JP2003176489A - トラクショングリース組成物 - Google Patents

トラクショングリース組成物

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JP2003176489A
JP2003176489A JP2002209656A JP2002209656A JP2003176489A JP 2003176489 A JP2003176489 A JP 2003176489A JP 2002209656 A JP2002209656 A JP 2002209656A JP 2002209656 A JP2002209656 A JP 2002209656A JP 2003176489 A JP2003176489 A JP 2003176489A
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base oil
traction
weight
grease composition
cyclopentadiene
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JP2002209656A
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Shinya Nakatani
真也 中谷
Masahiko Yamazaki
雅彦 山崎
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 トラクション係数が高く、低温流動性や蒸発
特性等の諸特性に優れ、かつ安価なトラクショングリー
ス組成物を提供する。 【解決手段】 40℃における動粘度が5〜100mm
2/sであるジメチルシリコーンからなる第1の基油を
1〜40重量%の割合で含み、前記第1の基油と相溶性
を有し、かつ前記第1の基油よりも添加剤の溶解性に優
れ、トラクション係数が大きい第2の基油を60〜99
重量%の割合で含んでなる基油と、金属酸化物の微粒子
と、増ちょう剤とを含むことを特徴とするトラクション
グリース組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用トラクシ
ョンドライブ、トラクションドライブスピンドル、ウエ
ッジローラトラクションドライブや一般産業機械等で抑
速作用が求められる転がり軸受、高い動力伝達機能が要
求される機械構成部品の潤滑に使用されるトラクション
グリース組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブ装置は、円柱また
は円錐回転体に挟み込まれた流体油膜が高圧により流動
性を失い、硬化することにより生じるせん断に対する抵
抗力に起因する転がり−滑り摩擦を使用した動力伝達装
置である。
【0003】図1は、自動車用トラクションドライブの
一つであるウエッジローラトラクションドライブ減速装
置1の一例を概略的に示す正面図(a)及びAA断面図
(b)である。図示されるウエッジローラトラクション
ドライブ減速装置1では、入力軸2と出力リング3とが
偏心(入力軸軸心2a、出力リング軸心3a)して配置
されて、更に出力リング3の内部には、ウエッジローラ
4及び2つのガイドローラ5,5が配置されている。ウ
エッジローラ4は、ばね6で付勢されており、変位可能
となっている。2つのガイドローラ5,5は、それぞれ
の外周面が出力リング3の内壁面と接するように固定し
て配置されている。また、出力リング3の内部には、ウ
エッジローラ4やガイドローラ5,5との間に形成され
る空部に、グリースや潤滑油等の潤滑剤7が充填されて
いる。
【0004】そして、入力軸2が正転(矢印R方向)す
ると、図示のように、ウエッジローラ3が入力軸2と出
力リング3の内壁面との間に入り込み、所謂くさびを打
ち込んだ状態となり、出力リング3の内壁面を押し付け
る。それに伴い、潤滑剤7の油膜によるトラクション力
が発生し、入力軸2のトルクが出力リング3に伝達され
る。一方、入力軸2が逆転(矢印L方向)すると、ウエ
ッジローラ4が入力軸2と出力リング3の内壁面との間
から外れてトラクション力は発生せず、出力リング3に
トルクが伝達されなくなる。
【0005】このようなトラクションドライブ装置で
は、動力伝達の観点から、潤滑剤7としてトラクション
係数の高いトラクション流体の開発が望まれているが、
一方で、装置の小型軽量化が強く望まれており、そのた
めには潤滑剤7としてグリースを用いる方が有利であ
る。
【0006】これまでも、トラクション係数が高く、そ
の他に耐熱性等の熱的特性等を改善した各種のトラクシ
ョンドライブ用グリースが開発されている。例えば、特
開平4−292693号公報には、ポリ−α−オレフィ
ン系合成油を含む基油に、特定のジウレア化合物からな
る増ちょう剤を分散させて耐熱性及び耐昇温性の改善を
図ったトラクショングリース組成物が記載されている。
また、特開平11−3152398号公報には、平均分
子量200〜300のジシクロペンタンジエンオリゴマ
ー水添物及び平均分子量400〜1000のポリブテン
から選ばれる第1の基油と、ポリ−α−オレフィン、エ
ステル化合物及び鉱油から選ばれる第2の基油との混合
基油に、増ちょう剤を分散させてトラクション係数の向
上に加えて、低温起動トルクの低下並びに高温での蒸発
損失の低減を図ったトラクショングリース組成物が記載
されている。また、特開平11−343495号公報に
は、パーフルオロアルキルポリエーテル系基油に、ポリ
テトラフルオロエチレン系増ちょう剤を分散させて高温
耐久性の向上を図ったトラクショングリース組成物が記
載されている。
【0007】トラクションドライブ装置は静かで、滑ら
かであることから、次世代の動力伝達手段として注目さ
れており、その小型化軽量化や高性能化に対する要求は
ますます高まる傾向にあるが、上記に挙げた従来のトラ
クショングリース組成物では十分に対応できず、より高
いトラクション係数を有し、更には低温流動性や蒸発特
性等の諸特性に優れたトラクショングリース組成物の開
発が求められている。また、従来のトラクショングリー
ス組成物は、特殊な配合成分で構成されているものが多
く、一般的に高価であることから、コストの低下も望ま
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、トラクション係数が高
く、低温流動性や蒸発特性等の諸特性に優れ、かつ安価
なトラクショングリース組成物を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明に係
る、40℃における動粘度が5〜100mm2/sであ
るジメチルシリコーンからなる第1の基油を1〜40重
量%の割合で含み、前記第1の基油と相溶性を有し、か
つ前記第1の基油よりも添加剤の溶解性に優れ、トラク
ション係数が大きい第2の基油を60〜99重量%の割
合で含んでなる基油と、金属酸化物の微粒子と、増ちょ
う剤とを含むことを特徴とするトラクショングリース組
成物により達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のトラクショングリ
ース組成物に関して詳細に説明する。
【0011】本発明のトラクショングリース組成物の好
ましい実施形態として、下記に示す第1〜第3のトラク
ショングリース組成物を例示することができるが、何れ
も、40℃における動粘度が5〜100mm2/sであ
るジメチルシリコーンからなる第1の基油を共通とし、
下記に示す3種類の第2の基油を組み合わせて基油を構
成する。即ち、第1のトラクショングリース組成物で
は、第2の基油として、40℃における動粘度が5〜1
50mm2/sである炭素数3〜5のα−オレフィン重
合体を用いる。また、第2のトラクショングリース組成
物では、第2の基油として、アルキル基中に炭素原子を
1〜3個有するα−アルキルスチレンの2量体水素化合
物を用いる。また、第3のトラクショングリース組成物
では、第2の基油として、シクロペンタジエン類と、α
−オレフィン類及びモノビニル芳香族炭化水素類の少な
くとも一方とからなる3〜6量体を主成分とし、ノルボ
ルネン環上の二重結合の水素量(ND)とシクロペンタ
ジエン環上の二重結合の水素量(CD)との比(ND/
CD)が0.9〜1.3であるシクロペンタジエン系縮
合環炭化水素の水素化物であり、かつ40℃における動
粘度が5〜50mm2/sである油を用いる。以下に、
各トラクショングリース組成物について詳細に説明す
る。
【0012】(第1のトラクショングリース組成物)第
1のトラクショングリース組成物では、基油として、第
1の基油であるジメチルシリコーンと、第2の基油であ
る炭素数3〜5のα−オレフィン重合体とからなる混合
油を用いる。
【0013】ジメチルシリコーンは、主鎖がケイ素−酸
素結合であるポリジメチルシロキサン構造を有する。ま
た、ジメチルシリコーンは、40℃における動粘度が5
〜100mm2/s、特に10〜75mm2/sのものが
好ましい。40℃における動粘度が5mm2/s未満の
ジメチルシリコーンでは、基油の油膜保持能力が低くな
り、また蒸発し易くなる。一方、40℃における動粘度
が100mm2/sを超えるジメチルシリコーンは、α
−オレフィン重合体に対する溶解性が低く、基油の白濁
や分離等が生じやすくなり、更に低温流動性を低下させ
るおそれがある。
【0014】このようなジメチルシリコーンは、市販品
を用いることもできるし、公知の方法に従い独自にジメ
チルシロキサンを重合したものを用いることもできる。
【0015】一方、α−オレフィン重合体は、重合単位
が炭素数3〜5のオレフィンであり、4級または3級炭
素原子を主鎖に有する。特に、イソブチレンの1〜4量
体やプロピレンの1〜5量体が好ましい。ポリエチレン
のように分岐を有しないα−オレフィン重合体を用いて
も、高いトラクション係数が得られない。また、分岐を
有するα−オレフィン重合体でも、例えばポリ−n−デ
セン−1のように長い直鎖状の分岐部を有するものは、
ポリエチレンと同様に高いトラクション係数が得られな
い。本発明では、α−オレフィン重合体として、鎖長の
短い分岐部あるいは構造の複雑な分岐部を有するものを
用いることが好ましい。
【0016】また、α−オレフィン重合体は、場合によ
っては、これらの水素化物であってもよい。水素化する
ことにより、色相、安定性、臭気等の性状が改善され
る。
【0017】更に、このα−オレフィン重合体は、40
℃における動粘度が5〜150m2/s、特に10〜7
5mm2/sのものが好ましい。40℃における動粘度
が5mm2/s未満のα−オレフィン重合体では、基油
の油膜保持能力が低下したり、蒸発し易くなることに加
え、引火し易くなり、更にはグリース封止用のシール材
との適合性も悪くなる。一方、40℃における動粘度が
150mm2/sを超えるα−オレフィン重合体では、
上記ジメチルシリコーンに対する溶解性が低く、基油の
白濁や分離等が生じやすくなり、更に低温流動性を低下
させるおそれがある。
【0018】このようなα−オレフィン重合体は、市販
品を用いることもできるし、イソブチレンやプロピレン
等の炭素数3〜5のモノマーを用い、公知の方法に従い
独自に重合したものを用いることもできる。
【0019】基油におけるジメチルシリコーンとα−オ
レフィン重合体との混合比は、ジメチルシリコーンが1
〜40重量%、好ましくは4〜40重量%とする。残部
はα−オレフィン重合体である。ジメチルシリコーンは
低温流動性や蒸発特性に優れるが、その混合比が1重量
%未満ではこれらの効果が得られない。一方、ジメチル
シリコーンの混合比が40重量%を超える場合には、ト
ラクション特性が悪くなるばかりでなく、コスト増を招
くため好ましくない。
【0020】また、基油には、本発明の効果を損なわな
い範囲で、他の潤滑油を混合することもできる。トラク
ション係数が高い潤滑油が好ましいが、ジメチルシリコ
ーン及びα−オレフィン重合体との相溶性に十分注意を
払う必要がある。このような観点から、鉱油、合成炭化
水素油等が適当であり、これらを単独で、もしくは組み
合わせて加えることができる。
【0021】上記の基油には、増ちょう剤の他に、金属
酸化物の微粒子が配合される。金属酸化物の種類として
は、例えば、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸
化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化アンチ
モン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化タング
ステン、酸化銅、酸化モリブデン、あるいはこれらの複
合酸化物等を挙げることができる。中でも、酸化マグネ
シウムが好ましい。
【0022】また、金属酸化物の微粒子の平均粒径は2
μm以下であることが好ましい。これより大径粒子にな
ると、トラクション係数の向上効果が無くなるばかりで
なく、トラクションドライブ装置や転がり軸受等の転が
り−滑り面に損傷を与えて運転に悪影響を及ぼすように
なる。尚、平均粒径の下限値は10nm程度であり、こ
れより微細になると凝集し易くなり、トラクショングリ
ース組成物中に均一に分散し難くなる。
【0023】金属酸化物の微粒子の配合量は、基油との
配合比率で、基油90〜99重量%:金属酸化物1〜1
0重量%、好ましくは基油94〜98重量%:金属酸化
物2〜6重量の範囲とする。金属酸化物の微粒子が1重
量%未満では、トラクション係数を高めることができ
ず、一方、10重量%を超える場合にはトラクション係
数が低下するとともに、トラクションドライブ装置や転
がり軸受等の回転に悪影響を及ぼすようになる。
【0024】増ちょう剤は、上記基油中にコロイド状に
分散して基油を半固体状または固体状にする物質であれ
ば、特に制限なく使用することができる。例えば、リチ
ウム石けん系、カルシウム石けん系、ナトリウム石けん
系、アルミニウム石けん系、リチウムコンブレックス石
けん系、カルシウムコンプレックス石けん系、ナトリウ
ムコンプレックス石けん系、バリウムコンプレックス石
けん系、アルミニウムコンプレックス石けん系等の金属
石けん、ベントナイト系、クレイ系、カルシウムスルフ
ォネート系等の無機化合物、モノウレア系、ジウレア
系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ナト
リウムテレフタラメート系等の有機化合物等が挙げられ
る。これらは単独でも、複数を混合して使用してもよ
い。中でも、上記基油との親和性及び耐熱性から、ウレ
ア系増ちょう剤及びベントナイトが好適であり、特にウ
レア系増ちょう剤が好適である。
【0025】増ちょう剤の配合量は、グリース全量の3
〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。増ち
ょう剤の配合量が3重量%未満では、グリース状態を維
持することが困難となり、20重量%を超える場合には
トラクショングリース組成物が十分なトラクション特性
を発揮できなくなる。
【0026】更に、トラクショングリース組成物には、
必要に応じて、従来から一般的にトラクショングリース
組成物に添加されている公知の酸化防止剤、摩耗防止
剤、防錆剤、金属不活性化剤、油性剤等の添加剤を適
量、例えば0.05〜10重量%の範囲で添加すること
もできる。
【0027】(第2のトラクショングリース組成物)第
2のトラクショングリース組成物は、第2の基油とし
て、アルキル基中に炭素原子を1〜3個有するα−アル
キルスチレンの2量体水素化合物を用いる以外は、第2
のトラクショングリース組成物と同様に構成される。従
って、第2の基油についてのみ以下に説明する。
【0028】α−アルキルスチレンの2量体水素化物と
しては、下記一般式[I]で表されるα−アルキルスチ
レンの線状2量体水素化物及び下記一般式[II]で表さ
れるα−アルキルスチレンの環状2量体水素化物を好適
に挙げることができる。
【0029】
【化1】
【0030】尚、一般式[I]、[II]において、R1、R
2はそれぞれ炭素原子を1〜3個有するアルキル基であ
る。
【0031】α−アルキルスチレンの線状2量体水素化
物及び環状2量体水素化物は、それぞれ単独で使用して
もよいし、混合して使用してもよい。但し、線状2量体
水素化物の方がトラクション特性、蒸発特性、シール材
適合性に優れているため、本発明ではα−アルキルスチ
レンの2量体水素化物として線状2量体水素化物を単独
で用いることが最も好ましく、混合する場合でも線状2
量体水素化物を50重量%以上、好ましくは80重量%
以上の割合とすることが好ましい。
【0032】特に好適なα−アルキルスチレンの2量体
水素化物として、具体的には2,4−ジシクロヘキシル
−2−メチルペンタン、2,4−ジシクロヘキシル−2
−メチルヘキサン、2,4−ジシクロ−4−メチルヘキ
サン、3,5−ジシクロヘキシル−3−メチルヘプタ
ン、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルヘプタン、
4,6−ジシクロヘキシル−4−メチルヘプタンが挙げ
られ、中でも2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペ
ンタンが好ましい。
【0033】α−アルキルスチレンの2量体水素化物
は、α−アルキルスチレンを2量体化し、更に水素化す
ることによって得ることができる。このときの2量化及
び水素化方法については特に制限はなく、公知の方法に
より適宜行うことができる。
【0034】α−アルキルスチレンの2量体化は触媒、
一般には酸性触媒の存在下で、必要に応じて溶媒、反応
調整剤等を加えて行うことができる。酸性触媒として
は、具体的には活性白土、酸性白土等の白土類、硫酸、
塩酸、フッ化酸等の鉱酸類、p−トルエンスルホン酸、
トリフリック酸等の有機酸、塩化アルミニウム、塩化第
二鉄、塩化第二錫、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、臭
化アルミニウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム等のルイ
ス酸、さらに固体酸、例えばゼオライト、シリカ、アル
ミナ、シリカ・アルミナ、カチオン交換樹脂、ヘテロポ
リ酸等が挙げられる。これら酸性触媒の添加量は、α−
アルキルスチレンに対し一般に0.1〜100重量%、
好ましくは1〜20重量%の範囲であるが、特に制限は
ない。また、溶媒としては飽和炭化水素類を用いればよ
く、具体的にはn−ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン等やシクロペンタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等が挙
げられる。反応調整剤は本反応で生成する2量体の選択
性を高める目的で用いられ、具体的には酢酸等のカルボ
ン酸、無水酢酸、無水フタル酸等の酸無水物、γ−ブチ
ロラクトン、バレロラクトン等の環状エステル類、エチ
レングリコール等のグリコール類、ニトロメタン、ニト
ロベンゼン等のモノニトロ化合物類、酢酸エチル等のエ
ステル類、メシチルオキシド類のケトン類、ホルマリ
ン、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、セロソルブ
類、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のポリ
アルキレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられ
る。また、2量体反応は、一般に−30〜180℃、好
ましくは0〜160℃の条件で行われる。
【0035】水素化も一般には触媒の存在下、必要に応
じて溶媒等を添加して行うことができる。触媒としては
ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム、
イリジウム、銅、クロム、モリブデン、コバルト、タン
グステン等の金属を1種類以上含む、いわゆる水添用触
媒として知られているものを用いることができる。触媒
の添加量は、特に制限はないが、通常は2量体に対して
0.1〜100重量%、好ましくは1〜20重量%の範
囲である。また、溶媒としてはn−ペンタン、n−ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン
等やシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロメチルヘ
キサン等の液状の飽和炭化水素類等が挙げられる。本水
素化反応は、通常の水素化反応と同様に20〜300
℃、好ましくは40〜200℃の温度範囲で、常圧〜1
9.6MPa、好ましくは2〜9.8MPaの圧力範囲
のもとで実施され得る。
【0036】基油におけるジメチルシリコーンとα−ア
ルキルスチレンの2量体水素化物との混合比は、第1の
トラクションブリース組成物と同様の理由から、ジメチ
ルシリコーンが1〜40重量%、好ましくは5〜30重
量%で、残部をα−アルキルスチレンの2量体水素化物
とする。
【0037】また、基油には、本発明の効果を損なわな
い範囲で、他の潤滑油を混合することもできる。トラク
ション係数が高い潤滑油が好ましいが、ジメチルシリコ
ーン及びα−アルキルスチレンの2量体水素化物との相
溶性に十分注意する必要がある。このような観点から、
鉱油、合成炭化水素油等が好適であり、これらを単独
で、もしくは組み合わせて加えることができる。
【0038】(第3のトラクショングリース組成物)第
3のトラクショングリース組成物は、第2の基油とし
て、シクロペンタジエン類と、α−オレフィン類及びモ
ノビニル芳香族炭化水素類の少なくとも一方とからなる
3〜6量体を主成分とし、ノルボルネン環二重結合の水
素量(ND)とシクロペンタジエン環二重結合の水素量
(CD)との比(ND/CD)が0.9〜1.3である
シクロペンタジエン系縮合環炭化水素の水素化物であ
り、かつ40℃における動粘度が5〜50mm2/sで
ある油を用いる以外は、第1のトラクショングリース組
成物と同様に構成される。従って、第2の基油について
のみ以下に説明する。
【0039】第2の基油において、一方の重合成分であ
るシクロペンタジエン類としては、シクロペンタジエン
及びその多量体、あるいはこれらのアルキル置換体を用
いることができ、これらを含む混合物であってもよい。
本発明においては、ナフサ等のスチームクラッキングに
より得られるシクロペンタジエン類を約30重量%以
上、好ましくは約50重量%以上含むシクロペンタジエ
ン系留分(CPD留分)を用いることが有利である。ま
た、CPD留分には、シクロペンタジエン類と共重合可
能なオレフィン性単量体を含み得る。このオレフィン性
単量体として、例えばイソプレン、ピペリエンあるいは
ブタジエン等の脂肪族ジオレフィンやシクロペンテン等
の脂環式オレフィン等が挙げられる。これらオレフィン
性単量体の濃度は低い方が好ましいが、シクロペンタジ
エン類全量に対して約10重量%以下であれば許容され
る。
【0040】シクロペンタジエン類との共重合原料であ
るα−オレフィン類としてはC4〜C14、好ましくはC4
〜C10のα−オレフィン及びこれらの混合物が挙げら
れ、エチレン、プロピレンあるいは1−ブテン等からの
誘導体あるいはパラフィンワックスの分解物等が好まし
く用いられる。このα−オレフィン類は、シクロペンタ
ジエン類1モル当たり4モル未満配合するのが工業的に
好ましい。
【0041】もう1つの共重合原料であるモノビニル芳
香族炭化水素類としてはスチレン、o−ビニルトルエ
ン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メ
チルスチレン、β−メチルスチレン類が挙げられる。ま
た、モノビニル芳香族炭化水素類はインデン、メチルイ
ンデンあるいはエチルインデン等のインデン類を含むこ
とが可能であり、ナフサ等のスチームクラッキングより
得られる所謂「C9留分」を用いることが有利である。
これらものビニル芳香族炭化水素類は、シクロペンタジ
エン類1モル当たり3モル未満配合するのが好ましい。
尚、シクロペンタジエン類としてシクロペンタジエン等
の単量体を用いる場合は1モルとして、二量体を用いる
場合は2モルとして、それぞれ計算される。
【0042】第2の基油を得るには、先ず、上記のシク
ロペンタジエン類と、α−オレフィン類及びモノビニル
芳香族炭化水素類の少なくとも一方とを熱重合または熱
共重合させ、次いで、得られた重合液から蒸留等により
シクロペンタジエン系の3〜6量体を主成分とする成分
を分離回収し、この回収成分を通常の方法で水素化す
る。
【0043】より具体的に説明すると、熱重合方法また
は熱共重合方法としては、例えば、シクロペンタジエン
類と、α−オレフィン類及びモノビニル芳香族炭化水素
類の少なくとも一方とを、溶剤の存在下もしくは不存在
下に好ましくは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で約1
60〜300℃、好ましくは約180〜280℃の温度
範囲で約0.1〜10時間、好ましくは約0.5〜6時
間、原料系を液相に保持し得る圧力下で重合させる方法
が挙げられる。そして、得られた重合液から減圧〜加圧
下で原料中の不活性成分、未反応原料、更に必要ならば
溶剤を蒸留等の操作により除去した後、引き続き第2段
の重合を減圧下で約160〜280℃で約0.5〜4時
間行うことで、3〜6量体を主成分とするシクロペンタ
ジエン系縮合環炭化水素が得られる。
【0044】得られるシクロペンタジエン系縮合環炭化
水素であるが、本発明においては、ノルボルネン環の二
重結合上の水素量(ND)とシクロペンテン環の二重結
合上の水素量(CD)の比(ND/CD)が、0.9〜
1.3、好ましくは0.9〜1.0となるように上記の
各処理条件を調整する。(ND/CD)比が0.9より
小さくても、1.3より大きくてもトラクション係数は
低くなり好ましくない。尚、この(ND/CD)比は、
水素核磁気共鳴法(1H−NMR)により容易に求める
ことができる。
【0045】また、シクロペンタジエン系縮合環炭化水
素は、そのまま使用してもトラクショングリース組成物
として優れた特性が得られるが、取り扱い時の臭気や酸
化安定性等の他の性能を考慮して更に水素化処理され
る。水素化処理は、通常の方法で行うことができる。例
えば、ニッケル、パラジウムあるいは白金等の水素化触
媒を用い、溶剤の存在下もしくは不存在下で約70〜3
00℃、好ましくは約100〜250℃の温度範囲、水
素化圧約1.0〜19.6MPa、好ましくは約2〜1
1.8MPaの圧力下で約0.5〜20時間、好ましく
は約1〜10時間処理すればよい。水素化処理後、触媒
さらに必要ならば溶剤を除去することにより、目的とす
る水素化シクロペンタジエン系縮合環炭化水素が得られ
る。
【0046】尚、水素化シクロペンタジエン系縮合環炭
化水素は、必ずしも3量体から6量体までの各重合度の
多量体の全てを主成分として含む必要はないが、各多量
体の含有量により流動性が変化する。本発明において
は、水素化シクロペンタジエン系縮合環炭化水素が、4
0℃における動粘度で5〜50mm2/s、好ましくは
10〜30mm2/sとなるように調整される。40℃
における動粘度が55mm2/s未満の水素化シクロペ
ンタジエン系縮合炭化水素では、基油全体としての油膜
保持能力が低下したり、蒸発し易くなることに加え、引
火し易くなる。一方、40℃における動粘度が50mm
2/sを越える水素化シクロペンタジエン系縮合炭化水
素では、第1の基油に対する溶解性が低く、基油の白濁
や分離等が生じやすくなり、更に低温流動性を低下させ
る恐れがある。
【0047】基油におけるジメチルシリコーンと水素化
シクロペンタジエン系縮合炭化水素との混合比は、第1
のトラクションブリース組成物と同様の理由から、ジメ
チルシリコーンが1〜40重量%、好ましくは5〜30
重量%で、残部を水素化シクロペンタジエン系縮合炭化
水素とする。
【0048】また、基油には、本発明の効果が損なわな
い範囲で、他の潤滑油を混合することもできる。トラク
ション係数が高い潤滑油が好ましいが、ジメチルシリコ
ーン及び水素化シクロペンタジエン系縮合炭化水素との
相溶性に十分注意を払う必要がある。このような観点か
ら、鉱油、合成炭化水素油等が適当であり、これらを単
独で、もしくは組み合わせて加えることができる。
【0049】本発明のトラクショングリース組成物は上
記の如く構成され、例えば、図1に示したようなウエッ
ジローラトラクションドライブ減速機を始めとする種々
のトラクションドライブ装置に使用することができる。
また、各種の転がり軸受にも使用することができ、例え
ば、図2に示す玉軸受にも使用することができる。図示
される玉軸受は、外周面に内輪軌道21を有する内輪2
2と、内周面に外輪軌道23を有する外輪24とを同心
に配置し、内輪軌道21と外輪軌道23との間に、複数
個の玉25、25を保持器26に設けたポケット27、
27内に転動自在に保持して構成されており、更に図示
は省略するが、内輪軌道21、外輪軌道23、玉25で
形成される軸受空間に本発明のトラクショングリース組
成物が封止される。
【0050】後述する実施例にも示すように、何れの場
合も、本発明のトラクショングリース組成物を使用する
ことにより、トラクション特性とともに、低温流動性や
蒸発特性等の諸特性が大きく改善される。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例によりさらに具体的
に本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定さ
れるものではない。
【0052】[試験−1:第1のトラクショングリース
組成物] (試験グリースの調製)40℃における動粘度の異なる
ジメチルシリコーン、α−オレフィン重合体として40
℃における動粘度及び分子量の異なるジイソブチレン重
合体の水素化物、金属酸化物の微粒子として平均粒径の
異なる酸化マグネシウム微粒子、増ちょう剤としてジウ
レアまたはベントナイトを用い、表1及び表2に示す配
合にて実施例1〜8及び比較例1〜7の試験グリースを
調製した。尚、各試験グリースには、アミン系酸化防止
剤を1重量%添加した。また、比較のために、市販のト
ラクショングリースも用意した(比較例8)。
【0053】(トラクション係数の測定)図3に示す二
円筒試験機を用い、各試験グリースのトラクション係数
を測定した。図示される試験機は、第1の円筒10と、
第2の円筒10とをそれぞれの周壁同士が接するように
配置し、荷重Fを負荷した状態で回転させるように構成
されている。また、第1の円筒10及び第2の円筒は、
直径52mm、幅6mmは共通であるが、第1の円筒1
0の周壁10aは、断面が曲率半径10mmの円弧状に
形成されており、第2の円筒11の周壁11aは、断面
が平坦面に形成されている。そして、両円筒の周壁10
a,11aに試験グリースを塗布し、荷重Fを68.6
Nとし、30℃に維持された容器内で、第2の円筒11
を1500rpmの一定速度にて回転させ、第1の円筒
10を1500〜1750rpmの範囲で速度を変えて
回転させ、そのときに両円筒の周壁10a,11aの接
触部分に発生する接線力(=トラクション力)を測定
し、トラクション係数を求めた。結果を表1及び表2に
併記するが、0.07以上が合格である。
【0054】(シール材適合性)JIS K 6301
に準拠し、ニトリルゴムを用いて120℃、72時間の
条件で試験を行った。結果を表1及び表2に併記する
が、重量変化率で±6%以内及び体積変化率で±9%以
内が合格である。
【0055】(蒸発特性)オーブンビーカー法により、
120℃、100時間の条件で試験を行い、各試験グリ
ースの蒸発損失量を測定した。即ち、99℃に保持した
金属容器(直径54.7mm、深さ7.0mm)に試験
グリースを入れ、試験グリースの表面に加熱空気を22
時間供給し、供給前後の重量差から蒸発による減量を求
めた。結果を表1及び表2に併記するが、7質量%以下
が合格である。
【0056】(低温特性)JIS K 2220の低温
トルク試験に準拠して、−40℃における起動トルクを
測定した。即ち、試験軸受として図2に示した玉軸受
(呼び番号6204:内径20mm、外径47mm、幅
14mm)を用い、試験グリースを封入して−40℃に
冷却した後、内輪を1rpmで回転させ、外輪にかかる
制止力をトルクとして求めた。結果を表1及び表2に併
記するが、30N・cm以下が合格である。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表1及び表2に示すように、本発明に従う
各実施例の試験グリースは、トラクション係数、体積変
化率、重量変化率、蒸発損失量及び低温起動トルクの全
ての項目において合格である。
【0060】これに対して、酸化マグネシウム微粒子を
含有しない比較例1〜6の試験グリースは、総じてトラ
クション係数が低くなっている。特に、ジメチルシリコ
ーンの配合比が多い比較例1の試験グリースでは、トラ
クション係数が低い。また、α−オレフィン重合体の粘
度が低い比較例2の試験グリースでは、蒸発損失量が多
くなっている。更に、ジメチルシリコーンの粘度が高い
比較例3ではグリースを得ることができなかった。ま
た、基油がポリα−オレフィンである比較例5の試験グ
リースは、トラクション係数が最も低く、基油がナフテ
ン系鉱油である比較例6の試験グリースは、トラクショ
ン係数が高いものの蒸発損失量が多く、低温起動トルク
も高い。
【0061】また、基油は本発明に従うものの、酸化マ
グネシウム微粒子の配合量が多すぎる比較例7の試験グ
リースは、トラクション係数が若干低いことに加えて低
温起動トルクが高くなっている。
【0062】更に、市販トラクショングリースは、トラ
クション係数は最も高いものの、シール材適合性が低
く、蒸発損失量及び低温起動トルクも高い。
【0063】[試験−2:第2のトラクショングリース
組成物] (試験グリースの調製)40℃における動粘度の異なる
ジメチルシリコーン、α−アルキルスチレンの2量体水
素化物、金属酸化物の微粒子として平均粒径の異なる酸
化マグネシウム微粒子、増ちょう剤としてジウレアまた
はベントナイトを用い、表3及び表4に示す配合にて実
施例9〜13及び比較例9〜12の試験グリースを調製
した。尚、各試験グリースには、アミン系酸化防止剤を
1重量%添加した。また、筆禍ウのため、市販のトラク
ショングリースも用意した(比較例13)。
【0064】そして、試験−1と同様にして、トラクシ
ョン係数の測定、シール材適合性、蒸発特性及び低温特
性の各評価を行った。結果を表3及び表4に併記する。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】表3及び表4に示すように、本発明に従う
各実施例の試験グリースは、トラクション係数、体積変
化率、重量変化率、蒸発損失量及び低温起動トルクの全
ての項目において合格である。特にトラクション係数に
ついては、第1のトラクショングリース組成物に比べて
高い値が得られている。これに対して、酸化マグネシウ
ム微粒子を含有しない比較例9〜12の試験グリース
は、総じてトラクション係数が低くなっている。特に、
ジメチルシリコーンの配合比が多い比較例9の試験グリ
ースでは、トラクション係数が低い。また、ジメチルシ
リコーンの粘度が高い比較例11ではグリースを得るこ
とができなかった。
【0068】[試験−3:第3のトラクショングリース
組成物] (試験グリースの調製)40℃における動粘度の異なる
ジメチルシリコーン、下記の調製例1及び調製例2によ
り得られた水素化シクロペンタジエン系縮合炭化水素、
金属酸化物の微粒子として平均粒径の異なる酸化マグネ
シウム微粒子、増ちょう剤としてジウレアまたはベント
ナイトを用い、表5及び表6に示す配合にて実施例14
〜18及び比較例14〜17の試験グリースを調整し
た。尚、各試験グリースには、アミン系酸化防止剤を1
重量%添加した。
【0069】(調製例1)ナフサのスチームクラッキン
グより得られたジシクロペンタジエン75.0重量%、
オレフィン5.4重量%、残余の大部分が飽和炭化水素
からなるCPD留分600gと、溶剤のキシレン400
gとを窒素雰囲気下1.8MPa、260℃で3時間熱
重合した。重合液から原料中の不活性留分、未反応原料
及び溶剤を最初加圧下、引き続き減圧下において160
℃で留去した後、更に0.65MPaの減圧下で同温度
に1時間保持し、シクロペンタジエン系縮合環炭化水素
56gを回収しながら第2段の重合を行った。釜残とし
て軟化点が102℃のシクロペンタジエン樹脂420g
を得た。回収したシクロペンタジエン系縮合環炭化水素
のND/CDは1.0であった。次に、回収したシクロ
ペンタジエン系縮合環炭化水素56gにニッケル触媒を
2重量%添加し、水素圧5.9MPa、反応温度180
℃で4時間水素化し、水素化シクロペンタジエン系縮合
炭化水素を約56g得た。この水素化シクロペンタジエ
ン系縮合炭化水素はGPC面積比で3量体を41重量
%、4量体を25重量%、5量体を19重量%、6量体
を7重量%含有しており、40℃での動粘度は18.3
mm2/sであった。
【0070】また、減圧度を変えてシクロペンタジエン
系縮合環炭化水素の回収率を変えて同様の操作行い、G
PC面積比で3量体を30重量%、4量体を30重量
%、5量体を24重量%、6量体を8重量%含有し、4
0℃での動粘度が52.6mm 2/sの水素化シクロペ
ンタジエン系縮合炭化水素を得た。
【0071】(調製例2)調製例1で用いたCPD留分
600g(シクロペンタジエン6.8モル)と2,4,
4−トリメチルペンテン−1を75重量%含み、その他
がα−オレフィン以外の留分からなるC8留分400g
(α−オレフィンとして2.7モル)を調製例1と同じ
方法で熱共重合した。熱共重合液から原料中の不活性留
分、及び未反応原料を最初加圧下、引き続き減圧下にお
いて239℃で留去し、第2段の重合を行いながら0.
65MPaの減圧下で同温度に1時間保持し、シクロペ
ンタジエン−α−オレフィン共重合物を含むシクロペン
タジエン系縮合環炭化水素96gと、軟化点142℃の
シクロペンタジエン樹脂357gとを得た。シクロペン
タジエン系縮合環炭化水素のND/CDは1.0であっ
た。次いで、調製例1と同様の条件で水素化し、水素化
シクロペンタジエン系縮合炭化水素を得た。この水素化
シクロペンタジエン系縮合炭化水素はGPC面積比で3
量体を34重量%、4量体を24重量%、5量体を18
重量%、6量体を11重量%含有しており、40℃での
動粘度は21.2mm2/sであった。
【0072】そして、試験−1と同様にして、トラクシ
ョン係数の測定、シール材適合性、蒸発特性及び低温特
性の各評価を行った。結果を表5及び表6に併記する。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】表5及び表6に示すように、本発明に従う
各実施例の試験グリースは、トラクション係数、体積変
化率、重量変化率、蒸発損失量及び低温起動トルクの全
ての項目において合格である。特にトラクション係数に
ついては、第1のトラクショングリース組成物に比べて
高い値が得られている。これに対して、酸化マグネシウ
ム微粒子を含有しない比較例14〜16の試験グリース
は、総じてトラクション係数が低くなっている。特に、
ジメチルシリコーンの配合比が多い比較例14の試験グ
リースでは、トラクション係数が低い。また、水素化シ
クロベンタジエン縮合炭化水素の粘度が高い比較例15
の試験グリースは、低温起動トルクが高くなっている。
更に、酸化マグネシウムの配合量が多い比較例17の試
験グリースは、トラクション係数が若干低く、低温起動
トルクも高い。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トラクション係数が高く、低温流動性や蒸発特性等の諸
特性に優れ、かつ安価なトラクショングリース組成物が
提供され、トラクションドライブ装置等の小型軽量化や
高性能化、長寿命化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエッジローラトラクションドライブ減速機の
一例を示す正面図(a)及びAA断面図(b)である。
【図2】転がり軸受の一例(玉軸受)を示すとともに、
実施例において低温起動トルクの測定に用いた試験軸受
を示す一部破断斜視図である。
【図3】実施例において、トラクション係数の測定に用
いた装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ウエッジローラトラクションドライブ減速装置 2 入力軸 3 出力リング 4 ウエッジローラ 5 ガイドローラ 6 ばね 7 潤滑剤(トラクショングリース組成物) 10 第1の円筒 11 第2の円筒 21 内輪軌道 22 内輪 23 外輪軌道 24 外輪 25 玉 26 保持器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 107/50 C10M 107/50 113/10 113/10 115/08 115/08 125/10 125/10 // C10N 10:04 C10N 10:04 20:02 20:02 20:06 20:06 Z 40:04 40:04 50:10 50:10 Fターム(参考) 4H104 AA13C AA24B BA02A BE13B CA03A CA04A CA05A CJ05A EA02A EA08C FA02 PA03 QA18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 40℃における動粘度が5〜100mm
    2/sであるジメチルシリコーンからなる第1の基油を
    1〜40重量%の割合で含み、前記第1の基油と相溶性
    を有し、かつ前記第1の基油よりも添加剤の溶解性に優
    れ、トラクション係数が大きい第2の基油を60〜99
    重量%の割合で含んでなる基油と、金属酸化物の微粒子
    と、増ちょう剤とを含むことを特徴とするトラクション
    グリース組成物。
  2. 【請求項2】 第2の基油が、40℃における動粘度が
    5〜150mm2/sである炭素数3〜5のα−オレフ
    ィン重合体であることを特徴とする請求項1記載のトラ
    クショングリース組成物。
  3. 【請求項3】 第2の基油が、アルキル基中に炭素原子
    を1〜3個有するα−アルキルスチレンの2量体水素化
    合物であることを特徴とする請求項1記載のトラクショ
    ングリース組成物。
  4. 【請求項4】 第2の基油が、シクロペンタジエン類
    と、α−オレフィン類及びモノビニル芳香族炭化水素類
    の少なくとも一方とからなる3〜6量体を主成分とし、
    ノルボルネン環の二重結合上の水素量(ND)とシクロ
    ペンタジエン環の二重結合上の水素量(CD)との比
    (ND/CD)が0.9〜1.3であるシクロペンタジ
    エン系縮合環炭化水素の水素化物であり、かつ40℃に
    おける動粘度が5〜50mm2/sであることを特徴と
    する請求項1記載のトラクショングリース組成物。
  5. 【請求項5】 基油と金属酸化物の微粒子との混合比
    が、基油が90〜99重量%で、金属酸化物の微粒子が
    1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜4の
    何れか1項に記載のトラクショングリース組成物。
  6. 【請求項6】 金属酸化物の微粒子が、平均粒径2μm
    以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項
    に記載のトラクショングリース組成物。
  7. 【請求項7】 増ちょう剤の含有量が、グリース全量の
    3〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜6の
    何れか1項に記載のトラクショングリース組成物。
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