JP2003279424A - 環状弾性体 - Google Patents

環状弾性体

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JP2003279424A
JP2003279424A JP2002083174A JP2002083174A JP2003279424A JP 2003279424 A JP2003279424 A JP 2003279424A JP 2002083174 A JP2002083174 A JP 2002083174A JP 2002083174 A JP2002083174 A JP 2002083174A JP 2003279424 A JP2003279424 A JP 2003279424A
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annular elastic
optical fiber
hard
plate
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JP2002083174A
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English (en)
Inventor
Teruo Sasaki
輝男 佐々木
Akio Miyori
明男 見寄
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】グランドアンカーなどの広汎な用途に利用でき
る光ファイバを用いた荷重センサの提供、光ファイバを
用いた荷重センサの感度又は精度の向上 【解決手段】環状弾性体10の基本構成は、外周に光ファ
イバ11が巻き付けられる面12を備えた弾性変形部13と、
前記弾性変形部13を挟んで配設された一対の荷重作用部
14とを備えたものである。また、本発明に係る環状弾性
体は、環状弾性体に用いられる硬質部材又は硬質板を防
錆に優れた材料又は防錆処理が施された材料で構成した
り、環状弾性体の外周面を耐候性又は耐薬品性を備える
弾性被覆材で被覆したり、環状弾性体に設けられた内孔
の周面を耐油性を備える材料で被覆したりすることによ
り、広汎な用途に用いることができる光ファイバを用い
た荷重センサを提供している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバを用い
た荷重センサに関するものであって、特に、グランドア
ンカーのアンカーケーブルの張力を測定する用途に用い
ることができる荷重センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】グランドアンカーは、表面のコンクリー
トと土中深部の地下岩盤(地表から20〜30m程度の
深さ)との間にアンカーケーブルを張設したものであっ
て、このアンカーケーブルを緊張させることで、多量の
雨水などで、地盤が流れ出したり、崩落したりすること
を防いでいる。グランドアンカーは、設置時にアンカー
ケーブルに加わる力を調整しているが、自然の力に抗し
切れず、アンカーケーブルが破断する非常に危険な状況
が発生する場合もある。
【0003】これに対して、アンカーケーブルに掛かる
張力を検知することにより、グランドアンカーが取付け
られた地盤の状況を察知することができると考えられて
いる。グランドアンカー設置時においては、歪ゲージを
利用したロードセルや電磁式検知装置などを取付けてお
くことで、アンカーケーブルに掛かる張力を検知するこ
とができる。しかし、ロードセルや電磁式検知装置など
は、外部から常時通電しておかなければならず、また道
路などの広大な法面を監視する装置としては構成が大規
模になり不都合があった。また遠隔地の地盤の危険性を
監視するシステムを構築することも困難であった。
【0004】ところで、歪ゲージを利用したロードセル
などの代わりになる荷重センサとして、光ファイバを用
いた荷重センサが知られている。
【0005】光ファイバを用いた荷重センサの原理は、
光ファイバ中で発生する後方散乱光のうち、ブリルアン
散乱光の周波数が光ファイバの長さ方向に生じた歪に比
例して変化する性質に着目したものである。なお、後方
散乱光の周波数分布は、図6に示すように、後方散乱光
の最大の強度を有するレーリー光100と、レーリー光100
の両側に強度がレーリー光100の約一億分の1のピーク
(101、102)が、それぞれ2つ現れる。その内の1つが
光ファイバの歪に依存して発生周波数がシフトするブリ
ルアン散乱光101である。図6中、102はストークス光で
ある。
【0006】光ファイバを用いた荷重測定装置110は、
図7に示すように、光ファイバ111と、歪測定ユニット1
12と、表示装置113で構成されている。
【0007】光ファイバ111は、歪検出センサ部111aと
ダミーファイバ部111bがある。歪検出センサ部111aは引
張荷重を受けて光ファイバ111が伸縮する部分であり、
ダミーファイバ部111bは引張荷重を受けず、光ファイバ
111が伸縮しない部分である。
【0008】歪測定ユニット112は、光ファイバ111の片
端を接続するもので、光ファイバ111に光パルス114を注
入するとともに、後方散乱光115を受光するものであ
り、後方散乱光115に基づいて光ファイバ111に生じた歪
を測定するものである。
【0009】表示装置113は、歪測定ユニット112で測定
された光ファイバ111の歪の測定結果を表示するもので
ある。
【0010】上記の荷重測定装置110は、歪測定ユニッ
ト112から光ファイバ111に光パルス114を注入し、光フ
ァイバ111から帰ってくる後方散乱光115を歪測定ユニッ
ト112で受光する。そして、歪測定ユニット112で所定の
演算処理を行い、受光した後方散乱光115からブリルア
ン散乱光の周波数シフト(図6に示すレーリー光100の
周波数のピーク(λP0)とブリルアン散乱光101の周波
数のピーク(λP1)との周波数差(λB)の変化)を測
定することにより、光ファイバ111に加わっている歪を
評価するようになっている。
【0011】上記の光ファイバ111を用いた荷重センサ
・荷重測定装置110は、橋・トンネル・管路などの長尺
の構造物・設備に光ファイバ111を取付けるとよいの
で、長尺の構造物・設備の歪を測定する用途に適してい
る。しかしながら、グランドアンカーのアンカーケーブ
ルの張力を測定する用途には、光ファイバの取付けが難
しいために光ファイバ111を用いた荷重センサ・荷重測
定装置110を適用した事例は知られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】光ファイバを用いた荷
重センサは、遠隔地において各荷重センサの測定情報を
光信号で得ることができ、荷重センサの測定情報を遠隔
地で集中管理することができるというメリットがある。
グランドアンカーなどの広汎な用途に使えるようになれ
ば、高速道路や主要国道などに敷設された大容量光ファ
イバケーブル網を介して遠隔地において各荷重センサの
測定情報を得て、荷重センサの測定情報を集中管理する
システムを構築することができるようになる。
【0013】また、光ファイバを用いた荷重センサをグ
ランドアンカーのアンカーケーブルの張力を測定する用
途に適用するためには、雨水や湧き水などによる酸性状
態にさらされたり、コンクリートから発生するアルカリ
性状態にさらされたり、紫外線などにさらされたりする
使用環境に適応させる必要がある。
【0014】そこで、本発明は、上記のグランドアンカ
ーなどの広汎な用途に利用できる光ファイバを用いた荷
重センサを提供することを目的とし、さらに、光ファイ
バを用いた荷重センサの感度又は精度を向上させること
を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の環状弾
性体10は、図1に示すように、外周に光ファイバ11が巻
き付けられる面12を備えた弾性変形部13と、前記弾性変
形部13を挟んで配設された一対の荷重作用部14とを備え
たものである。
【0016】この環状弾性体10を用いて提供される荷重
センサ15は、環状弾性体10と、環状弾性体10の弾性変形
部13の外周に巻き付けられた光ファイバ11とを備えてい
る。光ファイバ11の一端は歪測定ユニット16に接続され
ている。この状態において、光ファイバ11の弾性変形部
13に巻かれている部分11aは歪検出センサ部となり、残
りの部分11bはダミーファイバ部となる。
【0017】この荷重センサ15は、環状弾性体10の荷重
作用部14に荷重Pが掛かると、環状弾性体10の弾性変形
部13が外径側に食み出し、その外周の弾性的な変化によ
り弾性変形部13の外周に巻き付けられた光ファイバ11が
伸長するようになっている。そして、歪測定ユニット16
から光ファイバ11に光パルス17を注入し、その後方散乱
光18を受光し、歪測定ユニット16において、所定の処理
をすることにより、光ファイバ11に生じた歪、及び、環
状弾性体10の荷重作用部14に作用した荷重Pを算出する
ことができるようになっている。
【0018】なお、アンカーケーブルに直接光ファイバ
を張り付けてその伸びを測定することも可能であるが、
この場合、歪み率が小さいため、荷重を正確に検出する
ことが困難である。また、アンカーケーブルに光ファイ
バを長期間確実に固定しておくことも困難であった。こ
れに対して、上記の荷重センサ15は、環状弾性体10の弾
性変形部13の外周に光ファイバ11が巻かれており、荷重
作用部14に作用する荷重Pの情報をより増幅して取り出
すことができるので、従来の光ファイバを用いた荷重セ
ンサよりも広汎な用途に利用することができる。
【0019】図2は、本発明に係る環状弾性体10を用い
て提供される荷重センサ15を、地滑り防止工事がされた
斜面20に設置されたグランドアンカー30のアンカーケー
ブル31の張力を測定する用途に利用した状態を示す図で
ある。
【0020】地滑り防止工事がされた斜面20は、表面コ
ンクリート21と、中間地盤22と、地下岩盤23とからな
る。斜面20には、所定間隔で複数箇所にグランドアンカ
ー30を設置するためのケーブル配設孔24が表面コンクリ
ート21から地下岩盤23に至るように形成されている。グ
ランドアンカー30はアンカーケーブル31と、鞘管32と、
斜面20の表面において設置される荷重センサ15にアンカ
ーケーブル31を設置するためのケーブル繋止部33とを備
えている。
【0021】アンカーケーブル31は、ケーブル配設孔24
に挿入固定された鞘管32の内部に挿入されている。アン
カーケーブル31の下端は、アンカー固定用に充填された
モルタル34(樹脂モルタル又はセメントモルタル)で地
下岩盤23に固定されている。
【0022】荷重センサ15の環状弾性体10は、アンカー
ケーブル31を挿通させるための内孔19が環状弾性体10の
中心に貫通形成されている。この荷重センサ15は、環状
弾性体10の内孔19にアンカーケーブル31を挿通させて表
面コンクリート21上に設置されており、荷重センサ15の
上部にスペーサ35とケーブル繋止部33を取付け、アンカ
ーケーブル31とケーブル繋止部33を締結することによ
り、アンカーケーブル31に取付けられている。このよう
に荷重センサ15を取付けた状態で、予めロードセルでア
ンカーケーブル31に張力0の基準点を設定しておき、そ
の後にアンカーケーブル31に所定の張力を掛けて設置す
る。
【0023】表面コンクリート21や中間地盤22に何らか
の変化があった場合は、アンカーケーブル31の張力が変
化する。アンカーケーブル31の張力が大きくなると、環
状弾性体10の荷重作用部14に作用する荷重が大きくな
り、弾性変形部13がより大きく食み出すように変形す
る。そして、この弾性変形部13の変形を受けて、弾性変
形部13の外周に巻かれている光ファイバ11が延伸するよ
うになる。そして、この光ファイバ11に生じる後方散乱
光(ブリルアン散乱光)の周波数の変化を歪測定ユニッ
ト(図示省略)で検出することにより、アンカーケーブ
ル31の張力を測定することができる。
【0024】なお、斜面20の中間地盤22の変化は、斜面
20に設置された複数のグランドアンカー30からアンカー
ケーブル31の張力の情報を収集し、総合的に考慮して判
断される。また、斜面20の複数グランドアンカー30に取
付けられた荷重センサの光ファイバ11を、高速道路など
に沿って配設された大容量の光ファイバ網を介して、遠
隔地に設置した歪測定ユニット(図示省略)に接続する
ことにより、斜面20の中間地盤22の状態を遠隔地で監視
できるシステムを構築することができる。
【0025】以下、上記の荷重センサ15に適用されるの
に好適な環状弾性体10を説明する。
【0026】請求項2に記載の環状弾性体は、前記環状
弾性体が、弾性変形部としてのゴム弾性板を、荷重作用
部としての一対の硬質部材で挟んだものであることを特
徴としている。
【0027】請求項3に記載の環状弾性体は、前記環状
弾性体が、ゴム弾性板と硬質板を交互に積層した積層体
を弾性変形部とし、前記積層体を荷重作用部としての硬
質部材で挟んだものであることを特徴としている。
【0028】請求項4に記載の環状弾性体は、前記ゴム
弾性板の厚さが2〜10mmであり、かつ、ゴム弾性板
の形状係数Kが10〜50であることを特徴とする。こ
こで、形状係数Kは、未負荷状態において、硬質部材又
は硬質板とゴム弾性板が接している載荷方向に直角な平
面面積Sを、ゴム弾性板の内外周面積Mで割った値であ
る。なお、Mはゴム弾性板に内孔が形成されている場合
は、内周面と外周面の面積の和であり、ゴム弾性板に内
孔が形成されていない場合は外周面の面積である。
【0029】この環状弾性体は、上記の数値範囲にゴム
弾性板の厚さと形状係数Kを設定することにより、光フ
ァイバに適正な歪(伸び率:0.1〜1.2%)を与え
ることができる。
【0030】請求項5に記載の環状弾性体は、硬質板の
厚さが0.5〜4.5mmであることを特徴としてい
る。中間の硬質板の厚さが薄い方が荷重センサの感度を
向上させることができるが、逆に中間の硬質板の厚さが
厚いと、荷重センサの感度が低下するが、硬質板の剛性
が高くなり、積層体を作成するときに硬質板に変形が生
じにくい。それらを考慮すると、硬質板に軟鋼を用いる
場合には、より好ましくは、厚さを0.8〜2.2mm
にするのがよく、他の材料の硬質板では、上記の軟鋼の
場合の厚さを参考にして決めると良い。
【0031】請求項6に記載の環状弾性体は、積層体
が、ゴム弾性板の積層数が2〜15であることを特徴と
している。食み出すゴム弾性板の剛性が高くなり、光フ
ァイバを的確に延伸させることができるようになる。
【0032】請求項7に記載の環状弾性体は、硬質部材
が防錆性を有する材料又は防錆処理が施された材料で構
成されていることを特徴としている。防錆に優れた材料
としては、例えば、ステンレス鋼が例示できる。また防
錆処理が施された材料としては、スチール鋼をゴムなど
の防錆膜で被覆したものや溶融亜鉛メッキをしたものな
どが例示できる。
【0033】請求項8に記載の環状弾性体は、環状弾性
体の外周面が、耐候性又は耐薬品性を備え、厚さが0.
5〜3mmの弾性被覆材で被覆されていることを特徴と
している。このように、環状弾性体を耐候性又は耐薬品
性を備える弾性被覆材で被覆することにより、荷重セン
サに環境に応じた耐久性を与えることができる。また、
弾性被覆材の厚さを0.5〜3mmにすることにより、
環状弾性体の弾性変形部における外径方向の変形に与え
る影響を小さくすることができ、荷重センサに与える影
響を小さくすることができる。
【0034】請求項9に記載の環状弾性体は、環状弾性
体が、ケーブル又は棒状体を挿通させるための内孔を備
えており、前記内孔の内周面が耐油性を備える材料で被
覆されていることを特徴としている。これにより、内孔
にケーブル又は棒状体を挿通する場合に、ケーブル又は
棒状体の防錆や防食のため、内孔にグリスなどの油脂を
注入することがあるが、グリスによりゴム弾性板が膨潤
劣化することを防止することができる。
【0035】請求項10に記載の環状弾性体は、ゴム弾
性板の剪断弾性係数が0.3〜0.8N/mm2であるこ
とを特徴としている。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る環状弾性体の
実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】環状弾性体10の基本構成は、図1に示すよ
うに、外周に光ファイバ11が巻き付けられる面12を備え
た弾性変形部13と、前記弾性変形部13を挟んで配設され
た一対の荷重作用部14とを備えたものである。
【0038】具体的には、図3(a)に示す環状弾性体40
のように、弾性変形部としてのゴム弾性板41を、荷重作
用部としての一対の硬質部材42(例えば、ステンレスな
どの金属板)で挟んだものとすることができる。この場
合、ゴム弾性板41の外周に、光ファイバ11を巻き付ける
ための面12が構成されている。
【0039】また、図3(b)に示す環状弾性体50のよう
に、ゴム弾性板51と硬質板52を交互に積層した積層体53
を弾性変形部とし、この積層体53を荷重作用部としての
一対の硬質部材54で挟んだものとしてもよい。この場
合、積層体53の外周に、光ファイバ11を巻き付けるため
の面12が構成されている。
【0040】図3(b)に示す積層体53の製造方法は、例え
ば、硬質板52となるステンレス製の円板と、ゴム弾性板
51となるゴム弾性材料を交互積層した加硫成形体を作成
し、加硫成形後にステンレス製の円板から食み出たゴム
弾性材料を切り落とすと良い。これにより、積層体53の
ゴム弾性板51と硬質板52の外周面を同一にすることがで
きる。
【0041】また、ゴム弾性板51の間に挟まれる硬質板
52の厚さが薄い方が荷重センサ15の感度を向上させるこ
とができるが、逆に硬質板52の厚さが厚いと、荷重セン
サ15の感度が低下する。また、積層体53を作成するとき
に硬質板52に変形が生じないように、硬質板52は所要の
剛性を備えていることが必要である。それらを考慮する
と、積層体53の硬質板52の厚さは、0.5〜4.5mm
であることが好ましい。特に、硬質板52に軟鋼を用いる
場合には、厚さを0.8〜2.2mmにするのが好まし
く、硬質板52に他の材料を用いる場合には、上記の軟鋼
の場合の厚さを参考にして決めると良い。
【0042】図3(a)に示すようにゴム弾性板41が1層の
みである場合は、ゴム弾性板41の外周に巻かれた光ファ
イバ11の剛性によりゴム弾性板41の変形が規制されてし
まい、光ファイバ11を十分に延伸させることができない
可能性がある。これに対して、図3(b)に示すように、ゴ
ム弾性板51と硬質板52とを交互に積層した積層体53を用
いたものは、ゴム弾性板51が外径方向へ変形しようとす
る力が増すので、ゴム弾性板51の変形を光ファイバ11に
的確に伝えることができ、光ファイバ11を適切に延伸さ
せることができるようになる。なお、ゴム弾性板51の積
層数は2〜15層とするのがよい。
【0043】また、図3(a)(b)に示す環状弾性体40、50
において、ゴム弾性板41、51の厚さを薄くすると、高い
荷重に耐え、かつ、クリープも少なくなる傾向にある
が、光ファイバ11を延伸させる外側への食み出し量が小
さくなる。このため、光ファイバ11を適切に延伸させる
ことが困難になる。逆にゴム弾性板41、51の厚さを厚く
すると、外側への食み出し量が増えて、感度が増大し、
好ましいが、ゴムのクリープが増大するため、載荷でき
る荷重を低くしなければならず、結果的に好ましい形状
とならない場合がある。
【0044】そこで、荷重センサの環状弾性体40、50
は、ゴム弾性板41、51の厚さを2〜10mmとし、形状
係数Kを10〜50とすることが好ましい。ここで、
「形状係数K」は、未負荷状態において、硬質部材42、54
又は硬質板52とゴム弾性板41、51が接している載荷方向
に直角な平面面積Sを、ゴム弾性板41、51の内外周面積M
で割った値である。なお、Mは、図3(a)(b)に示すよう
に、ゴム弾性板41、51に内孔19が形成されている場合
は、ゴム弾性板41、51の内周面と外周面の面積の和であ
り、ゴム弾性板41、51に内孔19が形成されていない場合
はゴム弾性板41、51の外周面の面積である。
【0045】ゴム弾性板41、51をこの条件を満たすよう
に設計することにより、光ファイバ11に適正な歪(伸び
率:0.1〜1.2%)を与えることができるようにな
る。なお、ゴム弾性板41、51に内孔19が形成されている
場合は、ゴム弾性板41、51の厚さが2〜7mmであり、
かつ、形状係数Kが15〜45であることが好ましい。
また、より好ましくは、ゴム弾性板41、51の厚さを2.
5〜4mmにし、形状係数Kを20〜35にするとよ
い。
【0046】また、より感度を良くするためには、光フ
ァイバ11は複数回巻き付けられている方がよい。光ファ
イバ11を複数回巻きつけると、光ファイバ11を巻きつけ
てある位置がずれるのを抑えることができ、光ファイバ
11をより良く環状弾性体40のゴム弾性板41又は環状弾性
体50の積層体53の外周に固定することができる。
【0047】但し、光ファイバ11を巻き付け過ぎると、
光ファイバ11によりゴム弾性板41、51の外径方向の変形
が抑えられるので、光ファイバ11の巻き回数は2〜4回
程度にするのがよい。なお、環状弾性体40のゴム弾性板
41又は環状弾性体50の積層体53の高さ寸法は、光ファイ
バ11を巻き付けた幅に対して、略2〜3倍程度にすると
よい。
【0048】また、上記のように光ファイバ11を複数回
巻き付ける場合には、図4に示すように、環状弾性体50
の外周に金属などの硬質の片材55を複数枚周方向に並べ
て配設し、その上に光ファイバ11を巻きつけるとよい。
これにより、ゴム弾性板51の外形方向の変位が片材55を
介して光ファイバ11に的確に伝わるようになる。
【0049】また、図3(a)(b)に示す環状弾性体40、50
において、硬質部材42、54や硬質板52に鉄鋼材を用いる
場合は、図5に示すように、防錆のため環状弾性体50の
外周面をゴムなどの弾性被覆材56で被覆するとよい。さ
らに、弾性被覆材56で被覆できない部分は防蝕塗装を施
すとよい。環状弾性体50を弾性被覆材56で被覆する場合
は、光ファイバ11の延伸に与える影響を少なくするた
め、弾性被覆材56の厚さは薄ければ薄いほどよく、0.
5〜3mm程度にするのがよい。また、積層体53を製造
する場合にゴム弾性板51と硬質板52の外径にばらつきが
生じて、積層体53の外周面に段差が生じた場合も、段差
の影響を少なくして光ファイバ11を的確に延伸させるた
め、環状弾性体50の外周を弾性被覆材56で薄く被覆する
とよい。また、環状弾性体50の外周面を弾性被覆材56で
被覆することにより、荷重センサに耐候性や耐薬品性を
持たせることができるようになる。
【0050】弾性被覆材56に用いられる材料は、例え
ば、天然ゴムに老化防止剤やワックスなどを混入する方
法もあるが、より好ましくは、エチレンプロピレンゴム
(EPDM若しくはEPM)、ブチルゴム(IIR)、シリコンゴ
ム、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエ
チレン(CSM)、アクリルゴム(ACM又はANM)、ウレタ
ンゴム、フッ素ゴムなどを用いるのが良い。
【0051】また、図3(a)(b)に示す環状弾性体40、50
の硬質部材42、54には、例えば、鉄鋼材や、燐酸化処理
などの防錆処理を施した鉄鋼材を用いることができ、金
属の露出部には、防錆塗装を施すとよい。また、硬質部
材42、54や硬質板52は硬質プラスティックスやステンレ
ス材、アルミ材などを用いてもよい。
【0052】また、環状弾性体40、50に内孔19を設ける
場合は、その内孔19に挿通するアンカーケーブル31など
を防錆するため、内孔19にグリスなどの防錆を目的とし
た油脂が充填される場合がある。このような場合には、
ゴム弾性板41、51の材料に用いられている天然ゴムが油
脂により膨潤することがある。従って、このような場合
には、図5に示すように、環状弾性体50の内孔19の表面
を耐油性を有する材料57で被覆しておくことが望まし
い。
【0053】耐油性を有する材料としては、例えば、ア
クリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、
ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート (P
ET)、ポリカーボネイド(PC)、フッ素樹脂、フラン樹
脂、キシレン樹脂などのプラスチック材料を用いるのが
適切である。より好ましくは、弾性材料であるアクリロ
ニトリル・ブタンジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム、
多硫化ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴムなど
を用いるのが良い。
【0054】これらの材料をシート状にして、内孔19に
接着して貼り付けてもよいし、また、加硫接着剤を用い
て加硫接着してもよい。また、粘着にて取付けることも
でき、この場合は、シートの端部から油脂が浸入するの
を防ぐため、エポキシ樹脂などの硬化反応型の樹脂でシ
ート端部を覆うとよい。
【0055】また、ゴム弾性板は、剪断係数0.3〜
0.8N/mm2のゴム材料で、かつ、クリープしにくい
材料で構成することによって、荷重に対して適切な食み
出し量を生じるようになり、かつ、クリープが少なく長
時間の使用に耐えることができるようになる。本発明者
らは、ゴム弾性板41、51に最適なゴム材料として、剪断
弾性係数が0.3〜0.8N/mm2のゴム材料が好適で
あることを見出した。
【0056】上記のように、環状弾性体40,50の硬質部
材42、54又は硬質板52を防錆に優れた材料又は防錆処理
が施された材料で構成したり、環状弾性体40、50の外周
面を耐候性又は耐薬品性を備える弾性被覆材56で被覆し
たり、環状弾性体40、50に設けられた内孔19の周面を耐
油性を備える材料57で被覆したりすることにより、光フ
ァイバ11を用いた荷重センサ15を広汎な用途に適用させ
ることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る環状弾性体は、外周に光フ
ァイバが巻き付けられる面を備えた弾性変形部と、前記
弾性変形部を挟んで配設された一対の荷重作用部とを備
えたものである。
【0058】この環状弾性体を用いて提供される荷重セ
ンサは、環状弾性体の弾性変形部の外周に光ファイバが
巻かれており、荷重作用部に作用する荷重Pの情報をよ
り増幅して取り出すことができる。
【0059】本発明に係る環状弾性体は、弾性変形部を
弾性板と硬質板を交互に積層した積層体にしたので、光
ファイバを的確に延伸させることができ、荷重センサの
感度及び精度を向上させることができる。
【0060】また、本発明に係る環状弾性体は、弾性変
形部の外周の光ファイバが巻き付けられる面に硬質の片
材を複数枚周方向に並べた状態で配設されているので、
弾性変形部の外形方向の変位が、硬質片材を介して硬質
片材の外周に巻きつけられた光ファイバに的確に伝わる
から、荷重センサの感度及び精度を向上させることがで
きる。
【0061】また、本発明に係る環状弾性体は、環状弾
性体の硬質部材又は硬質板を防錆に優れた材料又は防錆
処理が施された材料で構成したり、環状弾性体の外周面
を耐候性又は耐薬品性を備える弾性被覆材で被覆した
り、環状弾性体に設けられた内孔の周面を耐油性を備え
る材料で被覆したりしたので、広汎な用途に用いること
ができる光ファイバを用いた荷重センサを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る環状弾性体を用いて適用される
荷重センサ及び荷重測定装置を示す図である。
【図2】 荷重センサの使用状態を示す図である。
【図3】 (a)と(b)はそれぞれ環状弾性体の具体的構成
を示す断面図である。
【図4】 環状弾性体の変形例を示す図である。
【図5】 環状弾性体の変形例を示す図である。
【図6】 後方散乱光の周波数分布を示す図である。
【図7】 従来の光ファイバを用いた荷重測定装置の構
成例を示す図である。
【符号の説明】
10 環状弾性体 11 光ファイバ 12 光ファイバが巻き付けられる面 13 弾性変形部 14 荷重作用部 15 荷重センサ 16 歪測定ユニット 17 光パルス 18 後方散乱光 19 内孔 20 斜面 21 表面コンクリート 22 中間地盤 23 地下岩盤 24 ケーブル配設孔 30 グランドアンカー 31 アンカーケーブル 32 鞘管 33 ケーブル繋止部 34 モルタル 35 スペーサ 40 環状弾性体 41 ゴム弾性板 42 硬質部材 50 環状弾性体 51 ゴム弾性板 52 硬質板 53 積層体 54 硬質部材 55 片材 56 弾性被覆材 57 耐油性を有する材料 P 荷重
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D041 GA01 GC12 2F051 AA06 AB03 CA00 2F076 BA18 BB09 BD06 BD17 BE01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周に光ファイバが巻き付けられる面を備
    えた弾性変形部と、前記弾性変形部を挟んで配設された
    一対の荷重作用部とを備えた環状弾性体。
  2. 【請求項2】前記環状弾性体が、弾性変形部としてのゴ
    ム弾性板を、荷重作用部としての一対の硬質部材で挟ん
    だものであることを特徴とする請求項1に記載の環状弾
    性体。
  3. 【請求項3】前記環状弾性体が、ゴム弾性板と硬質板を
    交互に積層した積層体を弾性変形部とし、前記積層体を
    荷重作用部としての一対の硬質部材で挟んだものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の環状弾性体。
  4. 【請求項4】前記ゴム弾性板の厚さが2〜10mmであ
    り、かつ、ゴム弾性板の形状係数Kが10〜50である
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の環状弾性体。
    ここで、形状係数Kは、未負荷状態において、硬質部材
    又は硬質板とゴム弾性板が接している載荷方向に直角な
    平面面積Sを、ゴム弾性板の内外周面積Mで割った値であ
    る。
  5. 【請求項5】前記硬質板の厚さが0.5〜4.5mmで
    あることを特徴とする請求項3に記載の環状弾性体。
  6. 【請求項6】前記積層体が、ゴム弾性板の積層数が2〜
    15であることを特徴とする請求項3に記載の環状弾性
    体。
  7. 【請求項7】前記硬質部材が防錆性を有する材料又は防
    錆処理が施された材料で構成されていることを特徴とす
    る請求項2乃至6の何れかに記載の環状弾性体。
  8. 【請求項8】前記環状弾性体の外周面が、耐候性又は耐
    薬品性を備え、厚さが0.5〜3mmの弾性被覆材で被
    覆されていることを特徴とする請求項1乃至7に記載の
    環状弾性体。
  9. 【請求項9】前記環状弾性体が、ケーブル又は棒状体を
    挿通させるための内孔を備えており、前記内孔の内周面
    が耐油性を備える材料で被覆されていることを特徴とす
    る請求項1乃至8の何れかに記載の環状弾性体。
  10. 【請求項10】前記ゴム弾性板の剪断弾性係数が0.3
    〜0.8N/mm2であることを特徴とする請求項2乃至
    9の何れかに記載の環状弾性体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2248951A1 (de) * 2009-05-08 2010-11-10 Keller Holding gmbh Verfahren und Vorrichtung zur Ermittlung des axialen Kraftverlaufes in einem Verpressanker
CN106404242A (zh) * 2016-10-13 2017-02-15 浙江理工大学 一种基于光线微弯曲效应的滑觉传感器
JP2017043949A (ja) * 2015-08-26 2017-03-02 国立大学法人京都大学 定着体の残存緊張力評価装置

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CN106404242B (zh) * 2016-10-13 2022-01-14 浙江理工大学 一种基于光纤微弯曲效应的滑觉传感器

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