JP2003238852A - 油性インクジェット記録用インク組成物およびそれを用いる印刷物の製造方法 - Google Patents

油性インクジェット記録用インク組成物およびそれを用いる印刷物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速吐出性に優れ、かつ印字環境の温度変化
に左右されずに、良好な吐出安定性と保存安定性を有す
る油性インクジェット記録用インク組成物を提供する。 【解決手段】 7KHzを超える印刷周波数でインクを
吐出するインクジェットプリンター用インク組成物であ
って、顔料、分散剤、植物油、炭化水素系溶剤からな
り、表面張力が32mN/m以上であることを特徴とす
る油性インクジェット記録用インク組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油性インクジェッ
ト記録用インク組成物およびそれを用いる印刷物の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式の分野において
は、濃度低下やにじみがなく、鮮明な画像をより高速で
安定的に印刷するために、装置およびインクの両面から
研究が行なわれている。
【0003】現在、印刷装置としてはピエゾ振動素子を
用いる方式、サーマルヘッドを利用する方式、電気的吸
引力を利用する方式などが知られている。
【0004】その中でも、ピエゾ振動素子を利用する方
式は、記録ヘッドの装置の構成が簡単で、他の方式と比
較して、インクに対する電気的および熱的性能の制限が
少ないという点から有用性が高いものである。
【0005】一方、インクジェット記録方式に用いるイ
ンクとしては、染料タイプと顔料タイプとがある。染料
タイプのインクは、保存安定性や吐出安定性はよいが、
画像の耐水性および堅牢性に劣るという問題がある。
【0006】顔料タイプのインクとしては顔料を飽和炭
化水素系溶剤に分散した油性インクが知られているが、
染料タイプのインクに較べて、画像の耐水性や堅牢性は
よいが、顔料の分散性不良に起因して保存安定性や吐出
安定性に劣り、信頼性が低いという問題がある。そこ
で、顔料タイプのインクのこのような問題点を解決する
ために、つぎのような試みがなされている。
【0007】まず、顔料の分散性不良を改善するために
は、その系に適した分散剤を使用する。
【0008】また、吐出不良の原因であるノズル詰まり
を少なくするためには、飽和炭化水素系溶剤として表面
張力の高いシクロパラフィン(ナフテン)を含有させる
ことが効果的である。しかし、シクロパラフィンを含む
インクから得られた印刷物を市販のクリアファイルなど
で保管すると、クリアファイルが膨潤してたわみ(コッ
クリング)が発生するという問題がある。
【0009】吐出不良の原因であるノズル詰まりを少な
くするための別の対応策として、低融点・高沸点である
イソパラフィンを多量に含有させて、低温で液状を維持
し、かつ蒸発乾燥によるノズル詰まりを防止することが
試みられている。しかし、この場合、インク自体の表面
張力が低下してしまい、それが原因でノズル詰まりが生
じやすくなり、吐出不良が起こってしまう。
【0010】そこで、本発明者らは、顔料、分散剤、溶
剤とからなり、該溶剤として、飽和炭化水素系溶剤(好
ましくはシクロパラフィンとイソパラフィンを併用す
る)100重量部に対して植物油10〜100重量部を
含有する油性インクジェット記録用インクを提案した
(国際公開WO 00/71627号パンフレット)。
この油性顔料インクは、印字環境の温度変化に左右され
ずに、良好な吐出安定性と保存安定性を有し、さらにコ
ックリングの発生の少ないものである。
【0011】しかしながら、インクジェット記録方式に
おいても高速印字が求められるようになっており、前記
の油性顔料インクでは高速対応性が必ずしも充分でな
い。
【0012】特表平10−507487号公報では、脂
肪族炭化水素系溶剤にオレイルアルコールなどの極性の
高い溶剤を併用して濡れ性を調節し、吐出後インクをノ
ズル先端から内部に後退させて乾燥を防止し、滲みのな
い安定で高速の印字をする方法が開示されている。しか
しながら、脂肪族炭化水素系溶剤と極性の高い溶剤を併
用すると、インクの保存安定性がますます低下するとい
う問題がある。さらに、該公報では、ピエゾ振動素子を
駆動するための電気信号の周波数(以下、印刷周波数と
いう)を順次高めて7kHzまでの高速吐出性を評価し
ているが、最近では7kHzを超える高速吐出性が求め
られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点に鑑み、印字環境の温度変化に左右されず
に、良好な吐出安定性と保存安定性を有し、さらに7k
Hzを超える印刷周波数での高速吐出性を有する油性イ
ンクジェット記録用インクを提供することを目的する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、印字環境
の温度変化に左右されずに、良好な吐出安定性と保存安
定性を有するという基本性能を持ち合わせたうえで、高
速吐出性を有する顔料タイプの油性インクジェット記録
用インクを提供することを課題として研究を重ねた結
果、顔料、分散剤、植物油、炭化水素系溶剤からなり、
表面張力が32mN/m以上であることを特徴とする油
性インクジェット記録用インク組成物によって、前記課
題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0015】すなわち本発明は、つぎの油性インクジェ
ット記録用インク組成物およびそれを用いる印刷物の製
造方法を提供する。
【0016】(1)7KHzを超える印刷周波数でイン
クを吐出するインクジェットプリンター用インク組成物
であって、顔料、分散剤、植物油、炭化水素系溶剤から
なり、表面張力が32mN/m以上であることを特徴と
する油性インクジェット記録用インク組成物。
【0017】(2)前記炭化水素系溶剤が、下記一般式
(I):
【0018】
【化2】
【0019】(式中、R1、R2、R3は独立に水素原子
または炭素原子数1〜4の低級アルキル基を表す)で示
される化合物を主成分とするものであり、該化合物がイ
ンク組成物全量中に40重量%以上含有される前記
(1)に記載の油性インクジェット記録用インク組成
物。
【0020】(3)前記炭化水素系溶剤と前記植物油を
(99:1)〜(70:30)の重量比率で含有する前
記(1)または(2)に記載の油性インクジェット記録
用インク組成物。
【0021】(4)前記分散剤が、アミン化合物と12
−ヒドロキシステアリン酸の自己縮合物との反応物であ
る前記(1)〜(3)のいずれかに記載の油性インクジ
ェット記録用インク組成物。
【0022】(5)前記顔料が、平均粒径150nm以
下のものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の
油性インクジェット記録用インク組成物。
【0023】(6)体積抵抗値が108Ωcm以上であ
る前記(1)〜(5)のいずれかに記載の油性インクジ
ェット記録用インク組成物。
【0024】(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記
載の油性インクジェット記録用インク組成物を、インク
ジェットプリンターで7KHzを超える印刷周波数で吐
出して被印刷体に印刷することを特徴とする印刷物の製
造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明をより詳細に説明す
る。
【0026】本発明で用いられる顔料としては、一般の
インクジェット記録用インクで使用できる各種の無機顔
料および有機顔料が使用可能であるが、とくに有用なも
のとして、C.I.ピグメントイエロー93、95、1
09、110、120、128、138、139、15
1、154、155、173、180、185、19
3、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、6
1、63、71、C.I.ピグメントレッド122、2
02、C.I.ピグメントレッド122と202との固
溶体、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメ
ントバイオレット19、23、33、C.I.ピグメン
トブラック7などをあげることができる。
【0027】インクジェット記録方式では、イエロー、
マゼンタ、シアン、ブラックの4色を基本として、最近
ではオレンジ、グリーンを加えた6色、さらには、ライ
トマゼンタ、ライトブルーを加えた8色のインクを用い
てカラー画像などが形成されている。
【0028】これらの色相を得るために、さらに上記の
顔料の中でも耐候性の良好なものが好適であり、とりわ
け、イエローとしては、C.I.ピグメントイエロー1
38、154、180、185、マゼンタとしては、
C.I.ピグメントレッド122、202、C.I.ピ
グメントバイオレット19、シアンとしては、C.I.
ピグメントブルー15、ブラックとしては、C.I.ピ
グメントブラック7のとくに酸性もしくは中性顔料、オ
レンジとしては、C.I.ピグメントオレンジ43、6
4、71、グリーンとしては、C.I.ピグメントグリ
ーン7、36がより好適である。
【0029】顔料の粒径は、インクの色濃度、色相、イ
ンク安定性などの観点から、平均粒径で150nm以下
が好ましい。
【0030】顔料の使用量が少なくなりすぎるとインク
の色濃度が低下し、一方多くなりすぎるとインク粘度や
流動性の面から印刷が困難となる。これらの点から、顔
料の好適な使用量は、インクジェット記録用インク組成
物全量中に0.5〜30重量%程度であり、より好適に
は1〜10重量%程度である。
【0031】本発明において、溶剤中に顔料を分散させ
るために使用する分散剤としては、溶剤に可溶可能な各
種顔料分散剤および高分子量の顔料分散用樹脂が使用で
きるが、好適な分散剤は、アミン化合物と12−ヒドロ
キシステアリン酸自己縮合物との反応物であり、具体的
には、ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン
酸自己縮合物との反応物;ポリエチレンポリアミンと1
2−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、た
とえば、市販品として、ゼネカ(株)製のソルスパース
13940など;ジアルキルアミノアルキルアミンと1
2−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、た
とえば、市販品として、ゼネカ(株)製のソルスパース
17000、18000などをあげることができる。と
くにポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸
自己縮合物との反応物は、有機顔料に対する初期から長
期に亘る保存期間中での顔料分散性が良好であり、さら
にインクの吐出安定性の向上にも寄与するという点から
好適である。
【0032】分散剤の使用量としては、顔料の使用量の
0.1〜2倍程度(重量換算)が適量である。
【0033】本発明において用いる炭化水素系溶剤とし
ては、下記一般式(I):
【0034】
【化3】
【0035】(式中、R1、R2、R3は独立に水素原子
または炭素原子数1〜4の低級アルキル基を表す)で示
される化合物を主成分とするものが好ましい。一般式
(I)におけるR1、R2、R3で表される炭素原子数1
〜4の低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチルがあげられる。一般式(I)で示される
化合物の具体例としては、1−フェニル−1−キシリル
エタン、フェニルキシリルメタンなどがあげられる。こ
れら化合物は単独で、または2種以上を組み合せて使用
できる。炭化水素系溶剤として、一般式(I)で示され
る化合物を主成分とするものを用いることにより、イン
クの表面張力を高くし、7kHzを超える印刷周波数で
の吐出性が良好となる。
【0036】一般式(I)で示される化合物の使用量
は、インク組成物全量中で40重量%以上が好ましく、
より好ましくは60重量%以上である。該化合物の使用
量が前記範囲未満では、7kHzを超える印刷周波数で
の吐出性が劣る傾向にある。
【0037】炭化水素系溶剤としては、その他に流動パ
ラフィンを使用できる。ここで、流動パラフィンとは、
比較的軽質の潤滑油成分を硫酸洗浄などによって高度に
精製して得られる、主としてノルマルパラフィン、イソ
パラフィンおよび単環シクロパラフィンの3成分の混合
物であり(日本薬局方において軽質流動パラフィンと呼
ばれるものも含む)、その中でも単環シクロパラフィン
を20重量%以上含有するものが好適である。
【0038】そして、実質的に紫外線吸収性の不純物を
含有しないレベルまで精製され、使用目的に応じて、日
本薬局方における流動パラフィンの純度試験、日本国で
定められた、食品添加物基準における流動パラフィンの
純度試験、および化粧品原料基準における流動パラフィ
ンの純度試験の少なくとも1つに合格しているものは、
作業・衛生の面においてもより好適である。
【0039】これら3つの流動パラフィンの純度試験お
よび基準値については、現在、最新のものとして、第十
四改正日本薬局方、第7版食品添加物公定書、および厚
生省告示第181号に基づく化粧品原料基準に収載され
ており、いずれのものにも合格した流動パラフィンとし
ては、たとえば、モレスコホワイトP−40、モレスコ
ホワイトP−55(以上、松村石油研究所(株)製)、
流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.
55−S(以上、中央化成(株)製)などをあげること
ができる。
【0040】さらに、イソパラフィン系溶剤、シクロパ
ラフィン系溶剤も併用可能であり、イソパラフィン系と
しては、イソデカン、イソドデカン、および市販のイソ
パラフィン系混合物、たとえばアイソパーE、アイソパ
ーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(以
上、いずれもエクソン化学(株)製)、シェルゾール
(シェルオイル(株)製)、ソルトロール(フィリップ
ス石油(株)製)、ベガゾール(モービル石油(株)
製)、IPソルベント2835(出光石油化学(株)
製)などをあげることができ、また、シクロパラフィン
系溶剤としては、シクロオクタン、シクロデカン、デカ
リン、および市販のシクロパラフィンを含む混合物、た
とえばエクソールD130、D140(いずれもエクソ
ン化学(株)製)などをあげることができる。
【0041】さらに、本発明では、顔料分散剤の溶解性
を向上し、さらに顔料の分散性やインクの吐出安定性を
向上させる溶剤成分として植物油を使用する。使用可能
な植物油としては、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ナタ
ネ油、カラシ油、ゴマ油、コーン油等の半乾性油、オリ
ーブ油、落下生油、ツバキ油等の不乾性油、亜麻仁油、
サフラワー油などの乾性油をあげることができ、これら
の植物油は単独で、または2種以上を組み合せて使用で
きる。
【0042】とくに性状の点からは、酸化による重合性
の低い半乾性油や不乾性油であって、その中でも、より
低粘度なナタネ油、オリーブ油、また、安価な大豆油が
より好ましい。
【0043】本発明で用いる炭化水素系溶剤と植物油の
使用割合は、重量比率で(99:1)〜(70:30)
の範囲が好ましい。炭化水素系溶剤の割合が前記範囲未
満では、7kHzを超える印刷周波数での吐出性が劣る
傾向にあり、植物油の割合が前記範囲未満では、吐出安
定性および保存安定性が低下する傾向にある。
【0044】本発明においては、被印刷体への固着性な
どの改善のために、通常の油性インクジェット記録用イ
ンクで使用されている各種バインダー樹脂を添加するこ
とができ、とくに再溶解性に効果のある石油樹脂やロジ
ン変性マレイン酸樹脂などは好適である。また、顔料の
分散に効果のある顔料誘導体や界面活性剤、さらに粘度
調整剤などの各種添加剤を配合することもできる。
【0045】これらの材料を用いてインクジェット記録
用インクを製造する方法としては、たとえば、炭化水素
系溶剤の一部に分散剤を溶解させて分散剤溶液とし、こ
れに、さらに顔料、必要に応じて界面活性剤などを混合
攪拌し、練肉機で練肉してベースインクを調製し、この
ベースインクに、炭化水素系溶剤の残り、植物油、さら
に必要に応じてその他の添加剤を添加混合する方法など
が利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0046】前記練肉機としては、たとえば、湿式サー
キュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンド
ミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシ
ェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、
超高圧ホモジナイザー、パールミルなどをあげることが
でき、とくにインクジェット記録用インクでは、通常の
印刷インキと比較して、より微細に顔料を分散させる必
要があることから、前記機種の中でも湿式サーキュレー
ションミルが好ましい。
【0047】本発明の油性インクジェット記録用インク
組成物は、25℃における表面張力が32mN/m以上
であり、この範囲にあるインクは、速やかにノズル内に
充填され、7kHzを超える印刷周波数での吐出性が良
好であり、しかもノズル詰まりも少なくすることができ
る。
【0048】また、低温における保存安定性などを良好
にするという観点から、インクの凝固点は−10℃以下
であるのが好適である。さらに、インクの粘度として
は、使用時の環境温度において、1.0〜30.0mP
a・s、とくに5〜20.0mPa・sが好適であり、
粘度がこの範囲にあると、高速印刷において吐出追随性
や吐出安定性も良好である。
【0049】これらの物性値は、最終的なインクの組成
物として有していればよいが、とくに主要成分である炭
化水素系溶剤に支配される物性値であることから、用い
る炭化水素系溶剤(混合物の場合は混合物として)とし
て、前記の表面張力および粘度を有し、さらに凝固点が
−10℃以下となるものを選択しておくことが望まし
い。
【0050】なお、本発明の油性インクジェット記録用
インク組成物は、108Ωcm以上の体積抵抗値を有す
るものが好ましいが、帯電剤を含有しないものである。
従って、帯電させたインク液滴と電極との間に発生する
電気的吸引力を利用して、連続的に液滴を飛翔させるイ
ンクジェット記録方法で使用するインクとは、本質的に
要求される吐出特性が異なるものである。
【0051】本発明の油性インクジェット記録用インク
組成物は、ピエゾ振動素子を利用してインクを吐出す
る、オンデマンド・インクジェット記録方式に適してお
り、このタイプのインクジェットプリンターにおいて7
kHzを超える印刷周波数での吐出性が良好であり、か
つ初期から長期に亘る保存においても良好な顔料分散性
を有し、低温から高温までの幅広い温度範囲において良
好な吐出安定性を有するものである。
【0052】さらに本発明は、前記油性インクジェット
記録用インク組成物を、ピエゾ振動素子を利用する記録
ヘッドを備えたオンデマンド・インクジェット記録方式
のプリンターで7kHzを超える印刷周波数で吐出して
被印刷体に印刷することを特徴とする印刷物の製造方法
を提供する。使用する本発明の油性インクジェット記録
用インク組成物が、7kHzを超える印刷周波数での吐
出性が優れているので、高速印字が可能となる。
【0053】被印刷体としては、インクジェット記録方
式で一般に使用されているものがいずれも使用でき、た
とえば普通紙、インク受理層を設けた専用紙、プラスチ
ックフィルム、インク受理層を設けたプラスチックフィ
ルムなどがあげられる。
【0054】
【実施例】以下、実施例でもって本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、とくに断らない限り、本実施例における
「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重
量%」を表わす。
【0055】実施例1〜2および比較例1〜2 <ベースインクの製造>分散剤として、ポリアリルアミ
ンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応
物3部を流動パラフィンNo.40−S(中央化成
(株)製)12部に溶解し、これに顔料としてファスト
ゲン スーパーレッド 7061B(大日本インキ化学
工業(株)製)5部を攪拌混合した後、ビーズミルを用
いて練肉してベースインクを得た。
【0056】<インクジェット記録用インクの製造>前
記ベースインク20部に、表1の配合に従い各種材料を
撹拌混合して、実施例1〜2、比較例1〜2のインクジ
ェット記録用インクを得た。表1中の各成分の配合量は
部数である。
【0057】表1におけるNo.55−Sは流動パラフ
ィン(中央化成(株)製)である。1−フェニル−1−
キシリルエタンとしては日本石油化学(株)製SAS−
296を使用した。
【0058】<物性測定>前記の各インクジェト記録用
インクについて、粘度と表面張力を測定した。結果を表
1に示す。
【0059】・粘度 各インクジェット記録用インクの25℃における粘度を
粘度計(東機産業(株)製RE100L型)を用いて測
定した。
【0060】・表面張力 各インクジェット記録用インクの25℃における表面張
力を表面張力計(動的濡れ性試験機、レスカ社製)を用
いて測定した。
【0061】<性能評価>各インクジェット記録用イン
クについて、下記の性能評価を行った。結果を表1に示
す。
【0062】・印字品質 ピエゾ振動素子を利用する記録ヘッドで7kHzの印刷
周波数でインクを吐出するインクジェット記録方式の印
刷装置を9kHzの印刷周波数でインクを吐出するよう
に改造したテスト用印刷装置を用いて、インクジェット
記録用塗工紙(三菱製紙(株)製)上に直線の細罫線を
印字し、その細罫線の直線性を光学顕微鏡(キーエンス
社製、100倍)を用いて観察した。 A:直線になっている。 B:直線に乱れが認められる。
【0063】・インク吐出量 前記テスト用印刷装置のインク吐出ノズルの先にシャー
レを置き、印刷装置を連続1時間駆動して9kHzの印
刷周波数でインクをシャーレ中に吐出させて回収し、吐
出されたインクの体積を測定した。一方、改造前の印刷
装置を用いて、これを連続1時間駆動して7kHzの印
刷周波数で比較例1のインクをシャーレ中に吐出させて
回収し、吐出されたインクの体積を測定した。実験は2
0℃の雰囲気下で行なった。比較例1のインクを7kH
zの印刷周波数で吐出した場合のインクの体積を100
とし、これに対する9kHzの印刷周波数で吐出した場
合のインクの体積の比率(インク吐出体積比)を求め
た。
【0064】・低温保存安定性 各インクジェット記録用インクをガラス瓶にとり密栓し
て、0℃で1ヵ月、さらに−10℃で1ヵ月間経時させ
た後の、沈降物の有無とその状態から低温保存安定性を
評価した。 A:沈降物が全く生じない。 B:沈降物は生じるが、軽く振ればなくなる。 C:激しく振っても沈降物がなくならない。
【0065】・常温吐出安定性 一般的な室内環境と考えられる20℃の温度雰囲気下
で、前記テスト用印刷装置を用いて、各インクジェット
記録用インクを専用光沢紙(ロール紙)に連続ベタ印刷
し、A0に相当するサイズでカットして印刷物100枚
を得た。印刷がされない部分(ほぼ全てのノズルからイ
ンクが吐出されなくなり、印字がされない部分をいう)
が印刷開始から何枚目で発生したかで常温吐出安定性を
評価した。 A:印刷されない部分が71枚目以降に発生するか、印
刷されない部分が100枚目まで発生しない。 B:印刷されない部分が51枚目〜71枚目で発生す
る。 C:印刷されない部分が31枚目〜50枚目で発生す
る。 D:印刷されない部分が30枚目までに発生する。
【0066】・低温吐出安定性 温度を5℃とした以外は前記の常温吐出安定性と同じ評
価方法、同じ評価基準で、各インクジェット記録用イン
クの低温吐出安定性を評価した。
【0067】なお、上記の評価において、常温および低
温吐出安定性については、AおよびBランクを良好な性
能、Cランクを使用上問題のない性能、Dランクを使用
に差し支える性能、その他の項目については、Aランク
を良好な性能、Bランクを使用上問題のない性能、Cラ
ンクを使用に差し支える性能と判断した。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】以上、実施例と比較例をあげて具体的に
示したように、本発明の油性インクジェット記録用イン
ク組成物は、高速吐出性に優れ、かつ初期から長期に亘
って良好な保存安定性を有し、さらに低温から高温に亘
る温度範囲において良好な吐出安定性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加野 仁紀 大阪市西区江戸堀一丁目23番37号 サカタ インクス株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA01 EA26 FA04 FB01 FC02 2H086 BA02 BA54 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 AB04 AE09 BC01 BC02 BC03 BC36 BE01 BE22 BE28 BE29 CA07 EA44 EA48 GA24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 7KHzを超える印刷周波数でインクを
    吐出するインクジェットプリンター用インク組成物であ
    って、顔料、分散剤、植物油、炭化水素系溶剤からな
    り、表面張力が32mN/m以上であることを特徴とす
    る油性インクジェット記録用インク組成物。
  2. 【請求項2】 前記炭化水素系溶剤が、下記一般式
    (I): 【化1】 (式中、R1、R2、R3は独立に水素原子または炭素原
    子数1〜4の低級アルキル基を表す)で示される化合物
    を主成分とするものであり、該化合物がインク組成物全
    量中に40重量%以上含有される請求項1に記載の油性
    インクジェット記録用インク組成物。
  3. 【請求項3】 前記炭化水素系溶剤と前記植物油を(9
    9:1)〜(70:30)の重量比率で含有する請求項
    1または2に記載の油性インクジェット記録用インク組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記分散剤が、アミン化合物と12−ヒ
    ドロキシステアリン酸の自己縮合物との反応物である請
    求項1〜3のいずれかに記載の油性インクジェット記録
    用インク組成物。
  5. 【請求項5】 前記顔料が、平均粒径150nm以下の
    ものである請求項1〜4のいずれかに記載の油性インク
    ジェット記録用インク組成物。
  6. 【請求項6】 体積抵抗値が108Ωcm以上である請
    求項1〜5のいずれかに記載の油性インクジェット記録
    用インク組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の油性イ
    ンクジェット記録用インク組成物を、インクジェットプ
    リンターで7kHzを超える印刷周波数で吐出して被印
    刷体に印刷することを特徴とする印刷物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007521368A (ja) * 2003-06-26 2007-08-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 非水性インクジェットインクセット
JP2013513710A (ja) * 2009-12-15 2013-04-22 トータル・ラフィナージュ・マーケティング 非芳香族系溶剤の混合物、該混合物の製造方法、ならびに印刷インキおよび印刷ワニスにおける該混合物の使用

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