JP2003252895A - 味質改善された羅漢果配糖体およびその製造方法 - Google Patents

味質改善された羅漢果配糖体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショ糖よりもエネルギーを実質的に抑制し得
る高甘味度甘味料であって、ショ糖にきわめて近い甘味
質を有し、安全性が高く、かつ従来の甘味料と比較して
生理的および物理的特性に遜色のない高甘味度甘味料を
提供すること。 【解決手段】 羅漢果配糖体に1個以上のグルコース残
基がα結合している、高度グリコシル化化合物、ならび
に高度グリコシル化化合物の製造方法であって、該方法
は、羅漢果配糖体を、α−グルカンおよび糖転移酵素と
接触させて、高度グリコシル化化合物を得る工程を包含
する、方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、羅漢果配糖体に1
個以上のグルコース残基が結合している高度グリコシル
化化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、消費者の低甘味嗜好の高ま
り、エネルギーの摂り過ぎ(特に、ショ糖の摂り過ぎ)
による健康面への懸念に対する認識などの要因により、
「砂糖控えめ」、「砂糖無添加」などを表記した食品が
数多く上市されるようになってきた。
【0003】実際、わが国の食糧事情は「飽食の時代」
を反映し、エネルギーの過剰摂取が日常化している。高
エネルギーの摂取および脂質エネルギー比率の増加は、
生活習慣病の発生の原因になることが明確にされてい
る。
【0004】したがって、エネルギー摂取を制限されて
いる人(例えば、肥満症患者および糖尿病患者)、ダイ
エットを要求される人などは、自らが疾病に罹るのを予
防するため、自らの疾病を改善するため、または健康管
理をするために、ショ糖および脂質の摂りすぎを抑え
て、生活スタイルを改善して健康的な生活を取り戻すこ
とが重要であるといわれている。
【0005】これらのことからショ糖に代わる甘味料、
なかでもショ糖と比較してエネルギーを実質的に抑制し
得る高甘味度甘味料の開発が要求されてきた。
【0006】以下、本明細書中では、このように、ショ
糖よりも実質的にエネルギーが低い甘味料組成物をエネ
ルギー抑制甘味料という。ここで「エネルギー」とは、
人間がある物質を一定量(例えば、100グラム)飲食
した場合に体内に吸収されかつ代謝により生体内に放出
される熱量をいう。
【0007】しかし、エネルギー抑制甘味料には様々な
問題がある。最も大きな問題は甘味質の問題である。人
間はショ糖の甘味質に極めて慣れ親しんでいるため、シ
ョ糖と少しでも異なる甘味質を有する甘味料には違和感
を感じやすいからである。以下に従来の各種の高甘味度
甘味料について具体的に説明する。
【0008】高甘味度甘味料は、ショ糖の数百倍もの甘
味強度を有する。高甘味度甘味料は、一般的に人工甘味
料(合成甘味料ともいう)と天然甘味料とに分類するこ
とができる。人工の高甘味度甘味料としては、サッカリ
ン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカ
リウムなどを挙げることができる。
【0009】サッカリンは古くから使用されている人工
甘味料である。しかし、発癌性の疑いが持たれているの
で、現在、国内では使用対象品目が制限され、使用基準
量にも制限が設けられている。
【0010】アスパルテームは、1981年米国FDA
によって認可された人工甘味料であるが、認可を受ける
まで、神経伝達系統に障害を生じる点に対して、激しい
論争がなされてきた。さらに、アスパルテームは、加熱
分解されるので、安定性に対する欠点も指摘されてい
る。
【0011】スクラロース、アセスルファムカリウムな
どの人工の高甘味度甘味料は、現時点において、安全性
に対して議論の対象にはなっていないが、甘味質が十分
とはいえない。たとえば、スクラロースの甘味発現時間
は著しく長く、いつまでも甘味質が後引きすることが知
られている。対照的に、アセスルファムカリウムの口腔
内での甘味発現時間はきわめて短いために、甘味剤とし
て単独で利用できない。またアセスルファムカリウムに
は苦みを有するという大きな欠点もある。
【0012】このように、人工の高甘味度甘味料には、
甘味質がショ糖と比べて不十分であるだけでなく、絶え
ず安全性に対する評価をめぐる議論がつきまとう。
【0013】一方、天然の高甘味度甘味料としては、甘
草抽出物、ステビア抽出物、羅漢果抽出物などがある。
これらの天然甘味料は植物由来であり、人体に対して安
全性が高い。
【0014】甘草は豆科に属する多年生植物であり、そ
の甘味成分であるグリチルリチンは甘草の根茎中に含有
されている。しかし、その甘味質はショ糖を代表とする
糖類の甘味質とは異なり、甘味がいつまでも残留し、多
量に使用すると苦みを感じたり、頬の両壁に収斂味を感
じることがある。
【0015】ステビアはキク科の多年生植物であり、そ
の甘味成分はステビオサイド、レバウディオサイドなど
である。ステビアの甘味成分のなかでもステビオサイド
は、強い苦みおよび渋味を有し、その甘味は著しい後引
きがある。
【0016】天然の高甘味度甘味料のなかでも特に羅漢
果エキスは、羅漢果の乾燥果実から得られ、強い甘味質
を有する薬用の甘味料として知られている。羅漢果は、
中国桂林周辺の特産品の一つであるウリ科の多年生薬用
植物である。羅漢果エキスは、もともと古代より中国で
の甘味料および民間薬として広く利用されている。羅漢
果エキスの薬効としては、のどの荒れの改善、痛みの緩
和、咳止め、去痰などが知られている。羅漢果エキス
は、甘味と同時に人に対して有益な効果が期待できるこ
とから、菓子類、飲料類、シロップなどの甘味成分とし
て用いることが提案されてきた(特開昭53−9352
号公報および特開昭53−9359号公報)。具体的に
は、例えば、飲料用に、羅漢果エキスをペースト状にま
で濃縮した羅漢果ペーストエキスを希釈して利用するこ
とが行われている。これは、羅漢果エキスを濃縮せずに
用いる場合には羅漢果エキスの貯蔵運搬にコストがかか
るため、および羅漢果エキスに微生物が発生し易く、羅
漢果エキスの品質が低下し易いためである。
【0017】しかし、羅漢果エキスは以下の欠点を有し
ている。つまり、黒砂糖などの焦げ味に似た羅漢果特有
の焦げ味、独特の匂い、苦み、甘みの残留性などがある
ため、飲食の際に非常に不快感を伴う。さらに、羅漢果
エキスの添加により飲食物が黄褐色に呈色するために食
品への利用には適さない場合が多い。
【0018】このように、天然の高甘味度甘味料は安全
性が高いが、反面、ショ糖の代替品として単独で用いら
れる甘味料としては甘味質が不十分である。
【0019】一方、羅漢果エキスの味質改善について
は、羅漢果エキス中に含有される甘味成分だけを分画、
精製および粉末乾燥させた羅漢果配糖体とエリスリトー
ルとを含有するシロップは、従来の羅漢果エキスの有す
る独特の焦味、匂い、苦み、甘さの残留性が弱く、良好
な甘味質を呈することから、低カロリーシロップとして
好適であることが記載されている(特開平11−467
01号公報;特許第3110005号)。
【0020】さらに、羅漢果配糖体の甘味成分としてモ
グロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モグ
ロサイドVおよびシアメノサイドIの合計含有量が33
重量%以上である組成物の甘味質は、ショ糖の甘味質に
近くなるとの報告もある(特開2001−211854
号公報)。
【0021】しかし、これらの甘味料は、高純度の羅漢
果配糖体といえども、ショ糖の甘味質と比較した場合、
「苦み、後引き、しつこさ、くせ、渋味およびすっきり
感」のいずれかの項目においてショ糖と同等ではなく、
ショ糖の代替品として用いられる甘味料として不十分で
ある。そのため、これらの甘味料の消費規模および利用
用途をさらに拡大させるためには、これらの甘味料の甘
味質の改善および改良が望まれていた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ショ糖よりもエネルギ
ーを実質的に抑制し得る高甘味度甘味料であって、ショ
糖にきわめて近い甘味質を有し、安全性が高く、かつ従
来の甘味料と比較して生理的および物理的特性に遜色の
ない高甘味度甘味料を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、羅漢果配糖体
にさらに糖残基を付加させることによって、従来の羅漢
果配糖体より、「苦み、後引き、しつこさ、くせ、渋味
およびすっきり感」の味質項目において改善され、いず
れの評価に対しても、ショ糖にきわめて近い甘味質を有
し、さらに一般の甘味料と比較して生理的特性および物
理的特性について遜色のない新規な高甘味度甘味料が得
られることを見出し、これに基づいて本発明を完成し
た。
【0024】さらに、本発明者らは、シクロデキストリ
ン合成酵素(EC 2.4.1.19;シクロデキスト
リン・グルカノトランスフェラーゼまたはシクロマルト
デキストリン・グルカノトランスフェラーゼとも呼ばれ
る;以下、「CGTase」と略す)を反応に用いるこ
とにより、羅漢果配糖体に1個以上のグルコース残基が
α結合している、高度グリコシル化化合物(本明細書中
では、「グリコシル化羅漢果配糖体」ともいう)が、非
常に効率的でかつ安価に製造できることを見い出した。
【0025】本発明の高度グリコシル化化合物は、羅漢
果配糖体に1個以上のグルコース残基がα結合してい
る。
【0026】1つの実施形態では、上記グルコース残基
の数は、1〜45個であり得る。
【0027】1つの実施形態では、上記グルコース残基
の数は、1〜15個であり得る。
【0028】1つの実施形態では、上記高度グリコシル
化化合物は、以下からなる群より選択され得る:
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】 1つの実施形態では、上記高度グリコシル化化合物にお
いて、モグロサイドVに1個以上のグルコース残基がα
結合していてもよい。
【0038】本発明の食品用組成物は、上記の高度グリ
コシル化化合物を含有する。
【0039】本発明の甘味料は、上記の高度グリコシル
化化合物を含有する。
【0040】本発明の医薬品用組成物は、上記の高度グ
リコシル化化合物を含有する。
【0041】本発明の医薬部外品用組成物は、上記の高
度グリコシル化化合物を含有する。
【0042】本発明の化粧品用組成物は、上記の高度グ
リコシル化化合物を含有する。
【0043】本発明の高度グリコシル化化合物の製造方
法は、羅漢果配糖体を、α−グルカンおよび糖転移酵素
と接触させて、高度グリコシル化化合物を得る工程を包
含する。
【0044】1つの実施形態では、上記糖転移酵素は、
シクロデキストリン合成酵素であり得る。
【0045】1つの実施形態では、上記羅漢果配糖体
は、モグロサイドVであり得る。
【0046】本発明の高度グリコシル化化合物は、上記
の方法によって得られる。
【0047】本発明の、羅漢果配糖体に1〜4個のグル
コース残基がα結合している高度グリコシル化化合物の
製造方法は、羅漢果配糖体を、α−グルカンおよび糖転
移酵素と接触させて、羅漢果配糖体に5個以上のグルコ
ース残基がα結合している高度グリコシル化化合物を得
る工程、および該羅漢果配糖体に5個以上のグルコース
残基がα結合している高度グリコシル化化合物に糖質分
解酵素を接触させて、羅漢果配糖体に1〜4個のグルコ
ース残基がα結合している高度グリコシル化化合物を得
る工程を包含する。
【0048】1つの実施形態では、上記糖質分解酵素
は、グルコアミラーゼ、β−アミラーゼおよびα−アミ
ラーゼからなる群より選択され得る。
【0049】1つの実施形態では、上記羅漢果配糖体
は、モグロサイドVであり得る。
【0050】本発明の、1〜4個のグルコース残基がα
結合した高度グリコシル化化合物は、上記の方法によっ
て得られる。
【0051】本発明の、羅漢果配糖体を含む甘味料の味
質改善方法は、該甘味料を、α−グルカンおよび糖転移
酵素と接触させる工程を包含する。
【0052】本発明の味質の改善された甘味料は、上記
の方法によって得られる。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0054】<高度グリコシル化化合物>本発明の高度
グリコシル化化合物は一般に、羅漢果配糖体に1個以上
のグルコース残基がα結合している。
【0055】本明細書中で「高度グリコシル化化合物」
とは、以下の化学構造1の構造を有する化合物をいう: (化学構造1)
【0056】
【化19】 ここで、R1は、−Glc−Glc−(Glc)nであ
って、nが1個以上の整数であるか、またはR2は、−
Glc−Glc−(Glc)mであって、mが1個以上
の整数であるか、またはR2は、
【0057】
【化20】 であってh+kが1個以上の整数であり、R3aは−OH
であってR3bは−Hであるか、またはR3aとR3bとが一
緒になって=Oであり、そしてGlcはグルコース残基
を示す。
【0058】なお、ここで、O原子とR1との間の結
合、O原子とR2との間の結合、R1の1個目のグルコー
ス残基と2個目のグルコース残基との間の結合、ならび
にR2に分岐がある場合のR2中の1個目のグルコース残
基と分岐したグルコース残基との間の結合はβ結合であ
る。その他のグルコース残基間の結合はα結合である。
本明細書中で特に言及しない場合も、これらの結合の関
係は保たれる。
【0059】本明細書中で「羅漢果配糖体」とは、羅漢
果に含まれる任意の配糖体をいい、モグロサイドV、モ
グロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV、シア
メノサイドIなどの高甘味度を有する配糖体を包含す
る。好ましくは、モグロサイドVである。一般的には、
モグロサイドVを主成分とし、モグロサイドIV、シア
メノサイドIおよび11−オキソ−モグロサイドVが少
量混合された混合物が容易に入手でき、本発明に利用可
能である。
【0060】羅漢果配糖体には、羅漢果配糖体化合物以
外の、羅漢果由来の成分(例えば、アグリコンおよび
水)が混合されていても、本発明の化合物の製造には差
し支えない。本明細書において「配糖体」との用語は配
糖体の混合物をも包含する。羅漢果配糖体は、羅漢果果
実の甘味の主な原因である。羅漢果配糖体は、羅漢果果
実中に数種類含まれるが、その中でも主に含有量が多い
のは、以下の化学構造2に示す構造を有する4種の配糖
体である(竹本、在原、中島、奥平、薬学雑誌103:
1151−1154(1983);竹本、在原、中島、
奥平、薬学雑誌103:1155−1166(198
3);K.Matsumoto,R.Kasai,K.
OhtaniおよびO.Tanaka,Chem.Ph
arm.Bull.,38:2030−2032(19
90);ならびにR.Kasai,R.−L.Nie,
K.Nashi,G.−D.TaoおよびO.Tana
ka,Agric.Biol.Chem.,53:33
47−3349(1987))。
【0061】例えば、モグロサイドVでは、下記の化学
構造2で示される骨格に対してR1に2個およびR2に3
個の合計5個のグルコース残基が結合した構造を有する
か、これにさらに1個以上のグルコース残基が結合した
化合物、すなわち、R1およびR2に合計6個以上のグル
コースが結合した化合物を高度グリコシル化化合物とい
う。
【0062】(化学構造2)
【0063】
【化21】 通常の羅漢果から得られる羅漢果配糖体混合物のうち、
最も含有量が多いのは、モグロサイドVと呼ばれる配糖
体であり、その甘味強度は、ショ糖の約300倍であ
る。モグロサイドV以外の羅漢果配糖体も、高い甘味強
度を有する。
【0064】羅漢果配糖体に結合した糖残基は、羅漢果
配糖体に結合し得る任意の糖残基である。このような糖
残基の例としては、グルコシル基、フルクトシル基、ガ
ラクトシル基、マンノシル基、キシロシル基、アラビノ
シル基、N−アセチルグルコサミニル基、N−アセチル
ガラクトサミニル基、グルコサミニル基、ガラクトサミ
ニル基、グルクロニル基、ガラクツロニル基、ラムノシ
ル基などが挙げられる。糖残基は好ましくは、グルコシ
ル基である。
【0065】羅漢果配糖体と糖残基との間の結合は、α
結合であってもβ結合であってもよいが、好ましくはα
結合であり、より好ましくはα−1,4結合である。
【0066】糖残基は、上記の化学構造1のR1のβ−
D−グルコピラノシル末端またはR2のβ−D−グルコ
ピラノシル末端で羅漢果配糖体に結合している。複数の
糖残基が結合している場合、これらの糖残基はR1また
はR2のいずれか一方にのみ結合していてもよいし、R1
およびR2の両方に分かれて結合していてもよい。R2
2つのβ−D−グルコピラノシル末端がある場合、それ
らの一方に結合していてもよく、両方に結合していても
よい。
【0067】羅漢果配糖体に結合している糖残基の数
は、R1およびR2に結合した糖残基の合計として、任意
の数であり得るが、代表的には1〜45個であり、好ま
しくは1〜20個であり、より好ましくは1〜15個で
あり、より好ましくは1〜12個であり、さらにより好
ましくは1〜4個である。代表的には、R1およびR2
それぞれの位置で結合する糖残基の数はそれぞれ、1〜
15個であり、好ましくは1〜5個であり、より好まし
くは1〜4個である。R2に2つのβ−D−グルコピラ
ノシル末端がある場合は、第1のβ−D−グルコピラノ
シル末端に結合する数として好ましくは1〜15個、よ
り好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個であ
り、第2のβ−D−グルコピラノシル末端に結合する数
としては好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜5
個、さらに好ましくは1〜4個である。羅漢果配糖体に
結合した糖残基の数が多すぎると、得られる高度グリコ
シル化化合物の甘味強度がやや低下する傾向がある。羅
漢果配糖体に結合した糖残基の数が1〜4個の範囲にあ
る場合、実質的にほぼ羅漢果配糖体と同程度の甘味強度
が得られ、かつ羅漢果配糖体よりも甘味質が向上するの
で、非常に好ましい。
【0068】本発明の、羅漢果配糖体に1個以上のグル
コース残基がα結合している高度グリコシル化化合物は
一般的に、以下の「化学構造3」によって表される。
【0069】(化学構造3)
【0070】
【化22】 これらの高度グリコシル化化合物のうち、羅漢果配糖体
に1〜4個のグルコース残基がα結合している高度グリ
コシル化化合物(本明細書では、以下、「部分分解グリ
コシル化羅漢果配糖体」ともいう)は一般的に、以下の
「化学構造4」によって表される。
【0071】(化学構造4)
【0072】
【化23】 本発明の高度グリコシル化化合物は好ましくは、上記の
化合物番号1〜34からなる群より選択される構造を有
する。
【0073】本発明の高度グリコシル化化合物の中の羅
漢果配糖体部分は、任意の羅漢果配糖体に由来し得る
が、好ましくは、モグロサイドVに由来する。
【0074】本発明の高度グリコシル化化合物は、1種
類の化合物のみからなる純粋なものであってもよいし、
複数種の高度グリコシル化化合物の混合物であってもよ
い。
【0075】<高度グリコシル化化合物の原料>本発明
の高度グリコシル化化合物の原料としては、羅漢果配糖
体、糖供与体基質、糖転移酵素および糖質分解酵素が挙
げられる。
【0076】羅漢果配糖体は、純粋な羅漢果配糖体化合
物または羅漢果配糖体混合物として提供されてもよい
し、羅漢果配糖体化合物以外の物質を含む、それほど純
粋でない羅漢果配糖体含有組成物として提供されてもよ
い。羅漢果配糖体は、1種類の羅漢果配糖体化合物(例
えば、モグロサイドV)のみからなってもよいし、複数
種の羅漢果配糖体化合物の混合物(例えば、モグロサイ
ドV、モグロサイドIV、シアメノサイドI、11−オ
キソ−モグロサイドVの混合物)であってもよい。
【0077】羅漢果配糖体含有組成物は、羅漢果配糖体
を含有するのであれば、いかなる純度のものでも用い得
るが、代表的には、複数種の羅漢果配糖体の合計とし、
羅漢果配糖体含有組成物の重量を基準にして、羅漢果配
糖体を約5重量%以上、好ましくは約10重量%以上、
より好ましくは約15重量%以上、より好ましくは約2
0重量%以上、より好ましくは約30重量%以上、より
好ましくは約40重量%以上、より好ましくは約50重
量%以上含有する。羅漢果配糖体の含有量が少なすぎる
と、得られる本発明の高度グリコシル化化合物の量が少
なすぎる場合がある。羅漢果配糖体は純品であってもよ
いが、純品を用いるとコストが高くなりすぎる場合があ
る。
【0078】羅漢果配糖体含有組成物の例としては、羅
漢果の粗エキス、部分精製物、各配糖体成分の精製物な
どが挙げられる。羅漢果配糖体は、一般には黄色〜黄褐
色粉末の形状である。粗エキス中に含まれている果糖は
本発明で用いられる糖転移酵素の受容体基質とはなり得
ないので、羅漢果配糖体含有組成物中に高濃度で含有さ
れていても全く問題ない。羅漢果配糖体含有組成物は、
市販のものを利用してもよいし、製造してもよい。羅漢
果配糖体含有組成物は、当業者に公知の抽出方法および
分離方法を用いて製造され得る。
【0079】羅漢果配糖体は、例えば、羅漢果の果実を
洗浄し、粉砕した後、水で抽出して得られた抽出液につ
いて濾過、カラム吸収、カラム分離、回収、濃縮、乾燥
などの工程を行なうことにより製造される。羅漢果配糖
体は、日本国内で市販品として入手可能である。羅漢果
配糖体含有組成物は、例えば、以下の方法により製造さ
れ得る。羅漢果の果実をメタノール抽出してメタノール
エキスを得る。メタノールエキスを水と混合し、n−ヘ
キサンで脱脂する。脱脂後のメタノールエキスをカラム
クロマトグラフィーにかけて水100%、80%メタノ
ール、100%メタノール、およびアセトンで順次溶出
し、粗配糖体画分である80%メタノール画分を得る。
得られた粗配糖体画分をメタノールに溶解した後、シリ
カゲルと混合し、乾燥し、次いでこのシリカゲルをクロ
ロホルム−メタノールの混合溶媒で溶出することによ
り、配糖体画分を得る。得られた配糖体画分を羅漢果配
糖体含有組成物として用いてもよいし、さらに精製して
もよい。さらに精製する場合、例えば、得られた配糖体
画分を液体クロマトグラフィーにかけることにより、さ
らに高純度の配糖体画分が入手され得る。
【0080】羅漢果配糖体含有組成物は、得られる高度
グリコシル化化合物を含む混合物に対して好ましくない
味、臭いなどを与える物質を実質的に含まないことが好
ましい。「実質的に含まない」とは、得られる高度グリ
コシル化化合物を含む混合物を官能試験した場合に好ま
しくない味、臭いなどが感じられない量であることをい
う。
【0081】羅漢果配糖体とグルカンおよび糖転移酵素
とを接触させる反応系において、例えば、モグロサイド
Vを30%程度含有する羅漢果精製物を用いる場合、そ
の濃度範囲は、代表的に1〜70%(w/v)(この場
合、モグロサイドVは、0.3〜21% w/vとな
る)、好ましくは5〜40%(w/v)(この場合、モ
グロサイドVは、1.5〜12%(w/v)となる)で
ある。反応系における羅漢果配糖体化合物の合計重量
は、代表的に0.01〜50%(w/w)、好ましくは
0.05〜40%(w/w)、より好ましくは0.2〜
20%(w/w)である。これらの濃度範囲は、使用す
る羅漢果配糖体含有組成物中の羅漢果配糖体の含有量に
より、実験的に決定されるべきであり、これらに限定さ
れない。高濃度の羅漢果配糖体(すなわち、糖受容体基
質)を含む羅漢果配糖体含有組成物を使用する場合に
は、糖供与体基質の濃度、酵素濃度、反応時間および反
応温度を適宜上昇させることが好ましい。
【0082】本明細書中で「糖供与体基質」とは、他の
分子に糖残基を与えることができる物質をいう。糖供与
体基質の例としては、グリカン(すなわち、多糖または
オリゴ糖)および配糖体が挙げられる。本明細書中で
「グリカン」とは、2以上の単糖が脱水縮合して生じた
化合物をいう。通常、2〜9個の単糖が脱水縮合して生
じた化合物は、オリゴ糖と呼ばれ、10個以上の単糖が
脱水縮合して生じた化合物は、多糖と呼ばれる。グリカ
ンは、単純多糖であってもよいし、複合多糖であっても
よい。単純多糖とは、構成単位となる単糖が一種類の多
糖をいう。複合多糖とは、構成単位となる単糖が2種類
以上の多糖をいう。グリカンの例としては、グルカン、
ガラクタン、マンナン、キシラン、アラビナン、キチン
およびキトサンが挙げられる。
【0083】本明細書中で「グルカン」とは、D−グル
コースから構成される多糖をいう。グルカンは、グルコ
ース残基のアノマー炭素原子の配置により、α−グルカ
ンとβ−グルカンとに分けられる。グルカンは、好まし
くは、α−グルカンである。α−グルカンの例として
は、デンプン、アミロース、アミロペクチン、デキスト
リン、シクロデキストリン、グリコーゲン、デキストラ
ン、プルラン、ニゲラン、イソリゲナンおよびそれらの
含有物が挙げられる。デンプンの例としては、可溶性デ
ンプン、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、タピオカデ
ンプンなどが挙げられる。糖供与体基質として、マルト
ース、マルトトリオース等のマルトオリゴ糖類またはそ
れらの混合物、低分子量のデキストリン等を使用するこ
とも可能であるが、その場合は、生成物中の還元糖量
が、デンプンなどの高分子量のグルカンを用いる場合よ
りも高くなる。高分子量のグルカンを使用する場合は、
グリコシル化羅漢果配糖体の収量を低下させないため、
グルコース、マルトース等のCGTaseの良好な受容
体基質となり得る還元糖を含まないことが好ましい。デ
ンプンなど水に溶解しにくい多糖を含む基質の溶液を調
製する場合は、糖転移酵素を添加する前に煮沸などによ
り、デンプンを十分糊化させることが好ましい。
【0084】β−グルカンの例としては、セルロースが
挙げられる。
【0085】本明細書中で「配糖体」とは、糖と糖以外
の物質が脱水縮合して生じた化合物をいう。配糖体の例
としては、フェニルα−グルコシド、パラニトロフェニ
ル、β−ガラクトシドなどが挙げられる。
【0086】糖供与体基質は、羅漢果配糖体と糖供与体
基質および転移酵素とを接触させる際に、この反応系に
おいて、0.1〜50%(w/v)、好ましくは1〜3
0%(w/v)の濃度範囲になるように使用されること
が好ましいが、これらに限定されない。本発明の製造方
法で用いられる反応系においては、糖供与体基質濃度を
受容体基質濃度の約1/2〜1/4とすれば、グリコシ
ル化羅漢果配糖体の十分高い合成率(反応に用いた受容
体基質を100%としたとき、約80〜90%)を達成
することができる。高濃度の糖供与体基質を用いた場
合、反応初期には鎖長の長い糖残基が糖受容体基質へ転
移され、時間の経過に従って、不均化反応によって鎖長
の短い糖残基が糖受容体基質へ転移されるようになるの
で、反応を初期で停止すれば、グルコース残基の重合度
が大きいグリコシル化物が多い生成物を得ることができ
る。さらに反応時間の経過とともに、グルコース残基の
重合度の小さいグリコシル化物の割合が徐々に増加す
る。ただし、これらの場合も、適切な酵素濃度、反応温
度など他の条件に依存することは言うまでもなく、予備
的な実験を行って決定することが望ましい。
【0087】本明細書中では、「糖転移酵素」とは、糖
供与体基質から糖受容体基質へと糖残基を転移させる能
力を有する酵素をいう。従来公知の任意の糖転移酵素が
本発明に使用可能である。糖転移酵素の例としては、シ
クロデキストリン合成酵素(CGTase)、α−ガラ
クトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−フルクトシ
ダーゼ、α−グルコシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β
−マンノシダーゼ、α−アミラーゼ、α−プルラナー
ゼ、デキストリンデキストラナーゼ、D酵素、アミロマ
ルターゼ、デキストラナーゼ、ホスホリラーゼ、スクロ
ースホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、トレ
ハロースホスホリラーゼ、α−グルコシルトランスフェ
ラーゼ、アミロスクラーゼ、デキストランスクラーゼ、
レバンスクラーゼ、イヌリナーゼ、レバンフルクトトラ
ンスフェラーゼ、ガラクタナーゼ、α−ガラクトシダー
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、マンナナーゼ、キシラナー
ゼ、アラビナーゼ、セルラーゼ、α−キシロシダーゼ、
β−キシロシダーゼ、α−アラビノシダーゼ、シクロデ
キストラン合成酵素、リゾチーム、アガラーゼ、ラミナ
リナーゼ、リケナーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−グ
ルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、キトサナーゼ、キ
チナーゼ、N−アセチルヘキソサミニダーゼ、ラムノシ
ダーゼおよびα−フコシダーゼが挙げられる。
【0088】糖転移酵素としては、CGTaseがより
好ましい。CGTaseは、羅漢果配糖体のグリコシル
化を非常に高い効率で触媒することができるからであ
る。反応条件に依存するが、CGTaseは、反応に用
いた羅漢果配糖体のうちの90%以上をグリコシル化し
得る。この効率の高さは、CGTaseが、糖転移反応
と競合する加水分解反応をほとんど触媒しないことに起
因する。通常の加水分解酵素を用いると、加水分解およ
び転移の両方がある一定の割合で起こる。CGTase
では、加水分解は、反応に用いた羅漢果配糖体のうちの
5%以内にしかおきない。羅漢果配糖体は、CGTas
eを用いた本発明の方法において極めて良好な受容体基
質であり得る。
【0089】CGTaseとしては、市販の任意のCG
Taseを用いてもよいし、CGTaseを微生物菌
体、微生物培養物(例えば、培養上清)などから精製し
て用いてもよい。市販されるCGTaseの例として
は、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacill
us stearothermophilus)由来の
CGTase(林原生物化学研究所社製)、テルモアナ
エロバクター属またはテルモアナエロビウム属(The
rmoanaerobacter sp.、Therm
oanaerobium sp.)由来のCGTase
(ノボ・ノルディスク・インダストリィ社製「CGTa
se ACN0002」、特願平2−500247、
B.E.NormanおよびS.T.Jφrense
n,DenpunKagaku,1992;39:10
1−108、本明細書中、以下では、「テルモアナエロ
バクター属」由来のCGTaseという)、バシラス・
サーキュランス(Bacillus circulan
s)由来のCGTase(林原生物化学研究所社)、バ
シラス・マセランス(Bacillus macera
ns)由来のCGTase(天野エンザイム社製「コン
チザイム」)、ブレビバクテリウム属(Breviba
cterium sp.)由来のCGTase(天野エ
ンザイム社製)等が挙げられる。CGTaseは、複数
のメーカーが工業的に製造、販売している酵素であるの
で、比較的安価かつ大量に入手すること、および起源が
異なる酵素の中から適宜選択することが可能である。
【0090】α−ガラクトシダーゼとしては、市販の任
意のα−ガラクトシダーゼを用いてもよいし、α−ガラ
クトシダーゼを微生物菌体、微生物培養物(例えば、培
養上清)などから精製して用いてもよい。市販されるα
−ガラクトシダーゼの例としては、モルティエラ ビナ
セア(Mortiella vinacea)由来のα
−ガラクトシダーゼ(シグマ社製)、アーモンド由来の
由来のα−ガラクトシダーゼ(シグマ社製)、アスペル
ギラス ニガー(Aspergillus nige
r)由来のα−ガラクトシダーゼ(天野エンザイム社
製)などが挙げられる。α−ガラクトシダーゼは、メリ
ビオース、ラフィノースなどを糖供与体基質とする。
【0091】β−ガラクトシダーゼとしては、市販の任
意のβ−ガラクトシダーゼを用いてもよいし、β−ガラ
クトシダーゼを微生物菌体、微生物培養物(例えば、培
養上清)などから精製して用いてもよい。市販されるβ
−ガラクトシダーゼの例としては、大腸菌(Esche
richia coli)由来のβ−ガラクトシダーゼ
(シグマ社製)、アスペルギラス オリゼ(Asper
gillus oryzae(黄麹菌))由来のβ−ガ
ラクトシダーゼ(ヤクルト本社製)、ペニシリウム マ
ルチカラー(Penicillium multico
lor)由来のβ−ガラクトシダーゼ(ケイアイ化成社
製)、バシラス・サーキュランス(Bacillus
circulans)由来のβ−ガラクトシダーゼ(大
和化成社製)が挙げられる。β−ガラクトシダーゼは、
乳糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトシド配糖体を糖供与
体基質とする。
【0092】β−フルクトシダーゼとしては、市販の任
意のβ−フルクトシダーゼを用いてもよいし、β−フル
クトシダーゼを微生物菌体、微生物培養物(例えば、培
養上清)などから精製して用いてもよい。市販されるβ
−フルクトシダーゼの例としては、アルスロバクター
(Arthrobacter)属由来のβ−フルクトシ
ダーゼ(BICO(塩水港製糖)社製)、サッカロミセ
ス・セレビジエ(Saccharomyces cer
evisiae、パン酵母、ビール酵母)由来のβ−フ
ルクトシダーゼ(シグマ社製)、アスペルギラス ニガ
ー(Aspergillus niger、黒麹菌)由
来のβ−フルクトシダーゼ(日高、平山;「化学と生
物」、23、600(1985))が挙げられる。β−
フルクトシダーゼは、ショ糖、フラクトオリゴ糖などを
糖供与体基質とする。
【0093】α−グルコシダーゼとしては、市販の任意
のα−グルコシダーゼを用いてもよいし、α−グルコシ
ダーゼを微生物菌体、微生物培養物(例えば、培養上
清)などから精製して用いてもよい。市販されるα−グ
ルコシダーゼの例としては、アスペルギラス ニガー
(Aspergillus niger)由来のα−グ
ルコシダーゼ(天野エンザイム社製)、バシラス・ステ
アロサーモフィラス(Bacillus stearo
thermophilus)由来のα−グルコシダーゼ
(シグマ社製)、サッカロミセス・セレビジエ(Sac
charomyces cerevisiae)由来の
α−グルコシダーゼ(シグマ社製)が挙げられる。α−
グルコシダーゼは、マルトース、デキストリンなどを糖
供与体基質とする。
【0094】α−マンノシダーゼとしては、市販の任意
のα−マンノシダーゼを用いてもよいし、天然のα−マ
ンノシダーゼを微生物菌体、微生物培養物(例えば、培
養上清)などから精製して用いてもよい。市販されるα
−マンノシダーゼの例としては、タチナタマメ由来のα
−マンノシダーゼ(シグマ社製)が挙げられる。α−マ
ンノシダーゼは、マンノシド配糖体、マンノオリゴ糖な
どを糖供与体基質とする。
【0095】糖転移酵素は、糖転移反応に悪影響を及ぼ
すような他の酵素活性を含まない限り、任意の純度のも
のを使用し得る。糖転移酵素は、その糖転移活性を発揮
し得る限り、単なる含有物、固定化酵素などのいかなる
形態のものでも使用できる。
【0096】糖転移酵素の量は、羅漢果配糖体への糖転
移反応を触媒し得る量であれば、任意の量であり得る。
適切な量は、当業者によって適切に決定され得る。好ま
しくは基質1gあたり0.01〜10000単位であ
り、より好ましくは0.1〜5000単位である。例え
ば、糖転移反応に使用するCGTaseが、バシラス・
ステアロサーモフィラスまたはテルモアナエロバクター
属由来のCGTaseである場合は、1gのデンプン当
たり0.1〜2000単位が好ましい。
【0097】糖転移酵素の量が多いほど、糖転移反応に
要する反応時間を短縮できる。バシラス・マセランス由
来のCGTaseを使用する場合は、バシラス・ステア
ロサーモフィラスまたはテルモアナエロバクター属由来
のCGTaseよりも低温(50℃)で反応を行っても
他の起源のCGTaseとほぼ同等の収率でグリコシル
化羅漢果配糖体を得ることができる。
【0098】1つの実施形態において、羅漢果配糖体に
5個以上のグルコース残基が結合した高度グリコシル化
化合物を一旦製造したのち、糖質分解酵素を作用させて
羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース残基が結合した高
度グリコシル化化合物を製造する。
【0099】<羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース残
基が結合した高度グリコシル化化合物>部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体の製造には、任意の糖質分解酵素が
使用可能である。このような糖質分解酵素としては、α
−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α
−グルコシダーゼ、マルトトリオース生成アミラーゼ、
マルトテトラオース生成アミラーゼ、マルトペンタオー
ス生成アミラーゼ、マルトヘキサオース生成アミラー
ゼ、イソアミラーゼおよびプルラナーゼが挙げられる
が、羅漢果配糖体に結合したグリコシル糖鎖を短くする
作用を有しさえすれば、これらに限定されない。
【0100】α−アミラーゼは、グリコシル基の糖鎖内
部をランダムに加水分解するアミラーゼである。α−ア
ミラーゼとしては、市販の任意のα−アミラーゼを用い
てもよいし、α−アミラーゼを微生物菌体、微生物培養
物(例えば、培養上清)などから精製して用いてもよ
い。市販されるα−アミラーゼの例としては、バシラス
スブチリス(Bacillus subtilis)由
来のα−アミラーゼ、アスペルギラス オリゼー(As
pergillus oryzae)由来のα−アミラ
ーゼ(大和化成社製およびノボノルディスクインダスト
リー社製)などが挙げられる。
【0101】特に、デンプンの液化力の強いアミラーゼ
よりも、糖化力の強いα−アミラーゼの方が、部分分解
グリコシル羅漢果配糖体の製造には好都合である。
【0102】β−アミラーゼは、グリコシル基の非還元
末端側よりマルトース単位で加水分解するアミラーゼで
ある。β−アミラーゼとしては、市販の任意のβ−アミ
ラーゼを用いてもよいし、β−アミラーゼを微生物菌
体、微生物培養物(例えば、培養上清)などから精製し
て用いてもよい。市販されるβ−アミラーゼの例として
は、オオムギ由来のβ−アミラーゼ、コムギ由来のβ−
アミラーゼ、ダイズ由来のβ−アミラーゼ(天野エンザ
イム社製およびナガセケムテック社製)、サツマイモ由
来のβ−アミラーゼ(シグマ社製)が挙げられる。
【0103】グルコアミラーゼは、グリコシル基の非還
元末端側よりグルコース単位で加水分解するアミラーゼ
である。グルコアミラーゼとしては、市販の任意のグル
コアミラーゼを用いてもよいし、グルコアミラーゼを微
生物菌体、微生物培養物(例えば、培養上清)などから
精製して用いてもよい。市販されるグルコアミラーゼの
例としては、リゾパス ニベウス(Rhizopus
niveus)由来のグルコアミラーゼ(生化学工業社
製)、アスペルギラス ニガー(Aspergillu
s niger)由来のグルコアミラーゼ(阪急バイオ
インダストリー社製)が挙げられる。
【0104】<他の成分>溶媒としては任意の溶媒が使
用できる。例えば、水が使用できる。
【0105】糖転移反応および部分分解反応の間の反応
液のpHは、それぞれの反応を触媒する酵素が作用し得
るpH範囲であれば任意に設定し得るが、代表的にはp
H3〜11であり、好ましくは5〜7の範囲である。反
応液のpHは、反応に使用する酵素の至適pHを考慮し
て適切に調整され得る。反応液のpHの調整方法は、当
業者に周知である。
【0106】緩衝液は必ずしも必要ないが、必要に応じ
て任意の緩衝液を使用してもよい。例えば、上記pH範
囲の10〜500mM酢酸緩衝液およびリン酸緩衝液を
使用することができる。
【0107】反応系に5〜10%(v/v)程度のメタ
ノール、エタノール、イソプロパノール等の水溶性の有
機溶媒を含んでいても、高度グリコシル化化合物の収率
にほとんど影響はないが、非常に弱い受容体基質となる
ため、存在しないことが望ましい。カルシウム、マグネ
シウム2等の金属塩の添加は特に必要としない。
【0108】<高度グリコシル化化合物の製造方法>本
発明の化合物を製造する方法においては、他に特定され
ない限り、当該分野で公知である、配糖体の抽出および
分画方法、ならびに甘味料の調製方法などが採用され得
る。これらの手法は、市販のカラムなどを使用して行い
得る。
【0109】本発明の高度グリコシル化化合物は、羅漢
果配糖体を、グルカンなどの糖供与体基質および糖転移
酵素と接触させて、高度グリコシル化化合物を得る工程
を包含する方法によって製造される。代表的には、本発
明の高度グリコシル化化合物は、羅漢果配糖体を、α−
グルカンなどの糖供与体基質および糖転移酵素と接触さ
せて、高度グリコシル化化合物を得る工程を包含する方
法によって製造される。
【0110】本発明の方法では、まず、羅漢果配糖体、
グルカンなどの糖供与体基質および糖転移酵素を混合す
る。これらの混合の順序は任意の順序で行われる。すな
わち、まず羅漢果配糖体との糖供与体基質とを混合した
後、これに糖転移酵素を添加して混合してもよいし、ま
ず羅漢果配糖体と糖転移酵素とを混合した後、これに糖
供与体基質を添加して混合してもよいし、まず糖転移酵
素と糖供与体基質とを混合した後、これに羅漢果配糖体
を添加して混合してもよいし、羅漢果配糖体、糖供与体
基質および糖転移酵素をいっぺんに混合してもよい。糖
転移酵素としてCGTase以外の酵素を用い、糖転移
酵素と糖供与体基質とを混合した後に羅漢果配糖体を添
加する場合、糖転移酵素と糖供与体基質との混合から、
羅漢果配糖体の添加までの時間はなるべく短いことが好
ましい。混合は、羅漢果配糖体、糖供与体基質および糖
転移酵素が実質的に均一に混同されるのであれば、どの
ような方法を用いて行ってもよいし、また、混合時間も
適切に選択され得る。
【0111】このようにして混合されることにより、羅
漢果配糖体と糖供与体基質および糖転移酵素とが接触し
得る。接触の間、この混合物は、糖転移反応に適切な温
度に保たれることが好ましい。反応温度は代表的には1
0〜100℃、好ましく40〜90℃である。用いる糖
転移酵素に適切な反応温度は、当業者に公知であり、当
業者は適切に選択し得る。例えば、バチラス・ステアロ
サーモフィラスまたはテルモアナエロバクター属由来の
CGTaseは耐熱性が高いので、バチラス・ステアロ
サーモフィラス由来のCGTaseは80℃の反応にお
いて数日間、テルモアナエロバクター属由来のCGTa
seは90℃の反応において数日間使用することができ
る。一方、バシラス・マセランス由来のCGTase
は、それほど耐熱性が高くないので、反応温度50℃以
下で使用することが好ましい。
【0112】羅漢果配糖体と、糖供与体基質および糖転
移酵素とを接触させる時間は、使用する糖転移酵素を考
慮して当業者によって適切に選択され得る。接触させる
時間は代表的には、5分間〜10日、好ましくは30分
間〜5日間、より好ましくは1時間〜3日間である。
【0113】羅漢果配糖体と、糖供与体基質および糖転
移酵素とを接触させることによって、羅漢果配糖体にグ
リコシル残基が転移されて、羅漢果配糖体に1個以上の
グルコース残基が結合している高度グリコシル化化合物
が形成される。高度グリコシル化化合物を含有する反応
系は、そのまま目的の用途に使用されてもよいし、その
後のさらなる糖転移反応を防ぐために糖転移酵素を失活
させる処理が施されてもよいし、この反応系から高度グ
リコシル化化合物が部分的または完全に精製されてもよ
い。
【0114】例えば、羅漢果配糖体の中で最も含有量が
多いモグロサイドVとデンプンおよびCGTaseとを
接触させた場合を例示すると、CGTaseの作用によ
って上記化学構造1の各R1、R2の複数のグルコース残
基に対して新たに結合するグルコース残基の数(すなわ
ち、重合度)は、通常はそれぞれ1〜15であり、1〜
5のものが比較的多い。ただしこれらの比率は、反応条
件によって変化するため、限定されない。CGTase
を用いることにより、モグロサイドVのグルコース残基
と新たに結合したグルコース残基との間の結合のアノマ
ー型はα型に限定される。CGTaseの作用によって
得られた、新たに結合したグルコース残基の重合度が2
以上の場合の、グルコース残基間の結合様式は通常、α
−1,4結合のみであるが、α−1,6結合(すなわ
ち、分岐構造)が形成されてもよい。
【0115】羅漢果配糖体に5個以上のグルコース残基
がα結合している高度グリコシル化化合物は、羅漢果配
糖体に1〜4個のグルコース残基がα結合している高度
グリコシル化化合物(すなわち、部分分解グリコシル化
羅漢果配糖体)を得るために、糖質分解酵素と接触され
得る。
【0116】グリコシル化羅漢果配糖体は、例えば、水
溶液中などで糖質分解酵素と混合されることにより、糖
質分解酵素と接触し得る。グルコシル化羅漢果配糖体を
含む反応液は、そのまま糖質分解酵素と混合されてもよ
いが、糖転移酵素を除去または失活させる処理を施した
後に糖質分解酵素と混合されることが好ましい。糖転移
酵素を失活させる処理の例としては、加熱、pH変化、
エタノールのような有機溶媒の添加などが挙げられる。
加熱の例としては、15分間の煮沸が挙げられる。通常
の糖転移酵素は、15分間の煮沸でほぼ失活する。有機
溶媒を添加して糖転移酵素を失活させた後に、グリコシ
ル化羅漢果配糖体を糖質分解酵素で処理する場合、糖質
分解酵素を添加する前に有機溶媒を留去することが好ま
しい。失活させるための処理を施さずに、グリコシル化
羅漢果配糖体を糖質分解酵素と接触させた場合、糖質分
解酵素の分解反応によって生成するグルコース、オリゴ
糖などが糖転移反応の糖受容体基質となり、一旦生成し
たグリコシル化羅漢果配糖体が糖供与体基質として働い
て羅漢果配糖体に戻り得るので、部分分解グリコシル化
羅漢果配糖体の収率が低下することが起こり得る。
【0117】グリコシル化羅漢果配糖体と糖質分解酵素
とを接触させる間、この混合物は、糖質分解酵素による
グリコシル残基の加水分解に適切な温度に保たれ得る。
適切な温度範囲は代表的には、30〜80℃である。
【0118】グリコシル化羅漢果配糖体と糖質分解酵素
とを接触させる間の混合物のpHは、糖転移反応を行っ
たpH5〜7程度の範囲であれば、pHの再度の調整は
必要なく、そのまま継続して部分分解反応を行うことが
できる。
【0119】グリコシル化羅漢果配糖体と糖質分解酵素
とを接触させる時間は、加水分解反応に用いる糖質分解
酵素の性質および所望の部分分解グリコシル化羅漢果配
糖体の組成を考慮して、または当該分野で公知の方法を
用いて反応の進行程度を測定して、当業者によって適切
に決定され得る。部分分解グリコシル化羅漢果配糖体の
生成程度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)を用
いて測定(定量、分析など)され得る。
【0120】このようにして部分分解グリコシル化羅漢
果配糖体が得られるが、部分分解グリコシル化羅漢果配
糖体を含有する混合物は、そのまま目的の用途に用いら
れてもよいし、糖質分解酵素を失活させる処理が施され
てもよいし、部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を部分
的または完全に精製してもよい。糖質分解酵素を失活さ
せる処理の例としては、煮沸が挙げられる。
【0121】<高度グリコシル化化合物の単離、分析お
よび同定方法>本発明の高度グリコシル化化合物は、当
該分野で公知の方法によって分析され得る。このような
分析方法の例としては、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)、TLC、シリカゲルクロマトグラフィー
などが挙げられる。
【0122】HPLCに使用され得るカラムとしては、
アミド系カラムが挙げられる。アミド系カラムの例とし
ては、アサヒパックNH2P−50(ショーデックス社
製)、アミド80(東ソー社製)等が挙げられる。これ
らのカラムを使用する場合には、分析対象とする試料溶
液に対して、同容量のアセトニトリルまたはエタノール
等を添加し、予め未反応の高分子量グルカン等を沈殿と
して除去しておくことが好ましい。
【0123】HPLCに使用され得る溶離液として、ア
セトニトリル水溶液が挙げられ、代表的には55〜85
%(v/v)アセトニトリル水溶液が適切である。高度
グリコシル化化合物は、羅漢果配糖体に結合しているグ
ルコース残基の重合度が高くなるほど、カラムへの保持
時間は長くなる。
【0124】HPLCに使用され得る他のカラムとして
は、逆相系カラムが挙げられる。逆相系カラムは、沈澱
処理を必要としないので、アミド系カラムを用いる場合
よりも分析操作が簡便である。逆相系カラムの例として
は、YMC−Pack ODS−AQ(YMC社製)、
Shim−pack CLC−ODS(島津製作所社
製)が挙げられる。逆相系カラムを用いる場合、羅漢果
配糖体にα結合したグルコース残基の数が多い高度グリ
コシル化化合物ほど、カラムへの保持時間が短くなり、
受容体基質である羅漢果配糖体は高度グリコシル化化合
物よりも保持時間が長くなる傾向が認められる。
【0125】薄層クロマトグラフィーを用いて反応液を
分析する場合、例えば以下のようにして定性的に分析を
行い得る。薄層板(キーゼルゲル60、メルク社製)に
反応液の一部をスポットし、酢酸エチル:酢酸:水
(3:1:1、v/v)を展開溶媒として、上昇法で展
開する。展開を開始してから適切な時間(代表的には、
5分間〜1時間、より好ましくは15分間〜30分間)
が経過してから、薄層板を展開溶媒から取り出し、風乾
させる。高度グリコシル化羅漢果配糖体を検出するため
には、風乾後の薄層板に50%硫酸/メタノール溶液を
噴霧して、120℃で加熱する。これにより、薄層板の
うちの配糖体を含有する部分が茶褐色に変化する。グリ
コシル化羅漢果配糖体は、羅漢果配糖体に結合したグル
コース残基の数が多いほど展開移動度が小さくなる。
【0126】本発明の高度グリコシル化化合物(グリコ
シル化羅漢果配糖体および部分分解グリコシル化羅漢果
配糖体)は、当業者に周知の精製方法を用いて精製され
得る。本発明の高度グリコシル化化合物に対して逆相系
カラム(例えば、ODS)を用いた吸着クロマトグラフ
ィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどを行うことによ
よって、少量混在するグルコース、オリゴ糖などを除去
して本発明の高度グリコシル化化合物の純度を高めるこ
とができる。
【0127】例えば、ODSクロマトグラフィーでは、
ODSカラムを水で平衡化しておく。試料中のグルコー
スおよび短鎖のオリゴ糖はODSカラムに吸着されず、
非吸着画分および水洗浄画分に回収される。グリコシル
化羅漢果配糖体は、溶離液中のエタノール濃度またはメ
タノール濃度を段階的または直線的に上昇させることに
より溶出され得る。その際、羅漢果配糖体に結合したグ
ルコース残基の数が多いグリコシル化羅漢果配糖体から
順番に溶出する。
【0128】溶離液中のエタノール濃度は、最も高濃度
のときには、90%(v/v)を超えないことが好まし
く、20〜50%(v/v)程度であることが適切であ
る。
【0129】使用され得るゲルろ過担体としては、セフ
ァデックスG−15またはセファデックスG−25(フ
ァルマシア社製)、ビオゲルP−2(バイオラド社製)
等が挙げられる。
【0130】ゲル濾過クロマトグラフィーの際の溶離液
としては、蒸留水、5%エタノールなどが使用され得
る。
【0131】<グリコシル化羅漢果配糖体または部分分
解グリコシル化羅漢果配糖体の工業レベル製造>工業的
レベルでのグリコシル化羅漢果配糖体および部分分解グ
リコシル化羅漢果配糖体の製造工程の例を図1に示す。
以下、この例について説明する。
【0132】受容体基質には、羅漢果の粗エキス、部分
精製物、各配糖体成分の精製物など、いかなる純度の混
合物であっても使用することができる。また粗エキス中
に含まれている果糖は糖転移酵素(例えば、CGTas
e)の受容体基質となり得ないので、高濃度で受容体基
質中に含有されていても全く問題ない。
【0133】生産量に応じた容量の温度制御反応釜に、
羅漢果エキス、デンプン、CGTaseを投入し、水で
全容とする。使用するCGTaseに応じた最適反応温
度(例えば、40℃〜90℃)および最適反応時間(例
えば、6〜48時間)反応させた後、用いたCGTas
eの耐熱性に応じて70℃〜100℃にて15分間の加
熱することにより、糖転移酵素活性を失活させる。必要
に応じて糖質分解酵素を投入し、使用する糖質分解酵素
に最適な反応温度(例えば、30℃〜80℃)で反応さ
せ、羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース残基が結合し
た部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得ることもでき
る。
【0134】次に、高度グリコシル化羅漢果配糖体また
は羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース残基が結合した
部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を分離および精製す
るために、上記で得られた反応生成物をODS逆相系樹
脂を充填したカラムに最適流量で流し込む。このカラム
を水洗後、最適アルコール濃度の水溶液でグリコシル化
羅漢果配糖体または部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を溶出する。
【0135】濃縮工程では、得られた溶出液量に応じた
容量のアルコール回収用減圧濃縮装置を上記の溶出液に
対して用いて、アルコールの回収に必要な最適真空度お
よび濃縮温度条件でアルコールを回収し、溶出液を濃縮
する。回収したアルコールはリサイクルして用いる。
【0136】粉末化工程については、濃縮された溶出液
の量に応じた水分蒸発量を有するスプレードライヤーに
上記の濃縮された溶出液を供して、グリコシル化羅漢果
配糖体または部分分解グリコシル化羅漢果配糖体の粉体
乾燥物を得る。
【0137】単離したグリコシル化羅漢果配糖体および
部分分解グリコシル化羅漢果配糖体の化学構造は、マス
スペクトルで確認することができる。マススペクトルに
よって確認された、モグロサイドVの化学構造を以下の
化学構造4に示す。なおグルコース間の結合様式は、C
GTaseの特異性からα−1,4結合のみであり、単
離した各重合度の生成物をNMR等で詳細に解析するま
でもない。
【0138】(化学構造4)
【0139】
【化24】 本発明の方法では、糖転移酵素が加水分解反応をほとん
ど触媒しないため、羅漢果配糖体に結合した糖の重合度
が異なる生成物の割合は反応経過とともに変化するが、
グリコシル化羅漢果配糖体の全体の収率は反応時間が経
過してもほとんど減少しない。したがって、厳密な反応
条件のコントロール、反応中の生成物の頻繁なモニタリ
ングなどは不要である。
【0140】好ましくは、デンプンが糖供与体基質に用
いられる。この場合、高いグリコシル化効率とも相まっ
て、グリコシル化羅漢果配糖体の製造価格を低減させる
ことができる。
【0141】<高度グリコシル化化合物の用途>羅漢果
配糖体を含有する甘味料を、α−グルカンおよび糖転移
酵素と接触させることにより、この甘味料中に含まれる
羅漢果配糖体は高度グリコシル化化合物に変換される。
高度グリコシル化化合物は、羅漢果配糖体よりもショ糖
に近い、良好な甘味質を有するので、これにより、この
甘味料は、味質が改善される。
【0142】本発明の高度グリコシル化化合物は、食品
用組成物、甘味料、医薬品用組成物、医薬部外品用組成
物、化粧品用組成物として使用され得る。
【0143】本発明の食品用組成物は、高度グリコシル
化化合物を含有する。本明細書において「食品組成物」
とは、食用に供され得る任意のものをいう。食品組成物
の例としては、加熱料理;清涼飲料、機能性飲料、ゼリ
ー飲料などの飲料類;洋菓子類、和菓子類などの菓子
類;ヨーグルトなどの乳製品;調味料;健康食品;特別
用途食品(特定保健用食品)が挙げられる。本発明の食
品組成物における高度グリコシル化化合物の含有量は、
食品組成物の形態および用途によって異なり、当業者に
よって適宜選択され得る。例えば、一般的な清涼飲料、
機能性飲料、ゼリー飲料などの飲料類の場合は、飲料全
体における高度グリコシル化化合物の含有量は、代表的
には約0.001〜約2.0重量%、好ましくは約0.
005〜約1.0重量%、さらに好ましくは約0.01
〜約0.5重量%の割合である。
【0144】本発明の食品組成物は、当業者に公知の方
法を用いて製造され得る。当業者は、食品組成物の形態
および種類に応じて適切な製造方法を選択し得る。ここ
で、高度グリコシル化化合物は任意の方法で食品組成物
に配合され得る。
【0145】本発明の食品組成物に含有される高度グリ
コシル化化合物は、一般的なショ糖に代わる甘味料とし
て、加熱料理、洋菓子類、和菓子類、飲料類、乳製品、
調味料などの食品用途、健康食品用途、特別用途食品
(特定保健用食品)などにも広く利用され得る。本発明
の高度グリコシル化化合物は、加熱に対して安定であ
り、褐変および着色を生じず、酸性の食品中でも安定で
あることから、上記用途に特に有用である。
【0146】本発明の甘味料は、高度グリコシル化化合
物を含有するエネルギー抑制甘味料である。本明細書中
で「甘味料」とは、食品に甘味をつけるために用いられ
る組成物をいう。本発明の甘味料は、低エネルギー甘味
料であってもよいし、ゼロエネルギー甘味料であっても
よい。あるいは、本発明の甘味料は、甘味料の単位重量
あたりのエネルギーはショ糖とほぼ同等であっても、甘
味強度がショ糖よりも著しく高いために、甘味料の使用
量がきわめて少量ですみ、絶対使用量を減らすことがで
きる甘味料であってもよい。栄養改善法によれば、栄養
成分が少ないことを強調する表示の基準として、
「低」、「軽」、「ひかえめ」、「低減」、「カッ
ト」、「オフ」などのエネルギー表示は、甘味料100
gあたりのエネルギーが40kcal以下(ただし飲用
に供する食品は20kcal以下)と定められている。
「無」、「ゼロ」、「ノン」などのエネルギー表示は、
甘味料100gあたりのエネルギーが5kcal以下と
されている。好ましい実施態様では、本発明の甘味料
は、100gあたりのエネルギーが「ゼロ」または
「低」を強調して表示できる甘味料であり得る。
【0147】本発明の甘味料は、液体(すなわち、シロ
ップ状)、半固体または固体(例えば、粉末状、顆粒
状、結晶状、六角形の形態など)の形態であり得る。当
業者は、甘味料物の用途に応じて、甘味料の形態を適宜
選択し得る。
【0148】本発明の甘味料における高度グリコシル化
化合物の含有量は、製品の形態および用途によって異な
り、当業者によって適宜選択され得る。例えば、卓上用
の固体の高甘味度甘味料として用いる場合、本発明の甘
味料は高度グリコシル化化合物単独からなり得る。すな
わち、高度グリコシル化化合物の含有量は100重量%
であり得る。一般的な卓上用の粉末または顆粒状低エネ
ルギー甘味料および低エネルギーシロップ類などとして
用いる場合は、甘味料全体における高度グリコシル化化
合物の含有量は、代表的には約0.001〜約5重量
%、好ましくは約0.005〜約2重量%、さらに好ま
しくは約0.01〜約0.5重量%である。
【0149】本発明の甘味料は、その形態に適切な、当
業者に公知の方法を用いて製造される。例えば、固体状
の甘味料の場合、代表的には、高度グリコシル化化合
物、ならびに必要に応じて他の成分を混合することによ
り製造される。固体状の甘味料は、必要に応じて賦形さ
れ得る。液体状の甘味料の場合、代表的には、高度グリ
コシル化化合物、ならびに必要に応じて他の成分と必要
量の水とを混合して溶解させることにより製造される。
当業者は、目的とする甘味料組成物の形態および用途に
応じて適切な製造方法を選択し得る。
【0150】本発明の医薬品用組成物は、高度グリコシ
ル化化合物を含有する。本明細書において「医薬品用組
成物」とは、医用に供され得る任意のものをいう。医薬
品用組成物の例としては、経口投与される製剤;舌下に
適用する製剤(例えば、舌下錠);歯科外用剤および口
中用剤(例えば、含嗽剤)が挙げられる。本発明の医薬
品用組成物における高度グリコシル化化合物の含有量
は、医薬品用組成物の形態および用途によって異なり、
当業者によって適宜選択され得る。例えば、一般的な経
口投与される製剤の場合は、製剤全体における高度グリ
コシル化化合物の含有量は、代表的には約0.001〜
約5重量%、好ましくは約0.05〜約2重量%、さら
に好ましくは約0.01〜約0.5重量%の割合であ
る。
【0151】本発明の医薬品用組成物は、当業者に公知
の方法を用いて製造され得る。当業者は、医薬品用組成
物の形態および種類に応じて適切な製造方法を選択し得
る。ここで、高度グリコシル化化合物は任意の方法で医
薬品用組成物に配合され得る。
【0152】本発明の医薬部外品用組成物は、高度グリ
コシル化化合物を含有する。本明細書において「医薬部
外品用組成物」とは、医薬部外品用に供され得る任意の
ものをいう。医薬部外品用組成物の例としては、口中清
涼剤(例えば、のど清涼剤、健胃清涼剤);薬用化粧
品;薬用歯磨き類が挙げられる。医薬部外品用組成物の
例としては、ビタミンC剤、ビタミンE剤、ビタミンE
C剤、ビタミン含有保健剤、カルシウム剤であってもよ
い。本明細書中では、医薬部外品用組成物は、医薬部外
品として使用される組成物、または新指定医薬部外品と
して使用される組成物の両方を含む。本発明の医薬品用
組成物における高度グリコシル化化合物の含有量は、医
薬品用組成物の形態および用途によって異なり、当業者
によって適宜選択され得る。例えば、一般的なのど清涼
剤の場合は、のど清涼剤全体における高度グリコシル化
化合物の含有量は、代表的には約0.001〜約5重量
%、好ましくは約0.05〜約2重量%、さらに好まし
くは約0.01〜約0.5重量%の割合である。
【0153】本発明の医薬品用組成物は、当業者に公知
の方法を用いて製造され得る。当業者は、医薬品用組成
物の形態および種類に応じて適切な製造方法を選択し得
る。ここで、高度グリコシル化化合物は任意の方法で医
薬品用組成物に配合され得る。
【0154】本発明の化粧品用組成物は、高度グリコシ
ル化化合物を含有する。本明細書において「化粧品用組
成物」とは、化粧用に供され得る任意のものをいう。化
粧品用組成物の例としては、口紅および歯磨き類が挙げ
られる。本発明の化粧品用組成物における高度グリコシ
ル化化合物の含有量は、化粧品用組成物の形態および用
途によって異なり、当業者によって適宜選択され得る。
例えば、一般的な歯磨き類の場合は、歯磨き全体におけ
る高度グリコシル化化合物の含有量は、代表的には約
0.005〜約5重量%、好ましくは約0.005〜約
2重量%、さらに好ましくは約0.01〜約0.5重量
%の割合である。
【0155】本発明の化粧品用組成物は、当業者に公知
の方法を用いて製造され得る。当業者は、化粧品用組成
物の形態および種類に応じて適切な製造方法を選択し得
る。ここで、高度グリコシル化化合物は任意の方法で化
粧品用組成物に配合され得る。
【0156】本発明で用いられる糖転移酵素および糖質
分解酵素は、シクロデキストリン、カップリングシュガ
ー(グリコシルスクロース)などのような、食品(例え
ば、甘味料)、医薬品、化粧品などの素材および添加物
の工業的な製造に利用されてきた実績があるため、安全
性の点でも問題はない。
【0157】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0158】<実施例1:各種CGTaseを用いたと
きの、モグロサイドVへの糖転移率>各種CGTase
によるモグロサイドVへの糖転移率を調べるために、以
下の実験を行った。まず、50mM酢酸緩衝液(pH
6.0)中に20%(w/v)の羅漢果配糖体含有組成
物(羅漢果配糖体としてモグロサイドVを約30%(w
/v)含むもの;中国桂林思特技術公司より入手)およ
び10%(w/v)の可溶性デンプン(関東化学社製)
を含む羅漢果配糖体溶液(0.95ml)に対して、バ
シラス・ステアロサーモフィラス由来のCGTase
(実施例1−1)、テルモアナエロバクター属由来のC
GTase(実施例1−2)、バシラス・サーキュラン
ス由来のCGTase(実施例1−3)またはバシラス
・マセランス由来のCGTase(実施例1−4)(各
20単位)を加えて混合し、60℃で24時間および4
8時間反応させた。ブランクとして、CGTaseを添
加せずに同じ操作を行った。
【0159】24時間または48時間の反応後、反応液
を100℃で15分間煮沸してCGTaseを失活させ
た。煮沸後の反応液を、ODSカラムを装着したHPL
Cで分析した。ブランクの反応液中のモグロサイドVの
量(MogV(bla))を100%とし、糖転移反応
後の反応液中のモグロサイドVの量(MogV(rea
ct))の減少率を糖転移率とみなした。すなわち、
【0160】
【数1】 結果を表1に示す。
【0161】
【表1】 いずれのCGTaseを用いた場合も、モグロサイドV
への糖転移が観察された。糖転移率は、バシラス・ステ
アロサーモフィラス由来のCGTase、テルモアナエ
ロバクター属由来のCGTaseおよびバシラス・サー
キュランス由来のCGTaseを用いた場合に非常に高
い糖転移率が示され、これら3種類の酵素では、24時
間の反応でも糖転移率は80%以上と高かった(表1−
、表1−および表1−)。そのため、これらの酵
素は、本発明の製造方法に好適に使用され得る。
【0162】一方、バシラス・マセランス由来のCGT
aseを用いた場合、20単位で添加して60℃で反応
させた場合、糖転移率は50%以下であり、それほど高
くなかったので、酵素量を100単位に増やし、反応温
度を50℃として上記と同様に実験を行った(実施例1
−5)ところ、24時間後の合成率は80%に増大した
(表1−)。
【0163】これらのことから、いずれの微生物菌体、
微生物培養物(例えば、培養上清)など由来のCGTa
seを用いた場合でも、酵素量および反応温度を適切に
設定することにより、グリコシル化羅漢果配糖体の製造
に好適に使用され得ることがわかった。
【0164】<実施例2:モグロサイドVへの糖転移に
及ぼす酵素添加量および反応温度の影響>モグロサイド
Vへの糖転移に及ぼす酵素添加量および反応温度の影響
を調べるために、以下の実験を行った。まず、50mM
酢酸緩衝液(pH6.0)中に20%(w/v)の羅漢
果配糖体含有組成物(羅漢果配糖体としてモグロサイド
Vを約30%(w/v)含むもの;中国桂林思特技術公
司より入手)および10%(w/v)の可溶性デンプン
(関東化学社製)を含む羅漢果配糖体溶液(0.95m
l)に対して、CGTase酵素(テルモアナエロバク
ター属由来、Novo Nordisk社製)を、0.
67単位/gデンプン(試料A)、1.33単位/gデ
ンプン(試料B)、3.33単位/gデンプン(試料
C)、6.67単位/gデンプン(試料D)、13.3
3単位/gデンプン(試料E)、33.33単位/gデ
ンプン(試料F)または66.67単位/gデンプン
(試料G)のいずれかの濃度で添加して混合し、反応温
度60℃および80℃で、反応時間24時間および48
時間反応させた。ブランクとして、CGTaseを添加
せずに同じ操作を行った。
【0165】24時間または48時間の反応後、反応液
を100℃で15分間煮沸してCGTaseを失活させ
た。煮沸後の反応液を、ODSカラムを装着したHPL
Cで分析し、糖転移に及ぼす酵素量および反応温度の影
響を判断した。実施例1と同様に、ブランクの反応液中
のモグロサイドVの量(MogV(bla))を100
%とし、糖転移反応後の反応液中のモグロサイドVの量
(MogV(react))の減少率を糖転移率とみな
した。
【0166】CGTaseの種々の添加量、反応温度お
よび反応時間での糖転移率を以下の表2に示す。
【0167】
【表2】 表2からわかるように、添加酵素量の増加(試料A→試
料G)に伴い、羅漢果配糖体の主成分(モグロサイドV
(Mogroside V))の糖転移率は増加した。
反応温度を60℃から80℃に上昇させることによって
も、糖転移率は増大した。また、反応時間が24時間か
ら48時間へと長くなることによっても、糖転移率は増
大した。したがって、モグロサイドVへの糖転移率は、
添加酵素量、反応温度および反応時間を適宜設定するこ
とによって、増大させることができる。それゆえ、当業
者は、高度グリコシル化化合物を合成するために都合の
よい条件を適宜設定し得る。
【0168】<実施例3:糖転移率に及ぼす糖供与体基
質濃度の影響>シクロデキストリン合成酵素(CGTa
se、テルモアナエロバクター属(Thermoana
erobacter sp.)由来)によるモグロサイ
ドVへの糖転移率に及ぼす糖供与体基質(デンプン)の
濃度の影響を調べた。
【0169】まず、各試験管に20%(w/v)の羅漢
果配糖体含有組成物(中国桂林思特技術公司から入手)
と各種濃度の可溶性デンプン溶液とを等量で混合して、
10%(w/v)羅漢果配糖体含有組成物と、0.5%
(w/v)、1.0%(w/v)、2.5%(w/
v)、5.0%(w/v)、7.5%(w/v)または
9.6%(w/v)の可溶性デンプンとを含む反応基質
液を調製した。この反応液に10単位のCGTaseを
添加して混合した後、60℃で20時間および44時間
反応させた。
【0170】24時間または44時間の反応後、反応液
を100℃で15分間煮沸してCGTaseを失活させ
た。煮沸後の反応液を、ODSカラムを装着したHPL
Cで分析し、糖転移に及ぼすデンプンの量の影響を判断
した。実施例1と同様に、ブランクの反応液中のモグロ
サイドVの量(MogV(bla))を100%とし、
糖転移反応後の反応液中のモグロサイドVの量(Mog
V(react))の減少率を糖転移率とみなした。羅
漢果配糖体の主成分(Mogroside V)の面積
値により糖転移率を測定した。
【0171】結果を表3に示す。
【0172】
【表3】 表3から、CGTaseによるモグロサイドVへの糖転
移率に及ぼす糖供与体基質(デンプン)の濃度の影響が
わかる。HPLCにおいて、いずれのデンプン濃度でも
羅漢果配糖体の主成分(Mogroside V)の減
少が見られ、糖転移が確認された。特にデンプン濃度
2.5%以上の場合、20時間後の糖転移率(%)は、
75%以上と高かった。さらにデンプン濃度2.5%以
上の場合、44時間後では、糖転移率(%)は、78〜
93%と非常に高かった。以上の結果から、比較的低い
デンプン濃度を用いた場合でも、反応20時間以内で高
い収率で糖転移物が生成する、きわめて生産性に優れた
反応であることが示唆された。
【0173】<実施例4:部分分解グリコシル化物の合
成および分析>高度グリコシル化化合物のβ−アミラー
ゼ処理による部分分解グリコシル化物の合成および分析
を以下の通りに行った。
【0174】まず、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)
中に30%(w/v)の羅漢果配糖体含有組成物(中国
桂林思特技術公司より入手)および15%(w/v)の
可溶性デンプン(関東化学社製)を含む羅漢果配糖体水
溶液(50ml)に対して、CGTase酵素(バシラ
ス・ステアロサーモフィラス(Bacillus st
earothermophilus)由来、林原生物化
学研究所製)を1,400単位添加して混合し、反応温
度60℃で18時間反応させ、高度グリコシル化化合物
を合成した。18時間の反応後、反応液を100℃で1
5分間煮沸してCGTaseを失活させ、99.5%エ
タノール(ナカライ社製)を2倍量加えてグルカン混合
物を沈澱させた。この沈澱物を遠心分離によって除去し
て上清を得た。この上清をエバポレーターにかけてエタ
ノールを除去した。
【0175】この溶液にβ−アミラーゼ(大豆由来、阪
急バイオインダストリー社製)を加えて混合し、40℃
で16時間反応させて、合成されたグリコシル化羅漢果
配糖体から、付加した糖残基を部分分解した。16時間
の反応後、反応液をHPLCにかけてクロマトグラムを
得た。
【0176】得られたクロマトグラムを図2に示す。図
2では、横軸はピークの高さを示し、縦軸はリテンショ
ンタイムを示す。ピークの近傍の数字は、ピークの出現
したリテンションタイムを示す。各ピークに含まれる成
分の分子量をLCマスによって測定し、グルコース残基
の結合数を決定した。
【0177】リテンションタイム4.5分付近に羅漢果
配糖体の主成分(Mogroside V)のピークが
確認された。それ以降、6分付近に、モグロサイドVに
グルコースが1残基結合したグリコシル化物のピーク
が、8分付近に、モグロサイドVにグルコースが2残基
結合したグリコシル化物のピークが、11分付近に、モ
グロサイドVにグルコースが3残基結合したグリコシル
化物のピークが、そして15分付近に、モグロサイドV
にグルコースが4残基結合したグリコシル化物のピーク
が、それぞれ確認された。
【0178】図2から、部分分解グリコシル化羅漢果配
糖体が生成し、糖付加数によりHPLC分離されている
ことが明らかである。
【0179】<実施例5:甘味強度の測定> (1)グリコシル化羅漢果配糖体の合成 羅漢果配糖体(羅漢果配糖体としてモグロサイドVを約
30%(w/v)含む羅漢果配糖体含有組成物;中国桂
林思特技術公司より入手)15gおよびデンプン(溶
性、1級、関東化学社製)7.5gを、50mM酢酸緩
衝液(pH6.0)で50mLに調製し、CGTase
酵素(商品名;THERMOPHILICCGTas
e、起源;Bacillus stearotherm
ophoilus、1,400単位/g)1mLを加
え、60℃で18時間反応させて、グリコシル化羅漢果
配糖体を合成した。次いで、この反応液を熱処理してC
GTaseを失活させた後、10,000rpmにて、
20分間遠心分離を行い、上清液をODSカラム(Or
gano、φ30mm×450mm)にチャージし、脱
イオン水を用いて500mLを溶出して不純物を除去し
た後、水(0v/v%エタノール)から60v/v%エ
タノールへの直線濃度勾配のエタノール/水を用いて3
Lの溶出液を得て、この溶出液を凍結乾燥して、粉体の
グリコシル化羅漢果配糖体を得た。
【0180】(2)部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
の合成 羅漢果配糖体(羅漢果配糖体としてモグロサイドVを約
30%(w/v)含む羅漢果配糖体含有組成物;中国桂
林思特技術公司より入手)15gおよびデンプン(溶
性、1級、関東化学社製)7.5gを50mM酢酸緩衝
液(pH6.0)で50mLに調製し、CGTase酵
素(商品名;THERMOPHILICCGTase、
起源;Bacillus stearothermop
hoilus、1,400単位/g)1mLを加え、6
0℃で18時間反応させて、グリコシル化羅漢果配糖体
を合成した。次いで、この反応液を熱処理してCGTa
se酵素を失活させた後、エタノール(試薬特級、Na
karai社製)100mLを加え、デンプンを沈澱さ
せ、10,000rpmにて、20分間遠心分離を行っ
た。上清液を回収し、エバポレーターにかけてエタノー
ルを除去し、全量が40mLになるまで濃縮した。この
濃縮した溶液40mLに分解酵素(商品名:β−アミラ
ーゼ#1500S、ナガセケムテックス株式会社製、1
5,000AUN/g)20mgを加え、40℃で16
時間反応させて、部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を
合成した。この反応液を熱処理して分解酵素を失活させ
た後、この反応液をODSカラム(Organo、φ3
0mm×450mm)にチャージし、脱イオン水を用い
て1.5Lを溶出して不純物を除去した後、水(0v/
v%エタノール)から60v/v%エタノールへの直線
濃度勾配のエタノール/水を用いて3Lの溶出液を得
て、この溶出液を凍結乾燥して、粉体の部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0181】(3)グリコシル化羅漢果配糖体および部
分分解グリコシル化羅漢果配糖体の甘味強度の測定 それぞれ、上記(1)および(2)で得たグリコシル化
羅漢果配糖体および部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
の甘味強度を以下の方法で測定した。健常被験者12名
(男性6名、女性6名、平均年齢31.2歳)を用い、
10%のショ糖水溶液を対象として、グリコシル化羅漢
果配糖体または部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を試
飲して甘味強度の相対評価を行い、ショ糖の甘味強度を
1とした場合の各サンプルの甘味強度を求めた。
【0182】その結果、10%ショ糖水溶液と同等の甘
味強度を得るために必要なグリコシル化羅漢果配糖体水
溶液の濃度は0.141重量%であり、部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体水溶液の濃度は0.056重量%で
あった。したがって、グリコシル化羅漢果配糖体の甘味
強度はショ糖の約70倍、部分分解グリコシル化羅漢果
配糖体はショ糖の約180倍の甘味強度を有することが
分かった。
【0183】<比較例1:羅漢果配糖体の甘味強度の測
定>実施例5と同様に、羅漢果配糖体(羅漢果配糖体と
してモグロサイドVを約30%(w/v)含む羅漢果配
糖体含有組成物;中国桂林思特技術公司より入手)の甘
味強度を測定した。その結果、10%ショ糖水溶液と同
等の甘味強度を得るために必要な羅漢果配糖体水溶液の
濃度は0.047重量%であった。したがって、羅漢果
配糖体はショ糖の約210倍の甘味強度を有する。
【0184】
【表4】 <実施例6および比較例2>以下に示す方法により、各
種甘味料水溶液を調製した。
【0185】<実施例6:グリコシル化羅漢果配糖体お
よび部分分解グリコシル化羅漢果配糖体水溶液の調製>
容量50mLのガラス製ビーカーに、上記実施例5の
(1)および(2)で得たグリコシル化羅漢果配糖体お
よび部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を、それぞれ
0.1重量%となるように調製して、グリコシル化羅漢
果配糖体水溶液および部分分解グリコシル化羅漢果配糖
体水溶液を得た。
【0186】<比較例2:羅漢果配糖体水溶液の調製>
実施例6と同様に、羅漢果配糖体水溶液を0.1重量%
となるように調製した。
【0187】<実験例1:甘味料水溶液の評価>健常被
験者10名(男性5名、女性5名、平均年齢31.4
歳)によって、実施例2および比較例2で得られた甘味
料水溶液について6要素の味覚に対して官能試験を実施
した。ショ糖水溶液を基準溶液として、各種甘味料水溶
液(グリコシル化羅漢果配糖体水溶液または部分分解グ
リコシル化羅漢果配糖体水溶液または羅漢果配糖体水溶
液)を試飲し、「苦み、後引き、しつこさ、く
せ、渋味、すっきり感」のそれぞれについて7段階
の点数(0点〜6点)で評価した。評価点数は、「ショ
糖溶液よりもきわめて優れている」を0点、「ショ糖溶
液よりもかなり優れている」を2点、「ショ糖溶液より
もやや優れている」を2点、「ショ糖溶液と同等であ
る」を3点、「ショ糖溶液よりもやや劣っている」を4
点、「ショ糖溶液よりもかなり劣っている」を5点、
「ショ糖溶液よりもきわめて劣っている」を6点とし
た。したがって、ショ糖の甘味質の評価点数は全ての要
素において3.0となる。
【0188】さらに、各要素別に得られた評価点数を基
にしてレーダーチャートを作成した。すなわち、評価し
た6要素の味覚を6本の軸で表し、10人の被験者の評
価点数の平均値をこの軸上にそれぞれプロットし、この
プロットを直線で結んで6角形を描いた。また、6要素
のいずれもプロットした点が内側に来るほど甘味質が優
れており、逆に外側に来るほど甘味質は劣っていること
を意味する。
【0189】各サンプルの各被験者による評価点数と、
それらの平均値を以下の表とグラフに示した。
【0190】
【表5】 上記の表および図4から明らかなように、比較例2の羅
漢果配糖体水溶液では、ほとんどの要素において評価点
数は4.0以上となっているが、グリコシル化羅漢果配
糖体水溶液の評価点数は全ての要素において約4.0を
示し、羅漢果配糖体と比較して、優れた甘味質を示すこ
とが分かった。また、部分分解グリコシル化羅漢果配糖
体水溶液の評価点数は全ての要素において3.1〜3.
5とショ糖に類似した評価が得られ、部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体はグリコシル化羅漢果配糖体より、さ
らに優れた甘味質を示すことが分かった。
【0191】<実施例7>実施例4と同様にして多量の
部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLCを
行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を確
認し、化合物番号1の構造を有する部分分解グリコシル
化羅漢果配糖体を得た。
【0192】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0193】<実施例8>実施例4と同様にして多量の
部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLCを
行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を確
認し、化合物番号2の以下の構造を有する部分分解グリ
コシル化羅漢果配糖体を得た。
【0194】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0195】<実施例9>実施例4と同様にして多量の
部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLCを
行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を確
認し、化合物番号3の構造を有する部分分解グリコシル
化羅漢果配糖体を得た。
【0196】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0197】<実施例10>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号4の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0198】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0199】<実施例11>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号5の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0200】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0201】<実施例12>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号6の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0202】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0203】<実施例13>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号7の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0204】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0205】<実施例14>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号8の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0206】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0207】<実施例15>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号9の構造を有する部分分解グリコシ
ル化羅漢果配糖体を得た。
【0208】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0209】<実施例16>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号10の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0210】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0211】<実施例17>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号11の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0212】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0213】<実施例18>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号12の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0214】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0215】<実施例19>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号13の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0216】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0217】<実施例20>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号14の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0218】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0219】<実施例21>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号15の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0220】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0221】<実施例22>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号16の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0222】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0223】<実施例23>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号17の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0224】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0225】<実施例24>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号18の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0226】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0227】<実施例25>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号19の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0228】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0229】<実施例26>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号20の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0230】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0231】<実施例27>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号21の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0232】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0233】<実施例28>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号22の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0234】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0235】<実施例29>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号23の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0236】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0237】<実施例30>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号24の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0238】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0239】<実施例31>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号25の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0240】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0241】<実施例32>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号26の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0242】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0243】<実施例33>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号27の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0244】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0245】<実施例34>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号28の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0246】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0247】<実施例35>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号29の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0248】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0249】<実施例36>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号30の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0250】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0251】<実施例37>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号31の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0252】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0253】<実施例38>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号32の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0254】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0255】<実施例39>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号33の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0256】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0257】<実施例40>実施例4と同様にして多量
の部分分解グリコシル化羅漢果配糖体を得た。HPLC
を行った後、NMRおよびMASSスペクトルで構造を
確認し、化合物番号34の構造を有する部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体を得た。
【0258】この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体
を、実施例6と同様の方法で甘味質について評価した。
その結果、この部分分解グリコシル化羅漢果配糖体が、
羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、後引き、しつ
こさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅に改善された
優れた甘味質を有することがわかった。
【0259】
【発明の効果】本発明により、デンプンなどの糖供与体
基質にシクロデキストリン合成酵素などの糖転移酵素を
作用させて、糖転移反応によりグリコシル化羅漢果配糖
体を非常に効率よくかつ安価に製造する方法およびそれ
を糖質分解酵素などにより部分分解した部分分解グリコ
シル化羅漢果配糖体の製造が提供される。
【0260】本発明により、苦味、後引き、しつこさ、
くせ、渋みおよびすっきり感の味質項目において改善さ
れ、やわらかで低刺激性の味質となる羅漢果配糖体の味
質の大幅な改善方法および当該新規グリコシル化羅漢果
配糖体類が提供される。
【0261】本発明により得られる配糖体あるいはそれ
を含有する糖質は、食品、医薬品、化粧品等への高甘味
度甘味料として利用できる。本発明のグリコシル化羅漢
果配糖体は、羅漢果配糖体の味質と比較して特に苦味、
後引き、しつこさ、くせ、渋みおよびすっきり感が大幅
に改善された。
【0262】本発明の高度グリコシル化化合物は、卓上
甘味剤、飲料、菓子類、調味料などの食品、医薬品、化
粧品などへの添加剤として利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、グリコシル化羅漢果配糖体および部分
分解グリコシル化羅漢果配糖体の工業的製造方法の概略
図である。
【図2】図2は、CGTaseおよびβ−アミラーゼ酵
素処理後の羅漢果配糖体溶液の高速液体クロマトグラム
である。
【図3】図3は、ショ糖の甘味強度を1としたときの、
グリコシル化羅漢果配糖体および部分分解グリコシル化
羅漢果配糖体の甘味強度を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例6および比較例2の結果を示す
レーダーチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08B 37/00 C08B 37/00 G 4C090 C12P 33/00 C12P 33/00 4C091 (72)発明者 吉川 慎一 大阪府南河内郡美原町阿弥474−2 (72)発明者 中村 愛美 大阪府泉大津市末広町2丁目4番7号 (72)発明者 北畑 寿美雄 大阪府泉南郡熊取町美熊代1−1−6 (72)発明者 中野 博文 大阪府豊中市服部西町3−15−20 (72)発明者 木曽 太郎 奈良県奈良市疋田町5−250−7 (72)発明者 静間 基博 大阪府大阪市中央区谷町6−3−4 Fターム(参考) 4B018 MD42 MD61 ME01 MF12 4B047 LB06 LB08 LG31 LG37 LP18 4B064 AH07 CA21 DA07 DA10 4C076 AA36 BB02 DD70 EE30 FF52 4C083 AA111 AD221 AD391 AD491 CC13 CC41 EE06 EE31 4C090 AA02 AA05 AA08 AA09 BA06 BB12 BB32 BB33 BB34 BB36 BB38 BB52 BB75 BB92 BC10 BD41 CA42 CA43 DA11 DA22 DA26 4C091 AA01 BB06 CC01 DD01 EE06 FF02 FF06 GG01 HH04 JJ03 KK12 LL03 LL06 MM03 NN01 PA02 PA07 PB05 QQ01 RR13

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 羅漢果配糖体に1個以上のグルコース残
    基がα結合している、高度グリコシル化化合物。
  2. 【請求項2】 前記グルコース残基の数が1〜45個で
    ある、請求項1に記載の高度グリコシル化化合物。
  3. 【請求項3】 前記グルコース残基の数が1〜15個で
    ある、請求項1に記載の高度グリコシル化化合物。
  4. 【請求項4】 以下からなる群より選択される、請求項
    1に記載の高度グリコシル化化合物: 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】
  5. 【請求項5】 モグロサイドVに1個以上のグルコース
    残基がα結合している、請求項1に記載の高度グリコシ
    ル化化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の高度グリコシル化化合
    物を含有する、食品用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の高度グリコシル化化合
    物を含有する、甘味料。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の高度グリコシル化化合
    物を含有する、医薬品用組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の高度グリコシル化化合
    物を含有する、医薬部外品用組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の高度グリコシル化化
    合物を含有する、化粧品用組成物。
  11. 【請求項11】 高度グリコシル化化合物の製造方法で
    あって、該方法は、羅漢果配糖体を、α−グルカンおよ
    び糖転移酵素と接触させて、高度グリコシル化化合物を
    得る工程を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 前記糖転移酵素が、シクロデキストリ
    ン合成酵素である、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記羅漢果配糖体が、モグロサイドV
    である、請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の方法によって得ら
    れる、高度グリコシル化化合物。
  15. 【請求項15】 羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース
    残基がα結合している高度グリコシル化化合物の製造方
    法であって、該方法は、 羅漢果配糖体を、α−グルカンおよび糖転移酵素と接触
    させて、羅漢果配糖体に5個以上のグルコース残基がα
    結合している高度グリコシル化化合物を得る工程、およ
    び該羅漢果配糖体に5個以上のグルコース残基がα結合
    している高度グリコシル化化合物に糖質分解酵素を接触
    させて、羅漢果配糖体に1〜4個のグルコース残基がα
    結合している高度グリコシル化化合物を得る工程を包含
    する、方法。
  16. 【請求項16】 前記糖質分解酵素が、グルコアミラー
    ゼ、β−アミラーゼおよびα−アミラーゼからなる群よ
    り選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記羅漢果配糖体が、モグロサイドV
    である、請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項15に記載の方法によって得ら
    れる、1〜4個のグルコース残基がα結合した高度グリ
    コシル化化合物。
  19. 【請求項19】 羅漢果配糖体を含む甘味料の味質改善
    方法であって、該甘味料を、α−グルカンおよび糖転移
    酵素と接触させる工程を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の方法によって得ら
    れた、味質の改善された甘味料。
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