JP2003300800A - Iii族元素窒化物半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents

Iii族元素窒化物半導体ウェーハの製造方法

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JP2003300800A
JP2003300800A JP2003109345A JP2003109345A JP2003300800A JP 2003300800 A JP2003300800 A JP 2003300800A JP 2003109345 A JP2003109345 A JP 2003109345A JP 2003109345 A JP2003109345 A JP 2003109345A JP 2003300800 A JP2003300800 A JP 2003300800A
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gan
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Akira Usui
彰 碓井
Yoshinari Matsumoto
良成 松本
Akira Sakai
酒井  朗
Haruo Sunakawa
晴夫 砂川
Masashi Mizuta
正志 水田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪みや欠陥、転位が少なく、また厚い膜であ
ってもクラックが入りにくいGaN結晶膜を提供する。 【解決手段】 サファイア基板上に複数の成長領域を形
成するようにストライプ状にパターニングされたマスク
を有し、この成長領域から成長したGaN結晶がマスク
を介して隣合う成長領域から成長したGaN結晶と合体
してマスクを覆って成るGaN結晶膜であって、マスク
上の結晶領域に、ストライプ方向に沿って走る複数の転
位が基板面のほぼ法線方向に配列した欠陥を有し、スト
ライプ方向に対して垂直な断面で見たとき、基板面にほ
ぼ平行な方向に伝播してきた転位が、マスク上で結晶が
合体した箇所の近傍において基板面のほぼ法線方向に伝
播しているGaN結晶膜。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サファイア基板上
にエピタキシャル成長により形成されたGaN結晶膜、
及びこのGaN膜を用いて作製された半導体装置に関す
る。また本発明は、異種材料基板上にエピタキシャル成
長により形成されたIII族元素窒化物半導体ウェーハ
及びこのIII族元素窒化物半導体ウェーハを用いて作
製された半導体装置ならびにこれらの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】窒化ガリウム(GaN)は、禁制帯幅が
3.4eVと大きく、かつ直接遷移型であることから青
色発光素子材料として注目されている。 【0003】このGaN材料を用いた発光デバイスを作
製するための基板材料としては、成長させるエピタキシ
ャル層と同じ物質のバルク結晶、すなわちGaNのバル
ク結晶を用いることが望ましい。しかしながら、GaN
結晶では、窒素の解離圧が高いことからバルク結晶が形
成しにくく、GaNからなるバルク結晶基板の作製は非
常に困難である。そのため、格子定数が比較的近いサフ
ァイア(Al)基板を用い、その上にGaNをエ
ピタキシャル成長している。このように従来は、格子定
数、熱膨張係数などの物理的性質、さらには化学的性質
においてもエピタキシャル層と全く異なる基板材料が用
いられてきた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このような異種基板上
にエピタキシャル成長を行うと、基板やエピタキシャル
層に歪みや欠陥が発生し、また、厚い膜を成長した場合
にはクラックが発生することが報告されている(ジャパ
ニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス
第32巻(1993)1528−1533頁(Jpn.
J.Appl.Phys.Vol.32(1993)p
p.1528−1533))。このような場合には、デ
バイスとしての性能が極端に悪くなるどころか、成長層
が粉々に破壊されるという結果をしばしば招いていた。 【0005】サファイア基板上に成長したGaN膜中の
転位構造と結晶品質の相関について、ジャーナル オブ
マテリアルズ サーチ 第11巻(1996)580
−592頁(J.Mater.Res.Vol.11
(1996)pp.580−592)に報告がある。 【0006】そこでは、(1)サファイア基板上のGa
N膜は、基板表面の法線に平行にc軸配向したアイラン
ド状結晶粒が互いに会合した結果形成されること、
(2)その際、個々の結晶は、c軸を回転軸として互い
にわずかな角度だけ回転しているため、結晶粒境界に転
位が形成されること、(3)これら転位がGaN結晶の
c面に平行な変位ベクトルを持つ貫通転位の起源である
こと等が記されている。 【0007】つまり、このような貫通転位がGaN結晶
膜中に存在するということは、GaN結晶膜が元の結晶
粒で区切られるドメイン状の形態を有し、且つGaN結
晶膜のc面に平行な結晶方位成分が各ドメインごとに乱
れた構造を有することを示しているといえる。これは、
GaN結晶膜が、モザイク構造を形成していることの現
れでもあり、結晶としての品質を高めるためには、c面
に平行な変位ベクトルを持つ転位の密度を極力低くしな
ければならないことを意味している。 【0008】このような問題を解決する方法として、特
開平8−64791号公報には、格子不整合系のエピタ
キシャル成長において、基板とエピタキシャル成長層と
の格子不整合により発生する転位を特定の場所に集中さ
せることを特徴とするエピタキシャル成長方法が開示さ
れている。この方法により、所望の領域での転位密度を
低減することができるので、半導体レーザなどの高品質
の結晶性を要求される半導体発光素子の作製が可能にな
ると記載されている。具体的には、最初の結晶成長でサ
ファイア基板上にアモルファスGaN膜を形成し、これ
をストライプ状にエッチングした後、2回目の結晶成長
でこのアモルファスGaN膜および基板上にGaN膜を
エピタキシャル成長させている。他の実施例としては、
上記アモルファスGaN膜に代えてSiO膜をストラ
イプ上に形成し、基板上にのみエピタキシャル層を成長
させている。 【0009】しかしながら、このような方法では、表面
にアモルファス領域を有しているため全面に均質な成長
層が得られなかったり、SiO膜部分で成長が起こら
ない領域を有しているため全面に平坦な成長層を得るこ
とができないため、素子形成箇所に制約が生じていた。 【0010】上記の問題に加えて、サファイア、炭化珪
素あるいはMgAlなどの基板材料はGaNエピ
タキシャル成長膜とは格子定数や結晶構造あるいは熱膨
張係数などの点で異なっており、エピタキシャル形成さ
れたウェーハにおいては反りの問題が深刻である。例え
ばサファイア基板を用いた場合には図14の断面図に模
式的に示すように大きな反りが見られる。反りの大きさ
は1インチ径基板の場合には中心部は外周部に較べてm
m単位での上に凸な状態になることもある(曲率半径が
70cm以下にもなることがある。)。 【0011】この反りの問題は先に述べた基板材料の種
類を代えたり、AlGaNやInGaNなどの混晶材料
やAlNやInN等のIII族元素窒化物半導体をGa
Nに代えてエピタキシャル成長しても程度の差こそあれ
事情に変わりはない。そこで以下ではサファイアを基板
材料としてGaNをエピタキシャル成長した場合を例に
とってもっぱら説明する。 【0012】ウェーハの反りが深刻な場合、例えば、後
の素子形成におけるリソグラフィ技術の適用において問
題が生じる。反りの大きな場合には製造プロセスにおけ
る少なくともリソグラフィの適用に先だってウェーハを
細分化する必要が生じる。例えば、5mm角程度に細分
化してからリソグラフィ技術を適用して電流注入用のス
トライプレーザ用の窓等を形成することが必要になる。 【0013】さて、ウルツ鉱型結晶構造を有するIII
族元素窒化物半導体の応用の一つには先に述べたように
青色系の光デバイスがある。特に高密度記録の書き込
み、読み出しが可能な青色レーザを光源としたデジタル
ビデオデイスク(DVD)への期待は大きい。このよう
な半導体レーザのファブリペロ共振器は一般に劈開によ
って形成される。例えばサファイア基板の上にGaNエ
ピタキシャル層を形成し、その上に窒素をV族元素とし
たIII族元素窒化物半導体でレーザ用ダブル・ヘテロ
(DH)構造をエピタキシャル法で形成し、前記リソグ
ラフィ技術における問題を克服してストライプ構造を形
成できたとしよう。その後のプロセスとしては電極等を
形成するわけであるが、最終的には一般に劈開によって
ファブリペロ共振器を形成しなければならない。 【0014】しかし、GaNエピタキシャル層とサファ
イア基板との劈開面のズレが大きい場合、サファイア基
板が存在したままできれいな劈開を行うことは非常に困
難である。そこで劈開に先だって、サファイア基板を研
磨等で除去することが必要となる。すなわち、リソグラ
フィ技術上の問題から小面積に切り刻んだウエーハの裏
面サファイアを研磨するという煩雑なプロセスが伴うこ
とになる。 【0015】また、たとえサファイア基板を残したまま
劈開が可能であったとしても絶縁物であるサファイア基
板101が裏面に存在するのでそのままでは裏面には電
極が形成できないため、DH構造の表面から部分的に掘
り込んだところ(電極形成層106)に電極102を形
成するというプロセスも必要となる。すなわち、図15
(a)(ファブリペロ共振器断面から見たレーザ構造の
断面概念図)に示すように裏面電極に代わる電極102
を形成する必要がある。なお、104は酸化珪素膜、1
05はレーザ光出射領域である。一方、サファイア基板
101が取り除かれていれば図15(b)のように表面
の電極103に対向して裏面に電極102を配置するこ
とができる。 【0016】さらに、ウェーハにサファイア等の厚い異
種材料基板がついていることによる反りの問題は、その
ウェーハ上にDH構造等をエピタキシャル成長する場合
にも生じる。特に、反りの大きなウェーハであるとホル
ダーに設置しにくいこと、ホルダーとウェーハ全体を接
触させることができないために、エピタキシャル成長時
にウェーハ面内で温度差が生じるといった問題も生じ
る。 【0017】そこで本発明の目的は、格子定数や熱膨張
係数が異なる異種基板上にエピタキシャル成長を行って
形成されたものであっても、歪みや欠陥、転位が少な
く、また厚い膜であってもクラックが入りにくい、Ga
N結晶膜、III族元素窒化物半導体ウェーハ及びその
製造方法を提供することである。 【0018】また本発明の目的は、エピタキシャル成長
により形成されたIII族元素窒化物半導体ウェーハ、
特にGaN結晶膜上に半導体素子構造を形成することに
より、優れた特性を有する半導体装置を提供することに
ある。 【0019】 【課題を解決するための手段】本発明は、サファイア基
板上に複数の成長領域を形成するようにストライプ状に
パターニングされたマスクを有し、該成長領域から成長
したGaN結晶が該マスクを介して隣り合う成長領域か
ら成長したGaN結晶と合体して該マスクを覆って成る
GaN結晶膜であって、該マスク上の結晶領域に、スト
ライプ方向に沿って走る複数の転位が基板面のほぼ法線
方向に配列した欠陥を有し、ストライプ方向に対して垂
直な断面で見たとき、基板面にほぼ平行な方向に伝播し
てきた転位が、該マスク上で結晶が合体した箇所の近傍
において基板面のほぼ法線方向に伝播している転位を有
することを特徴とするGaN結晶膜に関する。 【0020】また本発明は、基板面のほぼ法線方向に伝
播した前記転位がGaN結晶のc面に対して斜めに傾い
た方向の変位ベクトルを持つ転位であり、ストライプ方
向に沿って走る前記転位がGaN結晶のc面に平行な変
位ベクトルを持つ転位である上記本発明のGaN結晶膜
に関する。 【0021】また本発明は、GaN結晶のc面に対して
斜めに傾いた方向の変位ベクトルを持つ転位の密度に対
する、GaN結晶のc面に平行な変位ベクトルを持つ転
位の密度の比が、結晶成長初期の層領域に比べて上層領
域において小さい上記本発明のGaN結晶膜に関する。 【0022】また本発明は、前記欠陥が、前記マスク上
のストライプ方向の両端近傍と、前記マスク上で結晶が
合体した箇所の近傍に形成されている上記本発明のGa
N結晶膜に関する。 【0023】また本発明は、GaN結晶膜中の転位の5
0%以上がGaN結晶のc面に対して斜めに傾いた方向
の変位ベクトルを持つ転位であることを特徴とするGa
N結晶膜に関する。 【0024】また本発明は、GaN結晶膜中の転位の5
0%未満がGaN結晶のc面に平行な変位ベクトルを持
つ転位であることを特徴とするGaN結晶膜に関する。 【0025】また本発明は、GaN結晶膜中の転位の5
0%以上がGaN結晶のc面に対して斜めに傾いた方向
の変位ベクトルを持つ転位であり、GaN結晶膜中の転
位の50%未満がGaN結晶のc面に平行な変位ベクト
ルを持つ転位であることを特徴とするGaN結晶膜に関
する。 【0026】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の50%以上である層領域を有
することを特徴とするIII族元素窒化物半導体ウェー
ハに関する。 【0027】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に平行な変位ベクトルを持つ転位が、同じ層領域
中の転位の50%未満である層領域を有することを特徴
とするIII族元素窒化物半導体ウェーハに関する。 【0028】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の50%以上であり、該c面に
平行な変位ベクトルを持つ転位が50%未満である層領
域を有することを特徴とするIII族元素窒化物半導体
ウェーハに関する。 【0029】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の60%以上である層領域を有
することを特徴とするIII族元素窒化物半導体ウェー
ハに関する。 【0030】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に平行な変位ベクトルを持つ転位が、同じ層領域
中の転位の40%未満である層領域を有することを特徴
とするIII族元素窒化物半導体ウェーハに関する。 【0031】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の60%以上であり、該c面に
平行な変位ベクトルを持つ転位が40%未満である層領
域を有することを特徴とするIII族元素窒化物半導体
ウェーハに関する。 【0032】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の70%以上である層領域を有
することを特徴とするIII族元素窒化物半導体ウェー
ハに関する。 【0033】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に平行な変位ベクトルを持つ転位が、同じ層領域
中の転位の30%未満である層領域を有することを特徴
とするIII族元素窒化物半導体ウェーハに関する。 【0034】また本発明は、ウルツ鉱型結晶構造におけ
るc面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転位
が、同じ層領域中の転位の70%以上であり、該c面に
平行な変位ベクトルを持つ転位が30%未満である層領
域を有することを特徴とするIII族元素窒化物半導体
ウェーハに関する。 【0035】また本発明は、前記層領域を有する結晶膜
は、異種基板上に成長された結晶膜であって、該異種基
板上に複数の成長領域が形成するようにストライプ状に
パターニングされたマスクが設けられ、該成長領域から
成長した結晶が該マスクを介して隣り合う成長領域から
成長した結晶と合体して該マスクを覆って成る結晶膜で
ある上記本発明のIII族元素窒化物半導体ウェーハに
関する。 【0036】また本発明は、成長させる結晶とは異なる
材料からなる異種基板上に複数の成長領域を形成するよ
うにストライプ状にパターニングされたマスクを形成す
る工程、該マスクの表面の清浄化処理を行う工程、該成
長領域からファセット構造を形成しながら結晶成長さ
せ、該マスクを介して隣り合う成長領域から成長した結
晶と合体して該マスクを覆い、さらに該ファセット構造
を埋め込んで表面を平坦化するようにエピタキシャル成
長する工程を有することを特徴とするIII族元素窒化
物半導体ウェーハの製造方法に関する。 【0037】また本発明は、上記III族元素窒化物半
導体ウェーハを用いて作製された半導体装置に関する。 【0038】 【発明の実施の形態】<GaN結晶膜の成長方法>本発
明のGaN結晶膜の成長方法の一実施形態について図面
を参照して説明する。 【0039】初めに、サファイア基板1上にGaNを含
む下地結晶膜2を成長し、その表面上にフォトリソグラ
フィー法とウェットエッチング法を用いてストライプ状
のマスク4を形成し、成長領域3を形成する(図1
(a))。 【0040】マスク4は基板1上に直接形成してもよい
が、下地結晶膜2の形成により予め転位密度をある程度
低減することができ、後に形成するGaN結晶膜5の転
位構造をより効果的に制御できるため、この下地結晶膜
2は形成することが好ましい。このような下地結晶膜の
材料としては、GaN、AlN、AlGa1−x
(0<X<1)、InGa1−xN(0<X<1)な
どのIII族元素窒化物が好ましい。なお、前記下地結
晶膜の組成は必ずしも後にその上に形成するエピタキシ
ャル層の組成と同じである必要はなく、場合によっては
III族元素窒化物に限る必要もないが、上記エピタキ
シャル層と同じ結晶系でウルツ鉱型結晶構造を有する材
料が好ましい。このような下地結晶膜の厚さは0.5μ
m〜20μmが好ましい。薄すぎると十分な効果が得ら
れず、厚すぎるとクラックが発生しやすくなる。 【0041】このような下地結晶膜は、基板側から低温
バッファ層と高温成長層からなる多層構造とすることが
好ましい。低温バッファ層は、400〜600℃程度の
比較的低温で成長させるアモルファスに近い結晶層であ
り、これにより高密度の結晶核を形成することができ
る。膜厚は0.01〜0.1μm程度に薄く形成するこ
とが好ましい。高温成長層は、950〜1050℃程度
の比較的高温で成長させた高品質層である。 【0042】ここで、下地結晶膜の形成条件について一
実施形態を挙げて簡単に説明する。下地結晶膜の形成
は、有機金属気相成長法(Metal−Organic
Chemical Vapor Depositio
n:MOCVD)で形成することができる。下地結晶膜
の形成に用いるMOCVD装置は減圧装置の一種であ
り、一般に使用されているMOCVD装置を使用するこ
とができる。 【0043】低温バッファ層の形成にあたっては、ま
ず、サファイア基板をMOCVD装置の基板ホルダに設
置し、水素を流しながら数10Torr以上の減圧下で
900〜1100℃に基板温度を保持し、数分から30
分間の熱処理を行った。この目的は、基板のクリーニン
グにあり、水素圧力が高いほど良く、場合によっては1
気圧上でおこなってもよいが、減圧下で行うのは装置上
の制約からである。 【0044】その後、基板温度を400℃〜600℃に
降下させ、トリメチル・ガリウム(TMG)とアンモニ
ア(NH)を装置に導入して厚さ0.01μm〜0.
05μmのGaN低温バッファ層を形成した。低温バッ
ファ層の厚さの最適範囲については、低温バッファ層上
への高温成長GaN層の成長時における昇温時の結晶化
過程に影響するようで本発明者らの実験結果から得られ
た数値である。したがって、下地結晶膜の材料がGaN
でない場合や低温バッファ層上への高温成長層形成時の
昇温履歴や或いは昇温雰囲気が変われば、低温バッファ
層の厚さの最適範囲は変化すると考えられる。 【0045】低温バッファ層成長時に供給するIII族
元素Ga原料(TMG)に対するV族元素窒素原料(N
)のモル比(V/III比)は10000〜300
00が好ましい。CVD装置へのTMGの導入は、キャ
リアガスとして水素ないし窒素ガスを数百ml/分でT
MG液体原料にバブリングさせて行い、NH3は前記V
/III比になるように供給した。CVD装置には、必
要により、原料ガスに加えてキャリアガスとして窒素ガ
ス、さらに水素ガスを導入し、全圧力を30〜700T
orrとした。キャリアガスとしての窒素はアルゴンや
ヘリウム等の不活性ガスに置き換えてもよい。キャリア
ガスとしての水素は、低温バッファ層の結晶性に関わる
知見が得られており、全圧力の1/10〜1/3程度の
分圧にすることが好ましい。 【0046】低温バッファ層の成長条件は上記のように
比較的ゆるやかであり、この上層に高温成長層が形成さ
れ、多段階で下地結晶膜が形成される。 【0047】さらに低温バッファ層の形成条件の典型例
を示す。サファイア基板の水素中でのクリーニングは、
100Torrの減圧下、1000℃で10分間行っ
た。その後、450〜500℃へ降温し、アンモニアガ
スとTMGをV/III比=20000、水素キャリア
ガスをアンモニアガスの1.2倍、窒素キャリアガスを
アンモニアガスの2.6倍供給して成長を行った。低温
バッファ層の厚さは0.015μm〜0.04μmの範
囲に調整した。 【0048】なお、基板がSiCからなる場合のクリー
ニングは800℃で行ってもよく、基板がMgAl
からなる場合においても、サファイア基板に比べて低
温で行ってもよい。基板のクリーニング時の温度や時間
については、用いる基板によって適宜、選択すればよ
い。また、このような基板のクリーニングは必須の工程
ではないが、実施することが好ましい。このような基板
のクリーニングを行うことによって、低温バッファ層上
に形成される高温成長層の結晶性の再現性が良好にな
る。また、このクリーニングの代わりに、下地基板のバ
ッファ層形成装置へのローディング前に行う表面処理技
術を改良することによってもクリーニングを行った場合
と同様な効果が得られる可能性がある。 【0049】以上、下地結晶膜の形成についてGaNか
らなる下地結晶膜について説明したが、GaNを主体と
し、AlやIn、あるいはBを含んだ混晶としてもよ
い。なお、下地結晶膜の材料としてはGaNや、GaN
を主体としたものが好ましいが、種々の材料を適用する
ことができる。 【0050】このような多段階成長法により形成された
下地結晶膜により、基板界面から発生する転位がいっそ
う低減され、マスク上の結晶領域における転位制御をよ
り効果的に行うことができる。なお、低温バッファ層の
みを形成してその上にマスクを形成してもよく、またマ
スクを基板上に直接形成した後、成長領域にのみに低温
バッファ層を形成してもよい。 【0051】マスクの形状はストライプ形状が好まし
く、このときマスク14の厚さは0.01〜5μmが好
ましい。マスクの材料としては、SiOを用いること
が好ましいがこれに限られるものではなく、SiN
の絶縁体膜でもよい。 【0052】マスク14の幅は0.2μm〜2mmが好
ましい。マスク幅を広くすることにより下部結晶から貫
通してくる転位を効果的に遮蔽することができるが、広
くしすぎると、成長層の平坦化までに必要な膜厚が著し
く厚くなり、また、マスク上での異常成長や膜の反りが
起きやすくなるため、2mm以下とすることが好まし
い。一方、狭すぎると、下部結晶から貫通してくる転位
が十分に遮蔽できないだけでなく、ファセット構造が十
分に形成されず転位の制御が不十分となり、その結果、
本発明の特徴的な転位の形態を有するGaN結晶膜を得
ることが困難となる。このことから、マスク幅は0.5
μm〜1mmの範囲がより好ましく、1μm〜500μ
mがさらに好ましい。 【0053】また、成長領域3(開口部)の幅は、0.
01〜100μmの範囲にあることが好ましく、0.5
〜100μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好
ましい。広すぎると貫通転位が多くなるだけでなく、フ
ァセット構造が十分に形成されず転位の制御が不十分と
なり、その結果、本発明の特徴的な転位の形態を有する
GaN結晶膜を得ることが困難となる。これらマスク幅
をAとし成長領域の幅をBとした場合、B/(A+B)
の比は0.000005〜1が好ましく、0.0005
〜1がより好ましく、0.002〜0.9がさらに好ま
しい。 【0054】マスクのストライプの方向は、<11−2
0>方向もしくはこの方向と垂直な<1−100>方向
からそれぞれ30度以内の方向が好ましく、<11−2
0>方向もしくは<1−100>方向がさらに好まし
い。特に、HVPE法では、<11−20>方向もしく
は<1−100>方向、MOVPE法では、<11−2
0>方向が好ましい。 【0055】次に、成長領域3に対しGaN結晶のエピ
タキシャル成長を行う。マスク4の付いた基板をエピタ
キシャル装置の反応管に挿入して、水素ガス、窒素ガ
ス、または、水素と窒素の混合ガスとN原料ガスを供給
しながら基板を所定の成長温度まで昇温する。温度が安
定してからGa原料を供給して、成長領域3にGaN結
晶層を成長する。結晶成長方法は、Ga原料に塩化ガリ
ウム(GaCl)を用い、N原料にアンモニア(N
)ガスを用いる塩化物輸送法による気相成長(VP
E:Vapor Phase Epitaxy)である
ハイドライドVPE法が好ましいが、Ga原料に有機金
属化合物を用いる有機金属化合物気相成長(MOVP
E:Metal Organic Vapor Pha
se Epitaxy)を用いてもよい。 【0056】GaN結晶は、初期段階ではマスク4上に
成長せず、成長領域3のみで結晶成長が起こり、成長領
域上のGaN結晶には基板の面方位とは異なる面方位を
有するファセット6が形成される(図1(b))。この
ときのGaN結晶の成長条件はファセット構造が形成さ
れるように650℃から1100℃の成長温度、N原料
の供給量はGa原料の供給量に対し等倍から1000倍
の範囲で行うことが好ましい。 【0057】さらにエピタキシャル成長を続けると、G
aN結晶はファセット面に対して垂直な方向に成長が進
むため、成長領域だけでなくマスク4を覆うようにな
る。そして隣接する成長領域のGaN結晶のファセット
と接触する(図1(c))。 【0058】さらにエピタキシャル成長を続けると、フ
ァセットが埋め込まれ(図1(d))、最終的には、平
坦な表面を有するGaN結晶膜5を得ることができる
(図1(e))。 【0059】通常、サファイア基板上にGaN結晶の結
晶成長を行うと、基板との界面で発生した結晶欠陥にと
もなう転位は、界面と垂直方向に伸びるために、たとえ
エピタキシャル膜を厚くしても、転位の低減は見られな
い。 【0060】本発明における成長方法では、選択成長に
より成長領域にファセット構造を形成している。このフ
ァセットは成長速度が他の面より遅いために現れる。フ
ァセットの出現により転位がファセットに向かって進
み、基板と垂直に伸びていた転位が垂直な方向へ伸びる
ことができなくなる。転位はファセットの成長とともに
横方向に曲げられ、そのほとんどの転位は、結晶の端に
出てしまうか、閉ループを形成する。その結果、エピタ
キシャル膜の膜厚増加に伴い、上部の成長領域では結晶
欠陥が減少していく。これにより、エピタキシャル膜内
の欠陥の低減を図ることができる。このようにファセッ
ト構造を形成して成長することで、結晶欠陥を大幅に減
らすことが可能になる。 【0061】特に、Ga原料に塩化物を用いる塩化物輸
送法による気相成長では、GaN結晶の成長が速いた
め、ファセット構造のうち基板面と同じ面が消えるのが
はやい。したがって基板と垂直に伸びる転位は、はやく
からファセット構造のうち基板面と異なる面の方向に伸
びることになりGaN結晶における垂直に伸びる転位
(貫通転位)を大幅に減らすことができる。 【0062】なお、Ga原料に有機金属化合物を用いる
有機金属化合物気相成長では塩化物輸送法による気相成
長と比べて成長速度が遅くなるが、上述のようにのGa
N結晶のファセット構造のうち基板面と同じ面が速く消
えるようにすればよい。例えば成長領域に対するマスク
の面積を大きくすればマスク上からの成長種の供給量が
増えるため成長領域におけるGaN結晶の成長を速める
ことができる。 【0063】またGaNのエピタキシャル成長について
述べたが、InGaN膜、AlGaN膜あるいはInN
膜をエピタキシャル成長しても同様な効果が得られる。
さらに成長するこれらの結晶膜に不純物を添加しても同
様な効果が得られる。 【0064】上述のように、本実施の形態で得られるG
aN結晶膜は、結晶欠陥が大幅に減少しており、このG
aN結晶膜上に形成する半導体レーザ等の素子構造(G
aN結晶膜を含む積層構造)における結晶欠陥も大幅に
減少させることができる。このため、異種基板(例えば
サファイア基板)上に作製する積層構造の結晶性を改善
することができ、優れた特性を有する半導体レーザ等の
半導体装置を提供することができる。 【0065】また、このようなGaNの結晶膜の膜厚を
所望の厚さに成長した後、少なくともサファイア基板等
の異種基板を除去することで、好ましくは異種基板とマ
スクとGaN結晶膜の一部を除去することで、結晶欠陥
の少ないGaN結晶膜が得られ、これを基板として用い
ることで半導体レーザ等の素子を形成する上でさらに様
々な利点が得られる。 【0066】例えば、半導体発光素子の製造にGaN結
晶膜の基板を用いた場合は、サファイア基板等の絶縁性
の異種基板を用いた場合に問題となっていた半導体発光
素子における基板裏面への電極形成が可能になる。 【0067】さらに、GaN結晶膜からなる基板(Ga
N結晶膜基板)上に形成する半導体発光素子がGaN結
晶膜を含む半導体レーザの場合は、GaN結晶膜基板と
半導体レーザの積層構造との劈開面が同じであるため、
劈開による共振器ミラーの作製が可能となる。 【0068】なお、上記では、GaN結晶膜基板を用い
て素子を作製した場合の利点について説明したが、サフ
ァイア基板等の異種基板上に、前述の選択成長方法によ
り所望の厚さのGaN結晶膜を形成した後に半導体素子
構造を順次作製し、その後、この異種基板を除去するこ
とによっても、基板裏面への電極形成と、劈開による共
振器ミラーの形成が可能であることは言うまでもない。 【0069】サファイア基板等の異種基板上へのGaN
結晶膜形成時の膜厚としては、20μm〜1mmが好ま
しく、80μm〜500μmがより好ましい。 【0070】また、GaN結晶膜上に素子構造を形成す
る場合には、結晶成長する側のGaN結晶膜の面だけで
なく、異種基板付きGaN結晶膜から異種基板やマスク
等を削除した側、すなわちGaN結晶膜の異種基板側の
面を利用して素子構造を形成してもよい。この場合に、
異種基板とともに除去するGaN結晶膜の厚さは300
μm以下が好ましく、5〜150μmがより望ましい。 【0071】このようなGaN結晶膜を素子基板として
用いることにより、形成される半導体素子の積層構造の
結晶性を改善することができ、その結果、優れた特性を
有する半導体素子を提供することができる。 【0072】また半導体発光素子に適用した場合は、サ
ファイア基板で問題となっていた半導体発光素子におけ
る基板裏面への電極形成が可能になる。 【0073】さらに半導体発光素子が半導体レーザの場
合は、GaN結晶膜と劈開面が異なる異種基板上にレー
ザ構造を形成しても、劈開による共振器ミラーの作製が
可能になる。 【0074】次に、以上のようにして作製したGaN結
晶膜の結晶構造について詳細に説明する。 【0075】<転位の基本構造>まず、本発明の理解の
ために、GaN結晶中の転位の基本構造について説明す
る。GaN結晶は、六方晶単位格子から構成され、結晶
中の各方位を表す指数と転位構造の関係は図2のように
なる。一般に、六方晶構造を持つ結晶中には、転位によ
ってもたらされる原子間の変位ベクトルであるバーガー
スベクトルbとして、<11−20>/3、<0001
>、<11−23>/3の3種類が存在することが知ら
れている。 【0076】ここで、<11−20>/3は図2に示し
た六方晶格子のc面に平行なa軸ベクトルと等価なベク
トルで正負の符号を考慮すると6個存在し、<0001
>はc軸と等価で2個存在し、<11−23>/3はc
面に対して斜めに傾いた方向であり六角錐の稜a+cと
等価で12個存在する。 【0077】一本の転位に対して必ず一つのバーガース
ベクトルbが定義され、転位線の走る方向が変化したと
してもバーガースベクトルbの方向が変わることはあり
得ない。 【0078】転位のキャラクタを示す「刃状(edg
e)」、「螺旋(screw)」といった呼び名は、転
位線の走る方向に対してバーガースベクトルbがそれぞ
れ、垂直、平行な場合を示している。刃状と螺旋のキャ
ラクタが混ざった場合、すなわち転位線に対してバーガ
ースベクトルbが斜めのときは「混合(mixed)」
転位と呼ぶ。 【0079】こうした規則に従えば、六方晶格子の[0
001]方向(すなわちc軸方向)に沿って走った転位
は、バーガースベクトルb=<11−20>/3のとき
は刃状転位、バーガースベクトルb=<0001>では
螺旋転位、バーガースベクトルb=<11−23>/3
では混合転位であると定義付けられる。 【0080】転位の呼び方で注意すべき点は、一本の転
位内で、バーガースベクトルbの方向に対して転位線方
向が変化する場合である。転位は必ずしも図2に示すよ
うに真っ直ぐに走っているとは限らず、むしろ曲がって
いる場合が多い。ここで、極端な例として転位線が輪状
に形成されている場合を考えると、バーガースベクトル
bと平行に走る部分は螺旋転位となり、バーガースベク
トルbと垂直に走る部分は刃状転位となる。つまり、一
本の転位の中で複数の呼び名を持つことになる。そのた
め、曲がった転位は、バーガースベクトルbの方向で定
義しなほうがより正確である。特に、本発明のGaN結
晶膜中の転位は後に示すように折れ曲がった形態をもつ
ため、以下、本文中ではバーガースベクトルbの方向に
よる転位の定義付けも適宜行うものとする。 【0081】なお、一般的に、サファイア基板上のGa
N結晶膜は、六方晶格子のc軸に沿って成長し、通常、
膜中の転位はc軸に沿って走っている。すなわち、転位
線は膜を貫く形で存在しており、このような転位を、上
記の呼び名とは別の意味、すなわち膜の厚さ方向に貫く
転位の意味で「貫通転位」と呼んでいる。 【0082】<転位キャラクタの判別方法>次に、本発
明における転位キャラクタの判別方法について説明す
る。本発明においては、主に透過電子顕微鏡(TEM)
により転位の観察を行った。 【0083】一般に、転位をTEMにより観察する場
合、入射電子線に対してTEMサンプルを傾け、それに
よって優先的に励起された回折ビームを対物絞りで抽出
し結像させる手法を用いる。これは、TEMサンプル中
の特定の結晶格子面によって入射電子線を回折させるこ
とに対応している。この手法により観察されるTEM像
における転位のコントラストは、格子面による電子線の
回折条件が転位近傍で局所的に異なっていることに起因
している。つまり、転位近傍の格子面はその他の領域に
比べて局所的に湾曲しているため、転位の存在する部分
とそうでない部分では電子線のブラッグ反射条件が異な
り、TEM像中では転位線の形状に対応したコントラス
トが出現する。 【0084】実際のGaNの結晶構造は六方晶格子を持
つが、ここでは説明を簡単にするために、単純立方格子
を持つ結晶構造を用いて上記原理を説明する。単純立方
格子の結晶中に存在する転位の周囲の格子面の模式図を
図3に示す。この場合、紙面に垂直に走る刃状転位が存
在し(⊥の部分)、この転位は図示した方向にバーガー
スベクトルbを有している。 【0085】本図で注目すべき点は、バーガースベクト
ルbと平行な方向に法線ベクトルgAを持つ格子面Aは
転位の存在によってその付近で局所的に湾曲している
が、バーガースベクトルbと垂直な方向に法線ベクトル
gBを持つ格子面Bは転位線近傍でも湾曲していないこ
とである。 【0086】ここで、格子面Aを用いてTEM像を結像
した場合は、上述のブラック反射条件が転位線近傍とそ
の他の領域で異なるために転位線のコントラストが出現
する。これに対して格子面Bを用いてTEM像を結像し
た場合は、転位線による格子面の湾曲が存在しないため
に転位線のコントラストは出現しない。 【0087】つまり、TEM観察の際に選択された回折
格子面の法線ベクトル(「回折ベクトル」と呼ぶ。)g
と転位線のバーガースベクトルbが垂直である場合、す
なわち、それぞれのベクトルの内積がゼロ(回折ベクト
ルg・バーガースベクトルb=0)の場合に転位のコン
トラストが消滅することになる。 【0088】こうした原理を逆に利用すれば、未知の転
位キャラクタ(刃状、螺旋、混合)を決定することがで
きる。 【0089】図3の転位キャラクタが未知であるとして
以下に転位キャラクタの決定方法を説明する。ここで示
した結晶構造は単純立方格子なので、転位のバーガース
ベクトルは、格子面Aに垂直な方向、格子面Bに垂直な
方向、紙面に垂直な方向の3種類の内のいずれかであ
る。 【0090】まず、任意の格子面を用いてTEM観察を
開始する。例えば、格子面Aで電子線を回折させると
(回折ベクトルg)、TEM像中に出現したコントラ
ストからTEMサンプル中にどのような形で転位が存在
してるか、すなわち結晶に対する転位線の走っている方
向が決定される。この場合は、転位線はTEMサンプル
の表面法線(電子線の入射方向)に平行に走っているこ
とがわかる。なお、この観察条件で転位が観察されると
いうことは、そのバーガースベクトルbは格子面Bに垂
直な方向や紙面に垂直な方向ではないということもでき
る。 【0091】次に、同視野に対して別の格子面B(回折
ベクトルg)を用いて観察を行う。コントラストは消
失するが、このことから転位のバーガースベクトルbは
回折ベクトルgに垂直な方向を持っていることが一義
的に判明し、結果として図示したバーガースベクトルb
の方向が決まる。 【0092】最終的に、この場合は、転位線方向に対し
てバーガースベクトルbは垂直であるため、転位が刃状
転位であることがわかる。 【0093】上記の例は最も簡単な単純立方格子中の刃
状転位の場合であったが、この原理は図2に示した六方
晶格子やそれ以外の結晶格子中に存在するあらゆる転位
にも同様に適用でき、GaN結晶中に存在する転位キャ
ラクタの判別方法として確立されている。 【0094】<本発明のGaN結晶膜の転位構造>次
に、前記の方法に従って作製されたGaN結晶膜のTE
M観察等の結果に基づいて、本発明のGaN結晶膜の転
位構造を説明する。 【0095】まず、下地結晶層のみに着目すると、スト
ライプ方向から見たTEM断面写真には、垂直方向に走
る暗い線状のコントラスト、即ち貫通転位が観察され
た。個々の転位のキャラクタを判別した結果、刃状転位
が全体の70%以上で、残りの殆どは混合転位であり、
螺旋転位は非常に少ないことがわかった。 【0096】次に、マスク開口部の成長領域から成長し
たGaN結晶層に着目すると、その転位の殆どは下地結
晶層の貫通転位を引継ぎ、両層の界面には新たに発生し
た欠陥は観察されなかった。また、この引き継がれた転
位は、その多くが折れ曲がった形態をとっていた。特
に、マスク近傍では、マスクを覆うように折れ曲がった
転位がパイルアップしている様子が観察された。また、
このような転位の折れ曲がりは上層のGaN結晶層の約
5μmの厚さ内で生じていることが観察された。 【0097】4種類の回折ベクトルgを用いて断面の一
部の同一視野をTEM観察したところ、回折ベクトルg
を変化させることによって転位のコントラストが見えた
り見えなかったりする様子が観察された。この観察か
ら、下地結晶層の刃状転位を引き継いだバーガースベク
トルbが<11−20>/3の転位と、下地結晶層の混
合転位を引き継いだバーガースベクトルbが<11−2
3>/3の転位が判別できた。 【0098】ここで、これら両者の転位の折れ曲がり状
態や構造を比較すると、前者がマスクの位置に関係なく
比較的ランダムに折れ曲がっているのに対し、後者はマ
スク近傍でそれが顕著であることがわかった。 【0099】また、前者の転位をステレオマイオグラフ
ィー、及び膜表面に垂直な方向からTEM観察すると、
折れ曲がって水平になった部分は、TEMサンプル面
(TEM写真面に相当)に対して約30度傾き、転位の
持つバーガースベクトルbと平行であることが解った。
つまり、前者の転位は、下地結晶層中に刃状キャラクタ
を持った転位が上層のGaN結晶層に引き継がれた後、
この結晶層中で折れ曲がり、螺旋のキャラクタに変化し
たものである。下地結晶層中の転位の70%以上を占め
ていた刃状転位は、殆どこのようなメカニズムで折れ曲
がるため、大多数の転位がGaN結晶層を貫通しなかっ
たものと期待される。 【0100】一方、後者の転位ついては、TEM観察か
ら混合転位であることがわかり、また、折れ曲がって基
板と水平になった部分は前者の転位と異なり、もはや滑
り面上には存在せず、TEMサンプル面にほぼ並行に存
在する[1−100]方向に平行に走っていることが解
った。また、このような後者の転位はファセットを起点
として折れ曲がっていた。 【0101】このことから、下地結晶層中で混合転位だ
った転位は、上層のGaN結晶層に引き継がれた後、フ
ァセットを起点として折れ曲がり、ファセットの成長に
伴って基板と水平方向に伝播しているといえる。 【0102】以上に説明した転位の構造を図示すると図
4のようになる。 【0103】次に、さらに詳細に、マスク上領域での転
位構造ならびに結晶構造について説明する。 【0104】図5は、GaN結晶膜5中のマスク上領域
の欠陥構造を表す断面のTEM写真である。マスクのス
トライプ方向はGaN結晶の[11−20]方向に沿っ
ており、TEM像はそのストライプ方向に平行に観察し
たものである。注目すべき点は、図中にD1、D2で示
したように、マスクの中央部および端部から[000
1]方向に伸びた欠陥が存在していることである。こう
した欠陥はマスク方向が[1−100]のものでも存在
することを確認した。 【0105】図6(a)及び(b)は、それぞれD1欠
陥部分をクローズアップし、異なる回折ベクトルgで観
察したTEM像である。これより、D1欠陥は2種類の
転位群から構成されていることがわかる。その一つは図
6(a)で観察される、TEMサンプル表面(紙面)に
垂直に走り[0001]方向に沿ってパイルアップした
転位素片であり、そのコントラストは図6(b)の回折
ベクトルgでは消滅している。これらは、転位群が[1
1−20]方向に走り[0001]方向に整列し、いず
れも[0001]方向に垂直なバーガースベクトルbを
持つことを示している。他の転位群は、図6(b)で顕
著に観察されるような、[0001]方向に沿って走る
転位である。 【0106】まず、前者の転位群について詳細に解析し
ていく。図7(a)及び(b)はそれぞれD1欠陥を
[11−20]方向から観察した際の高分解TEM像お
よびそれに対応する透過電子線回折図形である。図7
(a)では輪切り状の転位が、図6(a)と同様に[0
001]方向に周期的に整列している様子が観察され
る。その整列した面を境界とした両側の結晶の格子縞の
傾きを注意深く観察すると、図7(a)の挿入図に示す
ようになっていることが解った(図中の矢印は結晶のc
軸を示し、傾きは誇張して描いてある。)。また、図7
(b)の回折図形においてもスプリットした回折スポッ
トが観察され、高次の回折サイトほどスプリット間隔が
広くなっている。以上の結果から、D1欠陥は、[11
−20]方向にその回転軸をもつ小傾角粒界の性質を持
つと結論できる。 【0107】この小傾角粒界を構成する転位群のバーガ
ースベクトルbは、図7(c)に示す方法で直接決定し
た。結晶中に転位が存在する場合、転位を含むようにし
て原始的周期でサーキット(バーガースサーキット)を
描くと転位のバーガースベクトルbを検出することがで
きる。図7(c)は、Sを起点として転位芯の左→上→
右→下というように左右、上下の辺の長さが等しくなる
ようにバーガースサーキットを描いた結果であり、転位
の存在によって終点のFと起点のSとの間にズレが生じ
ている。ここで、起点Sから終点Fに向かい31/2
/2(aはGaN六方晶格子のa軸ベクトルで<11−
20>/3に相当)の絶対値を持ったベクトルが本転位
のバーガースベクトルbとなる。但し、ここで得られた
バーガースベクトルbは、あくまで転位の真のバーガー
スベクトルbの[11−20]方向への投影であること
に注意を要する。こうした個々の転位に対する解析を、
小傾角粒界を構成する殆どの転位に対して行った結果、
この小傾角粒界を構成している転位は1種類であること
がわかった。 【0108】この転位構造で着目すべき点は、転位によ
って形成される余剰半格子面が転位線の下側に存在して
いることである。図2でも明らかなように、転位の存在
によって必ず余分な格子面が形成される。転位は通常
「T」の記号で表示されることが多いが、この場合
「T」の縦棒のように転位芯の下側に余剰半格子面が存
在している。こうした余剰半格子面が個々の転位の下側
に小傾角粒界中の転位の数だけ存在しているため、小傾
角粒界の両側の結晶は図7(a)の挿入図のように傾く
ことになる。 【0109】同様の観察をD2欠陥に対しても行った。
その結果、D2欠陥もD1欠陥と同様に小傾角粒界であ
ることが判明した。しかながら、D1欠陥と異なる点
は、第1に個々の転位の周期的配列間隔がD1欠陥のそ
れ(約7nm)に比べて2〜4倍広いこと、第2に転位
のバーガースベクトルbの絶対値はD1欠陥のそれと同
値であるが逆向きになっていることである。つまり、余
剰半格子面が転位線の上側に存在しているため、D2欠
陥の場合、小傾角粒界の両側の結晶は図7(a)の挿入
図とは異なり、c軸の方向が粒界面から離れるように傾
いている。 【0110】以上の結果を総合して、マスク上の欠陥構
造を単純に模式的に表すと図8に示すようになる。すな
わち、D1、D2欠陥は共に小傾角粒界であり、それぞ
れを構成する転位は同値で逆向きのバーガースベクトル
bを有するため、マスク上領域のc軸が開口部(成長領
域3)上領域のc軸に比べて傾いた構造になっている。
透過電子線回折図形から見積もったマスク上約2μm領
域の平均的なc軸の傾きは約1度であった。個々の転位
の間隔は膜の上部にいくに従って広くなり、D1欠陥は
マスク上約5μm、D2欠陥はマスク上約2μm以上の
領域では観察されなかった。小傾角粒界の傾きは、粒界
内の転位の間隔が広くなるに従って小さくなるので、マ
スク上のc軸の傾きも個々の転位間の増大とともに減少
し、結局消失することになる。 【0111】次に、D1、D2欠陥を形成する転位の起
源および構造について説明する。前述のとおり、GaN
結晶膜中には主として2種類の転位が存在する。一つ
は、下地結晶膜中の刃状転位を引き継ぎ上層のGaN結
晶膜中で水平方向に折れ曲がった転位(以下「A転位」
という。)、他の一つは、下地結晶膜中の混合転位を引
き継ぎ同様に水平方向に折れ曲がった転位(以下「B転
位」という。)である。ここで、A転位のバーガースベ
クトルbは<11−20>/3で六方晶格子のa軸ベク
トルと等価であることに注意する。先にも述べたよう
に、小傾角粒界を構成する転位のバーガースベクトルb
の絶対値は31/2a/2であり、この値がa軸ベクト
ルと等価なバーガースベクトルbの[11−20]方向
への投影値である可能性が高い。それゆえ、D1、D2
欠陥を構成する小傾角粒界中の転位の起源はA転位であ
ると考えられる。マスク上で開口部から成長した結晶が
合体する前のファセット表面には、折れ曲がったA転位
の水平部分が突き出していると考えられるが、ファセッ
トが合体した時点でその転位が結晶中に取り込まれD
1、D2欠陥が形成されたものと考えられる。 【0112】次に、図6(b)に観察されたD1欠陥中
に含まれるもう一つの転位群について説明する。TEM
解析によれば、これらの転位群はバーガースベクトルb
が<11−23>/3タイプの転位であることがわかっ
た。さらに図6(b)では、矢印に示したような折れ曲
がった形状の転位がしばしば観察された。こうした形態
からこれらの転位群の起源はB転位であり、GaN結晶
のファセットの成長時に横方向に伝播してきたB転位
が、ファセットが合体したD1欠陥の位置で再度縦方向
に伝播したものと考えられる。原理的には、先に述べた
小傾角粒界を構成する転位は、GaN結晶膜の表面と平
行な面上に存在するため、貫通転位密度を上昇させるこ
とにはならない。しかし、B転位の縦方向への再伝播に
よって、開口部上と比較してマスク上における貫通転位
密度が大きくなり、これが結果的にGaN結晶膜中の残
留貫通転位の起源になると考えられる。 【0113】<膜厚と転位密度の推移>次にGaN結晶
膜の膜厚と転位密度の推移について説明する。 【0114】前述の説明から、A転位はGaN結晶膜中
で横方向に折れ曲がって、マスク上領域で小傾角粒界を
構成する。小傾角粒界が膜表面に平行に走る転位群から
構成されるため、一旦折れ曲がったA転位は最終的に結
外に達するまで膜表面に平行に存在しているといえる。
つまり、A転位は小傾角粒界の長さ以上、すなわちここ
で示した測定サンプル中では下地結晶層2とGaN結晶
層5の界面から5μm以上には存在しない。さらに、A
転位が最初に横方向に折れ曲がるのは、マスク開口部上
であり、ファセットが形成されその断面が三角形状のG
aN結晶が成長し終わる前の段階である(図4参照)。
したがって、A転位の密度は、開口幅で大きさが決定さ
れるファセットの三角形の高さ以上の膜厚部分で急激に
減少することになる。 【0115】一方、B転位の伝播履歴は、まずファセッ
ト面6で横方向に折れ曲がってマスクの中央に向かい、
マスク中央部で再度縦方向に折れ曲がって上部へ伝播す
るため、原則的には開口部からの転位密度をそのまま引
き継ぐことになる。 【0116】上記観点から、本発明に従って形成したG
aN結晶膜の転位構造を図17に模式的に示した。ここ
では転位の代表的な構造が描かれており、主にA転位
(c面に対して平行な変位ベクトルを持つ転位)とB転
位(c面に対して斜めに傾いた変位ベクトルを持つ転
位)が存在する。図では、マスク中央のストライプ方向
に沿って走る転位は、それぞれ単独に存在するように描
かれているが、下記のマスク形成状態等の成長条件によ
っては、マスク端でストライプ方向に曲がったA転位と
つながっているものも存在していた。 【0117】以下、転位構造に起因する、膜厚に依存す
る膜表面の転位密度の推移を述べる。 【0118】まず、各転位の全転位密度に対する割合の
推移については、本発明によるGaN結晶膜中では、図
17に示すような上記転位構造によって、上層領域(低
転位密度層)において、A転位(c面に対して平行な変
位ベクトルを持つ転位)すなわち下地結晶中の刃状転位
であった転位が減少し、B転位(c面に対して斜めに傾
いた変位ベクトルを持つ転位)すなわち下地結晶2中の
混合転位であった転位はそのまま上部層へ引き継がれる
ため、全転位数に対するA転位の割合は少なくなり、反
してB転位の割合が多くなる。 【0119】ここでは、上記TEM観察によってGaN
結晶膜中の転位のキャラクタを判別した結果、従来の一
般的な方法でサファイア基板上に直接成長したGaN結
晶膜中では、B転位の割合が30%以下であったのに対
して、マスク幅、開口部幅、マスク周期に対する開口部
幅の割合、マスクのストライプ方向を変化させることで
全転位数に対して少なくとも50%以上がB転位となる
領域が存在することを確認した。 【0120】次に、全転位密度の推移については、ま
ず、膜表面が平坦になった直後に観察される、上記混合
転位の伝播履歴を反映した転位分布について述べる。図
9は、エッチピット法により膜表面に突き出た転位を検
出した結果を示すグラフであり、縦軸にはエッチピット
密度、横軸にはストライプ方向に垂直な方向の距離をと
り、厚さの異なる2種類のGaN結晶膜について示され
ている。膜表面が平坦になった時点の膜厚37μmで
は、マスクストライプの周期に対応した転位密度の増減
が確認される。しかしながら、こうした周期的分布も膜
厚の増大とともに消失し、膜厚95μmでは観察されな
い。 【0121】図10は、GaN結晶膜表面で検出された
全エッチピット密度を膜厚に対してプロットしたグラフ
である。膜厚が30μm以内における転位密度の急激な
減少は、A転位が前述の機構で横方向に伝播して結晶外
へ掃き出されたためである。一方、残った転位は膜厚の
増加と共に緩やかに減少していくことがわかる。 【0122】上記の転位構造から、下地結晶膜内におけ
る転位密度や転位キャラクターが、最終的な結晶中の全
転位密度、特に上層領域中の全転位密度に対して大きな
影響を与えることがわかる。たとえば、下地結晶膜内に
おける混合転位(c面に対して斜めに傾いた変位ベクト
ルを持つ転位、B転位)を少なくすることができれば、
あるいは下地結晶膜内の全転位密度を低減できないまで
も混合転位の比率を低減することができれば、最終的に
はより全転位密度の少ないGaN結晶を得ることができ
る。混合転位を削減させるための手段として、好ましく
は、異種基板結晶上にGaN系結晶を成長させる際に、
最初に六方晶GaNの島状成長が生じるように成長条件
を選ぶことが望ましい。このとき、この島状結晶の表面
が原子的に平坦で、原子的ステップ(段差)が生じない
結晶を成長させることがより好ましい。この成長条件と
して、例えば、異種基板結晶表面をGaN成長前に十分
に窒化させること、あるいは、基板結晶の表面の面方位
として(0001)などの低指数面からできるだけ傾き
を少なくすることなどが有効である。 【0123】<転位密度の測定>転位密度の計数方法に
は主として二つの方法がある。第一は透過電子顕微鏡に
よって結晶中の転位を直接観察し、その数を計測する方
法である。本発明に記載したような、エピタキシャル薄
膜中の貫通転位に対しては、断面観察(膜表面に垂直な
方向に沿う観察)と平面観察があるが、転位密度を計数
する場合は、精度上、平面観察が望ましく、かつできる
だけ広い範囲を観察することが必要である。 【0124】第二は膜表面に貫通転位が突き出した部分
を化学溶液によって選択的にエッチングし、結果的に形
成された窪み(エッチピット)の数を光学顕微鏡もしく
は走査電子顕微鏡を用いて計数する方法である。この場
合、上記透過電子顕微鏡法に比べて広い範囲を計数対象
領域にすることができるため、統計的に信頼性の高い値
を得ることができる。但し、エッチピットと貫通転位が
一対一に対応することの確証が必要であり、あらかじめ
化学溶液を適切に選択し、エッチピット形成のためのエ
ッチング条件を精度良く決定しておかなければならな
い。 【0125】<GaN系半導体装置の製造>GaN系半
導体装置の製造の一実施形態について図11を参照して
説明する。本実施の形態は、上記のようにして作製され
たGaN結晶膜上にGaN系半導体素子を作製するもの
である。特に、GaN系半導体発光素子の作製について
説明する。 【0126】まず、上記のGaN結晶膜の成長方法に従
って、基板1上にn型GaN結晶膜65を形成する(図
11(a)及び(b))。 【0127】次に、このn型GaN結晶膜65上にGa
N系半導体発光素子の素子構造を作製する。n型GaN
結晶膜65が形成された基板をMOCVD装置にセット
し、所定の温度、ガス流量、V族元素/III族元素比
で、n型GaN層66、n型AlGaNクラッド層6
7、n型GaN光ガイド層68、アンドープInGaN
量子井戸層とアンドープInGaN障壁層からなる多重
量子井戸構造活性層69、p型AlGaN層70、p型
GaN光ガイド層71、p型AlGaNクラッド層7
2、p型GaNコンタクト層73を順次形成して発光素
子構造を作製する(図11(c))。 【0128】次に、発光素子構造を形成した基板を研磨
器にセットし、基板1、下地結晶膜2、マスク4及びG
aN結晶膜の一部を研磨してn型GaN結晶膜65を露
出させる。露出したGaN結晶膜の面、すなわちGaN
系半導体発光素子裏面側にn型電極74を形成し、表面
側にp型電極75を形成する(図11(d))。 【0129】本実施の形態により以下の効果が得られ
る。 【0130】本発明のGaN結晶膜上にGaN系半導体
素子構造を成長することにより、従来のサファイア基板
を用いた成長で問題となっていたGaN系半導体素子構
造におけるエピタキシャル成長膜の結晶性が改善でき、
素子特性を向上させることができる。 【0131】特にGaN系半導体発光素子の場合におい
ては、裏面に電極を形成することができるため、従来の
ようにドライエッチング等の複雑な作製工程で電極をG
aN結晶膜の表面に形成することなく素子を作製でき電
極作製工程が簡略化できる。 【0132】またGaN系半導体発光素子がGaN系半
導体レーザの場合は、結晶欠陥が少ないGaN結晶厚膜
を形成した後に、基板、マスク等を除去することで、劈
開によりGaN系半導体レーザ構造の共振器ミラー面を
形成できる。サファイアとGaN結晶とは結晶の劈開面
が異なるため、従来、サファイア基板上に作製したレー
ザ構造の共振器ミラーは劈開により形成することが困難
であった。これに対し、本発明では結晶欠陥が少ないG
aN結晶膜65を厚く成長することができるため、サフ
ァイア基板やマスクを除去してもGaN結晶膜上に形成
したGaN系半導体レーザ構造には影響はなく、またG
aN結晶膜65上のレーザ構造は劈開により共振器ミラ
ー面を形成できる利点を持っているため、従来のドライ
エッチング等による複雑な工程で共振器ミラー面を形成
したものに比べ大幅に簡略化でき歩留まりも大幅に向上
できる。 【0133】なお、上記の説明では、GaN結晶膜上に
GaN系半導体素子の積層構造を作製した後に基板1と
マスク2とGaN結晶膜65の一部を除去したが、Ga
N結晶膜を形成し基板1とマスク2とGaN結晶膜65
の一部を除去した後にGaN系半導体素子の積層構造を
作製してもよい。 【0134】またGaN系半導体素子としては、GaN
系半導体レーザやGaN系LED等のGaN系半導体発
光素子の他にFETやHBTなどのデバイスにも適用可
能である。 【0135】<GaN結晶膜の転位のキャラクタ組成>
前記のGaN結晶膜の成長方法に従ってサファイア基板
上に成長したGaN結晶膜において、サファイア基板と
マスクを含む下層領域が除去されたGaN結晶膜は、含
有される転位の過半数がGaN結晶のc面に対して斜め
に傾いた変位ベクトルを持つ転位(B転位)であること
が、前記のTEMによる解析で確認された。これに対し
て従来の一般的な方法でサファイア基板上に直接成長し
たGaN結晶膜(サファイア基板を除く結晶層領域)中
では、B転位の割合が30%以下であった。また、本発
明のGaN結晶膜の上層領域(サファイア基板とマスク
を含む下層領域が除去された結晶領域)中のA転位(G
aN結晶のc面に平行な変位スベクトルを持つ転位)の
全転位数に対する割合は、従来のGaN結晶膜中のそれ
に対して少なくなっており、本発明の結晶膜の上層領域
中に含有される転位は、ほぼB転位とA転位のみであっ
た。 【0136】本発明のGaN結晶膜は上記の特徴的な転
位構造を有するため、GaN結晶膜中のB転位の割合が
増大していることはA転位が低減、すなわち全転位の密
度が低減していることを意味する。よって、半導体レー
ザ等の半導体装置の用途に好適なGaN結晶膜は、B転
位がGaN結晶膜に含有される転位中の50%以上であ
ることが好ましい。また、このGaN結晶膜中のA転位
の全転位数に対する割合は50%未満であることが好ま
しい。さらにA転位の転位密度は1×10/cm
満であることが好ましい。このGaN結晶膜中の全転位
の転位密度は2×10/cm以下であることが好ま
しく、1×10/cm以下であることがより好まし
い。 【0137】また、サファイア基板とマスクを含む下層
領域を除去して好適なGaN結晶膜を得るためには、サ
ファイア基板上へ形成するGaN結晶膜の膜厚は、20
μm〜1mmが好ましく、80μm〜500μmがより
好ましい。また、基板とともに除去する下部領域のGa
N結晶膜の厚さは300μm以下が好ましく、5〜15
0μmがより望ましい。下地結晶層を形成している場合
はサファイア基板等の除去とともに下地結晶層も除去す
ることが好ましい。 【0138】以上は、GaNからなる結晶膜について説
明したが、本発明はウルツ鉱型結晶構造を有するIII
族元素窒化物半導体であれば適用可能である。GaN以
外のIII族元素窒化物半導体としては、InGaN、
AlGaN、InN等が挙げられる。なお、ボロンと窒
素からなるIII族元素窒化物半導体の結晶構造は立方
晶であるが、III族元素窒化物半導体にボロンが含有
されていても、ウルツ鉱型結晶構造を保てる含有量の範
囲であれば本発明に包含される。 【0139】<III族元素窒化物半導体ウェーハ>半
導体レーザ等の半導体装置に好適なIII族元素窒化物
半導体、すなわちIII族元素窒化物半導体ウェーハ
は、ウルツ鉱型結晶構造におけるc面に対して斜めに傾
いた変位ベクトル(バーガースベクトル)を持つ転位
(B転位)が、同じ層領域中の転位の50%以上である
層領域を有する。この層領域の全転位数に対するB転位
の割合は、60%以上が好ましく、70%以上がより好
ましい。さらに70%〜90%の範囲にあることが好ま
しい。本発明においては、層領域中の転位が最も低減さ
れた理想的な状態はB転位以外の転位(特にA転位)の
発生を完全に抑えた状態であるため、B転位の割合の最
も好ましい値は100%であり、これがB転位の割合の
上限でもある。 【0140】また、半導体レーザ等の半導体装置に好適
なIII族元素窒化物半導体ウェーハは、ウルツ鉱型結
晶構造におけるc面に平行な変位ベクトルを持つ転位
(A転位)が、同じ層領域中の転位の50%未満である
層領域を有する。この層領域の全転位数に対するA転位
の割合は、40%未満が好ましく、30%未満がより好
ましい。さらに30%〜10%の範囲にあることが好ま
しい。本発明においては、層領域中の転位が最も低減さ
れた理想的な状態はB転位以外の転位の発生を完全に抑
えた状態であり、特にA転位の発生を完全に抑えた状態
が好ましい。 【0141】また、半導体レーザ等の半導体装置に好適
なIII族元素窒化物半導体ウェーハは、ウルツ鉱型結
晶構造におけるc面に対して斜めに傾いた変位ベクトル
を持つ転位(B転位)が、同じ層領域中の転位の50%
以上であり、該c面に平行な変位ベクトルを持つ転位
(A転位)が50%未満である層領域を有する。B転位
が60%以上でA転位が40%未満であることが好まし
く、さらにB転位が70%以上でA転位が30%未満で
あることがより好ましい。 【0142】本発明のIII族元素窒化物半導体ウェー
ハ中の全転位密度は、結晶品質の向上の上では低ければ
低いほど良いが、実際には、マスク上で横方向に成長
(選択横方向成長(ELO成長))する前のGaN結晶
領域や下地結晶膜、基板中に存在する転位密度や、EL
O成長前における全転位中のA転位の存在比率にも依存
するため、2×10/cm以下が好ましく、1×1
/cm以下がより好ましく、5×10/cm
以下がさらに好ましい。 【0143】なお、B転位の存在比率はA転位が減少し
た分だけ増加することになるため、高ければ高いほど良
いが、ELO成長前のGaN結晶領域や下地結晶膜、基
板中に存在する全転位に対するA転位の存在比率や、横
方向成長後に結晶膜を比較的厚く成長した場合に生ずる
転位同士の再反応機構等にも影響を受ける。 【0144】また、上記本発明のIII族元素窒化物半
導体ウェーハにおいては、ウルツ鉱型結晶構造における
転位密度が、c軸の一方向に従ってほぼ単調に減少して
いる層領域を有することが好ましい。 【0145】A転位とB転位の上記の転位キャラクタ組
成を持つ層領域を有する本発明のIII族元素窒化物半
導体ウェーハとしては以下の形態が挙げられる。 (a)結晶成長に用いた異種基板を一主面に有するII
I族元素窒化物半導体結晶膜。 (b)結晶成長に用いた異種基板が少なくとも除去され
たIII族元素窒化物半導体結晶膜。 (c)結晶成長に用いた異種基板を一主面に有し、他の
主面にさらに結晶層が形成されたIII族元素窒化物半
導体結晶膜。 (d)結晶成長に用いた異種基板が少なくとも除去され
た上記(c)のIII族元素窒化物半導体結晶膜。 【0146】なお、形態(b)において、結晶成長に用
いた異種基板とともにマスクを含む異種基板側の結晶の
下層領域を除去することにより、結晶膜の全領域が、A
転位とB転位の上記転位キャラクタ組成を持つ層領域で
ある結晶膜を得ることができる。 【0147】また、形態(d)において、結晶成長に用
いた異種基板とともにマスクを含む異種基板側の結晶の
下層領域を除去することにより、III族元素窒化物半
導体結晶膜の層領域が、A転位とB転位の上記転位キャ
ラクタ組成を持つ層領域である結晶膜を得ることができ
る。 【0148】異種基板としては、サファイア基板が最も
好ましいが、Si基板、ZnO基板、SiC基板、Li
GaO基板、MgAl基板等を用いることもで
きる。 【0149】<マスクの表面処理による転位形成の制御
>本発明によれば、選択横方向成長(ELO成長)を利
用してIII族元素窒化物半導体結晶膜を形成する際、
基板上のマスクの表面処理を行うことによって、III
族元素窒化物半導体結晶中の転位構造を制御することが
できる。この転位制御により、上記の好ましい転位キャ
ラクタ組成を有する、全転位密度が低減され欠陥の少な
い高品質なIII族元素窒化物半導体ウェーハを得るこ
とができる。 【0150】以下に、この転位形成の制御のメカニズム
についてGaN結晶膜を例にとって説明する。 【0151】図12(a)は、GaN結晶のELO成長
において、表面が平坦な結晶膜が形成される前であっ
て、且つマスク上でファセットを持つGaN結晶が会合
し合体する前の典型的な状態を表した、マスクストライ
プ方向に垂直な模式的部分断面図である。マスク上の結
晶領域内の転位は図中に「⊥」で示すように、いずれも
余剰半格子面が上側に存在するようにマスクストライプ
方向に沿って伝播し配列している。図12(b)は上記
の転位の履歴を表す模式図であり、図12(a)をGa
N結晶のc軸に沿った方向から見た部分平面図である。 【0152】これらの図が示すように前述のTEMによ
る解析結果から、本発明によるGaN結晶膜中の転位の
形態においては、サファイア基板上でc軸方向に沿って
存在していた刃状転位、すなわちGaN結晶のc面に平
行な変位ベクトルを持つ転位(A転位)が、開口部から
さらに成長した領域で折れ曲がってc面内をマスクに向
かって伝播し、再度曲がってマスクストライプ方向に沿
って伝播している。言い換えれば、A転位のマスクスト
ライプ方向に沿う再伝播をより促進することによって、
マスク上での結晶の会合・合体時に生じやすいc軸方向
への伝播、つまり膜表面へ貫通する転位を抑制すること
が可能になり、結果的にA転位の貫通転位密度を減少さ
せることができる。 【0153】次に、A転位のc面内でのマスクストライ
プ方向に沿う再伝播をより促進するためのメカニズムを
説明する。 【0154】A転位のc面内でのマスクストライプ方向
に沿う伝播挙動は、結晶内でマスクストライプ方向に垂
直に働く剪断応力で決定され、その剪断応力は主として
ELO成長中のGaN結晶とマスクとの界面に働く力に
よって引き起こされる。また、図12(a)に示すよう
な各転位の余剰半格子面が上に存在する形態は界面を圧
縮する力が働いている場合にもたらされ、その圧縮力の
増大とともにA転位のマスクストライプ方向に沿う伝播
がより促される。 【0155】こうした圧縮力は、マスク材料物質やGa
N結晶の表面に働く表面張力、GaN結晶とマスク間の
界面張力の大きさを変化させることによって制御するこ
とが可能である。 【0156】図13はマスク表面、ファセット表面、G
aN/マスク界面の三重点に作用する各表面(界面)張
力(それぞれをγ、γ、γgmとする)を表した図
である。 【0157】GaN/マスク界面に働く正味の圧縮力F
(>0)は、ファセット表面とGaN/マスク界面のな
す角をθとすると F=γgm+γcosθ−γ で表される。 【0158】この式から明らかなように、γgmの増
加、γの増加、γの減少とともに圧縮力Fの値は大
きくなる。 【0159】F値、すなわち圧縮力を増大させる方法の
一例は、マスクの表面処理によってγの低下を図るこ
とである。それにより、ELO成長の際の結晶膜中に働
く結晶内剪断応力が増大し、A転位のマスクストライプ
方向に沿う再伝播が促進されることになる。 【0160】転位がファセット表面に突き出している
と、その転位はELO成長が進行してファセットが会合
した時に再度c軸方向へ伝播する可能性を持っている。
こうした転位は会合後のGaN結晶層の成長とともに表
面へと伝播する性質を持つため、膜表面への貫通転位密
度を増加させてしまう。 【0161】そこで、マスクの表面処理を行う本発明に
よれば、ファセットが会合する前のマスク上結晶内にお
けるA転位の多くは、上記メカニズムによってマスクス
トライプ方向に沿って存在するため、ファセット表面に
突き出る転位の数は格段に少なくなる。そのため、ファ
セットがマスク上で会合したときにc軸方向へと伝播す
る転位の数が低減され、その結果、A転位の貫通転位密
度を低下させることができる。 【0162】一方、GaN結晶のc面に対して斜めに傾
いた変位ベクトルを持ち、且つc面内に存在するB転位
は、たとえ上記の剪断応力が結晶内に生じたとしてもA
転位のような挙動は示さない。これはマスク上結晶領域
のB転位の変位ベクトルが、転位が容易に移動すること
のできる滑り面上に存在しないためである。したがっ
て、B転位は、A転位に比べて転位終端がファセット表
面に突き出る確率が高くなる。この状態をもってファセ
ットが会合すると、B転位は会合部で再度折れ曲がって
c軸方向へと伝播する可能性が高くなり、形成されたG
aN結晶膜中で貫通転位として残留することになる。 【0163】以上の原理から、主としてA転位が減少し
た分だけ、GaN結晶膜中の全貫通転位密度が減少し、
かつ全貫通転位密度に対するB転位の存在比率は増加す
ることになる。 【0164】<マスク表面の清浄化処理>マスク表面の
表面張力γを低下させる方法として、マスクを形成し
た後に、マスクの表面を清浄化する方法が挙げられる。
マスク表面を清浄化する方法としては、バッファード・
フッ酸等を用いたウェットエッチング、ラジカルイオン
ビームやイオンビームを用いた物理的化学的エッチング
等のドライエッチング、オゾン照射、紫外線照射、還元
性雰囲気下での熱処理などが挙げられる。また、これら
の処理を組み合わせて行ってもよい。 【0165】還元性雰囲気下の熱処理としては、例えば
水素雰囲気下で400℃〜800℃程度に加熱すること
により行われる。アッシング等によるレジスト剥離など
フォトレジスト工程においてマスク表面に付着した酸化
物等からなる不純物化合物は、この加熱還元処理によっ
て、還元され、揮発性の高い元素あるいは化合物に変換
され、マスク表面から除去される。 【0166】上記清浄化処理の中でも特に、表面を一定
量エッチングして新しい清浄面を露出させる処理を行う
ことが好ましく、そのような処理としてはエッチング処
理が好ましい。表面を一定量エッチング除去する際、そ
のエッチング除去量は、表面から1〜500nm除去す
ることが好ましく、10〜200nm除去することがよ
り好ましい。 【0167】このような清浄化処理を行うことによっ
て、マスク形成の際に発生しマスク表面に付着した不純
物を除去することができ、その結果、マスク表面の表面
エネルギー、すなわち表面張力γを低下させることが
できる。このような効果は、マスクをフォトリソグラフ
ィーを用いて形成した場合に顕著に現れる。上記方法に
よれば、フォトリソグラフィー工程におけるSiO
のマスク材料の残渣や、レジスト材料の残渣、これらの
残渣等から形成される不純物をほぼ完全に除去すること
ができる。 【0168】また、これらの清浄化処理の前処理とし
て、エチルメチルケトンやエタノール、メタノール等の
有機溶剤を用いた溶解処理を行ってもよい。さらにこの
溶解処理の際に超音波洗浄を行ってもよい。また、酸化
剤や還元剤による表面汚染物の除去処理を行ってもよ
い。また、水またはガス吹き付けによる高圧ブローを行
うこともできる。これらの前処理の際、適宜、純水によ
る水洗を行うことが好ましい。 【0169】以上は、マスク材料としてSiOを用い
た場合の表面浄化処理について説明したが、マスクはS
iOに限られるものではなく、SiN、W等の他の
マスク材料を用いた場合でもマスクの表面エネルギー、
すなわち表面張力を低減することにより同様な効果が得
られる。 【0170】<ウェーハからの異種基板の除去>得られ
たウェーハを用いて素子形成を行う際、ウェーハからサ
ファイア等の異種基板を取り去ってからエピタキシャル
成長を行えば、前記の反りにともなう問題はすべて回避
される。すなわち、ウエーハを細分化することなく露光
その他の素子形成プロセスを行うことができ、劈開も容
易に行うことができ、さらに裏面(異種基板側の面)に
電極の形成もできることになる。かつ、ダブルヘテロ構
造(DH構造)等の素子構造の形成のためのエピタキシ
ャル成長時のホルダーへの設置の困難さや温度分布の発
生の問題も回避される。 【0171】反りが大きい場合は、エピタキシャル成長
層、あるいは更にその上にDH構造等の素子構造を形成
したウエーハの表面にパターン形成しようとしてもウエ
ーハ全面で精度を得ることが困難である。精度良いパタ
ーンを形成しようとすればウエーハを小面積になるよう
に例えば5mm角程度にウエーハを切り刻んだ後に露光
をするなどの工夫をしなければならないことは既に前記
本発明の課題においても述べた。 【0172】本発明のウェーハは、サファイア等の熱伝
導特性に優れた材料を異種基板に用いた場合には後に形
成されるデバイスのヒートシンクとしてそのまま利用す
ることが可能であり、反りの問題を考慮しても異種基板
を残しておくことが有利な場合もある。 【0173】しかし、大型ウエーハを用いたプロセスに
おいては、反りの問題が大きいため、デバイス形成前に
異種基板を除去することが好ましい。GaNに代表され
る窒素原子をV族元素とした光デバイス、とりわけ半導
体レーザの場合に発生する劈開や裏面電極配置における
前記問題の解決には異種基板を取り除くことが必要であ
る。 【0174】すなわち、本発明のIII元素窒化物半導
体ウェーハは、少なくとも異種基板についてはすべてを
除去することが好ましい。その結果、一主面にストライ
プ状の絶縁物を有するIII族元素窒化物半導体ウェー
ハが得られる。また、このストライプ状の絶縁物からな
るマスクについては、残すことでデバイス形成プロセス
での目合わせに使うこともできるが、先に述べた裏面に
電極を形成する点からは取り除いた方が好ましい。ま
た、異種基板上に下地結晶層を形成していた場合はこの
下地結晶層も除去することが好ましい。すなわち、異種
基板とともに、バッファ層があればこれも取り除き、さ
らにマスクも除去することがより好ましい。 【0175】なお、マスクを選択エッチング、例えばマ
スク材料がSiOの場合には希フッ酸等で取り除く
と、ストライプ状の溝がウェーハの裏面に残る。その結
果、一主面にストライプ状の食刻パターンを配したII
I族元素窒化物半導体ウェーハが得られる。この食刻パ
ターンは、マスクパターンに従って形成されるため、こ
の食刻パターンのストライプ方向が<11−20>又は
<1−100>方向であるIII族元素窒化物半導体ウ
ェーハが好ましいウェーハとして得られる。このマスク
の跡であるストライプ状の溝は、デバイス形成プロセス
での目合わせに使うことができる。但し、ウェーハ裏面
にこうした溝等があればゴミや汚れがつきやすく、かつ
取りにくくなる場合もあるため、マスクを除去した後、
裏面が平坦になるように研磨あるいは研削を行うことが
好ましい。 【0176】<異種基板の除去方法>次に、異種基板を
取り除く方法について具体例を挙げて説明する。ここで
は約250μm厚のGaN結晶をサファイア基板上に成
長して得られたウエーハを研磨してサファイア基板を除
去した例を説明する。 【0177】まず、GaN結晶側の表面(ウェーハ表
面)を粘土状のいわゆるコンパウンドで保護する。次に
露出したサファイア表面(ウェーハ裏面)をサンドブラ
スト法によって研磨する。サンドブラスト法は良く知ら
れているように研磨面にジルコニア、アルミナ、炭化珪
素などの粒子をノズルから高速で衝突させるものである
ため、曲面をもった素材の高速の研磨に適した方法であ
る。高速で研磨しようとすれば粒径の尺度として500
番程度のものを用い、低速で研磨する場合は3000番
程度の粒径の小さなものを用いることが好ましい。ま
た、粒子の材料としてはジルコニアが好ましく、サファ
イア以外の炭化珪素、MgAlなどからなる異種
基板についても良好な研磨性が得られた。 【0178】このサンドブラストによる研磨はサファイ
ア基板の厚さが50μm厚程度になるまで行った。この
後、コンパウンドを取り去ると反りは著しく軽減されて
いた。同時にサファイア基板にはクラックが多数発生し
ており、サファイア基板が薄くなった以上に反りの軽減
が加速されていた。 【0179】クラックの発生はサファイア基板の厚さが
100μmでも発生し、実質的に反りが解除される。 【0180】サンドブラスト法による研磨、コンパウン
ド除去後においてクラックの発生がない場合には反りは
かなり残存している。しかし、この場合においてもドラ
イアイスや液体窒素などの寒剤に曝することによってウ
エーハ温度を下げるとサファイア基板にクラックが発生
し、反りを低減できる。 【0181】クラックを発生させて実質的に反りを解除
するための条件は、III族元素窒化物半導体エピタキ
シャル層の厚さ100〜500μmにおいては、異種基
板の厚さがそのエピタキシャル層の厚さの2分の1以下
であることが好ましい。厚めの異種基板を用いて結晶成
長し、エピタキシャル層の厚さの2分の1以下になるま
で異種基板を研磨してもよいし、所定のエピタキシャル
層の厚さの2分の1以下の厚さの異種基板を用いてエピ
タキシャル成長を行ってもよい。例えば、厚さ200μ
mのサファイア基板上に厚さ500μmのGaN層をエ
ピタキシャル成長させた場合、成長温度から室温に降温
する段階でサファイア基板にクラックが発生し、反りが
軽減される。たとえクラックが発生しなくても寒剤に浸
して温度を下げれば、容易にクラックが発生して反りが
軽減される。 【0182】なお、サファイア基板のサンドブラスト研
磨はサファイア基板を完全に取り除くまで行ってもよい
が、サンドブラスト法によるGaN層への損傷をなるべ
く避けるために10μm厚程度のサファイア基板を残し
ておくとよい。 【0183】以上のようにして反りが解除されたウエー
ハは、GaN成長面(ウェーハ表面)にて通常の研磨用
重しに平らに張り付けることができ、サファイア基板、
下地結晶層、選択成長用マスクを常法により研磨除去す
ることができる。その結果、GaNエピタキシャル層の
みからなるウェーハが得られる。実際には、選択成長用
マスクが露出した時点からウエーハ全体の厚さをモニタ
ーしながらGaNエピタキシャル層に至るまで研磨を行
った。 【0184】なお、このような研磨の際、選択成長マス
クまで研磨せず、マスクが露出した時点で研磨を停止
し、マスクをエッチングで取り除いてもよい。マスク材
がSiO2ならば希フッ酸ですぐに除去することができ
る。 【0185】また、後述するが、半導体レーザ等のデバ
イスの作製のためには、マスク近傍の領域は比較的転位
密度が大きいため、この領域を含む層領域(以下「高転
位密度層」という。)を上記研磨の際に除去することが
好ましい。 【0186】また、GaNエピタキシャル層のみからな
るウェーハの厚みとしては、200μm程度以上あれ
ば、後に述べるその上へのDH構造の形成や各種デバイ
ス作製プロセスに必要な十分な強度が得られる。 【0187】<青色半導体レーザの作製>次に、上記の
ようにして得られた1インチ直径のGaNエピタキシャ
ル層のみからなるウェーハを基板(以下「GaN基板」
という。)として、半導体レーザ用DH構造形成のため
のエピタキシャル成長を行い、青色半導体レーザを作製
した一例を説明する。 【0188】DH構造は種々のプロセスで形成可能であ
るが、ここではGaAs基板やInP基板等の導電性基
板の上に形成された半導体レーザの製造プロセスとほぼ
同様のプロセスを用いることができる。 【0189】図16に、GaN基板上に形成したDH構
造を有する半導体レーザの共振器断面より見た構造断面
図を示す。GaN基板201側よりケイ素添加n型Al
0. 05Ga0.95Nクラッド層202(厚さ0.5
μm)、ケイ素添加n型GaN光ガイド層203(厚さ
0.1μm)、無添加In0.2Ga0.8N量子井戸
層(厚さ30A)と無添加In0.05Ga0.95
障壁層からなる7周期の多重量子井戸構造活性層20
4、マグネシウム添加p型Al0.2Ga0.8Nイン
ジウム解離防止層205(厚さ200A)、マグネシウ
ム添加p型GaN光ガイド層206(厚さ0.1μ
m)、マグネシウム添加p型Al0.05Ga 0.95
Nクラッド層207(厚さ0.5μm)、及びマグネシ
ウム添加p型GaNコンタクト層208(厚さ0.2μ
m)を連続してMOCVD法によって形成した。DH構
造の最上層には酸化珪素膜209を形成し、幅10μm
のストライプ状の電流注入用窓を形成し、この上にニッ
ケルと金からなるp型電極210を形成した。212は
レーザ光出射領域である。次に、p型電極面で研磨用重
しに貼りつけ、GaN基板を研磨し、劈開可能な厚さ
(通常、60μm〜100μm)に仕上げた後、チタン
とアルミニウムからなるn型電極211を裏面に形成す
る。この後、劈開によって共振器面を形成し、隣り合う
電流注入用窓の中間で切断すれば青色レーザ素子ペレッ
トが完成する。最終的に出来上がったレーザのストライ
プ長すなわち共振器間隔長は250μmとした。 【0190】このような上記プロセスの利点は、裏面に
電極を形成する直前に、劈開可能な厚さまでウエーハを
研磨すればよく、上部電流狭窄用ストライプ構造の形成
や表面への電極の形成が厚いウエーハ状態で実施できる
メリットがある。 【0191】<レーザ特性>以上のようにして作製した
半導体レーザを室温(約25℃)でパルス動作させ、閾
値を測定した。得られたレーザの閾値電流は120mA
(電流密度〜4kA/cm)前後の良好な値を示し
た。これに対して、選択成長用マスクなしにサファイア
基板上に成長したGaNウエーハを基板として作製した
レーザは、50mA程度高い値を示した。 【0192】この理由については、転位密度が減ったこ
と、とりわけA転位密度が大幅に減少したためと考えら
れる。GaN系では転位密度の高い結晶においても高い
輝度の発光ダイオードが容易に得られることから、転位
は少数キャリアの再結合センターとしての機能は小さい
ようである。しかし、半導体レーザでは閾値電流は十分
に下がらない。半導体レーザはよく知られているように
活性層中での導波光に対して光学的利得を得る条件が達
成されなくてはならない。しかし、前記のようにA転位
は結晶中の小傾角粒界の発生原因であり、この小傾角粒
界においては光散乱が起こりやすい。すなわち、A転位
密度の大きな結晶においては小傾角粒界での光散乱が原
因で導波光に対する光学的利得が上がらないために閾値
を下げることができなかったと解釈される。逆に言え
ば、本発明によればA転位密度を大幅に減少できたこと
で、本発明のウェーハ上に成長したDH構造活性層中で
の導波光の散乱が減少し、高い光学的利得を得たことに
より閾値の減少が達成されたと考えられる。 【0193】さて、閾値測定を行ったレーザはいずれも
ウエーハの中央部1cm直径内から劈開したもので共振
器となる劈開面に傷等のないものを選別したものであ
る。しかし、ウエーハ間で閾値のバラツキに特徴があ
り、これが2つに分類できることが判明した。閾値のバ
ラツキの少ないものをA群のウエーハ、閾値にややバラ
ツキがあるものをB群のウエーハとして以下説明する。 【0194】A群のウエーハでは各ウエーハにおいて閾
値のバラツキは10パーセント内外であり、かつ最も大
きい閾値のものでもウエーハ内平均値の120パーセン
トを超えるものは見つからなかった。B群のウエーハに
おいても閾値のバラツキはやはり10パーセント内外で
あることには変わりがないが、特徴はウエーハ内平均値
の1.5倍以上のものが10ないし20個に1つ程度の
割合で生じることである。 【0195】A群ウエーハとB群ウエーハの差違につい
て詳しく調べたが出来上がったレーザに関して特別な差
違は見られなかった。そこで、DH構造エピタキシャル
成長後のウエーハについて断面構造を調べてみた。この
結果、A群ウエーハではGaN基板ウエーハ全断面にわ
たって低転位層となっているのに対し、B群ウエーハで
はGaN基板ウエーハ裏面付近に高転位層が存在してい
ることが解った。 【0196】高転位層がどのようにDHエピタキシャル
層に影響し、さらにレーザ閾値に影響するかについては
現状ではよく解らない。しかし、以下に述べる理由がそ
の原因だと考えられる。すなわち、前記したようにGa
N基板ウエーハに高転位層が存在した場合には、DH構
造エピタキシャル成長や後のプロセスにおける高温加熱
時に高転位層で転位が反応したり、高転位層でウエーハ
面と水平に折れ曲がった刃状転位が再び、層厚に方向に
折れ曲がってDH構造エピタキシャルに到達するためと
考える。10ないし20個に1つの割合で閾値の大きな
ものがでる理由は図9からも予想されることであるがス
トライプ選択成長マスクの周期で転位密度の変化がGa
N基板エピタキシャル層の高転位密度層を含む初期成長
層には存在し、この周期変化に応じた特に高密度の領域
から延びた転位群が電流狭窄用ストライプ活性層領域に
到達した場合に生じると考えられる。 【0197】従って、製造歩留まりや特性検査工数を考
えた場合には高転位密度層を完全に除去したGaN基板
を用意してDH構造エピタキシャル成長を行うことが好
ましい。すなわち、半導体レーザの作製に用いるGaN
基板としては、サファイア基板、下地結晶層、マスク、
マスク近傍の高転位密度層までをすべて取り除いたもの
が好ましい。ただし、レーザ構造の形成のためのエピタ
キシャル成長の際には、GaN基板に適度の厚みが要求
されることを考慮することが必要である。 【0198】以上、サファイア基板上に成長したGaN
ウェーハを基板に用いて作製したレーザの特性について
述べたが、サファイア基板上に成長する際にAlを添加
したGaN、すなわちAlGaNウェーハを基板として
作製したレーザについてもレーザ特性を調べた。この場
合、レーザの閾値電流は20mA程度低減するものが得
られた。この場合のAl0.05Ga0.95Nクラッ
ド層202の厚みは1.5μmとした。閾値電流の低減
は、クラッド層202の厚膜化による光閉じ込め効果が
原因と思われ、上部クラッド層207についても厚膜化
すればさらに閾値電流や微分量子効率の改善が可能であ
ると考えられる。 【0199】<成長表面の平坦化による閾値の再現性向
上>半導体レーザのDH構造をエピタキシャル成長する
場合にはGaN基板の表面状態について注意が必要であ
る。注意する点はGaN基板の成長表面の平坦性で、成
長表面が平坦でないとDH構造エピタキシャル層、特に
活性層の平坦性が保持できない。活性層の平坦性の確保
が重要なことは導波の点から考えれば明らかであるが、
特に結晶学的に決まる劈開によって形成される共振器面
と活性層面のなす角度が直角からズレることの方を危惧
すべきである。この角度のズレがあると導波してきた光
が共振器面で反射されてもどる場合に大きく損失し、し
きい値を増大させるからである。この角度のズレの許容
限界は1度を大きく下回ると考えられる。 【0200】一般に、GaN基板の成長表面は100μ
m以上の厚いエピタキシャル成長後の表面であり、多く
は成長縞やうねりがみられる。そこで、サファイア基板
を除去し、マスクと共にマスク近傍の高転位密度層を取
り除いたGaN基板を研磨用重りからはがして裏表を張
り替え、GaN基板の成長最上層を研磨して成長縞やう
ねりを取り除いてから、DH構造形成のためのエピタキ
シャル成長を行った。すなわち、ここでは、GaN基板
の成長終了面を研磨して平滑化した表面を主面としてD
H構造形成のためのエピタキシャル成長を行った。この
ようにして作製されたGaN基板をウエーハに用いて作
製されたストライプレーザの閾値はバラツキが小さく良
好なレーザ特性が得られた。 【0201】別の形態として、DH構造形成のためのエ
ピタキシャル成長を、サファイア基板、下地結晶層、マ
スク、及びマスク近傍の高転位密度層を取り除いて形成
されたGaN基板の裏面(サファイア基板が存在してい
た側の面)に行って半導体レーザを作製した。すなわ
ち、III族元素窒化物半導体ウェーハの表裏の2つの
主面のうち転位密度の比較的高い方の主面上に素子構造
が形成された場合においても、得られた半導体レーザの
閾値等のレーザ特性は同様に良好であった。この場合、
成長面の成長縞やうねりを除去するための研磨工程が不
要となる。なお、GaN基板の表面に成長した場合に較
べて転位密度は若干高くなることが考えられるが、マス
ク近傍の高転位密度層を十分に除去すれば、閾値等のレ
ーザ特性が良好な半導体レーザを作製することができ
る。 【0202】以上、半導体レーザのDH構造が平坦であ
る場合について説明した。しかし、DH構造を有する半
導体レーザの製造方法には、水平横モードの制御を行う
ために、DH構造の形成ためのエピタキシャル成長前に
基板表面を加工して予め電流注入領域となる部分に溝を
彫り込む等の技術がある。このような技術においても本
発明のGaN基板等のIII族元素窒化物半導体ウェー
ハは問題なく適用可能である。 【0203】本発明のIII族元素窒化物半導体ウェー
ハは、電界効果トランジスタ等の電子輸送デバイスに適
用しても、電子の移動度が改善されたり、電極等の製造
歩留まりや信頼性が向上する等の効果が得られる。この
電子の移動度の改善は、A転位がもたらす小傾角粒界で
の散乱が減ったためと考えられる。また、電極の信頼性
の改善は、半導体レーザにもいえるが、転位が減少した
結果、電極金属の転位線(特にA転位)に沿っての異常
拡散が減少したためと考えられる。このように、本発明
のウェーハは、高集積化された各種半導体装置に適用可
能であり、III族元素窒化物半導体の応用分野の一つ
として期待されている、自動車エンジン等の発熱装置の
近くに搭載しても動作可能な高温動作−高性能半導体装
置の実現にも大きく寄与するものである。 【0204】 【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。 【0205】(実施例1)本発明の実施例について図1
を参照して説明する。本実施例では、基板として、(0
001)面サファイア(Al)基板1上に膜厚1
μmのGaN膜(下地結晶膜)2をあらかじめ形成した
基板を用いた。この下地結晶膜の成長にはMOCVD装
置を用いた。まずサファイアを450℃に加熱して、G
a原料のトリメチルガリウム(TMG:(CH
a)とアンモニア(NH)を供給して、400Åの厚
さのGaNを成長した。その後、温度を1000℃に上
昇させてGaNを成長させた。このGaN膜2表面にS
iO膜を形成し、フォトリソグラフィー法とウエット
エッチングでストライプ状のマスク4を形成し、成長領
域3を分離・形成した。成長領域3及びマスク4は、そ
れぞれ幅5μm及び2μmのストライプ状とした。スト
ライプ方向は<11−20>方向とした((図1
(a))。 【0206】成長領域3に成長するGaN結晶は、Ga
原料にガリウム(Ga)と塩化水素(HCl)の反応生
成物である塩化ガリウム(GaCl)とN原料にアンモ
ニア(NH)ガスを用いるハイドライドVPE法によ
り成長させた。GaClは、金属GaとHClを800
℃程度に保った反応管上流部で反応させて得た。基板を
成長装置にセットし、水素雰囲気で成長温度1000℃
に昇温する。成長温度が安定してから、HCl流量を2
0cc/毎分で供給し、NH流量1000cc/毎分
で5分程度供給することで、成長領域3にGaN結晶の
{1−101}面からなるファセットを成長させた(図
1(b))。さらに、20分間程度エピタキシャル成長
を続け、マスク4を覆うまでファセット6を発達させた
(図1(c))。 【0207】エピタキシャル成長を続けることによりフ
ァセット構造を埋め込み(図1(d))、最終的には、
5時間の成長で200μm程度の平坦な表面を有するG
aN膜を形成させた(図1(e))。GaN結晶膜5を
形成後、アンモニアガスを供給しながら、常温まで冷却
し成長装置より取り出した。 【0208】本実施例によって形成されたGaN膜5に
は、サファイア基板1と格子定数や熱膨張係数が違うに
もかかわらずクラックが入っていないことが確認され
た。しかも、厚膜成長を行ったGaN結晶膜には、欠陥
が非常に少なく、転位密度は10/cm程度であっ
た。なお、転位密度は、透過電子顕微鏡を用い、膜表面
付近の平面観察によって計測した。 【0209】本実施例で成長したGaN結晶膜は欠陥が
非常に少なく、この上にレーザ、FET、HBTなどの
高品質なデバイス構造を成長することで、デバイス特性
を向上させることが可能となる。 【0210】(実施例2)本実施例について図11を参
照して説明する。図11は、本発明のGaN結晶膜上に
GaN系半導体レーザを製造する方法を説明するための
概略工程断面図である。 【0211】(0001)面のサファイア基板1上に、
実施例1と同様にMOCVD法で膜厚1μmのGaN膜
2を形成した。このGaN膜2上にSiO膜を形成
し、実施例1と同様にフォトリソグラフィー法とウエッ
トエッチングでストライプ状のマスク4を形成し、成長
領域3を分離・形成した。成長領域3及びマスク4は、
それぞれ幅5μm及び2μmのストライプ状とした。ス
トライプ方向は<11−20>方向から10度傾けて形
成した(図11(a))。 【0212】成長領域3に成長するGaN結晶は、上記
の実施例1と同様にGa原料にガリウム(Ga)と塩化
水素(HCl)の反応生成物である塩化ガリウム(Ga
Cl)とN原料にアンモニア(NH)ガスを用いるハ
イドライドVPE法を用いた。基板を成長装置にセット
し、水素雰囲気で成長温度1000℃に昇温する。65
0℃の温度から基板をNHガス雰囲気にする。成長温
度が安定してから、HCl流量を40cc/毎分で供給
し、NH流量1000cc/毎分、およびシラン(S
iH)流量0.01cc/毎分で150分間の成長
で、実施例1で説明した図1の(a)から(e)の成長
過程を経て、マスク4を埋め込んだ膜厚200μmのn
型GaN結晶膜65を形成する(図11(b))。n型
GaN結晶膜65を形成後、NHガス雰囲気で常温ま
で冷却し、成長装置より取り出す。GaN結晶膜65
は、1×1018cm−3以上のキャリア濃度であっ
た。 【0213】次に、GaN系半導体レーザ構造の作製に
は、有機金属化学気相成長法(MOVPE)を用いて作
製した。 【0214】GaN膜65を形成後、MOCVD装置に
セットし、水素雰囲気で成長温度1050℃に昇温す
る。650℃の温度からNH3ガス雰囲気にする。Si
を添加した1μmの厚さのn型GaN層66、Siを添
加した0.4μmの厚さのn型Al0.15Ga
0.85Nクラッド層67、Siを添加した0.1μm
の厚さのn型GaN光ガイド層68、2.5nmの厚さ
のアンドープIn0.2Ga .8N量子井戸層と5n
mの厚さのアンドープIn0.05Ga0.95N障壁
層からなる10周期の多重量子井戸構造活性層69、マ
グネシウム(Mg)を添加した20nmの厚さのp型A
0.2Ga0.8N層70、Mgを添加した0.1μ
mの厚さのp型GaN光ガイド層71、Mgを添加した
0.4μmの厚さのp型Al0.15Ga0.85Nク
ラッド層72、Mgを添加した0.5μmの厚さのp型
GaNコンタクト層73を順次形成しレーザー構造を作
製した。p型のGaNコンタクト層73を形成した後、
HNガス雰囲気で常温まで冷却し、成長装置から取り
出した(図11(c))。2.5nmの厚さのアンドー
プIn0.2Ga0.8N量子井戸層と5nmの厚さの
アンドープIn0.05Ga 0.95N障壁層からなる
多重量子井戸構造活性層69は、780℃の温度で形成
した。 【0215】次に、レーザー構造が形成されたサファイ
ア基板を研磨器にセットし、サファイア基板1、GaN
膜2、SiOマスク4、及びGaN結晶膜65の50
μmを研磨してGaN結晶膜65を露出させた。 【0216】露出したGaN結晶膜65面には、チタン
(Ti)−アルミ(Al)のn型電極74を形成し、p
型のGaN層73上にはニッケル(Ni)一金(Au)
のp型電極75を形成した(図11(d))。 【0217】なお、本実施例では、サファイア基板1、
GaN下地結晶膜2、SiOマスク4及びGaN結晶
膜65の一部を研磨により除去してn型の電極を形成し
たが、研磨を行わずにドライエッチングによりn型Ga
N層66または65まで除去してn型電極を形成し、共
振器ミラー面を形成してもよい。 【0218】(実施例3)本発明の実施例について図1
を参照して説明する。本実施例では、基板として、(0
001)面サファイア(Al)基板1上に膜厚1
μmのGaN膜2(下地結晶膜)をあらかじめ形成した
基板を用いた。この下地結晶膜の成長にはMOCVD装
置を用いた。まずサファイアを450℃に加熱して、G
a原料のトリメチルガリウム(TMG:(CH
a)とアンモニア(NH)を供給して、400Åの厚
さのGaNを成長した。その後、温度を1000℃に上
昇させてGaNを成長させた。 【0219】このGaN膜2表面にSiO膜を形成
し、次のようにしてフォトリソグラフィーとウエットエ
ッチングでストライプ状のマスク4を形成した。まず、
GaN膜2表面に形成したSiO膜上にフォトレジス
ト(感光性樹脂)を付与してレジスト薄膜を形成する。
次に、このレジスト薄膜に、ストライプ状のパターンを
有する露光用マスクを介して紫外線を照射する。続いて
溶剤を用いて現像を行いレジストパターンを形成する。
そして、このレジストパターンをエッチング用マスクと
して、下層のSiO膜をウェットエッチング或いはド
ライエッチングにより選択エッチングする。この選択エ
ッチングの後、不要になったレジストパターンを剥離液
あるいはアッシングにより除去する。 【0220】このような方法によって、サファイア基板
上に成長領域3を分離・形成した。成長領域3及びマス
ク4は、それぞれ幅5μm及び2μmのストライプ状と
した。ストライプ方向は<11−20>方向とした
((図1(a))。 【0221】上記のようにして調製されたマスク付きサ
ファイア基板を結晶成長装置の反応管にセットする直前
に、次のような工程でストライプ状マスクのSiO
面を清浄化した。 【0222】まず、エチルメチルケトン或いはエタノー
ル等の有機溶剤中に浸して超音波洗浄を10分間以上行
い、続いて超純水で10分間以上洗浄した。次に、80
〜100℃に加温した硝酸溶液中に30分間以上浸し、
続いて超純水で10分間以上洗浄した。その後、バッフ
ァード・フッ酸(フッ化アンモニウム+フッ酸混合緩衝
溶液)に20秒〜25秒間浸してSiOマスク表面を
1000Å程度エッチングした。続いて超純水で10分
程度洗浄し、窒素気流中で乾燥を行った。その後、この
基板を結晶成長装置の反応管にセットした。 【0223】成長領域3に成長するGaN結晶は、Ga
原料にガリウム(Ga)と塩化水素(HCl)の反応生
成物である塩化ガリウム(GaCl)とN原料にアンモ
ニア(NH)ガスを用いるハイドライドVPE法によ
り成長させた。基板を成長装置にセットし、水素雰囲気
で成長温度1000℃に昇温する。成長温度が安定して
から、HCl流量を20cc/毎分で供給し、NH
量1000cc/毎分で5分程度供給することで、成長
領域3にGaN結晶の{1−101}面からなるファセ
ットを成長させた(図1(b))。さらに、20分間程
度エピタキシャル成長を続け、マスク4を覆うまでファ
セット6を発達させた(図1(c))。 【0224】エピタキシャル成長を続けることによりフ
ァセット構造を埋め込み(図1(d))、最終的には、
5時間の成長で200μm程度の平坦な表面を有するG
aN膜を形成させた(図1(e))。GaN結晶膜5を
形成後、アンモニアガスを供給しながら、常温まで冷却
し成長装置より取り出した。 【0225】本実施例によって形成されたGaN膜5に
は、サファイア基板1と格子定数や熱膨張係数が違うに
もかかわらずクラックが入っていないことが確認され
た。 【0226】また、この結晶の表面付近の層領域の転位
をTEM解析したところ、c面に対して平行な変位ベク
トルを持つ転位(A転位)の密度が大幅に減って、A転
移の割合がその層領域においては全転位数に対して20
%程度であり、c面に対して斜めに傾いた変位ベクトル
を持つ転位(B転位)の割合が80%程度となってい
た。さらに、その層領域の全転位密度も1×10/c
程度にまで減少していた。なお、転位密度は、透過
電子顕微鏡を用い、膜表面付近の平面観察によって計測
した。 【0227】本実施例で成長したGaN結晶膜は欠陥が
非常に少なく、この上にレーザ、FET、HBTなどの
高品質なデバイス構造を成長することで、デバイス特性
を向上させることが可能となる。 【0228】なお、実施例においては本発明によるウェ
ーハ上に結晶成長を行ってデバイスを作製したが、ウェ
ーハそのものを素子の動作領域としたデバイスに対して
も用いることができることはいうまでもない。 【0229】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、G
aN結晶等のIII族元素窒化物半導体と異種基板との
熱膨張係数差や格子定数差によるエピタキシャル層での
クラックの発生が抑えられ、また、転位密度が低減さ
れ、転位による欠陥の発生が抑制され、高品質のGaN
結晶膜等のIII族元素窒化物半導体ウェーハを提供す
ることができる。また、本発明のGaN結晶膜等のII
I族元素窒化物半導体ウェーハを用いれば、この上に高
品質の半導体素子、例えばレーザ構造やトランジスタ構
造を作製することができ、その特性が飛躍的に向上す
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のGaN結晶膜の形成方法を説明する
ための概略工程断面図である。 【図2】 GaN結晶中の転位の基本構造の説明図であ
る。 【図3】 転位の周囲の格子面の状態を説明するための
模式図である。 【図4】 本発明のGaN結晶膜の転位構造を説明する
ための模式図である。 【図5】 本発明のGaN結晶膜のマスク上領域の欠陥
構造を表す膜断面のTEM写真である。 【図6】 本発明のGaN結晶膜のマスク上領域の欠陥
構造を表す膜断面のTEM写真である。 【図7】 本発明のGaN結晶膜の欠陥構造を説明する
ための図である。 【図8】 本発明のGaN結晶膜の欠陥構造を説明する
ための模式的断面図である。 【図9】 GaN結晶膜表面に突き出た転位の密度(エ
ッチピット密度)を、ストライプ方向に垂直方向の距離
に対してプロットした図である。 【図10】 GaN結晶膜表面で検出された全エッチピ
ット密度を膜厚に対してプロットした図である。 【図11】 本発明のGaN結晶膜上にGaN系半導体
レーザー構造を形成する方法の概略工程断面図である。 【図12】 本発明の結晶成長におけるマスク近傍の転
位の形態を説明するための模式図である。図12(a)
は部分断面図、図12(b)は部分平面図である。 【図13】 本発明の結晶成長におけるマスク表面、フ
ァセット表面、結晶/マスク界面に働く表面(界面)張
力の状態を説明するためのマスク近傍の模式的部分断面
図である。 【図14】 ウェーハの反りの状態を説明するための模
式的断面図である。 【図15】 ファブリペロ共振器断面から見たレーザ構
造の概略断面図である。 【図16】 ダブルヘテロ構造を有する半導体レーザの
構造断面図である。 【図17】 本発明のGaN結晶膜の転位構造を説明す
るための模式図である。 【符号の説明】 1 基板 2 下地結晶膜 3 成長領域 4 マスク 5 GaN結晶膜 6 ファセット 65 n型GaN膜 66 n型GaN層 67 n型Al0.15Ga0.85Nクラッド層 68 n型GaN光ガイド層 69 多重量子井戸構造活性層 70 P型Al0.2Ga0.8N層 71 p型GaN光ガイド層 72 p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層 73 p型GaNコンタクト層 74 n型電極 75 p型電極 101 サファイア基板 102 電極 103 電極 104 酸化珪素膜 105 レーザ光出射領域 106 電極形成層 201 GaN基板 202 n型クラッド層 203 n型GaN光ガイド層 204 多重量子井戸構造活性層 205 p型解離防止層 206 p型光ガイド層 207 p型クラッド層 208 p型コンタクト層 209 酸化珪素膜 210 p型電極 211 n型電極 212 レーザ光出射領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 朗 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 砂川 晴夫 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 水田 正志 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BE15 DB01 EE02 EE07 TC12 TC16 TK10 5F045 AA01 AA04 AB14 AC03 AC08 AC12 AC13 AD08 AD10 AD14 AF09 BB12 CA12 DA53 DA67 DB02 5F073 AA45 AA74 CA07 CB05 DA05 DA07

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 成長させる結晶とは異なる材料からなる
    異種基板上に複数の成長領域を形成するようにストライ
    プ状にパターニングされたマスクを形成する工程、該マ
    スクの表面張力を低減させる清浄化処理を行う工程、該
    成長領域からファセット構造を形成しながら結晶成長さ
    せ、該マスクを介して隣り合う成長領域から成長した結
    晶と合体して該マスクを覆い、さらに該ファセット構造
    を埋め込んで表面を平坦化するようにエピタキシャル成
    長する工程を有することを特徴とするIII族元素窒化
    物半導体ウェーハの製造方法。
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