JP2003192676A - ベンゾトリアゾール化合物及びそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents

ベンゾトリアゾール化合物及びそれを含有する樹脂組成物

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JP2003192676A
JP2003192676A JP2001396044A JP2001396044A JP2003192676A JP 2003192676 A JP2003192676 A JP 2003192676A JP 2001396044 A JP2001396044 A JP 2001396044A JP 2001396044 A JP2001396044 A JP 2001396044A JP 2003192676 A JP2003192676 A JP 2003192676A
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benzotriazole
formyl
phenol
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carbon atoms
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JP2001396044A
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English (en)
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Isao Wada
功 和田
Minoru Yamamoto
実 山本
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Otsuka Chemical Holdings Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Holdings Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長波長領域(350〜400nm)の紫
外線吸収能力が高く、400nm以上の領域に吸収がな
く、樹脂等に添加した場合でも樹脂自身が黄色に着色す
ることのない化合物、及びこの化合物を配合した樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】 式(1)で表されるベンゾトリアゾール
化合物、該ベンゾトリアゾール化合物(1)を有効成分
とする紫外線吸収剤、並びに、合成樹脂に該ベンゾトリ
アゾール化合物(1)の1種又は2種以上を配合してな
る樹脂組成物。 【化1】 〔式中、R及びRは明細書記載のとおり。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、ベンゾトリアゾー
ル化合物及びそれを含有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】セルローストリアセテートフィルムは透
明で優れた物理的、機械的性質を有し、かつ温度湿度変
化に対する寸法変化が少なく、従来から写真フィルム用
ベース、製図トレーシングフィルム、電気絶縁材料など
の広い分野で使用され、最近では液晶ディスプレーの偏
光板用保護フィルムとして使用されている。液晶ディス
プレーの偏光板に使用されるセルローストリアセテート
フィルムは、光透過性、光学的無配向性、偏光板との良
好な接着性、優れた平面性及び紫外線を吸収しやすいこ
と等が要求される。しかしセルローストリアセテートフ
ィルムは、光透過性、光学的無配向性等において優れた
性質を有しているが、例えば紫外線を吸収する性質はな
いため、液晶ディスプレーの紫外線による劣化を防止す
るために、液晶ディスプレーの最も外側に設けられる偏
光板の保護フィルムであるセルローストリアセテートフ
ィルム中に、紫外線吸収剤を添加することが一般的に行
なわれている。
【0003】屋外で使用されるプラスチックは日常太陽
光に暴露され、屋内においては蛍光灯の光に暴露され
る。これら太陽光や蛍光灯の光には290〜400nm
のプラスチックにとって有害な紫外線が存在し、この紫
外線はプラスチックの中の官能基や残存する重合触媒を
励起させ、その結果分解反応が起こりプラスチックを劣
化させる。またプラスチックのうち、ポリオレフィン
類、PET(ポリエチレンテレフタレート)等は食品、
医薬品、衣料等の包装材料に多く用いられているが、こ
れらによって包装された食品、衣料は、フィルムを透過
する紫外線によって鮮度低下、変質あるいは染料の退
色、繊維の黄変等が生じる場合が多々ある。そのためフ
ィルム劣化防止と同時にその内容物の紫外線からの保護
を目的としてこれらのフィルムには紫外線吸収剤が用い
られている。
【0004】日光が人の目、特に白内障の形成に関して
障害をもたらすことがあることは知られている。そのこ
とに最も関係する日光の部分は長波紫外線すなわち近紫
外線領域であり、これは300〜400nmの波長を特
徴とする。この紫外線バンドは水晶体及び網膜中に化学
変化を引き起こすことが知られている。300nm未満
の波長を持つ短波長光は、典型的には大気オゾン層のた
め地表には到達しないが300〜400nmの長波紫外
線の大部分は透過して地表にまで到達することができ
る。その透過性の長波紫外線によって引き起こされる目
の障害の問題は、無水晶体患者においてとりわけ急性で
ある。無水晶体患者は目における主要な紫外線フィルタ
ーである生来の水晶体を失っている。この生来のUVフ
ィルターがないので、無水晶体患者は長波紫外線が引き
起こし得る光化学障害を受けやすい。人の目を保護する
という面において、紫外線が目に達するのを防止するた
めに紫外線吸収剤を眼鏡あるいはコンタクトレンズに混
入することが行なわれている。
【0005】また地上における太陽光線の紫外線領域の
中で、その積算エネルギーが比較的大きい波長領域(3
20〜400nm)を吸収するために、他の多くの屋外
用途でも長波長領域における紫外線吸収性能が高い化合
物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の用途では波長3
00〜400nmの紫外領域の光を吸収するため種々の
紫外線吸収剤が使用されてきた。しかしこれまで使用さ
れてきた紫外線吸収剤では350〜400nmの長波長
領域の光を効率よく吸収できず、充分な効果を得るため
には材料に対する紫外線吸収剤の添加量を多くする必要
があり、この場合本来有している材料自身の物理的、機
械的性質を損なっていた。最近350〜400nmの長
波長領域の光を効率よく吸収するために多くの紫外線吸
収剤が開発され、上記の各用途では、チヌビン326
〔商品名、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチ
ル)フェノール、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ
(株)製〕、スミソーブ150〔商品名、2,2’,4,
4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、住友化学工業
(株)製)等が多く使用されている。しかし、チヌビン
326及びスミソーブ150はλmaxがいずれも35
3nmであり、特に380〜400nmの紫外領域の光
を吸収するにはまだ充分であるとはいえない。さらにこ
れらの化合物は400nm以上の領域にも吸収を持つた
め、化合物自身が黄色であり、これを使用した材料は黄
色く着色するという欠点があった。
【0007】本発明の課題は長波長領域(350〜40
0nm)の紫外線吸収能力が高く、400nm以上の領
域に吸収がなく、樹脂等に添加した場合でも樹脂自身が
黄色に着色することのない化合物、及びこの化合物を有
効成分とする紫外線吸収剤並びにこれを配合した樹脂組
成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1)で表
されるベンゾトリアゾール化合物(以下、「ベンゾトリ
アゾール化合物(1)という)、並びに合成樹脂に該ベ
ンゾトリアゾール化合物(1)の1種又は2種以上を配
合してなる樹脂組成物に係る。
【0009】
【化2】
【0010】〔式中、R及びRは同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖若し
くは分岐のアルキル基、炭素数1〜8の直鎖若しくは分
岐のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、
炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリー
ル基又はアリールアルキル基(炭素数6〜18のアリー
ル部分と炭素数1〜4のアルキル部分)を示す。〕
【0011】本発明のベンゾトリアゾール化合物(1)
は、ベンゾトリアゾール骨格のフェノール部分にホルミ
ル基を導入した化合物であり、最大吸収波長(λma
x)が357nm以上と長波長領域の紫外線吸収能力が
特に高く、且つ波長400nm以上の領域に吸収がほと
んどないことから、従来技術の課題を悉く解決し得る紫
外線吸収剤として有用である。
【0012】
【発明の実施の形態】上記式(1)において、R及び
で示されるハロゲン原子として、例えば、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。炭素数1
〜8の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例え
ば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−オクチ
ル、イソオクチル、tert−オクチル等を挙げること
ができる。炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐のアルコキ
シ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロ
ポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキ
シ、tert−ブトキシ、n−オクトキシ、イソオクト
キシ、tert−オクトキシ等を挙げることができる。
炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シ
クロプロピル、シクロヘキシル、シクロオクチル等を挙
げることができる。炭素数2〜8のアルケニル基として
は、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプ
ロペニル、ブテニル、3−メチル−2−ブテニル等を挙
げることができる。炭素数6〜18のアリール基として
は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等
を挙げることができる。該アリール基には、例えば、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ
ブチル、tert−ブチル等の直鎖又は分岐の炭素数1
〜4のアルキル基が1個又は複数個置換していてもよ
い。アリールアルキル基としては、フェニルメチル、フ
ェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル等
の、アリール部分が炭素数6〜18、好ましくは炭素数
6〜8のアリール基であり且つアルキル部分が炭素数1
〜4の直鎖又は分岐アルキル基であるアリールアルキル
基等を挙げることができる。
【0013】本発明のベンゾトリアゾール化合物(1)
としては、例えば、次に示すものを挙げることができ
る。2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−メチル−6−ホルミル−フェノール、2−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−(t−ブチル)−
6−ホルミル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−4−(t−ペンチル)−6−ホル
ミル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4−(1−メチル−1−フェニルエチル)
−6−ホルミル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリ
アゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−6−ホルミル−フェノール、2−[5−
クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4
−メチル−6−ホルミル−フェノール、2−[5−クロ
ロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−
(t−ブチル)−6−ホルミル−フェノール、2−[5
−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−
4−(t−ペンチル)−6−ホルミル−フェノール、2
−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル]−4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−6−
ホルミル−フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル]−4−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル)−6−ホルミル−フェノール、2
−[5−メトキシ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−
イル]−4−メチル−6−ホルミル−フェノール、2−
[5−メトキシ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル]−4−(t−ブチル)−6−ホルミル−フェノー
ル、2−[5−メトキシ(2H)−ベンゾトリアゾール
−2−イル]−4−(t−ペンチル)−6−ホルミル−
フェノール、2−[5−メトキシ(2H)−ベンゾトリ
アゾール−2−イル]−4−(1−メチル−1−フェニ
ルエチル)−6−ホルミル−フェノール、2−[5−メ
トキシ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ホルミ
ル−フェノール等。
【0014】本発明のベンゾトリアゾール化合物(1)
は、ベンゾトリアゾールのフェノール環上にホルミル基
を導入することにより製造される。フェノール環上にホ
ルミル基を導入する方法としては特に限定はなく、従来
公知の方法を広く利用することができる。例えば、酢
酸−蟻酸、トルフルオロ酢酸、グリセリン−ホウ酸等の
溶媒中にて、ベンゾトリアゾールとヘキサメチレンテト
アラミンとを反応させ、生成するシッフ塩基を加水分解
する方法、塩化アルミニウム等のルイス酸存在下でベ
ンゾトリアゾールとオルト蟻酸エステルとを反応させ、
生成するアセタールを加水分解する方法、アルカリの
存在下ベンゾトリアゾールとクロロホルム、ブロモホル
ム、ヨードホルム、トリクロロ酢酸、抱水クロラール等
とを反応させる方法、ベンゾトリアゾールとシアン化
水素−塩酸等とを反応させた後加水分解する方法、四
塩化チタン、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)等のルイ
ス酸の存在下ベンゾトリアゾールとジクロロメチルアル
キルエーテル等とを反応させる方法、塩化アルミニウ
ムと塩化銅(I)等の存在下、ベンゾトリアゾールに一
酸化炭素と塩化水素等とを作用させる方法、フッ化ホ
ルミル等を触媒として三フッ化ホウ素等を用いる方法、
塩化ホスホリル、ホスゲン、塩化チオニル等の存在
下、N−メチルホルムアニリド、N,N−ジメチルホル
ムアミド等を用いる方法等を挙げることができる。
【0015】また、ベンゾトリアゾールのフェノール環
上にヒドロキシメチル基、メチル基、ハロゲン化メチル
基、アミノメチル基等が置換している場合には、適当な
酸化剤によってホルミル基に変換することができ、アル
ケン、1,2−グリコール、オキシラン、1,2−ケトア
ルコール等が置換している場合には、適当な酸化剤によ
る酸化開裂を経てホルミル基を導入することができ、ア
ルコキシメチル基等が置換している場合には、適当な酸
化剤による酸化反応後、生成したアセタールを加水分解
してホルミル基に変換することができる。
【0016】更に、ベンゾトリアゾールのフェノール環
上が酸ハロゲン化物、酸アミド等である場合や、ニトリ
ル基、エステル、ラクトン、チオールエステル、カルボ
ン酸等が置換している場合には、適当な還元剤によって
ホルミル基に変換することができる。ベンゾトリアゾー
ル化合物のフェノール環上がシッフ塩基、オキシム、ヒ
ドラゾン、フェニルヒドラゾン、セミカルバジド等の場
合は酸及び塩基による加水分解によってホルミル基に変
換することができる。その他の方法としては、ベンゾ
トリアゾールのフェノール環上にメチル基がある場合に
は、光照射下ハロゲンを作用させるか、又はN−ブロモ
スクシンイミド、N−クロロスクシンイミド等との反応
でジハロゲン化メチル体を得、これを加水分解する方
法、ハロゲン化メチルエステル及びその関連化合物を
加水分解する方法、アセチレン類の水和等による方法
等を挙げることができる。
【0017】本発明のベンゾトリアゾール化合物が添加
可能な樹脂は特に限定されるわけではないが、具体的に
はポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィ
ン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可
塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン−
アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレ
ン(AS)樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリフェニレンエー
テル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルエーテルケトン、液晶プラスチック、セルロースト
リアセテート樹脂等を挙げることができる。
【0018】本発明のベンゾトリアゾール化合物は、ベ
ース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好
ましくは0.5〜30重量部の範囲で使用されることが
好ましい。使用量が0.1重量部未満の場合は、樹脂に
高度の耐候性を付与することができず、また50重量部
を越える場合は樹脂の基本物性を損なう。
【0019】本発明のベンゾトリアゾール化合物は、二
つ以上混合して使用することも可能であり、また必要に
応じて他の添加剤、例えば公知の光安定剤、酸化防止
剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、フィラー、顔料、着
色剤等と併用することができる。
【0020】本発明の紫外線吸収剤は、合成樹脂が使用
される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫
外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に
使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とそ
の表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガ
ラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング
材、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗
料、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精
密機器、電子電気機器用部材、各種ティスプレーから発
生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容
器又は包装材、農工業用シート又はフィルム材、印刷
物、染色物、洗顔料等の退色防止剤、日焼け止めクリー
ム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツ
ウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊
維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭内装品、プラスチッ
クレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光
学フィルター、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、
テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表
面コーティング材等を挙げることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより一層明ら
かにするが、何らこれらに限定されるものではない。
尚、以下において単に%とあるのは重量%を意味する。
【0022】実施例1 500mlの三口フラスコに、2−(2−ベンゾトリア
ゾール)−p−クレゾール(チヌビン−P)20.0g
及びトリフルオロ酢酸300mlを入れ、撹拌して溶解
させた後、ヘキサメチルテトラミン12.44gを加え
て加熱し、還流(76℃)させた。20時間後、反応液
を冷却して液体クロマトグラフィーによる定量を行なっ
たところ、目的物である2−(2−ベンゾトリアゾー
ル)−6−ホルミル−p−クレゾール(チヌビン−Pの
オルトホルミル体)が収率99%で生成していた。減圧
下で溶媒を除去したのち水400mlを加えて結晶化を
行なった。得られた結晶を10%塩酸水溶液400ml
で解砕洗浄した後、メタノール400mlで解砕洗浄
し、乾燥後2−(2−ベンゾトリアゾール)−6−ホル
ミル−p−クレゾールが22.0g(収率97%、純度
99%)得られた。さらにシリカゲルクロマトグラフィ
ー(ベンゼンのみ)により精製を行なった後、活性炭処
理、イソプロパノール(IPA)による再結晶を行なっ
て純品の2−(2−ベンゾトリアゾール)−6−ホルミ
ル−p−クレゾールを得た。 1H−NMR(CDCl):δppm:2.44(3
H,s)、7.51(2H,dd、J=6.6,2.7H
z)、7.71(1H,d,J=2.4Hz)、7.96
(2H,dd、J=6.6,2.7Hz)、8.39(1
H,d,J=2.4Hz)、10.54(1H,s)、1
1.91(1H,s)
【0023】実施例2 500mlの三口フラスコに、2−(2−ベンゾトリア
ゾール)−4−(t−ブチル)−フェノール23.7g
及びトリフルオロ酢酸300mlを入れ、撹拌して溶解
させた後、ヘキサメチルテトラミン12.44gを加え
て加熱し、還流(76℃)させた。20時間後、反応液
を冷却して液体クロマトグラフィーによる定量を行なっ
たところ、目的物である2−(2−ベンゾトリアゾー
ル)−4−(t−ブチル)−6−ホルミル−フェノール
が収率98%で生成していた。減圧下で溶媒を除去した
のち水400mlを加えて結晶化を行なった。得られた
結晶を10%塩酸水溶液400mlで解砕洗浄した後、
メタノール400mlで解砕洗浄し、乾燥後2−(2−
ベンゾトリアゾール)−4−(t−ブチル)−6−ホル
ミル−フェノールが25.6g(収率96%、純度98
%)得られた。さらにシリカゲルクロマトグラフィー
(ベンゼンのみ)により精製を行なった後、活性炭処
理、IPAによる再結晶を行なって純品の2−(2−ベ
ンゾトリアゾール)−4−(t−ブチル)−6−ホルミ
ル−フェノールを得た。 1H−NMR(CDCl):δppm:1.39(9
H,s)、7.51(2H,dd、J=6.6,2.7H
z)、7.71(1H,d,J=2.4Hz)、7.96
(2H,dd、J=6.6,2.7Hz)、8.39(1
H,d,J=2.4Hz)、10.54(1H,s)、1
1.91(1H,s)
【0024】実施例3 500mlの三口フラスコに、2−(2−ベンゾトリア
ゾール)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)
−フェノール28.7g及びトリフルオロ酢酸300m
lを入れ、撹拌して溶解させた後、ヘキサメチルテトラ
ミン12.44gを加えて加熱し、還流(76℃)させ
た。20時間後、反応液を冷却して液体クロマトグラフ
ィーによる定量を行なったところ、目的物である2−
(2−ベンゾトリアゾール)−4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−ホルミル−フェノールが収率
97%で生成していた。減圧下で溶媒を除去したのち水
400mlを加えて結晶化を行なった。得られた結晶を
10%塩酸水溶液400mlで解砕洗浄した後、メタノ
ール400mlで解砕洗浄し、乾燥後2−(2−ベンゾ
トリアゾール)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブ
チル)−6−ホルミル−フェノールが30.5g(収率
95%、純度97%)得られた。さらにシリカゲルクロ
マトグラフィー(ベンゼンのみ)により精製を行なった
後、活性炭処理、IPAによる再結晶を行なって純品の
2−(2−ベンゾトリアゾール)−4−(1,1,3,3
−テトラメチルブチル)−6−ホルミル−フェノールを
得た。 1H−NMR(CDCl):δppm:1.06(9
H,s)、1.39(6H,s)、1.46(2H,
s)、7.51(2H,dd,J=6.6,2.7H
z)、7.71(1H,d,J=2.4Hz)、7.96
(2H,dd,J=6.6,2.7Hz)、8.39(1
H,d,J=2.4Hz)、10.54(1H,s)、1
1.91(1H,s)
【0025】実施例4 500mlの三口フラスコに、2−[5−クロロ(2
H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−p−クレゾー
ル23.1g及びトリフルオロ酢酸300mlを入れ、
撹拌して溶解させた後、ヘキサメチルテトラミン12.
44gを加えて加熱し、還流(76℃)させた。20時
間後、反応液を冷却して液体クロマトグラフィーによる
定量を行なったところ、目的物である2−[5−クロロ
(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチ
ル−6−ホルミル−フェノールが収率98%で生成して
いた。減圧下で溶媒を除去したのち水400mlを加え
て結晶化を行なった。得られた結晶を10%塩酸水溶液
400mlで解砕洗浄した後、メタノール400mlで
解砕洗浄し、乾燥後2−[5−クロロ(2H)−ベンゾ
トリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−ホルミル
−フェノールが25.1g(収率96%、純度98%)
得られた。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(ベン
ゼンのみ)により精製を行なった後、活性炭処理、IP
Aによる再結晶を行なって純品の2−[5−クロロ(2
H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−
6−ホルミル−フェノールを得た。 1H−NMR(CDCl):δppm:2.40(3
H,s)、7.17(1H,d,J=1.8Hz)、7.
43(1H,dd,J=9.0,1.8Hz)、7.88
(1H,d,J=9.0Hz)、7.93(1H,s)、
8.16(1H,s)、10.87(1H,s)、11.
91(1H,s)
【0026】試験例1 実施例の各化合物2.0mgを塩化メチレン100ml
に溶解し、光路長2nmの石英セルを使用して紫外可視
吸収スペクトルを測定した。結果を表1に示す。表1よ
りλmaxは357.5nmであり、従来のチヌビン3
26やスミソーブ150よりもかなり長波長シフトして
いた。
【0027】さらに表1には上記化合物及び従来品の3
80nm、400nmにおける吸光度(g/L)を示し
た。上記化合物では380nmにおける吸光度が従来品
に比べて非常に大きく、紫外線領域、特に長波長領域
(350〜400nm)で充分大きな紫外線吸収能力を
示すことがわかる。
【0028】また、通常400nmにおける吸光度(g
/L)が0.1を超える化合物については人の目でもそ
の化合物が黄色く見えるため、従来品のチヌビン326
やスミソーブ150は黄色く着色していることがわか
り、例えばこれら化合物を添加した樹脂は黄色く着色し
ている。しかしながら本発明の化合物では400nmに
おける吸光度(g/L)が0.07以下であり、目視す
る限り白色であるので樹脂に添加しても樹脂自身が黄色
くなることがない。
【0029】
【表1】
【0030】試験例2 ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル又はポリスチレン10
0重量部に対し、本発明の紫外線吸収化合物及び従来の
紫外線吸収化合物を1重量部配合して混合し、射出成形
してJIS2号ダンベルを得た。得られたダンベルをサ
ンシャインウエザーメーターにより所定時間暴露試験に
供した。結果を表2に示す。なお、試験条件は次の通り
である。
【0031】<暴露試験> 使用機種:デューサイクルサンシャインウエザーWEL
−SUN−DC、スガ試験機(株)製、光源:カーボン
アーク、降雨サイクル:120分毎に18分降雨、温
度:ブラックパネル80℃
【0032】
【表2】
【0033】表2から、本発明の紫外線吸収剤を用いた
組成物(本発明品)が従来の紫外線吸収剤を用いた組成
物(従来品)に比し優れた耐候性を有していることがわ
かる。
【0034】実施例5 500mlの三口フラスコに、2−[5−メトキシ(2
H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−p−クレゾー
ル22.7g及びトリフルオロ酢酸300mlを入れ、
撹拌して溶解させた後、ヘキサメチルテトラミン12.
44gを加えて加熱し、還流(76℃)させた。20時
間還流後、反応液を冷却して液体クロマトグラフィーに
よる定量を行なったところ、目的物である2−[5−メ
トキシ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4
−メチル−6−ホルミル−フェノールが収率97%で生
成していた。減圧下で溶媒を除去したのち水400ml
を加えて結晶化を行なった。得られた結晶を10%塩酸
水溶液400mlで解砕洗浄した後、メタノール400
mlで解砕洗浄し、乾燥後2−[5−メトキシ(2H)
−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−
ホルミル−フェノールが24.1g(収率94%、純度
98%)得られた。さらにシリカゲルクロマトグラフィ
ー(溶出溶媒ベンゼン)により精製を行なった後、活性
炭処理、IPAによる再結晶を行なって純品の2−[5
−メトキシ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]
−4−メチル−6−ホルミル−フェノールを得た。 1H−NMR(CDCl):δppm:2.40(3
H,s)、3.92(3H,s)、7.17(1H,d,
J=1.5Hz)、7.43(1H,dd,J=9.2,
1.5Hz)、7.88(1H,d,J=9.2Hz)、
7.79(1H,dd,J=9.2,1.5Hz)、8.3
1(1H,d,J=1.5Hz)、10.87(1H,
s)、11.06(1H,s)
【0035】
【発明の効果】従来使用されてきた紫外線吸収剤では3
50〜400nmの長波長領域の光を効率よく吸収でき
なかったが、本発明のベンゾトリアゾール化合物(1)
は350〜400nmの長波長領域、特に380〜40
0nmの紫外領域の光を吸収する能力が非常に高く、か
つ400nm以上の領域にほとんど吸収がないことか
ら、樹脂等に添加した場合でも樹脂自身が黄色く着色す
ることがない。また本発明の紫外線吸収性化合物を樹脂
に添加して得られた組成物は従来品に比して耐候性が高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AB021 BB011 BC031 BC061 BD041 BD101 BF021 BG001 BN151 CF001 CF181 CG001 CH071 CH091 CK021 CL001 CL081 CN031 EU176 FD056

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表されるベンゾトリアゾール
    化合物。 【化1】 〔式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐のアル
    キル基、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐のアルコキシ
    基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜8の
    アルケニル基、炭素数6〜18のアリール基又はアリー
    ルアルキル基(炭素数6〜18のアリール部分と炭素数
    1〜4のアルキル部分)を示す。〕
  2. 【請求項2】 合成樹脂に、請求項1のベンゾトリアゾ
    ール化合物の1種又は2種以上を配合してなる樹脂組成
    物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015229759A (ja) * 2014-06-06 2015-12-21 日東電工株式会社 光学用粘着シート

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