JP2003193157A - 銅基合金等の合金とその製造方法並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品 - Google Patents
銅基合金等の合金とその製造方法並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品Info
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Abstract
を調整しながら金属間化合物Cu-Sn-Niを析出させ
ることにより、従来から一般に用いられてきた青銅合金
(CAC406)と同等以上の機械的性質及び切削性を
有し、かつ安価である銅基合金等の合金とその製造方法
並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品を提供すること
にある。 【解決手段】 Sn:0.8〜8.0重量%、Bi:
0.2〜7.0重量%、及びCuからなり、鋳造時にN
iを0.2〜3.0重量%の範囲に調整して、合金中に
Cu-Sn-Ni化合物を析出させることにより、所定の
機械的性質を保持しつつ、切削性を向上させた銅基合金
である。
Description
を保持しつつ、切削性を向上させた銅基合金等の合金と
その製造方法並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品に
関する。
06)は、鋳造性、耐食性、被削性、耐圧性に優れ、溶
融時の湯流れが良好であり、ある程度複雑な形状の鋳物
部品に適しているため、従来より、バルブ、コック、継
手等の一般配管器材などにも多く用いられている。
やすく、重量比で5%程度のPbを含有しているので、
被削性が特に良好であるため、この種の配管器材用の接
水金具に多く使用されている。
に使用する場合、青銅鋳物にほとんど固溶されることな
く含有されている鉛が水中に溶出して水質を悪化させる
結果となる。この現象は、特に前記接水金具内に水が滞
留した場合、顕著となる。そこで、現在、盛んにいわゆ
る鉛レス銅合金の開発が行われ、いくつかの新合金が提
案されている。
公平5−63536号公報では、銅合金中の鉛に代えて
Biを添加し、切削性を上げ、脱亜鉛を防止した鉛レス
銅合金が提案されている。ここでのNiの添加は、一般
的に銅合金に添加することで見出される効果、即ち凝固
温度範囲を狭め、鋳型との反応を抑え、しかも機械的性
質を向上させることのみを狙って添加している。
(CAC406)等にCaを添加して、主にPとの化合
物(CaP、Ca3P2)を形成させ、切削くずを細か
くする作用を得ることにより、切削性を向上した無鉛青
銅が提案されている。CaPの金属間化合物を析出させ
ることを特徴としているが、銅合金中へのCa添加はC
aが活性金属である為、酸化が激しく歩留まりが著しく
低いため実用上使用が困難である。
向上のためのBi添加による鋳造時のポロシティ発生
を、Sbの添加により抑制し、機械的強度を上げた無鉛
青銅が提案されている。また、Niの添加については、
マトリックスの強化と偏析の防止を狙って添加したもの
である。
添加し、置換型金属間化合物として結晶を微細化すると
共に、Bを添加し、侵入型金属間化合物として結晶粒界
強度を補強した青銅鋳物材料が提案されている。
iを添加して切削性、耐焼付性を改善すると共に、S
n、Ni、Pを添加して、耐脱亜鉛性と機械的性質を確
保した無鉛快削青銅合金が提案されている。Ni添加に
ついては、特公平5−63536号公報と同様、銅合金
に対する一般的な効果を狙って添加している。
eとBiの添加により、特にZn-Se化合物を析出さ
せ、機械的性質及び切削性をCAC406と同等とした
青銅合金が提案されている。この場合、Ni添加は結晶
微細化による機械的性質向上を目的としたもので、これ
も上述の特公平5−63536号公報、或は特開200
0−336442公報と同様、銅合金の一般的な効果を
狙ったものに過ぎない。
れている鉛レス銅合金材料は、何れも、従来から一般に
用いられてきた青銅合金(CAC406)と同等の機械
的性質(JIS H5120規定値によれば、引張り強
さ195N/mm2以上、伸び15%以上)を保持しつ
つ、CAC406と同等以上の切削性を確保できる合金
が開発されていないのが現状である。
結果開発に至ったものであって、その目的とするところ
は、青銅基合金等の合金において、Niの添加量を調整
しながら金属間化合物Cu-Sn-Niを析出させること
により、従来から一般に用いられてきた青銅合金(CA
C406)と同等の機械的性質を保持しつつ、CAC4
06と同等以上の切削性を有し、かつ安価である銅基合
金等の合金とその製造方法並びにその合金を用いた鋳塊
・接液部品を提供することにある。
め、請求項1に係る発明は、CuとNiとSnを添加す
ることにより、Cu-Sn-Ni化合物を含有した合金で
ある。
n:0.8〜8.0重量%、Bi:0.2〜7.0重量
%、Ni0.2〜3.0重量%、及びCuからなり、合
金中にCu-Sn-Ni化合物を含有して、所定の機械的
性質を保持しつつ、切削性を向上させた銅基合金であ
る。
n:0.8〜8.0重量%、Bi:0.2〜7.0重量
%、及びCuからなり、鋳造時にNiを0.2〜3.0
重量%の範囲に調整して、合金中にCu-Sn-Ni化合
物を析出させることにより、所定の機械的性質を保持し
つつ、切削性を向上させた銅基合金の製造方法である。
Cu合金を投入し、溶湯成分分析によりNi添加量を調
整しながら、合金中にCu-Sn-Ni化合物を析出させ
るようにした銅基合金の製造方法である。
3.0重量%を含有した銅基合金とその製造方法であ
る。
未満含有した銅基合金とその製造方法である。
用いて、製造した鋳塊(インゴット)と加工成形された
接液部品である。
とその製造方法並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品
の実施形態を説明する。本発明における合金は、Niと
Snを添加することにより、Cu-Sn-Ni化合物を含
有するものであり、特に銅基合金に適用するのが好まし
く、その他Biを含有する鋼、或はアルミニウムなどに
Cu、Sn、Niを添加することによって銅合金と同様
の効果を得ることができる。
%、Bi0.2〜7.0重量%、Ni0.2〜3.0重
量%、及び残部Cuと不可避不純物から成る。この銅基
合金を製造するには、鋳造時にNi0.2〜3.0重量
%の範囲に調整して、合金中にCu-Sn-Ni化合物を
析出させることにより所定の機械的性質を保持しつつ、
切削性を向上させたものであり、この場合、鋳造時に、
Ni-Cu合金を投入し、溶湯成分分析によりNi添加
量を調整しながら、合金中にCu-Sn-Ni化合物を析
出させるのが好ましい。
が、一方Seを含有させる場合は、0.1〜3.0重量
%を含有させる。また、連続鋳造材を製造するには、P
を0.5重量%未満含有させて脱酸材としての機能を発
揮するようにしている。
ット)を中間品として提供したり、上記の合金を加工成
形した接液部品に適用する。この接液部品は、例えば、
飲料水用のバルブ、ステム、弁座、ジスク等のバルブ部
品、水栓、継手等の配管器材、給排水管用機器、接液す
るストレーナ、ポンプ、モータ等の器具或は、接液する
水栓金具、更には、給湯機器などの温水関連機器、上水
ラインなどの部品、部材等、更には、上記最終製品、組
立体等以外にもコイル、中空棒等の中間品にも広く適用
することができる。
範囲とその理由について説明する。 Ni:0.2〜3.0重量% Cu、Snと金属間化合物を形成し切削性を向上させる
と共に、α固溶体に固溶し、マトリックスの強化を図る
ために添加する。Ni0.2重量%以上の添加は、C
u、Snとの金属間化合物を形成するために最低限必要
な含有量である。一方、過多にCu-Sn-Ni化合物を
析出させた場合、機械的性質が低下する。よって、好適
なNi含有量を0.2〜3.0重量%とした。後述する
表1の実施例において、より確実にCu-Sn-Ni化合
物を析出させ、CAC406と同等以上の切削性を実現
できる範囲として、0.6〜1.2重量%が好ましい。
ると共に、α固溶体に固溶し、強度、硬さの向上、及び
SnO2の保護被膜の生成により、耐磨耗性と耐食性を
向上させるために添加する。Cu、Niとの金属間化合
物を形成させるためには、0.8重量%以上の添加が必
要であり、より確実にCu-Sn-Ni化合物を析出させ
るためには、1.0重量%以上の添加が好ましい。他
方、実用上8.0重量%を越えるSnの添加は、ミクロ
ポロシティを増大させると共に、コストアップとなり好
ましくない。より実用的には、3.0〜6.0重量%が
好ましい。
る。加えてCu-Sn-Ni化合物の析出を促進させる効
果がある。実用上有効な量のCu-Sn-Ni化合物の析
出させるためには、Biを0.2重量%以上含有するこ
とが好ましい。また、必要とされる機械的性質を保持す
るためには、Bi含有量を7.0重量%以下とすること
が有効であり、より実用的には、最適な含有量を0.2
〜6.0重量%に設定した。
ためにZn添加は有効である。この目的を達成するため
には、4.0重量%以上のZn含有が好ましい。一方、
10重量%を越えるZnの含有は、Zn蒸気圧が高く作
業環境を著しく悪化させる。更に、鋳造性を考慮する
と、8.0重量%以下の含有が望ましい。よって、Zn
の最適な含有範囲を4.0〜8.0重量%に設定した。
Se、Zn-Snの金属間化合物として存在し、切削性
向上に寄与する。更に、これにより合金中に添加される
Bi量を減ずることが可能となるため、Bi量過多によ
る機械的性質の低下を抑制することができる。Bi添加
量から考慮すると、より実用的な範囲としては0.1〜
1.2重量%が好ましい。
作することを目的として0.5重量%未満添加する。更
に詳しくは、鋳物においては0.1重量%未満の添加で
十分な効果が得られるが、連鋳鋳塊においては0.5重
量%未満の添加が好ましい。
本発明の実施例を説明する。表1に示すように、無鉛青
銅合金であるキーパロイ(株式会社キッツの登録商標)
中にNiを0〜1.05重量%添加し、その時の引張り
強さ、伸び、切削性を試験調査する。尚、表1に示す成
分は引張り試験片を実際に分析した結果であり、特に、
Pb成分は不純物レベルとなっている。
試験片とし、表2に示す条件により鋳造を行う。また、
引張り試験片はJIS(Z2201)4号試験片とし、
アムスラー試験機にて試験を行った。
す。図1、図2に示すようにNiを添加した場合、添加
量の増加に伴い、引張り強さ、伸びが向上し、CAC4
06のJIS規格値を約2割程上回る特性を保持してお
り、市販のCAC406材と同等の機械的強度を有する
ことが確認された。なお、0.79重量%を超えるNi
の添加では、CAC406と同等の機械的強度を有しつ
つも、その値が低下する傾向が認められた。
削物を旋盤にて旋削加工し、バイトに掛かる切削抵抗を
快削用黄銅C3604の切削抵抗を100とした切削性
指数で評価した。表3に切削条件を示す。
ように、Ni添加量0.6重量%を超えた辺りからCA
C406の切削性指数(上記評価基準において約86)
を上回る切削性の向上が認められる。
ルギー分散型X線分析装置)による組織調査と金属組成
観察した結果を示す。 (EDXによる組織調査)EDXにより、キーパロイ
(登録商標)に、Niを1.05重量%添加した場合の
写真を図7、図8並びに図9に示し、CAC406にN
iを1.04重量%添加した場合の組織比較の写真を図
10と図11に示す。この分析によるカラーマッピング
とは、特定の元素がどの場所に存在するかを分析するも
のであり、元素が集中的に存在(偏析)している部分を
黄色で表示するものである。図7、図9のマッピング結
果からCAC406では認められないNiの偏析が認め
られる。更に、図8、図9から本発明合金中では、Ni
がCuとSnとの化合物(Cu-Sn-Ni)となって存
在していることが推察される。また、カラーマッピング
による元素毎の分布状況を調査した結果、図7に示すN
iと図8に示すSnとが似通った分布を示すことが解っ
た。この比較として、CAC406中のカラーマッピン
グによる元素毎の分布状況を図10及び図11に示す。
図10におけるNiは均一に分散しており、図11にお
いてSnはNiの位置に影響を受けることなく結晶粒界
等に位置している。
パロイ(登録商標)に、Niを1.05重量%添加した
場合と、CAC406にNiを1.04重量%添加した
場合の組織比較の写真(×650倍)を図4、図6に示
す。図5はNiを0.95重量%添加したSe抜きのB
i青銅(表1における合金No.8)の組織写真(×6
50倍)である。図4では、Niを添加していないキー
パロイ中に通常認められるBi-Se、Zn-Se、Cu
-Se、Biの他に、主にBiの近傍にCu-Sn-Ni
が認められる。また、図6では、Pbのみが組織中に認
められ、Cu-Sn-Niの発生は全く認められない。図
5は、Biを囲むようにCu-Sn-Niが認められ、そ
の析出量は図4に比べてはるかに多い。
定量分析を行った結果、図9に示すように、Cu-Sn-
Niの金属間化合物が存在することが解った。
添加は添加量の増加と共に機械的性質を向上させるが、
Ni量が0.79%を超えると逆に機械的性質が低下す
る。これについては、EDX及び金属顕微鏡による分析
により、CuとNiとSnの化合物(Cu-Sn-Ni)
が結晶粒界及び粒内に発生するためと思われる。切削性
についてはNi添加0.5%以下では、殆ど変化は認め
られないが、それ以上の添加になると、CuとNiとS
nの化合物の発生に伴い、急激に改善される。即ち、C
u-Sn-Niの金属間化合物がブレークチップの働きを
するものと推察され、Ni1.05%添加では、実にC
AC406を10%上回る切削性を得ることができた。
由は、単独で存在するBiが合金組織中に存在すること
に起因していると思われる。また、Cu-Sn-Ni化合
物の析出が、切削性を向上する理由は、合金中に機械的
性質(硬さや強度など)の異なる異物が点在することに
なり、この金属間化合物を起点に切粉が分断される、い
わゆるブレークチップの働きがあるためと思われる。こ
のようにある一定量のCu-Sn-Ni化合物の析出は、
CAC406と同等の機械的性質を保持しつつ、切削性
を向上させる物質である。
によると、従来から一般に用いられてきた青銅合金(C
AC406)と同等の機械的性質を保持しつつ、CAC
406と同等以上の切削性を有する銅基合金等の合金と
その製造方法並びに鋳塊・接液部品を提供することがで
きる。更に、本発明は、BiやSeの添加量の低減につ
ながり、コストダウンという効果も有している。
係を示したグラフである。
を示したグラフである。
を示したグラフである。
を1.05重量%添加して示した金属顕微鏡写真(×6
50)である。
95重量%添加して示した金属顕微鏡写真(×650)
である。
示した金属顕微鏡写真(×650)である。
i、Se)にNiを1.05重量%添加したカラーマッ
ピングによるNiの分布状況を示した写真である。
i、Se)にNiを1.05重量%添加したカラーマッ
ピングによるSnの分布状況を示した写真である。
る定量分析の結果を示した表である。
たCAC406中のカラーマッピングによるNiの分布
状況を示した写真である。
たCAC406中のカラーマッピングによるSnの分布
状況を示した写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 CuとNiとSnを添加することによ
り、Cu-Sn-Ni化合物を含有したことを特徴とする
合金。 - 【請求項2】 少なくとも、Sn:0.8〜8.0重量
%、Bi:0.2〜7.0重量%、Ni0.2〜3.0
重量%、及びCuからなり、合金中にCu-Sn-Ni化
合物を含有して、所定の機械的性質を保持しつつ、切削
性を向上させたことを特徴とする銅基合金。 - 【請求項3】 少なくとも、Sn:0.8〜8.0重量
%、Bi:0.2〜7.0重量%、及びCuからなり、
鋳造時にNiを0.2〜3.0重量%の範囲に調整し
て、合金中にCu-Sn-Ni化合物を析出させることに
より、所定の機械的性質を保持しつつ、切削性を向上さ
せたことを特徴とする銅基合金の製造方法。 - 【請求項4】 鋳造時に、Ni-Cu合金を投入し、溶
湯成分分析によりNi添加量を調整しながら、合金中に
Cu-Sn-Ni化合物を析出させるようにした請求項3
に記載の銅基合金の製造方法。 - 【請求項5】 Se:0.1〜3.0重量%を含有した
請求項2乃至4の何れかに記載の銅基合金とその製造方
法。 - 【請求項6】 P:0.5重量%未満含有した請求項2
乃至5の何れかに記載の銅基合金とその製造方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の
合金を用いて製造した鋳塊と加工成形された接液部品。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001401196A JP2003193157A (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 銅基合金等の合金とその製造方法並びにその合金を用いた鋳塊・接液部品 |
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- 2001-12-28 JP JP2001401196A patent/JP2003193157A/ja active Pending
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