JP2003146764A - セラミックスラリーの製造方法 - Google Patents

セラミックスラリーの製造方法

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JP2003146764A
JP2003146764A JP2001341660A JP2001341660A JP2003146764A JP 2003146764 A JP2003146764 A JP 2003146764A JP 2001341660 A JP2001341660 A JP 2001341660A JP 2001341660 A JP2001341660 A JP 2001341660A JP 2003146764 A JP2003146764 A JP 2003146764A
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ceramic
slurry
ceramic slurry
dielectric
medium
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JP2001341660A
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Takahiro Suzuki
崇裕 鈴木
Satoshi Tomioka
聡志 富岡
Tsutomu Nishimura
勉 西村
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は各種電子機器に用いられる積層セラ
ミックコンデンサなどのセラミックスラリーの製造方法
に関するものであり、従来よりも信頼性の高い積層セラ
ミック電子部品を提供可能にするものである。 【解決手段】 セラミック電子部品の製造方法に用いら
れるセラミックスラリーの製造方法において、水もしく
は有機溶剤等の分散媒を含む誘電体組成物どうしを高圧
の下で互いに衝突させることで誘電体組成物の粉体凝集
をほぐす第一工程と、この第一工程により得られる水も
しくは有機溶剤等の分散媒を含む誘電体組成物を媒体型
分散法により分散・粉砕して均一なスラリーを得る第二
工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種積層セラミック
電子部品の生産に用いられるセラミックスラリーの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、積層セラミック電子部品は積層セ
ラミックコンデンサ、積層チップコイル、積層LCフィ
ルタなどに代表されるように小型、大容量化を実現しな
がら生産拡大の一途をたどっている。これらの積層セラ
ミック電子部品はグリーンシート工法を用いたセラミッ
クプロセス技術が重要な要素技術であり、高品質なグリ
ーンシートを作製するためにはセラミックスラリーの物
性が非常に重要である。以下その技術について積層セラ
ミックコンデンサを例として説明する。
【0003】特に、積層セラミックコンデンサは薄層/
高積層化によって著しい進歩を遂げており、現在では誘
電体厚み2μm以下、積層数300層以上のものが実用
化されつつある。従来、積層セラミックコンデンサは以
下のような製造法によって作製されていた。
【0004】まず、主成分であるBaTiO3などの誘
電体材料に希土類元素酸化物、遷移元素酸化物、ガラス
成分などの添加物を所定の組成になるように配合したの
ち、ボールミルなどによって混合して所望の誘電体組成
物を得る。
【0005】次に、水もしくは有機溶剤等の分散媒に前
記誘電体組成物と有機バインダー、可塑剤等を加えて混
合してスラリー状にし、その後ドクターブレード法など
により所望の厚みの誘電体グリーンシートに成形する。
【0006】このようにして得られた誘電体グリーンシ
ートに内部電極パターンを形成し、各内部電極パターン
の一端を交互に対向する端面から引き出し、それぞれの
端面で並列接続できるように複数枚積層して積層体を得
る。
【0007】その後得られた積層体を切断、脱脂/焼成
したのち、端子として外部電極を形成することによって
製造されている。
【0008】上記製造方法において、今後も予想される
薄層化への取り組みは組成的な均質性のみならず、誘電
体グリーンシートの更なる均質性が求められている。そ
れは積層セラミックコンデンサの性能に対して、グリー
ンシート素性の与える影響が誘電体層を薄くするに従い
顕著に現れてくるためである。その誘電体グリーンシー
トの均質化にはスラリー化における誘電体組成物の分散
性が非常に重要な要因であるため、分散性向上に対する
取り組みが活発となっている。
【0009】従来の分散方法は、誘電体の主成分である
BaTiO3などに希土類元素酸化物、遷移元素酸化
物、ガラス成分などの添加物を所定の組成になるように
配合したのち、ボールミルなどによって混合を行う。そ
の後仮焼工程等を経て所望の誘電体組成物を得る。次
に、水もしくは有機溶剤等の分散媒に前記誘電体組成物
と有機バインダ、可塑剤等を加え、ビーズなどを用いた
媒体攪拌ミル等によってスラリー化するのが一般的であ
る。例えば特開2001−39773号公報などが提案
されている。
【0010】前記媒体攪拌ミルを用いるセラミックスラ
リーの製造方法は、誘電体組成物の原料の全てを粉砕す
ることによって各添加物の凝集が十分にほぐれて組成的
な均一性が向上するとともに、主成分が粉砕されること
によって生じる微細粒子が焼結による緻密化を促進する
ため、誘電体層の厚さに対する絶縁破壊電圧を向上させ
ることができるので、従来よりも誘電体層を薄層化して
も信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供するこ
とができるというものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、媒体攪
拌ミルを用いる媒体型分散法によるスラリー化では、長
時間の分散時にメディアとして用いるZrO2ビーズ等
から不純物が混入することによって、積層セラミックコ
ンデンサなどでは電気特性であるtanδが増加し、所
望の電気的特性が得られなくなるという課題があった。
又、微細に粉砕されたセラミックスラリーをそのままの
状態で保存しておくとゲル化が起り、グリーンシートに
成形することが困難となっていた。
【0012】本発明は前記課題を解決するものであり、
粉砕するときの不純物の混入を低減することにより所望
の電気特性を満たす積層セラミック電子部品の製造方法
を提供することと、セラミックスラリーのゲル化の進行
を抑制することによってその保存性を高め、生産性の高
いセラミックスラリーの製造方法を実現することを目的
としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の請求項1に記載の発明は、水もしくは有機溶
剤等の分散媒を含むセラミック組成物どうしを高圧の下
で互いに衝突させることでセラミック組成物の粉体凝集
をほぐす第一工程と、この第一工程により得られる水も
しくは有機溶剤等の分散媒を含むセラミック組成物を媒
体型分散法により分散・粉砕して均一なスラリーを得る
第二工程とを備えたセラミックスラリーの製造方法であ
り、分散工程の前段階は凝集したセラミック粒子の解砕
を阻害する有機バインダー量が比較的少ないため、高圧
の下でセラミックセラリーどうしを互いに衝突させるこ
とにより、セラミック組成物の粉体凝集やネッキングし
た粒子を平均的に一次粒子までほぐすことが可能とな
り、その結果として粉砕工程に要する時間が短縮できる
ことにより不純物の混入を低減できるため、電気特性に
優れた積層セラミック電子部品を製造することができ
る。
【0014】本発明の請求項2に記載の発明は、媒体型
分散法により分散・粉砕して均一なセラミックスラリー
を得る第二工程において、粉体前後の比表面積の比が少
なくとも1.2倍以上になるように粉砕する請求項1に
記載のセラミックスラリーの製造方法であり、セラミッ
ク組成物が微細化されて分散性が向上するため、セラミ
ック層の有効厚さに対する絶縁破壊電圧を向上させるこ
とができるので信頼性に優れた積層セラミック電子部品
を製造することができる。
【0015】本発明の請求項3に記載の発明は、水もし
くは有機溶剤等の分散媒を含むセラミック組成物どうし
を高圧の下で互いに衝突させることでセラミック組成物
の粉体凝集をほぐす第一工程と、この第一工程により得
られる水もしくは有機溶剤等の分散媒を含むセラミック
組成物を媒体型分散法により分散・粉砕して均一なセラ
ミックスラリーを得る第二工程と、前記分散・粉砕した
セラミックスラリーどうしを高圧の下で互いに衝突させ
ることによって粉体の再凝集を解消する第三工程を備え
るセラミックスラリーの製造方法であり、セラミックス
ラリーのゲル化を解消することができるため、スラリー
の安定化が可能であることから積層セラミック電子部品
を安定して製造することができる。
【0016】本発明の請求項4に記載の発明は、水もし
くは有機溶剤等の分散媒を含むセラミック組成物どうし
を高圧の下で互いに衝突させることでセラミック組成物
の粉体凝集をほぐす第一工程と、この第一工程により得
られる水もしくは有機溶剤等の分散媒を含むセラミック
組成物を媒体型分散法により分散・粉砕する工程におい
てバインダーを分割して加えて均一なセラミックススラ
リーを得る第二工程と、前記分散・粉砕したセラミック
スラリーどうしを高圧の下で互いに衝突させることによ
って粉体の再凝集を解消する第三工程を備えるセラミッ
クスラリーの製造方法であり、バインダーを分割して添
加することによってセラミック組成物の粉体粒子径と比
表面積を精度良く制御することができるのと、微細な粒
子径であってもゲル化しないことから積層セラミック電
子部品を安定して製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミックスラリ
ーの製造方法について実施の形態及び図面を用いて説明
する。
【0018】(実施の形態1)本発明の実施の形態1及
び図1により、請求項1に記載の発明を説明する。本実
施の形態1では積層セラミックコンデンサを例として説
明する。
【0019】まず材料組成Aとして、粒子径0.3μm
のBaTiO3と希土類元素酸化物、遷移金属酸化物、
ガラス成分を所定の量となる様に加え、次にこの誘電体
組成物100重量部に対し、分散媒として酢酸ブチル6
4重量部を配合するとともに、これに直径10mmのジ
ルコニア製玉石500重量部を加える。上記のように配
合された誘電体組成物及び分散媒をボールミル内に入れ
た後12時間混合する。その後、ボールミルで混合した
分散媒を含む誘電体組成物の粉体重量部100に対し、
バインダーとしてブチラール樹脂系のバインダー(BM
S:積水化学製)25重量%溶液1重量部、可塑剤とし
てフタル酸ベンジルブチル(BBP)0.5重量部を添
加した後さらに1時間混合する。その後第一工程とし
て、この配合物を高圧分散装置により圧力1400kg
/cm2、処理量300cc/minの条件で5回処理
してセラミックスラリーを得た。
【0020】次に、第二工程として媒体攪拌ミルを用
い、メディアZrO2(0.5mmφ)、周速12m/
sの条件で、ブチラール樹脂系のバインダー(BMS:
積水化学製)25重量%溶液8重量部、可塑剤としてB
BP4重量部を添加し、十分に分散・粉砕してセラミッ
クスラリーとした。
【0021】なお、比較のために分散媒として酢酸ブチ
ルを含む誘電体組成物を12時間ボールミルにより混合
したのち、媒体攪拌ミルを用い、メディアZrO
2(0.5mmφ)、周速12m/sの条件で、ブチラ
ール樹脂系のバインダー(BMS:積水化学製)25重
量%溶液9重量部、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチ
ル(BBP)4.5重量部を添加し、十分に分散したセ
ラミックスラリーとした。
【0022】図1はそれぞれのセラミックスラリーであ
る試料1および比較品1のそれぞれのロットについて、
スラリー粒子径の分布を島津製作所製の粒度分布計によ
り測定し、D50の値が0.58になった際の滞留時間
とD50の値の関係を示した図である。図1より同一の
D50に到達する滞留時間は試料1の方が比較品1に比
べ短くなっていることがわかる。
【0023】その後、上記セラミックスラリーをドクタ
ーブレード法などにより厚さ2.5μmの誘電体グリー
ンシートに成形した。このようにして得られた誘電体グ
リーンシートにニッケル電極ペーストを用いて内部電極
パターンを形成し、各内部電極の一端を交互に対向する
端面から引き出し、それぞれの対向する端面で並列接続
できるように誘電体層、電極層それぞれ25枚積層して
25層の積層体を得た。
【0024】次に、得られた積層体をN2雰囲気中、4
50℃で脱バインダー処理した後、内部電極のニッケル
が酸化しないような還元雰囲気中にて1350℃の温度
で焼成し、端子として外部電極をニッケルにて形成する
ことによって誘電体層の厚みの異なる積層セラミックコ
ンデンサを得た。
【0025】得られた積層セラミックコンデンサの誘電
体層部の不純物分析を行ったところ、ZrO2の不純物
としての混入量は試料1、比較品1においてそれぞれ
0.2、0.48wt%であった。また、得られた積層
セラミックコンデンサの電気特性であるtanδは、そ
れぞれ3.2%、7.6%であった。
【0026】以上のように本発明のセラミックスラリー
の製造方法によれば、低いtanδ特性を有する積層セ
ラミックコンデンサを生産することができる。
【0027】(実施の形態2)本発明の実施の形態2及
び図2により、請求項2に記載の発明を説明する。
【0028】まず材料組成Aとして、粒子径0.3μm
のBaTiO3と希土類元素酸化物、遷移金属酸化物、
ガラス成分を所定の量となるように加え、次にこの誘電
体組成物100重量部に対し、分散媒として酢酸ブチル
64重量部を配合するとともに、これに直径10mmの
ジルコニア製玉石500重量部を加える。
【0029】上記のように配合された誘電体組成物及び
分散媒をボールミル内に入れた後12時間混合する。そ
の後、ボールミルで混合した分散媒を含む誘電体組成物
の粉体重量部100に対し、バインダーとしてブチラー
ル樹脂系のバインダー(BMS:積水化学製)25重量
%溶液1重量部、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル
(BBP)0.5重量部を添加し、1時間混合する。
【0030】その後第一工程として、この配合物を高圧
分散装置により圧力1400kg/cm2、処理量30
0cc/minで5回処理して分散したセラミックスラ
リーを得た。この時の分散したセラミックスラリーの比
表面積(BET値)は3.8であった。
【0031】次に第二工程として、媒体攪拌ミルを用い
てメディアZrO2(0.5mmφ)、周速12m/s
の条件で滞留時間を調整し、湿式粉砕を行う。その際、
ブチラール樹脂系のバインダー(BMS:積水化学製)
25重量%溶液8重量部、可塑剤としてフタル酸ベンジ
ルブチル(BBP)4重量部を添加し、十分に分散・粉
砕してセラミックスラリーとした。
【0032】この分散・粉砕後のセラミックスラリーの
BET値はそれぞれ4.2、4.6、8.1となり、分
散・粉砕工程前後のBET値比はそれぞれ1.1倍、
1.2倍、2.1倍となっている。前記セラミックスラ
リーを用いて、グリーンシート成形、電極形成、積層、
個片化、脱脂/焼成と行ったが、グリーンシート成形以
降の工程は実施の形態1と同様なので省略する。
【0033】なお、比較品2として酢酸ブチルを含む誘
電体組成物を12時間ボールミルにより混合し、その
後、高圧分散装置により、圧力1400kg/cm2
処理量300cc/minで10回処理して得られたセ
ラミックスラリーから、上記と同様の製造方法により積
層セラミックコンデンサを作製した。
【0034】図2は試料2〜4および比較品2の誘電体
層厚さとその厚さにおける絶縁破壊電圧の平均値との関
係を示した図である。図2において試料2,3,4は分
散・粉砕工程前後でのBET値比がそれぞれ1.1倍、
1.2倍、2.1倍となっている。
【0035】図2の比較から、誘電体層の厚さとその厚
さにおける絶縁破壊電圧の平均値は比例関係になり、粉
砕条件については、粉砕の効果を上げるに従って誘電体
厚さに対する絶縁破壊電圧が向上していることがわか
る。
【0036】又、一定の絶縁破壊電圧を実現するために
必要な誘電体層厚さを比較すると、比較品2に対する優
位性は試料2では少ないが、試料3,4では比較品2に
対して大幅に薄層化できることがわかる。
【0037】更にまた、焼成後の誘電体厚み1.8μm
での絶縁抵抗の高温負荷寿命試験を試料2,3,4に対
して100個ずつ行ったところ、CR積が25MΩ・F
以上の試料数はそれぞれ95,100,100個であっ
た。
【0038】これにより、BET値比を1.2倍以下に
することで絶縁信頼性の高い積層セラミックコンデンサ
を製造することができる。
【0039】以上のように、本発明のセラミックスラリ
ーの製造方法によれば誘電体層厚さに対する絶縁破壊電
圧の平均値を向上させることができるとともに、誘電体
層を薄層化しても信頼性の高い積層セラミックコンデン
サの製造方法を提供することができる。
【0040】(実施の形態3)本発明の実施の形態3に
より請求項3に記載の発明を説明する。
【0041】まず材料組成Aとして、粒子径0.3μm
のBaTiO3と希土類元素酸化物、遷移金属酸化物、
ガラス成分を所定の量となるように加え、次にこの誘電
体組成物100重量部に対し、分散媒として酢酸ブチル
50重量部を配合するとともに、これに直径10mmの
ジルコニア製玉石500重量部を加える。上記のように
配合された誘電体組成物及び分散媒をボールミル内に入
れた後12時間混合する。
【0042】その後、ボールミルで混合した分散媒を含
む誘電体組成物の粉体重量部100に対し、バインダー
としてブチラール樹脂系のバインダー(BMS:積水化
学製)25重量%溶液1重量部、可塑剤としてフタル酸
ベンジルブチル(BBP)0.5重量部を添加した後さ
らに1時間混合する。
【0043】その後第一工程として、この配合物を高圧
分散装置により圧力1400kg/cm2、処理量30
0cc/minの条件で5回処理してセラミックスラリ
ーを得た。
【0044】次に、第二工程として媒体攪拌ミルを用
い、メディアZrO2(0.5mmφ)、周速12m/
sの条件で、ブチラール樹脂系のバインダー(BMS:
積水化学製)25重量%溶液8重量部、可塑剤としてB
BP4重量部を添加し十分に分散・粉砕してセラミック
スラリーとした。
【0045】このセラミックスラリーをさらに、第三工
程として高圧分散装置により、圧力1400kg/cm
2、処理量300cc/minで7〜10回処理してセ
ラミックスラリーを得た。
【0046】一般的に、粉砕の度合いが大きくなると粒
子どうしの凝集が生じ易く、セラミックスラリーのゲル
化も生じやすい。微細な粒子径に制御された第二工程ま
でのセラミックスラリーにおいても粉砕の度合いが大き
くなることに加え、粉体の比表面積に対して溶媒量が減
少したことにより、長時間そのままの状態で放置してお
くとセラミックスラリーはゲル化したが、本発明の製造
方法である第三工程を導入することによって組成物の分
散性がさらに向上し、比表面積が増大する場合に生ずる
セラミックスラリーのゲル化を解消することができるた
め、セラミックスラリーの長期安定化が可能である。
【0047】上記のようなセラミックスラリーを用いる
ことによって、いつでも任意の厚みの誘電体グリーンシ
ートを成形することができる。積層セラミックコンデン
サの容量の種類は非常に多くあり、その容量は誘電体の
厚みすなわち誘電体グリーンシートの厚みに依存してい
る。そのために厚みの異なる何種類もの誘電体グリーン
シートを準備しておくことは効率が悪い。
【0048】そこでセラミックスラリーの状態で保存し
ておき、要求に応じて必要な量のグリーンシートを製造
することができれば非常に効率的である。そのためには
セラミックスラリーの長期安定性が不可欠であり、本発
明のセラミックスラリーの製造方法を用いることによっ
て必要な時に必要な量の誘電体グリーンシートを作製す
ることによって多品種の容量を有する積層セラミックコ
ンデンサを効率的に製造することができる。
【0049】(実施の形態4)本発明の実施の形態4に
より請求項4に記載の発明を説明する。
【0050】まず材料組成Aとして、粒子径0.3μm
のBaTiO3と希土類元素酸化物、遷移金属酸化物、
ガラス成分を所定の量となるように加え、次にこの誘電
体組成物100重量部に対し、分散媒として酢酸ブチル
50重量部を配合するとともに、これに直径10mmの
ジルコニア製玉石500重量部を加える。上記のように
配合された誘電体組成物及び分散媒をボールミル内に入
れた後12時間混合する。
【0051】その後、ボールミルで混合した分散媒を含
む誘電体組成物の粉体重量部100に対し、バインダー
としてブチラール樹脂系のバインダー(BMS:積水化
学製)25重量%溶液1重量部、可塑剤としてフタル酸
ベンジルブチル(BBP)0.5重量部を添加した後さ
らに1時間混合する。
【0052】その後第一工程として、この配合物を高圧
分散装置により圧力1400kg/cm2、処理量30
0cc/minの条件で5回処理してセラミックスラリ
ーを得た。
【0053】次に第二工程として、媒体攪拌ミルを用
い、メディアZrO2(0.5mmφ)、周速12m/
sの条件で分散し、このときスラリー粒子径の分布を島
津製作所製の粒度分布計により測定をし、D50の値が
0.5〜0.55μmになったときに、セラミックスラ
リー中の誘電体組成物の粉体重量部100に対し、バイ
ンダーとしてブチラール樹脂系のバインダー(BMS:
積水化学製)25重量%溶液2重量部、可塑剤としてフ
タル酸ベンジルブチル(BBP)1重量部を添加して分
散・粉砕を行い、前記セラミックスラリーの比表面積
(BET値)が8.0〜8.2を示すところでブチラー
ル樹脂系のバインダー(BMS:積水化学製)25重量
%溶液6重量部、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル
(BBP)3重量部をさらに添加して十分に分散し、セ
ラミックスラリーとした。
【0054】一方、前記のような添加方法ではなく、媒
体攪拌法を用いて一度にバインダーを添加して分散・粉
砕する方法では初期セラミックスラリーの粘度が高くな
り、粉砕効率が高くなりすぎることによって粒子径を制
御することが困難となる。しかしながら、本発明の方法
のようにバインダーを分割して添加する方法を用いてス
ラリー粘度を制御することによって粉砕スピードを制御
することができるので、所望の粒子径を有するセラミッ
クスラリーを製造することができる。
【0055】次に、このセラミックスラリーを第三工程
として、高圧分散装置により、圧力1400kg/cm
2、処理量300cc/minで7〜10回処理して誘
電体グリーンシート用のセラミックスラリーを得た。こ
の第三工程の目的は実施の形態3と同じようにゲル化を
防止するためである。
【0056】そして前記セラミックスラリーを用いて、
グリーンシート成形、積層、焼成と行ったが、グリーン
シート成形以降の工程は、実施の形態1と同等なので省
略する。本実施の形態4では焼成後の誘電体厚みが1.
5μmの積層セラミックコンデンサを作製し、実施の形
態2にて評価した絶縁抵抗の高温負荷寿命試験を行った
結果、絶縁信頼性の高い積層セラミックコンデンサを得
ることができた。
【0057】以上説明してきたように、薄層の誘電体層
を形成するときには誘電体粉の粒子を微細にしていくと
ともに粒度分布、比表面積の制御が非常に重要となる。
また、粉砕の度合いが大きくなると粒子どうしの凝集も
生じ易く、セラミックスラリーもゲル化し易くするのに
対して、本実施の形態における分散・粉砕工程において
は分散・粉砕の進行の制御と粉体どうしの凝集を抑制
し、所望のセラミックスラリーを得ることができるとと
もに、セラミックスラリーのゲル化も防止できる。
【0058】又、本実施の形態は一例であり、誘電体粉
末の種類および粒子径に特別な制約はなく、チタン酸バ
リウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系な
どの誘電体セラミック粉末、フェライト系などの磁性体
セラミック粉末、圧電体セラミック粉末、アルミナ、シ
リカなどの絶縁体セラミック粉末など、種々のセラミッ
ク粉末を用いたセラミックスラリーに広く適用すること
が可能である。また分散媒(溶媒)の種類にも特別な制
約はなく、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系
や、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチ
ルアルコールなどのアルコール系などの分散媒(溶剤)
を用いることが可能である。また、バインダーとしては
ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、アクリ
ル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などを用いることが可能で
あるが、目的とするグリーンシートに応じ、可塑剤を含
めて適宜その種類および量が選択される。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、媒体型分
散法などの分散・粉砕工程の前にセラミック組成物どう
しを高圧の下で互いに衝突させることにより、凝集した
粉体やネッキングした粒子を一次粒子までほぐし、その
後媒体攪拌法にて分散・粉砕することによって、粉砕時
間を単時間で処理することが可能となり、ZrO2など
の不純物の混入を抑制することによって電気特性に優れ
た積層セラミック電子部品を実現できる製造方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックスラリーの製造方法におけ
る滞留時間とD50の関係を示した図
【図2】本発明における誘電体層厚さと絶縁破壊電圧の
最頻値との関係を示した図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 勉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA10 AA11 AA16 BA09 GA03 GA04 GA16 GA18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水もしくは有機溶剤等の分散媒を含むセ
    ラミック組成物どうしを高圧の下で互いに衝突させるこ
    とでセラミック組成物の粉体凝集をほぐす第一工程と、
    この第一工程により得られる水もしくは有機溶剤等の分
    散媒を含むセラミック組成物を媒体型分散法により分散
    ・粉砕して均一なスラリーを得る第二工程とを備えたセ
    ラミックスラリーの製造方法。
  2. 【請求項2】 媒体型分散法により分散・粉砕して均一
    なセラミックスラリーを得る第二工程において、粉砕前
    後の比表面積の比が少なくとも1.2倍以上になるよう
    に粉砕する請求項1に記載のセラミックスラリーの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 水もしくは有機溶剤等の分散媒を含むセ
    ラミック組成物どうしを高圧の下で互いに衝突させるこ
    とでセラミック組成物の粉体凝集をほぐす第一工程と、
    この第一工程により得られる水もしくは有機溶剤等の分
    散媒を含むセラミック組成物を媒体型分散法により分散
    ・粉砕して均一なセラミックスラリーを得る第二工程
    と、前記分散・粉砕したセラミックスラリーどうしを高
    圧の下で互いに衝突させることによって、粉体の再凝集
    を解消する第三工程を備えるセラミックスラリーの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 水もしくは有機溶剤等の分散媒を含むセ
    ラミック組成物どうしを高圧の下で互いに衝突させるこ
    とでセラミック組成物の粉体凝集をほぐす第一工程と、
    この第一工程により得られる水もしくは有機溶剤等の分
    散媒を含むセラミック組成物を媒体型分散法により分散
    ・粉砕する工程において、バインダーを分散して加えて
    均一なセラミックススラリーを得る第二工程と、前記分
    散・粉砕したセラミックスラリーどうしを高圧の下で互
    いに衝突させることによって粉体の再凝集を解消する第
    三工程を備えるセラミックスラリーの製造方法。
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