P(r、θ、z)に
おいて電子透過窓7に入射して半径方向散乱角φと横
方向散乱角φとをもって散乱された電子の大気圧領域
に於ける軌道を模式的に軌道702に示している。これ
らの電子の軌道702は前記の電磁石8が無い場合、つ
まり磁束密度Bが0の場合には、大気圧下における散乱
の影響を無視すると、図2の軌道702’で示す様に大
略直線状に進行するので被照射体100に到達しない。
しかしながら、図2と図3から判るように、電磁石8の
磁束密度Bが最適な値に設定された場合には、前記の電
子集中手段の効果によって電子軌道が702に示される
様に遮蔽ギャップ170を通るように曲げられて、被照
射体100に照射されるようになる。このように、電磁
石8を設けることによって電子軌道のZ軸への最近接距
離が小さくできるので被照射体通路10の外周表面に垂
直に近づいた角度で接近し、被照射体100への電子の
命中率は向上する。一方、θ方向の初速度vθが図6の
(b)における正方向である場合にも前記の磁束密度に
起因する正方向回転力が電子の進行とともに大きくな
り、電子は正方向回転を行うようになって上記と同様の
集中効果を生じることになる。
【0047】以上において代表的な動作条件での電子軌
道の説明を行ったが、半径方向散乱角φが異なった場
合や透過電子のエネルギーが異なった場合などについて
も同様な効果があるので、本発明の電子集中手段として
の電磁石8を設けることによって、電子透過窓7を透過
した電子の、遮蔽ギャップ170の位置にある被照射体
100への命中率が全体として改善され、電子透過窓7
における電子密度を高めることなく被照射体100に多
量の電子を照射することができる電子線照射装置を実現
できる。
【0048】上述のように、電子集中手段の例である電
磁石8の電子集中効果により、電子透過窓7を透過した
電子がRZ平面内の方向にも、Rθ平面内の方向にも遮
蔽ギャップ170の位置にある被照射体100に近づく
様に偏向されるので、被照射体100に照射される電子
は増加することが実験によって確かめられている。図3
に示すように、被照射体通路10の全周囲から同様に集
中された電子が多数の被照射体100に照射される。多
数の粒状の被照射体100は前述のように高速度で自転
しながら被照射体通路10の外周領域をZ軸の方向に移
動するので、個々の被照射体100の全表面に均一に照
射される。照射される電子の運動エネルギーは80ke
V程度と低い為に被照射体100の表面のみで吸収さ
れ、深部には到達しない。照射される電子には前記のX
線が実質的に含まれていないので、被照射体100の内
部には生物学的な影響などは受けないようになってい
る。また、電子透過窓7の表面は被照射体通路10の中
心軸Zと直交しているので、電子透過窓7からの輻射熱
は被照射体100に到達し難くなっている。
【0049】次に、図9及び図10を用いて被照射体が
光ファイバ等の細長い物体である場合に適した実施形態
について述べる。図1と同じ部分は同じ番号を付してお
り、説明を省略する。図9の電子線照射装置では被照射
体通路10の直径が小さくなっている。第1の筒状遮蔽
体は同軸コリメータ30のリング状構体31と円筒40
3で構成されている。第1の筒状遮蔽体の先端部は円
(R,Z)で表され、これに距離ΔZ離れて対向し
た円(R,Z)を端部とする第2の筒状遮蔽体16
0が設けられている。ここで、半径R,Rはほぼ同
じ値であるが、ある程度の異差が在ってもよい。Z座標
,Zの差はΔZであり、これらの円(R
)、(R,Z)の間は遮蔽ギャップ170を形
成している。被照射体通路10と照射室空間111の間
には図1に示す被照射体隔壁156は無いが、被照射体
が遮蔽ギャップ170の長さΔZよりも長いので、被照
射体が被照射室空間111に入ることはない。したがっ
て、これらの円を端部とする円筒の内部が被照射体通路
10の一部を成している。第1の筒状遮蔽体の一部分を
構成するリング状構体31と同軸に複数の環状の筒32
が設けられており、複数の環状の筒32の間は複数の放
射スペース34を形成して支持板33で固定されてい
る。支持板33は図8で示すのと同様に周方向に大きな
空隙を持って間欠的に設けられており、この空隙を通っ
て電子が周回しながら通過できるようになっている。
【0050】図1、図2で示す粒状物体の照射処理に適
した装置と同様に、リング状構体31はタングステンや
モリブデン等の原子番号が大きく、X線の減衰率が大き
い材質で出来ており、電子透過窓7から電子線に混入し
て放出されたX線を透過できないようになっている。環
状の筒32は、同様の材質で出来ており、厚みが1〜2
mm程度であって100keV程度のエネルギーを有す
る電子線の制動輻射によって生じるX線は実質的に透過
できないようになっている。全ての環状の筒32、リン
グ状構体31、支持板33、第2の筒状遮蔽体160、
照射室壁11などで、電子が到達する部分の表面はグラ
ファイトなどのように原子番号が鉄よりも小さく、X線
が発生しにくく、且つ、耐熱性に優れた材質で覆われて
おり、この部分に入射した電子線が実質的に全て吸収さ
れ、X線の発生が実質的に起こらないようになってい
る。
【0051】陰極2とリング状構体31の外側端部と円
(R,Z)は実質的に同一の円錐面に含まれ、夫々
の環状の筒32は被照射体通路10に同軸で平行な面を
有する筒状構造となっており、その間の放射スペース3
4の半径方向の間隔は外側に位置するほど大きくなって
いる。内側に位置する環状の筒32の外側端面と、その
すぐ外側に位置する環状の筒32の内側端面とを結んで
できる円錐面の延長面703はZ座標がZの位置にお
いて円(R,Z)より半径が大きな円を通ってお
り、電子透過窓7、又はその近傍、又は真空容器1の内
部で発生したX線は円錐703よりも外側に限定されて
おり、被照射体通路10の遮蔽ギャップ170に位置す
る部分には到達できないようになっている。
【0052】一方、前記のように、陰極2から放出され
て加速された電子は円錐状の真空内の軌道701を通っ
て電子透過窓7を透過した電子は前記のように散乱され
るとともに前記の放射スペース34を周回移動しながら
通過して、電子集中手段を構成する電磁石8によって遮
蔽ギャップ170の方向に偏向された軌導702を成し
て、遮蔽ギャップ170を通過して被照射体通路10内
を通過する被照射体100の表面に吸収される。
【0053】被照射体100が光ファイバの場合には光
信号が伝送されるコアの部分は着色等の光学的な変化が
発生することは避けなければならない。従来の電子線照
射装置から照射される電子線にはX線が含まれており、
電子線の深部線量率曲線には所謂バックグランドがある
ことが知られている。本発明の電子線照射装置ではX線
の進行方向と電子線の進行方向とが完全に分離されてお
り、X線は被照射体100に向かわないようになってお
り、電子線が入射する被照射体100以外の部分の表面
は前記の様にX線が発生し難くなっているので、電子線
が純化された状態で光ファイバに照射されてその表面で
吸収され、コアの部分には何ら影響を与えないようにな
っている。
【実施例】次に本発明の電子線照射装置の作用及び効果
について図1に示す粒状被照射体に適した装置の場合に
ついて実施例を用いて更に説明する。被照射体通路10
の内径が10cmであり、電子透過窓7が、厚みが10
μmで、外径が16cmで内径が12cmのチタニュー
ムの環状薄膜で穴付きの円盤状に構成されており、その
表面積が88cmであり、電子がこの表面に均一に広
がって入射するの場合について述べる。電子透過窓7に
は放射状のフィンが多数個取り付けられており、電子透
過窓7の機械的強度を保つとともに、冷却効果を持たせ
ている。このような薄膜に信頼性を保って許容される電
子入射パワー密度は20W/cm程度であるので、本
実施例で許容される入力パワーは1760Wである。入
射電子のエネルギーが100keVである場合には、1
7.6mAの電流に相当する。入射した電子のおよそ5
0%が電子透過窓7で吸収され、残りのおよそ50%程
度が運動エネルギー80keVをもって透過する。透過
した電子のパワーは704Wである。被照射体100が
半径2.5mmの球形であり、密度が1.2g/cm
であるとすると、電子線が進入する深さはおよそ40μ
mであるので、電子線が照射される部分の1個当りの体
積は0.0031cmであり、この部分の質量は0.
0037gである。前記の電子集中手段としての電磁石
8を用いない場合において、透過した電子のパワーの8
%が被照射体100に命中するものとし、被照射体1個
当りに2KGyの線量を照射する必要がある場合には、
1分間に35Kgの被照射体を処理できることになる。
【0054】電子集中手段として作動する電磁石8を取
り付けて最適の磁束密度を与えると、前述のように被照
射体100への命中率が3倍以上に改善される。一方、
同軸コリメータ30を取り付けた場合、電子透過窓7を
透過した電子のおよそ30%が放射スペース34を通過
し、他の電子は環状の筒32やリング状構体31の表面
で吸収される。環状の筒32やリング状構体31には窒
素ガスが吹き付けられて強制冷却されている。このよう
にして、電子集中手段とし作動する電磁石8によって被
照射体に集中して照射効率が向上する分が同軸コリメー
タ30の追加によってほぼ打ち消されることになる。し
かしながら、被照射体100に照射される電子線が、混
入していたX線がほぼ完全に除去された状態となってい
ることの意義は大きい。
【0055】この電子線照射装置1台の全長はおよそ5
0cmであるので直列に装置を接続して使用すると被照
射体100の照射線量はそれだけ増強できる。例えば、
5台を直列に接続すると、装置の全長は2.5mになる
が、被照射体100の照射線量は10KGy以上に増強
され、十分な照射線量を得ることや処理速度を高めるこ
とができる。更に処理能力を高める必要があれば、電子
透過窓7の面積を大きくして電子透過窓7に入射する電
子の分布を広げ、電子透過窓7における電子密度を小さ
く保った状態で電子透過窓7を透過させ、透過した電子
を前記の電子集中手段で被写体100に命中させること
によって容易に達成できる。電子透過窓7における電子
の分布を広げることは、例えば電子分散手段として作動
する電子引出電極3を構成する、外側引出電極301の
外表面と内側引出電極302の外表面の成す角度を18
0度よりも大きくし、陽極構体4の表面と陽極リング5
の表面の成す角度を180度よりも小さくし、この範囲
内でこれらの角度を適正化すること等によって容易に実
現できる。
【0056】本発明を実施形態及び実施例に関連して説
明したが、本発明は、ここに例示した実施形態及び実施
例の構造及び形態に限定されるものではなく、本発明の
精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形
態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えること
ができることを理解されたい。例えば、電子集中手段と
しての電磁石8は永久磁石に替えても良いことは勿論で
ある。更に、好ましくは無いが、陰極2を楕円形や方形
や長方形等に形成しても類似の効果が得られるので、本
発明に含まれるのは当然である。図1に示す本実施形態
では陽極構体4と陽極リング5に挟まれてできる電子通
過孔401や、電子透過窓7が円形の場合を示している
が、これらの形状を変えた場合も本発明に含まれるのは
当然である。図1の実施例では、陰極2が被照射体通路
10を取り巻いて設けられた例を示しているが、反対
に、被照射体通路10が陰極2を取り囲む様に構成され
ており、電子ビームが陰極2よりも大きな径の被照射体
通路10に向かって進行するように構成した場合も本発
明に含まれる。電子放出部分がバリューム含浸ポーラス
タングステンである場合も本発明に含まれる。前記の陰
極を多分割して構成して全体として環状構造体に組立て
た場合も本発明に含まれる。電子透過窓7を透過した電
子が周方向に分割されていても、略軸対象性があれば同
軸的と見なせるので本発明に含まれる。ここに例示した
実施形態では電子透過窓が被照射体通路と直交する平面
の場合を示しているが、これに限定されるわけではな
い。外側引出電極301と内側引出電極302との間に
ある環状の隙間303にタングステン薄板などで出来た
メッシュを設けると電位分布がより好ましくなり、陰極
2から引き出される電子の密度分布をより均一にできる
が、この場合も本発明に含まれる。この分野で、加速エ
ネルギーが200keV以下の電子ビームは低エネルギ
ー電子線として扱われており、この範囲のエネルギーを
持つ電子線が本発明に含まれるのは当然である。本発明
に於いて、電子パスは電子線が進行する実質的な通路を
表しており、電子軌道と概ね同義であるが、大気圧下の
気体中での散乱等のミクロな動きは省略したマクロな意
味を持っている。同様に、本発明に於いて、X線パスは
X線が進行する実質的な通路を表している。
【発明の効果】以上説明したように本発明の電子線照射
装置を採用すると、線状や粒状の物体の表面に塗布した
樹脂の硬化、改質等の処理や、その表面の殺菌処理等を
目的としてこれらの被照射体に電子線を照射する場合
に、照射する電子線に含まれるX線を除去して被照射体
の内部に生物学的な影響や光学的な影響等を与えないで
目的の表面処理を行うことができる。更に、これらの処
理が狭い場所で高速度に行えるコンパクトで信頼性が高
い電子線照射装置を提供することができ、安価で処理能
力を高めた安全な電子線照射を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電子線照射装置の縦
断面図である。
【図2】本発明の実施形態の縦断面図である図1の一部
分を拡大した図面である。
【図3】本発明の実施形態の縦断面図である図1のA
A’の矢印方向から見た横断面図である。
【図4】本発明の電子集中手段として作動する電磁石の
構造と磁束の分布を表す断面図である。
【図5】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱を模式的に示している。
【図6】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱の角度関係を示している。
【図7】本発明の原理を説明する原理図であり、周回運
動する電子に磁束密度が及ぼす効果を示している。
【図8】本発明の主要構成要素であるX線分布制限手段
の一例を表した図である。
【図9】本発明の他の実施形態である電子線照射装置の
縦断面図である。
【図10】本発明の実施形態の縦断面図である図9の一
部分を拡大した図面である。
【図11】従来の電子線照射装置の概略横断面図であ
る。
【符号の説明】
1 真空容器 2 陰極 3 電子引出電極 4 陽極構体 5 陽極リング 6 電子透過窓構体 7 電子透過窓 8 電磁石 10 被照射体通路 11 照射室壁 12 遮蔽体 13 絶縁筒 14 電子銃取付台 15 高電圧リード線 16 排気管 17 取付金具 18 カバー 19 カバー 20 カバー 21 カバー 30 同軸コリメータ 31 リング状構体 32 環状の筒 33 支持板 34 放射スペース 100 被照射体 101 真空空間 111 照射室空間 151 被照射体回転移送器 152 被照射体移送器の外表面 153 ガス噴出口 154 被照射体通路内壁 155 通路空間 156 被照射体隔壁 157 スリット 301 外側引出電極 302 内側引出電極 303 環状の隙間 304 環状絶縁体 401 電子通過孔 402 平板部 403 円筒 405 放射状に設けられた多数の孔 406 電子通路 501 電流検出線 502 導電端子 601 放射状に設けられた多数の窪み 602 環状の溝 603 冷却水路 604 環状部分 701 真空容器内の電子軌道 702 真空容器外の電子軌道 702’ 真空容器外の電子軌道 801 環状の第2の磁極 802 環状の第1の磁極 803 コイル 804 先端磁極 805 等磁位曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 5/00 G21K 5/00 S 5/10 5/10 F L // A23B 9/00 A23B 9/00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空領域を形成する真空容器と、この真
    空領域の内部で電子を放出する陰極と、この陰極から放
    出された電子を加速する電子加速手段と、この電子加速
    手段によって加速された電子を前記の真空領域の外部に
    透過させる電子透過窓と、この電子透過窓を透過した電
    子が照射される被照射体を通過させる被照射体通路と、
    前記の電子透過窓を透過した電子が前記の被照射体通路
    と同軸的に分布して進行する電子パスをこの電子に混入
    して放射されたX線が進行するX線パスから実質的に分
    離するパス分離手段とを含んで構成されていることを特
    徴とする電子線照射装置。
  2. 【請求項2】 前記の被照射体通路と同軸に設けられた
    第1の筒状遮蔽体と、この第1の筒状遮蔽体と遮蔽ギャ
    ップを有して対向して設けられた第2の筒状遮蔽体とを
    含んでおり、前記の電子は前記の遮蔽ギャップを通って
    前記の被照射体通路内に侵入する様に構成されたことを
    特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
  3. 【請求項3】 前記のパス分離手段は、前記の電子透過
    窓を透過した電子を前記の被照射体通路の内部に向かわ
    せるように偏向する電子集中手段を含んで構成されてい
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子
    線照射装置。
  4. 【請求項4】 前記のパス分離手段は、前記の電子透過
    窓を透過した電子に混入して放射されたX線が前記の被
    照射体通路の内部に到達するのを実質的に防止できるよ
    うにX線の分布を制限するX線分布制限手段を含んで構
    成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか1項に記載の電子線照射装置。
  5. 【請求項5】 前記の電子パスは前記の遮蔽ギャップの
    位置において前記の被照射体通路と実質的に交叉し、前
    記のX線パスは前記の遮蔽ギャップの位置において前記
    の被照射体通路と実質的に交叉しないように構成された
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項
    に記載の電子線照射装置。
  6. 【請求項6】 前記の被照射体通路内の被照射体に吸収
    される電子の線量に対する前記の被照射体通路内の被照
    射体に吸収されるX線の線量の比率が、前記のパス分離
    手段によって小さくされたことを特徴とする請求項1乃
    至請求項5のいずれか1項に記載の電子線照射装置。
  7. 【請求項7】 前記の電子透過窓と前記の被照射体通路
    とは実質的に共通な中心軸を有しており、前記の電子集
    中手段はこの中心軸に対して実質的に軸対称に分布する
    磁束を有する磁石を含んでいることを特徴とする請求項
    3乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子線照射装
    置。
  8. 【請求項8】 前記のX線分布制限手段は、原子番号が
    大きな材質からなるX線吸収層と、このX線吸収層の表
    面に設けられており、原子番号が小さな材質からなる電
    子線吸収層とを含んでいることを特徴とする請求項4乃
    至請求項7のいずれか1項に記載の電子線照射装置。
  9. 【請求項9】 前記の電子透過窓を透過した電子の内で
    前記の被照射体に衝突しない電子が衝突する位置にある
    部分は原子番号が鉄よりも小さな材質でできていること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記
    載の電子線照射装置。
  10. 【請求項10】 前記の電子透過窓を透過した電子の内
    で前記の被照射体に衝突しない電子が衝突する位置にあ
    る部分の表面が、その内部の材質よりも原子番号が小さ
    な材質で実質的に覆われていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電子線照射装
    置。
  11. 【請求項11】 前記の陰極と、前記の電子加速手段
    と、前記の電子透過窓と、前記の被照射体通路と、前記
    のパス分離手段とが実質的に同軸に構成されていること
    を特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に
    記載の電子線照射装置。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項11のいずれか1
    項に記載の電子線照射装置を使用して低エネルギー電子
    線を粒状物体の表面に照射することを特徴とする粒状物
    体の殺菌方法、及び粒状物体殺菌装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項11のいずれか1
    項に記載の電子線照射装置を使用して低エネルギー電子
    線を光ファイバの表面に照射することを特徴とする光フ
    ァイバの製造方法、及び光ファイバ製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008157702A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Stanley Electric Co Ltd 電子線・x線源装置およびエアロゾル分析装置
CN105097062A (zh) * 2015-09-11 2015-11-25 中广核达胜加速器技术有限公司 一种用于提高能量利用率的加速器扫描盒

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