JP2003220914A - ニープロテクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の正面衝突時に前方へ向けて移動する着
座乗員の膝からの荷重を受ける部位が、種々の体格の着
座乗員に対して膝の略正面に配される、軽量で低コスト
なニープロテクタを提供すること。 【解決手段】 本発明におけるニープロテクタは、車両
の座席の前方に配設されて、車両の正面衝突時に前方へ
向けて移動する着座乗員の膝からの荷重を受ける荷重受
部７ｅと、荷重受部７ｅから伝達される荷重により変形
して荷重受部７ｅを前方へ変位させる変形部（第１脆弱
部１２ａ，第２脆弱部１２ｂ，第３脆弱部１２ｃ，第４
脆弱部１２ｄ，第５脆弱部１２ｅ）とを有し、荷重受部
７ｅは上部から下部へ向かうにつれて、座席の側方側か
ら中心側へ傾斜するよう配設される。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両の正面衝突時
に車両前方へ向けて移動する着座乗員の膝からの荷重を
受けて変形するニープロテクタに関する。 【０００２】 【従来の技術】従来より、車両の正面衝突時に車両前方
へ向けて移動する着座乗員の膝からの荷重を受けて変形
し、該膝に加わる衝撃荷重を軽減させるニープロテクタ
として、例えば特開平１１−１８０２３７号の図５に示
されるようなものが知られている。このようなニープロ
テクタは、正面衝突時に着座乗員の膝からの荷重を確実
に受け止めるために、該荷重を受ける部位（以下荷重受
部という）が該膝の略正面に位置するよう配される必要
がある。 【０００３】ところで、ニープロテクタは車両の所定位
置に搭載される部品であることから、荷重受部も常に所
定の位置に配設されることになる。しかしながら、着座
乗員の膝の位置は、該着座乗員の体格に依存して上下左
右方向に異なる位置となり、常に一定の位置に存在する
とは限らない。このため、特開平１１−１８０２３７号
の図４に開示される技術では、ニープロテクタ（ニーボ
ルスタ−１１）の幅を車幅方向に大きくし、且つ、上下
方向に十分な長さを有するよう設けることによりニープ
ロテクタの荷重受部全体を大型化して、着座乗員の体格
の違いにより膝の位置がばらついても、ニープロテクタ
の荷重受部が着座乗員の膝の略正面に配されるようにし
ている。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように、ニープロテクタの幅を車幅方向に大きくし、上
下方向に十分な長さを有するよう設けることは、ニープ
ロテクタの重量とコストの増加を招く問題がある。本発
明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ニープ
ロテクタの荷重受部が種々の体格の着座乗員に対して膝
の略正面に配される、軽量で低コストなニープロテクタ
を提供することを目的とする。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の本発明のニープロテクタは、車両の
座席の前方に配設されて、上記車両の正面衝突時に前方
へ向けて移動する着座乗員の膝からの荷重を受ける荷重
受部と、上記荷重受部から伝達される上記荷重により変
形して上記荷重受部を前方へ変位させる変形部とを有
し、上記荷重受部は上部から下部へ向かうにつれて、上
記座席の側方側から中心側へ傾斜するよう配設されるこ
とを特徴とする。したがって、荷重受部は、種々の体格
の着座乗員に対して膝の略正面に配される。 【０００６】 【発明の実施の形態】以下、図面参照しながら本発明の
実施形態について説明する。図１及び図２に示すように
運転席の前部に設けられるインストルメントパネル１の
内側には、ステアリングコラム２を支持するステアリン
グサポートメンバ３がブラケット４、４を介して図示し
ない車体内壁面に取付けられて車幅方向に延設されてい
る。このステアリングサポートメンバ３には、一対のブ
レース５、５が中央部に下方向に垂下されている。そし
て、ブラケット４に設けられたフランジ部４ａとブレー
ス５に設けられたフランジ部５ａ等にインストルメント
パネル１がネジ等により取付けられている。 【０００７】運転席側に配設されるステアリングコラム
２の両側には、運転席用ニープロテクタ６として、左足
用ニープロテクタ７と右足用ニープロテクタ８とが設け
られている。両ニープロテクタ７、８は、それぞれ上端
側のフランジ部である上端フランジ部７ａ、８ａが、ス
テアリングサポートメンバ３に溶接された取付ブラケッ
ト３１ａ、３１ｂにボルト、ナット等によって固着され
ている。また、両ニープロテクタ７、８の下端側のフラ
ンジ部である下端フランジ部７ｂ、８ｂは、インストル
メントパネル１の開口１ａの下端縁１ｂの近傍にボル
ト、ナット等により固着されている。アンダーカバー９
は、開口１ａを塞ぐとともに両ニープロテクタ７、８を
覆い隠すようにインストルメントパネル１に取付けられ
ている。このようなニープロテクタ６を備えた車両が正
面衝突する場合、運転者の左足は左足用ニープロテクタ
７により保護され、右足は右足用ニープロテクタ８によ
り保護される。 【０００８】左足用ニープロテクター７の詳細を、図３
および図４に示す。左足用ニープロテクタ７は、帯状の
一枚の板金材で成形されて、上端フランジ部７ａと下端
フランジ部７ｂとの間の部分が車両後方側（着座乗員
側）へ向かうよう突設されている。この上端フランジ部
７ａと下端フランジ部７ｂとの間の部分は、上端フラン
ジ部７ａから車両後方側へ向かって延設される上方側延
設部７ｃと、下端フランジ部７ｂから車両後方側へ向か
って延設される下方側延設部７ｄと、上方側延設部７ｃ
と下方側延設部７ｄとの間を連結する荷重受部７ｅとで
構成されている。上方側延設部７ｃと荷重受部７ｅと下
方側延設部７ｄとは、略全体形状が上方側から下方側へ
向かうにつれて座席の側方側から中心側へ傾斜するよう
設けられている。荷重受部７ｅは、上方側から下方側に
向かうにつれて、車両前方下向きに、且つ、座席の側方
側から中心側へ傾斜するように設けられている。なお、
荷重受部７ｅは、車両前方下向きに６０〜８０ｍｍ程度
の長さを有して延びるよう形成されるとともに、上部側
と下部側との間で、車幅方向の距離が１５〜２５ｍｍと
なる程度に側方側から中心側へ傾斜させて形成すれば好
適である。 【０００９】左足用ニープロテクター７は、所定の位置
に切欠き１０及び開口１１が形成されている。この切欠
き１０及び開口１１が形成されている部位は、車両衝突
時に着座乗員の膝部１３が左足用ニープロテクター７に
当接する際に変形し、衝撃吸収機能を発揮する変形部と
して設けられている。この変形部として、上端フランジ
部７ａと上方側延設部７ｃとの間に設けられている第１
脆弱部１２ａと、上方側延設部７ｃの略中間部分に設け
られている第２脆弱部１２ｂと、上方側延設部７ｃと荷
重受部７ｅとの間に設けられている第３脆弱部１２ｃ
と、荷重受部７ｅと下方側延設部７ｄとの間に設けられ
ている第４脆弱部１２ｄと、下方側延設部７ｄと下端フ
ランジ部７ｂとの間に設けられている第５脆弱部１２ｅ
とが設けられている。なお、切欠き１０及び開口１１
は、必要に応じて適宜、設けられる。 【００１０】上述のように構成されている左足用ニープ
ロテクタ７について、車両衝突時に着座乗員の膝部１３
と左足用ニープロテクタ７とが当接して衝撃吸収が成さ
れる過程を図５、図６を参照して以下に詳述する。着座
乗員の体格が比較的大きい場合、着座乗員の膝部１３
は、上方側で、且つ、座席の側方側に位置している。左
足用ニープロテクタ７の荷重受部７ｅは、上部側から下
部側に向かうにつれて、車両前方下向きに、且つ、座席
の側方側から中心側へ傾斜するように設けられているの
で、図５に示すように着座乗員の膝部１３は、図示しな
いアンダーカバー９を挟んで左足用ニープロテクタ７の
荷重受部７ｅの上部側と対向するように位置することに
なる。この状態で車両が衝突すると、着座乗員の膝部１
３は図示しないアンダーカバー９を介して荷重受部７ｅ
の上部側と当接し、左足用ニープロテクタ７は図５中に
一点鎖線で示すように、第２脆弱部１２ｂが上方へ向か
って凸形状を成すよう大きく変形するとともに、第３脆
弱部１２ｃが車両前方側へ向かって凸形状を成すよう変
形して、着座乗員の膝部１３の衝撃吸収が行なわれる。 【００１１】着座乗員の体格が比較的小さい場合、着座
乗員の膝部１３は、下方側で、且つ、座席の中心側に位
置している。左足用ニープロテクタ７の荷重受部７ｅ
は、上部側から下部側に向かうにつれて、車両前方下向
きに、且つ、座席の側方側から中心側へ傾斜するように
設けられているので、図６に示すように着座乗員の膝部
１３は、図示しないアンダーカバー９を挟んで左足用ニ
ープロテクタ７の荷重受部７ｅの下部側と対向するよう
に位置することになる。この状態で車両が衝突すると、
着座乗員の膝部１３は図示しないアンダーカバー９を介
して荷重受部７ｅの下部側と当接し、左足用ニープロテ
クタ７は図６中に一点鎖線で示すように、第２脆弱部１
２ｂが上方へ向かって凸形状を成すよう変形するととも
に、第４脆弱部１２ｄが車両前方側へ向かって凸形状を
成すよう変形して、着座乗員の膝部１３の衝撃吸収が行
なわれる。 【００１２】なお、上述の実施形態では、上方側延設部
７ｃと荷重受部７ｅと下方側延設部７ｄとが上方側から
下方側へ向かうにつれて座席の側方側から中心側へ傾斜
する略全体形状を成すよう設ける構成としたが、要は着
座乗員の膝部１３を受け止める荷重受部７ｅが上部側か
ら下部側へ向かうにつれて座席の側方側から中心側へ傾
斜するよう設けられていればよく、上方側延設部７ｃと
下方側延設部７ｄとは、必ずしも上方側から下方側へ向
かうにつれて座席の側方側から中心側へ傾斜するように
設ける必要はない。右足用ニープロテクタ８は、ステア
リングコラム２を中心として左足用ニープロテクタ７を
略左右対象の形状に設けた構成としているので、詳細な
説明を省略する。なお、右足用ニープロテクタ８は、座
席の側方側から中心側への傾斜量を左足用ニープロテク
タ７と別個に適宜設定するようにしても良く、左足用ニ
ープロテクタ７と右足用ニープロテクタ８とのどちらか
一方のみ傾斜するように設けても良い。 【００１３】上述のように構成される本発明の実施形態
としての運転席用ニープロテクタ６は、荷重受部７ｅが
上部側から下部側へ向かうにつれて座席の側方側から中
心側へ傾斜するよう設けられているので、着座乗員の体
格が種々異なって着座乗員の膝部１３の位置がばらつい
ても、膝部１３の略正面に荷重受部７ｅを位置させるこ
とができる。このため、荷重受部７ｅは、着座乗員の体
格に影響されること無く車両衝突時に着座乗員の膝部１
３を確実に受け止めることができる。この結果、運転席
用ニープロテクタ６の衝撃吸収を効果的に行なうことが
できる。また、着座乗員の体格が種々異なって着座乗員
の膝部１３の位置がばらついても、膝部１３の略正面に
荷重受部７ｅを位置させることができることから、運転
席用ニープロテクタ６の幅を運転席用ニープロテクタ６
が衝撃吸収効果を発揮するのに最低限必要な幅にするこ
とができるので、運転席用ニープロテクタ６の重量とコ
ストを抑制することができる。 【００１４】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項１に記載の
本発明のニープロテクタによれば、ニープロテクタの荷
重受部を上部から下部へ向かうにつれて座席の側方側か
ら中心側へ傾斜するよう配設したので、種々の体格の着
座乗員に対して膝の略正面に位置するよう荷重受部を設
けることができ、車両の正面衝突時に前方へ向けて移動
する着座乗員の膝を荷重受部で確実に受けることができ
る効果を奏する。また、請求項１に記載の本発明のニー
プロテクタによれば、ニープロテクタの幅を車幅方向に
大きくする必要がないため、ニープロテクタの重量とコ
ストを低減することができる効果も奏する。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一実施形態としてのニープロテクタの
車体取付構造を模式的に示す斜視図である。 【図２】本発明の一実施形態としてのニープロテクタの
車体取付状態を模式的に示す側面図である。 【図３】本発明の一実施形態における左足用ニープロテ
クタのＡ矢視図である。 【図４】図３における左足用ニープロテクタのＢ矢視図
である。 【図５】着座乗員の体格が比較的大きい場合における左
足用ニープロテクタの変形前と変形後の状態を示す側面
図である。 【図６】着座乗員の体格が比較的小さい場合における左
足用ニープロテクタの変形前と変形後の状態を示す側面
図である。 【符号の説明】 １ インストルメントパネル １ａ 開口 １ｂ 開口１ａの下端縁 ２ ステアリングコラム ３ ステアリングサポートメンバ ３１ａ、３１ｂ 取付ブラケット ４ ブラケット ４ａ フランジ部 ５ ブレース ５ａ フランジ部 ６ 運転席用ニープロテクタ ７ 左足用ニープロテクタ ７ａ 上端フランジ部 ７ｂ 下端フランジ部 ７ｃ 上方側延設部 ７ｄ 下方側延設部 ７ｅ 荷重受部 ８ 右足用ニープロテクタ ８ａ 上端フランジ部 ８ｂ 下端フランジ部 ９ アンダーカバー １０ 切欠き １１ 開口 １２ａ 第１脆弱部 １２ｂ 第２脆弱部 １２ｃ 第３脆弱部 １２ｄ 第４脆弱部 １２ｅ 第５脆弱部 １２ａ’ 変形後の第１脆弱部 １２ｂ’ 変形後の第２脆弱部 １２ｃ’ 変形後の第３脆弱部 １２ｄ’ 変形後の第４脆弱部 １２ｅ’ 変形後の第５脆弱部 １３ 着座乗員の膝部 １３’移動後の着座乗員の膝部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】車両の座席の前方に配設されて、上記車両
   の正面衝突時に前方へ向けて移動する着座乗員の膝から
   の荷重を受ける荷重受部と、 上記荷重受部から伝達される上記荷重により変形して上
   記荷重受部を前方へ変位させる変形部とを有し、 上記荷重受部は上部から下部へ向かうにつれて、上記座
   席の側方側から中心側へ傾斜するよう配設されることを
   特徴とするニープロテクタ。