JP2003159081A - 哺乳動物中の発光複合体の非侵襲的局在化 - Google Patents

哺乳動物中の発光複合体の非侵襲的局在化

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 哺乳動物などの生体内の病原体とその他の物
体を検出し、位置決めし、追跡するための非侵襲的方法
を提供すること。 【解決手段】 生きている非ヒト哺乳類対象中の異種遺
伝子の発現を検出するための非侵襲的方法であって、該
方法が、以下:導入遺伝子を含む細胞を有する非ヒト哺
乳類対象を提供する工程であって、ここで、(i)該導
入遺伝子が、生物発光タンパク質または蛍光発生タンパ
ク質をコードする異種遺伝子を含み、そして(ii)該
対象は、不透明な組織を含む、工程;および不透明な組
織を貫通する光子放射を光検出装置を用いて測定するこ
とによって、該異種遺伝子の発現を検出する工程であっ
て、ここで、該細胞による該異種遺伝子の発現が許容さ
れる状況下に該対象が維持される、工程、を含む、方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、哺乳動物対象中の
発光体および発光性生物事象を検出し、位置決めし、追
跡するための非侵襲的な方法と組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】組識内の感染性因子を検出し定量するた
めの現行の生体外方法では、感染性疾患の進行をモニタ
ーする能力に限界がある。宿主における感染性因子の複
製には、しばしば一次、二次および三次複製部位が関与
する。複製部位と、感染性因子がそれらの部位を通過す
る過程は、接種経路、宿主がコードする因子、およびそ
の感染性因子の決定基に基づいて観測される。
【0003】考えられる複製部位と感染の進行は、経験
から推定できる場合もある。しかし感染部位と疾患の速
度は、知られないか、あるいは大雑把にしか推定できな
いことの方が多いだろう。また感染性疾患の進行は、マ
ウスの同系交配系でさえ、個別的である場合が多く、実
験的に感染させた宿主で疾患が平均してどのような経過
をたどるのかを決定するために、数多くの感染動物の連
続的な生体外分析を行なう必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】動物モデルにおける感
染の進行を追跡する手段を持つことが望ましい。その追
跡を非侵襲的に行なうことができ、一匹の動物を必要な
頻度で有害な影響を与えずに評価できれば、理想的であ
る。本発明は、哺乳動物などの生体内の病原体とその他
の物体を検出し、位置決めし、追跡するための非侵襲的
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】1つの局面において、本
発明は、次の工程からなる哺乳類対象中の生物適合体の
局在を検出する非侵襲的方法を提供する:(a)その対
象に、その生物適合体と発光成分の複合体を投与し、
(b)その複合体がその対象内で局在を達成しうる期間
の後、その対象を光検出装置の検出フィールド内に固定
し、(c)その対象を固定状態に維持し、(d)維持中
に、その対象中に局在した発光成分からの光子放射を、
光子放射の画像を構築することができるまで、その光検
出装置で測定し、(e)その画像を構築する。
【0006】1つの実施形態において、上記の方法は、
工程(b)から(e)までを選択した間隔で反復するこ
とをさらに含み得、その反復が対象中の生物適合体の局
在を経時的に追跡するのに有効であり得る。
【0007】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の測定が増倍化電荷結合光検出素子を用いて行われ得
る。
【0008】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の投与が腫瘍細胞ターゲッティング成分を含有する複合
体の投与を含み得る、哺乳類対象中の腫瘍細胞の局在を
検出するための方法であり得る。
【0009】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の投与が炎症ターゲッティング成分を含有する複合体の
投与を含み得る、哺乳類対象中の炎症の局在を検出する
ための方法であり得る。
【0010】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の投与が感染ターゲッティング成分を含有する複合体の
投与を含み得る、哺乳類対象中の病原体による感染の局
在を検出するための方法であり得る。
【0011】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の投与が血栓性プラークターゲッティング成分を含有す
る複合体の投与を含み得る、哺乳類対象内の血栓性プラ
ークの局在を検出するための方法であり得る。
【0012】別の実施形態において、上記の方法は、そ
の投与が発光成分を含有する粒子である複合体の投与を
含み得る。
【0013】別の実施形態において、上記の方法は、動
物モデル中の病原体による感染症の局在を検出するため
の方法であり得、生物適合体がその病原体であり得る。
好ましい実施形態において、その病原体がサルモネラで
あり得る。
【0014】別の実施形態において、上記の発光成分が
発光性タンパク質であり得る。好ましい実施形態におい
て、上記タンパク質がルシフェラーゼ、黄色蛍光タンパ
ク質およびフェレドキシンIVからなる群より選択され
得る。別の好ましい実施形態において、その投与が抗体
断片と発光性タンパク質の融合タンパク質である複合体
の投与を含み得る。別の好ましい実施形態において、上
記生物適合体が形質転換細胞であり得、上記発光成分が
その細胞から発現する異種遺伝子の産物であり得る。さ
らに好ましい実施形態において、上記異種遺伝子の発現
が活性化可能なプロモーターの制御下にあり得る。
【0015】別の局面において、本発明は、哺乳類対象
中の生物適合体のレベルを経時的に検出する非侵襲的方
法であって、(a)その対象に、その生物適合体と発光
成分の複合体を投与し、(b)その対象を光検出装置の
検出フィールド内に置き、(c)その対象をその装置の
検出フィールド中に維持し、(d)維持中に、その対象
中の発光成分からの光子放射を、その光検出装置で測定
し、(e)(b)から(d)までの工程を、選択した間
隔で反復することからなり、その反復が、その対象中の
生物適合体のレベルの経時変化を検出するのに有効であ
る方法を提供する。
【0016】さらなる局面において、本発明は、次の工
程からなる哺乳類対象における導入遺伝子の組み込みを
検出する非侵襲的方法を提供する:(a)その対象に、
哺乳類細胞中に有効に組み込まれ、かつ、導入遺伝子、
発光性タンパク質をコードする遺伝子および活性化可能
なプロモーターを含有するベクター構築物(ただし、発
光性タンパク質をコードする遺伝子はプロモーターの制
御下にある)を投与し、(b)その構築物が組み込みを
達成しうる期間の後、プロモーターを活性化し、(c)
その対象を光検出装置の検出フィールド内に置き、
(d)その対象をその光検出装置の検出フィールド内に
維持し、(e)維持中に、その対象中の、発現した発光
性タンパク質からの光子放射のレベルを、その光検出装
置で測定し、(f)その光子放射のレベルがバックグラ
ウンドより有意に高ければ、その導入遺伝子の組み込み
を確認する。
【0017】なおさらなる局面において、本発明は、次
の工程からなる動物中のプロモーター誘導事象の局在を
検出する非侵襲的方法を提供する:(a)その事象に反
応する誘導性プロモーターとその制御下にある発光性タ
ンパク質をコードする異種遺伝子とを持つトランスジェ
ニック動物中で、その事象を誘発し、(b)その動物を
光検出装置の検出フィールド内に置き、(c)その動物
を固定状態に維持し、(d)維持中に、その動物内に局
在する発現した発光性タンパク質からの光子放射を、光
子放射の画像を構築することができるまで、その光検出
装置で測定し、(e)その画像を構築する。
【0018】なおさらなる別の局面において、本発明
は、発光性タンパク質を発現させる遺伝子で形質転換さ
れたサルモネラを提供する。
【0019】一態様として、本発明は、哺乳類対象内の
生物適合体の局在を検出する非侵襲的方法を包含する。
その生物適合体は分子であってもよいし、巨大分子、細
胞、微生物(病原体を含む)、あるいは粒子などであっ
てもよい。
【0020】この方法では、対象に当該物体と発光成分
の複合体を投与する。発光成分は通例、光を放射する分
子または高分子(巨大分子)である。この成分は、放射
吸収の結果として発光したり(例えば蛍光性または燐光
性分子)、あるいは化学反応の結果として発光すること
ができる(例えば生物発光タンパク質)。発光成分の典
型例は、ルシフェラーゼやエクオリンのような生物発光
タンパク質および、黄色蛍光タンパク質やフェレドキシ
ンIVのような有色または蛍光タンパク質である。
【0021】この成分は、物体の合成中に組み込んだり
(例えば化学的または遺伝子的組み込み、抗体断片と発
光性タンパク質の融合タンパク質など)、合成後の化学
的カップリング、非共有結合的会合(例えばリポソーム
による封入)、物体内でのin situ合成(例えば
形質転換細胞における異種生物発光タンパク質の発
現)、またはプロモーター誘導物質で剌激されたトラン
スジェニック動物の細胞における生物発光タンパク質の
活性化可能なプロモーター制御性のin situ発現
(例えばウイルスの感染によって刺激されたインターフ
ェロン活性化プロモーター)などといった様々な技術に
より、物体と複合させることができる。
【0022】対象中で複合体が局在できた期間の後、対
象を、十分な量の光子放射を(その光検出装置で)測定
して画像を構築するのに有効な期間、光検出装置の検出
フィールド内に固定する。典型的な光検出装置は、画像
処理装置に接続した増倍化電荷結合素子(ICCD)カ
メラである。”固定されていない”対象が動く時間スケ
ールに比べて短い時間内に画像を構築できるのであれ
ば、対象は撮像中本質的に”固定されている”ことにな
り、特別な固定措置は必要ない。次に、光子放射データ
から画像を構築する。
【0023】撮像工程を選択した間隔で繰り返し、各間
隔に対応する画像を構築することにより、上述の方法
で、対象内の物体の局在を経時的に追跡することができ
る。物体上にターゲッティング成分を結合したり、複合
させたり、あるいは組み込むことにより、数多くの特定
の応用に、上述の方法を使用することができる。ターゲ
ッティング成分はその物体(例えば抗体または抗体断
片)固有の特性であってもよいし、あるいはターゲッテ
ィング成分を物体に複合させたり、結合したりまたは組
み込んでもよい(例えば抗体を含有するリポソーム)。
ターゲッティング成分の例には、抗体、抗体断片、酵素
阻害因子、レセプター結合分子、種々の毒素などがあ
る。ターゲッティング成分の標的としては、炎症部位、
感染部位、血栓性プラーク、腫瘍細胞などを挙げること
ができる。これらの標的を特徴づける、ターゲッティン
グ成分による認識に適したマーカーは、よく知られてい
る。
【0024】さらに、発光成分と複合した病原体(例え
ばサルモネラ)を物体として使用すれば、この方法で、
動物モデル内の病原体による感染部位を検出し、局在化
(定位)することができる。
【0025】関連する態様として、本発明は、哺乳類対
象内の生体適合体のレベルを経時的に検出する非侵襲的
方法を包含する。この方法は上述の方法に似ているが、
必ずしも物体を画像の形で局在化するわけではなく、対
象内での物体のレベルの変化を経時的に検出するよう設
計される。この方法は、物体(例えば発光性細菌)のレ
ベルに対する治療用物質(例えば抗生物質)の効果を経
時的にモニターするのに、とりわけ有用である。
【0026】もう1つの態様として、本発明は、哺乳類
対象における導入遺伝子の組込みを検出する非侵襲的方
法を包含する。この方法では、哺乳類細胞に導入遺伝子
を組み込むのに有効なべクター構築物を、対象に投与す
る。そのような構築物は当技術分野ではよく知られてい
る。この構築物は、効果的な組込みに必要な要素に加え
て、導入遺伝子(例えば治療用遺伝子)と、発光性タン
パク質をコードする遺伝子とを、選択した活性化可能な
プロモーターの制御下に含有する。その構築物が組み込
みを達成しうる期間の後、そのプロモーターを活性化す
る。例えば、インターフェロンプロモーターを使用した
場合は、ポリイノシン−ポリシトシン二重鎖(ポリI
C)を局所投与(例えば足蹠注射)することにより、イ
ンターフェロン産生を刺激することができる。次に、対
象を光検出装置(例えば光増倍性”暗視”ゴーグルをつ
けた人)の検出フィールド内に置き、光子放射のレベル
を測定または評価する。そのレベルがバックグラウンド
を超える場合(すなわち光が”活性化した”領域に優先
的に検出されうる場合)、その対象は当該導入遺伝子を
組込んでいると記録される。
【0027】関連する態様として、本発明は、発光性タ
ンパク質をコードする遺伝子を誘導性プロモーターの制
御下に含む構築物でトランスジェニックまたはキメラに
した動物におけるプロモーター誘導事象の局在を検出す
る非侵襲的方法を包含する。プロモーター誘導事象に
は、そのプロモーターを直接活性化する物質の投与、内
因性プロモーター活性化因子の産生を刺激する物質の投
与(例えばRNAウイルス感染によるインターフェロン
産生の剌激)、内因性プロモーター活性化因子の産生を
もたらす状態に置くこと(例えば熱ショックまたはスト
レス)などがある。この事象を誘発し、上述のように動
物を撮像する。
【0028】さらなる態様として、本発明は、発光性タ
ンパク質(例えばルシフェラーゼ)を発現させる遺伝子
で形質転換された病原体(例えばサルモネラ)を包含す
る。
【0029】またもう1つの側面として、本発明は、病
原体による感染の蔓延を抑制するのに有効な治療用化合
物を同定する方法をも包含する。この方法では、病原体
と発光成分の複合体を対照動物と実験動物に投与し、そ
の実験動物を治療用化合物候補で処置し、上述の方法に
よって対照動物内と実験動物内の発光性病原体を局在化
し、その化合物が対照動物と比較して実験動物における
病原体の蔓延または複製を有意に抑制する効力をもつの
であれば、その化合物を治療上有効であると認める。複
合体としては、蛍光標識された抗体、蛍光標識された粒
子、蛍光標識された小分子などが挙げられる。
【0030】さらなる側面として、本発明は、発光成分
と共役した物体を、様々な不透明度を持つ媒質を通して
局在化する方法を包含する。この方法では、光検出装置
を用いて、その媒質を透過した光子を検出し、その光子
を経時的に積分し、積分したその信号に基づいて画像を
作成する。
【0031】さらなる態様として、本発明は、ある生物
内の特定の部位で、選択した物質(例えば溶存酸素また
はカルシウム)の濃度を測定する方法を包含する。この
方法には、濃度センサー(すなわち発光する能力が選択
した物質の濃度に依存する発光性分子)を含有する物体
(例えば細胞)が含まれる。その発光性分子を含有する
物体を、動物内もしくは特定の組識または器官系(例え
ば脾臓)内に実質上均一に分布するように投与する。そ
の生物を撮像する。光放射の強度と局在は、選択した物
質の濃度と位置に相関する。別法として、当該物体は、
第2の標識、例えば濃度センサーとは異なる波長で発光
することができる分子を含有する。この第2標識を用い
て宿主における物体の分布の非均一性を規格化すれば、
選択した物質の濃度をより正確に決定することができ
る。
【0032】もう1つの側面として、本発明は、腫瘍の
増殖および/または転移性伝播を抑制するのに有効な治
療用化合物を同定する方法を包含する。この方法では、
(i)発光成分で標識した腫瘍細胞または発光成分を含
有する腫瘍細胞を実験動物群と対照動物群に投与し、
(ii)その実験群を選択した化合物で処置し、(ii
i)腫瘍細胞に付随する発光性分子からの光子放射を光
検出装置で撮像することによって、両群の動物中の腫瘍
細胞を局在化し、(iv)その化合物が対照群と比較し
て実験群における腫瘍の増殖および/または転移性伝播
を有意に抑制できるならば、その化合物を治療上有効で
あると認める。
【0033】本発明の上記その他の目的と特徴は、下記
の発明の詳細な説明を添付の図面と合わせて読むことに
より、より完全に理解されるだろう。
【0034】
【発明の実施の形態】(I.定義)特に明示しない限
り、本明細書で使用する用語はすべて、本発明の技術分
野で使用される通常の意味を持つ。
【0035】本明細書における不透明媒質とは「従来通
りの」不透明な媒質を指し、必ずしも完全に不透明であ
るとは限らない。したがって不透明媒質とは、一般に透
明でなく半透明でもないとみなされる媒質をいい、これ
には木片や哺乳動物の肉および皮膚などが含まれる。
【0036】特に断わらない限り、ルシフェラーゼには
原核生物ルシフェラーゼと真核生物ルシフェラーゼが含
まれ、また、赤色領域の波長で発光するルシフェラーゼ
のような光学特性が変異または変化した変種も含まれ
る。
【0037】生物適合体とは、哺乳動物に投与できる物
体をいう。これには哺乳動物にとって有害でありうる病
原体も含まれる。発光性タンパク質を発現させる導入遺
伝子を含有する細胞を持つ動物の場合、生物適合体と
は、その哺乳動物を構成する導入遺伝子含有細胞を指
す。
【0038】発光性とは、化学反応または放射線の吸収
により光を発生しうることをいう。
【0039】本明細書において光とは、特に断わらない
限り、約300nmと約1100nmの間の波長を持つ
電磁放射線をいう。
【0040】感染の蔓延とは、通常、最初の感染部位以
外の宿主部位の、病原体による伝播とコロニー形成を指
す。ただしこの用語には、最初の感染部位における病原
体の大きさおよび/または数の増大も含まれうる。
【0041】lux−ルシフェラーゼおよび光子放射に
関係する原核生物遺伝子。
【0042】luc−ルシフェラーゼおよび光子放射に
関係する真核生物遺伝子。
【0043】プロモーター誘導事象とは、選択した誘導
性プロモーターの直接的または間接的誘導をもたらす事
象を指す。
【0044】異種遺伝子とは、宿主生物中に形質移入さ
れた遺伝子を指す。通例、異種遺伝子とは、形質移入ま
たは形質転換された細胞のゲノムDNAに元来由来しな
い遺伝子を指す。
【0045】(II.発明の一般的概観)本発明は、哺
乳類対象中の発光性複合体の非侵襲的撮像および/また
は検出に関する方法と組成物を包含する。この複合体
は、生物適合体と発光成分とを含有する。生物適合体に
は、環状有機分子などの小分子;タンパク質などの高分
子;ウイルス、細菌、酵母、カビなどの微生物;あらゆ
るタイプの病原体および病原性物質;ビーズやリポソー
ムなどの粒子が含まれるが、これらに限らない。また、
生物適合体は、撮像される哺乳類対象を構成する細胞の
全部または一部であってもよい。
【0046】発光能は、発光成分の複合体化によって物
体に付与される。そのような成分には、蛍光分子、蛍光
タンパク質、光子を放出する酵素反応、生物発光タンパ
ク質などの発光物質がある。複合体化(共役)には、化
学的カップリング、融合タンパク質の遺伝子操作、ある
いは生物発光タンパク質を発現させる細胞、微生物また
は動物の形質転換が含まれうる。例えば、その物体が撮
像する哺乳類対象を構成する細胞である場合、その発光
成分はその細胞に「共役(複合)」させた生物発光タン
パク質または蛍光タンパク質であってよく、それはトラ
ンスジェニック動物またはキメラ動物の作出によりその
細胞内に導入されたべクター構築物からのプロモーター
制御的発現の局在性による。
【0047】通例、発光性複合体を様々な方法で対象に
投与し、その対象内で局在させ、それを撮像する。撮像
または対象からの光子放射の測定は数十分間続くことが
あるので、常にそうであるとは限らないが、通常は撮像
工程中、対象を固定しておく。
【0048】発光体の撮像は、極めて低レベルの光(通
常は単一光子事象)を検出し、画像の構築が可能になる
まで光子放射を積分できる光検出器の使用を必要とす
る。そのような高感度光検出器の例には、単一光子事象
を増幅した後、検出系に固有の背景ノイズに対して単一
光子を検出できる(例えば液体窒素で冷却された)カメ
ラまたはカメラ群で、その事象を検出する装置がある。
【0049】光子放射画像を作成したら、通例、放射さ
れた光子の発生源に関して準拠座標系を与えるため(す
なわち対象に関して発光性複合体を局在化するため)
に、それをその対象の”通常の”反射光画像に重ね合わ
せる。次に、そのような”合成”画像を分析することに
より、対象内の標的の位置および/または量を決定す
る。
【0050】以下に、上述の段階と態様をより詳細に記
述する。
【0051】(III.発光体) (A.発光成分)本発明の実施に有用な発光成分(li
ght−generating moiety;LG
M)、発光分子または発光構築物は、その応用に応じて
様々な形態のいずれをとってもよい。これらに共通する
特徴は、それらが発光性であるということ、すなわちそ
れらが電子的励起状態から、より低いエネルギー状態
(通常、基底状態)への遷移の結果として、原子または
分子から紫外(UV)、可視および/または赤外(I
R)領域の電磁放射線を放射するということである。
【0052】発光成分の例には、蛍光分子、化学発光化
合物、燐光化合物、生物発光化合物などの光冷光(フォ
トルミネセンス)分子がある。
【0053】本発明との関連性が強いLGMの2つの特
徴は、そのサイズとスペクトル特性である。これらにつ
いては、スペクトル特性に関する一般的議論の後、後述
する発光成分の特定のタイプに関連して議論する。
【0054】(1.スペクトル特性)本発明の重要な側
面は、非侵襲的に外部から検出できるように動物組識を
貫通しうる光を生成する発光成分の選択である。光が動
物組識(ほとんど水からなる)のような媒質を通過する
能力は、主として、その光の強度と波長によって決ま
る。
【0055】単位体積中の発光強度が強いほど、その光
は検出しやすくなる。単位体積中に生成する光の強度
は、後述する個々のLGMのスペクトル特性と、単位体
積中の当該成分の濃度に依存する。したがって、通例、
物体内または物体上に高濃度のLGMを配置する共役法
(例えばリポソームの高効率負荷や、細胞内での生物発
光タンパク質の高レベル発現など)により、例えば各物
体にLGMを一つだけ共役させる方法よりも深い組識層
を通して検出することが容易な、より明るい発光性複合
体(light−emitting conjugat
e; LEC)を作成する。
【0056】組識層越しのLGMの検出性を支配する第
2の因子は、放射光の波長である。ほとんどの組織は主
として水からなっているので、動物組識の吸収特性を近
似するには水を使用することができる。水が長波長光
(赤色領域の光)を短波長光より容易に透過させること
はよく知られている。
【0057】したがって、通例、黄色から赤色(550
〜1100nm)の範囲の光を放射するLGMの方が、
より短い波長で放射するLGMより好ましい。後述する
LGMのいくつかはこの範囲で放射する。しかし、本発
明の裏付けとして行なった後述の実験によれば、486
nm域で放射するLGMで本発明を実施すると、それが
最適な放射波長でないという事実にもかかわらず、良好
な結果を得ることができる。これらの結果は、これらの
実験で使用したLEC(形質転換サルモネラ細胞)内に
比較的高濃度のLGM(ルシフェラーゼ分子)が存在す
ることと、高感度な検出器を使用したことが、その一因
だと考えられる。より最適な放射波長を持つLGMを使
用すれば、より低濃度のLGMを持つLGEで同様の検
出結果が得られることは、理解されるだろう。
【0058】(2.蛍光系成分)蛍光は、放射線源の除
去後極めて短い持続時間を持つ単一の電子励起状態から
生じる物質の発光である。励起光の一部はその蛍光分子
によって熱に変換されるので、放射される蛍光の波長は
励起光の波長より長い(ストークスの法則)。
【0059】蛍光分子がルミネセンスを示すには光の入
力が必要であるから、本発明における蛍光分子の使用
は、生物発光分子の使用よりも複雑になるだろう。通
例、対象から検出される蛍光光子シグナルを汚染しない
ように、励起光を遮蔽する予防措置がとられる。自明の
予防措置としては、蛍光顕微鏡で使用されるような励起
フィルターを放射線源に設置することが挙げられる。適
切に選択された励起フィルターは、蛍光成分によって放
射される光子の波長と類似する波長を持つ光子の大半を
遮断する。また、蛍光光子の波長以外の波長を持つ光子
の大半をふるい落とすために、障壁フィルターを検出器
に使用する。上述のようなフィルターは、Omega
Optical社(バーモント州ブラトルバロ)を含む
様々な商業的供給源から入手できる。
【0060】また、適切な励起波長に近く、蛍光放射波
長には近くない高強度光を発生させるレーザーを使用し
て、蛍光成分を励起させることもできる。例えば共焦点
顕微鏡のようにレーザーが対象を走査できるように、x
−y変換機構を使用してもよい。
【0061】もう1つの予防措置として、検出器の部位
に到達した放射光子が、対象を完全に通過したものだけ
となるように、放射線源を対象の背後に設置し、遮蔽す
ることもできる。さらに、蛍光成分を励起するために使
用する光の波長に対して低い感度を持つ検出器を選択し
てもよい。
【0062】上述の措置を賢明に適用すれば、本発明の
方法による蛍光性LGMの検出が可能である。
【0063】蛍光成分としては、フルオレセインのよう
な小さい蛍光分子と、緑色蛍光タンパク質(Chalf
ieら,1994,Science 263:802−
805;MorinおよびHastings,197
1,J.Cell.Physiol.77:313)や
ルマジンおよび黄色蛍光タンパク質(O’Kaneら,
1991,PNAS 88:1100−1104;Da
ubnerら,1987,PNAS 84:8912−
8916)のような蛍光タンパク質が挙げられる。ま
た、ある種の有色タンパク質、例えばフェレドキシンI
V(Grabauら,1991,J.Biol.Che
m.266:3294−3299;その蛍光性はまだ評
価されていない)などにも蛍光性があって、本発明で使
用できるかもしれない。フェレドキシンIVは赤みがか
った色を持ち、それは比較的長波長で蛍光または反射し
て組識を貫通するのに有効な光を生じる可能性を示すの
で、特に有望な候補である。さらに、この分子はタンパ
ク質としては小さいので(95アミノ酸)、物体に共役
させた時に、それらの機能に与える影響を最小限に抑え
ることができる。
【0064】小さい蛍光分子の利点は、それを結合させ
る物体の生物活性を妨害する可能性が、より大きな発光
成分よりも少ないということである。また、本発明での
使用に適した種々の励起および放射スペクトルを持つ市
販の蛍光分子を入手することもできる。例えばMole
cular Probes社(オレゴン州ユージーン)
は、ルシファーイエロー(428nmで吸収し、535
nmで放射)やナイルレッド(551nmで吸収し、6
36nmで放射)を含む多数の発蛍光団を販売してい
る。さらに、種々の結合法で使用できる様々な基で誘導
体化された分子も(例えばMolecular Pro
bes社から)入手することができる。
【0065】(3.生物発光系成分)化学発光(化学反
応の結果としての発光)と生物発光(生体からの可視発
光)は、多くの側面から詳細に研究されている(例えば
Campbell,1988,Chemilumine
scence.Principles and App
lications in Biology and
Medicine(英国チチェスター;Ellis H
orwood社およびVCH出版社))。以下に顕著な
特徴を簡単に要約する。
【0066】生物発光分子は、光を放射するために放射
エネルギーの入力を必要としない点で、蛍光分子とは異
なる。むしろ生物発光分子は、ATPなどの化学エネル
ギーを利用して光を発生させる。蛍光成分に対する生物
発光成分の利点は、そのシグナルに事実上バックグラウ
ンドがないということである。検出される光は、外来の
生物発光成分によって生成した光だけである。これに対
して、蛍光分子を励起するために使用される光は、しば
しば意図する標的以外の物質の蛍光をもたらす。これ
は”バックグラウンド”が生きている動物の内部環境の
ように複雑な場合は、とくにそうである。
【0067】生物発光分子にはいくつかの種類が知られ
ている。それらには、ルシフェラーゼファミリー(例え
ばWoodら,1989,Science 244:7
00−702)や、エクオリンファミリー(例えばPr
asherら,Biochem.26:1326−13
32)がある。ルシフェラーゼファミリーの要素は、種
々の原核生物と真核生物で同定されている。原核発光
(lux)系に関与するルシフェラーゼその他の酵素
と、それに対応するlux遺伝子は、ビブリオ(Vib
rio)属とフォトバクテリウム(Photobact
erium)属の海生細菌およびキセノラブダス(Xe
norhabdus)属の陸生細菌から単離されてい
る。
【0068】ルシフェラーゼ系(luc)を含有する代
表的真核生物は、北アメリカホタルPhotinus
pyralisである。ホタルルシフェラーゼは詳細に
研究されており、ATPアッセイに広く使用されてい
る。コメツキムシの一種 Pyrophorus pl
agiophthalamus由来のルシフェラーゼを
コードするcDNAが、クローン化され、発現されてい
る(Woodら,1989,Science 244:
700−702)。この甲虫は、種の異なる要素が異な
る色の生物発光を放射する点で珍しい。互いに95〜9
9%の相同性を持つ4種類のクローンが単離された。そ
れらは546nm(緑色)、560nm(黄緑色)、5
78nm(黄色)、および593nm(橙色)の光を放
射する。最後の種類(593nm)は、その放射光がそ
れより短い波長の光よりも容易に組識を貫通する波長を
持つので、本発明で発光成分として使用するには特に好
都合である。
【0069】ルシフェラーゼ類とエクオリン様分子は、
ATPやNAD(P)Hなどのエネルギー源と、ルシフ
ェリンまたはコエレントリジン(coelentriz
ine)と酸素などの基質を必要とする。
【0070】ルシフェラーゼ酵素を発光させるには、基
質ルシフェリンをルシフェラーゼ酵素に供給しなければ
ならない。ルシフェラーゼ酵素がluxルシフェラーゼ
をコードするcDNAを含有するベクターの発現産物と
して導入される場合、ルシフェリンを供給する便利な方
法は、ルシフェラーゼを発現させるだけでなく、ルシフ
ェリンを合成するための生合成酵素をも発現させること
である。そのような構築物で形質転換された細胞では、
生物発光に必要な外因性要素が酸素だけになる。そのよ
うな方法(実施例1に詳述)を用いてlux形質転換サ
ルモネラを作成し、それを使って本発明を裏付ける後述
の実験を行なう。
【0071】土壌菌Xenorhabdus lumi
nescensから得たluxオペロンをコードするプ
ラスミド構築物(Frackmanら,1990,J.
Bact.172:5767−5773)は、ヘテロ二
量体ルシフェラーゼの2つのサブユニットと3つの補助
タンパク質を発現させることにより、形質転換大腸菌に
光子放射能を付与する(Frackmanら,199
0)。X.luminescensのlux遺伝子を発
現させる大腸菌の最適な生物発光は37℃で観察され
(SzittnerおよびMeighen,1990,
J.Biol.Chem.265:16581−165
87;Xiら,1991,J.Bact.173:13
99−1405)、これは真核発光生物や他の原核発光
生物由来のルシフェラーゼの低い最適温度と対照的であ
る(Campbell,1988,Chemilumi
nescence.Principles and A
pplications in Biology an
d Medicine(英国チチェスター:Ellis
Horwood社およびVCH出版社))。したがっ
てX.luminescens由来のルシフェラーゼ
は、動物中での研究にマーカーとして使用するのに適し
ている。
【0072】上述または実施例1に記述するようなルシ
フェラーゼベクター構築物は、大半の細菌と多くの真核
細胞(luc構築物)を含む様々な宿主細胞の形質転換
に使用できる。また、ヘルペスウイルスやワクシニアウ
イルスのようなある種のウイルスは、ルシフェラーゼを
発現させるように遺伝子操作することができる。例え
ば、Kovacs Sz.およびMettenliet
er,1991,J.Gen.Virol.,72:2
999−3008には、ヘルペスウイルス内のホタルル
シフェラーゼをコードする遺伝子の安定な発現が記述さ
れている。BrasierおよびRon,1992,M
eth.in Enzymol.216:386−39
6には、哺乳類細胞内でのルシフェラーゼ遺伝子構築物
の使用が記述されている。培養哺乳類細胞からのルシフ
ェラーゼ発現は、CCD撮像法で巨視的(Israel
およびHonigman,1991,Gene 10
4:139−145)にも微視的(Hooperら,1
990,J.Biolum.and Chemilu
m.5:123−130)にも研究されている。
【0073】(B.物体)本発明は、上述のような発光
成分、発光性構築物または発光分子を含むように修飾し
たまたは共役させた物体を包含する。そのような共役体
または修飾体を、発光体、発光性複合体(LEC)また
は単に複合体という。これらの物体自体は、例えば分
子、高分子、粒子、微生物または細胞などの形態をとる
ことができる。発光成分を物体に共役させる方法は、そ
の成分と物体の性質に依存する。代表的な共役法につい
ては、後述の物体に関連して議論する。
【0074】(1.小分子)本発明の実施に有用であろ
う小分子物体としては、病原体もしくは内因性リガンド
またはレセプターと特異的に相互作用する化合物が挙げ
られる。そのような分子の例には、薬物や治療用化合
物;ある種のクモ、ヘビ、サソリ、渦鞭毛藻類、海性巻
貝、細菌を含む有毒生物の毒液中に存在するような毒
素;NGF、PDGF、TGF、TNFなどの増殖因
子;サイトカイン;生理活性ペプチドなどがあるが、こ
れらに限るわけではない。
【0075】これらの小分子は、その小分子の生物活性
が仮に妨害されるとしてもそれが最小限であるような発
光成分(例えば小さい蛍光分子(上述))と共役(結
合)させることが好ましい。結合の性質は通例化学的で
あり、当業者の知る様々な方法のいずれで行なってもよ
い。
【0076】小分子物体は、形式的な結合操作が必要な
いように、発光成分を含有するよう合成することができ
る。また、発光成分と反応できる反応性基を持つ小分子
物体を合成したり、その逆を行なうこともできる。
【0077】本発明の発光成分と結合した小分子は、ヒ
トの疾患または状態の動物モデルで使用してもよいし、
処置すべきヒト対象で直接使用してもよい。例えば、腫
瘍細胞上に発現するレセプターに高い親和力で結合する
小分子を動物モデルで使用することにより、腫瘍を局在
化し、その大きさの推定値を得たり、治療薬候補による
処置後の腫瘍の増殖または転移の変化をモニターするこ
とができる。また、そのような分子を用いて、癌患者中
の上述のような腫瘍の特徴をモニターすることもでき
る。
【0078】(2.高分子)ポリマーや生体ポリマーの
ような高分子は、本発明の実施に有用な物体のもう1つ
の例である。代表的な高分子には、抗体、抗体断片、融
合タンパク質、ある種のベクター構築物がある。
【0079】商業的供給源から購入したり、当技術分野
で知られる方法(Harlowら,1988,Anti
bodies:A Laboratory Manua
l,第10章,402頁,Cold Spring H
arbor Press)によって作成した抗体または
抗体断片を用いて、それら抗体を発光成分と結合し、そ
の複合体を対象に例えば注射などによって投与し、その
複合体を抗原の部位に局在させ、その複合体を撮像する
ことにより、哺乳類対象内の抗原を局在化することがで
きる。
【0080】抗体と抗体断片は、本発明での物体として
の使用に関していくつかの利点を持つ。これらはその性
質上、それら自体がターゲッティング成分を構成する。
さらにその大きさゆえに、小さい蛍光分子、蛍光タンパ
ク質および生物発光タンパク質を含む数タイプの発光成
分との結合に馴染みやすく、また、例えば細胞やリポソ
ームなどと比較して、迅速に拡散できる。
【0081】発光成分は抗体または断片に直接結合させ
ることもできるし、例えば蛍光性の二次抗体などを用い
て間接的に結合させることもできる。直接的結合は、抗
体または抗体断片に対する例えば発蛍光団の一般的な化
学的結合によって、あるいは遺伝子操作によって行なう
ことができる。蛍光タンパク質または生物発光タンパク
質に結合した抗体または抗体断片を含有するキメラまた
は融合タンパク質を構築することができる。例えばCa
sadeiら,1990,PANS 87:2047−
2051には、エクオリンと抗体の融合タンパク質遺伝
子を哺乳類細胞内で発現させることができるベクター構
築物の作成法が記述されている。
【0082】抗体を含有する複合体は、本発明の多くの
応用に使用できる。例えば炎症部位に発現するE−セレ
クチンに対する標識抗体を使用して、その炎症を局在化
し、抗炎症薬候補の効果をモニターすることができる。
【0083】ベクター構築物そのものも、本発明に応用
できる高分子体となりうる。例えば、発光性分子をコー
ドする遺伝子と治療用遺伝子とを、選択したプロモータ
ー(すなわち当該治療用遺伝子が標的とする細胞内で発
現するプロモーター)の制御下に含有する真核発現ベク
ターを構築することができる。本発明の方法を用いてア
ッセイされるその発光性分子の発現は、その治療用遺伝
子の発現位置と発現レベルを決定するために使用でき
る。その治療用遺伝子の発現が、処置される人または動
物モデル内で直接的な表現型を持たない場合に、この方
法はとりわけ有用だろう。
【0084】(3.ウイルス)本発明のある種の側面で
有用なもう1つの物体はウイルスである。多くのウイル
スは哺乳類宿主に感染する病原体であるから、それらの
ウイルスを発光成分と共役させ、初期感染部位と感染の
蔓延を研究するために使用することができる。また、発
光成分で標識したウイルスは、感染もしくは感染の蔓延
を抑制する薬物のスクリーニングに使用することもでき
る。
【0085】ウイルスは、発光成分と結合した抗体を用
いて間接的に標識したり、あるいは例えばウイルス粒子
を(Dhawanら,1991,J.Immunol.
147(1):102の方法などで)ビオチニル化した
後、それらを検出可能成分(例えば蛍光分子)と結合し
たストレプトアビジンにさらすことにより、間接的に標
識することができる。
【0086】別法として、ウイルス粒子をローダミンの
ような発蛍光団で、例えばFanら,1992,J.C
lin.Micro.30(4):905の方法を用い
て直接標識してもよい。また、発光性タンパク質を発現
させるようにウイルスを遺伝子操作することもできる。
ヘルペスやワクシニアのようなある種のウイルスのゲノ
ムは、本発明の裏付けとして行なった実験で使用したl
ux遺伝子やluc遺伝子のような大きさの遺伝子を十
分に順応させうるほどに大きい。
【0087】標識したウイルスを動物モデルで使用する
ことにより、感染を局在化し、感染の進行をモニターす
ることができ、また感染の蔓延を抑制するのに有効な薬
物をスクリーニングすることもできる。例えば、ヘルペ
スウイルス感染症は皮膚病変として現われるが、このウ
イルスはヘルペス脳炎をも引き起こしうる。上述の方法
のいずれかで標識したウイルスを用いることにより、こ
のような感染症を局在化し、モニターすることができる
と共に、様々な抗ウイルス剤を中枢神経系(CNS)感
染症におけるその効力について調べることができる。
【0088】(4.粒子)ビーズ、リポソームなどを含
む粒子は、本発明の実施に有用なもう1つの物体を構成
する。これらはサイズが大きいので、粒子には、例えば
小分子などの場合よりも多数の発光成分を共役させるこ
とができる。これは、より短い露光時間で、またはより
厚い組識層を通して検出することができる、より高濃度
の光放射をもたらす。また、本質的に純粋なターゲッテ
ィング成分またはリガンド(例えば抗原や抗体)をその
表面に含むように、リポソームを構築することもでき
る。さらに、例えば生物発光タンパク質分子などを比較
的高濃度に、リポソームに負荷することもできる(Ca
mpbell,1988,Chemiluminesc
ence.Principles and Appli
cations inBiology and Med
icine(英国チチェスター:EllisHorwo
od社およびVCH出版社))。
【0089】さらに、2種類のリポソームを、その両方
が存在する場合にのみ光が生成するように、同じ細胞タ
イプに向かわせることもできる。例えば一方のリポソー
ムにルシフェラーゼを担持させ、他方にルシフェリンを
担持させることができる。これらのリポソームはターゲ
ッティング成分を保持してもよく、2つのリポソーム上
のターゲッティング成分は同じであってもよいし、異な
ってもよい。感染細胞上のウイルスタンパク質は、感染
した組識または器官の同定に使用できる。免疫系の細胞
は、単一のまたは複数の細胞表面マーカーを用いて局在
化することができる。
【0090】血中循環時間を延長し、血流によるターゲ
ッティングを増進するには、リポソームの表面を、例え
ばリン脂質−ポリエチレングリコール複合体の組み込み
などによってコーティングすることが好ましい。このタ
イプのリポソームはよく知られている。
【0091】(5.細胞)細胞は、原核、真核共に、本
発明の実施に有用なもう1つの物体を構成する。細胞に
も粒子と同様に比較的高濃度の発光成分を負荷できる
が、細胞には、例えば異種遺伝子構築物で細胞をトラン
スフェクションすることによって、発光成分を供給しう
るという利点がある。また、”ターゲッティング成分”
もしくは細胞を対象内の所望の位置に導くのに有効な分
子を発現させる細胞を選択することもできる。別法とし
て、適当なターゲッティング成分を発現させるベクター
構築物で細胞をトランスフェクションすることもでき
る。
【0092】使用する細胞タイプは、その応用に依存す
る。例えば後に詳述するように、サルモネラなどの細菌
細胞を使用することにより、高レベルな時間的空間的解
像度でその感染過程を研究し、その感染過程に対する薬
物または治療剤の効果を評価することができる。
【0093】細菌細胞は有効な物体を構成する。例え
ば、それらをトランスフェクションすることにより、高
レベルの発光成分や高レベルのターゲッティングタンパ
ク質を容易に発現させることができる。また、表面結合
型抗体を発現させる細菌を含む大腸菌ライブラリーを得
て、それをスクリーニングすることにより、選択した抗
原に対する抗体を発現させるコロニーを同定することも
可能である(Stratagene社,カリフォルニア
州ラホーヤ)。次に、このコロニーから得た細菌を、発
光性タンパク質の遺伝子を含有する第2のプラスミドで
形質転換し、形質転換体を本発明の方法で上述のように
使用することにより、哺乳類宿主内の当該抗原を局在化
できる。
【0094】病原性細菌を発光成分と共役させ、それを
動物モデル内で使用することにより、その感染過程を生
体内で追跡したり、新しい抗生物質などの潜在的抗感染
薬を、その感染の抑制に関するそれらの効力について評
価することができる。本発明の裏付けとして行なった後
述の実験によって、この応用の一例を説明する。
【0095】真核細胞も本発明のある側面で物体として
有用である。所望の調節要素を含有する適当な発現ベク
ターが市販されている。それらのベクターを用いて、初
代培養細胞、体細胞、リンパ細胞などを含む種々の真核
細胞中で所望の発光性タンパク質を発現させうる構築物
を作成することができる。これらの細胞は、一過性発現
試験にも使用できるし、細胞系の場合は安定な形質転換
体として選択することもできる。
【0096】形質転換細胞における発光性タンパク質の
発現は、選択された様々なプロモーターのいずれかを用
いて調節することができる。例えばその細胞を、発現し
たリガンドまたはレセプターによって対象内のある部位
に向かわせる発光体として使用したい場合は、CMVプ
ロモーターやSV40プロモーターなどの恒常的に活性
なプロモーターを使用すればよい。そのような構築物で
形質転換した細胞は、例えばその細胞を殺すことなどに
よって光の発生を阻害する化合物のアッセイにも使用で
きる。
【0097】また、形質転換細胞が対象内に均一に分布
し、ウイルスによる感染やサイトカインによる剌激を受
けたときなど、一定の条件下でのみ発光性タンパク質が
発現するように、形質転換細胞を投与してもよい。これ
らの剌激やその他の剌激に関係する因子に反応するプロ
モーターは、当技術分野で知られている。関連する側面
として、Tet系(GossenおよびBujard,
1992,PANS89:5547−5551)のよう
な誘導性プロモーターを使用して、発光性タンパク質の
発現を一時的に活性化することもできる。
【0098】例えばtat反応性HIV LTR要素を
含有する構築物でCD4+リンパ細胞を形質転換し、そ
れをHIV感染のアッセイとして使用することができる
(IsraelおよびHonigman,1991,G
ene 104:139−145)。そのような構築物
で形質転換した細胞をSCID−huマウス(McCu
neら,1988,Science 241:1632
−1639)に導入し、それをヒトHIV感染症とAI
DSのモデルとして使用することができる。
【0099】例えば恒常的に活性なプロモーターを用い
て上述のように形質転換した腫瘍細胞系は、腫瘍の増殖
と転移をモニターするために使用できる。形質転換した
腫瘍細胞を動物モデルに注射し、腫瘍塊を形成させ、増
殖阻害剤候補または転移阻害剤候補で処置しながら、腫
瘍の大きさと転移をモニターすることができる。
【0100】腫瘍細胞は、様々な感染性因子または治療
用化合物に感応する活性を持つ調節可能なプロモーター
を含有する構築物で形質転換された細胞から作成するこ
ともできる。
【0101】(6.細胞形質転換)原核細胞と真核細胞
の形質転換法は共に当技術分野でよく知られている(S
ambrookら,1989,Molecular C
loning:A Laboratory Manua
l,Cold Spring Harbor Labo
ratory Press,第2巻)。適当な調節因子
と多重クローニング部位を持つベクターは広く市販され
ている(例えばカリフォルニア州ラホーヤのStrat
agene社、カリフォルニア州パロアルトのClon
tech社) (IV.発光性タンパク質をコードする遺伝子を含有す
るトランスジェニック動物)もう1つの側面として、本
発明は、発光性タンパク質または発光性のタンパク質複
合体をコードする異種遺伝子構築物を含有するトランス
ジェニック動物を包含する。この構築物は選択したプロ
モーターによって駆動され、例えば発光性タンパク質の
機能的発現に必要な種々の補助タンパク質や、選択マー
カー、エンハンサー要素などを含みうる。
【0102】プロモーターの活性化は、発光性分子と補
助タンパク質をコードする遺伝子の発現量を増大させ
る。プロモーターの活性化は、選択した生物適合体また
はその一部とプロモーター要素の相互作用によって達成
される。活性化がその動物の一部でのみ起こる場合は、
その部分の細胞のみが発光性タンパク質を発現させるだ
ろう。
【0103】例えばインターフェロン誘導性プロモータ
ー(3’−5’ポリA合成酵素のプロモーターなど)を
用いることにより、多数の異なるRNAウイルスによる
トランスジェニック細胞の感染を検出できる。
【0104】関連する側面として、ある種の疾患状態で
発現するプロモーターを用いて、トランスジェニック動
物内の患部を標識し、発光成分の発現を用いて、その疾
患状態に対する処置の効果をモニターすることができ
る。例えば、E−セレクチンは生体内の炎症部位に発現
する(PoberおよびCotran,1991,La
b.Invest.64:301−305)。したがっ
てE−セレクチンプロモーターを単離し、それを用いて
ルシフェラーゼ遺伝子の発現を推進することができる。
【0105】組識特異性プロモーターと共に本発明の方
法を使用することも可能である。これは、例えば体内の
特定の器官または組識の変性を引き起こす発病プロセス
を阻害するのに有効な化合物のスクリーニングを可能に
し、また発育中の動物などにおける細胞(例えばニュー
ロン)の追跡を可能にする。
【0106】当技術分野では、本発明で使用できるプロ
モーターが数多く知られている。また、プロモーター含
有ゲノムDNAを単離するために、その遺伝子のcDN
Aから得られる情報を用いて、クローン化された遺伝子
のプロモーターを単離する方法も知られている。
【0107】(V.発光性複合体の撮像)対象内の意図
する部位に局在した発光性複合体は、いくつかの方法で
撮像できる。そのような撮像の指針と具体例を以下に記
述する。
【0108】(A.発光性複合体の局在)”標的型(t
argeted)”物体、すなわちターゲッティング成
分(物体を対象または動物内の特定の一部位または複数
部位に局在させるように設計された分子または特徴)を
含有する物体の場合、局在とは、対象内で束縛された”
局在型”物体と束縛されていない”遊離型”物体の間の
平衡が本質的に成立した状態を指す。そのような平衡に
到達する速度は投与経路に依存する。例えば血栓を局在
化するために静脈内注射によって投与された複合体は、
注射後数分以内にその血栓で局在または蓄積を達成する
だろう。一方、腸内の感染を局在化するために経口投与
された複合体は、局在を達成するのに数時間を要するだ
ろう。
【0109】また、局在という用語は、単に、物体を投
与した後選択した時間におけるその物体の対象または動
物内での位置をさす場合もある。例えば、本明細書に詳
述する実験では、サルモネラを(例えば経口的に)投与
し、その蔓延を時間の関数として追跡する。この場合、
その物体は、それが投与した細菌の最初の位置を標識
し、その後の蔓延または後退を撮像によって追跡できる
限りは、経口投与後直ちに”局在型”となりうる。
【0110】関連する側面として、例えば発光成分を発
現させる、注射された腫瘍細胞の局在は、その動物内の
ある部位にそれらの細胞が定着し、腫瘍塊を形成するこ
とからなるだろう。
【0111】もう1つの例として、局在は物体が投与後
に分布した状態になった時に達成される。例えば、対象
または動物じゅうの様々な器官における酸素濃度を測定
するために投与された複合体の場合、その複合体は、そ
れがその対象または動物内で本質的に定常的分布状態に
到達した時に、”局在型”あるいは有益となる。
【0112】上述のいずれの場合にも、当業者は、局在
を達成するための時間を適切に見積もることができる。
また、時間の関数としての局在の状態は、発光性複合体
を本発明の方法に従って撮像することにより、追跡する
ことができる。
【0113】(B.光検出装置)本発明の重要な側面
は、哺乳動物内からの微弱な光を妥当な時間で(好まし
くは約30分以内に)撮像することができ、その装置か
らの信号を使って画像を構築できるほど充分に感度の高
い光検出装置の選択である。
【0114】極めて明るい発光成分を使用できる場合お
よび/または撮像する対象または動物の表面近くに局在
した発光性複合体を検出することが可能な場合は、”暗
視”ゴーグルや、シリコン増倍管(SIT)カメラ(例
えば浜松ホトニクスシステムズ(Hamamatsu
Photonic Systems)社,ニュージャー
ジー州ブリッジウォーター)などの一般的高感度ビデオ
カメラを使用できる。しかし、より一般的には、もっと
高感度な光検出法が必要である。
【0115】本発明を実施する際に直面するような極め
て低い光レベルでは、単位面積あたりの光子束があまり
に低くなるので、撮影対象がもはや連続的でないように
見える。その代わりに、それは時間的にも空間的にも互
いに独立した個々の光子によって表される。モニターで
見ると、そのような画像は、それぞれが検出された単一
光子を表わす瞬く光の点のように見える。
【0116】検出されたこれらの光子をデジタル画像処
理装置で経時的に累積することにより、画像を獲得し、
構築することができる。各画像点での信号に強度値を割
り当てる従来のカメラとは対照的に、光子カウント撮像
法では、信号の強度は意味を持たない。その目的は、単
に信号(光子)の存在を検出し、その位置に関して信号
の発生数を経時的に計数することである。
【0117】後述する少なくとも2種類の光検出装置に
より、個々の光子を検出し、画像処理装置で分析できる
信号を作成することができる。
【0118】(1.ノイズ低減型光検出装置)第1の種
類は、光子信号の増幅とは対照的に、光子検出器内のバ
ックグラウンドノイズを減少させることによって感度を
得る装置である。ノイズは主として検出器アレイを冷却
することによって低減される。この装置には、”バック
薄型”冷却CCDカメラと呼ばれる電荷結合素子(CC
D)カメラが含まれる。より高感度な装置では、例えば
CCDアレイの温度を約−120℃まで下げる液体窒素
を用いて、冷却が行われる。”バック薄型”とは、光子
が検出されるためにたどる光路長を短くすることによっ
て、量子効率を増大させる超薄型バックプレートを指
す。とりわけ高感度なバック薄型低温CCDカメラは、
Photometrics社(アリゾナ州トゥーソン)
から入手できるシリーズ200カメラ”TECH 51
2”である。
【0119】(2.光子増幅装置)第2の種類の高感度
光検出器には、光子が検出スクリーンに命中する前に光
子を増幅する装置が含まれる。この種類には、マイクロ
チャネル増倍装置のような増倍装置を持つCCDカメラ
が含まれる。マイクロチャネル増倍装置は通例、カメラ
の検出スクリーンに対して垂直かつ同延的なチャネルの
金属アレイを含有する。マイクロチャネルアレイは撮像
しようとする試料、対象または動物とカメラの間に設置
される。このアレイのチャネルに侵入する光子の大半
は、チャネルを抜け出す前にチャネルの側面と接触す
る。アレイを横切ってかけられた電圧は、各光子衝突か
ら多くの電子を放出させる。このような衝突から生じた
電子は、それらが発生したチャネルから”散弾銃”式に
抜け出して、カメラによって検出される。
【0120】第1段階で生成した電子が、今度は第2段
階で増幅された電子の信号をもたらすように、増倍マイ
クロチャネルアレイを直列に設置すれば、さらに高感度
を得ることができる。しかし感度を増大させると、空間
的解像度が犠牲になり、その空間的解像度は増幅段階を
追加するごとに低下する。
【0121】マイクロチャネル増倍装置型の単一光子検
出装置の典型例は、Hamamatsu社から入手でき
るC2400シリーズである。
【0122】(3.画像処理装置)光子を計数する光検
出装置によって生成した信号は、例えばモニターに表示
したり、ビデオプリンターでプリントできる画像を構築
するために、画像処理装置で処理する必要がある。その
ような画像処理装置は、通例、上述の高感度光子計数カ
メラを含むシステムの一部として販売されており、した
がって同じ供給者(例えばPhotometrics社
やHamamatsu社)から入手できる。他の業者か
ら入手した画像処理装置も使用できるが、一般的には、
機能的なシステムを構築するのに、より多くの努力が必
要になる。
【0123】画像処理装置は通常、IBM互換PCやア
ップルマッキントッシュ(Apple Compute
r社,カリフォルニア州キューパーティーノ)のような
パーソナルコンピューターに接続する。このパーソナル
コンピューターは購入した撮像システムの一部として含
まれている場合もあるし、含まれていない場合もある。
画像がデジタルファイルの形になったら、それを様々な
画像処理プログラム(例えばAdobe System
s社(カリフォルニア州マウンテンビュー)の”ADO
BE PHOTOSHOP”など)で操作し、印刷する
ことができる。
【0124】(C.装置の検出フィールドにおける対象
の固定) (1.装置の検出フィールド)装置の検出フィールドと
は、光子放射の一貫した測定値が得られる領域をいう。
光学レンズを使用するカメラの場合、検出フィールドと
は、単に、そのレンズがそのカメラに与える視野であ
る。また、光検出装置が”暗視”ゴーグルである場合、
検出フィールドとはそのゴーグルの視野である。
【0125】また、検出フィールドは、密に充填された
アレイ状に配置した光ファイバーケーブルの末端が規定
する表面であってもよい。そのアレイは、ケーブルの末
端がカバーする領域(ケーブル間の空隙と相反する)が
最大になるように構築され、対象に極めて近接して設置
される。例えば、プレクシグラスなどの透明素材を対象
に隣接して設置し、その透明素材に隣接して、対象とは
反対側から、アレイを固定することができる。
【0126】アレイの反対側にある光ファイバーケーブ
ルの末端は、マイクロチャネル増倍装置の入力末端など
の検出装置または増倍装置に直接接続することができ、
そうすればレンズの必要がなくなる。
【0127】この方法の利点は、対照と検出器の間の空
隙の大半を排除することにより、かつ/または、レンズ
を排除することにより、光子の散乱および/または損失
が減少することにある。本発明の裏付けとして行なった
実験で使用した60mm AFニッコールマクロレンズ
のような高透過性レンズでさえ、フロントレンズ要素に
到達する光の一部しか透過させない。
【0128】より強度の強いLGMの場合、光ダイオー
ドアレイを光子放射の測定に使用できる。光ダイオード
アレイを比較的柔軟なシートに組み込めば、実施者は、
そのアレイを対象のまわりに部分的に”巻き付ける”こ
とができる。この方法も光子の損失を最小限にし、さら
に生物発光の三次元画像を得る手段にもなる。
【0129】複数の検出器を対象の周囲に設置する方法
や、走査型の検出器または検出器群などを含む他の方法
を使用して、三次元画像を作成してもよい。
【0130】動物または対象の全体が光検出装置の検出
フィールド内にある必要はないということは理解される
だろう。例えば対象の特定の領域に局在することがわか
っている発光性複合体を測定する場合、所望の情報を得
るには、その領域とその周囲の十分な”暗”帯域からの
光だけを測定すれば足りる。
【0131】(2.対象の固定)対象の2次元または3
次元画像を作成したい場合、光子放射を測定している間
は、対象を光検出装置の検出フィールド内に固定してお
く場合がある。約20ミリ秒未満で測定した光子放射か
ら画像を構築できるほどに信号が明るく、対象が特に動
揺していない場合は、測定期間の開始時に対象が検出装
置のフィールド内にあることを保証する以外に、特別な
固定措置は必要ないだろう。
【0132】これに対して、光子放射測定に約20ms
ec以上を要し、対象が動揺している場合は、構築され
た画像に空間情報が保存されるように、その対象の動揺
の程度に合わせて、光子放射測定中、対象の不動を保証
するための予防措置を考慮する必要がある。例えば対象
が人で、光子放射測定時間が数秒程度の場合は、その対
象に光子放射測定(撮像)の間できるだけじっとしてお
いてくれるように頼むだけでよいだろう。これに対し、
対象がマウスのような動物である場合は、その対象を例
えば麻酔や機械的拘束具を用いて固定できる。
【0133】様々な拘束具を作成することができる。例
えば、プレクシグラスシートを発泡材クッション上に固
定して、マウスを数十秒ないし数分間固定するのに有効
な拘束具を作ることができる。そのクッションは、一端
に、動物の頭部用のくぼみを持つ。動物は、その頭部が
くぼみの上になり、息は自由にできるが、その体の動き
は発泡材クッションによって束縛されるように、プレク
シグラスの下に置かれる。
【0134】対象または動物から放射され光の総量のみ
を測定したい場合は、光子放射測定期間が長くても、そ
の対象を固定する必要はない。必要なことは、撮像の
間、対象を光検出器の検出フィールドに閉じ込めておく
ことだけである。しかし、そのような測定中、対象を固
定しておけば、検出される光子が通過する組識の厚さが
動物間でより均一になるから、得られる結果の整合性が
向上するであろうことは理解されるだろう。
【0135】(D.撮像中のその他の問題) (1.蛍光発生成分)蛍光発生成分の可視化には、光検
出器と共に、励起光源が必要である。またその励起光源
が、発光成分からの光子放射を測定している間、点灯さ
れることも理解されるだろう。
【0136】発蛍光団の適切な選択、光源の設置、およ
びフィルターの選択と設置は、すべて情報に富む画像の
構築を容易にするが、これらについては蛍光発生成分に
関する項で上述した通りである。
【0137】(2.高解像度画像)組識による光散乱
は、総光子放射の測定によるLGMの撮像で得ることが
できる解像度を制限する。本発明が、対象内の選択した
点に集中させることができ、しかも組織内で有意に散乱
しない外部源に、LGMの発光を同期させることによっ
て、解像度のより高い画像を構築できる態様をも包含す
ることは、理解されるだろう。例えば、集束させた超音
波信号を使って、撮像する対象を三次元的に走査するこ
とができる。超音波の焦点内にある領域からの発光は、
その超音波によって光に与えられた特徴的な振動によ
り、他の光子放射から分離することができる(例えばH
oustonおよびMoerner,米国特許第4,6
14,116号,1986年9月30日発行) (E.光子放射画像の構築)発光成分が例外的に明るい
ため、かつ/または、発光性複合体が対象の表面近くに
局在するために、”暗視”ゴーグルまたは高感度ビデオ
カメラを使って画像を得た場合は、単に画像を見るか、
ビデオモニターに表示するだけである。所望であれば、
分析または印刷用に個々のビデオフレームをメモリーに
保存でき、かつ/または、コンピューターで分析と印刷
用に画像をデジタル化できる画像処理装置に、ビデオカ
メラからの信号を迂回させることができる。
【0138】また、光子計数法を使用する場合は、光子
放射の測定により、各ピクセル位置で検出した光子の数
を表わす数字の配列が、画像処理装置内に生成する。こ
れらの数字を用いて、通常は光子数を(一定の予め選択
した値、またはいずれかのピクセルで検出された最大数
に対して)規格化し、その規格化した数値を明るさ(グ
レースケール) または色(擬似色)に変換して、それ
をモニターに表示することにより、画像を作成する。擬
似色表示の場合、典型的な色の割り当ては次の通りであ
る。ゼロ光子カウントのピクセルには黒色を、低いカウ
ントには青色を、カウントが増加するほど波長の長い色
を割り当て、最高光子カウントには赤色を割り当てる。
モニター上の色の位置は光子放射の分布を表わし、した
がって発光性複合体の位置を表わす。
【0139】複合体に対して準拠座標系を与えるため
に、通常は、光子放射を測定した(まだ固定されてい
る)対象のグレースケール画像を構築する。このような
画像は、例えばかすかなルームライトのなかで撮像室ま
たは撮像箱に向かって扉をあけ、反射した光子を(通
例、光子放射を測定するのに要する時間のごく一部に相
当する時間)測定することによって構築できる。このグ
レースケール像は、光子放射を測定する前に構築しても
よいし、光子放射を測定した後に構築してもよい。
【0140】通例、光子放射の画像をグレースケール像
に重ね合せることにより、対象に関する光子放射の合成
画像を作成する。
【0141】例えば選択した生物適合成分の分布および
/または局在に対するある処置の効果を記録するため
に、発光性複合体の局在および/または発光性複合体か
らの信号を経時的に追跡したい場合は、光子放射の測定
または撮像を選択した時間間隔で反復することにより、
一連の画像を構築することができる。間隔は数分程度の
短いものであってもよいし、数日または数週間程度に長
いものであってもよい。
【0142】(VI.光子放射画像の分析)本発明の方
法および/または本発明の組成物を使用して作成した画
像は、様々な方法で分析できる。それは、単純な視覚的
検査、頭脳評価および/またはハードコピーの印刷か
ら、複雑なデジタル画像分析まで様々である。分析によ
って得られる情報の解釈は、観察する現象と使用した物
体に依存する。
【0143】下記の実験は本発明の応用例の一つ(生体
ラットにおけるサルモネラ感染の追跡)であり、本発明
の方法で得られる画像を、どのように分析できるかを例
示するものである。
【0144】(VII.生体マウス内の発光性サルモネ
ラの撮像)本発明の裏付けとして行なった実験では、マ
ウスにおけるネズミチフス菌(Salmonella
typhimurium)感染(ヒトチフスの動物モデ
ル)の分布を特徴づける。マウス病原性ネズミチフス菌
SL1344(HoisethおよびStocker,
1981,Nature 291:238−239)、
SL1344の非侵入性突然変異体BJ66、およびサ
ルモネラの低病原性LT−2株LB5000を、それぞ
れluxオペロンを含有するプラスミドで標識し、マウ
スにおけるサルモネラ感染を局在化する実験に使用し
た。
【0145】(A.発光性サルモネラの構築) (1.サルモネラ株)マウスに対する経口および腹腔内
接種によって明らかになる病原性表現型が異なる3株の
ネズミチフス菌を、形質転換のために選択した。
【0146】ここで使用した最も病原性の高い表現型は
SL1344であり、これはもともと子牛の致死的感染
症から得られたマウス株である(Hoisethおよび
Stocker,1981,Nature 291:2
38−239)。この株をマウスに経口接種すると、細
菌はリンパ系を通って全身に転移し、肝臓、脾臓および
骨髄のコロニー形成をもたらす(CarterおよびC
ollins,1974,J.Exper.Med.1
39:1189−1203;FinlayおよびFal
kow,1989,Mol.Microbiol.3:
1833−1841とHsu,1989,Microb
iol.Rev.53:390−409の総説をも参照
のこと)。
【0147】SL1344の非侵入性突然変異体BJ6
6も評価する。BJ66の経口接種は通常、マウスにお
ける全身性感染を引き起こさないが、この株を腹腔内接
種すると、全身性感染が起こる。
【0148】サルモネラの低病原性LT−2株LB50
00も調べる。LT−2株は、マウスに対する病原性が
減少しているまたは変動することが知られている研究室
株である。LB5000は複数の栄養要求性突然変異を
含有し、ストレプトマイシン耐性であり、経口または腹
腔内接種後、マウスから浄化される。
【0149】(2.luxオペロンによるサルモネラ株
の形質転換)上記3株のそれぞれを、luxオペロンを
コードするプラスミドで、実施例1に詳述するように形
質転換する。土壌菌Xenorhabdus lumi
nescens(Frackmanら,1990)から
得られたこのプラスミドは、ヘテロ二量体ルシフェラー
ゼの2つのサブユニットと、3つの補助タンパク質lu
xC、luxDおよびluxEの発現によって、大腸菌
に光子を放射する能力を与える。
【0150】luxC、luxDおよびluxEが含ま
れるので、そのルシフェラーゼ発現細胞には、脂肪族ア
ルデヒド基質ルシフェリンを与える必要がない。本明細
書に記述するような生体系内の真核ルシフェラーゼに基
質を供給することは困難だろうから、X.lumine
scensの全luxオペロンを使用する。このオペロ
ンは、当該脂肪族アルデヒド基質を生合成するための酵
素をもコードする。
【0151】α−βヘテロ二量体混合機能オキシダーゼ
であるX.luminescensルシフェラーゼは、
還元型フラビンと長鎖アルデヒドの酸化型フラビンと対
応する長鎖脂肪酸への酸化を触媒する。アルデヒドの脂
肪酸からの生成と再生には、脂肪酸レダクターゼ複合体
が必要であり、NAD(P)H: フラビンオキシドレ
ダクターゼが還元型フラビンを供給する。
【0152】X.luminescensのlux遺伝
子を発現させる大腸菌にとって最適な生物発光条件は3
7℃である(SzittnerおよびMeighen,
1990,J.Biol.Chem.265:1658
1−16587,Xiら,1991,J.Bact.1
73:1399−1405)。これに対し、真核発光生
物と他の原核発光生物に由来するルシフェラーゼ類は通
例、より低い最適温度条件を持つ(Campbell,
1988,Chemiluminescence.Pr
inciples and Applications
in Biology and Medicine
(英国チチェスター:Ellis Horwood社お
よびVCH出版社))。したがってX.lumines
cens由来のルシフェラーゼは、動物内での研究にマ
ーカーとして使用するのに適している。
【0153】全X.luminescens luxオ
ペロンを含有し、かつ、サルモネラにアンピシリン耐性
とカルベニシリン耐性を付与するプラスミドpGSL1
(Frackmanら,1990)を用いて、上記3株
をエレクトロポレーションによって形質転換する。この
X.luminescens luxオペロンは、lu
xA、luxB、luxC、luxDおよびluxE遺
伝子を含有する(Frackmanら,1990)。l
uxAとluxBはヘテロ二量体ルシフェラーゼの2つ
のサブユニットをコードし、luxCとluxDはルシ
フェラーゼ基質の生合成酵素をコードし、luxEは調
節遺伝子である。培養中の細胞に外からルシフェリンを
供給したり、動物を基質で処置するのとは対照的に、基
質生合成用遺伝子の包含は、ルシフェラーゼに基質を提
供する便利な手段である。
【0154】(B.形質転換したサルモネラの試験管内
での特徴づけ) (1.付着性と侵入性)上記luxプラスミドを含有す
る3つのサルモネラ株の付着性と侵入性を、Finla
yおよびFalkow,1989,Mol.Micro
biol.3:1833−1841に記述されているよ
うな一般的な侵入アッセイ(実施例2に詳述)により、
培養中で互いに比較、またそれらの非発光性親株と比較
する。
【0155】このアッセイでは、上皮細胞系および腹腔
マクロファージと共に培養した後、付着細菌と細胞内細
菌を定量する。付着細菌と細胞内細菌は、生きている細
胞からの光子の放出と、溶解してその細胞溶解液をカル
ベニシリン含有プレートで培養した後のコロニー形成単
位との両者によって、検出、定量する。
【0156】このアッセイの一部の結果を図2A〜2E
に示し、実施例8で考察する。lux発現プラスミドで
形質転換した上記3株の表現型は、親サルモネラ株と比
較して有意に変化しない。また、HEp−2細胞とマク
ロファージからの生物発光の強度とCFUの間には良好
な相関が認められる。これらの結果は、細胞内細菌の指
標としての発光が、培養内の細菌の侵入性をアッセイす
る迅速な方法であることを示している。
【0157】BJ66のHEp−2に対する付着性はS
L1344と比較して低かったが、マウス腹腔マクロフ
ァージの初代培養におけるこれら2株の付着性は同等だ
った。
【0158】(2.光放射)系の酸素要求性を調べるた
め、実施例3に詳述するように、細菌の10倍連続希釈
液をガラス製毛細管内に入れ、撮像する。
【0159】図3に、そのような実験の一つで作成した
画像を示す。発光は、空気飽和培地中に少数の細菌を含
む管でさえ、空気−液体界面でのみ検出される(51中
に0.1mlの空気飽和緩衝液で最終O濃度は5nM
になる)。
【0160】これらの結果から、酸素がおそらくは発光
にとって制限因子であることは明らかである。
【0161】(3.動物組識を貫通する光透過)光が動
物組識を貫通する程度を決定するために、発光性サルモ
ネラから放射され組識を透過した光を、単一光子を検出
するために高速同時検出器を切ったシンチレーション計
数器を用いて定量する。このタイプの光電子増倍管の暗
電流によるバックグラウンドは有意であるので、このア
ッセイは、比較的強い光子放射を伴う試料に限定され
る。
【0162】透明度の異なる4タイプの組識:ヒヨコ胸
部の筋肉、ヒヨコ胸部の皮膚、子ヒツジの腎臓、および
子ヒツジの腎臓から得た腎臓髄質、をこの方法で比較す
る。組識を貫通して検出できる光子の数は、組識を通さ
ない対照より約10倍少ない。
【0163】(4.luxサルモネラの生体内での特徴
づけ) (a.経口投与)経口接種はマウスやヒトにとって自然
なサルモネラ感染経路であり、より遅延性の疾患進行を
もたらす。この接種経路によるサルモネラ感染の進行を
研究するために、2系統のマウスを3株のサルモネラに
感染させる。耐性動物を用いて得た結果については、下
記”耐性マウスの感染”という見出しの項で議論する。
【0164】実施例5に記述するように、Balb/c
マウスを病原性SL1344lux、非侵入性BL66
luxおよび低病原性LB5000luxサルモネラに
経口的に感染させる。その感染の進行を外部撮像法(”
材料と方法”の項)によって8日間にわたって追跡す
る。
【0165】典型的な画像を図5A〜Fに示す。接種後
(p.i.)24時間の時点で、生物発光シグナルはす
べての感染動物内で単一の病巣に局在する(図5A、5
Cおよび5E)。接種後7日までには、低病原性LB5
000luxに感染したすべての動物で、生物発光が消
える(図5B)。これに対し、病原性SL1344lu
xに感染した動物の場合、蔓延が始まる時点は動物ごと
にかなり変動するものの、しばしば腹腔の大半に蔓延す
る激しい感染を示す(図5F)。BJ66luxによる
感染は通例、持続し、単一の部位に局在したままとなる
(図5D)。
【0166】(b.腹腔内接種)サルモネラの複製部位
にルシフェリンの酸化とそれに続く発光(Campbe
ll,1988,Chemiluminescenc
e.Principlesand Applicati
ons in Biology and Medici
ne(英国チチェスター:Ellis Horwood
社およびVCH出版社))に足るOが存在するかどう
かを評価するために、呼吸している動物の組識からの光
放射を測定する。発光性のSL1344luxとLB5
000luxを2群のBalb/cマウスの腹腔内に接
種する。接種後(p.i.)32時間の時点で、透過し
た光子を撮像する(図6)。
【0167】SL1344luxに感染したマウス(図
の左側)では、透過した光子が大きな表面上に確認さ
れ、様々な強度の焦点が見える。これらの画像は播種性
感染を示し、内臓(おそらくは肝臓と腸間膜リンパ節を
含む)の広範なコロニー形成と合致する。これに対し、
LB5000luxに感染した動物からの透過光子の分
布は極めて制限されており、限定的感染を示す。
【0168】LB5000lux感染マウスは接種後数
週間にわたって健康を維持したが、SL1344lux
感染マウスは接種後4日でほぼ瀕死状態になり、安楽死
させた。
【0169】これらの実験は、血中または組識中のO
レベルが、サルモネラから発現したluxルシフェラー
ゼの生物発光にとって十分であることを示している。ま
た、これらの実験は、病原性が減少した研究室株LB5
000と比較して病原性株SL1344の侵入性が強い
こととも合致している。
【0170】(c.耐性マウスの感染)Ity遺伝子座
がヘテロ接合性を示すマウス(Ity r/s)は、ネ
ズミチフス菌による全身性感染症に対して耐性である
(PlantおよびGlynn,1976,J.Inf
ect.Dis.133:72−78)。Bcg(Gr
osら,1981,J.Immunol.127:24
17−2421)またはLsh(Bradley,19
77,Clin.and Exper.Immuno
l.30:130−140)とも呼ばれるこの遺伝子座
は、鼡らい菌(Mycobacterium lepr
aemurium;Forgetら,1981,Inf
ect.Immunol.32:42−47)、ウシ結
核菌(M.bovis;Skameneら,1984,
Immunogenet.19:117−120,Sk
ameneおよびPietrangeli,1991,
Nature 297:506−509)およびバテー
杆菌(M.intracelluare;Gotoら,
1989,Immunogenetics 30:21
8−221)のようなある種の細胞内病原体の発病プロ
セスを調節する。細胞内病原体に対する耐性と感受性の
同様な遺伝子制御はヒトにも存在するようである(ヒト
結核菌(M.tuberuculosis;Stea
d,1992,Annals of Intern.M
ed.116:937−941,Steadら,199
0,New Eng.J.Med.322:422−4
27)とらい菌(M.leprae))。
【0171】Ity遺伝子座はマウスの第1染色体に2
つの対立遺伝子型、Ity(耐性、優性)とIty
(感受性、劣性)で存在する。Ity遺伝子座にコード
されている遺伝子は、マクロファージが内部移行した病
原体を破壊する能力に影響を与え(Blackwell
ら,1991,Immunol.Lett.30:24
1−248(1991)による総説がある;Skame
neら,1984,Immunogenet.19:1
17−120とSkameneおよびPietrang
eli,1991,Nature 297:506−5
09をも参照のこと)、それがマクロファージ媒介性と
される感染宿主内の他の部位への病原体の輸送という下
流の機能に影響を及ぼすようである。Balb/cマウ
スはItys/sであり、129マウスはItyr/r
である。ここに詳述する実験では、ヘテロ接合性Bal
b/cX129マウス(Ityr/s)を使用する。
【0172】実施例7に詳述するように、耐性129X
Balb/c(Ityr/s)生存マウスを、1X10
個のSL1344luxサルモネラの胃内接種によっ
て感染させる。そのマウスを注射後8日間(8 d.
p.i)にわたって毎日撮像する。
【0173】図7A(第1日)と図7B(第8日)に結
果を示す。外部撮像法によって検出される発光は接種後
24時間の時点で明白であり、全ての動物で単一の部位
に局在しているようであった。その発光シグナルは試験
期間(接種後8日まで)中常に存在する。発光の強度と
発光源の位置は、一匹のマウス内で経時的にいくらか変
動し、またマウスごとにも変動しうる。いずれの感染動
物でも発光組識は盲腸であり(下記参照)、所在の変動
性は(おそらくは強度の変動性も)齧歯類の内部器官が
正しい位置に強く固定されていないという事実によるの
だろう。
【0174】これらの動物で観察された明らかな限定的
感染は、このIty制限がマクロファージ輸送を遮断す
るという解釈を裏付けている。しかし10日間というこ
の感染の持続性は、腸粘膜に対する付着があることと、
発光性の糞粒によって立証されるように、これらの動物
の糞内に細菌の脱離が長期間続くことを示唆している。
これらの結果は、生体内におけるこのサルモネラの発光
性表現型が、Ity制限動物中で8日間にわたって保た
れることと、経口接種後の局在が可能であることを示し
ている。
【0175】(d.経口接種後の内部撮像)腹腔内の発
光シグナルをさらに局在化するため、感染マウスを腹壁
切開後に撮像する(図8)。経口経路で感染させた動物
のいずれにおいても、主な疾患症状は盲腸の拡張である
(図8A〜C)。”外部”画像(図8A)は限局的な発
光を示し、それは腹壁切開後の画像(図8B)で盲腸に
あたることがわかる。
【0176】腸内に空気を注入すると、消化路の他の領
域における細菌の存在が確認される。結腸と直腸内の細
菌はルシフェラーゼを発現させているらしいが、それら
の部位からの発光は、低い酸素濃度によって制限されて
いるらしい。
【0177】経口接種試験で得た画像は、接種後2日お
よび接種後7日の発光シグナルが、LB5000lux
に感染したマウスを除いて、ほとんど完全に各動物の盲
腸に局在することを示している(Popeskoら,1
990,A ColourAltas of Anat
omy of Small LaboratoryAn
imals Vol.Two:Rat Mouse H
amster(英国ロンドン:Wolfe))。発光は
数匹の結腸にも見える。接種後7日までに、LB500
0lux感染動物内に発光は認められなくなる。これら
のマウスの器官中に存在するCFUを接種後2日と5日
に測定する。
【0178】侵入性株SL1344luxを胃内に感染
させた動物では、盲腸内の発光が初期に現われ、その
後、全身性の感染が起こる。これに対し、非侵入性BJ
66lux株による感染は盲腸からの持続的な発光をも
たらし、それが全試験期間(8日間)にわたって維持さ
れる動物もある。接種後8日までに、腹部表面の大半に
発光が検出され、それはSL1344lux感染マウス
における腹腔内接種後の光子の分布に似ている。
【0179】SL1344luxによる感染は、予想通
り、光子を放射する表面積が増大し、そこから放射され
る光子を累進的に増やしながら、全身性となるようであ
る。いずれの株による感染でも、発光は腹部上に局在
し、この領域の外側からの発光はほとんど検出されない
ようである。大量の透過光子が腹部上に単一の焦点とし
て局在し、このことは、たとえ感染が全身性であって
も、複製の大半が腸を取り巻く領域にあることを示唆し
ている。
【0180】盲腸上に発光が局在することは、腸のこの
領域に大量の生物が存在することを示すだけでなく、発
光するに足る酸素が得られるように、サルモネラがその
粘膜の細胞に結合することをも示唆している。ルシフェ
ラーゼからの光子の放射は酸素依存性であり、盲腸また
は小腸の管腔内の予想酸素レベルは、発光に必要なレベ
ルより低い。ルシフェラーゼ反応は、細菌が腸上皮の細
胞から酸素を得られない限り、腸内では機能しないと予
想される。
【0181】したがって全身性感染は侵入性表現型に関
係し、腸の上皮細胞への単なる付着とは関係しないと思
われる。これらの実験は、盲腸がこの発病プロセスの保
菌状態で、あるいは播種部位として、何らかの役割を持
つことを含意している。
【0182】異なる組識への感染の進行をモニターすれ
ば、発病プロセスにおけるこれらの段階についての理解
を著しく深めることができ、選択した段階でその病原体
を抑制するのに有効な化合物のスクリーニングが可能に
なるだろう。
【0183】(e.腹腔内接種後の内部撮像)SL13
44luxを腹腔内に感染させたマウスを腹壁切開の前
後に撮像する(実施例9)。その結果を図9に示す。そ
の画像は、腹部の大部分に、複数の透過光子焦点を伴う
発光を示す。盲腸は発光性サルモネラを含有しないよう
である。これらの実験から得られた結果は、すべてのサ
ルモネラ株が、感染の初期相で発光するに足るOを持
つことを示している。しかし、その後の時点での全身性
感染はSL1344lux感染マウスにのみ認められる
ので、サルモネラの粘膜の細胞への侵入と、その後の全
身性感染は、侵入性表現型を持つ株に限られるようであ
る。
【0184】(f.サルモネラ感染に対するシプロフロ
キサシンの影響)非侵襲的撮像法が薬物に対する感染症
の反応を追跡するのに有用であることを示すために、実
施例10に詳述する実験を行なう。マウスにSL134
4luxを経口接種し、サルモネラ感染症に有効な抗生
物質シプロフロキサシン100mgで処置する。処置後
の選択した時期に、それらのマウスを撮像し、光子放射
を測定することによって感染の程度を定量する。処置マ
ウス内の光子放射を、処置開始前の値および感染したが
処置していない対照マウスからの値と比較する。このよ
うな実験の一つで得た結果を図10A〜Eに示し、実施
例10で考察する。抗生物質で処置したマウスにおける
感染症は、処置マウスにおける0時間での病原体レベル
および対照マウス内の病原体レベルと比較して、処置期
間中常に低い。
【0185】(g.カルベニシリン選択の効果)Duc
luzeauら,1970,Zeut.Bakt.53
13:533−548は、抗生物質による動物の処置が
サルモネラによる盲腸のコロニー形成を促進することを
示した。本実験におけるマウスは、ルシフェラーゼクロ
ーンを含有するAmpサルモネラを選択するために、
カルベニシリンの筋肉内注射という抗生物質措置をして
維持される。この処置は、胃腸感染症の経過を変化させ
るかもしれないが、サルモネラが盲腸を裏打ちする細胞
と結合できるという観察結果は、酸素を発光に利用でき
るということを示している。盲腸の管腔は一般に嫌気環
境であると考えられているから、この観察結果は注目に
値する。
【0186】(VIII.応用)生物発光技術は様々な
宿主−病原体系に広く適用できると共に、例えば生きて
いる哺乳動物内での腫瘍の進行や遺伝子発現などに関す
る他の生物学的事象の時間的空間的評価をも可能にする
だろう。またこれは、医薬の開発とスクリーニングにも
応用できる。病原体の生体内撮像を広範に使用すれば、
病原および/またはリアルタイム試験抗菌剤に関する実
験に必要な動物数と時間を減らすことができるだろう。
また、発光性細菌は環境分析に使用されているが、生物
発光性生物は生きている動物内のバイオセンサーとして
有用だろう。例えばKorpelaらは、胃腸路の管腔
内では酸素供給が制限されているため、酸素が(おそら
くは上皮細胞または他の細胞タイプから)直接的にサル
モネラに接近できる部位に、生物発光が限定されたこと
を示している。Korpelaら,1989,J.Bi
olum.Chemilum.4:551−554。こ
の酸素要求性は、親密な細胞−細胞相互作用の指標とし
て、あるいは生きている動物中の様々な部位における酸
素濃度を調べるためのバイオセンサーとして利用できる
だろう。以下、この技術の典型的応用例を例示のために
いくつか記述するが、これらは決して本発明の限定を意
図するものではない。
【0187】(A.酸素レベルの測定)上に要約した実
験で明示されたようにルシフェラーゼの発光に酸素が必
要であるということは、本発明を、対象内の酸素濃度の
空間的勾配の測定法として利用できるということを示し
ている。10〜1mMの範囲の酸素レベルを測定するた
めに、発光性細菌が使用されている。これらの研究によ
れば、0.1nMが検出下限だと予想される(Camp
bell,1988,Chemiluminescen
ce.Pringiples and Applica
tions inBiology and Medic
ine(英国チチェスター:EllisHorwood
社およびVCH出版社))。本明細書に記述する撮像法
は、生きている動物内の様々な部位における酸素レベル
を調べるのに利用できる。例えばO中で、またはCa
2+依存的に光を放射するように操作された微生物を、
ちょうど発光性細菌が環境分析に使用されるように(G
uzzoら,1992,Tox.Lett.64/6
5:687−693;Korpelaら,1989,
J.Biolum.Chemilum.4:551−5
54;Jassimら,1990,J.Biolum.
Chemilum.5:115−122)、対象内のバ
イオセンサーとして使用することができるだろう。O
濃度に関する発光のダイナミックレンジは、Oプロー
ブよりはるかに広く、より低いO濃度に達する(Ca
mpbell,1988,Chemiluminesc
ence.Principles and Appli
cations in Biology and Me
dicine(英国チチェスター:Ellis Hor
wood社およびVCH出版社))。さらに、O濃度
に比例する発光は、30nMから8mMまでの範囲にわ
たって直線的であり、1/2最大発光には9mMO
必要である。
【0188】(B.腫瘍細胞の局在)対象内の腫瘍の増
殖と転移的蔓延は、本発明の方法と組成物を用いてモニ
ターできる。特にその個体が原発腫瘍を持つと診断され
る場合は、その腫瘍の細胞に対するLECを用いて、腫
瘍の境界を明確にし、かつ、その原発腫瘍塊から細胞が
離れた部位に移動し、定着したかどうかを決定すること
ができる。
【0189】例えば、腫瘍抗原に対する抗体を含有しか
つLGMが添加されているリポソームなどのLECを、
対象に投与し、対象内の腫瘍細胞に結合させ、撮像し、
その光子放出の領域を腫瘍細胞の領域と相関させること
ができる。
【0190】関連する側面として、上述のような腫瘍局
在性LECを使用した画像を、選択した時間間隔で作成
することにより、ある対象内で腫瘍の増殖、進行および
転移を経時的にモニターすることができる。このような
モニタリングは、抗腫瘍療法の結果の記録に、あるいは
腫瘍の増殖または転移を抑制するのに有用だと推定され
る治療用化合物のスクリーニングの一部として有用だろ
う。
【0191】また、腫瘍細胞を恒常的に活性なプロモー
ターの制御下にあるルシフェラーゼ構築物で形質転換
し、それを使って、上述のように、動物モデル中に発光
性腫瘍を誘導することもできる。そのような動物モデル
は、抗腫瘍化合物候補の効果を評価するのに使用でき
る。
【0192】(C.炎症の局在)上述と同様の方法で、
本発明の組成物と方法を使用することにより、炎症部位
を特定し、炎症を経時的にモニターし、かつ/または、
抗炎症性化合物候補のスクリーニングを行なうことがで
きる。炎症部位に向かわせるのに有用な分子には、セレ
クチンに結合するELANタンパク質ファミリーがあ
る。ELAN分子を本発明の物体上にターゲッティング
成分として組み込み、それを使って、炎症部位を標的に
することができる。
【0193】また、E−セレクチンプロモーターの制御
下にルシフェラーゼを持つよう遺伝子組換えした動物を
作出することにより、抗炎症性物質候補を研究するため
の動物モデルを作出することができる。E−セレクチン
は炎症部位に発現するので、炎症部位にあるトランスジ
ェニック細胞はルシフェラーゼを発現させるだろう。
【0194】この系は、抗炎症性物質のスクリーニング
に使用できる。炎症性剌激を対照動物と実験動物に投与
し、処置動物内で誘導される発光に対する抗炎症性化合
物候補の影響を対照動物と比較することにより、それら
抗炎症性化合物候補の効果を評価することができる。
【0195】(D.感染の局在)本発明を裏付けるため
に行なった上述の実験で例証されるように、LGCは、
病原体による対象の感染の経過を追跡するのに有効に利
用できる。本明細書に詳述する実験では、LGCは、ル
シフェラーゼを発現させるように形質転換された病原性
細胞(サルモネラ)である。このような系は、感染とそ
の後の感染の蔓延をヒト疾患の動物モデルで研究するの
に理想的である。このような系によれば、病因の研究に
熱や腫脹などの伝統的な全身症状ではなく感染部位と疾
患の進行部位を用いて、感染性疾患の進行をモニターす
ることができる。
【0196】抗感染薬の効力をモニターするために外部
撮像法を使用すれば、生きている個々の動物中で時間的
空間的評価を行なうことができ、それによって病原およ
び/または試験抗感染薬に関する実験に必要な動物の数
を減らすことができる。
【0197】以下、実施例により本発明を説明するが、
これらは決して本発明の限定を意図するものではない。
【0198】(材料と方法) (A.細胞)サルモネラ株SL1344とLB5000
は B.A.D.Stocker(スタンフォード大
学;HoisethおよびStocker,1981,
Nature 291:238−239)から入手し
た。サルモネラ株BJ66はB.D.Jones(スタ
ンフォード大学)から入手した。
【0199】HEp−2細胞はAmerican Ty
pe Culture Collection(ATC
C;メリーランド州ロックビル・パークローンドライブ
12301;受託番号CCL−23)から入手した。
【0200】マウス腹腔マクロファージは、安楽死させ
たBalb/cマウスの腹腔を7mlの生育培地で洗浄
することによって得た(MaximowおよびBloo
m,1931,Textbook of Histol
ogy,Saunders,フィラデルフィア)。
【0201】(B.静置培養)100mg/mlのカル
ベニシリンを含むLBブロス3mlに、定常期培養から
得た細菌懸濁液6μlを接種し、その細菌を7mlの静
置培養管中37℃で終夜生育することにより、低酸素
(静置)培養を調製した。
【0202】(C.マウス)Balb/c(Ity
s/s)マウスは、スタンフォード大学の腫瘍学科(t
he Department of Oncolog
y)から入手した。129XBalb/c(Ity
r/s)マウスはスタンフォードトランスジェニック動
物施設(the Stanford Transgen
ic Animal Facility;カリフォルニ
ア州スタンフォード)から入手した。動物はすべて、光
周期、給餌法および温度条件を同一にして、スタンフォ
ード大学研究動物施設(the Stanford U
niversity ResearchAnimal
Facility;カリフォルニア州スタンフォード)
で飼育した。
【0203】麻酔は動物の腹腔内に33μg/kg−体
重のネンブタールを注射することによって行った。
【0204】安楽死は、スタンフォード大学研究動物施
設が推奨するプロトコールに従って、COによる窒息
または頚椎脱臼によって行った。頚椎脱臼は、窒息によ
る生理学的変化が実験結果に影響を与えるかもしれない
場合に使用した。
【0205】lux形質転換サルモネラに感染したマウ
スには、luxオペロンを含有するAmpプラスミド
が保持されるような選択圧を発光性サルモネラに与え続
けるために、カルベニシリンの筋肉内(i.m.)注射
(体重1kgあたり125mg)を毎日施した。
【0206】(D.撮像)撮像すべき動物または対象
を、2段階マイクロチャネル増感ヘッドを持つ電荷結合
素子(CCD)カメラ(モデルC2400−40,Ha
mamatsu社)と扉とを持つ光を通さない箱の中に
固定した。そのカメラを、箱の外へ通じるケーブルを介
して”ARGUS50”画像処理装置(Hamamat
su社)に接続した。
【0207】上述のICCDシステムは、いったん10
〜30光子の域値に到達すれば、単一光子を検出でき
る。このシステムの信号対雑音比は、信号強度に依存し
て2:1から1X10:1までに及んだ。
【0208】グレースケール画像は、かすかなルームラ
イトの中でライトボックスの扉をあけ、8〜64フレー
ム間積分することによって得た。グレースケール画像の
ゲインは、その画像が最適となるように設定した(通
例、0〜10,000ボルトのスケールで3000ボル
ト)。
【0209】生物発光データは、外部照射の不在下に得
た。露出設定は次の通りとした:黒レベルはカメラ/画
像処理装置によって自動的に設定、ゲインは増倍装置コ
ントローラーで自動的に設定、Fストップは2.8に設
定した。60mm”AFニッコール”マクロレンズを使
用した(ニコン(Nikon)社,ニューヨーク州メル
ヴィル)。
【0210】生物発光画像は、選択した時間(通例5分
間)光子を積分することによって作成した。データは、
いずれの動物についても、1ピクセルあたり0〜3ビッ
トの最低ビットレンジ設定で表わす。生物発光シグナル
の分解能を0〜3のビットレンジにできなかった他の物
体(すなわち24ウェルプレート)の画像については、
レンジを生物発光シグナルの局在化が可能な設定(通例
1〜7)に増やした。5分間の撮像で付加的な情報が得
られなかった場合は、物体をより短い時間で撮像した。
【0211】外部撮像とは、動物の非侵襲的撮像を指
す。内部撮像とは、動物の部分的切開(通例、腹壁切
開)後の撮像を指す。内部撮像は、外部撮像で局在化し
た光子放射の光源を確認するために、選択した動物で行
なう。
【0212】生物発光画像データは、検出された光子の
強度を表わす擬似色発光画像として表わす。通例、青色
(低強度)から赤色(高強度)までの6つの強度レベル
を使用する。
【0213】ここに掲載する図を作成するために、グレ
ースケール画像と生物発光画像を画像処理装置を使って
重ね合せることにより、空間的準拠座標系を与える合成
画像を作成した。
【0214】合成画像はRGB CRT(赤、緑、青;
ブラウン管)モニターに表示し、そのモニターを撮影し
てハードコピーを作った。また画像処理装置画像をデジ
タルファイルとして保存し、そのファイルをコンピュー
ターに移し、それをそのコンピューターに接続したカラ
ープリンターで印刷することによっても、ハードコピー
を作成した。別法として、ビデオプリンターを使用して
ビデオ信号を直接印刷することにより、ハードコピーを
作成してもよい。
【0215】
【実施例】(実施例1) (pCGLS1luxプラスミドによるサルモネラの形
質転換)サルモネラ株SL1344、BJ66およびL
B5000を、Xenorhabdus lumine
scens由来のluxオペロン(Frackman
ら,1990)をコードするpUC18系ベクターpC
GLS1で形質転換した。
【0216】(A.pCGLS1プラスミド)pCGL
S1プラスミドの概略を図1A、1Bおよび1Cに示
す。このプラスミドは、土壌菌Xenorhabdus
luminescens由来のlux遺伝子をコード
する〜11kb領域(図1A;Frackmanら,1
990)を、pUC18(図1C;Clontech
社,カリフォルニア州パロアルト)のBam HI部位
(図1B)にクローニングすることによって構築した。
このべクターの構築はFrackmanらの報文(19
90)に記述されている。
【0217】図1A中の制限酵素部位は、次のように記
載されている:Bs,Bst EII;C,Cla
I;E,Eco RI;H,Hind III;M,M
luI;S,Sca I;X,Xba I;B/Sa,
Bam HIおよびSau3A接合点。多重クローニン
グ部位(MCS)を含む配列を図1Bに記載し、そのB
am HI部位を太字で示す。
【0218】挿入物を含まないpUC18ベクターの図
解を図1Cに示す。印を付けた要素には、アンピシリン
耐性遺伝子(Ap)、lac Z遺伝子(lac Z)
および大腸菌の複製起点(Ori)が含まれる。非修飾
pUC18ベクターのサイズは約2.7kbである。
【0219】(B.サルモネラの形質転換)サルモネラ
株Sl1344、BJ66およびLB5000のエレク
トロコンピテント細胞を一般的な方法(Sambroo
kら,1989,Molecular Clonin
g:A Laboratory Manual,Col
d Spring Harbor Laborator
y Press,第2巻)で作成し、使用直前まで−8
0℃で保存した。エレクトロポレーションは次のように
行なった。1μlのプラスミド(0.2μg/ml)
を、10%グリセロールに懸濁した40μlの氷冷エレ
クトロコンピテント細胞に加えた。その懸濁液を1分間
穏やかに混合し、間隙1mmのエレクトロポレーション
キュベットに入れ、Bio−Rad Gene−Plu
ser(Bio−Rad Laboratories
社,カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使って電気穿
孔した。設定は、2.5キロボルト、400オームおよ
び25マイクロファラドとした。
【0220】ルリア−べルチーニ(LB)ブロス中37
℃で1時間攪拌培養した後、100μg/mlカルベニ
シリンを含む(LB)寒天上に細胞をまき、終夜生育し
た。
【0221】標識されたサルモネラの生物発光を最大に
するため、luxオペロンを高コピー数プラスミド上に
維持し、単一コピー遺伝子として組み込まれないように
した。しかしプラスミドは、この研究で使用したSL1
344やBJ66のようなrecA株では特に、細菌細
胞による修飾を受ける。recA遺伝子座は、luxオ
ペロンとβ−ラクタマーゼを含有するプラスミドの領域
を欠失させうるリコンビナーゼをコードする。したがっ
て培養細胞から回収したサルモネラをカルベニシリンの
存在下と不在下の両方で平板培養し、生物発光が失われ
る頻度を決定するために撮像した。ゲンタマイシン処理
し溶解したHEp−2細胞とマクロファージから回収さ
れるコロニーはすべて、アンピシリン耐性(Amp
かつ生物発光性だった。したがって、lux遺伝子は哺
乳類細胞との同時培養中に失われないようだった。
【0222】コロニーを暗室での視認によって発光につ
いて検査した。5つの形質転換体が高レベルの発光を持
つと同定された。これらのうち3つ(SL1344、B
J66およびLB5000株からそれぞれ1つ)を、以
降の実験のために選択した。それらをそれぞれSL13
44lux、BJ66luxおよびLB5000lux
と名づけた。
【0223】(実施例2) (通常のサルモネラおよび形質転換したサルモネラの侵
入能力)6株のサルモネラ(SL1344lux、LB
5000lux、BJ66lux、SL1344、LB
5000およびBJ66)の侵入能力を、2種類の細菌
付着および侵入アッセイで測定した。コロニー形成単位
(CFU)アッセイは、基本的に既に記述されている方
法(FinlayおよびFalkow,1989,Mo
l.Microbiol.3:1833−1841)に
変更(Leeら,1990,PNAS 87:4304
−4308)を加えて行なった。生物発光アッセイは、
細胞の数をCFUではなく生物発光を用いて定量する点
以外は、基本的にCFUアッセイと同様に行なった。
【0224】簡単に述べると、HE−p細胞と初代マウ
ス腹腔マクロファージを24ウェル組識培養皿に、20
mMグルタミン(Gibco/BRL社)および5%ウ
シ胎児血清(Hyclone社,ユタ州ローガン)を添
加したRPMI(Gibco/BRL社,ニューヨーク
州グランドアイランド)中、1X10細胞/ウェルの
濃度で接種した。細胞を接種した24時間後(HEp−
2)または数日間後(マクロファージ)に、静置培養か
らの細菌(上記”材料と方法”の項参照)を、1ウェル
あたり1X10個(感染多重度(m.o.i)10)
または1X10 個(m.o.i=100,図2B〜E
の右側の柱)の密度で接種し、Beckman臨床用遠
心器(Beckman Instruments社,メ
リーランド州コロンビア)を用いて、1000rpm
(185Xg)で5分間、細胞単層上に遠心した。培地
を、ゲンタマイシン(100mg/ml)を含む(侵入
アッセイ)または含まない(付着アッセイ)RPMI培
地(Gibco/BRL社)で置換した。その共存培養
を5%CO中35℃で合計3.5時間培養した。
【0225】培養培地中のゲンタマイシンはHep−2
細胞によって内部移行されなかった細菌を、HEp−2
細胞の表面に付着しているものを含めて殺す。したがっ
て、付着アッセイ(ゲンタマイシンを含まない)でのシ
グナルが、付着細菌と内部移行細菌の両方を表わすのに
対し、侵入アッセイ(ゲンタマイシンを含む)でのシグ
ナルは内部移行された細菌のみを表わす。
【0226】付着と侵入を、3時点(接種の1.5時間
後、3.0時間後および3.5時間後)で発光性細菌細
胞を撮像することによりアッセイした。第1時点での撮
像に先立って、付着していない細菌を除去するために細
胞単層をリン酸緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄し、新
しいRPMIを加えた。発光は30秒間の露光時間で記
録した。第2および第3時点での画像も同じ露光時間を
用いて得たが、最初に細胞を洗うことはしなかった。
【0227】図2Aは、最後の時点で記録したデータ
を、その培養皿ウェルのグレースケール画像に重ね合せ
た擬似色発光画像として表示したものである。細胞タイ
プ、サルモネラ株およびゲンタマイシンの用法を図中に
示す。このデータを光子カウントの相対強度として図2
Bと2Dのグラフにも要約する。
【0228】3.5時間時点での撮像後、組識培養細胞
をPBSで3回洗浄し、PBS中の0.2%”トリトン
X−100”で溶解した。溶解によって放出された付
着細菌および/または細胞内細菌をLB寒天プレートま
たはLB−カルベニシリン寒天プレートにまき、35℃
で18時間培養した。各ウェルから放出された細菌の数
を、コロニー形成単位(CFU,FinlayおよびF
alkow,1989,Mol.Microbiol.
3:1833−1841;Leeら,1990,PNA
S 87:4304−4309)の数を数えることによ
って決定した。これらのデータを、ゲンタマイシンと共
にまたはゲンタマイシンなしで3.5時間培養した後の
共存培養から回収された1mlあたりの総細菌コロニー
として表わし、図2Cおよび2Eのグラフに要約する。
【0229】生物発光アッセイとCFUアッセイの両方
から得られたデータは、(i)lux遺伝子で形質転換
されたサルモネラが親系と類似する感染力を持つこと
と、(ii)発光検出とCFU決定がHEp−2細胞と
マクロファージにおける2つのサルモネラ株の侵入力に
ついて同等な推定値を与えることを示している。CFU
に対する生物発光の比率はマクロファージ培養の方が低
く、これはおそらくサルモネラがマクロファージの細胞
下区画に侵入するためだろう。
【0230】(実施例3) (形質転換したサルモネラの試験管内発光)LB500
0luxサルモネラの4つの10倍連続希釈液10μl
(1mlあたり10細胞から10細胞まで)を4本
の100μlガラス製毛細管(Becton Dick
inson社のCaly−Adams事業部,ニュージ
ャージー州パーシッパニー)に入れた。その細菌懸濁液
は、毛細管中で両端に空気のポケットを持つ液体の柱を
形成した。各毛細管の一端をクリトシール(crito
seal;Clay−Adams社)で密封した。希釈
液の作成に使用した培地は、空気に曝すことによりO
で飽和させた。
【0231】その毛細管を透明なプラスチック製のラッ
プで包み、上述のように30秒間撮像することにより、
発光を測定した。典型的な画像を図3Aに示す。4本の
毛細管を示す。これらは(上から下へ)10、1
、10および10サルモネラ細胞/ml(10
、10、10および10細胞/管)を含む。発光
は、10細胞/ml(100細胞)しか含まない懸濁
液でも検出できた。しかしその発光は空気/液体界面に
限定され、この発光反応が比較的高レベルの酸素を必要
とすることが示唆される。細胞の多くはおそらく液体柱
の中にあり、空気/液体界面にはないだろうから、この
データは、図3Aに示す毛細管中の発光が、各管中の総
細胞数よりかなり少ない細胞から生じることを示唆して
いる。
【0232】(実施例4) (動物組識を貫通する発光の試験管内検出)LB500
0luxサルモネラの連続希釈液を含む内径3.5mm
のガラス製毛細管で構成された微量試験管を、基本的に
上記実施例3に記述したように調製した。ただし、本実
施例では細菌懸濁液を毛細管の密封した末端に接触さ
せ、上端のみを空気にさらした。その管を半透明のプラ
スチック製シンチレーションバイアルに入れ、次に挙げ
る動物組識の一つでそのまわりを囲んだ:ヒヨコ胸筋、
ヒヨコ皮膚、子ヒツジ腎臓または子ヒツジ腎臓髄質。い
ずれの組識も地元のスーパーマーケット(Safewa
y社,カリフォルニア州マウンテンヴュー)の食肉部門
から入手した。
【0233】組識で囲まれた毛細管を含むバイアルの図
を図4に示す。バイアル1は直径約1.4cmで、蓋2
を含む。そのバイアルをその上部分3に沿って、不透明
な素材(すなわち黒テープ)で覆う。動物組識4を、バ
イアルの底から不透明被覆3の下端のすぐ上までになる
よう、バイアルに入れる。微量試験管5の底を栓7(す
なわちクリトシール(crytoseal)栓)で密封
し、それをバイアルの中心に、栓をした末端がバイアル
の底に接触するか、きわめて接近するように置く。細菌
懸濁液6は毛細管の底から上方約1cmに達する。
【0234】組識を含むバイアルと組識を含まないバイ
アルおよび細菌を含むバイアルと細菌を含まないバイア
ルから放射された光子を、高速同時弁別器を無効にした
液体シンチレーションカウンター(モデル1219 R
ackbeta,LKB/Wallac社,メリーラン
ド州ゲーサーズバーグ)でカウントした。
【0235】組識を含まない対照は、細菌懸濁液をシン
チレーションバイアルに直接入れてアッセイした。いず
れの実験も3回ずつ行なった。
【0236】各実験では、各カウントごとにバイアルを
90℃回転させて、バイアルを2、3回カウントするこ
とにより、考えうる組識の厚さの不一致の影響について
検証した。有意差は検出されなかった。
【0237】その結果を下記表1に要約する。
【0238】
【表1】 腎臓組識内の1X10個のLB5000luxについ
てのシグナルは、シンチレーションカウンター中の光電
子増倍管(PMT)でバックグランドレベルか、それに
近かった。このタイプの検出におけるバックグラウンド
はPMTの暗電流によるものであり、この試験はかなり
強いシグナルの分析に限定される。
【0239】約1X10個のLB5000luxから
の生物発光は、0.5cmの鳥類筋肉、皮膚、ヒツジ腎
臓髄質およびヒツジ腎臓を通して検出できた。これらの
結果は、標識したサルモネラからの生物発光が様々な不
透明度の動物組識を通して検出できることを示してい
る。(図3Aで示したように)毛細管内では酸素が制限
されていたと思われるので、このアッセイで表示してい
る数よりも少ない数の生物発光性サルモネラが、組識を
通して検出できると考えられる。
【0240】(実施例5) (生物発光性サルモネラの生体内検出)感染中のサルモ
ネラに対する酸素の利用性を評価するために、野生型S
L1344 luxをBALB/cマウスの腹腔内
(i.p.)に接種した。接種の24時間後、麻酔した
ラットで、細菌によって内部に放出され腹壁を透過した
光子を、増倍化CCDカメラで外部から検出し、局在化
した(図3B)。全身性サルモネラ感染には、リンパ
節、脾臓、肝臓のコロニー形成が関与すると思われる。
野生型SL1344 luxの腹腔内接種によって感染
させたマウスの腹部画像は、腹部表面のほとんどに透過
光子が様々な強度の焦点を作っていることを示した(図
3B)。これらの結果は、おそらくは肝臓と腸間膜リン
パ節を含む内臓の広範なコロニー形成と合致し、利用可
能な酸素のレベルはいくつかの組識で標識病原体からの
発光を外部から検出するのに十分でありうることを示し
ている。
【0241】(実施例6) (Balb/cマウスに経口投与したluxサルモネラ
の検出)病原性SL1344lux、非侵入性BJ66
luxおよび低病原性LB5000luxサルモネラ1
X10個の懸濁液50μlを経口的に与えることによ
って、Balb/cマウスを感染させた。感染時に4〜
6週齢だったそれらのマウスを、5分間の積分時間で毎
日撮像した(光子放射を5分間測定した)。撮像に先立
って、マウスを33μg/kg−体重のネンブタールで
麻酔した。
【0242】典型的な画像を図5A〜Fに示す。接種後
(p.i.)24時間の時点で、生物発光シグナルはい
ずれの感染動物でも単一の焦点に局在した(図5A、5
Cおよび5E)。生物発光は、低病原性LB5000l
uxに感染したすべての動物で、接種後7日までに消失
した(図5B)。野生型SL1344 luxに感染し
たBALB/cマウスでは、生物発光が試験期間中常に
検出され、第8日では透過光子の焦点が複数認められ
た。これらの動物では、感染がしばしば腹腔のほとんど
に広がった(図5F)。これらの動物の3分の1では、
第8日に透過光子が腹部領域の大半で認められ、それは
腹腔内接種後の光子の分布と似ていた(図3Bと5Fを
参照のこと)。BJ66 luxによる感染の蔓延はか
なり変動的だったが、通例、その感染は持続し、最初の
部位に局在したままだった(図5D)。
【0243】耐性BALB/cX129マウスを野生型
SL1344 luxに感染させたところ、10匹のマ
ウス群で、その生物発光シグナルはその試験期間中常に
局在し、持続性を保っていた。この結果は、SL134
4 luxに感染した感受性マウス(lytr/s)に
観察された播種性生物発光とは対照的であった(実施例
8と図7Aおよび7Bを参照のこと)が、侵入性の低い
BJ66 luxによる感受性BALB/cマウスの持
続性感染とは似ていた。対照として、持続的に感染した
耐性BALB/cX129マウスから得たサルモネラを
培養したところ、8日後に回収したコロニーの80〜9
0%はAmpだった。これらのうち90%以上は生物
発光性であり、観察された相違がluxプラスミドの有
意な減少によるのではなく、むしろ細菌株の病原性が真
に相違するためであることが示唆された。
【0244】(実施例7) (サルモネラの病原性株および低病原性株の腹腔内接種
後の感染の検出)100μl懸濁液中の1X10細菌
細胞を同時に空気を注入することなく腹腔内(i.
p.)接種することによって、Balb/cマウスを病
原性(SL1344lux)または低病原性(LB50
00lux)サルモネラに感染させた。
【0245】接種後(p.i.)32時間の時点で、上
述のようにマウスを麻酔し、撮像した。その結果を図6
に示す。この図の左側の2匹のマウス(病原性SL13
44luxに感染)では広範な感染が明らかである。こ
れに対して、低病原性LB5000lux株を注射した
右側のマウスでは、発光はあったとしてもほとんど検出
されない。
【0246】(実施例8) (サルモネラ経口接種後の耐性マウスにおける全身性感
染の検出)耐性129XBalb/c(Ityr/s
生存マウスを、1X10個のSL1344luxサル
モネラの胃内接種によって感染させた。細菌は麻酔下に
胃内給餌チューブを通して与えた。注入後8日間(8
d.p.i)、動物を毎日撮像した。
【0247】結果を図7Aと7Bに示す。一組3匹のマ
ウスを感染させ、8日間毎日撮像した。第1日の典型的
画像(図7A)と第8日の典型的画像(図7B)を示
す。これらのデータは、全身性サルモネラ感染症に対し
て耐性なマウスは盲腸に局在した慢性感染症を持つが、
その感染は腹腔内に蔓延しないことを示している。
【0248】(実施例9) (サルモネラ経口接種後の腹壁切開後撮像)腹腔内の発
光シグナルの位置を正確に特定し、その位置を非侵襲的
撮像法で得たものと比較するために、サルモネラの経口
接種後に腹壁切開を行なった。実施例8に記述したよう
に、動物に接種した。選択した期間(通例7日)の後、
上述のようにマウスを麻酔し、外部から撮像した。典型
的画像を図8Aに示す。外部撮像の後、腹腔を開き、図
8Bに例示するように動物を再び撮像した。場合によ
り、盲腸(C)の前後の腸管腔に空気を注入してから、
3回目の撮像を行なった(図8C)。最後の撮像後、直
ちにマウスを安楽死させた。
【0249】経口接種後の感染初期に感受性マウス中で
生物発光が限局的に観察された場合はいずれも、光子は
ほとんどもっぱら盲腸から生じており、限局的生物発光
の正確な局在と強度の変動は、盲腸の位置が変動しやす
いためであった。感染耐性BALB/cX129マウス
に観察された限局的な生物発光も、同様に盲腸に局在し
た。これに対して、SL1344 luxに腹腔内感染
させた動物では、そのような局在が観察されなかった
(図3B)。野生型SL1344 luxを経口接種し
た感染感受性マウスの後期では、生物発光が多極性であ
ったが、追加された発光の焦点は腹壁切開後に明白にな
らなかった。病原性の低いLB5000luxに感染し
たマウスでは、第7日の時点で、生物発光が、いずれの
組識または器官にも、皮膚および腹壁の除去後、限局的
にさえ、検出できなかった。
【0250】どの感染動物の脾臓または血流にも、生物
発光は光学的に検出されなかった。肝臓からの生物発光
は疾患後期にのみ認められた。また、胃腸路からの生物
発光は疾患の初期には盲腸に限られた。このパターン
は、異なる組識におけるサルモネラの数の相違もしくは
利用できる酸素の欠如によるのだろう。経口感染したマ
ウスの破砕した器官中に存在するAmp cfuを定
量することにより、標識サルモネラSL1344 lu
xの分布を調べた。第7日にSL1344 lux感染
BALB/cマウスの肝臓、脾臓および肺から得たam
細菌コロニーは、いずれも、その90%以上が1.
9X10〜>1.0X10の範囲の総cfuを示
し、生体内では検出可能な光子放射を伴わなかった(表
2)。これに対して、盲腸からの生物発光は検出可能で
あり、この組識は>1.0X10の総cfuを含有し
た。LB5000 lux感染マウスでは、どの組識に
もcfuが検出されなかった。これらの結果は、現在の
実験系を使用した場合、組識中1X10生物がほぼこ
の放射波長での検出限界であることを示唆している。
【0251】酸素はルシフェラーゼ反応に必須の基質で
あるから、酸素化された微小環境中に存在するサルモネ
ラだけが生物発光するはずである。したがって、胃腸路
の管腔の嫌気環境にサルモネラからの生物発光がないこ
とは予想できることであり、腸管腔を空気にさらせば、
それまでは酸素がないために検出できなかった細菌の存
在が明らかになるはずである。この見解の裏付けとし
て、盲腸だけに検出可能な生物発光を持つ一匹の動物
が、空気にさらされたときに迅速に生物発光性になる糞
粒を***した。腸管腔内に非発光性のルシフェラーゼ発
現細菌が存在することを示すこの事実と、この組織内の
好気地帯と嫌気地帯の明確な描写から、腸管腔に空気を
注入すれば、さらなる細菌の存在が明らかになるであろ
うことが示唆された。同様の生物発光パターンを示す別
の動物の回腸と結腸の管腔に空気を注入したところ、注
射部位近くで光子が検出可能になった(図8)。最後
に、盲腸生物発光をA示す第3のマウスを殺すと、生物
発光は迅速に消滅した。明確な好気環境地帯と嫌気環境
地帯を欠くため、他の組識部位に空気を注射した。
【0252】
【表2】 (実施例10) (サルモネラ腹腔内接種後の腹壁切開後撮像)実施例7
に記述したように、1X10個のサルモネラ(SL1
344lux)を腹腔内接種することにより、Balb
/cマウスを感染させた。そのような一匹の典型的画像
を図9A、9Bおよび9Cに示す。
【0253】注射後(p.i)24時間の時点で、動物
を麻酔し、5分間撮像した(図9A)。腹腔を開き、そ
のマウスを再び5分間撮像した(図9B)。盲腸を左側
に引き寄せ、その動物を再び5分間撮像した(図9
A)。
【0254】その結果から、非侵襲的撮像法で得られた
感染部位の局在は、腹腔を開いて明らかになった部位と
よく相関することがわかる。
【0255】(実施例11) (SL1344luxサルモネラからの生物発光に対す
るシプロフロキサシンの影響)生体内撮像法の有用性を
立証するために、感染した動物を、全身性サルモネラ感
染症に有効であることが知られている抗生物質シプロフ
ロキサシンで処置した。Magalianesら,19
93,Antimicrobial Agents C
hemo.37:2293。
【0256】Balbcマウスの実験群と対照群にSL
1344luxを経口接種した。接種の8日後に、実験
群のマウスに100mgのシプロフロキサシン塩酸塩
(3mg/kg−体重;Sigma Chemical
社,ミズーリ州セントルイス)を腹腔内注射した。実験
群の処置後、両群の動物を、処置後5.5時間にわたっ
て数回(上述のように)撮像した。
【0257】典型的画像を図10B〜Eに示す。図10
Bと10Dは、それぞれ実験群の処置を開始する直前の
対照群と処置群を代表する動物の合成画像である。図1
0Cと10Eは、処置の開始後5.5時間の同じ動物の
合成画像である。対照の生物発光が7.5倍まで増大し
たのに対して、シプロフロキサシン処置動物の腹部上の
生物発光はこの期間中に検出不能なレベルにまで減少し
た。腹部領域上に検出される光子の総数を決定し、t=
0での値に対して規格化し、処置後の時間に関して図1
0Aにプロットした。
【0258】このデータは、本発明の方法と組成物を、
生体内感染の蔓延に対する薬物の効果の評価に使用でき
ることを示している。
【0259】特定の方法と態様に関して本発明を説明し
たが、本発明から逸脱することなく様々な変更や改変を
施しうることは理解されるだろう。
【0260】
【発明の効果】すなわち、本発明により、哺乳動物など
の生体内の病原体とその他の物体を検出し、位置決め
し、追跡するための非侵襲的方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、サルモネラ(Salmonella)
SL1344株、BJ66株およびLB5000株を形
質転換してSL1344lux株、BJ66lux株お
よびLB5000lux株を作出するために使用したl
ux pCGLS1プラスミドのマップである。
【図2A】図2Aは、サルモネラSL1344lux株
とBJ66lux株によるマクロファージとHEp−2
細胞の接着および侵入を測定したアッセイの結果を示
す。図2Aは、アッセイ皿のウェル内で局在化した発光
性細菌細胞を示す。光子を1分間にわたって積分するこ
とによって得た擬似色像を、アッセイ皿のグレースケー
ル像に重ね合せることにより、表記の”合成画像”を作
成した。
【図2B】図2Bは、サルモネラSL1344lux株
とBJ66lux株によるマクロファージとHEp−2
細胞の接着および侵入を測定したアッセイの結果を示
す。図2Bは、ゲンタマイシンで処理しなかったウェル
の相対光強度を示す。
【図2C】図2Cは、サルモネラSL1344lux株
とBJ66lux株によるマクロファージとHEp−2
細胞の接着および侵入を測定したアッセイの結果を示
す。図2Cは、図2Bで撮像したウェルと同じウェルか
ら単離された1mlあたりのコロニー形成単位(CF
U)の数を示す。
【図2D】図2Dは、サルモネラSL1344lux株
とBJ66lux株によるマクロファージとHEp−2
細胞の接着および侵入を測定したアッセイの結果を示
す。図2Dは、ゲンタマイシンで処理したウェルの相対
光強度を示す。
【図2E】図2Eは、サルモネラSL1344lux株
とBJ66lux株によるマクロファージとHEp−2
細胞の接着および侵入を測定したアッセイの結果を示
す。図2Eは、図2Dで撮像したウェルと同じウェルか
ら単離された1mlあたりのコロニー形成単位(CF
U)の数を示す。
【図3A】図3Aは、LB5000lux細菌懸濁液の
希釈液を含有する4つのガラス製毛細管の合成画像であ
る。発光は30秒間の積分によって測定した。各毛細管
内の懸濁液の両側には空気ポケットが存在する。
【図3B】図3Bは、マウスの腹腔内に野生型SL13
44luxを接種した後の生物発光の分布を表わす。
【図4】図4は、LB5000luxが生成した光の透
過を、動物組識越しに調べるために使用したバイアルの
概略図である。
【図5A】図5Aは、低病原性LB5000luxサル
モネラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBa
lb/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分
間積分した。
【図5B】図5Bは、低病原性LB5000luxサル
モネラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBa
lb/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分
間積分した。
【図5C】図5Cは、非侵入性BJ66luxサルモネ
ラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBalb
/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分間積
分した。
【図5D】図5Dは、非侵入性BJ66luxサルモネ
ラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBalb
/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分間積
分した。
【図5E】図5Eは、病原性SL1344luxサルモ
ネラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBal
b/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分間
積分した。
【図5F】図5Fは、病原性SL1344luxサルモ
ネラを経口接種し、図に表示した時間に撮像したBal
b/cマウスの合成画像である。発光シグナルを5分間
積分した。
【図6】図6は、病原性SL1344lux細菌株(左
の2匹)または低病原性SL5000lux細菌株(右
の2匹)を腹腔内(i.p.)注射した32時間後のマ
ウスにおけるサルモネラの分布を示す合成画像である。
【図7】図7Aと7Bは、全身性サルモネラ感染症に対
して耐性なマウス(129XBalb/c,Ity
r/s)における病原性サルモネラの分布を示す。図7
Aは第1日、図7Bは第8日である。
【図8A】図8Aは、病原性が減少したサルモネラ突然
変異体(BJ66lux)の経口接種7日後の分布を示
す。図8Aは発光の外部非侵襲的撮像を示す。記号を付
した器官は、C−盲腸、L−肝臓、I−小腸、Sp−脾
臓である。
【図8B】図8Bは、病原性が減少したサルモネラ突然
変異体(BJ66lux)の経口接種7日後の分布を示
す。図8Bは図8Aと同じ動物を腹壁切開後に撮像した
ものである。記号を付した器官は、C−盲腸、L−肝
臓、I−小腸、Sp−脾臓である。
【図8C】図8Cは、病原性が減少したサルモネラ突然
変異体(BJ66lux)の経口接種7日後の分布を示
す。記号を付した器官は、C−盲腸、L−肝臓、I−小
腸、Sp−脾臓である。図8Cは、盲腸の前方と後方の
腸管腔内に空気を注入した後に作成した腹壁切開後の画
像を示す。
【図9A】図9Aは、SL1344luxの腹腔内接種
後の感受性Balb/cマウスにおけるサルモネラSL
1344luxの分布を示す。図9Aは腹腔を開く前に
撮像した。
【図9B】図9Bは、SL1344luxの腹腔内接種
後の感受性Balb/cマウスにおけるサルモネラSL
1344luxの分布を示す。図9Bは腹腔を開いた後
に撮像した。
【図9C】図9Cは、SL1344luxの腹腔内接種
後の感受性Balb/cマウスにおけるサルモネラSL
1344luxの分布を示す。図9Cは盲腸を左側に引
き寄せた後に撮像した。
【図10A】図10Aは、経口接種マウス中のSL13
44luxサルモネラからの生物発光に対するシプロフ
ロキサシン処置の影響を表わす。図10Aは、処置動物
と無処置動物について、腹部領域から測定された相対生
物発光を、処置開始後の時間の関数として表わすグラフ
である。
【図10B】図10Bは、経口接種マウス中のSL13
44luxサルモネラからの生物発光に対するシプロフ
ロキサシン処置の影響を表わす。図10Bは、SL13
44luxサルモネラを経口接種した8日後の、シプロ
フロキサシンで処置する前のマウスの合成画像である。
【図10C】図10Cは、経口接種マウス中のSL13
44luxサルモネラからの生物発光に対するシプロフ
ロキサシン処置の影響を表わす。図10Cは、同じマウ
スの対照の5.5時間後(処置なし)の合成画像であ
る。
【図10D】図10Dは、経口接種マウス中のSL13
44luxサルモネラからの生物発光に対するシプロフ
ロキサシン処置の影響を表わす。図10Dは、SL13
44luxサルモネラを経口接種した8日後の、シプロ
フロキサシンで処置する前のマウスの合成画像である。
【図10E】図10Eは、経口接種マウス中のSL13
44luxサルモネラからの生物発光に対するシプロフ
ロキサシン処置の影響を表わす。図10Eは、同じマウ
スの処置後5.5時間(図l0E)の合成画像である。
【手続補正書】
【提出日】平成15年2月21日(2003.2.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06T 1/00 295 G06T 3/00 300 3/00 300 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 パメラ・アール. コンタグ アメリカ合衆国95129カリフォルニア州サ ンノゼ、ボーリンガー・ロード6110番 (72)発明者 デイビッド・エイ. ベナロン アメリカ合衆国94062カリフォルニア州レ ッドウッド・シティ、バーチ・ストリート 454番 Fターム(参考) 2G045 AA29 BB01 BB14 BB20 BB29 BB51 CB01 CB17 FB12 GC15 4B024 AA11 CA03 DA05 EA04 GA14 HA13 4B063 QA01 QQ08 QQ22 QR77 QS05 QS36 QX02 5B057 AA10 BA02 CA12 CB12 CE08

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生きている非ヒト哺乳類対象中の異種遺
    伝子の発現を検出するための非侵襲的方法であって、該
    方法が、以下:導入遺伝子を含む細胞を有する非ヒト哺
    乳類対象を提供する工程であって、ここで、(i)該導
    入遺伝子が、生物発光タンパク質または蛍光発生タンパ
    ク質をコードする異種遺伝子を含み、そして(ii)該
    対象は、不透明な組織を含む、工程;および不透明な組
    織を貫通する光子放射を光検出装置を用いて測定するこ
    とによって、該異種遺伝子の発現を検出する工程であっ
    て、ここで、該細胞による該異種遺伝子の発現が許容さ
    れる状況下に該対象が維持される、工程、を含む、方
    法。
  2. 【請求項2】 前記光子放射が、生物発光タンパク質に
    よって媒介される化学反応の産物である、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記生物発光タンパク質が、luc遺伝
    子によってコードされる、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ルシフェリン基質が、前記生物発光タン
    パク質へ供給される、請求項2または3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記光子放射が、蛍光タンパク質によっ
    て媒介される蛍光の産物である、請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 前記蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパ
    ク質、ルマジン、または黄色蛍光タンパク質である、請
    求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記蛍光タンパク質を励起する光の入力
    が、レーザーによって生じる、請求項5または6に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 前記異種発現が、恒常的に活性なプロモ
    ーターによって媒介される、請求項1〜7のいずれかに
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記異種発現が、誘導性プロモーターに
    よって媒介される、請求項1〜7のいずれかに記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 前記誘導性プロモーターが、インター
    フェロン誘導性プロモーターである、請求項9に記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 前記誘導性プロモーターが、疾患状態
    において発現されるプロモーターまたは組織特異性プロ
    モーターである、請求項9に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記疾患状態が炎症である、請求項1
    1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記プロモーターがE−セレクチンで
    ある、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記疾患状態が腫瘍である、請求項1
    1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞が腫瘍細胞である、請求項1
    〜7のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載の方
    法であって、ここで前記不透明な組織を貫通した光子放
    射を光検出装置を用いて測定する工程を光子放射の画像
    を構築することができるまで経時的に行う、方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法であって、以
    下:前記対象の反射光画像を獲得する工程;および合成
    画像を形成するために該反射光画像上に前記光子放射の
    画像を重ね合わせる工程、をさらに含む、方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のいずれかに記載の方
    法であって、以下:選択した時間間隔で前記検出する工
    程を反復する工程をさらに含み、 ここで該反復する工程が、前記対象中の前記異種遺伝子
    発現の局在を経時的に追跡するために有効である、方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載の方
    法であって、以下:前記対象に化合物を投与する工程、
    および該化合物の投与後に該対象からの光子放射を測定
    する工程、をさらに含む、方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の方法であって、以
    下:前記化合物の投与後に測定する工程を、選択した時
    間間隔で反復する工程をさらに含み、 ここで該反復する工程が、前記対象中の前記異種遺伝子
    発現のレベルに対する該化合物の効果を経時的に追跡す
    るために有効である、方法。
  21. 【請求項21】 前記測定する工程を、増倍化電荷結合
    光検出素子を用いて行う、請求項1〜20のいずれかに
    記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記測定する工程を、冷却電荷結合光
    検出素子を用いて行う、請求項1〜20のいずれかに記
    載の方法。
  23. 【請求項23】 前記検出する工程の前に、前記対象が
    前記光検出装置の検出フィールド内に置かれる、請求項
    1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記光子放射を構成する光子が、可視
    光光子である、請求項1〜23のいずれかに記載の方
    法。
  25. 【請求項25】 請求項1〜24のいずれかに記載の方
    法であって、ここで前記不透明な組織を貫通する光子放
    射を光検出装置を用いて測定する工程を、前記対象の外
    側に位置する光検出装置を用いて該対象中からの光子放
    射を測定することにより実施する、方法。
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JP2015018266A (ja) * 2004-11-26 2015-01-29 オリンパス株式会社 解析方法

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