JP2003221223A - シリカ - Google Patents

シリカ

Info

Publication number
JP2003221223A
JP2003221223A JP2002278798A JP2002278798A JP2003221223A JP 2003221223 A JP2003221223 A JP 2003221223A JP 2002278798 A JP2002278798 A JP 2002278798A JP 2002278798 A JP2002278798 A JP 2002278798A JP 2003221223 A JP2003221223 A JP 2003221223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica
silica according
max
less
hydrogel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002278798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4160350B2 (ja
Inventor
Hiroshi Mori
寛 森
Hanako Katou
波奈子 加藤
Katsuya Funayama
勝矢 船山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2002278798A priority Critical patent/JP4160350B2/ja
Publication of JP2003221223A publication Critical patent/JP2003221223A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4160350B2 publication Critical patent/JP4160350B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細孔容積及び比表面積が大きいだけでなく、
細孔分布が狭く、不要な金属不純物量を抑えることがで
き、且つ耐熱性や耐水性等の物性面でも優れるようにす
る。 【解決手段】 細孔の最頻直径(Dmax)が20nm以
下のシリカであって、固体Si−NMRでのQ4ピーク
のケミカルシフトδ(ppm)が下記式(I)を満足す
るようにする。 −0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・(I)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性や耐水性等
に優れ、特に触媒担体や吸着剤として好適な新規なシリ
カに関する。
【0002】
【従来の技術】シリカは、古くから乾燥剤として広く用
いられてきたが、最近ではその用途が触媒担体,分離
剤,吸着剤等へと広がっており、こうした用途の広がり
に応じて、シリカの性能に対する要求も多様化してい
る。シリカの性能は、シリカの表面積、細孔径、細孔容
積、細孔径分布等の物性によって決定されるが、これら
の物性はシリカの製造条件によって大きく影響される。
【0003】ここで、「シリカ」とは、無水ケイ酸と含
水ケイ酸との両方を示す。例えば無水ケイ酸としては、
石英、トリディマイト、クリストバル石、コーサイト、
スティショフ石、石英ガラスなどが挙げられる。そして
含水ケイ酸としては、シリカヒドロゾルをゲル化し乾燥
させて得られる、いわゆる非晶質の「シリカゲル」以外
に、コロイダルシリカ、シリケートオリゴマー、そして
有機物等を鋳型として形成された、例えばモービル社
製:MCM−41のようなタイプのシリカ(いわゆる、
ミセルテンプレート型シリカ)等が挙げられる。また
「シリカゲル」の原料としては、水ガラスやアルコキシ
シラン類が挙げられる。
【0004】シリカゲルの製造方法として、最も一般的
には、ケイ酸ソーダ等のケイ酸アルカリ塩を鉱酸で加水
分解し、得られるシリカヒドロゾルをゲル化して乾燥す
る方法が用いられているが、シリカゲルの性能を改良す
るために、この製造方法の詳細につき多くの提案がなさ
れている。
【0005】例えば、特許文献1では、ケイ酸アルカリ
水溶液と鉱酸との反応により生成したシリカヒドロゾル
をゲル化し、これをpH2.5以下の酸溶液で処理し、
水洗後、緩衝作用を有する水溶液中でpH4〜9に調整
して水熱処理することにより、細孔分布の狭いシリカゲ
ルを製造する方法が提案されている。また、特許文献2
では、シリカヒドロゲルの乾燥を回分式流動乾燥、次い
で水熱処理する方法が提案されている。
【0006】これらの製造方法によれば、得られるシリ
カゲルの性能には確かに変化が認められ、よりシャープ
な細孔分布を有するシリカゲルが製造できる。しかし、
得られるシリカゲルの細孔容積、比表面積及び平均細孔
径を十分に変化させるまでには至らず、耐熱性や耐水性
も充分ではないため、所望の物性範囲のシリカゲルを得
る方法としては不十分である。
【0007】また、前者の方法(特許文献1に記載の方
法)でケイ酸アルカリ塩を原料として得られるシリカに
は、通常、原料に由来するナトリウム、カルシウム、マ
グネシウム、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の
不純物が相当量含まれている。シリカ中の不純物の存在
は、その総含有量がたとえ数百ppm程度の微量であっ
ても、シリカの性能に大きな影響を与える。例えば、
1)これらの不純物の存在が、高温下ではシリカゲルの
結晶化を促進する、2)これらの不純物の存在が、水存
在下ではシリカゲルの水熱反応を促進して、細孔径や細
孔容積の拡大,比表面積の低下,細孔分布の拡大をもた
らす、3)これらの不純物は焼結温度を低下させるの
で、これらの不純物を含むシリカゲルを加熱すると、比
表面積の低下が促進される、等の影響が挙げられる。そ
して、かかる影響は、アルカリ金属やアルカリ土類金属
に属する元素を含む不純物において、特にその傾向が強
い。更に、不純物としてチタンやアルミニウムがシリカ
ゲルの表面又はシロキサン結合中に存在すると、酸性点
が増加し、触媒担体や吸着剤として用いた場合にシリカ
ゲル自身が好ましからざる触媒作用を発現することもあ
りうる。
【0008】これに対して、不純物の極めて少ない高純
度のシリカゲルを製造する方法としては、珪酸アルカリ
塩を中和して得られたゲルを精製する方法や、シリコン
アルコキシドを加水分解する方法が当業者には周知の技
術として知られており、特に後者の方法は、原料となる
シリコンアルコキシドを蒸留等により精製することがで
きるため、比較的容易に高純度のシリカゲルを得ること
が可能である。
【0009】アルコキシドを原料とする方法は、基本的
には、触媒の存在下にシリコンアルコキシドを加水分解
すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカ
ヒドロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、得られた
シリカヒドロゲルを水熱処理する物性調節工程とを包含
する方法より成る。
【0010】そして、上記の加水分解・縮合工程では、
通常は酸(硫酸、塩酸または硝酸)が触媒として使用さ
れている。また、上記の物性調節工程(水熱処理)の前
には熟成工程が設けられ、斯かる熟成工程により、シリ
カゲル強度の向上等の物性の改善が図られるとされてい
る。斯かる方法は、ゾル−ゲル法と呼ばれて当業者にと
っては周知の方法である。しかしながら、シリコンアル
コキシドからゾル−ゲル法により得られるシリカゲル
は、一般に平均細孔径が小さく、かつ細孔分布も広い。
また、このシリカゲルに水熱処理を施しても、目立った
性能の改良は殆ど報告されていない。
【0011】一方、非特許文献1には、電気的に中性の
gemini界面活性剤とシリカの前駆体との水素結合からな
る超分子構造を形成した後、gemini界面活性剤を除去す
ることによって、耐熱性(1000℃)及び耐水性(1
00℃で150時間以上)を備えたメソポーラスのモレ
キュラーシーブを製造することが記載されている。これ
は、有機テンプレートを用いて細孔を形成する、いわゆ
るミセルテンプレートシリカの一種であって、上述の各
従来技術と比較しても、非常にシャープな細孔分布を持
つシリカを製造することができる。しかしながら、この
製造方法では、得られるシリカの耐水性が充分なもので
なく、且つ製造工程が複雑で生産性が悪い、という課題
があった。
【特許文献1】特開昭62−113713号公報
【特許文献2】特開平9−30809号公報
【非特許文献1】Kim et al., "Ultrastable Mesostruc
tured Silica Vesicles Science", 282, 1302 (1998)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シリカのマ
クロ的構造は周知であり、シリカコロイドの球状粒子が
互いに密着した緊密な連続三次元構造を有することが知
られているが、そのミクロ的な構造については、未だ十
分には解明されていない。よって、こうしたシリカのミ
クロ的構造を解析し、従来知られていないミクロ的構造
を有するシリカの中から、上述の各種物性をバランスよ
く満たした新規なシリカを見出すことが望まれていた。
【0013】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
のである。すなわち、本発明の目的は、従来知られてい
ない新規なミクロ的構造を有するシリカであって、細孔
容積及び比表面積が大きいだけでなく、細孔分布が狭
く、不要な金属不純物量を抑えることができ、且つ耐熱
性や耐水性等の物性面でも優れた、即ち各種の好ましい
属性をバランスよく備えた、シリカを提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、シリコンア
ルコキシドを加水分解・縮合する工程の後、熟成工程を
省略して引き続き物性調節工程を行なうことにより、固
体Si−NMRによって特徴づけられる特定の構造を有
するシリカが得られ、これが耐熱性や耐水熱性などの点
で優れているとともに、精密な細孔制御が可能であると
の知見を得、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明の要旨は、細孔の最頻直
径(Dmax)が20nm以下のシリカであって、固体S
i−NMRでのQ4ピークのケミカルシフトをδ(pp
m)とした場合に、δが下記式(I) −0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・(I) を満足することを特徴とする、シリカに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)本発明のシリカの特徴 本発明のシリカは、含水ケイ酸であり、SiO2・nH2
Oの示性式で表される。本発明においては、シリカの中
でも特に「シリカゲル」やミセルテンプレート型シリカ
において、その効果が顕著である。
【0017】本発明のシリカは、細孔の最頻直径(D
max)が通常のものよりも小さいことを特徴とする。最
頻直径(Dmax)は、気体や液体の吸着や吸収に影響を
与える特性であり、最頻直径(Dmax)が小さいほど吸
着や吸収性能が高い。従って、種々の特性の中で最頻直
径(Dmax)は、特に触媒担体や吸着剤として使用する
シリカに重要な物性である。具体的には、本発明のシリ
カの好ましい最頻直径(Dmax)は、通常は20nm以
下、好ましくは17nm以下、更に好ましくは15nm
以下である。下限は特に制限されないが、通常は2nm
以上である。
【0018】上記の最頻直径(Dmax)は、窒素ガス吸
脱着によるBET法で測定した等温脱着曲線から、E.
P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Haklenda, J. Amer.
Chem. Soc., vol. 73, 373 (1951)に記載のBJH法
により算出される細孔分布曲線をプロットして求められ
る。ここで、細孔分布曲線とは、微分細孔容積、すなわ
ち、細孔直径d(nm)に対する微分窒素ガス吸着量
(ΔV/Δ(logd))を言う。なお、上記のVは窒
素ガス吸着容積を表す。
【0019】また、本発明のシリカにおいては、以上の
細孔構造の特徴に加えて、その三次元構造を見るに、非
結晶質であること、即ち、結晶性構造が認められないこ
とが好ましい。このことは、本発明のシリカをX線回折
で分析した場合に、結晶性ピークが実質的に認められな
いことを意味する。なお、本明細書において非結晶質で
はないシリカとは、X線回折パターンで6オングストロ
ーム(Å Units d-spacing)を越えた位置に、少なくと
も一つの結晶構造のピークを示すものを指す。非結晶質
のシリカは、結晶性のシリカに較べて、極めて生産性に
優れている。
【0020】加えて、本発明のシリカは、その構造に歪
みが少ないことを特徴とする。シリカゲルの構造的な歪
みは、固体Si−NMR測定におけるQ4ピークのケミ
カルシフトの値によって表わすことができる。以下、シ
リカの構造的な歪みとQ4ピークのケミカルシフトの値
との関連について、詳しく説明する。
【0021】本発明のシリカは前記の示性式で表される
が、構造的には、Siの四面体の各頂点にOが結合さ
れ、これらのOに更にSiが結合してネット状に広がっ
た構造を有する。そして、Si−O−Si−O−の繰り
返し単位において、Oの一部が他の成員(例えば−O
H、−OCH3など)で置換されているものもあり、一
つのSiに注目した場合、下記式(A)に示す様に4個
の−OSiを有するSi(Q4)、下記式(B)に示す
様に3個の−OSiを有するSi(Q3)等が存在する
(下記式(A)及び(B)では、上記の四面体構造を無
視し、Si−Oのネット構造を平面的に表わしてい
る)。そして、固体Si−NMR測定において、上記の
各Siに基づくピークは、順にQ4ピーク、Q3ピーク、
・・と呼ばれる。
【0022】
【化1】
【0023】本発明のシリカの最大の特徴は、上記のQ
4ピークのケミカルシフトをδ(ppm)とした場合
に、δが下記式(I)を満足する点にある。 −0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・(I) この事実は、Siに対して2個の−OSiで表される結
合角にひずみが少ないことを意味する。
【0024】上記のQ4ピークの値δは、通常は上記式
(I)の左辺に基づいて計算した値よりも大きくなる。
よって、本発明のシリカは、従来のシリカに比べて、Q
4ピークのケミカルシフトがより小さな値を有すること
になる。これは、本発明のシリカにおいて、ケミカルシ
フトが高磁場に存在するということに他ならず、上記の
結合角がより均質であり、ひずみが少ないことを意味す
る。本発明において、シリカのQ4ピークのケミカルシ
フトδは、好ましくは、前記式(I)の左辺に基づき算
出される値(−0.0705×(Dmax)−110.3
6)よりも、通常0.05%以上、中でも0.1%以
上、特に0.15%以上小さい値であることが好まし
い。
【0025】また、上記のQ4ピークのケミカルシフト
の値δは、通常のシリカでは−106.00〜−11
3.00ppmの範囲に観察されるが、本発明のシリカ
ではより小さな値となり、具体的には、−111.00
〜−112.00ppmの範囲に存在することが好まし
い。これも、本発明のシリカでは、上記の結合角がより
均質であり、歪みが少ないことを意味している。なお、
4ピークが上述の様な幅を持つ理由は、通常、観察し
ているSiに対して2個の−OSiで表される結合角が
種々の値を持つことによる。
【0026】本発明のシリカが有する、優れた耐熱性や
耐水性と、上記の様な構造的ひずみの関係については、
必ずしも明らかではないが、次の様に推定される。すな
わち、シリカは大きさの異なる球状粒子の集合体で構成
されているが、上記の様な構造的にひずみの少ない状態
においては、球状粒子全体のミクロ構造的な高度の均質
性が維持されるので、その結果、優れた耐熱性や耐水性
が発現されるものと考えられる。なお、Q3以下のピー
クは、Si−Oのネット構造の広がりに制限があるた
め、シリカの構造的なひずみが現れにくい。
【0027】更に、本発明のシリカは、固体Si−NM
R測定によるQ4/Q3の値が、通常1.3以上、好まし
くは1.5以上である。ここで、Q4/Q3の値とは、上
述したシリカの繰り返し単位の中で、−OSiが3個結
合したSi(Q3)に対する−OSiが4個結合したS
i(Q4)のモル比を意味する。なお、上限値は特に制
限されないが、通常は10以下である。一般にこの値が
高い程、シリカの熱安定性が高いことが知られており、
ここから本発明のシリカは、熱安定性に極めて優れてい
ることが判る。対して、結晶性のミセルテンプレートシ
リカは、Q4/Q3の値が1.3を下回ることが多く、熱
安定性、特に水熱安定性が低い。
【0028】なお、Q4ピークのケミカルシフト及びQ4
/Q3の値は、実施例の説明において後述する方法を用
いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づい
て算出することができる。また、測定データの解析(ピ
ーク位置の決定)は、例えば、ガウス関数を使用した波
形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法
で行なう。
【0029】本発明のシリカは、細孔容積及び比表面積
が通常の値よりも大きい範囲にあることを、特徴の一つ
とする。具体的には、細孔容積の値は、通常0.6ml
/g以上、好ましくは0.7ml/g以上であり、通常
1.6ml/g以下である。また、比表面積の値は、通
常200m2/g以上、好ましくは300m2/g以上、
更に好ましくは400m2/g以上、特に好ましくは5
00m2/g以上であり、通常1000m2/g以下、好
ましくは950m2/g以下、更に好ましくは900m2
/g以下である。これらの細孔容積及び比表面積の値
は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定される。
【0030】更に、本発明のシリカは、上記の最頻直径
(Dmax)の値の±20%の範囲にある細孔の総容積
が、全細孔の総容積の通常50%以上、好ましくは60
%以上、更に好ましくは70%以上である。このこと
は、本発明のシリカゲルが有する細孔の直径が、最頻直
径(Dmax)付近の細孔で揃っていることを意味する。
なお、上記の最頻直径(Dmax)の値を中心として±2
0%の範囲にある細孔の総容積は、上限は特に制限され
ないが、通常は全細孔容積の通常90%以下である。
【0031】かかる特徴に関連して、本発明のシリカ
は、上記のBJH法により算出された最頻直径
(Dmax)における微分細孔容積ΔV/Δ(logd)
が、通常2ml/g以上、好ましくは3ml/g以上、
更に好ましくは5ml/g以上であり、通常20ml/
g以下、好ましくは12ml/g以下である(なお、上
式において、dは細孔直径(nm)であり、Vは窒素ガ
ス吸着容積である)。微分細孔容積ΔV/Δ(log
d)が前記範囲に含まれるものは、最頻直径(Dmax
の付近に揃っている細孔の絶対量が極めて多いものと言
える。
【0032】本発明のシリカの更なる特徴は、シリカ中
に存在することでその物性に影響を与えることが知られ
ている、アルカリ金属,アルカリ土類金属,周期表の3
A族,4A族及び5A族並びに遷移金属からなる群に属
する金属元素(不純物元素)の合計の含有率が、非常に
低く、極めて高純度なことである。具体的には、金属不
純物の合計の含有率が、通常100ppm以下、好まし
くは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、
特に好ましくは1ppm以下である。特に、シリカゲル
の物性に与える影響が大きい、アルカリ金属及びアルカ
リ土類金属からなる群に属する元素の総含有率が、通常
100ppm以下、中でも50ppm以下、更には10
ppm以下、特に1ppm以下であることが好ましい。
このように不純物の影響が少ないことが、本発明のシリ
カが高い耐熱性や耐水性などの優れた性質を発現できる
大きな要因の一つである。
【0033】(2)本発明のシリカの製法 本発明のシリカは、従来のゾル−ゲル法とは異なり、シ
リコンアルコキシドを加水分解する(加水分解工程)と
共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロ
ゲルを形成する加水分解・縮合工程と、当該加水分解・
縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを熟成することな
く水熱処理する物性調節工程とを包含する方法で製造さ
れる。
【0034】本発明のシリカの原料として使用されるシ
リコンアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、テ
トラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシ
シラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリ
またはテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマ
ーが挙げられるが、好ましくはテトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。
以上のシリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し
得るので、高純度のシリカの原料として好適である。シ
リコンアルコキシド中のアルカリ金属又はアルカリ土類
金属に属する金属元素(金属不純物)の総含有量は、通
常100ppm以下、中でも50ppm以下、更には3
0ppm以下、特に10ppm以下が好ましく、最も好
ましくは1ppm以下である。これらのいわば金属不純
物の含有率は、一般的なシリカ中の不純物含有率の測定
法と同じ方法で測定できる。
【0035】本発明では、先ず、加水分解・縮合工程に
おいて、触媒の不存在下にシリコンアルコキシドを加水
分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシ
リカヒドロゲルを形成する。
【0036】シリコンアルコキシドの加水分解は、シリ
コンアルコキシド1モルに対して、通常2モル以上、好
ましくは3モル以上、特に好ましくは4モル以上、通常
20モル以下、好ましくは10モル以下、特に好ましく
は8モル以下の水を用いて行なう。シリコンアルコキシ
ドの加水分解により、目的異元素をドープしたシリカの
シリカヒドロゾルとアルコールとが生成し、生成したシ
リカヒドロゾルは逐次縮合してシリカヒドロゲルとな
る。加水分解時の温度は、通常室温以上、好ましくは3
0℃以上、中でも好ましくは40℃以上、更に好ましく
は50℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以
下、中でも好ましくは80℃以下、更に好ましくは70
℃以下である。この加水分解反応は、加圧下で液相を維
持することで、より高い温度で行なうことも可能であ
る。
【0037】また、加水分解時には必要に応じて、水と
相溶性のあるアルコール類等の溶媒の存在下で行なって
も良い。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ア
セトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチル
セロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混
合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中で
も強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒ
ドロゲルを生成できる理由から好ましい。
【0038】これらの溶媒を使用しない場合、本発明の
シリカの製造のためには、特に加水分解の際の攪拌速度
が重要である。すなわち、シリコンアルコキシドと加水
分解用の水は初期には分液しているため、攪拌によりエ
マルジョン化し、反応を促進させる。
【0039】この際、攪拌を充分に行うことが重要とな
る。例えば回転軸に攪拌翼を備えた攪拌装置を用いた場
合、その攪拌速度(回転軸の回転数)としては、攪拌翼
の形状・枚数・液との接触面積等にもよるが、通常は3
0rpm以上、好ましくは50rpm以上である。
【0040】またこの攪拌速度は、一般的に速すぎると
槽内で生じた飛沫が各種のガスラインを閉塞させたり、
また反応器内壁に付着して熱伝導を悪化させ、物性制御
に重要な温度管理に影響を及ぼす場合がある。更に、こ
の内壁の付着物が剥離し、製品に混入して品質を悪化さ
せる場合もある。この様な理由から、攪拌速度は200
0rpm以下、中でも1000rpm以下であることが
好ましい。
【0041】本発明に於いて、分液している二液相(水
相、及びシリコンアルコキシド相)の攪拌方法は、反応
を促進させる方法であれば任意の攪拌方法を用いること
が出来る。中でも、この二相をより混合させるような装
置としては、例えば以下の、が挙げられる。
【0042】:回転軸が液面に対し垂直又は僅かに角
度を持って挿入され、上下に液の流動が生じる攪拌翼を
有する装置。 :回転軸方向を二液相の界面と略平行に設け、二相相
間に攪拌を生じさせる攪拌翼を有する攪拌装置。
【0043】上述した、の様な装置を用いた際の攪
拌翼回転速度は、攪拌翼の周速度(攪拌翼先端速度)
で、0.05〜10m/s、中でも0.1〜5m/s、
さらには0.1〜3m/sであることが好ましい。攪拌
翼形状や攪拌翼長さ等は任意であり、攪拌翼としては例
えばプロペラ型、平羽根型、角度付平羽根型、ピッチ付
平羽根型、平羽根ディスクタービン型、湾曲羽根型、フ
ァウドラー型、ブルマージン型、アンカー型、リボン型
等が挙げられる。
【0044】翼の幅、枚数、傾斜角等は反応器の形状、
大きさ、目的とする攪拌動力に応じて適宜選定すればよ
い。たとえば反応器の槽内径(回転軸方向に対して垂直
面を形成する液相面の最長径)に対する翼幅(回転軸方
向の翼の長さ)の比率(b/D)は0.05〜0.2、
傾斜角(θ)90゜±10゜、翼枚数3〜10枚の攪拌
装置が好適な例として挙げられる。中でも上述の回転軸
を反応容器内の液面よりも上に設け、この回転軸から伸
ばした軸の先端部分に攪拌翼を設ける構造が、攪拌効率
及び設備メンテナンスの観点から好適に使用される。
【0045】上記の攪拌速度条件を満足しない場合に
は、本発明のシリカを得るのが困難になる。なお、加水
分解によりアルコールが生成して液が均一液となり、発
熱が収まった後には、均一なヒドロゲルを形成させるた
めに攪拌を停止することが好ましい。
【0046】結晶性を示すシリカは、水中熱安定性に乏
しくなる傾向にあり、シリカ中に細孔を形成するのに用
いられる界面活性剤等のテンプレートの存在下でシリコ
ンアルコキシドを加水分解すると、シリカは容易に結晶
構造を含むものとなる。従って、本発明においては、界
面活性剤等のテンプレートの非存在下で、すなわち、こ
れらがテンプレートとしての機能を発揮するほどの量は
存在しない条件下で加水分解するのが好ましい。
【0047】加水分解の反応時間は、反応液組成(シリ
コンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応
温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一
概には規定されない。なお、反応系に触媒として、酸、
アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進さ
せることができる。しかしながら、かかる添加物の使用
は、後述するように、生成したヒドロゲルの熟成を引き
起こすことになるので、本発明のシリカの製造において
はあまり好ましくない。上記のシリコンアルコキシドの
加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解し
てシリケートが生成するが、引き続いて該シリケートの
縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲ
ル化してシリカヒドロゲルとなる。
【0048】次いで、本発明では、物性調整工程とし
て、上記の加水分解により生成したシリカのヒドロゲル
の硬さが上昇しないように、実質的に熟成することな
く、直ちに水熱処理を行なう。シリコンアルコキシドを
加水分解すると、軟弱なシリカのヒドロゲルが生成する
が、このヒドロゲルを安定した熟成、あるいは乾燥さ
せ、更にこれに水熱処理を施す方法では、最終的に細孔
特性の制御された、本発明で規定する物性範囲のシリカ
を製造することは困難である。
【0049】上記にある、加水分解により生成したシリ
カのヒドロゲルを、実質的に熟成することなく、直ちに
水熱処理を行なうということは、シリカのヒドロゲルが
生成した直後の軟弱な状態が維持されたままで、次の、
水熱処理に供するようにするということを意味する。
【0050】具体的には、シリカヒドロゲルが生成した
時点から、一般的には10時間以内に水熱処理すること
が好ましく、中でも8時間以内、更には6時間以内、特
に4時間以内にシリカヒドロゲルを水熱処理することが
好ましい。また工業用プラント等に於いては、大量に生
成したシリカヒドロゲルを一旦サイロ等に貯蔵し、その
後水熱処理を行う場合が考えられる。この様な場合、シ
リカヒドロゲルは、シリカヒドロゲルが生成してから水
熱処理に供されるまでの時間、いわゆる放置時間が、上
述の範囲を超える場合が考えられる。この様な場合に
は、熟成が実質的に生じないように、サイロ内での静置
中に、例えばシリカヒドロゲル中の液体成分が乾燥しな
いようにすればよい。
【0051】具体的には例えば、サイロ内を密閉した
り、湿度を調節すればよい。また、水やその他の溶媒に
シリカヒドロゲルを浸した状態で、シリカヒドロゲルを
静置してもよい。静置の際の温度はできるだけ低くする
ことが好ましく、例えば50℃以下、中でも35℃以
下、特に30℃以下で静置することが好ましい。また熟
成が実質的に生じないようにする別の方法としては、シ
リカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなるように、予め
原料組成を制御してシリカヒドロゲルを調製する方法が
挙げられる。
【0052】シリカヒドロゲルを実質的に熟成せずに水
熱処理することにより奏する効果と、この効果が得られ
る理由を考察すると、以下のことが考えられる。つま
り、シリカヒドロゲルを熟成させると、−Si−O−S
i−結合によるマクロ的網目構造が、シリカヒドロゲル
全体に形成されると考えられる。この網目構造がシリカ
ヒドロゲル全体に有ることで、水熱処理の際、この網目
構造が障害となり、メソポーラスの形成が困難となるこ
とが考えられる。よって本発明では、シリカヒドロゲル
を熟成することなく、水熱処理を行うことが重要であ
る。なお、シリカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなる
ように、予め原料組成を制御して得られたシリカヒドロ
ゲルは、静置中に生ずるシリカヒドロゲルにおける架橋
の進行を抑制できる。その為、シリカヒドロゲルが熟成
しないと考える。
【0053】シリコンアルコキシドの加水分解反応系に
酸、アルカリ、塩類等を添加すること、または該加水分
解反応の温度を厳しくし過ぎることなどは、ヒドロゲル
の熟成を進行させるため好ましくない。また、加水分解
後の後処理における水洗、乾燥、放置などにおいて、必
要以上に温度や時間をかけるべきではない。
【0054】ヒドロゲルの熟成状態を具体的に確認する
手段としては、後述の実施例に示すような方法で測定し
たヒドロゲルの硬度を参考にすることができる。即ち、
破壊応力が、通常6MPa以下、好ましくは3MPa以
下、更に好ましくは2MPa以下の柔らかい状態のヒド
ロゲルを水熱処理することで、本発明で規定する物性範
囲のシリカを得ることができる。
【0055】この水熱処理の条件としては、水の状態が
液体、気体のいずれでもよく、溶媒や他の気体によって
希釈されていてもよいが、好ましくは液体の水をシリカ
のヒドロゲルに加えてスラリー状として行なう。使用す
る水の量は、シリカのヒドロゲルに対して、通常0.1
重量倍以上、好ましくは0.5重量倍以上、特に好まし
くは1重量倍以上、また、通常10重量倍以下、好まし
くは5重量倍以下、特に好ましくは3重量倍以下であ
る。水熱処理の温度は、通常40℃以上、好ましくは5
0以上、また、通常250℃以下、好ましくは200℃
以下である。また、水熱処理の時間は、通常0.1時間
以上、好ましくは1時間以上、また、通常100時間以
下、好ましくは10時間以下である。
【0056】なお、水熱処理に使用される水には低級ア
ルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール
や、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホ
キシド(DMSO)、その他の有機溶媒などが含まれて
もよい。また、メンブランリアクターなどを作る目的
で、シリカを膜状あるいは層状に粒子、基板、あるいは
管などの基体上に形成させた材料の場合にも、この水熱
処理方法は適用される。なお、加水分解反応の反応器を
用い、続けて温度条件変更により水熱処理を行なうこと
も可能であるが、加水分解反応とその後の水熱処理では
最適条件が通常は異なっているため、この方法で本発明
のシリカを得ることは一般的には難しい。
【0057】以上の水熱処理条件において温度を高くす
ると、得られるシリカの細孔径、細孔容積が大きくなる
傾向がある。水熱処理温度としては、100〜200℃
の範囲であることが好ましい。また、処理時間ととも
に、得られるシリカの比表面積は、一度極大に達した
後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえ
て、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があ
るが、水熱処理は、シリカの物性を変化させる目的なの
で、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とす
ることが好ましい。
【0058】水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定
すると本発明のシリカを得ることが困難となる。例え
ば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカの細孔径、細
孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆
に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカは、
架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピー
クが発現しなくなったり、前述した固体Si−NMRに
おけるQ4/Q3値が極端に小さくなったりする。
【0059】なお、水熱処理をアンモニア水中で行なう
と、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得ら
れる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、純水中
で処理する場合と比較して、最終的に得られるシリカゲ
ルは一般に疎水性となるが、通常30℃以上、好ましく
は40℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは2
00℃以下という比較的高温で水熱処理すると、特に疎
水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃
度としては、好ましくは0.001%以上、特に好まし
くは0.005%以上、または、好ましくは10%以
下、特に好ましくは5%以下である。
【0060】水熱処理されたシリカヒドロゲルは、通常
40℃以上、好ましくは60℃以上、また、通常200
℃以下、好ましくは120℃以下で乾燥する。乾燥方法
は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式で
もよく、且つ、常圧でも減圧下でも乾燥することができ
る。必要に応じ、原料のシリコンアルコキシドに由来す
る炭素分が含まれている場合には、通常400〜600
℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコン
トロールするため、最高900℃の温度で焼成すること
もある。更に、必要に応じて粉砕、分級することで、最
終的に目的としていた本発明のシリカを得る。
【0061】(3)本発明のシリカの用途 本発明のシリカは、従来からのシリカの用途の他、いか
なる用途においても利用することができる。このうち従
来の用途としては、以下のようなものが挙げられる。
【0062】例えば、産業用設備で製品の製造及び処理
に用いられる用途分野においては、各種触媒及び触媒担
体(酸塩基触媒、光触媒、貴金属触媒等)、廃水・廃油
処理剤、臭気処理剤、ガス分離剤、工業用乾燥剤、バイ
オリアクター、バイオセパレーター、メンブランリアク
ター等の用途が挙げられる。建材用途では、調湿剤、防
音・吸音材、耐火物、断熱材等の用途が挙げられる。ま
た、空調分野の用途では、デシカント空調機用調湿剤、
ヒートポンプ用蓄熱剤等が挙げられる。塗料・インク用
途分野においては、艶消し剤、粘度調整剤、色度調整
剤、沈降防止剤、消泡剤、インク裏抜け防止剤、スタン
ピングホイル用、壁紙用等の用途が挙げられる。樹脂用
添加剤用途分野においては、フィルム用アンチブロッキ
ング剤(ポリオレフィンフィルム等)、プレートアウト
防止剤、シリコーン樹脂用補強剤、ゴム用補強剤(タイ
ヤ用・一般ゴム用等)、流動性改良材、パウダー状樹脂
の固結防止剤、印刷適性改良剤、合成皮革やコーティン
グフィルム用の艶消し剤、接着剤・粘着テープ用充填
剤、透光性調整剤、防眩性調整剤、多孔性ポリマーシー
ト用フィラー等の用途が挙げられる。また、製紙用途分
野においては、感熱紙用フィラー(カス付着防止剤
等)、インクジェット紙画像向上用フィラー(インク吸
収剤等)、ジアゾ感光紙用フィラー(感光濃度向上剤
等)、トレーシングペーパー用筆記性改良剤、コート紙
用フィラー(筆記性、インク吸収性、アンチブロッキン
グ性改良剤等)、静電記録用フィラー等の用途が挙げら
れる。食品用途分野においては、ビール用濾過助剤、醤
油・清酒・ワイン等発酵製品のおり下げ剤、各種発酵飲
料の安定化剤(混濁因子タンパクや酵母の除去等)、食
品添加剤、粉末食品の固結防止剤等の用途が挙げられ
る。医農薬分野においては、薬品等の打錠助剤、粉砕助
剤、分散・医薬用担体(分散・徐放・デリバリー性改善
等)、農薬用担体(油状農薬キャリア・水和分散性改
善、徐放・デリバリー性改善等)、医薬用添加剤(固結
防止剤・粉粒性改良剤等)・農薬用添加剤(固結防止剤
・沈降防止剤等)等が挙げられる。分離材料分野では、
クロマトグラフィー用充填剤、分離剤、フラーレン分離
剤、吸着剤(タンパク質・色素・臭等)、脱湿剤等の用
途が挙げられる。農業用分野では、飼料用添加剤、肥料
用添加剤が挙げられる。さらにその他の用途として、生
活関連分野では、調湿剤、乾燥剤、化粧品添加剤、抗菌
剤、消臭・脱臭・芳香剤、洗剤用添加剤(界面活性剤粉
末化等)、研磨剤(歯磨き用等)、粉末消火剤(粉粒性
改良剤・固結防止剤等)、消泡剤、バッテリーセパレー
ター等が挙げられる。
【0063】特に、本発明のシリカは、同等の細孔径を
持つ従来のシリカと比較して細孔容積及び比表面積が大
きいため、高い吸着・吸収容量を有し、精密な細孔制御
も可能である。従って、上述した各種用途の中でも、特
に優れた耐熱性や耐水熱性が要求されるとともに、制御
された細孔特性や、長期にわたって物性変化の少ないこ
とが要求される分野において、好適に用いることができ
る。
【0064】また、本発明のシリカは、50μm以下の
粒径が要求され、精密に制御された細孔特性と安定した
物性が要求される分野においても、好適に使用される。
一般的に、シリカを平均粒径50μm以下にすると、単
位重量当たりの外表面積が増加し、且つ粒界にも各種物
質を吸着・吸収することが出来るようになるため、吸着
・吸収性能が更に高くなる。すなわち、本発明のシリカ
の粒径を小さくすることによって、本発明のシリカが既
に持つ高細孔容積、高比表面積、シャープな細孔分布、
高純度で物性変化が少ない等の各種の特徴を発展させ、
更に吸着・吸収性に優れたシリカとすることが出来る。
【0065】本発明のシリカをこうした分野に使用する
場合、平均粒径はその分野で要求される値に応じて調整
すればよいが、通常50μm以下、好ましくは30μm
以下、特に好ましくは5μm以下として使用される。下
限としては特に制限は無いが、好ましくは0.1μm以
上である。このように粒径の小さなシリカの用途として
は、各種吸着剤、樹脂用充填剤、インクジェット紙用イ
ンク吸収剤、フィルム用アンチブロッキング剤、飲料用
濾過助剤、各種触媒担体など様々なものがある。例え
ば、平均粒径5μm以下の本発明のシリカはインク吸収
速度が速く、吸油性能が高いためインクジェット紙用吸
収剤として有用である。
【0066】一方、本発明のシリカは、平均粒径を大き
くしても好ましい。平均粒径を大きくすることによっ
て、本発明のシリカは、上述した高比表面積、高細孔容
積、細孔分布がシャープ、高純度で物性変化が少ない等
の特徴と、大きな粒子特有の特徴とを併せ持つことにな
り、その双方を要求される分野において極めて有用とな
る。例えば、平均粒径が大きなシリカは、光の散乱が小
さくなり、光学用途のガラス体として用いることが可能
になる。
【0067】具体的には、本発明のシリカは、500μ
m以上の粒径が要求され、精密に制御された細孔特性と
安定した物性が要求される分野においても、好適に使用
される。本発明のシリカをこうした分野に使用する場
合、平均粒径はその分野で要求される値に応じて調整す
ればよいが、通常500μm以上、好ましくは5mm以
上として使用される。また、上限としては特に制限は無
いが、好ましくは5cm以下である。例えば、平均粒径
500μm以上の本発明のシリカは、制御されたナノ細
孔を有するため、この細孔を利用して光学的に有用な色
素、金属、光触媒、フォトクロミック化合物、その他の
光機能性材料を細孔径に応じた一定の大きさで担持する
ことが出来、機能性光学材料として有用である。一般
に、平均粒径の大きい粒子を、粗大な割れを生じること
なくして製造することは難しいが、本発明のシリカは均
質な構造を持ち、水熱処理等の体積変化を伴う処理によ
っても粗大な割れが生じることが少なく、制御された細
孔特性を有し、かつ比較的平均粒径の大きな製品を得る
ことが可能である。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に制約されるものではない。
【0069】[A]シリカのヒドロゲルの硬度測定 5Lセパラブルフラスコ中でシリコンアルコキシドと6
モル倍の水を反応させ、反応液の温度が反応により生成
するアルコールの沸点に達した後に、反応液をフラスコ
より抜き取り、抜き出した反応液を50ccのガラス製
スクリュー管に一定量(液深で20mm程度)移し、密
栓して実質的に一定温度にコントロールされた水浴に保
持し、熟成時間の経過と共に破壊強度をデジタルフォー
スゲージ(株式会社エイ・アンド・ディー社製、型式:
AD−4935)にて測定した。該測定器にはプローブ
(ステンレス製直径5mmの丸棒)が装着されており、
ヒドロゲル中にゆっくりと押し込まれることにより、容
器中に保持されたヒドロゲルを圧縮破壊する。ヒドロゲ
ルが圧縮されて破壊される迄の間に示される最大の応力
値をもって破壊応力とした。
【0070】測定結果を図1に示す。なお、図1は、シ
リカのヒドロゲルの熟成時間の常用対数を横軸に、破壊
応力を縦軸にプロットしたグラフである。図1より、熟
成時間の経過とともに破壊応力が大きくなること、熟成
速度が温度に依存していることが判る。 [B]実施例・比較例群I
【0071】(1)シリカの分析方法 1−1)細孔容積、比表面積、微分細孔容積: カンタクローム社製AS−1にてBET窒素吸着等温線
を測定し、細孔容積、比表面積を求めた。具体的には細
孔容積は相対圧P/P0=0.98のときの値を採用
し、比表面積はP/P0=0.1,0.2,0.3の3
点の窒素吸着量よりBET多点法を用いて算出した。ま
た、BJH法で細孔分布曲線及び最頻直径(Dmax)に
おける微分細孔容積を求めた。測定する相対圧の各点の
間隔は0.025とした。
【0072】1−2)粉末X線回折 理学電機社製RAD-RB装置を用い、CuKαを線源
として測定を行った。発散スリット1/2deg、散乱
スリット1/2deg、受光スリット0.15mmとし
た。
【0073】1−3)金属不純物の含有量 試料2.5gにフッ酸を加えて加熱し、乾涸させたの
ち、水を加えて50mlとした。この水溶液を用いてI
CP発光分析を行った。なお、ナトリウム及びカリウム
はフレーム炎光法で分析した。
【0074】1−4)固体Si−NMR測定 Bruker社製固体NMR装置(「MSL300」)
を使用するとともに、共鳴周波数59.2MHz(7.
05テスラ)、7mmのサンプルチューブを使用し、C
P/MAS(Cross Polarization / Magic Angle Spinn
ing)プローブの条件で測定した。具体的な測定条件を
下の表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】測定データの解析(Q4,Q3ピーク位置の
決定)は、ピーク分割によって各ピークを抽出する方法
で行なう。具体的には、ガウス関数を使用した波形分離
解析を行なう。この解析には、サーモガラテック(Ther
mogalatic)社製の波形処理ソフト「GRAMS38
6」を使用することが出来る。この様にピーク分割によ
り求めたQ4,Q3の各ピーク面積を用い、その比(Q4
/Q3)を求めた。
【0077】1−5)シリカの水中熱安定性試験 試料に純水を加えて40重量%のスラリーを調製した。
容積60mlのステンレススチール製のミクロボンベ
に、上記で調製したスラリー約40mlを入れて密封
し、280±1℃のオイルバス中に3日間浸漬した。ミ
クロボンベからスラリーの一部を抜出し、5A濾紙で濾
過した。濾滓は100℃で5時間真空乾燥した後、残っ
た試料の比表面積を測定した。
【0078】(2) シリカの製造、評価 実施例I−1〜I−3:ガラス製で、上部に大気開放の水
冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ
(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。攪
拌翼先端速度が2.5m/sになるような攪拌速度で撹
拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを
3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモ
ル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケットに
は50℃の温水を通水した。引き続き撹拌を継続し、内
容物が沸点に到達した時点で、撹拌を停止した。引き続
き約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して
生成したゾルをゲル化させた。その後、速やかにゲルを
取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通し
てゲルを粉砕し、粉体状のウェットゲル(シリカヒドロ
ゲル)を得た。このヒドロゲル450gと純水450g
を1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、実施例I−
1については130℃×3Hr、実施例I−2について
は150℃×3Hr、実施例I−3については200℃
×3Hrの条件で、それぞれ水熱処理を実施した。所定
時間水熱処理した後、No.5A濾紙で濾過し、得られ
たシリカを水洗することなく100℃で恒量となるまで
減圧乾燥して、それぞれ実施例I−1〜I−3のシリカと
した。
【0079】実施例I−4:上記実施例I−1〜I−3と
同じ条件にてヒドロゲルを製造した。得られたヒドロゲ
ル450gと0.56%アンモニア水450gを1Lオ
ートクレーブに仕込み、60℃×3Hrの条件で水熱処
理を実施した。所定時間水熱処理した後、No.5A濾
紙で濾過し、得られたシリカを水洗することなく100
℃で恒量となるまで減圧乾燥して、実施例I−4のシリ
カとした。
【0080】実施例I−5:6リッターのSUS316
製オートクレーブを用い、160℃×3Hrの条件で水
熱処理した以外は、実施例I−1と同様にしてシリカを
得た。得られたシリカの平均粒径は、331μmであっ
た。このシリカを、ホソカワミクロン社製100AFG
型粉砕機を使用し、ジェットミル粉砕を26分間行った
ところ、シリカの平均粒径は5.3μmとなった。この
際の粉砕・分級等に関する条件は以下の通りである。 粉砕圧空量 :0.72 m3/min 空気圧力 :0.59 MPa ノズル径*本数:φ1.9 mm * 3本 分級機形式 :50 ATP 回転速度 :17800 rpm 集塵布 :バグフィルター 処理能力 :0.97 kg/h
【0081】実施例I−6:目開き600ミクロン(μ
m)のナイロン製網を、目開き5mmのナイロン製網に
変えた以外は、実施例I−2と同様に行った。得られた
シリカの平均粒子径は2.8mm(=2800μm)で
あった。
【0082】得られた実施例I−1〜I−6のシリカの諸
物性を表2及び表4に示す(但し、実施例I−6につい
てはQ4ピークのケミカルシフトの実測値がないので表
2にのみ示す)。何れのシリカも粉末X線回折図には結
晶性のピークは出現しておらず、また、周期的構造によ
る低角度側(2θ≦5deg)のピークも認められな
い。なお、実施例I−1〜I−6のシリカの不純物金属含
有率は、実施例I−1〜I−6何れのシリカについても、
ナトリウム0.2ppm、カリウム0.1ppm、カル
シウム0.2ppmであり、その他の金属は検出されな
かった。
【0083】また、図2に、実施例I−1〜I−5及び後
述する比較例I−1〜I−6のシリカについて、最頻細孔
径(Dmax)とQ4ピークのケミカルシフトの値(δ)と
の相関を表わすグラフを示す。図2に明らかなように、
実施例I−1〜I−5の何れのシリカについても、固体S
i−NMRのQ4ピークのケミカルシフトの値(図2の
グラフ中、系列1としてプロットされた値)は、上記式
(I)の左辺(−0.0705×(Dmax)−110.
36)より計算される値(図2のグラフ中、黒線分で表
わされる値)と比べて、より小なる領域にあった。
【0084】なお、実施例I−5にて得られた、平均粒
径5.3μmのシリカは、上述した物性値から明らかな
通り、粒径が小さいにもかかわらずシャープな細孔径分
布と高い細孔容積を有するので、吸湿性能に優れ、各種
の材に調湿機能を有することが明らかである。そしてこ
のシリカは、例えば表面の平滑性を保ち、かつアンチブ
ロッキング性を求められるような各種フィルムのフィラ
ーとして、好適に使用することが出来る。
【0085】また実施例I−6にて得られた、平均粒径
が500μmを超える大粒径シリカは、例えば触媒担体
や吸着材用として塔内に充填して使用した際に、圧力損
失を大幅に低減できるので、非常に好ましい。さらに、
実施例I−6で得られたシリカは、不純物が少なく純度
が高いので、経年劣化も抑えられ、触媒担体等としての
寿命の伸長が可能である。またこのシリカは、高純度で
シャープな細孔分布を有しているので、目的の化合物の
みを高選択的に吸着除去する能力がある上に、食品や医
薬の分野でも好適に使用することが出来る。
【0086】比較例I−1〜I−6として、以下のシリカ
を用意した。 比較例I−1:富士シリシア化学(株)製の触媒担体用
シリカ CARIACT G−3 を用いた。 比較例I−2:富士シリシア化学(株)製の触媒担体用
シリカ CARIACT G−6 を用いた。 比較例I−3:富士シリシア化学(株)製の触媒担体用
シリカ CARIACT G−10(Lot No. 703091)を
用いた。 比較例I−4:富士シリシア化学(株)製の触媒担体用
シリカ CARIACT G−10(Lot No. C-OO0901
4)を用いた。 比較例I−5:富士シリシア化学(株)製の触媒担体用
シリカ CARIACT Q−15を用いた。 比較例I−6:水澤化学工業(株)製 Mizukaso
rb C−1 を用いた。
【0087】以上の比較例I−1〜I−6のシリカの諸物
性を、下記の表3及び4に示す。比較例I−1〜I−6の
シリカの全てにつき、粉末X線回折図には結晶性のピー
クは出現しておらず、また、周期的構造による低角度側
のピークも認められない。さらに、不純物金属含有率を
測定したところ、各々下記表に示す通りとなり、比較例
I−2〜I−6のシリカは実施例I−1〜I−6のシリカよ
り不純物金属の含有量が多かった。また、図2に明らか
なように、比較例I−1〜I−6のシリカの全てについ
て、固体Si−NMRのQ4ピークのケミカルシフトの
値(図2のグラフ中、系列2としてプロットされた値)
は、上記式(I)の左辺より計算される値(図2のグラ
フ中、黒線分で示される値)と比べて、より大なる領域
にあることから、その構造は実施例I−1〜I−5のシリ
カと比べてひずみが多く、物性変化しやすいものと思わ
れる。
【0088】また、実施例I−1〜I−6、比較例I−1
〜I−6のシリカを試料として、上述の条件で水中熱安
定性試験を行ない、比表面積を測定した結果を表2及び
表3に示す。実施例I−1〜I−6のシリカは、比較例I
−1〜I−6のシリカに比べて、比表面積の減少が少な
く、水熱安定性に優れていた。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】[C]実施例・比較例群II: (1)シリカの分析方法:実施例・比較例群Iと同様の
条件で行なった。さらに、以下のようにシリカの耐熱性
試験を行なった。 シリカの耐熱性試験:試料5gを石英ビーカーに入れ、
電気炉中、空気雰囲気下にて200℃/時間で1000
℃まで昇温させて1時間保持した後、直ちにビーカーを
室温に取り出し、放冷した。この試料につきBET法で
比表面積を測定した。
【0093】(2)シリカの製造及び評価: 実施例II−1:上部に大気開放の水冷コンデンサが具備
された5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、
純水1000gを仕込んだ。攪拌翼先端速度2.5m/
sで撹拌しながら、これにテトラメトキシシラン140
0gを1分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシラ
ンのモル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケ
ットには50℃の温水を通水した。引き続き撹拌を継続
し、内容物の温度は60〜70℃に保持して暴走しない
様にした。引き続き、約0.5時間、ジャケットに50
℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。得ら
れたゲルの硬度は1.5MPaであった。
【0094】その後、速やかにゲルを取り出し、目開き
600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、
粉体状のウェットゲル(シリカヒドロゲル)を得た。こ
のヒドロゲル450gと純水450gを1Lのガラス製
オートクレーブに仕込み、130℃で3時間の条件で水
熱処理を行なった。その後、No.5A濾紙で濾過し、
濾滓を水洗することなく100℃で恒量となるまで減圧
乾燥した。得られたシリカの金属不純物濃度の測定結果
は、ナトリウム0.2ppm、カリウム0.1ppm、
カルシウム0.2ppmで、マグネシウム、アルミニウ
ム、チタン及びジルコニウムは検出されなかった。その
他の諸物性を表5に示す。
【0095】実施例II−2:実施例II−1において、テ
トラメトキシシランの仕込み時間を3分に変更した以外
は、実施例II−1と同様にしてシリカを得た。物性測定
の結果を表5に示す。
【0096】比較例II−1:実施例II−1において、テ
トラメトキシシランの仕込み時間を30分に変更した以
外は、実施例II−1と同様にしてシリカを得た。物性測
定の結果を表5に示す。
【0097】比較例II−2及びII−3 本発明のシリカと通常の市販シリカとの比較のため、通
常のシリカとして、富士シリシア化学(株)製の触媒担
体用シリカ「CARIACT Gシリーズ」の「G−
3」及び「G−6」(破砕状)を使用し、それぞれ、比
較例II−2及びII−3とした。また、因に、市販シリカ
(「G−6」)の金属不純物濃度の測定結果は、ナトリ
ウム170ppm、マグネシウム31ppm、アルミニ
ウム15ppm、カリウム23ppm、カルシウム16
0ppm、チタン260ppm、ジルコニウム44pp
mであった。その他の諸物性を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
【発明の効果】本発明の新規なシリカは、従来からのシ
リカと比較して、最頻直径(Dmax)が小さいことか
ら、吸着や吸収の性能に優れ、また、極めて生産性に優
れ、更に、その構造に歪みが少ないことから、耐熱性や
耐水性などにも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シリカのヒドロゲルを、35℃、45℃及び
55℃の各温度で熟成させた場合の各熟成時間とその際
のヒドロゲルの破壊応力の関係を示す図である。
【図2】 本発明の実施例及び比較例のシリカについ
て、最頻細孔径(Dmax)とQ4ピークのケミカルシフト
の値(δ)との相関を表わすグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船山 勝矢 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA26 AA27 DD08 DD09 GG01 HH30 JJ11 MM01 PP17 RR05 RR19 TT01 TT08 TT09 UU11 UU17

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔の最頻直径(Dmax)が20nm以
    下のシリカであって、 固体Si−NMRでのQ4ピークのケミカルシフトδ
    (ppm)が下記式(I)を満足することを特徴とす
    る、シリカ。 −0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・(I)
  2. 【請求項2】 上記のQ4ピークのケミカルシフトδが
    −111.00〜−112.00ppmの範囲に存在す
    ることを特徴とする、請求項1記載のシリカ。
  3. 【請求項3】 細孔容積が0.6〜1.6ml/gであ
    ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシリカ。
  4. 【請求項4】 該細孔容積が0.7〜1.6ml/gで
    あることを特徴とする、請求項3記載のシリカ。
  5. 【請求項5】 比表面積が200〜1000m2/gで
    あることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記
    載のシリカ。
  6. 【請求項6】 該比表面積が300〜900m2/gで
    あることを特徴とする、請求項5記載のシリカ。
  7. 【請求項7】 直径がDmax±20%の範囲内にある細
    孔の総容積が、全細孔の総容積の50%以上であること
    を特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載のシリ
    カ。
  8. 【請求項8】 直径がDmax±20%以内の細孔の総容
    積が、上記の全細孔の総容積の60%以上であることを
    特徴とする、請求項7記載のシリカ。
  9. 【請求項9】 金属不純物の総含有率が100ppm以
    下であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項
    に記載のシリカ。
  10. 【請求項10】 アルカリ金属及びアルカリ土類金属か
    らなる群に属する元素の総含有率が、100ppm以下
    であることを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に
    記載のシリカ。
  11. 【請求項11】 最頻直径(Dmax)における微分細孔
    容積が、2〜20ml/gであることを特徴とする、請
    求項1〜10の何れか一項に記載のシリカ。
  12. 【請求項12】 固体Si−NMR測定におけるQ4
    3ピークの値が1.3以上であることを特徴とする、
    請求項1〜11の何れか一項に記載のシリカ。
  13. 【請求項13】 平均粒径が50μm以下であることを
    特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載のシリ
    カ。
  14. 【請求項14】 平均粒径が500μm以上であること
    を特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載のシ
    リカ。
  15. 【請求項15】 シリコンアルコキシドを加水分解する
    工程を経て製造されることを特徴とする、請求項1〜1
    4の何れか一項に記載のシリカ。
  16. 【請求項16】 シリコンアルコキシドを加水分解する
    と共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒド
    ロゲルを形成する加水分解・縮合工程と、該加水分解・
    縮合工程に引き続きシリカヒドロゲルを熟成することな
    く水熱処理する物性調節工程とを備えた方法で製造され
    ることを特徴とする、請求項15記載のシリカ。
  17. 【請求項17】 該加水分解・縮合工程が触媒の不存在
    下に行なわれることを特徴とする、請求項16記載のシ
    リカ。
JP2002278798A 2001-09-25 2002-09-25 シリカ、及びシリカの製造方法 Expired - Fee Related JP4160350B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002278798A JP4160350B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 シリカ、及びシリカの製造方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-291970 2001-09-25
JP2001291970 2001-09-25
JP2001293484 2001-09-26
JP2001-293484 2001-09-26
JP2001-358567 2001-11-22
JP2001358567 2001-11-22
JP2002278798A JP4160350B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 シリカ、及びシリカの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008150435A Division JP2008273834A (ja) 2001-09-25 2008-06-09 シリカ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003221223A true JP2003221223A (ja) 2003-08-05
JP4160350B2 JP4160350B2 (ja) 2008-10-01

Family

ID=27761520

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002278798A Expired - Fee Related JP4160350B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 シリカ、及びシリカの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4160350B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006027925A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Nagoya Institute Of Technology 湿度センサー材料、湿度センサー材料を用いた湿度センサー及び湿度センサー材料を備えた電気機器
JP2007308371A (ja) * 2007-09-03 2007-11-29 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲルの製造方法
JP2010083744A (ja) * 2008-09-05 2010-04-15 Jsr Corp シリカ粒子分散液およびその製造方法
JP2014518833A (ja) * 2011-04-27 2014-08-07 エボニック デグサ ゲーエムベーハー 大きな細孔の長さを有する二酸化ケイ素粉末

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008273834A (ja) * 2001-09-25 2008-11-13 Mitsubishi Chemicals Corp シリカ
JP2003226516A (ja) * 2001-11-27 2003-08-12 Mitsubishi Chemicals Corp シリカ及びその製造方法

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62113713A (ja) * 1985-11-14 1987-05-25 Osaka Soda Co Ltd シリカゲルの製造法
JPH02184514A (ja) * 1989-01-09 1990-07-19 Shin Etsu Chem Co Ltd 棒状石英ガラス粉末およびその製造方法
JPH02196015A (ja) * 1989-01-25 1990-08-02 Chisso Corp シリカの製造方法
JPH02252612A (ja) * 1989-03-23 1990-10-11 Chisso Corp シリカの製造方法
JPH04193708A (ja) * 1990-11-26 1992-07-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 多孔質シリカゲル及びその製造方法
JPH07138013A (ja) * 1993-11-15 1995-05-30 Nippon Silica Ind Co Ltd 高い比表面積とコントロールされた高構造性を有するシリカゲル及びその製造方法
JPH082929A (ja) * 1994-06-20 1996-01-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 高純度シリカガラスの製造方法
JPH0930809A (ja) * 1995-07-21 1997-02-04 Nippon Silica Ind Co Ltd シリカゲルの製造方法
JPH1036109A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd メソポーラス無機高分子の製造方法
JPH11157827A (ja) * 1997-11-21 1999-06-15 Shionogi & Co Ltd 新規二酸化ケイ素
JP2000281330A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Oji Paper Co Ltd シリカ微粒子分散液の製造方法
JP2002080217A (ja) * 2000-06-30 2002-03-19 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲルの製造方法
JP2003165717A (ja) * 2001-03-09 2003-06-10 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲル

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62113713A (ja) * 1985-11-14 1987-05-25 Osaka Soda Co Ltd シリカゲルの製造法
JPH02184514A (ja) * 1989-01-09 1990-07-19 Shin Etsu Chem Co Ltd 棒状石英ガラス粉末およびその製造方法
JPH02196015A (ja) * 1989-01-25 1990-08-02 Chisso Corp シリカの製造方法
JPH02252612A (ja) * 1989-03-23 1990-10-11 Chisso Corp シリカの製造方法
JPH04193708A (ja) * 1990-11-26 1992-07-13 Nippon Steel Chem Co Ltd 多孔質シリカゲル及びその製造方法
JPH07138013A (ja) * 1993-11-15 1995-05-30 Nippon Silica Ind Co Ltd 高い比表面積とコントロールされた高構造性を有するシリカゲル及びその製造方法
JPH082929A (ja) * 1994-06-20 1996-01-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 高純度シリカガラスの製造方法
JPH0930809A (ja) * 1995-07-21 1997-02-04 Nippon Silica Ind Co Ltd シリカゲルの製造方法
JPH1036109A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd メソポーラス無機高分子の製造方法
JPH11157827A (ja) * 1997-11-21 1999-06-15 Shionogi & Co Ltd 新規二酸化ケイ素
JP2000281330A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Oji Paper Co Ltd シリカ微粒子分散液の製造方法
JP2002080217A (ja) * 2000-06-30 2002-03-19 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲルの製造方法
JP2003165717A (ja) * 2001-03-09 2003-06-10 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲル

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006027925A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Nagoya Institute Of Technology 湿度センサー材料、湿度センサー材料を用いた湿度センサー及び湿度センサー材料を備えた電気機器
JP2007308371A (ja) * 2007-09-03 2007-11-29 Mitsubishi Chemicals Corp シリカゲルの製造方法
JP2010083744A (ja) * 2008-09-05 2010-04-15 Jsr Corp シリカ粒子分散液およびその製造方法
JP2014518833A (ja) * 2011-04-27 2014-08-07 エボニック デグサ ゲーエムベーハー 大きな細孔の長さを有する二酸化ケイ素粉末

Also Published As

Publication number Publication date
JP4160350B2 (ja) 2008-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5218465B2 (ja) シリカ及びその製造方法
JP2004143026A (ja) 球状シリカ多孔質粒子及びその製造方法
EP1167295B1 (en) Silica gel
JP3960759B2 (ja) シリカゲルの製造方法
JP4160350B2 (ja) シリカ、及びシリカの製造方法
JP2001354408A (ja) シリカ微粒子分散液及びその製造方法
JP2003226516A (ja) シリカ及びその製造方法
JP4314077B2 (ja) シリカ及びその製造方法
JP2008273834A (ja) シリカ
JP4160348B2 (ja) シリカ、及びシリカの製造方法
JP4160349B2 (ja) シリカヒドロゲル及びシリカ、並びにシリカヒドロゲルの製造方法
JP4039833B2 (ja) シリカゲル
JP2008222552A (ja) シリカ
JP4160347B2 (ja) シリカ、及びシリカの製造方法
JP4022132B2 (ja) 有機基含有シリカゲル
JP4314076B2 (ja) シリカ及びその製造方法
JP2003160326A (ja) シリカゲル
JP4163919B2 (ja) シリカ、及びシリカの製造方法
JP2003226515A (ja) シリカ及びその製造方法
JP3894518B2 (ja) 鱗片状の低結晶性シリカとその製造方法
JP2003238142A (ja) シリカ微粒子凝集体
JP2005022899A (ja) 有機基担持シリカゲル
JP2003194792A (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤
JP4470367B2 (ja) 異元素担持シリカゲル
JP2007308371A (ja) シリカゲルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080609

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080701

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080610

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4160350

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120725

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130725

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees