JP2003161725A - クロマトグラム解析方法 - Google Patents

クロマトグラム解析方法

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JP2003161725A JP2002297130A JP2002297130A JP2003161725A JP 2003161725 A JP2003161725 A JP 2003161725A JP 2002297130 A JP2002297130 A JP 2002297130A JP 2002297130 A JP2002297130 A JP 2002297130A JP 2003161725 A JP2003161725 A JP 2003161725A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロマトグラムの波形歪を補正し、重なりの
ピ−ク波形をシャ−プにすることにより分離・独立さ
せ、ピ−ク面積をより正確に求め、定量分析の精度がよ
いクロマトグラム解析方法を提供することができる。 【構成】 非保持ピ−ク61を同定する工程32と、非
保持ピ−ク61の面積を1に規格化する工程33と、オ
ペレ−タが正確に定量したい重なりピ−クのある時間の
始点と終点を設定する工程34と、規格化関数を用い
て、設定された区間内でディコンボリュ−ション処理を
行う工程35と、処理前後のクロマトグラムを表示する
工程36と、シャ−プになったピ−ク波形を積分し、定
量計算をする工程37とから構成することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体クロマトグラフ
ィ、ガスクロマトグラフィ等のクロマトグラフィ技術に
係り、特にクロマトグラム解析方法(以下、解析方法と
いう)およびそれに使用されるクロマトグラフ装置、前
記解析方法およびクロマトグラフ装置に用いられるデ−
タ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術の説明に先立ち、技術用語の
定義をする。本出願においては、コンボリューションと
は、二つの関数x(t)、y(t)に対するたたみ込み
積分として定義され、一般に計測機器からの出力波形
は、入力波形と装置関数(電気回路ではインパルス応
答、分光器ではスリット関数)とのコンボリューション
となる。ディコンボリューションとは、コンボリューシ
ョンの逆演算として定義される。具体的にはコンボリュ
ーションであらわされている積分方程式を解くことに相
当する。リコンボリューションとは、装置関数、すなわ
ち拡がりを表わす関数h(t)を用いてディコンボリュ
ーションした波形に対し、ふたたびその関数h(t)を
用いてコンボリューションすることをいう。
【0003】さて、従来から一般に計測機器からの出力
波形デ−タは、その計測機器の動特性、すなわち装置関
数の影響によって歪をうける。クロマトグラフ装置にお
いても同様であり、装置関数、すなわち拡がりを表わす
関数h(t)によりクロマトグラム上に歪を生じたり、
クロマトグラム上にピ−クの重なりが生じる。このよう
な場合、それぞれクロマトグラムのピ−ク面積を正確に
求めることが困難であった。
【0004】従来、上記歪をうけた場合は、ディコンボ
リュ−ション処理により、上記ピ−クの重なりに対して
は、通常曲線適合法を基本とした合成分離法を用い、デ
−タ処理的に分解し、定量することが提案されている。
これに関する一般的な解決手法については、南茂夫編著
「科学計測のための波形デ−タ処理」、CQ出版株式会
社刊、(1986)の記載技術がある。また、多くの改
善技術が、例えば特開昭62−17465号公報記載の
技術、特開昭63−151851号公報記載の技術等が
提案されている。
【0005】前記特開昭62−17465号公報記載の
技術は、立上り側の半値幅が、立上り地点から終了点ま
での距離の所定倍になるガウシアンにて近似するもので
あるが、クロマトグラムが重なりピ−ク波形の場合、必
ずしもこのような近似で置換しうる場合は少ない。この
技術は、記憶容量を減らすことには有効であるけれど
も、ピーク波形が重なった場合、ピーク面積を正確に求
めることについては、必ずしも有効ではないという欠点
があった。
【0006】前記特開昭63−151851号公報記載
の技術においては、従来、重なりピークの分割をいわゆ
る垂直分割、スキミング分割処理をしていたものを二つ
のガウシアンに分割して近似し、最小二乗法と呼ばれる
手法にてディコンボリュ−ション処理を行っているが、
物理的に意味のある解が得られないという欠点があっ
た。
【0007】また、米国特許4807148号、米国特
許4941101号明細書等記載の技術においては、デ
ィコンボリュ−ション処理において数値解析の手法が用
いられ、Janssonの方法、ヤコビ法、ガウス−ザ
イデル法等があり、演算時間、記憶語数の点で有利とな
っていたが、解の不連続点の拡大等に欠点があった。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−17465号公報
【特許文献2】特開昭63−151851号公報
【特許文献3】米国特許4807148号明細書
【特許文献4】米国特許4941101号明細書
【非特許文献1】南茂夫編著「科学計測のための波形デ
−タ処理」、CQ出版株式会社刊、(1986)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の種々のディ
コンボリュ−ション処理は、クロマトグラムが歪をうけ
た場合のディコンボリュ−ション処理、クロマトグラム
の重なりピ−ク波形を生じた場合に対する合成分離につ
いては、それぞれ個々に解決法を提供するが、歪をうけ
ることによる重なりピ−ク波形を生じた場合には、歪を
うけたことを考慮し、重なり波形を分離するところまで
は詳しく検討され、対処されていなかった。
【0010】また、上記従来におけるクロマトグラムピ
−ク波形の重なりに対する合成分離法は、次のような問
題がある。 1.ガウシアン等の非線形関数を仮定した場合、その関
数を選択する妥当性が疑問である。 2.UVスペクトル等のマルチチャンネル情報を導入す
る場合、フォトダイオ−ドアレイ検出器等の高価な検出
器が必要となる。 3.ピ−ク分解においては最小自乗法を用いるため、解
が得られるまでに長い計算時間を要し、また物理的に意
味のある解が得られない場合もある。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、クロマトグラムの波形の歪を
補正し、重なりのピ−ク波形をシャ−プにすることによ
り分離を向上させ、ピ−ク面積をより正確に求め、定量
分析の精度が改良されたクロマトグラム解析方法を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、クロマトグラム解析方法に係る本発明の構成は、分
離カラムを通過した分析対象試料を検出器によって検出
し、検出によって得られたクロマトグラムの解析を行う
クロマトグラム解析方法において、前記分析対象試料を
前記分離カラムへ導入と別に、前記分離カラムによって
保持されない標準試料を前記分離カラムへ導入するステ
ップと、前記クロマトグラム上から、前記標準試料のピ
ークを同定するステップと、前記クロマトグラムから前
記分析対象試料の任意のピークのある時間の始点と終点
を設定するステップと、前記設定された時間区間内のデ
ータを、前記同定された標準試料のピーク波形を用いて
ディコンボリューション処理を行うステップと、を有す
ることを特徴とする。前記に記載のクロマトグラム解析
方法において、前記ディコンボリューション処理を行っ
た後のピークが複数のピークで、且つ重なりあった状態
のままであった場合に、当該重なりピークに対して、垂
直分割、あるいは非線形関数を用いた面積分割を行うこ
とを特徴とする。
【0013】上記目的を達成するために、クロマトグラ
ム解析方法に係る本発明の他の構成は、分離カラムを通
過した分析対象試料を検出器によって検出し、検出によ
って得られたクロマトグラム内のピークを標準偏差σを
係数として有するガウシアン関数を用いて表し解析を行
うクロマトグラム解析方法において、前記ガウシアン関
数の標準偏差σに任意の値を設定するステップと、前記
クロマトグラムに対してディコンボリューション処理を
行うステップと、当該ディコンボリューション処理後の
クロマトグラムについて、クロマトグラムが発散してい
ないか、負の下限値を下回っていないか、不分離ピーク
がピーク間の谷を形成しているか、のいずれかの基準を
満たしているかどうかの判定を行うステップと、当該判
定で不合格の場合、前記ガウシアン関数の標準偏差値を
調整し、再度ディコンボリューション処理を行うステッ
プと、を有することを特徴とする。前記に記載のクロマ
トグラム解析方法において、前記ディコンボリューショ
ン処理に使用した拡がり関数を用いて、前記ディコンボ
リューション処理によって分離されたピークに対してリ
コンボリューション処理後の波形を前記ディコンボリュ
ーション処理前のピーク波形と重ねて表示することを特
徴とする。
【0014】より詳しく説明すると、クロマトグラムの
ピ−クは、種々の原因により拡がっている。例えば配管
や検出器のフロ−セル等の流路を試料が流れることによ
り、試料ゾ−ンが拡がる。これはカラム外の拡がりと呼
ばれている。このカラム外の拡がりに代表される拡がり
による寄与は、オリジナルのピ−ク波形にコンボリュ−
ション演算され、検出波形に現われる。つまり、拡がり
関数が既知であれば、検出波形をディコンボリュ−ショ
ン演算することによりオリジナルのピ−ク波形を計算す
ることができる。
【0015】拡がり関数h(t)を決定する手法はいろ
いろなものが考えられる。手法を大きく2つに分類する
と、実験的に検出デ−タから求める方法と波形を特徴づ
けるいくつかのパラメ−タを持つ解析数学的なh(t)
を仮定する方法とがある。前者はh(t)が既知の方
法、後者はh(t)が未知の方法と考えることができ
る。
【0016】前記h(t)を測定から求める方法とし
て、例えばカラム外の拡がりを得るために、カラムをジ
ョイントと交換し、試料を注入し、検出器で測定された
波形をh(t)とみなす方法がある。試料内の成分の種
類に依存しないようなカラム内の拡がりも付加するな
ら、保持しない試料を注入し、そのピ−ク波形をh
(t)とみなすことができる。
【0017】保持しないピ−クを得る方法には、他に溶
離液に溶出能力の極めて強い溶媒を使用すること、カラ
ム充填剤に官能基を修飾しないものを作成し保持しない
ようにする等が考えられる。また、標準試料の中に保持
しない成分を添加し、非保持ピ−クを標準試料のクロマ
トグラムから得る方法も有効である。
【0018】h(t)が未知の場合、次のような点を前
提条件し、ピ−ク幅の一部分に相当する拡がり関数h
(t)をディコンボリュ−ション処理し、よりシャ−プ
なピ−クを持つ処理クロマトグラムからピ−ク面積をも
とに正確に定量することができる。
【0019】その前提条件とは、検出されるピ−ク波形
はオリジナルにはデルタ関数的あるいは非常にシャ−プ
な長方形的な濃度分布関数に対して、拡がり関数をコン
ボリュ−ション演算したものであると考えられる。ここ
で拡がり関数は、ほぼガウシアンであり、それが若干テ
−リング的あるいはリ−ディング的に修正された波形を
している。つまり、拡がり関数自体もガウシアンに対し
てテ−リングかリ−ディングの修正関数がコンボリュ−
ト演算されていると考えられる。
【0020】また、ガウシアンには2つのガウシアンを
コンボリュ−ション演算すると、それもまたガウシアン
であるという加成性がある。以上により拡がり関数の一
部分を構成しているガウシアンをディコンボリュ−ショ
ン演算することにより、よりシャ−プなオリジナルな波
形に近づいたピ−クを計算することができることにな
る。
【0021】
【作用】上記各技術的手段の働きは次のとおりである。
本発明の構成によれば、検出クロマトグラムから既知の
h(t)またはガウシアンを合理的に選択し、ディコン
ボリュ−ション演算することにより、検出クロマトグラ
ムの重なりピ−クよりシャ−プなピ−クを持つクロマト
グラムに分離・独立させ、分離・独立した各ピ−クを積
分した時、正確にピ−ク面積が求められ、正確な定量を
することができる。上記ディコンボリュ−ション演算
は、例えば非線形関数の最小自乗法と異なり、短い計算
時間により物理的に意味のある解を必ず得ることができ
る。
【0022】また、上記ディコンボリュ−ション演算
は、重なりピ−クが分離・独立されたときに、そのクロ
マトグラムを観察し、その演算の妥当性を判断している
が、熟練が必要となる。そこで、ディコンボリュ−ショ
ン演算に用いた拡がり関数h(t)を用い、独立した各
ピークにリコンボリュ−ション演算を施し、最初の重な
りピ−クを構成している各ピークを再現することができ
る。このリコンボリュ−ション演算後の各ピークと最初
の重なりピ−クとを重ね描きすることにより上記ディコ
ンボリュ−ション演算の妥当性を正確に判断することが
できる。
【0023】また、本発明の構成によれば、例えばフォ
トダイオ−ドアレイ検出器等の高価な検出器を省略し、
簡単な構成によりクロマトグラム解析方法を実施するこ
とができる。
【0024】
【実施例】〔実施例 1〕以下、本発明に基づく一実施
例を図1ないし図11を参照して説明する。図1は、本
発明における一実施例に係るクロマトグラム解析方法
(以下、解析方法という)に用いるマイクロボアHPL
Cシステムの構成を示すブロック図、図2は、図1の解
析方法におけるクロマトグラムを示す線図、図3は、図
1の解析方法におけるクロマトグラムの拡がりメカニズ
ムの略示説明図、図4は、図1の解析方法におけるディ
コンボリュ−ション演算説明図、図5は、図1の解析方
法に係る処理工程のフロ−チヤ−ト、図6は、図1の解
析方法におけるクロマトグラムの重ね描きプロット図で
ある。
【0025】また、図7は、図1の解析方法によるアミ
ノ酸分析のクロマトグラムを示す線図、図8は、図1の
解析方法によるグリコヘモグロビン分析のクロマトグラ
ムを示す線図、図9は、図1の解析方法において拡がり
関数が未知の場合の処理フロ−チャ−ト、図10は、図
1の解析方法におけるカテコ−ルアミン分析のクロマト
グラムを示す線図、図11は、図1の解析方法における
リコンボリュ−ション演算による重ね描き説明図であ
る。
【0026】本発明に係るクロマトグラム解析方法を実
施するため、マイクロボアHPLCシステムを使用す
る。図1は、マイクロボアHPLCシステムの全体構成
を示している。図1において、40はポンプ、41はカ
ラム、42は検出器、43はサンプラ、44は制御部、
45はデ−タ解析部、46はCRT表示部、47はプリ
ンタ、49は溶離液、51は未知試料、52は標準試
料、54は入力部である。
【0027】本システムを構成する各部は、デ−タ解析
部45(〔実施例 2〕において後述)を除き、通常の
クロマトグラム解析方法を用いられるものである。した
がって、詳細な説明は煩瑣となるので省略し、簡単に説
明する。
【0028】前記マイクロボアHPLCシステムでは、
カラム外の拡がりが分離に大きく影響し、無視できな
い。制御部44の命令によりポンプ40は溶離液49を
送液する。可動ニ−ドル弁を有するサンプラ43は、未
知試料51あるいは標準試料52をカラム41への流路
に注入する。試料は、溶離液49とともにカラム41に
送りこまれ、含有成分が分離展開され、検出器42で検
出される。
【0029】前記検出されたクロマトグラムは、デ−タ
解析部45に記憶される。図2は、検出されたクロマト
グラムである。前記標準試料52には非保持成分を添加
しているため、非保持ピ−ク61としてそれが検出され
る。次に溶出されるピ−ク62は標準試料の一成分であ
り、ピ−ク61と異なりカラム内に保持され、ピ−ク幅
も若干広くなっている。
【0030】図3を参照し、ピ−ク波形が形成されるメ
カニズムについて説明する。図3は、図1の一実施例に
係る解析方法におけるクロマトグラムの拡がりのメカニ
ズムの説明図である。図3において、図中、図1の符号
と同一符号は同等部分であるので詳細な説明は省略す
る。上段(a)図は、試料流路を示すブロック図であ
り、下段(b)図は、上段(a)図の試料流路における
試料の濃度を示している。
【0031】単一成分を含む試料は、サンプラ43によ
り流路内に注入される。この時の流路内での試料濃度C
の空間分布図は、流れの方向をxとすれば、長方形状の
分布線図71である。この長方形状の分布線図71がカ
ラム41を通過すると拡大する。前記カラム41を通過
した段階は、分布線図72のようなガウシアンの形状で
ある。
【0032】さらに、検出器42において、前記ガウシ
アンの濃度分布を検出する時には流路配管や検出器のフ
ロ−セル等により濃度分布が拡げられ、分布線図73の
ように分布前図72よりも広い分布形状になっている。
【0033】これを数式で記述すると、(2)式のよう
なモデルで表現できる。
【数2】 上式において、時刻tにおける検出波形をy(t),サ
ンプル注入時のオリジナルな長方形波形をr(t),拡
がり関数をh(t)とする。上式においては、検出波形
y(t)は、オリジナルな長方形波形r(t)と、拡が
り関数h(t)とのコンボリュ−ションであることを示
している。
【0034】ピ−クの形状の拡がりについては、上記説
明でよいが、リテンションタイムについても考慮する
と、もう一つDiracのデルタ関数がコンボリュ−シ
ョン演算されていると考えられる。これを(3)式に示
す。
【数3】
【0035】上式において、EMG(t)は、Expo
nentially Modified Gaussi
nであり、σ、τ、tRは、EMG(t)のパラメー
タ、δ(t)はデルタ関数、m(t)は修正関数である。
拡がりのメカニズムについては、“DYNAMICS
OF CHROMATOGRAPY”,J.C.Gid
dings著,Marcel Dekker刊,New
York,1965に詳しく説明されているのでそれ
に譲る。
【0036】拡がり関数h(t)は、カラム内での拡が
りとカラム外での拡がりの両方からの影響により形成さ
れる。つまりカラム内での拡がり関数とカラム外での拡
がり関数のコンボリュ−ションである。
【0037】図2における非保持ピ−ク61に着目し、
図3を参照し説明すると、注入時は長方形波形71だっ
たものが、カラム41を通過し、ガウシアン波形72に
拡げられ、カラム外の拡がりの影響を受け、波形73と
なり、ピ−ク61として検出されていることになる。
【0038】一方、保持ピ−ク62も同様なメカニズム
で拡げられ、ピ−クが形成されているのであるが、前記
カラム41内に保持されているために、若干広めのピ−
ク幅に拡げられている。すなわち、ピ−ク62に影響す
る拡がり関数は、ピ−ク61と共通の拡がり関数とそれ
以外の余剰の拡がり関数とのコンボリュ−ションになっ
ている。
【0039】この場合、ピ−ク62の拡がり関数からピ
−ク61の拡がり関数の影響を取り除き、余剰の拡がり
関数だけを得ることができる。この処理をディコンボリ
ュ−ション処理と呼ぶ。
【0040】前記ディコンボリュ−ション演算は、図2
に示すピ−ク64とピ−ク65とのような重なりピ−ク
に対して効果がある。図4を参照して説明する。図4
は、図2に示す重なりピ−クに対しディコンボリュ−シ
ョン演算を説明している。
【0041】前記ピ−ク64波形と前記ピ−ク65波形
とに対して前記ピ−ク61波形の拡がり関数をディコン
ボリュ−ション演算すると、図4に示すような分離され
た余剰分のピ−クが得られ、より正確にそれぞれのピ−
クの面積が計算できる。実際は、ピ−ク波形61を面積
1に規格化した規格化関数をディコンボリュ−ション演
算に利用する。規格化はピ−ク面積を保存するために行
われる。
【0042】厳密に言えば、この規格化関数は、(式)
2の注入時の長方形関数r(t)とピ−ク波形61に影
響する拡がり関数h(t)の規格化されたコンボリュ−
ションである。実際には、ピ−ク波形61以外のピ−ク
にも長方形関数の影響があるため、ピ−ク61波形の規
格化関数でディコンボリュ−ション演算しても問題には
ならないわけである。
【0043】以上の図4のディコンボリュ−ション手順
を図1のマイクロボアHPLCシステムのブロック図
と、図5に示す検出波形処理のフロ−チャ−トとを参照
して説明する。まず、非保持成分を添加した標準試料5
2が注入され、工程31にて波形処理が開始される。
【0044】次に、工程32で非保持ピ−ク61を同定
する。これはクロマトグラムの最初の時刻に現われるあ
る大きさ以上のピ−クとして自動的に同定するか、また
はオペレ−タが入力部54から時刻指定を行うか、CR
T46に表示しているクロマトグラムからマウスを使用
し、ピ−ク61をピックアップすることで指定すること
ができる。
【0045】工程33において、非保持ピ−ク61の面
積を1に規格化する。この時、CRT46に規格化関数
を表示することもできる。工程34において、オペレ−
タが正確に定量したい重なりピ−クのある時間の始点と
終点を設定する。前記CRT46には、図4の左図のよ
うに、この部分だけを拡大したクロマトグラムを表示す
ることもできる。ここでオペレ−タはクロマトグラムの
全ての時間を設定することも可能である。
【0046】工程35において規格化関数を用いて、設
定された時間区間内でディコンボリュ−ション処理を行
う。工程36において処理前後のクロマトグラムをCR
T46に図4の右側と左側とのように表示する。また、
図6に示す如く、プリンタ47に重ね描きしたクロマト
グラムをプロットすることもできる。
【0047】工程37において、シャ−プになった図4
の右側のピ−クを対象に積分を実行し、定量計算を行
う。この処理後のクロマトグラムでもまだピ−クが重な
っている場合には、従来通りの垂直分割等で面積計算す
る。ここでガウシアン、EMG等の非線形関数で最小自
乗法により面積分割することもできる。ここでCRT4
6かプリンタ47に定量値を出力する。工程38におい
て処理を終了する。
【0048】ディコンボリュ−ション処理をする拡がり
関数を標準試料52中の非保持成分のピ−ク波形の規格
化関数で代用したが、この方法の他にも拡がり関数を得
ることができる。標準試料に添加する代わりに、予め拡
がり関数を求めるために非保持成分だけ注入し、ピ−ク
波形を得ることができる。
【0049】また、逆相クロマトグラフィ−ならメタノ
−ル,アセトニトリル,THF,クロロホルム等有機溶
媒100%の溶離液を流し、保持の弱い成分を注入し、
非保持ピ−クを得ることができる。イオン交換クロマト
グラフィ−では、例えばアミノ酸分析計の場合、pHの
高い再生液を流し、保持の弱いホスホセリン等を注入
し、そのピ−ク波形を得ることができる。
【0050】また、カラム充填剤を操作し、非保持ピ−
クを得ることもできる。イオン交換クロマトグラフィ−
なら、イオン交換基の修飾しない坦体だけの充填剤を作
成し、非保持ピ−クを得ることもできる。
【0051】ポストカラム反応LCの実施例としてアミ
ノ酸分析計をあげる。このシステムもカラム外の拡がり
を無視できない。カラム外の拡がりは、カラムをジョイ
ントに交換し、非保持ピ−クの波形を拡がり関数として
見積ることができる。
【0052】図7に示す如く検出されたクロマトグラム
においては、スレオニン(Thr)とセリン(Ser)
の重なり部分が14%であるのに対し、ディコンボリュ
−ション処理されたクロマトグラムでは4%と1/3以
下に向上した。この処理クロマトグラムは、ポストカラ
ム反応LCにおいて、カラムの直後で検出できたとした
場合のクロマトグラムに相当している。
【0053】拡がり関数の共通部分の除去例として、
3.3分間処理のグリコヘモグロビン分析計をあげる。
拡がり関数を図8の左側に示すHbFのピ−ク波形から
見積ることができる。これはHbA1cのピ−ク幅が、
リテンションタイムの順序を考慮し、HbFの幅よりも
若干広いと考えられるためである。
【0054】図8の左側の検出クロマトグラムより孤立
したピ−クであるHbFの波形を規格化し、拡がり関数
を得る。その規格化関数を用いて、不安定型と安定型と
のHbA1cの重なりピ−クをディコンボリュ−ション
処理すれば、図8の右側に示すような分離の向上したク
ロマトグラムが求められるわけである。
【0055】ディコンボリュ−ション処理は、この場合
処理クロマトグラムを直接表示する必要はないが、定量
精度を向上するためには、一般的なHPLCであるグリ
コヘモグロビン分析計においても非常に有効な手法であ
る。
【0056】次にディコンボリュ−ション演算を正しく
行うために演算前に利用すべき処理について説明する。
図2に示されているノイズ67やドリフト68がディコ
ンボリュ−ション演算を妨害する。これらをそのままデ
ィコンボリュ−ション処理すると、擬似的なピ−クとし
て増幅されたり、ディコンボリュ−ション処理されるべ
きピ−クが正しく処理されないといった弊害が起こる。
【0057】まず、ノイズ除去処理としては一般的に検
出クロマトグラムのデ−タ点をいくつか足し算して低減
する方法が採られる。この他に平滑化の方法や公知の高
周波成分を除去する方法も利用できる。
【0058】ドリフト除去処理としては一般的にピ−ク
間の谷から谷を直線で結だり、強制的に水平に直線を描
き、検出クロマトグラムからベ−スラインを引き算する
方法が採られる。この他に公知の低周波成分を除去する
方法,微積分を利用し低次の多項式成分を除去する方
法、微分の特徴点からベ−スラインを探索する方法,ニ
ュ−ラルネットワ−クを利用する方法等がある。
【0059】ここまでは拡がり関数を測定デ−タより求
めてきたが、拡がり関数が未知である場合でも、ガウシ
アンをディコンボリュ−ト演算することができる。前述
したように検出クロマトグラムのピ−ク波形は、(2)
式で示されるように、拡がり関数h(t)と長方形波形
のr(t)とのコンボリュ−ションで表わせる。
【0060】この拡がり関数h(t)は、前述の“DY
NAMICS OF CHROMATOGRAPY”
J.C.Giddings著により、カラム内の拡がり
がどのような物理学的,化学的相互作用に起因していて
も、カラム外の拡がりが無視できないくらい大きくと
も、ガウシアン様の形状をしている。
【0061】h(t)がリ−ディンク的かまたはテ−リ
ング的にガウシアンから多少歪んでいたとしても、下記
の(4)式のようにガウシアンG(t)と修正関数m
(t)とのコンボリュ−ションとして記述できる。
【数4】
【0062】上式において、ガウシアンをG(t)、修
正関数をm(t)、σは標準偏差である。例として、h
(t)がEMG(t)により表わせるテ−リングピ−ク
であるなら、前述の(3)式のように解析数学的に修正
関数が求められる。
【0063】また、重なりピ−クは、(5)式のように
表わせる。
【数5】 ここで、σ1、σ2はそれぞれ標準偏差である。
【0064】ガウシアンは、上記の如く、加成性がある
ため、2つのガウシアンのコンボリュ−ションに分解で
きるため、下記(6)式のような関係を持っている。
【数6】
【0065】つまり、(5)式で表わされている2つの
ピ−ク波形はガウシアンを用いて、ディコンボリュ−シ
ョン演算ができる。この時そのガウシアンは、2つのピ
−クの持つ標準偏差σ1とσ2よりも小さな標準偏差σ0
を持つ幅の狭い波形でなければならない。
【0066】こうして、検出された重なりピ−クよりも
幅の狭いピ−クを得ることができる。最終的には、y
(t)をガウシアンG(t,σ0)によりディコンボリ
ュ−ション演算すると、クロマトグラムは、幅のより狭
いガウシアンともとのまま修正関数とのコンボリュ−シ
ョンにより表わすことができるわけである。
【0067】
【数7】 上式の〔 〕内のように、σ1,σ2よりピーク幅の狭
いピークが得られる。より詳しくいえば、注入時の長方
形波形はこの修正関数によりコンボリュ−ション演算さ
れている。
【0068】この拡がり関数h(t)が未知の場合の処
理を図9を参照して説明する。工程71で処理を開始す
る。工程72で検出クロマトグラムからノイズ・ドリフ
トを除去し、ディコンボリュ−ション処理の準備をす
る。工程73でディコンボリュ−ション処理を手動で行
なうか、自動で行なうのかを入力する。
【0069】自動の場合、工程81で、検出クロマトグ
ラムのピ−ク幅を全体的に見て、最小の幅よりもやや小
さな標準偏差を持つガウシアンを拡がり関数として設定
する。これは面積1に規格化されている。ここで、リテ
ンションタイムの短いピ−クと長いピ−クでピ−ク幅が
2倍以上異なる場合は、時間を分割してディコンボリュ
−ション演算することもできる。
【0070】ここで自動的にピ−ク幅を見つけ出すため
にフ−リエ変換を利用することもできる。工程76でデ
ィコンボリュ−ション処理を実行する。工程77で処理
クロマトグラムが発散していないか、負の下限値を下回
っていないか判定する。また不分離ピ−クがピ−ク間の
谷を形成しているか等を判定する。
【0071】ここで判定が合格となれば、工程79へ進
む。判定が不合格の場合、もう一度工程81へ戻り、判
定を参照し標準偏差を加減し、ディコンボリュ−ション
処理を行なう。判定合格の場合、工程79で処理クロマ
トグラムの表示,定量結果の表示等を行なう。工程80
で終了する。
【0072】手動の場合、工程74で入力操作を行う。
一般的にはディコンボリュ−ション処理するガウシアン
の標準偏差を入力する。他に処理区間の始・終点の入力
もできる。また特定の重なりピ−クの分離を向上するた
めに、ガウシアンの最適な標準偏差を探索することもで
きる。
【0073】この場合、標準偏差の初期値,推定される
ピ−クの個数,大きさ,幅,保持時間等を参考値として
入力することもできる。また制限値として、ピ−ク個数
は3個までとか、重なりピ−クの幅が0.2分以上0.
4分以下のように入力することもできる。
【0074】工程75で工程74にて入力された情報を
演算し、ディコンボリュ−ション処理の設定値を求め、
判定の基準値を算出する。工程76でディコンボリュ−
ション処理を実行する。工程77で判定を行う。不合格
の場合、その理由を工程78で表示し、工程74で再入
力を促す。合格の場合、工程79で処理クロマトグラム
と定量結果を表示する。工程80で終了する。
【0075】カテコ−ルアミン分析計により得られた生
の10分間のクロマトグラムを図10の上段(a)に示
す。これは、血漿や尿のような生体試料の分析例であ
る。生体試料を分析すると数多くのピ−クがしばしば現
われる。これを適切なガウシアンでディコンボリュ−シ
ョン処理すると、中段(b)のようなクロマトグラムが
得られる。各ピ−クがベ−スラインまで完全に分離して
いる。
【0076】しかし、これをそのまま表示しても、処理
クロマトグラムの意味するところは理解困難である。む
しろ、これを下段の(c)に示した公知の表示法にして
も差し支えない。また、定量値のみを出力するだけで、
ディコンボリュ−ション処理をオペレ−タ−に意識させ
ないのがよいと考えられる。
【0077】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、種
々の変形例が考えられる。本発明に係るクロマトグラム
解析方法の他の一方法を説明する。図11は、本発明に
係る解析方法におけるディコンボリュ−ション、リィコ
ンボリュ−ションによる重ね描きの説明したものであ
る。
【0078】図11(1)は、検出されたオリジナルの
波形である。このオリジナルの波形にディコンボリュ−
ション処理し、各波形ピークを分離・独立させる。この
状態を図11(2)に示す。分離・独立させた波形ピー
クをそれぞれディコンボリュ−ションしたときと同じ拡
がり関数h(t)によりリコンボリュ−ションする。リ
コンボリュ−ション演算された波形を検出されたオリジ
ナルの波形に重ね描きをする。図11(3)は、この状
態を示したものである。
【0079】〔実施例 2〕本発明に係るクロマトグラ
フ解析装置の他の一実施例を説明する。図12は本発明
に係る他の一実施例であるクロマトグラフ解析装置の構
成を示すブロック図である。本発明に係るクロマトグラ
フ解析装置の全体構成については、〔実施例 1〕にお
いて、図1のマイクロボアHPLCシステムについて説
明したので、煩瑣となるので再度の説明を省略し、デー
タ解析部45のみを説明する。
【0080】前記データ解析部45は、ノイズ・ドリフ
ト除去機構と、拡がり関数解析機構と、ディコンボリュ
ーション演算機構と、定量計算機構と、判定機構とから
構成されている。図中、図示されてないが、A/D変換
器、記憶装置、インタフェース部等も備えていることは
いうまでもない。前記構成の内、ノイズ・ドリフト除去
機構、定量計算機構、判定機構は、公知の技術であるが
順序としてあわせて説明をする。なお、前記各機構部
は、バスによって接続されている。
【0081】前記ノイズ・ドリフト除去機構は、平滑化
機構と、ベースライン算出機構と、高速フーリエ変換機
構と、ニューラル・ネットワーク機構と、微分・積分機
構と、ファジイ推論機構とを備えており、前記平滑化機
構は、検出器43からのクロマトグラムの測定データ群
を移動平均法、Savitzky−Golay法、Ka
wata−Minami法、周波数領域法のいずれかに
より滑らかな曲線にフイットし、前記ベースライン算出
機構は、適切なアルゴリズムによりベースラインを決定
する。
【0082】前記高速フーリエ変換機構は、高周波成分
であるノイズおよび低周波成分であるベースライン変動
をそれぞれ周波数分布に基づき除去する。また、前記ニ
ューラル・ネットワーク機構は、ドリフト形状を予め学
習しておき、測定データから所定の結合定数に従い、ド
リフトを除去する。
【0083】前記微分・積分機構は、微分・積分により
低次の多項式で表現されるベースライン成分を除去す
る。この整理された測定データ点群をファジイ推論機構
が所定の結合定数に従い平滑化する。このようにして検
出器43からのクロマトグラムのノイズおよびドリフト
は除去される。
【0084】前記拡がり関数解析機構は、Gaussi
an発生機構と、面積1規格化機構と、検出ピーク波形
設定機構とを備え、解析数学的拡がり関数の場合は、前
記Gaussian発生機構によりGaussianを
発生する。実測的拡がり関数の場合は、前記面積1規格
化機構により実測されたピーク波形を規格化し、前記検
出ピーク波形設定機構により前記規格化された実測波形
を拡がり関数としている。このようにして実測的ないし
解析数学的拡がり関数を発生する。
【0085】前記ディコンボリューション演算機構は、
時間区間設定機構と、拡がり関数設定機構と、ディコン
ボリューション処理機構とを備え、前記時間区間設定機
構は、ディコンボリューション処理する区間を設定し、
前記拡がり関数設定機構は、上記の発生させた実測的な
いし解析数学的拡がり関数から拡がり関数を設定する。
前記ディコンボリューション処理機構は、設定されたデ
ィコンボリューション処理する区間の重なり波形を前記
拡がり関数によりディコンボリューション処理し、重な
り波形を分離・独立させる。
【0086】前記定量計算機構は、積分機構を備え、前
記積分機構は、前記分離・独立させたピーク波形の面積
をそれぞれ算出する。このようにしてピーク面積ないし
高さに基づき定量を計算する。前記定量結果は、CRT
46、プリンタ部47に出力される。
【0087】各種の判定を行う判定機構は、ディコンボ
リューション処理の成功を判定するために利用する判別
式の値を計算する判別式計算機構、ディコンボリューシ
ョン処理するために利用するGaussinを探索する
ときに制限となる値を算出する制限値算出機構と、所定
の結合係数に従いその最適なGaussinを探索する
拡がり関数探索機構を具備し、上記各処理段階におい
て、各機構が所定の働きが可能となるようサポートして
いる。
【0088】図12における制御部44、データ解析部
45、CRT部46、プリンタ部47等の機能を一体化
して、A/D変換部と、メモリ部と、制御部と、インタ
フェース部と、出力機器とからなり、クマトグラムの検
出ピ−ク波形から拡がりを表わす関数h(t)を算出・
出力し、検出ピ−ク波形および前記関数h(t)を用い
て前記検出ピ−ク波形をディコンボリューション処理
し、ディコンボリューション処理後のクロマトグラムを
出力することを特徴とするクロマトグラム解析方法とク
ロマトグラフ装置とに用いられるデ−タ処理装置を構成
しても差し支ええない。
【0089】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の構
成によれば、クロマトグラムの波形の歪を補正し、重な
りのピ−ク波形をシャ−プにすることにより分離を向上
させ、ピ−ク面積をより正確に求められ、定量分析の精
度が改良されたクロマトグラム解析方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施例に係る解析方法に用い
るマイクロボアHPLCシステムの構成を示すブロック
図である。
【図2】図1の解析方法におけるクロマトグラムを示す
線図である。
【図3】図1の解析方法におけるクロマトグラムの拡が
りメカニズムの略示説明図である。
【図4】図1の解析方法におけるクロマトグラムの重な
りピークに対するディコンボリュ−ション演算説明図で
ある。
【図5】図1の解析方法に係る処理工程のフロ−チヤ−
トである。
【図6】図1の解析方法におけるクロマトグラムの重ね
描きプロット図である。
【図7】図1の解析方法によるアミノ酸分析のクロマト
グラムを示す線図である。
【図8】図1の解析方法によるグリコヘモグロビン分析
のクロマトグラムを示す線図である。
【図9】図1の解析方法において拡がり関数が未知の場
合の処理フロ−チャ−トである。
【図10】図1の解析方法におけるカテコ−ルアミン分
析のクロマトグラムを示す線図である。
【図11】図1の解析方法におけるリィコンボリューシ
ョン演算による重ね描き説明図である。
【図12】本発明に係る他の一実施例に係るクロマトグ
ラフ解析装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
40…ポンプ 41…カラム 42…検出器 43…サンプラ 44…制御部 45…デ−タ解析部 46…CRT表示部 47…プリンタ 49…溶離液 51…未知試料 52…標準試料 54…入力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 順吉 茨城県勝田市大字市毛882番地 株式会社 日立製作所計測器事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分離カラムを通過した分析対象試料を検出
    器によって検出し、検出によって得られたクロマトグラ
    ム内のピークを、標準偏差σを係数として有するガウシ
    アンを拡がり関数として用いて表し解析を行うクロマト
    グラム解析方法において、 前記ガウシアンの標準偏差σに任意の値を設定するステ
    ップと、 前記クロマトグラムに対してディコンボリューション処
    理を行うステップと、 当該ディコンボリューション処理後のクロマトグラムに
    ついて、クロマトグラムが発散していないか、負の下限
    値を下回っていないか、不分離ピークがピーク間の谷を
    形成しているか、のいずれかの基準を満たしているかど
    うかの判定を行うステップと、 当該判定で不合格の場合、前記ガウシアンの標準偏差値
    を調整し、再度ディコンボリューション処理を行うステ
    ップと、を有することを特徴とするクロマトグラム解析
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のクロマトグラム解析方法
    において、 前記ディコンボリューション処理によって分離されたピ
    ークに対して、前記ディコンボリューション処理に用い
    た拡がり関数を用いてリコンボリューション処理を行
    い、リコンボリューション処理後の波形を前記ディコン
    ボリューション処理前のピーク波形と重ねて表示するこ
    とを特徴とするクロマトグラム解析方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のクロマトグラム解析方法
    において、 ガウシアンの標準偏差σを設定する前に、前記クロマト
    グラムからノイズ及びドリフトを除去するステップを含
    むことを特徴とするクロマトグラム解析方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のクロマトグラム解析方法
    において、 前記拡がり関数h(t)は、 h(t)=G(t)(t) (ここで、G(t)は上記ガウシアン、m(t)は修正
    関数) 前記ガウシアンは、(1)式で表されることを特徴とす
    るクロマトグラム解析方法。 【数1】
  5. 【請求項5】請求項1に記載のクロマトグラム解析方法
    において、 前記標準偏差σは、検出されたクロマトグラムのピーク
    幅よりも小さな標準偏差を設定することを特徴とするク
    ロマトグラム解析方法。
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