JP2003276096A - Frp成形品及びその製造方法 - Google Patents

Frp成形品及びその製造方法

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JP2003276096A
JP2003276096A JP2002087763A JP2002087763A JP2003276096A JP 2003276096 A JP2003276096 A JP 2003276096A JP 2002087763 A JP2002087763 A JP 2002087763A JP 2002087763 A JP2002087763 A JP 2002087763A JP 2003276096 A JP2003276096 A JP 2003276096A
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resin
fiber bundle
impregnated
winding
frp
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Nobunao Suzuki
伸尚 鈴木
Tsutae Suzuki
傳 鈴木
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 包帯効果や層間剥離が解消された肉厚のFR
P成形品及びその製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 樹脂を含む繊維束をマンドレルに巻き付
けることにより成形するFRP成形品の製造方法におい
て、樹脂槽120を通過させることにより樹脂を含浸さ
せた第1繊維束110と樹脂槽120を通過させない第
2繊維束111とをノズル102で合糸して第3繊維束
112とし、当該第3繊維束112をマンドレル104
に巻き付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FRP成形品及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フライホイールとは、回転体の運動エネ
ルギーとしてエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積体で
ある。近年、フライホイールを利用したエネルギー蓄積
は、エネルギー蓄積密度が高い、エネルギーの需要に対
する即応性に優れる又は電気への変換効率が良い等の理
由から、新しいタイプの電力蓄積装置としても注目され
ている。ここで、エネルギー蓄積体としてフライホイー
ルを応用するためには、いかに多くのエネルギー量をフ
ライホイールに蓄積できるかが問題となる。
【0003】角速度ωで回転運動しているフライホイー
ルの慣性モーメントをIとすると、フライホイールに蓄
えられるエネルギー量EはIω2 に比例する。すなわ
ち、慣性モーメントIが大きく、角速度ωを上げること
が可能なフライホイールほど、大きなエネルギー量Eを
蓄えることができる。
【0004】しかしながら、角速度ωの上限はフライホ
イールの材料に由来する比強度(=引っ張り強さ/密
度)に比例するため、むやみに角速度ωを上げてエネル
ギー量Eを大きくすることはできない。すなわち、フラ
イホイールには回転運動に伴う遠心力が働くため、角速
度ωの上昇とともに増加する遠心力がフライホイール材
料の引っ張り強さ以上となるとフライホイールが変形し
てしまう。
【0005】一方、慣性モーメントIが大きい鋼等をフ
ライホイールの材料として使用し、エネルギー量Eを大
きくすることも考えられる。しかし、現在使用されてい
る鋼製のフライホイールは比強度が小さいため、角速度
ωを上げることができず、結果的に十分な蓄積エネルギ
ーを得ることができない。
【0006】そこで近年、比強度が大きい強化繊維プラ
スチック(以下、「FRP」という)が注目され、フラ
イホイールの材料として開発が進められている。このF
RPは、ガラス繊維等の補強材にマトリックス樹脂を含
浸させることで機械的な強度を著しく向上させたプラス
チックであり、鋼等の金属系材料と比較すると、比強度
で4〜8倍、比弾性率で2〜4倍、理論エネルギー密度
で3〜8倍の特性を有し、フライホイールの材料として
大変有望な材料である。
【0007】しかし、FRPの引っ張り強さには異方性
があり、補強材の繊維軸方向に比べて繊維同士の間の引
っ張り強さが20分の1程度しかないという問題を有し
ている。このため、FRPを使用したフライホイールの
成形にはフィラメントワインディング(以下、「FW」
という)法が一般に用いられており、この方法により繊
維同士の間の引っ張り強さを増加させることが可能であ
る。FW法とは、補強材となるガラス繊維等に樹脂を含
浸させた後、このガラス繊維をマンドレルと呼ばれる心
型に連続的に巻き付けて積層することにより球形や円筒
形のFRPを一体成形する方法である。
【0008】図11は、従来のFW法を用いたFRPの
成形装置の概略外観図である。以下、図11の説明をす
る。FRPに使用される繊維は大変に細いため(7〜1
0μm)、一般に単体繊維をまとめて繊維束として巻き
付けに使用している。ロービング1101は当該繊維束
1110を円筒状に巻き取ったものである。このロービ
ング1101から繊維束1110を供給すると共に、支
持棒1106に固定されたマンドレル1104を一定の
巻き付け速度V11で回転させることにより、前記繊維
束1110をマンドレル1104に巻き付けていく。こ
のとき、単に繊維束1110をマンドレル1104に巻
き付けるのではなく、巻き付ける前に樹脂槽1120を
通過させ、樹脂を含浸させた繊維束1110をノズル1
102により下記説明する巻付け形態を制御しながらマ
ンドレル1104に巻き付けていく。ノズル1102は
ノズルレール1103を図中、右から左へ移動すること
により、マンドレル1104の右端から左端に繊維束1
110を巻き付けた後、左から右へ移動することによ
り、マンドレル1104の左端から右端に繊維束111
0を巻き付ける。この動作を繰り返すことによりFRP
が成形される。
【0009】図12は、FW法によるマンドレルへの繊
維の巻付け形態の一例を示した巻付け形態図である。巻
付け形態には図示するように種々の巻付け形態があり、
成形されたFRPの用途に伴う要求物性等により巻付け
形態を選択する。例えば、FRPを成形する全ての巻き
付け工程を、同一の巻き付け形態で行う場合に比べて、
複数の巻き付け形態を交互に行った方が、曲げやねじり
に対する強度が強くなる。巻付け形態を変化させるに
は、ノズルレール1103に沿って左右に移動するノズ
ル1102の移動速度を制御することにより行う。な
お、図11に示した巻付け形態は、図12(b)のヘリ
カルタイプの巻付け形態である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このFW法に
より肉厚のFRPを成形する場合には、円筒形FRPの
内側の巻き付け繊維に緩みが生じる包帯効果や繊維と樹
脂とが分離する層間剥離を起こすことがあり、成形でき
る肉厚の度合いに限界があった。これに対し、大きさの
異なる複数のドーナッツ状のFRPリングを同心状に重
ねて全体として肉厚のFRPを成形するマルチリング方
式が提案されているが、作製上の工程数が多くなりコス
トの増加等につながる。このため、マルチリング方式に
よらずに肉厚のFRPを成形することができる方法が望
まれていた。
【0011】本発明は、上記状況に鑑みてなされたもの
であり、肉厚のFRPを成形する際に、包帯効果や層間
剥離の発生を防ぐことができるFRPの成形方法及び当
該包帯効果や層間剥離が解消された肉厚のFRPを提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する第1
の発明に係るFRP成形品の製造方法は、樹脂を含む繊
維束をマンドレルに巻き付けることにより成形するFR
P成形品の製造方法において、樹脂を含浸させた繊維束
と樹脂を含浸させない繊維束とを巻き付けることを特徴
とするFRP成形品の製造方法である。ここで、前記繊
維束とは、単体繊維を集束したものであるが、単体繊維
であってもよい。また以下に示す第2ないし第10発明
のいずれかにおいても同様である。
【0013】また、第2の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、樹脂を含浸させた繊維束と樹脂を含浸させな
い繊維束とを合糸することにより得られる繊維束を巻き
付けることを特徴とする。
【0014】また、第3の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、樹脂を含浸させた部分と樹脂を含浸させない
部分とを交互に有する繊維束を巻き付けることを特徴と
する。ここで、樹脂を含浸させた部分と含浸させない部
分とを切り換えるタイミングとしては、交互に巻き付け
るように切り換えればよく、特に限定されない。例え
ば、マンドレルの一方の端から他方の端までの巻き付け
を一つの巻き付け単位とし、一つの巻き付け単位ごとに
樹脂を含浸させた部分と含浸させない部分とを交互に切
り換えてもよいし、複数の巻き付け単位ごとに切り換え
てもよい。
【0015】また、第4の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、繊維束をマンドレルに巻き付ける際に、繊維
束に含浸させる樹脂の量を徐々に少なくしていくことを
特徴とする。ここで、樹脂量を少なくしていくタイミン
グとしては、FRPリングの内側となる部分の巻き付け
から外側の巻き付けまでの間において、徐々に少なくし
ていけばよく、特に限定されない。例えば、前記一つの
巻き付け単位ごとに樹脂量を少なく変化させてもよい
し、複数の巻き付け単位ごとに少なくしてもよい。
【0016】また、第5の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、第1ないし第3発明のいずれかに係るFRP
成形品の製造方法において、繊維束に含浸させる樹脂の
量を徐々に少なくしていくことを特徴とする。すなわ
ち、第1ないし第3発明では、樹脂を含浸させた繊維束
と含浸させない繊維束、または、樹脂を含浸させた部分
と含浸させない部分を交互に有する繊維束を巻き付ける
が、ここで、樹脂を含浸させた繊維束(または部分)に
含まれる樹脂量を徐々に少なくしていく。少なくしてい
くタイミングは、第4発明に説明したタイミングと同様
である。
【0017】また、第6の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、第1ないし第3発明のいずれかに係るFRP
成形品の製造方法において、複数の巻き付け形態を併用
することを特徴とする。複数の巻き付け形態を切り換え
るタイミングは、第4発明に説明したタイミングと同様
である。
【0018】また、第7の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、第5発明に係るFRP成形品の製造方法にお
いて、前記繊維束に樹脂を含浸させる方法が一定距離の
樹脂中を通過させることにより含浸させる方法であっ
て、前記含浸させる樹脂の量を少なくする方法が、繊維
束の樹脂中における通過距離を短くすること又は繊維束
の巻き付け速度を速くすることにより樹脂量を少なくす
る方法であることを特徴とする。
【0019】また、第8の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、第6発明に係るFRP成形品の製造方法にお
いて、前記巻き付け形態が、パラレル巻き、ヘリカル巻
き、レベル巻き、ポーラ巻きからなる群から選ばれるい
ずれかの巻き付け形態であることを特徴とする。
【0020】また、第9の発明に係るFRP成形品の製
造方法は、第1又は第2発明に係るFRP成形品の製造
方法において、樹脂を含浸させた繊維束に対する樹脂を
含浸させない繊維束の量を変化させることにより、巻き
付ける繊維束の全体に含まれる樹脂量を調整することを
特徴とする。
【0021】また、第10の発明に係るFRP成形品の
製造方法は、第2発明に係るFRP成形品の製造方法に
おいて、樹脂を含浸させた繊維束の周囲に樹脂を含浸さ
せない繊維束を配置し、合糸することにより得られる繊
維束を巻き付けるとを特徴とする。
【0022】また、第11の発明に係るFRP成形品
は、上記発明に係るFRP成形品の製造方法により成形
されるFRP成形品である。また、第12の発明に係る
FRP成形品は、前記FRP成形品が特にフライホイー
ルであることを特徴とするFRP成形品である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例を図面
に基づき詳細に説明する。
【0024】[実施例1]図1は、本発明の実施例1に
係るFW法を実施するFRP成形装置の概略外観図であ
る。以下、図1に基づいて実施例1に係るFW法の説明
をする。ロービング101は繊維束を円筒状に巻き取っ
たものである。このロービング101から繊維束を供給
すると共に、支持棒106に固定したマンドレル104
を回転させることにより、前記繊維束をマンドレル10
4に巻き付けていく。このとき、単に繊維束をマンドレ
ル104に巻き付けるのではなく、以下のようにして巻
き付けていく。
【0025】すなわち、実施例1では、樹脂槽120を
通過させることにより樹脂を含浸させた第1繊維束11
0と樹脂槽120を通過させない第2繊維束111とを
ノズル102で合糸して第3繊維束112とし、当該第
3繊維束112をヘリカルタイプの巻付け形態によりマ
ンドレル104に巻き付けた。これにより、樹脂を含ま
ない第2繊維束111の第1繊維束110に対する量を
調整することで、マンドレル104に巻き付ける際の第
3繊維束112に含まれる樹脂量を制御することができ
る。更に、マンドレル104の回転速度、すなわち巻き
付け速度V1を一定速度として、全ての巻き付け工程を
行った。
【0026】図2は、実施例1に係るノズルの機構を示
した図である。同図(a)はノズル内部の概略図、同図
(b)は(a)のローラと繊維束との関係を立体的に見
た概略図、同図(c)は(a)のA部を繊維軸方向から
見た断面図である。これらの図に示すようにノズル20
2は、内部に設けられたA部ローラ215及びB部ロー
ラ216により第2繊維束211を誘導し、B部におい
て第1繊維束210と合糸することにより第3繊維束2
12としている。
【0027】図5(a)及び(b)は、樹脂を含浸させ
た第1繊維束110を含む第3繊維束112をマンドレ
ル104に巻き付ける際に、マンドレル104の外表面
に成形されるFRPリングの内側となる部分(マンドレ
ル104の表面に近い部分)を巻き付けるときから、外
側となる部分(マンドレル104の表面から遠い部分)
を巻き付けるときまでの第1繊維束に含浸させる樹脂量
の変化を示したグラフである。実施例1では、巻き付け
速度V1を一定にしているため、第1繊維束110の樹
脂槽120を通過する時間が一定であり、同図(a)に
示した樹脂量の関係となる。すなわち、前記内側又は外
側に関係なく、同量の樹脂を第1繊維束に含浸させて巻
き付ける。
【0028】以上、説明する実施例1に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。これは以
下の理由によるものと考えられる。
【0029】図6は、FRPリングの断面写真であり、
(a)は従来の方法、(b)は実施例1の方法により成
形したFRPリングである。同図(a)より、従来の方
法ではFRPリングの外側に余分な樹脂がはみ出ている
ことが分かる。すなわち、従来の成形方法では繊維束1
110(図11)に比較的多くの樹脂量が付着してしま
う傾向があったため、マンドレル1104の表面に近い
部分に巻き付けられた余分な樹脂はマンドレル1104
の表面から遠い部分の巻き付けが行われる際に締めつけ
られ、FRPリングの外側へはみ出てしまっていた。こ
れにより、FRPリングの内側の樹脂が少なくなること
で、前記包帯効果や層間剥離が発生していたと考えられ
る。
【0030】一方、図6(b)では樹脂のはみ出しがな
く、リングの内側から外側にかけて、繊維と樹脂とから
なる均一な層で成形されていることが分かる。これは、
第1繊維束110に比較的多く含浸した樹脂を第2繊維
束111に分配することにより、第3繊維束112全体
として適当な樹脂量となるように制御することができた
ためである。これにより、樹脂のはみ出しを防止し前記
包帯効果等の発生を防ぐことができたと考えられる。
【0031】[実施例2]図3は、本発明の実施例2に
係るFW法を実施するFRP成形装置の概略外観図であ
る。図1に示す実施例1に係るFW法を実施するFRP
成形装置との違いは、第1繊維束310の樹脂槽320
を通過する時間を変化させるための可動ローラ316が
設けられていることである。すなわち、樹脂槽320を
通過する第1繊維束310の軌道を可動ローラ316に
より変化させ(「移動後の第1繊維束の軌道」313参
照)、樹脂槽320中の通過時間を変えることにより、
第1繊維束310に含浸させる樹脂量を制御することが
できる。
【0032】実施例2に係るFW法を詳細に説明する
と、第1繊維束310と第2繊維束311とをノズル3
02で合糸して第3繊維束312としマンドレル304
に巻きつける際に、ノズル302がマンドレル304の
一方向、すなわちマンドレル304の右端から左端又は
左端から右端を巻き終えるごとに、可動ローラ316を
移動させ第1繊維束310に含浸させる樹脂量を徐々に
少なくしていく。なお、巻き付け形態及び巻き付け速度
V3は実施例1と同様であり、ヘリカルタイプの形態及
び速度V3を一定速度として、全ての巻き付け工程を行
った。
【0033】実施例2では、第1繊維束310の樹脂槽
320を通過する時間を変化させ、巻き付け工程が進む
ごとに第1繊維束310に含浸させる樹脂量を少なくし
ていくため、図5(b)に示した樹脂量の関係となる。
すなわち、FRPリングの外側ほど少量の樹脂を含浸さ
せた第1繊維束を有する第3繊維束を巻き付ける。
【0034】以上、説明する実施例2に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。これは以
下の理由によるものと考えられる。
【0035】すなわち、FRPリングの内側に巻き付け
られた第3繊維束312に含まれる比較的多くの樹脂
が、巻き付け工程の進行に伴い、外部の比較的樹脂量の
少ない第3繊維束312に補充される結果、FRPリン
グ全体として適当な樹脂量となるように制御することが
できたため、樹脂のはみ出しを防止し前記包帯効果等の
発生を防ぐことができたと考えられる。なお、実施例2
の方法により成形したFRPリングについても、図6
(b)に示す実施例1と同様の観察結果が得られた。
【0036】[実施例3]実施例3に係るFW法を実施
するFRP成形装置は、装置構成としては、図1に示す
FRP成形装置と同様である。よって、図1に基づいて
実施例3に係るFW法を説明する。実施例3では、樹脂
槽120を通過させる第1繊維束110と通過させない
第2繊維束111とをノズル102で合糸して第3繊維
束112としマンドレル104に巻きつける際に、ノズ
ル102がマンドレル104の一方向、すなわちマンド
レル104の右端から左端又は左端から右端を巻き終え
るごとに、巻き付け速度V1を段階的に速くし、第1繊
維束110に含浸させる樹脂量を徐々に少なくしてい
く。なお、巻き付け形態は実施例1と同様のヘリカルタ
イプの巻き付け形態とした。
【0037】実施例3では、巻き付け工程が進むごとに
巻き付け速度V1を速くし、第1繊維束110の樹脂槽
120を通過する時間を短くすることにより、第1繊維
束110に含浸させる樹脂量を少なくしていくため、図
5(b)に示した樹脂量の関係となる。すなわち、FR
Pリングの外側ほど、少量の樹脂を含浸させた第1繊維
束110を有する第3繊維束を巻き付ける。
【0038】以上、説明する実施例3に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理由
は、実施例2で述べた理由と同様である。なお、実施例
3の方法により成形したFRPリングについても、図6
(b)に示す実施例1と同様の観察結果が得られた。
【0039】次に、実施例4〜6について説明する。実
施例4は実施例1を、実施例5は実施例2を、実施例6
は実施例3を基本として、それぞれノズル部のみを変更
したFW法である。すなわち、実施例1〜3において使
用した図2に示す機構を有するノズル202に代えて、
実施例4〜6においては図4(a)に示す機構を有する
ノズルを使用した。
【0040】図4は、実施例4〜6に係るFW法におい
て使用するノズルの機構を示した図である。同図(a)
は図2(c)に対応する図であり、実施例4〜6に係る
ノズルのA部(図2(a)参照)を繊維軸方向から見た
断面図である。実施例4〜6に係るノズルには、第2繊
維束411を誘導するA部ローラ415が、第1繊維束
410の周囲に6個設置されている。この第1繊維束4
10の周囲に配置された6本の第2繊維束411は図示
していないB部ローラ(図2参照)によって合糸され
る。同図(b)は、実施例4〜6に係るノズルにより合
糸された第3繊維束412の断面図である。同図に示す
ように、第3繊維束412は、第1繊維束410とその
周囲の6本の第2繊維束411とを合糸してなる。
【0041】以下、実施例4〜6について詳細に説明す
る。 [実施例4]実施例4に係るFW法は実施例1を基本と
しているため、図1に基づいて実施例4を説明する。前
述するように、実施例4に係るFW法では、ノズル10
2として、図4(a)に示す機構を有するノズルを使用
する。すなわち、実施例4では、樹脂を含浸させた第1
繊維束110と樹脂を含浸させていない6本の第2繊維
束111(図1には2本のみ図示)とをノズル102で
合糸して、第1繊維束110とその周囲の6本の第2繊
維束111とからなる第3繊維束112とし、当該第3
繊維束112をマンドレル104に巻き付けた。その他
の条件は、実施例1と同様の条件で行った。
【0042】実施例4では、実施例1と同様に巻き付け
速度V1を一定にしているため、第1繊維束110に含
浸させる樹脂量と巻き付け工程の進行度との関係は図5
(a)に示す関係となる。すなわち、FRPリングの内
側又は外側に関係なく、同量の樹脂を第1繊維束に含浸
させて巻き付ける。
【0043】以上、説明する実施例4に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理由
は、実施例1で述べた理由と同様である。なお、実施例
4の方法により成形したFRPリングについても、図6
(b)に示す実施例1と同様の観察結果が得られた。
【0044】[実施例5、6]実施例5又は6に係るF
W法は、図4に示す機構を有するノズルの使用を除き、
それぞれ実施例2又は3と同様の条件で行った。実施例
5又は6では、それぞれ稼動ローラの移動又は巻き付け
速度の変化により、巻き付け工程が進むごとに第1繊維
束に含浸させる樹脂量を少なくしていくため、図5
(b)に示した樹脂量の関係となる。すなわち、FRP
リングの外側ほど少量の樹脂を含浸させた第1繊維束を
有する第3繊維束を巻き付ける。
【0045】以上、説明する実施例5及び6に係る成形
方法によりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間
剥離の解消された肉厚のFRPを得ることができた。こ
の理由は、それぞれ実施例2又は3で述べた理由と同様
である。なお、実施例5及び6の方法により成形したF
RPリングについても、図6(b)に示す実施例1と同
様の観察結果が得られた。
【0046】[実施例7]図7は、本発明の実施例7に
係るFW法を実施するFRP成形装置の概略外観図であ
る。以下、図7に基づいて実施例7に係るFW法の説明
をする。ロービング701は繊維束710を円筒状に巻
き取ったものである。このロービング701から繊維束
710を供給すると共に、支持棒706に固定したマン
ドレル704を回転させることにより、繊維束710を
マンドレル704に巻き付けていく。このとき、単に繊
維束710をマンドレル704に巻き付けるのではな
く、以下のようにして巻き付けていく。
【0047】図7に示すFRP成形装置では、樹脂槽7
20が上下に移動(「樹脂槽の動き」722参照)する
ようになっており、移動後の樹脂槽721中を繊維束7
10が通過しないようになっている。すなわち、実施例
7では、繊維束710をマンドレル704に巻き付ける
際に、樹脂槽720を一定間隔で上下させ、樹脂槽72
0を通過させた繊維束710と通過させない繊維束71
0の巻き付けを交互に行った。樹脂槽720を上下させ
るタイミングとしては、実施例7では、ノズル702が
マンドレル704の一方向、すなわちマンドレル704
の右端から左端又は左端から右端を巻き終えるごとに上
下させるようにした。更に、巻き付け形態はヘリカルタ
イプの巻き付け形態のみ、マンドレル104の回転速
度、すなわち巻き付け速度V1は一定速度として、全て
の巻き付け工程を行った。
【0048】図5(c)及び(d)は、繊維束710を
マンドレル704に巻き付ける際に、マンドレル704
の外表面に成形されるFRPリングの内側となる部分
(マンドレル104の表面に近い部分)を巻き付けると
きから、外側となる部分(マンドレル104の表面から
遠い部分)を巻き付けるときまでの繊維束710に含浸
させる樹脂量の変化を示したグラフである。実施例7で
は、巻き付け速度V7を一定とし、樹脂槽720を通過
させる繊維束710と通過させない繊維束710を交互
に巻き付けるため、同図(c)に示した樹脂量の関係と
なる。すなわち、前記内側又は外側の巻き付けに関係な
く、一定量の樹脂を含浸させた繊維束710と含浸させ
ていない繊維束710を一定間隔で交互に巻き付けてい
く。
【0049】以上、説明する実施例7に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。これは以
下の理由によるものと考えられる。
【0050】すなわち、樹脂槽720を通過させた繊維
束710に含まれる比較的多くの樹脂が、樹脂槽720
を通過させない繊維束710に補充される結果、FRP
リング全体として適当な樹脂量となるように制御するこ
とができたため、樹脂のはみ出しを防止し前記包帯効果
等の発生を防ぐことができたと考えられる。なお、実施
例7の方法により成形したFRPリングについても、図
6(b)に示す実施例1と同様の観察結果が得られた。
【0051】[実施例8]図8は、本発明の実施例8に
係るFW法を実施するFRP成形装置の概略外観図であ
る。図7に示す実施例7に係るFW法を実施するFRP
成形装置との違いは、繊維束810の樹脂槽820を通
過する時間を変化させるための可動ローラ816が設け
られていることである。すなわち、樹脂槽820を通過
する繊維束810の軌道を可動ローラ816により変化
させ(「移動後の繊維束の軌道」813参照)、樹脂槽
820中の通過時間を変えることにより、繊維束820
に含浸させる樹脂量を制御することができる。
【0052】実施例8に係るFW法を詳細に説明する
と、繊維束810をマンドレル804に巻きつける際
に、ノズル802がマンドレル804の一方向、すなわ
ちマンドレル804の右端から左端又は左端から右端を
巻き終えるごとに、樹脂槽820を上下させ、樹脂槽8
20を通過させた繊維束810と通過させない繊維束8
10の巻き付けを交互に行うと共に、可動ローラ816
を移動させ繊維束810に含浸させる樹脂量を徐々に少
なくしていく。なお、巻き付け形態及び巻き付け速度V
8は実施例7と同様であり、ヘリカルタイプの形態のみ
及び速度V8を一定速度として、全ての巻き付け工程を
行った。
【0053】実施例8では、一定間隔で樹脂槽820を
上下させ、更に可動ローラ816を移動させるため、図
5(d)に示した樹脂量の関係となる。すなわち、FR
Pリングの外側ほど少量の樹脂を含浸させた繊維束81
0と樹脂を含浸させていない繊維束810とを一定間隔
で交互に巻き付けていく。
【0054】以上、説明する実施例8に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。これは以
下の理由によるものと考えられる。
【0055】すなわち、樹脂槽820を通過させた繊維
束810に含まれる比較的多くの樹脂が、樹脂槽820
を通過させない繊維束810に補充されると共に、FR
Pリングの内側に巻き付けられた繊維束810に含まれ
る比較的多くの樹脂が、巻き付け工程の進行に伴い、外
部の比較的樹脂量の少ない繊維束810に補充される結
果、FRPリング全体として適当な樹脂量となるように
制御することができたため、樹脂のはみ出しを防止し前
記包帯効果等の発生を防ぐことができたと考えられる。
なお、実施例8の方法により成形したFRPリングにつ
いても、図6(b)に示す実施例1と同様の観察結果が
得られた。
【0056】[実施例9]実施例9に係るFW法を実施
するFRP成形装置は、装置構成としては、図7に示す
FRP成形装置と同様である。よって、図7に基づいて
実施例9に係るFW法を説明する。実施例9では、繊維
束710をマンドレル704に巻き付ける際に、ノズル
702がマンドレル704の一方向、すなわちマンドレ
ル704の右端から左端又は左端から右端を巻き終える
ごとに、樹脂槽720を上下させ、樹脂槽720を通過
させた繊維束710と通過させない繊維束710の巻き
付けを交互に行うと共に、巻き付け速度V7を段階的に
速くし、繊維束710に含浸させる樹脂量を徐々に少な
くしていく。なお、巻き付け形態は実施例7と同様のヘ
リカルタイプの巻き付け形態のみとした。
【0057】実施例9では、一定間隔で樹脂槽720を
上下させ、更に巻き付け速度V7を速くするため、図5
(d)に示した樹脂量の関係となる。すなわち、FRP
リングの外側ほど少量の樹脂を含浸させた繊維束710
と樹脂を含浸させていない繊維束710とを一定間隔で
交互に巻き付けていく。
【0058】以上、説明する実施例9に係る成形方法に
よりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離の
解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理由
は、実施例8で述べた理由と同様である。なお、実施例
9の方法により成形したFRPリングについても、図6
(b)に示す実施例1と同様の観察結果が得られた。
【0059】次に、実施例10〜12について説明す
る。実施例10は実施例7を、実施例11は実施例8
を、実施例12は実施例9を基本として、それぞれ巻き
付け形態のみを変更したFW法である。すなわち、実施
例7〜9におけるヘリカルタイプの巻き付け形態に代え
て、実施例10〜12においてはヘリカルタイプ及びパ
ラレルタイプ(図12参照)の巻き付け形態を交互に行
った。
【0060】[実施例10]図9は、実施例10に係る
FW法を実施するFRP成形装置の概略外観図である。
図9に基づいて実施例10に係るFW法を説明する。前
述するように、実施例10に係るFW法では、巻き付け
形態として、ヘリカルタイプ及びパラレルタイプ(図1
2参照)の巻き付け形態を交互に行う。すなわち、実施
例10では、ノズル902がマンドレル904の一方
向、すなわちマンドレル904の右端から左端又は左端
から右端を巻き終えるごとに、樹脂槽920を上下さ
せ、樹脂槽920を通過させた繊維束910と通過させ
ない繊維束910との巻き付けを交互に行うと共に、ノ
ズル902の移動速度を変化させ、前記二つのタイプの
巻き付け形態により巻き付けを行った。
【0061】例えば、図9において、ノズル902がマ
ンドレル904の左端から右端を巻き付けるときは、樹
脂槽920を通過させた繊維束910を比較的低速でノ
ズル902を移動させることによりパラレルタイプの巻
き付けを行う。次に、右端から左端を巻き付けるとき
は、前記パラレルタイプの巻き付けを行った上に、樹脂
槽920を通過させない繊維束910を比較的高速でノ
ズル902を移動させることによりヘリカルタイプの巻
き付けを行う。
【0062】実施例10では、実施例7と同様に巻き付
け速度V9を一定とし、樹脂槽920を通過させる繊維
束910と通過させない繊維束910を交互に巻き付け
るため、図5(c)に示した樹脂量の関係となる。すな
わち、前記内側又は外側の巻き付けに関係なく、一定量
の樹脂を含浸させた繊維束710と含浸させていない繊
維束710を一定間隔で交互に巻き付けていく。
【0063】以上、説明する実施例10に係る成形方法
によりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離
の解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理
由は、実施例7で述べた理由と同様である。更に、実施
例10では、複数の巻き付け形態によりFRPリングを
成形しているため、曲げやねじりに対する強度も向上さ
せることができた。なお、実施例10の方法により成形
したFRPリングについても、図6(b)に示す実施例
1と同様の観察結果が得られた。
【0064】[実施例11]図10は、実施例11に係
るFW法を実施するFRP成形装置の概略外観図であ
る。図10に基づいて実施例11に係るFW法を説明す
る。前述するように、実施例11に係るFW法は、巻き
付け形態を除き、実施例8と同様の条件で行った。すな
わち、実施例11では、ノズル1002がマンドレル1
004の一方向、すなわちマンドレル1004の右端か
ら左端又は左端から右端を巻き終えるごとに、以下3つ
の制御を行った。一つ目に、樹脂槽1020を上下さ
せ、樹脂槽1020を通過させた繊維束1010と通過
させない繊維束1010との巻き付けを交互に行った。
二つ目に、ノズル1002の移動速度を変化させ、前記
二つのタイプの巻き付け形態により巻き付けを行った。
三つ目に、可動ローラ1016を移動させ、繊維束10
10に含浸させる樹脂量を徐々に少なくした。
【0065】実施例11では、一定間隔で樹脂槽102
0を上下させ、更に可動ローラ1016を移動させるた
め、図5(d)に示した樹脂量の関係となる。すなわ
ち、FRPリングの外側ほど少量の樹脂を含浸させた繊
維束1010と樹脂を含浸させていない繊維束1010
とを一定間隔で交互に巻き付けていく。
【0066】以上、説明する実施例11に係る成形方法
によりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離
の解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理
由は、実施例8で述べた理由と同様である。更に、実施
例11では、複数の巻き付け形態によりFRPリングを
成形しているため、曲げやねじりに対する強度も向上さ
せることができた。なお、実施例11の方法により成形
したFRPリングについても、図6(b)に示す実施例
1と同様の観察結果が得られた。
【0067】[実施例12]図9に基づいて実施例12
に係るFW法を説明する。前述するように、実施例12
に係るFW法は、巻き付け形態を除き、実施例9と同様
の条件で行った。すなわち、実施例12では、ノズル9
02がマンドレル904の一方向、すなわちマンドレル
904の右端から左端又は左端から右端を巻き終えるご
とに、以下3つの制御を行った。一つ目に、樹脂槽92
0を上下させ、樹脂槽920を通過させた繊維束910
と通過させない繊維束910との巻き付けを交互に行っ
た。二つ目に、ノズル902の移動速度を変化させ、前
記二つのタイプの巻き付け形態により巻き付けを行っ
た。三つ目に、巻き付け速度V9を変化させ、繊維束9
10に含浸させる樹脂量を徐々に少なくした。
【0068】実施例12では、一定間隔で樹脂槽920
を上下させ、更に巻き付け速度V9を変化させるため、
図5(d)に示した樹脂量の関係となる。すなわち、F
RPリングの外側ほど少量の樹脂を含浸させた繊維束9
10と樹脂を含浸させていない繊維束910とを一定間
隔で交互に巻き付けていく。
【0069】以上、説明する実施例12に係る成形方法
によりFRPを成形した結果、前記包帯効果や層間剥離
の解消された肉厚のFRPを得ることができた。この理
由は、実施例9で述べた理由と同様である。更に、実施
例12では、複数の巻き付け形態によりFRPリングを
成形しているため、曲げやねじりに対する強度も向上さ
せることができた。なお、実施例12の方法により成形
したFRPリングについても、図6(b)に示す実施例
1と同様の観察結果が得られた。
【0070】以上、本発明に係る実施例を説明したが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本
発明は、以下に列挙する5つの要素の組み合わせにより
構成される。すなわち、本発明は、第1要素である「樹
脂を含浸させない繊維束を、樹脂を含浸させる繊維束と
共に巻き付けるか否か」、第2要素である「樹脂を含浸
させた繊維束について、巻き付け工程の進行とともに樹
脂量を少なくしていくか、又は一定にするか」、第3要
素である「樹脂を含浸させた繊維束について、樹脂は常
に付いているか、又は樹脂を含浸させる部分と含浸させ
ない部分とを交互に有するか」、第4要素である「樹脂
を含浸させない繊維束を、樹脂を含浸させる繊維束と共
に巻き付ける場合に、樹脂を含浸させる繊維束の周囲に
含浸させない繊維束が合糸されているか、又は単純に合
糸されているか」、第5要素である「繊維束をマンドレ
ルに巻き付ける際に、複数の巻き付け形態を併用してい
るか否か」の5つの要素の組み合わせである。これらの
要素は互いに独立であり、どのような組み合わせによっ
ても、実施例と同様の効果を得ることができる。
【0071】例えば、前記実施例1は、第1要素として
「樹脂を含浸させない繊維束を、樹脂を含浸させる繊維
束と共に巻き付ける」、第2要素として「樹脂を含浸さ
せた繊維束について、巻き付け工程の進行に対して樹脂
量を一定にする」、第3要素として「樹脂を含浸させた
繊維束について、樹脂を常に付ける」、第4要素として
「樹脂を含浸させる繊維束と含浸させない繊維束とを単
純に合糸する」、第5要素として「複数の巻き付け形態
を併用しない」という組み合わせにした実施例である。
【0072】なお、繊維束に含浸させる樹脂としては、
成形品の必要性等に応じてどのような樹脂を使ってもよ
く、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性
樹脂等を使用することができる。
【0073】また、繊維束としては、成形品の必要性等
に応じてどのような繊維束を使ってもよく、例えば、ガ
ラス繊維、等を使用することができる。
【0074】
【発明の効果】本発明では、FRP成形品の製造方法に
おいて、樹脂を含浸させた繊維束と樹脂を含浸させない
繊維束とを単独でもしくは合糸した繊維束としてマンド
レルに巻き付ける。これにより、樹脂を含浸させた繊維
束に含まれる比較的多くの樹脂を樹脂を含浸させない繊
維束に分配し、マンドレルに巻き付ける繊維束全体とし
て適当な樹脂量となるように制御することができるた
め、樹脂のはみ出しを防止し包帯効果及び層間剥離の発
生を防ぐことができる。また、前記問題が発生しないた
め、マルチリング方式によらずに、一回の巻き付け成形
によって肉厚のFRP成形品を作製することができる。
【0075】他の発明では、FRP成形品の製造方法に
おいて、樹脂を繊維束に一定間隔で含浸させることによ
り、樹脂を含浸させた部分と樹脂を含浸させない部分と
を交互に有する繊維束をマンドレルに巻き付ける。これ
により、樹脂を含浸させた部分の繊維束に含まれる比較
的多くの樹脂を、樹脂を含浸させない部分の繊維束に分
配し、マンドレルに巻き付ける繊維束全体として適当な
樹脂量となるように制御することができるため、樹脂の
はみ出しを防止し包帯効果及び層間剥離の発生を防ぐこ
とができる。
【0076】更に、繊維束に含浸させる樹脂量、樹脂を
含浸させた繊維束に対する樹脂を含浸させない繊維束の
相対量、または樹脂を含浸させた部分の樹脂量を変化さ
せ、マンドレルに巻き付ける繊維束全体に含まれる樹脂
量を調整することにより、同様に樹脂のはみ出しを防止
し包帯効果及び層間剥離の発生を防ぐことができる。
【0077】更に、マンドレルに繊維束を巻き付ける際
に複数の巻き付け形態を併用することにより、曲げやね
じりに対する強度を向上させた成形品とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るFW法を実施するFRP成形装
置の概略外観図である。
【図2】実施例1に係るノズルの機構を示した図であ
り、(a)はノズル内部の概略図、(b)は(a)を立
体的に見た概略図、(c)は(a)のA部を繊維軸方向
から見た断面図である。
【図3】実施例2に係るFW法を実施するFRP成形装
置の概略外観図である。
【図4】(a)は、実施例4から6に係るFW法におい
て使用するノズルのA部(図2(a)参照)を繊維軸方
向から見た断面図であり、(b)は、当該ノズルにより
合糸された第3繊維束の断面図である。
【図5】図5は、繊維束に含浸される樹脂量とFRPリ
ングの巻き付け工程の進行度との関係図である。
【図6】(a)は従来の方法、(b)は実施例1の方法
により成形したFRPリングの断面写真である。
【図7】実施例7に係るFW法を実施するFRP成形装
置の概略外観図である。
【図8】実施例8に係るFW法を実施するFRP成形装
置の概略外観図である。
【図9】実施例10に係るFW法を実施するFRP成形
装置の概略外観図である。
【図10】実施例11に係るFW法を実施するFRP成
形装置の概略外観図である。
【図11】従来のFW法を実施するFRP成形装置の概
略外観図である。
【図12】FW法による繊維の巻付け形態の一例を示し
た巻付け形態図である。
【符号の説明】
102 ノズル 104 マンドレル 110 第1繊維束 111 第2繊維束 112 第3繊維束 115 ローラ 120 樹脂槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F205 AD16 AH04 AH81 HA02 HA23 HA32 HA37 HA46 HA47 HB01 HF01 HF05 HF46 HK02 HK19 HL12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂を含む繊維束をマンドレルに巻き付
    けることにより成形するFRP成形品の製造方法におい
    て、 樹脂を含浸させた繊維束と樹脂を含浸させない繊維束と
    を巻き付けることを特徴とするFRP成形品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 樹脂を含む繊維束をマンドレルに巻き付
    けることにより成形するFRP成形品の製造方法におい
    て、 樹脂を含浸させた繊維束と樹脂を含浸させない繊維束と
    を合糸することにより得られる繊維束を巻き付けること
    を特徴とするFRP成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 樹脂を含む繊維束をマンドレルに巻き付
    けることにより成形するFRP成形品の製造方法におい
    て、 繊維束をマンドレルに巻き付ける際に、樹脂を繊維束に
    一定間隔で含浸させることにより、樹脂を含浸させた部
    分と樹脂を含浸させない部分とを交互に巻き付けること
    を特徴とするFRP成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂を含む繊維束をマンドレルに巻き付
    けることにより成形するFRP成形品の製造方法におい
    て、 繊維束をマンドレルに巻き付ける際に、繊維束に含浸さ
    せる樹脂の量を徐々に少なくしていくことを特徴とする
    FRP成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載のF
    RP成形品の製造方法において、繊維束をマンドレルに
    巻き付ける際に、繊維束に含浸させる樹脂の量を徐々に
    少なくしていくことを特徴とするFRP成形品の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のF
    RP成形品の製造方法において、複数の巻き付け形態を
    併用することを特徴とするFRP成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のFRP成形品の製造方
    法において、前記繊維束に樹脂を含浸させる方法が一定
    距離の樹脂中を通過させることにより含浸させる方法で
    あって、前記含浸させる樹脂の量を少なくする方法が、
    繊維束の樹脂中における通過距離を短くすること又は繊
    維束の巻き付け速度を速くすることにより樹脂量を少な
    くする方法であることを特徴とするFRP成形品の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のFRP成形品の製造方
    法において、前記巻き付け形態が、パラレル巻き、ヘリ
    カル巻き、レベル巻き、ポーラ巻きからなる群から選ば
    れるいずれかの巻き付け形態であることを特徴とするF
    RP成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1又は2に記載のFRP成形品の
    製造方法において、樹脂を含浸させた繊維束に対する樹
    脂を含浸させない繊維束の量を変化させることにより、
    巻き付ける繊維束の全体に含まれる樹脂量を調整するこ
    とを特徴とするFRP成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載のFRP成形品の製造
    方法において、マンドレルに巻き付けられる繊維束が、
    樹脂を含浸させた繊維束の周囲に樹脂を含浸させない繊
    維束を配置し、合糸することにより得られる繊維束であ
    ることを特徴とするFRP成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    のFRP成形品の製造方法により成形されるFRP成形
    品。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のFRP成形品にお
    いて、前記FRP成形品がフライホイールであることを
    特徴とするFRP成形品。
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