JP2003225083A - 円盤状培養媒体 - Google Patents

円盤状培養媒体

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JP2003225083A
JP2003225083A JP2002028141A JP2002028141A JP2003225083A JP 2003225083 A JP2003225083 A JP 2003225083A JP 2002028141 A JP2002028141 A JP 2002028141A JP 2002028141 A JP2002028141 A JP 2002028141A JP 2003225083 A JP2003225083 A JP 2003225083A
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Motohiro Furuki
基裕 古木
Masanobu Yamamoto
眞伸 山本
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 菌等の培養作業を大幅に簡易化できる培養技
術を提供すること。 【解決手段】 合成樹脂等から形成された円盤状の基板
2と、該基板2上に塗布されて固化された培地層3と、
該培地層3を覆う薄厚のカバーシート4と、からなる層
構造を少なくとも備える円盤状培養媒体1を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菌などの生物体の
培養技術に関する。詳しくは、均一な厚みの薄層培地を
内層部に備える層構造の円盤状培養媒体と該培養媒体を
用いた培養手法及び前記円盤状培養媒体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、所定の培地が収容されたシャ
ーレやフラスコ等の培養器具を用いて、細胞、組織、器
官、微生物・菌類等の生物体を培養することが一般的に
行われている。
【0003】添付した図9には、固形培地を用いる細菌
の培養技術の一般的な手順が簡略に示されている。ま
ず、滅菌室においてシャーレ100を所定の温度・時間
条件で滅菌するとともに、別途、培地となる寒天をコル
ベン等の容器101に入れて溶解し、オートクレーブで
加温加圧して殺菌する。次に、滅菌されたシャーレ10
0に対して液状の培地102aを、均一な厚みになるよ
うに、かつ泡が混入しないように、慎重に流し入れ、固
化させる。続いて、白金耳103を滅菌し、培養対象の
菌を白金耳103の先で掬い取り、固化された培地10
2bの上に塗布し、所定の温度・時間条件で培養する。
培地102bに菌が増殖していれば、コロニーが形成さ
れる。これを光学顕微鏡104で観察する場合には、前
記培地102bを所定の大きさに切り取ってプレパラー
トガラス105上に観察試料を作成し、その上からカバ
ーガラス107を載置して観察を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の培養技術では、主に次のような技術的課題があ
った。
【0005】(1)使用するシャーレを毎回殺菌する必
要があった。(2)シャーレ上に均一の厚みの培地を作
製することが難しかった。(3)培地上に白金耳を用い
て菌を均一に塗布できるようになるには熟練を要した。
(4)複数の培養系をつくる場合は、別個独立のシャー
レを用いて個々に上記培養手順を繰り返す必要があり手
間がかかっていた。(5)培養された菌の観察作業は、
培地の切り取り作業やプレパラートとカバーガラスを用
いた所定の準備作業が必要であるので面倒であった。
【0006】そこで、本発明の主な目的は、菌等の生物
体の培養作業を飛躍的に簡易化できる培養技術を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、まず、本発明では、基板と、該基板上に設け
られた培地層と、該培地層を覆うカバーシートと、から
なる層構造を少なくとも備える円盤状培養媒体を提供す
る。
【0008】即ち、前記円盤状培養媒体は、細胞、組
織、器官、微生物・菌類等の生物体を培養するための培
地層と、この培地層を直接又は間接に保持する機能を備
える合成樹脂等で形成された基板と、前記培地層を被覆
する目的のカバーシートと、から構成される層構造部分
を少なくとも備えていることを特徴とする外観円盤状
(ディスク状)の培養媒体である。この培養媒体は、そ
の製造過程から滅菌状態で得られてくるので、滅菌処理
をせずにそのまま使用できるという利点を有する。
【0009】中間に介装されている培地層は、基板の上
面に溶液状態で塗布可能であって、塗布後には固化可能
な性質を備える固形性培地からなる。この培地層には、
具体的形態を問わず、外部から培養液を送り込むことが
できるように工夫する。なお、この培地層の厚みは、培
養対象となる生物体、必要な培地量等の条件によって適
宜選択する。また、カバーシートは、100μm程度の
薄厚のポリカーボネート製シートを採用することが望ま
しいが、該カバーシートの厚み、材料は、目的に応じて
適宜選択できる。
【0010】この円盤状培養媒体は、基板とカバーシー
トの間に、培地層が予め所定の厚みに規定されて介装さ
れているので、一連の培養作業において、従来のような
手間のかかる培地作製作業が不要となるという大きな利
点を有する。
【0011】ここで、本発明に係る円盤状培養媒体にお
いては、前記基板と前記カバーシートが、固化された前
記培地層を介して貼り合わされた構成を採用できる。即
ち、基板表面に塗布された液状の培地層の固化作用を利
用し、カバーシートを培地層表面に直接、接着固定する
ことができる。この手段によって、本発明に係る円盤状
培養媒体を、基板と培地層とカバーシートからなる単純
三層構造とすることができる。
【0012】また、本発明に係る円盤状培養媒体では、
カバーシートを少なくとも可視光領域において光透過性
を備える合成樹脂によって形成することができる。この
手段によって、培地層の培養状態を、カバーシートを通
じて直接、目視観察又は顕微鏡観察を行うことができる
ようになる。とりわけ顕微鏡観察では、本発明に係る円
盤状培養媒体自体をそのまま顕微鏡のプレパラート台に
設置して観察できるので、従来のようなプレパラートを
用いた観察用試料の作製作業が不要となる。
【0013】ここで、本発明に係る円盤状培養媒体に
は、該培養媒体の直径方向中心部に凹設され、培養液が
貯留される液溜部と、該液溜部に開口して、前記培地層
に延びる内部空洞の条溝と、を設けるように工夫し、更
には、この条溝を、上方視、放射状に配設する。液溜部
の容量及びサイズは、主に培地層に対する培養液の必要
量に応じて適宜選択する。また、前記条溝の数も、各条
溝の周辺に広がるコロニー同士が接しない程度の密度本
数で、必要に応じて適宜選択してよい。なお、本願明細
書において「条溝」とは、その幅や深さを問わず、筋条
に延びる凹溝を意味し、「培養液」とは、培養対象の菌
等の生物体を含有するように調整された溶液を意味す
る。
【0014】上記した液溜部と条溝を設けた構成では、
前記液溜部に所定容量の培養液を注入し、該培養液を液
溜部に開口する各条溝へ毛細管現象を利用して所定量を
送液することが可能となる。この結果、菌培養の場合、
各条溝にほぼ沿うようにコロニーが形成され、全体とし
ては、略放射状のコロニーを形成することができる。な
お、前記液溜部を複数の部屋に区切り、各部屋に対して
種類の異なる培養液を注入することにより、一枚の円盤
状培養媒体において複数の培養系を形成できるので、培
養目的によっては大変便利である。
【0015】ここで、前記条溝にも培地層を形成するこ
とによって、条溝内での培養が確実に行うことができ
る。これにより、条溝に沿う、一層直線状のコロニーが
得られ易くなる。
【0016】また、前記液溜部には、前記培養液の逆流
を防止するための封止弁が装着できるように工夫するこ
とによって、毛細管現象を利用した各条溝への培養液の
送液作業が、より円滑に行うことができる。
【0017】即ち、このような液溜部と条溝とを備える
円盤状培養媒体によれば、上記構成の液溜部に培養液を
注入する培養液注入手順と、上記構成の条溝に対し、毛
細管現象により前記培養液を送り込む送液手順と、を備
える簡易な培養液導入方法を提供できる。そして、前記
送液手順を、前記円盤状培養媒体を回転させながら行う
ことによって、前記回転に伴う遠心力により、培養液を
条溝の外周側末端部にまで確実に送り込むことが可能と
なる。また、上記円盤状培養媒体を用いた培養では、こ
の円盤状培養媒体を直接観察することを特徴とする培養
状態確認方法も提供できる。
【0018】以上説明した本発明に係る円盤状培養媒体
は、次の(a)〜(d)の工程により製造することがで
きる。即ち、(a)合成樹脂を射出成形し、上方視放射
状に配設された条溝を備える円盤状の基板を形成する工
程、(b)前記基板に培地を塗布する工程、(c)塗布
された前記培地に円盤状のカバーシートを載置する工
程、(d)前記培地を固化して前記基板と前記カバーシ
ートを貼り合わせる工程、によって本発明に係る円盤状
培養媒体を製造することができる。より好適には、前記
(b)工程において、スピンコータを用いて培地を基板
に塗布する。
【0019】なお、「スピンコータ」とは、塗布材料
(本発明では、液状培地)を、均等量で連続吐出する手
段と、円盤状の塗布対象物(本発明では、基板)を所定
速度で回転させる手段と、を少なくとも備える塗布用装
置を意味し、一般に、光ディスク等の記録媒体の貼り合
わせ工程において使用されることが多い。
【0020】前記製造工程について、より具体的に説明
する。まず、(a)工程では、高温条件で合成樹脂を射
出成形して基板を製造するので、該製造工程からは滅菌
された状態の基板が得られるという利点がある。(b)
工程では、前記(a)工程から得られる滅菌状態の基板
の上面に、所定の栄養源等を含む液状の培地を吐出(又
は滴下)しながら、均一な厚みになるように塗布する。
好適には、前記スピンコータを用いて、気泡の混入を確
実に防ぎながら、基板上面に均一な厚みの培地を薄く塗
布する。この(b)工程では、塗布された培地に気泡の
混入がないこと、該培地が均一な厚みであることが特に
重要である。前記(c)工程では、基板上に塗布された
培地上面に、薄厚のカバーシートを載置する。この際、
培地上面に空気を残さない載置手段が好適である。前記
(d)工程では、液状の培地を固形培地化することによ
って、培地層を介して、カバーシートと基板を貼り合わ
せる。
【0021】これら(a)〜(d)の工程によって、上
層から順に、カバーシート、培地層、基板が積層された
層構造を備える円盤状培養媒体を製造することができ
る。
【0022】以上のように、本発明は、薄厚の固形培地
層が介装された層構造を備える新形態の培養ツール、そ
してこの培養ツールの好適な製造方法並びに使用方法
(培養液導入方法、培養状態確認方法)を関連産業界に
提供するという技術的意義を有している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、本発明
の好適な実施形態について説明する。
【0024】図1は、本発明に係る円盤状培養媒体の外
観斜視図、図2(A)及び図2(B)は、図1に示す符
号Xに示す部分の縦断面図、図3は、同円盤状培養媒体
を構成する基板を上方から視た平面図である。
【0025】図1等に符号1で示されている円盤状培養
媒体(以下、単に「培養媒体」と称する。)は、数ミリ
程度の薄厚の円盤状(ディスク状)の形態を備える。そ
の最下層には、基板2が設けられ、該基板2の上面には
極細の条溝21が複数形成されているとともに、直径方
向中心部には、上方視円形の液溜部22が凹設されてい
る(主に図3参照)。
【0026】該基板2の条溝21を含む上面には、固形
の培地層3aが均等な厚みで設けられ、最上層に固定配
置される光透過性のカバーシート4からは前記培地層3
aが透けて見える構成となる。なお、図1等では、説明
の便宜上、条溝21のサイズを誇張して表している。
【0027】更に、図2に基づき、培養媒体1の構成に
ついて詳説すると、培養媒体1は、ポリカーボネート、
アクリル樹脂等の合成樹脂から形成された基板2と、こ
の基板2上に積層された固形状態の培地層3aと、更
に、この培地層3a上に積層された光透過性のカバーシ
ート4と、から構成された層構造を少なくとも備えてい
る。
【0028】なお、前記層構造は、少なくとも、基板
2、培地層3a、カバーシート4の各層を備えることが
必須構成であって、それ以外の中間層(例えば、基板2
表面に形成され得るコーティング層等)の存在を排除す
る趣旨ではない。
【0029】基板2は、本実施形態においては、直径8
cm、厚み1.2mmとされ、合成樹脂を射出成形して
得る。この基板2のサイズは、前記サイズに限定され
ず、用途に応じて適宜選択できることは言うまでもな
い。
【0030】この基板2の上面2aには、基板2の中心
部の液溜部22から外周側へ筋状に延びて、上方視放射
状に、円周方向等間隔で配設された条溝21が、計8本
配設されている(図1、図3参照)。この条溝21の本
数は、用途に応じて適宜選択でき、8本に限定されな
い。
【0031】図3に基づいて、条溝21の構成を更に詳
説すると、各条溝21は、直径10mm、深さ1mmの
サイズに形成された前記液溜部22の内周壁面22aに
開口部21aを備え、基板2の外周壁23に近接する位
置又は末端にまで形成されている。この条溝21は、液
溜部22に注入されることになる液状の培地を、毛細管
現象を利用して外周方向に送液できるキャピラリー機能
を発揮でき、かつ所望の生物体を培養できる程度のサイ
ズに形成すれば良い。例えば、幅は1μm以上、深さ1
μm以上に形成する。
【0032】なお、この条溝21は、基板2に凹設され
た、図2(A)に示される実施例形態だけでなく、図2
(B)に示されたような、カバーシート4側に凹設する
変形形態を採用することもできる。カバーシート4側に
条溝21を形成する場合でも、該条溝21内壁面に沿う
培地層3aを適宜の方法で形成してよい。
【0033】図4は、本発明に係る培養媒体1を構成す
るカバーシートを上方から視た平面図である。
【0034】カバーシート4は、上方視した時の外観が
略ドーナッツ状又はコンパクトディスク(CD)状の形
態を備える、光透過性の薄厚シートである。このカバー
シート4は、少なくとも可視光領域での光透過性を有す
る合成樹脂によって成形されており、その好適な厚み
は、100μm程度である。
【0035】このカバーシート4は、培地層3を被覆
し、保護する役割を果たす。なお、このカバーシート4
のガス透過性を制御することによって、通性、好気性、
嫌気性のいずれの培養条件を自在に作り出せるので、培
養媒体1は、培養器具としての汎用性を備えている。
【0036】また、カバーシート4は、光透過性である
ため、培地層3に増殖した生物体やコロニーを外から観
察することができる。図4に示す符号41は、カバーシ
ート4の中心部に形成された円孔であって、カバーシー
ト4は、該円孔41が基板2の液溜部22上部に正確に
重なる様に位置決めされて、培地層3上に積層されるこ
とになる(図1参照)。
【0037】次に図5は、培養媒体1の製造方法の製造
工程を示す図である。本発明に係る培養媒体1の製造方
法は、図5に示されたP〜Pで示された工程を少な
くとも備えていることを特徴とする。以下、各工程P
〜Pについて順に説明する。
【0038】<工程Pについて>該工程Pは、合成
樹脂を射出成形して、上方視放射状に配設された条溝2
1を備える円盤状の基板2を一体成形する工程である。
前記射出成形の具体的方法は特に限定されないが、この
射出成形は、樹脂温度約300℃、金型温度約120℃
の条件で行われるため、成形される基板2は滅菌された
状態で得られてくる。この結果、基板2、生物体培養用
の培養媒体1を構成する好適な部材となる。
【0039】<工程Pについて>該工程Pは、前記
工程Pから得られる前記基板2に対して、液状の培地
3aを塗布する工程である。具体的には、まず、基板2
を回転体5aに保持させ、該回転体5aの駆動によって
基板2を回転させながら(矢印Y参照)、該基板2の上
方所定位置に配置されたノズル5bから液状の培地3b
を吐出する。
【0040】即ち、回転体5aとノズル5bと少なくと
も備える構成のいわゆるスピンコータ装置を用いて、基
板2の上面に、前記培地3aを均等な厚み(例えば、1
00μm)で塗布する。塗布する培地3aの配合構成
は、培養目的に応じて適宜選択可能であって、少なくと
も固形培地(半固形培地も含む。)となるものであれば
よく、更にはスピンコータによる塗布作業に好適なもの
であればよい
【0041】<工程Pについて>該工程Pは、塗布
された前記培地3aの上面に、円盤状のカバーシート4
を載置する工程である。具体的には、カバーシート4を
エア吸引パッド等で保持して、基板2の上方位置まで移
送した後、保持状態を解除し、基板2に塗布された培地
3aの上面に、カバーシート4を載置する。この際、カ
バーシート4と培地3aとの間に、気泡が残存又は混入
しないようにするために、カバーシート4を上方側に反
らせるように保持し、この反りの戻り作用を利用して空
気を外周側に追い出しながら載置するようにしてもよ
い。
【0042】ここで、カバーシート4を基板2の上面に
塗布された液状の培地3aに載置するときに、表面張力
によって条溝21の壁面に沿って形成された培地3a
(図2参照)が上方へ引き上げられ、条溝21の空洞部
S(図2参照)を閉塞してしまうおそれがある。空洞部
Sが閉塞されると、後述する培養液を条溝21に送液で
きなくなるという問題が起きる。
【0043】この問題の発生を防止するための手法とし
て、条溝21の形状を適切に選定するという手法が考え
られる。即ち、条溝21を深く形成することによって、
培地3aを条溝21内に留めることができる。一例とし
て、条溝21を、アスペクト比(溝の幅Wと高さHの
比:H/W、図2参照)が1.0以上になるように形成
することによって、前記問題の発生を有効に防止でき
る。なお、培地3aの種類に応じて、適切なアスペクト
比を選択してもよい。
【0044】<工程Pについて>該工程Pは、基板
2に塗布された液状の培地3aを固化させることによっ
て、前記基板2と前記カバーシート4を貼り合わせる工
程である。具体的には、図示しないオートクレーブで加
圧加温を行い、その後、培地3aが固化するまで室温に
静置することによって、基板2とカバーシート4の間に
固形の培地層3aを形成しながら、カバーシート4を培
地層3に接着させる。即ち、培地層3を介して、基板2
とカバーシート4を貼り合わせる。このようにして、本
発明に係る培養媒体1を確実に製造することができる。
【0045】図6は、上記製造工程P(P〜P)に
よって形成された本発明に係る培養媒体1の液溜部22
に装着される封止弁5の構成を説明するための一部断面
の部分拡大図、図7は、培養液7を液溜部22に注入す
る様子を示す図、図8は、液溜部22に注入された培養
液7が条溝21を外周方向に進行する様子を示す図、で
ある。
【0046】前記図6〜図8に基づいて、培養媒体1に
対する培養液導入方法について説明する。まず、基板2
の中心部の液溜部22は、培養目的の菌等を含む培養液
7が注入され(図7参照)、また、この培養液7が一旦
貯留される箇所として機能する。
【0047】なお、図6に示す符号25は、基板2の下
面中心部に形成された凹部であって、該凹部25は、上
記したスピンコータを構成する回転体5aに培養媒体1
を保持する時に利用される部位である。
【0048】ここで、図6に示される外観小円盤状の封
止弁5は、カバーシート4の中心部に形成されている円
孔41の内側に嵌着するように構成され、液溜部22を
密封する役割を果たす。封止弁5の固定方法は、適宜選
択可能である。
【0049】<培養液注入手順について>密封された液
溜部22に対し、図7に示すようなインジェクター6に
よって封止弁5の中央に形成された針刺部51から、所
定の培養液7が必要量だけ注入される。前記針刺部51
は、例えば柔軟性を有するゴム素材で形成されており、
インジェクター6による穿針作業によって該インジェク
ター6の先端部を液溜部22内に導入し、インジェクタ
ー6が抜かれたときには前記素材の柔軟性により穿針部
を封止することにより、液溜部22の気密性が一定に保
持されるように構成されている。
【0050】<送液手順について>培養液7が液溜部2
2内に注入されて充満すると、培養液7は、毛細管現象
によって、液溜部22の開口部21aから各条溝21に
流入し、基板外周側に向けて進行する(図8の矢印Z参
照)。この際、封止弁5によって液溜部22が密封され
ているので、培養液7は逆流することなく、各条溝21
へ円滑に送液されていく。
【0051】更に、この送液手順を、図7の矢印Y、Y
に示すように、培養媒体1を水平に回転させながら行う
と、前記毛細管現象に加えて、遠心力が培養液7に付加
されるので、培養液7がより円滑に、液溜部22から各
条溝21へ送液されるようになるので、好適である。
【0052】以上説明した培養媒体1を用いて所望の生
物体を培養すると、該生物体が条溝21に沿うように増
殖し、菌培養の場合にはコロニーが形成される。培養作
業が終了した後は、培養媒体1における培養状態を、目
視又は顕微鏡、CCDカメラ等を用いて、該培養媒体1
を直接観察することにより確認すること可能となる。
【0053】
【発明の効果】本発明に係る円盤状培養媒体によれば、
培養に使用する器具の滅菌作業や培地形成作業が不要と
なるので、各種生物体の培養作業を飛躍的に簡易化する
ことができる。また、本発明に係る円盤状培養媒体は、
合成樹脂と培地から形成されているので、材料コストや
製造コストが安価であるので、低コストのディスポーザ
ルタイプの培養媒体を提供できる。
【0054】この円盤状培養媒体内に介装されている培
地層は、気泡の混入がなく、均等な厚みを備えているの
で、均一かつ安定した培養系を提供できる。また、この
培地層の厚みは、その製造過程において、基板への培地
の塗布量を変えるだけで自在に制御又は調整できるの
で、各種培養系に適合する培地層を備える培養媒体を提
供できるので非常に便利である。
【0055】本発明に係る円盤状培養媒体の培地層に
は、内部空洞の条溝が形成され、この条溝に対して毛細
管現象(及び遠心力)を利用して培養液を送液する構成
であるので、培地層に対する生物体の導入作業が容易化
し、初心者でも簡単にその作業を行うことができる。ま
た、本発明に係る円盤状培養媒体では、培地層の条溝に
沿うように生物体が増殖し、菌培養の場合ではコロニー
が形成されるので、生物体の増殖エリアがパターン化さ
れ、培養状態の観察を容易に行うことができる。
【0056】本発明に係る円盤状培養媒体を用いて培養
作業を行うことにより、培地の切り取り作業やプレパラ
ート上での観察用試料作製作業が全く不要となり、該培
養媒体を顕微鏡やCCDカメラ等により直接観察するこ
とができるので大変便利であり、細菌検査等を迅速に行
うことができる。
【0057】本発明に係る円盤状培養媒体の製造方法で
は、基板と、均等な厚みの培地層と、カバーガラスと、
を備える層構造を少なくとも備える円盤状培養媒体を確
実に大量生産できる。
【0058】本発明によれば、従来のシャーレやフラス
コ等の培養器具とは全く発想を異にする層構造の培養器
具、新規な培養手法並びに培養状態確認方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円盤状培養媒体(1)の外観斜視
【図2】(A)図1に示す符号Xに示す部分の縦断面図 (B)同X部分の変形形態の縦断面図
【図3】同円盤状培養媒体(1)を構成する基板(2)
を上方から視た平面図
【図4】同円盤状培養媒体(1)を構成するカバーシー
ト(4)を上方から視た平面図
【図5】同培養媒体(1)の製造方法の製造工程を示す
【図6】同培養媒体(1)の液溜部(22)に装着され
る封止弁(5)の構成を説明するための一部断面の部分
拡大図
【図7】培養液(7)を基板(2)の液溜部(22)に
注入する様子を示す図
【図8】液溜部(22)に注入された培養液(7)が条
溝(21)内を外周方向に進行する様子を示す図
【図9】従来の一般的な培養工程を表す手順フロー図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA03 AA08 BB01 CC01 CC02 CC07 GA08 GB01 GB02 GB05 GB06 GB07 GB09 GB10 4B065 AA01X AA57X AA87X BC46 BC50 CA46

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板上に設けられた培地層
    と、該培地層を覆うカバーシートと、からなる層構造を
    少なくとも備える円盤状培養媒体。
  2. 【請求項2】 前記基板と前記カバーシートは、固化さ
    れた前記培地層を介して貼り合わされた構成を備えるこ
    とを特徴とする請求項1記載の円盤状培養媒体。
  3. 【請求項3】 前記カバーシートは、少なくとも可視光
    領域において光透過性を備える合成樹脂により形成され
    たことを特徴とする請求項1記載の円盤状培養媒体。
  4. 【請求項4】 直径方向中心部に凹設され、培養液が貯
    留される液溜部と、 該液溜部に開口し、前記基板又は前記カバーシートのい
    ずれか一方に形成されている内部空洞の条溝と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の円盤状培養媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記液溜部には、前記培養液の逆流を防
    止するための封止弁が装着されることを特徴とする請求
    項4記載の円盤状培養媒体。
  6. 【請求項6】 前記条溝は、上方視、放射状に形成され
    たことを特徴とする請求項4記載の円盤状培養媒体。
  7. 【請求項7】 前記条溝には、前記培地層が形成されて
    いることを特徴とする請求項4記載の円盤状培養媒体。
  8. 【請求項8】 基板と、該基板上に形成された培地層
    と、該培地層を覆うカバーシートと、からなる層構造を
    少なくとも備える円盤状培養媒体の直径方向中心部に形
    成された液溜部に培養液を注入する培養液注入手順と、 前記液溜部に開口して前記培地層に延びる内部空洞の条
    溝に対し、毛細管現象により前記培養液を送り込む送液
    手順と、 を備える培養液導入方法。
  9. 【請求項9】 前記送液手順は、前記円盤状培養媒体を
    回転させながら行うことを特徴とする請求項8記載の培
    養液導入方法。
  10. 【請求項10】 基板と、該基板上に形成された培地層
    と、該培地層を覆う光透過性樹脂製のカバーシートと、
    からなる層構造を少なくとも備える円盤状培養媒体で生
    物体を培養した後、前記円盤状培養媒体を直接観察する
    ことを特徴とする培養状態確認方法。
  11. 【請求項11】 次の(a)〜(d)の工程を少なくと
    も備える円盤状培養媒体の製造方法。 (a)上方視放射状に配設された条溝を備える合成樹脂
    製の円盤状の基板を形成する工程。 (b)前記基板に培地を塗布する工程。 (c)塗布された前記培地に円盤状のカバーシートを載
    置する工程。 (d)前記培地を固化して前記基板と前記カバーシート
    を貼り合わせる工程。
  12. 【請求項12】 前記(b)工程は、スピンコータを用
    いて行うことを特徴とする請求項11記載の円盤状培養
    媒体の製造方法。
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