JP2003176403A - 熱可塑性樹脂複合成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂複合成形体

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JP2003176403A
JP2003176403A JP2002272009A JP2002272009A JP2003176403A JP 2003176403 A JP2003176403 A JP 2003176403A JP 2002272009 A JP2002272009 A JP 2002272009A JP 2002272009 A JP2002272009 A JP 2002272009A JP 2003176403 A JP2003176403 A JP 2003176403A
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temperature
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Hideyuki Ariyasu
秀之 有安
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属部材等と樹脂との固着に優れ、金属部材
等のガタツキがなく樹脂部の亀裂や割れが極めて少ない
インサート成形品、アウトサート成形品を提供。 【解決手段】 (A)ポリトリメチレンテレフタレート
樹脂と(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを
含む特定の結晶化挙動を有する組成物を、予め賦形され
た金属部材、無機固体部材及び熱硬化性樹脂部材からな
る群から選ばれる1種以上の部材を金型に設置した後
に、射出成形した熱可塑性樹脂複合成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性ポリエステ
ルを主成分とする熱可塑性樹脂組成物の射出成形品に関
わり、更に詳しくは耐熱性、各種物性、精密な寸法安定
性等が要求される用途に好適に用いられる熱可塑性樹脂
複合成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】金属部材又は無機固体部材又は熱硬化性
樹脂部材等(以下、金属部材等という)と熱可塑性樹脂
とを射出成形時に複合させた熱可塑性樹脂複合成形体を
得るための成形法には、例えばインサート成形法があ
り、熱可塑性樹脂では耐え切れない外力を、シャフト、
ナット、スリーブ等埋め込み金属部材等に負担させる等
の目的で用いられる(例えば、特許文献1参照。)。テ
レビ、テープレコーダー、ビデオテープレコーダー(V
TR)等の家電製品をはじめ、自動車内外装部品、工業
部品等多くの製品にこのインサート成形品が広く使用さ
れている。
【0003】一方、他の成形法には、例えばアウトサー
ト成形法があり、設計の自由度が大きい事、後加工が削
減できる事、軽量化が図れる事、安価である事等の利点
から、テープレコーダー、ビデオテープレコーダー(V
TR)のシャーシ類に代表される各種シャーシやスイッ
チ基板等にアウトサート成形品が広く使用されている
(例えば、特許文献2参照。)。これらのインサート成
形品およびアウトサート成形品用の熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂をはじめ、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリング樹脂等、種
々のものが使用されている。特に耐熱性、強靱性、精密
な寸法安定性等が要求される用途には、前記のエンジニ
アリング樹脂が使用されている。
【0004】一般に熱可塑性樹脂複合成形は高温で行わ
れ、その後室温まで冷却されると、金属部材等と樹脂の
熱膨張係数の違いにより、金属部材等と樹脂ボス部との
間に応力が生じる。エンジニアリング樹脂の複合成形体
としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
エステル樹脂等が多く使用されているが、これらのエン
ジニアリング樹脂はクリープ特性等の優れた機械的物
性、電気特性、摺動特性を有しているが、成形時の収縮
が大きいためその応力は大きくなる。この応力は金属部
材等を樹脂ボス部に固定する働きを持つが、時にはこの
残留応力によって、密着力が低下したり、ボス部にクラ
ックが生じ甚だしくは成形品が割れてしまうこともあ
る。また、成形当初は亀裂や割れが無くても長時間経過
後、クリープ破壊を発生したり、使用時に繰り返し加熱
と冷却を受ける用途では、使用中に金属部材等と樹脂部
との接着部位において白化する問題がある。これらの対
策として、樹脂部の肉厚を厚くしたり、樹脂部にスリッ
トを設けるなどの形状面での対策が多くとられている
が、満足のゆくものではない。
【0005】ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブ
チレンテレフタレート樹脂に代表される熱可塑性ポリエ
ステル樹脂は、機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、
電気特性等に優れ、自動車材料、電気・電子部品等の幅
広い分野で使用されている。そして、用途の拡大、多様
化に伴い、さらに精密で、かつ、機能性に優れた成形体
が求められるようになってきた。代表的なポリエステル
系樹脂であるポリブチレンテレフタレート(以下、PB
Tと略称することがある。)を用いたインサート成形法
あるいはアウトサート成形法による金属複合熱可塑性樹
脂成形体は、PBTの場合、金属との固着度、耐ヒート
ショック性に劣る等の問題がある(例えば、特許文献3
および4参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平7−124996号公報
【特許文献2】特開平7−124997号公報
【特許文献3】特開平6−304963号公報
【特許文献4】特開平6−320569号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この様な状況に鑑み、
強度、剛性等の機械特性、寸法安定性、金属部材等の固
着密着性に優れ、かつ、長期にわたり繰り返し加熱と冷
却を受けても、金属部材等と樹脂部との接着部位におい
て変形、亀裂、白化等を生ずることのない熱可塑性樹脂
複合成形体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる従
来技術の問題点を解消して、金属部材等と樹脂ボス部と
の応力を小さくし、熱可塑性樹脂複合成形体に長期にわ
たってクラック、割れが入ることを防止し、良好な成形
体を提供することを検討した結果、ポリトリメチレンテ
レフタレート樹脂及び結晶核剤又は無機フィラーの組成
物からなる熱可塑性樹脂複合成形体が極めて有効である
ことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】即ち本発明は、以下の発明に関する。 [1](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と
(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、
下記(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する組成物
を、予め賦形された金属部材、無機固体部材及び熱硬化
性樹脂部材からなる群から選ばれる1種以上の部材を金
型に設置した後、射出成形した熱可塑性樹脂複合成形
体。 (1)前記組成物の10〜20mgを、示差熱量測定器
を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280
℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定
降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開
始温度Tcが170℃以下である。 (2)前記組成物の10〜20mgを、示差熱量測定器
を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280
℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定
降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した
場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+
20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の
範囲)。
【0010】[2](C)無機フィラーの量が、(A)
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フ
ィラーの総重量に対して70重量%以下である、前記
[1]に記載の熱可塑性樹脂複合成形体。 [3](C)無機フィラーがガラス繊維、ガラスビーズ
及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種類以上
のガラス材料である、前記[1]又は[2]に記載の熱
可塑性樹脂複合成形体。 [4](C)無機フィラーがタルク、マイカ、ウォラス
トナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチ
タン酸カリウムウィスカーからなる群から選ばれる1種
類以上ある、前記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹
脂複合成形体。 [5]熱可塑性樹脂複合成形体が、インサート成形品で
ある、前記1から4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂複
合成形体。 [6]熱可塑性樹脂複合成形体が、少なくとも一つ以上
の切欠きもしくは穴のあいた基板に熱可塑性樹脂組成物
をアウトサート成形法により成形したアウトサート成形
品である、前記1から4のいずれかに記載の熱可塑性樹
脂複合成形体。
【0011】以下に本発明を詳細に記載する。本発明に
おけるポリトリメチレンテレフタレート樹脂(以下、P
TTと略称することがある。)とは、酸成分に主として
テレフタル酸を、グリコール成分に主としてトリメチレ
ングリコールを用いたポリエステル樹脂である。テレフ
タル酸以外の他の酸成分としては、テレフタル酸以外の
芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、
ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォン
ジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等
の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等
の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、ヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ
ジカルボン酸が例示される。なお、テレフタル酸は、酸
成分の80モル%以上であることが好ましい。
【0012】トリメチレングリコールとしては、1,3
−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,
1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオールある
いはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点
から1,3−プロパンジオールが特に好ましく、グリコ
ール成分の80モル%以上であることが好ましい。他の
グリコール成分としてはエチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キ
シリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキ
シアルキレングリコール、ハイドロキノンなどが例示さ
れる。
【0013】また、上述のポリエステルには、分岐成
分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリ
ット酸等の三官能または四官能のエステル形成能を持つ
酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成
能を持つアルコールが共重合されていてもよく、その場
合、分岐成分の量は全ジカルボン酸成分の1.0モル%
以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましく
は、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共
重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わな
い。
【0014】本発明に用いられるPTTの製造方法は、
特に限定されるものではないが例えば、特開昭51−1
40992号公報、特開平5−262862号公報、特
開平8−311177号公報等に記載されている方法に
よって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低
級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたは
そのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な
温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸
のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時
間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられ
る。
【0015】本発明のPTTは、その数平均分子量が
5,000〜100,000であることが好ましく、分
子量分布を示すMw/Mnが1.5〜4.5であること
が好ましい。さらには、分子量100,000以上の分
子が、1〜20%含有されることが好ましい。数平均分
子量および分子量分布は、例えば、浸透圧法や末端定量
法、或いはGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)により測定することができる。具体的には、
測定装置として東ソー(株)製HLC−8120及びカ
ラムとして昭和電工(株)HFIP804−803(3
0cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイ
ソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)を用い、標準試
料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、
温度40℃、流量0.5ml/分で実施することができ
る。
【0016】本発明でいう結晶化開始温度Tcとは、示
差熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜2
0mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃
まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降
温速度にて23℃まで急冷した際に発現する、結晶性樹
脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時の
サンプル温度をいう。この際、吸熱ピークが複数発現す
る場合は、最初に観測される吸熱ピークを観測対象のピ
ークとする。金属部材等の複合成形では、一般に射出成
形に先立ち金型キャビティに主に金属部材等が設置さ
れ、該部材等に射出成形される溶融樹脂が接触し冷却さ
れて該部材等が接着固定された複合成形品が得られる。
熱可塑性樹脂が金属部材等とよく接着し残留応力の少な
い成形品が好ましい。結晶化開始温度Tcが170℃以
下の場合、射出成形において金型内固化時の結晶化速度
が適度であるため、樹脂と金属部材等との接着力が増す
とともに、成形時の残留歪みが小さくなる。
【0017】又、本発明でいう結晶化ピーク時間とは、
示差熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜
20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280
℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定
降温速度にて温度T℃まで急冷し、以後T℃にて10分
間保持した際、サンプル温度がT℃に達した時間(t
1)と、降温開始から温度をT℃で保持し続ける間に発
現する結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが
観測された時の時間(t2)との差(t2−t1)をい
う。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最後に
観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。な
お、温度Tとは、60〜120℃の範囲をいい、現実の
射出成形を考えた場合、金型表面温度は厳密には均一で
なく温度分布が存在するため、結晶化ピーク時間は、幅
広い温度領域、即ち、温度Tの全領域において+20秒
以下である必要がある。
【0018】ここで、本発明においては、結晶化ピーク
時間が負の値となる場合が含まれる。以下図3を用いて
説明する。図3は結晶化ピーク時間を得る際の示差走査
熱量測定器の温度プロファイルと、得られるチャートの
模式図である。サンプルAの場合は、最後に観測される
吸熱ピークがサンプル温度をT℃にて保持している間に
発現しており、結晶化ピーク時間は正の値となる。一方
サンプルBの場合は、サンプル温度がT℃に達するまで
の間に吸熱ピークのトップが発現しており、t2<t1
となるため、結晶化ピーク時間は負の値となる。
【0019】本発明の温度T=60〜120℃という温
度範囲は、通常一般的な金属部材等との複合射出成形時
の金型温度と同一であり、結晶化ピーク時間が+20秒
以下であれば、結晶化速度が適度となるため、金型内で
の冷却滞留時間を短く抑えることができ経済的に得策で
ある。好ましい結晶化ピーク時間は+10秒以下、より
好ましい結晶化ピーク時間は±0秒以下である。ポリエ
ステル樹脂として代表的な、PBTは結晶化開始温度T
cが高く、結晶化速度も非常に大きいため、樹脂と金属
部材等との固着性に劣り、かつ、成形時の残留歪みが大
きい。また、PBTはあまりにも結晶化速度が大きいた
め、添加剤等にて結晶化速度をコントロールすることが
容易でない。
【0020】一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂
(以下PETと略称することがある。)の結晶化速度
は、あまりにも小さい為、例えば、特開平7−2474
11号公報にみられるように、特定の結晶核剤等を配合
する必要があり、たとえその場合においても、好適な金
属部材等の複合体射出成形時に、例えば、金型温度を超
高温(140〜150℃)に保たないと離型性に劣る
等、成形条件を複雑に設定する必要があり、本発明の複
合成形体用材料としては不適である。又、本発明のポリ
トリメチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわ
ない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレートと、ポリ
エチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート
等の他のポリエステル樹脂との混合物であってもかまわ
ない。
【0021】本発明で用いる(B)結晶核剤は結晶性熱
可塑性ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用い
られている公知の化合物が好ましい。例えば、タルク、
マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸
化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カル
ボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル
塩、炭酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン
酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用され
る。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩
は、より好ましく用いられる。 CH(CHCOO(M) (1) (式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
【0022】脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na
塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ま
しい。これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良い
し、それらの混合物を用いてもよい。結晶核剤の添加量
は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶
化開始温度Tcと結晶化ピーク時間が本発明の範囲にあ
れば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合
わせ、性能等に応じて適宜選択する。本発明でいう
(C)無機フィラーとは、熱可塑性ポリエステル樹脂に
一般的に配合されるような公知の無機フィラーをいう。
この中で、例えば、タルク、カオリン、マイカ、ガラス
繊維等では、使用する種類等により、(B)成分の結晶
核剤として作用する性質を持つものもある。
【0023】本発明においては、(C)無機フィラーと
して、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークか
らなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが好
ましい。ここで、ガラス繊維とは、通常ポリエステル樹
脂に用いられるものであれば特に制限はない。又、組成
物中のガラス繊維の数平均長さ(以下Lという)、数平
均繊維径(以下Dという)およびLとDの比(以下L/
Dともいう)については特に限定されないが、Lは10
0μm以上、L/Dは20以上であることが好ましい。
ガラス繊維の配合量は、成形体の表面外観の観点から、
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂とガラス材料の総
重量に対し70重量%以下が好ましい。又、ガラスビー
ズやガラスフレーク等、他のガラス材料と併用する場合
は、ガラス材料の総重量が、樹脂とガラス材料の総重量
に対し70重量%以下が好ましい。又、前記ガラス繊維
は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。
表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成
剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤と
しては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリン
グ剤があげられる。
【0024】シラン系カップリング剤としては、トリエ
トキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ア
ミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラ
ン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5
ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘ
キサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリ
ル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア
等が挙げられる。
【0025】この中でも、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランお
よびエポキシシランが好ましく用いられる。チタン系カ
ップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニ
ルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロ
ホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス
(ジオクチルホスフェイト)チタネート、テトラオクチ
ルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テト
ラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス
(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオ
クチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネー
ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチ
タネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、
イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネー
ト、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネー
ト、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタ
ネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、
イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)
チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネ
ート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げ
られる。
【0026】フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリ
マー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレ
ン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、
1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽
和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエ
ステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテ
ル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これ
らの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマ
ー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸
コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチ
レン無水マレイン酸コポリマー、及び、これらの混合物
が好ましく用いられる。
【0027】又、好ましい無機フィラーとして、ガラス
材料以外にも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カ
オリン、炭酸カルシウム、炭素繊維、及び、チタン酸カ
リウムウィスカー等を挙げることができる。その他の無
機フィラーとして、繊維状の無機フィラー、例えば、ア
スベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジ
ルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化ケイ素繊維、硼素繊
維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真
鍮等の金属繊維状物があげられる。
【0028】又、粉粒状である、シリカ、石英粉末、ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻
土のごときケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、
アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸マグネシウムのご
とき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのご
とき金属の硫酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、
各種金属粉末も用いることができる。無機フィラーの含
有量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレ
ンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し7
0重量%以下とすることが好ましい。又、2種類以上の
無機フィラーを併用する場合も、無機フィラーの総重量
が、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラ
ーの総重量に対し70重量%以下となるようにすること
が好ましい。
【0029】2種類以上の無機フィラーの組み合わせと
しては、ガラス繊維とタルク、又は、マイカ、又は、ウ
ォラストナイト、又は、カオリン、又は、炭酸カルシウ
ム等の組み合わせが好ましい。又、本発明においては、
(B)結晶核剤と(C)無機フィラーの併用も好まし
い。本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成
物には、所望に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、離型
剤、耐候剤、潤滑剤、顔料、染料等、従来、熱可塑性ポ
リエステル系樹脂に公知の添加剤を配合してもよい。
【0030】具体的な顔料としては、有機顔料として
は、モノアゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソ
インドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン
系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等が
あげられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸
化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブ
ルー、焼成顔料、メタリック顔料等があげられる。特
に、メタリック顔料としては、アルミニウム、着色アル
ミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化
鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子、マイカ製パール
顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラー
ガラスフレーク等をあげることができる。
【0031】又、本発明の効果を損なわない範囲で、ポ
リトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオ
レフィン系樹脂、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレ
ン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂
等のスチレン系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド類、
変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂の1
種又は2種以上を配合してもかまわない。本発明では金
属部材等の複合成形が実施できる各種の射出成形法が良
好に使用できる。ガスアシスト射出成形、液体アシスト
射出成形、射出圧縮成形などの低圧射出成形法も使用で
きる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例により詳細
に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではな
い事は勿論である。まず、実施例及び比較例で用いられ
るポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂、ガラス繊維及び核剤、並びに得ら
れた樹脂組成物における測定項目・測定条件等について
説明する。
【0033】(1)ポリトリメチレンテレフタレート樹
脂 a−1:極限粘度[η]が1.02であり、かつ、数平
均分子量が9800、Mw/Mn=2.5、100,0
00以上の分子量が占める割合が5.8%であるポリト
リメチレンテレフタレート樹脂 なお、極限粘度[η]は以下の定義式によって求められ
る値である。 [η]=lim1/C×(η−1) [C→0] 式中のηは、ポリエステル樹脂を純度98%以上のo
−クロロフェノールに溶解させた希釈溶液の35℃にお
ける粘度を、同一温度における上記溶媒の粘度で除した
値であり、相対粘度として定義されているものである。
また、Cは上記希釈溶液100ml中の溶質の重量
(g)である。
【0034】(2)ポリブチレンテレフタレート樹脂 b−1:極限粘度1.05のポリブチレンテレフタレー
ト樹脂 (3)ガラス繊維 GF−1:繊維径10μm、長さ3mmのチョップドス
トランドをアミノシランカップリング剤とエポキシ系収
束剤の混合物で表面処理したもの (4)核剤 NAV−1:モンタン酸ナトリウム(リコモントNaV
101;クラリアント(株)製) (5)結晶化開始温度 パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用
い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温
速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した
後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷
し、最初に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップが
観測された時のサンプル温度を求めた。
【0035】(6)結晶化ピーク時間 パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用
い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温
速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した
後、500℃/分の設定降温速度にて目標温度(T)6
0℃まで急冷し、以後60℃にて10分間保持した。降
温開始から60℃で保持する間に発現する結晶化に伴う
吸熱ピークのトップまでの時間(秒)を求めた。この
時、吸熱ピークが複数発現する場合、最も遅い時間に発
現する吸熱ピークの時間を結晶化ピーク時間とした。ま
た、サンプル温度が60℃に達した時間を±0秒として
表示した。さらに、サンプルを替え、目標温度(T)を
それぞれ70、80、90、100、110、120℃
とし、上記と同様に測定を行い、それぞれの結晶化ピー
ク時間を求め、目標温度(T)の60〜120℃の範囲
での結晶化ピーク時間を評価した。
【0036】(7)曲げ弾性率:JIS K 7171
準拠 試験機:(株)オリエンテック製テンシロンUTC−3
0T型 試験片:110mm×10mm×4mmt 試験温度:23℃ 試験速度:2mm/min (8)金属部材と樹脂部の固着度合い:次の基準で評価
した。 ○:金属部材と樹脂間に殆ど隙間がなく、金属部材のが
たつきが無いもの ×:金属部材と樹脂間に隙間が見られ、金属部材のがた
つきが見られるもの (9)樹脂部の状態:次の基準で評価した。 ○:樹脂部にそり、変形、亀裂、割れがないもの ×:樹脂部に著しいそりや変形又は、亀裂、割れが見ら
れるもの (10)ヒートショック試験 成形品を120℃で1時間加熱した後、すぐに−40℃
の雰囲気に成形品を移して1時間冷却する試験であり、
加熱/冷却を1サイクルとして、100サイクルの試験
を行い、各インサート成形品、アウトサート成形品につ
いて、上述の(8)金属部材と樹脂部の固着度合い、並
びに(9)樹脂部の状態について評価した。
【0037】
【実施例1】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)と結晶核剤(NAV−1)とを表1に示す比率で
混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、
2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=
37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、ス
クリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は26
0℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズ
ルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッテ
ィングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の
窒素雰囲気下で5時間乾燥した。このペレットを用い、
結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。
評価結果を表1に示す。
【0038】該ペレットを用い、曲げ弾性率評価用試験
片を射出成形し、曲げ弾性率を評価した。成形は、樹脂
温度260℃、金型温度95℃で行った。評価結果を表
1に示す。又、該ペレットを用い、射出成形機(住友重
機械工業製SG125M−HP)にて図1に示すインサ
ート成形品を成形した。この時、樹脂温度260℃、金
型温度95℃であった。得られた成形品を温度23℃、
相対湿度50%に調整された部屋で24時間放置した
後、インサートされた金属部材と樹脂部の固着の度合い
(ガタツキの程度)及び樹脂部の状態を評価した。又、
この成形品のヒートショック試験を行った後、金属部材
と樹脂ボス部の固着の度合い(ガタツキの程度)及び樹
脂部の状態を評価した。これらの結果を表1に示す。良
好な成形品であった。
【0039】
【実施例2】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)とガラス繊維(GF−1)とを表1に示す重量比
で混合し、実施例1と同様の操作を行いペレットを得
た。該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始
温度、結晶化ピーク時間及び曲げ弾性率を評価した。結
果を表1に示す。又、該ペレットを用い、実施例1と同
様に、図1で示すインサート成形品を成形し、ヒートシ
ョック試験前後で、金属部材と樹脂部の固着の度合い
(ガタツキの程度)及び樹脂部の状態を評価した。結果
を表1に示す。良好な成形品であった。
【0040】
【比較例1】ペレット化したポリトリメチレンテレフタ
レート樹脂(a−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時
間乾燥し、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を
測定した。評価結果を表1に示す。該ペレットを用い、
実施例1と同様に、図1で示すインサート成形品を成形
し、ヒートショック試験前後で、金属部材と樹脂部の固
着の度合い(ガタツキの程度)及び樹脂部の状態を評価
した。結果を表1に示す。ヒートショック前の成形品
は、樹脂部のヒケが著しく、又、固着の度合いも不良で
あった。
【0041】
【比較例2】ペレット化したポリブチレンテレフタレー
ト樹脂(b−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時間乾
燥し、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピー
ク時間及び曲げ弾性率を評価した。結果を表1に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図1で示す
インサート成形品を成形し、ヒートショック試験前後
で、金属部材と樹脂部の固着の度合い(ガタツキの程
度)及び樹脂部の状態を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
【比較例3】実施例2で用いたポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂(a−1)の代わりにポリブチレンテレフ
タレート樹脂(a−2)用いた以外は、表2に示す重量
比にて、実施例2と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例2と同様に、結晶化開始温
度、結晶化ピーク時間及び曲げ弾性率を評価した。結果
を表1に示す。又、該ペレットを用い、実施例1と同様
に、図1で示すインサート成形品を成形し、ヒートショ
ック試験前後で、金属部材と樹脂部の固着の度合い(ガ
タツキの程度)及び樹脂部の状態を評価した。結果を表
1に示す。
【0043】
【実施例3】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)と結晶核剤(NAV−1)及びガラス繊維(GF
−1)とを表2に示す重量比で混合し、実施例1と同様
の操作を行いペレットを得た。該ペレットを用い、実施
例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間及び
曲げ弾性率を評価した。結果を表2に示す。又、該ペレ
ットを用い、射出成形機(住友重機械工業製SG125
M−HP)にて図2で示すアウトサート成形品を成形し
た。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であっ
た。得られた成形品を温度23℃、相対湿度50%に調
整された部屋で24時間放置した後、アウトサートされ
た金属部材と樹脂部の固着の度合い(ガタツキの程度)
及び樹脂部の状態を評価した。又、この成形品のヒート
ショック試験を行った後、金属部材と樹脂ボス部の固着
の度合い(ガタツキの程度)及び樹脂部の状態を評価し
た。これらの結果を表2に示す。良好な成形品であっ
た。
【0044】
【実施例4】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)とガラス繊維(GF−1)とを表2に示す重量比
で混合し、実施例1と同様の操作を行いペレットを得
た。該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始
温度、結晶化ピーク時間及び曲げ弾性率を評価した。結
果を表2に示す。又、該ペレットを用い、実施例3と同
様に、図2で示すアウトサート成形品を成形し、ヒート
ショック試験前後で、金属部材と樹脂部の固着の度合い
(ガタツキの程度)及び樹脂部の状態を評価した。結果
を表2に示す。良好な成形品であった。
【0045】
【実施例5】実施例4に対して、表2に示すように、ポ
リトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とガラス
繊維(GF−1)との比率を変えた以外は実施例4と同
様に操作し、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間及び曲
げ弾性率を評価した。結果を表2に示す。又、該ペレッ
トを用い、実施例3と同様に、図2で示すアウトサート
成形品を成形し、ヒートショック試験前後で、金属部材
と樹脂部の固着の度合い(ガタツキの程度)及び樹脂部
の状態を評価した。結果を表2に示す。良好な成形品で
あった。
【0046】
【比較例4】表2に示すように、実施例4で用いたポリ
トリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の替わりに
ポリブチレンテレフタレート樹脂(b−1)を用いた以
外は実施例4と同様に操作し、結晶化開始温度、結晶化
ピーク時間及び曲げ弾性率を評価した。結果を表2に示
す。又、該ペレットを用い、実施例3と同様に、図2で
示すアウトサート成形品を成形し、ヒートショック試験
前後で、金属部材と樹脂部の固着の度合い(ガタツキの
程度)及び樹脂部の状態を評価した。結果を表2に示
す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明のポリトリメチレンテレフタレー
ト樹脂、並びに結晶核剤及び/又は無機フィラーを含
み、特定の結晶化挙動を有する熱可塑性樹脂組成物は、
優れた機械的強度、耐熱性を有するだけでなく、成形時
の結晶化速度が適度であり、金属部材等をインサート成
形或いはアウトサート成形した成形品の用途に用いられ
る。さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いる事に
より、金属部材等と樹脂との固着に優れ、金属部材等の
ガタツキがなく樹脂部の亀裂や割れが極めて少ないイン
サート成形品、アウトサート成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で成形したインサート成形品の
概略図である。
【図2】実施例、比較例で成形したアウトサート成形品
の概略図である。
【図3】結晶化ピーク時間の模式図である。
【符号の説明】
1:インサート部材(金属部材) 2:実施例、比較例に用いた熱可塑性樹脂組成物 3:ボス部 4:アウトサート部材(金属部材) 5:実施例、比較例に用いた熱可塑性樹脂組成物 6:ランナー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:16 B29K 105:16 105:20 105:20 507:04 507:04 509:00 509:00 509:08 509:08 Fターム(参考) 4F206 AA24 AB08 AB11 AD02 AD03 AD05 AG03 AH26 AH42 JA07 JB12 JF01 JF02 JF05 JL02 4J002 CF051 DE046 DE216 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL007 EG006 EH006 EV256 FA012 FA047 FA087 FB097 FB167 FD017 FD206 GN00 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリトリメチレンテレフタレート
    樹脂と(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを
    含み、下記(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する
    組成物を、予め賦形された金属部材、無機固体部材及び
    熱硬化性樹脂部材からなる群から選ばれる1種以上の部
    材を金型に設置した後、射出成形した熱可塑性樹脂複合
    成形体。 (1)前記組成物の10〜20mgを、示差熱量測定器
    を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280
    ℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定
    降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開
    始温度Tcが170℃以下である。 (2)前記組成物の10〜20mgを、示差熱量測定器
    を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280
    ℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定
    降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した
    場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+
    20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の
    範囲)。
  2. 【請求項2】 (C)無機フィラーの量が、(A)ポリ
    トリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラ
    ーの総重量に対して70重量%以下である、請求項1に
    記載の熱可塑性樹脂複合成形体。
  3. 【請求項3】 (C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガ
    ラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる
    1種類以上のガラス材料である、請求項1又は2に記載
    の熱可塑性樹脂複合成形体。
  4. 【請求項4】 (C)無機フィラーがタルク、マイカ、
    ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊
    維及びチタン酸カリウムウィスカーからなる群から選ば
    れる1種類以上ある、請求項1又は2に記載の熱可塑性
    樹脂複合成形体。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂複合成形体が、インサート
    成形品である、請求項1から4のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂複合成形体。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂複合成形体が、少なくとも
    一つ以上の切欠きもしくは穴のあいた基板に熱可塑性樹
    脂組成物をアウトサート成形法により成形したアウトサ
    ート成形品である、請求項1から4のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂複合成形体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100400588C (zh) * 2005-12-09 2008-07-09 胡惠祥 一种聚丙烯塑料及其制备方法
WO2012132639A1 (ja) * 2011-03-25 2012-10-04 宇部興産株式会社 金属と熱可塑性樹脂の複合体
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