JP2003307089A - 孔内を分割した地中熱採熱孔 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 還元井を不要にし、また採熱効率を改善させ
るため、孔内を分割し揚水部と注水部を隔離した地中熱
採熱孔を提供する。 【解決手段】 遮水材（４）を装着した隔壁（３）に揚
水管（１）を連通させて固定し、上部帯水層（７）と下
部帯水層（８）を分かつ位置に挿入し、ケーシング
（５）の上端に揚水管（１）と注水管（２）を連通させ
た密閉性の蓋（１０）を装着して孔内を分割したことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】この発明は、還元井を不要に
し、また採熱効率を改善させるため、孔内を分割し揚水
部と注水部を隔離した地中熱採熱孔に関するものであ
る。 【０００２】 【従来の技術】従来より、地中熱の採熱には、地中で熱
を賦与された地下水を汲み上げる「地下水利用方式」
と、採熱孔内で熱交換を行いその熱を水や不凍液を循環
させて運び出す「地中熱交換方式」が行われていた。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】これには次のような欠
点があった。 イ．地下水利用方式では、一般に利用後の排水は地下還
元が行われており、還元井掘削・設備費の負担が大きか
った。 ロ．地中熱交換方式では、採熱孔内に挿入した熱交換器
の周囲に温熱・冷熱が滞留し効率的な採熱を阻害してい
た。本発明は、これらの欠点を解決するために発明され
たものである。 【０００４】 【課題を解決するための手段】遮水材（４）を装着した
隔壁（３）に揚水管（１）を連通させて、接触部を遮水
したうえで固定する。その隔壁（３）と揚水管（１）
を、上部帯水層（７）と下部帯水層（８）を分かつ位置
に挿入する。そして、ケーシング（５）の上端に密閉性
の蓋（１０）を装着し、揚水管（１）と注水管（２）を
連通させたうえで接触部を遮水する。本発明は、以上の
構成よりなる、孔内を分割した地中熱採熱孔である。 【０００５】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 （イ）ケーシング（５）の内径よりわずかに小さい円柱
体の外周部に遮水材（４）を装着し隔壁（３）を作成す
る。 （ロ）隔壁（３）に揚水管（１）を連通させ、接触部を
固定・遮水する。遮水には遮水材・溶接などを適宜用い
る。 （ハ）隔壁（３）を装着した揚水管（１）を孔内（６）
の、上部帯水層（７）と下部帯水層（８）を分かつ位置
に挿入する。 （ニ）ケーシング（５）の上端にフランジ（９）および
蓋（１０）を装着し、揚水管（１）と注水管（２）を連
通させる。フランジ（９）と蓋（１０）、および揚水管
（１）・注水管（２）と蓋（９）の接触部を遮水し、孔
口を密閉する。 （ホ）隔壁（３）の構造および孔口の密閉方法は、十分
な遮水機能を持てば他の手段を用いることも可能であ
る。本発明は以上のような構造でこれを使用するとき
は、次のようにして同一孔内で地下水の揚水と還元が行
われる。揚水管（１）からの揚水によって、隔壁（３）
の下側の密閉空間には負圧が働き下部帯水層（８）から
地下水の流入が促進される。汲み上げられた地下水は、
直接循環またはヒートポンプの熱源として利用された
後、注水管（２）から隔壁（３）の上側の密閉空間に注
水される。このときこの密閉空間は加圧され、上部帯水
層（７）への地下水還元が促進される。 第２実施の形態 地下水利用方式において、水質などの問題によって特定
の帯水層に還元する場合は、図２に示すように孔内
（６）に上部隔壁（１３）と下部隔壁（１４）を設置す
る。下部隔壁（１４）の下側から揚水管（１）によって
揚水された地下水は、熱源として利用された後、注水管
（２）から上部隔壁（１３）と下部隔壁（１４）との密
閉空間に注水され、中部帯水層（１５）に還元される。
その際上部隔壁（１３）の上側の空間および上部帯水層
（７）には影響を及ぼさない。 第３実施の形態 地中熱交換方式で採熱する場合は、図３に示すように隔
壁（３）に採熱管（１６）を連通させる。そして、隔壁
（３）の下側に水中ポンプ（１７）を設置し、揚水管
（１８）を連通させる。水中ポンプ（１７）の吸水口
（１９）から孔内水を吸入することにより、隔壁（３）
の下側の密閉空間に負圧が働き、下部帯水層（８）から
地下水の流入が生じ孔内水の流動が促進される。吸入さ
れた孔内水は揚水管（３）を移動し、隔壁（３）の上側
の密閉空間に放出されるため加圧が働き、上部帯水層
（７）への孔内水の流入が生じ孔内流動が促進される。
この結果、流動する孔内水が採熱管（１６）の周囲に滞
留する温熱・冷熱を運び去り効率的な採熱を継続させ
る。 【０００６】 【発明の効果】本発明を使用することによって、地下水
利用方式においては還元井が不要となり地下設備費が軽
減される。また、地中熱交換方式においては効率的な採
熱が継続され大きな熱量の温熱・冷熱の採取が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の孔内断面図 【図２】本発明の第２実施の形態を示す孔内断面図 【図３】本発明の第３実施の形態を示す孔内断面図 【符号の説明】 １ 揚水管 ２ 注水管 ３ 隔壁 ４ 遮水材 ５ ケーシング ６ 孔内 ７ 上部帯水層 ８ 下部帯水層 ９ フランジ １０ 蓋 １１ 地盤 １２ 地下水・孔内水の流れ １３ 上部隔壁 １４ 下部隔壁 １５ 中部帯水層 １６ 採熱管 １７ 水中ポンプ １８ 揚水管 １９ 吸水口 ２０ 電源ケーブル

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】遮水材（４）を装着した隔壁（３）に揚水
   管（１）を連通させて固定し、上部帯水層（７）と下部
   帯水層（８）を分かつ位置に挿入し、ケーシング（５）
   の上端に揚水管（１）と注水管（２）を連通させた密閉
   性の蓋（１０）を装着して孔内を分割した地中熱採熱
   孔。