JP2003178421A - 記録媒体および記録媒体の製造方法 - Google Patents

記録媒体および記録媒体の製造方法

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JP2003178421A
JP2003178421A JP2002270221A JP2002270221A JP2003178421A JP 2003178421 A JP2003178421 A JP 2003178421A JP 2002270221 A JP2002270221 A JP 2002270221A JP 2002270221 A JP2002270221 A JP 2002270221A JP 2003178421 A JP2003178421 A JP 2003178421A
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Kenji Kuwabara
賢次 桑原
Yukikazu Ochi
幸和 大地
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁変換特性を損なうことなく、走行耐久性
および耐候保存性等の実用信頼性を向上させた記録媒体
を得る。 【解決手段】 非磁性支持体(1)上の一方の面に、金
属薄膜または金属酸化薄膜(2)、保護膜(3)および
潤滑剤層(4)がこの順に形成され、他方の面にバック
コート層(5)が形成されて成る記録媒体であって、保
護膜(3)の表面の表面自由エネルギーを40mN/m
以上とし、潤滑剤層(4)に、表面自由エネルギーが1
5mN/m以上33mN/m未満の範囲にある化合物よ
り成る第1群から選択される少なくとも1種類の化合物
と、表面自由エネルギーが30mN/m以上50mN/
m未満の範囲にある化合物より成る群から選択される少
なくとも1種類の化合物を潤滑剤として含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばデジタルビ
デオテープレコーダ、高精細度ビデオテープレコーダ、
およびコンピュータのデータストレージ機器で使用する
のに適した磁気記録媒体、光記録媒体または光磁気記録
媒体などの記録媒体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、記録の分野においては、記録再生
機器のデジタル化、小型化および使用時間の長時間化等
の高性能化に伴い、それに適した高密度記録媒体の開発
が活発に行なわれている。ここに記録媒体とは、例え
ば、磁気記録媒体、光記録媒体または光磁気記録媒体な
どを含む。最近では塗布型記録媒体に代わって、短波長
記録に極めて有利な、金属薄膜型記録媒体が実用化され
ている。一般に、金属薄膜型記録媒体とは、非磁性支持
体の一方の面に、記録層として金属薄膜または金属酸化
薄膜(もしくは金属酸化物薄膜)から成る記録層を設け
たテープおよびディスク等をいう。潤滑剤層を有する記
録媒体に関して適応される。
【0003】この金属薄膜型記録媒体の記録層は、極め
て良好な表面性を有する、すなわち記録層の面の粗度が
小さいために磁気ヘッドとの接触面積が増えるので、信
号の記録・再生の過程において磁気ヘッドと高速摺動す
る間に大きな摩擦力を受けて摩耗されやすい。記録層の
摩耗は、記録媒体の走行耐久性またはスチル耐久性等に
大きな影響を与えるため、これを低減させることは金属
薄膜型記録媒体の研究開発において大きな課題となって
いる。
【0004】そこで、記録層表面に潤滑剤層を設けるこ
とによって摩耗を低減し、走行耐久性およびスチル耐久
性を改善しようとする試みがなされている。潤滑剤層を
設ける場合、記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシングロ
スによる出力低下を極力抑えて高出力化を図るべく、記
録層表面の潤滑剤層は僅か数nmの厚さで潤滑特性を発揮
することが求められている。そのため、優れた潤滑特性
を示すフッ素系化合物を用いることが広く検討され、各
種化合物の使用が提案されている。そのような化合物と
して、例えば、化学式(x1):
【化6】 で示される含フッ素長鎖カルボン酸エステル(特開昭62
−46431号公報参照)や化学式(x2):
【化7】 で示されるカルボキシル基を有する含フッ素カルボン酸
モノエステル(特開昭61−107529号公報参照)等を使用
することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−46431号公報
【特許文献2】特開昭61−107529号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録媒
体の性能向上に関する要求は厳しく、上記した従来の潤
滑剤では十分な潤滑特性を得ることが困難であり、走行
耐久性および耐候保存性において一層の改善が望まれて
いる。なお、保存性は、記録媒体を長時間放置したとき
の、放置前の諸性能(例えば走行耐久性等)に対する放
置後の諸性能の低下の度合いによって判断され、「耐
候」保存性が良いというときには、高温高湿のような苛
酷な条件を含むあらゆる環境条件下で長時間放置された
後でも走行耐久性等の低下が小さいことをいうものとす
る。
【0007】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であり、電磁変換特性を損なうことなく、走行耐久性お
よび耐候保存性に優れ、実用信頼性の高い記録媒体およ
びその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、非磁性支持体の一方の面に形成された金
属薄膜または金属酸化薄膜、金属薄膜または金属酸化薄
膜の上に形成された保護膜、および保護膜の上に形成さ
れた潤滑剤層を有する記録媒体であって、保護膜の表面
の表面自由エネルギーが40mN/m以上であり、潤滑
剤層が、表面自由エネルギーが15mN/m以上33m
N/m未満の範囲にある化合物より成る第1群から選択
される少なくとも1種類の化合物と、表面自由エネルギ
ーが33mN/m以上50mN/m以下の範囲にある化
合物より成る第2群から選択される少なくとも1種類の
化合物とを含む潤滑剤を含む記録媒体を提供する。尚、
「金属酸化薄膜」なる用語は、「金属酸化物薄膜(即
ち、金属酸化物の薄膜)」を意味するものとして使用し
ている。
【0009】本発明は、特定の表面自由エネルギーを有
する保護膜と、特定の表面自由エネルギーを有する少な
くとも2種類の化合物とを組み合わせることを特徴とす
る。この特徴により、保護膜と潤滑剤層との間の付着強
度がより向上し、その結果、本発明の記録媒体は優れた
耐久性および保存性を示すものとなる。
【0010】ある対象物の表面自由エネルギーは、対象
物の表面に適当な溶媒を滴下したときの液滴の接触角か
ら求める。表面自由エネルギーは例えば、協和界面科学
(株)製、CA−V型自動接触角計を用いて求められ
る。
【0011】本明細書において、保護膜の表面の表面自
由エネルギーは、記録媒体に形成された保護膜の表面で
測定される値により表される。また、本明細書において
保護膜の表面の表面自由エネルギーは、潤滑剤層を形成
する直前(具体的には潤滑剤層を形成する前180分以
内)に測定される値で表される。潤滑剤層を構成する各
化合物の表面自由エネルギーは、実際に潤滑剤層を形成
する記録媒体の保護膜の表面に、各化合物を8.0mg/
2となるように塗布した膜の表面で測定される値であ
る。各化合物の保護膜への塗布は、適当な溶媒に各化合
物を溶解した塗布液を調製し、これを塗布した後、溶媒
を乾燥させることにより実施する。各化合物の表面自由
エネルギーをこのようにして測定するのは、実際の記録
媒体において、潤滑剤層が極めて薄くて保護膜の表面を
完全に被覆できないために、同じ潤滑剤を使用して潤滑
剤層を形成した場合でも、潤滑剤層の表面の表面自由エ
ネルギーがその下に位置する保護膜による影響を受けて
変化することによる。
【0012】本発明の記録媒体において、保護膜の表面
の表面自由エネルギーは40mN/m以上である。この
表面自由エネルギーの値は、後述のように特定の表面自
由エネルギーを有する2種類の化合物を組み合わせたも
のが潤滑剤として有用であることに鑑み、かかる潤滑剤
を含む潤滑剤層と保護膜との間の付着強度を大きくする
ために選択したものである。
【0013】本発明の記録媒体において、潤滑剤層は、
表面自由エネルギーが15mN/m以上33mN/m未
満の範囲にある化合物より成る第1群(本明細書におい
て単に「第1群」とも呼ぶ)から選択される少なくとも
1種類の化合物と、表面自由エネルギーが33mN/m
以上50mN/m以下の範囲にある化合物より成る第2
群(本明細書において単に「第2群」とも呼ぶ)から選
択される少なくとも1種類の化合物とを含む潤滑剤を含
む。表面自由エネルギーが15mN/m以上33mN/
m未満の範囲にある化合物は、記録媒体の潤滑剤層に含
まれた場合に記録媒体の走行性を良好にすることから好
ましく用いられる。表面自由エネルギーが33mN/m
以上50mN/m以下の範囲にある化合物は、記録媒体
の潤滑剤層に含まれた場合に記録媒体の耐久性を向上さ
せることから好ましく用いられる。また、表面自由エネ
ルギーが33mN/m以上50mN/m以下の範囲にあ
る化合物は、保護膜の表面の表面自由エネルギーに近い
表面自由エネルギーを有するから、保護膜に強く付着す
る。したがって、表面自由エネルギーの異なる少なくと
も2種類の化合物を組み合わせて潤滑剤として使用する
ことにより、優れた潤滑特性が記録媒体に付与されると
ともに、潤滑剤層と保護膜との間の付着強度が向上す
る。その結果、優れた走行耐久性および耐候保存性を有
し、また使用中の潤滑剤の飛散が少ない、実用信頼性の
高い磁気記録媒体が得られる。
【0014】第1群から選択される少なくとも1種類の
化合物は、好ましくは含フッ素カルボン酸から選ばれる
少なくとも1種類の化合物である。含フッ素カルボン酸
とは、有機基の水素の1または複数がフッ素原子で置換
されたカルボン酸をいう。含フッ素カルボン酸は2以上
のカルボキシル基を有してよい。含フッ素カルボン酸は
エステル結合を含むものであってよい。
【0015】第1群を構成する含フッ素カルボン酸は、
好ましくは下記の一般式(a)〜(c):
【化8】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
または1である)
【化9】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
cは0〜20の整数であり、dは0または1である)
【化10】 (式中、i、jは1以上の整数である)で示される含フ
ッ素カルボン酸である。
【0016】第2群から選択される少なくとも1種類の
化合物は、好ましくは含フッ素カルボン酸エステルから
選ばれる少なくとも1種類の化合物である。含フッ素カ
ルボン酸エステルとは、有機基の1または複数がフッ素
原子で置換されたカルボン酸エステルをいう。含フッ素
カルボン酸エステルは2以上のエステル結合を有してよ
い。
【0017】第2群を構成する含フッ素カルボン酸エス
テルは、好ましくは下記の一般式(d)および(e):
【化11】 (式中、R6は含フッ素有機基を示し、R7はアルキル基
またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
る)
【化12】 (式中、k、mは1以上の整数であり、R8は炭素数4
〜22のアルキル基を示す)で示される含フッ素カルボ
ン酸エステルである。
【0018】本発明の記録媒体の潤滑剤層においては、
一般に、第2群から選択される化合物の占める割合は潤
滑剤層の表面に向かうにつれて漸減している。即ち、表
面自由エネルギーが33mN/m以上50mN/m以下
である化合物の濃度は、保護膜と接する面において最も
高く、保護膜から遠ざかるにつれて小さくなっている。
これは、当該化合物の表面自由エネルギーが保護膜の表
面の表面自由エネルギーにより近いために、当該化合物
がより保護膜に吸着されやすいことによる。かかる構成
の潤滑剤層は、後述する方法に従って2種類の化合物を
均一に混合して保護膜上に塗布した場合でも形成され得
る。
【0019】第2群から選択される化合物の占める割合
が、潤滑剤層の表面に向かうにつれて漸減していると、
潤滑剤層の表面の付近では、第1群から選択される化合
物の占める割合が大きくなる。したがって、潤滑剤層の
表面の表面自由エネルギーは、第1群から選択される化
合物により決定され、その値もまた15mN/m以上3
3mN/m未満の範囲にある。但し、潤滑剤層の表面
に、第2群から選択される化合物が全く存在しないわけ
ではないから、潤滑剤層の表面の表面自由エネルギーは
当該化合物の表面自由エネルギーの影響も受ける。その
ため、潤滑剤層に表面自由エネルギーが20mN/mよ
り小さい化合物が含まれているとしても、潤滑剤層の表
面の表面自由エネルギーは一般に20mN/m以上33
mN/m未満の範囲にある。さらに、潤滑剤層の表面の
表面自由エネルギーは、各化合物が潤滑剤層に占める割
合による影響も受ける。
【0020】本発明の記録媒体において、潤滑剤層は、
第1群から選択される少なくとも1種類の化合物を80
重量%以上含む潤滑剤を含む第1潤滑剤層、および第2
群から選択される少なくとも1種類の化合物を80重量
%以上含む潤滑剤を含む第2潤滑剤層を含み、第2潤滑
剤層が保護膜の上に形成され、第1潤滑剤層が第2潤滑
剤層の上に形成されているものであることが好ましい。
かかる潤滑剤層においては、表面自由エネルギーの大き
い化合物が保護膜に隣接した第2潤滑剤層に専ら含まれ
るため、潤滑剤層と保護膜との付着強度がより向上す
る。また、表面自由エネルギーの小さい化合物が専ら潤
滑剤層の表面に存在するため、潤滑特性が良好になると
ともに耐湿性も良好となる。
【0021】本発明の記録媒体において、保護膜は、含
窒素プラズマ重合膜を有し、含窒素プラズマ重合膜の表
面が保護膜の表面を形成しているものであることが好ま
しい。含窒素プラズマ重合膜が形成されると、保護膜の
表層部にアミノ基が存在し、保護膜の表面に親水性が付
与されることとなる。したがって、含窒素プラズマ重合
膜を形成することにより、保護膜の表面の表面自由エネ
ルギーを容易に40mN/m以上とすることができる。
【0022】本発明はまた、上記本発明の記録媒体の製
造方法を提供する。本発明の記録媒体の製造方法は、潤
滑剤層の形成工程に特徴を有する。それ以外の製造工程
は、従来から記録媒体の製造に用いられている工程であ
ってよい。
【0023】潤滑剤層が単層である場合、潤滑剤層の形
成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合
有機溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿
度が10〜40%の範囲内にある環境下において保護膜
上に塗布し、混合有機溶媒を乾燥させる工程を含む。
【0024】潤滑剤層が第1潤滑剤層および第2潤滑剤
層を含む場合、潤滑剤層の形成工程は、第1潤滑剤層お
よび第2潤滑剤層の形成工程を含み、第2潤滑剤層の形
成工程が、炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合
有機溶媒に、第2群から選択される少なくとも1種類の
化合物を80重量%以上含む潤滑剤を溶解して調製した
塗布液を、相対湿度が10〜40%の範囲にある環境下
において保護膜上に塗布し、混合有機溶媒を乾燥させる
工程を含み、第1潤滑剤層の形成工程が、炭化水素系溶
媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に、第1群から
選択される少なくとも1種類の化合物を80重量%以上
含む潤滑剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が1
0〜40%の範囲にある環境下において第2潤滑剤層上
に塗布し、混合有機溶媒を乾燥させる工程を含むものと
なる。
【0025】いずれの潤滑剤層の形成工程においても、
炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合有機溶媒を用
い、特定の湿度条件下で潤滑剤を含む塗布液を塗布する
ことを特徴とする。この特徴により、潤滑剤層と保護膜
との間の付着強度が向上し、かつ塗布ムラが極めて少な
い均一な薄い潤滑剤層を形成することが可能となる。し
たがって、かかる潤滑剤層の形成工程を含む本発明の製
造方法によれば、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の
高い記録媒体を得ることが可能である。
【0026】上記本発明の製造方法において、炭化水素
系溶媒とアルコール系溶媒との混合割合は重量比で1:
9〜9:1の範囲にあることが好ましい。この範囲で両
者を混合することは、塗布ムラを極力少なくすることを
可能とし、またコスト面でも有利である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な形態を説
明する。以下の説明を含む本明細書において、記録媒体
を構成する各層または膜の「表面」とは、各層または膜
が形成されたときに露出している面、即ち、各層または
膜の非磁性支持体から遠い側の面を意味する。記録媒体
の構成に関して、記録媒体を構成する各層または膜の
「上に」というときは、特に断りのない限り、各層また
は膜の「非磁性支持体から遠い側の面の上に」を意味す
る。したがって、例えば、「保護膜の上に」というとき
は、「保護膜の非磁性支持体から遠い側の面に隣接する
位置に」を意味する。
【0028】最初に、本発明の記録媒体を構成する保護
膜について説明する。保護膜は、その表面の表面自由エ
ネルギーが40mN/m以上である限りにおいて、材料
および形成方法は特に限定されず、材料として炭化物、
窒化カーボン、酸化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化
ホウ素、ホウ素−炭素−窒素系であってもよい。
【0029】保護膜は保護層として作用し、記録媒体の
ダメージを潤滑剤層とともに防止する。保護膜は、例え
ば、炭化水素ガスのみ、または炭化水素ガスと不活性ガ
スとの混合ガスを用いたプラズマCVD等の方法で形成
される、アモルファス状、グラファイト状もしくはダイ
ヤモンド状の炭素から成る炭素膜、あるいはそれらの炭
素を混合および/または積層して形成した炭素膜であ
る。炭素膜は、そのビッカース硬度が約2.45×10
4N/mm2(約2500kgf/mm2)であることが好まし
い。保護膜の厚さは、実用信頼性と出力とのバランスを
考慮すれば、10nm〜20nmであることが好ましい。
【0030】保護膜は、非磁性支持体上に金属薄膜また
は金属酸化薄膜(もしくは金属酸化物薄膜)を形成した
後、金属薄膜または金属酸化薄膜(もしくは金属酸化物
薄膜)の上に形成される。具体的には、真空容器中に炭
化水素ガスまたは炭化水素ガスとアルゴン等の不活性ガ
スの混合ガスを導入し、容器内の圧力を1.33×10
-1〜1.33×102Pa(0.001〜1Torr)に保っ
た状態で真空容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガス
のプラズマを発生させて、保護膜を金属薄膜または金属
酸化薄膜上に形成する。放電形式は外部電極方式および
内部電極方式のいずれでもよく、放電周波数は実験的に
決めることができる。また、非磁性支持体側に配置され
る電極に0KVから−3KVの電圧を印加することによっ
て、保護膜の硬度を増大させることができ、また保護膜
と金属薄膜または金属酸化薄膜との密着性を向上させる
ことができる。炭化水素ガスとして、メタン、エタン、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタンまたはベンゼン等を用いることができる。また、
その他の窒化カーボン、酸化珪素、窒化珪素、窒化ホウ
素、炭化ホウ素、ホウ素−炭素−窒素系保護膜において
も、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法により、金属薄膜または金属酸化薄膜上に
形成される。
【0031】硬質の保護膜を形成するためには、放電エ
ネルギーを大きくすることが望ましく、併せて非磁性支
持体の温度を高温に維持することが望ましい。例えば、
放電エネルギーは、交流電流(例えば高周波電流)と直
流電流とを重畳して実効値を600V以上にすることが
望ましい。
【0032】保護膜の表面の表面自由エネルギーを40
mN/m以上とするために、保護膜の表層部に含窒素プ
ラズマ重合膜を形成することが好ましい。含窒素プラズ
マ重合膜を形成すると、保護膜の表層部にアミノ基が存
在することとなり、その結果、保護膜の表面の親水性が
増大して、表面自由エネルギーが大きくなる。
【0033】含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミンもしくはテトラメチレンジアミン等のア
ミン化合物をガス化して導入して保護膜の表面をアミン
化合物のガスに曝し、容器内の圧力を1.33×10-1
〜1.33×102Pa(0.001〜1Torr)に保った
状態で真空容器内部に高周波放電を生じさせて形成す
る。含窒素プラズマ重合膜の膜厚は0.5〜3nmである
ことが好ましい。0.5nm未満であると、保護膜の表面
の表面自由エネルギーを40mN/mとすることが困難
となる。3nmを越えると保護膜の保護効果が低下する。
なお、保護膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成す
る方法は、米国特許第5,540,957号および第5,637,393号
に開示されており、この引用によりこれらの特許に開示
された内容は本明細書の一部を構成する。
【0034】保護膜の表面の表面自由エネルギーを40
mN/m以上にする別の方法として、例えば、保護膜中
に窒素を含有させる方法等がある。保護膜中に窒素を含
有させるには、例えば窒素を導入した雰囲気下で保護膜
を形成するとよい。あるいは、保護膜の表面の表面自由
エネルギーは、上記の常套の方法に従って形成した保護
膜を空気中に放置し、空気中の水分を保護膜表面のダン
グリングボンド等に吸着させることによっても上昇させ
ることができる。したがって、保護膜を形成した後、潤
滑剤層を形成するまでに、保護膜を空気中に放置する時
間を調節することにより、保護膜の表面の表面自由エネ
ルギーを40mN/m以上にすることも可能である。
【0035】次に、潤滑剤層を構成する潤滑剤について
説明する。本発明の記録媒体において、潤滑剤層を構成
する潤滑剤には、表面自由エネルギーが15mN/m以
上33mN/m未満の範囲にある化合物より成る第1群
から選択される少なくとも1種類の化合物と、表面自由
エネルギーが33mN/m以上50mN/m以下の範囲
にある化合物より成る第2群から選択される少なくとも
1種類の化合物とが含まれる。
【0036】第1群から選択される少なくとも1種類の
化合物は、好ましくは含フッ素カルボン酸から選ばれる
少なくとも1種類の化合物である。第2群から選択され
る少なくとも1種類の化合物は、好ましくは含フッ素カ
ルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種類の化合
物である。
【0037】上述したように、第1群から選択される少
なくとも1種類の化合物は、より好ましくは一般式
(a)〜(c)で示される含フッ素カルボン酸より成る
群から選択される少なくとも1種類の化合物である。ま
た、第2群から選択される少なくとも1種類の化合物
は、より好ましくは一般式(d)および(e)で示され
る含フッ素カルボン酸エステルより成る群から選択され
る少なくとも1種類の化合物である。以下に、一般式
(a)〜(e)で示される化合物について説明する。
【0038】最初に、一般式(a)〜(c)で示される
含フッ素カルボン酸について説明する。 一般式(a):
【化13】 で示される化合物は1つのカルボキシル基を有する含フ
ッ素カルボン酸モノエステルともいえるものである。こ
の化合物は、例えば、コハク酸のようなジカルボン酸に
含まれる二つのカルボキシル基のうち、1つのカルボキ
シル基をエステルにすることにより得られる。
【0039】一般式(a)において、R1はアルキル基
またはアルケニル基であり、R2はパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロポリエーテル基である。aは通
常0〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数で
ある。bは0または1である。
【0040】一般式(a)におけるR1の炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を越
える場合には潤滑性が低下することがある。R1は、直
鎖状であっても、枝分かれしたものであってもよい。
【0041】R2がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は6〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。R2は、直鎖状であっ
ても、枝分かれしたものであってもよい。R2がパーフ
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000であることが好ましく、約300〜約4
000であることがより好ましい。分子量が200未満
である場合または6000を越える場合には、記録媒体
の潤滑性および保存信頼性が低下する場合がある。
【0042】R2がパーフルオロポリエーテル基である
場合、そのパーフルオロポリエーテル基は、下記の一般
式(f)、(g)および(h)のいずれかで示されるも
のであることが好ましい。下記のパーフルオロポリエー
テル基を有する化合物が潤滑剤に含まれることにより、
より優れた潤滑特性が記録媒体に付与される。そしてこ
れらの相乗効果により、電磁変換特性が損なわれること
なく、走行耐久性および耐候保存性に優れた、実用信頼
性の高い記録媒体が得られる。
【0043】一般式(f):
【化14】 において、qは1以上の整数である。
【0044】一般式(g):
【化15】 において、rおよびtは1以上の整数である。
【0045】一般式(h):
【化16】 において、R9はパーフルオロアルキル基を示し、uは
1〜6の整数であり、vは1〜30の整数である。v
は、より好ましくは1〜8である。R9の炭素数は、1
〜30であることが好ましく、1〜8であることがより
好ましい。また、R 9は、直鎖状であっても、枝分かれ
したものであってもよい。
【0046】一般式(f)、(g)および(h)におけ
る、q、r、t、uおよびvが上記の範囲外であると、
そのようなパーフルオロポリエーテル基を有する化合物
を潤滑剤層に含む記録媒体の潤滑性および保存信頼性が
低下することがある。また、q、r、t、uおよびvな
らびにR9の炭素数は、パーフルオロポリエーテル基の
分子量が上述の好ましい範囲、すなわち約200〜約6
000、より好ましくは約300〜約4000の範囲に
あるように、適宜選択することが好ましい。
【0047】一般式(b):
【化17】 で示される化合物において、R3はアルキル基またはア
ルケニル基であり、R4はパーフルオロアルキル基また
はパーフルオロポリエーテル基である。R5は酸素原子
または硫黄原子である。cは通常0〜20の整数であ
り、好ましくは1〜10の整数である。dは0または1
である。
【0048】一般式(b)におけるR3の炭素数は6〜
30であることが好ましく、10〜24であることがよ
り好ましい。炭素数が6未満である場合または30を越
える場合には潤滑性が低下することがある。R3は、直
鎖状であっても、枝分かれしたものであってもよい。
【0049】R4がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6〜
10であることがより好ましい。R4は、直鎖状であっ
ても、枝分かれしたものであってもよい。R4がパーフ
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000であることが好ましく、約300〜約4
000であることがより好ましい。分子量が200未満
である場合または6000を越える場合には、記録媒体
の潤滑性および保存信頼性が低下する場合がある。
【0050】R4がパーフルオロポリエーテル基である
場合には、一般式(a)におけるR2と同様、R4は上記
一般式(f)、(g)および(h)のいずれかで示され
る基であることが好ましい。一般式(f)、(g)およ
び(h)については先に一般式(a)に関連して説明し
たとおりであり、ここではその説明を引用することによ
り、詳細な説明を省略する。
【0051】一般式(c):
【化18】 で示される化合物は、パーフルオロポリエーテル鎖(−
CF2O(C24O)i(CF2O)jCF2−)および2
つのカルボキシル基を有するカルボン酸である。一般式
(c)で示される化合物において、iおよびjはそれぞ
れ1以上の整数である。一般式(c)で示される化合物
において、パーフルオロポリエーテル鎖の分子量は約2
00〜約6000が好ましく、約300〜約4000が
より好ましい。パーフルオロポリエーテル鎖の分子量が
200未満である場合または6000を越える場合に
は、記録媒体の潤滑性および保存信頼性が低下する。
【0052】次に一般式(d)および(e)で示される
含フッ素カルボン酸エステルについて説明する。 一般式(d):
【化19】 で示される化合物において、R6は含フッ素有機基を示
し、R7はアルキル基またはアルケニル基を示し、nは
0〜12の整数である。
【0053】ここで、「含フッ素有機基」とは、有機基
の水素の1又は複数がフッ素原子で置換されたものをい
う。R6は、好ましくは、フルオロアルキル基、フルオ
ロアルケニル基、フルオロエーテル基、またはフルオロ
ポリエーテル基であり、より好ましくは、パーフルオロ
アルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロ
エーテル基、またはパーフルオロポリエーテル基であ
る。R6の炭素数は4〜14であることが好ましく、6
〜12であることがより好ましい。R6は、直鎖状であ
っても、枝分かれしたものであってもよい。一般式
(d)において、nは1〜6であることがより好まし
い。
【0054】R7の炭素数は8〜22であることが好ま
しく、12〜18であることがより好ましい。R7は、
直鎖状であっても、枝分かれしたものであってもよい。
【0055】一般式(e):
【化20】 で示される化合物において、kおよびmはそれぞれ1以
上の整数であり、R8は炭素数4〜22のアルキル基で
ある。一般式(e)で示される化合物において、パーフ
ルオロポリエーテル鎖(−CF2O(C24O)k(CF
2O)mCF2−)の分子量は約200〜約6000が好
ましく、約300〜約4000がより好ましい。 分子
量が200未満である場合または6000を越える場合
には、記録媒体の潤滑性及び保存信頼性が低下する。一
般式(e)におけるR8の炭素数は4〜22が好ましく、
12〜22がより好ましい。
【0056】一般式(a)〜(e)で示される化合物
は、本発明において好ましく使用される化合物の例であ
る。これらに代えて、またはこれらとともに、表面自由
エネルギーが上記特定の範囲にあり、潤滑剤として使用
できる他の化合物を使用してもよいことはいうまでもな
い。
【0057】前述のように、潤滑剤層は、表面自由エネ
ルギーが15mN/m以上33mN/m未満の範囲にあ
る化合物より成る第1群から選択される少なくとも1種
類の化合物と、表面自由エネルギーが33mN/m以上
50mN/m以下の範囲にある化合物より成る第2群か
ら選択される少なくとも1種類の化合物とを、潤滑剤と
して含む。潤滑剤層中、第1群から選択される化合物は
2種類以上含まれていてよい。同様に、第2群から選択
される化合物も2種類以上含まれていてよい。
【0058】潤滑剤層に占める、第1群から選択される
化合物と第2群から選択される化合物の割合は、好まし
くはモル比で1:9〜8:2(第1群:第2群)の範
囲、より好ましくは1:9〜5:5の範囲にある。潤滑
剤層中、第1群から選択される化合物が2種類以上含ま
れる場合、各化合物の割合を合わせたものが、第1群か
ら選択される化合物の割合に相当する。第2群から選択
される化合物が2種類以上含まれる場合も同様である。
【0059】この好ましい割合は、潤滑剤層の構造の如
何にかかわらず(即ち、後述のように、すべての化合物
が混合された単層構造であるか、あるいは第1群から選
択される化合物を専ら含む層と第2群から選択される化
合物を専ら含む層とから成る2層構造であるかにかかわ
らず)、潤滑剤層全体に占める、各群から選択される化
合物の好ましい割合を示している。第1群から選択され
る化合物の占める割合が小さいと、潤滑性能が低下する
おそれがある。第2群から選択される化合物の占める割
合が小さいと、潤滑性能が低下し、また、潤滑剤層の保
護膜への付着強度、および被覆性が低下するおそれがあ
る。
【0060】次に、本発明の記録媒体の潤滑剤層の構造
を説明する。潤滑剤層は、第1群から選択される少なく
とも1種類の化合物と、第2群から選択される少なくと
も1種類の化合物とが混合されて成る、単層のものであ
ってよい。但し、先に述べたように、最終的に得られる
潤滑剤層において、各化合物は均一に分布しない。例え
ば、潤滑剤層が、第1群から選択される1種類の化合物
と第2群から選択される1種類の化合物とから成る場合
(即ち、2種類の化合物から成る場合)には、第2群か
ら選択される化合物の割合が潤滑剤層の表面に向かうに
つれて漸減する傾向にある。これは、第2群から選択さ
れる化合物が保護膜に吸着されやすいことによる。潤滑
剤層に表面自由エネルギーの異なる化合物が3種類以上
含まれている場合には、保護膜の表面の表面自由エネル
ギーに最も近い表面自由エネルギーを有する化合物が保
護膜の表面付近に最も多く存在し、表面自由エネルギー
の最も小さい化合物が潤滑剤層の表面付近に最も多く存
在する。
【0061】潤滑剤層は、第1群から選択される少なく
とも1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑剤を含む
第1潤滑剤層、および第2群から選択される少なくとも
1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑剤を含む第2
潤滑剤層を含み、第2潤滑剤層が保護膜の上に形成さ
れ、第1潤滑剤層が第2潤滑剤層の上に形成されている
ものであってよい。2つの層を含む潤滑剤層は、後述の
ように2つの層を別々に形成することにより形成され
る。この潤滑剤層の保護膜への付着は、第2潤滑剤層に
よって確保される。
【0062】第1潤滑剤層には、第1群から選択される
化合物が2種類以上含まれていてよい。同様に、第2潤
滑剤層には、第2群から選択される化合物が2種類以上
含まれていてよい。いずれの場合にも、潤滑剤層全体に
占める、第1群から選択される化合物全部と第2群から
選択される化合物全部の割合は、前述のようにモル比で
1:9〜8:2であることが好ましい。
【0063】別の態様において、潤滑剤層は3以上の潤
滑剤層を含むものであってよい。例えば、表面自由エネ
ルギーの異なる3種類以上の化合物を用い、各化合物で
潤滑剤層を形成してよい。その場合、表面自由エネルギ
ーが最も大きく、かつ保護膜の表面の表面自由エネルギ
ーに最も近い化合物からなる層が保護膜に隣接し、潤滑
剤層の表面に表面自由エネルギーの最も小さい化合物か
ら成る層が位置するように、順に各層を積層するとよ
い。
【0064】本発明の記録媒体において、潤滑剤層は、
表面自由エネルギーが上記の範囲内にない化合物を含ん
でよい。そのような化合物は、例えば公知の潤滑剤およ
び防錆剤である。そのような化合物が潤滑剤層全体に占
める割合は、20重量%を越えないことが好ましい。
【0065】次に潤滑剤層の形成工程を説明する。潤滑
剤層に含まれる、第1群から選択される化合物と第2群
から選択される化合物とを合わせた量は、潤滑剤層の表
面1m2当たり0.5〜30mgであることが好ましく、
5〜15mgであることがより好ましい。潤滑剤層にこ
のような少量の化合物を均一に存在させるために、本発
明の記録媒体の潤滑剤層は以下に説明する方法で形成す
ることが望ましい。
【0066】まず、第1群から選択される化合物と第2
群から選択される化合物とを混合した潤滑剤を用いて、
単層の潤滑剤層を形成する方法を説明する。
【0067】潤滑剤層は、常套の材料および手段を用い
て非磁性支持体の一方の面に金属薄膜または金属酸化薄
膜および保護膜をこの順に形成した後、保護膜上に形成
する。潤滑剤層の形成工程は、潤滑剤を炭化水素系溶媒
とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に溶解して塗布液
を調製し、これを相対湿度が10〜40%の範囲にある
環境下で保護膜上に塗布する工程を含む。有機溶媒に溶
解する潤滑剤は、表面自由エネルギーが15mN/m以
上33mN/m未満の範囲にある化合物より成る第1群
から選択される少なくとも1種類の化合物と、表面自由
エネルギーが33mN/m以上50mN/m以下の範囲
にある化合物より成る第2群から選択される少なくとも
1種類の化合物とを含み、必要に応じて他の成分をさら
に含む混合物である。
【0068】本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例
えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等
であり、本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアル
コールおよびイソプロピルアルコール等の低級アルコー
ルである。混合有機溶媒は、具体的には、トルエンとイ
ソプルピルアルコールの混合溶媒、ヘキサンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒、またはヘプタンとイソプロ
ピルアルコールの混合溶媒であることが好ましい。アル
コール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが生じやす
く、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎると不経済
であるため、両者は混合割合が重量比で1:9〜9:1
の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲となるように
混合して使用する。塗布液の濃度および塗布厚は、溶媒
が蒸発した後に保護膜上に形成される潤滑剤層の厚さが
所望の厚さになるように選択する。一般には、潤滑剤の
濃度が100ppm〜4000ppmである塗布液を、1μm
〜50μmの厚さとなるように塗布することが好まし
い。
【0069】塗布液は、相対湿度が10〜40%の範囲
にある環境下で塗布することが好ましい。相対湿度が1
0%未満では静電気が発生しやすく、また、そのような
湿度の環境を作るための設備に費用がかかるという問題
がある。相対湿度が40%を越えると塗布ムラが生じや
すくなるという問題がある。
【0070】潤滑剤層は潤滑剤に応じて最適膜厚が決定
され、その厚さは一般に3〜5nmである。塗布方法とし
て、バーコーティング法、グラビアコーティング法、リ
バースロールコーティング法、ダイコーティング法、デ
ィピッング法およびスピンコート法等の湿式塗布法、な
らびに有機蒸着法のいずれを採用してもよい。
【0071】塗布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶
媒を蒸発させると、保護膜上に潤滑剤の層が形成され
る。乾燥処理は加熱することにより、または自然乾燥に
よって実施することができる。そして、最終的に得られ
る潤滑剤層の厚さは3〜5nm程度とすることが好まし
い。ただし、潤滑剤の組成に応じて潤滑剤層の厚さの最
適範囲が存在するため、潤滑剤層の厚さは必ずしもこの
範囲に限定されるものではない。
【0072】以上説明した潤滑剤層の形成工程を適用し
て、第1潤滑剤層および第2潤滑剤層を有する潤滑剤層
を形成することができる。そのような潤滑剤層は、上記
と同様の方法で保護膜の上に第2潤滑剤層を形成した
後、第1潤滑剤層を形成することにより形成される。第
2潤滑剤層は、第2潤滑剤層を構成する潤滑剤(第2群
から選択される少なくとも1種類の化合物を含む潤滑
剤)を上記と同様に混合有機溶媒に溶解した塗布液を調
製し、これを保護膜の上に塗布した後、乾燥させること
により形成される。第1潤滑剤層は、第1潤滑剤層を構
成する潤滑剤(第1群から選択される少なくとも1種類
の化合物を含む潤滑剤)を上記と同様に混合有機溶媒に
溶解した塗布液を調製し、これを第2潤滑剤層の上に塗
布した後、乾燥させることにより形成される。第1およ
び第2潤滑剤層の形成工程において、塗布および乾燥は
上記で説明した方法と同様の方法で実施する。
【0073】第1および第2潤滑剤層から成る潤滑剤層
を形成する場合、最終的に得られる潤滑剤層全体の厚さ
が所望の厚さ(例えば、3〜5nm)となるように、各層
を形成するための塗布液の濃度および塗布厚を選択す
る。一般には、各層は、潤滑剤の濃度が100〜300
0ppmである塗布液を、1〜20μmの厚さとなるよう
に塗布して形成することが好ましい。
【0074】このように、特定の混合有機溶媒を用いて
所定の相対湿度下で潤滑剤層を形成することにより、塗
布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶
媒が最終的に蒸発した後には数nmという非常に薄い潤滑
剤層を形成させることができる。その結果、優れた潤滑
性能を有する実用信頼性の高い記録媒体が得られる。
【0075】本発明の記録媒体は、保護膜の表面が40
mN/m以上の表面自由エネルギーを有し、かつ潤滑剤
層が第1群から選択される少なくとも1種類の化合物と
第2群から選択される少なくとも1種類の化合物とを含
む限りにおいて、任意の構成とすることができる。以
下、上記において説明した保護膜および潤滑剤層以外の
要素、即ち、非磁性支持体、記録層、および必要に応じ
て形成されるバックコート層の構成を、図面を参照して
説明する。
【0076】図1は本発明の記録媒体の一態様である金
属薄膜型テープ(以下、単にテープという)の断面図で
ある。このテープ(10)は、非磁性支持体(1)の一
方の面に金属薄膜または金属酸化薄膜(2)、保護膜
(3)および潤滑剤層(4)がこの順に形成され、他方
の面にバックコート層(5)が形成されたものである。
したがって、その構造は、下から順にバックコート層
(5)、非磁性支持体(1)、金属薄膜または金属酸化
薄膜(2)、保護膜(3)および潤滑剤層(4)が積層
された構造となっている。図2は、本発明の記録媒体の
別の態様である金属薄膜型テープの断面図である。図2
の記録媒体は、潤滑剤層(4)が第1潤滑剤層(4a)
および第2潤滑剤層(4b)で構成されている点を除い
ては図1に示すものと同様である。
【0077】非磁性支持体(1)、金属薄膜または金属
酸化薄膜(2)およびバックコート層(5)は、常套の
材料および形成方法を採用して構成することができる。
【0078】例えば、非磁性支持体(1)として、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
芳香族ポリアミドもしくは芳香族ポリイミドから成るフ
イルム、アルミ基板またはガラス基板等を使用すること
ができる。実用信頼性と良好なRF出力を両立するため
に、この非磁性支持体(1)の表面、すなわち金属薄膜
または金属酸化薄膜と接する面には直径50〜700n
m、高さ5〜70nmの突起形成処理が施されていること
が好ましい。突起は、具体的には、例えば、SiO2
ZnO等の無機物質から成る超微粒子、あるいはイミド
等の有機物質から成る超微粒子を非磁性支持体の表面に
分散、固着させることにより形成され、あるいは、その
ような微粒子を含む高分子材料をフィルムに成形するこ
とにより形成される。表面に突起を有する非磁性支持体
の例は、特開平9−164644号公報および特開平1
0−261215号公報等に開示されている。
【0079】記録層(2)は金属薄膜または金属酸化薄
膜であることが好ましい。金属薄膜または金属酸化薄膜
は常套の材料および方法で形成することができる。
【0080】記録層に適した金属および金属酸化物とし
ては、Fe金属、Co金属、およびNi系金属等の強磁
性記録材料、TbFeCo、GdTbFe、GdTbF
eCo、GdDyFeCo、NdDyFeCo等の光磁
気記録材料、GeTe、GeSbTe、InSbTe、
AgInSbTe、SbInSn、TeAsSe、Te
Se、SeInSb、AgZn等の相変化記録材料等が
挙げられ、またシアニン色素、フタロシアニン色素、キ
ノン色素、スクワリウム色素、アズレニウム色素、メロ
シアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、ポルフィ
リン色素、オキソノール色素、アゾメチン色素、アント
ラキノン色素、インジゴ色素、フォルマザン色素等の有
機色素記録材料であってもよい。
【0081】記録層の成膜方法は、蒸着、スパッタ、イ
オンプレーティングおよびプラズマCVD、塗布等が挙
げられる
【0082】金属薄膜または金属酸化薄膜はイオンプレ
ーティング法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法ま
たは抵抗加熱法等で形成することができる。金属薄膜ま
たは金属酸化薄膜を酸素雰囲気下で形成すれば、金属薄
膜または金属酸化薄膜には、酸素が例えば強磁性金属の
酸化物の形態で含まれることとなる。金属薄膜または金
属酸化薄膜の厚さは50nm〜300nmが一般的である。
【0083】バックコート層(5)は、ポリウレタン、
ニトロセルロース、ポリエステル、カーボンおよび炭酸
カルシウム等から選ばれる1つもしくは複数の材料によ
り形成される層である。バックコート層(5)の厚さは
約500nmとすることが好ましい。バックコート層は、
例えば、前記材料を適当な溶媒(例えば、トルエンとメ
チルエチルケトンの混合溶媒)に溶解および分散させた
塗布液を非磁性支持体の他方の面、即ち記録層を形成し
た面とは反対の面に塗布した後、乾燥して溶媒を蒸発さ
せる湿式塗布法により形成できる。
【0084】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0085】(実施例1)非磁性支持体(1)として、
幅が500mm、厚さが4.6μmであって、表面に高さ
が30nm、直径が200nmの突起が1mm2あたり105
109個形成されたポリエチレンナフタレートフィルム
を使用した。なお、突起の数はSTM分析で測定した値
である。この非磁性支持体(1)の表面に、酸素を導入
しながら斜方真空蒸着法によりCo(80)−Ni(20)(カッ
コ内は混合原子%)から成る厚さ180nmの強磁性金属
薄膜(2)を形成した。
【0086】次いで、非磁性支持体(1)の裏面に、ポ
リウレタン、ニトロセルロースおよびカーボンブラック
を含む固形分30%のメチルエチルケトン/トルエン/
シクロヘキサノン溶液をリバースロールコータにより塗
布して、乾燥後の厚さが約500nmのバックコート層
(5)を形成した。
【0087】次に強磁性金属薄膜(2)上に、プラズマ
CVD法によって厚さ15nmの炭素膜(3)を形成し
た。炭素膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガ
スとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、
トータルガス圧を4.0×10 1Pa(0.3Torr)に保
ちながら、周波数20KHz、電圧1500Vの交流と1
000Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印加
することにより形成した。さらに、炭素膜(3)上にプ
ロピルアミンガスを導入し、6.67Pa(0.05Tor
r)の圧力を保った状態で10KHzの高周波プラズマ処理
を行ない、炭素膜(3)の表層部に厚さ2.5nmの含窒
素プラズマ重合膜を形成した。
【0088】得られた炭素膜(3)の表面の表面自由エ
ネルギーを、潤滑剤層を形成する直前に測定したとこ
ろ、53mN/mであった。表面自由エネルギーは、協
和界面科学(株)製のCA−V型自動接触角計を使用
し、3種類の溶媒(水、ヨウ化メチレン、αブロモナフ
タレン)の接触角から求めた。
【0089】次に、下記の化学式(a1)で示される化
合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル比
で3:7となるように混合した潤滑剤を、イソプロピル
アルコールとトルエンとを重量比で1:1となるように
混合した混合有機溶媒にその濃度が2000ppmとなる
ように溶解して塗布液を調製した。そしてこの塗布液
を、23℃、30%RH環境下で、リバースロールコー
タを用いて湿式塗布法で厚さ4μmとなるように塗布し
た後、乾燥した。最終的に炭素膜(3)上には、1m2
あたり5mgの潤滑剤が含まれる、厚さ4nmの潤滑剤層
(4)が形成された。
【0090】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで6.35mm幅に裁断して、6.35mm幅の磁気
テープ試料(全厚5.3μm、80分長)を得た。
【0091】
【化21】
【0092】
【化22】
【0093】(実施例2〜実施例12)実施例2〜6で
はそれぞれ化学式(a2)〜(a6)で示される化合物
を、実施例7〜11ではそれぞれ化学式(b1)〜(b
5)で示される化合物を、実施例12では化学式(c
1)で示される化合物を使用し、それらの各化合物、お
よび化学式(d1)で示される化合物をモル比で3:7
の割合となるように混合した潤滑剤を用いたことを除い
ては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料をそれぞ
れ作製した。
【0094】
【化23】
【0095】
【化24】
【0096】
【化25】
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】
【化28】
【0100】
【化29】
【0101】
【化30】
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】(実施例13〜実施例24)実施例13〜
18ではそれぞれ化学式(a1)〜(a6)で示される
化合物を、実施例19〜23ではそれぞれ化学式(b
1)〜(b5)で示される化合物を、実施例24では化
学式(c1)で示される化合物を使用し、それらの各化
合物、および下記化学式(d2)で示される化合物をモ
ル比で3:7の割合となるように混合した潤滑剤を用い
たことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【0106】
【化34】
【0107】(実施例25〜実施例36)実施例25〜
30ではそれぞれ化学式(a1)〜(a6)で示される
化合物を、実施例31〜35ではそれぞれ化学式(b
1)〜(b5)で示される化合物を、実施例36では化
学式(c1)で示される化合物を使用し、それらの各化
合物、および下記化学式(e1)で示される化合物をモ
ル比で3:7の割合となるように混合した潤滑剤を用い
たことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料をそれぞれ作製した。
【0108】
【化35】
【0109】(実施例37)化学式(a1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で1:9の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0110】(実施例38)化学式(a1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で5:5の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0111】(実施例39)化学式(a1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で7:3の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0112】(実施例40)化学式(a1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で8:2の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0113】(実施例41)化学式(b1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で1:9の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0114】(実施例42)化学式(b1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で5:5の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0115】(実施例43)化学式(b1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で7:3の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0116】(実施例44)化学式(b1)で示される
化合物、および化学式(d1)で示される化合物をモル
比で8:2の割合となるように混合した潤滑剤を用いた
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0117】(実施例45)図2に示す構造の磁気記録
媒体を作製した。使用した非磁性支持体(1)は実施例
1で使用したものと同じである。磁性層(2)、炭素膜
(3)およびバックコート層(5)は実施例1と同様に
して形成した。潤滑剤層(4)は次のようにして形成し
た。
【0118】まず、化学式(d1)で示される化合物の
みを、イソプロピルアルコールとトルエンとを重量比で
1:1となるように混合した混合有機溶媒にその濃度が
1200ppmとなるように溶解して塗布液を調製した。
この塗布液を、23℃、30%RH環境下で、リバース
ロールコータを用いて湿式塗布法で厚さ4μmとなるよ
うに炭素膜(3)上に塗布した後、乾燥した。その結
果、炭素膜(3)上には、1m2あたり3mgの潤滑剤が
含まれる、厚さ2.4nmの第2潤滑剤層(4b)が形成
された。次いで、化学式(a1)で示される化合物のみ
を、イソプロピルアルコールとトルエンとを重量比で
1:1となるように混合した混合有機溶媒にその濃度が
800ppmとなるように溶解して塗布液を調製した。そ
してこの塗布液を、23℃、30%RH環境下で、リバ
ースロールコータを用いて湿式塗布法で厚さ4μmとな
るように第2潤滑剤層(4b)上に塗布した後、乾燥し
た。その結果、炭素膜(3)上には、1m2あたり2mg
の潤滑剤が含まれる、厚さ1.6nmの第1潤滑剤層(4
a)が形成された。潤滑剤層全体において、化学式(a
1)で示される化合物と化学式(d1)で示される化合
物の割合は、モル比で3:7であった。
【0119】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで6.35mm幅に裁断して6.35mm幅の磁気テ
ープ試料(全厚5.3μm、80分長)を得た。
【0120】(実施例46)第1潤滑剤層を化学式(a
2)で示される化合物のみを用いて形成したことを除い
ては、実施例45と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0121】(実施例47)第1潤滑剤層を化学式(a
3)で示される化合物のみを用いて形成したことを除い
ては、実施例45と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0122】(実施例48)第1潤滑剤層を化学式(a
4)で示される化合物のみを用いて形成したことを除い
ては、実施例45と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0123】(実施例49)第1潤滑剤層を化学式(a
5)で示される化合物のみを用いて形成したことを除い
ては、実施例45と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0124】(実施例50)第1潤滑剤層を化学式(a
6)で示される化合物のみを用いて形成したことを除い
ては、実施例45と同様にして磁気テープ試料を作製し
た。
【0125】(実施例51)化学式(e1)で示される
化合物のみを用いて第2潤滑剤層(4b)を形成し、化
学式(b1)で示される化合物のみを用いて第1潤滑剤
層(4a)を形成したことを除いては、実施例45と同
様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0126】(実施例52)第1潤滑剤層(4a)を化
学式(b2)で示される化合物のみを用いて形成したこ
とを除いては、実施例51と同様にして磁気テープ試料
を作製した。
【0127】(実施例53)第1潤滑剤層(4a)を化
学式(b3)で示される化合物のみを用いて形成したこ
とを除いては、実施例51と同様にして磁気テープ試料
を作製した。
【0128】(実施例54)第1潤滑剤層(4a)を化
学式(b4)で示される化合物のみを用いて形成したこ
とを除いては、実施例51と同様にして磁気テープ試料
を作製した。
【0129】(実施例55)第1潤滑剤層(4a)を化
学式(b5)で示される化合物のみを用いて形成したこ
とを除いては、実施例51と同様にして磁気テープ試料
を作製した。
【0130】(実施例56)炭素膜(3)の表層部に含
窒素プラズマ重合膜を形成する工程を省略したことを除
いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製
した。含窒素プラズマ重合膜を形成しなかった炭素膜の
表面の表面自由エネルギーを、潤滑剤層を形成する直前
に測定したところ、43mN/mであった。
【0131】(実施例57)イソプロピルアルコールお
よびトルエンから成る有機溶媒の重量比を8:1にした
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0132】(実施例58)イソプロピルアルコールお
よびトルエンから成る有機溶媒の重量比を1:8にした
ことを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試
料を作製した。
【0133】(比較例1)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、公知の潤滑剤である下記化学式(x
1)で示される化合物のみを用いたことを除いては、実
施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【化36】
【0134】(比較例2)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、公知の潤滑剤である下記化学式(x
2)で示される化合物のみを用いたことを除いては、実
施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【化37】
【0135】(比較例3)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、化学式(a1)で示される化合物の
みを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0136】(比較例4)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、化学式(b1)で示される化合物の
みを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0137】(比較例5)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、化学式(c1)で示される化合物の
みを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0138】(比較例6)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、化学式(d1)で示される化合物の
みを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0139】(比較例7)実施例1で使用した2成分系
の潤滑剤に代えて、化学式(e1)で示される化合物の
みを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0140】(比較例8)潤滑剤層の形成工程において
イソプロピルアルコールおよびトルエンから成る混合有
機溶媒に代えてイソプロピルアルコールのみを用いたこ
とを除いては、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料
を作製した。
【0141】(比較例9)潤滑剤層の形成工程において
イソプロピルアルコールおよびトルエンから成る混合有
機溶媒に代えてトルエンのみを用いたことを除いては、
実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0142】(比較例10)23℃、55%RH環境下
において、塗布液をリバースロールコータを用いて湿式
塗布法で塗布したことを除いては、実施例1と同様の方
法で磁気テープ試料を作製した。
【0143】[各化合物の表面自由エネルギーの測定]
上記実施例で使用した各化合物の表面自由エネルギー
は、次の手順に従って測定した。まず、各化合物を、イ
ソプロピルアルコールとトルエンとを重量比で1:1と
なるように混合した混合有機溶媒にその濃度が2140
ppmとなるように溶解して塗布液を調製した。そして、
この塗布液を、実施例1と同様にして非磁性支持体上に
形成した保護膜(表面自由エネルギー:53mN/m)
の表面に、23℃、30%RH環境下で、リバースロー
ルコータを用いて湿式塗布法で厚さ6μmとなるように
塗布した後、乾燥して、1m2あたりの化合物の含有量
が8.0mgである層を形成した。得られた層の表面の表
面自由エネルギーを測定し、これを各化合物の表面自由
エネルギーとした。表面自由エネルギーの測定に使用し
た自動接触角計および溶媒は、保護膜の表面の表面自由
エネルギーの測定に使用したものと同じである。結果を
表1に示す。
【0144】[潤滑剤層の表面の表面自由エネルギーの
測定]実施例1〜58および比較例1〜10において潤
滑剤層を形成した後、潤滑剤層の表面の表面自由エネル
ギーを測定した。表面自由エネルギーの測定に使用した
自動接触角計および溶媒は、保護膜の表面の表面自由エ
ネルギーの測定に使用したものと同じである。結果を表
2〜4に示す。
【0145】実施例1〜58および比較例1〜10で得
た各磁気テープ試料について、下記の走行耐久性試験お
よび耐候保存性試験を実施した。
【0146】[走行耐久性試験] 出力低下 RF(高周波)出力測定用に改造した市販デジタルVT
R(松下電器(株)製、NV−DJ1)を用い、各試料を
5℃、80%RHの環境下で300パス、400時間繰
り返し再生を行った後のRF出力変化を測定した。RF
出力変化は試験前に対する試験後の変化をデシベル表示
で示した。
【0147】ヘッド汚れ,走行系粉付着 ヘッド汚れ、即ち、ヘッド表面の焼き付きまたはヘッド
表面への粉付着は、ヘッド表面のテープ摺動面の汚れ状
態を微分干渉顕微鏡で観察し、5段階で評価した。走行
系粉付着は、テープを300パス繰り返し再生した後の
ポストおよび固定ドラムの汚れ(粉付着の状態)を目視
観察し、5段階で評価した。ヘッド汚れおよび走行系粉
付着の評価基準は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:ヘッド汚れまたは走行系粉付着がひどく、実用性は
殆どない。 1:ヘッド汚れまたは走行系粉付着があまりにもひど
く、実用性は全くない。
【0148】[耐候保存性試験]各6.35mm幅テー
プ試料の耐候保存性を評価するため、試料を60℃、8
0%RHの環境下で10日間放置し、放置後の試料のス
チル寿命およびヘッド目詰まりを測定した。
【0149】保存後スチル寿命 保存後スチル寿命は、スチル寿命測定用に改造した市販
デジタルVTR(松下電器(株)製、NV−DJ1)を用
い、3℃、5%RHの環境下で測定した。保存後スチル
寿命は出力が初期から6dB低下するまでの時間で示し
た。
【0150】ヘッド目詰まり 各試料を60℃、80%RHの環境下で10日間放置し
た後、RF出力測定用に改造した市販デジタルVTR
(松下電器(株)製、NV−DJ1)を用い、23℃、6
0%RHの環境下で100パス、133時間繰り返し再
生を行い、再生中のRF出力からヘッド目詰まりを測定
した。この繰り返し再生中、RF出力が6dB以上低下
したときにヘッド目詰まりが発生したものとし、そのよ
うな低下が測定された時間を合計した時間をヘッド目詰
まりとした。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
【表8】
【0159】
【表9】
【0160】
【表10】
【0161】
【表11】
【0162】表1および表2〜4より、実施例1におい
ては、潤滑剤層中、表面自由エネルギーが大きい化合物
(即ち、化学式(d1)で示される化合物)の方が、表
面自由エネルギーが小さい化合物(即ち、化学式(a
1)で示される化合物)よりも多く含まれているにもか
かわらず、潤滑剤層の表面の表面自由エネルギーは、2
つの化合物の表面自由エネルギーの平均値よりも小さい
ことがわかる。実施例2〜36についても同様である。
これは、塗布液を保護膜に塗布した後で、保護膜の表面
の表面自由エネルギーにより近い表面自由エネルギーを
有する化合物の多くが保護膜の方へ移動して、保護膜に
吸着されたためであると考えられる。
【0163】表5〜表11から明らかなように、比較例
1〜10との比較において、実施例1〜58で得た磁気
テープはいずれも、繰り返し走行させた後でも出力低
下が小さい、ヘッド汚れが少ない、走行系粉付着が
少ない、保存後の繰り返し走行中のヘッド目詰まりが
少ない、保存後のスチル寿命が良好である、という優
れた特性を有するものであった。
【0164】特に、走行耐久性試験において再生の繰り
返し回数を300パス、400時間と多くしても、実施
例1〜58の磁気テープにおいてヘッド汚れ、および走
行系粉付着が少ないことは、本発明のテープがテープ走
行系を良好に走行し、テープ走行中に記録媒体から粉を
剥離させるような摩擦力が記録媒体とテープ走行系の間
で生じにくいことを示している。したがって、本発明の
記録媒体を用いれば、走行系において粉付着に起因する
走行トラブルが発生することを抑制し得る。
【0165】実施例1〜58の磁気テープは、従来の潤
滑剤を用いた比較例1および2、ならびにそれぞれ一般
式(a1)、(b1)、(c1)、(d1)または(e
1)で示される化合物のみで潤滑剤層を形成した比較例
3〜7と比較して、いずれも優れた走行耐久性および耐
候保存性を示した。このように、保護膜(3)上に、表
面自由エネルギーが15mN/m以上33mN/m未満
の範囲にある一般式(a)、(b)および(c)で示さ
れる化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物、お
よび表面自由エネルギーが33mN/m以上50mN/
m以下の範囲にある一般式(d)および(e)で示され
る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含ん
で成る潤滑剤で潤滑剤層(4)を形成した実施例1〜5
8の各磁気テープ試料は、走行耐久性、耐候保存性等の
実用信頼性の点で明らかに優れている。
【0166】実施例56の磁気テープ試料は実施例1と
同じ潤滑剤を用いたものであるが、保護膜(3)上に含窒
素プラズマ重合膜を形成しなかったものである。実施例
56の走行耐久性および耐候保存性は実施例1のそれら
に比べてやや劣っている。このことは含窒素プラズマ重
合膜がテープの潤滑性能の向上に寄与していることを示
している。
【0167】実施例1と比較例8および9から、潤滑剤
を炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒
に溶解して調製した塗布液を保護膜(3)上に塗布して
潤滑剤層(4)を形成することにより、走行耐久性およ
び耐候保存性等の実用信頼性の点で優れたテープ試料を
安定して作製できることが判る。また、潤滑剤を含む塗
布液を高い湿度の下で塗布した比較例10は、実施例1
と同じ潤滑剤を使用しているにもかかわらず、その走行
耐久性および耐候保存性はともに劣り、高湿度下での塗
布が望ましくないことを示している。
【0168】実施例1〜58では、潤滑剤層(4)の形
成工程において湿式塗布法であるリバースロールコーテ
ィング法を採用したが、有機蒸着法によっても同様の作
用効果を有する潤滑剤層(4)を形成することが可能で
ある。
【0169】なお、実施例1〜58において記録層をC
o−Ni金属薄膜、保護層を保護膜について説明した
が、記録層をGeSbTe金属薄膜に、保護層をZnS
−SiO2に代えても、同様な効果が得られた。
【0170】上記において本発明の記録媒体およびその
製造方法を市販デジタルVTR用テープに適用した実施
例を説明したが、本発明の金属薄膜または金属酸化薄膜
およびその製造方法はこれに限定されるものではなく、
データストレージ用のテープ媒体やディスク媒体等の金
属薄膜または金属酸化薄膜、光記録媒体、光金属薄膜ま
たは金属酸化薄膜にも適用できる。
【0171】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の記録媒体
は、保護膜の表面の自由エネルギーが40mN/m以上
であり、潤滑剤層が、表面自由エネルギーが15mN/
m以上33mN/m未満の範囲にある化合物より成る第
1群から選択される少なくとも1種類の化合物と、表面
自由エネルギーが33mN/m以上50mN/m以下の
範囲にある化合物より成る第2群から選択される少なく
とも1種類の化合物を含む潤滑剤を含むことを特徴とす
る。この特徴により、潤滑剤層の保護膜への付着強度お
よび被覆性が向上するため、本発明の記録媒体は、良好
な潤滑性能を示すとともに、優れた走行耐久性および耐
候保存性を示す実用信頼性の高いものとなる。
【0172】また、本発明の記録媒体において保護膜の
表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成することにより潤
滑剤の化学吸着力が向上するので、潤滑剤層の保護膜へ
の付着強度がさらに向上し、優れた潤滑性能を呈する記
録媒体を得ることができる。そしてこれらの相乗効果に
より、本発明の記録媒体は、電磁変換特性が損なわれる
ことなく、走行耐久性、耐候保存性等の実用信頼性が向
上したものとなる。
【0173】本発明の記録媒体は、潤滑剤を特定の混合
有機溶媒に溶解して調製した塗布液を、特定の湿度条件
下で保護膜上に塗布する工程を含む製造方法によって製
造される。この塗布液を用いることにより塗布ムラのな
い均一な厚さの潤滑剤層が得られる。また、湿度の範囲
を限定することにより、潤滑剤層の性能低下を防止して
いる。従って、本発明の製造方法によれば、走行耐久性
および耐候保存性等の実用信頼性の点で優れた本発明の
記録媒体を安定して作製することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の記録媒体の一態様である薄膜型テー
プの模式的断面図である。
【図2】 本発明の記録媒体の一態様である薄膜型テー
プの模式的断面図である。
【符号の説明】
1...非磁性支持体、2...金属薄膜または金属酸化薄膜
(記録層)、3...保護膜、4...潤滑剤層、4a...第
1潤滑剤層、4b...第2潤滑剤層、5...バックコート
層、10...記録媒体(テープ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 533 G11B 7/24 533K 5D121 534 534A 7/26 531 7/26 531 11/105 531 11/105 531B 531H 531M 546 546F // C10N 40:18 C10N 40:18 Fターム(参考) 4H104 BD07A PA16 5D006 AA01 AA05 AA06 5D029 HA06 LA20 NA12 5D075 EE03 FG04 FG10 GG04 GG16 5D112 AA07 BC02 BC05 BC08 5D121 AA04 AA20 EE06 EE21

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一方の面に形成された金
    属薄膜または金属酸化薄膜、金属薄膜または金属酸化薄
    膜の上に形成された保護膜、および保護膜の上に形成さ
    れた潤滑剤層を有する記録媒体であって、 保護膜の表面の表面自由エネルギーが40mN/m以上
    であり、 潤滑剤層が、表面自由エネルギーが15mN/m以上3
    3mN/m未満の範囲にある化合物より成る第1群から
    選択される少なくとも1種類の化合物と、表面自由エネ
    ルギーが33mN/m以上50mN/m以下の範囲にあ
    る化合物より成る第2群から選択される少なくとも1種
    類の化合物とを含む潤滑剤を含む記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第2群から選択される化合物の占め
    る割合が潤滑剤層の表面に向かうにつれて漸減している
    請求項1に記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】 潤滑剤層が、前記第1群から選択される
    少なくとも1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑剤
    を含む第1潤滑剤層、および前記第2群から選択される
    少なくとも1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑剤
    を含む第2潤滑剤層を含み、第2潤滑剤層が保護膜の上
    に形成され、第1潤滑剤層が第2潤滑剤層の上に形成さ
    れている請求項1に記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】 潤滑剤層の表面の表面自由エネルギーが
    15mN/m以上33mN/m未満の範囲にある請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体。
  5. 【請求項5】 潤滑剤層の表面の表面自由エネルギーが
    20mN/m以上33mN/m未満の範囲にある請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記第1群から選択される少なくとも1
    種類の化合物が、含フッ素カルボン酸から選ばれる少な
    くとも1種類の化合物であり、前記第2群から選択され
    る少なくとも1種類の化合物が含フッ素カルボン酸エス
    テルから選ばれる少なくとも1種類の化合物である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の記録媒体。
  7. 【請求項7】 含フッ素カルボン酸から選ばれる少なく
    とも1種類の化合物が、下記の一般式(a)〜(c): 【化1】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、aは0〜20の整数であり、bは0
    または1である) 【化2】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基を示し、
    4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基を示し、R5は−O−または−S−を示し、
    cは0〜20の整数であり、dは0または1である) 【化3】 (式中、i、jは1以上の整数である)で示される含フ
    ッ素カルボン酸から選ばれる少なくとも1種類の化合物
    であり、含フッ素カルボン酸エステルから選ばれる少な
    くとも1種類の化合物が、下記の一般式(d)および
    (e): 【化4】 (式中、R6は含フッ素有機基を示し、R7はアルキル基
    またはアルケニル基を示し、nは0〜12の整数であ
    る) 【化5】 (式中、k、mは1以上の整数であり、R8は炭素数4
    〜22のアルキル基を示す)で示される合フッ素カルボ
    ン酸エステルから選ばれる少なくとも1種類の化合物で
    ある請求項6に記載の記録媒体。
  8. 【請求項8】 潤滑剤層に占める、前記第1群から選択
    される化合物と前記第2群から選択される化合物の割合
    が、モル比で1:9〜8:2の範囲にある請求項1〜7
    のいずれか1項に記載の記録媒体。
  9. 【請求項9】 保護膜が表層部に含窒素プラズマ重合膜
    を有し、潤滑剤層が保護膜の含窒素プラズマ重合膜上に
    形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1または請求項2に記載の記録
    媒体の製造方法であって、潤滑剤層の形成工程が、炭化
    水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑
    剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜40
    %の範囲にある環境下において保護膜上に塗布する工程
    を含む記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項3に記載の記録媒体の製造方法
    であって、潤滑剤層の形成工程が、第1潤滑剤層および
    第2潤滑剤層の形成工程を含み、 第2潤滑剤層の形成工程が、炭化水素系溶媒とアルコー
    ル系溶媒との混合有機溶媒に、前記第2群から選択され
    る少なくとも1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑
    剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜40
    %の範囲にある環境下において保護膜上に塗布する工程
    を含み、 第1潤滑剤層の形成工程が、炭化水素系溶媒とアルコー
    ル系溶媒との混合有機溶媒に、前記第1群から選択され
    る少なくとも1種類の化合物を80重量%以上含む潤滑
    剤を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜40
    %の範囲にある環境下において第2潤滑剤層上に塗布す
    る工程を含む記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒と
    の混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲にある請求
    項10または請求項11に記載の記録媒体の製造方法。
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