JP2003277152A - 炭化珪素焼結体とその製造方法および用途 - Google Patents

炭化珪素焼結体とその製造方法および用途

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JP2003277152A JP2002078977A JP2002078977A JP2003277152A JP 2003277152 A JP2003277152 A JP 2003277152A JP 2002078977 A JP2002078977 A JP 2002078977A JP 2002078977 A JP2002078977 A JP 2002078977A JP 2003277152 A JP2003277152 A JP 2003277152A
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carbide sintered
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JP2002078977A
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Ken Okamoto
研 岡本
Ichiro Uchiyama
一郎 内山
Yasuki Yoshitomi
靖樹 吉富
Tadahisa Arahori
忠久 荒堀
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベリリウム化合物を焼結助剤として使用せず
に、絶縁性が良好で、熱膨張係数がシリコンに近い、緻
密な炭化珪素焼結体と、これを誘電体層として利用した
静電チャックを提供する。 【解決手段】 酸素含有量1質量%以下の炭化珪素粉末
に、混合後の質量に基づいて、炭素、炭素前駆体となり
うる有機化合物および炭化硼素から選んだ1種以上を炭
素量換算で合計 0.5〜4質量%、ならびに窒化硼素を1
〜20質量%添加して混合し、混合物を加圧焼成して炭化
珪素を焼結させ、体積抵抗率1×108 Ω・cm以上、相対
密度95%以上、室温から400 ℃までの熱膨張係数が 2.6
〜4.1 ×10-6/℃の炭化珪素焼結体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造装置の
部材として用いるのに適した、絶縁性に優れ (電気比抵
抗が大きく) 、高強度 (高密度) で、シリコンとの熱膨
張係数の整合性にも優れた、炭化珪素焼結体とその製造
方法とに関する。
【0002】本発明はまた、この炭化珪素焼結体を誘電
体層とした静電チャックにも関する。静電チャックは、
半導体製造工程に用いられる電子ビーム描画装置、エッ
チング装置、CVD装置、PVD装置等において、静電
力によりシリコンウェーハ等の被吸着物を固定する部材
である。
【0003】
【従来の技術】焼結助剤を用いて炭化珪素粉末を焼結さ
せた炭化珪素焼結体は、耐熱性、耐摩耗性、機械的強
度、耐食性、熱伝導性に優れていることから、種々の用
途に構造材料として使用されている。
【0004】特に、炭化珪素焼結体は、熱膨張係数がシ
リコンに比較的近いことから、良好な寸法安定性と放熱
性のみならず、シリコンウェハとの優れた熱膨張整合が
求められる、半導体製造装置の部材 (例、露光装置用の
真空チャック) に利用されてきた。
【0005】通常の炭化珪素焼結体は、炭化珪素粉末に
焼結助剤として炭素および硼素化合物を添加し、更にバ
インダーとして有機樹脂を添加して成形を行い、成形体
を脱脂して有機物を分解させたのち、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気下で常圧焼結することにより製造される。
【0006】炭化珪素は、その単結晶の体積抵抗率は 1
00〜101 Ω・cm程度であり、半導体的な電気特性を示
す。上記方法で製造された炭化珪素焼結体は、場合によ
り焼結助剤により抵抗が増大するが、それでも体積抵抗
率は一般に 100〜106 Ω・cm程度であることが知られて
いる。絶縁材料として利用するには、108 Ω・cm台以上
の体積抵抗率が必要となることから、従来の通常の炭化
珪素焼結体は、絶縁性が要求される用途、例えば、静電
チャックの誘電体層、には使用できなかった。
【0007】電子ビーム描画装置、エッチング装置、C
VD装置、PVD装置等に設置される静電チャックは、
誘電体層中に電極を配した構造を持ち、誘電体層に発生
させた静電力により、その表面にシリコンウェーハ等を
吸着させて固定する部材である。静電チャックは過酷な
環境下で使用されるため、その誘電体層には、耐食性、
耐熱性、耐摩耗性、機械的強度が要求される。また、寸
法安定性が高いこと、迅速な抜熱のために熱伝導性が高
いこと、さらに被吸着物であるシリコンと熱膨張係数が
比較的近いことも、製品の信頼性向上に有利である。従
来の炭化珪素焼結体でも、これらの特性を満たすことが
できる場合がある。しかし、前述したように、従来の一
般的な炭化珪素焼結体は、絶縁材料として利用できるよ
うな高い電気抵抗率を有しておらず、良好な絶縁性が絶
対に必要となる静電チャックの誘電体層には適用するこ
とができなかった。
【0008】絶縁性の炭化珪素焼結体として、特開昭56
−66086 号公報には、炭化珪素粉末に焼結助剤として酸
化ベリリウムもしくは窒化硼素を添加し、炭化珪素中の
Al不純物を酸化ベリリウムもしくは窒化硼素の1/5以
下に調整して、ホットプレス焼結することにより作製さ
れた電気絶縁材が開示されている。
【0009】この電気絶縁材は1010Ω・cm以上の体積抵
抗率を示す炭化珪素焼結体であり、絶縁性は良好であ
る。しかし、焼結助剤が酸化ベリリウムである場合、こ
の化合物が毒性が強いことから安全面で問題がある上、
ベリリウム化合物は生産量が少なく、原料の安定供給や
価格の面でも問題がある。一方、焼結助剤が窒化硼素で
ある場合には、毒性や供給面での問題はないが、ホット
プレスにより加圧下で焼結しても、緻密な高密度焼結体
を得ることが困難で、窒化硼素の量が増えるにつれて、
ボイド発生が多くなり、密度が低下するという問題があ
る。焼結体の密度が低下すると、機械的強度が低下する
にとどまらず、熱伝導率や絶縁耐圧も低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、毒性
や安定供給に問題があるベリリウム化合物を焼結助剤と
して利用することなく、高強度絶縁材料として利用する
のに十分な良好な絶縁性(具体的には、1×108 Ω・cm
以上の体積抵抗率) と、高い密度 (具体的には相対密度
95%以上) とを示し、好ましくは熱膨張係数がシリコン
に近くなるように制御可能な、炭化珪素焼結体とその製
造方法を提供することである。
【0011】本発明の別の目的は、ベリリウム化合物を
含有しない炭化珪素焼結体を誘電体層として利用して、
寸法安定性と放熱性に優れた、信頼性の高い静電チャッ
クを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、窒化硼素
を焼結助剤とする炭化珪素焼結体が優れた絶縁性を示す
ことに着目し、この炭化珪素/窒化硼素系材料の焼結性
を改善することで、上記目的を達成すべく検討を重ね
た。
【0013】その結果、焼結原料として用いる炭化珪素
粉末の酸素含有量を低減させ、かつ焼結助剤として、窒
化硼素に加えて、炭素および/または炭化硼素を併用し
てホットプレス焼結することにより、体積抵抗率が1×
108 Ω・cm以上、相対密度95%以上で、熱膨張係数がシ
リコンに近い炭化珪素焼結体が製造可能であることを見
いだした。
【0014】ここに、本発明は、炭素および炭化硼素の
1種以上を炭素量換算で合計 0.5〜4質量%ならびに窒
化硼素1〜20質量%を含有し、体積抵抗率が1×108 Ω
・cm以上、相対密度が95%以上であることを特徴とす
る、炭化珪素焼結体である。
【0015】好ましくは、この炭化珪素焼結体は、室温
から400 ℃までの熱膨張係数が 2.6〜4.1 ×10-6/℃で
ある。本発明の炭化珪素焼結体は、酸素含有量1質量%
以下の炭化珪素粉末に、混合後の質量に基づいて、炭
素、炭素前駆体となりうる有機化合物および炭化硼素か
ら選んだ1種以上を炭素量換算で合計 0.5〜4質量%、
ならびに窒化硼素を1〜20質量%添加して混合し、得ら
れた混合物を焼成して炭化珪素を焼結させることを特徴
とする方法により製造することができる。
【0016】本発明によれば、誘電体層中に電極を配し
た構造を有する静電チャックにおいて、誘電体層の少な
くとも吸着面が上記炭化珪素焼結体であることを特徴と
する静電チャックもまた提供される。この静電チャック
において、電極は好ましくは黒鉛系材料または体積抵抗
率が1×104 Ω・cm以下の炭化珪素である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の炭化珪素焼結体は、焼結
助剤として、炭素および炭化硼素の1種以上を炭素量換
算で合計 0.5〜4質量%ならびに窒化硼素1〜20質量%
を含有するという、組成上の特徴に加え、体積抵抗率が
1×108 Ω・cm以上、相対密度が95%以上であることを
特徴とする。
【0018】1×108 Ω・cm以上という体積抵抗率は、
例えば、誘電体層といった絶縁材料として利用するのに
必要な電気特性である。炭化珪素焼結体の相対密度 [各
組成の理論密度 (炭化珪素:3.21g/cm3 、窒化硼素:2.
27g/cm3 、炭素 (グラファイト):2.25g/cm3 、炭化硼
素:2.51g/cm3)に各組成の配合比を掛けて加えることに
より得られる理論密度に対する実測密度の百分率] が95
%を下回ると、ボイドが多く、強度が不十分となって絶
縁耐圧が低下する上、熱伝導率も低下するので放熱性が
悪くなる。好ましくは、体積抵抗率は5×108 Ω・cm以
上であり、相対密度は97%以上である。
【0019】焼結助剤の量に関しては、炭素および炭化
硼素から選んだ1種以上の炭素量換算での合計量 (以
下、これを炭素量という) 0.5 %未満であると、相対密
度が95%を下回るようになり、緻密な焼結体とならな
い。一方、この炭素量が4質量%を超えると、体積抵抗
率が1×108 Ω・cmより低くなる。窒化硼素の量が1質
量%未満であると、体積抵抗率が1×108 Ω・cmより低
くなる。窒化硼素の量が20質量%を超えると、相対密度
が95%を下回るようになり、緻密な焼結体とならない。
炭素量は好ましくは 0.5〜3質量%であり、より好まし
くは1〜2質量%である。窒化硼素の量は好ましくは2
〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%であ
る。
【0020】本発明の炭化珪素焼結体は、好ましくは、
室温から400 ℃までの熱膨張係数が2.6〜4.1 ×10-6
℃、より好ましくは 3.0〜3.8 ×10-6/℃、の範囲であ
る。この熱膨張係数は、シリコンの同じ熱膨張係数(3.6
×10-6/℃) に近いので、半導体製造装置の部材に適用
した場合に、シリコンウェハとの優れた熱膨張整合性を
確保することができる。さらに、この熱膨張係数は焼結
助剤の含有量によって制御することができる。具体的に
は、熱膨張係数は、焼結助剤の炭素量が多くなるほど増
大し、窒化硼素の量が多くなるほど低下する傾向があ
る。従って、必要であれば、2種類の焼結助剤の配合比
によって熱膨張係数をシリコンのそれにより近く (例、
3.4〜3.8 ×10-6/℃の範囲に) なるように制御するこ
とができる。
【0021】本発明の炭化珪素焼結体の製造方法は、酸
素含有量1質量%以下の炭化珪素粉末に、混合後の質量
に基づいて、焼結助剤として、炭素、炭素前駆体となり
うる有機化合物および炭化硼素から選んだ1種以上を炭
素量換算で合計 0.5〜4質量%、ならびに窒化硼素を1
〜20質量%添加して混合し、混合物を焼成して炭化珪素
を焼結させることを特徴とする。
【0022】この方法では、原料の炭化珪素粉末の酸素
含有量が炭化珪素焼結体の体積抵抗率に著しい影響を及
ぼし、酸素含有量が多くなると体積抵抗率が低下する。
具体的には、炭化珪素粉末中の酸素含有量が1質量%を
超えると、焼結助剤の炭素量と窒化硼素の量が上記範囲
内でも、焼結体の体積抵抗率は108 Ω・cmを下回るよう
になる。
【0023】本発明の方法において、原料の炭化珪素粉
末中の酸素含有量を低減させることによって焼結体の体
積抵抗率が高まる理由は明らかではないが、次のような
ものではないかと推測される。
【0024】すなわち、窒化硼素が存在すると炭化珪素
粒界部にドーピングされ、キャリア空乏層のようなかた
ちで絶縁層を形成し絶縁性を高める役割をすると推測さ
れる。一方、原料に含まれる酸素分がBN→B2O3 (ガラス
質) への分解反応を引き起し、有効な窒化硼素成分を減
少させるというメカニズムが考えられることから、酸素
含有量の低減は、このメカニズムによる有効な窒化硼素
成分の減少の抑制を通じて、絶縁性を高める働きをして
いるというものである。
【0025】この酸素含有量は、好ましくは0.5 質量%
以下である。原料の炭化珪素粉末は、酸素含有量が1質
量%以下であれば、結晶形や純度に特に制限はない。一
般的には、価格的に有利な合成のα−炭化珪素の粉末が
使用される。粉末は、平均粒径5μm以下の微粉末が好
ましい。
【0026】炭化珪素粉末の酸素含有量は、例えば、石
英砂(SiO2)とコークス(C) とからアチソン法による合成
時に、合成インゴットの高純度部分を選択したり、当初
から高純度の原料を使用することや、酸処理により炭化
珪素表層の酸化層を除去することによって、1質量%以
下に低減させることができる。また、還元処理により酸
素量を低減させてもよい。市販の炭化珪素粉末を使用す
る場合には、表示されている酸素含有量が1質量%のも
のを選択してもよく、或いは酸素含有量を適当な分析法
(例、赤外線吸収法) で定量して、その量が1質量%以
下のものを使用してもよい。
【0027】原料の炭化珪素粉末に、焼結助剤を添加し
て混合する。本発明では、焼結助剤として、窒化硼素
と、炭素および/または炭化硼素とを併用する。これら
も粉末状態で使用することが好ましい。炭素としては、
例えば、平均粒径50〜100 μmのカーボンブラックを使
用することができる。また、焼成中に炭素に変化する有
機化合物、即ち、炭素前駆体となりうる有機化合物も炭
素供給源として使用できる。そのような有機化合物の1
例は、残炭性のあるフェノール樹脂である。炭化硼素お
よび窒化硼素は市販の粉末を使用すればよく、その平均
粒径は、いずれも0.5〜2μm程度が望ましい。
【0028】焼結助剤の添加量は、前述した理由によ
り、混合後の重量に基づいて、窒化硼素は1〜20質量%
である。炭素、炭素前駆体となりうる有機化合物および
炭化硼素については、これらから選んだ1種または2種
以上を、炭素量換算で合計 0.5〜4質量%となるように
添加する。
【0029】原料の炭化珪素粉末と焼結助剤の粉末を、
例えばボールミルを用いて十分に混合する。この混合
は、アルコール等の揮発性有機溶媒を用いた湿式ボール
ミルで行うことが好ましい。湿式混合した場合には、乾
燥して粉末混合物を得る。この粉末混合物を、加圧下に
焼成して、炭化珪素を焼結させる。この加圧焼成は、ホ
ットプレス法により行うのが効率的であるが、他の加圧
焼成法も採用できる。また、場合により常圧焼成法とし
てもよい。焼成中の酸化を防止するため、焼成は非酸化
性雰囲気、好ましくは不活性ガス雰囲気中で行うのがよ
い。焼成圧力および温度は、相対密度95%以上の焼結体
が得られるように設定する。一般に、焼成温度は2000℃
以上、ホットプレス法の場合、ホットプレスの圧力は20
〜40 Mpa程度とすることが望ましい。必要に応じ、焼結
体に対してHIP処理等の緻密性を向上させる後処理を
実施してもよい。
【0030】このようにして、相対密度が95%以上、好
ましくは97%以上、体積抵抗率が1×108 Ω・cm以上、
好ましくは5×108 Ω・cm以上で、室温から400 ℃まで
の熱膨張係数が 2.6〜4.1 ×10-6/℃の範囲内の炭化珪
素焼結体が得られる。
【0031】この炭化珪素焼結体は、緻密で、絶縁性が
よく、シリコンとの熱膨張整合性に優れているので、特
に半導体製造装置に使われる各種絶縁性部材を作製する
のに適している。中でも、シリコンウェハ等を吸着保持
する静電チャックの誘電体層の材料として最適である。
以下では、本発明の炭化珪素焼結体を静電チャックに適
用した場合について説明するが、この炭化珪素焼結体の
用途はこれに限られるものではない。
【0032】静電チャックは、図1に示すように、誘電
体層1中に電極2を配した構造を持つ。この電極2と、
誘電体層の表面1aに配置した被吸着物3 (例、シリコン
ウェハ) との間に電圧を印加し静電力を発生させる。こ
の静電力により、被吸着物は表面1aに吸着保持され固定
される。
【0033】本発明においては、この静電チャックの誘
電体層1を、前述した炭化珪素焼結体から構成する。誘
電体層1の全体を炭化珪素焼結体から構成してもよい
が、静電吸着に寄与する誘電体層の吸着面、即ち、電極
2と吸着面1aに挟まれた誘電体層1'の部分、だけを炭化
珪素焼結体から構成してもよい。その場合には、電極2
と誘電体層1の他方の表面1bとに挟まれた、誘電体層1
の残りの部分は、別のより安価な材料、例えば、耐熱性
と耐食性に優れた絶縁性樹脂 (例、ポリイミド樹脂) か
ら構成することができる。
【0034】本発明の静電チャックは、当業者が熟知す
る各種の方法で製造することができる。例えば、炭化珪
素焼結体を円板状に加工し、その片面にメッキや蒸着等
により金属電極を形成した後、この電極の表面に絶縁性
の樹脂または他の絶縁材料のシートを接合すると、誘電
体層の吸着面が炭化珪素焼結体から構成され、残りの部
分の誘電体層は樹脂等から構成された静電チャックが製
造される。
【0035】また、炭化珪素と焼結助剤の混合粉末をホ
ットプレス焼成する際に、電極となる板状の電極材料を
粉末内部に埋め込み、一体焼成することによっても、静
電チャックを製造することができる。この方法は、メッ
キ等による電極形成操作と、その後の絶縁性シートの接
合操作が不要であり、少ない工程で効率よく静電チャッ
クを製造することがきる。この方法に用いる電極材料
は、炭化珪素との密着性が高く、かつ誘電体層を構成す
る炭化珪素との熱膨張係数の差が小さいものが好まし
く、それにより信頼性の高い静電チャックが得られる。
【0036】このような電極材料としては、黒鉛系材
料、ならびに半導体性の炭化珪素、即ち、体積抵抗率が
1×104 Ω・cm以下の炭化珪素が挙げられる。黒鉛系の
電極材料は、カーボン/黒鉛粉末をプレス成形したり、
ペースト化してスクリーン印刷して用いる他、例えばシ
ート形状のものやC/Cコンポジット材、汎用の黒鉛成
形体 (等方性) を用いることができる。
【0037】上記の一体焼成法により、誘電体層の一部
が炭化珪素以外の材料から構成された静電チャックを製
造することも、もちろん可能である。なお、本発明は、
上述したような単極型の静電チャックのみならず、双極
型の静電チャックなどにも適用し得ることは言うまでも
ない。
【0038】以下、実施例により本発明を例示する。実
施例中、相対密度以外の%は、特に指定しない限り、質
量%である。
【0039】
【実施例】原料として、下記の炭化珪素および焼結助剤
(窒化硼素、炭素、炭化硼素) を使用した: 炭化珪素:酸素含有量が 0.3〜2.5 %の範囲内で異なる
5種類の市販炭化珪素粉末を用いた。純度は95〜99.5%
の範囲内、平均粒径は0.4 〜5.0 μmの範囲内であっ
た。
【0040】なお、不純物量は以下の通りであった。Al
は、酸素含有量2.5 %のものが0.04%、それ以外は0.03
%であった。Caは、すべてが0.01%、Feは、すべてが0.
05%であった。すなわち、酸素含有量に関わらず、Alを
含む金属不純物量の差は小さかった。
【0041】窒化硼素:市販の平均粒径約1μm、純度
99%の窒化硼素粉末を用いた; 炭素:市販の平均粒径75μmのカーボンブラックを用い
た; 炭化硼素:市販の平均粒径約1μm、純度98%の炭化硼
素粉末を用いた。
【0042】表1に示す炭化珪素粉末の種類および配合
割合で、原料の炭化珪素粉末と1種または2種以上の焼
結助剤の粉末を混合した。混合は、エタノール溶媒中で
の湿式ボールミルにより行った。得られた粉末混合物
を、乾燥後に、カーボンモールドに装填し、アルゴン雰
囲気中、2100℃、30 Mpaの加圧下でホットプレス焼成し
て、炭化珪素焼結体を得た。
【0043】得られた炭化珪素焼結体の密度、体積抵抗
率、および熱膨張係数を次のようにして測定した。測定
結果は表1に併せて示す。 密度:アルキメデス法により密度を測定し、炭化珪素の
理論密度に対する相対密度に換算した; 体積抵抗率:JIS C2141 に準拠して、室温における体積
抵抗率を測定した; 熱膨張係数:空気中にて毎分5℃の昇温速度で室温から
500 ℃までの熱膨張を測定し、室温〜400 ℃の熱膨張係
数を算出した。
【0044】
【表1】
【0045】原料の炭化珪素粉末の酸素量 (酸素含有
量) が本発明の範囲内である実施例1〜3では、体積抵
抗率が1×108 Ω・cm以上、熱膨張係数が 3.5〜3.6 ×
10-6/℃とシリコンの熱膨張係数(3.6×10-6/℃) に近
く、相対密度が95%以上になった。これらの実施例と焼
結助剤の配合量が全く同じでも、原料炭化珪素粉末の酸
素量が1%を超えた比較例1、2では、体積抵抗率が1
×108 Ω・cmより小さく、絶縁性が不良であった。
【0046】焼結助剤の窒化硼素の配合量を変化させた
場合、この配合量が本発明の範囲内である実施例4〜8
では、体積抵抗率が1×108 Ω・cm以上、相対密度が95
%以上の緻密な焼結体が得られた。一方、炭化珪素の酸
素量が1質量%以下でも、窒化硼素の配合量が本発明の
範囲外である比較例3〜4では体積抵抗率が1×108Ω
・cm未満となるか、相対密度が95%未満となった。ま
た、酸素量が1%を超える炭化珪素粉末を用いた比較例
5〜10では、窒化硼素の量が本発明で規定する量である
か、それより少ない場合には体積抵抗率が1×108 Ω・
cmより小さく、窒化硼素の量が20%を超えると、相対密
度が大きく低下した。
【0047】焼結助剤中の炭素換算合計配合量 (炭素
量) を変化させた場合、この炭素量が本発明の範囲内に
ある実施例9〜15では、体積抵抗率1×108 Ω・cm以
上、相対密度95%以上の緻密な焼結体が得られた。一
方、炭素と炭化硼素を合計した炭素量が本発明の範囲外
である比較例11〜15では、他の条件が本発明の範囲内で
あっても、炭素量が少なすぎると相対密度が95%に達せ
ず、緻密化が不足し、多すぎると体積抵抗率が1×108
Ω・cm未満となって、絶縁性が不足した。
【0048】静電チャックの作製: (1) 実施例1で得た炭化珪素焼結体を厚み1mm (吸着
面) および厚み3mmの2枚の円板状に加工した。このと
き、炭化珪素焼結体の吸着面は鏡面仕上げとした。次に
両基材の接合面に、Ag−Cu−Ti系の活性金属ロウを電極
の形状に塗布し焼付けを行うことで炭化珪素基材上への
メタライズ処理を実施した。その後両基材のメタライズ
部分と金属の電極端子へのロウ材を用いた接合処理を実
施した。
【0049】(2) 実施例1と同様にして炭化珪素粉末、
窒化珪素粉末および炭素粉末をボールミル混合して得た
粉末混合物を、内部に厚み500 μmの黒鉛成形体 (等方
性)の板材を配した状態となるように、黒鉛製のダイス
に充填し、上記と同じ条件でホットプレス焼成した。得
られた焼結体を厚み4mmの円盤状に加工して、静電チャ
ックを作製した。
【0050】以上のようにして作製した静電チャックに
シリコンウェハを載せ、真空中で500 Vの直流電圧を印
加した。その結果、いずれの静電チャックでも、シリコ
ンウェハが固定され、リーク電流は1μA/cm2未満であ
った。黒鉛を電極とした静電チャックは、一般的な金属
を使用した場合と比較して、特に炭化珪素焼結体と電極
との密着性に優れていた。この優れた密着性は、体積抵
抗率が1×104 Ω・cm以下の導電性または半導体性の炭
化珪素から電極を構成した場合にも、もちろん同様に得
られる。
【0051】
【発明の効果】本発明により、毒性と安定供給に問題が
あるベリリウム化合物を焼結助剤として使用せずに、体
積抵抗率が108 Ω・cm以上と絶縁性に優れ、熱膨張係数
がシリコンに近く、かつ相対密度95%以上と緻密な、炭
化珪素焼結体を安定して提供することが可能となる。こ
の炭化珪素焼結体を静電チャックの誘電体層に使用する
ことで、寸法安定性、放熱性に優れた、信頼性の高い静
電チャックの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電チャックの断面構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1:誘電体層 (1a:吸着面側、1b:ベース側) 、2:電
極、3:被吸着物 (シリコンウェハ等)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉富 靖樹 石川県松任市漆島町1142番地 住金セラミ ックス株式会社内 (72)発明者 荒堀 忠久 石川県松任市漆島町1142番地 住金セラミ ックス株式会社内 Fターム(参考) 3C007 DS01 FS10 4G001 BA22 BA23 BA35 BA75 BB22 BB23 BB33 BB60 BD01 BD13 BD23 BD38 5F031 CA02 HA02 HA03 HA17 MA28 MA29 MA32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素および炭化硼素の1種以上を炭素量
    換算で合計 0.5〜4質量%ならびに窒化硼素1〜20質量
    %を含有し、体積抵抗率が1×108 Ω・cm以上、相対密
    度が95%以上であることを特徴とする、炭化珪素焼結
    体。
  2. 【請求項2】 室温から400 ℃までの熱膨張係数が 2.6
    〜4.1 ×10-6/℃である請求項1に記載の炭化珪素焼結
    体。
  3. 【請求項3】 酸素含有量1質量%以下の炭化珪素粉末
    に、混合後の質量に基づいて、炭素、炭素前駆体となり
    うる有機化合物および炭化硼素から選んだ1種以上を炭
    素量換算で合計 0.5〜4質量%、ならびに窒化硼素を1
    〜20質量%添加して混合し、得られた混合物を焼成して
    炭化珪素を焼結させることを特徴とする、炭化珪素焼結
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 誘電体層中に電極を配した構造を有する
    静電チャックにおいて、誘電体層の少なくとも吸着面が
    請求項1または2に記載の炭化珪素焼結体であることを
    特徴とする静電チャック。
  5. 【請求項5】 電極が黒鉛系材料または体積抵抗率が1
    ×104 Ω・cm以下の炭化珪素である、請求項4に記載の
    静電チャック。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008243973A (ja) * 2007-03-26 2008-10-09 Tokyo Electron Ltd プラズマ処理装置用の載置台及びプラズマ処理装置
JP2010153699A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Denki Kagaku Kogyo Kk 3−5族化合物半導体の製造装置用耐熱耐摩耗部材
JP2015179834A (ja) * 2014-02-28 2015-10-08 信越半導体株式会社 ウェーハ載置用サセプタの製造方法及びウェーハ載置用サセプタ

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