JP2003246706A - チオシアネート系水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料 - Google Patents

チオシアネート系水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料

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JP2003246706A
JP2003246706A JP2002047100A JP2002047100A JP2003246706A JP 2003246706 A JP2003246706 A JP 2003246706A JP 2002047100 A JP2002047100 A JP 2002047100A JP 2002047100 A JP2002047100 A JP 2002047100A JP 2003246706 A JP2003246706 A JP 2003246706A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の水中生物付着防止剤に代わる、重金属
を含まない安全で有効な水中生物付着防止剤および水中
生物付着防止塗料を提供することを目的とする。 【解決手段】 式(VIII)〜(XIII)(式中、
nは1〜12の整数を示す)のいずれかで示される、モ
ノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルを含有するこ
とを特徴とする水中生物付着防止剤、および水中生物付
着防止塗料。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貝類などの有害な
水中生物が付着するのを防止するための水中生物付着防
止剤および水中生物付着防止塗料に関する。とくに、船
舶の船底部、漁網、ブイなどの海水中に置かれる設備、
火力もしくは原子力発電所および各種工業の冷却用水の
取水路、海洋構築物、水中構築物または貯水池などに水
中生物が付着することを防止するために用いる水中生物
付着防止剤および水中生物付着防止塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶の船底部、ブイやオイルフェンスな
どの海水中に置かれる設備、養殖または定置用漁網、橋
脚や水門などの海洋構築物、火力または原子力発電所の
復水器冷却水系、化学工業の熱交換器冷却用水の取水
路、ダムの付属設備などの水中構築物、貯水池など、常
時海水や淡水と接触する部分には、ムラサキガイ、フジ
ツボ、カキ、ヒドロムシ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コ
ケムシ、タニシなどの水棲動物およびアオサ、アオノ
リ、シオミドロなどの藻類が付着繁殖する。
【0003】これら水中生物の船舶への付着は、流体抵
抗の増加を引き起こし、その結果、航行速度の低下、消
費燃料の増加、さらに船底の清掃費用などの損失を招
く。また、これらの水中生物が養殖網に付着した場合、
海水の流通が低下し、養殖魚の発育阻害や魚病の多発を
招く。
【0004】海洋設備、海洋および水中構築物への水中
生物の付着は、重量増加や操作上の著しい不都合を生
じ、美観も損ねる。取水路への付着は、取水路の閉塞に
よる取水量の減少などがおこり、さらに熱伝導度の低下
などの問題も生じる。従来、これらの海水および淡水水
中生物の付着繁殖を防止するため、有機スズ化合物また
は亜酸化銅などを含有する水中生物付着防止塗料が使用
されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、重金属や有害化
合物による、海洋、河川などの水質汚濁や、汚染物によ
る人体への悪影響が懸念されている。このような観点か
ら、水中生物付着防止剤についても規制の対象となって
いる物質が多く、とくに有機スズ化合物は厳しく規制さ
れている。本発明は、これら従来の水中生物付着防止剤
に代わる、重金属を含まない安全で有効な水中生物付着
防止剤および水中生物付着防止塗料を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水中生物
付着防止剤として、より有効で環境に優位な化合物を開
発すべく鋭意研究を重ねた結果、モノテルペン誘導体の
チオシアン酸エステルが水中生物の付着防止に対して有
効であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、式(I)
【0008】
【化11】
【0009】(式中、nは1〜12の整数を、Rは
【0010】
【化12】
【0011】のいずれかを示す)で示されるモノテルペ
ン誘導体のチオシアン酸エステルを含有することを特徴
とする水中生物付着防止剤に関する。
【0012】本発明は、また、式(I)で示されるモノ
テルペン誘導体のチオシアン酸エステルを含有する水中
生物付着防止塗料に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水中生物付着防止剤は、
有効成分として、式(I)で示される化合物(モノテル
ペン誘導体のチオシアン酸エステル)を含有する。式
(I)で示される化合物中のメチレン基の数nは1〜1
2、好ましくは6〜12の整数である。nが13以上の
チオシアン酸エステルは、合成が困難である。
【0014】式(I)で示される化合物は、モノテルペ
ンにメチレン側鎖を形成したのちにチオシアン酸塩を反
応させることにより製造することができる。たとえば、
水酸基含有モノテルペンに、1,n−ジハロゲノアルカ
ンを反応させることにより、メチレン側鎖を形成するこ
とができる。たとえば、水酸基含有モノテルペンの水酸
基を強アルカリでイオン化することにより、1,n−ジ
ハロゲノアルカンと反応させることができる。水酸基含
有モノテルペン類に1,n−ジハロゲノアルカンを反応
させてメチレン側鎖を形成したモノテルペン誘導体にチ
オシアン酸塩を反応させることにより、式(I)で示さ
れる化合物を製造することができる。
【0015】水酸基含有モノテルペンとしては、ゲラニ
オール、β−シトロネロール、リナロール、メントー
ル、α−テルピネオールまたはボルネオールを使用す
る。
【0016】水酸基含有モノテルペンとして、ゲラニオ
ールを使用することにより、式(VIII)で示される
チオシアン酸エステルを、β−シトロネロールを使用す
ることにより、式(IX)で示されるチオシアン酸エス
テルを、リナロールを使用することにより、式(X)で
示されるチオシアン酸エステルを、メントールを使用す
ることにより、式(XI)で示されるチオシアン酸エス
テルを、α−テルピネオールを使用することにより、式
(XII)で示されるチオシアン酸エステルを、ボルネ
オールを使用することにより、式(XIII)で示され
るチオシアン酸エステルを製造することができる。
【0017】
【化13】
【0018】1,n−ジハロゲノアルカンとしては、
1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、
1,6−ジブロモヘキサン、1,10−ジブロモデカ
ン、1,12−ジブロモドデカンなどのジブロモアルカ
ン、1,10−ジクロロデカンなどのジクロロアルカン
をあげることができる。1,n−ジハロゲノアルカンの
nは、1〜12の整数を示し、アルキレン基の炭素数、
すなわち、得られるチオシアン酸エステルのメチレン基
の数nに相当する。
【0019】強アルカリとしては、ナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類
金属、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、
酸化銀などの塩基性金属酸化物などをあげることができ
る。
【0020】チオシアン酸塩としては、たとえば、チオ
シアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシア
ン酸リチウムなどのチオシアン酸のアルカリ金属塩など
を用いることができる。
【0021】水酸基含有モノテルペンのイオン化を行な
うときには、反応溶媒を使用しなくてもよいし、反応溶
媒を使用することもできる。反応溶媒としては、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用
いることができる。反応温度は、溶媒の沸点以上、通
常、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜7
5℃とすることができる。0℃未満では、水酸基含有モ
ノテルペンのイオン化が起こりにくくなり、100℃を
こえると、副反応が起こりやすくなる。
【0022】イオン化した水酸基含有モノテルペンに
1,n−ジハロゲノアルカンを添加してメチレン側鎖の
導入を行なう反応には、メタノール、エタノールなどの
アルコールを溶媒として用いることができる。反応温度
は、溶媒の沸点以下、通常、好ましくは0〜100℃、
より好ましくは20〜80℃である。0℃未満では、イ
オン化した水酸基含有モノテルペンと1,n−ジハロゲ
ノアルカンとの反応が起こりにくくなり、100℃をこ
えると、副反応が起こりやすくなるからである。反応溶
媒として使用するメタノールおよびエタノールの沸点を
反応温度とすることが好ましい。
【0023】水酸基含有モノテルペンに1,n−ジハロ
ゲノアルカンを反応させてメチレン側鎖を形成したモノ
テルペン誘導体とチオシアン酸塩との反応は、反応溶媒
中で行なうことができる。反応溶媒としては、アセトン
などのケトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのア
ミドを用いることができる。反応温度は、溶媒の沸点以
下、通常、好ましくは−60〜180℃、より好ましく
は20〜80℃とすることができる。−60℃未満で
は、メチレン側鎖を形成したモノテルペン誘導体とチオ
シアン酸塩との反応が起こりにくくなり、180℃をこ
えると、副反応が起こりやすくなる。反応溶媒としてア
セトンを使用するときには、アセトンの沸点を反応温度
とすることが好ましい。
【0024】得られた式(I)で示される化合物は、カ
ラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなど
を用いて精製することができる。
【0025】本発明の水中生物付着防止剤には、式
(I)で示される化合物が1種または2種以上含有され
る。本発明の水中生物付着防止剤には、式(I)で示さ
れる化合物を0.001〜50重量%含有することが可
能である。少ないと、効果が少なく付着生物による汚染
を受けやすい傾向があり、多いと、付着物に対する効果
があまり増大しない傾向があり、式(I)で示される化
合物を0.01〜10重量%含有することが好ましく、
1〜10重量%含有することがより好ましい。
【0026】本発明の水中生物付着防止剤は、式(I)
で示される化合物以外の他の成分を含有することができ
る。本発明の水中生物付着防止剤は、他の成分として、
水中生物付着防止剤の有効成分として作用する化合物を
含有することができる。式(I)で示される化合物以外
の水中生物付着防止剤の有効成分として作用する化合物
としては、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸第一銅、硫酸
銅、硫酸亜鉛、硫酸ニッケルなどの無機化合物;オキシ
ン銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、銅ピリチオンなどの有機
銅系化合物;酢酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン
酸ニッケルなどの有機ニッケル系化合物;酢酸亜鉛、カ
ルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ
ンクピリチオンなどの有機亜鉛系化合物;N−トリクロ
ロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロロメチ
ルチオフタルイミドなどのN−トリハロメチルチオフタ
ルイミド;ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフ
ィド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エ
チレンビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウムなどの
ジチオカルバミン酸;N−(2,4,6−トリクロロフ
ェニル)マレイミド、N−4−トリルマレイミド、N−
3−クロロフェニルマレイミドなどのN−アリールマレ
イミド;3−ベンジリデンアミノ−1,3−チアゾリジ
ン−2,4−ジオン、3−(4−メチルベンジリデンア
ミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンなどの
3−置換アミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオ
ン;ジチオシアノメタン、ジチオシアノエタン、2,5
−ジチオシアノチオフェンなどのジチオシアノ系化合
物;2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シク
ロプロピルアミノ−s−トリアジンなどのトリアジン系
化合物;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニト
リル、N,N−ジメチル−N’−ジクロロフェニル尿
素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−イソチアゾ
リン−3−オン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−
(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テ
トラメチルチウラムジスルフィド、3−ヨード−2−プ
ロピニルブチルカルバメート、2−(メトキシカルボニ
ルアミノ)ベンズイミダゾール、2,3,5,6−テト
ラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、ジヨ
ードメチルパラトリルスルホン、フェニル(ビスピリジ
ン)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)ベ
ンズイミダゾール、ピリジントリフェニルボランなどを
使用することができる。
【0027】本発明の水中生物付着防止剤は、塗料の形
態(水中生物付着防止塗料)、溶液の形態、乳剤の形態
などの各種の形態に調製することができる。本発明の水
中生物付着防止剤は、その形態に応じて、各種の他の成
分を含有することができる。各形態の水中生物付着防止
剤の調製は、通常行なわれる一般的な処方にて行なうこ
とができる。
【0028】たとえば、本発明の水中生物付着防止塗料
は、式(I)で示される化合物を塗料に含有させること
により得られる。本発明の水中生物付着防止塗料は、式
(I)で示される化合物以外の他の成分として、塗膜形
成成分、顔料、添加剤、溶剤などを含むことができる。
【0029】塗膜形成成分としては、アマニ油などの油
類、ロジンなどの天然樹脂、塩化ビニルなどの合成樹脂
をあげることができる。顔料としては、チタン白、亜鉛
華、ベンガラなどの着色顔料、亜鉛末、鉛丹などの錆止
め顔料、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウ
ムなどの体質顔料、アルミニウムペースト、亜酸化銅、
ガラスビーズ、マイカなどの特殊機能顔料をあげること
ができる。添加剤としては、アルキルアミン、ジブチル
フタレート、ジエチルフタレート、ステアリン酸亜アル
ミニウム、ベントナイト、メチルセルロース、シリコー
ン、界面活性剤、ナフテン酸金属石鹸などをあげること
ができる。溶剤としては、石油系混合溶剤、ミネラルス
ピリット、トルエン、キシレン、エタノール、ブタノー
ル、イソプロパノール、セロソルブ、ケトン、エステ
ル、水などをあげることができる。
【0030】本発明の水中生物付着防止塗料は、式
(I)で示される化合物を0.001〜50重量%含有
することが可能である。少ないと、効果が少なく付着生
物による汚染を受けやすい傾向があり、多いと、付着物
に対する効果があまり増大しない傾向があり、式(I)
で示される化合物を0.01〜10重量%含有すること
が好ましく、1〜10重量%含有することがより好まし
い。
【0031】本発明の溶液の形態に調製した水中生物付
着防止剤は、たとえば、式(I)で示される化合物を塗
膜形成剤に配合することにより、調製することができ
る。塗膜形成剤としては、たとえば、キシレン、トルエ
ン、メチルエチルケトン、メタノールなどを使用するこ
とができる。溶液の形態に調製した水中生物付着防止剤
は、式(I)で示される化合物を0.001〜50重量
%含有することが可能である。少ないと、効果が少なく
付着生物による汚染を受けやすい傾向があり、多いと、
付着物に対する効果があまり増大しない傾向があり、式
(I)で示される化合物を0.01〜10重量%含有す
ることが好ましく、1〜10重量%含有することがより
好ましい。
【0032】本発明の乳剤の形態に調製した水中生物付
着防止剤は、溶媒中に式(I)で示される化合物を溶解
させ、さらに界面活性剤を添加する常法により調製する
ことができる。溶媒としては、キシレン、トルエン、メ
チルエチルケトン、メタノールなどを使用することがで
きる。界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、
陽イオン性および両イオン性のものを適宜使用すること
ができる。たとえば、アルキルフェノール、高級アルコ
ール、アルキルナフトール、高級脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、ジアルキルリン酸アミンなどに対してエチレンオキ
シドおよび/またはプロピレンオキシドを重合させたも
の;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステ
ル塩;2−エチルヘキセンスルホン酸ナトリウムなどの
アルキルスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムなどのアリールスルホン酸塩などを使用するこ
とができる。
【0033】乳剤の形態に調製した水中生物付着防止剤
は、式(I)で示される化合物を、好ましくは0.00
1〜50重量%、より好ましくは0.01〜10重量%
含有することができる。0.01重量%未満では、付着
生物により汚染をうけやすい傾向があり、10重量%を
こえても、付着生物に対する効果があまり増大しない傾
向がある。
【0034】本発明の水中生物付着防止剤は、船舶の船
底部、漁網、ブイなどの海水中に置かれる設備、火力も
しくは原子力発電所および各種工業の冷却用水の取水
路、海洋構築物、水中構築物または貯水池などに用いる
ことができ、貝類などの有害な水中生物が付着するのを
防止することができる。
【0035】本発明の水中生物付着防止塗料を、水中生
物の付着を防止する必要のある適用対象に、塗布して、
塗膜を形成させることにより、適用対象に対する水中生
物の付着を防止することができる。
【0036】本発明の溶液または乳剤の形態に調製した
水中生物付着防止剤は、水中生物の付着を防止する必要
のある適用対象、とくに、養殖魚網、定置魚網などに塗
布することにより、水中生物の付着を防止することがで
きる。
【0037】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を説
明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではな
い。
【0038】実施例1 <モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルの製造>
冷却管、温度計および攪拌機を設置した三口フラスコに
ゲラニオール88mlおよびジエチルエーテル50ml
を仕込み、そこに細かく切断したナトリウム10gを加
えた。そこに、ヨウ化カリウム2gを添加したのち、
1,10−ジブロモデカン100mlを約1時間かけて
滴下し、さらに、エタノール300mlを約3時間かけ
て滴下し、環流条件下にて10時間反応させた。反応物
を、エーテル抽出したのち、カラムクロマトグラフィー
によって精製し、中間体(モノテルペン誘導体)(1)
を60g得た。
【0039】同様の装置に中間体1を50g、チオシア
ン酸カリウム15gおよびN,N−ジメチルホルムアミ
ド200mlを仕込み、80℃にて25時間反応させ
た。反応生成物を、エーテル抽出したのち、カラムクロ
マトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体の
チオシアン酸エステル(1)を39g得た。
【0040】<水中生物付着防止塗料の製造>チオシア
ン酸エステル(1)を用いて、表2に示す配合割合によ
り本発明の水中生物付着防止塗料を調製した。
【0041】<水中生物付着防止性能の評価>前記水中
生物付着防止塗料をFRP(ガラス繊維強化ポリエステ
ル)板(150mm×300mm)の両面に、乾燥膜厚
が70μmになるように刷毛塗りして試験板を作製し
た。この試験板を、兵庫県赤穂市坂越沖に設置したテス
ト用の筏から深度1.0mの海中に浸漬し、試験板表面
の生物の付着状況を定期的に調査した。4ヶ月後および
6ヶ月後の調査結果を表3に示す。コントロールとし
て、水中生物付着防止塗料を使用しなかった場合の結果
を示す。
【0042】なお、水中生物付着防止性能の評価は、目
視によって塗膜面積の付着生物による被覆率を6段階で
評価した。数字が大きいほど被覆率が小さいことを示
す。すなわち、表3中、「5」は汚損生物の付着がなか
ったこと、「4」は汚損生物の付着(被覆率)が5%以
下であったこと、「3」は6〜10%であったこと、
「2」は11〜25%であったこと、「1」は26〜5
0%であったこと、「0」は51%以上であったことを
示す。
【0043】実施例2〜9 実施例1と同様の装置に、表1に示す所定量の各モノテ
ルペン(A)およびジエチルエーテル50mlを仕込
み、そこに細かく切断したナトリウム10gを加えた。
そこに、ヨウ化カリウム2gを添加したのち、表1に示
す所定量の各ジブロモアルカン(B)を約1時間かけて
滴下し、さらに、エタノール300mlを約3時間かけ
て滴下し、環流条件下にて10時間反応させた。反応物
を、エーテル抽出したのち、カラムクロマトグラフィー
によって精製し、中間体(モノテルペン誘導体)(2)
〜(9)を得た。得られた各中間体の収量を表1に示
す。
【0044】同様の装置に中間体(2)〜(9)を50
g、表1に示す量のチオシアン酸カリウム(C)および
N,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、8
0℃にて25時間反応させた。反応生成物を、エーテル
抽出したのち、カラムクロマトグラフィーによって精製
し、、モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル
(2)〜(9)を得た。得られたチオシアン酸エステル
(2)〜(9)の収量を表1に示す。
【0045】ついで、得られたチオシアン酸エステル
(2)〜(9)を用いて、表2に示す配合割合により本
発明の水中生物付着防止塗料を調製し、実施例1と同様
にして水中生物付着防止性能の評価を行なった。結果を
表3に示す。
【0046】比較例1 実施例1におけるチオシアン酸エステルに代えて亜酸化
銅を用いて、表2に示す配合割合にて塗料を調製し、実
施例1と同様にして水中生物付着防止性能の評価を行な
った。結果を表3に示す。
【0047】比較例2 市販の水中生物付着防止剤(ピリジントリフェニルボラ
ン)を用いて表2に示す配合割合にて塗料を調製し、実
施例1と同様にして水中生物付着防止性能の評価を行な
った。結果を表3に示す。
【0048】実施例10 実施例1と同様の装置に、ゲラニオール88mlおよび
ジエチルエーテル50mlを仕込み、そこに細かく切断
したナトリウム10gを加えた。そこに、ヨウ化カリウ
ム2gを添加したのち、1,2−ジブロモエタン50m
lを約1時間かけて滴下し、さらに、エタノール300
mlを約3時間かけて滴下し、環流条件下にて10時間
反応させた。反応物を、エーテル抽出したのち、カラム
クロマトグラフィーによって精製し、中間体(モノテル
ペン誘導体)(10)を53g得た。
【0049】同様の装置に中間体(10)を50g、チ
オシアン酸カリウム20gおよびN,N−ジメチルホル
ムアミド200mlを仕込み、80℃にて25時間反応
させた。反応生成物を、エーテル抽出したのち、カラム
クロマトグラフィーによって精製し、、モノテルペン誘
導体のチオシアン酸エステル(10)を41g得た。
【0050】ついで、得られたチオシアン酸エステル
(10)を用いて、表2に示す配合割合により本発明の
水中生物付着防止塗料を調製し、実施例1と同様にして
水中生物付着防止性能の評価を行なった。性能評価の結
果は、4ヶ月後が「3」、6ヶ月後が「2」であった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】表3に示す結果からも明らかなように、チ
オシアン酸エステル(1)〜(9)を用いた水中生物付
着防止塗料(実施例1〜9)は、比較例1および2の塗
料と同等以上の高い水中生物付着防止性能を有すること
が確認された。実施例9で調製した塗料の性能は、亜酸
化銅を使用した比較例1とほぼ同等であったが、比較例
1に使用した亜酸化銅は、重金属化合物であり、その溶
出物が海洋環境に悪影響を与えるものと考えられる。
【0055】
【発明の効果】本発明の水中生物付着防止剤、とくに水
中生物付着防止塗料は、水中生物付着防止性能が高く、
たとえば、船舶の船底部、漁網、ブイ、水門、冷却用水
の取水配水管などの海中構築物に対する水中生物による
汚損を防止するためにきわめて有用である。しかも、本
発明の水中生物付着防止剤は、海洋環境に与える負荷が
少ない。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、nは1〜12の整数を、Rは 【化2】 のいずれかを示す)で示されるモノテルペン誘導体のチ
    オシアン酸エステルを含有することを特徴とする水中生
    物付着防止剤。
  2. 【請求項2】 前記チオシアン酸エステルが式(VII
    I) 【化3】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  3. 【請求項3】 前記チオシアン酸エステルが式(IX) 【化4】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  4. 【請求項4】 前記チオシアン酸エステルが式(X) 【化5】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  5. 【請求項5】 前記チオシアン酸エステルが式(XI) 【化6】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  6. 【請求項6】 前記チオシアン酸エステルが式(XI
    I) 【化7】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  7. 【請求項7】 前記チオシアン酸エステルが式(XII
    I) 【化8】 で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  8. 【請求項8】 式(I) 【化9】 (式中、nは1〜12の整数を、Rは 【化10】 のいずれかを示す)で示されるモノテルペン誘導体のチ
    オシアン酸エステルを含有することを特徴とする水中生
    物付着防止塗料。
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