JP2003162326A - 群ロボットシステム、それに用いられるセンシングロボット、ベースステーションおよびフェロモンロボット - Google Patents

群ロボットシステム、それに用いられるセンシングロボット、ベースステーションおよびフェロモンロボット

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JP2003162326A
JP2003162326A JP2002051279A JP2002051279A JP2003162326A JP 2003162326 A JP2003162326 A JP 2003162326A JP 2002051279 A JP2002051279 A JP 2002051279A JP 2002051279 A JP2002051279 A JP 2002051279A JP 2003162326 A JP2003162326 A JP 2003162326A
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Yoshiji Oota
佳似 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベースステーションが停止している状態での
探索範囲を広げることができる群ロボットシステムを提
供する。 【解決手段】 群ロボットシステム100の通信体系
を、ベースステーション101を最上層として、複数の
センシングロボット群102,103,104同士で複
数層を構成する階層構造をなすようにし、この階層構造
において、ベースステーション101からは、複数のセ
ンシングロボット群102,103,104それぞれま
で階層構造の下層側へ順に、複数のセンシングロボット
群102,103,104それぞれの動作の制御に関す
る情報が伝達され、複数のセンシングロボット群10
2,103,104それぞれからは、べースステーショ
ン101まで階層構造の上層側へ順に、複数のセンシン
グロボット群102,103,104それぞれの対象物
の探索に関する情報が伝達される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物を探索する
ためのロボットが多数集まり群として動作する群ロボッ
トシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平7−93028号公報には、図4
8に示すように、ベースステーションの一例としての1
個の親ロボットと、センシングロボットの一例としての
複数の子ロボットとからなる移動ロボット群を含む群ロ
ボットシステムが開示されている。その群ロボットシス
テムにおいては、親ロボットには非接触センサによるセ
ンシング機能を持たせ、子ロボットには接触型センサに
よるセンシング機能を持たせ、親ロボットは子ロボット
の配置と移動経路を決定して子ロボットに位置と移動距
離の指令を与えるものである。
【0003】また、前述のシステムにおいては、ベース
ステーションのセンシングによる情報とセンシングロボ
ットのセンシングによる情報とを使用して、経路計画法
によってベースステーションが出発地から目的地まで移
動する経路を計画して実行するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平7−930
28号公報に記載された構成では、ベースステーション
とセンシングロボットとは1対1の関係で通信を行なっ
ているため、広い探索範囲を探索する場合に、全てのセ
ンシングロボットに長距離の通信を行なう必要性が生じ
ることがある。そのため、前述のような群ロボットシス
テムでは、ベースステーションが停止している場合に
は、センシングロボットそれぞれに最大通信距離が長い
通信機構、すなわち、大型化または重量化した通信機構
が必要とされていた。
【0005】また、通信機構を大きくすると個々のセン
シングロボットも大型化または重量化し、センシングロ
ボットの探索機能に支障をきたすことが考えられる。そ
のため、ベースステーションが停止している状態での群
ロボットシステム全体の探索範囲を広げることが困難で
あった。
【0006】また、上記従来の群ロボットシステムのよ
うに、ベースステーションとセンシングロボットとが1
対1の関係で通信を行なっている場合は、ベースステー
ションと個々のセンシングロボットとがそれぞれ通信す
る必要があった。そのため、ベースステーションが停止
している状態での群ロボットシステム全体の探索範囲を
広げようとすると、ベースステーションにおいてもそれ
ぞれのセンシングロボットと長距離通信できるように大
きな通信機構を備える必要があった。この観点からも、
ベースステーションが停止している状態での群ロボット
システム全体の探索範囲を広げることが困難であった。
【0007】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、センシングロボットまたはベースス
テーションの通信機構の小型化または軽量化を図りなが
ら、ベースステーションが停止している状態での探索範
囲を広げることができる群ロボットシステム、それに用
いられるセンシングロボットおよびベースステーション
を提供することである。
【0008】また、さらに、前述の群ロボットシステム
の探索範囲を広げるにあったて、センシングロボットの
制御をより確実にする必要がある。その場合に、センシ
ングロボットの移動を制限することにより、さらに通信
制御によるコントロールを確実にしようとすると、セン
シングロボットの移動をコントロールするロボット、た
とえば、フェロモンロボットが必要であると考えられ
る。
【0009】そこで、本発明の他の目的は、群ロボット
システムの探索範囲を広げるにあったて、センシングロ
ボットの移動を制限して群ロボットシステムにおけるセ
ンシングロボットのコントロールをより確実にすること
ができるフェロモンロボットを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の群ロボットシス
テム(又は、群ロボットの制御方法)は、対象物の探索
に用いられる複数のセンシングロボットと、複数のセン
シングロボットを通信により制御するためのベースステ
ーションとを備えた群ロボットシステム(又は、群ロボ
ットシステムに適用される制御方法)であって、群ロボ
ットシステムの通信体系が、ベースステーションを最上
層として、複数のセンシングロボット同士で複数層を構
成する階層構造をなし、階層構造において、ベースステ
ーションからは、複数のセンシングロボットそれぞれま
で階層構造の下層側へ順に、複数のセンシングロボット
それぞれの動作の制御に関する情報が伝達され(ステッ
プ1)、複数のセンシングロボットそれぞれからは、べ
ースステーションまで階層構造の上層側へ順に、複数の
センシングロボットそれぞれの対象物の探索に関する情
報が伝達される(ステップ2)。
【0011】上記のような構成にすることにより、セン
シングロボットそれぞれの通信機構の小型化または軽量
化を図りながら、ベースステーションが停止している場
合の探索範囲を広げることができる。
【0012】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、階層構造の上層から下層へ向かってはベースス
テーションから複数のセンシングロボットそれぞれへの
通信ルートが必ず1つとなるように設定されている。こ
のような構成にすることにより、通信による制御命令の
混乱を避けることができる。
【0013】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、ベースステーションとの通信により複数のセン
シングロボットのうち階層構造の最下層にあるセンシン
グロボットの移動を制限する制御を行なうフェロモンロ
ボットをさらに備えている。このような構成にすること
により、階層構造の最下層にあるセンシングロボットが
ベースステーションの指示が届かない位置に移動してし
まうことによって、最下層にあるセンシングロボットの
制御が不能となることを抑制することができる。
【0014】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、ベースステーションからフェロモンロボットを
経て複数のセンシングロボットそれぞれへ情報を伝達す
ることが可能である。このような構成にすることによ
り、ベースステーションからの情報の伝達系統が、階層
構造の上層側から下層側へ、および、下層側から上層側
への2系統となるため、ベースステーションからセンシ
ングロボットへの情報の伝達不能のおそれを低減するこ
とができる。
【0015】なお、本発明の群ロボットシステムは、フ
ェロモンロボットを使用する場合には、フェロモンロボ
ットとベースステーションとの最大通信距離が、ベース
ステーションと階層構造の最上層にあるセンシングロボ
ットとの間の最大通信距離、フェロモンロボットと階層
構造の最下層にあるセンシングロボットとの間の最大通
信距離、および、複数のセンシングロボット同士の間の
最大通信距離のいずれかよりも大きくなるように設定さ
れていることが、フェロモンロボットを有効に機能させ
るための前提条件である。
【0016】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、フェロモンロボットとベースステーションとの
最大通信距離が、ベースステーションと階層構造の最上
層にあるセンシングロボットとの間の最大通信距離と、
フェロモンロボットと階層構造の最下層にあるセンシン
グロボットとの間の最大通信距離と、複数のセンシング
ロボット同士の間の最大通信距離の和とを加えた距離よ
りも大きくなるように設定されている。このような構成
にすることにより、階層構造の最下層のセンシングロボ
ットまでのベースステーションからの通信可能距離が最
も長くなるように効率的にセンシングロボットを使用す
ることができる。
【0017】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、対象物の探索にあたっては、ベースステーショ
ンに対するフェロモンロボットの位置関係を決定するこ
とにより、全体の探索範囲が決定されるように設定され
ている。このような構成にすることにより、対象物の探
索範囲の決定が容易になる。
【0018】本発明の群ロボットシステムは、さらに好
ましくは、全体の探索範囲に基づいて、複数のセンシン
グロボットの個々の探索範囲が決定されるように設定さ
れている。このような構成にすることにより、センシン
グロボットの個々の探索範囲の決定が容易になる。
【0019】本発明の群ロボットシステムは、またさら
に好ましくは、個々の探索範囲に基づいて、複数のセン
シングロボット個々の対象物の探索能力および通信強度
のうち少なくともいずれか一方が決定されるように設定
されている。このような構成にすることにより、対象物
の探索能力および通信強度のうち少なくともいずれか一
方を的確に決定することができる。
【0020】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、複数のセンシングロボットそれぞれは、階層構
造の1つ上層にある、センシングロボットまたはベース
ステーションからの通信強度が予め決められた基準レベ
ルを下回った場合に、通信強度が基準レベルを上回るよ
うな方向へ移動するように設定されている。このような
構成にすることにより、あるセンシングロボットとの通
信が不能になり、そのセンシングロボットをベースステ
ーションで制御することができないという不都合の発生
を抑制することができる。
【0021】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、階層構造の通信においては、互いに隣接する階
層の複数のセンシングロボット同士の間の通信、また
は、最上層のセンシングロボットとベースステーション
との間の通信は、互いに同じ通信強度となるように設定
されており、複数のセンシングロボットそれぞれが、階
層構造の1つ上層にある、センシングロボットまたはベ
ースステーションからの通信強度が予め決められた基準
レベルを下回った場合に、通信強度が基準レベルを上回
るまで互いの通信強度を強くするように設定されてい
る。このような構成にすることにより、あるセンシング
ロボットとの通信が不能になり、そのセンシングロボッ
トをベースステーションで制御することができないとい
う不都合の発生を抑制することができる。
【0022】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、階層構造における通信方式が、スペクトラム拡
散通信方式である。このような構成にすることにより、
群ロボットシステムの通信体系に混乱を生じさせること
なく、群ロボットシステムを機能させることができる。
【0023】本発明の群ロボットシステムは、また、ス
ペクトラム拡散通信方式において、階層構造の1つ上層
にあるセンシングロボットおよび1つ下層にあるセンシ
ングロボットの識別を、拡散符号により行なうように設
定されている。このような構成にすることにより、階層
の上下の通信の体系に混乱を生じさせることなく、群ロ
ボットシステムを機能させることができる。
【0024】本発明の群ロボットシステムは、また、ス
ペクトラム拡散通信方式において、階層構造の同階層で
の他のセンシングロボットの識別を、拡散符号により行
なうように設定されている。このような構成にすること
により、階層の同層の通信の体系に混乱を生じさせるこ
となく、群ロボットシステムを機能させることができ
る。
【0025】本発明の群ロボットシステムは、スペクト
ラム拡散通信方式には、同期確定のための通信層および
拡散符号、1つ上層にあるセンシングロボットを識別す
るための通信層および拡散符号、ならびに、1つ下層に
あるセンシングロボットを識別するための通信層および
拡散符号が用いられる。
【0026】本発明の群ロボットシステムは、より好ま
しくは、ベースステーションが移動する機能を備えてい
る。このような構成にすることにより、群ロボットシス
テムの探索範囲をベースステーションを移動させること
で容易に変更することができる。
【0027】本発明の群ロボットシステムは、階層構造
がツリー構造である。このような構成にすることによ
り、ベースステーションからそれぞれのセンシングロボ
ットへの指令系統を1本化することができる。
【0028】本発明のセンシングロボットは、ベースス
テーションにより制御されて対象物の探索を行なうセン
シングロボットであって、通信体系が、ベースステーシ
ョンを最上層として、複数のセンシングロボット同士で
複数層を構成する階層構造をなすように設定された群ロ
ボットシステムにおいて用いられ、階層構造の上層側へ
自己より下側の階層のセンシングロボットの対象物の探
索に関する情報を伝達する機能と、階層構造の1つ下層
側へ自己より下側の階層のセンシングロボットの動作に
関する情報を伝達する機能とを備えている。
【0029】上記のような構成にすることにより、セン
シングロボットそれぞれの通信機構の小型化または軽量
化を図りながら、ベースステーションが停止している場
合の探索範囲を広げることができる。
【0030】なお、コンピュータに、前述のセンシング
ロボットを動作させるためのプログラムが実行されて、
センシングロボットは群ロボットシステムにおいて機能
する。なお、このプログラムは、CDROMなどの記録
媒体に記録されていているものがロボットに読込まれて
もよいとともに、インターネットなどの情報伝達網から
インストールされてロボットに読込まれてもよい。
【0031】本発明のベースステーションは、複数のセ
ンシングロボットに対象物を探索させる制御を行なうベ
ースステーションであって、通信体系が、ベースステー
ションを最上層として、複数のセンシングロボット同士
で複数層を構成する階層構造をなすように設定された群
ロボットシステムにおいて用いられ、階層構造におい
て、ベースステーションから複数のセンシングロボット
それぞれまで階層構造の下層側へ順に、複数のセンシン
グロボットそれぞれの動作の制御に関する情報を伝達で
き、複数のセンシングロボットそれぞれからベースステ
ーションまで階層構造の上層側へ順に、複数のセンシン
グロボットそれぞれの対象物の探索に関する情報が伝達
される。
【0032】上記のような構成にすることにより、全て
のセンシングロボットそれぞれと通信できる通信機能を
有しなくてもよいため、ベースステーションの通信機構
の小型化または軽量化を図りながら、ベースステーショ
ンが停止している場合の群ロボットシステムの探索範囲
を広げることができる。
【0033】なお、コンピュータに、前述のベースステ
ーションを動作させるためのプログラムが実行されて、
ベースステーションは群ロボットシステムにおいて機能
する。なお、このプログラムは、CDROMなどの記録
媒体に記録されていているものがロボットに読込まれて
もよいとともに、インターネットなどの情報伝達網から
インストールされてロボットに読込まれてもよい。
【0034】本発明のフェロモンロボットは、対象物の
探索に用いられる複数のセンシングロボットと、通信に
より該複数のセンシングロボットを制御するためのベー
スステーションとを備え、ベースステーションとの通信
により、複数のセンシングロボットを、ベースステーシ
ョンによる制御が可能な範囲に位置するように、センシ
ングロボットの移動を制限する制御を行なう。
【0035】このような構成にすることにより、複数の
センシングロボットを、ベースステーションによる制御
が可能な範囲に位置するように、センシングロボットの
移動を制限する制御を行なうことにより、センシングボ
ットがベースステーションの指示が届かない位置に移動
してしまうことによって、複数のセンシングロボットう
ちいずれかのセンシングロボットの制御が不能となるこ
とを抑制することにより、ベースステーションが停止し
ている場合の探索範囲を広げることができる。
【0036】本発明のフェロモンロボットは、より好ま
しくは、ベースステーションとの通信により複数のセン
シングロボットのうちベースステーションからの距離が
最も遠い位置にあるセンシングロボットの移動を制限す
る制御を行なう。
【0037】このような構成にすることにより、複数の
センシングロボットのうちベースステーションからの距
離が最も遠い位置にあるセンシングロボットがベースス
テーションの指示が届かない位置に移動してしまうこと
によって、複数のセンシングロボットのうちベースステ
ーションからの距離が最も遠い位置にあるセンシングロ
ボットの制御が不能となることを抑制することにより、
ベースステーションが停止している場合の探索範囲を広
げることができる。
【0038】本発明のフェロモンロボットは、より好ま
しくは、通信体系が、ベースステーションを最上層とし
て、複数のセンシングロボット同士で複数層を構成する
階層構造をなすように設定された群ロボットシステムに
おいて用いられ、ベースステーションとの通信により複
数のセンシングロボットのうち階層構造の最下層にある
センシングロボットの移動を制限する制御を行なう。
【0039】このような構成にすることにより、階層構
造の最下層にあるセンシングロボットがベースステーシ
ョンの指示が届かない位置に移動してしまうことによっ
て、階層構造の最下層にあるセンシングロボットの制御
が不能となることを抑制することにより、ベースステー
ションが停止している場合の探索範囲を広げることがで
きる。
【0040】なお、コンピュータに、前述のフェロモン
ロボットを動作させるためのプログラムが実行されて、
フェロモンロボットは群ロボットシステムにおいて機能
する。なお、このプログラムは、CDROMなどの記録
媒体に記録されていているものがロボットに読込まれて
もよいとともに、インターネットなどの情報伝達網から
インストールされてロボットに読込まれてもよい。
【0041】本発明のフェロモンロボットは、より好ま
しくは、ベースステーションに対して指向性を有する通
信機構を備えている。このような構成にすることによ
り、全方位に対して通信を行なう必要がないフェロモン
ロボットにおいて、より容易に正確な通信を実現するこ
とができる。
【0042】
【発明の実施の形態】本実施の形態のロボットを含む群
ロボットシステムを、図1〜図6を用いて説明する。本
実施の形態のロボットを含む群ロボットシステムを、た
とえば、1辺、最小数10メートルから最大数キロメー
トル平方の面積の部分から火事や人などの熱源の探索、
COなどの有毒ガスや有毒放射線の探索、地雷などの金
属探査、都市設計のためのVRデータ収集のための3次
元の画像データの収集などを行なうものを例にして説明
する。
【0043】本実施の形態においては、都市全体の有毒
ガスや有毒放射線の探索を行なう場合には、群ロボット
が一度にすべての市街地を探索するのではなく、数分の
1に分割された市街地を、ベースステーションを同心円
状の中心に据えた、探索羽ばたきロボット群が目的物の
探索を行なう。羽ばたきロボット群が、上記の数分の1
に分割された市街地の、有毒ガスや有毒放射能の探索を
終えると、ベースステーションが次の数分の1に分割さ
れた市街地の探索をするために、徐々に移動を始め、目
的地の市街地区域に来るとベースステーションを停止す
る。
【0044】ベースステーションの移動に追従して、フ
ェロモンロボット、センシングロボットが移動を始め
る。ベースステーションが次の市街地区域で移動を停止
すると、センシングロボット群は、ベースステーション
を同心円状の中心にして、分割された市街地の有毒ガス
や有毒放射線の探索を行なう。このようにして、本実施
の形態の群ロボットシステムにおいては、分割された区
域をロボット群で探索し、探索結果をベースステーショ
ンに送りながら、区域の探索終了後、全体のロボット群
は、ベースステーション中心に移動しながら次の区域の
探索を行なうことにより、この移動の動作を繰返しなが
ら全体面積の探索を行なう。
【0045】本実施の形態の群ロボットシステムについ
ては、図1〜図6に基づいて説明すれば以下のとおりで
ある。本実施の形態に使用する群ロボットシステム10
0は、図1に示すように、ベースステーションBS、複
数の羽ばたきセンシングロボットCS、複数の羽ばたき
フェロモンロボットFEとで構成されている。
【0046】図1は、群ロボットシステムの全体イメー
ジを模式的に描いたものである。図2において、群ロボ
ットシステムのセンシングロボットCS同士およびセン
シングロボットCSとベースステーションBSとの間の
通信における階層構造と位置の関係を示す。本実施の形
態においては、複数の羽ばたきセンシングロボットCS
は、ベースステーションBSに最も近いグループ102
(CS11〜CS1i)、次に近いグループ103(C
S21〜CS2j)、最も遠いグループ104(CS3
1〜CS3k)の3個のグループに分かれている。本実
施の形態では、3個のグループに分かれているが、3個
のグループに限るものではなく、複数のグループが存在
すればよい。
【0047】ベースステーションBSから最も遠い羽ば
たきセンシングロボット104(CS31〜CS3k)
の時間あたりの移動距離は、次に遠い羽ばたきセンシン
グロボット103(CS21〜CS2j)に比べて大き
い。つまり、羽ばたきセンシングロボット104(CS
31〜CS3k)の羽ばたきの周波数が、羽ばたきセン
シングロボット103(CS21〜CS2j)の羽ばた
き周波数に比べて大きい。
【0048】同様にして、センシングロボット103
(CS21〜CS2j)の時間あたりの移動距離は、最
もベースステーションBSに近いセンシングロボット1
02(CS11〜CS1i)に比べて大きい。つまり、
羽ばたきセンシングロボット103(CS21〜CS2
j)の羽ばたきの周波数が、羽ばたきセンシングロボッ
ト102(CS11〜CS1i)の羽ばたき周波数に比
べて大きい。
【0049】センシングの分解能については、すべての
センシングロボットCSにおいて、センサの精度、サン
プリング速度が同じである場合には、上記の単位時間あ
たりの移動距離との関係から、ベースステーションBS
101から最も遠い羽ばたきセンシングロボット104
(CS31〜CS3k)の目的物検出のための空間分解
能は、次に遠い羽ばたきセンシングロボット103(C
S21〜CS2j)が目的検出のための空間分解能に比
べて低分解能である。
【0050】つまり、ベースステーションBS101か
ら最も遠い羽ばたきセンシングロボット104(CS3
1〜CS3k)は、次に遠い羽ばたきセンシングロボッ
ト103(CS21〜CS2j)に比べて、目的物検出
のための位置検出の精度あるいは障害物の大きさの測定
値の精度が粗くなる。
【0051】同様にして、すべてのセンシングロボット
CSにおいて、センサの精度、サンプリング速度が同じ
である場合には、上記単位時間あたりの移動距離との関
係から、羽ばたきセンシングロボット103(CS21
〜CS2j)の目的検出のための分解能は、ベースステ
ーションBS101から最も近い位置にある羽ばたきセ
ンシングロボット102(CS11〜CS1i)の目的
物検出のための空間分解能に比べて低分解能である。
【0052】つまり、センシングロボット103(CS
21〜CS2j)は、ベースステーションBS101か
ら最も近い位置にある羽ばたきセンシングロボット10
2(CS11〜CS1i)に比べて目的物検出のための
位置検索の制度あるいは障害物の大きさの測定値の精度
は粗くなる。
【0053】上記の例では、サンプリング速度が同じ
で、単位時間あたりの移動距離の大きさから空間分解能
に違いを出しているが、すべての羽ばたきセンシングロ
ボットCSが、ほぼ同じ早さで移動している場合には、
サンプリングの速度を変えることにより、空間分解能を
変える方法ということも考えられる。
【0054】あるセンシングロボットCSが目的物を検
出すると、後述する方法によりベースステーションBS
101に目的物の有無、位置情報などが伝えられる。伝
えられた情報により、ベースステーションBS101
が、目的物に向けて徐々に移動を始める。ベースステー
ションBS101の移動に伴い、ほぼ同心円状に存在す
るセンシングロボットCSも目的物に向かって移動す
る。ベースステーションBSに近いセンシングロボット
CSほど空間分解能が高いため、ベースステーションB
Sが目的物に近づくに従い目的物検出のための位置検出
の精度あるいは障害物の大きさのセンシング情報はより
精度の高いものがベースステーションBSに送られる。
【0055】あるいは、あるセンシングロボットCSが
目的物を検出すると、検出したロボット自身が分解能を
上げて、同時に後述する方法によりベースステーション
BS101に目的物の有無、位置情報などが伝えられる
ことが考えられる。つまり、検出したセンシングロボッ
トは、目的物検出後、サンプリング速度を速くすること
により空間分解能を高くするあるいは羽ばたき周波数を
落として分解能を高くする。その後、目的物検出信号が
ベースステーションBSに伝わることにより、ベースス
テーションBSからすべてのセンシングロボットCSに
対し、サンプリング速度を速くすることにより分解能を
高くするか、または、羽ばたき周波数を落とし分解能を
高くすることが伝達され、目的物検出後は、目的物の一
致検出の精度、または、障害物の大きさの情報のより精
度の高いものがベースステーションBSに送られる。
【0056】また、たとえば、センシングロボットCS
は、目的物を検出するまでは超音波センサあるいは赤外
線センサで検出を行ない、あるセンシングロボットCS
が目的物を検出すると、検出したセンシングロボットC
Sは、センサの種類をCCDあるいはCMOSイメージ
センサに変更し、目的物の詳細な全体画像情報を送信す
ることができる。なお、他のセンサを搭載することが可
能であれば、音声情報、温度情報、湿度情報、または、
飛行区域の雰囲気の状態(ガスの種類など)等の探索に
関する情報を送信してもよい。
【0057】同時に後述する方法によりベースステーシ
ョンBS101に目的物の有無、位置情報などが伝えら
れることにより、検出したセンシングロボットCSが属
する上位のセンシングロボットCSに同じように支配さ
れる、目的物の周辺のセンシングロボットCSのセンサ
の種類を、CCDあるいはCMOSイメージセンサに変
更することにより、短時間で効率的に目的物の詳細な全
体画像情報を送付することができる。
【0058】また、たとえば、センシングロボットCS
は、目的物を検出するまではエッジ検出の画像処理を行
ない、あるセンシングロボットCSが目的物を検出する
と、検出したセンシングロボットCSは、色検出処理に
変更することも考えられる。つまり、センサのハードウ
ェアは同じで、目的物検出後は、センサ情報の処理の方
法を変える結果である。
【0059】また、センシングロボットCSが、目的物
を検出せずとも、決められたセンシングロボットCS群
による予め決められた面積のスキャン作業が終了するま
では、センシングロボットCSの空間分解能やセンサの
種類、画像処理の方法は変更せず、予め決められた面積
のスキャン作業が終了し、検出信号があった場合に同じ
場所を、センシングロボットCS群で、センサの空間分
解能やセンサの種類、画像処理の方法を変更して再度目
的値の違った情報の検出作業を行なうことも考えられ
る。
【0060】図1〜図3に示すように、ベースステーシ
ョンBS101と複数のセンシングロボットとの間の通
信構造は、階層構造になっている。より具体的には、図
3に示すように、1つのセンシングロボットCSにはベ
ースステーションBS101からの通信ルートが必ず1
つとなるツリー構造になっている。ベースステーション
BS101は、同心円状にベースステーションに最も近
いグループであるセンシングロボット102(CS11
〜CS1i)の通信を行なう。上流であるベースステー
ションBSからは、羽ばたきセンシングロボット102
(CS11〜CS1i)に対しては、羽ばたき周波数、
方向などの羽ばたきの変更点が送信される。下流である
センシングロボット102(CS11〜CS1i)から
は、目的物の有無、位置情報などがベースステーション
BSに送信される。
【0061】次に、センシングロボット102(CS1
1〜CS1i)は、隣で接しているグループであるセン
シングロボット103(CS21〜CS2j)と通信を
行なう。上流であるセンシングロボット102(CS1
1〜CS1i)からは、センシングロボット103(C
S21〜CS2j)に対して、ベースステーションBS
101からセンシングロボット102(CS11〜CS
1i)に送信されたセンシングロボット103(CS2
1〜CS2j)用の羽ばたき周波数、方向などの羽ばた
きの変更点が送信される。逆に下流であるセンシングロ
ボット103(CS21〜CS2j)からは、目的物の
有無、位置情報などがセンシングロボット102(CS
11〜CS1i)に送信される。
【0062】次に、センシングロボット103(CS2
1〜CS2j)は、隣で接しているグループであるセン
シングロボット104(CS31〜CS3k)と通信を
行なう。上流であるセンシングロボット103(CS2
1〜CS2j)からは、センシングロボット104(C
S31〜CS3k)に対して、ベースステーションBS
101からセンシングロボット102(CS11〜CS
1i)を介してセンシングロボット103(CS21〜
CS2j)に送信されたセンシングロボット104(C
S31〜CS3k)用の羽ばたき周波数、方向などの羽
ばたきの変更点が送信される。逆に下流であるセンシン
グロボット104(CS31〜CS3k)からは、目的
物の有無、位置情報などが上位のセンシングロボット1
03(CS21〜CS2j)に送信される。
【0063】つまり、目的物がセンシングロボットCS
31の探索域で検出された場合、検出信号が上位のセン
シングロボットCS21に伝えられ、センシングロボッ
トCS21からより上位のセンシングロボットCS11
に伝えられる。そして、最後のセンシングロボットCS
11からベースステーションBSに目的物の検出が伝え
られる。ベースステーションBSの通信強度は、すべて
の羽ばたきセンシングロボットCSの通信エリアをカバ
ーする通信強度である必要がなく、ベースステーション
を取巻く同心円状の最も近いグループのセンシングロボ
ットCS群のみの通信を確保できる通信強度さえあれば
よい。よって、すべてのセンシングロボットとの通信を
確保できる通信強度に比べ、弱い通信強度でよく、通信
のための消費電力が少なくて済む。
【0064】羽ばたきセンシングロボットCS11とベ
ースステーションBSとの通信強度が予め決められた強
度を下回った場合、羽ばたきセンシングロボットCS1
1は、通信強度が再度予め定められたレベルを超えるま
で、ベースステーションBS側に移動する。同様に上位
の羽ばたきセンシングロボットCSがセンシングロボッ
ト102(CS11〜CS14)であり、下流の羽ばた
きセンシングロボットCSがセンシングロボット103
(CS21〜CS24)である場合であっても同様に、
通信強度が再度予め定められたレベルを超えるまで、セ
ンシングロボット103(CS21〜CS24)が移動
する。
【0065】また、上記の例では、下位用のセンシング
ロボットCSは通信強度が予め定められたレベルより強
くなるまで移動したが、階層構造において互いに上下と
なる層のセンシングロボットCS同士の間の通信強度ま
たはベースステーションBSとセンシングロボットCS
との間の通信強度が略同一となるように定めておき、互
いの通信強度が予め決められたレベルを下回った場合に
は、センシングロボットCSとその上位のセンシングロ
ボットCSとのお互いの通信強度をある基準値になるま
で上げることにより、上位にあるセンシングロボットと
そのセンシングロボットCSの支配下にある下位のセン
シングロボットCSとの間の通信強度を確保してもよ
い。
【0066】図2において、本実施の形態の群ロボット
システムの、ベースステーション、センシングロボット
およびフェロモンロボットの階層構造およびその位置の
関係を示す。
【0067】ベースステーションBSを中心として、ベ
ースステーションBSの通信範囲を示す円内(BC2)
に、ベースステーションBSが支配するセンシングロボ
ットCS1iが存在する。次に、センシングロボットC
S1iを中心として、センシングロボットCS1iの通
信範囲を示す円内(C1)にセンシングロボットCS1
iが支配するセンシングロボットCS2jが存在する。
【0068】同じように、センシングロボットCS2j
を中心として、センシングロボットCS2jの通信範囲
を示す円内(C2)に、センシングロボットCS2jが
支配するセンシングロボットCS3kが存在する。セン
シングロボットCS2jの通信支配円内には、CS2j
が支配する複数のセンシングロボットCS3kが存在す
ることになる。
【0069】センシングロボットCS3kが、最も外側
に位置するセンシングロボットCSである場合には、セ
ンシングロボットCS3kは、フェロモンロボットFE
にも支配されることになる。つまり、センシングロボッ
トCS3kは、フェロモンロボットを中心として、フェ
ロモンロボットFEの通信範囲を示す円内(FC2)に
存在する。
【0070】フェロモンロボットFEとベースステーシ
ョンBSの通信強度は、他の通信強度に比べて大きなパ
ワーで通信を行なっている。上記のフェロモンロボット
FEは、ベースステーションBSを中心にした場合、基
本的に探索分割区域の最も外側に存在する。フェロモン
ロボットFEはベースステーションBSを中心として、
ベースステーションBSとフェロモンロボットFE用の
強い通信範囲を示す円内(BC1)に存在する。フェロ
モンロボットFEからベースステーションBSへの通信
範囲は、全方位をカバーする必要がないため指向性が強
い楕円型になる(FC1)。
【0071】フェロモンロボットFE群105について
説明する。フェロモンロボットFE群105は、ベース
ステーションBS101を中心にした場合、センシング
ロボット群100の外側に位置し、センシングロボット
CSの移動制御用であり、また、探索範囲を決定するロ
ボットである。つまり、センシングロボットCSは、ベ
ースステーションBS101とフェロモンロボットFE
105との間に存在することになる。フェロモンロボッ
トFE105の上位のロボットは、ベースステーション
BS101であり、下位のロボットは、ベースステーシ
ョンBS101の同心円状で最も外側に位置するセンシ
ングロボット群104(CS31〜CS3k)である。
【0072】例では、センシングロボット群104(C
S31〜CS3k)である。フェロモンロボットFE1
05と下流であるセンシングロボット104(CS31
〜CS3k)との通信強度は、ベースステーションBS
とセンシングロボットCSおよびセンシングロボットC
S同士の間の通信強度と同じであるが、フェロモンロボ
ットFE105とベースステーションBS101との通
信強度は、他の通信強度に比べて大きなパワーで通信を
行なっている。
【0073】たとえば、本実施の形態の群ロボットシス
テムにおいては、フェロモンロボットFEとベースステ
ーションBSとの最大通信距離が、ベースステーション
BSと階層構造の最上層にあるセンシングロボット(C
S11〜CS1i)との間の最大通信距離と、フェロモ
ンロボットFEと階層構造の最下層にあるセンシングロ
ボット(CS31〜CS3k)との間の最大通信距離
と、複数のセンシングロボットCS同士の間の最大通信
距離の和とを加えた距離よりも大きくなるように設定す
ることが好ましい。それにより、階層構造の最下層のセ
ンシングロボット(CS31〜CS3k)までのベース
ステーションBSからの通信可能距離を直線にして、そ
れぞれが有する通信距離を最大限利用して、効率的にセ
ンシングロボットCSを使用することができる。
【0074】ベースステーションBS101は、ベース
ステーションBS101を中心としたほぼ同心円状の探
索部分の外径部分に、フェロモンロボットFEnを配置
し、探索部分を決定する。次に、階層構造の数に応じ
て、同心円状の階層範囲を決定する。次に、階層の中の
羽ばたきセンシングロボットの数に応じたセルの範囲
(階層構造における同層のセンシングロボットそれぞれ
の探索範囲)を決定し、センシングロボットの探索空間
分解能を決定する。最後に下位操作による同心円の半径
の差、同心円で表されたセンシングロボット各々が探索
する範囲を規定するセルのセル面積に応じたベースステ
ーションBSとセンシングロボットCSおよびセンシン
グロボットCS同士間の通信強度を決定する。
【0075】探索区域を変更する場合、ベースステーシ
ョンBS101は、ベースステーションBS101の移
動距離と移動方向とを、まず、フェロモンロボットFE
105に通信する。その後、ベースステーションBS1
01は、センシングロボット102(CS11〜CS1
i)に移動距離と方向を送信する。それにより、図1の
矢印の方向にベースステーションBS101が移動する
ことに伴って、群ロボットシステム全体が図1の矢印の
方向に移動することになる。
【0076】より具体的には、ベースステーションBS
から群ロボットシステム全体の移動を示す信号を受信し
たセンシングロボット102(CS11〜CS1i)
は、移動距離と移動方向とを、下位のセンシングロボッ
ト103(CS21〜CS2j)に送信後に、図1の矢
印の方向に自らが移動する。一方、フェロモンロボット
FE105は、移動距離と移動方向とを最下位のセンシ
ングロボット104(CS31〜CS3k)に送信後、
ベースステーションBSと同じように図1の矢印の方向
に移動する。
【0077】このように、探索空間を変更する場合、ベ
ースステーションBSからセンシングロボットCS、上
位のセンシングロボットCSから下位のセンシングロボ
ットCSへの上流から下流への移動情報の伝達と、フェ
ロモンロボットFEからセンシングロボットCS、下位
のセンシングロボットCSから上位のセンシングロボッ
トCSへの下流から上流への移動情報の伝達がほぼ同時
に流れる。
【0078】探索エリアの最も外側に位置するフェロモ
ンロボット105は、センシングロボットの最も外側に
あるグループ(すなわち、階層構造の最下層)のセンシ
ングロボット104(CS31〜CS3k)を直接の管
理下に置く。フェロモンロボットFEは、PN符号で特
定されるセンシングロボットFEを常に通信圏内に置
く。
【0079】たとえば、監視下の羽ばたきセンシングロ
ボットCS3kとフェロモンロボットFE105との通
信強度が予め定められたレベルを下回った場合、羽ばた
きセンシングロボットCS3kは、通信強度が再度予め
決められたレベルを超えるまで、フェロモンロボットF
E側105に移動する。また、フェロモンロボット10
5は、ベースステーションBS101の監視下にあるた
め、通信の同期遅延によりベースステーションBSから
の距離を制御し、常にベースステーションBS101か
らの決められた距離をほぼ守ることができる。その結
果、群全体の探索エリアを、常に同じように定めること
ができる。
【0080】図3において、階層構造の通信体系におけ
る信号の流れを示す。図の実線は、動き制御信号(ダウ
ンストリーム)、検出信号(アップストリーム)、点線
は電力信号を示す。
【0081】羽ばたきセンシングロボットとベースステ
ーションとの間、羽ばたきセンシングロボット同士の間
の通信は、双方向通信である。上流から下流への信号
は、ロボット羽ばたき周波数、方向などのセンシングロ
ボットの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御
信号である。下流から上流への信号は、目的物の有無、
位置情報などの検出信号である。また、コントロールす
る上流ロボットとコントロールされる下流ロボットとの
通信における連鎖の関係は、1対多あるいは1対1、す
なわち、全体としてツリー構造の通信ルートとなるよう
になっている。これにより、ベースステーションBSか
らのそれぞれのセンシングロボットCSへの通信ルート
が必ず1つになるようになるため、通信系統の混乱が生
じ難くなっている。
【0082】ベースステーションBSとフェロモンロボ
ットFEとの間の通信も、双方向通信である。ベースス
テーションBSからフェロモンロボットFEへの信号
は、ベースステーションBSの移動の早さ、方向信号で
ある。フェロモンロボットFEは、この信号に基づき、
自身の移動の早さおよび方向を決定し、センシングロボ
ットCSに羽ばたき周波数、方向などの制御信号を送信
する。フェロモンロボットFEからベースステーション
BSへの信号は、受信電力測定用の信号である。
【0083】ベースステーションBSでフェロモンロボ
ットFEからの送信信号を受信し、その電力を測定する
ことにより、間接的にベースステーションBSとフェロ
モンロボットFEとの間の距離の大きさを想定し、電力
の大きさにより、フェロモンロボットFEを近づけさせ
たりベースステーションBSからフェロモンロボットF
Eへの送信信号を強くしたりする。また、ベースステー
ションBSとフェロモンロボットFEとの数の関係は1
対多あるいは1対1である。
【0084】フェロモンロボットFEと羽ばたきセンシ
ングロボットCSとの間の通信も、双方向通信である。
フェロモンロボットFEからセンシングロボットCSへ
の信号は、ロボットの羽ばたき周波数および方向などの
センシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ
制御のための制御信号である。羽ばたきセンシングロボ
ットCSからフェロモンロボットFEへの信号は、受信
電力測定用の信号である。
【0085】フェロモンロボットFEでセンシングロボ
ットCSからの送信信号を受信し、その電力を測定する
ことにより、間接的にフェロモンロボットFEとセンシ
ングロボットCSとの間の距離の大きさを想定し、電力
の大きさより、センシングロボットCSをフェロモンロ
ボットFEに近づけさせたりする。また、フェロモンロ
ボットFEとセンシングロボットCSとの数の関係は、
1対多あるいは1対1である。
【0086】図4に、階層構造の群ロボットシステムに
おけるロボット群の移動手順の例をフローで示す。
【0087】まず、動き制御信号の流れを図4(a)を
用いて説明する。この図4(a)において、横の実線は
動き制御信号の流れを示すものであり、点線は電力信号
の流れを示すものであり、縦の実線は時間遅延を示すた
めのものである。
【0088】最初に、ベースステーションBSからセン
シングロボットCS11とセンシングロボットCS12
に、羽ばたきセンシングロボットとしての羽ばたき周波
数、方向などのセンシングロボットCSの動き制御信
号、または、センサ制御のための制御信号が伝えられ
る。同時に、ベースステーションBSからフェロモンロ
ボットFEにベースステーションBSの移動の速さ、方
向が伝えられる。フェロモンロボットFEからベースス
テーションBSには、ベースステーションBSとフェロ
モンロボットFEとの間の距離測定用の電力測定用の信
号が送られる。
【0089】次に、センシングロボットCS11は、セ
ンシングロボットCS20、CS21に、羽ばたきセン
シングロボットとしての羽ばたき周波数および方向など
のセンシングロボットの動き制御信号、または、センサ
制御のための制御信号を伝える。センシングロボットC
S12は、センシングロボットCS22に、ロボットの
羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットC
Sの動き制御信号あるいはセンサ制御のための制御信号
を伝える。
【0090】また、フェロモンロボットFE1は、セン
シングロボットCS30、CS31に、羽ばたきセンシ
ングロボットとしての羽ばたき周波数および方向などの
センシングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ
制御のための制御信号を伝える。
【0091】フェロモンロボットFE2は、センシング
ロボットCS32、CS33、CS34に、羽ばたきロ
ボットとしての羽ばたき周波数および方向などのセンシ
ングロボットCSの動き制御信号あるいはセンサ制御の
ための制御信号を伝える。センシングロボットCS3
0、CS31からフェロモンロボットFE1には、セン
シングロボットCS30、CS31とフェロモンロボッ
トFE1間の距離測定用の電力測定用の信号が送られ
る。
【0092】センシングロボットCS32、CS33、
CS34からフェロモンロボットFE2には、センシン
グロボットCS32、CS33、CS34とフェロモン
ロボットFE2間の距離測定用の電力測定用の信号が送
られる。
【0093】最後に、センシングロボットCS20は、
センシングロボットCS30、CS31に、ロボットの
羽ばたき周波数および方向などのセンシングロボットの
動き制御信号またはセンサ制御のための制御信号を伝え
る。センシングロボットCS21は、センシングロボッ
トCS32、CS33、CS34に、ロボットの羽ばた
き周波数および方向などのセンシングロボットCSの動
き制御信号またはセンサ制御のための制御信号を伝え
る。
【0094】次に、図4(b)を用いて検出信号の流れ
を説明する。図4(b)において、横の実線は検出信号
の流れを示すものであり、縦の実線は時間遅延を示すた
めのものである。
【0095】まず、センシングロボットCS30、CS
31からのセンシングロボットCS20に目的物の有
無、位置情報などの検出信号が伝えられる。センシング
ロボットCS32、CS33、CS34からのセンシン
グロボットCS21に、目的物の有無、位置情報などの
検出信号が伝えられる。
【0096】次に、センシングロボットCS20からセ
ンシングロボットCS11に目的物の有無、位置情報な
どの検出信号が伝えられる。センシングロボットCS2
1、CS22からセンシングロボットCS12に、目的
物の有無および位置情報などの検出信号が伝えられる。
【0097】最後に、センシングロボットCS11、C
S12からベースステーションBSに、目的物の有無お
よび位置情報などの検出信号が伝えられる。
【0098】例では、センシングロボットCS3kの層
から、情報が上がってきているが、センシングロボット
CS2j、CS1iの層で目的物を検出した場合には、
当然その検出した層から情報が始まり、ベースステーシ
ョンBSに情報が上がってくる。
【0099】なお、羽ばたきセンシングロボットCSと
ベースステーションBSとの間、羽ばたきセンシングロ
ボットCS同士の間、ベースステーションBSとフェロ
モンロボットFEとの間の通信方式は、同期通信方式で
あるスペクトラム拡散通信方式により行なう。このスペ
クトラム拡散通信方式を、図5および図6に基づいて説
明すれば以下のとおりである。
【0100】本実施の形態の群ロボットシステムのロボ
ット群は、基本的に同期確定のためのA層、上流ロボッ
トとの通信のためのB層、下流ロボットの通信のための
C層の3層の通信層を持っている。A層のPN符号につ
いては、ベースステーション101、センシングロボッ
トCS群102,103,104、フェロモンロボット
FE105のいずれも同じ符号0である。符号0は、た
とえば、256タップのPN(Pseudorandom Noise)符
号の1つであるとする。
【0101】まず、ベースステーションBS101と下
流のセンシングロボット群102(CS11〜CS1
i)との通信を説明する。ベースステーションBS10
1はA層の通信として、スペクトラム拡散によりPN符
号0を、センシングロボット群102(CS11〜CS
1i)に通信する。センシングロボット102(CS1
1〜CS1i)は、受信波に同じPN符号である符号0
を乗算することにより逆拡散する。マッチドフィルタな
どにより逆拡散することにより、PN符号を1周期分逆
拡散すると、必ずPN符号がマッチする同期点が見つか
る。
【0102】図5のが、ベースステーションBS10
1の同期時間とすると、センシングロボット群102
(CS11〜CS1i)での同期点(時間)が、のよ
うに、ベースステーションBS101とセンシングロボ
ット群102(CS11〜CS1i)との距離分だけ遅
れた時間でマッチドフィルタのピークがあり、同期が見
つかる。
【0103】同様にして、センシングロボット群102
(CS11〜CS1i)が、A層の通信として、スペク
トラム拡散によりPN符号0を、センシングロボット群
103(CS21〜CS2j)に送信する。ベースステ
ーションBS101とセンシングロボット群103(C
S21〜CS2j)との間の距離は、ベースステーショ
ンBS101とセンシングロボット102(CS11〜
CS1i)との間の距離に、センシングロボット102
(CS11〜CS1i)とセンシングロボット103
(CS21〜CS2j)との間の距離が加算されるた
め、センシングロボット102(CS11〜CS1i)
よりもさらに遅れたセンシングロボット103(CS2
1〜CS2j)の同期点は、図5のになる。
【0104】また、同様にして、センシングロボット群
103(CS21〜CS2j)はA層の通信としてスペ
クトラム拡散によりPN符号0を、センシングロボット
104群(CS31〜CS3k)に通信する。ベースス
テーションBS101と、センシングロボット群104
(CS31〜CS3k)の距離は、ベースステーション
BS101とセンシングロボット103(CS21〜C
S2j)の距離に、センシングロボット103(CS2
1〜CS2j)とセンシングロボット104(CS31
〜CS3k)との間の距離が加算されるため、センシン
グロボット103(CS21〜CS2j)よりもさらに
遅れたセンシングロボット群104(CS31〜CS3
k)の同期点は、図5のになる。
【0105】ベースステーションBS101と、後で説
明する移動制御用のフェロモンロボットFE105の距
離は、ベースステーションBS101とセンシングロボ
ットCS群104(CS31〜CS3k)との間の距離
よりも大きいため、センシングロボットCS群104
(CS31〜CS3k)よりもさらに遅れたフェロモン
ロボット105の同期点は、図5のになる。
【0106】上記の各々のロボットの同期点の確定は、
断続的に繰返され、同期点は常に更新される。センシン
グロボット102(CS11〜CS1i)の同期点は、
図5のになる。
【0107】センシングロボット102(CS11〜C
S1i)は、上流であるベースステーションBS101
との通信の確立用に、B層のPN符号10により逆拡
散、復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号
0により確定された図5のである。また、センシング
ロボット102(CS11〜CS1i)のB層のPN符
号10は、ベースステーションBS101の下流のセン
シングロボットとの通信確立用のC層のPN符号10と
同じである。つまり、ベースステーションBS101の
C層と同じPN符号10を、B層で使っているセンシン
グロボット(CS11〜CS1i)群102のみが、ベ
ースステーションBSと通信することができる。
【0108】図6の例では、CS1(i−2)、CS1
(i−1)、CS1iのB層は、符号10であるため、
ベースステーションBSと通信ができるが、B層のPN
符号が符号10でないセンシングロボットCSは、符号
10との相関ピークが検出されないためベースステーシ
ョンBSとは通信できない。
【0109】センシングロボット102(CS11〜C
S1i)には、下流であるセンシングロボット103
(CS21〜CS2j)との通信の確立用に、C層のP
N符号20、符号21、符号22により逆拡散、復調す
る。C層のPN符号の同期点は、A層の符号0により確
定された図5のである。また、センシングロボット1
02(CS11〜CS1i)のC層のPN符号20,2
1,22は、センシングロボット103(CS21〜C
S2j)の上流のセンシングロボットとの通信の確立用
のB層のPN符号20,21,22と同じである。
【0110】つまり、センシングロボット103(CS
21〜CS2j)のB層と同じPN符号を、C層で使っ
ているセンシングロボット102(CS11〜CS1
i)のみが、下流であるセンシングロボット103(C
S21〜CS2j)と通信することができる。たとえ
ば、CS1(i−2)が、CS2(j−3)と、CS2
(j−2)と通信可能であり、CS1(i−1)が、C
S2(j−1)と通信可能であり、CS1iは、CS2
jと通信可能である。
【0111】センシングロボット103(CS21〜C
S2j)の同期点は、図5のになる。センシングロボ
ット103(CS21〜CS2j)は、上流であるセン
シングロボット102(CS11〜CS1i)との通信
の確立用に、B層のPN符号20,21,22により逆
拡散、復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符
号0により確立された図5のである。センシングロボ
ット103(CS21〜CS2j)とセンシングロボッ
ト102(CS11〜CS1i)の通信については、前
述で説明しているためここでは省略する。
【0112】センシングロボット103(CS21〜C
S2j)は、下流であるセンシングロボット104(C
S31〜CS3k)との通信の確立用に、C層のPN符
号31,32,33により逆拡散、復調する。C層のP
N符号の同期点は、A層の符号0により確立された図5
のである。また、センシングロボット103(CS2
1〜CS2j)のC層のPN符号30,31,32,3
3は、センシングロボット104(CS31〜CS3
k)の上流のセンシングロボットCSの通信の確立用の
B層のPN符号30,31,32と同じである。
【0113】つまり、センシングロボット104(CS
31〜CS3k)のB層と同じPN符号を、C層で使っ
ているセンシングロボット103(CS21〜CS2
j)のみが、下流であるセンシングロボット104(C
S31〜CS3k)と通信することができる。たとえ
ば、CS2(j−3)は、CS3(k−3)、CS3
(k−2)、CS3(k−1)と通信可能であり、CS
2(j−2)は、CS3kと通信可能であり、CS1i
は、CS2jと通信可能である。
【0114】センシングロボット104(CS31〜C
S3k)の同期点は、図5のになる。センシングロボ
ット104(CS31〜CS3k)は、上流であるセン
シングロボット103(CS21〜CS2j)との通信
の確立用に、B層のPN符号30,31により逆拡散お
よび復調する。B層のPN符号の同期点は、A層の符号
0により確立された図5のである。センシングロボッ
ト104(CS31〜CS3k)とセンシングロボット
103(CS21〜CS2j)の通信については、前述
で説明しているためここでは省略する。
【0115】フェロモンロボットFE105は、上流で
あるベースステーションBS101と通信の確立用に、
B層のPN符号10により逆拡散および復調する。B層
のPN符号の同期点は、A層の符号0により確定された
図5のである。A層の同期のためのPN符号は他のセ
ンシングロボットCSと同じ符号0である。B層のPN
符号10は、ベースステーションBSの下流のセンシン
グロボットCSとの通信の確立用のC層のPN符号10
と同じである。B層のPN符号が符号10でない場合
は、フェロモンロボットFEは、ベースステーションB
Sの符号10と相関ピークが検出されないため、ベース
ステーションBSと通信できなくなる。
【0116】フェロモンロボットFEnには、下流であ
るセンシングロボット104(CS31〜CS3k)と
の通信の確立用に、C層のPN符号40により逆拡散お
よび復調する。C層のPN符号の同期点は、A層の符号
0により確立された図5のである。また、フェロモン
ロボットFEnのC層のPN符号40は、最も外側に位
置するセンシングロボット104(CS31〜CS3
k)とフェロモンロボットFEの通信確立用のC層のP
N符号40と同じである。
【0117】つまり、センシングロボット104(CS
31〜CS3k)のC層と同じPN符号を、C層で使っ
ているフェロモンロボットFEnのみが、下流であるセ
ンシングロボット104(CS31〜CS3k)と通信
することができる。図6の例では、フェロモンロボット
FEnは、センシングロボットCS3(k−3)、CS
3(k−2)、CS3(k−1)と通信可能であり、C
S3kとは拡散符号が違うため通信できない。
【0118】なお、スペクトラム拡散通信の詳細につい
ては、著者:山内雪路、出版局:東京電機大学出版局の
スペクトラム拡散通信(次世代高性能化に向けて)に記
載されており、本実施の形態のスペクトラム拡散通信に
おいては、一例として本願の発明者らにより発明された
スペクトラム拡散通信装置(特開平11−168407
号公報)を適用することとする。
【0119】次に、上記の群ロボットシステムに用いる
羽ばたきセンシングロボット1体を制御するための制御
システム(羽ばたきセンシングロボット1体とベースス
テーションとの関係)を説明する。なお、ここでは、ベ
ースステーションBSによるセンシングロボットCSの
制御の一例として、ベースステーションBSが直接セン
シングロボットCSを制御する場合のみを示すが、ベー
スステーションBSが階層構造の上層のセンシングロボ
ットCSを介して下層のセンシングロボットCSを制御
する場合には、以下の例で示す制御信号を用いて、より
上層のセンシングロボットCSからより下層のセンシン
グロボットCSへと羽ばたき動作等に関する制御信号が
伝達されるとともに、より下層のセンシングロボットC
Sからより上層のセンシングロボットCSへとセンサに
より得られた信号が伝達される。
【0120】(システム構成)まず、本実施の形態の羽
ばたきセンシングロボット1体におけるシステムの構成
を、図7を用いて説明する。
【0121】本実施の形態における羽ばたきセンシング
ロボットの制御システムは、たとえば、図2に示す探索
区域Cの一例としての作業空間92と、作業空間92に
配置された、この空間内を浮上移動することができ、こ
の空間内における物理量を取得もしくは変更できる羽ば
たきセンシングロボットCSの一例としてのロボット9
0と、ロボット90と情報を交換できるベースステーシ
ョンBSの一例としてのベースステーション91とから
なる。
【0122】以下においては、たとえば、本発明の探索
の対象物を人として説明する。たとえば、本実施の形態
の羽ばたきセンシングロボットCSの一例としてのロボ
ット90は、自身に搭載された赤外線センサによって赤
外線量を取得することによって、探索対象としての人9
3を検出し、検出された人93に対して発光ダイオード
8を用いて可視光を照射することによって人93に何ら
かの情報を報知することが可能である。
【0123】(本実施の形態の羽ばたきセンシングロボ
ットの詳細な説明) (ロボット90の説明) (主要な構成と主要な機能)まず、本発明のセンシング
ロボットの一例としてのロボット90の主要な構成につ
いて図8を用いて説明する。
【0124】図8に示すように、ロボット90は支持構
造1を主構造とし、これに各構成部品が配されている。
支持行動1の上部には、右アクチュエータ21と左アク
チュエータ22とが固定されている。右アクチュエータ
21には右羽根31が取付けられ、左アクチュエータ2
2には左羽根32が取付けられている。また、下部に電
極61が配されている。
【0125】各アクチュエータ21,22はそれぞれ取
付けられた羽31,32をアクチュエータの支点をほぼ
中心として3自由度をもって回転させることができる。
各アクチュエータ21,22の回転は、支持構造1に搭
載された制御回路4によって制御される。各アクチュエ
ータの詳細な構造については後述する。
【0126】なお、図8の状態におけるロボット90の
重心Oは、左右アクチュエータ21,22の回転中心の
中点A0よりも鉛直下方にある。また、支持構造1に
は、加速度センサ51、角加速度センサ52、および、
焦電型赤外線センサ53が搭載されている。また、支持
構造1には通信装置7が配されている。通信装置7はベ
ースステーション91との情報の送受信を行なう。
【0127】制御装置4では、加速度センサ51および
角加速度センサ52から送られてくる情報によって羽ば
たきセンシングロボットとしのロボット90の浮上の状
態が検知されるとともに、焦電型赤外線センサ53から
送られてくる情報によって、焦電型赤外線センサ検出領
域531内における発熱源の情報が取得される。そし
て、これらの情報が、通信装置7を介してベースステー
ション91に送信される。
【0128】また、制御装置4は支持構造1に配された
発光ダイオード8のON/OFFを制御する。また、通
信装置7はベースステーションからの指示信号を受信す
る。制御装置4は、この指示信号に応じて各アクチュエ
ータ21,22や発光ダイオード8の動作を算出し、そ
れぞれの駆動を決定する。左右アクチュエータ21,2
2、制御装置4、センサ51〜センサ53、通信装置
7、発光ダイオード8などの駆動動力は電源6により供
給される。
【0129】電源6は、2次電池であり、電極61を経
由して供給される電力によって充電される。また、電極
61は、位置決めピンの役割も兼ねており、ベースステ
ーション91における位置決め穴に決まった姿勢で定位
が可能である。
【0130】なお、図7においては、電極61は、正
極、負極の2本のピンからなっているが、充電状態検出
用ピンなどを含む3本以上のピンからなる構成も可能で
ある。
【0131】(支持構造)次に、支持構造1について図
8を用いてより詳細に説明する。
【0132】支持構造1は、機械的強度を確保した上で
十分軽量であることが好ましい。この羽ばたきセンシン
グロボットとしてのロボット90の支持構造1では、ほ
ぼ球殻状に整列したポリエチレンテレフタレート(PE
T)が用いられている。支持構造1下部には、着地の際
に転倒せぬよう、支持脚11が配されている。この支持
脚11は、着地時の安定性が確保されるか、もしくは、
着地時の安定性が機能的に問題にならないのであればこ
れは必須ではない。
【0133】また、支持構造1の材料や形状は飛行に性
能を損なわないならば、図8に示すものに限られるもの
ではない。支持構造1の材料は特に、軽量で剛性が高い
ことが望ましい。
【0134】たとえば、カニやエビなどの生物に使われ
ているキトサンなどの有機物と、シリカゲルなどの無機
物とを分子レベルでハイブリッド化した複合材料を用い
ることにより、カニやエビの外骨格が持っている軽くて
丈夫な性質を持ってはいるが、形状加工が容易で、生物
が本来持っている最適な組成値をそのまま転用すること
ができる。また、環境に対しても害が少ない。
【0135】また、貝殻の材料である炭酸カルシウムを
前述のキトサンの代わりに用いることでも、剛性の高い
支持構造を構築することができる。
【0136】また、アクチュエータや羽根の配置形状に
ついても、本実施の形態に示した態様に限られるもので
はない。
【0137】特に、本実施の形態では、浮上の安定性を
重視して、自然に図8に示した姿勢となるように、重心
の位置を羽根の力学的作用中心点よりも下に位置させた
が、重心と力学的作用点の位置とを一致させる方が姿勢
制御に必要な左右の羽根の流体力の差が最も小さくて済
むので、ロボット90の姿勢を容易に変更することがで
きる。よって、アプリケーションによってはこのような
姿勢制御の容易さを優先した設計も考えられる。
【0138】(浮上機構) (羽根とその動作)次に、羽根とその動作について図9
〜図11を用いて説明する。
【0139】説明の簡便のため、図8における座標系を
定義する。まず、支持構造1のほぼ中央を原点とする。
また、重力加速度の方向を下方向、その逆を上方向とす
る。原点から上方向に向かってz軸を定義する。次に、
右アクチュエータ21の形状中心と左アクチュエータ2
2の形状中心とを結ぶ方向を左右方向とし、原点から左
羽根に向かってy軸を定義する。また、原点からy軸と
z軸との右手系における外積方向にx軸を定義し、以後
これを前方、その反対方向を後方と称する。
【0140】また、図8は、右羽根31の右アクチュエ
ータ21に対する力学的作用点A1と、左羽根32の左
アクチュエータ22に対する力学的作用点A2の中点A
0から重力加速度方向に下ろした線上に羽ばたきセンシ
ングロボットの一例としてのロボット90の重心Oが位
置する状態である。本実施の形態においては、左アクチ
ュエータのロータ229はほぼ球状であり、主軸321
の延長線上にこのロータ229の球心が位置するように
左羽根32が配置されている。左アクチュエータ22に
対する力学的作用点A2および主軸321の回転運動の
支点はこの球心に位置している。右アクチュエータ21
についても同様である。
【0141】以後、前述したx軸、y軸、z軸は図8の
状態において支持構造1に対して固定された、ロボット
90固有の座標系であるとする。
【0142】一方、ロボット90の固定された座標系に
対して、空間に固定された任意の点を原点とする空間座
標としてx′軸、y′軸およびz′軸を定義する。これ
により、ロボット90が移動する作業空間92の座標は
x′軸、y′軸およびz′軸のそれぞれの座標を用いて
表わされ、ロボット90における固有の座標はx軸、y
軸およびz軸のそれぞれの座標を用いて表わされる。
【0143】次に、羽根の構造について説明する。たと
えば、左羽根32は主軸321の枝322が生えた支持
部材に、膜323を張ることで形成されている。主軸3
21は左羽根322において前方寄りの位置に配されて
いる。また、枝322は先に行くほど下方に向いてい
る。
【0144】左羽根32は上に凸状の断面形状を有す
る。これによって、特に打ち下ろしの際に流体から受け
る力に対して高い剛性が得られる。主軸321と枝32
2は軽量化のため、それぞれカーボングラファイトの中
空構造となっている。膜323はその内面において収縮
する方向に自発的な張力を有しており、羽根全体の剛性
を高める働きをしている。
【0145】本発明者らが実験に用いた羽根の主軸32
1の直径は、支持構造1に支持された根元の部分では1
00μm、先端部では50μmであり、主軸321は根
元から先端部へ向かって細くなったテーパ形状である。
また、膜323はポリイミドであり、大きさは前後方向
約1cm、左右方向約4cm、厚さは約2μmである。
【0146】なお、図9に示された左羽根32では、説
明のために主軸321はその太さが拡大されている。図
示されていない右羽根31はxz平面を挟んで左羽根3
2と鏡面対称になるように支持構造に取付けられてい
る。
【0147】次に、羽根の動作の表現について左羽根3
2を例に挙げて説明する。左アクチュエータ22は、左
羽根32を回転3自由度で動かすことが可能である。つ
まり、左羽根32の駆動状態は、その姿勢で表わすこと
ができる。以後説明の簡便のため、左羽根32の姿勢
を、図8の状態に基づき以下のように定義する。
【0148】まず、図10に示すように、軸の回転運動
の支点(力学的作用点A2)と、x軸およびy軸にそれ
ぞれ平行な軸(//x、//y)を含むxy平面に平行
な平面を基準として、点A2と左羽根32の主軸321
の根元を結ぶ線分がその平面となす角度を、羽ばたきの
ストローク角θとする。また、軸の回転運動の支点(力
学的作用点A2)と、y軸およびz軸それぞれに平行な
軸(//y、//z)を含むyz平面に平行な平面を基
準として、点A2と左羽根32の主軸321の根元とを
結ぶ線分がその平面となす角度を偏角αとする。
【0149】このとき、ストローク角θはxy平面に平
行に平面より上方では正とし、下方では負とする。ま
た、偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正と
し、後方では負とする。
【0150】そして、図11に示すように、左羽根32
の主軸321の根元における膜323の接平面p1が、
点A2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321を
含む平面p0とをなす角度をねじり角βとする。このと
きねじり角βは主軸321の根元から先端に向かって見
たときの時計回りを正とする。
【0151】(アクチュエータ)次に、アクチュエータ
について図12および図13を用いて説明する。
【0152】本実施の形態のロボット90の羽部を動作
させるアクチュエータについては、トルクが大きいこ
と、往復運動が簡単に実現できること、構造が単純なこ
とから、圧電素子(ピエゾ素子)を用いて発生した信号
波によって駆動する。一般的に超音波モータと呼ばれる
アクチュエータを用いる。
【0153】図12に示すのは市販の超音波モータ23
である。これは、図12(a)に示す、下面に圧電素子
230を貼付けてあるアルミニウムの円板231上に突
起232〜突起237が、円板の中心を重心とする正六
角形をなすように6ヵ所配置され、さらにこの圧電素子
230の下面には円周方向に12分割された電極238
が配置されている構造をしている。この構造の概略を図
12(b)に示す。各電極は1つおきに電気的に短絡さ
れており、それぞれ、円板231を基準に電圧が印加さ
れる。
【0154】すなわち、圧電素子230は位相の異なる
電圧が加えられる。この様子を図12(c)に、ハッチ
ングの部分とのハッチング以外の部分に分けて示す。こ
のそれぞれに異なる時間的パターンで電圧を加えること
によって円板231上に信号波が発生し、突起232〜
突起237先端が楕円運動を行なう。以上でステータが
構成され、このステータはステータ上に接触して配置さ
れたロータ239を上述の突起232〜突起237先端
の楕円運動より円周方向に回転するように搬送すること
ができる。
【0155】この超音波23のトルクは1.0gf・c
mで、無負荷回転速度は800rpmである。また、最
大消費電流は20mAである。また、円板231の直径
は8mm、突起232〜突起237の配されている間隔
は2mmである。円板231の厚さは0.4mm、突起
232〜突起237の高さは約0.4mmである。ま
た、圧電素子230の駆動周波数は341kHzであっ
た。
【0156】本実施の形態では、このステータの部分を
利用したアクチュエータを用いる。右アクチュエータ3
1は、図13(b)に示すごとく、球殻状のロータ21
9を、上述のステータと同様のステータ210とベアリ
ング211で挟み込んで保持する構造をしている。
【0157】ただし、ステータ210のロータ219と
の接触部分はロータ表面と一致する形状に加工されてい
る。ロータ219は外形3.1mm、内径2.9mmの
球殻で、表面に右羽根主軸311が配されている。ステ
ータ210の突起のある面に向かって見て時計回り(以
後、これを正回転、この逆の回転を逆回転と呼ぶ)にロ
ータ219を搬送させる操作を行なうと、右羽根主軸3
11は図13(b)に示すθの方向に移動する。
【0158】さらにこのロータ219を3自由度で駆動
するために、上部補助ステータ212と下部補助ステー
タ213をベアリング214,215とともにステータ
210、ベアリング211と同様に図13(a)に示す
ように配する。各補助ステータの大きさはステータ21
0の0.7倍である。
【0159】各ステータの駆動方向は必ずしも直交して
いないが、それぞれ独立した要素への回転を与えるた
め、これらの運動の組合せによってロータ219を3自
由度で駆動することができる。
【0160】たとえば、ロータ219に対して、上部補
助ステータ212によって正回転を、下部補助ステータ
213によって同じく正回転を与えれば、ロータ219
がこの構成であるβ方向に、上部補助ステータ212に
よって逆回転を、下部補助ステータ213によって正回
転を与えればα方向に回転する。
【0161】実際の駆動に際しては、回転中心の異なる
2つの回転を行なわせることは摩擦によって効率を低下
させてしまうので、たとえば、上部補助ステータ212
と下部補助ステータ213をごく短時間周期で交互に動
作させ、その間、動作していないステータの突起はロー
タ219に接触しない、などの駆動方法が望ましい。こ
れは、ステータの電極すべてに圧電素子の収縮方向に電
圧を印加することで、特別に構成要素を付加することな
く実現できる。
【0162】また、圧電素子の周波数が300kHz以
上と、せいぜい100Hz程度である羽ばたき周波数に
比べて十分高速であるので、交互にアクチュエータを動
作させても実質上滑らかな動きを右羽根主軸311に与
えることができる。以上により、本発明者らが検討に用
いた市販の超音波モータと同等の特性を有する3自由度
アクチュエータが構成される。
【0163】ステータの発生中信号波の振幅がサブミク
ロンオーダであり、このロータはこのオーダの真球度で
あることが要求される。民生用の光学製品に用いられて
いる放物面鏡の加工精度は数十nmであり、また、光学
干渉計に用いられている光学部品の加工精度は数nm程
度であることからこのようなロータは現在の加工方法技
術で作製することが可能である。
【0164】当然、これは本発明における3自由度の運
動を羽根に与えるアクチュエータを超音波モータで構成
した例の1つに過ぎず、各構成要素の配置、サイズ、材
質、駆動方法などは、羽ばたき飛行に要求される物理的
機能たとえばトルクなどが実現できるならこの限りでは
ない。
【0165】また、当然、羽根の駆動機構やそれに用い
るアクチュエータの種類についても、特に本実施の形態
に示したものにはよらない。たとえば、特開平5−16
9567号公報に見られるような、外骨格構造とリニア
アクチュエータとを組合せて用いた羽ばたき飛行も、本
実施の形態に示すアクチュエータと等価な羽根の動作を
実現できるため可能である。
【0166】また、駆動エネルギとして電力を用いた
が、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫
の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応により、
化学的エネルギを運動エネルギに変換するアクチュエー
タを用いることも可能である。たとえば、昆虫から採取
した筋肉をリニアアクチュエータとして用いる方法や、
虫の筋肉のタンパク質のアミノ酸と無機物とを材料とし
て分子レベルでこれを複合化させて作った複合材料の人
工筋肉をリニアアクチュエータとして用いるなどの方法
がある。
【0167】なお、基本的な駆動力の上述の内燃機関な
どのエネルギ効率が高いアクチュエータを得て、これら
の制御もしくは補助として電力で駆動するアクチュエー
タを用いる手法も可能である。
【0168】(浮上方法)次に、浮上方法について図1
4〜図20を用いて説明する。
【0169】なお、ここでは、羽根が流体から受ける力
を流体力と呼ぶ。また、説明の簡便のため空気の流れを
羽ばたきによってのみ起こる状態、すなわち、無風状態
を仮定して説明する。
【0170】説明の簡便のため、ロボット90に及ぼさ
れる外力は羽根に流体から作用する力すなわち流体力と
重力のみであるとする。
【0171】ロボット90が恒常的に浮上するには、1
回の羽ばたき動作の間で平均して、(羽根にかかる上方
向の流体力の総和)>(ロボット90にかかる重力)で
あることが必要である。
【0172】ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽
ばたき方により、打ち下ろし時の流体力を、打ち上げ時
の流体力よりも大きくする方法について説明する。説明
の簡便のため、流体の挙動もしくはそれが羽根に及ぼす
力については、その主用成分を挙げて説明する。また、
この羽ばたき方によりロボット90に作用する浮上力と
重力との大小については後述する。
【0173】羽根には、羽根が運動する方向と逆方向の
流体力が作用するので、羽根の打ち下ろし時には羽根の
上向きに流体力が作用し、打ち上げ時には羽根の下向き
に流体力が作用する。そこで、打ち下ろし時に流体力を
大きくし、打ち上げ時には流体力を小さくすることで、
1回の羽ばたき動作(打ち下ろし動作と打ち上げ動作)
の間で時間平均すると上方向の流体力が得られることに
なる。
【0174】そのためには、まず、打ち下ろし時には羽
根が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろせ
ば、羽根にはほぼ最大の流体力が作用する。これは、羽
根の接する平面とほぼ垂直に羽根を打ち下ろすことに相
当する。
【0175】一方、打ち上げ時には羽根が移動する空間
の体積が最小になるように打ち上げれば、羽根に及ぼさ
れる流体力がほぼ最小となる。これは羽根の断面の曲線
にほぼ沿って羽根を打ち上げることに相当する。
【0176】このような羽根の動作について羽根の主軸
321に垂直な断面を用いて説明する。まず、図14の
羽根は移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろ
した場合、図15が羽根の移動する空間の体積が最小に
なるように打ち上げた場合を示す。
【0177】図14および図15では、移動前の羽根の
位置が破線で示され、移動後の羽根の位置は実線で示さ
れている。また、羽根の移動方向が一点鎖線の矢印によ
って示されている。同図に示すように、流体力は羽根の
移動方向とは逆向きに羽根に作用する。
【0178】このように、打ち上げ時における羽根が移
動する空間の体積が打ち下ろし時における羽根が移動す
る空間の体積よりも大きくなるように羽根の姿勢を羽根
の移動方向に対して変化させて、1回の羽ばたき動作の
間の時間平均において、羽根に作用する上方向の流体力
を羽ばたきセンシングロボットとしてのロボット90に
作用する重力よりも大きくすることができる。
【0179】本実施の形態においては、羽根のねじり角
βが制御可能であり、これを時間的に変化させることに
よって上述の羽根の運動が実現される。
【0180】具体的には、以下のステップS1〜S4が
繰返される。まず、ステップS1では、図16に示すよ
うに羽根の打ち下ろし(ストローク角θ=+θ0→−θ
0)が行なわれる。ステップS2では、図17に示すよ
うに羽根の回転1(羽根のねじり角β=β0→β1)動
作が行なわれる。ステップ3では、図18に示すように
羽根の打ち上げ(ストローク角θ=−θ0→+θ0、ね
じり角β=β1→β2(羽根の曲面に沿った運動によ
り、流体力を最小限にとどめる運動))が行なわれる。
ステップS4では、図19に示すように、羽根の回転2
(羽根のねじり角β=β2→β0)動作が行なわれる。
【0181】ステップS1およびステップS3における
羽根に作用する流体力を時間平均すると、上述のように
羽根の移動する空間の体積の違いから、上向きの流体力
となる。この上向きの流体力の鉛直成分と重力との大小
関係については後述する。
【0182】当然、ステップS2,ステップS4におい
ても、羽根に作用する流体力の時間平均が上向きの流体
力であることが望ましい。
【0183】ロボット90の羽根においては、図16〜
図19に示すように、羽根の前縁近傍に羽根の回転中心
(主軸321部分)が位置している。つまり、主軸32
1から羽根の後縁までの長さの方が主軸321から羽根
の前縁までの長さよりも長くなっている。このため、図
17および図19に示すように、羽根の回転動作におい
ては羽根の回転方向に沿って生じる流体の流れに加え
て、主軸321から羽根の後縁に向かう方向に沿って流
体の流れが生じることになる。
【0184】そして、羽根にはこのような流体の流れの
反作用としてそれぞれの流れの向きとは逆向きの力が作
用することになり、図17に示すステップS2では、実
質的に上向きの流体力が羽根に与えられ、図19に示す
ステップS4では、主に下向きの流体力が羽根に与えら
れることになる。
【0185】図18に示すステップS3では、羽根の断
面の曲線に沿うように羽根のねじり角βをβ1からβ2
に変化させながら打ち上げ動作が行なわれる。また、図
17に示すステップS2における羽根の回転角は図19
に示すステップS4における羽根の回転角よりも大き
い。これによりステップS2およびステップS4におい
ても羽根に上向きに作用する流体力が下向きに作用する
流体力に勝って、時間平均すると上向きの流体力が羽根
に作用することになる。
【0186】なお、図16〜図19では、それぞれのス
テップS1〜S4における羽根の移動前の姿勢が波線で
示され、移動後の姿勢が実線で示されている。各ステッ
プS1〜S4における羽根の移動方向が一点鎖線の矢印
によって示されている。また、各ステップS1〜S4に
おいて主に発生する流体の流れが実線の矢印によって示
されている。
【0187】次に、ストローク角θおよびねじり角βの
値を時間の関数として表わしたグラフを図20に示す。
ただし、図20では、ストローク角θおよびねじり角β
のそれぞれの縦軸の比率が異なっている。
【0188】本発明者らの行なった実験においては、θ
0は、たとえば60°である。β0は、たとえば0°で
ある。β1は、たとえば−120°である。β2は、た
とえば−70°である。
【0189】上述した説明では、説明の簡便のためステ
ップS1〜S4は独立した動作として記述したがたとえ
ばステップS1において羽根を打ち下ろしながら羽根の
ねじり角を大きくしていくような動作も可能である。
【0190】また、上述した例は第1近似的な考察から
説明されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方法
はこれに限定されるものではない。
【0191】また、ここでは左羽根について説明した
が、右羽根についてもxz平面に関して鏡面対称に左手
系に基づくストローク角θ、偏角αおよびねじり角βを
定義すれば同一の議論が成り立つ。以下、羽根に作用す
る上向きの流体力を浮上力とし、羽根に作用する前向き
の流体力を推進力とする。
【0192】(制御方法)次に、羽ばたき装置、すなわ
ち、ロボット90に任意の運動を行なわせる制御手法に
ついて説明する。ここでは、ロボット90の左羽につい
ては右手形に基づくストローク角θ、偏角αおよび捻り
角βを用い、そして、右羽についてはxz平面に対して
鏡面対称の左手形に基づくストローク角θ、偏角αおよ
び捻り角βを用いて羽の姿勢を示す。
【0193】(制御フロー)羽ばたきによる浮上移動は
羽にかかる流体力によって行なわれるので、羽の運動に
より直接制御されるのは、ロボット90に与えられる加
速度と角加速度である。
【0194】まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮
上状態との差異、T(S)を浮上状態から加速度、角加
速度への変換を表わす関数、sを加速度、角加速度Fα
(s)を、加速度センサ51、角加速度センサ53のセ
ンサ応答を含めた制御アルゴリズムを表す関数、sαを
アクチュエータ制御量、GW(sα)をアクチュエータ
と羽の応答を表す関数、sWを羽の運動、GfS(sW)を
羽の運動により本羽ばたき装置に及ぼされる加速度もし
くは角加速度seを表す関数、Seがこの一連のプロセ
スにより行なわれる浮上状態の変更とすると、入力Sよ
り出力Seが得られるプロセスは図45に示すようなも
のとなる。
【0195】また、実際には、羽と流体の慣性力によ
り、現在までの羽の運動、流体の運動の時刻歴に依存す
る影響RWとRfSがGWとGfSに加わることになる。
【0196】(動作分割)当然、Fα以外のすべての関
数を正確に求め、これによりS=Seとなる制御アルゴ
リズムFαを算出する手法もあり得るが、本羽ばたき装
置周囲の流体の流れと羽の運動の時刻歴が必要であり、
膨大なデータ量と演算速度を必要とする。また、流体と
行動の連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティック
な応答になってしまうため、実用的でない。
【0197】そこで、予め基本的な動作パターンを用意
しておき、目標とする浮上状態を分割してこれらの基本
動作パターンを時系列にて組合わせて実現する手法が簡
便で望ましい。
【0198】物体の運動にはx方向、y方向、z方向の
3自由度の並進自由度と、θx方向、θy方向、θz方向
の3自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。
すなわち、前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸
とする回転である。
【0199】このうち、左右への移動は、θz方向の回
転と前後方向への移動を組合わせて行なうことができ
る。そこで、ここでは、前後方向、すなわちx軸方向へ
の並進移動、上下方向、すなわちz軸方向への並進動
作、また、x軸、y軸、z軸回りの回転動作についてそ
れぞれの実現方法を説明する。
【0200】(動作) (1) 上下方向(z軸方向)の動作 羽が移動することで、羽が流体から受ける力は羽の移動
速度に依存するので、羽に及ぼされる上向きの流体力を
大きく(小さく)するには、 A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する などの方法がある。これらによってロボット90は上昇
(下降)することができる。ただし、流体力には負の値
も含まれる。
【0201】なお、これらの手法によれば、羽が流体か
ら受ける流体力そのものが大きくなるので、羽が流体力
を上下方向以外から受けることによって、羽の力学的支
点に羽から上下方向以外の力が及ぼされている際には、
上昇とともにその方向へこの支点にかかる力の増加も伴
う。たとえば、前方にほぼ等速直線運動を行なっている
際に、羽ばたき周波数を大きくすると、ロボット90は
速度増加を伴って上昇する。このように、現時点での羽
ばたき方によって、副次的にこういった他の運動を伴う
が、以後特に断らない限り、停空状態からの制御につい
て説明する。
【0202】また、羽の捻り角βを変えて、羽が移動す
る空間の体積を変化させることによっても浮上力は変化
する。たとえば、打ち上げ時における羽が移動する空間
の体積がより大きく、もしくは、打ち下ろし時における
羽が移動する空間の体積がより小さくなるようなβを与
えることで、羽に作用する上向きの流体力の時間平均は
小さくなる。
【0203】実際には、羽は剛体ではなく変形を伴うた
め、同一のβによっても羽が移動する空間の体積は変化
するが、第1原理的には、羽の移動する方向に垂直なβ
が最も大きな羽が移動する空間の体積を与える。また、
羽が移動する方向に平行なβが最も小さな羽が移動する
空間の体積を与える。
【0204】なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂
直方向にも流体力が作用するため、これが制御上支障を
生じるレベルである場合はこれを打ち消す羽の動きを付
加する必要がある。最も単純には偏角αの変更により実
現できる。
【0205】また、前記のステップS2もしくはステッ
プS4において羽の回転角速度を変化させることによっ
てもz軸方向の動作を行なうことは可能である。たとえ
ば、ステップS2において羽の回転角速度(−dβ/d
t)を大きくすると、この回転によって生じる流体の下
方向への流速が大きくなるため、この反作用によって羽
に作用する上向きの流体力が大きくなる。
【0206】なお、この場合、ロボット90に及ぼされ
る、羽の主軸を回転軸とするトルクが副次的に変化す
る。よって、この変化が制御上支障ない範囲に収まる範
囲内でこの回転角速度変化を行なうことが望ましい。
【0207】また、この場合、ロボット90に及ぼされ
る、前後方向への力も副次的に変化する。よって、この
変化が制御上支障をきたす場合は、(2)として後述す
る前後方向への力の制御も同時に行なうことが望まし
い。
【0208】(2) 前後方向(x軸方向)の動作 前述した羽ばたき方法では、主にステップS2とステッ
プS4にて、x方向の向きへの流体力が羽に作用する。
したがって、この羽の動かし方においては前進を伴い浮
上する。
【0209】また、打ち下ろしの際に偏角αを増加し羽
を前方に移動させることで、羽には後向きの流体力が作
用することになる。したがって、打ち下ろしの際の、す
なわち、ステップS1における偏角αを制御して、ステ
ップS1における羽に作用する後向きの流体力を、他の
主にステップS2とステップS4における前向きの流体
力よりも大きくすれば後退し、小さくすれば前進するこ
とができる。また、この2力がほぼ釣り合えば前後方向
に静止することができる。
【0210】特に、ロボット90が前後方向に静止して
おり、左右の羽がほぼ対称な運動を行ない、重力と本羽
ばたき装置における浮上力が釣り合っているならば、ホ
バリング状態が実現できる。
【0211】なお、偏角αの変更に伴い副次的に、羽に
及ぼされる流体力の鉛直方向成分が変化するので、これ
が制御上支障を生じるレベルにある場合にはこれを打ち
消す羽の動きを付加する必要がある。これは、主に、前
述の(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便で
ある。
【0212】さらに、前述したステップS2とステップ
S4において羽の回転動作の角速度を大きくすると前向
きの流体力が増加し、小さくすると減少する。これによ
っても前後方向の動作を変化させることができる。
【0213】また、(1)に述べた羽の捻り角βの変更
に伴う副次的な流体力のうち、x軸方向成分を利用する
手法も可能である。つまり、打ち下ろし時にβ>0なら
前方向への、β<0なら後方向への力が働く。
【0214】なお、打ち上げ時のβ、α、θの関係はあ
る程度拘束されているが、以上の流体力の制御はステッ
プS3においても可能である。
【0215】(3) z軸を回転軸とする回転動作 (2)において述べた前後方向への制御を、左羽と右羽
について個別に行ない、これを異ならせることでロボッ
ト90にトルクを与えることができる。
【0216】すなわち、右羽の前向きの流体力を左羽の
それに対して高くすれば本羽ばたき装置はx軸正の向き
に向かって左方向を向き、低くすれば同じく右方向を向
く。
【0217】(4) x軸を回転軸とする回転動作 (3)と同様に、右羽の上向きの流体力を左羽のそれに
対して大きくすれば右側が持ち上がり、小さくすれば左
側が持ち上がる。これによって、x軸を回転軸とする回
転動作を行なわせることができる。
【0218】(5) y軸を回転軸とする回転動作 (2)に述べた、羽の捻り角βの角速度変更によって、
ロボット90にかかるy軸周りのトルクを変化させるこ
とができる。これにより、y軸を回転軸とする回転動作
を行なうことができる。たとえば、ステップS1におけ
る捻り角βの回転角速度を大きくすると本羽ばたき装置
は機首を下げ、逆に小さくすると機首を上げる。
【0219】(6) ホバリング(停空飛翔) ロボット90を停空させる際のストローク角θおよび偏
角αならびに捻り角βの値を時間の関数として表したグ
ラフを図21に示す。ただし、図21ではそれぞれの角
度の縦軸の比率と異なっている。
【0220】本発明者らが行なった実験においては、θ
0はたとえば60°である。β0はたとえば−10°であ
る。α1はたとえば30°である。β1はたとえば−10
0°である。β2はたとえば−60°である。
【0221】各ステップにおける左羽の運動と、それに
より左羽の力学的支点A2に生じる加速度、角加速度を
図46に示す。ただし、(3)(4)のx軸、z軸を回
転軸とする回転動作については略してある。これらは、
前述のとおり、左右の羽の運動の非対称によって起こさ
れる。
【0222】(制御方法決定手法)現在の浮上状態は、
ロボット90に搭載された加速度センサ51や角加速度
センサ52が取得した値を適宜変更した値を用いて求め
られる。たとえば、速度は、加速度を時間積分した値に
速度の初期値を与えることで求められる。また、位置
は、速度を時間積分した値に位置の初期値を与えること
で求められる。なお、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を
含む手法も可能である。
【0223】制御装置4は、加速度センサ51および角
加速度センサ52から得られる現在の浮上状態と、目的
とする浮上状態から、ロボット90の動作を決定する。
この制御は、三次元で行なわれる点以外は従来から行な
われている制御手法を適用することができる。
【0224】ロボット90の動作は、制御装置4にて、
アクチュエータの駆動に変換される。この変換には、テ
ーブル参照、もしくはその補完を用いるのが高速であ
る。たとえば、図47に示すように、基本となる動作
と、それを実現するアクチュエータの駆動の組合せを予
め用意しておく。なお、図47の左端列は目的とする動
作、羽ばたきにおけるAとBは、Aは前進時の羽ばたき
方、Bは停空時の羽ばたき方であり、より具体的にはそ
れぞれ図20、図21にグラフで示されるα、β、θの
時刻歴を時間的に離散化したものである。制御装置4
は、ロボット90の動作から、この駆動もしくはその補
完した駆動をこのテーブルより算出する。
【0225】ここでは、説明のため一旦ロボット90の
動作を算出し、これをアクチュエータの駆動に変換する
という手法を用いたが、浮上状態から直接アクチュエー
タの駆動を選択する手法も可能である。
【0226】たとえば、定位制御を行なう場合、現在位
置と目標位置との差によって、上述したアクチュエータ
の駆動のいずれか、もしくはそれを補完した駆動を直接
算出する手法も可能である。
【0227】また、当然、ロボット90の浮上状態を表
す物理量はここに示した位置、速度、加速度などに限ら
ない。
【0228】また、当然、アクチュエータの駆動を決定
する手法はこの態様に限らない。 (浮上可能重量)次に、本実施の形態におけるロボット
90の構成で浮上が可能な条件を、図22を用いて示
す。本発明者の実験環境ではアクチュエータとして進行
波アクチュエータを用いた。この進行波アクチュエータ
によれば、ステータ210が超音波モータ23と同等で
あるので、θ方向の羽ばたきに関してはトルク1.0g
f・cmである。そこで、本発明者らはシミュレーショ
ンによりこのトルクで羽ばたいた際の流体力を算出し
た。
【0229】羽根はアクチュエータから離れる方向が長
辺で、長辺4cm、短辺1cmの矩形で、羽根の変形は
無視する。また、幅8mm、長さ33mmのとんぼの羽
根が約2mgであったので、これに倣い、羽根の質量は
3mgとした。
【0230】さらに、超音波モータ23は、突起先端の
微小な楕円運動の累積によってロータを駆動するため、
実際の駆動トルクの立上がり立下がりはダイヤモンドの
周期オーダ、すなわち105ヘルツオーダであるが、計
算の安定性から制約上±250gf・c/secである
とした。すなわち、トルクは0.004秒に1gf・c
m上昇する。
【0231】この羽根を、一方の短辺をこの辺を回転軸
とする回転自由度のみ残して固定し、この回転自由度に
トルクを与え、この回転軸にかかる反力を算出した結果
が図22である。ただし、前に定義するところの偏角α
=0(度)、2次角β=0(度)である。
【0232】時刻0においては、羽根は水平すなわちス
トローク角θ=0(度)である。ここから時刻0.00
4秒までの間にトルクを1gf・cmまで直線的に向上
させ、0.004秒から0.01秒まで、1gf・cm
を保つ。そして時刻0.01秒から0.018秒までの
間にトルク1gf・cmから−1gf・cmまで直線的
に変化させ、同0.018秒から0.03秒までは−1
gf・cmを保ち、同0.03秒から0.038秒まで
の間に再び1gf・cmへと直線的に変化する。
【0233】これにより得られた接点反力を、打ち下ろ
しの間すなわちトルクが負である時間である時刻0.0
14秒から0.034秒までの間で平均すると約0.2
9gfであった。
【0234】以上のシミュレーションは、1自由端羽ば
たきの結果であるため、打ちが上げ時の流体力の作用は
不明である。しかし、断面積に比して流体の抵抗が減少
するので、打上げ時に働く下向きの始点反力は小さいこ
と、かつ、打下ろし時と同じトルクで打上げることが可
能なため、打上げに要する時間は打下ろしに要する時間
よりもはるかに短い。
【0235】すなわち、打上げの際の力が作用する時間
は短いこと、また、打下ろし以外にも羽根の回転などを
用いて浮上力がさらに得られることから、トルク1gf
・cmのアクチュエータを用いて、0.29g程度の質
量を浮上させることは可能であるといえる。すなわち、
実施の形態における羽ばたきセンシングロボット全体の
質量が0.58g以下であれば浮上が可能である。以
下、装置全体の重量について検討する。
【0236】まず、ステータ210の質量は、電極と圧
電素子が薄いため、比重2.7、厚さ0.4mm、半径
4mmの円板と同等であるので、0.054gである。
【0237】また、補助ステータの重量は、ステータの
直径が0.7倍であることから0.019gである。
【0238】3つのベアリングはいずれも外径4.2m
m、内径3.8mm、厚さ0.4mmのドーナツ状のボ
ールベアリングである。材質は比重4.8のチタンで、
約30%の空隙があるため、ベアリングの質量は約0.
013gである。また、ロータ219は材質がアルミで
壁中央半径3mm、厚さが0.2mmであるため、約
0.061gである。これらの総和から、アクチュエー
タ21の質量は0.192gである。また、羽根31は
前述のとおり0.003gである。以上の構成が左右系
2つあるので、0.390gである。
【0239】また、本発明者らが採用した図1に示す指
示構造1は、直径1cm、比重0.9、厚さ0.1mm
の球体であるので質量が約0.028gである。また、
本発明者らが採用した制御装置4、通信装置7、加速度
センサ51、角加速度センサ52、焦電型赤外線センサ
53はそれぞれ5mm×4mmの半導体ベアチップで、
角約0.008gである。すなわちこれらの質量の総和
は0.04gである。
【0240】また、本発明者らが採用した電源6の重量
は0.13gである。以上、すべての構成要素の重量の
合計は0.579gとなる。1対の羽根で浮上力0.5
8gfを得ているので、この構成で浮上することが可能
である。
【0241】(通信装置)次に、通信装置7について説
明する。
【0242】通信装置7は送信機能を備え、各種センサ
の測定値を送信する。これにより、ベースステーション
91が、ロボット90の情報を得ることができる。
【0243】ベースステーション91が得る情報は、ロ
ボット90もしくはその周囲の物理量である。より具体
的には、前者の一例としては、加速度センサから得られ
たロボット90の加速度情報、または、角加速度センサ
52が得られたロボット90の角加速度情報、後者の一
例としては、焦電型赤外線センサ53より得られた赤外
線量情報である。
【0244】また、通信装置7は、受信機能を備え、制
御信号を受信する。これによりベースステーション91
がロボット90に対して制御を行なうことができる。
【0245】ベースステーション91より送信される制
御信号を、ロボット90の浮上状態に対する制御信号
と、ロボット90の周囲に与える物理量変更における制
御信号とである。
【0246】より具体的には、前者の一例としては、ロ
ボット90に与えられるべき加速度と角加速度とを指定
する信号、後者の一例としては、発光ダイオード8の光
量を指定する信号である。
【0247】なお、本実施の形態においては、ここに例
示した情報を送受信するものとして以後の説明を行な
う。
【0248】もちろん、送受信すべき情報はここに示し
た限りではない。たとえば、ベースステーション91よ
り発せられた制御信号を、ロボット90が正しく受信し
たか否か確認する応答信号なども送受信可能な情報であ
る。
【0249】(制御装置)次に、制御装置4について、
図8および図24を用いて説明する。
【0250】図8に示すように、制御装置4は、演算装
置41とメモリ42とからなる。演算装置41は、通信
装置7を経て、ロボット90における各種センサによっ
て得られた情報を送信する機能を有する。また、演算装
置41は、通信装置7を経て得られた制御信号に基づ
き、各構成要素の動作を制御する機能を有する。また、
メモリ42はこれら送受信されたデータを保持する機能
を有する。
【0251】本実施の形態においてより具体的には、演
算装置41は加速度センサ51および角加速度センサ5
2からの情報によりロボット90の加速度および角加速
度を算出し、通信装置7を経由してベースステーション
91にこの情報を送信する。また、ベースステーション
91からは現在ロボット90に与えられるべき加速度の
情報と、角加速度の情報とが送信される。これらの情報
を、通信装置7を経て受信し、演算装置41はこの受信
された加速度と角加速度とにより各アクチュエータの動
作パラメータを決定する機能を有する。
【0252】さらにより具体的には、演算装置41は、
ロボット90に与えられるべき代表的な加速度と角加速
度との組合せに対応したα、β、θの時系列値をテーブ
ルとして有しており、これらの値、もしくはその補間値
を各アクチュエータの動作のパラメータとする。なお、
α、β、θの時系列値とは、たとえば、加速度、角加速
度ともに0であるホバリングの場合は図20にグラフで
示される値を離散化したものである。
【0253】当然、ここで挙げるα、β、θは制御パラ
メータの一例であり、説明の簡便のためこれらのパラメ
ータを指定することでアクチュエータが駆動されること
を前提に記述したが、たとえば、より直線的にこれらを
実現する各アクチュエータへの駆動電圧や制御電圧に変
換したものを用いることが効率的である。しかし、これ
らが既存のアクチュエータ制御方式と特に異なるもので
はないので、代表的なパラメータとしてα、β、θを挙
げているにすぎず、このパラメータのみに限るものでは
ない。
【0254】また、別なる機能の具体例として、演算装
置41は、焦電型赤外線センサ53から送られてくる情
報を、通信装置7を介して送信する機能を有する。
【0255】これによりベースステーション91がロボ
ット90に搭載された焦電型赤外線センサ53における
赤外線情報検出領域531における赤外線情報を取得す
ることが可能になる。
【0256】また、演算装置41は、ベースステーショ
ン91から送信された発光ダイオード8の発光制御信号
を、通信装置7を介して受信して、この制御信号に従い
発光ダイオード8に流れる電流を制御する機能を有す
る。これにより、ベースステーション91が発光ダイオ
ード8の発光を制御することが可能になる。なお、制御
装置4の機能はここに示したものに限らない。
【0257】飛行制御は時間的に連携するものであるの
で、羽根の動作時刻歴を、制御装置4におけるメモリ4
2に記憶させておき、ベースステーション91からの制
御信号をこの時刻歴情報によって補正する手段も可能で
ある。
【0258】また、ロボット90の浮上移動を優先する
場合、通信の帯域からの送信不可能なデータが発生する
ことも考えられる。また、通信が途絶する場合も考えら
れる。これらをはじめとして、重量の増加が浮上移動に
障害をもたらさない範囲内ならば、メモリ42を搭載す
ることは有効である。
【0259】また、逆に、演算装置41におけるレジス
タの類を除き、ロボット90の機能によっては明示的に
必須ではない。
【0260】(駆動エネルギ源)次に、駆動エネルギ
源、すなわち、電源6について説明する。
【0261】左右アクチュエータ21,22、制御装置
4、センサ51〜センサ53、を駆動する電力は電源6
により供給される。
【0262】電源6はリチウムイオンポリマを電解質と
しているので支持構造1により封入しておけばよい。こ
れにより液漏れを防ぐための余分な構造が不用であり、
実質的なエネルギ密度を高めることができる。
【0263】なお、現在市販されているリチウムイオン
2次電池の一般的な質量エネルギ密度は150Wh/k
gであり、本実施の形態においてはアクチュエータにお
ける消費電流は最大40mAであるので、電源6の電解
質重量を約0.1gとすると、本実施の形態においては
約7.5分の飛行が可能である。また、本実施の形態に
おけるアクチュエータの最大消費電流は左右合計40m
Aである。
【0264】また、電源電圧3Vである。電解質重量が
0.1gであるので、0.12W/g、つまり、120
0W/kgの重量パワー密度を持つ電源6の実現が求め
られる。市販品で実現されているリチウムイオンポリマ
2次電池の重量パワー密度は約600W/kgである
が、これは携帯電話などの情報機器に用いられている1
0g以上の製品などである。
【0265】一般に、電解質質量に対する電極面積の比
は正負に反比例するので、実施の形態における電源6
は、前述の情報機器用に用いられている2次電池の10
倍以上の電極面積比を持つので、10倍程度の質量パワ
ー密度が達成可能であり、冒頭の出力パワー密度は十分
達成可能である。
【0266】アクチュエータの駆動エネルギを外部から
供給する方法も可能である。たとえば、電力エネルギを
外部から供給する媒体については温度差、電磁波などが
挙げられ、これを駆動エネルギに変換する機構としては
それぞれ熱電素子およびコイルなどが挙げられる。
【0267】当然、異なる種類のエネルギ源を混載する
手法も可能である。電力以外のエネルギ源を用いる場
合、基本的には制御は制御装置4からの電気的信号を用
いることになると考えられている。
【0268】(センサ類(物理量入力部))次にセンサ
について説明する。
【0269】加速度センサ51は支持構造1の3自由度
並進加速度を、角加速度センサ52の支持構造1の3自
由度回転加速度、焦電型赤外線センサ53は焦電型赤外
線センサ検出領域531における赤外線量を検出する。
これらのセンサ51〜センサ53の検出結果は制御装置
4に送られる。
【0270】本発明者が用いた加速度センサは帯域40
Hzである。なお、加速度センサ51や角加速度センサ
52は帯域が高いほど時間的に緻密な制御が可能である
が、ロボット90の浮上状態の変更は1回以上の羽ばた
きの結果起きるものであると考えられるので、現在市販
されている帯域が数10Hz程度のセンサでも実用可能
になる。
【0271】本実施の形態では加速度センサと角加速度
センサとにロボット90の位置および姿勢を検出するも
のとしたが、ロボット90の位置と姿勢が計測可能な手
段であるかどうかは上記センサには限らない。たとえ
ば、互いに直交する3軸方向の加速度を測定可能な加速
度センサを少なくとも2つそれぞれ支持構造1の異なる
位置に配置させ、角加速度センサから得られる加速度情
報に基づいてロボット90の姿勢を算出することも可能
である。
【0272】また、作業空間92内に地上波を明示的に
組込んでおき、これをロボット90が検出して位置およ
び姿勢を算出する方法も可能である。たとえば、作業空
間92内に磁場分布を設けておき、磁気センサによりこ
の磁場分布を検知することで、ロボット90の位置と姿
勢を算出する手法も可能である。また、GPSセンサ等
を用いる手法も考えられる。
【0273】また、後述するベースステーション91な
ど、ロボット90以外においてロボット90の位置と姿
勢とを直接検出する手法も考えられる。たとえば、ベー
スステーション91がカメラを有し、画像処理によって
ロボット91の位置を算出する手法も可能である。当然
この場合ロボット90における加速度センサ51などは
必須ではない。
【0274】また、加速度センサ51、角加速度センサ
52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別部品
として表現されたが、軽量化の観点から、マイクロマシ
ニング技術によって制御装置4と一体で同一のシリコン
基板上に形成してもよい。
【0275】当然本実施の形態におけるセンサは、アプ
リケーションすなわち警備の目的を達成する最低限の構
成要素であって、センサの種類、個数、構成については
ここに示す限りではない。
【0276】たとえば、ロボット90における羽根の駆
動には、フィードバックのない制御を用いているが、羽
根のつけ根に羽根の角度センサを設け、ここから得られ
る角度情報によりフィードバックを行ない、より正確に
羽根を駆動する方法も可能である。
【0277】また、逆に、浮上する領域における気流が
既知であり、予め定められた羽ばたき方のみによって目
的位置に定位することが可能ならば、ロボット90の浮
上状態を検出することは不用となるので加速度センサ5
1や角加速度センサ52は必須ではない。人体検出につ
いては、焦電型赤外線センサ53を用いて、従来のロボ
ットに採用されている手法と同様に行なえる。
【0278】なお、本実施の形態で例示する探索対象物
としての人93もロボット90に対して移動の障害とな
るが、焦電型赤外線センサ検出領域531をロボット9
0の下方に配することで、ロボット90が侵入者の情報
を飛行しても人93を検出することが可能であるため、
人93を障害とせず、かつ、人93を検出することが可
能である。
【0279】また、人体検出センサとして、現在広く安
価に用いられている焦電型赤外線センサを例として挙げ
たが、当然これも人体を検出するという機能が達成され
るならばこの限りではない。
【0280】(発光ダイオード(物理量出力部))次
に、発光ダイオード8について説明する。
【0281】発光ダイオード8は、焦電型赤外線センサ
53における焦電型赤外線センサ検出領域531を概ね
包含する可視光照射領域を有する。また、発光ダイオー
ド8の動作は制御装置4によって制御される。
【0282】以上の構成より、焦電型赤外線センサ検出
領域531内に検出された赤外線放射源を人93である
と制御装置4が判断すれば、これに対して可視光を照射
する動作を行なうことができる。なお、本実施の形態で
は、物理量出力部として発光ダイオード8を例示した
が、これに限定されるわけではない。
【0283】上述の構成要素の決定の際、ロボット90
の機動性を損なわないためには、当該構成要素の機能を
損なわない範囲内で軽量であることが望ましい。
【0284】(ベースステーションの説明) (主要な構成と主要な機能)まず、図23を用いてベー
スステーション91の主要な構成と機能とを説明する。
ただし、ベースステーションの主要な目的はロボット9
0からの情報取得とこれに基づくロボット90の制御で
あるので、図23はこれを具体化した一例にすぎず、外
観、形状、また付帯的な構成要素の有無については上述
の目的を害しない限りここに記す限りではない。
【0285】図23に示すように、ベースステーション
91は、演算装置911とメモリ912および通信装置
917を備えている。通信装置917は、ロボット90
より送信された信号を受信する機能を有する。また、ロ
ボット90に信号を送信する機能を有する。
【0286】ベースステーション91は、メモリ912
に格納された作業空間92のマップデータなどと、ロボ
ット90より通信装置917を介して受信したロボット
90の加速度情報を初めとする各種情報から、ロボット
90の行動を決定する機能を有する。また、この行動を
通信装置917を介してロボット90に送信する機能を
有する。
【0287】前述の受信機能と行動決定機能と送信機能
によってベースステーション91はロボット90自身も
しくはその周辺環境情報に基づき通信機能を介してロボ
ット90を制御することができる。
【0288】ベースステーション91は、その上面をロ
ボット90の離発着台として用いている。すなわち、ベ
ースステーション91上面には充電器913が備わって
おり、充電孔914にロボット90における電極61が
結合することで電気的に電源6に接続され、充電が可能
な状態になる。本実施の形態においては節電のため、充
電器913は演算装置911により制御され、ロボット
90がベースステーション91に結合している際も動作
して充電を行なう。
【0289】また、この充電孔914は位置決め孔の役
割も兼ねている。さらに、ベースステーション91には
電磁石915が備えられており、必要に応じてロボット
90を吸着している。すなわち、離陸前のロボット90
におけるベースステーション91に対する相対位置は、
電磁石915を動作させることにより固定されており、
また相対速度は0である。
【0290】(動作指示)本実施の形態においてはベー
スステーション91は、演算装置911とメモリ912
および通信装置917を備えており、メモリ912に格
納された作業空間92のマップデータと、予め設定され
た目的を達成するロボット90の作業空間92における
予定経路に対して、ロボット90より受信したロボット
90の加速度情報をはじめとする各種情報からロボット
90に与えるべき加速度、角加速度を、通信装置917
を介してロボット90に送信する機能を有する。たとえ
ば、ロボット90の角加速度情報を2回積分することで
ロボット90の姿勢を算出することができる。
【0291】また、これとロボット90の加速度情報を
前出るの姿勢で回転変換して得た絶対座標系における加
速度情報を2回積分することでロボット90の位置を算
出することができる。なお、これらの積分定数は、離陸
前の速度、角速度がともに0であり、位置、姿勢はベー
スステーション91に対して充電孔914に固定されて
いるためいつでも既知である。このようにして演算装置
911はロボット90の位置と姿勢を算出し、上述のロ
ボット90への制御指示を行なうことができる。
【0292】以上の機能により、ベースステーション9
1が、ロボット90に作業空間92内を巡回させるよう
に制御することが可能になる。これらの機能は互いに相
関することも当然可能である。たとえば、前述のロボッ
ト90における加速度情報と角加速度情報より焦電型赤
外線センサ53における赤外線検出領域531の作業空
間92における位置を算出することができる。
【0293】この位置と赤外線量をマッピングすること
で赤外線放射源の位置、形状、動作などを算出し、赤外
線放射源の重心付近に向けてダイオードを発光させると
いった手法も可能である。当然これらのバリエーション
は多岐にわたり、アプリケーションによって最適なもの
をデザインするものであって、ここに示した形態に限る
ものではない。
【0294】(巡回手法)ロボット90における巡回手
法は、従来から提案されている車輪などで床面を移動す
るロボットに用いられてきた巡回手法に、高さ方向の自
由度を加えて構築することが可能である。
【0295】たとえば、まず概ね一定の高さでの巡回を
行ない、これが終了した後、ロボット90の高度を変更
してまた別の高さで巡回を行なうといった手法で、2次
元平面上での巡回の高さ方向の自由度を加え、3次元空
間を巡回する手法が実現される。
【0296】また、焦電型赤外線センサ53の検出距離
によっては、ある高さで巡回すれば作業空間92の全域
において人を検出することが実質的に可能な場合も考え
られる。この場合は、従来から提案されている2次元平
面での巡回を行なうアルゴリズムのみで巡回が可能であ
る。
【0297】これら巡回経路は、ある定まった経路をメ
モリ912内に予め用意していてもよいし、メモリ91
2におけるマップデータからある情報を基準に演算装置
911が算出する方法も可能である。たとえば、作業空
間92における監視上の重要度などを指定し、この重要
度に応じて巡回頻度を高く設定するなどの手法が考えら
れる。また、巡回中においても経路の変更は可能であ
る。たとえば、人検出時などに、人を検出した位置でホ
バリングするなどの変更が考えられる。
【0298】以上に示したのはロボット90の作業空間
92の巡回手法の単純な一例であり、この限りではな
い。ベースステーション91の質量はロボット90の浮
上には影響しないため、これらの巡回経路や手法の策定
を高度に複雑に行なうことは容易である。
【0299】(離着陸補助)羽ばたきの開始もしくは終
了時、すなわち、ロボット90の離着陸の際は、羽ばた
きによって起こる気流が急激に増加もしくは減少し不安
定であるため、ロボット90の位置および姿勢を制御す
ることは難しい。本実施の形態では、離陸前の段階にお
いて、ベースステーション91に備えられた電磁石91
5がロボット90を吸着している。離陸の際は羽ばたき
による気流が安定するまで電磁石915を作動させ、気
流が安定した時点で電磁石915による吸着を停止する
などの手法で安定した離陸が可能である。
【0300】着陸においては、大まかに電極61が充電
孔914の上部に位置するようロボット90を移動さ
せ、この状態で電磁石915を作動させ、ロボット90
をベースステーション91に吸着する。しかる後に羽ば
たきを停止させれば、気流がG不安定である状態で着陸
時の位置と姿勢を安定させることができる。なお、定位
を容易にするため、電極61もしくは充電孔914の少
なくとも一方がテーパ状をしていることが望ましい。
【0301】なお、重量が許すなら、ロボット90が電
磁石915を有する構成も可能である。また、この構成
により、ロボット90はベースステーション91に限ら
ず、強磁性もしくは軟磁性材料で構成される物質すべて
に対して安定した離着陸が可能になる。また、より加速
度の小さい離陸を行なうために、電磁石915に力覚セ
ンサを配し、この力覚センサにかかる力によって電磁石
915の吸引力を制御する手法も可能である。
【0302】また、ここに示したのは離着陸時の気流不
安定性に伴うロボット90の不安定浮上を防ぐ手法の一
例にすぎず、離着陸時にロボット90を一時的に保持す
る機構であれば他の手段も可能である。たとえば、電磁
石915の代わりに空気を用いて吸引する手法も可能で
ある。また、レールなどのガイド機構に沿って離着陸を
行なう等の手法も可能である。
【0303】(システムの動作)ロボット90はベース
ステーション91からの指示により作業空間92を巡回
し、人を検出する。これをより具体的に一例として記述
したものを例として図24および図25を用いて説明す
る。なお、以下の記述は一例であり、本願の権利請求の
範囲を絞るものではない。
【0304】(静止状態)ロボット90の動作開始前は
ロボット90はベースステーション91における充電孔
914に電極61が接続され固定されている。また、必
要に応じて電源6に対して充電が行なわれている。ベー
スステーション91における演算装置911、メモリ9
12は既に動作しているものとする。また、ロボット9
0の巡回経路は既に演算装置911によって算出されて
いるものとする。また、人を検出した際のロボット90
のダイオードの発光動作は既に演算装置911によって
算出されているものとする。上記巡回経路、ダイオード
の発光動作をメモリ912に格納しておくことが望まし
い。
【0305】(離陸、上昇)ベースステーション91に
おける電磁石915が動作し、ロボット90はベースス
テーション91に吸着される。この状態でロボット90
は垂直方向への上昇のための羽ばたき動作を開始する。
遅くとも電磁石915が吸着を解除するまでには、ロボ
ット90における加速度センサ51、角加速度センサ5
2、制御装置4、および通信装置7は動作を開始してい
る。また、この際には、ベースステーション91におい
ても通信装置917が動作を開始しており、演算装置9
11がロボット90の浮上状態を検出できる状態に達し
ている必要がある。
【0306】羽ばたきによる気流が安定した時点で、電
磁石915はロボット90の吸着を止めていく。電磁石
915の吸着力とロボット90の浮力がバランスする点
よりさらに電磁石915の吸着力を弱めた時点でロボッ
ト90が浮上を開始する。
【0307】また、少なくともロボット90が浮上を開
始するまでに、ベースステーション91における演算装
置911は、ロボット90の位置と姿勢を求める演算を
開始している必要がある。
【0308】ロボット90はベースステーション91に
加速度情報、角加速度情報を送信しつつ上昇する。ベー
スステーション91はこの情報と目的とする経路より算
出されるロボット90の位置と姿勢によりロボット90
に現在与えられるべき加速度を算出し、ロボット90に
指示する。予め指定された位置にロボット90が到達す
ると、ベースステーション91の指示によりロボット9
0はこの高さで巡回を開始する。
【0309】(巡回)巡回開始以前に焦電型赤外線セン
サ53を動作させる。この赤外線情報が通信によって演
算装置911に送られる。巡回は、ベースステーション
91はロボット90の移動を指示しつつ、赤外線情報を
監視し、赤外線発信源すなわち発熱源の有無を判定する
ことで行なわれる。ロボットは、障害物を避けるため
に、一般的な侵入者の身長以上の高さ、たとえば、概ね
2m程度の高さを巡回する。また、ロボット90は、た
とえば、赤外線情報検出領域531の幅の60%程度の
幅ずつずらしながら往復するなどの手法を用いて、作業
領域92をくまなく巡回する。
【0310】(着陸)巡回終了時以後、ロボット90に
おける焦電型赤外線センサ53は動作を停止する。巡回
終了時には、ロボット90における電極61がベースス
テーション91における充電孔914の鉛直上方に位置
するように位置および姿勢を保ちながらロボット90が
下降するようにベースステーション91がロボット90
を制御する。電磁石915がロボット90の吸着可能な
位置にロボット90が位置したと判断した時点で、電磁
石915を作動させ、ロボット90をベースステーショ
ン91に固定する。
【0311】ベースステーション91にロボット90が
固定された以後、ロボット90における加速度センサ5
1、角加速度センサ52は動作を停止する。ベースステ
ーション91にロボット90が固定されて以後、ベース
ステーション91はロボット90へ羽ばたきの停止を指
示する。これ以後、通信装置7、制御装置4などは停止
させてもよい。
【0312】(フローチャート)本実施の形態における
各情報の流れを図24に示す。また、上記動作のフロー
チャートを図25に示す。当然これらは一例であり、本
実施の形態における対象物の探索を行なうセンシングロ
ボットというアプリケーションを満足するロボット90
の動作はこの限りではなく、また、これまでアプリケー
ションに用いられる場合、当然この動作は異なったもの
となり得る。
【0313】(通信)本実施の形態における通信手法に
ついて、図26〜図28を用いて説明する。
【0314】なお、ここでは通信されるデータに対する
解説を主に行なう。たとえば、通信のプロトコル、ハン
ドシェイクのタイミングといった通信の手法の細部につ
いてはさまざまな手法があるが、ここで説明するデータ
のやり取りが行なえるものであればよい。
【0315】(静止状態、離陸)まず、静止状態〜離陸
時の通信動作について図26を用いて説明する。
【0316】まず、ベースステーション91の演算装置
911、通信装置917とロボット90の制御装置4、
通信装置7を動作させ、ロボット90とベースステーシ
ョン91のコネクションを確立させる。そしてベースス
テーション91における電磁石915を動作させ、ロボ
ット90を吸着し、離陸時の不安定な気流によるロボッ
ト90の転倒を防止する。
【0317】ロボット90における加速度センサ51、
角加速度センサ52はロボット90の位置と姿勢を正し
く把握するために、ロボットが浮上、すなわち加速度も
しくは角加速度が0でなくなる以前に動作している必要
があるので、羽ばたき開始以前にセンシングを開始して
おく。
【0318】ベースステーション91は、ロボット90
に浮上用の羽ばたきを指示する。本実施の形態では鉛直
上向きに浮上するような羽ばたきを行なうようにロボッ
ト90に加速度、角加速度の指示を行なう。
【0319】ロボット90においては、予め用意された
制御テーブルから、鉛直上向きに上昇するためのα、
β、θの時系列のパターンを選び、これに従った羽ばた
きを開始するため、左右アクチュエータを駆動する。
【0320】ベースステーション91は、タイマで一定
時間経過を検出するなどの手法で、ロボットの羽ばたき
による気流が安定するまで待機し、その後、電磁石91
5の吸着力を低下させていく。
【0321】その間、ロボット90は自身の加速度情報
と角加速度情報とを通信によってベースステーション9
1に送信する。電磁石915の吸着力が浮力を下回った
時点でロボットは浮上する。これはロボットの速度が0
でなくなることによって検出される。浮上が完了すれ
ば、ベースステーション91よりロボット90に浮上完
了信号が送信され、巡回モードに入る。
【0322】(巡回)続いて、巡回時における通信動作
を図27を用いて説明する。
【0323】まず、巡回モードに移行するまでに、ロボ
ット90は赤外線センサを動作させる(図示なし)。
【0324】次に、ロボット90は各種センサの情報取
得を行なう。そして、取得したセンサ情報を、通信を介
してベースステーションに送信する。
【0325】ベースステーション91は受信したロボッ
ト90のセンサ情報のうち、赤外線情報をマッピング
し、作業領域92内での赤外線放射分布を求める。ま
た、加速度情報、角加速度情報から、ロボット90の位
置と姿勢を算出する。これらの位置、姿勢算出処理、赤
外線マッピング処理は巡回行動中継続的に行なわれてい
るものとする。
【0326】得られた赤外線マッピングの結果、メモリ
912におけるマップデータに存在しない赤外線放射源
が確認されれば人とみなして発光ダイオードによる報知
動作を行なうことも可能である。そうでない場合は巡回
を継続する。これら次の行動をベースステーション91
は決定し、ロボット90に与えるべき加速度、角加速度
をロボット90に指示情報として送信する。
【0327】ロボット90は受信した指示情報のうちの
加速度指示と角加速度指示より、予め用意された制御テ
ーブルより左右アクチュエータの駆動を算出し、これを
駆動する。また、報知動作指示が行なわれている場合
は、これに従ってLEDの駆動を行なう。報知動作にお
いても、通信態様は、LED駆動を除いて巡回動作と同
様である。
【0328】ベースステーション91が、ロボット90
が巡回終了に達したと判断した場合、ロボット90に巡
回終了信号を送信し、着陸モードに移行する。
【0329】(着陸)続いて、図28を用いて着陸にお
ける通信について説明する。
【0330】ロボット90は、巡回終了後、焦電型赤外
線センサ53の動作を停止させる。ベースステーション
91は、着陸地点直上、より具体的には、電磁石915
によってロボット90を初期位置に吸着可能な領域にロ
ボット90を誘導する。この誘導は巡回時の制御と同様
に、ロボット90より受信した加速度情報、角加速度情
報より算出したロボット90の位置と姿勢を用いて行な
われる。すなわち、巡回動作と同様の通信態様によって
行なわれる。
【0331】ロボット90が着陸地点直上に来たら、電
磁石915を動作させ、ロボット90をベースステーシ
ョンに吸着する。その後、継続して動作させる必要がな
ければ、ベースステーション91はロボット90に対し
動作終了を指示する。これによりロボット90は羽ばた
き動作、通信動作、センシングを終了させる。
【0332】なお、通信形態は1系であり、ロボット9
0のセンサ情報によりベースステーションがロボット9
0の行動指示を行なうのであればここで挙げたものに限
られない。
【0333】また、実施の形態では、センサは連続して
動作するものとしたが、ベースステーション91により
センサ情報要求信号を受信したときのみセンサを動作さ
せるといったように、センサの動作を、ベースステーシ
ョン91からの指示により間欠的に行なう手法も可能で
ある。
【0334】(機能分担)本実施の形態におけるロボッ
ト90における制御装置4と、ベースステーション91
における情報処理の機能分担について以下に示す。
【0335】ロボット90とベースステーション91は
通信路を通じて情報交換可能なので、各々の機能分担を
さまざまな形が可能である。たとえば、上記実施の形態
のごとく、ベースステーション91の機能をすべてロボ
ット90に収め、ベースステーション91を廃した、い
わゆる、スタンドアロンタイプも可能である。しかし、
ロボット90に過剰な質量を搭載すると浮上が困難にな
る。
【0336】また、ロボット90が軽量である方が機敏
な動きが可能になり、システム動作効率を上げることが
できる。つまり、一般に、情報処理の大部分はベースス
テーション91にて行ない、ロボット90を軽量に設計
することが望ましい。特に、作業空間92におけるマッ
プデータはその作業空間の大きさ、障害物の多さに依存
して大きくなる。
【0337】このため、ロボット90の搭載重量の増加
に繋がらないメモリ912が用意されていることが望ま
しい。先の項で示した、赤外線放射源の位置特定など
も、ベースステーション91における演算装置911に
て行なえば、ロボット90における制御装置4には簡素
なデバイスを用いることができるため、軽量化が可能で
ある。
【0338】上述の議論に加え、ロボット90における
制御装置4と、ベースステーション91における情報処
理の機能分担については、通信速度の向上が重量増加に
繋がる点を考慮する必要がある。
【0339】たとえば、電波を用いた通信の場合、通信
速度が高速になると、キャリアとしてのエネルギの高
い、高周波数の電波を用いなくてはならないため消費電
力が大きくなる。このため、電源6の重量増加に繋が
る。また、補償回路などを用いて信号品質を向上させな
くてはならず、構成要素が増えるため、通信機能の重量
増加に繋がる。総合的にはこれらのトレードオフを考慮
して、実際の機能分担をデザインする必要がある。
【0340】たとえば、羽ばたきの細部、すなわち、羽
根の角度α、β、θをもベースステーション91が指示
する場合を考えると、一般に羽ばたき以降の周波数は数
10Hz以上であるため、α、β、θの制御周波数帯域
はkHzオーダである。この場合、α、β、θのデータ
がそれぞれ8ビットであるとして、各々1kHzで制御
するには、単一の通信路で8(bit)×1(kHz)
×3×2(アクチュエータの個数)=48(kbps)
の通信速度が必要である。これは送信のみの速度であ
り、実際には受信のための帯域も必要となる。これに通
信のオーバーヘッド、また、焦電型赤外線センサ53な
どのセンサからのデータも加わるため、100kbps
程度の通信速度を持った通信方法が必要となる。
【0341】ところで、ロボット90における前進や後
退、左右への旋回といった基本的な動作については、各
々の動作に対応した一定のパターンの羽ばたき方を用意
することができる。よってこれら基本動作とそれをもた
らす羽ばたき方のパターンをロボット90に内包してお
き、ベースステーション91が予定経路にふさわしい基
本動作を算出し、ロボット90に指示し、ロボット90
は指示された基本動作から内包された羽ばたき方のパタ
ーンを選択するなどの手法を用いても、ロボット90に
所望の経路を飛行させることができる。
【0342】このように、ロボット90は羽ばたき方そ
のものの制御に代表される高い周波数帯域の制御、ベー
スステーション91は経路制御に代表される低い周波数
帯域での制御を受け持つ形態が、制御装置の演算量の軽
減、通信経路のトラフィックス軽減の観点から望まし
い。なお、これらの基本動作とそれをもたらす羽ばたき
方のパターンは、テーブルとして制御装置4に用意して
おくのが、処理速度、制御装置4における演算量の低減
の観点から望ましい。
【0343】当然、特に制御装置4に代表される演算装
置の演算能力や通信速度は今後大きく向上することが期
待されるので、ここで記したロボット90とベースステ
ーション91における情報処理の態様は、現状をもとに
基本となる考えを例示したものであり、具体的な機能分
担については、今後ここに記した限りではない。
【0344】(高度制御)本実施の形態においては、高
度制御により容易に異なる階への移動が行なえる。すな
わち、マップデータに高さ情報を含めれば、従来の床面
移動ロボット制御手法に、高さ方向の制御を加えるだけ
で、巡回経路の高さ変更を行なうことが可能である。す
なわち、階段のマップデータに従って、たとえば、階段
における鉛直下方面よりほぼ一定の鉛直方向距離を保つ
などのアルゴリズムによって高さを変更しながら浮上移
動することで、階段の上り下りが容易に実現できる。
【0345】当然、先に示した異なる階の移動に階段を
用いるのは、異なる階を移動する手法の一例であり、こ
れに限らない。たとえば、通風口や吹きぬけなどを用い
ることも可能である。
【0346】(複数の巡回について)本実施の形態にお
いては、単一の巡回のみを例示したが、巡回の態様につ
いては当然これに限らない。本実施の形態に例示したよ
うな巡回行動を繰返し行なうことも可能である。
【0347】また、このような巡回方法で新たに巡回を
行なうことも可能である。また、本実施の形態において
は巡回終了後、ベースステーションに帰還する行動形式
を例として示したが、これは一例であり、この限りでは
ない。たとえば、作業空間92に複数のベースステーシ
ョンを配し、この間を巡回していく手法も可能である。
【0348】(エネルギ補充機構について)当然、電源
6の充電方法や形態は、軽量稼働継続使用を両立させる
ために一般的に用いられるエネルギ補充の一形態を例示
したのみで、電源として機能を満たすものであれば電源
6とその充電機構の態様はここに例示した限りではな
い。
【0349】たとえば、羽根に金属薄膜スパッタリング
によってコイルを構成し、外部から電波を与え、これを
そのコイルで電力に変換、整流して電源6を充電する方
法も可能である。
【0350】また、たとえば、ベースステーション91
以外に充電のみを目的とする充電ステーションが存在
し、そこで充電を行なうことも可能である。
【0351】また、電力以外のエネルギを用いる場合、
これに適したエネルギ補充方法が必要となる。もちろ
ん、電極61と充電孔914の形状は本実施の形態に示
したものとは限らない。また、本実施の形態に示したよ
うに位置決めの役割を兼用していることは必須ではな
い。
【0352】(通信について)本実施の形態において
は、ベースステーション91は常にロボット90の情報
を得てこれを制御するものとしたが、ロボット90に自
立的動作が可能である場合など、常にベースステーショ
ン91がロボット90を制御することは必ずしも必要で
はない。
【0353】また、メモリ42に情報を一時的に保存し
ておくことで、ベースステーション91とロボット90
の通信の頻度を下げることができる。これは後述するロ
ボットやベースステーションが複数存在する場合など、
通信路のトラフィック低減が求められる場合などに有効
である。
【0354】ロボット90とベースステーション91と
のコネクションは、途絶する可能性を前提として設計す
ることが望ましい。ここで、ロボット90に通信路が途
絶した場合の行動形式を予め組込んでおけば、コネクシ
ョンが再開された際通信途絶に起因する悪影響を最小限
に抑えることができる。
【0355】一例として通信路が途絶した場合、ロボッ
ト90はホバリングを行なうことで浮上状態を一定に保
つ機能を備えておけば、ホバリングせずに移動し続ける
場合に比べて障害物に衝突する可能性が小さくなる。
【0356】また、メモリ42にある程度先の動作モデ
ルをバッファリングしておくことで、通信路が途絶した
場合でもロボット90が飛行を続けることができ、逆
に、メモリ42にセンサの検出した情報をバッファリン
グしておき、通信路が回復した際にこれをベースステー
ション91がやることで、通信路が途絶している間のセ
ンサ情報をベースステーションが得ることができる。
【0357】また、逆にこういったバッファリングを用
いることで、障害物が多く電波がさえぎられやすい環境
においてもより微弱な電波で群ロボットシステムの機能
を達成することができるため、省電力化が可能であり、
電源6の軽量化に繋がるため、ロボット90の機動性を
高めることができる。
【0358】(環境変化について)本実施の形態におい
ては説明の簡便のため、作業空間92における環境は変
化しないものとしたが、実際の使用においては環境は変
化する。主要な環境辺かとしての気流の発生と障害物の
変化が挙げられる。なお、これらの環境変化が存在する
場合はその補正手段を用意する必要がある。
【0359】気流については、羽ばたき飛行であっても
一般の航空機と同様の影響を受けるため、この補正は一
般的な航空機の経路計画に用いられる手法がそのまま応
用可能である。
【0360】障害物の変化についても、その対処方法は
従来の遠隔操作ロボットのシステムに採用されている手
法がそのまま適用可能である。たとえば、光センサなど
の障害物検出手段をロボット90に設け、その障害物検
出データベースをベースステーション91に送信し、ベ
ースステーション91はその情報からマップデータを更
新するなどの手法が考えられる。
【0361】(システム構成(台数について))本実施
の形態においては説明の簡便のためベースステーション
は1台としたが、複数のベースステーションによってロ
ボット90を制御することも当然可能である。一例とし
て、ベースステーション91とロボット90の通信可能
範囲よりも作業空間92が広い場合、作業空間92をカ
バーするように複数のベースステーションを設け、ロボ
ット90の制御を空間的に分担する手法が挙げられる。
【0362】また、本実施の形態においては、ベースス
テーション91に、ロボット90の制御機能と離着陸補
助機能とエネルギ補充機能すなわち充電機能を統合した
が、当然これらの機能がベースステーションに統合され
ていることは必須ではない。たとえば、通信可能範囲に
比べ、航続飛行距離、すなわち、外部から駆動エネルギ
を補充することなく飛び続けることができる距離が短い
場合、1台のベースステーションがカバーする通信範囲
内に、他のエネルギ補充ステーションが存在するといっ
た形態が考えられる。
【0363】逆に、ロボット90も単一である必要はな
く、複数のロボットを用いた方が作業空間92の検索効
率を高めることができる。たとえば、本実施の形態に示
す人の探索の目的の場合、作業空間92をロボット90
Aが1回検索するのにかかる時間T1(秒)とすると、
ロボット90Aが検索を開始してからT1/2(秒)後
にロボット90Bに検索を開始させれば作業空間92に
おけるある位置の検索頻度は毎秒2/T1(回)とな
り、2倍の頻度で検索されるため、人を発見する確率が
上がる。また、魚群の回遊をモデルとした群行動を行な
うロボットを用いてもよい。
【0364】また、当然、ベースステーション91の機
能すべてをロボット90に内包でき、かつ、浮上が可能
な重量であるならばスタンドアロンタイプとしてロボッ
ト90単独での使用形態も可能である。逆に、ほとんど
の情報処理をベースステーション91が担い、ロボット
90の制御部はアクチュエータのみである形態も可能で
ある。
【0365】本実施の形態の群ロボットシステムによれ
ば、ロボットは浮力を得て地面を離れて移動することが
できるので、たとえば家具などのさまざまな物体が置か
れ、そしてそのような物体の位置が時間的に変化する屋
内において、そのような障害物を避けて移動することが
できて、各部屋の状態把握などの所定の作業を行なうこ
とができる。また、屋外においては、たとえば、災害地
における障害物や一般のフィールドなどにおける地形な
どに左右されることなく移動することができて情報収集
などの作業を容易に行なうことができる。また、既存作
業空間への導入を安価に、簡便に実現できる。
【0366】本実施の形態の群ロボットシステムによれ
ば、物理量取得手段と通信手段とを有する上記ロボット
と、このロボットと通信によりロボットからの情報を得
る、もしくはロボットを制御することが可能なベースス
テーションとの構成により、ロボットにおける情報処理
を浮上に影響しない構成要素にて行なうことができるた
め、ロボットの起動力を損なうことなく情報処理量を増
やすことができる。
【0367】次に、上記ロボットの別実施の形態を説明
する。 (別実施の形態)別実施の形態に係る羽ばたきセンシン
グロボットを用いた群ロボットシステムについて説明す
る。本実施の形態の群ロボットシステムは、前述の実施
の形態と略同様であるが、羽ばたきセンシングロボット
の構造のみが異なる。すなわち、本実施の形態の羽ばた
きセンシングロボットは、前述の実施の形態の群ロボッ
トシステムにおいて用いられ、ベースステーションと通
信制御の関係は同様の関係で用いられる。また、羽ばた
きセンシングロボットがフェロモンロボットとして用い
られる場合も同様である。さらに、本実施の形態では、
羽ばたきセンシングロボットの羽ばたき飛行に関しての
み説明するが、羽ばたきセンシングロボットには対象物
を検出するためのセンサとして前述の実施の形態と同様
のセンサが設けられており、階層構造においてスペクト
ラム拡散通信を用いて、他の羽ばたきセンシングロボッ
ト、フェロモンロボットまたはベースステーションと通
信可能な通信機構においても前述の実施の形態と同様の
通信機構が設けられている。
【0368】図29(a)および図29(b)は、羽部
として2本の羽軸を有する羽ばたきセンシングロボット
を示す図である。図29(a)では、羽ばたきセンシン
グロボットの前方正面部分が示され、図29(b)で
は、羽ばたきセンシングロボットの前方正面に向かって
左側面部分が示されている。
【0369】なお、図29(a)および図29(b)で
は羽ばたきセンシングロボットの前方正面に向かって左
羽しか示されていないが、実際には、胴体部105の中
心軸を挟んで左右対称に右羽も形成されている。また、
説明を簡単にするため、胴体部105が延びる方向に沿
った軸(胴体軸801)は水平面内にあり、重心を通る
中心軸802は鉛直方向に保たれているとする。
【0370】図29(a)および図29(b)に示すよ
うに、羽ばたきセンシングロボットの胴体部105に
は、前羽軸103および後羽軸104と、その前羽軸1
03と後羽軸104との間を渡すように設けられた羽の
膜106とを有する羽(左羽)が形成されている。
【0371】また、胴体部105には、前羽軸103を
駆動するための回転型アクチュエータ101と後羽軸1
04を駆動するための回転型アクチュエータ102とが
搭載されている。このようなアクチュエータ101、1
02の配置や前羽軸103、後羽軸104および羽の膜
106を含む羽の形状は、飛行の性能が損なわれないな
らばこれに限られるものではない。
【0372】さらに、この羽ばたきセンシングロボット
の場合、羽の断面形状を鉛直上方に凸となるようにして
おけば、水平方向への飛行に際して抗力だけでなく揚力
も発生して、より大きな浮上力が得られることになる。
【0373】また、この羽ばたきセンシングロボットの
重心の位置は、羽ばたきセンシングロボットの安定性を
重視するために羽が周囲の流体により受ける力のアクチ
ュエータに対する作用点の位置よりも下方になるように
設定されている。一方、羽ばたきセンシングロボットの
姿勢を容易に変更する観点からは重心とその作用点を略
一致させておくことが望ましく、この場合には、姿勢制
御に必要な左右の羽が流体から受ける力の差が小さくな
って、羽ばたきセンシングロボットの姿勢変更を容易に
行なうことができる。
【0374】2つの回転型アクチュエータ101、10
2は互いに回転軸800を共有している。この回転軸8
00は胴体軸とは所定の角度(90°−θ)をなしてい
る。前(後)羽軸103、104はアクチュエータ10
1、102を支点として回転軸800と直交する平面内
を往復運動する。この回転軸800と直交する平面と胴
体軸801とのなす角度が仰角θとなる。
【0375】胴体部105としては、機械的強度を確保
するとともに、十分な軽量化を図るために、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)などを円筒状に成形したも
のが望ましいが、このような材料や形状に限定されるも
のではない。
【0376】アクチュエータ101、102としては、
起動トルクが大きいこと、往復運動が簡単に実現できる
こと、構造が単純なことなどから、圧電素子(ピエゾ)
を用いた超音波進行波アクチュエータを用いるのが望ま
しい。これには、回転型アクチュエータとリニア型アク
チュエータとの2つの種類がある。図29(a)および
図29(b)では、回転型アクチュエータが用いられて
いる。
【0377】ここでは、進行波を用いた超音波素子によ
って羽を直接駆動する方法を中心に説明するが、この羽
を駆動するための機構や、それに用いるアクチュエータ
の種類については特に本実施の形態に示したものに限ら
れない。
【0378】回転型アクチュエータとしては、図29
(a)および図29(b)に示された回転型アクチュエ
ータ101、102の他に、たとえば、図39に示され
る回転型アクチュエータ401を用いてもよい。
【0379】図39に示された羽ばたきセンシングロボ
ットでは、胴体部404に搭載された回転型アクチュエ
ータ401に羽403が取付けられている。羽403は
回転型アクチュエータ401の回転軸402を中心とし
て往復運動をする。
【0380】また、羽を駆動するための機構としては、
特開平5−1695675号公報に記載されているよう
な外骨格構造とリニアアクチュエータを組合わせた機構
を適用して、たとえば図40または図41に示すような
羽ばたきセンシングロボットを構成してもよい。
【0381】図40に示された羽ばたきセンシングロボ
ットでは、リニアアクチュエータ501の一端に、前羽
軸または後羽軸503が接続されている。胴体部504
に装着されたヒンジ502を介してリニアアクチュエー
タ501の運動が前羽軸または後羽軸503に伝えられ
ることで羽ばたき運動が行なわれる。この羽ばたき運動
は、羽を直接筋肉で駆動するトンボの羽ばたき運動にヒ
ントを得たものである。
【0382】図41に示された羽ばたきセンシングロボ
ットでは、胴体部は上面胴体部603と下面胴体部60
4に分けられている。下面胴体部604に固定されたリ
ニアアクチュエータ601の運動が上面胴体部603に
伝えられる。そして、その上面胴体部603の運動がヒ
ンジ602を介して前羽軸または後羽軸603に伝えら
れることで羽ばたき運動が行なわれる。この羽ばたき運
動は、トンボ以外のハチなどが用いている羽ばたき運動
にヒントを得たものである。
【0383】図41に示す羽ばたきセンシングロボット
の場合、1つのアクチュエータ601によって左右の羽
軸603が同時に駆動されるため、左右の羽軸を別々に
駆動することができず、細かな飛行制御を行なうことは
できないが、アクチュエータの数を減らすことができ
て、軽量化および消費電力の低減を図ることが可能であ
る。
【0384】さて、図29(a)および図29(b)に
示された羽ばたきセンシングロボットでは、回転型アク
チュエータ101、102には前羽軸103と後羽軸1
04とがそれぞれ接続されている。前羽軸103と後羽
軸104と間には羽の膜106が張られている。羽の膜
106はその面内において収縮する方向に自発的な張力
を有しており、羽全体の剛性を高める働きをしている。
【0385】軽量化のため前羽軸103と後羽軸104
は中空構造であり、それぞれカーボングラファイトから
形成されている。このため、前羽軸103と後羽軸10
4には弾力性があり、前羽軸103と後羽軸104とは
羽の膜106の張力により変形可能である。
【0386】図42は本羽ばたきセンシングの全体の構
造を示す図である。なお、前方方向(紙面に向かって
上)に向かって左側の羽は省略されている。胴体部70
0には、超音波センサ701、赤外線センサ702、加
速度センサ703および角加速度センサ704が配され
ている。これらのセンサによる検出結果は羽ばたき制御
部705に送られる。
【0387】羽ばたき制御部705では、超音波センサ
701や赤外線センサ702によって検出された結果か
ら羽ばたきセンシングロボットと周囲の障害物や人間と
の距離などが情報が処理される。また、加速度センサ7
03や角加速度センサ704によって検知された結果か
ら、羽ばたきセンシングロボットの浮上状態、目的位置
または姿勢などの情報が処理処理されて、左右のアクチ
ュエータ706および重心制御部707の駆動制御が決
定される。
【0388】なお、ここでは、本羽ばたきセンシングロ
ボットの周囲に存在する障害物を検出する手段として超
音波センサ701および赤外線センサ702を用い、本
羽ばたきセンシングロボットの位置および姿勢を検出す
る手段として加速度センサ703および角加速度センサ
704を用いたが、本羽ばたきセンシングロボットの周
囲環境や位置と姿勢が計測可能なセンサであれば、上記
センサに限られない。
【0389】たとえば、直交する3軸方向の加速度を測
定可能な加速度センサ2つをそれぞれ胴体部700の異
なる位置に配して得られる加速度情報からも、本羽ばた
きセンシングロボットの姿勢を算出することは可能であ
る。また、本羽ばたきセンシングロボットが移動する空
間内に磁場分布を設けておき、磁気センサによってこの
磁場分布を検知することで本羽ばたきセンシングロボッ
トの位置と姿勢を算出することも可能である。
【0390】また、図42では、加速度センサ703お
よび角加速度センサ704をはじめとするセンサ類は、
羽ばたき制御部705とは別部品として示されている
が、軽量化の観点から、たとえばマイクロマシニング技
術により羽ばたき制御部705と一体で同一基板上に形
成してもよい。
【0391】また、本羽ばたきセンシングロボットでは
羽の駆動をオープンループ制御としているが、羽の付け
根に羽の角度センサを設け、この角度センサから得られ
る角度情報によりクローズドループ制御を行なうことも
可能である。
【0392】なお、浮上する空間における流体の流れが
既知であり、予め定められた羽ばたき方法によって浮上
することが可能ならば、ここに挙げたセンサ類は必須で
はない。
【0393】羽ばたき制御部705はメモリ部708と
接続されており、羽ばたき制御に必要な既存のデータを
メモリ部708から読出すことができる。また、各セン
サ701〜704によって得られた情報をメモリ部70
8に送込み、必要に応じてメモリ部708の情報を書換
えることもでき、羽ばたきセンシングロボットとして学
習機能を持たせることができる。
【0394】なお、各センサ701〜704によって得
られた情報をメモリ部708に蓄積するだけであれば、
羽ばたき制御部705を介さずにメモリ部708と各セ
ンサ701〜704とが直接接続されていてもよい。ま
た、羽ばたき制御部705は通信制御部709と接続さ
れて、通信制御部709とデータの入出力を行なうこと
ができる。通信制御部709は、アンテナ部710を介
して外部の装置(他の羽ばたきセンシングロボットやベ
ースステーションなど)とのデータの送受信を行なう。
【0395】このような通信機能により、羽ばたきセン
シングロボットが取得してメモリ部708に蓄えられた
データを速やかに外部の装置に転送することができる。
また、羽ばたきセンシングロボットでは入手できない情
報を外部の装置から受取り、そのような情報をメモリ部
708に蓄積することで、羽ばたきの制御に利用するこ
ともできる。たとえば、大きなマップ情報のすべてを羽
ばたきセンシングロボットに記憶さなくても、随時、必
要な範囲のマップ情報をベースステーションなどから入
手することなどが可能となる。
【0396】なお、図42では、アンテナ部710は胴
体部700の端から突き出た棒状のものとして示されて
いるが、アンテナの機能を有するものであれば、形状、
配置などこれに限られない。たとえば、前羽軸712や
後羽軸713を利用して、羽の上にループ状のアンテナ
を形成してもよい。また、胴体部700にアンテナを内
蔵した形態でも、あるいは、アンテナと通信制御部70
9とを一体化させた形態でもよい。
【0397】超音波センサ701、赤外線センサ70
2、加速度センサ703、角加速度センサ704、羽ば
たき制御部705、左右のアクチュエータ706、重心
制御部707、メモリ部708、通信制御部709およ
びアンテナ部710などは、電源部711により供給さ
れる電流によって駆動される。
【0398】ここでは、駆動エネルギーとして電力を用
いたが、内燃機関を用いることも可能である。また、昆
虫の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応を用い
たアクチュエータを用いることも可能である。あるい
は、アクチュエータの駆動エネルギーを外部から取得す
る方法も採用できる。たとえば、電力については熱電素
子、電磁波などが挙げられる。
【0399】(浮上方法)説明の簡便のため、本羽ばた
きセンシングロボットに作用する外力は、羽が流体から
受ける流体力と羽ばたきセンシングロボットに作用する
重力(羽ばたきセンシングロボットの質量と重力加速度
との積)のみであるとする。本羽ばたきセンシングロボ
ットが恒常的に浮上するためには1回の羽ばたき動作の
間の時間平均において、次の関係、 (羽に作用する鉛直上方向の流体力)>(本羽ばたきセ
ンシングロボットに作用する重力) を満たすことが必要とされる。1回の羽ばたき動作と
は、羽を打ち下ろし次に羽を打ち上げる動作をいう。
【0400】さらに、鉛直上向きの流体力を卓越させて
上昇させるためには、 (打ち下ろし動作において羽に作用する鉛直上向きの流
体力)>(打ち上げ動作において羽に作用する鉛直下向
きの流体力) となる必要がある。
【0401】ここでは、昆虫の羽ばたき方を単純化した
羽ばたき方法により、打ち下ろし動作において羽に作用
する鉛直上向きの流体力(以下「打ち下ろし時の流体
力」と記す。)を、打ち上げ動作において羽に作用する
鉛直下向きの流体力(以下「打ち上げ時の流体力」と記
す。)より大きくする方法について説明する。
【0402】説明の簡便のため、流体の挙動もしくは流
体が羽に及ぼす力については、その主要成分を挙げて説
明する。また、この羽ばたき方法により得られる浮上力
と、本羽ばたきセンシングロボットに作用する重力(以
下「重量」と記す。)の大小については後述する。
【0403】打ち下ろし時の流体力を打ち上げ時の流体
力よりも大きくするためには、打ち下ろし時に羽の膜1
06が移動する空間の体積が最大になるように打ち下ろ
せばよい。そのためには、羽の膜106を水平面と略平
行に打ち下ろせばよく、これにより、ほぼ最大の流体力
を得ることができる。
【0404】反対に、打ち上げ時には羽の膜106が移
動する空間の体積が最小になるように打ち上げればよ
い。そのためには、羽の膜106を水平面に対して略直
角に近い角度で打ち上げればよく、これにより、羽に及
ぼされる流体力はほぼ最小となる。
【0405】そこで、回転型アクチュエータ101、1
02により回転軸800の周りに両羽軸103、104
を往復運動させる際に、各羽軸103、104が水平面
と略一致する位置を中心として上方と下方とにそれぞれ
角度γだけ往復運動させるとする。さらに、図30に示
すように、前羽軸103の往復運動に対して後羽軸10
4の往復運動を適当な位相φだけ遅れさせる。
【0406】これにより、図31〜図38(ここではφ
=20°として描いた)に示す一連の羽の往復運動のう
ち、図31〜図34に示された打ち下ろし時において
は、より高い位置にある回転型アクチュエータ301の
前羽軸303が先に打ち下ろされるため、前羽軸303
および後羽軸304の先端と羽の膜306が水平に近づ
く。
【0407】一方、図35〜図38に示された打ち上げ
時においては、両羽軸103、104の先端の高さの差
が拡大されて、羽の膜306も垂直に近づく。この結
果、前羽軸303と後羽軸304に張られた羽の膜10
6が流体を押し下げ、あるいは、押し上げる量に差異が
生じ、この羽ばたきセンシングロボットの場合には、打
ち下ろし時の流体力の方が打ち上げ時の流体力よりも大
きくなって浮上力が得られることになる。
【0408】この浮上力のベクトルは、位相差φを変化
させることにより前後に傾く。前方に傾けば推進運動、
後方に傾けば後退運動、真上に向けば停空飛翔(ホバリ
ング)状態となる。なお、実際の飛行では、位相差φ以
外にも、羽ばたき周波数fや羽ばたき角γを制御するこ
とが可能である。また、この羽ばたきセンシングロボッ
トでは、羽ばたき仰角θを固定しているが、これを変化
させる機能を追加して、自由度を増やしても構わない。
【0409】(羽ばたき制御)実際の羽ばたき制御につ
いてさらに詳細に説明する。上述した羽ばたきセンシン
グロボットでは、打ち下ろし動作または打ち上げ動作の
際に、羽の先端部がなす捻り角αは、羽の長さ(羽の膜
の前羽軸および後羽軸に沿った長さ)をl、羽の幅(前
羽軸と後羽軸の間隔)をw、羽ばたき角をγ、羽ばたき
運動の位相をτ(最も打ち上げた瞬間を0°、最も打ち
下ろした瞬間を180°とする)、前羽軸と後羽軸の位
相差をφとすれば(図31、37、38を参照)、およ
そ以下の式で表わされる。
【0410】tanα=(w/l)・〔sin(γ・c
osτ)−sin{γ・cos(τ+φ)}〕 実際には、前羽軸や後羽軸には弾性があり変形可能であ
るので、この捻り角αは多少違った値をとる。また、羽
軸の根元ほどこの角度は小さい。しかし、以下の議論で
は簡便のため、上の式のαを用いて説明する。
【0411】捻りを加えていない羽に作用する流体力の
鉛直方向成分Fは、流体の密度をρ、羽ばたき角度を
γ、羽ばたき周波数をfとして、およそ F=(4/3)・π2ρwγ223・sin2τ・co
s(γ・cosτ) となる。なお、羽に作用する流体力の水平方向成分は、
左右の羽が同じ運動をすれば互いに打ち消し合うことに
なる。
【0412】羽に捻り角αをもたせると、上記成分Fの
羽ばたき運動平面に垂直な成分Lと、水平な成分Dはそ
れぞれ次のようになる。
【0413】L=F・cosα・sinα D=F・cos2α これに、羽ばたき仰角θを考慮すると、重量と釣り合う
べき鉛直方向の成分Aと、前後運動の推力となる水平方
向成分Jは、打ち下ろし時では、 A↓=−L・cosθ+D・sinθ J↓=−L・sinθ−D・cosθ 打ち上げ時では、 A↑=L・cosθ−D・sinθ J↑=L・sinθ+D・cosθ となる。実際の浮力や推進力は、羽ばたき運動の1周期
分を積分したものとなる。
【0414】以上より、この飛行制御の一例として、羽
ばたきセンシングロボットの羽の長さl=4cm、羽の
幅w=1cm、羽ばたき仰角θ=30°、羽ばたき角γ
=60°、羽ばたき周波数f=50Hz、打ち下ろし時
の位相差φ↓=4°、打ち上げ時の位相差φ↑=16°
とした場合における鉛直方向成分Aと水平方向成分Bの
時間変化を各角度の時間変化とともに図43に示す。
【0415】横軸は1周期分の時間が位相τとして表わ
されている。前半が打ち下ろし、後半が打ち上げを示し
ている。各グラフの曲線は前羽軸の羽ばたき角γf、後
羽軸の羽ばたき角γb、水平面からの羽の捻り角(α+
θ)、流体力の鉛直方向成分Aおよび水平方向成分Jの
時間変化をそれぞれ示している。
【0416】この例では、単位時間当りの流体力の鉛直
方向成分Aにおいては打ち下ろし時の方が打ち上げ時よ
りも大きいため、1周期の平均で約500dynの鉛直
上向きの流体力が1枚の羽で得られる。したがって、2
枚の羽では羽ばたきセンシングロボットの重量が約1g
以下であれば浮上することができることになる。また、
単位時間当りの流体力の水平方向成分Jは、1周期の間
にほぼ打ち消されるため、重量1g程度の羽ばたきセン
シングロボットであればホバリング可能となる。
【0417】ここで、打ち下ろし時の位相差φ↓を大き
く、もしくは、打ち上げ時の位相差φ↑を小さくすれ
ば、前進することができる。このとき、水平に前進させ
るためには、周波数fを少し小さくするのが望ましい。
逆に、打ち下ろし時の位相差φ↓を小さくし、もしく
は、打ち上げ時の位相差φ↑を大きくすれば後退するこ
とができる。このとき、水平に後退させるためには、周
波数fを少し大きくすることが望ましい。
【0418】この羽ばたきセンシングロボットでは、た
とえば、打ち上げ時の位相差φ↑を16°に保ったまま
打ち下ろし時の位相差φ↓を7°と大きくするか、打ち
下ろし時の位相差φ↓を4°に保ったまま打ち上げ時の
位相差φ↑を11°と小さくし、そして、羽ばたき周波
数f=48Hzに下げることで、最初の1秒間におよそ
1mの速度で水平に前進することができる。
【0419】また、たとえば、打ち上げ時の位相差φ↑
を16°に保ったまま打ち下ろし時の位相差φ↓を1°
と小さくするか、打ち下ろし時の位相差φ↓を4°に保
ったまま打ち上げ時の位相差φ↑を24°と大きくし、
そして、羽ばたき周波数f=54Hzに上げることで、
最初の1秒間におよそ1mの速度で水平に後退すること
ができる。
【0420】ホバリング状態のまま、羽ばたきセンシン
グを上昇または下降させるためには、周波数fを上げる
かまたは下げるかすればよい。水平飛行中でも、上昇と
下降については、主に周波数fによって制御が可能であ
る。周波数fを上げることで羽ばたきセンシングロボッ
トは上昇し、周波数を下げることで羽ばたきセンシング
ロボットは下降する。
【0421】この例では、打ち上げ動作中もしくは打ち
下ろし動作中にも、羽の捻り角αをゆっくり変化させて
いるが、これは、アクチュエータへの負荷を減らすため
である。浮力を得るための羽ばたき運動としては、打ち
上げ動作中や打ち下ろし動作中は羽の捻り角αを一定の
値に設定して、打ち下ろし動作から打ち上げ動作、もし
くは、打ち上げ動作から打ち下ろし動作への変化点にお
いて捻り角αを急激に変化させるようにしてもよい。
【0422】羽ばたき仰角θ=0°とした場合の鉛直方
向成分Aと水平方向成分Bの時間変化を各角度の時間変
化とともに図44に示す。この場合は、ハチドリのホバ
リングにヒントを得た羽ばたき運動である。なお、左右
への舵取りは、左右の羽の羽ばたき運動を別々に制御で
きる場合、それぞれの羽による推力に差を持たせればよ
い。
【0423】たとえば、前方へ飛行中に右方向へ旋回す
るには、右羽の羽ばたき角γを左羽よりも小さくする、
または、右羽の前羽軸と後羽軸の位相差を、左羽より大
きくする、あるいは、羽ばたき仰角θが制御できるよう
な場合には、右羽のθを左羽よりも小さくするといった
制御を行なう。これにより、右羽の推進力が左羽の推進
力に比べて相対的に下がり右に旋回することができる。
羽ばたきセンシングロボットを左へ旋回させる場合に
は、その逆の制御を行なえばよい。
【0424】一方、図41に示された羽ばたきセンシン
グロボットのように、左右の羽を別々に制御することが
できないような場合には、図42に示された羽ばたきセ
ンシングロボットに搭載されているような重心制御部7
07をこの羽ばたきセンシングロボットに搭載して、羽
ばたきセンシングロボットの重心を左右にずらすことで
左右への旋回を行なうことができる。
【0425】たとえば、重心を右にずらして右羽を下方
へ左羽を上方へ傾け、そして、周波数fを大きくするこ
とで、羽ばたきセンシングロボットを右へ旋回させるこ
とができる。重心を左にずらして、同様に、周波数fを
大きくすることで、羽ばたきセンシングロボットを左に
旋回させることができる。なお、この方法は2つの羽を
別々に制御することができる場合にも適用することがで
きる。また、いずれの羽ばたきセンシングロボットにお
いても、姿勢の安定を保つために、左右のそれぞれの羽
ばたきの周波数fを同じ値に設定しておくことが望まし
い。
【0426】なお、上記2つの実施の形態のおいては、
センシングロボットに羽ばたきセンシングロボットを用
いた群ロボットシステムを説明したが、リモートコント
ロール可能なヘリコブター、2脚歩行する人型ロボッ
ト、魚型のロボットを用いた魚群ロボットなど、ベース
ステーションにより群ロボットシステムとして、動作、
対象物の検出、および通信等の制御が行なえるものであ
れば他のロボットであってもよい。
【0427】最後に、本実施の形態の群ロボットシステ
ムに用いられる羽ばたきセンシングロボット(または羽
ばたきフェロモンロボット)の構成およびその効果をま
とめて記載しておく。
【0428】本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トは、流体が存在する空間を羽ばたくための羽部と駆動
部と胴体部とを含む浮上本体部を備えている。駆動部
は、羽部を上方から下方に向かって打ち下ろす打ち下ろ
し動作と、羽部を下方から上方に向かって打ち上げる打
ち上げ動作とを行なう。胴体部には羽部が取付けられ、
駆動部が搭載される。そして、一連の打ち下ろし動作お
よび打ち上げ動作の間の時間平均では、羽部が流体から
受ける力のうち鉛直上向きの力が浮上本体部に作用する
重力よりも大きくなる。
【0429】この構造によれば、羽部の羽ばたき動作に
おいて打ち下ろし動作および打ち上げ動作の間の時間平
均では、羽部が流体から受ける力のうち鉛直上向きの力
が浮上本体部に作用する重力よりも大きくなることで、
浮上本体部に浮力が与えられることになる。その結果、
浮上本体部は地面に接することなく移動することができ
る。
【0430】浮上本体部に浮力を与えるためには、打ち
下ろしの動作の際に羽部が移動する空間の体積は打ち上
げの動作の際に羽部が移動する空間の体積よりも大きい
ことが望ましく、たとえば、浮力と浮上本体部に作用す
る重力とを釣り合わせることで地面から離れた状態で空
間に留まる停空飛翔(ホバリング)も可能になる。
【0431】このような浮上本体部は、屋内において所
定の作業を行なうための移動手段として用いられるこ
と、または、屋外において所定の作業を行なうための移
動手段として用いられることが望ましい。
【0432】浮上本体部は浮力を得て地面を離れて移動
することができるので、たとえば家具等のさまざまな物
体が置かれ、そして、そのような物体の位置が時間的に
変化する屋内において、そのような障害物を避けて移動
することができて各部屋の状況把握等の所定の作業を容
易に行なうことができる。また、屋外においては、たと
えば災害地における障害物や一般のフィールドなどにお
ける地形等に左右されることなくに移動することができ
て、情報収集等の所定の作業を容易に行なうことができ
る。
【0433】具体的に、羽部は羽本体部と羽本体部を支
持する羽軸部とを有し、駆動部は、羽軸部を駆動させる
ことにより羽本体部の先端部と仮想の所定の基準面との
なす捻り角を変化させることが望ましい。
【0434】これにより、羽部が流体から浮ける流体力
の大きさや向きが変化して、浮上本体部を上昇、下降、
前進または後退させることができる。
【0435】また、打ち下ろしの動作の際に羽部が移動
する空間の体積を打ち上げの動作の際に羽部が移動する
空間の体積よりも大きくするために、駆動部は打ち下ろ
し動作における捻り角と打ち上げ動作における捻り角と
を異ならせる必要がある。
【0436】さらに、駆動部は捻り角を時間的に変化さ
せることが望ましい。この場合には、羽部の姿勢を滑ら
かに変化させることができて、羽部に急激に流体力が作
用するのを抑制することができる。
【0437】また、羽軸部は一方側羽軸部と他方側羽軸
部とを含み、羽本体部は一方側羽軸部と他方側羽軸部と
の間を渡すように形成された膜部を含み、駆動部は一方
側羽軸部と他方側羽軸部とを個々に駆動させることが望
ましい。
【0438】この場合、一方側羽軸部と他方側羽軸部と
を個々に駆動させることで、捻り角を容易に変えること
ができる。
【0439】そして、羽軸部は駆動部を支点として仮想
の一平面上を往復運動し、胴体部は一方向に向かって延
び、胴体部が延びる方向と仮想の一平面とがなす仰角が
変えられることが望ましい。
【0440】この場合には、羽ばたき運動の自由度が増
えて、より複雑な羽ばたき運動を実現することができ
る。また、この仰角をより大きくし捻り角を制御するこ
とで、より高速な飛行を行なうことができる。さらに、
この仰角を実質的に0°にすることで、機動性に優れハ
チドリのようなホバリングを行なうことができる。
【0441】また具体的に、羽部は主軸部とその主軸部
から主軸部が延びる方向と略直交する方向に形成された
羽本体部とを有し、駆動部は主軸部を駆動させることに
より羽本体部に接する仮想の一平面と主軸部を含む仮想
の所定の基準面とのなす捻り角を変化させることが望ま
しい。
【0442】これにより、羽部が流体から浮ける流体力
の大きさや向きが変化して、浮上本体部を上昇、下降、
前進または後退させることができる。
【0443】このような主軸部にて羽部の姿勢を変える
ためには、駆動部は少なくとも3自由度を有するアクチ
ュエータを含んでいることが望ましい。
【0444】また、羽部は胴体部の略中心を挟んで一方
側と他方側とにそれぞれ形成され、駆動部は一方側に形
成された羽部と他方側に形成された羽部とを個々に駆動
させることが望ましい。
【0445】この場合には、一方側に形成された羽部と
他方側に形成された羽部の姿勢を個々に変化させること
ができて、容易に浮上本体部の向きを変えることができ
る。
【0446】さらに、周囲の状況を把握するためのセン
サ部、情報を記憶するためのメモリ部、あるいは、情報
を送受信するための通信部を備えていることが望まし
い。
【0447】センサ部を備えることで、浮上本体部の位
置や姿勢、速度、周囲の障害物の位置や移動速度、温度
や明るさなどの環境情報を入手し、より適切な羽ばたき
制御を行なうことができる。また、メモリ部を備えるこ
とで、得られた環境情報を蓄積することができて、浮上
本体部に学習機能をもたせることができる。さらに、通
信部を備えていることで、複数の浮上本体部とベースス
テーションとの間で情報のやり取りを行なうことがで
き、取得した情報を交換することで複数の浮上本体部間
で協調行動などを容易に行なうことができる。
【0448】なお、今回開示された実施の形態はすべて
の点で例示であって制限的なものではないと考えられる
べきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許
請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意
味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図
される。
【0449】
【発明の効果】本発明の群ロボットシステムによれば、
階層構造において通信を行なうため、それぞれのセンシ
ングロボット同士の間またはベースステーションとセン
シングロボットとの間の通信の距離を、ベースステーシ
ョンとセンシングロボットとが1対1で通信を行なう場
合に比較して短くすることができる。そのため、センシ
ングロボットそれぞれの通信機構の小型化または軽量化
を図りながら、ベースステーションが停止している状態
での探索範囲を広げることができる。
【0450】本発明のセンシングロボットによれば、階
層構造において通信を行なうため、それぞれのセンシン
グロボット同士の間またはベースステーションとセンシ
ングロボットとの間の通信の距離を、ベースステーショ
ンとセンシングロボットとが1対1で通信を行なう場合
に比較して短くすることができる。そのため、センシン
グロボットそれぞれの通信機構の小型化または軽量化を
図りながら、ベースステーションが停止している状態で
の探索範囲を広げることができる。
【0451】本発明のベースステーションによれば、ベ
ースステーションが群ロボットシステムの全てのセンシ
ングロボットそれぞれと通信できる機能を有しなくても
よいため、ベーステーションの通信機構の小型化を図り
ながら、ベースステーションが停止している状態での群
ロボットシステムの探索範囲を広げることができる。
【0452】本発明のフェロモンロボットによれば、複
数のセンシングロボットを、ベースステーションによる
制御が可能な範囲に位置するように、センシングロボッ
トの移動を制限する制御を行なうことにより、センシン
グロボットがベースステーションの指示が届かない位置
に移動してしまうことによって、センシングロボットの
制御が不能となるセンシングロボットが発生することを
抑制することにより、群ロボットシステムの探索範囲を
広げるにあったて、群ロボットシステムにおけるセンシ
ングロボットのコントロールをより確実に行なうことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の群ロボットシステムを示す図
である。
【図2】 本実施の形態の群ロボットシステムの通信体
系が階層構造となっていることを説明するための図であ
る。
【図3】 本実施の形態の群ロボットシステムの通信体
系がツリー構造となっていることを説明するための図で
ある。
【図4】 本実施の形態の群ロボットシステムの羽ばた
きセンシングロボットの制御信号のフローを示す図であ
る。
【図5】 本実施の形態の群ロボットシステムのスペク
トラム拡散通信における制御信号の遅延プロファイルを
示す図である。
【図6】 本実施の形態の群ロボットシステムのスペク
トラム拡散通信における拡散符号を示す図である。
【図7】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボット
とベースステーションとの通信の関係を示す概略の一例
を説明するための図である。
【図8】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボット
の構造を示す正面図である。
【図9】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボット
の羽根を示す拡大斜視図である。
【図10】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽根のストローク角θと偏角αを示す図である。
【図11】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽根のねじり角βを示す図である。
【図12】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたきに用いるアクチュエータのステータ部分を
解説するための図である。
【図13】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたきに用いるステータを用いて構成したアクチ
ュエータを解説するための図である。
【図14】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における打下ろし動作を示す図であ
る。
【図15】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における打上げ動作を示す図である。
【図16】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における第1の状態を示す図である。
【図17】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における第2の状態を示す図である。
【図18】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における第3の状態を示す図である。
【図19】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における第4の状態を示す図である。
【図20】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における羽根の駆動の時間依存を示す
第1のグラフである。
【図21】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽ばたき動作における羽根の駆動の時間依存を示す
第2のグラフである。
【図22】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの羽根を駆動する際のアクチュエータのトルクと始点
反力とのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図23】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トを制御するベースステーションの構成を示す概念図で
ある。
【図24】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トとベースステーションとの関連を示す説明図である。
【図25】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トのシステムにの動作の一例を示すフローチャートであ
る。
【図26】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの離陸過程における情報処理を表わす説明図である。
【図27】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの巡回過程における情報処理を表わす説明図である。
【図28】 本実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの着陸過程における情報処理を示す説明図である。
【図29】 別実施の形態に係る羽ばたきセンシングロ
ボットを示す図であり、(a)はその部分正面図であ
り、(b)はその部分側面図である。
【図30】 別実施の形態において、羽ばたき運動と羽
ばたき運動の位相との関係を示すグラフである。
【図31】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第1の状態を示す図
である。
【図32】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第2の状態を示す図
である。
【図33】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第3の状態を示す図
である。
【図34】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第4の状態を示す図
である。
【図35】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第5の状態を示す図
である。
【図36】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第6の状態を示す図
である。
【図37】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第7の状態を示す図
である。
【図38】 別実施の形態において、羽ばたきセンシン
グロボットにおける羽ばたき動作の第8の状態を示す図
である。
【図39】 別実施の形態において、一変形例に係る羽
ばたきセンシングロボットを示す正面模式図である。
【図40】 別実施の形態において、他の変形例に係る
羽ばたきセンシングロボットを示す正面模式図である。
【図41】 別実施の形態において、さらに他の変形例
に係る羽ばたきセンシングロボットを示す正面模式図で
ある。
【図42】 別実施の形態の羽ばたきセンシングロボッ
トの構造を示す平面模式図である。
【図43】 別実施の形態において、羽に作用する力お
よび各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変
化を示す第1のグラフである。
【図44】 別実施の形態において、羽に作用する力お
よび各角度のそれぞれの羽ばたき運動の位相に対する変
化を示す第2のグラフである。
【図45】 羽ばたき浮上制御の制御関数を説明するた
めの説明図である。
【図46】 左羽の羽ばたかせ方の変化と、それに伴っ
て起きる浮上状態の変化とを対応づけた対応表を示す図
である。
【図47】 羽ばたき浮上の基本動作を実現するための
羽ばたかせ方のパターンを示した対応表を示す図であ
る。
【図48】 従来の親子ロボットによる群ロボットシス
テムを示す図である。
【符号の説明】
90 羽ばたきセンシングロボット、100 群ロボッ
トシステム、101ベースステーション、102,10
3,104 羽ばたきセンシングロボット群、105
フェロモンロボット群。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 佳似 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 東 慎一郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 3C007 AS14 AS32 CS08 JS02 JS07 LV02 MT07 WA02 WA11 WA26 WB20 5H301 AA06 AA10 BB10 CC04 CC07 CC10 DD08 DD15 GG07 GG19 KK02 KK12 KK13 KK19 QQ04

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物の探索に用いられる複数のセンシ
    ングロボットと、 該複数のセンシングロボットを通信により制御するため
    のベースステーションとを備えた群ロボットシステムで
    あって、 該群ロボットシステムの通信体系が、前記ベースステー
    ションを最上層として、前記複数のセンシングロボット
    同士で複数層を構成する階層構造をなし、 該階層構造において、 前記ベースステーションからは、前記複数のセンシング
    ロボットそれぞれまで前記階層構造の下層側へ順に、前
    記複数のセンシングロボットそれぞれの動作の制御に関
    する情報が伝達され、 前記複数のセンシングロボットそれぞれからは、前記べ
    ースステーションまで前記階層構造の上層側へ順に、前
    記複数のセンシングロボットそれぞれの前記対象物の探
    索に関する情報が伝達される、群ロボットシステム。
  2. 【請求項2】 前記階層構造の上層から下層へ向かって
    は前記ベースステーションから前記複数のセンシングロ
    ボットそれぞれへの通信ルートが必ず1つとなるように
    設定された、請求項1に記載の群ロボットシステム。
  3. 【請求項3】 前記ベースステーションとの通信により
    前記複数のセンシングロボットのうち前記階層構造の最
    下層にある前記センシングロボットの移動を制限する制
    御を行なうフェロモンロボットをさらに備えた、請求項
    1または請求項2に記載の群ロボットシステム。
  4. 【請求項4】 前記ベースステーションから前記フェロ
    モンロボットを経て前記複数のセンシングロボットそれ
    ぞれへ情報を伝達することが可能である、請求項3に記
    載の群ロボットシステム。
  5. 【請求項5】 前記フェロモンロボットと前記ベースス
    テーションとの最大通信距離が、前記ベースステーショ
    ンと前記階層構造の最上層にあるセンシングロボットと
    の間の最大通信距離、前記フェロモンロボットと前記階
    層構造の最下層にあるセンシングロボットとの間の最大
    通信距離、および、前記複数のセンシングロボット同士
    の間の最大通信距離のいずれかよりも大きくなるように
    設定された、請求項3または請求項4に記載の群ロボッ
    トシステム。
  6. 【請求項6】 前記フェロモンロボットと前記ベースス
    テーションとの最大通信距離が、前記ベースステーショ
    ンと前記階層構造の最上層にあるセンシングロボットと
    の間の最大通信距離と、前記フェロモンロボットと前記
    階層構造の最下層にあるセンシングロボットとの間の最
    大通信距離と、前記複数のセンシングロボット同士の間
    の最大通信距離の和とを加えた距離よりも大きくなるよ
    うに設定された、請求項5に記載の群ロボットシステ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記対象物の探索にあたっては、前記ベ
    ースステーションに対する前記フェロモンロボットの位
    置関係を決定することにより、全体の探索範囲が決定さ
    れるように設定された、請求項3〜請求項6のいずれか
    に記載の群ロボットシステム。
  8. 【請求項8】 前記全体の探索範囲に基づいて、前記複
    数のセンシングロボットの個々の探索範囲が決定される
    ように設定された、請求項7に記載の群ロボットシステ
    ム。
  9. 【請求項9】 前記個々の探索範囲に基づいて、前記複
    数のセンシングロボット個々の対象物の探索能力および
    通信強度のうち少なくともいずれか一方が決定されるよ
    うに設定された、請求項8に記載の群ロボットシステ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記複数のセンシングロボットそれぞ
    れは、前記階層構造の1つ上層にある、前記センシング
    ロボットまたは前記ベースステーションからの通信強度
    が予め決められた基準レベルを下回った場合に、該通信
    強度が前記基準レベルを上回るような方向へ移動するよ
    うに設定された、請求項1〜請求項9のいずれかに記載
    の群ロボットシステム。
  11. 【請求項11】 前記階層構造の通信においては、互い
    に隣接する階層の前記複数のセンシングロボット同士の
    間の通信、または、最上層の前記センシングロボットと
    前記ベースステーションとの間の通信は、互いに同じ通
    信強度となるように設定されており、 前記複数のセンシングロボットそれぞれは、前記階層構
    造の1つ上層にある、前記センシングロボットまたは前
    記ベースステーションからの通信強度が予め決められた
    基準レベルを下回った場合に、該通信強度が前記基準レ
    ベルを上回るまで互いの通信強度を強くするように設定
    された、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の群ロ
    ボットシステム。
  12. 【請求項12】 前記階層構造における通信方式が、ス
    ペクトラム拡散通信方式である、請求項1〜請求項11
    のいずれかに記載の群ロボットシステム。
  13. 【請求項13】 前記スペクトラム拡散通信方式におい
    て、前記階層構造の1つ上層にある前記センシングロボ
    ットおよび1つ下層にある前記センシングロボットの識
    別を、拡散符号により行なうように設定された、請求項
    12に記載の群ロボットシステム。
  14. 【請求項14】 前記スペクトラム拡散通信方式におい
    て、前記階層構造の同階層での他の前記センシングロボ
    ットの識別を、拡散符号により行なうように設定され
    た、請求項12または請求項13に記載の群ロボットシ
    ステム。
  15. 【請求項15】 前記スペクトラム拡散通信方式には、
    同期確定のための通信層および拡散符号、1つ上層にあ
    る前記センシングロボットを識別するための通信層およ
    び拡散符号、ならびに、1つ下層にある前記センシング
    ロボットを識別するための通信層および拡散符号が用い
    られる、請求項12〜請求項14のいずれかに記載の群
    ロボットシステム。
  16. 【請求項16】 前記ベースステーションが移動する機
    能を備えた、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の
    群ロボットシステム。
  17. 【請求項17】 前記階層構造はツリー構造である、請
    求項1〜請求項16のいずれかに記載の群ロボットシス
    テム。
  18. 【請求項18】 ベースステーションにより制御されて
    対象物の探索を行なうセンシングロボットであって、 通信体系が、前記ベースステーションを最上層として、
    複数の前記センシングロボット同士で複数層を構成する
    階層構造をなすように設定された群ロボットシステムに
    おいて用いられ、 前記階層構造の上層側へ自己より下側の階層のセンシン
    グロボットの前記対象物の探索に関する情報を伝達する
    機能と、前記階層構造の1つ下層側へ自己より下側の階
    層のセンシングロボットの動作に関する情報を伝達する
    機能とを備えた、センシングロボット。
  19. 【請求項19】 複数のセンシングロボットに対象物を
    探索させる制御を行なうベースステーションであって、 通信体系が、前記ベースステーションを最上層として、
    前記複数のセンシングロボット同士で複数層を構成する
    階層構造をなすように設定された群ロボットシステムに
    おいて用いられ、 前記階層構造において、 前記ベースステーションから前記複数のセンシングロボ
    ットそれぞれまで前記階層構造の下層側へ順に、前記複
    数のセンシングロボットそれぞれの動作の制御に関する
    情報を伝達でき、 前記複数のセンシングロボットそれぞれから前記ベース
    ステーションまで前記階層構造の上層側へ順に、前記複
    数のセンシングロボットそれぞれの前記対象物の探索に
    関する情報が伝達される、ベースステーション。
  20. 【請求項20】 対象物の探索に用いられる複数のセン
    シングロボットと、通信により該複数のセンシングロボ
    ットを制御するためのベースステーションとを備え、 前記ベースステーションとの通信により、前記複数のセ
    ンシングロボットを、前記ベースステーションによる制
    御が可能な範囲に位置するように、前記センシングロボ
    ットの移動を制限する制御を行なう、フェロモンロボッ
    ト。
  21. 【請求項21】 前記ベースステーションとの通信によ
    り前記複数のセンシングロボットのうち前記ベースステ
    ーションからの距離が最も遠い位置にある前記センシン
    グロボットの移動を制限する制御を行なう、請求項20
    に記載のフェロモンロボット。
  22. 【請求項22】 通信体系が、前記ベースステーション
    を最上層として、前記複数のセンシングロボット同士で
    複数層を構成する階層構造をなすように設定された群ロ
    ボットシステムにおいて用いられ、 前記ベースステーションとの通信により前記複数のセン
    シングロボットのうち前記階層構造の最下層にある前記
    センシングロボットの移動を制限する制御を行なう、請
    求項20に記載のフェロモンロボット。
  23. 【請求項23】 前記該ベースステーションに対して指
    向性を有する通信機構を備えた、請求項20〜請求項2
    2のいずれかに記載のフェロモンロボット。
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