JP2003238786A - ポリエステル樹脂組成物及び該組成物から得られるフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及び該組成物から得られるフィルム

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JP2003238786A
JP2003238786A JP2002045911A JP2002045911A JP2003238786A JP 2003238786 A JP2003238786 A JP 2003238786A JP 2002045911 A JP2002045911 A JP 2002045911A JP 2002045911 A JP2002045911 A JP 2002045911A JP 2003238786 A JP2003238786 A JP 2003238786A
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ethylene
film
polyethylene
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Toshiaki Shimizu
利明 清水
Kozo Ono
宏造 小野
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Okura Industrial Co Ltd
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Okura Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的特性、耐熱性、剛性等を保持しつつ、良
好な耐衝撃性を有し、且つ押出成形等における成形加工
性が改良されたポリエステル樹脂組成物、並びにフィル
ムを提供すること。 【解決手段】エチレングリコール単位を主体とするジオ
ール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカルボ
ン酸単位から主としてなる(A)ポリエステル樹脂と、
メルトフローレートが3以下の(B)ポリエチレンと、
エチレンの繰り返し単位を有する高分子であって、かつ
カルボキシル基、またはその誘導体基、エポキシ基、ヒ
ドロキシル基、アミノ基の群の中から選ばれた少なくと
も1種の官能基を有する(C)相溶化剤、の三成分を必
須成分として含み、且つ(A)の割合が重量比で90〜
60%であり、(B)と(C)の合計の割合が重量比で
10〜40%であり、且つ(B)と(C)の割合が重量
比で1/1〜10/1である事を特徴とするポリエステ
ル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル樹脂と
ポリエチレン及び相溶化剤よりなるポリエステル樹脂組
成物及び該組成物から得られるフィルムに関する。さら
に詳しくは、ヒートシール性、耐引裂性、耐衝撃性など
の機械的特性に優れ、更には押出成形等の成形加工にお
ける成形性に優れるポリエステル樹脂組成物及び該ポリ
エステル樹脂組成物から得られるフィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エチレングリコール単位を主体とするジ
オール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカル
ボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(以下単
にポリエステル樹脂と称することがある)は、機械的特
性、耐熱性、剛性、ガスバリアー性、フレーバーバリア
ー性等に優れている事から、調味料、飲料類、化粧品等
の容器、或いは食品包装用フィルムの材料として広く用
いられている。その一方、ポリエステル樹脂は未延伸状
態では耐衝撃性に劣り、またそれ自身はヒートシールが
不可能な事から、ヒートシールをして形成される袋類、
或いはシーラント材には殆ど用いられていない。
【0003】一方で、ポリエステル樹脂は一般に溶融粘
度及び溶融張力が低いことから、押出成形、特にインフ
レーション成形、及び押出ブロー成形には適していな
い。これらの成形加工法においては、成形時、材料の溶
融張力が高いことが求められるが、大抵のポリエステル
樹脂はその加工温度において十分な溶融張力を有してい
ない。この問題を解決するために、固相重合等の手段を
用いて分子量を高めた高分子量ポリエステル樹脂、また
は分岐鎖状ポリエステル樹脂等が提示されているが、こ
れらの解決法は材料コストの上昇を招くのが一般的であ
る。
【0004】前記したポリエステル樹脂の有する問題の
うち、特に耐衝撃性及びヒートシール性を向上させるた
めに、ポリエステル樹脂に対しポリオレフィン樹脂或い
は熱可塑性エラストマー等の、耐衝撃性に優れ、またヒ
ートシールが可能な熱可塑性樹脂を改質剤としてブレン
ドする技術、更にはこれら改質剤にポリエステル樹脂と
反応性のある官能基を導入することにより変性してポリ
エステル樹脂との相溶性を高める技術、或いは第三成分
としてポリエステル樹脂と改質剤の両者に親和性のある
物質を相溶化剤として添加し、改質剤の効果を高める技
術が提示されている。これらの技術によっても、耐衝撃
性及びヒートシール性に関わる問題をある程度解消する
ことは可能である。しかしながら、これらの技術は、前
記したポリエステル樹脂の有する問題のうち、成形性、
とりわけ押出成形における成形性が不良であるという問
題を解消するという点では十分とは言い難い。
【0005】すなわち、ポリエステル樹脂に対しポリオ
レフィン樹脂或いは熱可塑性エラストマー等の熱可塑性
樹脂を改質剤として配合しても、溶融粘度は高まるもの
の、溶融張力は殆ど変わらず、押出成形における成形性
の向上は果たせない。ポリエステル樹脂と反応性のある
官能基を有する重合体が組成物に含まれていれば、ポリ
エステル樹脂と官能基を有する重合体が反応することに
より、実質的にポリエステル樹脂の分子量が増し、溶融
粘度と溶融張力を高めることが可能である。しかし、押
出成形における成形性の不足を十分に解消する効果を得
るためには、多量の配合が必要な場合が多く、また概し
てこのような官能基を付加された重合体は高価なため、
材料コストを引き上げるという結果を招く。
【0006】一方、近年、環境負荷の低減に対する意識
の高まりから、プラスチック廃棄物の回収及び再生量が
増してきている。プラスチック廃棄物の回収、再生を代
表するものとしてポリエステル樹脂製ボトルが挙げられ
るが、回収ボトルをマテリアルリサイクルにより再生す
る場合、分子量低下による、機械特性の劣化、加工性の
低下は避けられない問題であり、ポリエステル樹脂の特
性改良、成形性の向上は必要性を増している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みなされたもので、ポリエステル樹脂が本来有す
る機械的特性、耐熱性、剛性等の優れた特徴は保持しつ
つ、耐衝撃性を改良し、またヒートシール性に優れてい
て製袋加工等の二次加工を容易ならしめ、且つ押出成形
等における成形加工性が改良されたポリエステル樹脂組
成物、並びに該ポリエステル樹脂組成物からなるフィル
ムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた。この結果、ポリエステル樹脂とメルトフローレ
ートが特定の範囲にあるポリエチレンと特定の相溶化剤
を特定の割合で配合すると、ポリエステル樹脂が本来有
する機械的特性、耐熱性、剛性等の優れた特徴は保持し
つつ、耐衝撃性が改良され、且つ押出成形等の成形加工
における成形性が改良されたポリエステル樹脂組成物、
並びに該ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムが得
られる事を見出し本発明に至ったものである。すなわち
本発明は、 エチレングリコール単位を主体とするジオール単位お
よびテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位か
ら主としてなる(A)ポリエステル樹脂と、メルトフロ
ーレートが3(g/10min)以下の(B)ポリエチ
レンと、エチレンの繰り返し単位を有する高分子であっ
て、かつカルボキシル基、またはその誘導体基、エポキ
シ基、ヒドロキシル基、アミノ基の群の中から選ばれた
少なくとも1種の官能基を有する(C)相溶化剤、の三
成分を必須成分として含み、且つ(A)の割合が重量比
で90〜60%であり、(B)と(C)の合計の割合が
重量比で10〜40%であり、且つ(B)と(C)の割
合が重量比で1/1〜10/1である事を特徴とするポ
リエステル樹脂組成物に関するものである。
【0009】に記載のポリエステル樹脂組成物から
形成されたフィルムに関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するエチレングリコール単位を主体とする
ジオール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカ
ルボン酸単位から主としてなる(A)ポリエステル樹脂
とは、所謂ポリエチレンテレフタレートのみならず、ジ
カルボン酸成分、またはジオール成分のどちらか、また
は双方が、前記したテレフタル酸およびエチレングリコ
ール以外のものから選ばれて構成されたポリエステル単
位を含む共重合体であってもよい。テレフタル酸以外の
ジカルボン酸成分を具体的に挙げれば、例えばイソフタ
ル酸、ナフタリン−1,4−ジカルボン酸、ナフタリン
−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュ
ウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジ
カルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。エチレ
ングリコール以外のグリコール成分としては、具体的に
例えばジエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、
1,4−ブタンジオール等の脂肪族グリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール等の脂環族グリコールが挙げられ
る。また、共重合ポリエステルを用いる場合、その共重
合比等が特に制限されるものではない。さらにテレフタ
ル酸およびエチレングリコールからのみなるポリエチレ
ンテレフタレートと、テレフタル酸以外のジカルボン酸
単位やエチレングリコール以外のジオール単位を含む共
重合体ポリエステル樹脂、あるいは、テレフタル酸やエ
チレングリコールを構造単位に全く含まないポリエステ
ル樹脂の混合物を用いても良い。
【0011】本発明で用いられるポリエステル樹脂の固
有粘度は特に制限を受けるものではないが、o−クロロ
フェノール溶媒中において25℃で測定した溶融粘度よ
り求めた固有粘度が0.3(dl/g)以上、さらには
0.5(dl/g)以上であるものが好ましい。使用す
るポリエステル樹脂の固有粘度が0.3(dl/g)以
下である場合、溶融張力の低さにより成形性が悪化し、
またフィルム等の成形体の機械特性等が不満足なものと
なり好ましくない。
【0012】そして本発明においては、メルトフローレ
ートが3(g/10min)以下の(B)ポリエチレン
が用いられる。なお、(B)ポリエチレンは0.01
(g/10min)以上のメルトフローレートを有して
いることが好ましい。このようなポリエチレンとして
は、エチレンの重合体である高密度ポリエチレン、及び
低密度ポリエチレン、及びエチレンとα−オレフィンの
共重合体などが挙げられる。尚、エチレンとα−オレフ
ィンの共重合体に関しては、主要量のエチレンと炭素数
3〜12程度のα−オレフィン、具体的に例えばプロピ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−
メチル−1−ペンテン、等との二元共重合体、或いは三
元共重合体等が挙げられる。そしてこれらは単独で用い
ても良いし、二種以上組み合わせて用いても良い。ただ
し、単独で用いるにしても、混合物を用いるにしても、
そのメルトフローレートは荷重2160g、温度190
℃で測定した時に、3(g/10min)以下でなけれ
ばならない。メルトフローレートが3(g/10mi
n)を超えるポリエチレンをに用いた場合、組成物の溶
融張力が不十分であり、本発明の課題のひとつである押
出成形等の成形加工における成形性が改良されず好まし
くない。また、複数のポリエチレンを組み合わせて用い
る場合、それぞれのメルトフローレートが3(g/10
min)以下である必要はなく、複数組み合わせられた
ポリエチレン組成物としてのメルトフローレートが3
(g/10min)以下であればよい。なお、メルトフ
ローレートが3(g/10min)以下のポリエチレン
を用いることにより本発明の目的を達成できるが、成形
性の更なる向上のため、また組成物を成形加工してなる
フィルム等の成形品の耐衝撃性等の物性を優れたものに
するためには、ポリエチレンのメルトフローレートは
1.5(g/10min)以下が好ましく、更に好まし
くは1.0(g/10min)以下である。
【0013】さらに本発明においては、エチレンの繰り
返し単位を有する高分子であって、かつカルボキシル
基、またはその誘導体基、エポキシ基、ヒドロキシル
基、アミノ基の群の中から選ばれた少なくとも1種の官
能基を有する(C)相溶化剤が用いられる。すなわち相
溶化剤は、本来は非相溶系であるポリエステル樹脂とポ
リエチレンの混合物中において、ポリエステル樹脂相と
ポリエチレン樹脂相の界面に選択的に局在することによ
り、界面の自由エネルギーを減少させ、混合時の分散を
助長し、両界面の接着性を向上させる機能を果たす。ポ
リエステル樹脂とポリエチレン樹脂の混合系において相
溶化剤として機能する高分子物質は種々考えられるが、
本発明で用いる相溶化剤は、エチレンの繰り返し単位を
有する高分子であって、かつカルボキシル基、またはそ
の誘導体基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基の
群の中から選ばれた少なくとも1種の官能基、より好ま
しくは、カルボキシル基、またはその誘導体基、エポキ
シ基の群の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有
する。このような相溶化剤は、分子構造中のエチレンの
繰り返し単位からなる部分が、ポリエチレンと親和性を
示す。また、官能基がポリエステル樹脂と親和性を示
す。さらにある割合で官能基がポリエステル樹脂と結合
してポリエステル樹脂の実質的な分子量を高めることか
ら、溶融張力を向上させ、その結果成形性を改良する効
果をもたらす。
【0014】このようなエチレンの繰り返し単位を有す
る高分子を例示すれば、前述の(B)の如きエチレンの
重合体、及びエチレンとα−オレフィンの共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、あるいは、スチレン−エチレンブテン
−エチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンラ
バー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、水素添
加スチレン−ブタジエンラバー等の熱可塑性エラストマ
ー等が挙げられ、これら高分子に前記した官能基が導入
される。このような官能基を導入する手段としては公知
の方法が採用可能である。例えばエチレンの繰り返し単
位を有する高分子に無水マレイン酸等の酸無水物をグラ
フト重合する手法、或いはエチレンを必須成分とするモ
ノマーとグリシジルメタクリレートを共重合する手法等
が挙げられる。
【0015】そして、本発明のポリエステル樹脂組成物
は上記した(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリエチレ
ン、及び(C)相溶化剤を、(A)の割合が重量割合で
90〜60%であり、(B)と(C)の合計の割合が重
量比で10〜40%であり、且つ(B)と(C)の割合
が重量比で1/1〜10/1の範囲で含有することが必
要である。
【0016】(A)ポリエステル樹脂の割合が重量比で
60%未満であって、(B)ポリエチレンと(C)相溶
化剤の合計の割合が重量比で40%以上である場合は、
ポリエステル樹脂が本来有する機械的特性、耐熱性、剛
性等の優れた特徴が損なわれる。一方、(A)ポリエス
テル樹脂の割合が重量比で90%を超え、(B)ポリエ
チレンと(C)相溶化剤の合計の割合が重量比で10%
未満ある場合は、成形品の耐衝撃性及びヒートシール性
の改良効果が十分でなく、また溶融張力の向上による成
形性の向上も不十分となる。
【0017】また、(B)ポリエチレンと(C)相溶化
剤の割合が重量比で1/1〜10/1の範囲を外れ、
(C)相溶化剤の割合が少ない場合は、本発明の目的が
達成されず、混合時の分散不良による成形性の悪化はも
ちろん、機械的特性等の製品物性の不良を生じるように
なる。上記範囲を超えて(C)相溶化剤の混合割合が多
い場合は、ゲル状物の発生を生じやすく、製品外観の不
良を生じやすい。また一般に相溶化剤はポリエステル樹
脂、やポリエチレンと比較して遥かに高価なため原料コ
ストの上昇を招く。
【0018】なお、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、発明の目的を損なわない範囲で、その用途に応じて
公知の添加剤を添加する事ができる。例えば酸化防止
剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。
【0019】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法は特に制限を受けるものはない。例えば、予め、ニー
ダー、バンバリーミキサー、二軸混錬押出機等の混錬機
を用いて各成分を所定の割合で含有する混合組成物を溶
融混合してから造粒する方法が挙げられる。また、成形
法によっては、所定の割合の成分をドライブレンドし、
直接成形機に供給して成形を行うようにしても良い。
【0020】さらに本発明は、上記したポリエステル樹
脂組成物から形成されたフィルムも提供するものであ
る。本発明によって提供されるフィルムはヒートシール
性、耐引裂性、耐衝撃性などの機械的特性に優れたもの
であり、この特性を生かして袋類、シーラント材、各種
包材にとりわけ好適なものである。上記したポリエステ
ル樹脂組成物からフィルムを製造する方法も特に制限を
受けるものはなく、インフレーション成形法、Tダイ式
押出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法が採用で
きる。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物は成形加
工性に優れるという特長を有しているため、従来、ポリ
エステル系組成物に対して採用が困難であったインフレ
ーション成形法を採用できる。従って、同成形法に用い
られる装置の設備コストが比較的低廉であるという点、
チューブ状のフィルムが得られるという点も参酌する
と、インフレーション成形法を採用するのが最も有利で
あると言える。
【0021】本発明のポリエステル樹脂組成物から得ら
れるフィルムは用途に応じて、ポリエチレン或いはポリ
プロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、
ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ア
ルミ箔、紙、など他の基材と二種或いはそれ以上に積層
してもよい。
【0022】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例によって
さらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限りこれらの例により何ら限定されるものではない。な
お、本実施例で用いた種々の試験法を以下に記す。
【0023】<振子式衝撃強度>供試フィルムの振子式
衝撃強度をASTM−D781の方法により測定した。
【0024】<引裂き強度>供試フィルムの引裂き強度
をJIS K7128−2(エルメンドルフ引裂法)の
方法により測定した。なお、測定はフィルムの縦方向に
ついて行った。
【0025】<ヒートシール試験>供試フィルムを温度
23℃、相対湿度50%の雰囲気中で48時間放置した
後、フィルムを2つ折りにし、バーシーラーにてシール
バー温度220℃、シールバー圧力0.32MPa、シ
ール時間1秒の条件でヒートシールした。なお、シール
バーには厚み100μmのテフロン(登録商標)製シー
トを巻きつけ、試料フィルムの融着を防いだ。次に、ヒ
ートシール部分の幅が10mmになるように短冊状のT
字型剥離強度測定用試験片を切り出し、破壊伸び測定用
の標線をヒートシール部を挟んで40mmの間隔で付加
した。作製した試験片を、温度23℃、相対湿度50%
の雰囲気下で、引張試験機を用いてチャック間距離50
mm、引張速度500mm/分の条件で引張り、試験片
が破壊されるときの応力と標線間の距離を測定し、シー
ル強度とシール破断伸度を求めた。なお、測定はフィル
ムの縦方向について7点を測定し、その平均値をシール
強度及びシール破壊伸度とした。
【0026】[実施例1] (A)ポリエステル樹脂として、テレフタル酸をジカル
ボン酸成分、エチレングリコールをジオール成分として
重合してなり、固有粘度が0.75(dl/g)のポリ
エチレンテレフタレートを80重量%と、(B)ポリエ
チレンとしてメルトフローレートが0.50(g/10
min)、密度が0.920(g/cm )である高圧
重合法低密度ポリエチレンを15重量%と、(C)相溶
化剤として無水マレイン酸0.4重量%でグラフト変性
された、エチレン−1−ブテン共重合体を5重量%を用
いた。(A)ポリエステル樹脂は除湿乾燥機を用い、1
40℃で5時間以上乾燥してから使用した。上記3成分
のペレットをブレンドし、φ50mmの押出し機を有す
る空冷インフレーション成形機にて、樹脂温度275℃
で成形することにより、厚み25μmのフィルムを得
た。使用した空冷インフレーション成形機は、通常ポリ
エチレンの成形に用いられる一般的な仕様の成形機であ
るが、何ら問題なく成形ができた。得られたフィルムに
関して、引張破壊強度及び引張破壊伸度、及び振子式衝
撃強度を測定した。その結果を下記表1に示す。また、
ヒートシール試験の結果を下記表2に示す。
【0027】[実施例2] (A)ポリエステル樹脂として、テレフタル酸が90モ
ル%とイソフタル酸が10モル%からなるジカルボン酸
成分と、エチレングリコールが97モル%とジエチレン
グリコールが3モル%からなるジオール成分を重合して
なり、固有粘度が0.80(dl/g)である共重合ポ
リエチレンテレフタレートを80重量%と、実施例1で
用いた(B)ポリエチレンを15重量%と、同じく実施
例1で用いた(C)相溶化剤を5重量%用い、実施例1
と同様にして成形を行い、厚み25μmのフィルムを得
た。フィルムの成形は実施例1と同じく、何ら問題なく
行えた。実施例1と同様にして行ったフィルムの評価試
験の結果を表1及び2に示す。
【0028】[実施例3]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを80
重量%と、同じく実施例1で用いた(B)ポリエチレン
を15重量%と、(C)相溶化剤としてメチルアクリレ
ートを25重量%、グリシジルメタクリレートを8重量
%含有するエチレン/メタアクリレート/グリシジルメ
タクリレート共重合体を5重量%用い、実施例1と同様
にして成形を行い、厚み25μmのフィルムを得た。フ
ィルムの成形は実施例1と同じく、何ら問題なく行え
た。実施例1と同様にして行ったフィルムの評価試験の
結果を表1及び2に示す。
【0029】[実施例4]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを80
重量%と、(B)ポリエチレンとしてメルトフローレー
トが2.0(g/10min)、密度が0.921(g
/cm)であるエチレン−1−ヘキセン共重合体を1
5重量%と、実施例1で用いた(C)相溶化剤である無
水マレイン酸でグラフト変性された、エチレン−1−ブ
テン共重合体を5重量%用い、実施例1と同様にして成
形を行い、厚み25μmのフィルムを得た。フィルムの
成形は実施例1と同じく、何ら問題なく行えた。実施例
1と同様にして行ったフィルムの評価試験の結果を表1
及び2に示す。
【0030】[実施例5]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを65
重量%と、同じく実施例1で用いた(B)ポリエチレン
を25重量%と、同じく実施例1で用いた(C)相溶化
剤である無水マレイン酸でグラフト変性された、エチレ
ン−1−ブテン共重合体を10重量%用い、実施例1と
同様にして成形を行い、厚み25μmのフィルムを得
た。フィルムの成形は実施例1と同じく、何ら問題なく
行えた。実施例1と同様にして行ったフィルムの評価試
験の結果を表1及び2に示す。
【0031】[実施例6]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを80
重量%と、同じく実施例1で用いた(B)ポリエチレン
を15重量%と、同じく実施例1で用いた(C)相溶化
剤である無水マレイン酸でグラフト変性された、エチレ
ン−1−ブテン共重合体を5重量%用いた。(A)ポリ
エステル樹脂は除湿乾燥機を用い、140℃で5時間以
上乾燥してから使用した。上記3成分をペレットブレン
ドして、φ50mmの押出し機を有するTダイキャスト
フィルム成形機にて、樹脂温度280℃、チルロール表
面温度45℃で成形し、厚み25μmのフィルムを得
た。成形は何等問題なく行えた。実施例1と同様にして
行ったフィルムの評価試験の結果を表1及び2に示す。
【0032】[比較例1]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを80
重量%と、メルトフローレートが6.0(g/10mi
n)、密度が0.918(g/cm)であるエチレン
/1−ヘキセン共重合体を15重量%と、実施例1で用
いた(C)相溶化剤である無水マレイン酸でグラフト変
性された、エチレン−1−ブテン共重合体を5重量%用
い、実施例1と同様にして成形を行い、厚み25μmの
フィルムを得た。しかしながら、空冷インフレーション
成形におけるバブルの引き上げ作業が非常に困難であ
り、またようやく引き上げることができたバブルの安定
性も実施例に比べ劣るものであり、安定な生産には程遠
い状況であった。実施例1と同様にして行ったフィルム
の評価試験の結果を表1及び2に示す。
【0033】[比較例2]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを80
重量%と、同じく実施例1で用いた(B)ポリエチレン
を19重量%と、同じく実施例1で用いた(C)相溶化
剤である無水マレイン酸でグラフト変性された、エチレ
ン−1−ブテン共重合体を1重量%用い、実施例1と同
様にして成形を行い、厚み25μmのフィルムを得た。
しかしながら、空冷インフレーション成形におけるバブ
ルの引き上げ作業が非常に困難であり、またようやく引
き上げることができたバブルの安定性も実施例に比べ劣
るものであり、安定な生産には程遠い状況であった。実
施例1と同様にして行ったフィルムの評価試験の結果を
表1及び2に示す。
【0034】[比較例3]実施例1で用いた(A)ポリ
エステル樹脂であるポリエチレンテレフタレートを95
重量%と、同じく実施例1で用いた(B)ポリエチレン
を3.75重量%と、同じく実施例1で用いた(C)相
溶化剤である無水マレイン酸でグラフト変性された、エ
チレン−1−ブテン共重合体を1.25重量%用い、実
施例1と同様にしてフィルムの成形を試みた。しかしな
がら、バブルの引き上げ作業が非常に困難なものであ
り、目的とするフィルムを得ることができなかった。
【0035】[比較例4]比較例3で用いたのと全く同
じ組成物を用い、実施例6と同様にTダイキャストフィ
ルム成形機にて、樹脂温度280℃、チルロール表面温
度45℃で製膜し、厚み25μmのフィルムを得た。こ
の原料配合でも、Tダイキャストフィルム成形法では問
題なく成形が可能であった。実施例1と同様にして行っ
たフィルムの評価試験の結果を表1及び2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記の表1及び表2の結果から明らかなよ
うに、(A)ポリエステル樹脂と、メルトフローレート
が特定の範囲にある(B)ポリエチレンと、(B)相溶
化剤を特定の割合で混合してなる、本発明のポリエステ
ル樹脂組成物より成形された実施例1〜6のフィルム
は、良好な引裂き強度、及び衝撃強度を示し、またヒー
トシール性にも優れていることがわかる。加えて、良好
な成形性を示すことは各実施例に記載したとおりであ
る。
【0039】これに対して、実施例1〜6と同じく、ポ
リエステル樹脂、ポリエチレンと、相溶化剤から成るも
のの、ポリエチレンのメルトフローレート、及び三成分
の混合割合が本発明の範囲外である比較例1〜4の組成
物は、成形性に劣り、また得られたフィルムの引裂き強
度、衝撃強度、及びヒートシール性も不満足なものであ
った。特に、比較例1〜2、及び4の組成物から得られ
たフィルムのシール破壊伸度は何れも著しく小さい値を
示し、ヒートシール性が求められる用途に関しては、実
用的な価値がないことがわかる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明のポリエステ
ル樹脂組成物は、押出し加工等の成形性に優れる。また
該ポリエステル樹脂組成物より成形されてなるフィルム
は、ヒートシール性、袋引裂性、耐衝撃性などの機械的
特性に優れる。そしてこのフィルムは前記特性を生かし
て各種袋類、シーラント材等の各種包材に好適に用いら
れるものである。そして、近年話題になっているポリエ
ステル樹脂製ボトル等のポリエステル樹脂のマテリアル
リサイクルによって得られる再生ポリエステル樹脂の有
効な活用にも道を提供するものであり有用であると言え
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA15 AA15X AA21X AA33X AA44 AA78 BA01 BB06 BB09 BC01 4J002 BB032 BB043 BB063 BB103 BB153 BB213 BP013 CF031 CF051 CF081 GG02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレングリコール単位を主体とするジ
    オール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカル
    ボン酸単位から主としてなる(A)ポリエステル樹脂
    と、メルトフローレートが3(g/10min)以下の
    (B)ポリエチレンと、エチレンの繰り返し単位を有す
    る高分子であって、かつカルボキシル基、またはその誘
    導体基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基の群の
    中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する(C)
    相溶化剤、の三成分を必須成分として含み、且つ(A)
    の割合が重量比で90〜60%であり、(B)と(C)
    の合計の割合が重量比で10〜40%であり、且つ
    (B)と(C)の割合が重量比で1/1〜10/1であ
    る事を特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成
    物を押出成形して得られたフィルム。
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