JP2003146114A - 車両の動力伝達装置 - Google Patents

車両の動力伝達装置

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JP2003146114A
JP2003146114A JP2001351162A JP2001351162A JP2003146114A JP 2003146114 A JP2003146114 A JP 2003146114A JP 2001351162 A JP2001351162 A JP 2001351162A JP 2001351162 A JP2001351162 A JP 2001351162A JP 2003146114 A JP2003146114 A JP 2003146114A
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gear
transmission
internal combustion
combustion engine
speed
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JP2001351162A
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English (en)
Inventor
Hideaki Matsui
英昭 松井
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】動力伝達の遮断のない変速を良好に行うことの
できる車両の動力伝達装置を提供する。 【解決手段】平行軸式歯車変速機構の変速機入力軸13
は、遊星ギア機構20を介してM/G24に連結される
とともに、発進クラッチ12を介して内燃機関10のク
ランクシャフト11に接続されている。内燃機関10の
始動は、発進クラッチ12を接続し、ドッグクラッチC
4の係合により遊星ギア機構20をロックして、M/G
24とクランクシャフト11とを直結した状態で行われ
る。そうした始動が不能なときには、発進クラッチ12
を一旦切断した状態でM/G24により変速機入力軸1
3を回転し、慣性エネルギをチャージした後に発進クラ
ッチ12を再接続して、再び始動を試みる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と駆動輪
と間の動力伝達を行う車両の動力伝達装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両の動力伝達装置に採用される自動変
速機としては、トルクコンバータと遊星ギアによる変速
機構とを併用するオートマチック・トランスミッション
(A・T)が広く用いられている。そうしたA・Tを搭
載する車両では、トルクコンバータの動力伝達効率があ
まり高くないため、平行軸式歯車変速機構を採用するマ
ニュアルトランス・ミッション(M・T)搭載車に比し
て、燃費性能が低くなる。
【0003】一方、平行軸式歯車変速機構では、変速時
にクラッチを開放して内燃機関から変速機への動力伝達
を遮断しなければならず、変速毎に自動車の動力性能が
大きく低下してしまう。
【0004】そのため、燃費性能の確保の容易な平行軸
式歯車変速機構を用いながらも、内燃機関から駆動輪へ
の動力伝達を遮断することなく変速可能な自動変速機が
要望されている。
【0005】従来、そうした自動変速機として、特開平
6−201027号公報に記載の変速機構が提案されて
いる。同公報に記載の変速機構は図16に示すように、
通常の平行軸式歯車変速機構と同様に、変速機入・出力
軸201,202間に、各ギア段に対応した複数のギア
対203〜206を備えている。そして、スリーブ20
7,208の作動により、両軸201,202間のトル
ク伝達を行うギア対を切り替えて、変速を行っている。
【0006】ただし、この変速機構では、変速機入・出
力軸201,202間に、各ギア段に対応したギア対2
03〜206に加え、更にもう1つのギア対209が介
設されている。このギア対209は、油圧駆動式の摩擦
クラッチ210を介して変速機入力軸201に連結され
ており、摩擦クラッチ210への油圧供給の制御によ
り、そのギア対209を通じて変速機入力軸201から
変速機出力軸202へと伝達されるトルクを調整可能と
なっている。
【0007】そしてこの変速機構では、変速中に上記各
ギア段に対応したギア対203〜206のギア連結が全
て開放されてニュートラル状態となったときに、摩擦ク
ラッチ210を作動してギア対209を通じて変速機入
力軸201から変速機出力軸202へとトルクを伝達す
ることで、変速中の動力遮断を回避している。
【0008】例えば1速ギア対203から2速ギア対2
04へのギア切替を行う場合、まずスリーブ207を解
除して1速ギア対203による変速機入・出力軸20
1,202間のギア連結を開放し、変速機構をニュート
ラル状態とする。そしてそれと同時に、摩擦クラッチ2
10を作動させて、その摩擦板間の摩擦を通じて変速機
入力軸201から変速機出力軸202へのトルク伝達を
維持する。ここで油圧を増して摩擦クラッチ210の摩
擦力を大きくしていけば、負荷が増大して内燃機関の回
転速度が徐々に低下する。そして変速機入・出力軸20
1,202間の回転速度比が変速される2速ギア対20
4に対応する速度比まで内燃機関の回転速度が低下した
時点で、スリーブ207を駆動して、変速機入力軸20
1に2速ギア対204を連結するとともに、摩擦クラッ
チ210への油圧供給を停止する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】車両の動力伝達装置に
上記変速機構を採用すれば、動力伝達を維持したまま変
速を行うことは確かに可能ではあるが、次のような問題
も無視できないものとなっている。
【0010】まずこの変速機構では、変速中に摩擦クラ
ッチ210の摩擦板間の摩擦力を通じて多大なトルクを
伝達しなければならず、そうした摩擦クラッチ210を
作動させるためにA・T搭載車並みの大型の油圧ポンプ
が必要となる。そのため、油圧ポンプの稼働にかかる動
力損失の増大は避けられず、結局はM・T搭載車ほどの
高い燃費性能を確保することはできない。
【0011】またこの変速機構では、摩擦クラッチ21
0の摩擦板間の摩擦力を調整することで、両軸201,
202の回転速度制御を行っているが、摩擦熱によって
摩擦板の温度が上昇するにつれ、摩擦板間の摩擦係数が
低下するため、そうした回転速度制御は非常に困難であ
る。
【0012】本発明は、そうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、動力伝達の遮断の無い変速を
良好に行うことのできる車両の動力伝達機構を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果を記載する。請求項1に
記載の発明は、内燃機関と駆動輪と間の動力伝達を行う
車両の動力伝達装置であって、前記内燃機関に連結され
る変速機入力軸と、前記駆動輪に連結される変速機出力
軸との2軸を有し、それら2軸を連結するギアの切り換
えに応じて変速を行う歯車変速機構と、前記変速機出力
軸に連結される第1要素、ギアを介して前記変速機出力
軸に連結される第2要素、及び回転電気機に連結される
第3要素の3つの要素を有し、それら要素のうちの2つ
の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機
と、前記内燃機関の出力軸と前記変速機入力軸との動力
伝達を断接する発進クラッチと、前記発進クラッチを接
続して前記内燃機関の出力軸を前記回転電気機により回
転させて前記内燃機関の始動する始動手段と、前記始動
手段による前記内燃機関の始動に先立って、前記発進ク
ラッチを切り離した状態で前記回転電気機により前記変
速機入力軸を回転させることで前記内燃機関の始動を補
助する始動補助手段と、を備えるものである。
【0014】上記構成では、変速機入・出力軸間のトル
ク伝達経路として、変速機入・出力軸間に連結されたギ
アを通じた第1の経路と、差動機を通じた第2の経路と
が形成されており、回転電気機の運転制御により、それ
ら両経路を伝達されるトルクの分配率を調整することが
できる。これにより、変速中の変速機入・出力軸間のト
ルク伝達を第2の経路を通じて維持しながらも、回転電
気機の運転制御を通じて、円滑に変速を行うことができ
る。
【0015】また上記構成では、内燃機関の始動に先立
って、始動補助手段により、発進クラッチを切り離した
状態で回転電気機により変速機入力軸が回転され、変速
機入力軸や回転電気機の回転子等に慣性エネルギがチャ
ージされる。その後、発進クラッチを接続し、回転電気
機により内燃機関の出力軸を回転させて、機関始動を行
うようにしている。これにより、機関始動にあたり、回
転電気機の出力に加え、チャージされた慣性エネルギも
用いて機関出力軸を回転させることができる。したがっ
て、上記構成によれば、動力伝達の遮断の無い変速を良
好に行いつつ、更に内燃機関の始動性を向上することも
できる。
【0016】なお、上記始動補助手段を用いた内燃機関
の始動と、始動補助手段の補助無しでの内燃機関の始動
とを状況に応じて使い分けるようにしても良い。例えば
下記のように、始動補助手段による補助無しでの内燃機
関の始動ができなかったときのみに、始動補助手段によ
る補助を行った後に再始動を試みるようにしたり、冷間
始動時等の始動が困難な状況下でのみ、始動補助手段に
よる補助を用いて機関始動を行うようにしても良い。
【0017】また請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の車両の動力伝達装置において、前記始動補助手段
による始動の補助を、その補助無しでの前記始動手段に
よる前記内燃機関の始動が行えなかったときに実施する
ようにしたものである。
【0018】上記構成では、始動手段による内燃機関の
始動、すなわち発進クラッチを接続して内燃機関の出力
軸を回転電気機により回転させての始動ができなかった
ときに、始動補助手段による慣性エネルギのチャージ後
に、始動手段による内燃機関の始動が再び行われるよう
になる。よって、上記構成によれば、更に効率的に内燃
機関の始動性を向上できる。
【0019】また請求項3に記載の発明は、請求項1又
は2に記載の車両の動力伝達装置において、前記変速機
入力軸と前記変速機出力軸とを連結するギアの切り換え
を、前記変速機出力軸と前記ギアとの係合及びその係合
の解除を通じて行うように、前記歯車変速機構を構成し
たものである。
【0020】上記構成によれば、変速機出力軸側でギア
の係合/係合の解除を行うようにしているため、変速機
入・出力軸を連結するギアは、係合が解除されていると
きにも変速機入力軸と共に回転するようになる。よっ
て、始動補助手段による変速機入力軸の回転時に、その
ギアも連れ回されるようになり、より大きい慣性エネル
ギをチャージできるようになる。したがって、内燃機関
の始動性を更に向上可能となる。
【0021】また請求項4に記載の発明は、内燃機関と
駆動輪と間の動力伝達を行う車両の動力伝達装置であっ
て、前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆
動輪に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それ
ら2軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯
車変速機構と、前記変速機出力軸に連結される第1要
素、ギアを介して前記変速機出力軸に連結される第2要
素、及び前記回転電気機の回転軸に連結される第3要素
との3つの要素を有し、それら3つの要素のうちの2つ
の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機
と、前記歯車変速機構のギアの切り換えに応じて、前記
回転電気機の回転を許容した状態で走行用のギア段を設
定する第1のギア設定手段と、前記歯車変速機構のギア
の切り換えに応じて、前記回転電気機の回転をロックし
た状態で走行用のギア段を設定する第2のギア設定手段
と、前記変速機入力軸及び変速機出力軸間の動力伝達を
遮断した前記歯車変速機構の中立ギア段から、前記第2
のギア段設定手段により設定される走行用のギア段へ切
り換えるとき、前記中立ギア段から前記第1のギア段設
定手段により設定される走行用ギア段に一旦切り換えた
後、その走行用ギア段から前記第2のギア段設定手段に
より設定されるギア段に切り換えるギア切換制御手段
と、を備えるものである。
【0022】上記構成では、変速機入・出力軸間のトル
ク伝達経路として、変速機入・出力軸間に連結されたギ
アを通じた第1の経路と、差動機を通じた第2の経路と
が形成されており、回転電気機の運転制御により、それ
ら両経路を伝達されるトルクの分配率を調整することが
できる。これにより、変速中の変速機入・出力軸間のト
ルク伝達を第2の経路を通じて維持しながらも、回転電
気機の運転制御を通じて、円滑に変速を行うことができ
る。
【0023】また上記構成では、歯車変速機構のギアの
切り換えに応じて、回転電気機の回転を許容した状態で
の走行用のギア段の設定(第1のギア段設定手段による
ギア段の設定)と、回転電気機の回転をロック(係止)
した状態での走行用のギア段(第2のギア段設定手段に
よるギア段の設定)の設定とが行えるようになってい
る。回転電気機の回転をロックした状態で走行用のギア
段を設定することで、ギアを追加することなく設定可能
なギア段を増やすことができる。
【0024】さて、変速機入・出力軸間の動力伝達を遮
断した中立ギア段から、第1のギア段設定手段により設
定される走行用のギア段への切り換える場合、回転電気
機の回転速度制御により、変速機入・出力軸の回転速度
比を、設定する走行用のギア段の減速比に応じた回転速
度比とすることで、変速機入・出力軸のギア連結を円滑
に係合することができる。ところが、中立ギア段から第
2のギア段設定手段により設定される走行用のギア段に
切り換える場合には、回転電気機の回転がロックされて
しまうため、上記のような回転速度制御のもとでの円滑
なギア連結を行うことはできなくなってしまう。
【0025】その点、上記構成では、中立ギア段から、
第1のギア段設定手段により設定される走行用ギア段を
経由して、第2のギア段設定手段により設定される走行
用のギア段への切り換えを行っている。変速機入・出力
軸のギア連結が確立されていれば、回転電気機の回転を
ロックした状態での走行用ギア段であれ、円滑に設定す
ることができる。
【0026】また請求項5に記載の発明は、内燃機関と
駆動輪と間の動力伝達を行う車両の動力伝達装置であっ
て、前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆
動輪に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それ
ら2軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯
車変速機構と、前記変速機出力軸に連結される第1要
素、ギアを介して前記変速機出力軸に連結される第2要
素、及び回転電気機の回転軸に連結される第3要素の3
つの要素を有し、それら要素のうちの2つの回転速度差
に応じて残る要素を差動回転させる差動機と、前記車両
の後進走行時には、前記回転電気を力行運転させて前記
駆動輪にクリープトルクを発生させるクリープトルク発
生制御手段と、を備えるものである。
【0027】上記構成によっても、車両の走行中に、変
速機入・出力軸のトルク伝達を維持したまま、円滑に変
速を行うことができる。更に上記構成では、車両の後進
走行時には、回転電気機によって駆動輪にクリープトル
クが発生されるようになっている。よって、上記構成に
よれば、円滑な後進走行が可能にもなる。
【0028】また請求項6に記載の発明は、内燃機関と
駆動輪と間の動力伝達を行う車両の動力伝達装置であっ
て、前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆
動輪に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それ
ら2軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯
車変速機構と、前記変速機出力軸に連結される第1要
素、ギアを介して前記変速機出力軸に連結される第2要
素、及び回転電気機の回転軸に連結される第3要素の3
つの要素を有し、それら要素のうちの2つの回転速度差
に応じて残る要素を差動回転させる差動機と、前記回転
電気機を力行運転させて前記車両の駆動力をアシストさ
せる駆動アシスト制御手段と、前記回転電気機を回生運
転させて発電を行わせる発電制御手段と、を備えるもの
である。
【0029】上記構成では、変速機入・出力軸間のトル
ク伝達経路として、変速機入・出力軸間に連結されたギ
アを通じた第1の経路と、差動機を通じた第2の経路と
が形成されており、回転電気機の運転制御により、それ
ら両経路を伝達されるトルクの分配率を調整することが
できる。これにより、変速中の変速機入・出力軸間のト
ルク伝達を第2の経路を通じて維持しながらも、回転電
気機の運転制御を通じて、円滑に変速を行うことができ
る。
【0030】更に上記構成では、回転電気機は、上記の
ような変速のために用いられるのみならず、内燃機関の
動力の一部や車両減速中の減速エネルギ等を用いた発電
や、駆動アシストにも用いられる。すなわち1つの回転
電気機が、多くの機能を果たすようになる。よって、構
成の複雑化を招くことなく、多くの機能を得ることがで
きる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
の形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0032】図1は、本実施形態にかかる車両の動力伝
達装置の模式構造を示している。本実施形態の車両の動
力伝達装置は、大きくは、発進クラッチ12、変速機入
力軸13及び変速機出力軸14を有する平行軸式の歯車
変速機構、差動機である遊星ギア機構20、モータ/ジ
ェネレータ(M/G)24を有して構成されている。
【0033】変速機入力軸13は、発進クラッチ12を
介して内燃機関10のクランクシャフト11に連結され
ている。発進クラッチ12は、油圧により駆動されて、
2枚の摩擦板を互いに押し付けたり、離したりすること
で、クランクシャフト11と変速機入力軸13との動力
伝達を断接する。また発進クラッチ12は、駆動油圧制
御によって摩擦板間の押し付け荷重を調整することで、
上記両軸11,13間に伝達されるトルクを適宜に変更
できるようになっている。
【0034】また、変速機出力軸14は、ファイナルギ
ア15及びディファレンシャルギア16を介して駆動輪
軸(アクスルシャフト)17に連結されている。これら
変速機入・出力軸13,14の間には、減速比の異なる
4つの前進走行用のギア対、すなわち1速用ギア対30
a,30b、2速用ギア対31a,31b、3速用ギア
対32a,32b、及び4速用ギア対33a,33bが
設けられている。これら4つの前進走行用ギア対は、変
速機入力軸13上に配設された駆動ギア30a〜33a
と、変速機出力軸14上に設けられた被動ギア30b〜
33bとによってそれぞれ構成されている。これらのギ
ア対の各被動ギア30b〜33bは、変速機出力軸14
に一体回転可能に固定されている。これに対して、これ
らギア対の各駆動ギア30a〜33aは、変速機入力軸
13に対して、ドッグクラッチC1,C2によって、選
択的に連結/切り離しされるようになっている。
【0035】更に変速機入力軸13及び変速機出力軸1
4には、後進用のギア35a,35bが一体回転可能に
それぞれ設けられており、更に、それらのギア35a,
35bの間に噛み合わせ/切り離し可能に後進ピニオン
ギア35cが設けられている。
【0036】一方、上記遊星ギア機構20は、中央に設
けられたサンギア21、その周囲を囲むリングギア2
3、及びそれらの間に介設されたプラネタリギアの設け
られたプラネタリキャリア22を有して構成されてい
る。サンギア21、プラネタリキャリア22及びリング
ギア23の遊星ギア機構20を構成する3要素は、同心
を有して互いに相対回転可能となっている。
【0037】図1に示すように、プラネタリキャリア2
2は変速機入力軸13に、リングギア23は5速用のギ
ア対34a,34bを介して変速機出力軸14に接続さ
れている。この5速用のギア対34a,34bの減速比
は、上記4速用のギア対33a,33bの減速比よりも
更に小さく設定されている。
【0038】更に遊星ギア機構20のサンギア21は、
モータ/ジェネレータ(M/G)24に接続されてい
る。M/G24は、バッテリ26からの電力供給により
力行運転させることで、サンギア21を回転させる電動
機として機能し、またサンギア21の回転により回生運
転させることで発電を行う発電機としても機能する回転
電気機である。こうしたM/G24の運転制御(トルク
制御や回転速度制御など)は、M/G制御ユニット25
による電力供給量や発電電力量の調整を通じて行われ
る。
【0039】さてこうした動力伝達装置でのシフト設定
は、油圧駆動式のシフトアクチュエータS1〜S5によ
るギア列の組替えを通じて行われる。シフトアクチュエ
ータS1,S2はそれぞれ、上記ドッグクラッチC1,
C2を駆動して、上記1速〜4速用の各駆動ギア30a
〜33aと変速機入力軸13との連結/切り離しを行っ
ている。詳しくは、シフトアクチュエータS1により駆
動されるドッグクラッチC1は、1速用駆動ギア30a
及び2速用の駆動ギア31aと、変速機入力軸13との
連結/切離しを行い、シフトアクチュエータS2により
駆動されるドッグクラッチC2は、3速用駆動ギア32
a及び4速用駆動ギア33aと変速機入力軸13との連
結/切離しを行っている。
【0040】一方、シフトアクチュエータS3は、ドッ
グクラッチC3を駆動して、5速用駆動ギア34aと変
速機入力軸13との連結/切離しを行う。5速用駆動ギ
ア34aと変速機入力軸13とが連結されると、上記遊
星ギア機構20のリングギア23は、変速機入力軸13
と一体回転され、更に変速機入力軸13に連結されたプ
ラネタリキャリア22とも一体回転されるようになる。
これにより、遊星ギア機構20の各要素21〜23の相
対回転が禁止されて、それら各要素21〜23が一体回
転するように遊星ギア機構20がロックされた状態とな
る。
【0041】更にシフトアクチュエータS4は、ドッグ
クラッチC4を駆動して、変速機出力軸14と5速用被
動ギア34bとの連結/切離しを行う。またシフトアク
チュエータS4は、後進ギア35a,35b間への後進
ピニオンギア35cの噛み合わせ、及びその切離しも行
う。
【0042】更にシフトアクチュエータS5は、ドッグ
クラッチC5を駆動して、M/G24の回転軸の固定/
固定解除を行う。M/G24の回転軸が固定されれば、
M/G24に連結された遊星ギア機構20のサンギア2
1も固定される。
【0043】なお、この車両では、発進クラッチ12及
び各アクチュエータS1〜S5は、図示しない小型電動
油圧ポンプにより蓄圧された油圧が供給されるようにな
っている。この小型電動油圧ポンプは、蓄圧された油圧
が低下したときにのみ、運転される。一方、この変速装
置には、変速機入力軸13の回転により駆動される油圧
ポンプ13aが設けられており、同ポンプ13aにより
発生された油圧は主に遊星ギア機構20の潤滑に供され
る。
【0044】以上説明したように構成された本動力伝達
装置の制御系は、図2に示すように、変速機電子制御装
置(変速機ECU)40を中心に構成されている。車両
には、動力伝達装置の制御を司る変速機ECU40に加
え、車両の空調装置(エアコン)の制御を司るエアコン
ECU41、内燃機関10の運転制御を司るエンジンE
CU42、上記バッテリ26の充電状態の管理を司る電
池ECU43、車両の制動系の制御を司るブレーキEC
U44等の各電子制御装置が設けられている。各ECU
40〜44は、車内ネットワーク回線を通じて相互に情
報の授受を行っている。
【0045】変速機ECU40には、車両の各部に設け
られたセンサ等から直接、或いは他のECU41〜44
を介して、車両の運転状況にかかる各種情報が入力され
ている。
【0046】例えば、アクセルペダルの踏み込み量(ア
クセル開度)や車速、シフトレバーの操作位置(シフト
レバー位置)、発進クラッチ12の動作位置(クラッチ
位置)、内燃機関10やM/G24、変速機入・出力軸
13,14の回転速度(エンジン回転速度NE、M/G
回転速度Nmg、入力軸回転速度Nin、出力軸回転速
度Nout)などの情報が変速機ECU40に入力され
ている。変速機ECU40には、イグニッションスイッ
チやスタータスイッチのオン/オフ信号も入力されてい
る。
【0047】また、上記歯車変速機構の内部には、各ド
ッグクラッチC1〜C5の動作位置を検出する複数のセ
ンサが設けられており、変速機ECU40は、それらセ
ンサの検出結果に基づいて、実際の歯車変速機構のギア
設定(実シフト位置)を把握している。更に変速機EC
U40には、エアコンECU41からエアコン装置の稼
働要求についての情報が、電池ECU43から発電要求
についての情報がそれぞれ入力されている。
【0048】変速機ECU40は、それらの情報に基づ
いて、発進クラッチ12、各シフトアクチュエータS1
〜S5及びM/G制御ユニット25等を制御している。
ここで歯車変速機構のシフト位置、ギア段に応じたギア
の設定態様を説明する。歯車変速機構のギア設定は、図
3に示すような態様で各ドッグクラッチC1〜C5及び
後進ピニオンギア(PG)35cの係合を操作すること
で行われる。
【0049】この歯車変速機構では、駐車用のパーキン
グ(P)レンジ、内燃機関10と駆動輪軸17とが切り
離された中立状態のニュートラル(N)レンジ、後進走
行用のリバース(R)レンジ、及び前進走行用のドライ
ブ(D)レンジの4つのシフト位置に応じたギアの設定
が可能となっている。またドライブレンジでは、車速等
に応じ、1速〜6速の各ギア段に応じた6段階のギア設
定が可能となっている。
【0050】パーキング(P)レンジのギア設定は、シ
フトアクチュエータS3により駆動されるドッグクラッ
チC3によって、変速機入力軸13とリングギア23と
を連結した状態とし、遊星ギア機構20の各要素21〜
23を一体回転させるようにロックすることで行われ
る。またパーキングレンジの設定時には、図示しないパ
ーキングロック機構により、変速機出力軸14の回転が
固定されて、駆動輪軸17の回転がロックされる。
【0051】また、ニュートラル(N)レンジのギア設
定は、Pレンジと同様に、ドッグクラッチC3によって
遊星ギア機構20の各要素21〜23が一体回転するよ
うにロックすることで行われる。ただしニュートラルレ
ンジの設定時には、パーキングロックは解除されてお
り、駆動輪軸17の回転が許容されている。
【0052】以上のパーキングレンジ及びニュートラル
レンジのギア設定時には、変速機入・出力軸13,14
は接続されておらず、歯車変速機構は、動力伝達の遮断
された中立状態となる。
【0053】リバース(R)レンジのギア設定は、次の
ように行われる。まず、シフトアクチュエータS3によ
り駆動されるドッグクラッチC3によって、変速機入力
軸13とリングギア23とを連結させた状態として遊星
ギア機構20の各要素が一体回転するようにロックす
る。これとともに、シフトアクチュエータS4によって
後進用ギア対35a,35b間に後進ピニオンギア35
cを噛み合わせる(PG係合)。これにより、変速機出
力軸14は、変速機入力軸13の回転に対して、前進走
行時とは逆方向に回転されるようになる。
【0054】ドライブ(D)レンジのギア設定時には、
シフトアクチュエータS4により駆動されるドッグクラ
ッチC4によって、リングギア23に接続された5速用
ギア対の被動ギア34bを変速機出力軸14に連結する
ようにしている。加えて次のドッグクラッチ操作によ
り、1速〜6速のギア段に応じたギアの設定が行われ
る。
【0055】1速〜4速のギア段では、ドッグクラッチ
C1又はC2によって、そのギア段に対応するギア対の
駆動ギア(1速〜4速用の駆動ギア30a〜33aのい
ずれか)を変速機入力軸13に連結することでギア設定
が行われる。
【0056】一方、5速のギア段では、シフトアクチュ
エータS3により駆動されるドッグクラッチC3によ
り、変速機入力軸13とリングギア23とを固定して、
遊星ギア機構20の各要素21〜23を一体回転するよ
うロックすることでギア設定が行われる。
【0057】更に6速のギア段では、シフトアクチュエ
ータS5により駆動されるドッグクラッチC5によっ
て、M/G24の回転軸を固定し、リングギア23の回
転を固定することでギア設定が行われる。本実施形態で
は、サンギア21の回転を固定した状態でプラネタリキ
ャリア22及びリングギア23を回転させると、プラネ
タリキャリア22の回転速度よりもリングギア23の回
転速度が高くなるように遊星ギア機構20の各要素21
〜23のギア比が設定されている。このため、こうした
6速の設定により、上記5速設定時よりも更に小さい減
速比が得られるようになる。
【0058】次に、ドライブレンジでの歯車変速機構の
変速動作を説明する。 <1> 1速〜4速間の変速 1速〜4速間の変速は、以下の態様で行われる。すなわ
ち、変速が必要となった場合、まずは内燃機関10のト
ルク反力を吸収するようにM/G24を回生運転、或い
は力行運転させる。そしてM/G24の回転トルクと内
燃機関10のトルク反力とを釣り合わせて、変速機入・
出力軸13,14間のトルク伝達経路を、変速前のギア
段のギア対からリングギア23に連結された5速用ギア
対34a,34bに移し替える。これにより、変速前の
ギア段のギア対が単に連れ回りするだけの状態となった
時点で、アクチュエータS1又はS2によってドッグク
ラッチC1又はC2を駆動し、現状のギア段のギア対の
駆動ギア(1速用〜4速用駆動ギア30a〜33aのい
ずれか)と変速機入力軸13との連結を切り離す。
【0059】次に、変速機入・出力軸13,14の回転
速度を参照しつつ、M/G24の回転速度を制御して、
変速後のギア段に応じた回転速度比となるように変速機
入・出力軸13,14の回転速度比を調整する。そして
それらの回転速度比の調整が完了した時点で、すなわち
変速機入・出力軸13,14の回転速度が同期した時点
で、アクチュエータS1又はS2によってドッグクラッ
チC1又はC2を駆動して、変更するギア段のギア対の
駆動ギア(1速用〜4速用駆動ギア30a〜33aのい
ずれか)を変速機入力軸13に連結する。その後、M/
G24の回生運転を除減することで、変速機入・出力軸
13,14間のトルク伝達経路を、5速用ギア対34
a,34bから変更されたギア段のギア対(ここで変速
機入力軸13に係合されたギア対)に移すことで、変速
が完了する。
【0060】<2> 4速、5速間の変速 4速から5速への変速は、次のように行われる。まず、
M/G24の回生運転、或いは力行運転によって内燃機
関10のトルク反力をM/G24に吸収させることで、
変速機入・出力軸13,14間のトルク伝達経路を、4
速用ギア対33a,33bから5速用ギア対34a,3
4bに移し替える。それが完了した時点で、アクチュエ
ータS2によりドッグクラッチC2を駆動して、変速機
入力軸13から4速用駆動ギア33aを切り離す。
【0061】次に、M/G24の回転速度と変速機入力
軸13の回転速度とが一致するように、M/G24の回
転速度を制御する。そして、それらの回転速度が一致し
た時点で、シフトアクチュエータS3によりドッグクラ
ッチC3を駆動して、5速用駆動ギア34aを変速機入
力軸13と連結させる。
【0062】一方、5速から4速への変速は、次のよう
に行われる。まず、内燃機関10のトルク反力と釣り合
うようにM/G24のトルク制御運転を行う。すなわ
ち、ドッグクラッチC3による変速機入力軸13とリン
グギア23との連結が切り離された状態でも、M/G2
4が自力で変速機入力軸13と同じ回転速度で回転可能
なようにする。そして、そうした状態となった時点で、
ドッグクラッチC3により、5速用駆動ギア34aを変
速機入力軸13から切り離す。
【0063】次に、変速機入・出力軸13,14の回転
速度比が、4速の変速比に応じた回転速度比となるよう
にM/G24の回転速度制御を行い、それらの回転速度
が同期した時点で、ドッグクラッチC2により4速用駆
動ギア33aを変速機入力軸13に連結する。その後、
M/G24の回生運転、或いは力行運転を除減して、変
速機入・出力軸13,14間のトルク伝達経路を、5速
用ギア対34a,34bから4速用ギア対33a,33
bに移し替えることで、5速から4速への変速が完了す
る。
【0064】<3> 5速、6速間の変速 5速から6速への変速は、次のように行われる。まず、
M/G24のトルク制御により、M/G24が自力で変
速機入力軸13と同じ回転速度で回転可能な状態となっ
たところで、ドッグクラッチC3により5速用駆動ギア
34aを変速機入力軸13から切り離す。次にM/G2
4の回転速度制御により、M/G24の回転速度をゼロ
とし、シフトアクチュエータS5によりドッグクラッチ
C5を駆動して、M/G24の回転軸の固定する。
【0065】以上のように、この歯車変速機構では、変
速機入・出力軸13,14間のトルク伝達を継続し、内
燃機関10から駆動輪への動力伝達を維持したまま変速
を行うことができる。
【0066】続いて、こうした歯車変速機構を備える車
両の動力伝達装置において、上記変速機ECU40の行
う制御の詳細を説明する。図4は、変速機ECU40に
より実行される動力伝達装置制御のフローチャートであ
る。本ルーチンの処理は、イグニッションスイッチがオ
ンのときに、所定時間毎の割り込み処理として変速機E
CU40により周期的に実行される。
【0067】本ルーチンの処理に移行すると、まずステ
ップ100において、システム起動フラグSFがオン
(ON)であるか否かが判断される。ここでシステム起
動フラグSFがオンにセットされていれば(YES)、
そのときのシフトレバーの操作位置に応じて、各種制御
が実施される。
【0068】一方、システム起動フラグSFがオフであ
れば(S100:NO)、ステップ110においてシフ
トレバーがパーキング位置に操作されているか否かが判
断され、パーキング位置に操作されていれば(YE
S)、システム起動判定処理が実施される。
【0069】システム起動判定処理では、内燃機関10
やM/G24、車両の制動装置(ブレーキシステム)、
電源装置(バッテリ26等)に異常が確認されているか
否かが判断され、それらのいずれにも異常が確認されて
おらず、且つ内燃機関10の始動が完了されていれば、
上記システム起動フラグSFがオンにセットされる。す
なわち、システム起動フラグSFは、正常な車両走行が
可能な状態のときにオンにセットされる。
【0070】このように本実施形態では、シフトレバー
がパーキング位置に操作されているときに限り、システ
ム起動フラグSFがオンにセットされるようになってい
る。そして、同図4に示すように、システム起動フラグ
SFがオンにセットされない限り、シフトレバーがニュ
ートラルやリバース、ドライブに操作されていても、動
力伝達装置に対する具体的な制御は行われず、車両の走
行することができないようになっている。
【0071】<パーキング、ニュートラル操作時の制御
>さて、システム起動フラグSFがオンにセットされて
おり、シフトレバーがパーキング位置又はニュートラル
位置に操作されているときには、同図4に示すように、
「変速機状態制御(S200)」及び「機関始動/停止
制御(S400)」が実施される。
【0072】(変速機状態制御)図5に「変速機状態制
御」のフローチャートを示す。同図5に示すように、本
ルーチンでは、まずステップ210において、車速が規
定車速以下であるか否かが判断される。規定車速は、非
常に小さい車速に設定されており、車速が規定車速以下
であるときには、車両が停止中か、微速走行中であるこ
とを示している。
【0073】ここで車速が規定車速以下であれば(S2
10:YES)、ステップ220において、歯車変速機
構の実シフト位置がニュートラル(N)レンジに設定さ
れているか否かが判断される。
【0074】また車速が規定車速以下で(S210:Y
ES)、ニュートラルレンジに設定されていなければ
(S220:NO)、一旦、発進クラッチ12を切断し
て、ニュートラルレンジへのシフトが実施される。すな
わち、変速機ECU40は、ドッグクラッチC3により
変速機入力軸13と5速用駆動ギア34aとを連結し、
他のドッグクラッチC1,C2,C4,C5の係合を解
除した状態とするように、シフトアクチュエータS1〜
S5の制御を行う。また実シフト位置がニュートラルレ
ンジであれば(S220:YES)、発進クラッチ12
が接続される。
【0075】すなわち、シフトレバーがパーキング又は
ニュートラルに操作されたとき、車速が規定車速以下で
あれば、歯車変速機構のシフト位置がニュートラルレン
ジとされ、発進クラッチ12が連結される。またシフト
レバーがパーキングに操作されていれば、更にパーキン
グロックが作動され、変速機出力軸14の回転がロック
される。
【0076】一方、車速が規定車速を上回っているとき
には、図6に示す「ギア入制御」が実施される(S30
0)。 (ギア入制御)続いて、ギア入制御の詳細を、同図6を
参照して説明する。
【0077】ギア入制御では、発進クラッチ12を切断
した状態で、歯車変速機構を車速に見合ったギア段に設
定する制御が実施される。これにより、シフトレバーが
ニュートラル位置に操作されていても、その後にシフト
レバーがドライブ位置に操作されたとき、直ちに駆動力
を駆動輪に付与できる状態とするようにしている。
【0078】同図6に示されるギア入制御の処理が開始
されると、まずステップ310において発進クラッチ1
2の切断が行われる。続くステップ320では、現在の
車速に応じたギア段の目標(目標ギア段)が求められ
る。そして、続くステップ330において、その求めら
れた目標ギア段と、そのとき歯車変速機構で実際に設定
されているギア段(現ギア段)とが不一致であるか否か
が判断される。ここで目標ギア段と現ギア段とが不一致
であれば、続くステップ340以降の処理により、目標
ギア段への歯車変速機構のギア入れが行われる。
【0079】まずステップ340では、実シフト位置が
ニュートラルであるか否かが判断される。ここで歯車変
速機構のギアが、ニュートラル以外のいずれかのギア段
(1速〜6速のギア段)に設定されていれば(S35
0:NO)、すなわち変速機入・出力軸13,14間の
ギア連結が確立された状態であれば、ステップ380に
おいて、現ギア段から目標ギア段へのギア設定の切り換
えが行われる。このギア設定の切り換えは、以下の手順
で行われる。
【0080】まず現ギア段が1速〜4速のいずれかであ
れば、ドッグクラッチC1又はC2を駆動して、現ギア
段に対応した駆動ギア30a〜33aと変速機入力軸1
3との連結を解除する。また、現ギア段が5速であれ
ば、ドッグクラッチC3を駆動して、5速用駆動ギア3
4aと変速機入力軸13との連結を解除し、現ギア段が
6速であれば、ドッグクラッチC5を駆動して、M/G
24の回転軸の固定を解除する。こうして現ギア段を解
除する。
【0081】現ギア段が解除されると、続いてM/G2
4の回転速度制御により、目標ギア段の減速比と変速機
入・出力軸13,14の回転速度比とを一致させる。こ
のときのM/G24の回転速度の目標値Ngtは、次式
により求められる。
【0082】Ngt={(1+ρ)・γt−γcom}
・Nout/ρ ここで、ρ=[サンギア21の歯数Zs]/[リングギ
ア23の歯数Zr]、γtは目標ギア段の減速比、γc
omは5速用ギア対34a,34bの減速比、Nout
は変速機出力軸14の回転速度である。ちなみに、目標
ギア段が5速(γt=γcom)のときには、M/G2
4の回転速度の目標値Ngtは、変速機出力軸14の回
転速度Noutとなり、目標ギア段が6速(γt=1/
(1+ρ)・γcom)のときには、M/G24の回転
速度の目標値Ngtはゼロとなる。
【0083】そしてこうしたM/G24の回転速度が目
標値Ngtに達した時点で、目標ギア段に応じたドッグ
クラッチを係合させる。すなわち目標ギア段が1速〜4
速のときには、ドッグクラッチC1又はC2により、目
標ギア段に対応する駆動ギア30a〜33aと変速機入
力軸13とを連結する。目標ギア段が5速のときには、
ドッグクラッチC3により、5速用駆動ギア34aと変
速機入力軸13とを連結する。目標ギア段が6速であれ
ば、ドッグクラッチC5を駆動して、M/G24の回転
軸を固定する。以上により、現ギア段から目標ギア段へ
のギア設定の切り換えが完了する。
【0084】このように歯車変速機構がニュートラル以
外のいずれかのギア(1速〜6速のギア段)に設定され
ており、変速機入・出力軸13,14が連結された状態
から目標ギア段へのギア入れは、目標ギア段がいずれで
あろうともM/G24の回転速度制御を通じて行うこと
ができる。
【0085】一方、実シフト位置がニュートラルである
ときには(S340:YES)、以下の処理を実施す
る。このときには、ドッグクラッチC3により変速機入
力軸13と5速用駆動ギア34aとが連結されて、M/
G24と変速機入力軸13とが一体回転される状態か
ら、目標ギア段のギア入れが行われることとなる。
【0086】このとき目標ギア段が1速〜5速のいずれ
かであるときには(S350:NO)、ステップ360
において、ニュートラルから直接、目標ギア段へのギア
入れが行われる。そのギア入れにかかる処理の詳細は次
の通りである。
【0087】目標ギア段が1速〜4速のいずれかである
場合、まずM/G24の回転速度制御により、変速機入
・出力軸13,14の回転速度比を、目標ギア段の減速
比に応じた回転速度比に調整し、調整が完了した時点
で、ドッグクラッチC1又はC2により、目標ギア段に
対応した駆動ギア、すなわち1速〜4速用駆動ギア30
a〜33aのいずれかを変速機入力軸13に連結する。
【0088】そうしたギアの連結が完了した時点で、ド
ッグクラッチC3による変速機入力軸13と5速用駆動
ギア34aとの連結を解除する。この時点で、M/G2
4の回転速度制御により、5速用駆動ギア34a及び被
動ギア34bの回転速度を任意に調整可能となる。そこ
で、M/G24の回転速度制御により、変速機出力軸1
4の回転速度と一致させるように、5速用被動ギア34
bの回転速度を調整し、その調整が完了した時点で、ド
ッグクラッチC4により、5速用被動ギア34bと変速
機出力軸14とを連結する。以上により、1速〜4速ギ
ア段へのギア入れが完了する。
【0089】一方、目標ギア段が5速のときには、まず
M/G24の回転速度制御により、変速機入・出力軸1
3,14の回転速度比を、5速ギア段の減速比に応じた
回転速度比に調整する。そして調整が完了した時点で、
ドッグクラッチC4により、5速用被動ギア34bと変
速機出力軸14とを連結することで、5速ギア段へのギ
ア入れを行うことができる。
【0090】以上のように、目標ギア段が1速〜5速の
ときには、M/G24の回転速度制御を通じて、ニュー
トラルから直接に目標ギア段へと歯車変速機構のギア設
定を変更することが可能である。
【0091】ところが、目標ギア段が、M/G24の回
転軸の回転をロックすることで達成される6速のときに
は、回転軸をロックすることでM/G24の回転速度制
御が不能となるため、ニュートラルから6速ギア段へと
直接に歯車変速機構のギア設定を変更することはできな
い。そこで本実施形態では、実シフト位置がニュートラ
ルで(S340:YES)、目標ギア段が6速のとき
(S350:YES)には、ステップ370において、
一旦は、ニュートラルから5速ギア段に歯車変速機構の
ギア設定を切り換えるようにしている。この5速ギア段
への切り換えは、上述の目標ギア段が5速であるときと
同様に行われる。こうして一旦、5速ギア段に設定され
た後は、上記ステップ380の処理を通じて、目標ギア
段である6速ギア段へのギア入れが行われることとな
る。
【0092】なお、こうしたニュートラルから6速への
ギア入れにあたり、1速〜4速ギア段を経由して6速ギ
ア段にシフトするようにすることもできる。ただし、6
速ギア段へのシフトを円滑且つ迅速に行うには、上記の
ようにM/G24の回転を係止することで達成されるギ
ア段(ここでは6速ギア段)に減速比の最も近いギア段
(ここでは5速ギア段)を経由することが望ましい。
【0093】以上がギア入制御の詳細である。 (機関始動/停止制御)続いて、ニュートラル又はパー
キング位置にシフトレバーが操作されているときに、上
記「変速機状態制御」に併せ実施される「機関始動/停
止制御」の詳細を説明する。機関始動/停止制御におけ
る変速機ECU40の処理ルーチンを図7に示す。
【0094】同図7に示すように、本ルーチンの処理に
移行すると、変速ECU40は、まずステップS410
において、システムが起動されているか否か、すなわち
システム起動フラグSFがオンにセットされているか否
かを判断する。
【0095】ここでシステム起動フラグSFがオンにセ
ットされていなければ(S410:NO)、イグニッシ
ョンスイッチがオンとされてから、内燃機関10は一度
も始動されていないこととなる。このときには、スター
タスイッチがオンに操作されることをもって(S46
0:YES)、ステップ500の「機関始動ルーチン」
(図8,9参照)の処理を通じ、内燃機関10の始動が
図られる。
【0096】一方、システム起動フラグSFがオンにセ
ットされているときには(S410:YES)、以下の
ように内燃機関10の始動/停止制御を行う。まず、ス
テップ420では、内燃機関10の冷却水温が60℃を
超えているか否かが判断される。冷却水温が60℃を超
えていれば、内燃機関10の円滑な始動を可能とする程
度に暖機されていることを示している。
【0097】ここで冷却水温が60℃を超えており(S
420:YES)、且つステップ421〜424で判断
処理される機関始動条件が全て不成立であるときに、内
燃機関10が稼働中であれば(S440:YES)、内
燃機関10が停止される(S450)。すなわち、本実
施形態では、シフトレバーがパーキング、又はニュート
ラルに操作されており、且つ冷却水温が60℃を超えて
いて、更に以下の条件(a)〜(d)の全てが不成立で
あるとき、内燃機関10が停止される(S450)。 条件(a) 電池ECU43から充電要求が出力されて
いること(S421:YES)。電池ECU43は、そ
のときの車両の電力需要とバッテリ26の充電量とに応
じて、M/G24の発電によるバッテリ26への充電が
必要と判断したときに、充電要求を出力する。 条件(b) エアコンECU41からエアコンの稼働要
求が出力されていないこと(S422:YES)。 条件(c) ブレーキペダルが踏み込まれていること
(S423:YES)。 条件(d) シフトレバーに設けられたノブスイッチが
押されていること(S424:YES)。
【0098】ちなみに、パーキング又はニュートラルか
らドライブ又はリバースへのシフトレバーの操作を行う
には、ブレーキペダルを踏み込み、且つノブスイッチを
押す必要がある。ここでは、それらブレーキペダル又は
ノブスイッチの操作により、車両の走行開始をいち早く
検知するようにしている。
【0099】一方、冷却水温が60℃以下であるか、上
記条件(a)〜(d)のいずれか1つ以上が成立してい
るときには、「機関始動ルーチン」の処理を通じて、内
燃機関10の始動が図られる。
【0100】すなわち、本実施形態では、内燃機関10
の冷却水温が60℃を上回り、シフトレバーがニュート
ラル又はパーキングに操作されており、且つ発電やエア
コンのために内燃機関10を稼働する必要がないときに
は、燃費向上のため、内燃機関10を停止するようにし
ている。そして、発電やエアコンのための内燃機関10
の稼働が必要となるか、車両の走行を開始するための運
転者の操作が検出された時点で、停止された内燃機関1
0を再始動するようにしている。
【0101】(機関始動ルーチン)続いて、内燃機関1
0を始動させるための上記「機関始動ルーチン」の詳細
を説明する。図8及び図9は、本ルーチンのフローチャ
ートを示している。
【0102】本ルーチンの処理に移行すると、変速機E
CU40は、まずステップ502において、機関始動モ
ードフラグESFの値が「0」であるか否かを判断す
る。ここで機関始動モードフラグESFの値が「0」で
あれば、ステップ504以降の処理による通常始動モー
ドでの機関始動が試みられ、「0」でなければ、ステッ
プ550以降の処理(図9)による慣性始動モードでの
機関始動が試みられる。ちなみに、機関始動モードフラ
グESFは、初期値として値「0」が設定されている。
【0103】機関始動モードフラグESFの値が「0」
のときの通常始動モードの処理を説明する。まずステッ
プ504及びステップ506で、歯車変速機構の実シフ
ト位置がニュートラルであり、且つ発進クラッチ12が
接続されているか否かが判断される。これらの条件が整
っていないときには(S504:NO、又はS506:
NO)、機関稼働フラグEFの値を「0」にセットし、
本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0104】機関稼働フラグEFは、内燃機関10の稼
働しているか否かを表すフラグであり、内燃機関10の
稼働中はその値が「1」に、停止中はその値が「0」に
それぞれセットされている。すなわち、機関稼働フラグ
EFの値は、機関始動が完了した時点で「1」にセット
され、機関始動が完了するまでは「0」に保持される。
【0105】一方、上記条件が整って(S504:YE
S、且つS506:YES)、M/G24の回転軸と内
燃機関10のクランクシャフト11とが直結された状態
となれば、回転速度N2をM/G回転速度Nmgの目標
値としてM/G24を力行運転してクランクシャフト1
1を回転させる(S508)。
【0106】ちなみに本実施形態の動力伝達装置では、
このときのM/G24の回転軸と内燃機関10のクラン
クシャフト11とは一体回転されており、M/G回転速
度Nmgと機関回転速度NEとは一致している。また、
上記回転速度N2は、内燃機関10の自立運転に必要な
機関回転速度の下限値である。ここでは回転速度N2
は、内燃機関10のアイドル回転速度よりも若干低い回
転速度に設定されている。
【0107】またこうしたM/G24の力行運転の開始
より、始動カウンタCountのカウントが開始される
(S510)。そして、機関回転速度NEが所定の回転
速度N1に達すれば(S512)、内燃機関10への燃
料噴射を開始する(S514)。この回転速度N1の値
は、上記回転速度N2よりも低い回転速度に設定されて
いる。
【0108】そして更に、機関回転速度NEが上記目標
回転速度N2に達した時点で、M/G24の力行運転を
停止し(S518)、システム起動フラグSFの値を
「1」にセットし、始動カウンタCountの値をクリ
アして(S520)、機関始動を完了する。以上が、通
常始動モードの処理である。
【0109】一方、始動カウンタCountの値が所定
値a以上となっても、すなわち上記M/G24の力行運
転の開始から所定時間が経過しても、機関回転速度NE
が回転速度N1に達しない場合(S512:YES、且
つS530:NO)には、以下の処理を実施する。
【0110】まず、発進クラッチ12を切断して(S5
32)、内燃機関10とM/G24とを一旦切り離すよ
うにする。そして、その状態で、M/G24の力行運転
により、回転速度N3をM/G回転速度Nmgの目標値
として、変速機入力軸13を回転させる。目標回転速度
N3は、上記目標回転速度N2よりも更に高い回転速度
に設定されている。本実施形態では、目標回転速度N3
は、内燃機関10のアイドル回転速度よりも更に高い回
転速度に設定されている。ちなみに、このときには、M
/G24と内燃機関10とが切り離されているため、よ
り小さいトルクでM/G24を回転させることができ
る。
【0111】こうしたM/G24の力行運転により、M
/G回転速度Nmgが、上記目標回転速度N4よりも若
干小さい回転速度N3以上となれば(S535:N
O)、ステップ544において、機関始動モードフラグ
ESFの値を「1」にセットし、始動カウンタCoun
tの値をクリアする。これにより、次回の本ルーチンの
実施時には、ステップ550以降の処理が実施されるこ
ととなる。
【0112】一方、バッテリ26の充電残量が少なくて
M/G24の出力が十分に得られないときのように、始
動カウンタCountの値が所定値b(>a)以上とな
ってもM/G回転速度Nmgが回転速度N3に達しない
ときには(S536:YES、且つS538:YE
S)、M/G24の力行運転を停止するとともに(S5
40)、システム起動フラグSFをオフ(0)にセット
し、始動カウンタCountの値をクリアして(S54
2)、機関始動を断念することとなる。
【0113】以上のように、本実施形態では、通常始動
モードでの機関始動が所定時間以上経過しても完了しな
い場合には、内燃機関10と歯車変速機構とを切り離し
た状態で、M/G24を力行運転させている。これによ
り、変速機入力軸13やM/G24の回転子等の回転体
に慣性エネルギが蓄えられることとなる。
【0114】さて、発進クラッチ12を切断した状態で
のM/G24の力行運転によりM/G回転速度Nmgが
回転速度N3に達し、機関始動モードフラグESFの値
が「1」にセットされると、(S502:YES)、以
下の処理による慣性始動モードでの機関始動が試みられ
る。
【0115】慣性始動モードでの機関始動が開始される
と、発進クラッチ12が接続され(S550)、以後、
上記通常始動モードと同様に機関始動の試みが行われ
る。すなわち、M/G24の力行運転により、クランク
シャフト11を回転させ(S554)、機関回転速度N
Eが回転速度N1以上となった時点で(S556:YE
S)内燃機関10への燃料噴射を開始する(S55
8)。そして更に機関回転速度NEが回転速度N2に達
し(S560:YES)、内燃機関10が自立運転可能
となった時点で、M/G24の力行運転を停止し(S5
62)、システム起動フラグSFの値を「1」にセット
し、始動カウンタCountの値をクリアして(S56
4)、機関始動を完了する。
【0116】ただし、このときには、変速機入力軸13
やM/G24の回転子等に慣性エネルギが蓄えられてお
り、より少ないトルクでクランクシャフト11を回転さ
せることができる。これにより、M/G24の出力が若
干低いような場合にも、内燃機関10を始動できるよう
になる。
【0117】なお、慣性始動モードにおいては、M/G
24の力行運転の開始後、始動カウンタCountの値
が所定値cに達しても、機関回転速度NEが回転速度N
1に達しない場合には、M/G24の力行運転を停止す
るとともに(S570)、システム起動フラグSFをオ
フ(0)にセットし、始動カウンタCountの値をク
リアして(S572)、機関始動を断念することとな
る。
【0118】以上が、機関始動ルーチンの詳細である。 <リバース操作時の制御>続いて、シフトレバーがリバ
ース位置に操作されているときの制御について説明す
る。
【0119】図10に示される「リバース操作時の制
御」の処理は、図4に示したようにシステム起動フラグ
SFがオンにセットされ、且つシフトレバーがリバース
位置に操作されているときに実施される。
【0120】さて、リバース操作時の制御の処理に際
し、内燃機関10が停止していれば(S600:YE
S)、上述の「変速機状態制御」を実施して、変速機入
・出力軸13,14の接続を切り離すように歯車変速機
構のギアを設定する。そして、車速が規定車速以下とな
り、変速機状態制御によって、歯車変速機構の実シフト
位置がニュートラルに設定され、発進クラッチ12が接
続されると、上述の「機関始動ルーチン」により、内燃
機関10の始動が試みられる。
【0121】また、内燃機関10が稼働中であって(S
600:NO)、歯車変速機構の実シフト位置がリバー
スに設定されていなければ(S610:NO)、実シフ
ト位置をリバースとするシフト制御が実施される(S6
15)。このシフト制御は、次のように行われる。
【0122】まず、発進クラッチ12を切断するととも
に、ドッグクラッチC3により変速機入力軸13と5速
用駆動ギア34aとを連結する。このとき、ドッグクラ
ッチC3以外のドッグクラッチが係合されていれば、前
もってその係合を解除しておく。これにより、変速機入
力軸13は、内燃機関10及び変速機出力軸14のいず
れにも連結されない状態となり、且つM/G24の回転
軸と一体回転されるようになる。
【0123】次に、M/G24の回転速度制御によっ
て、変速機入・出力軸13,14の回転速度比が、リバ
ースギアの設定時における両軸13,14の回転速度比
となるように、変速機入力軸13の回転速度を調整す
る。そして、回転速度が調整できた時点で、後進用駆動
ギア35aと後進用被動ギア35bとの間に後進ピニオ
ンギア35cを噛み合わせ、リバースへのシフト制御を
完了する。
【0124】一方、歯車変速機構の実シフト位置が既に
リバースに設定されていれば(S610:YES)、M
/G24のトルク制御が実施される。実シフト位置がリ
バースに設定されていれば、M/G24と駆動輪軸17
とが駆動連結されているため、M/G24の出力トルク
を駆動輪に伝達することができる。そこで、所望とする
駆動力特性が得られるようにM/G24のトルク制御を
実施して、駆動輪に適度なクリープトルクを発生させる
ようにする(S620)。
【0125】このM/G24のトルク制御の実施に続
き、発進クラッチ12の制御が実施される。まず、ステ
ップ630において、発進クラッチ12が接続されてい
るか否かが判断される。
【0126】発進クラッチ12が接続されているときに
は(S630:YES)、続くステップ640におい
て、車速が所定の停止判定速度(例えば時速5km)未
満であるか否かが判断される。ここで車速が停止判定速
度以上であれば(S640:NO)、そのまま、発進ク
ラッチ12の接続が維持される。
【0127】また、停止判定速度未満の車速のときには
(S640:YES)、発進クラッチ12の半クラッチ
制御が実施される(S650)。この半クラッチ制御
は、発進クラッチ12の伝達トルクが、下式により求め
られる値Tcとなるように、駆動油圧制御によって摩擦
板間の押し付け荷重を調整することで行われる。
【0128】Tc=|Te+K(NE−Nin)| ここで、「Te」は内燃機関10の発生トルクの推定値
であり、そのときの内燃機関10の負荷及び回転速度等
より求められている。また「K」は、所定の定数であ
る。こうして内燃機関10と変速機入力軸13との間の
トルク伝達を抑制することで、過大負荷によるエンジン
ストールの発生を抑えている。
【0129】一方、発進クラッチ12が接続されていな
いとき、すなわち発進クラッチ12が切断されている
か、半クラッチ制御が実施されているときには(S63
0:YES)、ステップ660において、機関回転速度
NEと変速機入力軸13の回転速度の差(|NE−Ni
n|)が所定値ΔN未満であるか否かが判断される。こ
こで上記回転速度の差(|NE−Nin|)が所定値Δ
N以上に大きいときには(S660:NO)、半クラッ
チ制御が実施される(S650)。また、上記回転速度
の差が所定値ΔN未満となっていれば(S660:YE
S)、発進クラッチ12を完全に接続する。
【0130】ここで、停車からの後進発進時の制御の流
れを説明する。車両の停車中、シフトレバーがパーキン
グ又はニュートラルに操作されていれば、歯車変速機構
のギアは、ニュートラルに設定されている。すなわち、
ドッグクラッチC3により、5速用駆動ギア34aと変
速機入力軸13とが連結され、遊星ギア機構20の各要
素21〜23が一体回転可能にロックされた状態となっ
ている。またこのときの、発進クラッチ12は接続され
た状態となっている。
【0131】なお、停車中に、冷却水温など上述の条件
が整っていれば、内燃機関10は停止されているが、リ
バースへのシフトレバーの操作に応じたブレーキペダル
の踏み込み、又はノブスイッチの操作が行われた時点か
ら、内燃機関10の再始動が行われる。このため、内燃
機関10が停止されていても、速やかに内燃機関10を
始動して走行を可能とすることができる。
【0132】ここでシフトレバーがリバースに操作され
ると、発進クラッチ12が切断され、M/G24の回転
速度制御を通じて後進ギア段へのシフトが行われる。こ
のとき、内燃機関10の始動が完了していなければ、上
記機関始動ルーチンにより、内燃機関10が始動され、
その始動が完了した地点で後進ギア段へのシフトが開始
されることとなる。
【0133】そして、後進ギア段へのシフトが完了する
と、M/G24のトルク制御により、駆動輪にクリープ
トルクが付与されるようになる。またこれとともに、発
進クラッチ12の半クラッチ制御が開始される。この半
クラッチ制御により、内燃機関10から駆動輪へのトル
ク伝達率が次第に高められていき、車両の後進走行が開
始される。このとき、本実施形態では、発進クラッチ1
2の接続状態の如何に因らず、M/G24によるクリー
プトルクが駆動輪に付与されているため、円滑な発進が
可能にもなっている。
【0134】そして、機関回転速度NEと変速機入力軸
13の回転速度Ninとが同期して、それらの回転速度
差が縮まったところで、すなわちそれらの回転速度差が
所定値ΔN未満となったところで、発進クラッチ12が
接続される。
【0135】以上がシフトレバーのリバース操作時の制
御の詳細である。 <ドライブ操作時の制御>続いて、シフトレバーがドラ
イブ位置に操作されているときの制御について説明す
る。
【0136】図11に示される「ドライブ操作時の制
御」の処理は、図4に示したようにシステム起動フラグ
SFがオンにセットされ、且つシフトレバーがドライブ
位置に操作されているときに実施される。
【0137】さて、本制御の処理に際し、内燃機関10
が停止していれば(S700:YES)、リバース操作
時と同様に、「変速機状態制御」及び「機関始動ルーチ
ン」の処理を通じて、内燃機関10の始動を試みる。
【0138】一方、内燃機関10が稼働中であれば(S
700:NO)、変速機ECU40は、ステップ710
において、そのときの車速に応じた目標ギア段を算出す
る。ここで、シフトレバーがニュートラル位置からドラ
イブ位置に操作された直後のように、歯車変速機構の実
シフト位置がニュートラルに設定されていれば(S72
0:YES)、上述の「ギア入制御」(図6)を実施す
る。
【0139】ここで、歯車変速機構の実シフト位置がニ
ュートラル以外のギア段に設定されていれば(S72
0:NO)、以下の処理が実施される。まず上記算出さ
れた目標ギア段が、現ギア段、すなわち歯車変速機構に
現在設定されているギア段と異なっていれば(S73
0:YES)、上述した態様で現ギア段から目標ギア段
に向けての歯車変速機構の変速制御が実施される(S7
35)。このとき、M/G24は、ギア段の切り換えを
行うために使用される。
【0140】一方、目標ギア段と現ギア段とが一致して
いれば(S730:NO)、図12に示す前進時M/G
制御を実施する(S800)。この前進時M/G制御の
詳細は後述する。
【0141】更に、ギア段の切り換え(S735)又は
前進時M/G制御(S800)を実施した後、ステップ
740以降の処理を通じて、発進クラッチ12の接続状
態の制御が行われる。
【0142】まず、ステップ740では、発進クラッチ
12が接続されているか否かが判断される。発進クラッ
チ12が接続されているときには、変速機入力軸13の
回転速度Ninが、予め設定された規定回転速度Nof
f未満であれば(S750:YES)、半クラッチ制御
を実施する(S760)。ここでの半クラッチ制御は、
上述のリバース操作時制御における半クラッチ制御と同
様に行われる。一方、変速機入力軸13の回転速度Ni
nが、予め設定された規定回転速度Noff以上であれ
ば(S750:NO)、そのまま発進クラッチ12が接
続された状態を維持する。
【0143】一方、発進クラッチ12が接続されていな
いとき、すなわち同発進クラッチ12が切断されている
か、半クラッチ制御の実施中であるかのときには(S7
40:NO)、次のように発進クラッチ12の制御が行
われる。
【0144】まず、アクセルペダルが踏み込まれておら
ず(S770:YES)、且つ変速機入力軸13の回転
速度が上記規定回転速度Noffを下回っているときに
は(S775:YES)、発進クラッチ12を切断す
る。
【0145】一方、アクセルペダルが踏み込まれている
か、或いは変速機入力軸13の回転速度が上記規定回転
速度Noff以上であるかの少なくとも一方が成立する
ときには、(S770:NO、又はS775:NO)、
以下の処理を行う。
【0146】すなわち、機関回転速度NEと変速機入力
軸13の回転速度Ninとの差(|NE−Nin|)が
所定値ΔN以上であれば(S790:NO)、上記半ク
ラッチ制御を実施する(S795)。また上記差(|N
E−Nin|)が所定値ΔN未満となれば(S790:
YES)、発進クラッチ12を完全に接続する。
【0147】(前進時M/G制御)続いて上記の前進時
M/G制御の詳細を、図12のフローチャートを参照し
て説明する。本制御の処理は、上述のように上記「ドラ
イブ操作時制御」において、目標ギア段と現ギア段とが
一致しているときに(S730:NO)実行される。そ
して本制御に置いて、前進走行時のM/G制御の切り換
えが行われる。
【0148】まず、ブレーキペダルが踏み込まれている
ときには(S810:YES)、回生発電制御が実施さ
れ、車両減速中に駆動輪から伝達される動力により回生
発電を行う発電機としてM/G24が用いられる。
【0149】一方、ブレーキペダルが踏み込まれていな
いときには(S810:NO)、発進クラッチ12の接
続状態、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)
及び車速に応じて、M/G24の制御が、発電制御、ク
リープトルク発生制御、駆動力アシスト制御のいずれか
に振り分けられる。
【0150】発電制御では、必要に応じて、内燃機関1
0の出力の一部を用いて発電を行う発電機として機能さ
せるように、M/G24の制御が行われる。クリープト
ルク発生制御では、車両の停車時や微速走行時等に、M
/G24の力行運転により、駆動輪に適度のクリープト
ルクを付与するように、M/G24の制御が行われる。
【0151】駆動力アシスト制御では、車両の加速時
等、駆動輪軸17に大きい回転トルクが必要とされると
きに、M/G24を力行運転することで、内燃機関10
の出力をアシストするように、M/G24の制御が行わ
れる。
【0152】ここでのM/G制御の振り分けは次のよう
に行われる。まず、発進クラッチ12が接続されており
(S810:YES)、更にアクセル開度ACCPが所
定の範囲(Alow<ACCP<Ahigh)にあっ
て、且つ車速が予め定められた規定車速よりも高いとき
には(S820:YES)、M/G24の発電制御が実
施される。なお、上記アクセル開度の範囲(Alow<
ACCP<Ahigh)は、車両が定常走行にあるとき
のアクセル開度の範囲として設定されている。
【0153】一方、それ以外のときには(S810:N
O、又はS820:NO)、車速やアクセル開度に応じ
て、クリープトルク発生制御、又は駆動力アシスト制御
が実施されることとなる。
【0154】図13は、M/G24のクリープトルク発
生制御時の制御態様の一例を示している。同図13に示
されるグラフの縦軸は、アクセル開度がゼロ、すなわち
アクセルペダルが踏み込まれていないときのM/G24
の発生トルクを、同グラフの横軸は車速をそれぞれ示し
ている。また同グラフの縦軸上で発生トルクが正の値の
ときには、M/G24が力行運転されて、駆動輪にトル
クが付与されていることを示しており、負の値のときに
はM/G24が回生運転されて、内燃機関10の出力の
一部を利用して発電を行っていることを示している。
【0155】一方、図14は、規定車速以上の所定の車
速におけるアクセル開度とM/G24の発生する駆動ト
ルクとの関係を示している。同図14に示されるよう
に、アクセル開度が上記範囲の下限値Alow以下の領
域、及び同範囲の上限値Ahigh以上の領域では、M
/G24は駆動トルクを発生するように、M/G24の
トルク制御が行われている。そして、アクセル開度が上
記範囲の下限値Alow以下の領域でのM/G24の駆
動トルクは、駆動輪のクリープトルクとして用いられ、
同範囲の上限値Ahigh以上の領域でのM/G24の
駆動トルクは、内燃機関10の駆動力アシストとして用
いられることとなる。
【0156】なお、本平行軸式歯車変速装置を備える車
両では、M/G24を変速以外の用途にも用いられてい
る。以上のドライブ操作時制御により、車両の前進走行
は、以下のように行われるようになる。
【0157】停車中、パーキング又はニュートラルから
ドライブへとシフトレバーを操作すると、ギア入制御を
通じて歯車変速機構のギアが、1速ギア段に入れられ
る。停車時に内燃機関10が停止されていれば、後進時
と同様に、ギア入れに先立って、機関始動ルーチンを通
じて機関始動が行われる。
【0158】ギア入れが完了すると、M/G24のトル
ク制御により、駆動輪にクリープトルクが付与されるよ
うになる。またこれとともに、発進クラッチ12の半ク
ラッチ制御が開始される。この半クラッチ制御により、
内燃機関10から駆動輪へのトルク伝達率が次第に高め
られていき、車両が発進される。そして、機関回転速度
NEと変速機入力軸13の回転速度Ninとが同期し
て、それらの回転速度差が縮まったところで、すなわち
それらの回転速度差が所定値ΔN未満となったところ
で、発進クラッチ12が接続される。
【0159】車両の走行中は、次のように状況に応じて
M/G24が使い分けられる。変速時には、M/G24
は、歯車変速機構のギア段の切り換えに用いられる。ブ
レーキペダルが踏み込まれると、M/G24は、駆動輪
から伝達された動力による回生発電を行うために用いら
れる。またM/G24は、加速時や登坂時等の高負荷時
には、駆動トルクのアシストに用いられ、低速走行時に
は、駆動輪のクリープトルクの発生に用いられる。
【0160】このように本実施形態では、1つのM/G
24が多くの機能を果たしている。以上説明した本実施
形態によれば、次の効果を奏することができる。 (1)本実施形態では、変速機入・出力軸13,14間
のトルク伝達を行うギア対の変更により変速を行う平行
軸式歯車変速装置において、遊星ギア機構20とM/G
24とを設けるようにしている。そして、遊星ギア機構
20のサンギア21をM/G24に、プラネタリキャリ
ア22を変速機入力軸13に連結するとともに、5速用
ギア対34a,34bを介してリングギア23を変速機
出力軸14に連結可能としている。このため、内燃機関
10から駆動輪への動力伝達を維持しながらも、M/G
24の駆動制御を通じて、円滑に変速を行うことができ
る。
【0161】(2)本実施形態では、変速時のギア係合
を、M/G24の回転速度制御により、変速機入・出力
軸13,14の回転速度を同期させた状態で行ってい
る。そのため、変速機入・出力軸13,14の回転速度
を同期させるためのシンクロ機構を特に持たせずとも、
ギアの連結/切離しを円滑に行うことができる。またそ
のため、ドッグクラッチC1〜C5を低い油圧で駆動で
き、比較的小型・小容量のオイルポンプでも変速装置を
動作させることが可能である。
【0162】(3)本実施形態では、ドッグクラッチC
3により変速機入力軸13と5速用ギア対34a,34
bとを係合して、遊星ギア機構20のリングギア23と
変速機入力軸13とを一体回転可能に連結することがで
きる。これにより、1速〜4速間の変速中の動力伝達の
維持に用いられる5速用ギア対34a,34bを、変速
用のギアとして使用可能となり、ギアを追加することな
く設定可能なギア段を増やすことができる。
【0163】(4)更に本実施形態では、ドッグクラッ
チC5により、M/G24の回転を係止することができ
る。これにより、遊星ギア機構20での回転速度変換を
利用して更なる変速比の設定が可能となり、ギア対を追
加することなく設定可能なギア段を増やすことができ
る。
【0164】(5)本実施形態では、発進クラッチ12
を接続して、クランクシャフト11とM/G24とを直
結させた状態で、M/G24によりクランクシャフト1
1を回転させて内燃機関10の始動を行うようにしてい
る。そうした内燃機関10の始動が不能なときには、発
進クラッチ12を切断した状態でM/G24により変速
機入力軸13を回転させ、変速機入力軸13やM/G2
4に慣性エネルギをチャージした後に、発進クラッチ1
2を再接続して内燃機関10の始動を再び試みるように
している。このときには、M/G24の出力に加え、チ
ャージされた慣性エネルギも利用してクランクシャフト
11を回転させることができるため、M/G24の出力
が十分に得られなくとも、内燃機関10の始動を行え
る。したがって、内燃機関10の始動性を向上すること
ができる。
【0165】(6)本実施形態では、ドッグクラッチC
5により、M/G24の回転をロック(係止)し、ドッ
グクラッチC4により5速用被動ギア34bと変速機出
力軸14とを連結することで、6速ギア段が設定されて
いる。ニュートラルから6速ギア段への切り換えは、ド
ッグクラッチC5を係合した時点で、M/G24の回転
がロックされてしまうため、ドッグクラッチC4の連結
に際して、変速機入力軸13の回転速度を調整不能とな
ってしまう。そのため、本実施形態では、ニュートラル
から6速ギア段への切り換えを、M/G24の回転を許
容したままで達成される5速ギア段を一旦経由して切り
換えを行うようにしている。すなわち、ニュートラルか
ら6速ギア段への切り換えは、ニュートラル→5速ギア
段→6速ギア段の順序で行われる。これにより、M/G
24の回転をロックして達成されるギア段についても、
ニュートラルのギア設定から円滑に切り換えることがで
きるようになる。
【0166】(7)本実施形態では、シフトレバーがパ
ーキング又はニュートラルに操作されているときに、内
燃機関10が自動的に停止され、走行開始の操作の検出
と共に停止した内燃機関10を自動的に再始動するよう
にしている。これにより、燃費を向上できる。
【0167】(8)本実施形態では、後進走行時、すな
わち後進ギア段が設定されているときに、M/G24に
より駆動輪にクリープトルクを発生させている。これに
より、後進走行を円滑に行うことができるようになる。
【0168】(9)本実施形態では、車両走行中に、M
/G24を力行運転や回生運転させることで、駆動トル
クのアシストや回生発電が実施可能であり、車両の運転
効率を向上して燃費性能を高めることができる。またM
/G24による車両停車状態での駆動輪のクリープトル
クの発生、及びM/G24のトルクアシストによる発進
中の動力補助が可能であり、車両の発進が円滑に行え
る。更に、M/G24による内燃機関10の始動が可能
であり、格別のスタータモータが不要となる。このよう
に、M/G24を用いることで、構成の複雑化を招くこ
となく、多くの機能を得ることができる。
【0169】以上説明した本実施形態は、次のように変
更して実施することができる。 ・上記実施形態では、M/G24による変速機入力軸1
3の回転によりチャージされた慣性エネルギを利用した
慣性始動モードと、そうした慣性エネルギのチャージを
行わずに内燃機関10の始動を行う通常始動モードとの
2つの始動モードが設定されている。そして上記実施形
態では、通常始動モードでの始動が不能であったとき
に、慣性始動モードでの始動を試みるようにしている。
これを、例えば冷間始動時等の始動が困難な状況下で
は、始めから慣性始動モードで始動を行うようにした
り、機関始動を常に慣性始動モードで行うようにしたり
しても良い。
【0170】・また、歯車変速機構の構成を図15に示
すように変更することで、上記慣性始動モードでの始動
性を更に高めることができる。同図15に示される構成
では、ドッグクラッチC1,C2を変速機出力軸14側
に設けるようにしている。すなわち、1速〜4速用被動
ギア30b〜33bと変速機出力軸14との連結/切り
離しにより、1速ギア段〜4速ギア段の設定を行うよう
にしている。こうした構成では、1速〜4速の各ギア対
30a,30b〜33a,33bが変速機入力軸13の
回転と共に連れ回されるため、より多くの慣性エネルギ
をチャージすることができる。
【0171】・上記実施形態での車両の動力伝達装置の
制御の一部を変更したり、省略したりしても良い。その
場合にも、発進クラッチ12を切断した状態でM/G2
4により変速機入力軸13を回転させて、変速機入力軸
13やM/G24に慣性エネルギをチャージした後に、
発進クラッチ12を接続して内燃機関10の始動を行う
ことさえすれば、内燃機関10の始動性の向上は可能で
ある。またニュートラルのギア設定から、M/G24の
回転をロックして達成されるギア段への切り換えを、M
/G24の回転をロックしないで達成されるギア段を経
由して行うようにしさえすれば、上記ギア段の切り換え
を円滑に行うことはできる。更に、後進時にM/G24
の力行運転により、クリープトルクを発生させるように
しさえすれば、後進走行の円滑化は可能である。また、
M/G24を、内燃機関の動力の一部や車両減速中の減
速エネルギ等を用いた発電や、駆動アシストなどにも用
いるようにしさえすれば、構成の複雑化を招くことな
く、多くの機能を得ることはできる。
【0172】・上記実施形態では、ギア対の連結/切離
しをシンクロ機構の無いドッグクラッチで行っている
が、シンクロ機構を備える同期連結機構等の任意の連結
機構を採用することができる。また変速機入力軸13と
プラネタリキャリア22又はリングギア23の連結/切
離し、或いはM/G24の回転軸(サンギア21)の係
止についてもドッグクラッチで行っているが、そうした
連結機構についても任意の連結機構を採用が可能であ
る。
【0173】・上記実施形態での歯車変速機構の各ギア
の配列の順序やその数等は任意に変更することができ
る。またギアの数を変更して設定可能なギア段の数を増
減することができる。
【0174】・上記実施形態では、遊星ギア機構20の
サンギア21にM/G24を、プラネタリキャリア22
に変速機入力軸13を、5速用ギア対34a,34bを
介してリングギア23に変速機出力軸14をそれぞれ連
結するようにしている。そうした遊星ギア機構20の各
要素21〜23と変速機入・出力軸13,14及びM/
G24との連結関係を変更した構成としても良い。
【0175】・また3つの要素を有して、そのうちの2
つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転可能
なものであれば、上記実施形態の遊星ギア機構以外の任
意の差動機を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態についてその歯車変速機
構の構成を示す模式図。
【図2】同実施形態の電気的構成を示す模式図。
【図3】同実施形態の歯車変速機構の動作態様を示す模
式図。
【図4】動力伝達装置制御のフローチャート。
【図5】変速機状態制御のフローチャート。
【図6】ギア入制御のフローチャート。
【図7】機関始動/停止制御のフローチャート。
【図8】機関始動ルーチンのフローチャート。
【図9】同じく機関始動ルーチンのフローチャート。
【図10】リバース操作時制御のフローチャート。
【図11】ドライブ操作時制御のフローチャート。
【図12】前進時M/G制御のフローチャート。
【図13】M/Gのトルク制御態様の一例を示すグラ
フ。
【図14】M/Gのトルク制御態様の一例を示すグラ
フ。
【図15】他の実施形態についてその歯車変速機構の構
成を示す模式図。
【図16】従来の動力伝達装置についてその歯車変速機
構の構成を示す模式図。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…クランクシャフト(機関出力
軸)、12…発進クラッチ、13…変速機入力軸、14
…変速機出力軸、C1〜C5…ドッグクラッチ、S1〜
S5…シフトアクチュエータ、20…遊星ギア機構(差
動機)、21…サンギア、22…プラネタリキャリア、
23…リングギア、24…モータ/ジェネレータ(M/
G:回転電気機)、40…変速機電子制御装置(変速機
ECU)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60K 41/00 B60K 41/00 301D 41/22 41/22 F02D 45/00 310 F02D 45/00 310B F02N 11/08 F02N 11/08 V F16H 48/10 F16H 1/42 Fターム(参考) 3D039 AA02 AA03 AA04 AB26 AC24 AC37 AD02 AD23 3D041 AA28 AA31 AB01 AC06 AC15 AD02 AD10 AD12 AD17 AD22 AD23 AD31 AD41 AD51 AE01 AE02 AE14 AE31 3G084 BA00 BA29 BA32 CA01 DA09 DA11 FA05 FA06 FA10 FA33 FA36 3J027 FA50 FB01 GC13 GC22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関と駆動輪と間の動力伝達を行う車
    両の動力伝達装置であって、 前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆動輪
    に連結される変速機出力軸との2軸を有し、それら2軸
    を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯車変速
    機構と、 前記変速機出力軸に連結される第1要素、ギアを介して
    前記変速機出力軸に連結される第2要素、及び回転電気
    機に連結される第3要素の3つの要素を有し、それら要
    素のうちの2つの回転速度差に応じて残る要素を差動回
    転させる差動機と、 前記内燃機関の出力軸と前記変速機入力軸との動力伝達
    を断接する発進クラッチと、 前記発進クラッチを接続して前記内燃機関の出力軸を前
    記回転電気機により回転させて前記内燃機関の始動する
    始動手段と、 前記始動手段による前記内燃機関の始動に先立って、前
    記発進クラッチを切り離した状態で前記回転電気機によ
    り前記変速機入力軸を回転させることで前記内燃機関の
    始動を補助する始動補助手段と、を備える車両の動力伝
    達装置。
  2. 【請求項2】前記始動補助手段による始動の補助は、そ
    の補助無しでの前記始動手段による前記内燃機関の始動
    が行えなかったときに実施される請求項1に記載の車両
    の動力伝達装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の車両の動力伝達装
    置において、前記歯車変速機構は、前記変速機入力軸と
    前記変速機出力軸とを連結するギアの切り換えを、前記
    変速機出力軸と前記ギアとの係合及びその係合の解除を
    通じて行うように構成されている車両の動力伝達装置。
  4. 【請求項4】内燃機関と駆動輪と間の動力伝達を行う車
    両の動力伝達装置であって、 前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆動輪
    に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それら2
    軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯車変
    速機構と、 前記変速機出力軸に連結される第1要素、ギアを介して
    前記変速機出力軸に連結される第2要素、及び前記回転
    電気機の回転軸に連結される第3要素との3つの要素を
    有し、それら3つの要素のうちの2つの回転速度差に応
    じて残る要素を差動回転させる差動機と、 前記歯車変速機構のギアの切り換えに応じて、前記回転
    電気機の回転を許容した状態で走行用のギア段を設定す
    る第1のギア設定手段と、 前記歯車変速機構のギアの切り換えに応じて、前記回転
    電気機の回転をロックした状態で走行用のギアを設定す
    る第2のギア設定手段と、 前記変速機入力軸及び変速機出力軸間の動力伝達を遮断
    した前記歯車変速機構の中立ギア段から、前記第2のギ
    ア段設定手段により設定される走行用のギア段へ切り換
    えるとき、前記中立ギア段から前記第1のギア段設定手
    段により設定される走行用ギア段に一旦切り換えた後、
    その走行用ギア段から前記第2のギア段設定手段により
    設定されるギア段に切り換えるギア切換制御手段と、を
    備える車両の動力伝達装置。
  5. 【請求項5】内燃機関と駆動輪と間の動力伝達を行う車
    両の動力伝達装置であって、 前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆動輪
    に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それら2
    軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯車変
    速機構と、 前記変速機出力軸に連結される第1要素、ギアを介して
    前記変速機出力軸に連結される第2要素、及び回転電気
    機の回転軸に連結される第3要素の3つの要素を有し、
    それら要素のうちの2つの回転速度差に応じて残る要素
    を差動回転させる差動機と、 前記車両の後進走行時には、前記回転電気を力行運転さ
    せて前記駆動輪にクリープトルクを発生させるクリープ
    トルク発生制御手段と、を備える車両の動力伝達装置。
  6. 【請求項6】内燃機関と駆動輪と間の動力伝達を行う車
    両の動力伝達装置であって、 前記内燃機関に連結される変速機入力軸と、前記駆動輪
    に連結される変速機出力軸との2軸を有して、それら2
    軸を連結するギアの切り換えに応じて変速を行う歯車変
    速機構と、 前記変速機出力軸に連結される第1要素、ギアを介して
    前記変速機出力軸に連結される第2要素、及び回転電気
    機の回転軸に連結される第3要素の3つの要素を有し、
    それら要素のうちの2つの回転速度差に応じて残る要素
    を差動回転させる差動機と、 前記回転電気機を力行運転させて前記車両の駆動力をア
    シストさせる駆動アシスト制御手段と、 前記回転電気機を回生運転させて発電を行わせる発電制
    御手段と、を備える車両の動力伝達装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101282721B1 (ko) * 2011-04-01 2013-07-04 한국과학기술원 복수개의 입력축을 구비하는 변속기어열 및 이를 이용하는 변속장치
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