JP2003232068A - 吐水装置 - Google Patents

吐水装置

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JP2003232068A
JP2003232068A JP2002357662A JP2002357662A JP2003232068A JP 2003232068 A JP2003232068 A JP 2003232068A JP 2002357662 A JP2002357662 A JP 2002357662A JP 2002357662 A JP2002357662 A JP 2002357662A JP 2003232068 A JP2003232068 A JP 2003232068A
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Japan
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water
water discharge
chamber
cleaning
washing
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JP2002357662A
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English (en)
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Minoru Sato
稔 佐藤
Makoto Hatakeyama
真 畠山
Kinya Arita
欽也 有田
Yasuo Hamada
靖夫 濱田
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲吐水や節水化を電気的駆動装置を用い
ることなく達成できる新たな吐水装置を提供する。 【解決手段】 吐水体10は、吐水口11を旋回室4の
外部に臨ませた状態で、受力部位12が旋回室4内で傾
斜した姿勢で首振り可能に旋回室4に組み込まれ、この
旋回室4に接線方向から給水する。こうして旋回室4に
旋回流を起こし、この旋回流が起きることで生じる力を
受力部位12に及ぼし、受力部位12が旋回室4内で傾
斜した姿勢で吐水体10を首振り運動させ、吐水口11
から旋回室4内の洗浄水を吐水する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、給水された洗浄水
をノズルから吐水する吐水装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来は、より強い水流で洗浄しようとし
た場合、大量の洗浄水を吐水したり、より広い範囲を洗
浄する目的や、人体洗浄の場合の洗浄感を向上させるた
めには、洗浄ノズルからの吐水を広範囲から大量に吐水
する必要があった。 【0003】例えば、広範囲を洗浄する目的で洗浄ノズ
ルから吐水される洗浄水を回転又は略回転するように吐
水させて、洗浄ノズル自体を所定軌跡で移動させ洗浄水
を吐水する手法が提案されている。この手法では、図1
に示すように、人体局部洗浄装置の洗浄ノズルを2つの
モーターにより駆動することとし、左右・前後のノズル
動作の組み合わせにより、洗浄ノズルを所定軌跡で動か
す。 【0004】また、水ポンプにより加圧された洗浄水の
運動エネルギーを用いて羽根車を回転させる技術がある
(例えば、特許文献1、特許文献2)。そして、この羽
根車に吐水口を一体に設けて吐水口を円軌跡で動かし、
吐水を回転させている。 【特許文献1】特開平10−193776号 【特許文献2】特開2000−008452号 【0005】また、水流により旋回する羽根を有する旋
回ギアと固定ギアの噛合いにより、噴出パイプを円錐状
に旋回する技術もある(例えば、特許文献3)。 【特許文献3】特開平8−246535号 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1に
示すように、ノズル動作の組み合わせにより洗浄ノズル
自体を所定軌跡で移動させるものでは、次の問題があっ
た。ノズル動作の組み合わせにより洗浄水を回転又は略
回転させながら吐水できるが、洗浄ノズルを有するユニ
ットごと前後・左右に動かす必要があり、ユニット駆動
に大きな力が必要であった。また、ユニット駆動に伴
い、大きな振動が発生したり、このユニットまでも振動
させてしまうこともあった。このため、振動が騒音源に
なるといった問題があった。よって、問題にならないレ
ベルの振動の強さで洗浄ノズルを駆動するには、低速で
駆動することが不可欠であった。つまり、ノズル駆動が
このように低速駆動に制約されるので、洗浄水の回転又
は略回転の回転数を高速にするができなかったり、低速
〜高速まで可変にできないといった問題もあった。 【0007】また、水ポンプによる加圧洗浄水の運動エ
ネルギーを用いて羽根車を回転させ、羽根車と一体の吐
水口からの吐水を回転させるものでは、次の問題があっ
た。吐水口からの吐水は吐水口とほぼ同等の軌跡で回転
する。よって、より広い範囲を洗浄しようとすると、吐
水口の円軌跡を大きくする必要があり、その分、吐水口
周辺部材も円周径方向に大きくなる。このため、高速で
回転する時の摺動抵抗が大きくなってしまい、大きな駆
動力が必要となる。この結果、この駆動力を得るために
水量や水圧が大きくなってしまうという問題があった。 【0008】また、水流により旋回する羽根を有する旋
回ギアと固定ギアの噛合いにより、噴出パイプを円錐状
に旋回して洗浄水を噴出するものでは、次の問題があっ
た。このタイプでは、水流の運動エネルギーによって、
旋回ギアを旋回させて固定ギアの外周に沿って噴出パイ
プを旋回させている。よって、洗浄水噴出時には、旋回
ギアと固定ギアの回転抵抗が作用するために、旋回回転
数が小さくなってしまうことがある。また、洗浄水中の
スケール等が前記ギア表面に付着した場合には、さらに
回転に要する水流の運動エネルギーが必要となる。この
ため、さらに旋回回転数が弱まったり、旋回しないとい
った問題点がある。また、旋回するためのエネルギーを
水流中の運動エネルギーを用いて旋回ギアに設けた羽根
を旋回するために、ノズル自体が大きくなってしまうと
いった問題があった。また、ギア噛合いによる騒音や振
動も発生するといった問題もある。加えて、ノズル本体
と回転ノズルの間に摺動部を持つ都合上、この摺動部に
旋回ギアと同様にゴミ噛みや固着し、摺動の安定性、即
ち吐水の信頼性に欠ける。 【0009】また、使用者は、少ない流量でありながら
強い水流での洗浄を欲する場合がある。こうした欲求に
適った吐水を実現するには、少流量の洗浄水をその流速
を高めて通水する必要がある。ところが、少流量であれ
ば旋回ギヤの駆動力が低下するので、噴出パイプの旋回
も遅くなり、使用者は、洗浄水の着水を受ける洗浄ポイ
ントがゆっくりと移動しているように感じる。こうなる
と、洗浄範囲を一度に洗浄されているようには感じなく
なる。よって、洗浄範囲に亘って常時洗浄水の着水を受
けているようにするには、洗浄水流の流速を保ったま
ま、人体が認識不可能な速さで噴出パイプ、即ち吐水を
回転して、人体があたかも吐水の回転軌跡全体で着水を
受けているように錯覚させる必要があった。ところが、
少流量での洗浄水通水では、噴出パイプは低速旋回しか
起こし得ないので上記の洗浄ポイントが線状に移動して
いる感覚を与えてしまい、上記の錯覚を与えることが難
しかった。 【0010】また、流体素子を用いて吐水を揺動させる
ことも提案されている。しかしながら、吐水時に洗浄水
が飛び散ったりして洗浄に寄与しない無駄な水が大量に
発生して節水を行なえなかった。加えて、流体素子の構
成上、揺動させる方向や揺動の周波数が制限されるとい
った問題もあった。また、特に吐水後、即ち大気解放と
した後で素子を用いて発振させる場合には、流体素子発
振のために吐水洗浄水の運動エネルギーが使われてしま
うので、吐水の勢いが弱まってしまうといった問題もあ
った。 【0011】また、女性のビデ洗浄のように「ソフトに
広範囲を洗浄したい」という要望がある。ビデ洗浄の洗
浄対象は、より振動などに敏感であるために、既述した
ように洗浄ポイントが線状に移動した状態では、各洗浄
ポイントごとで着水による刺激が強すぎる。よって、洗
浄ポイントがより高速に揺動移動させて上記した錯覚を
与える必要があるが、流体素子では揺動の周波数が制限
されるので、洗浄ポイントの高速揺動を実現できないで
いた。 【0012】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、ノズル駆動を伴うことなくより広範囲
の洗浄を可能とする新たな吐水方式を提案することをそ
の目的とする。しかも、ノズル駆動装置や水ポンプ等の
駆動装置を用いることなく、水力を利用した高速の吐水
移動を可能とし、その際の省エネルギ化や、コスト低
減、振動・騒音の低減を図る。また、吐水の信頼性を高
める。 【0013】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の吐
水装置は、ノズルを備え、給水された洗浄水を前記ノズ
ルから吐水する装置であって、前記ノズルは、洗浄水が
流入する流入室と、該流入室に組み込まれ、洗浄水の吐
水口を備えた吐水部位と該吐水部位に連続し前記流入室
内に位置する室内部位とを有する吐水体であって、前記
流入室内の洗浄水を前記吐水口に導く管路を有する前記
吐水体と、前記流入室に流入した洗浄水が前記流入室の
内周壁面に沿った前記室内部位周りの旋回流を起こすよ
うに、前記流入室に洗浄水を導く給水機構とを有し、前
記吐水体は、前記吐水口を前記流入室の外部に臨ませた
状態で、前記室内部位が前記流入室内で傾斜した姿勢で
首振り可能に前記流入室に組み込まれ、前記給水機構
は、前記旋回流に、前記室内部位周りで流速差を起こ
し、該流速差に基づいて生じる力を前記室内部位に及ぼ
し、前記室内部位が前記流入室内で傾斜した姿勢で前記
吐水体を首振り運動させて公転させることを特徴とす
る。 【0014】上記した構成を有する本発明の吐水装置
は、給水機構から流入室に洗浄水を導いて、この流入室
で室内部位周りの旋回流を起こす。この旋回流は室内部
位周りで流速差を起こすので、流入室では、この流速差
に基づいて力が生じる。この力は、流体中を物体が移動
する際に、その物体を挟んだ流体の速度差に基づいて当
該物体に作用する揚力と同質のものである。よって、以
後の説明において、流速差に基づく力を、説明の簡便の
ために揚力と称することとする。 【0015】このように、流入室に室内部位が入り込
み、この室内部位周りの旋回流が起きている場合の揚力
Lは、その発生の時点で、室内部位の速度はゼロであ
り、相対的には、旋回流の流速V[m/sec]の影響を
受ける。そして、この揚力FLは、揚力を受ける室内部
位の最大射影面積Sに相当する物理量としてその長さを
L[m]、洗浄水の密度をρ[kg/m3]とすると、次式
で表される。式中のCLは揚力係数である。 FL=(ρ・V2・CL・L)/2 [N] 【0016】なお、こうして揚力FLが室内部位に作用
すると、その結果として室内部位には抗力FD(=(ρ
・V2・CD・L)/2 [N])も作用する。このCD
抗力係数である。 【0017】今、流入室で室内部位周りの旋回流が起き
た状況を考えると、既述したように、室内部位には揚力
が作用する。この揚力は、室内部位周りの旋回流の流速
が大きい側に旋回流中中央側から外向きに働く。その一
方、室内部位は、流入室において、傾斜した姿勢で首振
り可能であることから、この揚力を受けて傾斜し、流入
室内壁側に傾くと共に、この揚力と抗力の合力方向に動
く。この合力は、抗力が旋回流の流れ方向に沿ったもの
であることから、室内部位を旋回流の流れ方向に沿って
動かす方向に働く。 【0018】こうなると、室内部位周りの旋回流の流速
差の状況も変化し、この新たな状況下での揚力・抗力に
より、室内部位は傾斜した姿勢のままで旋回流の流れ方
向に移動する。このため、吐水体は、首振り運動して流
入室において公転する。以下、この公転を首振り公転と
称する。そして、この吐水体の吐水口は流入室の外部に
臨んでいることから、吐水口に導かれた洗浄水は、吐水
体の首振り箇所を頂上とする円錐状に吐水される。こう
した吐水にあっても、吐水体の首振り公転に倣って公転
する。こうした吐水を公転吐水と場合により略称する。 【0019】しかも、上記のように室内部位が揚力を受
けて流入室内壁側に傾斜すると、この室内部位は、流入
室の旋回流に直に押されることになる。よって、室内部
位は、旋回流から直接運動エネルギを受けて傾斜姿勢の
ままで旋回流の流れ方向に移動することになり、吐水体
の首振り公転は促進される。 【0020】なお、ここでいう運動エネルギーAは次式
で定義できるものをいい、水の流れ(旋回流)に支配さ
れるエネルギーである。 A=(ρ・V2・Q)/2 [W] ここで、Qは、瞬間流量[m3/sec]を表し、Rは水
の回転もしくは旋回半径[m]を表す。 【0021】また、遠心力は次式で定義できるものをい
い、水の回転や旋回によって室内部位が公転することに
よって発生する力であって、前記公転もしくは旋回の回
転半径方向に発生する力である。 F=MV2/R [N] ここで、Mは吐水体の質量を、Vは公転の速度を、Rは
公転半径を表す。 【0022】これらの結果、本発明の吐水装置によれ
ば、ノズル自体の駆動を伴うことなく円錐状の洗浄水吐
水を実現でき、これにより、広範囲の洗浄水着水、即ち
広範囲の洗浄を図ることができる。 【0023】しかも、こうした広範囲の洗浄を図る上
で、流入室への洗浄水流入を図って旋回流を起こし、こ
の旋回流により吐水体に流入室での首振り公転を起こせ
ば足りる。よって、ノズル自体を所定の軌跡で移動させ
て洗浄水を回転又は略回転させながら吐水する場合に比
べ、移動部分が小さい。加えて、吐水体の首振り公転を
洗浄水の旋回流のみで起こしており、この首振り公転実
現にモータ等のアクチュエータを一切必要としない。こ
のため、アクチュエータ駆動に基づく騒音や振動を発生
させることがなく、静音性・静振性に非常に優れるとい
う利点がある。例えば、この吐水装置を、人体局部を洗
浄する人体局部洗浄装置に適用すれば、静音性・静振性
に非常に優れた人体局部装置を提供できる。加えて、ギ
ヤ等の噛み合わせも不要であることから、ゴミ等の噛み
込みも無く、吐水の信頼性を高めることができる。 【0024】また、移動部分が小さいことに加えて、ア
クチュエータ等の電気的駆動部を持たないので、非常に
コンパクトな人体局部洗浄装置を提供することができ
る。さらに、電気的駆動部分の耐久性が問題になること
がないと共に、ノズル先端までの電気的配線も要しな
い。よって、漏電等の配慮をも必要とせず、組み付け作
業や保守作業の簡略化、構成の簡略化、延いてはコスト
低減を図ることができる。 【0025】また、上記した広範囲吐水を実現するため
の吐水体の首振り公転を、流入室への上記した吐水体組
み込み、流入室への洗浄水導入による旋回流生成で起こ
すので、構成の簡略化、コスト低減を図ることができ
る。なお、構成の簡略化を通して、装置のコンパクト化
を図ることもできる。 【0026】また、室内部位周りの流速差の発生状況
は、流入室への洗浄水導入の様子や流入室形状等で調整
できる。よって、吐水体の首振り公転状況も調整でき、
これにより、吐水態様の多様化を図ることができる。例
えば、上記した揚力や遠心力を高めて吐水体を高速で首
振り公転させて吐水できるほか、吐水体の首振り公転状
況を安定化させることで、この首振り公転の軌跡を容易
に安定したものとでき、吐水の安定化も達成できる。 【0027】このように吐水体を高速で首振り公転させ
れば、吐水された洗浄水が着水する洗浄ポイントも高速
で移動することになる。つまり、この首振り公転の周期
で規定される公転周波数を高めることで、人体があたか
も吐水の着水範囲(着水ポイントの集合箇所)の全体で
着水を受けているように錯覚させることができる。この
ため、この吐水装置を適用した人体局部洗浄装置では、
着水ポイントの高速移動による錯覚により、ソフトで広
範囲の洗浄要望を実現でき、好ましい。 【0028】更には、洗浄水の持つ運動エネルギとは別
に揚力を発生させて、この揚力を吐水体の首振り公転並
びにその高速化に供している。よって、流体素子を用い
たものに比して、吐水の勢いの衰退を招かない。 【0029】また、こうした各洗浄ポイントへの着水の
推移を起こしていても上記の錯覚を起こすので、着水範
囲の総てに同時に洗浄水が着水するような連続的な吐水
を要しない。よって、その分、節水効果がある。 【0030】こうした本発明の吐水装置は、種々の態様
を採ることができる。例えば、流入室を円筒形状とした
上で、吐水体の室内部位を円柱形状とすることができ
る。こうすれば、それぞれの形状が単純となるので、そ
の製造コストを低減できる。 【0031】このような形状を採った上で、室内部位の
外径を流入室の内径の約35〜80%とすれば、次の利
点がある。流入室での室内部位周りの旋回流の誘起に
は、流入室への洗浄水流入を、流入室と偏心して流入室
内壁に連通したノズル管路を用いることが簡便である。
こうして洗浄水流入を起こす際、室内部位の外径と流入
室の内径が上記の関係にあれば、洗浄水が流入室に最初
に流入した直後の状態において、その流入洗浄水は、流
入室内壁に沿った室内部位の周りの旋回流を流速差を持
って確実に起こす。これにより、吐水体の首振り公転・
吐水状態の安定化をもたらすことができる。 【0032】これに対し、上記の範囲より大きな室内部
位外径であると、流入室内壁に室内部位外壁が近づきす
ぎるので、流入室に偏心流入した洗浄水が室内部位と衝
突して跳ね返り易くなり、室内部位周りの旋回流に乱れ
が生じる。この結果、上記した揚力を好適に起こすこと
ができず、吐水体の首振り公転、延いては吐水の状態が
不安定となる。 【0033】また、室内部位の外径と流入室の内径が上
記の関係にあれば、流入室内壁と室内部位外壁の間を占
める旋回流の幅が適宜なものとなり、この旋回流の幅に
おける速度分布ピークが流入室内壁側に不用意に偏在す
ることがない。よって、このピーク箇所と室内部位が比
較的接近するので、揚力が室内部位に作用し易くなる。
これに対し、上記の範囲より小さい室内部位外径である
と、流入室内壁と室内部位外壁の間が広くなって旋回流
の幅が広がると共に、その旋回流は、小径の室内部位周
りでの旋回となる。よって、上記の速度分布ピークが流
入室内壁側に偏在してピーク箇所と室内部位が離れるの
で、揚力が室内部位に作用しにくくなる。この結果、や
はり、吐水体の首振り公転・吐水状態が不安定となる。 【0034】また、流入室と室内部位の少なくとも一方
を、旋回流の室内部位周りの流速に差を生じさせるよう
な周壁形状、例えば、曲率が異なる周壁部位を有するも
のとすることもできる。こうしても、流入室内壁に沿っ
た室内部位の周りの旋回流を流速差を持って確実に起こ
すことができるので、吐水体の首振り公転・吐水状態の
安定化をもたらすことができる。 【0035】また、流入室と偏心して流入室内壁に連通
したノズル管路を用いるに当たり、このノズル管路を複
数有するものとし、複数のノズル管路から流入室に流入
した洗浄水で旋回流を引き起こすようにすることもでき
る。こうすれば、流入室での室内部位周りの旋回流をよ
り容易かつ確実に誘起することができる。 【0036】この場合、複数のノズル管路を、異なる流
速で洗浄水の流入を図ったり、異なる管路面積とすると
いったことで、異なる流速で流入室に洗浄水を流入させ
るようにすることもできる。なお、複数のノズル管路の
少なくとも一つについて、このような異なる流速での流
入・異なる管路面積とすればよい。 【0037】また、複数のノズル管路を、流入室の中心
に対して非対称の位置で流入室周壁に連通したりするこ
ともできる。このようにすれば、流入室での室内部位周
りの旋回流の誘起をより容易かつ確実なものとすること
ができる。 【0038】また、ノズルの有する吐水体を、流入室へ
の洗浄水の流入の無い非吐水時において、室内部位が流
入室に対して傾斜しているようなものとすることもでき
る。例えば、ノズルを水平面に対して傾斜した姿勢を採
るものとし、この吐水体は自身に作用する重力により非
吐水時において室内部位を流入室に対して傾斜させてい
るものとできる。こうすれば、洗浄水の流入室流入の前
から吐水体の室内部位と流入室内壁との間を狭くでき
る。よって、洗浄水の流入室流入の当初から、上記の狭
くなった間を洗浄水が通過する間の流速を高めることが
でき、旋回流の流速差を確実に引き起こすことができ
る。このため、洗浄水流入当初から、上記した揚力を確
実に発生させることができるので、吐水体の首振り公転
・吐水状態の安定化を容易に図ることができる。 【0039】このように吐水体を傾斜させるに当たり、
次のようにすることもできる。つまり、流入室底面の中
央に突起を設け、この突起により、吐水体の室内部位を
非吐水時において流入室に対して傾斜させることもでき
る。こうしても、洗浄水流入当初から確実に揚力を発生
させて、吐水体の首振り公転・吐水状態を容易に安定化
することができる。こうした突起を吐水体における室内
部位下端に有するようにすることもできる。 【0040】また、流入室を、吐水体の吐水部位の側で
小径とされたテーパ状の内周壁を有するものとし、吐水
体の室内部位を柱状形状とすることもできる。こうすれ
ば、傾斜した室内部位外面と流入室内壁との間の間隙を
室内部位の長さに亘ってほぼ同じとできる。よって、室
内部位が一旦傾斜した後では、上記の間隙を旋回流が通
過する際の流速を室内部位の長さに亘ってほぼ同じよう
に速くできる。つまり、揚力発生に関与する長さが増す
ことになり、揚力を大きくできる。この結果、揚力に伴
う抗力も大きくなり、吐水体の首振り公転速度が増す。
しかも、旋回流との干渉が起きる範囲も長くなるので、
室内部位が直に旋回流でその方向に沿って回転させられ
る。このため、遠心力はより大きくなり、吐水体の首振
り公転の高速化、延いては、安定した軌跡での吐水体の
首振り公転や、吐水の安定化も容易に実現できる。 【0041】また、流入室に組み込まれた吐水体を、そ
の吐水部位が室内部位よりも小径の柱状体であるものと
することができる。こうすれば、吐水体は流入室の小径
側で吐水口を流入室の外部に臨ませ、既述したように室
内部位を公転させるので、吐水体(室内部位)の首振り
運動の中心部分も小径となる。よって、流入室から受け
る洗浄水の水圧の受圧面積は狭くなり、公転の際の中心
部分での抵抗も小さくなる。これらの点も、吐水体の首
振り公転の高速化や安定化に有益である。 【0042】更に、流入室は、開口を有し、該開口から
前記吐水体における前記吐水部位の前記吐水口を外部に
臨ませると共に、前記開口周縁を、前記吐水部位の先端
の受け座とするものとすることもできる。こうすれば、
次の利点がある。 【0043】吐水体がその吐水口から洗浄水を吐水する
際には、旋回室は洗浄水でほぼ満水の状態にあり、その
洗浄水が吐水体の吐水口に導かれる。こういった状態で
は、吐水体自体は、上向きに押し上げられる。この場合
であっても、室内部位は、既述したように揚力を受け傾
斜した姿勢で首振り運動を起こし、吐水体は首振り公転
する。 【0044】この吐水体の首振り公転の際、上記の上向
きの押し上げにより、吐水体は、その吐水部位先端を流
入室の開口周縁に押し付ける。ところで、こうした押し
つけの際には、吐水体自体が首振り公転をしていること
から、吐水部位先端が吐水体の傾斜した側で開口周縁に
受けられるいわゆる片当たりを起こすようにすることが
できる。こうなれば、この傾斜した側以外では、吐水部
位先端は開口周縁から離れ、吐水体の首振り公転に伴
い、この片当たりのまま、開口周縁との接触する吐水部
位先端の位置は開口周縁に沿って変わって行く。このた
め、片当たりしていない吐水部位先端から漏れ出ようと
する流入室内の洗浄水を、この吐水部位先端のシール水
として機能させることができる。よって、吐水部位先端
と開口周縁に特段の潤滑剤や潤滑機能を要しないので、
構成の単純化や、保守点検・組み付け作業の簡略化を図
ることができる。 【0045】また、吐水体の首振り公転の最中で吐水部
位先端を片当たりさせるに過ぎないので、吐水部位先端
と開口周縁との接触は狭小範囲でしか起きない。よっ
て、この接触に伴う摩擦力を低減でき、摩耗防止の上か
ら好ましい。 【0046】そして、流入室を、前記開口周縁に、前記
吐水部位先端の側に突出した環状***部を有するものと
することができる。こうすれば、上記したように吐水部
位先端が片当たりするようにした場合、吐水部位先端は
環状突起部にしか片当たり接触しないので、片当たりの
安定化や上記した摩耗防止等に有益である。この場合、
摩耗が起きたとしても開口周縁周りでは開口周縁と吐水
部位先端の接触位置が変わらないので、摩耗による回転
数が低下する等の性能変化がない。 【0047】更に、吐水部位先端を傾斜面形状や球形形
状、円弧状形状とすれば、片当たりの安定化や上記した
摩耗防止等により有益である。また、吐水部位先端の周
縁をテーパ状或いは円弧状に面取りすることでも、片当
たりの安定化や上記した摩耗防止等により有益である。 【0048】なお、開口周縁を球形形状とし、吐水部位
先端をこの球形に適合した凸の球形形状とすれば、吐水
部位先端をほぼ全周に亘って開口周縁で受け止めること
ができる。この場合であっても、吐水体の首振り公転の
安定化を図ることができる。 【0049】上記したように、吐水体の室内部位は、旋
回流に基づく揚力の他、旋回流に押し流されることで遠
心力も作用する。よって、室内部位の質量を大きくすれ
ば、揚力・遠心力で一旦この室内部位が傾斜姿勢で公転
した場合の慣性力(=遠心力)が大きくなる。このた
め、吐水体の首振り公転の安定化、公転吐水の安定化の
点で有益である。このように室内部位の質量を大きくす
るに当たり、当該部位を金属とし、これに続く吐水部位
を樹脂とすることが簡便である。なお、このように吐水
部位と室内部位で前者を樹脂、後者を金属とするには、
インサート成形等の製造手法を採ることができ、生産
性、コスト低減に有益である。 【0050】また、前記吐水体は、前記公転(首振り公
転)を起こしつつ、前記吐水体自体が前記室内部位の軸
を中心に回転する自転を起こすものとすることもでき
る。こうすれば、吐水体の首振り公転による吐水の円錐
状の公転吐水を実行しながら、吐水体の自転することに
よって洗浄水に自転方向の速度成分を付与する。このた
め、この吐水体の自転によって発生する自転軸周りの遠
心力で洗浄水(円錐状の公転吐水を起こしている洗浄
水)を分散できるので、より広い範囲に洗浄水を吐水さ
せることができる。しかも、洗浄水が分散するので円錐
状の公転吐水自体が広がり、中抜けの少ない吐水を行な
うことが可能となる。 【0051】また、前記吐水体は、前記吐水部位の前記
吐水口に到る前記管路を、前記吐水体の自転軸に対して
傾斜して有するものとすることもできる。こうすれば、
吐水口からの洗浄水の吐水軌跡は、吐水体の首振り公転
による円錐状の公転吐水軌跡と、次の軌跡の合成軌跡と
なる。つまり、吐水口に到る管路が吐水体の自転軸に対
して傾斜していることから、この吐水口からは、自転軸
に対しても円錐状に洗浄水が吐水される。よって、この
吐水軌跡と上記の円錐状の公転吐水軌跡の合成軌跡で吐
水が行われ、より広い範囲に洗浄水を吐水しても中抜け
のない吐水を実現できる。こうした広範囲の吐水実現に
際し、特段の水量増加を必要とせず、吐水体の自転を引
き起こせばよいので、効率良く節水を行なうことが可能
となる。 【0052】なお、吐水体の自転を含めた広範囲吐水を
必要としないような場合は、吐水口に到る管路を傾斜さ
せた上で自転しないようにすれば良い。こうすれば、円
錐状の公転吐水の中心軸向き、即ち、この円錐状の公転
吐水の指向方向を、ノズルの位置を変えずに上記の管路
の傾斜に倣って傾けることができる。よって、ノズルの
位置や姿勢の制約を受けずに洗浄水の向き(円錐状の公
転吐水の指向方向)を変えることができるので、ノズル
レイアウトの自由度が高まる。 【0053】また、前記吐水体は、前記吐水部位の前記
吐水口に到る前記管路を、前記吐水体の自転軸に対して
偏心して有するものとすることもできる。こうしても、
吐水口からの洗浄水の吐水軌跡を、吐水体の首振り公転
による円錐状の公転吐水軌跡と、吐水口の偏心に基づく
円状軌跡の組み合わせとでき、より広い範囲に洗浄水を
吐水しても円錐状に中抜けのない吐水を行なうことがで
きる。そして、管路を傾斜させた場合と同様に、効率良
く節水を行なうことが可能となる。 【0054】なお、吐水体の自転を含めた広範囲吐水を
必要としないような場合は、吐水口に到る管路を偏心さ
せた上で自転しないようにすれば良い。こうすれば、円
錐状の公転吐水を、ノズルの位置を変えずに上記の管路
の偏心位置の側にずらすことができる。よって、ノズル
の位置や姿勢の制約を受けずに洗浄水の向き(円錐状の
公転吐水の指向方向)をずらすことができるので、ノズ
ルレイアウトの自由度が高まる。 【0055】また、吐水部位に吐水口を設けるに際し、
その吐水口を長孔形状のものとしたり、拡張したテーパ
形状のものとすることもできる。こうすれば、円錐状の
公転吐水軌跡を、吐水口形状に倣った形状の吐水が公転
するようなものに広げることができる。よって、吐水に
確実に中抜けがないようにできると共に、管路傾斜・偏
心の場合と同様に、節水効率を高めることができる。 【0056】加えて、吐水口に洗浄水を導く際に洗浄水
の流れに整流を起こす整流機構を有するようにしたり、
吐水口を複数の開口で形成することが好ましい。こうす
れば、円錐状の公転吐水をより一層安定化させることが
できるので、吐水の信頼性を高めることができる。 【0057】また、前記流入室における前記吐水体の前
記室内部位の傾斜程度を広狭調整するようにすることも
できる。こうすれば、円錐状の公転吐水の広がり程度を
広狭設定できるので、種々の洗浄範囲を容易に得ること
ができる。 【0058】この他、前記ノズルは、前記吐水体を把持
し、可撓性を有する把持体を有し、該把持体で前記流入
室を閉鎖するものとすることができる。こうすれば、上
記したような吐水体の自転が起きないようにすることが
容易となる。 【0059】また、既述した課題の少なくとも一部を解
決するため、本発明の別の吐水装置は、ノズルを備え、
給水された洗浄水を前記ノズルから吐水する装置であっ
て、前記ノズルは、洗浄水が流入する流入室と、該流入
室に組み込まれ、洗浄水の吐水口を備えた吐水部位と該
吐水部位に連続し前記流入室内に位置する室内部位とを
有する吐水体であって、前記流入室内の洗浄水を前記吐
水口に導く管路を有する前記吐水体と、前記吐水体を把
持する可撓性の把持体であって、前記吐水口を前記流入
室の外部に臨ませた状態で、前記室内部位が前記流入室
内で傾斜した姿勢で首振り可能に前記流入室に組み込ま
れるようにして、前記流入室を閉鎖する前記把持体と、
前記流入室に洗浄水を導く給水機構と、該給水機構によ
る前記流入室への洗浄水流入により、前記流入室の内周
壁周りの旋回力を生じさせ、該旋回力を前記室内部位に
及ぼし、前記室内部位が前記流入室内で傾斜した姿勢で
前記吐水体を首振り運動させて公転させる伝達機構とを
有する、ことを特徴とする。 【0060】上記した構成を有する本発明の別の吐水装
置は、給水機構から流入室に洗浄水を導いて、この流入
室でその内周壁周りの旋回力を生じさせ、この旋回力を
伝達機構を介して室内部位に及ぼす。その一方、室内部
位は、流入室において、傾斜した姿勢で首振り可能であ
ることから、傾斜したままこの旋回力を受けて旋回力の
加わる方向に沿って流入室で旋回(公転)しようとす
る。 【0061】ところで、吐水体は、流入室を閉鎖する把
持体によって把持されていることから、上記した吐水装
置とは異なり、吐水体の自転を引き起こすことはない。
そして、把持体は可撓性を有することから、把持体は、
室内部位の公転の動きに併せた変形を起こし、室内部位
の公転を妨げない。よって、吐水体は、首振り運動して
流入室において公転(首振り公転)する。そして、この
吐水体の吐水口は流入室の外部に臨んでいることから、
吐水口に導かれた洗浄水は、吐水体の首振り箇所を頂上
とする円錐状に吐水される。こうした吐水にあっても、
吐水体の首振り公転に倣って公転し、円錐状の公転吐水
となる。 【0062】つまり、本発明のこの別の吐水装置によっ
ても、ノズル自体の駆動を伴うことなく円錐状の洗浄水
吐水を実現でき、これにより、広範囲の洗浄水着水、即
ち広範囲の洗浄を図ることができる。 【0063】しかも、こうした広範囲の洗浄を図る上
で、流入室への洗浄水流入を経た旋回力の生成・付与・
伝達を図って、吐水体に流入室での首振り公転を起こせ
ば足りる。よって、ノズル自体を所定の軌跡で移動させ
て洗浄水を回転又は略回転させながら吐水する場合に比
べ、移動部分が小さい。加えて、吐水体の首振り公転を
洗浄水の流入室への洗浄水導入で起こしており、この首
振り公転実現にモータ等のアクチュエータを一切必要と
しない。このため、アクチュエータ駆動に基づく騒音や
振動を発生させることがなく、静音性・静振性に非常に
優れるという利点がある。よって、この本発明の別の吐
水装置を人体局部洗浄装置に適用すれば、静音性・静振
性に非常に優れた人体局部装置を提供できる。加えて、
ギヤ等の噛み合わせも不要であることから、ゴミ等の噛
み込みも無く、吐水の信頼性を高めることができる。 【0064】また、移動部分が小さいことに加えて、ア
クチュエータ等の電気的駆動部を持たないので、非常に
コンパクトな人体局部洗浄装置を提供することができ
る。さらに、電気的駆動部分の耐久性が問題になること
がないと共に、ノズル先端までの電気的配線も要しな
い。よって、漏電等の配慮をも必要とせず、組み付け作
業や保守作業の簡略化、構成の簡略化、延いてはコスト
低減を図ることができる。 【0065】また、上記した広範囲吐水を実現するため
の吐水体の首振り公転を、流入室への上記した吐水体組
み込み、流入室への洗浄水導入による旋回流生成で起こ
すので、構成の簡略化、コスト低減並びに装置のコンパ
クト化を図ることができる。 【0066】また、室内部位に及ぼす旋回力は、流入室
への洗浄水導入の様子を変えることで調整できる。よっ
て、旋回力を高速化や安定化を通して、吐水体の首振り
公転の高速化や安定化を図ることができ、先の吐水装置
と同様の効果を得ることができる。 【0067】なお、上記したように吐水体の自転を引き
起こすことはないことは、把持体やノズルに対して吐水
体が連続して自転することを意味する。よって、吐水体
の多少の位置変位や一時的な回転は含まない。 【0068】また、吐水体と把持体を一体に構成するよ
うにすれば、吐水体と把持体のシールやネジ締め等が不
要となる。よって、組立てを簡略化できると共に、部品
締結がなくなることで信頼性も向上させることができ
る。 【0069】これらの場合、把持体は、前記吐水体が嵌
合されて該吐水体を把持する筒状の把持部を有し、前記
流入室に流入した洗浄水の圧力を前記筒状把持部の外壁
に作用させるものとすることが好ましい。こうすれば、
筒状把持部自体を洗浄水圧力により締め付けできるの
で、吐水体のシール性を自ら高めることができる。この
結果、シールの信頼性が高まり、把持部からの洗浄水漏
洩を好適に抑制できる。しかも、把持部からの漏洩洗浄
水が少ないことから、吐水口からの公転吐水をこの漏洩
洗浄水で乱さないようにでき、公転吐水の安定化に有益
である。更には、吐水体と把持体との接着を要しないの
で、接着剤およびその塗布工程も不要となる。よって、
製造工程の簡略化を図ることもできる。 【0070】また、把持体を、吐水体把持部位を中心と
した径方向沿って、把持体厚さを異なるものとすること
ができる。こうすれば、吐水体の首振り公転に際して把
持体の変形が容易となるので、吐水体の首振り公転をよ
り阻害しないようにでき、この首振り公転の信頼性を高
めることができる。なお、把持体の一部の厚さを薄くし
て把持体の変形が起き易くしても、部分的に把持体厚さ
を厚くして補強することで、把持体の破損を防ぐことが
できる。つまり、把持体の厚さを径方向に徐変して不均
一にすることで、吐水体の首振り公転に必要な柔軟性を
保ったまま強度や信頼性を上げることが可能である。こ
の他、把持体厚みが薄い部分から厚い部分に急変するも
のでも良い。 【0071】また、把持体を、吐水体の把持部位の周り
に外側に凸の屈曲部を有するものとすることができる。
こうすれば、把持体の厚さを極端に薄くしなくても、屈
曲部の曲げ方向の変形を容易に起こすので、把持体の変
形をさらに容易にすることができる。よって、把持体の
強度を保ったまま、吐水体の首振り公転を容易に引き起
こすことができる。 【0072】なお、上記した把持体を製造するに当た
り、ポリエステル系、ポリオレフィン系もしくはポリス
チレン系の熱可塑性エラストマーの何れかとすることが
好ましい。こうすれば、合成ゴムを用いた場合に必要と
される加硫工程が不要となり、製造手法に射出成形を採
用できる。よって、製造時間の短縮や低コスト化やリサ
イクルが可能である。また、接着剤やネジ等を用いた吐
水体と把持体との接着部や接合部が無く、さらにはノズ
ルに用いられる通常の樹脂材料(PP(ポリプロピレ
ン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共
重合物)、POM(ポリアセタール))との接合性も良
いために、シール性の向上や信頼性の向上を図ることが
できる。 【0073】また、把持体を、樹脂で構成されて樹脂の
弾性を利用して湾曲するシートとすることもできる。こ
うすれば、高い水圧が吐水体や把持体にかかるようなノ
ズルにこの把持体を用いた場合、ゴムやエラストマー等
を用いた場合に比べて伸びや変形による永久歪みや破損
等を起きにくくできる。 【0074】この場合、把持体を形成する樹脂として、
PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリルブ
タジエンスチレン共重合物)、POM(ポリアセター
ル)の何れかとすることが好ましい。こうすれば、人体
局部洗浄装置における洗浄ノズルに用いたとしても、十
分な強度と優れた柔軟性による弾性変形をもたらし、有
益である。利用した屈曲部に適している。加えて、これ
ら樹脂の採用により、優れた成形性と量産性をもたら
し、コスト低減に有益である。 【0075】上記したように吐水体の首振り公転をもた
らす把持体を、その固有振動数をfn、前記吐水体が起
こす公転の周期で定まる周波数をfとすると、比の値f
/fnが0.5≦(f/fn)≦10を満たすようにす
ることができる。こうすれば、次のような利点がある。
まず、こうした関係のうち、比の値f/fnが0.5≦
(f/fn)≦1.5である場合について説明する。 【0076】一般的に知られているように、上記比の値
f/fnが0.5≦(f/fn)≦1.5であると、f
とfnは共振し易い関係にある。従って、吐水体の首振
り公転に合わせて把持体は振動するが、この周期的な吐
水体の首振り公転の動きと把持体の振動が共振し易い関
係になっている。よって、吐水体の首振り公転と把持体
の振動が共振することで、吐水体の首振り公転をより大
きくすることが可能となり、また、少ない水流でも吐水
体を大きく首振り公転させることが可能となる。また、
把持体の硬度や大きさ、重さを最適化することで、f/
fnの値を最適化することができる。 【0077】この場合の吐水体の首振り公転の周波数は
例えば、センサーを軌跡上のある一部に設置して周波数
分析を行なった際に現れる特徴的なピークとして把握す
ることができる。或いは、ビデオ撮影や写真撮影の他、
流速から把握することもできる。なお、ここでいう本願
の周波数には、周波数に揺らぎや幅がある場合の、その
平均化した周波数プロファイルも含まれ、以下の実施例
についても同様である。 【0078】その一方、比の値f/fnが1.5<(f
/fn)≦10の関係である場合は、次のようになる。
一般的に知られているように、このような関係にある場
合、fとfnは振動が減衰し易い防振の関係にある。従
って、吐水体の首振り公転に合わせて把持体は振動する
が、この周期的な吐水体の首振り公転の動きと把持体の
振動が減衰し易い関係になっている。よって、吐水体の
首振り公転および把持体の振動によって発生する振動が
ノズルや吐水装置に伝わって、騒音や振動が問題となる
ことがない。この場合、fnの値をさらに小さくして、
すなわちf/fnの値を大きくすることで、より大きな
防振効果が得られる。このようにfnの値を小さくする
ためには、把持体の硬度やばね定数を非常に小さくしな
ければならず、把持体自体の強度が落ちてしまうので、
f/fnは10以下に留めることが望ましい。 【0079】上記したように吐水体の自転を引き起こさ
ないで首振り公転を起こすものにあっても、既述した吐
水装置と同様、吐水体は、吐水部位の吐水口に到る管路
を、吐水体の中心軸に対して傾斜して有するものとする
ことができる。こうすれば、ノズルの位置を変えずに吐
水方向、即ち円錐状の公転吐水の指向方向を傾けること
ができる。よって、ノズルの設置上の制約を受けずに洗
浄水の向きを変えることが可能となる。例えば人体局部
洗浄装置に用いた場合、円錐状の公転吐水の指向方向を
ノズルの進出方向にオフセットすることで、洗浄する際
に洗浄した後の汚水が、再びノズルにかかるのを防ぐこ
とができる。この他、逆に進出方向に対して後方にオフ
セットすることで洗浄する際の前方への飛び散りを防ぐ
ことが可能となる。 【0080】上記したいずれかの吐水装置において、ノ
ズルを流入室とこれに組み込まれた吐水体とを複数有す
るものとすることができる。こうすれば、広範囲での吐
水が集合したような形態での吐水をもたらすので、洗浄
範囲をより一層拡張することができる。よって、シャワ
ー装置のように広い面積を洗浄するものに好適である。
この場合、吐水体の首振り公転の軌跡やこの公転周波数
などの違う吐水体を適宜位置に配設し、それぞれの吐水
体からの吐水を実行選択するようにもできる。こうすれ
ば、洗浄目的にあった公転軌跡や公転周波数の吐水体を
選択して、所望の洗浄を行なうようにできる。 【0081】上記したように吐水体の首振り公転を行う
に当たり、その公転周波数を種々のものとできる。例え
ば、吐水体の首振り公転の周波数を約3Hz以上とする
ことができる。こうした周波数の吐水体を有するノズル
を人体洗浄装置用の洗浄ノズルとして用いた場合、人体
への洗浄水の着水ポイントは3Hz以上の周波数で実際
は推移する。しかし、このような周波数での着水ポイン
ト推移であると、人体は着水ポイントが推移しているこ
とを認識しにくい。このため、あたかも円錐状の公転吐
水の軌跡全体に洗浄水が着水しているように錯覚させる
ことが可能となり、結果として洗浄水量を減らすことが
できる。この時、当然洗浄対象範囲が小さい場合と大き
い場合とでは、同じ首振り公転周波数でも首振り公転速
度は異なり、洗浄範囲が小さい場合には移動速度は小さ
くても良く、洗浄範囲が大きい場合には移動速度は大き
くなる。 【0082】また、吐水体の首振り公転の周波数を約4
0Hz以上とすれば、次の利点がある。ビデ洗浄におけ
る洗浄対象は、既述したように敏感でデリケートであ
り、皮膚表層に非常に敏感な感覚受容器を有する。よっ
て、約3〜40Hzの比較的遅い振動や刺激変化であっ
ても、感覚受容器によって感じられて、使用者は不快な
振動や刺激として感じてしまう。しかし、吐水体の首振
り公転の周波数が約40Hz以上とされたノズルを人体
洗浄装置(女性局部洗浄装置)の洗浄ノズルとして用い
れば、約3〜40Hzの範囲の振動や刺激変化を与えな
いので、不快な振動感や刺激感を和らげることができ
る。 【0083】特に、吐水体の首振り公転の周波数を約1
60Hz以下とすれば、次の利点がある。吐水体の首振
り公転周波数を約160Hz以上とした場合、人体の敏
感な部位に洗浄水を当ててもほとんど吐水の首振り公転
(着水ポイントの推移)を感じることができない。これ
は首振り公転周波数をさらに大きくしても同じである。 【0084】ところが、首振り公転周波数を大きくすれ
ばするほど、洗浄水が首振り公転することによって発生
する遠心力は増大する。このため、この遠心力を受け
て、洗浄水は当初の首振り公転軌道の外側に広がってし
まい、非所望の範囲まで濡らしてしまう。首振り公転周
波数すなわち首振り公転速度が上がることで、洗浄水が
受ける空気抵抗が増加して空気せん断によって洗浄水が
分散され飛び散りが発生する。こうなると、洗浄水が無
駄となる。従って、首振り公転周波数を約160Hz以
下とすることで、不用意な洗浄範囲の拡大や無駄水を抑
制して、洗浄範囲の適性維持や節水効率の向上を図るこ
とが可能となる。 【0085】また、吐水体の首振り公転の周波数の上限
を約380Hzとすれば、次の利点がある。図2は洗浄
水の飛び散りが起きる状況を説明する説明図である。本
発明の吐水装置におけるノズルを人体洗浄装置用の洗浄
ノズルとして用いた場合、図2に示すように、洗浄水の
飛び散りの観点から、吐水の洗浄範囲L1は、一般に、
約30mm程度以下と限定されている。しかも、最大吐
水量時の吐水の速度については、次のようになる。吐水
方向成分の速度がV1(約12メートル毎秒)とされた
場合に、周方向速度成分をV2とする。人体局部までの
最大距離はL2(最大約150mm)であるから、首振
り公転による吐水巾を最小(すなわちゼロ)と仮定し、
自転のみによる吐水の分散のみを考える。すると、吐水
後の洗浄水が周方向速度成分によって分散して拡散する
場合は、 V2/V1 ≦ (L1/2)/L2 の関係であることが、洗浄水の飛び散りを少なくするた
めに望ましい。こうした関係が成立していれば、吐水後
の洗浄水が周方向速度成分によって吐水表面から離れて
水滴状の飛び散りとして分散したとしても、その飛び散
り水滴は人体局部の被洗浄部で飛び散りが気にならない
範囲(洗浄範囲L1)に入る。つまり、不用意な飛び散
り回避のためには、上記の関係が最低限必要である。 【0086】従って、上記の関係から周方向速度成分V
2=1.2メートル毎秒以下であることが望ましい。そ
して、吐水口径をD1とした時に自転周波数fJは、V
2/(D1・π)であり、吐水口径D1は一般的に最小
で約1mm程度である。よって、自転周波数fJはfJ
380Hzであることが望ましい。 【0087】また、首振り公転による吐水巾が0の最小
の場合を考えたが、首振り公転による吐水巾がこれより
大きくなった時には、首振り公転周波数はさらに小さく
なる必要がある。従って、吐水体の首振り公転周波数
は、首振り公転による吐水巾の大小に係わらず上記の自
転周波数fJと同様に、約380Hz以下であることが必
要条件とされる。流量に関しても同様に、吐水量が最大
時の流速を考えたが、吐水量すなわち流速がこれより小
さくなった時には、飛び散りが大きくなる方向であるか
ら首振り公転による吐水巾はさらに小さくする必要があ
る。従って、吐水体の首振り公転周波数を約380Hz
以下とすることが吐水範囲を広くしたときに飛び散りが
気にならなくなるために、必要となる。 【0088】以上説明した吐水装置は、洗浄水を吐水し
て被洗浄物を洗浄する種々の装置に適用できる。例え
ば、既述した人体局部洗浄装置やシャワー装置の他、携
帯して人体局部の洗浄を行なう携帯用人体局部洗浄装置
に用いることができる。上記した吐水装置では、吐水体
の首振り公転を起こすに当たり、アクチュエータはもと
よりその駆動用の電源やバッテリー等を必要としない。
しかも、節水を目的として洗浄水量を少なくできること
から、本発明の吐水装置は、軽量でコンパクト且つ低コ
ストを要求される携帯用人体局部洗浄装置に好適であ
る。なお、手動で洗浄位置決めを行なう携帯用人体局部
洗浄装置に用いた場合でも、洗浄水の飛び散りや不快な
振動を感じることなく大幅に節水することができる。よ
って、洗浄水をタンク内に入れて携帯する場合でも、使
用中にタンク内の洗浄水がすぐになくなるといった問題
もなくなる。 【0089】本発明の吐水装置を適用した人体局部洗浄
装置では、吐水装置のもたらす高い節水性を発揮できる
ので、使用時にタンク内のお湯がなくなってしまうよう
なことが少なくなる。また、瞬間式熱交換器を用いてお
湯を沸かす場合であっても、使用水量が少なくて済むの
で、ヒータの消費電力を少なくする事が可能であり、低
水温の洗浄水を必要な温度に昇温することが可能であ
る。また、首振り公転による吐水を実現するための大掛
かりな装置を必要としないため、人体局部洗浄装置自体
の小型化や静音化、静振化を図ることができる。 【0090】加えて、給水圧が約0.05MPa程度以上
が確保された通常の水圧地域では、首振り公転による吐
水のために特別に加圧するためのポンプも必要としな
い。さらに、首振り公転による吐水が繰り返し肛門周辺
の血管を刺激して血行を良くしたり、便意を促進するな
どの効果も期待できる。なお、給水圧が約0.01Mpa
程度であっても、吐水体の首振り公転は可能であること
が確認できた。 【0091】本発明の吐水装置を適用したシャワー装置
にあっても、吐水装置のもたらす高い節水性を発揮でき
ることから、シャワー装置としても節水を達成できる。
また、上記したように特別な装置や電源を必要としない
ため、湿気が多く錆や漏電を起こしやすい環境、例えば
浴室内のシャワー装置としても好適である。なお、首振
り公転による吐水を浴びせて被着水箇所の血管をもみほ
ぐすので、頭皮や全身のマッサージも行なうことが可能
である。 【0092】本発明の吐水装置を適用した洗浄装置、例
えば食器類を被洗浄物とする食器洗浄装置では、吐水装
置のノズルを被洗浄物品に向けて、この被洗浄物には首
振り公転による吐水を浴びせる。こうした吐水は、上記
したように吐水体公転による旋回成分と、吐水体自転を
起こす場合には自転による旋回成分を有する。よって、
首振り公転による吐水を行う本発明の洗浄装置によれ
ば、ただ単に直進して被洗浄物に洗浄水が着水する場合
より、被着水物付着の汚れの剥離能力が高まり、洗浄能
力の向上を図ることができる。また、この吐水装置のも
たらす高い節水性を発揮して、少ない洗浄水量でありな
がら高い洗浄能力を発揮できる。 【0093】首振り公転による吐水を起こすノズルは、
このノズル自体で上記した節水性・洗浄能力向上をもた
らす。よって、既存の洗浄装置(食器洗浄装置)におけ
る洗浄室内のノズルを本発明のものと交換するだけで、
節水性に優れ、高い洗浄能力を有するものに容易に改造
できる。 【0094】こうした洗浄装置(食器洗浄装置)におい
て、洗浄室に配設されて回転可能とされた回転腕に、上
記のノズルを装着する。この装着の際には、ノズルを回
転腕の端部に回転軸を挟んで配設し、それぞれのノズル
に、洗浄水を給水するようにする。そして、このノズル
のそれぞれを、洗浄水吐水で生じる反力が回転腕に同方
向回転をもたらすように斜め方向を指向して吐水するよ
うにする。 【0095】こうすれば、回転腕の端部のノズルからの
吐水(首振り公転による吐水)を行うことで、回転腕を
回転軸周りに回転させつつ、首振り公転による吐水を食
器に浴びせる。この結果、回転腕回転により洗浄室内の
食器にノズルからの首振り公転による吐水を浴びせるこ
とができる。よって、食器類の洗浄能力をより高めるこ
とができる。なお、節水効率も高い。 【0096】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図3は本発明の吐水装置を適用した
実施例の人体局部洗浄装置100の水路構成図を説明す
る説明図である。図示するように、人体局部洗浄装置1
00は、水の流れに順じて上流側から、フィルタ81
と、逆止弁82と、調圧弁83と、電磁弁84と、圧力
逃がし弁85と、熱交換器86と、流量調整弁87とを
備え、洗浄ノズル1から洗浄水を人体局部に向かって吐
水する。フィルタ81は、給水された洗浄水からゴミや
スケールを除去し、逆止弁82は、洗浄水の1次側への
逆流を防止する。 【0097】洗浄水は、調圧弁83による所定水圧への
調圧を受けた後、電磁弁84の開弁を経て熱交換器86
に到る。この際、調圧弁83の誤作動・作動停止等のた
めに洗浄水圧力が設定以上となると、圧力逃がし弁85
が作動して、不用意な高圧力が下流管路および下流機器
にかからないようにする。 【0098】熱交換器86は、洗浄ノズル1から吐水す
る洗浄水を加熱して温水化するものであり、貯湯式もし
くは瞬間式のいずれであってもよい。本実施例では、瞬
間式の熱交換器とした。熱交換器86で温水化された洗
浄水は、流量調整弁87での流量調整を受けた後に、洗
浄ノズル1から吐水される。この洗浄ノズル1は、ノズ
ル駆動モータ89により、洗浄時にあっては所定の位置
まで進出し、洗浄終了・待機時には、人体局部洗浄装置
100の図示しない本体に収納される。 【0099】人体局部洗浄装置100は、上記した各機
器を操作手段(例えば、リモコン)の操作に応じて駆動
制御する制御回路101を有する。この制御回路101
は、使用者による操作手段の洗浄開始操作(例えば、洗
浄スイッチ操作)があると、洗浄開始の信号を受け、洗
浄動作を開始する。つまり、制御回路101は、ノズル
駆動モータ89に駆動信号を送信して、洗浄ノズル1を
所定の洗浄位置まで進出させる。このノズル進出が完了
すると、制御回路101は、電磁弁84を開弁制御して
水路を洗浄水の通水状態とする。この電磁弁制御と併せ
て、制御回路101は、流量調整弁87による流調制御
を実行し、流調済みの流量で、洗浄水を洗浄ノズル1か
ら人体局部に向けて吐水する。これにより、局部洗浄が
行われる。 【0100】次に、洗浄ノズル1について説明する。図
4は洗浄ノズル1を断面視して説明するための説明図で
あり、図4(a)は洗浄ノズル1の横方向断面図を示
し、図4(b)は図4(a)における洗浄ノズル1をA
−A面で断面視した断面図である。 【0101】図示するように、洗浄ノズル1は、洗浄水
が流入する流入室として円筒状に形成された旋回室4を
備え、この旋回室4に、通水路2と旋回室流入路3を経
て洗浄水を給水する。旋回室流入路3は、ノズル管路で
あり、通水路2より通水断面積が小さく構成されてお
り、旋回室4の中心に対して偏心して当該旋回室に接続
されている。よって、旋回室流入路3からの洗浄水は、
旋回室4に対してその接線方向から流入し、図中に示す
ように旋回する旋回流を生成する。この場合、旋回室流
入路3の通水断面積は通水路2より小さいことから、旋
回室4に流入する洗浄水の流速を高めることができる。 【0102】洗浄ノズル1は、この旋回室4に吐水体1
0を組み込んで備える。吐水体10は、洗浄水の吐水口
11を備えた小径円柱の吐水部位10aと、この吐水部
位に連続した大径円柱の受力部位12を有する。この受
力部位12は、旋回室4内に位置して上記の旋回流から
後述の種々の力を受け、吐水体10の後述する首振り公
転駆動等に関与する。受力部位12は、横方向に貫通す
る給水管路13を備え、この給水管路13から、旋回室
4内の洗浄水を吐水口11に導く。給水管路13は、受
力部位12に十字に交差して開けられており、この給水
管路13の通路断面積の総和は、吐水口11より広い。
よって、給水管路13から吐水口11に洗浄水が導かれ
る際には、面積大小により、洗浄水の整流がなされるの
で、吐水口11からの洗浄水吐水は安定する。 【0103】吐水体10は、旋回室4の開口上部に設け
られたシール部16に吐水部位10aを内接させた状態
で挿入・支持されており、受力部位12を旋回室4内の
ほぼ中央に垂下させている。従って、旋回室流入路3か
ら旋回室4に洗浄水が流入すると、この洗浄水は、旋回
室4の内周壁面に沿った受力部位12周りの旋回流を引
き起こす。 【0104】本実施例では、図示するように、円筒状の
旋回室4の内径に対して、受力部位12の外径を約40
%とした。しかし、受力部位12の外径を旋回室4の内
径の約35〜80%、好ましくは約40〜70%とする
ことができる。こうした内外径比のもたらす効果につい
ては後述する。 【0105】吐水体10を上記のように支持するシール
部16は、Oリングやシールリング等の弾性体で構成さ
れており、図示するように、吐水口11を旋回室4の外
部に臨ませた状態で、吐水体10を支持する。しかも、
このシール部16は、弾性体であることから、吐水体1
0を支持した上で、受力部位12を旋回室4内において
各方向に傾斜可能とすると共に、この受力部位12を傾
斜した姿勢で首振り可能とする。また、シール部16が
弾性体であることから、吐水体10は、旋回室4内部で
吐水体10自身が中心軸を中心に回転する自転や、シー
ル部16による支持箇所を頂点として円錐状に回転を行
なう公転等が自在に行なえるようになっている。これら
自転や公転は、受力部位12と上記の旋回流で引き起こ
されるが、その詳細については、後述する。 【0106】旋回室4の上壁は、図示するように吐水体
10の吐水部位10aの側で小径とされたテーパガイド
部15とされている。このテーパガイド部15は、受力
部位12、延いては吐水体10の最大傾斜角度を規制す
る。 【0107】上記した構成の洗浄ノズル1は、旋回室4
を含むノズル先端部分を一つのノズルヘッドユニットと
して備え、図中のノズル本体部1aに対して着脱できる
ようにしている。よって、後述する洗浄ノズルを含め、
ノズルヘッドユニットを容易に交換・装着することがで
きる。 【0108】ここで、上記構成の洗浄ノズル1における
洗浄水吐水の様子や、その挙動について説明する。図5
は旋回室4に洗浄水が流入してからの受力部位12の挙
動とこの受力部位12にかかる力の様子を時間経過に沿
って説明する説明図、図6は受力部位12がこうした挙
動を採ることで得られる洗浄水吐水の様子を説明する説
明図である。 【0109】図5に示すように、今、旋回室流入路3か
ら旋回室4に洗浄水を流入させる(時刻t0)。この場
合、洗浄水は、通路断面積大の通水路2から通水断面積
小の旋回室流入路3を通過してくることから、大きな流
速で旋回室4に流入する。よって、この洗浄水が衝突等
を起こすことで供与することのできる運動エネルギは、
高まる。 【0110】こうして旋回室4に洗浄水が流入すると、
洗浄水は、旋回室4の内壁に沿って受力部位12周りに
旋回する旋回流を起こす。この旋回流における流速は、
旋回室流入路3の連通部でその流速Uinが最も高い。 【0111】流入洗浄水が最初に旋回を始める場所、即
ち旋回室流入路3の開口の延長線上にある周壁部位4a
と、当該部位に対向する周壁部位4bとでは、それぞれ
の流速Uaと流速Ubに差が生じ、両者の関係は、Ua
>Ubとなる。つまり、周壁部位4aから周壁部位4b
まで洗浄水が行き渡る(旋回する)間に、旋回室4内で
の流れ分散や旋回室4内壁面との洗浄水接触、洗浄水粘
性、表面摩擦等の影響を受け、洗浄水は減速する。よっ
て、受力部位12周りで洗浄水の流速差が生じる。この
場合、移動するものは流体(洗浄水)であるものの、こ
の洗浄水と受力部位12との相対的な関係では、流体中
を物体が移動する状況と変わるものではない。 【0112】従って、流体中を物体が移動する際に、そ
の物体を挟んだ流体の速度差に基づいて当該物体に揚力
が作用する状況が、旋回室4における洗浄水と受力部位
12との間で起き、受力部位12には揚力と同質の力が
作用する。なお、便宜上、この力を揚力と称するのは、
既述した通りであるが、他の現象で例示するならば、こ
のように流体の速度差によって揚力が発生することは、
飛行機の翼表面の速度差、すなわち圧力差によって揚力
を発生することと同様である。 【0113】図4に示すように、旋回室4に受力部位1
2が入り込み、図5の時刻t0では、次のようになる。
この時刻t0で停止している受力部位12周りの旋回流
が起きることから、その揚力FLは、周壁部位4aの旋
回流の流速Ua[m/sec]の影響を受ける。そして、
この揚力FLは、揚力を受ける受力部位12の最大射影
面積をS[m2]、洗浄水の密度をρ[kg/m3]とする
と、次式で表される。式中のCLは揚力係数である。 FL=(ρ・V2・CL・S)/2 [N] 【0114】こうして揚力FLが受力部位12に作用す
ると、その結果として受力部位12には抗力FD(=
(ρ・V2・CD・S)/2 [N])も作用する。このC
Dは抗力係数である。 【0115】上記の式中の最大射影面積Sは、受力部位
12の長さL[m]に依存することから、受力部位12の
長さLを長くすれば、揚力・抗力を大きくできる。 【0116】図5の時刻t0に示すように、旋回室4で
受力部位12周りの旋回流が起きると、既述したよう
に、受力部位12には揚力が作用する。この揚力は、受
力部位12周りの旋回流の流速が大きい周壁部位4aの
側に旋回流中中央側から外向きに働く。その一方、受力
部位12は、旋回室4において、傾斜した姿勢で首振り
可能であることから、この揚力FLを受けて図中矢印FL
で示す方向に傾斜する。こうして、受力部位12が旋回
室4の内壁側に傾くと、時刻t1では、この揚力FL
抗力FDが共に作用しその合力方向に動く。この合力
は、抗力が旋回流の流れ方向に沿ったものであることか
ら、受力部位12を旋回流の流れ方向に沿って動かす方
向に働く。 【0117】こうなると、受力部位12が傾いた側で旋
回流の通過間隔が狭小となり、この狭小で旋回流流速は
高まる。この状況は間隔狭小箇所が受力部位12周りに
移動するように起きるので、旋回流の最も流速の大きい
箇所も旋回室4の内周壁に沿って移動する。従って、流
速の最も大きい箇所の移動に伴って、揚力FLの向き並
びに抗力FDの向きも変わることから、時刻t2,t
3,t4と進むほどに、受力部位12は傾斜した姿勢の
ままで旋回流の流れ方向に移動する。なお、こうして揚
力・抗力の影響を受けて吐水体が公転を始めると、旋回
室径方向にこの吐水体に遠心力が作用することになる。 【0118】このため、吐水体10は、シール部16に
よる支持箇所を中心に首振り運動して旋回室4において
公転(首振り公転)する。そして、この吐水体10の吐
水口11は旋回室4の外部に臨んでいることから、吐水
口11に給水管路13を経て導かれた洗浄水は、吐水体
10の首振り中心の箇所を頂上とする円錐状に吐水され
る。こうした吐水にあっても、吐水体の首振り公転に倣
って公転し、既述した円錐状の公転吐水となる。 【0119】なお、このような円錐状の公転吐水を行っ
ている間において、シール部16は吐水体10の吐水部
位10a周りをシールする。また、吐水体10は、旋回
室4上部に設けられたテーパガイド部15によってその
最大傾斜角度が規制され、不用意に大きな傾斜での首振
り公転を起こさないようにされている。 【0120】しかも、上記のように受力部位12が揚力
Lの影響を受けて旋回室4の内壁側に傾斜すると、こ
の受力部位12は、旋回室4の旋回流に直に押される方
向に抗力FDを受ける。よって、傾斜した姿勢の受力部
位12は、既述した遠心力の影響も受けて傾斜姿勢のま
まで旋回流の流れ方向に移動することになり、吐水体1
0の首振り公転は促進される。 【0121】ここで、こうした公転吐水の様子を図でも
って説明する。図6に示すように、上記のように吐水体
10が首振り公転を起こすと、吐水口11は、吐水体1
0の首振り公転に伴い吐水方向を変えながら公転する。
よって、吐水口11は、螺旋状に拡大した軌道を描きな
がら洗浄水を吐水し、その結果として、円錐状の公転吐
水を実現する。従って、洗浄水の吐水軌跡を、吐水口1
1の軌跡よりはるかに大きい軌跡の円錐状の公転吐水の
軌跡とし、広範囲に亘って局部を洗浄できる。 【0122】従って、本実施例の人体局部洗浄装置10
0によれば、ノズル自体の駆動を伴うことなく円錐状の
公転吐水を実現でき、これにより、広範囲の洗浄水着
水、即ち広範囲の洗浄を図ることができる。 【0123】しかも、こうした広範囲の洗浄を図る上
で、旋回室4への洗浄水流入を図って旋回流を起こし、
この旋回流により吐水体10に首振り公転を起こせば足
りる。つまり、広範囲洗浄に際して、可動部材を、ノズ
ル内に設けた旋回室4に組み込める小さな吐水体10だ
けとできる。加えて、吐水体10の首振り公転を洗浄水
の旋回流のみで起こしており、モータ等のアクチュエー
タを一切必要としない。このため、本実施例の人体局部
洗浄装置100は、アクチュエータ駆動に基づく騒音や
振動を発生させることがなく、静音性・静振性に非常に
優れる。 【0124】なお、上記した旋回流の誘起には、旋回室
4への洗浄水流入を図れば良く、加圧ポンプ等による洗
浄水の加圧給水を特段必要としない。このことからも、
静音性・静振性を高めることができる。 【0125】加えて、ギヤ等の噛み合わせも不要である
ことから、ゴミ等の噛み込みも無く、吐水の信頼性を高
めることができる。このギヤ等が不要であることと相ま
って、吐水部位10aを小径としてシール部16に対す
る摺動抵抗を小さくしたので、吐水体10の首振り公転
に際し、エネルギーロスがなく、首振り公転の高速化を
もたらすことができる。 【0126】また、移動部分が小さいことに加えて、ア
クチュエータ等の電気的駆動部を持たないので、人体局
部洗浄装置100の小型化を推進できる。さらに、電気
的駆動部分の耐久性が問題になることがないと共に、ノ
ズル先端までの電気的配線も要しない。よって、漏電等
の配慮をも必要とせず、組み付け作業や保守作業の簡略
化、構成の簡略化、延いてはコスト低減を図ることがで
きる。 【0127】また、上記した円錐状の公転吐水による広
範囲洗浄を、旋回室4への吐水体10の組み込みと、旋
回室4への洗浄水導入による旋回流生成とで容易に実現
できる。これにより、構成の簡略化、コスト低減を図る
ことができると共に、構成の簡略化を通して、装置のコ
ンパクト化を図ることもできる。 【0128】本実施例では、旋回室4への洗浄水流入を
図る旋回室流入路3を通水断面積が小さなものとして、
旋回室4への流入洗浄水を流速を高めた。旋回室4に流
入する洗浄水流速は、既述したように揚力FLを規定す
る。よって、通水断面積が種々のものとされた旋回室流
入路3を用意し、これらを選択的に使用すれば、受力部
位12に作用する揚力FLの他、抗力・遠心力も調整で
きる。これら力は、吐水体10の首振り公転の周波数も
定める。よって、旋回室流入路3の通水断面積調整、若
しくは旋回室流入路3の選択で、吐水体10の首振り公
転の周波数も調整できる。よって、次の利点がある。 【0129】洗浄水が人体等の被洗浄物にあたる瞬間の
力と面積をそれぞれF1、ΔSとすると、人体がある瞬
間に感じる洗浄水の強さはF1/ΔSと規定できる。吐
水体10の首振り公転周波数をf1とし、この周波数で
吐水が継続されている場合、周波数f1の逆数である周
期(Δt=1/f1)の時間間隔で人体等の被洗浄物に
あたる総面積Sは、この周期Δtの間にΔSを積分した
値(S=∫ΔS)となる。 【0130】一方、人が刺激を肌等で感じる時に、刺激
を感じる受容器は、人や刺激を受ける場所によっても異
なるが数Hz〜数百Hzの範囲の刺激に対して、刺激を
連続してもしくは、連続と同様な刺激を受けている様な
錯覚を生じる。従って、ある瞬間に強さF1/ΔSの刺
激をΔtの周期である軌道で移動(移動総軌跡S=∫Δ
S)した場合、人は強さF1/ΔSの刺激を総面積Sで
受けているように錯覚を生じる。この傾向はΔtが小さ
いほど顕著に表れて、f=約3HzすなわちΔt=約
0.3秒程度から感じ始める。 【0131】従って、旋回室流入路3の通水断面積調整
や旋回室流入路3の選択を行って、吐水体10の首振り
公転周波数f1を約3Hz以上とできる。こうすれば、
洗浄の刺激を損なう(小さくする)ことなく洗浄面積を
大きくすることができる。 【0132】また、上記の瞬間の力F1(以下、力F1
と呼ぶ)と、吐水される洗浄水量Q1の関係は、吐水口
面積をS1、洗浄水の流速をV1とすると、次式で表せ
る。 F1=ρ・Q・V1=ρ・Q2・Q/S1 【0133】この式から明らかなように、力F1は瞬間
流量Qの2乗に比例して、吐水口面積S1に反比例す
る。よって、節水を行なって流量を減らす場合、吐水口
の面積S1を小さくすれば、力F1を大きくすることが
できる。従って、水量を減らして洗浄時の刺激や洗浄力
を向上もしくは保つには、吐水口面積S1を小さくすな
わち吐水される洗浄水の流速を上げればよいことが判
る。 【0134】また、旋回室流入路3の通水断面積調整や
旋回室流入路3の選択を行って、吐水体10の首振り公
転周波数f1を約40Hz以上とすることもできる。こ
うすれば、吐水体10の高速首振り公転とすることで、
吐水された洗浄水が着水する洗浄ポイントを高速で移動
できる。よって、人体があたかも吐水の着水範囲(着水
ポイントの集合箇所)の全体で着水を受けているように
錯覚させることができる。このため、上記のような周波
数調整を行った本実施例の人体局部洗浄装置100によ
れば、着水ポイントの高速移動による錯覚により、ソフ
トで広範囲の洗浄要望を実現でき、好ましい。具体的に
は、刺激に敏感な女性局部専用の洗浄装置や通常の局部
洗浄装置のビデ洗浄において、刺激感を好適に緩和しつ
つ広範囲の吐水洗浄を実行できる。 【0135】更に、周波数を380Hz以下とすれば、
図2で説明した首振り公転による吐水巾を不用意に大き
くしない。よって、人体局部での洗浄水の飛び散りを抑
制して、快適な洗浄を行なうことが可能となる。 【0136】人体局部洗浄装置100では、旋回流に基
づいて揚力を発生させ、この揚力を吐水体の首振り公転
並びにその高速化に供している。つまり、洗浄水の運動
エネルギを直に首振り公転に用いているわけではないの
で、流体素子を用いたものに比して、吐水の勢いの衰退
を招かない。 【0137】また、実際には洗浄ポイントへの着水の推
移を起こしていても上記の錯覚を起こすので、着水範囲
の総てに同時に洗浄水が着水するような連続的な吐水を
要しない。よって、その分、節水効果がある。 【0138】ここで、その他の効果について説明する。
図7は旋回室4と受力部位12の内外径比を規定したこ
とで得られる効果を説明する説明図であり、図7(a)
は内外比が0.35〜0.80の範囲にある場合の旋回
状況を説明する説明図であり、図7(b)は内外比が
0.35を下回る場合の旋回状況を説明する説明図であ
る。 【0139】まず、受力部位12の外径φdが旋回室4
の内径φDの約35〜80%の範囲(適正範囲)にある
場合について説明する。図7(a)に示すように、旋回
室流入路3から旋回室4にその接線方向から流入した流
入洗浄水Sinは、受力部位12と直接衝突することな
く周壁部位4aに達する。そして、周壁部位4aを旋回
しつつ流れる洗浄水Saは、周壁部位4bに達する間に
既述したように減速する。これにより、旋回室4内壁に
沿った受力部位12周りの旋回流を流速差を持って確実
に起こすことができるので、既述した吐水体10の首振
り公転・吐水状態の安定化をもたらすことができる。 【0140】また、受力部位12の外径と旋回室4の内
径が適正範囲にあれば、旋回室内壁と受力部位外壁の間
を占める旋回流の幅が広すぎたり狭すぎたりしない。よ
って、この旋回流の幅における速度分布SBのピークS
Bpは、旋回室内壁側に不用意に偏在することがない。
よって、このピーク箇所と受力部位12が比較的接近す
るので、揚力FLが受力部位12に作用し易くなる。つ
まり、受力部位12は揚力を受けて傾きやすくなり、既
述した吐水体10の首振り公転を起こし易くできる。 【0141】これに対し、図7(b)に示すように、受
力部位12の外径が上記の適正範囲より小さいと、旋回
流の幅が広がると共に、その旋回流は、小径の受力部位
12周りでの旋回となる。よって、上記の速度分布SB
のピークSBpが旋回室内壁側に偏在してピーク箇所と
受力部位12が離れるので、揚力FLが受力部位12に
作用しにくくなる。この結果、吐水体10の首振り公
転、延いては吐水の状態が不安定となる。 【0142】また、図示しないが、受力部位12の外径
が上記の適正範囲より大きいと、旋回室内壁に受力部位
12外壁が近づきすぎるので、流入洗浄水Sinは受力
部位12と衝突して旋回室内で跳ね返りを起こし、受力
部位12周りの旋回流に乱れを生じる。この結果、上記
した揚力FLを好適に起こすことができず、吐水体10
の首振り公転・吐水状態が不安定となる。 【0143】このように、流入洗浄水Sinと受力部位
12と衝突は首振り公転を不安定とするので、旋回室流
入路3を次のように変形することができる。図8は変形
例の旋回室流入路3を説明するための説明図である。 【0144】図示するように、変形例の旋回室流入路3
は、旋回室4の内周壁面と滑らかに繋がるよう形成され
ている。よって、旋回室流入路3からの流入洗浄水Si
nは、図示するように、旋回室4への流入当初から旋回
室内壁と受力部位12外壁との間を無理なく旋回するよ
うな速度成分を有している。ことため、流入洗浄水Si
nと受力部位12と衝突を避けることができるので、首
振り公転・吐水状態の安定に有益である。 【0145】上記した本実施例では、吐水体10を、シ
ール部16により自転可能に支持されていることから、
首振り公転時に、シール部16の支持箇所で摩擦が生じ
る。また、テーパガイド部15との接触があれば、その
接触でも摩擦が生じる。そして、この摩擦の発生状況
や、吐水体10の受力部位12が受ける上記した力や運
動エネルギとのバランスで、吐水体10は、自身の中心
軸を中心に自転を起こす。この自転の方向は、上記のバ
ランスで定まり、旋回流と同方向とすることもでき、逆
方向とすることもできる。本実施例の吐水体10では、
旋回流の運動エネルギを直接受ける部位が円柱状の受力
部位12であり、運動エネルギを吐水体自転に転換しに
くい。よって、吐水体自転が起きたとしてもその回転は
緩慢であるので、吐水体自転については次の変形例で説
明する。なお、上記した受力部位12は、その形状が円
柱形状に限られるわけではなく、三角柱や四角柱、六角
柱などの多角柱とすることもできる。 【0146】また、受力部位12の重量にあっても、そ
の形状や大きさや材質等により増減することができる。
重量の増減により、受力部位12に作用する抗力や揚力
を受けた時の公転速度や、遠心力自体を増大・減少でき
るばかりか、テーパガイド部15との摩擦力や、吐水体
自体の慣性力を変えることができる。よって、吐水体1
0の首振り公転の回転数を変えることもできる。 【0147】次に、変形例について説明する。この変形
例は、旋回流の運動エネルギを吐水体自転に転換させて
積極的に吐水体自転を図る点に特徴がある。図9は変形
例における吐水体110を説明するための説明図であ
り、図9(a)はこの吐水体110の縦断面図、図9
(b)は吐水体110の概略斜視図、図9(c)は図9
(b)におけるc−c線断面図である。図10は変形例
の吐水体110を組み込んだ洗浄ノズル1を断面視して
説明するための説明図であり、図10(a)は洗浄ノズ
ル1を横方向で断面視した断面図を示し、図10(b)
は洗浄ノズル1を縦方向断面視した断面図である。な
お、洗浄ノズル1に旋回室4を有し、当該旋回室に通水
路2、旋回室流入路3から洗浄水を給水して旋回室4に
旋回流を引き起こす構成等については、上記した実施例
と同様である。 【0148】図示するように、吐水体110は、吐水口
11を備えた小径円柱の吐水部位110aに、受力部位
112を連結して備える。この受力部位112は、四方
に突出した羽根を有する。このような構成の受力部位1
12であっても、上記の周壁部位4aと周壁部位4bと
で流速差が起きること、羽根の横端面により旋回室4内
周壁間隔を狭くすることから、吐水体110の首振り公
転に関与する。また、受力部位112は、その羽根で旋
回流の受け止めを起こすことから、旋回室4内部の旋回
流の運動エネルギーを受けて吐水体110に自転を引き
起こす。 【0149】この吐水体110にあっても、シール部1
6に吐水部位110aを内接させた状態で支持されてい
る。この支持状態で、吐水口11は旋回室4の外部に臨
み、受力部位112は旋回室4内において傾斜した姿勢
で首振り可能となる。つまり、吐水体110は、シール
部16の支持箇所を中心に、首振り公転すると共に、シ
ール部16の発揮する弾性により、自転も可能である。 【0150】次に、吐水の様子について説明する。図1
1は吐水体110を用いた洗浄ノズル1からの洗浄水吐
水の様子を説明する説明図である。通水路2、旋回室流
入路3を経て旋回室4に洗浄水を給水すると、既述した
ように旋回室4で旋回流が起きる。よって、上記の実施
例と同様に、揚力によって受力部位112は傾斜姿勢で
公転し、吐水体110の首振り公転を引き起こす。その
一方、旋回室4内部で生じた旋回流は、その旋回の過程
で受力部位112の羽根に衝突して、運動エネルギーの
一部を与える。これにより、受力部位112は、吐水体
110を旋回流と同方向に自転させる。 【0151】こうして吐水体110が自転することか
ら、この自転に基づく遠心力が吐水口11からの吐水洗
浄水に作用する。よって、吐水口11から吐水された後
の洗浄水は、この遠心力を受けて拡散しながら飛散す
る。従って、図11に示すように、この吐水自体の拡散
軌跡と公転吐水の軌跡とが組み合うので、円錐状の公転
吐水の軌跡に幅を持たせることができる。また、遠心力
の作用の仕方を通して自転の回転数を調整することで、
吐水洗浄水の拡散状況(拡散軌跡の広狭)を決めること
ができる。よって、受力部位112の羽根形状や大きさ
等の調整で、吐水の水滴の大きさや振動による強さや刺
激をコントロールすることが可能となる。 【0152】次に、また別の変形例について説明する。
この変形例は、吐水体の首振り公転に伴う円錐状の公転
吐水の軌跡をより広げる点に特徴がある。図12は変形
例の吐水体120、125を説明するための説明図であ
り、図12(a)は吐水体120の縦断面図、図12
(b)は吐水体125の縦横断面図である。図13は吐
水体120を組み込んだ洗浄ノズルを縦方向断面視した
断面図、図14は吐水体120を用いた洗浄ノズル1か
らの洗浄水吐水の様子を説明する説明図である。 【0153】図12(a)に示すように、吐水体120
は、シール部16で支持される吐水部位121aに、給
水管路13と連通する吐水口121を有する。この吐水
口121は、吐水体120の中心軸(自転軸)に対して
傾斜した状態で形成されている。吐水体125は、図1
2(b)に示すように、吐水部位126aに、給水管路
13と連通する吐水口126を有し、この吐水口121
を吐水体120の中心軸(自転軸)に対して偏心させて
いる。これら吐水体にあっても、吐水体110と同様
に、シール部16により支持されており、首振り公転可
能である。また、それぞれが有する受力部位122、1
27により、各吐水体は吐水体110と同様に自転す
る。 【0154】既述したように旋回室4で旋回流が生じる
と、図14に示すように、吐水体120は、受力部位1
12と等価な受力部位122を有することから、首振り
公転と中心軸周りの自転を起こす。これにより、吐水口
121からの吐水軌跡は、円錐状の公転吐水の軌跡と次
の軌跡の組み合わせとなる。つまり、吐水口121は自
転軸に対して傾斜しているので、この傾斜した吐水口1
21からの洗浄水は、傾斜した吐水口自体が吐水体自転
に伴って自転することにより変わることと相まって、吐
水体自転で起きる遠心力を受ける。よって、この洗浄水
吐水は、自転軸を中心とした円錐状軌跡を採る。よっ
て、吐水口121からの吐水軌跡は、円錐状の公転吐水
の軌跡と上記の円錐状軌跡が組み合ったものとなる。 【0155】こうした吐水をもたらす吐水口121は、
吐水体120の自転軸に対して傾斜している。よって、
吐水体自転に伴う遠心力による拡散軌跡は、自転軸に対
しても円錐状に拡散したものとなり、この拡散の程度
は、吐水口121の傾斜程度に依存して広くなる。よっ
て、この拡散軌跡と円錐状の公転吐水軌跡が組み合わさ
った軌跡での吐水によって、より広い範囲に洗浄水を着
水できるばかりか、その着水範囲の中抜けをなくすこと
ができる。しかも、この変形例では、こうした広範囲の
吐水実現に際し、特段の水量増加を必要とせず、吐水体
120の自転を引き起こせばよいので、効率良く節水を
行なうことができる。 【0156】この吐水体120に替わり、図12(b)
に示す吐水体125を用いることもできる。この吐水体
125は、吐水口126を吐水体自転軸に対して偏心さ
せていることから、この偏心した吐水口からの洗浄水
は、上記の傾斜した吐水口と同様、偏心吐水口自体の自
転と吐水体自転で起きる遠心力の影響から、自転軸を中
心とした円柱状の軌跡となる。よって、吐水体125を
組み込んだ洗浄ノズル1は、この円錐台状の軌跡と円錐
状の公転吐水軌跡が組み合わさった軌跡での吐水を実現
し、図14とほぼ同様の吐水を行う。 【0157】上記した変形例の吐水体110や吐水体1
20、吐水体125において、その羽根の枚数を増減さ
せたり、三角柱や四角柱、六角柱などの多角柱の他、円
柱形状とすることもできる。このように羽根の状態を変
化させることで、各吐水体の自転回転速度を変えること
もできる。 【0158】また、旋回室4内周壁と各吐水体の受力部
位122、127の隙間や、テーパガイド部15のテー
パ角度を変えることで、これら吐水体の首振り公転角度
を変えることができる。例えば、人体局部洗浄装置10
0の洗浄ノズル1のように洗浄対象が人体局部のように
小さく敏感な場合には、受力部位122、127と旋回
室4内周壁との隙間を小さくして、吐水体の首振り公転
角度を小さくする。テーパガイド部15のテーパ角度で
も同様である。 【0159】更に、受力部位122、127の羽根を比
較的小さくもしくは四角柱や三角柱や円柱のようにし
て、首振り公転時に羽根が旋回流から受ける抵抗を減少
させることもできる。こうすれば、吐水体の首振り公転
の周波数を自転周波数よりも大きく、すなわち高速で公
転運動することにできる。よって、被洗浄部位の集中洗
浄が可能となり、且つ同時に吐水を強く受けているよう
な洗浄感にすることが可能である。この場合、洗浄水を
肛門に進入させた浣腸効果を狙った洗浄や、1ヶ所を狙
って集中的に洗う場合等に適している。なお、上記した
ように吐水体の首振り公転周波数と自転周波数を羽根形
状・受力部位重量等で調整できることから、洗浄目的や
洗浄範囲等に適うよう、各周波数を自由に設定すること
が可能である。 【0160】なお、上記した実施例およびその変形例に
おいて、吐水体の支持に弾性体のシール部16を用いた
が、シール部をなくして洗浄ノズルと各吐水体の吐水部
位の一部を直接接触させて摺動(回転摺動)させる構成
にしても良い。この場合、洗浄ノズルが吐水部位と接触
を起こすガイド部と吐水体には、少なくともその一方
に、摺動性や耐摩耗性に優れた材料、例えば、ポリアセ
タール、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチ
レン、シリコーン、ABS、PPS等の樹脂を用いたり
できる。また、ステンレス等の金属とする場合にあって
は、表面粗さを小さくするなどすれば良い。 【0161】ここで、吐水体の自転挙動について説明す
る。図15は吐水体110の首振り公転と自転との関係
を説明する説明図であり、図15(a)は吐水体110
の首振り公転と自転がその回転方向が同じ場合を示す説
明図、図15(b)は吐水体110の首振り公転と自転
とがその回転方向が逆の場合を示す説明図である。吐水
体110は、旋回室4における旋回流により、図中で示
す旋回流の方向と同方向に首振り公転する。この首振り
公転の際に、この公転に対して滑り抵抗を生じさせる滑
り箇所がシール部16での支持箇所に限られれば、公転
には僅かな滑り抵抗しか作用しない。よって、吐水体1
10を旋回流に基づく揚力によって首振り公転させよう
とする力(公転力)が僅かな滑り抵抗に抗して、この吐
水体110を自転させようとする。よって、吐水体11
0は、洗浄水の旋回方向(首振り公転方向)と同じ方向
に自転回転しながら、旋回室内部を首振り公転する。 【0162】よって、こうした同方向の公転・自転を起
こしている洗浄ノズル1は、図16(a)に模式的に示
す軌跡で洗浄水を吐水する。この図16(a)は、吐水
口11での洗浄水の自転による回転軌跡方向と、吐水方
向に垂直な任意の平面での首振り公転による洗浄水の移
動軌跡を矢印を用いて、分かり易く示した。つまり、洗
浄水は、吐水体110の自転によって反時計周りに自転
しながら吐水され、こうした吐水は、吐水体110の首
振り公転によって反時計周りに公転するものとなる。従
って、この洗浄水の公転軌道の外周では、洗浄水の自転
方向と公転方向が一致するので、洗浄水は、この公転軌
道外周で、洗浄水自転速度と洗浄水公転速度の合計によ
って生じる大きな空気抵抗を受ける。この空気抵抗によ
って洗浄水は、時間とともにまとまった水流から乱れを
生じて水滴状に引きちぎられて分散していく。このた
め、この状況下で洗浄ノズル1から吐水された洗浄水
は、分散した水滴状で公転軌道に沿って進んで人体に着
水するので、よりやわらかく広範囲を洗浄することがで
きる。 【0163】その一方、水体110の首振り公転の際
に、図15(b)に示すように、吐水体110を、旋回
室4内壁やテーパガイド部15に接するようにする。こ
の状態では、吐水体110の首振り公転に対する滑り抵
抗は増していることから、上記の公転力では吐水体11
0を公転方向と同方向に自転させることができなくな
る。こうなっても、吐水体110は公転力により首振り
公転しようとするので、この吐水体110は、上記の接
触箇所での滑り抵抗を受けて旋回室4内壁やテーパガイ
ド部15に内接しながら自転する。この場合の自転方向
は、吐水体110の首振り公転方向とは逆向きとなり、
吐水体110は、首振り公転しつつ、これとは逆向きに
自転して洗浄水を吐水する。 【0164】こうした逆方向の公転・自転を起こしてい
る洗浄ノズル1は、図16(b)に模式的に示す軌跡で
洗浄水を吐水する。つまり、洗浄水は、吐水体110の
自転によって時計周りに自転しながら吐水され、こうし
た吐水は、吐水体110の首振り公転によって反時計周
りに公転するものとなる。従って、この洗浄水の公転軌
道の外周では、洗浄水の自転方向と公転方向が逆となる
ので、洗浄水は、この公転軌道外周で、洗浄水自転速度
と洗浄水公転速度の差によって生じる比較的小さな空気
抵抗しか受けない。このように空気抵抗が比較的小さい
ことから、洗浄水は、それほど分散が進まずに比較的ま
とまった水流状況を持続して吐水される。従って、この
状況下で洗浄ノズル1から吐水された洗浄水は、比較的
まとまった水流の状況で人体に着水するので、より刺激
のある強い洗浄を行なうことができる。また、吐水がま
とまることで飛び散りの少ない洗浄を行なうことも可能
となる。 【0165】次に、また他の実施例について説明する。
この実施例は、可撓性を有する部材で吐水体を把持し、
こうして吐水体を把持した状態で当該吐水体を旋回室に
組み込んだ点に特徴がある。図17は、他の実施例の洗
浄ノズル200を断面視して説明するための説明図であ
り、図17(a)は洗浄ノズル200の横方向断面図を
示し、図17(b)は図17(a)における洗浄ノズル
200をA−A面で断面視した断面図である。なお、こ
の洗浄ノズル200は旋回室4を有し、当該旋回室に通
水路2、旋回室流入路3から洗浄水を給水して旋回室4
に旋回流を引き起こす構成等については、上記した実施
例と同様である。 【0166】図示するように、この洗浄ノズル200
は、図4で説明した実施例と同様、吐水体10を有し、
その受力部位12で旋回流に基づく上記した揚力を受け
る。本実施例では、この吐水体10は、可撓性を有する
弾性体202と一体とされており、この弾性体202の
膜状部204に空けた貫通孔に吐水部位10aを嵌合す
ることで、弾性体202に把持される。弾性体202
は、このように吐水体10を把持した状態で、旋回室4
をその上端で閉鎖するよう洗浄ノズル200に組み付け
られる。この弾性体202は、把持した吐水体10を中
心として、薄肉の膜状部204と厚肉の余肉部206を
連続させている。つまり、弾性体202は、把持した吐
水体10を中心として径方向に厚さが不均一となってい
る。 【0167】弾性体202は、旋回室4に組み付けられ
た状態で、吐水口11を旋回室4の外部に臨ませて吐水
体10を支持し、受力部位12を旋回室4内のほぼ中央
に垂下させる。従って、旋回室流入路3から旋回室4に
洗浄水が流入すると、この洗浄水は、旋回室4の内周壁
面に沿った受力部位12周りの旋回流を引き起こすの
で、受力部位12には既述したように揚力が作用する。 【0168】受力部位12にこれを傾けようとする力が
働くと、弾性体202は、可撓性を有することから、変
形し、受力部位12の傾動を許容する。特に、吐水体1
0の把持部は、薄肉の膜状部204であることから、よ
り容易に受力部位12を傾動させる。よって、受力部位
12に旋回流に基づく揚力が作用すると、弾性体202
は、受力部位12を旋回室4内で傾斜したまま公転させ
るので、吐水体10は、既述したように首振り公転す
る。なお、余肉部206は、吐水体10を取り囲うよう
傾斜しており、この傾斜面を先の実施例のように、受力
部位12、延いては吐水体10の最大傾斜角度を規制す
るテーパガイド部15としている。 【0169】この実施例の洗浄ノズル200からの吐水
は次のようになる。図18はこの洗浄ノズル200が実
現する洗浄水吐水の様子を説明する説明図である。この
洗浄ノズル200にあっても、先の実施例と同様に、吐
水体10を首振り公転させるので、図18に示すよう
に、吐水口11は、吐水体10の首振り中心箇所(膜状
部204の把持箇所)を頂上とする円錐状に洗浄水を吐
水し、既述した円錐状の公転吐水となる。よって、この
実施例にあっても、先の実施例と同様の効果を奏するこ
とができる。 【0170】その一方、本実施例では、吐水体10の首
振り公転を弾性体202の変形で許容して、吐水体10
を弾性体202で把持してこれを支持する。よって、吐
水体10の首振り公転の際に、回転摺動抵抗を生じさせ
ることなくシールする。この結果、構造が簡単になるだ
けでなく、洗浄水中のスケール等による固着や漏水の心
配がない。 【0171】上記した弾性体202の材料としては、シ
リコンやNBR,EPDM,フッ素ゴム等の合成ゴム等
を採択することができる。また、弾性体202を、ポリ
エステル系、ポリスチレン系やポリオレフィン系の熱可
塑性エラストマーで構成して、吐水体10と一体成形
(いわゆる2色成形)することもできる。こうすれば、
密着強度や組立て性を向上でき好ましい。しかも、熱可
塑性エラストマーとすれば、ゴム等の場合と異なり加硫
工程等が必要ないので、成形サイクルの短縮を図ること
もできる。 【0172】一方、吐水体10の材質としては、PP,
POM,ABS等を採択することができる他、ステンレ
ス等の金属としたり、受力部位12だけを金属製とする
こともできる。こうした材質の吐水体10を弾性体20
2で把持するに当たり、両者の接着を図る際には、弾性
体202を合成ゴムとすれば、加硫接着や接着剤による
接着を採択すればよい。弾性体202に熱可塑性エラス
トマーを用いた場合には、一体成形を行なって、成形時
の熱で樹脂と熱可塑性エラストマーを溶融させて接着さ
せることもできる。また、弾性体202と吐水体10の
両者を、熱可塑性エラストマーで構成することも可能で
ある。 【0173】更には、弾性体202の硬度や弾性係数や
重さや形状を最適化して、弾性体202の固有振動数を
最適化する。こうした上で、弾性体202の振動と吐水
体10の首振り公転による振動を共振させ、首振り公転
巾(受力部位12の傾斜程度)を大きくすることもでき
る。或いは、弾性体202の固有振動数の調整を経て、
吐水体10の首振り公転による振動を弾性体202で減
衰させて防振効果を高めることも可能である。具体的に
は弾性体202の硬度を非常に小さくしたり厚さを小さ
くして固有振動数を小さくすればよい。或いは、弾性体
202の硬度を大きくしたり厚さを大きくして固有振動
数を大きくすればよい。 【0174】この実施例は、次のように変形することが
できる。図19は吐水口11を吐水体10の中心軸に対
して傾斜させた変形例で得られる吐水の様子を説明する
説明図である。このように吐水口11を傾けた場合の吐
水の様子は、先の変形例で説明したもの(図14参照)
と次の点で相違する。 【0175】この図19に示す変形例では、吐水体10
を弾性体202で把持して、吐水体10の自転を引き起
こさない。このため、公転吐水する洗浄水としての指向
方向を、吐水口11の傾斜方向の側に傾けたりすること
が可能となる。よって、図19に示すように、人体局部
洗浄装置において、洗浄ノズル200を斜め方向に進出
させ、吐水口11を洗浄ノズル200の進出方向に傾け
れば、お尻洗浄の際に、洗浄した汚水が洗浄ノズル20
0に再びかかるのを防ぐことができる。或いは、吐水口
11をノズル進出方向と逆に傾けることで、ビデ洗浄を
する際に吐水が前方に飛び散るいわゆる吹き抜けを防ぐ
ことができる。 【0176】また、図12(b)に倣って、吐水口11
を吐水体10の中心軸に対して偏心しても良い。こうす
れば、吐水口を偏心させた分だけ、公転吐水の軌跡をオ
フセットさせることができる。 【0177】次に、吐水体を弾性体で把持する上記実施
例の他の変形例について説明する。図20は他の変形例
の洗浄ノズル220の断面図を示す説明図である。 【0178】図示するように、洗浄ノズル220は、上
記実施例の通水路2、旋回室流入路3および旋回室4に
相当する通水路232、旋回室流入路233、旋回室2
34を有する。そして、旋回室234への給水により、
この旋回室234に既述した旋回流を起こす。旋回室2
34には吐水体230が組み込まれており、吐水体23
0は、吐水体10等と同様、旋回室234内の洗浄水
を、給水管路223を経て吐水口221から吐水する。
また、吐水体230は、旋回室234の旋回流に基づい
た揚力を受ける受力部位222を有する。 【0179】吐水体230は、その上端外周に溝状の弾
性体支持部237を備え、この弾性体支持部237を介
して可撓性の弾性体225と一体とされている。そし
て、吐水体230は、弾性体抑え227によって洗浄ノ
ズル220に固定されており、旋回室234は弾性体2
25で閉鎖されている。弾性体225は合成ゴムや熱可
塑性エラストマーで成形されており、さらに、屈曲部2
26を有することで容易に変形する。これにより、吐水
体230は、既述した洗浄ノズル200における吐水体
10と同様、首振り公転可能とされている。 【0180】なお、吐水体230は、旋回室234上部
に設けられたテーパガイド部235によって、その最大
傾斜角度が規制されている。 【0181】従って、旋回室234内部に洗浄水が供給
されて旋回室234に旋回流が起きると、受力部222
は、旋回流に伴う揚力を受ける。これにより、吐水体2
30は、旋回室234中心軸に対して首振り公転する。 【0182】こうした構成を有する洗浄ノズル220に
あっても、図18で説明した実施例と同様に、吐水体2
30の首振り公転に伴い、洗浄水を円錐状に公転吐水す
る。よって、この変形例の洗浄ノズル220によって
も、既述した実施例と同様の効果を奏することができ
る。 【0183】この変形例の洗浄ノズル220では、次の
利点がある。弾性体225は、屈曲部226を有するの
で容易に変形する。よって、この弾性体225と一体に
構成された吐水体230の首振り公転を容易に引き起こ
すことができる。従って、水圧が低くて水流が弱い地域
や、水量を絞って使用しても、確実に吐水体230を首
振り公転できるので、吐水の信頼性を高めることができ
る。 【0184】また別の変形例を説明する。図21は別の
変形例の洗浄ノズル220の断面図を示す説明図であ
る。図示するように、この変形例は、吐水体230を弾
性体225と共に固定する弾性体抑えの構成が相違する
が、吐水体230を首振り公転させて洗浄水を公転吐水
する点では変わるものではない。 【0185】この変形例の弾性体抑え247は、吐水口
221の吐水方向上部にあって、吐水口221とほぼ同
心に開口した開口部256と、吐水体抑え248を有し
ている。この吐水体抑え248は、吐水時に吐水体23
0が水圧で吐水方向に押された時に、その浮き上がりを
防止する。なお、この吐水体抑え248に吐水時におい
て内接する吐水口221の端面は球面もしくはテーパ状
とされている。また、この変形例にあっても、吐水体2
30は、旋回室234上部に設けられたテーパガイド部
235によってその最大傾斜角度が規制される。 【0186】こうした構成を有するこの変形例の洗浄ノ
ズル220にあっても、図18で説明した実施例或いは
上記の変形例と同様に、吐水体230の首振り公転に伴
い、洗浄水を円錐状に公転吐水する。よって、この変形
例の洗浄ノズル220によっても、既述した実施例や上
記の変形例と同様の効果を奏することができる。 【0187】この変形例の洗浄ノズル220では、次の
利点がある。吐水体230が水圧によって吐水方向上部
に押されても、吐水体抑え248によって、吐水体23
0が必要以上に上方に移動しない。よって、弾性体22
5の硬度をさらに低くしたり、薄くするなどして、より
容易に弾性体225が変形するようにできる。こうする
ことで吐水体230が容易に首振り公転できるようにし
ても、必要以上に吐水体230が移動したり、弾性体2
25が必要以上に変形して、破損したり耐久性が低下す
るといった問題がない。 【0188】また、吐水口221の端面を球面状にして
あるので、吐水体230が吐水体抑え248に内接しな
がら首振り公転しても、摺動抵抗が小さくて済む。よっ
て、首振り公転時のエネルギーロスが少なくなる。 【0189】次に、他の変形例について説明する。この
変形例は、吐水体とこれを把持する弾性体を同一の材料
で一体に成形している点に特徴がある。図22はこの変
形例で用いる洗浄ノズル261を説明する説明図であ
り、図22(a)は洗浄ノズル261の縦断面図、図2
2(b)は洗浄ノズル261における吐水体270の挙
動の様子とこのノズルからの吐水の様子を示す説明図で
ある。図示するように、この変形例の洗浄ノズル261
にあっても、通水路2、旋回室流入路3および旋回室4
に相当する通水路262、旋回室流入路263、旋回室
264を有する。そして、旋回室264への給水によ
り、この旋回室264に既述した旋回流を起こす。 【0190】この変形例にあっても、旋回室264には
吐水体270が組み込まれている。そして、この吐水体
270は、吐水体10や吐水体230等と同様、旋回室
264内の洗浄水を、給水管路273を経て吐水口27
1から吐水する。また、吐水体270は、旋回室234
の旋回流に基づいた揚力を受ける受力部位272を有す
る。 【0191】吐水体270は、吐水口271の側に薄い
円盤状のシート部275を有する。このシート部275
は、吐水体270の先端側を取り囲むよう湾曲部276
を備え、当該湾曲部を上に凸としている。そして、吐水
体270は、シート部275を円環状のパッキン278
で挟持した状態で、パッキン抑え277により、洗浄ノ
ズル261に固定されている。これにより、旋回室26
4はシート部275で閉鎖され、吐水体270は、既述
した吐水体10や吐水体230と同様、首振り公転可能
となる。 【0192】シート部275と一体の吐水体270は、
PPやPOM、ABS等の柔軟性のある樹脂やポリエス
テル系、ポリスチレン系やポリオレフィン系等の熱可塑
性エラストマーで成形することが、シート部275での
可撓性確保の上で好ましい。シート部275は、シート
状であること、上記した湾曲部276を有することか
ら、容易に変形する。よって、この変形例でも、吐水体
270の首振り公転を容易に引き起こすことができる。
なお、この変形例でも、旋回室264上部のテーパガイ
ド部265により、吐水体270の最大傾斜角度が規制
される。 【0193】従って、旋回室264内部に洗浄水が供給
されて旋回室264に旋回流が起きると、受力部位27
2は、旋回流に伴う揚力を受ける。これにより、吐水体
270は、旋回室264中心軸に対して首振り公転す
る。 【0194】こうした構成を有する洗浄ノズル261に
あっても、図18で説明した実施例と同様に、吐水体2
70の首振り公転に伴い、洗浄水を円錐状に公転吐水す
る。よって、この変形例の洗浄ノズル261によって
も、既述した実施例と同様の効果を奏することができ
る。 【0195】この変形例の洗浄ノズル261は、先の変
形例の洗浄ノズル220と同様に、シート部275を容
易に変形させる。よって、このシート部275と一体に
構成された吐水体270の首振り公転を容易に引き起こ
すことができる。これにより、先の変形例の洗浄ノズル
220と同様の効果、即ち低水圧地域への適用拡大や吐
水の信頼性向上を図ることができる。 【0196】また、この変形例では、同一の材料を用い
てシート部275と吐水体270とを一体化させてい
る。この結果、構造が簡単になるだけでなく、洗浄水中
のスケール等による固着や漏水をより確実に回避でき
る。また、これらの材料に、上記した樹脂や熱可塑性エ
ラストマーを採択したので、合成ゴムに比べて耐塩素水
性や信頼性が高く、高強度とできる。よって、多量の塩
素を用いて殺菌処理をした洗浄水を用いたり、高水圧地
域や水量を多量に用いた場合でも、耐久性や信頼性に優
れる。 【0197】次に、他の実施例について説明する。この
実施例は、上記した吐水体の首振り公転に伴う洗浄水吐
水を人体局部洗浄装置以外に適用したものである。図2
3は吐水体の首振り公転に伴う洗浄水吐水を適用したシ
ャワー装置291を説明する説明図であり、図23
(a)はシャワー装置291の横方向断面図、図23
(b)は図23(a)におけるシャワー装置291をA
−A面で断面視した断面図である。図24はこのシャワ
ー装置291からの洗浄水を吐水の様子を説明する説明
図である。 【0198】図23(a)に示すように、シャワー装置
291は、通水路296と、これより通路面積が狭いバ
ッファ室流入路295とを備え、バッファ室298に洗
浄水を高い運動エネルギで(即ち、高流速で)流入す
る。バッファ室298には、複数の旋回室294が配設
されており、それぞれの旋回室294は、旋回ガイド2
94aで取り囲まれており、当該ガイドの開口部から、
旋回室内壁に沿って旋回室294内の洗浄水を導き入れ
る。よって、旋回室294では、既述した旋回室4等と
ほぼ同様にして、旋回流が生じる。 【0199】それぞれの旋回室294には、吐水体29
0が配設されている。吐水体290は、吐水口292を
備え、旋回室294内の洗浄水を、給水管路293を経
て吐水口292に導いて吐水する。この吐水体290
は、その一端を旋回室294内に位置させ、この部位
を、受力部位297とする。この受力部位297にあっ
ても、既述した受力部位12等と同様、旋回流に基づく
上記した揚力を受ける。 【0200】それぞれの吐水体290は、可撓性を有す
る薄膜状の弾性体299と一体とされており、この弾性
体299で把持される。弾性体299は、バッファ室2
98の開口を覆うようシャワー装置291に固定されて
いる。よって、弾性体299は、それぞれの吐水体29
0を、その吐水口292が旋回室294の外部に臨むよ
うにして支持し、受力部位297を旋回室294内のほ
ぼ中央に垂下させる。従って、バッファ室流入路295
からバッファ室298に洗浄水が流入し、当該洗浄水が
それぞれの旋回室294に洗浄水が流入すると、この洗
浄水は、旋回室294の内周壁面に沿った受力部位29
7周りの旋回流を引き起こす。これにより、受力部位2
97には既述したように揚力が作用し、吐水体290
は、首振り公転する。 【0201】こうした構成を有するシャワー装置291
にあっては、それぞれの旋回室294において、吐水体
290を首振り公転させるので、それぞれの吐水口29
2からの吐水を、図18で説明したような公転吐水とす
る。そして、シャワー装置291全体としての吐水は、
図24に示すように、それぞれの吐水口292からの公
転吐水が集まったものとなる。この場合、ある吐水口2
92からの吐水は、他の吐水口からの公転吐水と独立し
た公転吐水となる。 【0202】従って、このシャワー装置291によって
も、これまで示した実施例やその変形例と同様に、洗浄
水量を減らしても、刺激と洗浄面積を広く確保した吐水
を行なうことができる。 【0203】また、それぞれの旋回室294における吐
水体290の首振り公転周波数を、既述したように流速
調整等で約3Hz以上とすることもできる。こうすれ
ば、それぞれの吐水口292からの公転吐水が、既述し
たようにあたかも均一に吐水が当たっているかのような
感じを与え、こうした公転吐水が集合していることか
ら、シャワー吐水全体としても、均一に当たっているよ
うな感じを与えるものとなる。 【0204】また、首振り公転周波数を大きくして40
Hz以上とすれば、人体の皮膚感覚が敏感な部分位や切
り傷・擦り傷部位等を洗浄しても、洗浄時の不快な感覚
を無くすことが可能である。この周波数をより大きくす
れば、人体が受ける吐水感は、着水箇所全域で均一に吐
水が当たっているという感覚により近づく。そして、首
振り公転周波数が160Hz程度となれば、着水箇所全
域で均一に吐水が当たっているという感覚しか得られな
くなる。 【0205】このように首振り公転周波数を大きくすれ
ばする程、吐水された洗浄水が受ける遠心力と空気せん
断が増加し、吐水の分散や飛び散りを招く。よって、吐
水の分散や飛び散りを制限することが所望される場合に
は、首振り公転周波数を約160Hz以下とすれば良
い。 【0206】上記したシャワー装置291では、共通の
弾性体299でそれぞれの吐水体290と支持したが、
これに限るわけではない。例えば、吐水体290ごと
に、図4等で示したシール部16で吐水体を支持した
り、それぞれの吐水体290をテーパガイド部15のよ
うなガイド部でガイドしたりすることもできる。或い
は、バッファ室298を設けることなくシャワー装置2
91に複数の旋回室294を直接形成し、各旋回室に洗
浄水を分岐流入させるようにすることもできる。 【0207】次に、吐水体の首振り公転に伴う洗浄水の
公転吐水の他の例を説明する。図25は吐水体の首振り
公転に伴う公転吐水を適用した携帯型の人体局部洗浄装
置300の概略斜視図である。図示するように、この人
体局部洗浄装置300は、タンク301と、当該タンク
に対して進退可能とされた洗浄ノズル302を有する。
洗浄ノズル302は、タンク301内の洗浄水がタンク
把持或いは乾電池を駆動源とするポンプにより押し出さ
れると、その水圧を受けて所定の位置まで前進し、その
後に、洗浄水を吐水するように構成されている。 【0208】この洗浄ノズル302は、ノズル先端側
に、上記した吐水体303を、既述した吐水体10のよ
うに首振り公転可能に備える。そして、当該吐水体が組
み込まれる図示しない旋回室に洗浄水を給水して旋回流
を起こし、公転吐水を実現する。 【0209】この人体局部洗浄装置300では、旋回流
に基づき首振り公転する吐水体303を有するので、既
述した通りの節水効率向上により、タンク301内の洗
浄水がすぐになくなるといった不満を解消できる。加え
て、アクチュエータ等を要しないので軽量となるので携
帯に適すると共に、携帯タイプでありながら、洗浄範囲
の拡大や、洗浄力の向上も同時に行なうことができる。 【0210】次に、洗浄水の公転吐水のまた別の例を説
明する。図26は吐水体の首振り公転に伴う洗浄水の公
転吐水を適用した食器洗浄装置310の概略斜視図、図
27はこの食器洗浄装置310が有する回転洗浄腕32
0を説明するための説明図である。図示するように、食
器洗浄装置310は、装置前面上下の扉311、312
を備え、これら扉で洗浄室313を閉鎖する。この洗浄
室313には、洗浄水を吐水しつつ回転する回転洗浄腕
320を、上下2列に備える。 【0211】回転洗浄腕320は、その中央で回転自在
に支柱321に支持されており、この支柱321を挟ん
だ左右両端に、吐水ノズル322を2個ずつ有する。こ
の吐水ノズル322は、旋回室323と吐水体324を
有するほか、旋回室323に接線方向から洗浄水を給水
して洗浄流を起こす図示しない給水管路を有する。この
場合、この旋回室323と吐水体324は、既述した実
施例或いはその変形例で説明した種々のものとできる。
例えば、図6に示した旋回室4や吐水体10の他、図1
0〜図22に示した旋回室と吐水体とすることができ
る。 【0212】この食器洗浄装置310は、図27に示す
それぞれの吐水ノズル322を、その吐水の指向方向を
斜めに向けたものとし、回転洗浄腕320左右の吐水ノ
ズルでは、吐水の指向方向が逆となるようにした。つま
り、図における左側の吐水ノズル322は紙面に対して
奥側に吐水し、右側の吐水ノズル322は紙面に対して
表側に吐水する。このため、回転洗浄腕320の左右端
の各吐水ノズルから洗浄水を吐水すると、その洗浄水吐
水で生じる反力は、回転洗浄腕320に同方向にかか
る。 【0213】このように吐水の指向方向を斜めにするに
は、旋回室323をこの指向方向に併せて斜めに形成す
ればよい。この食器洗浄装置310にあっては、旋回室
323と吐水体324を有するそれぞれの吐水ノズル3
22が、旋回室324に旋回流を起こす。このため、吐
水ノズル322のそれぞれは、吐水体324を既述した
吐水体10のように首振り公転させ、図6や図11、図
14、図16、図18等に示したように公転吐水を実現
する。 【0214】この食器洗浄装置310にあっても、それ
ぞれの吐水ノズル322が公転吐水を起こしていること
で、既述した通り、節水効率の向上、洗浄能力(食器類
の汚れ剥離能力)の向上、洗浄範囲(着水範囲)の拡張
等を図ることができる。特に食器洗いという特性上、少
ない洗浄水量でありながら高い洗浄能力を発揮できると
いう利点は、好ましい。 【0215】上記した吐水ノズル322を、必要に応じ
て、洗浄室313の壁面に固定設置することもできる。
例えば、汚れが落ち難いとされる茶碗蒸しの食器を、洗
浄室313の強洗浄カゴに収納し、この強洗浄カゴに壁
面固定の吐水ノズル322から吐水(公転吐水)する。
こうすれば、茶碗蒸しの食器といったものについても、
高い洗浄能力で好適に洗浄できる。なお、こうした壁面
固定のノズルでは、既設の通常のノズルを取り外して、
上記した吐水ノズル322に交換すればよい。こうすれ
ば、既存の食器洗浄装置を節水性に優れ、高い洗浄能力
を有するものに容易に改造できる。 【0216】また、上記の食器洗浄装置310では、次
の利点がある。上記したように回転洗浄腕320の各吐
水ノズル322から吐水すると、その吐水反力により、
この回転洗浄腕320を回転させる。従って、回転洗浄
腕320を回転させつつ、各吐水ノズル322から首振
り公転による吐水を食器に浴びせることができる。よっ
て、食器類の洗浄能力をより高めることができると共
に、洗浄室313の隅々まで洗浄水を吐水でき食器をく
まなく洗浄できる。 【0217】また、上記したように回転洗浄腕320に
おいて、旋回室323は、回転洗浄腕320に対して斜
めの姿勢を採り、この旋回室324に吐水体324が組
み込まれる。この吐水体324を、図17や図20〜図
22の吐水体とすると、非洗浄時において、この吐水体
324は、付属する膜状部204やシート部275等の
湾曲を経て、自重によりほぼ垂直方向に延びた姿勢を採
る。つまり、吐水体324は、傾斜した旋回室323に
おいて、傾いた状態となり、吐水体周りにおいて、吐水
体外壁面と旋回室内壁面との間隔の狭い箇所を形成す
る。 【0218】従って、この状況で旋回室323に洗浄水
が接線方向から給水されると、上記した間隔の狭小箇所
では旋回流の流速が高まる。このため、吐水体324周
りでは、確実に既述した流速差を起こすことができる。
よって、上記した揚力に基づく吐水体324の首振り公
転を確実に起こし、公転吐水の信頼性を高めることがで
きる。しかも、旋回室323に対して吐水体324が当
初から斜めであるので、旋回流の衝突も流入当初から起
き、旋回流により吐水体324は押される。よって、吐
水体324は、速やかに首振り公転を起こし、公転吐水
を洗浄水給水当初から開始することができる。 【0219】この場合、上記したように洗浄開始前で旋
回室と吐水体とが相対的に傾いた状況は、既述した実施
例やその変形例で容易に実現できる。例えば、人体局部
洗浄装置100が有する洗浄ノズル1や洗浄ノズル20
0を、図19に示すように、斜めに進退できるようにす
ればよい。こうしても、各ノズルにおける吐水体10は
その旋回室に対して斜めとなるので、上記した利点があ
る。 【0220】なお、上記の食器洗浄装置310では、吐
水反力を利用して回転洗浄腕320を回転させたが、こ
れに限るわけではない。例えば、回転洗浄腕320をモ
ータ等で回転するものとし、この回転洗浄腕320に吐
水ノズル322を上向きに配設するものとすることもで
きる。 【0221】或いは、回転洗浄腕320の上面に上向き
に吐水ノズル322を設けると共に、回転洗浄腕320
の側面にも吐水ノズル322を設けてもよい。こうすれ
ば、側面の吐水ノズル322は、回転洗浄腕320の側
方にある食器類を洗浄しつつ、その吐水反力で回転洗浄
腕320を回転させる。その一方、上面の吐水ノズル3
22は、回転洗浄腕320より上部の食器類を洗浄す
る。 【0222】次に、既述した実施例やその変形例に適用
できる構成について説明する。図28は旋回室4の旋回
流に受力部位12の周りで流速差を起こさせる手法を説
明するための説明図、図29は受力部位12の周りで流
速差を起こさせる別の手法を説明するための説明図であ
る。 【0223】図28に示すように、旋回室4をその内周
断面が略卵形とされ、旋回室流入路3と対向する周壁部
位4aでは湾曲程度が大きく、周壁部位4bでは小さく
されている。従って、曲率が異なる周壁部位4aと周壁
部位4bでの洗浄水の流れ方に違いが生じ、両部位の旋
回流Sa、Sbでは確実に流速差を起こすことができ
る。 【0224】図29に示す変形例では、受力部位12の
断面形状が略卵形とされている。よって、受力部位12
は、その凸となった側において、受力部位12外壁と旋
回室4内周壁との隙間を他の箇所より狭くする。このた
め、こうした狭い間隙では、洗浄水の流速を高めること
ができ、受力部位12の周りで流速差を起こさせる。図
示するように受力部位12の凸となった部位が周壁部位
4a付近にある場合は、当該部位の旋回流Saの流速を
周壁部位4bの旋回流Sbより確実に速くできる。 【0225】この結果、図28や図29に示すように旋
回室4或いは受力部位12の形状を工夫することで、吐
水体の首振り公転・吐水状態の安定化をもたらすことが
できる。 【0226】図30は図28に示した旋回室4に2流路
から洗浄水を流入した状態を説明するための説明図、図
31は図29に示した旋回室4にやはり2流路から洗浄
水を流入した状態を説明するための説明図である。これ
ら図面に示すものでは、一方の旋回室流入路3aと他方
の旋回室流入路3bとが略同一管路面積のものであれ
ば、それぞれから流入した洗浄水の旋回流Sa、Sb
に、流入当初は流速に差はない。しかし、曲率が異なる
周壁部位4aと周壁部位4bを通過する際には、両部位
の旋回流Sa、Sbに流速差が生じる。よって、図30
や図31に示すように複数流路から洗浄水を旋回室4に
流入させても、吐水体の首振り公転・吐水状態の安定化
をもたらすことができる。 【0227】なお、旋回室流入路3aと旋回室流入路3
bの両流路からの洗浄水流入を行うので、旋回室4での
受力部位12周りの旋回流をより容易かつ確実に誘起す
ることができる。 【0228】図32は旋回室4に複数流路から洗浄水を
流入する別の手法を説明する説明図であり、図32
(a)は複数流路からの流入洗浄水自体に流速差を持た
せた手法を示す説明図、図32(b)は複数流路からの
洗浄水流入のタイミングを調整する手法を示す説明図、
図32(c)は複数流路の流入位置を変える手法を示す
説明図である。 【0229】図32(a)に示すように、旋回室流入路
3aは旋回室流入路3bより管路面積が狭くされてい
る。よって、各流入路からの流入洗浄水SinA、Si
nBでは、前者の洗浄水の方が流速が速い。このため、
周壁部位4aと周壁部位4bの両部位で、その旋回流S
a、Sbに確実に流速差を持たせることができる。 【0230】図32(b)に示すように、旋回室流入路
3aと旋回室流入路3bには、それぞれ開閉弁330、
331が組み込まれている。そして、洗浄水の吐水を開
始する際には、いずれかの開閉弁を遅延して開弁する。
こうすれば、遅延した方の開閉弁が開弁した時点で、新
たに洗浄水が流入して、その流入箇所において流速を高
めることができる。よって、これによっても、受力部位
12周りの旋回流に確実に流速差を持たせることができ
る。 【0231】図32(c)に示すように、旋回室流入路
3aと旋回室流入路3bは、旋回室4の中心に対して非
対称の位置で旋回室4に洗浄水を流入する。図示の場合
は、旋回室流入路3bからの洗浄水流入位置で、旋回室
流入路3aからの洗浄水が合流する。よって、この合流
箇所では、他の箇所より流速が高まり、受力部位12周
りの旋回流に確実に流速差を持たせることができる。 【0232】これら図面に示すように旋回室流入路を複
数設けると、次のような利点がある。即ち、一つの旋回
室流入路から洗浄水流入を図った場合に比べ、旋回室全
体の流速と速度差を独立してコントロールできるという
利点がある。例えば、各旋回室流入路からの洗浄水流入
速度をその相対的な関係を維持したまま各流入速度を低
くすれば、速度差を一定としたまま、旋回室の全体の流
速を遅くして、安定して旋回流回転(吐水体の首振り公
転)を実現できる。 【0233】なお、旋回室流入路を3本以上とすること
もできるが、その場合には、少なくとも一本について、
異なる流速での洗浄水流入を起こしたり、異なる管路面
積とすればよい。或いは、少なくとも一本について、そ
の流入位置を他のものと非対称とすればよい。 【0234】次に、吐水体10の非洗浄時の姿勢と旋回
室4の形状に特徴を持たせた変形例について説明する。
図33は変形例の洗浄ノズル335を説明するための説
明図である。図示するように、この洗浄ノズル335
は、旋回室4の底面中央に突起336を有する。この場
合、吐水体10は、受力部位12を含みほぼ一律の径の
円柱体とされ、吐水口11を外部に臨ませて可撓性の弾
性体337で支持されている。 【0235】旋回室4は、吐水口11の側ほど小径とさ
れたテーパ状の内周壁を有するものとされ、そのほぼ底
面近傍において、接線方向から旋回室流入路3の洗浄水
の流入を受ける。よって、この洗浄ノズル335にあっ
ても、旋回室4に、受力部位12周りの旋回流を起こ
す。 【0236】この洗浄ノズル335は、旋回室4への洗
浄水の流入の無い非吐水時において、受力部位12の下
端を突起336に干渉させる。よって、この非吐水時に
あっては、受力部位12は、旋回室4に対して、詳しく
は旋回室4の中心に対して傾斜して姿勢を採る。この結
果、図33に実線で示すように、受力部位12と旋回室
4の内壁(テーパ面)との間が狭い箇所を形成する。よ
って、旋回室4への洗浄水の流入当初から、上記の狭く
なった箇所を洗浄水が通過する間の流速を高めることが
でき、旋回流の流速差を確実に引き起こすことができ
る。このため、洗浄水流入当初から、既述した揚力を確
実に発生させることができるので、吐水体10の首振り
公転・吐水状態の安定化を容易に図ることができる。 【0237】また、この洗浄ノズル335では、旋回室
4の内周壁をテーパ状とし、吐水体10(受力部位1
2)を柱状形状としたので、傾斜した受力部位12の外
面と旋回室4のテーパ状内壁との間の間隙を、受力部位
12の長さに亘ってほぼ同じとできる。よって、受力部
位12が図示するように傾斜していることから、上記の
間隙を旋回流が通過する際の流速を受力部位12の長さ
に亘ってほぼ同じように速くできる。つまり、揚力発生
に関与する長さが増すことになり、揚力を大きくでき
る。この結果、揚力に伴う抗力も大きくなり、吐水体1
0の首振り公転速度が増す。しかも、旋回流との干渉が
起きる範囲も長くなるので、受力部位12が直に旋回流
でその方向に沿って回転させられる。このため、遠心力
はより大きくなり、吐水体10の首振り公転の高速化、
延いては、安定した軌跡での吐水体10の首振り公転
や、吐水の安定化も容易に実現できる。 【0238】なお、洗浄ノズル335では、旋回室4を
テーパ状の内壁を有する構成と、底面中央に突起336
を有する構成とを共に有するが、旋回室4をテーパとす
るだけ、突起336を有するだけとすることもできる。
例えば、図4や図20に示す旋回室に、突起336を形
成することもできる。また、洗浄ノズル335におい
て、突起336のない旋回室4とすることもできる。 【0239】このように、洗浄ノズル335では、非洗
浄時において吐水体10を傾斜させているので、次のよ
うに変形することができる。図34は洗浄ノズル335
の変形例において旋回室4を図33の33−33線で断
面視した断面図である。図示するように、この変形例
は、同一径の旋回室流入路3a〜3dを旋回室4に対し
て点対称に備える。よって、吐水体10の組み込みのな
い旋回室4に各流入路から洗浄水を流入すると、旋回流
にはほとんど流速差を生じない。ところが、この変形例
では、突起336によって、非洗浄時において受力部位
12を傾斜させているので、既述したように受力部位1
2の外面と旋回室4のテーパ状内壁との間には、その間
隙が狭い箇所がある。従って、複数の流路を点対称に配
置した場合であっても、受力部位12の傾斜により、上
記したように旋回流の流速差を確実に引き起こして、吐
水体10の首振り公転・吐水状態の安定化を容易に図る
ことができる。 【0240】図35は受力部位12の傾斜を吐水体10
自体で引き起こすよう変形した洗浄ノズル335を説明
する説明図である。図示するように、この変形例では、
吐水体10は、受力部位12の下端を凸状部12aとし
ており、この凸状部12aが旋回室底面に接触すること
で、受力部位12を非洗浄時において傾斜姿勢とする。
よって、この変形例によっても、吐水体10の首振り公
転・吐水状態の安定化を容易に図ることができる。 【0241】図36は吐水体10の受力部位12を吐水
部位10aより大径の柱状体とするよう変形した洗浄ノ
ズル335を説明する説明図である。図示するように、
この変形例では、吐水体10は、大径の受力部位12と
これより小径の吐水部位10aを備える。この吐水部位
10aには、環状の鍔材338が装着されており、この
鍔材338は、旋回室4の上端の開口内溝339に遊び
を持って組み込まれている。 【0242】この変形例の洗浄ノズル335では、旋回
室4への洗浄水流入により、既述したように受力部位1
2を公転させる。この際、この受力部位12(吐水体1
0)の首振り運動の中心部分は、小径の吐水部位10a
の部位となる。よって、旋回室4から受ける洗浄水の水
圧の受圧面積は狭くなり、公転の際の中心部分での抵
抗、即ち、鍔材338が開口内溝339の溝壁面に接触
しつつ公転する際の抵抗も小さくなる。よって、吐水体
10の首振り公転の高速化や安定化に有益であると共
に、鍔材338や開口内溝339の摩耗抑制にも有益で
ある。 【0243】また、この洗浄ノズル335では、受力部
位12を大径としたので、投影面積も大きくなり、従っ
て、受力部位12に発生する揚力・抗力も大きくなる。
更に、その質量も大きくできる。これらの結果、既述し
た揚力・遠心力の影響を受けて受力部位12が一旦公転
した場合の慣性力(=遠心力)が大きくなる。このた
め、吐水体10の首振り公転の安定化、公転吐水の安定
化の点で有益である。このように受力部位12の質量を
大きくするには、この受力部位12を金属とし、これに
続く吐水部位10aを樹脂とすることが簡便である。な
お、このように吐水部位10aと受力部位12で前者を
樹脂、後者を金属とするには、インサート成形等の製造
手法を採ることができ、生産性、コスト低減に有益であ
る。 【0244】次に、吐水体の支持手法の変形例について
説明する。図37は変形例の吐水体340と支持の様子
を説明するための説明図である。図示するように、吐水
体340が組み込まれる旋回室350は、その上端に開
口351を有する。吐水体340は、旋回室350に組
み込まれた状態で、開口351から吐水部位341の吐
水口342を外部に臨ませる。 【0245】旋回室350が流入した洗浄水でほぼ満水
の状態となると、その洗浄水は吐水体340の吐水口3
42に給水管路344を経て導かれる。こういった状態
では、吐水体340は、旋回室350に流入した洗浄水
で開口351の側に押し上げられ、開口351の開口周
縁で、吐水部位341の先端を支持される。つまり、こ
の吐水体340は、洗浄水流入時において、開口351
の開口周縁を受け座として支持され、受力部位343が
旋回流に基づく揚力を受けることで、既述したように首
振り公転する。 【0246】この吐水体340の首振り公転の際、上記
の上向きの押し上げにより、吐水体340は、その吐水
部位341の先端を開口351の開口周縁に押し付け
る。ところで、こうした押しつけの際には、吐水体自体
が首振り公転をしていることから、吐水部位先端が吐水
体340の傾斜した側で開口周縁に受けられるいわゆる
片当たりを起こす。こうなれば、この傾斜した側以外で
は、吐水部位先端は開口周縁から離れ、吐水体340の
首振り公転に伴い、この片当たりのまま、開口周縁との
接触する吐水部位先端の位置は開口周縁に沿って変わっ
て行く。このため、片当たりしていない吐水部位先端か
ら漏れ出ようとする旋回室350の洗浄水を、この吐水
部位先端のシール水として機能させることができる。よ
って、吐水部位先端と開口周縁に特段の潤滑剤や潤滑機
能を要しないので、構成の単純化や、保守点検・組み付
け作業の簡略化を図ることができる。 【0247】また、吐水体340の首振り公転の最中で
吐水部位先端を片当たりさせるに過ぎないので、吐水部
位先端と開口周縁との接触は狭小範囲でしか起きない。
よって、この接触に伴う摩擦力を低減でき、摩耗防止の
上から好ましい。 【0248】図38はまた別の変形例の吐水体支持手法
を説明するための説明図である。図示するように、この
変形例では、開口351の開口周縁に、吐水部位341
の先端の側に突出した環状***部352を有する。この
変形例では、上記したように吐水部位341先端が片当
たりしている場合に、この環状***部352でしか吐水
部位先端を片当たり接触させない。このため、片当たり
の安定化や上記した摩耗防止等に有益である。なお、摩
耗が起きたとしても、環状***部352周りでは吐水部
位先端の接触位置が変わらないので、摩耗による回転数
が低下する等の性能変化がなく回転が安定する。 【0249】この場合、図37や図38に示す吐水部位
先端を傾斜面形状や球形形状、円弧状形状とすれば、片
当たりの安定化や上記した摩耗防止等により有益であ
る。また、この先端形状の曲率やテーパ角度が大きくけ
れば、片当たりがより安定化する。つまり、吐水体が僅
かに傾くと、開口周縁に吐水部位先端の全周が接触しな
い取合いになって片当たりとなる。また、吐水部位先端
の周縁をテーパ状或いは円弧状に面取りすることでも、
片当たりの安定化や上記した摩耗防止等により有益であ
る。 【0250】図39は他の変形例の吐水体支持手法を説
明するための説明図である。図示するように、この変形
例では、開口351の開口周縁352を球形形状とし、
吐水部位341の先端をこの球形に適合した凸の球形形
状とした。この変形例では、球形同士の接触であること
から、両者の球形状の関係によって、吐水部位先端を開
口周縁352に上記したような片当たりさせる場合と、
吐水部位先端をほぼ全周に亘って開口周縁352で受け
止める場合を採ることができる。このいずれの場合であ
っても、吐水体340の首振り公転の安定化を図ること
ができる。なお、この変形例で片当たりを起こすには、
吐水部位341先端の曲率が開口周縁352の曲率と異
なるようにすれば良く、ほぼ全周当たりにするには、両
者の曲率をほぼ一致させればよい。 【0251】次に、吐水体の変形例について説明する。
図40は変形例の吐水体360を説明するための説明
図、図41は他の変形例の吐水体365を説明するため
の説明図である。図40に示す変形例の吐水体360
は、吐水部位361に長孔形状の吐水口362を有す
る。この吐水体360を、図17や図22で説明したよ
うに首振り公転のみを起こすようにすることもできる。
こうすると、図示の如く、吐水口形状に倣った長孔形状
の吐水が、円錐状の公転吐水軌跡に倣って公転するよう
なものに広げることができる。よって、図示するよう
に、吐水の領域を広くでき、吐水に中抜けが起きないよ
うにすることができる。また、こうした吐水の領域の拡
張に際して、既述した通り、節水を図ることもできる。 【0252】一方、吐水体360を、図11で説明した
ように受力部位363に羽根を有するものとし、既述し
たように首振り公転と吐水体自転を起こすようにする。
そうすると、図示するように、吐水体自転により長孔形
状の吐水口362が回転しつつ吐水され、その吐水が円
錐状の公転吐水軌跡に沿って動くことになる。この際、
上記の傾斜・偏心吐水口と同様、吐水体自体の自転と吐
水体自転で起きる遠心力の影響から、上記の公転吐水軌
跡は裾の広がった円錐状となる。よって、首振り公転と
吐水口自転(吐水体自転)を起こす場合は、吐水の領域
をより一層広くでき、吐水の中抜けをより確実に起きな
いようにできる。また、こうした吐水の領域の拡張に際
して、既述した通り、節水を図ることもできる。 【0253】図41に示す変形例の吐水体365は、吐
水部位366に拡張したテーパ形状の吐水口367を有
し、軸方向に貫通する給水管路368から吐水口367
に洗浄水を導く。給水管路368は、受力部位369の
側で大径とされ、吐水部位366の側で小径とされてい
る。そして、この給水管路368には、その下端から旋
回室(図示省略)の洗浄水が入り込み、吐水口367か
らは、そのテーパ形状に倣ってテーパ状に洗浄水が吐水
される。なお、この吐水体365にあっても、吐水体の
首振り公転・自転を起こすものと首振り公転のみを起こ
すものの両者に適用でき、いずれであっても吐水体36
0と同様に吐水の中抜け回避、吐水領域の拡張、節水化
を図ることができる。 【0254】この吐水体365では、吐水口367に洗
浄水を導くに当たり、洗浄水は、管径の狭小化を起こす
給水管路368を通過する。よって、洗浄水は、この管
径狭小化による整流を受けて367から吐水される。ま
た、洗浄水が給水管路368に流入するに際しても、受
力部位369周囲で旋回を起こしている洗浄水がその旋
回成分を持って給水管路368に流入する。このため、
洗浄水は給水管路368の大径部位を螺旋状に通過する
ので、整流性は高まる。こうした整流により、吐水口3
67から吐水を安定させることができる。よって、吐水
体の首振り公転・自転に伴う吐水の状況のより一層の安
定化や、吐水の信頼性向上を図ることができる。 【0255】次に、洗浄水整流の変形例について説明す
る。図42は変形例の吐水体370をその概略斜視図と
縦断面図で示す説明図、図43は他の変形例の吐水体3
74を縦断面図と要部の拡大断面図で示す説明図、図4
4は別の変形例の吐水体380を同じく縦断面図と要部
の拡大断面図で示す説明図である。図42に示す吐水体
370は、その吐水口371に洗浄水を導く給水管路3
72を、スリット状の管路とし、これを十字に交差して
形成する。この吐水体370にあっても、既述した吐水
体10の給水管路13と同様、給水管路372の通路断
面積の総和は、吐水口371より広くされている。よっ
て、給水管路372自体の管路形状と吐水口371に対
する面積関係により、洗浄水は高い整流を受けて吐水口
371に達し吐水される。この結果、吐水体370によ
れば、吐水体の吐水体の首振り公転・自転に伴う吐水の
状況をより一層安定化することができると共に、吐水の
信頼性向上にも有益である。 【0256】図43に示す吐水体374は、吐水口37
5の手前に十字状の整流部材376を備え、給水管路3
77からの洗浄水を整流部材376で整流させた上で吐
水口375に導く。よって、この吐水体375にあって
も、上記したように吐水状況の安定化や吐水の信頼性向
上をもたらすことができる。なお、整流部材376の組
み付けを考慮して、受力部位379と吐水部位378は
別体とされ、この両者は、整流部材の組み込み後に固定
される。 【0257】図44に示す吐水体380は、洗浄水吐水
口を小径吐水口381の集合として形成することで、給
水管路382からの洗浄水を整流して吐水する。従っ
て、この吐水体380によっても、上記したように吐水
状況の安定化や吐水の信頼性向上をもたらすことができ
る。これら吐水体は、既述した実施例とその変形例に適
宜用いることができる。 【0258】次に、また別の変形例について説明する。
この変形例は、吐水体が有する受力部位の傾斜程度を可
変して円錐状の公転吐水の広がり程度を調整する点に特
徴がある。図45は変形例の洗浄ノズル400の要部を
縦断面および水平断面視して示す説明図である。図示す
るように、この洗浄ノズル400は、旋回室401に吐
水体402を備える。吐水体402は、環状の鍔材40
3を介して旋回室上端の開口内溝404で首振り公転で
きるよう支持されている。 【0259】旋回室401の天井側には、テーパガイド
部405が組み込まれている。このテーパガイド部40
5は、旋回室401内を上下動できるようにされてお
り、その外周に、ラック406を有する。ラック406
は、洗浄ノズル400に挿入配置されたピニオン407
と噛み合い、シャフト408の正逆回転で上下動する。
よって、テーパガイド部405は、このラック406の
上下動に伴って上下に移動する。なお、ラック406の
上下動範囲、即ちテーパガイド部405の上下動範囲
は、ラック収納部409の下端・上端で規制されてい
る。 【0260】旋回室401は、上記のピニオン・シャフ
トの配設部位と連通している。しかし、その連通箇所は
旋回室天井付近であるので、旋回室底面側では既述した
旋回流の誘起には影響しない。よって、吐水体402の
受力部位412は、なお、シャフトの配設部位では、シ
ャフト408にシールリング410を装着して、漏水防
止が図られている。 【0261】こうした構成を有する洗浄ノズル400
は、テーパガイド部405の上下動を介して次の効果を
奏する。図46はテーパガイド部405の上下動とその
奏する効果を説明する説明図である。図示するように、
ピニオン407を一方に回転してテーパガイド部405
を上昇させると、このガイド部と受力部位412の接触
部位は吐水体402の支持箇所側に近づく。その一方、
テーパガイド部405を降下させると、接触部位は上記
の支持箇所から離れる。従って、テーパガイド部405
との接触で規制される受力部位412の傾斜角θは、テ
ーパガイド部405の上下動に伴って広狭変化する。こ
れにより、変形例の洗浄ノズル400は、吐水体402
(受力部位412)の首振り公転に伴う円錐状の公転吐
水の広がり程度を広狭設定できるので、洗浄範囲を容易
に広狭調整できる。なお、上記したテーパガイド部40
5の上下動を行うためのシャフト408は、手動で或い
はモータ等で回転される。 【0262】次に、吐水体を支持するに当たりシール性
を高めた変形例について説明する。図47は変形例の洗
浄ノズル420を説明するための説明図、図48はこの
洗浄ノズル420の要部拡大図である。図示するよう
に、洗浄ノズル420は、旋回室4に吐水体422を備
える。吐水体422を吐水口423側で支持する可撓性
の弾性体424を有する。この弾性体424にあって
も、既述した弾性体225と同様、合成ゴムや熱可塑性
エラストマーで成形されており、薄肉の屈曲部425を
有することで容易に変形する。 【0263】弾性体424は、屈曲部425の裾部分を
厚肉の固定部426としており、この固定部426を弾
性体抑え427で押さえつけて洗浄ノズル420に固定
されている。また、弾性体424は、中央に筒状の把持
部428を備え、この把持部428に吐水体422の先
端小径部429を嵌合させて、吐水体422を支持す
る。よって、吐水体422は、既述した吐水体と同様、
首振り公転可能とされている。なお、旋回室4の天井側
には、吐水体422の傾きを規定するためのテーパガイ
ド部430が固定されている。 【0264】こうした洗浄ノズル420によれば、次の
利点がある。図49は洗浄ノズル420の弾性体424
がもたらす効果を説明するための説明図である。旋回室
4への給水が行われると、既述したように吐水体422
は首振り公転し、この際、旋回室4は洗浄水で満水状態
にある。従って、旋回室内の洗浄水は、テーパガイド部
430と吐水体422の隙間を通って弾性体424の把
持部428周囲に達し、洗浄水圧力を把持部428外壁
に及ぼす。把持部428は、この洗浄水圧力を受けて、
嵌合済みの先端小径部429を図中矢印で示すように外
部から締め付けるので、吐水体422と弾性体424と
のシール性を高める。この結果、吐水体シールの信頼性
が高まり、把持部428からの洗浄水漏洩を好適に且つ
確実に抑制できる。しかも、把持部428からの漏洩洗
浄水を起こさないので、吐水口423からの公転吐水を
この漏洩洗浄水で乱さないようにできるので、公転吐水
の安定化に有益である。更には、吐水体422を弾性体
424で支持するに当たり接着を要しないので、接着剤
およびその塗布工程も不要となる。よって、洗浄ノズル
420の製造工程や組み付け工程の簡略化を図ることも
でき、コスト低減にも有益である。また、上記の締め付
けにより、吐水体422の既述した自転を確実、且つ容
易に起きないようにできる。この洗浄ノズル420は次
のように更に変形することができる。図50は洗浄ノズ
ル420の変形例が有する弾性体424と吐水体422
を示す説明図である。 【0265】図示するように、この変形例では、弾性体
424は、把持部428に切欠428aを備え、吐水体
422は、先端小径部429に上記の切欠428aに嵌
合する凸条429aを有する。こうすれば、弾性体42
4で支持した吐水体422をその軸周りに回転しないよ
うにできるので、吐水体の自転を起こさないようにする
場合には有益である。 【0266】次に、他の実施例について説明する。この
実施例は、吐水体と弾性体の両者の一体化を通して吐水
体の首振り公転を可能とした上で、この吐水体に水流に
基づく回転力を伝達する点に特徴がある。図51は他の
実施例の洗浄ノズル450を縦断面図と要部の断面図で
示す説明図である。図示するように、この洗浄ノズル4
50は、図47で示した洗浄ノズル420と同様、弾性
体424で吐水体452を把持して、旋回室454にお
いて吐水体452を首振り可能に支持する。吐水体45
2は、旋回室内の洗浄水を給水管路455を経て吐水口
456から吐水する。 【0267】旋回室454には、旋回室流入路3により
接線方向から洗浄水が流入する。こうして流入した洗浄
水は、旋回室底面に回転自在に軸支された羽根車458
を回転させる。この羽根車458は、上端に傾斜バー4
59を備え、当該バーを、吐水体452下端の係合孔4
53に差し入れている。従って、旋回室への流入洗浄水
により回転した羽根車458の回転運動は、傾斜バー4
59を介して吐水体452に伝えられるので、吐水体4
52は、既述したように首振り公転し、この際には吐水
体の自転は起こさない。これにより、この洗浄ノズル4
50によっても、円錐状の公転吐水を得ることができ、
上記した実施例と同様の効果を奏することができる。 【0268】図52は洗浄ノズル450の変形例を説明
するための説明図である。この変形例では、羽根車の構
成と旋回室への洗浄水流入の様子に特徴がある。 【0269】図示するように、変形例の洗浄ノズル45
0は、旋回室454の底面に、軸流により旋回する羽根
車460を有する。この羽根車460は、外周壁に螺旋
状の軌跡を採るスパイラル状の溝を有し、この溝を流体
(洗浄水)が通過する際の反力で、回転する。従って、
旋回室底面から旋回室454に洗浄水を流入すると、羽
根車460は回転し、その回転動作は、傾斜バー461
を介して吐水体452に伝えられる。このため、この変
形例の洗浄ノズル450によっても、吐水体452の首
振り公転を起こして円錐状の公転吐水とするので、上記
した実施例と同様の効果を奏することができる。 【0270】また別の変形例について説明する。この変
形例は、旋回流の流速差に基づく揚力の影響を受けて首
振り公転を起こす機構と、首振り公転可能に支持された
吐水体とを組み合わせた点に特徴がある。図53はまた
別の変形例の洗浄ノズル470を示す説明図である。 【0271】図示するように、この変形例の洗浄ノズル
470は、上下に洗浄水流入室を備え、下方の流入室
を、旋回室472とし、旋回室流入路3を経て接線方向
から洗浄水の流入を受ける。これにより、既述したよう
に旋回室472で旋回流を起こす。この旋回室472の
上部は、弾性体424により把持された吐水体452の
駆動室474とされている。 【0272】旋回室472には、既述した吐水体10等
に替わる公転体476が組み込まれている。この公転体
476は、旋回室472上部開口に、図36の吐水体1
0と同様、環状の鍔材338と開口内溝339にて首振
り公転可能に支持されている。従って、旋回室472に
洗浄水が流入すると、公転体476は、首振り公転を起
こし、この公転運動を上端の係合シャフト467を介し
て吐水体452に伝達する。こうした公転体476の首
振り公転運動は、水平面においては羽根車458等の回
転運動と変わるものではないので、上記の運動伝達を受
けた吐水体452は、首振り公転を起こす。よって、こ
の変形例の洗浄ノズル470によっても、円錐状の公転
吐水を得ることができ、上記した実施例と同様の効果を
奏することができる。 【0273】なお、洗浄水は、種々の流路で旋回室47
2を経て駆動室474に流入するようにできる。例え
ば、洗浄水は、開口内溝339に鍔材338が片当たり
している以外の箇所を通って支障無く駆動室474に流
れ込む。また、公転体476内部に図示しないバイパス
路を設け、このバイパス路から洗浄水を駆動室474に
流入するようにすることもできる。或いは、旋回室47
2と駆動室474の周囲に開口内溝339の周囲をパイ
パスするバイパス路を設け、このバイパス路から洗浄水
を駆動室474に流入するようにすることもできる。 【0274】次に、首振り公転可能とした吐水体に水流
に基づく回転力を伝達する他の変形例について説明す
る。図54は変形例の洗浄ノズル480を縦断面して示
す説明図である。 【0275】図示するように、この洗浄ノズル480
は、弾性体424で把持した吐水体422を旋回室48
2に組み込んで有する。この旋回室482には、その底
面側に溝484が環状に形成されており、この溝にはボ
ール486が組み込まれている。ボール486は、溝4
84の上下壁面で上下動を規制されつつ、この溝484
に沿って回転可能とされている。 【0276】こうしてボール486が組み込まれた状態
で、ボール486は、吐水体422に接触し、当該吐水
体を図示するように傾斜させる。そして、旋回室482
に旋回室流入路3により接線方向から洗浄水が流入する
と、ボール486は、流入した洗浄水に押され、溝48
4に沿って旋回する。このようにボール486が旋回す
ると、このボール486に接している吐水体422は、
傾斜したままその傾斜向き変えていき、既述した首振り
公転を起こす。よって、この変形例の洗浄ノズル480
によっても、円錐状の公転吐水を得ることができ、上記
した実施例と同様の効果を奏することができる。上記し
たボール486は、その材質について制約は無く、樹脂
或いは金属等とできる。金属製とすれば、質量が大きく
なるので、溝484に沿って回転した後の慣性力が大き
くなり、吐水体の首振り公転の維持に都合がよい。 【0277】本発明は、上記した実施例およびその変形
例に限定されるわけではなく、種々の態様で実現可能で
ある。例えば、テーパガイド部15で吐水体10の傾斜
角度を規制する場合、次のようにすることもできる。図
55はテーパガイド部15による吐水体10の傾斜規制
の様子を説明する説明図である。 【0278】図示するように、テーパガイド部15は、
吐水体の案内開口15aを水平断面において楕円形とし
ており、この楕円形の案内開口15aで吐水体10の傾
斜を規制する。つまり、吐水体10は、上記した旋回室
での旋回流により首振り公転を始めるが、案内開口15
aとの接触により、開口形状に倣った図中一点鎖線の軌
跡で公転する。このため、この変形例によれば、首振り
公転軌跡、引いては洗浄水の公転軌跡を変更することが
できる。よって、案内開口形状を洗浄水の着水対象の形
状に併せたものとすることで、着水対象形状に合致して
洗浄水を着水させることができる。 【0279】以上説明した本発明の吐水装置は、給水さ
れた洗浄水をノズルから吐水する吐水装置や、これを適
用した種々の洗浄装置、例えば、人体局部洗浄装置やシ
ャワー装置、食器洗浄装置等に利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】 従来の人体局部洗浄装置を説明するための説
明図である。 【図2】 洗浄水の飛び散りが起きる状況を説明する説
明図である。 【図3】 本発明の吐水装置を適用した実施例の人体局
部洗浄装置100の水路構成図を説明する説明図であ
る。 【図4】 洗浄ノズル1を断面視して説明するための説
明図であり、図4(a)は洗浄ノズル1の横方向断面図
を示し、図4(b)は図4(a)における洗浄ノズル1
をA−A面で断面視した断面図である。 【図5】 旋回室4に洗浄水が流入してからの受力部位
12の挙動とこの受力部位12にかかる力の様子を時間
経過に沿って説明する説明図である。 【図6】 受力部位12がこうした挙動を採ることで得
られる洗浄水吐水の様子を説明する説明図である。 【図7】 旋回室4と受力部位12の内外径比を規定し
たことで得られる効果を説明する説明図であり、図7
(a)は内外比が0.35〜0.80の範囲にある場合
の旋回状況を説明する説明図であり、図7(b)は内外
比が0.35を下回る場合の旋回状況を説明する説明図
である。 【図8】 変形例の旋回室流入路3を説明するための説
明図である。 【図9】 変形例における吐水体110を説明するため
の説明図であり、図9(a)はこの吐水体110の縦断
面図、図9(b)は吐水体110の概略斜視図、図9
(c)は図9(b)におけるc−c線断面図である。 【図10】 変形例の吐水体110を組み込んだ洗浄ノ
ズル1を断面視して説明するための説明図であり、図1
0(a)は洗浄ノズル1を横方向で断面視した断面図を
示し、図10(b)は洗浄ノズル1を縦方向断面視した
断面図である。 【図11】 吐水体110を用いた洗浄ノズル1からの
洗浄水の吐水の様子を説明する説明図である。 【図12】 変形例の吐水体120、125を説明する
ための説明図であり、図12(a)は吐水体120の縦
断面図、図12(b)は吐水体125の縦横断面図であ
る。 【図13】 吐水体120を組み込んだ洗浄ノズルを縦
方向断面視した断面図である。 【図14】 吐水体120を用いた洗浄ノズル1からの
洗浄水の吐水の様子を説明する説明図である。 【図15】 吐水体110の首振り公転と自転との関係
を説明する説明図であり、図15(a)は吐水体110
の首振り公転と自転がその回転方向が同じ場合を示す説
明図、図15(b)は吐水体110の首振り公転と自転
とがその回転方向が逆の場合を示す説明図である。 【図16】 吐水体110が図15の挙動を採ったとき
の吐水の様子を説明する説明図であり、図16(a)は
首振り公転と自転が同方向の場合の吐水の様子を説明す
る説明図、図16(b)は首振り公転と自転が逆方向の
場合の吐水の様子を説明する説明図である。 【図17】 他の実施例の洗浄ノズル200を断面視し
て説明するための説明図であり、図17(a)は洗浄ノ
ズル200の横方向断面図を示し、図17(b)は図1
7(a)における洗浄ノズル200をA−A面で断面視
した断面図である。 【図18】 この洗浄ノズル200が実現する洗浄水吐
水の様子を説明する説明図である。 【図19】 吐水体11を吐水体10の中心軸に対して
傾斜させた変形例で得られる吐水の様子を説明する説明
図である。 【図20】 他の変形例の洗浄ノズル220の断面図を
示す説明図である。 【図21】 別の変形例の洗浄ノズル220の断面図を
示す説明図である。 【図22】 この変形例で用いる洗浄ノズル261を説
明する説明図であり、図22(a)は洗浄ノズル261
の縦断面図、図22(b)は洗浄ノズル261における
吐水体270の挙動の様子とこのノズルからの吐水の様
子を示す説明図である。 【図23】 吐水体の首振り公転に伴う洗浄水吐水を適
用したシャワー装置291を説明する説明図であり、図
23(a)はシャワー装置291の横方向断面図、図2
3(b)は図23(a)におけるシャワー装置291を
A−A面で断面視した断面図である。 【図24】 このシャワー装置291からの洗浄水吐水
の様子を説明する説明図である。 【図25】 吐水体の首振り公転に伴う公転吐水を適用
した携帯型の人体局部洗浄装置300の概略斜視図であ
る。 【図26】 吐水体の首振り公転に伴う洗浄水の公転吐
水を適用した食器洗浄装置310の概略斜視図である。 【図27】 この食器洗浄装置310が有する回転洗浄
腕320を説明するための説明図である。 【図28】 旋回室4の旋回流に受力部位12の周りで
流速差を起こさせる手法を説明するための説明図であ
る。 【図29】 受力部位12の周りで流速差を起こさせる
別の手法を説明するための説明図である。 【図30】 図28に示した旋回室4に2流路から洗浄
水を流入した状態を説明するための説明図である。 【図31】 図29に示した旋回室4にやはり2流路か
ら洗浄水を流入した状態を説明するための説明図であ
る。 【図32】 旋回室4に複数流路から洗浄水を流入する
別の手法を説明する説明図であり、図32(a)は複数
流路からの流入洗浄水自体に流速差を持たせた手法を示
す説明図、図32(b)は複数流路からの洗浄水流入の
タイミングを調整する手法を示す説明図、図32(c)
は複数流路の流入位置を変える手法を示す説明図であ
る。 【図33】 変形例の洗浄ノズル335を説明するため
の説明図である。 【図34】 洗浄ノズル335の変形例において旋回室
4を図33の33−33線で断面視した断面図である。 【図35】 受力部位12の傾斜を吐水体10自体で引
き起こすよう変形した洗浄ノズル335を説明する説明
図である。 【図36】 吐水体10の受力部位12を吐水部位10
aより大径の柱状体とするよう変形した洗浄ノズル33
5を説明する説明図である。 【図37】 変形例の吐水体340と支持の様子を説明
するための説明図である。 【図38】 また別の変形例の吐水体支持手法を説明す
るための説明図である。 【図39】 他の変形例の吐水体支持手法を説明するた
めの説明図である。 【図40】 変形例の吐水体360を説明するための説
明図である。 【図41】 他の変形例の吐水体365を説明するため
の説明図である。 【図42】 変形例の吐水体370をその概略斜視図と
縦断面図で示す説明図である。 【図43】 他の変形例の吐水体374を縦断面図と要
部の拡大断面図で示す説明図である。 【図44】 別の変形例の吐水体380を同じく縦断面
図と要部の拡大断面図で示す説明図である。 【図45】 変形例の洗浄ノズル400の要部を縦断面
および水平断面視して示す説明図である。 【図46】 テーパガイド部405の上下動とその奏す
る効果を説明する説明図である。 【図47】 変形例の洗浄ノズル420を説明するため
の説明図である。 【図48】 この洗浄ノズル420の要部拡大図であ
る。 【図49】 洗浄ノズル420の弾性体424がもたら
す効果を説明するための説明図である。 【図50】 洗浄ノズル420の変形例が有する弾性体
424と吐水体422を示す説明図である。 【図51】 他の実施例の洗浄ノズル450を縦断面図
と要部の断面図で示す説明図である。 【図52】 洗浄ノズル450の変形例を説明するため
の説明図である。 【図53】 また別の変形例の洗浄ノズル470を示す
説明図である。 【図54】 変形例の洗浄ノズル480を縦断面して示
す説明図である。 【図55】 テーパガイド部15による吐水体10の傾
斜規制の様子を説明する説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有田 欽也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 濱田 靖夫 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D038 JA01 JA07 3B082 BL02 3B201 AA46 BB32 BB43 4F033 PA01 PA04 PB01 PB04 PB12 PB16 PB18 PC02 PD01

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ノズルを備え、給水された洗浄水を前記
    ノズルから吐水する装置であって、 前記ノズルは、 洗浄水が流入する流入室と、 該流入室に組み込まれ、洗浄水の吐水口を備えた吐水部
    位と該吐水部位に連続し前記流入室内に位置する室内部
    位とを有する吐水体であって、前記流入室内の洗浄水を
    前記吐水口に導く管路を有する前記吐水体を、前記流入
    室の外部に臨ませた状態で、前記室内部位が前記流入室
    内で傾斜した姿勢で首振り可能に前記流入室に組み込ん
    で備え、 前記流入室に洗浄水が流入したことで前記流入室に生じ
    る力を前記吐水体の前記室内部位に及ぼし、前記室内部
    位が前記流入室内で傾斜した姿勢で前記吐水体を首振り
    運動させて公転させることを特徴とする吐水装置。
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