JP2003239013A - アルミニウム合金製ドームの熱処理方法および熱処理用冷却治具 - Google Patents

アルミニウム合金製ドームの熱処理方法および熱処理用冷却治具

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JP2003239013A
JP2003239013A JP2002041682A JP2002041682A JP2003239013A JP 2003239013 A JP2003239013 A JP 2003239013A JP 2002041682 A JP2002041682 A JP 2002041682A JP 2002041682 A JP2002041682 A JP 2002041682A JP 2003239013 A JP2003239013 A JP 2003239013A
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dome
cooling water
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Takahiro Ota
高裕 太田
Kenichiro Takeishi
賢一郎 武石
Takayuki Tsuzuki
隆之 都筑
Takeshi Yamada
毅 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内で加熱後のアルミニウム合金製ドームの
板の面に対して速やかに均一に冷却水を噴射でき、適切
な冷却速度の確保と変形の防止が可能となる熱処理方法
と熱処理用冷却治具を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金製ドームの熱処理方法
を、複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを備える冷却
治具に、外面と内面の少なくとも一方の面を冷却ノズル
に向けてアルミニウム合金製ドームを取り付け、アルミ
ニウム合金製ドームを冷却治具に取り付けた状態で加熱
炉内に搬入し、加熱炉内で所定の加熱を行なった後、ア
ルミニウム合金製ドームを冷却治具とともに加熱炉外に
搬出し、冷却ノズルより冷却水を噴射してアルミニウム
合金製ドームの冷却を行なうように構成し、熱処理にお
いて変形を防止し且つ所定の冷却速度が得られ時効後の
強度が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロケットタンクの
大型鏡板等のアルミニウム合金製ドームの熱処理方法
と、その熱処理方法に用いられる熱処理用冷却治具に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ロケットタンクの大型鏡板は、
半球形のアルミニウム合金製ドームとして製造される
が、直径4m〜5m、板厚20mm〜50mmの状態で
ドーム状に成型後、アルミニウム合金の時効処理前に析
出物を固溶化する溶体化処理が行なわれる。
【0003】そして溶体化処理後の冷却を行なうにあた
っては、強度を確保するために冷却速度の確保と、冷却
による変形の低減が求められる。しかし従来、上記のよ
うな大型のアルミニウム合金製ドームは、その大きさの
ため冷却速度の確保、変形の低減の達成が困難であっ
た。
【0004】冷却のため水槽内にどぶ浸けする場合は、
冷却速度は得られるが、全面を一度に冷却できないた
め、変形が大きくなるという問題が生じた。
【0005】一方、シャワー冷却では、板の両面に対し
て均一に冷却水を噴射すれば冷却速度の確保と変形の防
止が可能となるが、半球形の大型のアルミニウム合金製
ドームに対して効率よく両面の冷却を行なうことは困難
であった。すなわち、3次元的な広がりのある形状のド
ームを炉内で加熱したのち炉外に搬出し、さらにその外
面だけでなく内面もふくめ冷却水を均一に噴射するよう
に冷却ノズルの設置等の段取りをする作業は時間を要す
るため、その間に温度低下が起きてしまう問題があり適
切な冷却速度を得ることができなかった。また、炉内か
ら取り出したばかりの高温部に冷却ノズルを設置する作
業では、冷却ノズルを正確に設置することが困難であ
り、冷却ノズルの位置の不正確さに起因する冷却の不均
一によって、アルミニウム合金製ドームに変形が生ずる
おそれもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来のアルミニウム合金製ドームの製造における溶体
化処理等の熱処理方法の問題を解消し、炉内で加熱後の
アルミニウム合金製ドームの板の面に対して速やかに均
一に冷却水を噴射でき、適切な冷却速度の確保と変形の
防止が可能となる熱処理方法と、その熱処理方法に用い
られる熱処理用冷却治具を提供することを課題とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)本発明はかかる課
題を解決するためになされたものであり、その第1の手
段として、複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを備え
る冷却治具に、外面と内面の少なくとも一方の面を前記
冷却ノズルに向けてアルミニウム合金製ドームを取り付
け、同アルミニウム合金製ドームを同冷却治具に取り付
けた状態で加熱炉内に搬入し、同加熱炉内で所定の加熱
を行なった後、前記アルミニウム合金製ドームを前記冷
却治具とともに前記加熱炉外に搬出し、前記冷却ノズル
より冷却水を噴射して前記アルミニウム合金製ドームの
冷却を行なうことを特徴とするアルミニウム合金製ドー
ムの熱処理方法を提供する。
【0008】上記の第1の手段によれば、ドーム加熱に
先立ち予めアルミニウム合金製ドームに対して冷却治具
の冷却ノズルを設置してあるので、ドーム加熱後、加熱
炉から搬出して速やかに冷却ノズルからの冷却水の噴流
でシャワー冷却が行なえ、また、予め冷却ノズルを設置
するので、ノズルの設置位置の精度が高く冷却速度を均
一化でき、急冷においてもアルミニウム合金製ドームの
変形量を著しく抑制できる。
【0009】(2)第2の手段としては、複数の冷却ノ
ズルを有する冷却パイプを備える冷却治具に、外面と内
面の少なくとも一方の面を前記冷却ノズルに向けてアル
ミニウム合金製ドームを取り付け、同アルミニウム合金
製ドームを同冷却治具に取り付けた状態で加熱炉の炉体
を被せて覆い、同加熱炉内で所定の加熱を行なった後、
前記加熱炉の炉体を前記アルミニウム合金製ドームと前
記冷却治具上から取外し、前記冷却ノズルより冷却水を
噴射して前記ドームの冷却を行なうことを特徴とするア
ルミニウム合金製ドームの熱処理方法を提供する。
【0010】上記の第2の手段によれば、ドーム加熱に
先立ち予めアルミニウム合金製ドームに対して冷却治具
の冷却ノズルを設置してあるので、ドーム加熱後、加熱
炉の炉体を取外して速やかに冷却ノズルからの冷却水の
噴流でシャワー冷却が行なえ、また、予め冷却ノズルを
設置するので、ノズルの設置位置の精度が高く冷却速度
を均一化でき、急冷においてもアルミニウム合金製ドー
ムの変形量を著しく抑制できる。
【0011】(3)第3の手段として、第1の手段また
は第2の手段のアルミニウム合金製ドームの熱処理方法
において、熱処理を行なおうとする前記アルミニウム合
金製ドームと同じ材質と板厚の供試体に前記アルミニウ
ム合金製ドームを加熱すると同等の所定の加熱を行なっ
た後、同供試体を前記アルミニウム合金製ドームの冷却
を行なう前記冷却治具の冷却ノズルと同等の実験用の冷
却ノズルと冷却水の噴射で冷却し、冷却時の温度変化を
計測した結果をもとに冷却ノズル中心からの距離と前記
供試体表面の熱伝達係数の関係を求めるとともに、数値
解析により供試体表面の熱伝達係数と前記板厚内の冷却
速度との関係を求め、必要とする所定の冷却速度を得ら
れる前記冷却ノズル中心からの最大距離を、上記の両関
係から求めて、同最大距離をもとに前記冷却治具の冷却
ノズルの設置間隔を設定することを特徴とするアルミニ
ウム合金製ドームの熱処理方法を提供する。
【0012】第3の手段によれば、第1または第2の手
段の作用に加え、実験による冷却ノズル中心からの距離
と供試体表面の熱伝達係数の関係と、数値解析による供
試体表面の熱伝達係数と供試体板厚内の冷却速度の関係
に基づいて、所定の冷却速度が得られる冷却ノズルの設
置間隔を設定することにより、アルミニウム合金製ドー
ムの材質、板厚、冷却ノズルの径、冷却水流速に合わせ
て、熱処理時の必要な冷却速度を確実に得ることができ
る。
【0013】(4)また、第4の手段として、第1の手
段ないし第3の手段のいずれかのアルミニウム合金製ド
ームの熱処理方法において、前記冷却パイプを、前記冷
却ノズルに冷却水を送る冷却水流路と並んで同冷却パイ
プを冷却する循環冷却水を流す循環冷却水流路を備える
ものとして、前記加熱中に同循環冷却水流路に前記循環
冷却水を循環させ同冷却パイプを冷却することを特徴と
するアルミニウム合金製ドームの熱処理方法を提供す
る。
【0014】第4の手段によれば、第1ないし第3の手
段のいずれかの作用に加え、冷却パイプがドーム加熱
中、循環冷却水流路に流される循環冷却水で冷却されて
いるため、ドーム冷却時に冷却水流路から冷却ノズルに
送られる冷却水が冷却パイプ内で沸騰して冷却水の噴出
が阻まれ冷却が遅れることが防止される。
【0015】(5)第5の手段として、第1の手段ない
し第3の手段のいずれかのアルミニウム合金製ドームの
熱処理方法に用いられ前記アルミニウム合金製ドームを
載置して取付ける熱処理用冷却治具であって、前記の取
り付けられたアルミニウム合金製ドームの外面と内面の
少なくとも一方の面に向けた複数の冷却ノズルを有する
冷却パイプを備え、同冷却パイプは前記冷却ノズルに冷
却水を送る冷却水流路を備え、同冷却水流路は同冷却水
を供給する冷却用給水パイプと接続してなることを特徴
とする熱処理用冷却治具を提供する。
【0016】第5の手段によれば、第1ないし第3の手
段のいずれかのアルミニウム合金製ドームの熱処理方法
を、具体的に実施可能とし、第1ないし第3の手段のい
ずれかの作用を奏することができる。 (6)第6の手段として、第5の手段の熱処理用冷却治
具において、前記冷却パイプは前記冷却水流路と並んで
循環冷却水を循環する循環冷却水流路を備え、同循環冷
却水流路は同循環冷却水を供給する循環冷却水供給パイ
プと同循環冷却水を排出する循環冷却水排出パイプとに
接続してなることを特徴とする熱処理用冷却治具を提供
する。
【0017】第6の手段によれば、第5の手段の作用に
加え、冷却パイプをドーム加熱中冷却することができ、
冷却水流路から冷却ノズルに送られる冷却水が冷却パイ
プ内で沸騰して冷却水の噴出が阻まれ冷却が遅れること
を防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1から図4に基づいて、本発明
の実施の第1形態に係るアルミニウム合金製ドームの熱
処理方法とその熱処理方法に用いられる熱処理用冷却治
具を説明する。図1はアルミニウム合金製ドームを載置
した状態を示す本発明の実施の第1形態に係る熱処理用
冷却治具の断面図、図2は図1中A−A矢視による本実
施の形態の熱処理用冷却治具の外面冷却パイプの拡大断
面図、図3、図4は本実施の形態の熱処理方法における
施工手順の説明図であり、図3はアルミニウム合金製ド
ーム加熱時、図4は冷却時の状態を示す。
【0019】本実施の形態のアルミニウム合金製ドーム
の熱処理方法においては、図1に示すように、アルミニ
ウム合金製ドーム(以下、単に「ドーム」という)1
は、凸面側(以下、「ドーム外面」という)1aを上
に、凹面側(以下、「ドーム内面」という)1bを下に
伏せた状態で、熱処理用冷却治具(以下、単に「冷却治
具」という)2の冷却水受け皿3上に載置される。
【0020】冷却治具2は、ドーム1を載置して取り付
ける載置台4を備え、ドーム1の下方において冷却後の
冷却水aを受ける冷却水受け皿3と、載置台4上のドー
ム1のドーム外面1aと間隔をあけて配置される外面冷
却パイプ5と、ドーム内面1bと間隔をあけて配置され
る内面冷却パイプ6と、外面冷却パイプ5に冷却水aを
供給する外面冷却用給水パイプ7と、内面冷却パイプ6
に冷却水aを供給する内面冷却用給水パイプ8と、外面
冷却パイプ5に後述の循環冷却水bを供給する外面循環
冷却水供給パイプ9aと、外面冷却パイプ5から循環冷
却水bを排出する外面循環冷却水排出パイプ9bと、内
面冷却パイプ6に後述の循環冷却水bを供給する内面循
環冷却水供給パイプ10a、内面冷却パイプ6から循環
冷却水bを排出する内面循環冷却水排出パイプ10bを
備えている。
【0021】外面冷却パイプ5はドーム外面1aの周囲
を囲む籠状に設けられ、また外面冷却パイプ5には複数
の外面冷却ノズル5aがドーム外面1aの外側に略均等
に分布するような所定の位置に設けられており、各外面
冷却ノズル5aの先端はドーム外面1aに向けてドーム
外面1aと所定の間隔を有している。
【0022】内面冷却パイプ6はドーム内面1bに囲ま
れる籠状に設けられ、また内面冷却パイプ6には複数の
内面冷却ノズル6aがドーム内面1bの内側に略均等に
分布するような所定の位置に設けられており、各内面冷
却ノズル6aの先端はドーム内面1bに向けてドーム内
面1bと所定の間隔を有している。
【0023】冷却水受け皿3の下部には各冷却ノズル5
a、6aから噴射される冷却水aを排出するための冷却
水排出パイプ11が接続している。
【0024】外面冷却パイプ5には、図2に示すように
2つの流路が併設されており、ドーム外面1aに面する
側に冷却水aを通し外面冷却ノズル5aに冷却水aを送
る冷却水流路12aが設けられ外面冷却用給水パイプ7
と接続しており、その反対側に隣接して循環冷却水bを
通す循環冷却水流路12bが設けられ外面循環冷却水供
給パイプ9aと外面循環冷却水排出パイプ9bとに接続
し、循環冷却水bが外面循環冷却水供給パイプ9aと外
面循環冷却水排出パイプ9bを介して循環冷却水流路1
2bを循環するように配管されている。
【0025】内面冷却パイプ6にも同様に、ドーム内面
1bに面する側に冷却水aを通し内面冷却ノズル6aに
冷却水aを送る冷却水流路13aが設けられ内面冷却用
給水パイプ8と接続しており、その反対側に隣接して循
環冷却水bを通す循環冷却水流路13bが設けられ内面
循環冷却水供給パイプ10aと内面循環冷却水排出パイ
プ10bとに接続し、循環冷却水bが循環冷却水流路1
3bを循環するように配管されている。
【0026】そして、冷却治具2は、適宜の移動台車1
4上に取り付けられ、ドーム加熱時の状態を示す図3、
ドーム冷却時の状態を示す図4のように、加熱炉15の
内側と外側の間を移動可能に設けられている。移動台車
14の移動手段は、移動時に炉外からアクセスする連結
機構やコンベア、または移動台車14に取り付けた押し
引き部材等を横行駆動するものなど、適宜な手段でよ
い。
【0027】加熱炉15は、電気炉やガス炉等の適宜の
熱処理用の炉であり耐火耐熱材の壁体15aで囲まれそ
の床部15bが基礎16上に据え付けられているが、移
動台車14の出入りを可能とするため、移動台車14の
出入り側の側壁部15cは、図示しない適宜の開閉構造
を有している。例えば、図4に示すような上方にスライ
ド移動する扉、または揺動移動する等である。
【0028】また、側壁部15cは上記開閉時、および
図3に示すドーム加熱状態において、外面冷却用給水パ
イプ7、外面循環冷却水供給パイプ9a、外面循環冷却
水排出パイプ9b、内面冷却用給水パイプ8、内面循環
冷却水供給パイプ10a、内面循環冷却水排出パイプ1
0b、冷却水排出パイプ11を通過させ且つドーム加熱
時に外部と遮断する適宜な構造を備えている。例えば、
砂、粘土、シール機構等による閉塞を行なう開口部15
dである。
【0029】上記各パイプ7、9a、9b、8、10
a、10b、11は、図4に示すように冷却治具2を取
り付けた移動台車14が加熱炉15外へ移動するときに
支障が無いように、図示しない適宜の必要な可撓部ない
し可動接続部を備えている。
【0030】本実施の形態のアルミニウム合金製ドーム
の熱処理方法は、上記のような熱処理装置によって以下
のように行なわれる。本実施の形態のドーム1は直径4
m、板厚30mmのアルミニウム合金(A2014:ジ
ュラルミン)であり、外面冷却パイプ5と内面冷却パイ
プ6はSUS304製である。外面冷却ノズル5aおよ
び内面冷却ノズル6aはノズル径10mm、ドーム外面
1a、ドーム内面1bに沿って設置間隔80mmで配置
される。
【0031】ドーム加熱にあたっては、予め、ドーム1
を移動台車14上の冷却治具2に取付け、外面冷却ノズ
ル5aと内面冷却ノズル6aがそれぞれ所定の位置でド
ーム外面1aとドーム内面1bに向くように外面冷却パ
イプ5と内面冷却パイプ6を配置し、その状態のままで
図3に示すように、移動台車14を加熱炉15内に搬入
し、所定温度、例えば550°Cで所定時間、例えば1
hr、冷却治具2とともに加熱を行なう.そのとき、外
面冷却パイプ5の循環冷却水流路12bには循環冷却水
bが外面循環冷却水供給パイプ9aから供給され外面循
環冷却水排出パイプ9bから排出され、常時外面冷却パ
イプ5を冷却しその温度を略100°C以下に保つ。
【0032】内面冷却パイプ6も同様に、循環冷却水流
路13bに循環冷却水bが内面循環冷却水供給パイプ1
0aから供給され内面循環冷却水排出パイプ10bから
排出され、常時内面冷却パイプ6を冷却しその温度を略
100°C以下に保つ。
【0033】ドーム加熱が終了すると、図4に示すよう
に、ドーム1を移動台車14上の冷却治具2に取り付け
たまま加熱炉15から搬出し、外面冷却ノズル5a、内
面冷却ノズル6aから冷却水aを噴射して速やかにシャ
ワー冷却でドーム1を冷却する。
【0034】冷却水aは、図示しない高圧ポンプから外
面冷却用給水パイプ7と内面冷却用給水パイプ8を介し
て、外面冷却パイプ5内の冷却水流路12aと内面冷却
パイプ6内の冷却水流路13aとに送られ、外面冷却ノ
ズル5a、内面冷却ノズル6aから約10m/secで
噴出するが、外面冷却パイプ5と内面冷却パイプ6は上
記のようにドーム加熱中、循環冷却水bで略100°C
以下に冷却されているため、送り込まれた冷却水aが外
面冷却パイプ5と内面冷却パイプ6内で沸騰して冷却水
の噴出が阻まれ冷却が遅れることが防止される。
【0035】アルミニウム合金の溶体化処理において
は、時効後の強度を確保するために冷却速度を一定の値
以上にする必要があり、例えば、A2014合金では強
度を確保する冷却速度は30°C/secとされている
が、上記の本実施の形態によれば、外面冷却ノズル5
a、内面冷却ノズル6aから近距離で高速の冷却水aの
噴流をドーム1に吹き付けることができ、金属表面に発
生する蒸気膜を破り、熱伝達を向上させることができ
る。
【0036】また、ドーム1の変形を防止するためには
ドーム1の全面で冷却速度を均一にする必要があるが、
本実施の形態においては、加熱に先立ち予めドーム1に
対して冷却治具2の外面冷却ノズル5a、内面冷却ノズ
ル6aを設置するので、各ノズル5a、6aを正確に設
置できる。その結果、ノズル位置の精度が高く冷却速度
を均一化でき、急冷においてもドーム1の変形量を著し
く抑制できる。
【0037】したがって、アルミニウム合金製のドーム
1の熱処理において変形を防止し且つ所定の冷却速度が
得られ時効後の強度が得られる。
【0038】なお、加熱によるドーム1と冷却治具2の
熱膨張差による位置のずれは、予め冷却治具2の配置、
形状の決定時に折り込んでおくことにより対処できる。
また、上記の実施の形態では板厚が大きいため内外面か
らの冷却を行なったが、板厚が小さいときは、内外面の
いずれかの片面からの冷却でも上記の効果を奏すること
ができる。
【0039】次に図1、図2、および図5、図6に基づ
いて、本発明の実施の第2形態に係るアルミニウム合金
製ドームの熱処理方法とその熱処理方法に用いられる熱
処理用冷却治具を説明する。本実施の形態における熱処
理用冷却治具は、前述の実施の第1形態の図1、図2の
ものと同じであるので、図1、図2は本実施の形態の説
明図としても参照する。図5、図6は本実施の形態の熱
処理方法における施工手順の説明図であり、図5はアル
ミニウム合金製ドーム加熱時、図6は冷却時の状態を示
す。
【0040】本実施の形態の説明において、前述の実施
の第1形態と同じ部分は、同じ符号を付して説明を省略
し、異なる部分を主に以下説明する。
【0041】本実施の形態において、冷却用治具2の構
成は図1、図2に示すとおり、実施の第1形態と同じで
ある。
【0042】しかし、冷却治具2は、実施の第1形態の
ように移動台車14上に取り付けられる必要はなく、ド
ーム加熱時の状態を示す図5、ドーム冷却時の状態を示
す図6のように、加熱炉25内に設置されていれる。
【0043】また、加熱炉25は、適宜の熱処理用の炉
であるが、例えば金属容器と低周波加熱コイルを組み合
わせた炉体25aを有し、床部25bを分離できる構造
として搬送可能なものであり、図示しない適宜の昇降移
動機構を備え、炉体25aが昇降移動されるものであ
る。昇降移動機構は例えば、加熱炉25の上方に備えら
れたクレーン、側部に設けられた昇降移動台等である。
【0044】そして、加熱炉25の炉体25aの持ち上
げにあたって冷却治具2が設置された床部25bは、炉
体25aと分離され、冷却治具2とともに基礎26上に
残る構造となっている。
【0045】また、炉体25aは、昇降時および、図5
に示すドーム加熱状態において床部25b上に下ろされ
たとき、外面冷却用給水パイプ7、外面循環冷却水供給
パイプ9a、外面循環冷却水排出パイプ9b、内面冷却
用給水パイプ8、内面循環冷却水供給パイプ10a、内
面循環冷却水排出パイプ10b、冷却水排出パイプ11
を通過させ且つドーム加熱時には外部と遮断する図示し
ない適宜な構造を備えている。例えば、砂、粘土、シー
ル機構等による閉塞を行なう開口部25dである。
【0046】なお、加熱炉25の位置が固定的であれ
ば、炉体25aの開口部25dを設けず、各パイプ7、
9a、9b、8、10a、10b、11を、床部25b
と基礎26を通して設置してもよい。
【0047】本実施の形態のアルミニウム合金製ドーム
の熱処理方法は、上記のような熱処理装置によって以下
のように行なわれる。本実施の形態のドーム1は直径1
m、板厚30mmのアルミニウム合金(A2014:ジ
ュラルミン)であり、外面冷却パイプ5と内面冷却パイ
プ6はSUS304製である。外面冷却ノズル5aおよ
び内面冷却ノズル6aはノズル径10mm、ドーム外面
1a、ドーム内面1bに沿って設置間隔80mmで配置
される。
【0048】ドーム加熱にあたっては、予め、炉体25
aを外して加熱炉25の位置から外れた位置に移動させ
た状態で、床部25b上に設置された冷却治具2にドー
ム1を取付け、外面冷却ノズル5aと内面冷却ノズル6
aがそれぞれ所定の位置でドーム外面1aとドーム内面
1bに向くように外面冷却パイプ5と内面冷却パイプ6
を配置し、その後、炉体25aを加熱炉25の位置に戻
し、図5に示すように冷却治具2とドーム1に被せて覆
うように下ろし、所定温度、例えば550°Cで所定時
間、例えば1hr、冷却治具2とともに加熱を行なう.
そのとき実施の第1形態と同様に、外面冷却パイプ5と
内面冷却パイプ6は循環冷却水bにより常時冷却され、
その温度を略100°C以下に保つことができる。
【0049】ドーム加熱が終了すると、低周波加熱コイ
ルの電源を遮断し、図6に示すように、炉体25aを図
示しない昇降移動機構により持ち上げて冷却治具2とド
ーム1上から取外し、加熱炉25の位置から移動させ
る。
【0050】冷却治具2とドーム1はその位置のまま
で、外面冷却ノズル5a、内面冷却ノズル6aから冷却
水aを噴射して速やかにシャワー冷却でドーム1を冷却
する。
【0051】冷却水aは、実施の第1形態と同様に、外
面冷却ノズル5a、内面冷却ノズル6aから約10m/
secで噴出するが、外面冷却パイプ5と内面冷却パイ
プ6はドーム加熱中、循環冷却水bで略100°C以下
に冷却されているため、送り込まれた冷却水aが外面冷
却パイプ5と内面冷却パイプ6内で沸騰して冷却水の噴
出が阻まれ冷却が遅れることが防止される。
【0052】したがって、外面冷却ノズル5a、内面冷
却ノズル6aから近距離で高速の冷却水aの噴流をドー
ム1に吹き付けることができ、金属表面に発生する蒸気
膜を破り、熱伝達を向上させることができる。
【0053】また、本実施の形態においても、ドーム加
熱に先立ち予めドーム1に対して冷却治具2の外面冷却
ノズル5a、内面冷却ノズル6aを設置するので、ノズ
ル位置の精度が高く冷却速度を均一化でき、急冷におい
てもドーム1の変形量を著しく抑制できる。
【0054】したがって、アルミニウム合金製のドーム
1の熱処理において変形を防止し且つ所定の冷却速度が
得られ時効後の強度が得られる。
【0055】また、本実施の形態においては冷却治具2
側を移動させないことが可能なので、冷却水関係の配管
と炉体のシールが容易となる。加熱炉25はその種類を
限定するものではないが、炉体25aの昇降移動を行な
うことから、比較的小型の加熱炉がより適性を有する。
【0056】なお、加熱によるドーム1と冷却治具2の
熱膨張差による位置のずれは、予め冷却治具2の配置、
形状の決定時に折り込んでおくことにより対処できるこ
と、また、板厚が小さいときは内外面のいずれかの片面
からの冷却でも上記の効果を奏することができること
は、実施の第1形態と同じである。
【0057】図7から図9に基づき、上記の実施の第1
形態および実施の第2形態のアルミニウム合金製ドーム
の熱処理方法における、冷却治具2の外面冷却ノズル5
aまたは内面冷却ノズル6aの配置間隔の、より適切な
設定方法につき説明する。
【0058】図7は、冷却ノズルの配置間隔の設定のた
めの実験装置の構成図であり、図8は、冷却ノズルの配
置間隔の設定のための実験結果の例を示すグラフ、図9
は、両面冷却の一次元非定常熱伝導解析結果を示すグラ
フである。
【0059】上記の実施の第1形態および実施の第2形
態において、アルミニウム合金の溶体化処理での時効後
の強度を確保するためには、冷却速度を一定の値以上に
する必要がある。例えば、A2014合金では強度を確
保する冷却速度は30°C/secとされており、ドー
ム1の全面においてをその冷却速度を得ることのできる
配置間隔で外面冷却ノズル5aと内面冷却ノズル6a
(図7〜図9の説明において以下、単に「冷却ノズル3
0」と記す)の位置を設定しなければならない。
【0060】しかしながら、冷却速度を得るために徒に
冷却水aの流速を上げ、あるいは徒に冷却ノズル30の
設置間隔を狭めて冷却条件を上げるのは、無駄が多く効
率的ではない。
【0061】そこで、ドーム1の材質、板厚、冷却ノズ
ル30の径、冷却ノズル30からの冷却水aの流速等を
パラメータとして、必要とする正確な冷却ノズル30の
設置間隔の値を得て、それに基づいて適切に冷却ノズル
30を設定した冷却治具2を用いて、上記実施の第1形
態または実施の第2形のアルミニウム合金製ドームの熱
処理方法を行なう必要がある。
【0062】図7において、31は実験装置の加熱炉で
あり、熱処理を行なおうとするアルミニウム合金製ドー
ムの実機と同じ材質、板厚の円盤の供試体32の加熱を
行なう。加熱炉31から引き出された位置の供試体32
の盤面に対して垂直に向くように、実機の冷却治具2の
外面冷却ノズル5aまたは内面冷却ノズル6aと同等の
同じ径を有する実験用の冷却ノズル30が設置されてい
る。
【0063】冷却ノズル30には水槽33の冷却水aが
ポンプ34によって送りこまれるように配管されてお
り、必要な制御弁35が設けられ、流量計36、圧力計
37と図示しない制御装置により、冷却ノズル30から
噴射する冷却水aの流速を設定できるようにしている。
【0064】供試体32の上面近傍には冷却ノズル30
からの距離を定めて複数の点に熱電対38が設けられ、
供試体32表面の各部の温度を検出するように設定され
ており、同各部の冷却時の温度変化を計測する構成とな
っている。
【0065】以上のような実験装置により、加熱炉31
で実機の所定の加熱条件(例えば550°C、1hr)
で供試体32を加熱した後、直ちに供試体32を引き出
し、実機と同等の所定の(例えば10mm径)冷却ノズ
ル30から所定の流速(例えば10m/sec)で冷却
水aを噴射し、複数の熱電対38で供試体32表面の各
部の温度変化を計測し、計測結果に基づき、そのノズル
形状、および冷却水aの流速による熱伝達係数の分布の
関係を作成する。図8は、その冷却ノズル30中心から
の半径方向距離d(mm)に対する供試体32表面の熱
伝達係数(W/m2 K)の関係の例を示すグラフであ
り、流速(m/sec)をパラメータとして示される。
【0066】また、一次元非定常熱伝導解析により、図
9に示すような供試体32表面の熱伝達係数(W/m2
K)と、供試体32の板厚内の冷却速度(°C/se
c)の関係を解析することができる。なお、図9に示さ
れる関係は、両面冷却の一次元非定常熱伝導解析結果で
あり、供試体32の材質、板厚をパラメータとしてお
り、図中の実線は材質A2014、板厚30mmの場合
を示している。
【0067】以上の様な実験結果と解析結果により、実
機のドーム1の条件に合わせた、実機における冷却ノズ
ル30の設置間隔を求めることができる。
【0068】すなわち、所定の材質の所定の板厚のドー
ム1において強度を確保するに必要な所定の冷却速度を
達成する冷却時の熱伝達係数は図9から求まり、その熱
伝達係数が得られるのは、所定の冷却ノズル30からの
冷却水aの所定の流速の噴射部(冷却ノズル30中心)
からどの距離dまでかが、図8から求まる。
【0069】従って、冷却ノズル30の設置間隔は2d
以下としなければならない。
【0070】具体的には、図9によれば、例えば材質A
2014合金、板厚30mmの板材において強度を確保
する冷却速度である30°C/secを達成する必要な
熱伝達係数は、図9のグラフの板厚30mmの線から、
熱伝達係数6000W/m2K以上と読める。
【0071】10mm径の冷却ノズル30から、流速1
0m/secの冷却水aの噴流を受けた材質A2014
合金、板厚30mmの板材において、熱伝達係数600
0W/m2 K以上の領域(冷却ノズル30中心からの最
大距離d)は、図8からd=40mm以下と読める。し
たがって、冷却ノズル30の設置間隔は、2d=80m
m以下となる。
【0072】以上のように、実験と解析結果に基づいて
冷却ノズルの設置間隔を設定して、前述の実施の第1形
態または実施の第2形態のアルミニウム合金製ドームの
熱処理方法を実施することにより、実機のドーム1の材
質、板厚、冷却ノズル30の径、流速に合わせて、熱処
理時の必要な冷却速度を確実に得ることができ、アルミ
ニウム合金の溶体化処理での時効後の強度を確保するこ
とができ、また、適切で無駄のない効率的な熱処理を行
なえる。
【0073】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の
範囲内でその具体的構成および構造に種々の変更を加え
てもよいことは勿論である。
【0074】
【発明の効果】(1)請求項1の発明によれば、アルミ
ニウム合金製ドームの熱処理方法を、複数の冷却ノズル
を有する冷却パイプを備える冷却治具に、外面と内面の
少なくとも一方の面を前記冷却ノズルに向けてアルミニ
ウム合金製ドームを取り付け、同アルミニウム合金製ド
ームを同冷却治具に取り付けた状態で加熱炉内に搬入
し、同加熱炉内で所定の加熱を行なった後、前記アルミ
ニウム合金製ドームを前記冷却治具とともに前記加熱炉
外に搬出し、前記冷却ノズルより冷却水を噴射して前記
アルミニウム合金製ドームの冷却を行なうように構成し
たので、ドーム加熱に先立ち予めアルミニウム合金製ド
ームに対して冷却治具の冷却ノズルを設置してあるた
め、ドーム加熱後、加熱炉から搬出して速やかに冷却ノ
ズルからの冷却水の噴流でシャワー冷却が行なえ、近距
離で高速の冷却水の噴流が金属表面に発生する蒸気膜を
破り、熱伝達を向上させることができる。また、予め冷
却ノズルを設置するため、ノズルの設置位置の精度が高
く冷却速度を均一化でき、急冷においてもアルミニウム
合金製ドームの変形量を著しく抑制できる。したがっ
て、アルミニウム合金製ドームの熱処理において変形を
防止し且つ所定の冷却速度が得られ時効後の強度が得ら
れる。
【0075】(2)請求項2の発明によれば、アルミニ
ウム合金製ドームの熱処理方法を、複数の冷却ノズルを
有する冷却パイプを備える冷却治具に、外面と内面の少
なくとも一方の面を前記冷却ノズルに向けてアルミニウ
ム合金製ドームを取り付け、同アルミニウム合金製ドー
ムを同冷却治具に取り付けた状態で加熱炉の炉体を被せ
て覆い、同加熱炉内で所定の加熱を行なった後、前記加
熱炉の炉体を前記アルミニウム合金製ドームと前記冷却
治具上から取外し、前記冷却ノズルより冷却水を噴射し
て前記ドームの冷却を行なうように構成したので、ドー
ム加熱に先立ち予めアルミニウム合金製ドームに対して
冷却治具の冷却ノズルを設置してあるため、ドーム加熱
後、加熱炉の炉体を取外して速やかに冷却ノズルからの
冷却水の噴流でシャワー冷却が行なえ、近距離で高速の
冷却水の噴流が金属表面に発生する蒸気膜を破り、熱伝
達を向上させることができる。また、予め冷却ノズルを
設置するため、ノズルの設置位置の精度が高く冷却速度
を均一化でき、急冷においてもアルミニウム合金製ドー
ムの変形量を著しく抑制できる。したがって、アルミニ
ウム合金製ドームの熱処理において変形を防止し且つ所
定の冷却速度が得られ時効後の強度が得られる。
【0076】(3)請求項3の発明によれば、請求項1
または請求項2に記載のアルミニウム合金製ドームの熱
処理方法において、熱処理を行なおうとする前記アルミ
ニウム合金製ドームと同じ材質と板厚の供試体に前記ア
ルミニウム合金製ドームを加熱すると同等の所定の加熱
を行なった後、同供試体を前記アルミニウム合金製ドー
ムの冷却を行なう前記冷却治具の冷却ノズルと同等の実
験用の冷却ノズルと冷却水の噴射で冷却し、冷却時の温
度変化を計測した結果をもとに冷却ノズル中心からの距
離と前記供試体表面の熱伝達係数の関係を求めるととも
に、数値解析により供試体表面の熱伝達係数と前記板厚
内の冷却速度との関係を求め、必要とする所定の冷却速
度を得られる前記冷却ノズル中心からの最大距離を、上
記の両関係から求めて、同最大距離をもとに前記冷却治
具の冷却ノズルの設置間隔を設定するように構成したの
で、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、実験
による冷却ノズル中心からの距離と供試体表面の熱伝達
係数の関係と、数値解析による供試体表面の熱伝達係数
と供試体板厚内の冷却速度の関係に基づいて、所定の冷
却速度が得られる冷却ノズルの設置間隔を設定すること
により、アルミニウム合金製ドームの材質、板厚、冷却
ノズルの径、冷却水流速に合わせて、熱処理時の必要な
冷却速度を確実に得ることができ、アルミニウム合金の
溶体化処理での時効後の強度を確保することができ、ま
た、適切で無駄のない効率的な熱処理を行なえる。
【0077】(4)請求項4の発明によれば、請求項1
ないし請求項3のいずれかに記載のアルミニウム合金製
ドームの熱処理方法において、前記冷却パイプを、前記
冷却ノズルに冷却水を送る冷却水流路と並んで同冷却パ
イプを冷却する循環冷却水を流す循環冷却水流路を備え
るものとして、前記加熱中に同循環冷却水流路に前記循
環冷却水を循環させ同冷却パイプを冷却するように構成
したので、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明の
効果に加え、冷却パイプがドーム加熱中、循環冷却水流
路に流される循環冷却水で冷却されているため、ドーム
冷却時に冷却水流路から冷却ノズルに送られる冷却水が
冷却パイプ内で沸騰して冷却水の噴出が阻まれ冷却が遅
れることが防止される。
【0078】(5)請求項5の発明によれば、熱処理用
冷却治具を、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
のアルミニウム合金製ドームの熱処理方法に用いられ前
記アルミニウム合金製ドームを載置して取付ける熱処理
用冷却治具であって、前記の取り付けられたアルミニウ
ム合金製ドームの外面と内面の少なくとも一方の面に向
けた複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを備え、同冷
却パイプは前記冷却ノズルに冷却水を送る冷却水流路を
備え、同冷却水流路は同冷却水を供給する冷却用給水パ
イプと接続してなるように構成したので、請求項1ない
し請求項3のいずれかのアルミニウム合金製ドームの熱
処理方法を、具体的に実施可能とし、請求項1ないし請
求項3のいずれかの発明の効果を奏することができる。
【0079】(6)請求項6の発明によれば、請求項5
に記載の熱処理用冷却治具において、前記冷却パイプは
前記冷却水流路と並んで循環冷却水を循環する循環冷却
水流路を備え、同循環冷却水流路は同循環冷却水を供給
する循環冷却水供給パイプと同循環冷却水を排出する循
環冷却水排出パイプとに接続してなるように構成したの
で、請求項5の効果に加え、冷却パイプをドーム加熱中
冷却することができ、冷却水流路から冷却ノズルに送ら
れる冷却水が冷却パイプ内で沸騰して冷却水の噴出が阻
まれ冷却が遅れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム合金製ドームを載置した状態を示
す本発明の実施の第1形態および実施の第2形態に係る
熱処理用冷却治具の断面図である。
【図2】図1中A−A矢視による熱処理用冷却治具の外
面冷却パイプの拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の第1形態の熱処理方法の施工手
順の説明図であり、アルミニウム合金製ドーム加熱時の
状態を示す。
【図4】本発明の実施の第1形態の熱処理方法の施工手
順の説明図であり、アルミニウム合金製ドーム冷却時の
状態を示す。
【図5】本発明の実施の第2形態の熱処理方法の施工手
順の説明図であり、アルミニウム合金製ドーム加熱時の
状態を示す。
【図6】本発明の実施の第2形態の熱処理方法の施工手
順の説明図であり、アルミニウム合金製ドーム冷却時の
状態を示す。
【図7】本発明の実施の第1形態および実施の第2形態
における外面冷却ノズルまたは内面冷却ノズルの配置間
隔等の設定のための実験装置の構成図である。
【図8】図7の実験装置による外面冷却ノズルまたは内
面冷却ノズルの配置間隔の設定のための実験結果の例を
示すグラフである。
【図9】両面冷却の一次元非定常熱伝導解析結果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 ドーム 2 冷却治具 3 冷却水受け皿 4 載置台 5 外面冷却パイプ 5a 外面冷却ノズル 6 内面冷却パイプ 6a 内面冷却ノズル 7 外面冷却用給水パイプ 8 内面冷却用給水パイプ 9a 外面循環冷却水供給パイプ 9b 外面循環冷却水排出パイプ 10a 内面循環冷却水供給パイプ 10b 内面循環冷却水排出パイプ 11 冷却水排出パイプ 12a 冷却水流路 12b 循環冷却水流路 13a 冷却水流路 13b 循環冷却水流路 14 移動台車 15 加熱炉 15a 壁体 15b 床部 15c 側壁部 16 基礎 25 加熱炉 25a 炉体 25b 床部 26 基礎 30 冷却ノズル 31 加熱炉 32 供試体 33 水槽 34 ポンプ 35 制御弁 36 流量計 37 圧力計 38 熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 620 C22F 1/00 620 630 630A 672 672 (72)発明者 都筑 隆之 名古屋市港区大江町10番地 三菱重工業株 式会社名古屋航空宇宙システム製作所内 (72)発明者 山田 毅 名古屋市港区大江町10番地 三菱重工業株 式会社名古屋航空宇宙システム製作所内 Fターム(参考) 4K034 AA02 BA06 DB03 EA02 FA05 FB03 FB09 GA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを
    備える冷却治具に、外面と内面の少なくとも一方の面を
    前記冷却ノズルに向けてアルミニウム合金製ドームを取
    り付け、同アルミニウム合金製ドームを同冷却治具に取
    り付けた状態で加熱炉内に搬入し、同加熱炉内で所定の
    加熱を行なった後、前記アルミニウム合金製ドームを前
    記冷却治具とともに前記加熱炉外に搬出し、前記冷却ノ
    ズルより冷却水を噴射して前記ドームの冷却を行なうこ
    とを特徴とするアルミニウム合金製ドームの熱処理方
    法。
  2. 【請求項2】 複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを
    備える冷却治具に、外面と内面の少なくとも一方の面を
    前記冷却ノズルに向けてアルミニウム合金製ドームを取
    り付け、同アルミニウム合金製ドームを同冷却治具に取
    り付けた状態で加熱炉の炉体を被せて覆い、同加熱炉内
    で所定の加熱を行なった後、前記加熱炉の炉体を前記ア
    ルミニウム合金製ドームと前記冷却治具上から取外し、
    前記冷却ノズルより冷却水を噴射して前記ドームの冷却
    を行なうことを特徴とするアルミニウム合金製ドームの
    熱処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載されたア
    ルミニウム合金製ドームの熱処理方法において、熱処理
    を行なおうとする前記アルミニウム合金製ドームと同じ
    材質と板厚の供試体に前記アルミニウム合金製ドームを
    加熱すると同等の所定の加熱を行なった後、同供試体を
    前記アルミニウム合金製ドームの冷却を行なう前記冷却
    治具の冷却ノズルと同等の実験用の冷却ノズルと冷却水
    の噴射で冷却し、冷却時の温度変化を計測した結果をも
    とに冷却ノズル中心からの距離と前記供試体表面の熱伝
    達係数の関係を求めるとともに、数値解析により供試体
    表面の熱伝達係数と前記板厚内の冷却速度との関係を求
    め、必要とする所定の冷却速度を得られる前記冷却ノズ
    ル中心からの最大距離を、上記の両関係から求めて、同
    最大距離をもとに前記冷却治具の冷却ノズルの設置間隔
    を設定することを特徴とするアルミニウム合金製ドーム
    の熱処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載されたアルミニウム合金製ドームの熱処理方法におい
    て、前記冷却パイプを、前記冷却ノズルに冷却水を送る
    冷却水流路と並んで同冷却パイプを冷却する循環冷却水
    を流す循環冷却水流路を備えるものとして、前記加熱中
    に同循環冷却水流路に前記循環冷却水を循環させ同冷却
    パイプを冷却することを特徴とするアルミニウム合金製
    ドームの熱処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載のアルミニウム合金製ドームの熱処理方法に用いられ
    前記アルミニウム合金製ドームを載置して取付ける熱処
    理用冷却治具であって、前記の取り付けられたアルミニ
    ウム合金製ドームの外面と内面の少なくとも一方の面に
    向けた複数の冷却ノズルを有する冷却パイプを備え、同
    冷却パイプは前記冷却ノズルに冷却水を送る冷却水流路
    を備え、同冷却水流路は同冷却水を供給する冷却用給水
    パイプと接続してなることを特徴とする熱処理用冷却治
    具。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の熱処理用冷却治具にお
    いて、前記冷却パイプは前記冷却水流路と並んで循環冷
    却水を循環する循環冷却水流路を備え、同循環冷却水流
    路は同循環冷却水を供給する循環冷却水供給パイプと同
    循環冷却水を排出する循環冷却水排出パイプとに接続し
    てなることを特徴とする熱処理用冷却治具。
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