JP2003154982A - スクータ型自動二輪車のピリオンステップ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトな構成でピリオンステップの開閉
操作に節度感を付与することができ、該ピリオンステッ
プを足で容易に出し入れすることができるスクータ型自
動二輪車のピリオンステップ構造を提供すること。 【構成】 同乗者用の左右一対のピリオンステップ４７
をシート下方の車体両側部に配置して成るスクータ型自
動二輪車において、前記各ピリオンステップ４７を回動
自在に支持してこれを前記車体側部に形成された凹部１
２ａに対して出し入れ可能とするとともに、該ピリオン
ステップ４７の下側のピリオンステップ回動面に平行な
面上にトーションスプリング５３を配置し、該トーショ
ンスプリング５３によってピリオンステップ４７の開閉
操作に節度感を付与するよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、同乗者用の左右一
対のピリオンステップをシート下方の車体両側部に配置
して成るスクータ型自動二輪車のピリオンステップ構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばタンデムシートを備える２人乗り
のスクータ型自動二輪車においては、走行中に同乗者が
足を載せるための左右一対のピリオンステップがシート
下方の車体両側部に配置されているが、このピリオンス
テップには、固定式のものと、フートボード等に形成さ
れた凹部に対して出し入れ可能な可倒式のものがある。

【０００３】可倒式のピリオンステップは、使用時に凹
部から引き出され、不使用時には邪魔にならないように
凹部に収納される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、付勢力
を与えるスプリングを用いない可倒式ピリオンステップ
にあっては、これを出し入れする際の節度感が悪く、手
を使わないと引き出しにくくて不便であるという問題が
ある。

【０００５】又、可倒式のピリオンステップの開閉操作
に節度感を与えるためにコイルスプリングを使用する
と、このコイルスプリングの信頼性を欠くとともに、デ
ザイン上見苦しくなるという問題がある。

【０００６】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、コンパクトな構成でピリオン
ステップの開閉操作に節度感を付与することができ、該
ピリオンステップを足で容易に出し入れすることができ
るスクータ型自動二輪車のピリオンステップ構造を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、同乗者用の左右一対のピリ
オンステップをシート下方の車体両側部に配置して成る
スクータ型自動二輪車において、前記各ピリオンステッ
プを回動自在に支持してこれを前記車体側部に形成され
た凹部に対して出し入れ可能とするとともに、該ピリオ
ンステップの下側のピリオンステップ回動面に平行な面
上にトーションスプリングを配置し、該トーションスプ
リングによってピリオンステップの開閉操作に節度感を
付与するよう構成したことを特徴とする。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明において、前記トーションスプリングを、前記ピリオ
ンステップの中間回動点を中立点として該ピリオンステ
ップをこれが中立点から遠ざかる方向に付勢する位置に
配置したことを特徴とする。

【０００９】従って、請求項１記載の発明によれば、ピ
リオンステップの開閉操作に節度感を付与する手段とし
て扁平な形状のトーションスプリングを用い、該トーシ
ョンスプリングをピリオンステップの下側のピリオンス
テップ回動面に平行な面上に配置したため、コンパクト
な構成でピリオンステップの開閉操作に節度感を付与す
ることができ、該ピリオンステップを足で容易に出し入
れすることができる。

【００１０】請求項２記載の発明によれば、ピリオンス
テップはトーションスプリングによってその中間回動点
を中立点として何れの方向にも付勢されるため、これの
開閉操作（出し入れ）に節度感が確実に付与される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。

【００１２】図１は本発明に係るピリオンステップ構造
を備える２人乗りのスクータ型自動二輪車１の側面図で
あり、図示のスクータ型自動二輪車１の車体前方上部に
はヘッドパイプ２が位置しており、該ヘッドパイプ２内
にはステアリング軸３が回動自在に挿通している。そし
て、このステアリング軸３の上端にはハンドル４が取り
付けられており、同ステアリング軸３の下端にはフロン
トフォーク５が結着されており、該フロントフォーク５
の下端部には前輪６が回転自在に軸支されている。

【００１３】又、前記ヘッドパイプ２からはダウンチュ
ーブ７が車体後方に向かって斜め下方に延出した後、折
り曲げられて車体方向に向かって略水平に延出してお
り、該ダウンチューブ７の途中からは左右一対のバック
ステー８が分岐して車体後方に向かって斜め上方に延設
されている。

【００１４】ところで、車体前部の前記ヘッドパイプ
２、ダウンチューブ７等は樹脂製のフロントカバー９に
よって覆われており、該フロントカバー９の後半部は同
じく樹脂製のレッグシールド１０を構成している。

【００１５】更に、前記ハンドル４の後方にはタンデム
型のシート１１が配置されており、該シート１１とハン
ドル４との間には樹脂製のフートボード１２（図２参
照）によって形成される低床式の足載せ台１３が設けら
れている。そして、この足載せ台１３の下方の空間には
燃料タンク１４が配設されている。

【００１６】又、上記足載せ台１３の後方であって、前
記シート１１の下方には、動力ユニットとしてのユニッ
トスイング式エンジン１５が設けられている。

【００１７】上記ユニットスイング式エンジン１５は車
体の左側に配され、これは駆動源としてのエンジン１６
と不図示のＶベルト式自動変速機及び減速機構を内蔵し
て成る伝動ケース１７を一体化して構成され、伝動ケー
ス１７はエンジン１６の車体左側から車体後方に延び、
その後端には後輪１８が回転自在に軸支されている。そ
して、伝動ケース１７の上部にはエアクリーナ１９が取
り付けられており、該エアクリーナ１９から車体前方へ
向かって延びる吸気管２０は前記エンジン１６の吸気系
に接続され、その途中にはキャブレタ２１が設けられて
いる。

【００１８】以上の構成を有するユニットスイング式エ
ンジン１５は、前記バックステー８に固着されたエンジ
ン懸架ブラケット２２にリンク機構２３を介して上下に
揺動自在に支持されており、その後端は後輪１８と共に
リヤクッション２４を介してバックステー８に支持され
ている。

【００１９】他方、車体のシート１１よりも下方の部位
は樹脂製の車体カバー２５によって覆われており、該車
体カバー２５内の前記ユニットスイング式エンジン１５
の上方には、上面が開口する収納ボックス２６が前後の
クロス部材２７，２８を介してバックステー８に取り付
けられて配置されている。この収納ボックス２６はシー
ト１１の全長に亘って長く延びて大容量が確保されてお
り、これの内部には図示のようにハーフキャップ型のヘ
ルメットＨ１とフルフェイス型のヘルメットＨ２を同時
に収納することができる。そして、この収納ボックス２
６上に前記シート１１が支持され、シート１１は、その
前端がヒンジ２９を中心として上下に回動して前記収納
ボックス２６を開閉する。尚、左右のバックステー８に
は前記クロス部材２７，２８の他、クロス部材３０が架
設されており、クロス部材２７，２８にはグラブバー３
１が取り付けられている。

【００２０】ところで、本実施の形態に係るスクータ型
自動二輪車１においては、車体前部の前記フロントカバ
ー９とレッグシールド１０で囲まれる空間内の前記ヘッ
ドパイプ２の左側には小容量のサブタンク３２が配さ
れ、該サブタンク３２は可撓性の燃料ホース３３を介し
て大容量の前記燃料タンク１４に接続されている。

【００２１】又、シート１１前部の下方であって、車体
カバー２５で覆われた前記収納ボックス２６の前端部近
傍には、燃料ポンプ４３が不図示のステイを介して前記
クロス部材３０に取り付けられて配置されている。この
燃料ポンプ４３にはエンジン１６の吸気系から延びる負
圧ホース４４が接続されており、該燃料ポンプ４３は、
吸気圧の脈動で駆動され、燃料タンク１４から燃料を燃
料ホース４５を経て吸引して該燃料を昇圧し、この燃料
を燃料ホース４６を経て前記キャブレタ２１に供給して
混合気形成に供する。尚、キャブレタ２１において形成
された混合気は、ユニットスイング式エンジン１５のエ
ンジン１６に供給されて燃焼に供される。

【００２２】ここで、本発明に係るピリオンステップ構
造の詳細を図２〜図５に基づいて説明する。尚、図２は
スクータ型自動二輪車後半部の左側面図、図３及び図４
はピリオンステップの開閉状態を示す図２の矢視Ａ方向
の図、図５は図３のＢ−Ｂ線断面図である。

【００２３】図２に示すように、足載せ台１３を形成す
る前記フートボード１２はシート１１の下方まで車体後
方に延設されており、その左右の後端部には凹部１２ａ
（図２には一方のみ図示）が形成されており、両凹部１
２ａには左右一対の可倒式のピリオンステップ４７が各
々回動自在に設けられている。

【００２４】上記ピリオンステップ４７は同乗者の足載
せ台であって、これは回転軸４８を中心として回動して
フートボード１２の前記凹部１２ａに対して出し入れさ
れるが、その構成の詳細は図３〜図５に示される。尚、
図３〜図５は一方（左側）のピリオンステップ構造のみ
を示すが、他方（右側）のピリオンステップ構造も同様
であるため、これについての図示及び説明は省略する。

【００２５】図５に示すように、前記バックステー８の
外側部には金属製のブラケット４９が溶着されており、
このブラケット４９には金属製スリーブ５０がその貫通
孔が上下方向となるように溶着されている。

【００２６】一方、ピリオンステップ４７の前端部には
前記回転軸４８が鋳込みによって立設されており、この
回転軸４８はピリオンステップ４７の下面から直角に延
設されている。従って、この回転軸４８を前記スリーブ
５０に上方から嵌合挿通し、この回転軸のスリーブ５０
から下方へ突出する端部にナット５１を螺着することに
よって、ピリオンステップ４７は回転軸４８を中心とし
て回動してフートボード１２の凹部１２ａに対して出し
入れされる。

【００２７】又、ピリオンステップ４７の前端部には切
欠き４７ａが所定の角度範囲に亘って形成されており、
この切欠き４７ａの両端には平面視半円状の係合溝４７
ｂ，４７ｃが形成されている。

【００２８】他方、前記ブラケット４９にはストッパピ
ン５２が形成されており、このストッパピン５２はピリ
オンステップ４７の前記切欠き４７ａに臨んでおり、ピ
リオンステップ４７はこれに形成された前記係合溝４７
ｂ，４７ｃがストッパピン５２に当接するまでの角度範
囲内で回転軸４８を中心として回動してフートボード１
２の凹部１２ａに対して出し入れされる。

【００２９】更に、図３及び図４に示すように、ピリオ
ンステップ４７の下方であって、該ピリオンステップ４
７の下面とフートボード１２の凹部１２ａとの間の空間
にはトーションスプリング５３が設けられている。この
トーションスプリング５３はピリオンステップ４７の開
閉（出し入れ）操作に節度感を付与するためのものであ
って、これはピリオンステップ４７の回動面に平行な面
上であって、且つ、ピリオンステップ４７の中間回動点
を中立点（図４参照）として該ピリオンステップ４７を
これが中立点から遠ざかる方向（つまり、図３の矢印ａ
方向（収納方向）と矢印ｂ方向（取り出し方向））に付
勢する位置に配置されている。

【００３０】而して、例えばスクータ型自動二輪車１が
駐車しているとき等においてピリオンステップ４７を使
用しない場合には、左右のピリオンステップ４７は図３
に示すようにフートボード１２の凹部１２ａに収納され
ている。このとき、ピリオンステップ４７の一方の係合
溝４７ｂがストッパピン５２に係合してピリオンステッ
プ４７の収納状態が維持されている。

【００３１】そして、スクータ型自動二輪車１を２人乗
りする場合には、図３に示すようにフートボード１２の
凹部１２ａに収納されている左右のピリオンステップ４
７を同乗者がシート１１に着座したまま足で外方向に回
せば、該ピリオンステップ４７は回転軸４８を中心とし
てトーションスプリング５３の収納方向（矢印ａ方向）
の付勢力に抗して外方向に回動し、中立点を過ぎるとト
ーションスプリング５３の取り出し方向（矢印ｂ方向）
の付勢力によって回動して凹部１２ａから取り出され、
図４に示すように、その係合溝４７ｃがストッパピン５
２に係合した時点でそれ以上の回動が阻止される。この
ようにして左右のピリオンステップ４７が取り出される
と、同乗者は取り出された左右のピリオンステップ４７
に足を載せることができる。

【００３２】その後、スクータ型自動二輪車１を停止さ
せて降りる際には、ピリオンステップ４７は不要となる
ため、同乗者はシート１１に着座したまま足でピリオン
ステップ４７を内側に回せば、該ピリオンステップ４７
は回転軸４８を中心としてトーションスプリング５３の
取り出し方向（矢印ｂ方向）の付勢力に抗して内方向に
回動し、中立点を過ぎるとトーションスプリング５３の
収納方向（矢印ａ方向）の付勢力によって回動して図３
に示すように凹部１２ａに収納され、このとき、ピリオ
ンステップ４７の係合溝４７ｂがストッパピン５２に係
合して該ピリオンステップ４７の収納状態が維持され
る。

【００３３】以上のように、本実施の形態によれば、ピ
リオンステップ４７の開閉（出し入れ）操作に節度感を
付与する手段として扁平な形状のトーションスプリング
５３を用い、該トーションスプリング５３をピリオンス
テップ４７の下側のピリオンステップ回動面に平行な面
上に配置したため、コンパクトな構成でピリオンステッ
プ４７の開閉操作に節度感を付与することができ、該ピ
リオンステップ４７を足で容易に出し入れすることがで
きる。

【００３４】又、ピリオンステップ４７はトーションス
プリング５３によってその中間回動点を中立点として何
れの方向（収納方向及び取り出し方向）にも付勢される
ため、これの開閉操作（出し入れ）に節度感が確実に付
与される。

【００３５】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、同乗者用の左右一対のピリオンステップをシー
ト下方の車体両側部に配置して成るスクータ型自動二輪
車において、前記各ピリオンステップを回動自在に支持
してこれを前記車体側部に形成された凹部に対して出し
入れ可能とするとともに、該ピリオンステップの下側の
ピリオンステップ回動面に平行な面上にトーションスプ
リングを配置し、該トーションスプリングによってピリ
オンステップの開閉操作に節度感を付与するよう構成し
たため、コンパクトな構成でピリオンステップの開閉操
作に節度感を付与することができ、該ピリオンステップ
を足で容易に出し入れすることができるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】スクータ型自動二輪車の側面図である。

【図２】スクータ型自動二輪車後半部の左側面図であ
る。

【図３】ピリオンステップの収納状態を示す図２の矢視
Ａ方向の図である。

【図４】ピリオンステップの取り出し状態を示す図２の
矢視Ａ方向の図である。

【図５】図３のＢ−Ｂ線断面図である。

【符号の説明】

１ スクータ型自動二輪車 １１ シート １２ フートボード １２ａ 凹部 ４７ ピリオンステップ ４８ 回転軸 ５２ ストッパピン ５３ トーションスプリング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同乗者用の左右一対のピリオンステップ
   をシート下方の車体両側部に配置して成るスクータ型自
   動二輪車において、 前記各ピリオンステップを回動自在に支持してこれを前
   記車体側部に形成された凹部に対して出し入れ可能とす
   るとともに、該ピリオンステップの下側のピリオンステ
   ップ回動面に平行な面上にトーションスプリングを配置
   し、該トーションスプリングによってピリオンステップ
   の開閉操作に節度感を付与するよう構成したことを特徴
   とするスクータ型自動二輪車のピリオンステップ構造。
2. 【請求項２】 前記トーションスプリングを、前記ピリ
   オンステップの中間回動点を中立点として該ピリオンス
   テップをこれが中立点から遠ざかる方向に付勢する位置
   に配置したことを特徴とする請求項１記載のスクータ型
   自動二輪車のピリオンステップ構造。