JP2003299115A - 画像信号処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電子カメラやプリンタなどに適用される画像信
号処理装置において、色調整用の特別なカラーチャート
を用意することなく、好ましい肌色再現を可能にする。 【解決手段】本発明を適用した電子カメラ１０の不揮発
性メモリ４４には、肌色再現目標値のデータが人種別、
性別別などに分類されて複数記憶されている。ユーザが
「カスタム肌色バランスモード」を選択し、被写体人物
の人種・性別等を選択する操作を行うと、表示装置４２
において肌色指定エリアを示す枠線が表示される。ユー
ザは、肌色指定エリアに被写体の肌色部分が入るように
撮影する。こうして得られた撮影データ（例えば、肌色
指定エリア内の平均色度値）と肌色再現目標値からリニ
アマトリックス処理部２６及びＣ−マトリックス処理部
３２における色調整演算係数を制御部２２が算出し、求
めた係数をセットする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電子カメラやプリン
タなどに適用される画像信号処理装置に係り、特に、良
好な肌色再現を行うための色補正技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子カメラの分野では、撮影光源下にお
いて最適なホワイトバランスに合わせるために、白い被
写体を全画面撮影し、その撮影データを基にカメラ内部
でホワイトバランスを自動調整する技術が知られてい
る。しかし、この方法では、ホワイトバランスは調整さ
れるが、色補正演算の内容は調整できない。例えば、蛍
光灯などの演色性が悪い光源下では、単にホワイトバラ
ンスをとっただけでは良好な色再現の画像が得られない
という欠点がある。

【０００３】これに対し、特開平１０−７５４５８号公
報では、複数台の放送局用ビデオカメラから得られる出
力映像の色を一致させるために、撮影光源下でカラーチ
ャートを撮影し、カメラ内部の色補正演算内容を決定す
る色補正装置が開示されている。この装置によれば、カ
ラーチャート撮影時にビューファインダーの画面上にマ
ーカーが表示される。ユーザはカラーチャートの画像上
でマーカーを移動させ、重み付けをする色を選択して重
み付けレベルを入力するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された技術では、色調整を行うためにユーザは
常に専用のカラーチャートを持参する必要がある。ま
た、チャートの位置合わせや色指定の操作が煩雑であ
る。さらに同公報によれば、色の目標値は、基準とする
一方のビデオカメラの撮像信号値であることから、その
色の好ましさは反映されていない。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、特別な専用チャートを用意することなく、好ま
しい色再現（特に肌色再現）を達成する色調整演算係数
を自動設定できる画像信号処理装置を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明に係る画像信号処理装置は、肌色再現の目標値
が記憶されている記憶手段と、入力された画像の肌色部
分の領域を設定する肌色領域設定手段と、前記肌色領域
設定手段で設定された領域内に含まれる画像情報及び前
記記憶手段から読み出した前記目標値から、前記目標値
に近い肌色再現を達成するように色調整演算係数を算出
する演算手段と、前記演算手段で求めた色調整演算係数
を用い、画像信号に対して色調整演算を施す色補正手段
と、を備えたことを特徴としている。

【０００７】本発明によれば、好ましい肌色再現目標値
のデータが装置内の記憶手段に格納されており、入力さ
れた画像の全部又は一部について設定された肌色領域内
から得られた画像情報と前記目標値のデータに基づい
て、装置内部の演算手段で色調整演算係数を算出し、得
られた色演算係数を色補正手段に適用して画像信号の色
調整を実施する。例えば、色補正手段は、Ｒ，Ｇ，Ｂな
どの原色信号について線型変換を行うリニアマトリック
ス演算処理部及び輝度・色差信号に変換後の色差信号
（Ｃr,Ｃb ）について線型変換を行うＣ−マトリックス
演算処理部のうち少なくとも一つを含む。

【０００８】これにより、設定に係る肌色領域の色が目
標値と略等しい色に補正され、好ましい肌色再現が可能
となる。本発明によれば、特別なチャートを用いること
なく、設定に係る肌色部分を目標値に近い色で再現する
ことができる。

【０００９】本発明の一態様によれば、前記目標値は、
人種別、国・地域別、性別別及び年齢別のうち、少なく
とも１つの分類別に複数のデータが格納されており、こ
れら複数の目標値の中からユーザが所望の目標値を選択
するための選択操作手段を備えていることを特徴として
いる。

【００１０】肌の色は、人種（白色人種／黄色人種／黒
色人種）、性別、年齢などによって異なり、また、好み
の色調も国や地域ごとに相違している。したがって、被
写体となる人物の特徴や撮影者の意図を反映させるため
に、肌色再現目標値は、人種別、国・地域別、性別別及
び年齢別などに分類して複数のデータを格納しておくこ
とが好ましい。

【００１１】本発明の他の態様に係る画像信号処理装置
は、上記構成に加えて、対象画像を観察できる画像観察
手段を備え、前記画像観察手段には、前記肌色部分の領
域として設定されるエリアを示す情報が画像内容ととも
に表示されることを特徴としている。

【００１２】画像観察手段としては、入力画像信号に基
づいて画像内容を表示する表示手段（例えば、液晶ディ
スプレイや有機ＥＬなどの電子画像表示装置）や実像式
ファインダーなどを適用できる。

【００１３】かかる態様によれば、肌色部分の領域とし
て設定されるエリアを明示する情報（枠線やマークな
ど）を画像に重ね表示することにより、ユーザは設定エ
リアを容易に把握することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る画像信号処理装置の好ましい実施の形態について詳説
する。

【００１５】〔第１の実施形態〕図１は本発明が適用さ
れた電子カメラのブロック図である。この電子カメラ１
０は、被写体の光学像をデジタル画像データに変換して
記録媒体に記録するデジタルカメラであり、撮影により
得られた画像信号を処理する信号処理手段の一部に本発
明の画像信号処理装置が適用される。

【００１６】電子カメラ１０の光学系１２は、撮影レン
ズ１３、絞り１４、及び光学フィルタ（赤外線カットフ
ィルタやローパスフィルタ）１５を含み、該光学系１２
を通過した光はＣＣＤ固体撮像素子（以下、ＣＣＤとい
う。）１６に入射する。ＣＣＤ１６の受光面には多数の
フォトセンサが平面的に配列され、各センサに対応して
赤（Ｒ）、緑（Ｇ）、青（Ｂ）の原色カラーフィルタが
所定の配列構造（ベイヤー、Ｇストライプ、ハニカムな
ど）で配置されている。なお、ＣＣＤ１６に代えて、Ｃ
ＭＯＳイメージセンサなど他の撮像素子を用いてもよ
い。

【００１７】ＣＣＤ１６の受光面に結像された被写体像
は、各フォトセンサによって入射光量に応じた量の信号
電荷に変換される。ＣＣＤ１６は、シャッターゲートパ
ルスのタイミングによって各フォトセンサの電荷蓄積時
間（シャッタースピード）を制御する電子シャッター機
能を有している。

【００１８】ＣＣＤ１６の各フォトセンサに蓄積された
信号電荷は、図示せぬＣＣＤドライバから与えられるパ
ルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号（画像信号）
として順次読み出される。ＣＣＤ１６から出力された画
像信号は、アンプ１８によって増幅された後、Ｒ，Ｇ，
Ｂの各色信号に色分離され、ホワイトバランス調整回路
２０へ送られる。

【００１９】ホワイトバランス調整回路２０は、Ｒ，
Ｇ，Ｂの色信号のレベルを増減するためのゲイン可変ア
ンプを含み、制御部２２からの指令に基づいて各色信号
のゲイン調整を行う。ホワイトバランス調整回路２０に
おいてゲイン調整されたＲ，Ｇ，Ｂの画像信号はＡ／Ｄ
変換器２４に加えられ、デジタル信号に変換される。

【００２０】Ａ／Ｄ変換器２４から出力されたＲ，Ｇ，
Ｂのデジタル画像信号は、リニアマトリックス処理部２
６に送られ、ＣＣＤ１６のカラーフィルタの分光透過率
等を考慮した補正が行われる。

【００２１】すなわち、リニアマトリックス処理部２６
では、入力されたＲ，Ｇ，Ｂのデータから次式（１）に
従って新たな原色データＲ′，Ｇ′，Ｂ′を求める演算
を行う。

【００２２】

【数１】

【００２３】ただし、Ａ_ij（i,j ＝1,2,3)は定数であ
り、これら定数は制御部２２からの指令に基づいて可変
設定される。なお、このリニアマトリックス処理部２６
は、ホワイトバランス調整されたグレー色が不変になる
ような係数が選択される。

【００２４】リニアマトリックス処理部２６で生成され
た信号は、ガンマ変換部２８に送られる。ガンマ変換部
２８は、非線形増幅手段を用いて階調特性を変換し、所
望のガンマ特性となるように入出力特性を変換する。

【００２５】ガンマ変換された信号は、Ｙ／Ｃ変換部３
０に送られ、該Ｙ／Ｃ変換部３０においてＲＧＢの原色
データから輝度信号Ｙと色差信号Ｃｒ、Ｃｂに変換され
る。

【００２６】Ｙ／Ｃ変換部３０で生成された輝度・色差
信号（Ｙ、Ｃr 、Ｃb ）は、Ｃ−マトリックス処理部３
２に送られる。Ｃ−マトリックス処理部３２では、入力
されたＣr ，Ｃb のデータから次式（２）に従って新た
な色差信号Ｃr ′，Ｃb ′を求める演算を行う。

【００２７】

【数２】

【００２８】ただし、Ｂ_ij（i,j ＝1,2)は定数であり、
これら定数は制御部２２からの指令に基づいて可変設定
される。

【００２９】Ｃ−マトリックス処理部３２において色補
正が行われた画像データは、圧縮回路３４によってＪＰ
ＥＧその他の所定のフォーマットに従って圧縮された
後、メモリカードなどの記録媒体３６に記録される。記
録媒体３６はリムーバブルメディアに限らず、電子カメ
ラ１０に内蔵された記録媒体（内部メモリ）であっても
よい。

【００３０】また、Ｃ−マトリックス処理部３２で処理
された画像データはエンコーダ３８に送られる。エンコ
ーダ３８は、入力した信号を表示用の所定方式の映像信
号（例えば、ＮＴＳＣ方式やＰＡＬ方式のカラー映像信
号）に変換する。エンコーダ３８より出力された信号は
Ｄ／Ａ変換器４０を介してアナログ信号に変換され、電
子カメラ１０に備えた表示装置（例えば、液晶モニタ）
４２に出力される。

【００３１】表示装置４２には、ＣＣＤ１６で撮像中の
リアルタイム映像（スルー画）や記録媒体３６に記録し
た画像の再生画像が表示されるとともに、現在設定され
ているモードの情報、画像の圧縮率の情報、日時情報、
コマ番号なども表示される。また、表示装置４２は、ユ
ーザが各種の設定操作等を行う際のユーザインターフェ
ース用表示画面としても利用され、必要に応じて設定項
目などのメニュー情報も表示される。

【００３２】制御部２２は、例えば、中央処理装置（Ｃ
ＰＵ）を備え、所定のプログラムに従ってホワイトバラ
ンス係数及び色調整係数などの最適化演算を行う演算部
として機能する。本例の電子カメラ１０は、被写体であ
る人物の肌色を良好に再現するために色調整演算係数を
自動設定するモード（以下、「カスタム肌色バランスモ
ード」という。）を有しており、電子カメラ１０内の不
揮発性メモリ（例えば、ＲＯＭ）４４には、肌色再現目
標値のデータ（例えば、所定の色空間の座標値）が保管
されている。肌色再現目標値のデータは、人種別、国
（地域）別、性別別、年齢別などに分類され複数格納さ
れている。

【００３３】ユーザは必要に応じて電子カメラ１０の操
作部４６を適宜操作し、電子カメラ１０を「カスタム肌
色バランスモード」に設定できるとともに、被写体に合
わせて好ましい肌色再現目標値を選択することができ
る。制御部２２は、操作部４６からの信号に基づき、該
当する肌色再現目標値のデータを不揮発性メモリ４４か
ら読み出し、好ましい肌色再現となる色調整演算係数を
算出する。

【００３４】なお、操作部４６は電子カメラ１０に対す
る各種の指示入力を行う手段であり、電子カメラ１０の
動作モードを選択するためモード選択スイッチ、メニュ
ー画面の表示を指示するメニューキー、メニュー項目の
選択操作（カーソル移動操作）や再生画像のコマ送り／
コマ戻し等の指示を入力する十字キー、選択項目の確定
（登録）や動作の実行を指示するＯＫボタン、選択項目
など所望の対象の消去や指示内容の取消し、或いは一つ
前の画面に戻るときに使用するＢＡＣＫボタン、電源ス
イッチ、ズームスイッチ、シャッターボタン（レリーズ
スイッチ）、表示装置４２のオン／オフや表示モードを
切り替える表示スイッチなど各種の操作手段を含む。

【００３５】次に、上記の如く構成された電子カメラ１
０の動作について説明する。

【００３６】図２は、本例の電子カメラ１０のにおける
カスタム肌色バランスモードの動作手順を示すフローチ
ャートである。同図に示したように、カメラ電源をＯＮ
した後（ステップＳ１１０）、ユーザは所定の操作手順
に従い「カスタム肌色バランスモード」を選択する（ス
テップＳ１１２）。次いで、被写体となる人物の人種や
性別等をメニュー画面など所定のユーザインターフェー
スを用いて設定する（ステップＳ１１４）。こうして、
設定された条件に従って不揮発性メモリ４４から設定に
係る肌色再現目標値のデータが読み出される。

【００３７】その後、カスタム肌色バランスモードによ
る画像入力待ち状態となり（ステップＳ１１６）、表示
装置４２において図３に示すような「カスタム肌色バラ
ンス撮影画面」が表示される。

【００３８】すなわち、表示装置４２にはスルー画が表
示されるとともに、画面の中央部分には肌色指定エリア
５０を示す枠線が重ね表示される。なお、画面左上には
「カスタム肌色バランス」モードであることを示すモー
ド情報が表示され、画面下には操作ガイドが表示され
る。

【００３９】ユーザは、表示装置４２の画面を見ながら
ズームスイッチによる倍率変更操作や撮影光軸の方向を
変えるなどの操作を行い、肌色指定エリア５０の全体に
被写体の肌色部分が入るように画角を設定する（図２の
ステップＳ１１６）。

【００４０】被写体の肌色部分によって肌色指定エリア
５０が満たされた画角が得られたタイミングでシャッタ
ーボタンを押して画像の取り込みを行う（ステップＳ１
１８）。制御部２２は、入力した画像信号から被写体の
明るさ等を検出し、明るさ等が適切であったか否かの判
定を行う（ステップＳ１２０）。

【００４１】もし、明るさ過剰又は不足、或いは補正範
囲逸脱などの理由によってカスタム肌色バンラスの調整
が不能と判定した場合は、表示装置４２に警告を表示し
（ステップＳ１２２）、ユーザに対して適正な明るさの
肌色部分の再選択又は露出補正を促す。ユーザは、明る
さの違う肌色部分を選択し直すか、又は露出補正を行う
などの対策を講じる（ステップＳ１２４）。その後、処
理はステップＳ１１６に戻る。

【００４２】また、ステップＳ１２０において、撮影の
明るさ等が適切であるとの判定を得ると、ステップＳ１
２６に進む。ステップＳ１２６において制御部２２は、
肌色指定エリア５０内外の全領域（撮影画面全体）の画
像信号を使ってホワイトバランスの調整値（ゲイン値）
を求め、ホワイトバランスをとる。

【００４３】そして、肌色指定エリア５０内から得られ
た撮影データ（例えば、肌色領域内の平均色度値）と肌
色再現目標値とを比較し、肌色再現目標値に近づけるよ
うな色補正を実現するための色調整演算係数をカメラ内
部で算出し、求まった係数をリニアマトリックス処理部
２６及びＣ−マトリックス処理部３２に対してセットす
る（ステップＳ１２８）。

【００４４】このようにして、色調整演算係数をセット
した後に、同じ光源下で実際の撮影動作を行うことによ
り、入力画像に対してリニアマトリックス処理部２６及
びＣ−マトリックス処理部３２において所要の色補正処
理が施され、肌色再現目標値に近い肌色再現の画像が得
られる。

【００４５】なお、リニアマトリックス処理部２６又は
Ｃ−マトリックス処理部３２の何れか一方のみを用いて
肌色補正を行う態様も可能であるが、目標値により近づ
ける色補正を行うためには、上述のようにリニアマトリ
ックス処理部２６及びＣ−マトリックス処理部３２の両
方の処理部を用いて肌色補正を行う態様が好ましい。

【００４６】本実施形態に係る電子カメラ１０によれ
ば、従来必要とされていた専用のカラーチャートが不要
であり、蛍光灯などの演色性の低い光源下でも良好な肌
色再現で撮影が可能になる。

【００４７】図３では、撮影画面の中央部を肌色指定エ
リア５０として設定したが、肌色指定エリア５０の位置
や形状は図３の例に限定されない。肌色指定エリア５０
の位置や形状をユーザが選択できるように構成すること
も可能であるし、撮影画面の全体を肌色指定エリア５０
に設定し、被写体の肌色部分を全画面撮影してカスタム
肌色バランス撮影情報を取得することも可能である。

【００４８】液晶モニタのように入力画像信号に基づい
て画像内容の表示を行う表示装置４２を備えた電子カメ
ラ１０の場合は、カスタム肌色バランスモードのモード
選択に応じて肌色指定エリア５０の枠線等の表示／非表
示を切り替えることができる。本発明の実施に際して
は、このような電子表示装置に限定されず、実像式ファ
インダーなどの光学的な画像観察手段を適用することも
可能である。光学ファインダーにおいてファインダー視
野内に肌色指定エリアを示す枠を表示する場合、ＡＦタ
ーゲットマークと同様に、プリズム面に枠を形成する方
法を適用してもよいし、切換視野枠と類似の手法を用い
て肌色指定エリアを表示させてもよい。

【００４９】また、上述したカスタム肌色バランスモー
ドによるカスタム肌色バランス調整の有無に関する情報
や、その調整値（色調整演算係数）の情報などを画像記
録時に画像の付加情報として記録媒体３６に記録するこ
とも好ましい。付加情報として記録されたカスタム肌色
バランスの情報をプリント時に利用することにより、好
ましい肌色再現のプリントが可能となる。

【００５０】〔第２の実施形態〕次に、本発明を適用し
たプリンタの例を述べる。

【００５１】図４は本発明の実施形態に係るプリンタ６
０のブロック図である。同図に示すように、プリンタ６
０は、着脱可能な記録媒体（リムーバブルメディア）、
或いは有線又は無線のデータ通信手段（例えば、ＵＳ
Ｂ、ＩＥＥＥ１３９４、ＲＳ２３２Ｃなど）を用いて画
像データを受け入れる画像入力手段６２と、ＪＰＥＧ圧
縮画像解凍処理部６４と、解凍処理された画像中の肌色
部分を指定する肌色部分指定機能部６６と、肌色再現目
標値が記憶されている不揮発性メモリ６８と、色調整係
数最適化演算部７０と、ＹＣr Ｃb マトリックス補正部
７２と、ＹＣr Ｃb →ＲＧＢ変換回路（以下、ＲＧＢ変
換回路という。）７４と、ルックアップテーブル（ＬＵ
Ｔ）補正回路７６と、ＲＧＢ→ＹＭＣ変換回路（以下、
ＹＭＣ変換回路という。）７８と、プリントエンジン８
０を備えている。

【００５２】画像入力手段６２から読み込まれた圧縮画
像データは、ＪＰＥＧ圧縮画像解凍処理部６４で解凍
（伸張）処理される。伸張された画像は、ＹＣr Ｃb マ
トリックス補正部７２に送られる。また、プリント対象
として入力された画像は、当該プリンタ６０に設けられ
ている画像表示装置（不図示）又はパソコンや携帯端末
などのプリンタ制御装置に付属する画像表示装置に表示
される。

【００５３】本例のプリンタ６０は、プリント画像に含
まれる人物の肌色を良好に再現するために色調整演算係
数を自動設定する「カスタム肌色バランスモード」を有
している。肌色再現を重視したプリントを希望する場
合、ユーザは所定の操作部を操作して「カスタム肌色バ
ランスモード」を選択するとともに、画像表示装置に表
示されたプリント画像中の肌色部分を指定し、被写体人
物の人種・性別等の情報を選択する。

【００５４】カスタム肌色バランスモードが選択される
と、図５に示すように、プリント画像の再生画面に肌色
指定エリア９０を示す枠線が重ね表示される。ユーザ
は、プリンタ６０に設けられている十字キーその他所定
の操作手段を操作して肌色指定エリア９０を所望の位置
に移動させ、画像中の肌色部分を指定する。なお、この
とき、必要に応じて肌色指定エリア９０のサイズを拡縮
操作してもよい。

【００５５】こうして、指定された肌色部分の画像情報
（例えば、肌色指定エリア９０内の平均色度値）と、図
４に示した不揮発性メモリ６８から読み出した肌色再現
目標値から、プリンタ６０内部の色調整係数最適化演算
部７０において色調整演算係数が算出される。

【００５６】求めた色調整演算係数は、ＹＣr Ｃb マト
リックス補正部７２のマトリックス係数としてセットさ
れる。ＹＣr Ｃb マトリックス補正部７２は、入力され
たＹ，Ｃr ，Ｃb のデータから次式（３）に従って新た
な画像データＹ′，Ｃr ′，Ｃb ′を求める演算を行
う。

【００５７】

【数３】

【００５８】ただし、Ｃ_ij（i,j ＝1,2,3)は定数であ
り、これら定数は色調整係数最適化演算部７０からの指
令に基づいて可変設定される。

【００５９】ＹＣr Ｃb マトリックス補正部７２で生成
されたデータは、ＲＧＢ変換回路７４に送られ、ＹＣ信
号からＲＧＢ信号に変換される。ＲＧＢ変換回路７４で
生成されたＲＧＢ信号は、ＬＵＴ補正回路７６において
ガンマ補正処理が施された後、ＹＭＣ変換回路７８に送
られる。ＹＭＣ変換回路７８では、受入したＲＧＢデー
タをＹ（イエロー）、マゼンダ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の
各色信号に変換する。ＹＭＣ信号に変換された画像デー
タはプリントエンジン８０に送られ、画像データが示す
画像内容がプリント用紙その他の印刷媒体にプリントさ
れる。こうして、画像内容が印刷されたプリント物８２
が得られる。これにより、好ましい肌色再現のプリント
を得ることができる。

【００６０】上述の実施形態では、色補正手段として３
×３のマトリックスを例示したが、色補正手段はこれに
限定されず、３次元ＬＵＴなどの態様も可能である。

【００６１】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る画像信
号処理装置装置によれば、肌色再現目標値のデータを装
置内の記憶手段に内蔵し、入力画像の肌色領域内から得
られた画像情報と肌色再現目標値から色調整演算係数を
算出して色補正手段にセットするようにしたので、目標
値と略等しい肌色再現が可能となる。本発明によれば、
特別なチャートが不要であり、被写体に適した好ましい
肌色再現の画像を簡単に得ることができる。

【００６２】また、本発明によれば、人種別、国・地域
別、性別別及び年齢別のうち、少なくとも１つの分類別
に複数の肌色再現目標値を用意し、これら複数の目標値
の中からユーザが所望の目標値を選択できるようにした
ので、多様な撮影シーンに対応することが可能である。

【００６３】さらに、本発明によれば、対象画像を観察
できる画像観察手段を付加し、肌色部分の領域として設
定されるエリアを示す情報を画像内容とともに提示する
ようにしたので、ユーザは画像中の肌色部分を容易に指
定することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された電子カメラのブロック図

【図２】本例の電子カメラにおけるカスタム肌色バラン
スモードの動作手順を示すフローチャート

【図３】カスタム肌色バランスモードにおける撮影画面
の一例を示す図

【図４】本発明が適用されたプリンタのブロック図

【図５】プリント画像の肌色部分を指定するユーザイン
ターフェース画面の一例を示す図

【符号の説明】

１０…電子カメラ、１６…ＣＣＤ、２０…ホワイトバラ
ンス調整回路、２２…制御部、２６…リニアマトリック
ス処理部、３２…Ｃ−マトリックス処理部、４２…表示
装置、４４…不揮発性メモリ、４６…操作部、５０…肌
色指定エリア、６０…プリンタ、６２…画像入力手段、
６６…肌色部分指定機能部、６８…不揮発性メモリ、７
０…色調整係数最適化演算部、７２…ＹＣr Ｃb マトリ
ックス補正部、８０…プリントエンジン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｈ０４Ｎ 9/04 Ｈ０４Ｎ 1/46 Ｚ ５Ｃ０７９ 9/79 9/79 Ｈ Ｆターム(参考） 5B057 BA02 CA01 CA08 CA12 CA16 CB01 CB08 CB12 CB16 CC01 CE17 CE18 CH07 CH08 5C055 AA14 BA05 BA07 BA08 DA01 DA02 EA02 EA04 EA05 HA35 HA37 5C065 AA01 BB16 CC02 CC03 CC04 CC05 DD02 DD17 EE12 GG18 GG44 GG49 5C066 AA01 AA05 AA11 BA01 CA08 EB03 EC01 GA01 GA02 GA04 GA05 GA31 GB01 KE01 KM02 KM13 LA02 5C077 LL19 MP08 PP32 PP34 PP37 PQ08 PQ12 PQ23 SS05 SS06 TT09 5C079 HB01 HB04 HB11 LA02 LB01 MA04 MA11 NA03 PA05

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 肌色再現の目標値が記憶されている記憶
   手段と、 入力された画像の肌色部分の領域を設定する肌色領域設
   定手段と、 前記肌色領域設定手段で設定された領域内に含まれる画
   像情報及び前記記憶手段から読み出した前記目標値か
   ら、前記目標値に近い肌色再現を達成するように色調整
   演算係数を算出する演算手段と、 前記演算手段で求めた色調整演算係数を用い、画像信号
   に対して色調整演算を施す色補正手段と、 を備えたことを特徴とする画像信号処理装置。
2. 【請求項２】 前記目標値は、人種別、国・地域別、性
   別別及び年齢別のうち少なくとも１つの分類別に複数の
   データが格納されており、 これら複数のデータの中からユーザが所望の目標値を選
   択するための選択操作手段を備えていることを特徴とす
   る請求項１に記載の画像信号処理装置。
3. 【請求項３】 対象画像を観察できる画像観察手段を備
   え、 前記画像観察手段には、前記肌色部分の領域として設定
   されるエリアを示す情報が画像内容とともに表示される
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の画像信号処理
   装置。