JP2003220356A - 水性塗料の回収方法および回収システム - Google Patents

水性塗料の回収方法および回収システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料に含まれる不揮発分の回収方法であ
って、必要な設備スペースを縮小し得る新規な方法を提
供する。 【解決手段】 不揮発分を含む水性塗料が希釈されてい
る液状物を濃縮槽13aに供給しながら、濃縮槽13a
内の液状物を濾過器25に通して濾液を除去し、その残
余を濃縮槽13aに戻すことにより循環濃縮して1次濃
縮液を得、得られた1次濃縮液を濃縮槽13bに供給す
る。そして、濃縮槽13bへの1次濃縮液の供給を停止
した状態で、濃縮槽13b内の1次濃縮液を濾過器25
に通して濾液を除去して濃縮槽に戻すことにより循環濃
縮して2次濃縮液を得る。これにより、水性塗料に含ま
れる不揮発分を2次濃縮液の形態で回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗物、例えば自
動車ボディなどを塗装するために用いられる水性塗料の
不揮発分の回収方法、および水性塗料により被塗物を塗
装する塗装方法に関する。更に、本発明は、このような
回収方法および塗装方法をそれぞれ実施するために好適
に利用される回収システムおよび塗装システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、環境への配慮および経済性などの
観点から、従来から一般的に使用されている油性塗料に
代えて、水性塗料が使用され始めて来ている。水性塗料
の利点の1つとして、塗装の際に被塗物に塗着されず、
塗装の用に供しなかった過剰な塗料(本明細書において
オーバースプレー塗料とも言う)の再利用、より詳細に
はオーバースプレー塗料に含まれる不揮発分の再利用が
比較的容易であることが挙げられる。
【0003】例えば、特開平6−142573号公報に
は、オーバースプレー塗料が希釈されて成る希釈液をバ
ッチ式で濃縮し、得られた濃縮液を塗料として再利用す
る塗装方法および塗装システムが記載されている。より
詳細には、まず、塗装を行っている間は、塗装の際に生
じるオーバースプレー塗料を水性媒体で捕集して希釈液
の状態で貯槽する。そして、塗装を停止している間に貯
槽した該希釈液を別の濃縮槽に全量移送する。そして、
この濃縮槽から希釈液を取り出して限外濾過器に通して
濾液を除去し、その残余を濃縮槽に戻すという循環操作
により、濃縮槽内の希釈液の濃度を上昇させ、所定の濃
度にまで濃縮する。これにより得られた濃縮液を塗料と
して再利用することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、水性塗料の1つ
の用途として、自動車ボディの塗装が注目されている。
このような現状において、自動車ボディを水性塗料によ
り塗装する場合にもオーバースプレー塗料の再利用を実
現するため、オーバースプレー塗料(より詳細にはこの
ような塗料に含まれる不揮発分)の回収を効率的に実現
し得る塗装方法および塗装システムの確立が望まれてい
る。
【0005】かかる要望に応えるべく、上記のような従
来の塗装方法および塗装システムを自動車ボディの塗装
にもそのまま応用し、自動車ボディの塗装の際に生じる
オーバースプレー塗料をブース水槽に捕集し、ブース水
槽に貯槽されたブース水の全量を濃縮槽に移送して、従
来の方法と同様にして循環濃縮することにより、水性塗
料(より詳細には水性塗料に含まれる不揮発分)を濃縮
し、回収することが想到され得る。しかし、このような
バッチ式による1段階濃縮操作では、ブース水槽に貯槽
されるブース水の全量を収容し得るような大きな容量の
濃縮槽を設ける必要があり、塗装システム全体が非常に
大きくなり現実的でない。
【0006】被塗物を工業的スケールで塗装する場合、
特に、上記の自動車ボディの例のように、塗装すべき被
塗物が比較的大きい場合には、処理すべきブース水が著
しく多量となるため、システム全体の小型化を図ること
は非常に重要である。
【0007】本発明の目的は、水性塗料に含まれる不揮
発分の回収方法および該回収方法と組み合わせて実施さ
れる塗装方法であって、必要な設備スペースを縮小化し
得る、新規な方法を提供することにある。また、本発明
の目的は、そのような回収方法および/または塗装方法
を実施するために好適に利用されるシステム(または装
置)を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、濃縮操作を2段階に分けて実施し、この2段階
の濃縮操作を単一の濾過器を用いて実施するという観点
に基づいて、本発明を完成させるに至った。
【0009】本発明の1つの要旨によれば、水性塗料に
含まれる不揮発分の新規な回収方法が提供される。本発
明の回収方法においては、まず、不揮発分を含む水性塗
料が水性媒体で希釈されている液状物(以下、このよう
な希釈されている状態の液状物を希釈液とも言う)を濃
縮槽に供給しながら、濃縮槽内の液状物を濾過器に通し
て濾液を除去し、その残余(濃縮液)を濃縮槽に戻すこ
とにより、濃縮槽内の液状物を循環濃縮する。このよう
な操作により、液状物中の不揮発分の濃度を上昇させた
1次濃縮液が得られる。そして、1次濃縮液が入ってい
る濃縮槽への液状物の供給を停止した状態で、濃縮槽内
の1次濃縮液を上記と同一の濾過器に通して濾液を除去
し、その残余(濃縮液)を濃縮槽に戻すことにより、濃
縮槽内の1次濃縮液を循環濃縮する。これにより、1次
濃縮液中の不揮発分の濃度を更に上昇させた2次濃縮液
が得られる。以上のようにして、水性塗料に含まれる不
揮発分を、不揮発分を含む2次濃縮液の形態で回収する
ことができる。
【0010】上記のような本発明の回収方法によれば、
単一の濾過器のみを用いて2段階の濃縮操作を実施して
いるので、バッチ式の1段階濃縮操作により不揮発分を
回収する場合に比べて非常に効率的であり、更に、必要
な設備スペースを縮小化することが可能となる。このよ
うな効果は、後述するように、工業的スケールで被塗物
を塗装する場合に生じるブース水などを処理するのに適
する。
【0011】以下、本明細書において、希釈液を濃縮槽
に供給しながら、濃縮槽内の液状物を循環濃縮して1次
濃縮液を得る操作を1段階目の濃縮操作(工程(a))
とも言い、その後の、1次濃縮液が入った濃縮槽への液
状物の供給を停止した状態で、濃縮槽内の1次濃縮液を
循環濃縮して2次濃縮液を得る操作を2段階目の濃縮操
作(工程(b))とも言うものとする。
【0012】尚、本明細書において、単に「液状物」と
言うときは、希釈液(即ち、不揮発分を含む水性塗料が
水性媒体で希釈されている液状物)のみならず、濾過に
より濾液を除去した残余の濃縮液、該濃縮液と希釈液の
混合物、1次濃縮液および2次濃縮液を含む包括的な概
念を指すものとして理解されるべきである。
【0013】水性塗料は、一般的には不揮発分と水性媒
体とを含む。水性塗料を構成する水性媒体および液状物
(または希釈液)にて水性塗料を希釈している水性媒体
は、一般的には水などの分子量が比較的小さな揮発分で
あり、不揮発分とは区別され得る。水性塗料の構成成分
である「不揮発分」は、通常、水性媒体よりも大きい分
子量を有する。このような水性塗料が希釈されている液
状物を濾過すると、小さい分子量を有する水性媒体はフ
ィルター(濾材)を通過して濾液側に移動し得るが、不
揮発分はフィルターを通過せず、フィルターの上流側に
残留する。よって、水性塗料に含まれる不揮発分は、本
発明の方法における濾過器での濾過により濃縮可能であ
る。
【0014】本発明において、水性塗料には、一般的な
水性塗料を用いることができる。水性塗料は、通常、塗
膜形成用の樹脂(即ちバインダー樹脂)や塗膜中に取り
込まれる顔料などを不揮発分として含み、濃縮可能な限
り他の構成成分も不揮発分に含まれ得る。不揮発分は、
特に限定されないが、例えば焼付型アルキドメラミン樹
脂などを含み得る。これに加えて、不揮発分は他の成分
を含んでいてよい。
【0015】本発明において、上記希釈液は、不揮発分
を含む水性塗料が水性媒体で希釈された状態のものであ
るが、本発明の実施に際して必ずしも希釈という操作を
要するものではないことに留意されるべきである。希釈
液は、例えばいわゆるブース水槽に溜まるブース水など
であり得る。本発明において一般的には、濾液として水
性塗料にもともと含まれていた水性媒体と、水性塗料を
希釈している水性媒体とを含む混合物が、濾過器により
濾液として除去されることとなる。また、水性塗料が親
水性有機溶剤を含む場合には、該親水性有機溶剤も該混
合物に含まれて濾液として除去され得る。
【0016】水性塗料を希釈している水性媒体には、任
意の適切な水性媒体を用いることができ、好ましくは水
性塗料の構成成分である水性媒体と同様の組成を有する
ものを用い得る。しかし、本発明はこれに限定されず、
水性塗料の構成成分である水性媒体と異なる組成を有す
る水性媒体で水性塗料が希釈されていてもよい。
【0017】ある液状物(ブース水などの希釈液および
その濃縮液、例えば1次濃縮液および2次濃縮液を含
む)中の不揮発分の濃度は、不揮発分を含む液状物 約
1.5gに純水 約3gを加えた混合物を約110℃の
乾燥室内に約60分間配置して揮発分(水性媒体および
場合により親水性有機溶剤を含む)を蒸発させ、蒸発せ
ずに残った物の重量W2の、もとの液状物の重量W1
(即ち、1.5g)に対する割合(=W2/W1×10
0(%))を求めることによって測定することができ
る。尚、塗装の際に生じるオーバースプレー塗料を回収
する場合には、塗装した被塗装物の数および塗装に用い
た水性塗料の量などから、ブース水、1次濃縮液および
2次濃縮液中の不揮発分濃度の予測をすることも可能で
ある。
【0018】液状物中の不揮発分濃度を上昇させるため
に本発明において用いる濾過器としては、一般的にはク
ロスフロー式の濾過器、好ましくは限外濾過器を用い得
る。このような濾過器を用いることにより、水性塗料が
水性媒体で希釈された液状物から水性媒体を濾液として
効率的に除去し、回収目的である不揮発分を濃縮するこ
とができる。
【0019】好ましい態様においては、1段階目および
2段階目の濃縮操作を実施するためにそれぞれ別々の濃
縮槽を用いる。より詳細には、第1の濃縮槽および濾過
器を用いて、1段階目の濃縮操作を実施することにより
希釈液を循環濃縮して1次濃縮液とする。得られた1次
濃縮液を第1の濃縮槽から第2の濃縮槽に移送する。こ
のような1次濃縮操作および1次濃縮液の移送は、第2
の濃縮操作を実施する前に1回だけ行ってもよいが、第
2の濃縮槽の容量に応じて、好ましくは複数回繰り返し
て実施する(換言すれば、1次濃縮操作により1次濃縮
液が得られる度に移送する)。次いで、1次濃縮液を貯
槽している第2の濃縮槽および先と同一の濾過器を用い
て、2段階目の濃縮操作を、第2の濃縮槽に濾過器から
戻ってくる濃縮液以外の液状物を供給することなく(ま
たは、希釈液および1次濃縮液のいずれをも供給しない
状態で)実施することにより1次濃縮液を循環濃縮して
2次濃縮液とする。このように、1段階目および2段階
目の濃縮操作を、単一の濾過器とそれぞれ別々の濃縮槽
とを用いて実施することにより、第1の濃縮槽にて1次
濃縮液が得られる度毎に第2の濃縮槽に移送することが
できるので、1つの濃縮槽を用いる場合よりも、不揮発
分濃度が比較的低く、濾過効率(即ち、単位時間あたり
の濾液流量)の高い濃縮操作を第1濃縮槽にて選択的に
実施できるので、1段階目の濃縮操作を実施する際の濾
過器への負担を効果的に低減することができるという更
なる効果を奏し得る。もちろん、このような態様によっ
ても、希釈液の全量をバッチ式で濃縮する場合よりも、
大量の希釈液(例えばブース水)を、より小さい設備ス
ペースにて処理することができるという効果を奏し得
る。
【0020】しかし、本発明の回収方法はこれに限定さ
れず、1段階目の濃縮操作および2段階目の濃縮操作を
単一の濃縮槽を用いて実施してもよい。より詳細には、
それぞれ単一の濃縮槽および濾過器を用い、1段階目の
濃縮操作を実施することにより希釈液を循環濃縮して1
次濃縮液とし、引き続き2段階目の濃縮操作を、該濃縮
槽への希釈液の供給を停止した状態で実施することによ
り1次濃縮液を循環濃縮して2次濃縮液としてもよい。
このような場合でも、希釈液の全量をバッチ式で濃縮す
る場合よりも、大量の希釈液(例えばブース水)を、よ
り小さい設備スペースにて処理することができる。
【0021】好ましい態様においては、2段階目の濃縮
操作を実施した後、1段階目の濃縮操作を再び実施す
る。不揮発分を比較的高濃度で含む2次濃縮液を得るた
めの2段階目の濃縮操作の実施により濾過器(特にフィ
ルター)には不揮発分が付着残留し得るが、2段階目の
濃縮操作の実施後に1段階目の濃縮操作を再び実施し
て、不揮発分濃度の低い液状物(1段階目の濃縮操作の
初期においては実質的に希釈液に等しい液状物)を該濾
過器に通すことにより、不揮発分濃度の低い液状物が洗
浄液と同様の機能を果たし、濾過器を洗浄することが可
能となる。このため、濾過器を洗浄するための洗浄槽や
これに接続されるラインを設ける必要がなく、設備スペ
ースの更なる縮小化が可能となる。
【0022】また、好ましい態様においては、1段階目
の濃縮操作により得られた濾液および/または2段階目
の濃縮操作により得られた濾液の少なくとも一部を、水
性塗料が希釈された希釈液とするための水性媒体、例え
ばオーバースプレー塗料を捕集および希釈するための水
性媒体として利用する。このようにして濾液をリサイク
ルすることにより、廃棄物を削減することができ、回収
方法の効率化を図ることができる。
【0023】本発明の回収方法により得られた2次濃縮
液は、そのままで、あるいは新たな水性塗料および/ま
たは適当な他の材料と混合されて、水性塗料として再利
用され得る。例えば、2次濃縮液は、水性媒体、適切な
有機溶剤、および/または不揮発分が補充混合されて、
水性塗料として再利用され得る。
【0024】以上のような本発明の回収方法は、水性塗
料により被塗物を塗装する塗装方法と組み合わせて実施
され得る。従って、本発明の別の要旨によれば、上述の
ような本発明の水性塗料に含まれる不揮発分の回収方法
と組み合わせて実施される、水性塗料により被塗物を塗
装する塗装方法もまた提供される。本発明の塗装方法に
おいては、まず、被塗物に向けて水性塗料を噴射して被
塗物を水性塗料により塗装すると共に、オーバースプレ
ー塗料を水性媒体で捕集し、不揮発分を含む水性塗料が
水性媒体で希釈されている希釈液(いわゆるブース水)
を得る。この希釈液を用いて上述の1段階目の濃縮操作
を実施する。そして、被塗物の塗装を停止している間に
2段階目の濃縮操作を実施する。被塗物を塗装している
期間(換言すれば希釈液が得られる期間)と、1段階目
の濃縮操作を実施する期間はその全体または一部におい
て時間的に重複していても、いなくてもよい。他方、1
段階目の濃縮操作を実施する期間と2段階目の濃縮操作
を実施する期間は、1段階目の濃縮操作および2段階目
の濃縮操作にて単一の濾過器を用いることから、別々の
期間とする(即ち、重複しないようにする)必要があ
る。
【0025】上記のような本発明の塗装方法によれば単
一の濾過器を用いているので、上述の本発明の回収方法
と同様に、2つの濾過器を要する従来の塗装システムを
利用して塗装する場合に比べて、必要な設備スペースを
縮小化することが可能となる。このような本発明の塗装
方法は、工業的スケールで被塗物を塗装する場合、特
に、自動車ボディのように比較的大きい被塗物を、例え
ばライン生産方式などにより工業的スケールで塗装する
場合に生じる多量のブース水を処理するのに顕著な実益
がある。
【0026】例えば、被塗物の塗装を実施している間
(例えば、ライン生産方式で複数の被塗物を連続的に塗
装している間)は、オーバースプレー塗料を捕集および
希釈してブース水(または希釈液)を得ながら1段階目
の濃縮操作を実施し、被塗物の塗装を停止している間
(例えば、ライン生産方式で複数の被塗物を連続的に塗
装することを停止している間)は2段階目の濃縮操作を
実施することができる。
【0027】特に、1段階目の濃縮操作および2段階目
の濃縮操作を実施するために別々の濃縮槽を用いる場合
には、前者の間は、オーバースプレー塗料を捕集および
希釈してブース水を得ながら1段階目の濃縮操作を実施
し、1次濃縮液が得られる度毎に得られた1次濃縮液の
全量を第1の濃縮槽から第2の濃縮槽に移送するという
操作を繰り返し、そして、後者の間に2段階目の濃縮操
作を実施し得る。尚、前者の間のうち、1次濃縮液を第
1の濃縮槽から第2の濃縮槽に移送する間は、第1の濃
縮槽へのブース水の供給を停止しても、しなくてもよ
く、また、被塗物の塗装を一時的に停止しても、しなく
てもよく、当業者であれば必要に応じて選択し得るであ
ろう。
【0028】しかし、本発明の塗装方法はこれに限定さ
れず、被塗物の塗装を実施している間の期間と塗装を停
止している間の期間との時間的な兼ね合いによっては、
1段階目の濃縮操作および2段階目の濃縮操作を単一の
濃縮槽を用いて実施することも可能である。尚、このよ
うな場合にも、ただ1つの濃縮槽を利用してもよいが、
濃縮槽を2つ利用してもよい。例えば、第1の濃縮槽を
用いて1段階目の濃縮操作および2段階目の濃縮操作を
実施し、次いで、第2の濃縮槽を用いて1段階目の濃縮
操作および2段階目の濃縮操作を実施するように、被塗
物の塗装期間および塗装停止期間に合わせて第1および
第2の濃縮槽を、例えば交互に利用するようにしてもよ
い。
【0029】更に、例えば、被塗物の塗装を実施してい
る間は、第1の濃縮槽を用いて1段階目の濃縮操作を実
施し、1次濃縮液が得られた段階で、希釈液の供給を第
1の濃縮槽から第2の濃縮槽に切り換え、引き続いて第
2の濃縮槽を用いて1段階目の濃縮操作を再び実施す
る。そして、塗装を停止している間に、第1の濃縮槽内
の1次濃縮液を2段階目の濃縮操作に付して2次濃縮液
を得、また、第2の濃縮槽内の液状物(これは、1次濃
縮液と同程度の不揮発分濃度を有することが好ましい)
を濃縮して2次濃縮液を得ることもできる。
【0030】好ましい態様においては、1段階目および
/または2段階目の濃縮操作により得られた濾液の少な
くとも一部を、オーバースプレー塗料を捕集および希釈
するための水性媒体として利用することができる。この
とき、ブース水の量が一定となるように(例えばブース
水の液面が所定の高さとなるように)、再利用する濾液
の量を調節することがより好ましい。
【0031】好ましい態様においては、得られた2次濃
縮液は、本発明の回収方法にて上述したように、そのま
まで、あるいは新たな水性塗料(例えば塗装に用いる前
の初期の水性塗料)および/または適当な他の材料と混
合した後、被塗物を塗装するための水性塗料として再利
用される。これにより、塗装方法の効率化を図ることが
できる。
【0032】本発明の更に別の要旨によれば、不揮発分
を含む水性塗料が水性媒体で希釈されている液状物(例
えばブース水)が供給される第1の濃縮槽と、第1の濃
縮槽内の液状物が供給されるように第1の濃縮槽と接続
された第2の濃縮槽と、第1または第2の濃縮槽内の液
状物から濾液を除去して、その残余を第1または第2の
濃縮槽にそれぞれ戻すように、第1の濃縮槽および第2
の濃縮槽に切り換え可能に接続された濾過器とを備える
回収システムが提供される。
【0033】このような回収システムは、上記1段階目
の濃縮操作および2段階目の濃縮操作を別々の濃縮槽を
用いて実施する場合の上述の本発明の回収方法を実施す
るために好適に利用され得る。
【0034】また、本発明の更に別の要旨によれば、本
発明の回収システムを含む塗装システムであって、被塗
物に向けて水性塗料を噴射して被塗物を水性塗料により
塗装するための塗装ブースと、被塗物に塗着されなかっ
た水性塗料が希釈されているブース水を希釈液として貯
槽するブース水槽とを更に備え、該液状物を第1の濃縮
槽に供給するようにブース水槽と第1の濃縮槽とが接続
されている塗装システムもまた提供される。
【0035】このような塗装システムは、上記1段階目
の濃縮操作および2段階目の濃縮操作を別々の濃縮槽を
用いて実施する場合の上述の本発明の回収方法と組み合
わされて実施される、本発明の塗装方法を実施するため
に好適に利用され得る。
【0036】上記のような本発明の回収システムおよび
/または塗装システムは、従来のものに比べて必要な設
備スペースが縮小化されるので、省スペース化が実現さ
れる。このような効果は、特に、水性塗料が希釈されて
成る多量のブース水を処理するのに顕著な実益がある。
また、本発明の回収システムおよび/または塗装システ
ムは、濾過器により除去される濾液および/または2次
濃縮液を再利用するように構成することもできる。好ま
しくは、再利用する濾液および/または2次濃縮液の量
は、任意の適切な手段により調節され得る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1つの実施形態と
して、塗装システムおよび該塗装システムを用いて実施
される水性塗料の不揮発分の塗装方法(回収システムお
よび該塗装システムを用いて実施される水性塗料の不揮
発分の回収方法を含む)について図面を参照しながら説
明する。尚、本実施形態の塗装システムは、水性塗料お
よび/または濾液(またはオーバースプレー塗料の捕集
および希釈のための水性媒体)のリサイクルシステムと
しても認識され得るであろう。
【0038】図1に示すように、本実施形態の塗装シス
テム40は、概略的には、被塗物である自動車ボディ1
を塗装するための塗装ブース2と、水性塗料が貯槽され
る塗料タンク3と、自動車ボディ1に塗着されなかった
水性塗料が希釈されて成るブース水を貯槽するブース水
槽5と、濃縮タンク13aおよび13bと、濾過器の1
種である限外濾過器25と、濃縮タンク13aおよび1
3bならびに限外濾過器25を用いる2段階の濃縮操作
を経て得られる濃縮液(2次濃縮液)を回収するための
回収タンク33と、限外濾過器25により分離される濾
液を貯槽する濾液タンク31とを備える。ここで、濃縮
タンク13aおよび13bが、本発明のシステムに言う
ところの第1および第2の濃縮槽にそれぞれ対応する。
【0039】限外濾過器25は、濃縮タンク13aまた
は13bからその内部の液状物を取り出して限外濾過器
25に通して濾液を除去し、残余の濃縮液を濃縮タンク
13aまたは13bにそれぞれ戻すように、図1に示す
ようなライン(または配管)構成により濃縮タンク13
aおよび13bに切り換え可能に接続される。
【0040】上記ブース水槽5、濃縮タンク13aおよ
び13bならびに回収タンク33は、ブース水槽5内の
ブース水が濃縮タンク13aに移送され、濃縮タンク1
3a内の液状物(より詳細には1次濃縮液)が濃縮タン
ク13bに移送され、濃縮タンク13b内の液状物(よ
り詳細には2次濃縮液)が回収タンク33に回収される
ように、図1に示すようなライン構成により接続され
る。
【0041】限外濾過器25には、市販の限外濾過器を
使用し得るが、例えばスパイラル型のフィルターを備え
るものを用いることが特に好ましい。しかし、本発明は
これに限定されず、回収すべき水性塗料の不揮発分の分
子量の大きさなどに応じて、他の任意の適切なフィルタ
ー、例えば平膜型、中空糸膜型などのフィルターを備え
る限外濾過器を用いることができる。
【0042】また、塗料タンク3に貯槽される塗装用の
水性塗料には、例えば、不揮発分の1種としてアルキド
メラミン樹脂を含む、いわゆるアルキドメラミン樹脂塗
料を用い得る。しかし、本発明はこれに限定されず、他
の水性塗料を用いてもよい。
【0043】このような本実施形態の塗装システム40
においては、まず、不揮発分を所定濃度で含む水性塗料
を塗料タンク3からライン4を通して移送し、塗装ブー
ス2の内部の自動車ボディ1に向けてスプレー噴射して
自動車ボディ1を水性塗料により塗装する。このとき、
自動車ボディ1に塗着されなかったオーバースプレー塗
料は、ブース水槽5からライン6および7を通って循環
されるブース水および/または濾液タンク31からライ
ン35および7を通して供給される濾液により捕集およ
び希釈され、ブース水としてブース水槽5に貯槽され
る。
【0044】ここで、ブース水槽5のブース水の液面が
ほぼ一定になるように、濾液タンク31からライン35
および7を通してブース水槽5に流入する濾液の量を、
任意の適切な方法/手段によって調節することが好まし
い。また、濾液の他にも、水などの水性媒体を補充的に
用いてもよい。
【0045】ブース水槽5におけるブース水中の不揮発
分の濃度は、好ましくは約5重量%以下(当然に0重量
%より大きい)、好ましくは約0.5〜1.0重量%と
され得る。ブース水中の不揮発分の濃度が大き過ぎる
と、ブース内壁面の接液部の洗浄性が悪くなるため好ま
しくない。また、逆に、ブース水中の不揮発分の濃度が
小さ過ぎると、ブース水槽5の容量をかなり大きくする
必要があるため好ましくない。このため、上記のような
濃度範囲とすることが好ましい。
【0046】次いで、得られたブース水をブース水槽5
からライン11を通して濃縮タンク13aへ移送しなが
ら、濃縮タンク13aおよび限外濾過器25を用いて、
濃縮タンク13a内の液状物が所定の不揮発分濃度を有
する1次濃縮液となるまで循環濃縮される。
【0047】より詳細には、濃縮タンク13aに移送さ
れたブース水をライン14a、15aおよび16を通し
て限外濾過器25に移送し、限外濾過器25にて濾過し
て、好ましくは不揮発分を実質的に含まない濾液と、不
揮発分が濃縮された濃縮液とに分離する。得られた濃縮
液はライン26および28aを通して濃縮タンク13a
に戻し、他方、濾液はライン27を通して濾液タンク3
1に移送する。このような操作を、ブース水槽5からブ
ース水を濃縮タンク13aへ供給しながら連続的に実施
することにより、濃縮タンク13a内の液状物中の不揮
発分濃度が次第に上昇する。やがて、該不揮発分濃度が
十分に上昇し、所定の不揮発分濃度を有する1次濃縮液
となる。
【0048】1次濃縮液中の不揮発分の濃度は、好まし
くは約10〜20重量%とされ得る。1次濃縮液中の不
揮発分の濃度が大き過ぎると、限外濾過器25によって
濾過される濾液の流量(または濾過効率)が低下し、ブ
ース水槽5から濃縮タンク13aに供給されるブース水
を十分に処理できなくなり、ブース水槽5内のブース水
の不揮発分濃度が上昇するため好ましくない。また、逆
に、1次濃縮液中の不揮発分の濃度が小さ過ぎると、濃
縮タンク13aおよび/または13bの容量を大きくす
る必要があるため好ましくない。このため、上記のよう
な濃度範囲とすることが好ましい。
【0049】このようにして1次濃縮液が得られると
(換言すれば、濃縮タンク13a内の液状物中の不揮発
分濃度が所定の濃度となると)、濃縮タンク13aへの
ブース水の供給および濃縮タンク13aから濾過器25
への液状物の供給を停止し、濃縮タンク13a内の所定
の不揮発分濃度を有する液状物を1次濃縮液として、そ
の全量を、例えばライン14a、21および22bを通
して(あるいは、ライン15a、16、26および28
bを通して)濃縮タンク13bに移送する。このような
1次濃縮液の濃縮タンク13aから濃縮タンク13bへ
の移送の間、濃縮タンク13aへのブース水の供給は、
1次濃縮液の不揮発分濃度の変化が特に問題とならない
ときは停止しなくてもよいが、1次濃縮液の不揮発分濃
度を厳密に管理したいときは停止することが好ましい。
また、この間、自動車ボディ1の塗装、より具体的には
塗料の噴射は、ブース水槽5の容量が十分にあれば停止
しなくてもよいが、一時的に停止してもよい。
【0050】以上のような1段階目の濃縮操作および得
られた1次濃縮液の濃縮タンク13aから濃縮タンク1
3bへの移送は、自動車ボディ1の塗装を、例えばライ
ン生産方式で連続的に塗装している間中に亘って(具体
的には、例えば1週間のうちの月〜金曜日または日
中)、繰り返し実施することが好ましい。しかし、これ
に限定されず、1次濃縮液が得られた段階で、自動車ボ
ディ1の塗装を停止してもよい。尚、前者の場合には、
1次濃縮液を2段階目の濃縮操作に付すまでの間、例え
ば、ライン14b、21および22bを通じて液状物を
循環させることにより、濃縮タンク13b内にて撹拌し
ておくことが好ましい。
【0051】その後、濃縮タンク13bおよび限外濾過
器25を用いて、濃縮タンク13b内の液状物が所定の
不揮発分濃度を有する2次濃縮液となるまで循環濃縮さ
れる。
【0052】より詳細には、濃縮タンク13bに移送さ
れた液状物(1次濃縮液)をライン14b、15bおよ
び16を通して限外濾過器25に移送し、限外濾過器2
5にて濾過して、好ましくは不揮発分を実質的に含まな
い濾液と、不揮発分が濃縮された濃縮液とに分離する。
得られた濃縮液はライン26および28bを通して濃縮
タンク13bに戻し、他方、濾液はライン27を通して
濾液タンク31に移送する。このような操作を、濃縮タ
ンク13bへの液状物の供給を停止した状態で連続的に
実施することにより、濃縮タンク13b内の液状物中の
不揮発分濃度が次第に上昇する。やがて、該不揮発分濃
度が更に十分に上昇し、所定の不揮発分濃度を有する2
次濃縮液となる。
【0053】2次濃縮液中の不揮発分の濃度は、初期の
水性塗料中の不揮発分濃度と同程度とされ得る。2次濃
縮液中の不揮発分の濃度が大き過ぎると、不揮発分濃度
の増加に伴って2次濃縮液の粘度も増大し、2次濃縮液
をライン移送する際の圧力損失が大きくなり、場合によ
ってはラインが詰まり得るため好ましくない。また、逆
に、2次濃縮液中の不揮発分の濃度が小さ過ぎると、被
塗物の塗装のための水性塗料としてそのまま再利用した
場合には、塗膜にいわゆる「タレ」を生じ得るため好ま
しくない。このため、上記のような濃度範囲とすること
が好ましい。
【0054】尚、2次濃縮液の不揮発分濃度は、その粘
度を指標として予測することが可能である。特に、後述
するように、2次濃縮液を再利用して塗装のために再び
用いる場合には、その粘度が重視される。
【0055】このようにして2次濃縮液が得られると
(換言すれば、濃縮タンク13b内の液状物中の不揮発
分濃度が所定の濃度となるか、あるいは、該液状物が所
定の粘度を有するようになると)、濃縮タンク13bか
ら濾過器25への液状物の供給を停止し、濃縮タンク1
3b内の所定の不揮発分濃度または粘度を有する液状物
を2次濃縮液として、その全量をライン19を通して回
収タンク33に移送して貯槽する。
【0056】以上のような2段階目の濃縮操作および得
られた2次濃縮液の濃縮タンク13bから回収タンク3
3への移送は、例えば自動車ボディ1の塗装をライン生
産方式で連続的に塗装するのを停止している間、または
定期的に(具体的には、例えば1週間のうちの土および
日曜日または夜間)、バッチ式で実施される。
【0057】この結果、オーバースプレー塗料中の不揮
発分が2次濃縮液の形態で回収タンク33に回収され
る。回収された2次濃縮液は、例えば、ライン37を通
してそのまま単独で、または粘度調整のために水または
濾液などの適当な成分を適当量添加した後(図示せ
ず)、塗料タンク3に供給して、初期の水性塗料(換言
すれば、新鮮な水性塗料)と混合し、自動車ボディ61
の塗装のために塗装システム40内で再利用される。再
利用する2次濃縮液の量、および、粘度調整をする場合
には再利用する2次濃縮液に添加すべき成分の量(また
は割合)などは、任意の適切な方法/手段によって調整
することが好ましい。
【0058】このような、単一の濾過器を利用する2段
階の濃縮操作を繰り返し実施し得る。例えば、1段階目
の濃縮操作およびこれにより得られた1次濃縮液を濃縮
タンク13aから13bに移送し、好ましくはこのよう
な1次濃縮操作および1次濃縮液の移送を複数回繰り返
し、その後、2段階目の濃縮操作を実施し、これにより
得られた2次濃縮液を回収タンクに移送して回収する、
という一連の操作を1サイクルとして、このようなサイ
クルを繰り返し実施し得る。
【0059】特に、少なくとも2段階目の濃縮操作を実
施した後、更に1段階目の濃縮操作を実施することによ
り、2次濃縮液を得た後、濃縮タンク13aから不揮発
分濃度の低い液状物が濾過器25に供給されるので、該
液状物が洗浄液と同様の機能を果たし、更なる部材等を
必要とすることなく濾過器を洗浄することが可能とな
る。
【0060】以上、本発明の1つの実施形態について説
明して来たが、本発明はこれに限定されず、種々の改変
がなされ得ることは当業者には容易に理解されよう。
【0061】例えば、上述の実施形態においては、回収
した2次濃縮液を塗装システム40内で再利用(または
リサイクル)するものとしたが、別の塗装システムおよ
び/または他の用途に利用することも可能である。
【0062】また、例えば、上述の実施形態においては
2つの濃縮タンク13aおよび13bのうち、濃縮タン
ク13aを1段階目の濃縮操作に利用し、濃縮タンク1
3bを2段階目の濃縮操作に利用するものとしたが、1
段階目および2段階目の濃縮操作をいずれの濃縮タンク
を用いて実施するかを任意に選択できるようにライン接
続してもよい。
【0063】より詳細には、例えば図2に示すように、
ブース水槽5と濃縮タンク13bとの間にライン41を
追加し、また、濃縮タンク13aと回収タンク33との
間にライン42を追加する。これにより、ブース水槽5
のブース水を濃縮タンク13aおよび13bのいずれか
に選択的に供給することが可能となる。
【0064】例えば、塗装システム50を用いれば、被
塗物の塗装を実施している間の期間と塗装を停止してい
る間の期間との時間的な兼ね合いにもよるが、以下のよ
うな操作が可能である。濃縮タンク13bにブース水を
供給しながら、限外濾過器25を用いて濃縮タンク13
bにて1段階目の濃縮操作を実施し、次いで、得られた
1次濃縮液を、限外濾過器25を用いてそのまま濃縮タ
ンク13bにて2段階目の濃縮操作を実施し、これによ
り得られる2次濃縮液をライン19に通して回収タンク
33に回収することができる。続くサイクルにおいて
は、今度は濃縮タンク13aにブース水を供給しなが
ら、限外濾過器25を用いて濃縮タンク13aにて1段
階目の濃縮操作を実施し、次いで、得られた1次濃縮液
を、限外濾過器25を用いてそのまま濃縮タンク13a
にて2段階目の濃縮操作を実施し、これにより得られる
2次濃縮液をライン42に通して回収タンク33に回収
することもできる。
【0065】また、塗装システム50を用いれば以下の
ような操作も可能である。自動車ボディ1の塗装をして
いる間、濃縮タンク13aにブース水を供給しながら、
限外濾過器25を用いて濃縮タンク13aにて1段階目
の濃縮操作を実施する。濃縮タンク13a内の液状物の
不揮発分濃度が上昇して1次濃縮液が得られると、ブー
ス水の供給をライン12からライン41に切り換えるこ
とにより、ブース水を濃縮タンク13bに供給する。そ
して、引き続いて、自動車ボディ1の塗装が停止される
まで、限外濾過器25を用いて濃縮タンク13bにて1
段階目の濃縮操作を再び実施する。この間、濃縮タンク
13aに貯槽される1次濃縮液を撹拌しておくことが好
ましい。尚、塗装を停止する時点で、濃縮タンク13b
内の液状物は1次濃縮液となっていても、いなくてもよ
いが、1次濃縮液と近い所定の不揮発分濃度にまで濃縮
されていることが好ましい。やがて、自動車ボディ1の
塗装が停止されると、濃縮タンク13b内の液状物が所
定の不揮発分濃度、好ましくは約10〜20重量%に達
していれば、必要に応じて、限外濾過器25を用いて2
段階目の濃縮操作に付して該液状物を2次濃縮液とし、
得られた2次濃縮液をライン19に通して回収タンク3
3に回収することができる。また、自動車ボディ1の塗
装を停止している間に、濃縮タンク13aに貯槽されて
いる1次濃縮液を限外濾過器25を用いて2段階目の濃
縮操作に付し、濃縮タンク13a内の1次濃縮液を循環
濃縮して2次濃縮液とし、得られた2次濃縮液をライン
42に通して回収タンク33に回収することができる。
尚、ここで、自動車ボディ1の塗装が停止されている間
に行なわれる2次濃縮液を得るための2段階目の濃縮操
作は、濃縮タンク13aおよび13bのいずれ側を先に
実施してもよい。
【0066】以上のように、塗装システム50およびこ
れを用いた上述の塗装方法によれば、1段階目の濃縮操
作を実施した後、2段階目の濃縮操作を実施する前に液
状物を濃縮タンク13aおよび13bの間で移送する必
要がなく、濃縮タンク13aおよび13bのいずれかを
用いて1段階目の濃縮操作を実施し、そのまま2段階目
の濃縮操作を実施することができる。
【0067】また、上述の実施形態においては2つの濃
縮タンクを用いることとしたが、単一の濃縮タンクを用
いて2段階の濃縮操作を行うことも可能である。例え
ば、ブース水を単一の濃縮タンクに供給しながら、単一
の限外濾過器を用いて該濃縮タンクにて1段階目の濃縮
操作を実施することにより1次濃縮液を得、該濃縮タン
クへのブース水の供給を停止して、該限外濾過器を用い
て該濃縮タンクにて引き続き2段階目の濃縮操作を実施
することにより2次濃縮液を得てもよい。
【0068】もちろん、上述の実施形態における自動車
ボディは被塗物の一例に過ぎず、本発明は、任意の適切
な他の被塗物を塗装するために利用され得ることは当業
者に容易に理解され得るであろう。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、水性塗料に含まれる不
揮発分の新規な回収方法が提供される。本発明の回収方
法によれば、単一の濾過器のみを用いて2段階の濃縮操
作を実施しているので、バッチ式の1段階濃縮操作によ
り不揮発分を回収する場合に比べて、必要な設備スペー
スを縮小化することができる。また、不揮発分を回収す
る際に生じる濾液を再利用することができるので効率的
である。
【0070】加えて、本発明によれば、上記のような本
発明の回収方法と組み合わせて実施される塗装方法もま
た提供される。本発明の塗装方法によれば、上記のよう
な効果を奏し得る回収方法を利用しているので、バッチ
式の1段階濃縮操作を行う従来の塗装方法に比べて、必
要な設備スペースを縮小化することが可能となる。この
ような本発明の塗装方法は、工業的スケールで被塗物を
塗装する場合、特に、自動車ボディのように比較的大き
い被塗物を、例えばライン生産方式などにより工業的ス
ケールで塗装する場合に生じる多量のブース水を処理す
るのに顕著な実益がある。また、不揮発分を回収する際
に生じる濾液および2次濃縮液の形態で回収した不揮発
分を再利用することができるので効率的である。
【0071】更に、本発明によれば、上記の本発明の回
収方法および/または塗装方法を実施するために好適に
利用される回収システムおよび/または塗装システムも
また提供される。本発明の回収システムおよび/または
塗装システムによれば、本発明の回収方法および/また
は塗装方法と同様の効果を得ることができ、よって、省
スペース化が実現され、また、より効率的な塗装が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施形態における塗装システ
ムを模式的に示す概念図である。
【図2】 本発明の1つの実施形態の改変例における塗
装システムを模式的に示す概念図である。
【符号の説明】
1 自動車ボディ(被塗物) 2 塗装ブース 3 塗料タンク 5 ブース水槽 13a、13b 濃縮タンク(濃縮槽) 25 限外濾過器(濾過器) 31 濾液タンク 33 回収タンク 40、50 塗装システム 4、6、7、11、12、14a、14b、15a、1
5b、16、19、21、22a、22b、26、2
7、28a、28b、35、37、41、42 ライン
(配管)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA06 HA01 HA41 HA61 KA01 KB13 PA04 PB08 PB35 PC21 4D073 AA01 BB03 DC04 DC09 DC19 DC22 DD02 DD40 4D075 AA71 AA76 AA81 CA47 DA23 DC12 EA06 EA07 EB32 EB36 EB56

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性塗料に含まれる不揮発分の回収方法
    であって、 (a)不揮発分を含む水性塗料が水性媒体で希釈されて
    いる液状物を濃縮槽に供給しながら、濃縮槽内の液状物
    を濾過器に通して濾液を除去し、濃縮槽に戻すことによ
    り、濃縮槽内の液状物を循環濃縮して、不揮発分の濃度
    を上昇させた1次濃縮液とし、 (b)1次濃縮液が入っている濃縮槽への液状物の供給
    を停止した状態で、濃縮槽内の1次濃縮液を該濾過器に
    通して濾液を除去し、濃縮槽に戻すことにより、濃縮槽
    内の1次濃縮液を循環濃縮して、不揮発分の濃度を更に
    上昇させた2次濃縮液とすることを含み、これにより、
    水性塗料に含まれる不揮発分を2次濃縮液の形態で回収
    する回収方法。
  2. 【請求項2】 工程(a)および工程(b)を実施する
    ためにそれぞれ異なる第1および第2の濃縮槽を用い、
    工程(a)を第1の濃縮槽を用いて実施し、これにより
    得られる1次濃縮液を第1の濃縮槽から第2の濃縮槽に
    移送し、その後、工程(b)を第2の濃縮槽を用いて実
    施する、請求項1に記載の回収方法。
  3. 【請求項3】 工程(a)を実施し、これにより得られ
    る1次濃縮液を第1の濃縮槽から第2の濃縮槽に移送す
    る、という操作を繰り返し、その後、工程(b)を実施
    する、請求項2に記載の回収方法。
  4. 【請求項4】 工程(a)および工程(b)を実施する
    ために同一の濃縮槽を用い、工程(a)を第1の濃縮槽
    を用いて実施し、その後、工程(b)を該濃縮槽を用い
    て実施する、請求項1に記載の回収方法。
  5. 【請求項5】 工程(b)を実施した後、工程(a)を
    再び実施する、請求項1〜4のいずれかに記載の回収方
    法。
  6. 【請求項6】 不揮発分を含む水性塗料が水性媒体で希
    釈されている前記液状物中の不揮発分の濃度が5重量%
    以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の回収方
    法。
  7. 【請求項7】 1次濃縮液中の不揮発分の濃度が10〜
    20重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の回
    収方法。
  8. 【請求項8】 濾過器が限外濾過器である、請求項1〜
    7のいずれかに記載の回収方法。
  9. 【請求項9】 工程(a)および工程(b)により得ら
    れた濾液の少なくとも一部を、不揮発分を含む水性塗料
    が水性媒体で希釈されている前記液状物を形成するため
    の水性媒体として利用することを更に含む、請求項1〜
    8のいずれかに記載の回収方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の水性
    塗料に含まれる不揮発分の回収方法と組み合わせて実施
    される、水性塗料により被塗物を塗装する塗装方法であ
    って、 被塗物に向けて水性塗料を噴射して被塗物を水性塗料に
    より塗装する間に、塗装の際に被塗物に塗着されなかっ
    た水性塗料を水性媒体で捕集し、不揮発分を含む水性塗
    料が水性媒体で希釈されている液状物を得、 該液状物を用いて工程(a)を実施し、 被塗物の塗装を停止している間に工程(b)を実施する
    ことを含む、塗装方法。
  11. 【請求項11】 2次濃縮液を、被塗物を塗装するため
    の水性塗料の少なくとも一部として利用することを更に
    含む、請求項10に記載の塗装方法。
  12. 【請求項12】 水性塗料に含まれる不揮発分の回収シ
    ステムであって、 不揮発分を含む水性塗料が水性媒体で希釈されている液
    状物が供給される第1の濃縮槽と、 第1の濃縮槽内の液状物が供給されるように第1の濃縮
    槽と接続された第2の濃縮槽と、 第1または第2の濃縮槽内の液状物から濾液を除去して
    第1または第2の濃縮槽にそれぞれ戻すように、第1の
    濃縮槽および第2の濃縮槽に切り換え可能に接続された
    濾過器とを含む、回収システム。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかに記載の水性
    塗料に含まれる不揮発分の回収方法が実施される、請求
    項12に記載の回収システム。
  14. 【請求項14】 濾過器が限外濾過器である、請求項1
    2または13に記載の回収システム。
  15. 【請求項15】 請求項12〜14のいずれかに記載の
    回収システムを含む塗装システムであって、 被塗物に向けて水性塗料を噴射して被塗物を水性塗料に
    より塗装するための塗装ブースと、 塗装の際に被塗物に塗着されなかった水性塗料が水性媒
    体で希釈されている液状物を貯槽するブース水槽であっ
    て、該液状物を第1の濃縮槽に供給するように第1の濃
    縮槽と接続されたブース水槽とを更に含む、塗装システ
    ム。
  16. 【請求項16】 濾過器により第1または第2の濃縮槽
    内の液状物から除去された濾液の少なくとも一部をブー
    ス水槽に供給するように構成されている、請求項15に
    記載の塗装システム。
  17. 【請求項17】 第2の濃縮槽内の液状物が、塗装ブー
    スにて被塗物を塗装するための水性塗料として利用され
    るように構成されている、請求項15または16に記載
    の塗装システム。
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