JP2003205394A - プレス機のスライド駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】幅広のスライドを備えたプレス機において材料
加工精度を向上できるプレス機のスライド駆動装置を提
供すること。 【解決手段】プレス機Ｍは、前後方向に配置する駆動ク
ランクシャフト５Ａと、駆動クランクシャフト５Ａを間
にして、平行に配置する従動クランクシャフト５Ｂとを
備えて構成される。駆動クランクシャフト５Ａと従動ク
ランクシャフト５Ｂとは、駆動クランクシャフト５Ａの
一端に装着する駆動ギヤ１５と従動クランクシャフト５
Ｂの一端に装着する従動ギヤ１６との歯合によって連結
され、同一タイミングで回転駆動される。一方、各クラ
ンクシャフト５Ａ・５Ｂには、連結杆６・プランジャ８
が配置されて、スライド１０の上部で搬送方向に沿って
３点位置でスライド１０に連結している。これによっ
て、駆動クランクシャフト５Ａの回転によりスライド１
０が往復移動する。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、特に搬送方向に沿
って幅の広いスライドを駆動するプレス機のスライド駆
動装置に関する。 【０００２】 【従来の技術】この種のプレス機は、金型を装着して搬
送された金属材料を打ち抜いたり、曲げたりあるいは絞
るように加工することに適するものであり、上型と下型
とを備えた金型のうち、上型を装着するスライドと、ス
ライドの往復運動を駆動するクランクシャフトとを備え
ている。そして、金属材料を加工する際の加工精度を高
めるために、回転されたクランクシャフトから連結杆を
介して接続されたプランジャを設けている。プランジャ
は、機枠に装着したガイド部で支持されながら上下往復
移動することから、クランクシャフトに連結された連結
杆が、偏心しながらクランクシャフトの回転運動をスラ
イドの直線運動に変換することがあっても、プランジャ
がその偏心荷重を吸収してスライドに伝達することとな
って、スライドの往復直線運動を精度良く行なうことが
できる。 【０００３】しかし、スライド下面の面積が大きいと、
特に、搬送方向に沿って幅広に形成するものであれば、
スライドが金属材料を加工する際に発生する荷重が、ス
ライドの支点となるプランジャの配置された位置に対し
て偏心された位置で荷重を受けることとなって、スライ
ド下面を変形させて材料の加工精度を低下させてしま
う。このことから、従来においては、スライド下面の大
きいものは、一般に、搬送方向に沿ってスライドの両端
に２本のプランジャでスライドを２点支持するか、又
は、図４に示すように、３本のプランジャを配設してス
ライドを３点支持するように構成していた（特開平８−
１１８０８４号参照）。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】しかし、スライドを２
点支持する場合でも、搬送方向におけるスライドの幅の
広いものであれば、スライドに負荷がかかった場合、ス
ライド下面の変形量は距離の３乗に比例して大きくなっ
てしまう。従って、スライド下面の変形量を少なくする
ためには、一つにはスライドの断面二次モーメントを大
きくすることが考えられた。しかし、スライドの断面二
次モーメントを大きくすることは、スライド重量が増加
して運動特性を低下させる要因となり動的制度の低下、
機械の大型化を招いてしまうこととなっていた。 【０００５】また、特開平８−１１８０８４号に示され
るスライドの３点支持による構成のプレス機Ｍ１の場
合、図４に示すように、スライド２１は材料の搬送方向
に沿って配置される１本のクランクシャフト２２に３本
のコネクチィングロッド２３・プランジャ２４で連結さ
れていることから、動的精度を向上することができるも
ののクランクシャフト２２を極めて長く形成しなければ
ならない。 【０００６】材料の加工精度を向上するためには、クラ
ンクシャフト２２が高精度で加工されることが条件であ
り、搬送方向に沿ってスライド２１の幅が広くなればな
るほどその加工精度が低下しやすい。例えば、スライド
２１を４点以上で支持するようになれば、スライド２１
の搬送方向における幅がさらに広く形成することとなっ
て、さらに高精度でクランクシャフト２２を加工するこ
とが困難になっていた。 【０００７】本発明は、上述の課題を解決するものであ
り、スライドを３点以上で支持するとともにクランクシ
ャフトを短く形成してクランクシャフトの加工精度及び
材料の加工精度を向上できるプレス機のスライド駆動装
置を提供することを目的とする。 【０００８】 【課題を解決するための手段】本発明に係るプレス機の
スライド駆動装置は、上記の課題を解決するために、以
下のように構成するものである。すなわち、駆動源に連
結する１本の駆動クランクシャフトと、前記駆動クラン
クシャフトの駆動を受けて上下往復移動するスライドを
備えるプレス機のスライド駆動装置であって、前記スラ
イドには、長手方向に沿って少なくとも３本以上のプラ
ンジャが前記スライドと前記駆動クランクシャフトとの
間に装着され、１本のプランジャは、プレス機の前後方
向に向かって配置される前記駆動クランクシャフトに連
結杆を介して連結され、少なくとも他の２本のプランジ
ャは、それぞれ連結杆を介して、前記駆動クランクシャ
フトと平行に配置される従動クランクシャフトに連結さ
れ、前記駆動クランクシャフトと、前記従動クランクシ
ャフトとは、前記駆動クランクシャフトの回転を伝達す
るギヤの歯合によって連結されていることを特徴とする
ものである。 【０００９】 【発明の効果】本発明のプレス機のスライド駆動装置に
よれば、スライドの上下往復移動を駆動する少なくとも
３本以上のクランクシャフトをプレス機の前後方向に向
かって並設するように配置することにより、各クランク
シャフトがスライドに対して１点支持することとなっ
て、その長さを極めて短くすることができて、クランク
シャフトの加工精度を向上することができる。 【００１０】しかも、少なくとも３本以上のクランクシ
ャフトのうち、１本のクランクシャフトは、駆動源に連
結する駆動クランクシャフトとして構成されて連結杆及
びプランジャを介してスライドに連結され、少なくとも
２本以上のクランクシャフトは、駆動クランクシャフト
にギヤで歯合されて回転を伝達する従動クランクシャフ
トとして構成されて、それぞれ連結杆及びプランジャを
介してスライドに連結されることから、スライドを駆動
クランクシャフトと同期して駆動することとなって、ス
ライドに対して少なくとも３点以上の支持をするように
構成できる。 【００１１】従って、スライドの重量を増加させること
なくスライドの剛性を向上することができ、大型のプレ
ス機、又は搬送方向に沿って幅広のスライドに好適に使
用することができる。 【００１２】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。 【００１３】実施形態のプレス機Ｍは、図１〜３に示す
ように、スライド１０を３点又は３点以上で支持するよ
うに構成され、門形状に形成されて上部からクラウン
２、コラム３、ベッド４からなる機枠１と、クラウン２
に前後方向（図３中、左右方向）に回動可能に支持され
る３本のクランクシャフト５と、クランクシャフト５の
偏心部（以下、クランクピン部という）５１に枢着され
る連結杆６と、連結杆６に一端がピン７で軸支されるプ
ランジャ８と、プランジャ８の他端に連結されてベッド
４上に装着したボルスタ７に接近・離隔する方向に往復
移動するスライド１０とを備えて構成されている。 【００１４】３本のクランクシャフト５のうち、中央に
配置されるクランクシャフト５は、一端が、プーリ１１
・ベルト１２又はクラッチ部を介してモータ１３に連結
して、モータ１３によって回動駆動される駆動クランク
シャフト５Ａとして構成され、他の２本は、駆動クラン
クシャフト５Ａを間にしてスライド１０の長手方向の両
端部に配置されるとともに駆動クランクシャフト５Ａの
他端に固着する駆動ギヤ１５に歯合可能な従動ギヤ１６
を備える従動クランクシャフト５Ｂとして構成されてい
る。駆動クランクシャフト５Ａは、図２中、従動クラン
ク５Ａの位置に配置してもよいが、できれば、図例に示
すように、中央部に配置して左右の従動クランクシャフ
ト５Ｂに、それぞれ同方向にバランスよく回転駆動させ
ることが望ましい。 【００１５】なお、一端で駆動クランクシャフト５Ａ、
又は従動クランクシャフト５Ｂの各クランクピン部５１
に一端が連結されて他端でプランジャ８に連結されたそ
れぞれの連結杆６は、駆動クランクシャフト５Ａ、又は
従動クランクシャフト５Ｂの回転運動を直線運動に変換
するように構成される。そして、プランジャ８は、クラ
ウン２の下部に図示しない軸受を介して案内支持され連
結杆６によって往復直線運動を行なう。 【００１６】スライド１０は、材料の搬送方向に沿って
幅広に形成され、スライド下面に上型を装着して、ボル
スタ１４上に装着した下型との間に挿通された材料を加
工する際の荷重を受けることができるように形成されて
いる。 【００１７】各クランクシャフト５Ａ・５Ｂの一端に、
例えば、図示しないキーによって装着されるギヤ（駆動
ギヤ１５・従動ギヤ１６）は、平歯車が使用され、駆動
クランクシャフト５Ａ、及び従動クランクシャフト５Ｂ
の各クランクピン部５１が同一角度位置に配置されると
相互に歯合されて、それぞれのクランクシャフト５（駆
動クランクシャフト５Ａと従動クランクシャフト５Ｂ）
が同一タイミングで各クランクシャフト５Ａ・５Ｂとと
もに回転駆動されることとなる。 【００１８】次に、上記のように構成されたプレス機Ｍ
の作用について説明する。 【００１９】モータ８を駆動させることによって駆動ク
ランクシャフト５Ａを正転する。すると、駆動クランク
シャフト５Ａの一端に装着された駆動ギヤ１５が駆動ク
ランクシャフト５Ａとともに正転し、２本の従動クラン
クシャフト５Ｂ・５Ｂの一端に装着されて駆動ギヤ１５
に歯合された従動ギヤ１６・１６が駆動ギヤ１５と逆方
向に回転することとなって、同時に２本の従動クランク
シャフト５Ｂ・５Ｂが駆動クランクシャフト５Ａと逆方
向に回転する。 【００２０】駆動クランクシャフト５Ａと２本の従動ク
ランクシャフト５Ｂとの各クランクピン部５１が同一角
度位置にあることから、スライド１０に３点位置で連結
する各プランジャ８が、同期して上下往復移動を行なう
ことによって、スライド１０に往復直線運動を行なわせ
て、上型と下型間を挿通する材料を加工することとな
る。 【００２１】この際、スライド１０にはスライド下面全
体に荷重がかかることとなり、その荷重はスライド１０
の上部中央部と両端部でスライド１０を支持する３本の
プランジャ８から駆動クランクシャフト５Ａと従動クラ
ンクシャフト５Ｂに伝達されて、機枠１で支持されるこ
ととなる。 【００２２】上記のように、材料搬送方向に沿って幅広
のスライド１０を備えたプレス機Ｍで材料を加工する場
合、クランクシャフト５をプレス機Ｍの前後方向に沿っ
て複数並設することによって、短い長さのクランクシャ
フト５に形成することができ、クランクシャフト５を高
精度で加工できる。しかも、スライド１０は、スライド
下面の長手方向に沿って、中央部と両端部の３点で支持
されることから、スライド１０に幅広く荷重がかかった
としても、荷重はスライド下面にバランスよくかかり、
スライド下面における変形を少なくする。これによっ
て、プレス機Ｍの材料加工精度を向上することができ
る。 【００２３】なお、スライド１０が、長手方向（材料搬
送方向）に沿って、さらに幅広に形成されるものであれ
ば、従動クランクシャフト５Ｂをスライド１０の長手方
向に沿ってさらに追加し、連結杆６・プランジャ８を介
してスライド１０に連結すれば、クランクシャフト５自
体を長くすることなく，高精度のプレス加工を行なうこ
とができる。 【００２４】さらに、従動クランクシャフト５Ｂを、そ
れぞれ逆方向に回転させてスライド１０の往復直線運動
を行なわせるためには、駆動クランクシャフト５Ａに装
着する駆動ギヤ１５と、従動クランクシャフト５Ｂに装
着する一方の従動ギヤ１６との間に中間ギヤを設けるよ
うにしてもよい。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明によるプレス機のスライド駆動装置を示
す正面断面図である。 【図２】同平面断面図である。 【図３】同側面断面図である。 【図４】従来のスライド３点支持によるプレス機のスラ
イド駆動装置を示す正面断面図である。 【符号の説明】 Ｍ プレス機 １ 機枠 ５Ａ 駆動クランクシャフト ５Ｂ 従動クランクシャフト ６ 連結杆 ８ プランジャ １０ スライド １５ 駆動ギヤ １６ 従動ギヤ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 駆動源に連結する１本の駆動クランクシ
   ャフトと、前記駆動クランクシャフトの駆動を受けて上
   下往復移動するスライドを備えるプレス機のスライド駆
   動装置であって、 前記スライドには、長手方向に沿って少なくとも３本以
   上のプランジャが前記スライドと前記駆動クランクシャ
   フトとの間に装着され、 １本のプランジャは、プレス機の前後方向に向かって配
   置される前記駆動クランクシャフトに連結杆を介して連
   結され、 少なくとも他の２本のプランジャは、それぞれ連結杆を
   介して、前記駆動クランクシャフトと平行に配置される
   従動クランクシャフトに連結され、 前記駆動クランクシャフトと、前記従動クランクシャフ
   トとは、前記駆動クランクシャフトの回転を伝達するギ
   ヤの歯合によって連結されていることを特徴とするプレ
   ス機のスライド駆動装置。