JP2003283293A - 水晶振動子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】水晶片の他端部をベース表面から確実に浮かせ
て、位相雑音特性を良好とした表面実装振動子を提供す
る。 【構成】励振電極から引出電極の延出した水晶片の一端
部両側を導電性接着剤によって容器本体の内底面に固着
してなる水晶振動子において、前記水晶片の一端部と前
記ベースとの間に突起を設けて、前記水晶片の一端面を
前記突起から突出させた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は表面実装用の水晶振
動子（以下、表面実装振動子とする）を産業上の技術分
野とし、特に雑音を除去した表面実装振動子に関する。

【０００２】

【従来の技術】（発明の背景）表面実装振動子は周波数
及び時間の基準源としての発振器等に組み込まれ、この
種のものは小型・軽量であることから、例えば携帯型と
した各種の電子機器に広く採用されている。近年では、
規格も一層厳しくなり、雑音成分が少なく特に位相雑音
特性を良好とした表面実装振動子が求められる。

【０００３】（従来技術の一例）第６図は本発明の一実
施例を説明する表面実装振動子の断面図である。表面実
装振動子は、概ね、容器本体１と水晶片２とからなる。
容器本体１は積層セラミックからなり、両端側に段部が
形成された凹部を有する。そして、一端側の段部には一
対の水晶接続端子３を有し、積層面及び側面を経て図示
しない底面の実装端子と電気的に接続する。水晶片２は
両主面に励振電極４を有し、一端部両側に引出電極５を
延出する（第７図）。そして、引出電極５の延出した一
端部両側を段部の水晶接続端子３上に導電性接着剤６に
よって固着し、電気的・機械的に接続する。

【０００４】通常では、容器本体１の一端側の段部に設
けられた水晶接続端子３上に導電性接着剤６を塗布して
（下塗り）、水晶片２の一端部両側を一端側の段部に他
端部を他端側の段部上に載置する。そして、水晶片２の
一端部の表面上に導電性接着剤６を塗布して（上塗
り）、高温加熱によって熱硬化する。これにより、水晶
片２の一端部両側を水晶接続端子３上に固着する。な
お、図中の符号７はカバーである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】（従来技術の問題点）
しかしながら、上記構成の表面実装振動子では、例えば
携帯機器（例えば携帯電話）の動作中に雑音が振動周波
数に重畳して、位相雑音特性を悪化させる問題があっ
た。すなわち、水晶片２の他端部が他端側の段部に当接
又は近接して配置されている（第８図）。したがって、
例えばモータ等の振動発生源が携帯機器に内蔵されてい
る場合には、低周波としての振動音が水晶片２の他端部
に伝搬して、振動周波数に重畳する。これにより、位相
雑音特性を悪化させる。

【０００６】これらのことから、水晶片２の他端部を当
接または近接させないために、例えば水晶片２の他端部
と段部との間に図示しないスペーサを介在させて、導電
性接着剤６の硬化後にこれを除去する。あるいは、導電
性接着剤６の硬化時の収縮力を利用して水晶片２の他端
側を浮き上がらせる提案がある（特許第２６６８５８５
号）。

【０００７】しかし、前者の場合は、スペーサの配置及
び除去に手間が掛かり、特に小型になるほど作業性に欠
ける。また、後者の場合には、導電性接着剤６の塗布量
や位置等の条件が困難で、反復再現性に欠ける問題があ
った。

【０００８】（発明の目的）本発明は水晶片の他端部を
ベース表面から確実に浮かせて、位相雑音特性を良好と
した表面実装振動子を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、引出電極の延
出した水晶片の一端部と容器内底面との間に突起を設
け、水晶片の一端面を突起から突出させて、導電性接着
剤によって固着したことを基本的な解決手段とする。

【００１０】

【作用】本発明では、水晶片の一端部とベースとの間に
突起を設けたので、水晶片の一端面と突起との間に介在
した導電性接着剤の硬化収縮によって他端部をベース底
面から浮かせられる。すなわち、突起を支点として、導
電性接着剤の硬化収縮による回転モーメントが作用し、
他端部が浮き上がる。以下、本発明の一実施例を説明す
る。

【００１１】第１図は本発明の一実施例を説明する表面
実装振動子の断面図である。なお、前従来例と同一部分
には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。表
面実装振動子は、前述同様に、凹部を有する容器本体１
の両端側の段部に水晶片２の両端部を載置して、一端部
両側に導電性接着剤６を塗布して固着し、水晶接続端子
３と電気的・機械的に接続してなる。

【００１２】そして、この実施例では、第２図の平面図
にも示したように、水晶接続端子３の先端側に線状の突
起８を設ける。突起８は金属又は絶縁体からなり、水晶
接続端子３の印刷焼成時に一体的に形成される。図中の
一点差線は水晶片２である。

【００１３】このようなものでは、先ず、水晶接続端子
３の設けられた一端側の段部に突起８を含めて導電性接
着剤６を下塗りする。そして、第３図（ａ）に示したよ
うに、引出電極５の延出した水晶片２の一端部を一端側
の段部に、水晶片２の他端部を他端側の段部に載置す
る。この場合、水晶片２の一端面を支点としての突起８
から突出させる。この状態では、水晶片２の他端部は段
部表面にほぼ当接し、一端部から見て右下がりの傾斜と
なる。

【００１４】次に、水晶片２の一端部両側に上面から導
電性接着剤６を上塗りし、加熱して熱硬化させる。この
場合、導電性接着剤６は熱硬化によって収縮する。そし
て、水晶片２の一端面と突起８との間に介在した特に下
塗りの導電性接着剤６の収縮によって、第３図（ｂ）に
矢印Ｐ．Ｑで示したように、水晶片２の一端部は引き下
げられ、他端部は引き上げられる。

【００１５】要するに、突起８を支点として回転モーメ
ントが作用し、一端部は引き下げられ、他端部は引き上
げられる。これにより、水晶片２の他端部を段部表面か
ら浮き上がらせる。したがって、このような構成であれ
ば、例えばモータの振動音が水晶片２に伝搬することを
防止して、位相雑音特性を良好に維持する。

【００１６】

【他の事項】上記実施例では、導電性接着剤６は下塗り
及び上塗りの２工程としたが、下塗りのみであっても勿
論適用できる。また、上塗りのみであったとしても、導
電性接着剤６が水晶片２と段部との間隙に浸透するもの
であれば適用できる。また、突起８は水晶接続端子３上
に設けたが、これに限らず例えば水晶接続端子３の間に
設けてもよく、本発明の趣旨に従う何れに設けてもよ
い。

【００１７】また、表面実装振動子として説明したが、
例えば両端側の段部間にＩＣチップを収容して発振器を
構成した場合でも同様に適用できる（第４図）。そし
て、水晶片２の両端部を段部に載置して固着したが、段
部がなく容器本体の内底面上に固着した場合でも同様に
適用できる（第５図）。特許請求の範囲では、段部の表
面を含めて内底面としている。

【００１８】また、容器本体１は凹状としたが、裏面に
実装電極を有する平板状として凹状にカバーを被せたも
のであってもよい。そして、水晶片２は平板状とした
が、例えば両端部をベベル加工したり、コンベックス状
にしたものでも同様に適用できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は、引出電極の延出した水晶片の
一端部と容器本体の内底面との間に突起を設け、水晶片
の一端面を突起から突出させて導電性接着剤によって固
着したので、水晶片の他端部をベース表面から確実に浮
かせて、位相雑音特性を良好とした表面実装振動子を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を説明する表面実装振動子の
断面図である。

【図２】本発明の一実施例を説明する容器本体の平面図
である。

【図３】本発明の一実施例の作用を説明する表面実装振
動子の断面図である。

【図４】本発明の他の適用例を説明する表面実装発振器
の図である。

【図５】本発明の他の適用例を説明する表面実装振動子
の図である。

【図６】従来例を説明する表面実装振動子の断面図であ
る。

【図７】従来例を説明する水晶片の平面図である。

【図８】従来例の問題点を説明する表面実装振動子の断
面図である。

【符号の説明】

１ 容器本体、２ 水晶片、３ 水晶接続端子、４ 励
振電極、５ 引出電極、６ 導電性接着剤、７ カバ
ー、８ 突起、９ ＩＣチップ．

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】励振電極から引出電極の延出した水晶片の
   一端部両側を導電性接着剤によって容器本体の内底面に
   固着してなる水晶振動子において、前記水晶片の一端部
   と前記ベースとの間に突起を設けて、前記水晶片の一端
   面を前記突起から突出させたことを特徴とする水晶振動
   子。
2. 【請求項２】前記突起は前記引出電極と電気的に接続す
   る水晶接続端子上に設けられた水晶振動子。