JP2003268402A - 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト - Google Patents

高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト

Info

Publication number
JP2003268402A
JP2003268402A JP2002073990A JP2002073990A JP2003268402A JP 2003268402 A JP2003268402 A JP 2003268402A JP 2002073990 A JP2002073990 A JP 2002073990A JP 2002073990 A JP2002073990 A JP 2002073990A JP 2003268402 A JP2003268402 A JP 2003268402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal powder
powder
silver
metal
lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002073990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3687745B2 (ja
Inventor
Motoo Fukushima
基夫 福島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2002073990A priority Critical patent/JP3687745B2/ja
Publication of JP2003268402A publication Critical patent/JP2003268402A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3687745B2 publication Critical patent/JP3687745B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一次粒子が扁平状であり、凝集粒子のタ
ップ密度が1.5g/cc以下であり、内部に空隙を有
する塊状凝集構造を有することを特徴とする高分散性の
金属粉。 【効果】 本発明によれば、優れた加工性と高分散性の
塊状凝集構造を有する金属粉が得られ、この金属粉を用
いることにより、微細な電気回路形成用に使用できる高
導電性のペーストを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分散性の金属
粉、特に凝集構造を有する銀又は銀合金粉、その製造方
法及び該金属粉を含有する導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子部品等の電極や回路の形成においては、導電ペース
トを印刷した後に硬化させるプロセスが主流となってき
ている。例えば、電気回路(配線導体)を形成する方法
として、特開平2−150097号公報等に示されるよ
うに、金属粉末に樹脂やゴム、ガラスフリット等の結合
剤及び必要に応じて溶剤を加えてペースト状にした導電
性ペーストを塗布又は印刷して形成する方法が一般的に
知られており、スルーホール導電用、電極形成用、ジャ
ンパ線用、EMIシールド用等に応用されている。
【0003】導電性ペーストに使用される各種導電性フ
ィラーとして金属粉が用いられている。中でも、金は極
めて高価であるため、高い導電性が要求される分野では
銀が、それ以外の分野では銅が用いられることが多い。
銅粉は安価であるが、銅ペーストを加熱する際、空気及
び結合剤中の酸素により銅粒子表面に酸化膜を形成して
導電性を悪化させるという問題点がある。そこで、通常
は酸化されがたく導電性が高い銀粉末、あるいは銅の表
面を銀で被覆した金属粉が、導電性フィラーとして多用
されている。
【0004】このような金属粉を配合した導電ペースト
組成物は、例えば積層セラミックスコンデンサー用電極
部に塗布された後に焼成されて電極となる。エポキシ樹
脂やポリイミド樹脂等に銀粉等を分散させたものは、導
電性接着剤として、例えばダイボンディング等に用いら
れる。積層チップコンデンサー端子電極として銀導電ペ
ーストが用いられるときは、例えばチップ端部に導電ペ
ーストを塗布、乾燥後、焼成により電極が形成され、該
電極に銅リード線が半田付けされるといった用途に使用
される等、耐熱性、耐屈曲性及び高導電性が要求される
多くの分野で利用されている。
【0005】近年の電子機器の高機能化により、電子デ
バイスの低抵抗化と小型高密度化が求められ、配線、電
極のファイン化の要請によりペースト材料である金属粉
末についても、高導電性で、より微細な形状を有するも
のが求められている。
【0006】これらの金属粉末の形状は粒状、樹枝状、
扁平状、不定形状に分けられるが、とりわけ高導電化の
ためには、金属粉同士がより接触して高導電性の皮膜を
形成しやすい扁平状の金属粉末が望ましい形状として利
用されていた。こうした扁平状銀粉は通常の粒状銀粉を
つぶして作られるため、加工歪みあるいは粉表面の酸化
による劣化を防ぐためと、異常に大きな粗大一次粒子の
生成を防ぐために滑剤が使用されていた。しかしこの
時、用いた高級脂肪酸等からなる滑剤が金属の表面と強
く結合し、得られた扁平状の金属粉末の表面に残存し、
導電性の悪化を引き起こしていた。
【0007】また、こうした金属粉末は、微細な配線を
形成できるように、粒径を微細にすればするほど、凝集
が強く起こるため、ペーストにする時の分散性が悪くな
り、塗膜にしたときの成形性が悪くなるという問題があ
った。そこで通常、ペースト化前にあらかじめ粉砕、分
級等の処理を行ったり、分散性をあげるために粉末を滑
剤で処理することで凝集を防いだり、解凝集させるため
にペースト化時に大きな剪断作用をかけて分散させると
いった工程が行われていた。
【0008】しかしながら、そのような処理に起因する
歩留りの低下や加工費の増加がコストアップの原因とな
る上に、そのような処理を行ってペースト化しても、分
散しきれない凝集粒子が不均一に無制御の状態で存在し
てしまい、塗膜内での導電性のばらつきや、表面の凹凸
により薄い電極層を印刷できないという問題をしばしば
起こし、再現性よく分散性をあげ、低い電気抵抗と微細
回路形成時の表面平滑性を両立させることは不可能であ
り、品質的にも抜本的な対策にはなりえなかった。とり
わけ、分散性向上に大きな効果をもたらす滑剤は、これ
で処理した金属粉末を配合したペースト組成物に、導電
性だけでなく該組成物の硬化性にも悪い影響を及ぼすと
いう問題があった。この粉末を配合した導電ペースト組
成物を長時間貯蔵しておくと、該組成物の硬化性が経時
的に低下し、やがては該組成物の硬化不良を引き起こし
ていた。このように、金属粉の扁平化による高導電化、
微細化は、ペースト化するときの分散化の不良に由来す
る導電の悪化を引き起こし、低い電気抵抗を安定的に発
現させることは極めて困難であった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、低抵抗な電極や回路を、加工性良好で、高信頼
性に形成することのできる導電ペーストの製造に最適な
金属粉末、特に滑剤を含むことなく高分散性と高導電性
を両立させることができ、優れた加工性と低い電気抵抗
値を有する導電ペーストを製造することができる高分散
性の凝集構造を有する金属粉、その製造方法及び該金属
粉を含有する導電ペーストを提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行い、
種々の金属粉末の製造・評価を試みた結果、滑剤を表面
に持った扁平状の一次粒子からなる金属粉を原料とし
て、これを分散させた溶剤と、塩基性化合物を含む溶剤
とを混合したのち洗浄するという方法により、金属粉か
ら滑剤を除去すれば、タップ密度が低く、大きさのそろ
った塊状の形状を持った凝集構造の金属粉を製造するこ
とができること、また得られた凝集金属粉は、導電ペー
ストに使用できる導電フィラーとして有用で、容易に一
次粒子に解凝集できるため高分散性で、優れた加工性と
低い電気抵抗値を有する導電ペースト組成物が得られる
ことを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】より具体的には、本発明の金属粉末は、一
次粒子が扁平状である金属粉を原料として使用し、容易
に解凝集し得るように製造されたもので、滑剤を含ま
ず、解凝集時に粉同士がより接触しやすい扁平状である
ので高導電性を発現でき、またこのように容易に解凝集
できる構造であるため、導電ペーストに使用して結合剤
等と混合させると、容易にかつ均一に分散できるという
高分散性であり、従ってそのような粉末を用いて製造し
た導電ペースト内では、一次粒子形状は粉同士がより接
触しやすい扁平状であるので高導電性を発現し、これを
用いて電極や回路を形成すると、電極や回路のエッジ部
がシャープであり、高精度・高密度の回路の形成が可能
であることを見出したものである。
【0012】従って、本発明は、一次粒子が扁平状であ
り、凝集粒子のタップ密度が1.5g/cc以下であ
り、内部に空隙を有する塊状凝集構造を有する高分散性
の金属粉を提供する。この場合、真密度−タップ密度≧
7.3g/ccであり、また、一次粒子が平均粒径0.
01〜10μmであり、凝集粒子の平均粒径が10μm
を超え1000μm以下であることが好ましい。本発明
は、この金属粉を含有する導電ペーストをも提供する。
更に、扁平状の一次粒子からなり、かつ滑剤で表面処理
された金属粉を分散させた溶剤と、塩基性化合物を含む
溶剤とを混合することにより、滑剤を除去すると共に、
上記金属粉を凝集させることを特徴とする上記の金属粉
の製造方法を提供する。
【0013】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の凝集金属粉は、一次粒子が扁平状で、凝集粒子
のタップ密度が1.5g/cc以下であり、内部に空隙
を有する塊状凝集構造を有する金属粉である。この場
合、真密度−タップ密度≧7.3g/ccであることが
好ましい。
【0014】本発明において用いられる金属粉として
は、銀、金、白金、パラジウム等の貴金属粉、銅、銅合
金、ニッケル等の非貴金属粉、銀めっき銅粉、ニッケル
めっき銅粉等のめっき金属粉が挙げられる。特に、銀粉
が好ましい。銀粉の銀は、純銀又は銀合金等が用いられ
る。銀合金としては、銀を50重量%以上、特に70重
量%以上含む銀−銅合金、銀−パラジウム合金が代表的
であり、その他亜鉛、錫、マグネシウム、ニッケル等の
金属を含有する銀合金が挙げられる。
【0015】本発明で用いる原料金属粉末は、金属塩水
溶液を還元剤により還元したり、電気分解により陰極上
に析出させたり、溶融金属を水中又は不活性ガス中に噴
霧すること等によって得られる。例えば、銀粉末の場合
は、それぞれ、還元銀粉末、電解銀粉末、アトマイズ銀
粉末である。還元銀粉末は、硝酸銀水溶液をヒドラジ
ン、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸等の還元剤によ
り還元して粒状に調製したものであり、電解銀粉末は、
硝酸銀水溶液を電気分解により陰極上で樹枝状に析出し
たものである。また、アトマイズ銀粉末は、1000℃
以上に加熱溶融した溶融銀を、水中又は不活性ガス中に
噴霧することにより調製したものである。あるいは銀被
覆銅粉の場合、特開平3−247702号公報、特開平
4−268381号公報等に示されるような銅の表面に
銀の粒子をアトマイズ法と呼ばれる方法で被覆して製造
される。
【0016】本発明における凝集金属粉は、一次粒子が
扁平状である。扁平状にすることで、粉体同士の接触点
をあげて、導電性をよくすることができる。ここで、扁
平状とは、球状や塊状等の立体形状のものを一方向に押
し潰した形状のものであり、扁平化率(以後、アスペク
ト比と表記する)により規定され、薄片状、鱗片状ある
いはフレーク状と称するものも含まれる。
【0017】アスペクト比とは、扁平状金属粉のある粒
子の長径と短径の比率のうち最大のもの(最長径/最短
径)をいう。アスペクト比を求めるための最長径や最短
径は、SEM観察等により50〜100個程度の粉末粒
子を観察し、実測あるいは、市販の画像解析装置を用い
て求めることができる。本発明においては、粉末粒子の
アスペクト比すなわち最長径/最短径が2以上であるこ
とが望ましい。2未満では、粒子間の接触による導電性
が十分でない場合がある。上限は金属の種類や用途によ
って変わるため、特に規定されるものではないが、通常
500程度である。
【0018】本発明の凝集金属粉は、タップ密度が1.
5g/cc以下である。より好ましくは0.1〜1.3
g/cc、特に0.3〜1.2g/ccが望ましい。タ
ップ密度が1.5g/ccを超えると解凝集が起こりに
くくなり分散性が悪くなる。また、真密度(真比重)−
タップ密度(かさ比重)は7.3g/cc以上、より好
ましくは7.5g/cc以上であることが好ましい。
7.3g/cc未満では分散性が悪くなる。
【0019】なお、タップ密度は嵩密度の一種で、しば
しばかさ比重と同義的に用いられる。嵩密度の測定法
は、粉体を一定の容器に充填した時、その重量を容積で
割った値(g/cm3)で求められる。粉体の充填時に
振動を与えないで、できるだけ粗につめた時を嵩密度
(Loose)、振動を与えて、できるだけ密になるよ
うにつめた時を嵩密度(Tapped)といい、これを
一般にタップ密度と呼んでいる。
【0020】本発明の凝集金属粉は、一次粒子の平均粒
径が0.01〜10μmが好ましく、特に、平均粒径
0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.01μm未満の
粉末を用いると表面に酸化物ができやすく、作製した導
電性ペーストの導電性が悪化する場合があり、10μm
を超える粉末を用いると、作製した導電性ペーストの印
刷性、特に微細精度が悪くなる場合がある。導電性金属
粉の平均粒径は、レーザー法、沈降法等の一般的な粒度
分布測定法で求めることができる。
【0021】本発明凝集金属粉は、凝集粒子の平均粒径
が10μmを超え1000μm以下が好ましく、特に、
平均粒径15〜800μmの範囲が好ましい。10μm
以下だと、経時で凝集が進み不均一な凝集が生じる場合
があり、1000μmを超えると、導電ペーストとした
場合表面形状が滑らかでなくなる場合がある。
【0022】次に、本発明における凝集金属粉の製造方
法について説明する。本発明の凝集金属粉は、滑剤で表
面処理された扁平状の一次粒子からなる原料金属粉を分
散させた溶剤と、塩基性化合物を含む溶剤とを混合し、
滑剤を除去すると共に、上記原料金属粉を凝集させるこ
とにより得ることができる。
【0023】本発明における扁平状の一次粒子からなる
原料金属粉は、扁平化する前の原料金属粉に滑剤を添
加、混合した後、メカニカルアロイング装置、乾式ボー
ルミル、ロール等による圧縮装置又は高速で固い物質に
粉体を吹き付ける装置等を用いて機械的エネルギーを加
えることにより扁平化することで製造することができ
る。なお、乾式ボールミルのように容器を用いて扁平状
に変形する際、容器内を減圧するか又はアルゴンガス、
窒素ガス等の非酸化性雰囲気中で処理すれば、粉体表面
の酸化を防止できるので好ましい。
【0024】滑剤としては、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキ
ン酸、ベヘン酸等の飽和又は不飽和の高級脂肪酸、ラウ
リン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウ
リン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ステアリ
ルアルコール等の高級脂肪族アルコール、高級脂肪族ア
ルコールのエステル、ステアリルアミン等の高級脂肪族
アミン、高級脂肪族アミド及びポリエチレンワックスの
1種もしくは2種以上の混合物からなる滑剤、各種ワッ
クス等それぞれの粉砕装置及び粉砕条件、扁平化装置及
び扁平化条件に適したものが用いられる。滑剤の量は、
原料金属粉100重量部に対し、0.05〜5重量部が
好ましく、特に0.1〜2重量部が好ましい。
【0025】次に、この扁平化原料金属粉から以下の方
法で滑剤を除去する。即ち、扁平状の一次粒子からなる
原料金属粉を分散させた溶剤と、塩基性化合物を含む溶
剤とを混合したのち、その溶剤を濾別等により分離す
る。この条件を選ぶことで、タップ密度が低く、解凝集
をしやすいため高分散性になった、ペースト等に加工し
やすい塊状凝集構造の金属粉末にすることができる。
【0026】塩基性化合物としては、ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属あるいはマグネシウム、カルシウ
ム等のアルカリ土類金属の水酸化物、メトキサイド、エ
トキサイド、プロポキサイド、ブトキサイド等のアルコ
キサイド等が挙げられ、中でもナトリウムメトキサイド
を良好に用いうる。
【0027】溶剤としては、滑剤を溶解するものをその
まま、あるいは混合して使用することができる。例え
ば、ミネラルスピリット、ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロルベンゼ
ン、トリクロルベンゼン、パークロルエチレン、トリク
ロルエチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エ
タノール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール等
のアルコール類、アセトン、n−プロパノン、2−ブタ
ノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエス
テル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチ
ルプロピルエーテル等のエーテル類が挙げられる。水
は、そのままでは金属粉を分散しにくいため、界面活性
剤と組み合わせることにより使用しうる。好ましくは、
アルコール系溶剤やケトン類等の極性を持ち、金属粉に
付着した滑剤の洗浄に適した溶剤を選択して用いればよ
い。
【0028】塩基性化合物の添加量は、金属粉100重
量部に対し、塩基性化合物を0.1〜20重量部添加す
ることが好ましく、さらには塩基性化合物を0.2〜1
0重量部添加することがより好ましい。塩基性化合物の
添加量が0.1重量部未満では、滑剤の金属粉との分離
時間が長くかかり、タップ密度が大きくなり、分散性が
低下し、滑剤の洗浄が不十分となる場合があり、20重
量部を超えると金属粉から塩基性化合物に由来するアル
カリ金属あるいはアルカリ土類金属の洗浄・除去が不十
分となり、さらにはコストが高くなる場合がある。
【0029】上記金属粉を分散させた溶剤と、塩基性化
合物を含む溶剤とを混合したのち、その溶剤を濾別等に
より分離する方法をより具体的に説明すると、まず、上
記金属粉を分散させた溶剤からなる第一溶液と、塩基性
化合物を溶解させた溶剤からなる第二溶液と別々に作製
しておき、この第一溶液と第二溶液を温度10〜60
℃、好ましくは10〜30℃に保ちながら撹拌混合す
る。この場合、上記金属粉の溶剤中での分散量は、5〜
80重量%、特に10〜75重量%が好ましく、また、
塩基性化合物の溶剤中での濃度は、0.1〜100重量
%、特に1〜50重量%が好ましい。
【0030】ここで、バッチ式で実施する際の混合方法
としては、反応槽中に金属粉末を入れておき、これに溶
剤を添加・撹拌して製造した金属粉末分散溶液に、塩基
性化合物を溶解させた溶液を添加撹拌すればよい。添加
時間は短時間、好ましくは100秒以内、一層好ましく
は数秒から数十秒程度の短時間である。撹拌時間を短時
間にすることで、両液が充分に混合拡散して反応系が最
終的に所定の均一な濃度に達する前に凝集反応が部分的
に完了してしまうことにより、バッチ内の生成金属粒子
が不均一になり、ひいては生成する金属粒子の凝集粒度
分布及び凝集粒子形状、その他の凝集粉末物性が劣化す
ることを防止することができる。
【0031】また、連続式で実施する場合には、連続的
に流動している金属粉末分散溶液中に塩基性化合物溶液
を添加して瞬時に混合させることが好ましい。
【0032】上記のようにしてバッチ式又は連続式で混
合した後、撹拌して凝集反応を起こすことにより、凝集
金属粒子を析出させることができる。両溶液を混合する
と凝集反応が始まり、その後、両溶液全量混合後も凝集
が終わるまで撹拌を続け、反応の完了した混合液から生
成した凝集金属粒子を、重力沈降法や吸引濾過法等の通
常の固液分離法により分離することができる。さらに洗
浄等により、粒子表面に付着した反応液の残留成分を除
去し、その後乾燥機等で充分に乾燥させることにより、
平均粒径10μm超1000μm以下の塊状形状とな
り、タップ密度が1.5g/cc以下の値を持ち、内部
に空隙を有する塊状凝集構造の金属粉末を得ることがで
きる。
【0033】このようにして得られた塊状凝集構造の金
属粉末の凝集状態は、堅固なものではなく、外部からわ
ずかな圧力を加えることで容易に一次粒子の分散状態に
することができる。このため、導電ペーストに加工する
とき、塊状凝集構造のため微細な一次粒子が周辺に飛散
することなく混合することができ、内部に空隙を有する
タップ密度が1.5g/cc以下という低い嵩密度の凝
集構造のため、ロールや混練機のような通常の混合手法
による剪断力により一次粒子に解凝集され、結合剤と均
一に混合することができる。
【0034】なお、上記塊状凝集構造の金属粉末を用い
て導電ペーストを作製する場合、導電ペーストは、金属
粉に結合剤を添加することができる。この場合、金属粉
のうち、本発明の塊状凝集金属粉が、10〜100重量
%であることが好ましく、残部は球状銀粉や非凝集銀粉
を混合してもよい。
【0035】結合剤としては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、アクリル樹脂等の有機結合剤又はガラスフリッ
ト等の無機結合剤が挙げられる。
【0036】ここで、フェノール樹脂としては、レゾー
ル型フェノール樹脂やノボラック型フェノール樹脂が挙
げられる。必要に応じてこれらのフェノール樹脂を変成
して用いてもよい。ノボラック型フェノール樹脂を使用
する場合はヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を用い
る。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類以上を
併用してもよい。またエポキシ樹脂としては、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、脂環式エポキシ樹
脂、可とう性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等が挙
げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類
以上を併用してもよい。
【0037】また必要に応じ、溶剤及び/又は硬化促進
剤を添加してもよい。溶剤としては、ブチルセロソル
ブ、エチルカルビトール、ブチルエチルカルビトール、
エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチ
ルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテー
ト、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。
【0038】硬化促進剤としては、イミダゾール、アミ
ン類等が挙げられる。
【0039】なお、無機結合剤の導電ペーストは、高温
焼成型導電ペーストとも呼ばれ、金属粉等の導電性粉末
と、ガラスフリットとビヒクル及び溶剤等からなる。ビ
ヒクルと必要に応じてガラスフリットとを所定量混合
し、3本ロールミル等で混練して導電ペーストにする。
ガラスフリットは添加しなくてもよいが、添加するとき
はホウケイ酸系、アルミノケイ酸系、鉛系等の多種組成
のガラスフリットが使用できる。ビヒクルとしては、エ
チルセルロースやニトロセルロース等のセルロース樹脂
やブチルメタアクリレートやメチルメタアクリレート等
のアクリル系樹脂等の通常の樹脂成分にジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、ミネ
ラルスプリット等のアルコール類、ケトン類、ナフサ類
等の通常の溶剤を混合したものが使用できる。
【0040】これらの混合割合は、通常行われている配
合割合を用いることができる。例えば、導電ペーストに
おいて、金属粉と結合剤の含有量の割合は、導電ペース
トの固形分に対して導電性の点で、金属粉が70〜93
重量%及び結合剤が7〜30重量%の範囲が好ましく、
金属粉75〜90重量%及び結合剤が10〜25重量%
の範囲がより好ましく、金属粉78〜88重量%及び結
合剤が12〜22重量%の範囲がさらに好ましい。硬化
促進剤及び溶剤は必要に応じて添加されるが、その含有
量は、溶剤は導電ペーストに対して5〜45重量%の範
囲が好ましく、7〜40重量%の範囲がより好ましく、
更に10〜35重量%の範囲が好ましい。硬化促進剤は
導電性ペーストに対して0.01〜1重量%が好まし
く、更に0.02〜0.05重量%であることが好まし
い。
【0041】本発明による塊状の凝集金属粉を用いた導
電性ペーストは、絶縁材料として用いられる各種基板、
各種フィルム等に塗布、印刷、ポッティングして導体を
形成する材料として最適であり、その他スルーホール導
通用、電極形成用、ジャンパ線用、EMIシールド用等
の形成に用いることができる。また抵抗素子、チップ抵
抗、チップコンデンサ等の電子部品と絶縁基材を接続す
る導電性接着剤、鉛レス半田代替材としても使用でき
る。
【0042】上記に示す各種基板としては、紙フェノー
ル基板、ガラスエポキシ基板、ホウロウ基板、セラミッ
ク基板等が挙げられ、また各種フィルムとしては、ポリ
エチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスル
フィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポ
リイミド等フレキシブルな樹脂性のフィルムが挙げられ
る。なお絶縁基材は、表面やスルーホールに、予め、め
っき、印刷、蒸着、エッチング等の方法で導体や抵抗の
一部を形成したものを用いてもよい。
【0043】
【実施例】以下、調製例、実施例及び比較例を示して本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。なお、下記の例において、金属
粉評価の方法は下記の通りである。
【0044】アスペクト比の測定 アスペクト比の測定は以下のように行った。銀粉を電子
顕微鏡で2000倍に拡大して視野面に現われた50個
の粒子について長径/短径を求め、それらの平均値をも
って、アスペクト比とした。
【0045】導電性の評価 特願2001−341946に記載した図1に示す導電
率測定装置を用いた。ここで、図1において、1は台座
で、この台座1上に四端子用電極ユニット2が配設され
ている。このユニット2は、上側、中央、下側の3枚の
電気絶縁性ゴムシート3,4,5と、中央ゴムシート4
を挟持する一対の電圧測定用電極6,7と、上側ゴムシ
ート3の上面に配置された上側電極板8及び下側ゴムシ
ート5の下面に配置された下側電極板9と、更に、上側
電極板8上面に配置された上側電極台10及び下側電極
板9下面に配置され、かつ上記台座1上に載置された下
側電極台11を有する。
【0046】上記上側、中央、下側ゴムシート3,4,
5及び電圧測定用の一対の電極板6,7には、それぞれ
互いに同一径の孔が形成され、これらの孔により導電性
粉体の収容部12が形成されている。
【0047】また、上記上側電極板8及び下側電極板9
は、それぞれ少なくとも上記収容部12の上下開口部の
直径より大径に形成され、収容部12の上下開口部を閉
塞し、かつ上記上側、中央、下側ゴムシート3,4,5
を押圧、圧縮し得るように構成、配置されている。13
は台座1上に固定された台柱14に蝶ねじ15により上
下方向移動可能に固定されるアーム16に取り付けられ
た精密ねじ式の回転型変位計であり、その操作部を操作
することにより、変位計13の軸部17が螺旋状に回転
して進退し、その進退変位量が表示されるようになって
いるものである。
【0048】18は、上記アーム16に固定され、上記
変位計13を支持するホルダーで、このホルダー18の
下部には、固定治具19が螺着されている。この固定冶
具19は、円柱状に形成され、内部上部に大径中空部2
0と内部下部にこれと連通して小径中空部21が形成さ
れ、上記変位計13の軸部17先部が大径中空部20に
遊挿されていると共に、上記小径中空部21には、上記
上側電極台上に固定された電極棒22の先部が遊挿され
ており、その先端部は大径中空部20内に突出している
と共に、上記軸部17下端面と電極棒22上端面とは、
上記大径中空部20内に配設された絶縁板23を介して
互いに当接されており、軸部17が下方に進出すると
き、これと一体に絶縁板23を介して電極棒22が下降
するようになっている。
【0049】24は直流電源、25は電流計であり、こ
れら直流電源24及び電流計25を介装する通電コード
26の一端が上記電極棒22に接続され、他端が下側電
極台11に接続されている。また、27は電圧計で、こ
の電圧計27を介装するコード28の一端が電圧測定用
の一方の電極板6に接続され、他端が他方の電極板7に
接続されている。
【0050】上記導電率測定装置を用いて導電性粉体の
導電率を測定する場合は、導電率を測定すべき粉体の所
定量を収容部12に充填し、次いで回転式変位計13を
保持するホルダー18が取り付けられたアーム16を蝶
ねじ15を緩めて上下移動させ、上側電極板8を回転式
変位計13の基準面に取ることができる所用位置で蝶ね
じ15によりアーム16を固定する。
【0051】次いで、変位計13の操作部を操作し、軸
部17を下方に進出変位させる。これによって、この軸
部17の下方への進出変位と一体に絶縁板23を介して
電極棒22、上側電極台10、上側電極板8が押圧さ
れ、この押圧力により、ゴムシート3,4,5が押圧、
圧縮されて、上記軸部17の進出変位分だけ圧縮変位す
る。これと同時に収容部12内の粉体も、上側電極板8
からの押圧力を受け、上記軸部17の進出変位分(ゴム
シート3,4,5の圧縮変位分)だけ圧縮変位する。一
方、直流電源24より上側及び下側電極板8,9問に電
流を流し、収容部12内の粉体に通電し、その時の電流
値を計測すると共に、一対の電極板6,7間の電圧を測
定する。
【0052】電流を変化させ、その時々の電圧を測定
し、抵抗値を求める。回路の熱起電力に起因する誤差
は、電流の印加方向を逆転させて同様の測定を行い、平
均を取ることで除くことができる。
【0053】ここで、抵抗値は以下の式で算出される。 抵抗値(Ω)=電圧(V)/電流(A) 電圧測定用の一対の電極板6,7間の距離をx(c
m)、収容部12の断面積をy(cm2)とすると、導
電率は以下の式で算出される。 導電率(S/cm)=x/[抵抗値(Ω)×y]
【0054】この場合、上記距離x(cm)は変位計1
3の軸部17の進出変位量をX(cm)とすると、各電
極板6,7,8,9は圧縮変形せず、ゴムシート3,
4,5が特にそれぞれ互いに同一材質、同一厚さの場
合、同じ割合で圧縮変形するから、x=X/3で求めら
れる。
【0055】具体的には、電極ユニットは、金メッキし
た銅板(大きさ:2×5×厚さ0.1cm)及びその中
央に穴のあいたもの(穴の面積0.2cm2)を電極端
子として、絶縁ゴムとしてシリコーンゴム(信越化学工
業(株)製KE−951、大きさ:2×5×厚さ0.2
cm、電極と同じ穴を持つもの)を組み合わせて用い
た。変位計は、マイクロメータ(ミツトヨ製、最少読み
取り値0.001mm)を用いた。電流計付き電流源と
してSMU−257(ケースレ社製電流源)、電圧計と
して2000型ケースレ社製ナノボルトメータを用い
た。銀粉を導電率測定装置に充填し、導電性粉体測定装
置両末端の端子からSMU−257より−100mA〜
100mA流し、円筒の中央部に導電性粉体測定装置両
末端の端子から0.2cm離して設置した端子から、電
圧計で電圧降下を測定することで求めた。
【0056】粉体表面に残存する脂肪酸の有無 FT−IRによる拡散反射(Diffuse Refl
ectance)法により分析した(Nicolet
Instrument社製、Avatar360FT−
IR)。
【0057】凝集の形状、状態 凝集の形状や状態は、電子顕微鏡(SEM)とProf
ile Micrometer(Keyence社製)
を用いて調べた。
【0058】分散性の評価 低粘度のエポキシ樹脂の主剤8gと硬化剤2gを混合
し、ここへ銀粉12gを混合して良く分散させた。この
時の分散のし易さを調べた。その後、そのまま30℃で
真空脱泡した後、6〜8時間、30℃で静置して硬化さ
せ、その表面状態を調べた。その後、得られた硬化物を
垂直方向に切断し、切断面を顕微鏡で200倍に拡大し
て切断面に現われた銀の分散状態を調べた。下記評価基
準で評価した。 ◎:非常にスムーズに分散し、このペーストの塗膜は平
滑な表面を持っていた。 ○:混合初期に力を加えると分散し、塗膜は平滑な表面
を持っていた。 △:分散が均一になりにくく、塗膜表面にやや凹凸がみ
られた。 ×:均一な分散が困難で、塗膜表面にはっきりと凹凸が
みられた。
【0059】平均粒径 コールター(株)社製、コールターマルチガイザーによ
り測定した。
【0060】凝集体の平均粒子径 拡大写真(倍率300倍)の中の凝集銀粉体の直径を測
定しその平均により求めた。
【0061】タップ密度 ホソカワミクロン社製、パウダーテスターにより測定し
た。
【0062】[調製例1] 銀粉の製造 硝酸銀(試薬特級)340gに対して純水700mlを
添加し、ついで25%のアンモニア水700mlを添加
し、銀錯体水溶液を調製した。一方、ヒドロキノン(試
薬特級)111gと、無水亜硫酸カリウム(試薬特級)
と純水12.6Lとを配合して還元水溶液を調合した。
【0063】ビーカーに還元水溶液を入れ、激しく撹拌
しながら上記銀錯体水溶液を添加した。このとき反応中
は混合液の温度を25℃に一定に保った。添加終了後十
分撹拌して還元析出を完了させた後に、析出した銀粉を
濾過・分離し、水洗後、乾燥し、還元銀粉(銀粉A)を
得た。この銀粉Aの物性を測定したところ、形状は球状
で、タップ密度=4.44g/cc、BET比表面積=
0.83m2/gであった。導電性の評価は、図1に示
す導電率測定装置で上記の方法で行った。銀粉を測定装
置に充填したところ、充填が困難で、電気抵抗率は3.
2mΩ・cm(3.2×10-5Ω・m)と、滑剤を含ま
ないにもかかわらず高い値であった。その他物性値(ア
スペクト比、平均粒径、タップ密度、粒度分布、BET
表面積、電気抵抗率、真密度、銀含有量、滑剤含有量)
について表1に示す。
【0064】[調製例2] 扁平銀粉の製造 銀粉A988gに、ステアリン酸を12g配合し、直径
が2mmのジルコニアボールと共にボールミルで30分
間回転させ、扁平化処理し、銀粉Bを得た。物性と粒度
分布を併せて表1に示す。また、粉体表面に残存する脂
肪酸の有無の評価として、FT−IRによる拡散反射
(Diffuse Reflectance)法による
分析結果(Nicolet Instrument社
製、Avatar360FT−IR)を図2に示す。
尚、チャート上に、脂肪酸の存在を示す吸収帯を丸枠で
示す。図3、4に銀粉Bの顕微鏡写真を示す。なお、図
3は倍率300倍、図4は倍率3000倍である。
【0065】
【表1】
【0066】[実施例1]銀粉B100gを0.5Lの回
転タンクに入れ、イソプロピルアルコール150gを加
え、1時間回転させ、分散した。塩基性化合物としてナ
トリウムメトキサイドの28%メタノール溶液(以下S
M−28と略記する。)1.5gに10gのイソプロピ
ルアルコールを加えたものを上記分散液にすばやく加え
て激しく混合したところ、銀粉表面の滑剤が遊離すると
同時に凝集が起こり、約30秒後に混合液全体が凝集・
固化した。この後、回転タンクを30分間回転撹拌し、
反応を完結し、凝集銀粉を得た。
【0067】得られた凝集銀粉を、濾過により溶媒と分
離した後、アセトンで十分に洗浄し、ナトリウムメトキ
サイドや滑剤を除いた後、5mmHgの減圧下に55℃
で減圧乾燥させた。この粉末は、タップ密度が0.74
g/ccと非常に小さな値となり、拡大写真の撮影によ
り、塊状の大きさのそろった凝集が起っていることがわ
かった。
【0068】この銀粉を導電率測定装置に充填したとこ
ろ、スムーズに充填でき、電気抵抗率は0.57mΩ・
cm(5.7×10-6Ω・m)と原料よりもかなり低い
値であった。導電ペースト調製時の分散は容易で、この
ペーストを用いて薄層の塗膜を形成させたところ、平滑
な表面を持つ塗膜が得られ、硬化物の断面では均一な銀
層が観察された。
【0069】得られた銀粉のSEM写真(倍率500
倍)を図5に、拡大写真(倍率300倍)を図6に、凝
集銀粉を2枚のガラス板にはさんで圧力をかけ、一次粒
子に戻した状態の拡大写真(倍率300倍)を図7に示
す。
【0070】粉体表面に残存する脂肪酸の有無を、FT
−IRにより分析したところ、銀粉からは脂肪酸は除去
されていた。FT−IRのチャートを図2に示す。
【0071】脂肪酸の有無、凝集の有無、凝集体の形
態、凝集体の平均粒径、タップ密度、導電率、分散性に
ついて表2に示す。なお、分散性については、前述した
方法で行った。
【0072】[実施例2〜5]SM−28の量と溶剤の
種類と量を表2に示すように変えて、実施例1と全く同
様の操作を行った。この粉末は、塊状の大きさのそろっ
た凝集が起っていた。銀粉を導電率測定装置に充填した
ところ、スムーズに充填できた。タップ密度ならびに電
気抵抗率を表2に併記した。いずれもタップ密度1.5
g/cc以下、電気抵抗率0.7mΩ・cm(7×10
-6Ω・m)以下で良好な値を示していた。導電ペースト
調製時の分散は容易で、このペーストを用いて薄層の塗
膜を形成させたところ、平滑な表面を持つ塗膜が得ら
れ、硬化物の断面にも均一な銀層が観察された。実施例
1と同様の評価をおこなった結果を表2に示す。
【0073】[比較例1]SM−28を使用しない以外
は、実施例1と全く同様の操作を行った。この粉末は、
わずかに不ぞろいの凝集が起こり、タップ密度も2.8
g/ccと高い値を示していた。銀粉を導電率測定装置
に充填したところ、充填時に凝集が不均一に起こるため
充填に時間がかかり、電気抵抗率は2.4mΩ・cm
(2.4×10-5Ω・m)と高い値であった。導電ペー
スト調製時の分散は困難で均一になりにくく、このペー
ストを用いて薄層の塗膜を形成させたところ、凸凹な表
面を持つ塗膜が得られ、硬化物の断面にも不均一な銀層
が観察された。粉体表面に残存する脂肪酸の有無を、F
T−IRにより分析したところ、原料の銀粉Bと同様の
脂肪酸の存在が確認された。最終的に最初使用した量の
10倍量までIPAを用いて洗浄したが、やはりIRで
脂肪酸が検出された。FT−IRのチャートを図2に示
す。実施例1と同様の評価をおこなった結果を表2に示
す。
【0074】[比較例2]銀粉Bのかわりに銀粉Aを使
用すること以外は、実施例1と全く同様の操作を行っ
た。この粉末は、凝集は全く起こらず、タップ密度も
4.4g/ccと非常に高い値を示したままであった。
この銀粉を導電率測定装置に充填したところ、充填時に
凝集が不均一に起こるため充填に時間がかかり、電気抵
抗率は3.0mΩ・cm(3.0×10-5Ω・m)と高
い値であった。導電ペースト調製時の分散は困難で均一
になりにくく、このペーストを用いて薄層の塗膜を形成
させたところ、凸凹な表面を持つ塗膜が得られ、硬化物
の断面にも不均一な銀層が観察された。実施例1と同様
の評価をおこなった結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、優れた加工性と高分散
性の塊状凝集構造を有する金属粉が得られ、この金属粉
を用いることにより、微細な電気回路形成用に使用でき
る高導電性のペーストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銀粉の導電率測定装置を示す概略図である。
【図2】銀粉のFT−IRのチャート図である。
【図3】本発明に係る銀粉Bの拡大写真(倍率300
倍)である。
【図4】本発明に係る銀粉BのSEM写真(倍率300
0倍)である。
【図5】本発明に係る実施例1の凝集銀粉のSEM写真
(倍率500倍)である。
【図6】本発明に係る実施例1の凝集銀粉の拡大写真
(倍率300倍)である。
【図7】本発明に係る実施例1の凝集銀粉の一次粒子に
戻した状態の拡大写真(倍率200倍)である。
【符号の説明】
2 四端子用電極ユニット 3 上側電気絶縁性ゴムシート 4 中央電気絶縁性ゴムシート 5 下側電気絶縁性ゴムシート 6 電圧測定用電極 7 電圧測定用電極 8 電極板 9 電極板 13 変位計 19 固定冶具 22 電極棒 23 絶縁板 24 電流源 25 電流計 27 電圧計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J037 AA04 AA06 CA10 CA11 CB04 CB09 CB10 CB16 CB17 CC03 CC12 DD05 DD06 DD10 DD11 DD13 DD23 EE02 EE28 EE33 FF11 FF15 4K018 AA02 BA01 BB01 BB04 BC09 BD04 KA33 5G301 DA03 DD01 DE03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次粒子が扁平状であり、凝集粒子のタ
    ップ密度が1.5g/cc以下であり、内部に空隙を有
    する塊状凝集構造を有することを特徴とする高分散性の
    金属粉。
  2. 【請求項2】 真密度−タップ密度≧7.3g/ccで
    ある請求項1記載の金属粉。
  3. 【請求項3】 一次粒子が平均粒径0.01〜10μm
    であり、凝集粒子の平均粒径が10μmを超え1000
    μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    金属粉。
  4. 【請求項4】 金属粉が銀粉及び/又は銀合金粉からな
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の金属粉。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の金属
    粉を含有する導電ペースト。
  6. 【請求項6】 扁平状の一次粒子からなり、かつ滑剤で
    表面処理された金属粉を分散させた溶剤と、塩基性化合
    物を含む溶剤とを混合することにより、滑剤を除去する
    と共に、上記金属粉を凝集させることを特徴とする請求
    項1記載の金属粉の製造方法。
  7. 【請求項7】 塩基性化合物が、アルカリ金属、アルカ
    リ土類金属の水酸化化合物、アルコキサイドからなる群
    から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする
    請求項6記載の金属粉の製造方法。
JP2002073990A 2002-03-18 2002-03-18 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト Expired - Fee Related JP3687745B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002073990A JP3687745B2 (ja) 2002-03-18 2002-03-18 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002073990A JP3687745B2 (ja) 2002-03-18 2002-03-18 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003268402A true JP2003268402A (ja) 2003-09-25
JP3687745B2 JP3687745B2 (ja) 2005-08-24

Family

ID=29203507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002073990A Expired - Fee Related JP3687745B2 (ja) 2002-03-18 2002-03-18 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3687745B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004027087A (ja) * 2002-06-27 2004-01-29 Shin Etsu Chem Co Ltd 導電性シリコーンゴム組成物及び導電性部材
WO2004066316A1 (ja) * 2003-01-23 2004-08-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 導電性ペースト及びその製造方法並びにその導電性ペーストを用いた回路基板及びその製造方法
WO2005090487A1 (ja) * 2004-03-24 2005-09-29 Toyo Aluminium Kabushiki Kaisha メタリック顔料組成物ならびにこれを用いたuvメタリックインク組成物またはuvメタリック塗料組成物
JP2006004905A (ja) * 2004-03-10 2006-01-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペーストおよびこれを用いたセラミック電子部品
WO2006033305A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 黒色材料、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜、並びに黒色遮光膜付き基材
WO2006033304A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 黒色材料、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜、並びに黒色遮光膜付き基材
JP2006089771A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 黒色材料
US7345105B2 (en) 2002-12-20 2008-03-18 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Conductive adhesive composition
JP2010135140A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Fukuda Metal Foil & Powder Co Ltd 導電塗料用の片状金属微粉末及びその製造方法
KR101067617B1 (ko) * 2003-10-15 2011-09-27 스미토모덴키고교가부시키가이샤 과립형상의 금속분말
CN101031621B (zh) * 2004-09-21 2012-05-30 住友大阪水泥股份有限公司 黑色材料、黑色微粒分散液和使用了它的黑色遮光膜以及带有黑色遮光膜的基材
JP2016138300A (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 住友金属鉱山株式会社 銅粉、及びそれを用いた銅ペースト、導電性塗料、導電性シート

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004027087A (ja) * 2002-06-27 2004-01-29 Shin Etsu Chem Co Ltd 導電性シリコーンゴム組成物及び導電性部材
US7345105B2 (en) 2002-12-20 2008-03-18 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Conductive adhesive composition
WO2004066316A1 (ja) * 2003-01-23 2004-08-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 導電性ペースト及びその製造方法並びにその導電性ペーストを用いた回路基板及びその製造方法
KR101067617B1 (ko) * 2003-10-15 2011-09-27 스미토모덴키고교가부시키가이샤 과립형상의 금속분말
JP2006004905A (ja) * 2004-03-10 2006-01-05 Murata Mfg Co Ltd 導電性ペーストおよびこれを用いたセラミック電子部品
KR100734192B1 (ko) * 2004-03-24 2007-07-02 도요 알루미늄 가부시키가이샤 메탈릭 안료 조성물 그리고 이것을 사용한 uv 메탈릭잉크 조성물 또는 uv 메탈릭 도료 조성물
US7837777B2 (en) 2004-03-24 2010-11-23 Toyo Aluminium Kabushiki Kaisha Metallic pigment composition and UV metallic ink composition or UV metallic coating composition using the same
WO2005090487A1 (ja) * 2004-03-24 2005-09-29 Toyo Aluminium Kabushiki Kaisha メタリック顔料組成物ならびにこれを用いたuvメタリックインク組成物またはuvメタリック塗料組成物
WO2006033305A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 黒色材料、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜、並びに黒色遮光膜付き基材
WO2006033304A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 黒色材料、黒色微粒子分散液とそれを用いた黒色遮光膜、並びに黒色遮光膜付き基材
JP2006089771A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 黒色材料
CN101928467A (zh) * 2004-09-21 2010-12-29 住友大阪水泥股份有限公司 黑色材料、黑色微粒分散液和使用了它的黑色遮光膜以及带有黑色遮光膜的基材
CN101031621B (zh) * 2004-09-21 2012-05-30 住友大阪水泥股份有限公司 黑色材料、黑色微粒分散液和使用了它的黑色遮光膜以及带有黑色遮光膜的基材
CN101914316B (zh) * 2004-09-21 2013-03-27 住友大阪水泥股份有限公司 黑色材料、黑色微粒分散液和使用了它的黑色遮光膜以及带有黑色遮光膜的基材
JP2010135140A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Fukuda Metal Foil & Powder Co Ltd 導電塗料用の片状金属微粉末及びその製造方法
JP2016138300A (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 住友金属鉱山株式会社 銅粉、及びそれを用いた銅ペースト、導電性塗料、導電性シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP3687745B2 (ja) 2005-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3508286B1 (en) Silver-coated alloy powder, electrically conductive paste, electronic part, and electric device
JP3991218B2 (ja) 導電性接着剤及びその製造方法
JP2016145422A (ja) 銀被覆銅合金粉末およびその製造方法
JP3687745B2 (ja) 高分散性の金属粉、その製造方法及び該金属粉を含有する導電ペースト
KR20100096111A (ko) 도전성 페이스트용 구리분말 및 도전성 페이스트
JP6186197B2 (ja) 銀被覆銅合金粉末およびその製造方法
JP2020033610A (ja) 銀被覆金属粉末の洗浄方法、銀被覆金属粉末の製造方法、銀被覆銅粉末、銀被覆銅合金粉末、導電性ペースト及び導電膜の製造方法、電子部品、及び電気装置
JPWO2012077548A1 (ja) 導電ペーストおよびこれを用いた導電膜付き基材、ならびに導電膜付き基材の製造方法
JP6970609B2 (ja) 銀被覆合金粉末及びその製造方法、導電性ペースト及びその製造方法、電子部品、並びに電子機器
JP3879749B2 (ja) 導電粉及びその製造方法
JP6194166B2 (ja) 銀被覆銅合金粉末の製造方法
JP6258616B2 (ja) 銀被覆銅合金粉末およびその製造方法
JP4881013B2 (ja) 導電性粉末、導電性ペーストおよび電気回路
JP2020196928A (ja) 銀被覆合金粉末、合金粉末、金属粉末の製造方法、銀被覆金属粉末の製造方法、導電性ペースト、及び導電性ペーストの製造方法
JP2019031735A (ja) 表面処理銀被覆合金粉末、該粉末の製造方法、導電性ペースト、電子部品及び電気装置
JP6490856B1 (ja) 表面被覆金属微粒子及びその分散溶液
JP5711435B2 (ja) 銅粉
JP2006131978A (ja) 球状NiP微小粒子およびその製造方法ならびに、異方性導電フィルム用導電粒子
US11270810B2 (en) Electrically conductive paste
WO2021260960A1 (ja) 導電性ペースト、積層体、及びCu基板又はCu電極と導電体との接合方法
JP2017201062A (ja) 銀被覆銅合金粉末の製造方法
JP6001796B2 (ja) 銅粉、その製造方法、及びそれを含む導電性組成物
JP3952004B2 (ja) 導電ペースト
JP2017082259A (ja) 溶剤付金属粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050518

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050531

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110617

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110617

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees