JP2003181350A - 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法 - Google Patents

塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法

Info

Publication number
JP2003181350A
JP2003181350A JP2001389222A JP2001389222A JP2003181350A JP 2003181350 A JP2003181350 A JP 2003181350A JP 2001389222 A JP2001389222 A JP 2001389222A JP 2001389222 A JP2001389222 A JP 2001389222A JP 2003181350 A JP2003181350 A JP 2003181350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
chamber
gas
support
bead
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001389222A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironobu Iwashita
広信 岩下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2001389222A priority Critical patent/JP2003181350A/ja
Publication of JP2003181350A publication Critical patent/JP2003181350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーターエッジに対し支持体進行方向上流側
のビード部での気液界面での反応や乾燥による塗布スジ
を防止し、特に有機溶剤系塗布液で反応性の高い素材を
使用する高粘度かつ高揮発性の塗布液(例えば熱現像感
光材料の塗布液)でも塗布故障を生じない塗布装置およ
び塗布方法を提供する。 【解決手段】 バックアップロールで保持され連続的に
走行している支持体表面に、バックアップロールに対向
し設置されている押出しコーターにより有機溶剤系塗布
液を塗布する塗布装置を用い、塗布ビード上流側を酸素
濃度0.5〜8%、かつ、有機溶剤の関係湿度が80〜
100%、水分量が0.5〜5Vol%の不活性ガスを
主たる成分としたガスを満たして塗布することを特徴と
する塗布方法、塗布装置及び該塗布装置による熱現像感
光材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗布装置、塗布方
法及び熱現像感光材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、支持体上に塗布液を塗布する塗布
工程では様々な塗布方式が存在する。その塗布方式は大
きく2つに大別される。一つは必要な塗布液膜を形成す
る量だけ塗布液を吐出させて支持体上に塗布液を塗布す
る前計量型塗布方式、もう一つはあらかじめ必要な塗布
液膜形成量よりも余剰な塗布液を支持体上に吐出させ、
その後なんらかのかきとり手段で余剰分を取り除く後計
量型塗布方式である。後計量型塗布方式としては、ブレ
ード型塗布方式、エアーナイフ型塗布方式、ワイヤーバ
ー型塗布方式などが挙げられる。また、前計量型塗布方
式としては、エクストルージョン型塗布方式、カーテン
型塗布方式、スライド型塗布方式などが挙げられる。
【0003】写真感光材料などの製造工程における塗布
では、塗布精度の高さ、高品位性、支持体の影響(し
わ、ツレなど)の受けにくさから、エクストルージョン
型塗布方式およびスライド型塗布方式が採用されること
が多かった。
【0004】この2つの塗布方式における塗布装置と
は、支持体に均一に塗布液膜を形成するため塗布液を供
給する所謂ダイヘッドと連続走行する支持体表面を均一
に保持させるためのバックアップロールとから構成され
ている。これらの塗布方法はダイヘッドのスリットより
塗布液を吐出させリップとよばれる部分とバックアップ
ロールに保持された連続走行する支持体表面との間隙に
ビード(液だまり)を形成させつつ塗布する方法であ
り、ダイヘッドは二つ以上のブロックを組み合わせ、塗
布液を供給する供給口と、供給された塗布液を幅方向に
一旦溜めるためのマニホールドと、マニホールドから塗
布液を均一に吐出するためのスリットを有しており、ブ
ロックの組み合わせ数により単層から多層塗布が可能と
なる塗布方法である。
【0005】エクストルージョン型塗布方式に関して
は、特開昭56−95363号、同50−142643
号各公報に開示されている単層での塗布方法、および特
開昭45−12390号、同46−236号に開示され
ている重層塗布方式に関するものなど多くの技術が開示
されている。
【0006】こうした塗布方式により塗布を行うとき
に、使用される塗布液が有機溶剤系である場合とくに熱
現像感光材料(以後単に感光材料ともいう)の塗布液の
ような反応性の高い素材を使用した塗布の場合、塗布し
ている最中にコーターエッジに対し支持体進行方向上流
側のビード部での気液界面にて塗布液が反応したり乾燥
したりし、フロントエッジ部のビードが不均一になり、
塗布スジを発生させる塗布故障が発生する。ダイヘッド
での塗布液乾燥防止方法に関して、特開平6−1143
18号、同7−108213号などがある。これらはダ
イヘッドリップの下流側を有機溶剤にて濡らすことによ
り乾燥を防止している。
【0007】しかし、これら方法の問題点として、ダイ
ヘッドリップ下流側は乾燥防止することができるが、ダ
イヘッドリップ上流側が乾燥防止することができない。
つまり、ダイヘッドリップ下流側から有機溶剤を流下さ
せても、塗布液の上層部に有機溶剤が流下するだけであ
りダイヘッド上流側の外周面には塗布液が付着してしま
い、これが乾燥することで塗布故障を引き起こしてしま
う可能性が高い。さらにダイヘッド上流側の外周面に付
着した塗布液は塗布中支持体に塗布液がすべて塗布され
るため乾燥状態が長く続き、本発明のような高粘度、高
揮発性の熱現像感光材料塗布液では固化してしまい清掃
が非常に困難である。また、ダイヘッドリップ下流側で
は有機溶剤の流下を停めても、下流側外周面を伝わって
有機溶剤が流下して塗布中の塗膜に故障を発生させる可
能性もある。さらには、ビード上流側での反応を防止す
ることが出来ない。
【0008】また、その他に特開昭55−75758号
記載の方法として塗布中リップ近傍にフードを設置して
その内部の有機溶剤濃度を高くする方法が開示されてい
るが、この方式はビード下流側である。そして上流側は
減圧しているために、上流側の反応や乾燥を防止する事
は出来ない。
【0009】特願2000−135726号明細書に
は、塗布工程を酸素濃度2質量%以下、水分量1質量%
以下にすることで乾燥過程における塗膜表面品質を良好
に維持する方法が開示されているが、この方式は乾燥時
の乾燥故障による塗膜表面品質劣化を防止する方法であ
り、スジを防止するものではない。特に、ビード上流側
の乾燥を防止できず、塗布スジ故障を発生させる可能性
がある。
【0010】従来より、反応性の高い塗布液のコーター
エッジに対し支持体進行方向上流側のビード部での気液
界面での反応および乾燥を防止し、塗布スジ故障を防止
する方法についてはあまり知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
溶剤系塗布液の塗布装置および塗布方法において、コー
ターエッジに対し支持体進行方向上流側のビード部での
気液界面での反応や乾燥による塗布スジを防止し、特に
有機溶剤系塗布液で反応性の高い素材を使用する高粘度
かつ高揮発性の塗布液(例えば熱現像感光材料の塗布
液)でも塗布故障を生じない塗布装置および塗布方法を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成された。
【0013】1.バックアップロールで保持され連続的
に走行している支持体表面に、バックアップロールに対
向し設置されている押出しコーターにより有機溶剤系塗
布液を塗布する塗布装置を用い、塗布ビード上流側を酸
素濃度0.5〜8%、かつ、有機溶剤の関係湿度が80
〜100%、水分量が0.5〜5Vol%の不活性ガス
を主たる成分としたガスを満たして塗布することを特徴
とする塗布方法。
【0014】2.前記1記載の塗布方法に用いる塗布装
置が、塗布ビード上流側にチャンバーを設け、供給ガス
流量はチャンバー内部の圧力を計測し、設定圧力になる
ように流量を調整するガス供給装置を有することを特徴
とする塗布装置。
【0015】3.前記1記載の塗布方法に用いる塗布装
置が、塗布ビード上流側にチャンバーを設け、塗布の有
無に合わせて、供給ガス流量を制御する装置を有するこ
とを特徴とする塗布装置。
【0016】4.ビード上流に設けるチャンバーの支持
体入口が、塗布ビードより上部にあることを特徴とする
前記2又は3記載の塗布装置。
【0017】5.支持体長手方向に少なくとも2つ以上
の隣接したチャンバーを設け、ガスの供給口を設けたチ
ャンバーを塗布開始前にあらかじめ支持体に接し、チャ
ンバー内部にガスを満たしてから塗布を開始することを
特徴とする塗布方法。
【0018】6.前記1又は5記載の塗布方法により製
造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
【0019】7.前記2〜4のいずれか1項記載の塗布
装置により製造することを特徴とする熱現像感光材料の
製造方法。
【0020】本発明を更に詳しく説明する。請求項1の
発明は、バックアップロールで保持され連続的に走行し
ている支持体表面に、バックアップロールに対向し設置
されている押出しコーターにて有機溶剤系塗布液を塗布
する塗布装置において、塗布ビード上流側を酸素濃度
0.5〜8%、かつ、有機溶剤の関係湿度が80〜10
0%、水分量が0.5〜5Vol%の不活性ガスを主た
る成分としたガスを満たして塗布を行うことにより、上
流側のビード部での気液界面での反応および乾燥を防止
できる。本発明において上流側とは、コーターを基準と
して、支持体の繰り出される側を示し、下流側とは反対
側を示す。
【0021】請求項2の発明は、ビード上流側のチャン
バーへの供給流量はチャンバー内部の圧力を計測し、設
定圧力になるように流量を調整する事と、請求項3の発
明は、塗布の有無に合わせて、供給ガス流量を制御する
ことにより、ビード上流側にガスを満たしながら膜厚変
動が少なく、そして塗布開始直後から安定な塗布が可能
となった。
【0022】請求項4の発明は、ビード上流に設けるチ
ャンバーの支持体入口が、塗布ビードより上部にあるこ
とにより、チャンバー内部への供給ガス量が驚くべきほ
ど低減可能となった。
【0023】請求項5の発明は支持体長手方向に少なく
とも2つ以上の隣接したチャンバーを設け、ガスの供給
口を設けたチャンバーを塗布開始前にあらかじめ支持体
に接し、チャンバー内部にガスを満たしておいてから塗
布を開始する方法により、塗布開始直後から安定な塗布
が可能となった。
【0024】本発明の塗布方法は、連続的に走行してい
る支持体表面にバックアップロールに対向し設置されて
いるダイヘッドのスリットから吐出された塗布液を塗布
する塗布方法、いわゆるエクストルージョン型塗布方法
が好ましい。
【0025】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理に
て写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀
塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀
の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマト
リックス中に分散した状態で含有していることが好まし
い。本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露
光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱すること
で現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として
機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を
生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発
生した潜像の触媒作用によって促進されるので光の量に
応じて画像の形成がなされる。この反応過程は、外部か
ら水等の処理液を供給することなしに進行する。
【0026】また、この熱現像感光材料は支持体上に少
なくとも一層の感光性層を有している。支持体の上に感
光性層のみを形成しても良いが、感光性層の上に少なく
とも1層の非感光性層を形成することが好ましい。感光
性層に通過する光の量または波長分布を制御するために
感光性層と同じ側にフィルター染料層および/または反
対側にアンチハレーション染料層、いわゆるバックコー
ト層を形成しても良いし、感光性層に染料または顔料を
含ませても良い。用いられる染料としては所望の波長範
囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物で
も良いが、例えば特開昭59−6481号、同59−1
82436号、米国特許第4,271,263号、同第
4,594,312号、欧州特許公開533,008
号、同652,473号、特開平2−216140号、
同4−348339号、同7−191432号、同7−
301890号等に記載の化合物が好ましく用いられ
る。
【0027】またこれらの非感光性層には前記のバイン
ダーやマット剤を含有することが好ましく、さらにポリ
シロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのような
スベリ剤を含有してもよい。
【0028】本発明に係る感光性層は複数層にしても良
く、また階調の調節のため感度を高感層/低感層または
低感層/高感層にしても良い。
【0029】感光性層と表面保護層はそれぞれ逐次に塗
布形成してもよいが、同時重層塗布が好ましい。また、
感光性層を複数層にした場合も同様に、逐次に塗布形成
してもよいが、同時重層塗布形成が好ましい。さらに、
支持体上に各層を形成する際は、バックコート層を塗布
形成し乾燥した後、その裏面に感光性層及び表面保護層
を塗布形成しても、その逆に支持体上に感光性層及び表
面保護層を塗布形成し乾燥した後、その裏面にバックコ
ート層を塗布形成しても良い。
【0030】同時重層塗布方式としては複数のスリット
を有するエクストルージョン型塗布方式、スライド型塗
布方式などを採用することができる。また、各層塗布面
の乾燥方式についても特に限定されず、熱風乾燥方式、
赤外線乾燥方式などの乾燥方式を用いることができる。
【0031】本発明に係る感光性ハロゲン化銀について
説明する。本発明に係る感光性ハロゲン化銀は光センサ
ーとして機能する。
【0032】本発明においては、画像形成後の白濁を低
く抑えるため、及び良好な画質を得るために感光性ハロ
ゲン化銀粒子の平均粒子サイズが小さい方が好ましく、
平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.
01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μ
mが好ましい。ハロゲン化銀粒子の形状については、特
に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合
が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には
70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ま
たもう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板粒子
である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を
粒径rμmとして垂直方向の厚みhμmした場合のアス
ペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好
ましくはアスペクト比が3以上50以下である。また粒
径は0.1μm以下であることが好ましく、さらに0.
01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許
第5,264,337号、同第5,314,798号、
同第5,320,958号等に記載されており、容易に
目的の平板状粒子を得ることができる。
【0033】ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩
化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化
銀のいずれであってもよい。
【0034】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学
増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増
感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができ
る。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合
物等の貴金属増感法や還元増感法が適用出来る。
【0035】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチン
を用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀
粒子の核形成時に用いることが好ましい。
【0036】本発明において低分子量ゼラチンは、平均
分子量5万以下のものであり、好ましくは2000〜4
0000、更には5000〜25000である。ゼラチ
ンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定す
ることができる。
【0037】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に下記の一般式(1)で示される化合物を
用いることが好ましい。 一般式(1) YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(C
2CH2O)nY 式中、Yは水素原子、−SO3M、又は−CO−B−C
OOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アン
モニウム基又は炭素原子数5以下のアルキル基にて置換
されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成す
る鎖状又は環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を
pは1〜100を表す。
【0038】上記の一般式で表されるポリエチレンオキ
シド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに
際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に
水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳
剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を攪拌した
り、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤と
して好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として
用いる技術は例えば特開昭44−9497号に記載され
ている。
【0039】本発明において有機銀塩は還元可能な銀源
であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特にこの中で
も長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)
脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ま
しい。配位子が銀イオンに対する総安定度定数として
4.0〜10.0の値をもつようなRD17029及び
29963に記載された有機または無機の錯体も好まし
い。
【0040】本発明に係る有機銀塩は種々の形状におい
て使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特にアスペ
クト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、かつ、最大
面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の
形状異方性を小さくして感光層中での充填を行うため、
主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状
比率の平均値が1.1以上、10未満である粒子が好ま
しい。なお、さらに好ましい針状比率は1.1以上5.
0未満である。
【0041】通常、熱現像感光材料に含有されている有
機銀粒子は、水系の母液中で形成され、多くの場合予め
形成されたハロゲン化銀粒子とここで混合される。最も
一般的な製造過程の概略としては、この後遠心脱水等に
より母液を除きスラリー及び/またはウエットケーキを
得る。次いで乾燥過程を経てドライ粉末を形成し、有機
溶媒及び/またはバインダー中で分散され、調液の後、
支持体に塗布される。
【0042】本発明に係る平板状有機銀塩粒子は必要に
応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した
後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散
粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー
型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型
攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミ
キサ)を使用することができる。
【0043】本発明の熱現像感光材料には還元剤が内蔵
されている。好適な還元剤の例は、米国特許第3,77
0,448号、同第3,773,512号、同第3,5
93,863号、及びResearch Disclo
sure第17029及び29963に記載されてい
る。
【0044】本発明の熱現像感光材料において、上述し
た各成分と共に色調剤、色調付与剤若しくは付活剤トー
ナーと称せられる添加剤(以下色調剤と呼ぶ)が使用さ
れる事が望ましい。色調剤は有機銀塩と還元剤の酸化還
元反応に関与して、生ずる銀画像を濃色、特に黒色にす
る機能を有する。本発明に用いられる好適な色調剤の例
はResearch Disclosure第1702
9号に開示されている。
【0045】本発明の熱現像感光材料は、製造中に或い
は感光材料の経時保存中に生成するカブリの元となる、
微小銀クラスターを漂白するためのハロゲン化カブリ防
止化合物を含有することが好ましい。写真業界で一般に
微小銀クラスターを漂白することが知られている化合物
を、本発明では適用できるが、特に少なくとも1個のハ
ロゲン化基をその上に有するアリール化合物が好まし
く、以下の一般式(2)で示される化合物が好ましい。
【0046】一般式(2) Ar−(SO2y−CH3-l(X)l 式中、yは0または1であり、Xはハロゲン原子であ
り、lは1、2又は3であり、そしてArは芳香族もし
くは複素芳香族基である。
【0047】一般式(2)に含まれる化合物の詳細な列
挙は、米国特許第4,546,075号、同第4,75
6,999号、同第4,452,885号、同第3,8
74,946号および同第3,955,982号に記載
されている。
【0048】本発明の熱現像感光材料に好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィル
ムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、
ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル
酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ
ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン
−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポ
リ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹
脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、
ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、
セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水
性でも非親水性でもよい。
【0049】また感光材料の表面を保護したり擦り傷を
防止するために、感光性層の外側に非感光性層を有する
ことができる。これらの非感光性層に用いられるバイン
ダーは感光性層に用いられるバインダーと同じ種類でも
異なった種類でもよい。
【0050】本発明においては、熱現像の速度を速める
ために感光性層のバインダー量が1.5〜10g/m2
であることが好ましい。さらに好ましくは1.7〜8g
/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が
大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0051】本発明においては、感光性層側にマット剤
を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防
止のために、感光材料の表面にマット剤を配することが
好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対
し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0052】また、支持体をはさみ感光層の反対側に非
感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中
にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべ
り性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット
剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の
反対側の層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜4
0%含有することが好ましい。
【0053】本発明において用いられるマット剤の材質
は、有機物及び無機物のいずれでもよい。マット剤の形
状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形
で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマ
ット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。
本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直
径のことを示すものとする。
【0054】本発明においては上記ハロゲン化カブリ防
止化合物を特開平6−208193号公報に記載された
ようなイソシアネート化合物、米国特許第3,017,
280号明細書、特開平9−5916号公報に記載され
たようなアジリジン化合物、特開平10−186561
号、同9−5916号公報に記載されたエポキシ化合物
等と併用する事によりいっそうのカブリ防止効果を実現
できる。又、米国特許第3,100,704号明細書に
記載されたカルボジイミド化合物も併用したときこれら
に次いで効果のあるカブリ防止化合物である。
【0055】本発明の熱現像感光材料には例えば特開昭
63−159841号、同60−140335号、同6
3−231437号、同63−259651号、同63
−304242号、同63−15245号、米国特許第
4,639,414号、同第4,740,455号、同
第4,741,966号、同第4,751,175号、
同第4,835,096号に記載された増感色素が使用
できる。
【0056】本発明においては、特に赤外に分光感度を
有する増感色素を用いることが好ましい。本発明におい
て、好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例
えば、米国特許第4,536,473号、同第4,51
5,888号、同第4,959,294号等に開示され
ている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0057】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。
【0058】本発明に係るハロゲン化銀粒子には化学増
感を施すことができる。例えば、特願平12−5700
4号明細書及び特願平12−61942号明細書に開示
されている方法等により、硫黄などのカルコゲンを放出
する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴
金属化合物の利用により化学増感中心(化学増感核)を
形成付与できる。
【0059】本発明の熱現像感光材料の好ましい総銀量
は0.5g/m2〜2.4g/m2であり、さらに好まし
くは1.0g/m2〜2.2g/m2である。前記総銀量
は、感光材料の使用目的、条件などに応じて決めること
が出来るが、前記の範囲に調整することにより、感度、
カブリ、保存性能などの性能が良好な熱現像感光材料を
得ることが出来る。
【0060】本発明に用いられる支持体は現像処理後の
画像の変形を防ぐためにプラスチックフィルム(例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、
ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポ
リエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0061】中でも好ましい支持体としては、ポリエチ
レンテレフタレート(以下PETと略す)及びシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラス
チック(以下SPSと略す)の支持体が挙げられる。支
持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは
70〜180μmである。また熱処理したプラスチック
支持体を用いることもできる。採用するプラスチックと
しては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱
処理とはこれらの支持体を製膜後、感光性層が塗布され
るまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高
い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ま
しくは40℃以上高い温度で加熱することがよい。
【0062】
【発明の実施の形態】図1に熱現像感光材料の製造に関
する一般的なエクストルージョン型塗布方式での塗布工
程概略図を示す。支持体1は図示しない巻き出し部より
図示しない支持体清掃手段(ウェブクリーナーなど)を
経てバックアップロール2により保持され矢印方向に走
行し塗布液膜乾燥室(図示しない)を通過し巻き取られ
る。その際、バックアップロール2に対向して配置され
るダイヘッド3により塗布液4が支持体上に塗布され
る。なお、ここでは図示しないが、塗布工程で塗布液膜
の未乾燥によるロール汚れ等の問題となる塗布開始部お
よび塗布終了部における厚膜部分を除去もしくは防止す
る機構が具備されていることが一般的である。
【0063】なお、塗布液はタンク8より送液ポンプ7
により送液され、圧力計10と濾過装置6を通過したの
ちダイヘッド3に導通される。なお、濾過装置の上流側
には濾過装置にかかる塗布液圧力を測定する圧力計が設
けられている。また、ダイヘッド3は塗布位置と待機位
置(塗布準備作業等を行うための退避位置)とを移動さ
せるためのステージ5と、待機位置で流出する塗布液を
廃液するための塗布液受け皿9を具備している。さらに
濾過装置による塗布液の濾過は絶対濾過精度または準絶
対濾過精度が5〜50μmの濾材を少なくとも1回は通
過させることが好ましい。塗布液受け皿は塗布位置にあ
る際にはバックロールに巻きまわされる支持体と接触し
ない位置に具備されており、塗布液の性質や塗布の必要
性に合わせて塗布中に減圧されることもある。また、ダ
イヘッドはスリット中間延長線(ただし、多層ダイヘッ
ドの場合はいずれかのスリット中間延長線)がバックア
ップロール中心を向いていることが好ましい。
【0064】図2にダイヘッド3の塗布幅方向中央部に
おける断面の模式図を示す。ダイヘッドは通常2つ以上
のブロックの組み合わせ(組み合わせはボルトや、油圧
ジャッキなどによる)により構成されている。ダイヘッ
ドは塗布液を支持体幅方向に均一に広げるためのスリッ
ト33、塗布液を内部に溜めるためのマニホールド3
4、マニホールド内に塗布液を導通するための供給口3
5、バックアップロール2に対向しビード(液溜まり)
を形成するリップからなる。リップはスリット33を挟
んで上流側32と下流側31に別れている。
【0065】スリットの間隙値は通常0.05mm〜2
mmの間で塗布液の粘度等物性値から決定される。ただ
し、塗布幅方向の間隙値のばらつきは2%以下が好まし
い。供給口の大きさは任意であり、その位置は通常ダイ
ヘッド塗布幅方向中央である。リップは上流側と下流側
で長さは同じでも異なっていても良い。また、その長さ
は通常0.5mm〜3mm程度の範囲で設定される。
【0066】塗布方法について説明する。ダイヘッドは
塗布位置から充分に離れた待機位置にある状態でポンプ
により塗布液を規定流量で送液し、スリット清掃やリッ
プ清掃などの準備作業を行い、その後支持体を規定速度
で走行させてからステージを移動させダイヘッドを所定
の塗布位置へ移動させることにより塗布を開始する。ま
た、塗布終了時はステージを移動させダイヘッドを所定
の待機位置に移動させることにより行う。なお、移動の
際塗布液は送液したままでも一旦停止してもよい。
【0067】ただし、本発明のような高粘度、高揮発性
有機溶剤系熱現像感光材料塗布液では送液を一旦止めて
しまうとスリットやその近傍で塗布液が固化してしまう
ため行わず、塗布液を送液したまま移動を行う。
【0068】また、所定の塗布位置は任意に設定できる
が、塗布液受け皿での減圧や塗布液物性、塗布性などに
より任意に設定できる。バックアップロール上の支持体
とダイヘッドリップとの最も狭い間隙が通常は支持体上
に塗布される塗布液膜厚みの5倍以下である。
【0069】図3〜図5に本発明のエクストルージョン
型塗布方式での塗布工程におけるダイヘッド近傍概略図
を示す。コータービード上流側に設けたチャンバーが、
図3の様に、支持体進行方向に支持体上流側のチャンバ
ー11、下流側のチャンバー12のごとく2分割で
きるようになっており、チャンバー11は支持体近傍
の所定の位置に設け、内部を所定の溶剤濃度、酸素濃
度、水分量にしておく。チャンバー12はコーターの
前後動と同期して移動し、コーターが支持体から離れて
いる時は、チャンバー12内部は大気で置換される。
また、支持体から離れている時にコーターに塗布液を供
給した場合に、流れ出る塗布液の液受けも兼ねるため
に、液を排出するための弁を開く。塗布時はコーターと
共に、支持体近傍の所定の位置に移動する。そして、液
を排出する弁を閉じ、内部に供給するガスが流出しない
ようにした。ガスの供給口は、図3のごとく、ビードよ
り重力方向上部に搬送上流側のチャンバー11に設け
られ、そしてチャンバー11に供給されたガスは、チ
ャンバー11とチャンバー12の間の間隙を通り抜
け、チャンバー12内に供給されるように、チャンバ
ー11とチャンバー12の支持体との間隙は設定す
る。具体的には支持体との距離は、ギャップ<ギャッ
プ≒ギャップとなるように設定する。ここで、ギャ
ップ21は400μm、ギャップ22およびギャッ
プ23は800μmとした。また、チャンバー両端の
部分は、チャンバー11、チャンバー12共に間隙
を400μmとした。チャンバー11とチャンバー
12は密着性を上げ、ガス漏れを防ぐために、隙間にパ
ッキンを挿入することが好ましい。ここで、チャンバー
は2分割しているが、図5の如く、1つのチャンバーで
も構わない。また、2つ以上に分かれていても構わな
い。
【0070】塗布の有無で、ガスの流量はバルブ15に
より調整する方法が好ましい。特に、塗布をしていない
時は、ガスの流量を0に絞る事で、ガスの無駄な消費を
防ぎ、運転コストを削減する事が出来る。また、有機溶
剤を含んだ不活性ガスの飛散を防ぎ、作業環境への配慮
も出来る。ガス供給系には、気体圧力計16、ガス濾過
装置13及び塗布液排出口14が設けられている。
【0071】本発明では関係湿度は以下の様に示され
る。 ψ=(P/Ps)×100 ψ:関係湿度 P:蒸気圧 Ps:飽和蒸気圧 関係湿度は Robert H. Perry / C
ecil H. Chilton, “Chemica
l Engineers’ Handbook”, 5
th ed., McGraw−Hill,P20−7
に記載されているように、有機溶剤蒸気の混合ガスの
諸特性を示す湿度図表から求める事が可能である。
【0072】又、任意の温度における飽和蒸気圧は、
R.Cリード他著、平田光穂訳、マグロウヒルブック
(株)、「物性推算ハンドブック」第3版、P185に
記載されているAntoine蒸気圧式で推算する事が
可能である。一方、蒸気圧は、江口 彌著、(株)化学
同人、「化学工学量論」P82に記載されているDal
tonの法則、p83のAmagatの法則より、ガス
クロマトグラフで測定した雰囲気中の有機溶剤ガスの容
積比(Vol%)より蒸気圧を推算する事が可能であ
る。
【0073】本発明で用いることのできる不活性ガス
は、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等が挙げられ
るが、コスト的に窒素ガスが好ましい。供給方法として
は高圧ガスボンベから供給する方法、液化ガス貯槽より
液化ガス蒸発器を通過させ供給する方法、PSA(Pr
essure Swing Adsorption:圧
力変動吸着)式空気分離装置を用いて供給する方法、膜
分離方式を用いて供給する方法等が使用可能である。こ
のうち、本発明においては、膜分離式が運転コストが安
価であり最も好ましい。
【0074】有機溶剤を含んだ不活性ガスのチャンバー
内への供給方法は、ガス流量そのものを調整する方法
と、チャンバー内部の圧力を測定し流量を制御する方法
がある。ここでチャンバー内の圧力は、塗布するコータ
ーギャップや塗布液粘度、塗布膜厚、塗布速度にもよる
が、0.1Pa〜20Pa、好ましくは0.1〜10P
aの範囲内で、チャンバー内がチャンバー外よりも高く
なるように不活性ガスの流量を調節することが好まし
い。
【0075】不活性ガス中へ有機溶剤を含ませる事は、
密閉容器内に有機溶剤(たとえばメチルエチルケトン
MEK)を入れ、その内部に不活性ガスを通過させる事
や、例えば熱交換器内で霧吹きすることで達成される。
また、チャンバー内へ供給する有機溶剤を含む不活性ガ
スは、例えば熱交換器を通過させ、必要な温度に温調さ
れる。また冷却、加温の有機溶剤の調湿操作をすること
で、供給する不活性ガス中の有機溶剤量を調整すること
も可能である。
【0076】チャンバー内の水分に関しては、供給され
る不活性ガス中に含まれるもの、あるいは、湿らせる有
機溶剤中に含まれるものもあるが、搬送される支持体の
同伴空気としてチャンバーへ流入するコーター部の大気
に含まれる水分が主である。供給する不活性ガス中の水
分量を極力減らす場合には、液化ガス貯槽より液化ガス
蒸発器を通過させ供給する方法が優れている。
【0077】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の効果を具体的
に説明するが、本発明はこれらの様態に限定されるもの
ではない。
【0078】実施例1 下記記載の感光層塗布液及び保護層塗布液を、感光層塗
布液の目標湿潤膜厚は90μm、保護層塗布液の目標湿
潤膜厚は30μmとなるようにして、市販の2軸延伸熱
固定済みの厚さ175μmPETフィルム上に、バック
ロールでウェブを保持し、図3の様に塗布ビード前にチ
ャンバーを設けた重層ダイコーターにより塗布速度50
m/minにて均一に塗工した。
【0079】この塗膜を、裏面をウェブ案内ロールで支
持し、搬送しながら3つの乾燥ゾーンからなる窒素雰囲
気のイナート乾燥装置へ搬送し、吹き出し口より加熱し
た風を塗膜表面に吹き付けることにより乾燥した。乾燥
ゾーンの温度は第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン全
て70℃で行った。吹き出し口距離300mm、吹き出
し風速7m/sec、シール風量25%で塗膜を乾燥
し、塗膜乾燥後の支持体は搬送し巻取機にて巻き取っ
た。
【0080】(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)水40L中
にイナートゼラチン1.3kg及び0.1M/L臭化カ
リウム160mlを溶解して温度35℃、pHを3.0
に合わせた後、硝酸銀4.5kgを含む水溶液39Lと
(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを
含む水溶液及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当
たり1×10-6モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当た
り1×10-4モルを、pAg7.7に保ちながらコント
ロールドダブルジェット法で添加した。その後4−ヒド
ロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイン
デンを添加し、NaOHでpHを5に調整して平均粒子
サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、
(100)面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。
この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ、脱塩
処理後フェノキシエタノール4.2gを加え、pH5.
9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得
た。
【0081】次に、このハロゲン化銀乳剤に銀1モル当
たり3×10-2モルのチオ硫酸ナトリウムを加え、55
℃にて60分間反応させて化学増感を施した。その後、
ハロゲン化銀乳剤の温度を室温に降温させてから、後記
するカブリ防止剤等を加え、塩化金酸及び無機硫黄で化
学増感を行い、ハロゲン化銀乳剤Aを調製した。
【0082】(ベヘン酸Na溶液の調製)40Lの純水
にベヘン酸1.4kg、アラキジン酸0.42kg、ス
テアリン酸0.25kgを90℃で溶解した。次いで高
速で攪拌しながら、1.5M/Lの水酸化ナトリウム溶
液4.1Lを添加した。次に濃硝酸39Lを加えた後、
55℃に冷却して30分攪拌してベヘン酸Na溶液を得
た。
【0083】(ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤Aのプレ
フォーム乳剤の調製)上記ベヘン酸Na溶液に前記ハロ
ゲン化銀乳剤Aを640g添加し、水酸化ナトリウム溶
液でpH8.1に調整した後に、1M/Lの硝酸銀溶液
6.2Lを加え、20分攪拌し、限外濾過により水溶性
塩類を除去した。得られたベヘン酸銀は平均粒子サイズ
0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフ
ロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の
除去を行った後、乾燥させた。
【0084】(感光層塗布液の調製)上記で得られたプ
レフォーム乳剤に、ポリビニルブチラール(平均分子量
3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)2
3kgとトルエン4.5kgを、徐々に添加して混合し
た後に、4000psiで分散させ感光性乳剤分散物を
得た。
【0085】この分散物を用いて以下の組成の感光層塗
布液を調製した。 メチルエチルケトン 69.9質量% 感光性乳剤分散物 22.8質量% 増感色素−1 0.16質量% ピリジニウムプロミドペルブロミド 0.29質量% 臭化カルシウム 0.16質量% カブリ防止剤−1 0.11質量% 2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 0.87質量% 2−メルカプトベンズイミダゾール 1.05質量% トリブロモメチルスルホキノリン 1.62質量% A−1 2.82質量% フタラジン 0.15質量%
【0086】
【化1】
【0087】〈保護層塗布液の調製〉以下の組成の保護
層塗布液を調製した。
【0088】 メチルエチルケトン 83.1質量% 酢酸セルロース 4.63質量% メタノール 11.1質量% 4−メチルフタル酸 0.36質量% テトラクロロフタル酸 0.30質量% テトラクロロフタル酸無水物 0.34質量% 単分散シリカマット剤(単分散度10%、平均粒子サイズ4μm) 0.14質量% C817−C64−SO3Na 0.020質量% <実験1>表1の如く、塗布する際の条件を変更し、塗
布長10000mを連続塗布した後の、熱現像感光材料
に810nmの半導体レーザーを有するレーザー感光計
で均一に露光した。その後、ヒートドラムを有する自動
現像機を用いて、110℃で1.5の光学濃度になるよ
うに熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、
50%RHに調湿した部屋で行った。その現像済みの塗
布試料をX線写真観察器(シャウカステン)上で塗布ス
ジの本数を数えた。
【0089】チャンバー内の酸素濃度を8%以下、水分
量を5Vol%以下、チャンバー内の溶剤関係湿度を8
0%以上にすることで、スジの本数が激減した。
【0090】
【表1】
【0091】ここで、酸素濃度は、チャンバー内の雰囲
気ガスをサンプリングし理研計器(株)隔膜ガルバニ電
池式酸素濃度計GDF4Aにて計測した。
【0092】窒素ガスを含むチャンバー内の水分量(V
ol%)、および有機溶剤量(Vol%)は、GLサイ
エンス製GC−323Sガスクロマトグラフにて、TC
D式で計測した。この有機溶剤量よりMEK蒸気分圧を
Amagat及びDaltonの法則から推算し、チャ
ンバー内のガス温度からAntoine蒸気圧式よりチ
ャンバー内の飽和蒸気圧を推算した。MEKのAnto
ineの係数はR.Cリード他著、平田光穂訳、マグロ
ウヒルブック(株)、「物性推算ハンドブック」第3版
より引用した。
【0093】チャンバー内のガス温度は、チャンバー内
に測温抵抗体を挿入し計測した。有機溶剤を含む不活性
ガスは、MEKで満たした密閉容器中に、窒素ガスを通
過させ供給した。
【0094】<実験2>チャンバー内圧調整手段を設
け、塗布の有無でチャンバー内の圧力を調整した以外
は、水準1−5と同じ方法で塗布長10000m連続塗
布し作製した熱現像感光材料に、実験1同様、810n
mの半導体レーザーを有するレーザー感光計で均一に露
光した。その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用
いて、110℃で1.5の光学濃度になるように熱現像
処理し、塗布膜厚測定試料とした。その際、露光及び現
像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
【0095】ここで、塗布長に応じたチャンバー内のチ
ャンバー外との差圧と、塗布長に応じた露光後の光学濃
度の濃度分布標準偏差(%)は以下の表2の通りであ
る。
【0096】(400nmにおける光学透過濃度の測
定)島津製作所(株)製 分光光度計UV−1200を
用いて、現像後試料未露光部の部分の400nmにおけ
る透過濃度を幅手方向で等間隔に計200ポイント測定
し、濃度分布標準偏差(%)とした。尚、濃度分布標準
偏差(%)は次式より計算した値である。
【0097】濃度分布標準偏差(%)=200ポイント
の標準偏差/200ポイントの濃度平均値×100
【0098】
【表2】
【0099】内圧調整手段を設けた場合は、塗布先頭か
ら、塗布長経過の幅手膜厚分布の変動が少なく安定であ
った。
【0100】<実験3>コータービード上流側に設けた
チャンバーの支持体出入り口が図3の様に、塗布ビード
より重力方向で上部にある場合と、図4の様に、塗布ビ
ードより重力方向で下部にある場合に、図3と図4の装
置で酸素濃度を3%に維持するのに必要な供給ガス流量
の比は表3の通りである。
【0101】
【表3】
【0102】ガス流量は、「JIS Z 8762(1
995)絞り機構による流量測定方法」に基づき、配管
内に入れたオリフィス前後の差圧を山武製防爆形差圧発
信機にて差圧を計測しその差圧から流量換算した。
【0103】3−2のガス流量比は、水準3−1の流量
を1とした場合の相対的な流量である。すなわち 水準3−2のガス流量÷水準3−1のガス流量=0.2 となる。
【0104】ここでガスは、不活性ガス(窒素ガス)に
有機溶剤(MEK)を含ませるために、ガス流量が多い
ほど、窒素ガス、および有機溶剤の消費量が増え、コス
トもかさむことになる。
【0105】このように、ビードより重力方向上部にあ
る場合、必要なガス流量は下部にある場合の2/10、
すなわち1/5のガス流量で必要な酸素濃度8%を維持
可能となり、ガスの消費量が少なく、より経済的な運転
が可能となった。
【0106】なお、水準1−5と同じ条件で10000
m塗布したところ、両者とも塗布スジの発生は無かっ
た。
【0107】
【発明の効果】本発明によって、有機溶剤系塗布液の塗
布装置および塗布方法において、コーターエッジに対し
支持体進行方向上流側のビード部での気液界面での反応
や乾燥による塗布スジを防止し、特に有機溶剤系塗布液
で反応性の高い素材を使用する高粘度かつ高揮発性の塗
布液(例えば熱現像感光材料の塗布液)でも塗布故障を
生じない塗布装置および塗布方法を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なエクストルージョン型塗布方式での塗
布工程概略図である。
【図2】ダイヘッドの塗布幅方向中央部における断面の
模式図である。
【図3】本発明のエクストルージョン型塗布方式での塗
布工程におけるダイヘッド近傍概略図である。
【図4】本発明の別のエクストルージョン型塗布方式で
の塗布工程におけるダイヘッド近傍概略図である。
【図5】本発明の別のエクストルージョン型塗布方式で
の塗布工程におけるダイヘッド近傍概略図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 バックアップロール 3 ダイヘッド 4 塗布液 5 ステージ 6 濾過装置 7 送液ポンプ 8 タンク 9 塗布液受け皿 10 圧力計 11 チャンバー 12 チャンバー 13 ガス濾過装置 14 塗布液排出口 15 バルブ 16 気体圧力計 21 ギャップ 22 ギャップ 23 ギャップ 30 ブロック 31 下流側リップ 32 上流側リップ 33 スリット 34 マニホールド 35 供給口
フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB01 AB03 AB23 AB25 BA00 BB39 BC00 CB00 CB03 4D075 AC02 AC05 AC16 AC17 AC72 AC80 AC94 AC95 BB56Y CA47 CA48 DA04 DB48 DC27 EA05 EA43 EA45 EB07 EB11 EB15 EB19 EB22 EB31 EB32 EB35 4F041 AA11 AA12 AB02 CA02 CA03 CA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バックアップロールで保持され連続的に
    走行している支持体表面に、バックアップロールに対向
    し設置されている押出しコーターにより有機溶剤系塗布
    液を塗布する塗布装置を用い、塗布ビード上流側を酸素
    濃度0.5〜8%、かつ、有機溶剤の関係湿度が80〜
    100%、水分量が0.5〜5Vol%の不活性ガスを
    主たる成分としたガスを満たして塗布することを特徴と
    する塗布方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の塗布方法に用いる塗布装
    置が、塗布ビード上流側にチャンバーを設け、供給ガス
    流量はチャンバー内部の圧力を計測し、設定圧力になる
    ように流量を調整するガス供給装置を有することを特徴
    とする塗布装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の塗布方法に用いる塗布装
    置が、塗布ビード上流側にチャンバーを設け、塗布の有
    無に合わせて、供給ガス流量を制御する装置を有するこ
    とを特徴とする塗布装置。
  4. 【請求項4】 ビード上流に設けるチャンバーの支持体
    入口が、塗布ビードより上部にあることを特徴とする請
    求項2又は3記載の塗布装置。
  5. 【請求項5】 支持体長手方向に少なくとも2つ以上の
    隣接したチャンバーを設け、ガスの供給口を設けたチャ
    ンバーを塗布開始前にあらかじめ支持体に接し、チャン
    バー内部にガスを満たしてから塗布を開始することを特
    徴とする塗布方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は5記載の塗布方法により製
    造することを特徴とする熱現像感光材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項2〜4のいずれか1項記載の塗布
    装置により製造することを特徴とする熱現像感光材料の
    製造方法。
JP2001389222A 2001-12-21 2001-12-21 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法 Pending JP2003181350A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389222A JP2003181350A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389222A JP2003181350A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003181350A true JP2003181350A (ja) 2003-07-02

Family

ID=27597507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001389222A Pending JP2003181350A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003181350A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005152821A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Toppan Printing Co Ltd 塗布装置及びそれを用いた塗布方法
US20130156965A1 (en) * 2011-12-16 2013-06-20 Fujifilm Corporation Coating apparatus and coating film manufacturing method
WO2017026215A1 (ja) * 2015-08-11 2017-02-16 富士フイルム株式会社 機能性フィルムの製造方法、および、機能性フィルムの製造装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005152821A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Toppan Printing Co Ltd 塗布装置及びそれを用いた塗布方法
JP4590860B2 (ja) * 2003-11-27 2010-12-01 凸版印刷株式会社 塗布装置及びそれを用いた塗布方法
US20130156965A1 (en) * 2011-12-16 2013-06-20 Fujifilm Corporation Coating apparatus and coating film manufacturing method
US9126225B2 (en) * 2011-12-16 2015-09-08 Fujifilm Corporation Coating apparatus and coating film manufacturing method
WO2017026215A1 (ja) * 2015-08-11 2017-02-16 富士フイルム株式会社 機能性フィルムの製造方法、および、機能性フィルムの製造装置
JPWO2017026215A1 (ja) * 2015-08-11 2018-06-21 富士フイルム株式会社 機能性フィルムの製造方法、および、機能性フィルムの製造装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6323154A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料及びその処理方法
JP2003181350A (ja) 塗布装置及び塗布方法並びに熱現像感光材料の製造方法
JP2000225368A (ja) 塗布装置および塗布方法
JP2003126761A (ja) 塗布方法
JP2000015173A (ja) 重層塗布方法及びそれを用いる熱現像感光材料の製造方法
JP2005030682A (ja) 乾燥装置、熱現像感光材料製造装置及びこれらを用いた熱現像感光材料の製造方法
US5306527A (en) Method of coating multilayer photographic elements with reduced ripple defects
JP2004050007A (ja) 塗布方法
JP2003112105A (ja) イナート乾燥装置、シール装置、乾燥方法及び画像形成材料の製造方法
JP2002182333A (ja) 熱現像感光材料の製造方法
JP2002143755A (ja) 塗布方法
JP2005254087A (ja) 多層同時塗布方法
US5223883A (en) Drying device for an automatic developing apparatus
JP2003159555A (ja) 同時重層用スライド型コータ、及び記録材料の製造方法
JP2002263550A (ja) 塗布乾燥装置、搬送方法、塗布乾燥方法及び画像形成材料の製造方法
US6177128B1 (en) Method for predicting coatability
JP2001174949A (ja) 熱現像感光材料の塗布製造方法、塗布製造装置および熱現像感光材料
JP2005329308A (ja) 塗布方法
JP2005157190A (ja) 有機銀塩粒子の製造方法及び熱現像画像記録材料
JP2000117183A (ja) 塗布製造装置及びその塗布製造方法
JP2000321745A (ja) 自動熱現像装置
JP2005058882A (ja) 同時重層用スライド型コータ及び同時重層塗布方法
JP4037574B2 (ja) 熱現像画像記録材料
JP2002028560A (ja) 塗布方法
JP2001312028A (ja) ハロゲン化銀感光材料の塗布方法