JP2003229472A - 駆動装置 - Google Patents

駆動装置

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JP2003229472A
JP2003229472A JP2002028150A JP2002028150A JP2003229472A JP 2003229472 A JP2003229472 A JP 2003229472A JP 2002028150 A JP2002028150 A JP 2002028150A JP 2002028150 A JP2002028150 A JP 2002028150A JP 2003229472 A JP2003229472 A JP 2003229472A
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pressure
atmospheric pressure
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JP2002028150A
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Toshiaki Yamaguchi
利明 山口
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】グリースや油を使用できる環境下に駆動部を設
置でき、且つ移動部材の支持を容易に行える駆動装置を
提供する。 【解決手段】駆動部と、微小隙間とを覆い、少なくとも
第1の筐体20に対して移動部材40を挟んで反対側に
おける内部が、大気圧より低いが第1の気体圧力より高
い第2の気体圧力に維持されている第2の筐体を設ける
ことにより、移動部材40に作用する差圧は、大気圧よ
り低い第2の筐体30内部の第2の気体圧力によって緩
和され、それにより移動部材40の支持剛性を低くでき
る。又、駆動部は、第1の気体圧力より高い第2の気体
圧力下に設置されるため、従来通りグリースや油などを
用いることができる。更に、差動排気シールの密封機能
は、微小隙間が大気圧雰囲気に隣接する場合に比べると
低くて足り、又、何らかの理由により差動排気シールの
制限機能が損なわれた場合にも、第1の筐体20内は、
少なくとも第2の気体圧力より低く維持されることか
ら、第1の筐体20内の真空雰囲気は直ちに崩壊するこ
とがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば半導体製
造装置などに用いられると好適な、大気圧から隔離され
た室内でワークを駆動可能な駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置などにおいては、真空雰
囲気に維持したプロセス室内で、ワークをステージに載
置して移動させることにより、その加工処理や検査など
が行われている。ここで、近年においては製造される半
導体がより微細化されたことに伴い、プロセス室内の真
空度もより高める必要が生じてきている。
【0003】ここで、プロセス室内に載置したワークで
あるウェハ等の搬送や位置決めのために、真空雰囲気に
あるプロセス室内に、送り駆動部が設置されることがあ
る。ところで、これらの駆動部は、一般的には軸受や直
動案内、送りねじ、サーボモータなどの駆動要素を含ん
でいるが、通常これらの駆動要素には潤滑が必要であ
り、そのためグリースや油などの潤滑剤が用いられてい
ることが多い。ところが、プロセス室内の真空度が高ま
るにつれ、油分の蒸発によるプロセス室内の汚染が問題
となり、これらの潤滑剤が使用できなくなってきている
という実情がある。
【0004】これに対し、グリースや油などの代わりに
固体潤滑剤などを使うことも考えられるが、固体潤滑剤
を用いた潤滑では、駆動要素の作動性や耐久性などの悪
化が懸念され、適切に用いないと、高精度な駆動部の精
密動作を行うことが困難となる恐れがある。さらに、プ
ロセス室内の真空度が高まると、駆動部の材料自身から
放出されるガスが顕著に増加し、プロセス室内の真空度
を低下させたり、汚染する恐れがあるため、かかる駆動
部には特別な材料を使用することが必要となり、それが
コストを増大させることとなる。
【0005】これらの問題を解決する方法の一つとし
て、駆動部をプロセス室外に置き、プロセス室外から、
プロセス室内のテーブルを駆動するというシステムが提
案されている。これについて説明する。図1は、かかる
システムの概略構成図である。
【0006】図1において、側壁を実際より厚くして示
す筐体1は、図で下方が開放しており、かかる開放部が
覆われるよう、不図示の軸受などにより筐体1に対して
わずかな隙間を介して、プレート状の移動部材2が対向
配置されている。移動部材2は、その中央上面に、ワー
クを載置可能なテーブル2aを有しており、また駆動部
3に連結されて左右に(又は2次元的に)移動可能とな
っている。
【0007】筐体1の内部はプロセス室を画成し、側壁
に形成された通路1aと、配管4とを介して排気ポンプ
P1に連通しており、排気ポンプP1の作動によって高
真空に維持されるようになっている。図1の例によれ
ば、駆動部3は、筐体1の大気圧下に載置できるため、
固体潤滑剤ではなく、グリースや油を潤滑剤として用い
ることができる。しかしながら、筐体1と移動部材2と
の間の隙間を密封しないと、そこから筐体1の内部に空
気が侵入し、高真空雰囲気を崩壊させることとなる。こ
れを防ぐべく、かかる例では、筐体1と移動部材2との
間に、差動排気シールを設けている。
【0008】差動排気シールについて、具体的に説明す
る。筐体1の側壁における図で下端には、全周に2列の
溝1b、1cが形成されている。その内部を、差圧室と
呼ぶ。溝1b、1cの内部は、それぞれ筐体1の側壁に
形成された通路1d、1e及び配管5を介してポンプP
2に連通されている。排気ポンプP2を動作させると、
図1に示すように、筐体1の外側では大気圧Paとなる
のに対し、外側の溝1b内は、排気ポンプP2の吸引に
より大気圧Paより低い中圧Pbとなり、内側の溝1c
内は、排気ポンプP2の吸引により中圧Pbより低い低
圧Pcとなる。筐体1内は、排気ポンプP1の吸引によ
り低圧Pcより低い真空圧Pdとなっている。これらの
関係を不等号で表すと、Pa>Pb>Pc>Pdとな
り、大気圧下に置かれた筐体1の真空雰囲気を維持する
ことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
システムには一つの問題がある。筐体1内は真空圧Pd
に維持されているから、大気圧Paとの差圧が移動部材
2に作用し、それにより大きな荷重が移動部材2に作用
することとなる。差動排気シールのわずかな隙間を正確
に維持するためには、移動部材2は大きな荷重に耐え、
しかも隙間を正確に維持できるような高い剛性が必要と
なる。
【0010】仮に、ワークをφ300mmのウェハと
し、そのウェハ上全域に加工や検査を行うとすれば、プ
ロセス室の平面積は、両端の余裕も含め少なくとも65
0mm×650mm=422,500mmは必要とな
る。この面積に相当する差圧により、移動部材2及びそ
れを支持案内する案内系(不図示)に対して、4365
kgfすなわち42794Nもの大荷重が作用すること
となる。
【0011】このような大荷重の作用下で、差動排気シ
ールの効果を発揮できるわずかな隙間(数十μm以下)
を、移動部材の移動中でも維持しなければならず、しか
もウェハの加工や検査では、移動部材は精密な移動精度
を必要とするから、このような大荷重を支持し正確な移
動を保持する移動部材の案内系を構成することは極めて
難しいことといえる。
【0012】本発明は、かかる問題に鑑みてなされたも
のであり、グリースや油を使用できる環境下に駆動部を
設置でき、且つ移動部材の支持を容易に行える駆動装置
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の駆動装置は、大
気圧より低い第1の気体圧力に維持されるプロセス室を
内部に形成し、外部と連通する開口を備えた第1の筐体
と、前記開口を、前記第1の筐体との間に隙間を残した
状態で遮蔽し、前記第1の筐体の開口に対して移動する
移動部材と、前記移動部材を移動させる駆動部と、前記
駆動部と前記隙間とを内包し、少なくとも前記第1の筐
体に対して前記移動部材を挟んで反対側における内部
が、大気圧より低いが前記第1の気体圧力より高い第2
の気体圧力に維持されている第2の筐体と、前記筐体の
開口と前記移動部材との間の前記隙間における、前記第
2の筐体の内部から前記第1の筐体の内部への気体の移
動を制限する制限手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明の駆動装置によれば、大気圧より低い第
1の気体圧力に維持されるプロセス室を内部に形成し、
外部と連通する開口を備えた第1の筐体と、前記開口
を、前記第1の筐体との間に隙間を残した状態で遮蔽
し、前記第1の筐体の開口に対して移動する移動部材
と、前記移動部材を移動させる駆動部と、前記駆動部と
前記隙間とを内包し、少なくとも前記第1の筐体に対し
て前記移動部材を挟んで反対側における内部が、大気圧
より低いが前記第1の気体圧力より高い第2の気体圧力
に維持されている第2の筐体と、前記筐体の開口と前記
移動部材との間の前記隙間における、前記第2の筐体の
内部から前記第1の筐体の内部への気体の移動を制限す
る制限手段と、を有するので、前記移動部材に作用する
差圧は、大気圧より低い前記第2の筐体内部の第2の気
体圧力によって緩和され、それにより前記移動部材の支
持剛性を低くできる。又、前記駆動部は、前記第1の気
体圧力より高い前記第2の気体圧力下に設置されるた
め、従来通りグリースや油などを用いることができる。
更に、前記制限手段の気体移動制限機能は、前記隙間が
大気圧雰囲気に隣接する場合に比べると低くて足り、
又、何らかの理由により前記制限手段の制限機能が損な
われた場合にも、前記第1の筐体内は、少なくとも前記
第2の気体圧力より低く維持されることから、前記第1
の筐体内の真空雰囲気は直ちに崩壊することがない。
【0015】更に、前記制限手段は差動排気シールであ
ると好ましい。尚、本明細書中、差動排気シールとは、
例えば対向する2面間の微小な隙間にある気体を排気す
ることにより、非接触の状態で、対向面を挟む両側の雰
囲気(例えば大気圧と高真空)を一定の状態に保つよう
に機能するものをいう。従って、本発明における前記筐
体と前記移動部材との間の「隙間」とは、差動排気シー
ルの密封効果を有効に発揮できる程度の微小な隙間(間
隔)をいうものである。
【0016】又、前記制限手段は磁気流体シールである
と好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施の形態について説明する。図2は、本発明の第
1の実施の形態にかかる駆動装置の正面断面図である。
【0018】図2に示すように、本実施の形態の駆動装
置10は、プロセス室Pを内部に有し、且つプロセス室
Pとその外部とを連通する開口20aを図で下方に形成
した第1の筐体20と、第1の筐体20の下部を覆い且
つ固定支持する大型の第2の筐体30とを有している。
第1の筐体20の上部外側及び第2の筐体30の外側は
大気圧となっている。尚、第1の筐体20及び第2の筐
体30は、直方体状としたが円筒状等、他の形状でも良
い。
【0019】図2において、第1の筐体20の開口20
aを覆うよう、第1の筐体の側壁20bに対してわずか
な隙間を介して、プレート状の移動部材40が対向配置
されている。移動部材40は、その中央上面に、ワーク
Wを載置可能なテーブル41を有している。
【0020】移動部材40は、サドル42上に取り付け
られた一対のリニアガイド43を介して、サドル42に
対して紙面に垂直方向に移動可能に支持されている。
又、移動部材40は、サドル42に配置されたサーボモ
ータ44に対し、不図示のボールねじ機構を介して連結
されており、従ってサーボモータ44の動作により、紙
面に垂直方向に、位置決め可能に駆動されるようになっ
ている。
【0021】更にサドル42は、ベース45上に取り付
けられた一対のリニアガイド46を介して、ベース45
に対して図で左右方向に移動可能に支持されている。
又、サドル42は、ベース45に配置されたサーボモー
タ47に対し、不図示のボールねじ機構を介して連結さ
れており、従ってサーボモータ47の動作により、図で
左右方向に、位置決め可能に駆動されるようになってい
る。以上の構成により、第1の筐体20に対して、移動
部材40は、2次元方向に移動できるため、そのテーブ
ル41に載置したワークWを、プロセス室P内の加工位
置もしくは検査位置へと任意に移動させることができ
る。
【0022】第2の筐体30は、移動部材40,サドル
42,リニアガイド43,サーボモータ44,ベース4
5,リニアガイド46,サーボモータ47やボールねじ
機構等を内包している。本実施の形態における駆動部と
は、サーボモータ44,47及びそれらに連結された不
図示のボールねじ機構をいう。尚、駆動部としてのサー
ボモータ44,47+ボールねじ機構の代わりに、例え
ばリニアモータなどを使用することができる。
【0023】第1の筐体20の内部はプロセス室Pを画
成し、側壁20bに形成された通路20cと、配管21
とを介して排気ポンプP1に連通しており、排気ポンプ
P1の作動によって高真空雰囲気に維持されるようにな
っている。一方、第2の筐体30の内部は、側壁30a
に形成された通路30bと、配管31とを介して排気ポ
ンプP3に連通しており、排気ポンプP3の作動によっ
て、大気圧より低いが、第1の筐体20内の気体圧力
(第1の気体圧力)より高い気体圧力(第2の気体圧
力)に維持されるようになっている。
【0024】筐体20の側壁20bの図で下端には、全
周に1列の溝20dが形成されている。その内部が、差
圧室になる。溝20dの内部は、それぞれ筐体20の側
壁20bに形成された通路20e及び配管22を介して
ポンプP2に連通されている。排気ポンプP2を動作さ
せると、溝20c内が負圧となり、側壁20bと移動部
材40との間の微小隙間の空気を吸引することで、第1
の筐体20内外の気体の移動を制限する。溝20d、通
路20e、配管22,及び排気ポンプP2により差動排
気シールすなわち制限手段を構成する。
【0025】本実施の形態において、いま、プロセス室
P内が、第1の気体圧力Pxとして10−6Paの真空
度を有するとする。第1の筐体20の開口部20aの断
面を650mm×650mmの正方形とすると、その断
面積は422,500mmとなる。
【0026】ここで、第2の筐体30の内部を、第2の
気体圧力Pyとして10Pの低圧(約1/100気
圧)に維持すると、移動部材40には、第2の気体圧力
Pyと第1の気体圧力Pxの差 △P=Py−Pxに対
応する引っ張り力が作用することになり、その大きさは
422N(43kgf)となる。
【0027】すなわち、本実施の形態の構造では、図1
を参照して前述した比較例に比べ、移動部材40に作用
する荷重が約1/10に減少することになる。本実施の
形態によれば、移動部材40に作用する荷重は、高々4
3kgfに過ぎないから、その薄形軽量化を図れ、又、
図2に示すような一般的なリニアガイド43,46など
で支持され、各部材が一般的設計の範囲での強度を持っ
ていれば、その駆動系の耐久性に悪影響を与えることは
ほとんど無く、剛性も充分であるから、その移動・位置
決め精度十分な高精度を維持できる。
【0028】更に、第2の筐体30内部の気体圧力は、
10Pa(約1/100気圧)程度であるから、そこ
に設置された駆動部や移動部材40は、通常の大気圧空
間で使用される材料であっても、ガスの放出などの恐れ
が低いという利点がある。したがって特別な材料の選定
は必要なく、安価なもので足りるため、コストを低く抑
えることができる。
【0029】上述した駆動部には、軸受(ボールねじ支
持用の他、サーボモータの回転軸支持用のものも含む)
やリニアガイド、ボールねじなどの駆動要素が使用され
ており、潤滑剤が必要となる。しかるに、それらが設置
される第2の筐体30内部の気体圧力が、10Pa
(約1/100気圧)程度であるから、若干の配慮を払
って選択すれば、通常の大気圧で使用されるグリースや
油を使用することが可能である。第2の筐体30内部の
油分などをより厳しく管理する必要があれば、一般に市
販されている真空グリースや真空用油を使用すれば良
い。使用環境が、プロセス室Pより真空度が低いため、
安価な低真空用の潤滑剤で足り、コスト低減に貢献す
る。
【0030】このように、本実施の形態にかかる駆動装
置は、ほとんど大気圧空間で使用される機構や要素をそ
のまま、もしくは若干の改良のみで使用することができ
るから、安価に製作することができ、取り扱いも簡便で
ある。
【0031】尚、第2の筐体30の内部空間を排気する
ために、排気ポンプP3が必要となるが、第2の筐体3
0内部の気体圧力は、10Pa(約1/100気圧)
程度であるので、排気ポンプP3は、安価な油回転ポン
プやドライ真空ポンプなどで充分であるし、上述したコ
スト低減効果で補って余りある。また、第1の筐体20
の排気ポンプP1は、一般に低真空用ポンプと高真空用
ポンプが併用されたポンプの高真空用ポンプのみを用い
ることが多いが、かかる場合、使用されていなかった低
真空用bのポンプを排気ポンプP3として用いれば、よ
りコスト的に有利となる。
【0032】更に、本実施の形態においては、差動排気
シールは、第1の筐体20の内部空間と、第2の筐体3
0の内部空間との間を密封している。従って、その差圧
△Pは、第1の筐体20の開口部20aが大気圧に隣接
している場合(例えば図1に示す比較例)に比べ、約1
/100になっているから、差動排気シールの構成は簡
単なもので良い。
【0033】すなわち、図1の差動排気シールに示すよ
うに、大気圧に隣接した高真空雰囲気を維持するには2
列以上の溝を設けて密封効果(側壁の一方の側から他方
の側への気体の移動を制限する機能)を高める必要があ
るが、本実施の形態のごとき構成であれば、1列の溝2
0cを設けるだけで充分な密封効果を得ることができ、
差動排気シールの構造や排気管、排気真空ポンプを極め
て簡便にすることが可能となる。但し、1列の溝20c
を、2列以上としても良いことはもちろんである。
【0034】更に、図1の示す比較例の構造では、差動
排気シール面に対する移動部材の移動に伴い、大気中に
含まれるわずかな水分や油分が浸入して、プロセス室内
の真空度が変動したり、雰囲気が汚染されるという恐れ
もあるが、本実施の形態では、第2の筐体30内は、低
真空度とはいえ大気圧の1/100程度となっているか
ら、そこに含まれる水分や油分も顕著に減少し、比較例
のような問題も回避でき、クリーンな高真空雰囲気をプ
ロセス室P内に画成することができる。加えて、何らか
の理由により、差動排気シールの機能が損なわれた場合
にも、第2の筐体30内は、少なくとも大気圧より低く
維持されていることから、プロセス室Pの真空雰囲気は
直ちに崩壊することがない。
【0035】尚、本実施の形態では、プロセス室Pの真
空度を10−6Paとしたが、更に高真空度としても、
前述の差圧ΔPはほとんど変化しないから、同様な効果
を得ることができる。
【0036】図3は、本発明の第2の実施の形態にかか
る駆動装置の正面断面図である。図3に示すように、本
実施の形態の駆動装置110は、プロセス室Pを内部に
有し、且つプロセス室Pとその外部とを連通する開口1
20aを底壁に形成した第1の筐体120と、第1の筐
体120の下部を覆い且つ固定支持する大型の第2の筐
体130とを有している。第1の筐体120の上部外側
及び第2の筐体130の外側は大気圧となっている。
尚、第1の筐体120及び第2の筐体130は、直方体
状としたが円筒状等、他の形状でも良い。
【0037】図3において、第1の筐体120の開口1
20aを貫いて、軸状の移動部材140が配置されてい
る。移動部材140は、その上端に、ワーク(不図示)
を載置可能なテーブル141を有している。移動部材1
40の下端は、サーボモータ142の回転軸に連結され
おり、サーボモータ142の動作により、移動部材14
0は、回転方向に位置決め可能となっている。サーボモ
ータ142の回転軸は、モータハウジング内に不図示の
軸受により回転自在に支持されている。この軸受けの潤
滑剤としては、通常大気圧下で使用されるグリースある
いは油が使用されている。開口120aと、移動部材1
40との間には、制限手段である磁性流体シール143
が配置されている。磁性流体シール143は良く知られ
ているので説明を省略するが、磁性流体シール143の
配置された隙間を通過する気体の移動を制限する機能を
有するものである。
【0038】第2の筐体130は、駆動部であるサーボ
モータ142を内包している。第1の筐体120の内部
はプロセス室Pを画成し、側壁120bに形成された通
路120cと、配管121とを介して排気ポンプP1に
連通しており、排気ポンプP1の作動によって高真空雰
囲気に維持されるようになっている。一方、第2の筐体
130の内部は、側壁130aに形成された通路130
bと、配管131とを介して排気ポンプP3に連通して
おり、排気ポンプP3の作動によって、大気圧より低い
が、第1の筐体20内の気体圧力(第1の気体圧力)よ
り高い気体圧力(第2の気体圧力)に維持されるように
なっている。
【0039】プロセス室P内は、10−6Paの高真空
雰囲気に維持され、第2の筐体130内は、10Pa
(約1/10気圧)程度の気圧に維持されているものと
する。移動部材140の径(すなわち磁性流体シールの
内径)は、120mmとする。
【0040】第2の筐体130内は、10Pa(約1
/10気圧)程度の気圧に過ぎないから、上述した実施
の形態と同様に、通常のサーボモータ(例えばモータの
回転軸を支持する軸受の潤滑剤としては、通常の大気圧
用のグリース等を使用していてもよく、しかも軸受や回
転軸のシールも密封性の高いものは不要であり、場合に
よってはシールなし、もしくは非接触タイプのシールを
用いることができる)や機械要素・材料を使うことがで
きる。また、移動部材140に作用するプロセス室Pか
らの吸引力は、11.5kgf(112.7N)に過ぎ
ず、図1に示す比較例に適用した場合と比べ、1/10
程度の吸引力しか作用しない。このため、吸引力を支え
るための付加的な支持軸受などを必要としないため、よ
り低コストとなる。
【0041】また、第2の筐体130がない場合、磁性
流体シール143には大気圧とプロセス室P内の気圧と
の差圧が直接作用するため、磁性流体シール143の段
数を多くしなければならず、移動部材140の回転に伴
う引きずりトルクも大きくなり、発熱が大きくなるなど
の問題が発生する。これに対し、本実施の形態例では磁
性流体シール143の段数を少なくすることができ、安
価でありながらトルク損失を抑制できる。
【0042】その他、第1の実施の形態と同様な効果を
期待できる。このように、本実施の形態によれば、大気
圧中で使用される安価な材料や要素あるいは駆動源を使
って、簡便で高精度・長寿命の高真空移動・位置決め装
置を実現することができる。なお、上記第2の実施の形
態において、開口120aと移動部材140との間のす
きまのシールとして、磁性流体シール143を用いた場
合を示したが、これに代えて差動排気シールを用いても
よい。
【0043】以上、本発明を実施の形態を参照して説明
してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈さ
れるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることは
もちろんである。例えば、上記各実施形態で「移動部
材」とは筐体に対して相対的に移動するものを指すので
あり、移動部材の代わりに筐体を駆動するようにしても
よい。
【0044】また、第2の筐体内の圧力については、上
記第1の実施の形態では10Pa(約1/100気
圧)、第2の実施の形態では10Pa(約1/10気
圧)としたが、これに限らず、以下のように適宜定めら
れる。
【0045】本発明を実用上効果的に実施するには、第
2の筐体内の圧力は、1Pa以上で大気圧より低い圧力
を、装置の必要とする機能に合わせて適宜選べばよい。
第2の筐体内の圧力が1Pa程度であれば、排気ポンプ
は安価な油回転ポンプやドライ真空ポンプで充分である
という利点がある。また、第2の筐体内の温度が50℃
以下程度であれば、1Pa程度まで気圧を下げても、油
分の蒸発によるクリーン度の低下が問題なければ、第2
の筐体内に設置された駆動装置には、通常の常圧用グリ
ースや油を用いることができる。温度が50℃以上であ
ったり、第2の筐体内のクリーンな雰囲気を維持する必
要がある場合でも、安価な低真空用の潤滑剤で充分であ
る。
【0046】第2の筐体内の圧力が1Pa程度であれ
ば、第1の筐体内の気圧と第2の筐体内の気圧の差によ
り第2の筐体内に設置された駆動装置に作用する荷重は
充分小さく、第2の筐体内の圧力をそれ以上下げても、
実用上の効果はほとんど無い。一方、例えば第2の実施
の形態のように、第1の筐体内と第2の筐体内の圧力差
があまり問題ない場合は、第2の筐体の圧力を10
a程度まで上げても良い。この場合、排気ポンプより安
価なもので済むし、駆動装置には、全く通常の大気圧で
使用されるグリースや油を用いることができ、安価であ
るばかりでなく、可動部の作動性向上、ひいては位置決
め精度向上の上からも好ましい。
【0047】
【発明の効果】本発明の駆動装置によれば、大気圧より
低い第1の気体圧力に維持されるプロセス室を内部に形
成し、外部と連通する開口を備えた第1の筐体と、前記
開口を、前記第1の筐体との間に隙間を残した状態で遮
蔽し、前記第1の筐体の開口に対して移動する移動部材
と、前記移動部材を移動させる駆動部と、前記駆動部と
前記隙間とを内包し、少なくとも前記第1の筐体に対し
て前記移動部材を挟んで反対側における内部が、大気圧
より低いが前記第1の気体圧力より高い第2の気体圧力
に維持されている第2の筐体と、前記筐体の開口と前記
移動部材との間の前記隙間における、前記第2の筐体の
内部から前記第1の筐体の内部への気体の移動を制限す
る制限手段と、を有するので、前記移動部材に作用する
差圧は、大気圧より低い前記第2の筐体内部の第2の気
体圧力によって緩和され、それにより前記移動部材の支
持剛性を低くできる。又、前記駆動部は、前記第1の気
体圧力より高い前記第2の気体圧力下に設置されるた
め、従来通りグリースや油などを用いることができる。
更に、前記制限手段の気体移動制限機能は、前記隙間が
大気圧雰囲気に隣接する場合に比べると低くて足り、
又、何らかの理由により前記制限手段の制限機能が損な
われた場合にも、前記第1の筐体内は、少なくとも前記
第2の気体圧力より低く維持されることから、前記第1
の筐体内の真空雰囲気は直ちに崩壊することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例として示す駆動装置の正面断面図であ
る。
【図2】第1の実施の形態にかかる駆動装置の正面断面
図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる駆動装置の正面断面
図である。
【符号の説明】
10、110 駆動装置 20、120 第1の筐体 30,130 第2の筐体 40,140 移動部材 P プロセス室

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧より低い第1の気体圧力に維持さ
    れるプロセス室を内部に形成し、外部と連通する開口を
    備えた第1の筐体と、 前記開口を、前記第1の筐体との間に隙間を残した状態
    で遮蔽し、前記第1の筐体の開口に対して移動する移動
    部材と、 前記移動部材を移動させる駆動部と、 前記駆動部と前記隙間とを内包し、少なくとも前記第1
    の筐体に対して前記移動部材を挟んで反対側における内
    部が、大気圧より低いが前記第1の気体圧力より高い第
    2の気体圧力に維持されている第2の筐体と、 前記筐体の開口と前記移動部材との間の前記隙間におけ
    る、前記第2の筐体の内部から前記第1の筐体の内部へ
    の気体の移動を制限する制限手段と、を有することを特
    徴とする駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記制限手段は差動排気シールであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記制限手段は磁気流体シールであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008041575A1 (fr) * 2006-09-29 2008-04-10 Nikon Corporation Dispositif formant platine et dispositif d'exposition

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