JP2003128056A - バリア性多層中空容器およびその製造方法 - Google Patents

バリア性多層中空容器およびその製造方法

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JP2003128056A
JP2003128056A JP2001329957A JP2001329957A JP2003128056A JP 2003128056 A JP2003128056 A JP 2003128056A JP 2001329957 A JP2001329957 A JP 2001329957A JP 2001329957 A JP2001329957 A JP 2001329957A JP 2003128056 A JP2003128056 A JP 2003128056A
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resin
barrier
layer
hollow container
barrier layer
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Mitsushige Hamaguchi
美都繁 濱口
Hideo Matsuoka
英夫 松岡
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】容器デザインの自由度、バリア性、層間接着
性、機械的特性が良好なバリア性多層中空容器およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】(a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリア
ミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層状
珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層と
(e)バリア層を形成する樹脂組成物以外の熱可塑性樹
脂からなる熱可塑性樹脂層を有する多層中空容器であっ
て、該中空容器の一部に溶着部を有し、溶着部の強度が
非溶着部の60%以上であることを特徴とするバリア性
多層中空容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バリア性、機械特
性および生産性に優れた多層中空容器およびその製造方
法に関する。特に、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹
脂、液晶性樹脂および/または層状珪酸塩からなる樹脂
組成物を特定の相構造となるよう制御することによって
得られる特異的なバリア性、優れた機械特性、熱溶着性
等の後加工性を持つバリア層を有するバリア性多層中空
容器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィン樹脂は、最も一般的なプラスチックとして
日用雑貨、玩具、機械部品、電気・電子部品および自動
車部品などに幅広く用いられている。しかし、近年、安
全性、保存安定性、更には環境汚染防止性を確保するた
めに内容物の漏洩防止、外気の混入防止等の目的でガス
バリア性(耐透過性)が要求される樹脂製品が増加して
きている。中でも、自動車燃料タンクなどにおいては軽
量性、成形加工のし易さ、デザインの自由度、取扱いの
容易さなどの点から金属製からプラスチック製への転換
が活発に検討されているが、安全性、保存安定性、更に
は環境汚染防止性を確保するために内容物の漏洩防止、
外気の混入防止が重要となり、耐透過性を有する材料が
求められている。しかし、ポリエチレン、ポリプロピレ
ンなどのポリオレフィン製容器は最も一般的なプラスチ
ック容器であるが、ガソリンや特定のオイルに対するバ
リア性が不十分であるために、その使用範囲を制約され
ることが多い状況にあり、その改善が望まれている。
【0003】このような樹脂製燃料タンクに代表される
バリア性多層中空容器としては、中空容器に要求される
バリア性や機械的特性の点からHDPE/接着層/ポリ
アミドやEVOH等のバリア性樹脂/接着層/HDPE
の3種5層からなる多層ブロー成形品の例が挙げられ
る。しかしながら、多層ブロー成形では、容器デザイン
の自由度が不十分であるという点に加え、生産性におい
て成形時に大きなバリが発生する、成形サイクルが長
い、肉厚の均一性に欠ける等の問題点があった。
【0004】一方、自動車部品をはじめ多くの工業用部
品の分野において、良好な加工性および経済性を有する
ことから樹脂の成形に射出成形法が広く用いられてい
る。しかしながら、燃料タンクのような高い燃料バリア
性や機械的特性が要求される製品おいては、従来の熱可
塑性樹脂材料を通常に射出成形してもバリア性多層中空
容器の有するバリア性、耐衝撃性などの諸性能をバラン
ス良く発現するのが困難であるという問題があった。
【0005】このように従来の多層ブロー成形に代わる
容器デザインの自由度、生産性、バリア性、機械的特性
が良好な多層中空容器およびその製造方法が求められて
いるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、容器デザイ
ンの自由度、生産性、バリア性、機械的特性が良好なバ
リア性多層中空容器およびその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは前記
の目的を達成すべく検討した結果、特定の分散構造を有
する層を多色射出成形により形成した後、相互に接合す
る事によって得られる容器が課題を克服するバリア性多
層中空容器の製造方法となることを見出し本発明に到達
した。
【0008】すなわち本発明は、(1) (a)ポリオ
レフィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂および(c)液晶
性樹脂および/または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組
成物により形成されたバリア層と(e)バリア層を形成
する樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹
脂層を有する多層中空容器であって、該中空容器の一部
に溶着部を有し、溶着部の強度が非溶着部の50%以上
であることを特徴とするバリア性多層中空容器、(2)
(a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、
(c)液晶性樹脂および/または(d)層状珪酸塩から
なる樹脂組成物により形成されたバリア層が成形品表面
に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形品中に電子顕
微鏡で観察される相構造として、厚み方向に表面から内
層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂が連続相かつ
(b)ポリアミド樹脂が分散相となる部分、(b)ポリ
アミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂が分
散相となる部分、(a)ポリオレフィン樹脂が連続相か
つ(b)ポリアミド樹脂が分散相となる部分が順次観察
されるバリア層であることを特徴とする前記(1)に記
載のバリア性多層中空容器、(3) (a)ポリオレフ
ィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶性樹脂お
よび/または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物によ
り形成されたバリア層が成形品表面に垂直な方向を厚み
とした時、該樹脂成形品中の表面から全厚みに対し5〜
10%の任意の深さにおいて、(a)ポリオレフィン樹
脂による連続相かつ(b)ポリアミド樹脂による分散相
が観察され、かつ、表面から全厚みに対し45〜55%
の任意の深さにおいて、(b)ポリアミド樹脂による連
続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂による分散相が観察
されるバリア層であることを特徴とする前記(2)に記
載のバリア性多層中空容器、(4) (a)ポリオレフ
ィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶性樹脂お
よび/または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物によ
り形成されたバリア層が成形品表面に垂直な方向を厚み
とした時、該樹脂成形品中に電子顕微鏡で観察される相
構造として、厚み方向に表面から内層に向かって(a)
ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリアミド樹脂が共に連
続相となる部分、(b)ポリアミド樹脂が連続相かつ
(a)ポリオレフィン樹脂が分散相となる部分、(a)
ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリアミド樹脂が共に連
続相となる部分が順次観察されるバリア層であることを
特徴とする前記(1)に記載のバリア性多層中空容器、
(5) (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリアミド
樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層状珪酸
塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層が成形
品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形品中の
表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さにおい
て、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリアミド樹
脂が共に連続相として観察され、かつ、表面から全厚み
に対し45〜55%の任意の深さにおいて、(b)ポリ
アミド樹脂による連続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂
による分散相が観察されるバリア層であることを特徴と
する前記(4)に記載のバリア性多層中空容器、(6)
前記(a)ポリオレフィン樹脂および(b)ポリアミ
ド樹脂の融点のいずれか高い方の温度をTp(℃)とし
た時、Tp+10℃〜Tp+100℃の任意の温度にお
いて、下式(1)で定義される溶融粘度比が、せん断速
度200秒 -1以下の任意のせん断速度において0.5以
下であり、かつ、せん断速度1000秒-1以上の任意の
せん断速度において0.8以上であることを満足するバ
リア層であることを特徴とする前記(1)〜(5)のい
ずれかに記載のバリア性多層中空容器、
【0009】
【式3】
【0010】(7) (e)バリア層を形成する樹脂組
成物以外の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンであること
を特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のバ
リア性多層中空容器、(8) 射出溶着、熱板溶着、振
動溶着、熱線溶着およびレーザー溶着の内から選ばれる
少なくとも一種の方法で溶着されたことを特徴とする前
記(1)〜(7)のいずれかに記載のバリア性多層中空
容器、(9) バリア層成分で構成された1カ所以上の
開口部を有することを特徴とする前記(1)〜(8)の
いずれかに記載のバリア性多層中空容器、(10)
(a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、
(c)液晶性樹脂および/または(d)層状珪酸塩から
なる樹脂組成物により形成されたバリア層と(e)バリ
ア層を形成する樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂からなる
熱可塑性樹脂層を有する多層中空容器を製造する方法で
あって、前記多層中空容器を構成する2つ以上の分割体
を多色射出成形により積層形成し、続いて得られた分割
体を相互に接合させて多層中空容器を形成させる溶着部
の強度が非溶着部の50%以上であることを特徴とする
バリア性多層中空容器の製造方法、(11) (a)ポ
リオレフィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶
性樹脂および/または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組
成物により形成されたバリア層が成形品表面に垂直な方
向を厚みとした時、該樹脂成形品中に電子顕微鏡で観察
される相構造として、厚み方向に表面から内層に向かっ
て(a)ポリオレフィン樹脂が連続相かつ(b)ポリア
ミド樹脂が分散相となる部分、(b)ポリアミド樹脂が
連続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂が分散相となる部
分、(a)ポリオレフィン樹脂が連続相かつ(b)ポリ
アミド樹脂が分散相となる部分が順次観察されるバリア
層を形成させることを特徴とする前記(10)に記載の
バリア性多層中空容器の製造方法、(12) (a)ポ
リオレフィン樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶
性樹脂および/または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組
成物により形成されたバリア層が成形品表面に垂直な方
向を厚みとした時、該樹脂成形品中の表面から全厚みに
対し5〜10%の任意の深さにおいて、(a)ポリオレ
フィン樹脂による連続相かつ(b)ポリアミド樹脂によ
る分散相が観察され、かつ、表面から全厚みに対し45
〜55%の任意の深さにおいて、(b)ポリアミド樹脂
による連続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂による分散
相が観察されるバリア層を形成させることを特徴とする
前記(11)に記載のバリア性多層中空容器の製造方
法、(13) (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
アミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層
状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層
が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形
品中に電子顕微鏡で観察される相構造として、厚み方向
に表面から内層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂及
び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分、
(b)ポリアミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレフィ
ン樹脂が分散相となる部分、(a)ポリオレフィン樹脂
及び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分が順
次観察されるバリア層を形成させることを特徴とする前
記(10)に記載のバリア性多層中空容器の製造方法、
(14) (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリアミ
ド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層状珪
酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層が成
形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形品中
の表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さにおい
て、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリアミド樹
脂が共に連続相として観察され、かつ、表面から全厚み
に対し45〜55%の任意の深さにおいて、(b)ポリ
アミド樹脂による連続相かつ(a)ポリオレフィン樹脂
による分散相が観察されるバリア層を形成させることを
特徴とする前記(13)に記載のバリア性多層中空容器
の製造方法、(15) 成形加工時の温度における下式
(1)で定義される溶融粘度比が、せん断速度200秒
-1以下の任意のせん断速度において0.5以下であり、
かつ、せん断速度1000秒-1以上の任意のせん断速度
において0.8以上となる、(a)ポリオレフィン樹
脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/
または(d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物を溶融成形
することを特徴とする前記(10)〜(14)のいずれ
かに記載のバリア性多層中空容器の製造方法、
【0011】
【式4】
【0012】(16) (a)ポリオレフィン樹脂、
(b)ポリアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/また
は(d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成され
たバリア層と(e)バリア層を形成する樹脂組成物以外
の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を2色射出成形
により積層形成することを特徴とする前記(10)〜
(15)のいずれかに記載のバリア性多層中空容器の製
造方法、(17) 多色射出成形により得られた分割体
を射出溶着、熱板溶着、振動溶着、熱線溶着およびレー
ザー溶着の内から選ばれる少なくとも一種の溶着方法で
相互に接合させることを特徴とする前記(10)〜(1
6)のいずれかに記載のバリア性多層中空容器の製造方
法、(18) 多色射出成形により得られた分割体を相
互に接合させる溶着方法が射出溶着および/または振動
溶着であることを特徴とする前記(17)に記載のバリ
ア性多層中空容器の製造方法、(19) バリア層成分
で構成された1カ所以上の開口部を多色射出成形で形成
させることを特徴とする前記(10)〜(18)のいず
れかに記載のバリア性多層中空容器の製造方法、を提供
するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において「重量」とは「質量」を意味す
る。
【0014】本発明に用いる(a)ポリオレフィン樹脂
とは、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、ペ
ンテンなどのオレフィン類を重合または共重合して得ら
れる熱可塑性樹脂である。具体例としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エ
ステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ1−ブテン、
ポリ1−ペンテン、ポリメチルペンテンなどの単独重合
体、エチレン/α−オレフィン共重合体、ビニルアルコ
ールエステル単独重合体、ビニルアルコールエステル単
独重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合
体、[(エチレン及び/又はプロピレン)とビニルアル
コールエステルとの共重合体の少なくとも一部を加水分
解して得られる重合体]、[(エチレン及び/又はプロ
ピレン)と(不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボ
ン酸エステル)との共重合体]、[(エチレン及び/又
はプロピレン)と(不飽和カルボン酸及び/又は不飽和
カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の
少なくとも一部を金属塩化した共重合体]、共役ジエン
とビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体、及び、
そのブロック共重合体の水素化物などが用いられる。
【0015】なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン/α−オレフィン共重合体、[(エチレン
及び/又はプロピレン)と(不飽和カルボン酸及び/又
は不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]、[(エ
チレン及び/又はプロピレン)と(不飽和カルボン酸及
び/又は不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカ
ルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合
体]が好ましい。
【0016】また、ここでいうエチレン/α−オレフィ
ン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オ
レフィンの少なくとも1種以上との共重合体であり、前
記の炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的
にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセ
ン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサ
デセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノ
ナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、
3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキ
セン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメ
チル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−
エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11
−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデ
センおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα
−オレフィンの中でも、炭素数3〜12のα−オレフィ
ンを用いた共重合体が機械強度の向上の点から好まし
い。このエチレン/α−オレフィン系共重合体は、α−
オレフィン含量が好ましくは1〜30モル%、より好ま
しくは2〜25モル%、さらに好ましくは3〜20モル
%である。
【0017】更に1,4−ヘキサジエン、ジシクロペン
タジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−エチリデン
ノルボルネン、5−エチル−2,5−ノルボルナジエ
ン、5−(1′−プロペニル)−2−ノルボルネンなど
の非共役ジエンの少なくとも1種が共重合されていても
よい。
【0018】また、[(エチレン及び/又はプロピレ
ン)と(不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸
エステル)との共重合体]において用いられる不飽和カ
ルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸のいずれかある
いはその混合物であり、不飽和カルボン酸エステルとし
てはこれら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチル
エステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチ
ルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オ
クチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等、
あるいはこれらの混合物が挙げられるが、特にエチレン
とメタクリル酸との共重合体、エチレン、メタクリル酸
及びアクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。
【0019】これらポリオレフィン樹脂の中でも、低、
中および高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン/α−オレフィン共重合体が好ましい。より好ましく
は、低密度、中密度および高密度ポリエチレン、特に好
ましくは、密度0.94〜0.97g/cm3の高密度
ポリエチレンである。
【0020】本発明の(a)ポリオレフィン樹脂のメル
トフローレート(以下MFRと略す。:ASTM D
1238)は0.01〜70g/10分であることが好
ましく、さらに好ましくは0.03〜60g/10分で
ある。MFRが0.01g/10分未満の場合は流動性
が悪く、70g/10分を超える場合は成形品の形状に
よっては衝撃強度が低くなることもあるため好ましくな
い。
【0021】本発明に用いる(a)ポリオレフィン樹脂
の製造方法については特に制限はなく、ラジカル重合、
チーグラー・ナッタ触媒を用いた配位重合、アニオン重
合、メタロセン触媒を用いた配位重合などいずれの方法
でも用いることができる。
【0022】また、本発明において、(a)ポリオレフ
ィン樹脂の一部もしくは全部を不飽和カルボン酸または
その誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物で変
性して用いることが好ましい。変性したポリオレフィン
樹脂を用いると、相溶性が向上し、得られる樹脂組成物
の相分離構造の制御性が向上し、その結果優れたバリア
性を発現するという特長を示し、好ましい態様の一つで
ある。
【0023】変性剤として使用される不飽和カルボン酸
またはその誘導体の例を挙げると、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン
酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、
シトラコン酸、グルタコン酸およびこれらカルボン酸の
金属塩、マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素メチ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコ
ン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−
ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−
(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸グ
リシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリ
シジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジ
ル、および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸な
どである。これらの中では、不飽和ジカルボン酸および
その酸無水物が好適であり、特にマレイン酸や無水マレ
イン酸が好適である。
【0024】これらの不飽和カルボン酸またはその誘導
体成分をポリオレフィン樹脂に導入する方法は特に制限
なく、予め主成分であるオレフィン化合物と不飽和カル
ボン酸またはその誘導体化合物を共重合せしめたり、未
変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸またはその
誘導体化合物をラジカル開始剤を用いてグラフト化処理
を行って導入するなどの方法を用いることができる。不
飽和カルボン酸またはその誘導体成分の導入量は変性ポ
リオレフィン中のオレフィンモノマ全体に対して好まし
くは0.001〜40モル%、より好ましくは0.01
〜35モル%の範囲内であることが適当である。
【0025】本発明に用いる(b)ポリアミド樹脂と
は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン
酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要
構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、1
1−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パ
ラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラ
クタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメ
チレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペ
ンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデ
カメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,
2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレ
ンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメ
チル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス
(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチ
ル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス
(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノ
プロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの
脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン
酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフ
タル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘ
キサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族
のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これら
の原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポ
リマーを各々単独または混合物の形で用いることができ
る。
【0026】本発明において、特に有用なポリアミド樹
脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れ
たポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプ
ロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミ
ド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド
(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナ
イロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイ
ロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプ
ロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー
(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサ
メチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6
T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチ
レンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6
T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチ
レンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6
I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキ
サメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T
/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ
ドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポ
リヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレ
フタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコ
ポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレ
ンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレン
テレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテ
レフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、
ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)お
よびこれらの混合物などが挙げられる。
【0027】とりわけ好ましいポリアミド樹脂として
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン6/66コポリマー、またナイロン6T/66コポ
リマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T
/12、およびナイロン6T/6コポリマーなどのヘキ
サメチレテレフタルアミド単位を有する共重合体を挙げ
ることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を耐衝撃
性、成形加工性、相溶性などの必要特性に応じて混合物
として用いることも実用上好適である。
【0028】これらポリアミド樹脂の重合度には特に制
限はなく、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫
酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.
0の範囲のものを用いることができるが、特定の相分散
構造形成と強靱性発現のために特に相対粘度3.0〜
6.0の範囲のものが好ましい。これらポリアミド樹脂
の重合度を制御する目的で重合時にモノカルボン酸、ジ
カルボン酸、モノアミン、ジアミン等の化合物を添加し
てもよく、その結果生成するポリアミド樹脂のアミノ基
/カルボキシル基のバランスが変わり得るが、本発明に
おいてはアミノ基リッチのポリアミド、カルボキシル基
リッチのポリアミドいずれも用いることができ、適宜選
択することができる。
【0029】また、本発明のポリアミド樹脂には、長期
耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられ
る。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化
第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ
化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第
一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第
二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキ
シリレンジアミン、2ーメルカプトベンズイミダゾー
ル、ベンズイミダゾールなどの錯化合物などが挙げられ
る。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化
銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを
特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加
量は、通常ポリアミド樹脂100重量部に対して0.0
1〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015
〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が多す
ぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により
製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と
併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能
である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、
塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カ
リウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウ
ムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化
カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0030】本発明のバリア層に用いる樹脂組成物にお
いて好ましい(a)成分のポリオレフィン樹脂および
(b)成分のポリアミド樹脂の配合割合は、ポリオレフ
ィン樹脂20〜80重量%、ポリアミド樹脂80〜20
重量%である。更に好ましくは、ポリオレフィン樹脂3
0〜70重量%、ポリアミド樹脂70〜30重量%であ
る。特に好ましくは、ポリオレフィン樹脂40〜60重
量%、ポリアミド樹脂60〜40重量%である。(a)
成分のポリオレフィン樹脂が80重量%を超えると、本
発明のバリア層の特徴であるポリアミド樹脂成分が連続
相を形成することが困難となり、本発明の目的を達成す
ることは困難である。また、(a)成分のポリオレフィ
ン樹脂が20重量%未満になるとバリア層の靭性低下お
よび接着性の低下をきたすので好ましくない。
【0031】本発明においては、(a)成分のポリオレ
フィン樹脂と(b)成分のポリアミド樹脂の相溶性の向
上を目的として従来公知の相溶化剤を含有することがで
きる。この時相溶化剤として前記(a)ポリオレフィン
樹脂の成分の1つとして、変性されたポリオレフィン樹
脂による相溶化剤を用いると(a)ポリオレフィン樹脂
の性質として相溶性が向上し、(b)ポリアミド樹脂と
の接着性、相溶性および得られる樹脂成形体としての相
分離構造の安定性が向上し、その結果優れた耐衝撃性、
耐透過性を発現し、好ましい態様の一つである。
【0032】このような相溶化剤としては、前記(a)
ポリオレフィン樹脂の成分の1つの例として、不飽和ジ
カルボン酸無水物をラジカル開始剤を用いてグラフト化
処理を行って導入した酸変性ポリオレフィン、エチレン
/不飽和カルボン酸共重合体やα,β−不飽和酸のグリ
シジルエステルを主構成成分とするエポキシ基含有オレ
フィン系共重合体などが挙げられ、これらは2種以上同
時に使用することもできる。
【0033】酸変性ポリオレフィンに用いられる不飽和
ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水シトラコン酸などがあり、特に無水マレ
イン酸が好適である。また、エチレン/不飽和カルボン
酸共重合体に用いられる不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸のいずれかあるいはその混合物
などが挙げられ、一部不飽和カルボン酸エステルを含ん
でもかまわない。
【0034】この相溶化剤の含有量は、(a)ポリオレ
フィン樹脂の内0.5〜50重量%であることが好まし
い。より好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは1
〜30重量%である。
【0035】本発明のバリア層の特徴である(a)ポリ
オレフィン樹脂成分が連続相(マトリックス相)を形成
し、(b)ポリアミド樹脂成分が分散相を形成する相構
造(例えば海島構造、図1)は、該バリア層の表面に垂
直な方向を厚みとした時、表面からの全厚みに対して5
〜10%、好ましくは5〜20%、特に好ましくは5〜
25%の任意の深さにおいて走査型および透過型電子顕
微鏡を用いて観察、確認される。このバリア層の表面部
に形成される該相構造部分は、成形加工性、他樹脂との
接着性および靭性のバランスが優れたものであり特に好
ましい。成形品表面部に形成される該相構造部分が表面
からの全厚みに対して5〜25%の任意の深さにおいて
観察されないと、本発明の樹脂成形品の特徴である高い
接着性および靭性を発現することが困難となり、本発明
の目的を達成することが出来ない。また、該相構造部分
が表面からの全厚みに対して25%を越える任意の深さ
において観察されると樹脂成形品のバリア性の低下およ
び機械強度低下をきたすので好ましくない。
【0036】本発明のバリア層の特徴である(b)ポリ
アミド樹脂成分が連続相(マトリックス相)を形成し、
(a)ポリオレフィン樹脂成分が分散相を形成する相構
造(例えば海島構造、図2)は、該バリア層の表面に垂
直な方向を厚みとした時、表面からの全厚みに対して4
5〜55%、好ましくは40〜60%、特に好ましくは
30〜70%の任意の深さにおいて走査型および透過型
電子顕微鏡を用いて観察、確認される。このバリア層の
中心部に形成される該相構造部分は、バリア性および機
械的強度のバランスが優れたものであり特に好ましい。
成形品中心部に形成される該相構造部分が表面からの全
厚みに対して30〜70%の任意の深さにおいて観察さ
れないと、本発明のバリア層の特徴である高いバリア性
を発現することが困難となり、本発明の目的を達成する
ことが出来ない。また、該相構造部分が表面からの全厚
みに対して30〜70%を外れる任意の深さにおいて観
察されとバリア層の靭性の低下および接着性の低下をき
たすので好ましくない。
【0037】本発明のバリア層の特徴である(a)ポリ
オレフィン樹脂成分および(b)ポリアミド樹脂成分が
共に連続相(マトリックス相)を形成する相構造(例え
ば海海構造、図3)は、該バリア層の表面に垂直な方向
を厚みとした時、表面からの全厚みに対して5〜10
%、好ましくは5〜20%、特に好ましくは5〜25%
の任意の深さにおいて走査型および透過型電子顕微鏡を
用いて観察、確認される。このバリア層の表面部に形成
される該相構造部分は、成形加工性、他樹脂との接着性
および靭性のバランスが優れたものであり特に好まし
い。バリア層表面部に形成される該相構造部分が表面か
らの全厚みに対して5〜25%の任意の深さにおいて観
察されないと、本発明のバリア層の特徴である高い接着
性および靭性を発現することが困難となり、本発明の目
的を達成することが出来ない。また、該相構造部分が表
面からの全厚みに対して25%を越える任意の深さにお
いて観察されると樹脂成形品のバリア性の低下および機
械強度低下をきたすので好ましくない。
【0038】また、本発明のバリア層は、(1)ポリオ
レフィン樹脂成分が連続相かつポリアミド樹脂成分が分
散相となる相構造(図1)、(2)ポリアミド樹脂成分
が連続相かつポリオレフィン樹脂成分が分散相となる相
構造(図2)および(3)ポリオレフィン樹脂成分およ
びポリアミド樹脂成分が共に連続相となる相構造(図
3)を該バリア層の表面に垂直な方向を厚みとした時
に、該厚み方向に相構造(1)/相構造(2)/相構造
(1)および相構造(3)/相構造(2)/相構造
(3)の順番に相構造が形成された成形体である。この
相構造(1)、(2)および(3)は、走査型および透
過型電子顕微鏡を用いて観察し、確認する。
【0039】また、バリア層の形状については特に制限
はなく、バリア層の種々の場所でポリオレフィン樹脂が
分散相と連続相が複数回出現したりする場合もある。こ
の相構造は、走査型および透過型電子顕微鏡を用いて観
察し、確認する。
【0040】本発明のバリア層は、例えば、次のような
方法で得ることができる。
【0041】すなわち、本発明のバリア層は一般的に溶
融成形により成形されるが、溶融成形においては流動時
の樹脂表層と樹脂内部には、温度差や応力差が生じ易
い。本発明においてはこれを積極的に利用し、(a)ポ
リオレフィン樹脂と(b)ポリアミド樹脂にせん断速度
に対する溶融粘度の依存性の異なった樹脂を用い、樹脂
表層と樹脂内部に生じたせん断速度の差により、一方で
は(a)ポリオレフィン樹脂が連続相となる部分を生ぜ
しめ、もう一方では(b)ポリアミド樹脂が連続相とな
る部分を生ぜしめ、あるいは、(a),(b)いずれの
相も連続相となる部分を生ぜしめることができる。例え
ば、射出成形を例に挙げて説明すると、ある成形加工温
度で成形するとき、該温度におけるせん断速度200秒
-1程度以下の任意のせん断速度で溶融粘度比(ここで、
溶融粘度比とはポリアミド樹脂の溶融粘度/ポリオレフ
ィン樹脂の溶融粘度、として定義される。)を0.5以
下とすることでポリアミド樹脂が連続相を形成する。一
方、バリア層の表層部は金型との摩擦により逆にせん断
速度が高まるため、これらの樹脂が同温度におけるせん
断速度1000秒-1程度以上の任意のせん断速度の溶融
粘度比が0.8以上となる組み合わせであると表層部で
はポリオレフィン樹脂を連続相とすることが可能とな
る。
【0042】なお、これから明らかなように前段の主旨
は、溶融粘度比のせん断応力依存性を利用した本発明の
態様を説明したものであり、具体的な溶融粘度比に本発
明が制限されるものではなく、また、バリア層の任意の
位置に生じるせん断応力は金型設計等で操作しうるもの
であるので、かかる相構造も任意の位置に生ぜしめるこ
とは容易に理解できるところである。
【0043】本発明で用いる(c)液晶性樹脂は、異方
性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有す
るものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単
位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族
ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選
ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する
液晶性ポリエステル、あるいは、前記構造単位と芳香族
イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イ
ミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、か
つ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドな
どである。
【0044】芳香族オキシカルボニル単位としては、例
えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族ジオキシ
単位としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェ
ニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメ
チル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチル
ハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなど
から生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジ
カルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボ
ン酸および4,4’ジフェニルエーテルジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位、ア
ルキレンジオキシ単位としてはエチレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル等から生成した構造単位(なかでもエチレングリコー
ルから生成した構造単位が好ましい。)、芳香族イミノ
オキシ単位としては、例えば、4−アミノフェノールな
どから生成した構造単位が挙げられる。
【0045】液晶性ポリエステルの具体例としては、p
−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステ
ル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、
芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカル
ボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステ
ル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、
4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単
位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン
酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からな
る液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生
成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造
単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶
性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した
構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、
テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位
からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸
から生成した構造単位、エチレングリコールから生成し
た構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生
成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造
単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息
香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生
成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成し
た構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生
成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げ
られる。
【0046】なかでも異方性溶融相を形成する液晶性ポ
リエステルの例としては、下記(I)、(II)、(III)
および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、
または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からな
る液晶性ポリエステルなどが好ましく挙げられる。
【0047】特に好ましいのは(I)、(II)、(III)お
よび(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルであ
る。
【0048】
【化1】
【0049】(ただし式中のR1
【0050】
【化2】
【0051】から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0052】
【化3】
【0053】から選ばれた1種以上の基を示す。ただし
式中Xは水素原子または塩素原子を示す。) 前記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成し
た構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、
t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上
の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、
構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造
単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、
4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,
4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一
種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各
々示す。これらのうちR1
【0054】
【化4】
【0055】であり、R2
【0056】
【化5】
【0057】であるものが特に好ましい。
【0058】本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエ
ステルは、前記したように、構造単位(I)、(II
I)、(IV)からなる共重合体および前記構造単位
(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択され
る1種以上であり、前記構造単位(I)、(II)、(III)
および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の
特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好
ましい。
【0059】すなわち、前記構造単位(I)、(II)、(I
II)、(IV)からなる共重合体の場合は、前記構造単位(I)
および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)
の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜8
5モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造
単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5
モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。
また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]
は好ましくは75/25〜95/5であり、より好まし
くは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)
は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルで
あることが好ましい。
【0060】一方、前記構造単位(II) を含まない場合
は流動性の点から前記構造単位(I)は構造単位(I)
および(III)の合計に対して40〜90モル%である
ことが好ましく、60〜88モル%であることが特に好
ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に
等モルであることが好ましい。
【0061】ここで実質的に等モルとは、末端を除くポ
リマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端
を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らな
いことを意味する。
【0062】また液晶性ポリエステルアミドとしては、
前記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールか
ら生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性
溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0063】前記好ましく用いることができる液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドは、前記構造単
位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン
酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安
息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液
晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0064】本発明において使用する前記(c)液晶性
樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステ
ルの重縮合法に準じて製造できる。
【0065】例えば、前記液晶性ポリエステルの製造に
おいて、次の製造方法が好ましく挙げられる。 (1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性
ポリエステルを製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無
水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化し
た後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを
製造する方法。 (3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよ
び4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン
などの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール
重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを
反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重
縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)ま
たは(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する
方法。
【0066】また、(c)液晶性樹脂の溶融粘度は特に
限定されないが、本発明の効果をより発揮するために、
液晶性樹脂の融点+10℃で測定した値が、100Pa・
s以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜
50Pa・sであり、最も好ましくは0.5〜30Pa・sで
ある。なお、ここで溶融粘度は、剪断速度1,000
(1/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長10mm
のノズルを用い高化式フローテスターによって測定した
値である。
【0067】ここで融点とは示差熱量測定において、重
合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件
で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の
観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、2
0℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度2
0℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピー
ク温度(Tm2)を融点とする。
【0068】本発明で用いる(c)液晶性樹脂の配合比
は(a)ポリオレフィン樹脂と(b)ポリアミド樹脂の
合計100重量部に対し、0.1〜50重量部、好まし
くは1〜20重量%、特に好ましくは1.5〜10重量
%である。
【0069】また(c)液晶性樹脂は(a)ポリオレフ
ィン樹脂と(b)ポリアミド樹脂の相構造の関係が本発
明の要件を満足していれば(a)ポリオレフィン樹脂
相、(b)ポリアミド樹脂相のいずれに存在していても
よいが、(b)ポリアミド樹脂相の存在した場合に本発
明のバリア層の特徴である高バリア性と高接着性をバラ
ンスよく達成できるため好ましい。
【0070】本発明で用いる(d)層状珪酸塩は、アル
ミニウム、マグネシウム、リチウム等から選ばれる元素
を含む8面体シートの上下に珪酸4面体シートが重なっ
て1枚の板状結晶層を形成している2:1型の構造を持
ち、その板状結晶層の層間に交換性の陽イオンを有して
いるものである。その1枚の板状結晶の大きさは、通常
幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロー
ムである。また、その交換性陽イオンのカチオン交換容
量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましく
はカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのもの
である。
【0071】層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナ
イト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘ
クトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱
物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケ
ニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各
種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素
テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素
フッ素雲母等の膨潤性雲母等が挙げられ、天然のもので
あっても合成されたものであっても良い。これらのなか
でもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイ
ト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素
テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0072】本発明の層状珪酸塩は、層間に存在する交
換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪
酸塩であることが好ましい。
【0073】有機オニウムイオンとしてはアンモニウム
イオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなど
が挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンと
ホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオ
ンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、
1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウ
ム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
【0074】1級アンモニウムイオンとしてはデシルア
ンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアン
モニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウ
ムなどが挙げられる。
【0075】2級アンモニウムイオンとしてはメチルド
デシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウム
などが挙げられる。
【0076】3級アンモニウムイオンとしてはジメチル
ドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニ
ウムなどが挙げられる。
【0077】4級アンモニウムイオンとしてはベンジル
トリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニ
ウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメ
チルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデ
シルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニ
ウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメ
チルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモ
ニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのア
ルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオク
チルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、
ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジ
アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0078】また、これらの他にもアニリン、p−フェ
ニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメ
チルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6
−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12
−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイ
オンなども挙げられる。
【0079】これらのアンモニウムイオンの中でも、ト
リオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシ
ルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモ
ニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモ
ニウムイオンなどが好ましい。
【0080】本発明における層間に存在する交換性陽イ
オンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩は、
交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニ
ウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造す
ることができる。具体的には、水、メタノール、エタノ
ールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法
か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム
塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0081】本発明において、層状珪酸塩に対する有機
オニウムイオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の
熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点か
ら、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4
〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であ
ることが好ましい。
【0082】また、これら層状珪酸塩は前記の有機オニ
ウム塩に加え、イソシアネート系化合物、有機シラン系
化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合
物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理し
て使用しても良い。
【0083】好ましいカップリング剤は、有機シラン系
化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ
基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエ
トキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン
化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ
−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−
ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランな
どのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソ
シアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピル
エチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエ
チルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリ
クロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラ
ン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン
化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸
基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素
炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げら
れる。特に、炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化
合物が好ましく用いられる。
【0084】これらカップリング剤での層状珪酸塩の処
理は、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、
あるいはこれらの混合溶媒中でカップリング剤を層状珪
酸塩に吸着させる方法か、ヘンシェルミキサー等の高速
攪拌混合機の中で層状珪酸塩を攪拌しながらカップリン
グ剤溶液を滴下して吸着させる方法、さらには層状珪酸
塩に直接シランカップリング剤を添加して、乳鉢等で混
合して吸着させることによる方法のどれを用いても良
い。層状珪酸塩をカップリング剤で処理する場合には、
カップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するた
めに水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのが
好ましい。また、カップリング剤の反応効率を高めるた
め、水のほかにメタノールやエタノール等の水、カップ
リング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわな
い。このようなカップリング剤で処理した層状珪酸塩を
熱処理することによってさらに反応を促進させることも
可能である。なお、予め層状珪酸塩のカップリング剤で
の処理を行わずに、層状珪酸塩と熱可塑性ポリエステル
を溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加する
いわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0085】層状珪酸塩の有機オニウムイオンによる処
理とカップリング剤による処理の順序にも特に制限はな
いが、まず有機オニウムイオンで処理した後、カップリ
ング剤処理をすることが好ましい。
【0086】本発明において(d)層状珪酸塩の含有量
は、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂の合計100
重量部に対し無機灰分量として0.1〜50重量部、好
ましくは1〜20重量部、特に好ましくは1.5〜10
重量部となる範囲である。灰分量が少なすぎるとバリア
性向上効果が小さく、灰分量が多すぎると靱性が低下す
る場合がある。無機灰分量は樹脂組成物2gを500℃
の電気炉で3時間灰化させて求めた値である。
【0087】また(d)層状珪酸塩は(a)ポリオレフ
ィン樹脂と(b)ポリアミド樹脂の相構造の関係が本発
明の要件を満足していれば(a)ポリオレフィン樹脂
相、(b)ポリアミド樹脂相のいずれに存在していても
よいが、(b)ポリアミド樹脂相の存在した場合に本発
明のバリア層の特徴である高バリア性と高接着性をバラ
ンスよく達成できるため好ましい。
【0088】本発明のバリア層に用いる樹脂組成物に
は、必要に応じて層状珪酸塩以外の無機充填材を配合し
ても良い。かかる無機充填材は特に限定されるものでは
ないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使
用することができる。具体的には例えば、ガラス繊維、
PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アル
ミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリア
ミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、
アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリ
カ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウー
ル、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウ
ィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素
ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイ
カ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラ
スビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、
クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトな
どの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。前
記充填剤中、ガラス繊維および導電性が必要な場合には
PAN系の炭素繊維が好ましく使用される。ガラス繊維
の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限
定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョッ
プドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用
いることができる。また、前記の充填剤は2種以上を併
用して使用することもできる。なお、本発明に使用する
前記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例え
ば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いること
もできる。
【0089】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0090】前記の充填剤の添加量は、ポリアミド樹脂
およびポリオレフィン樹脂の合計量100重量部に対
し、0.5〜200重量部であり、好ましくは5〜15
0重量部、より好ましくは10〜100重量部である。
【0091】前記の無機充填材の添加量は、(a)ポリ
オレフィン樹脂と(b)ポリアミド樹脂の合計量100
重量部に対し、200重量部以下であることが好まし
い。好ましくは1〜200重量部、特に好ましくは5〜
150重量部の範囲である。
【0092】また、本発明のバリア層に用いる樹脂組成
物中には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、
例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール
系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置
換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート
系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダ
ードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およ
びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ス
テアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、
ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化
カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、
染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カ
オリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オク
チル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防
止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、
4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオ
ン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃
剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン
酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェ
ニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポ
キシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチ
モンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することが
できる。
【0093】本発明でバリア層に用いられる樹脂組成物
を得る方法としては、本発明が要件とする相構造が得ら
れれば、特に制限はなく、通常公知の溶融混練法が挙げ
られる。中でも単軸または2軸の押出機による溶融混練
法は簡便且つ効率的な製造方法として好ましい。たとえ
ば充填材添加系を2軸押出機で溶融混練する場合にメイ
ンフィーダーからポリアミド樹脂と液晶性樹脂および/
または層状珪酸塩を供給し、ポリオレフィン樹脂を押出
機の先端部分のサイドフィーダーから供給する方法や事
前にポリアミド樹脂と液晶性樹脂および/または層状珪
酸塩を溶融混練した後、ポリオレフィン樹脂と溶融混練
する方法なども好ましい態様として挙げることができ
る。
【0094】本発明の(e)バリア層を形成する樹脂組
成物以外の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層に用い
られる熱可塑性樹脂は、本発明の要件とは異なる相構造
または組成を有する熱可塑性樹脂で構成される。該熱可
塑性樹脂の種類には特に制限はなく、樹脂成形品の使用
目的に応じて適宜選択することができる。その具体例と
しては、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポ
リエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポ
リチオエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド
樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリアミドエラストマ、ポ
リエステルエラストマなどが挙げられ、これらは2種以
上の混合物として使用しても良い。中でも前記ポリオレ
フィン樹脂がより好ましく用いられ、低、中および高密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレ
フィン共重合体およびその酸変性品が特に好ましく用い
られる。また、更にこれらの熱可塑性樹脂を耐衝撃性、
成形加工性、バリア性などの必要特性に応じて、本発明
の効果を損なわない範囲で混合物として用いることも実
用上好適である。
【0095】また本発明の多層中空容器においては、容
器の耐衝撃性や成形性、各層間の接着力をさらに向上す
る目的でバリア層と熱可塑性樹脂層の間に接着層を適宜
構成させることが好ましい。接着層を構成する(f)接
着性樹脂としては、バリア層および熱可塑性樹脂層に対
して接着性を示し、これらとの多色成形が可能なもので
あれば特に限定されるものではない。具体的な例を挙げ
れば、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンとア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸など
のα,β−不飽和カルボン酸、これらのエステル、無水
物、ハロゲン化物、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、亜鉛などとの塩などの誘導体から選ばれた少なくと
も1種の化合物とのランダム、ブロック、グラフト共重
合体などの変性ポリオレフィン類、エチレン、プロピレ
ンなどのα−オレフィンと酢酸ビニル、ビニルアルコ−
ル、スチレン類の中から選ばれる少なくとも1種の化合
物とのランダム、ブロック、グラフト共重合体、共重合
ポリアミド系接着剤、共重合ポリエステル系接着剤など
を挙げることができる。これら接着層の中でも、X線回
折法により測定した結晶化度が50%以下、好ましくは
40〜0%であって、グラフト処理された不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体を0.01〜10重量%、好まし
くは0.05〜3重量%含む変性ポリオレフィンが好適
であり、不飽和カルボン酸またはその誘導体の量および
結晶化度が前記範囲にある場合、バリア層との接着性に
特に優れた積層構造体が得られる。ここで用いられる好
ましい不飽和カルボン酸またはその誘導体の例として
は、前記(a)成分のポリオレフィン成分の変性剤とし
て例示した一連の化合物が挙げあれるが、中でもアクリ
ル酸、メタクリル酸などの不飽和ジカルボン酸、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸などのジカルボン酸無水物、
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの
不飽和カルボン酸のグリシジルエステルが好適である。
【0096】変性ポリオレフィンは、1種単独のもので
あってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。2
種以上の混合物の場合、混合物としての結晶化度および
グラフト量が前記範囲にあればよく、前記範囲外の結晶
化度および/またはグラフト量を有するグラフト変性ポ
リオレフィン、および/またはグラフト変性されていな
いポリオレフィンが含まれていてもよい。
【0097】グラフト変性する前またはグラフト変性し
ていないポリオレフィンとして好適なものとしては、炭
素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体または2種
以上の共重合体があげられる。α−オレフィンとして
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デ
セン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどがあげ
られる。ポリオレフィンには、α−オレフィン以外のモ
ノマーが少量、例えば10モル%以下共重合されていて
もよい。
【0098】かかるポリオレフィンとして特に好適なも
のは、エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体が挙げられる。具体的には、線状
低密度ポリエチレン(L−LDPE)、エチレン・プロ
ピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体などがあげ
られる。これらの中でも、特にMFRが0.1〜50g
/10min、好ましくは0.2〜20g/10mi
n、密度が0.850〜0.940g/cm3、好まし
くは0.855〜0.920g/cm3、エチレン含有
量が30〜95モル%、好ましくは40〜92モル%、
およびX線回折法により測定した結晶化度が50%以
下、好ましくは40%以下のものが望ましい。
【0099】また、接着層として用いられる変性ポリオ
レフィンには、粘着付与剤を含有することができる。具
体的には、例えば脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化
水素樹脂を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂、α−ピ
ネン樹脂、テルペン樹脂、ロジン、変性ロジンおよびこ
れらの混合物などが挙げられ、従来より粘着付与樹脂と
して粘着テープ、塗料およびホットメルト接着剤などの
分野に粘着剤あるいは接着剤として用いられている固形
の非晶性ポリマーが用いられる。中でも、軟化点(環球
法)が105〜150℃、好ましくは110〜140℃
であり、かつ芳香核への水素添加率が80%以上、好ま
しくは85%以上の脂環族系炭化水素が特に好ましい。
付着付与剤としては市販品を使用することもできる。例
えば、荒川化学工業社製の“アルコンP−125"など
があげられる。
【0100】変性ポリオレフィンと粘着付与剤の配合割
合は、変性ポリオレフィン99〜60重量%、好ましく
は95〜80重量%、粘着付与剤1〜40重量%、好ま
しくは5〜20重量%である。
【0101】本発明のバリア性多層中空容器は、図4〜
6に示すように前記(a)、(b)、(c)および/ま
たは(d)よりなるバリア層4と(e)よりなる熱可塑
性樹脂層5、必要により(f)よりなる接着層を用いて
多層中空容器を構成する2つ以上の積層された分割体
2、3を各々形成させた後、積層分割体を相互に溶着さ
せてバリア性多層中空容器1を形成させる。
【0102】本発明のバリア性多層中空容器1は、分割
体2、3を相互に溶着させ時の溶着部6の強度が非溶着
部の強度の60%以上を有しており、好ましくは70%
以上である。溶着部の強度が60%未満になると、中空
容器としての機械的強度不足、靭性低下をきたすので好
ましくない。
【0103】本発明のバリア性多層中空容器1は、図4
に示すように(a)、(b)、(c)および/または
(d)よりなるバリア層4の樹脂組成物成分で構成され
た1カ所以上の開口部7を有している。バリア層成分に
より開口部を構成することで、開口部分からの内容物の
透過、漏洩を抑制することができるので好ましい形態で
ある。
【0104】本発明のバリア性多層中空容器の製造法
は、図4〜6に示すように前記(a)、(b)、(c)
および/または(d)よりなるバリア層4と(e)より
なる熱可塑性樹脂層5、必要により(f)よりなる接着
層を多色射出成形により多層中空容器を構成する2つ以
上の積層された分割体2、3を各々成形する射出成形工
程と前記射出成形工程で形成された積層分割体を相互に
溶着させてバリア性多層中空容器1を形成させる接合工
程からなる。
【0105】本発明の製造法である射出成形工程で用い
られる多色射出成形は、2色(2材料)もしくは3色
(3材料)の射出成形および射出圧縮成形であり、2色
からは2層、3色からは3層の中空容器を形成する分割
体を成形することができる。例えば、2色の射出成形の
場合、2基の射出装置と2組の金型を用いて成形され
る。1次成形として(e)よりなる熱可塑性樹脂層を射
出成形し、得られた熱可塑性樹脂層を2次成形の金型に
移動させ、次に2次成形として(a)、(b)、(c)
および/または(d)よりなるバリア層を熱可塑性樹脂
層上に射出成形して、熱可塑性樹脂層とバリア層の2層
からなる中空容器の分割体を得ることができる。また、
3色の射出成形の場合は、3基の射出装置を用いて前記
と同様の方法にて熱可塑性樹脂層とバリア層の間に接着
層を有する3層構造の中空容器の分割体を得ることがで
きる。
【0106】本発明の製造法である接合工程で用いられ
る溶着方法としては、射出溶着、熱板溶着、振動溶着、
熱線溶着およびレーザー溶着が挙げられ、中空容器の分
割体の接合面どうしを溶着する工程は、例えば、次のよ
うにして行なうことができる。
【0107】射出溶着法の場合、分割体を金型内にイン
サートし、又は金型内で位置変更した後に、接合面を合
わせた状態で保持し、その接合部の周縁に新たに溶融樹
脂を射出して各分割体を互いに溶着させて中空容器を成
形する。この際の射出溶着条件としては通常の条件をと
ればよく、例えば、樹脂温度230〜320℃、射出圧
力10〜150MPa、型締め力100〜4000ト
ン、金型温度30〜150℃を採用することができる
(尚、前記記載の金型内で位置変更して行なう方法は、
ダイスライド成形や、ダイ回転成形などともいわれてい
る)。
【0108】熱板溶着法の場合、分割体の接合面を熱板
により溶融させ、素早く分割体の接合面どうしを圧接さ
せて溶着させる。この際の熱板条件としては、通常の条
件をとればよく、例えば接触法の場合、熱板温度230
〜350℃、溶融時間20〜60秒を採用することがで
きる。
【0109】振動溶着法の場合、分割体の接合面どうし
を上下に圧接させた状態とし、この状態で横方向に振動
を与えて発生する摩擦熱によって溶着させる。この際の
振動条件としては通常の条件をとればよく、例えば、振
動数100〜300Hz、振幅0.5〜2.0mmを採
用することができる。
【0110】熱線溶着法の場合、例えば鉄-クロム製の
線材を分割体の接合部に埋め込んだ状態で接合面どうし
を圧接し、線材に電流をかけジュール熱を発生させその
発熱によって接合面を溶着させる。
【0111】レーザー溶着法の場合、レーザー光に対し
て非吸収性の分割体とレーザー光に対して吸収性の分割
体を接合面で重ね合わせた状態で、非吸収性の分割体側
からレーザー光を照射して溶着させる(例えば、図4〜
6において、分割体2をレーザー光非吸収性、分割体3
をレーザー光吸収性として、分割体2側からレーザー光
を照射する)。また、レーザー光吸収性とするために
は、カーボンブラックを添加する手法をあげることがで
きる。カーボンブラックを添加することで照射されるレ
ーザー光の透過率を5%以下とすることができ、レーザ
ー光のエネルギーを効率的に熱に変換することが可能と
なる。この際のレーザー溶着条件としては通常の条件を
とればよく、例えば、レーザー光として、YAGレーザ
ー、レーザー光波長800〜1060nm、レーザー光
出力5〜30Wを採用することができる。
【0112】これら接合工程で用いられる溶着方法のな
かでも、射出溶着および振動溶着が溶着部の強度や成形
加工性から特に好ましい。
【0113】このような多色射出成形と溶着方法によっ
て製造されるバリア性多層中空容器は、バリア性、機械
特性、熱溶着性、成形加工性が優れたものであり、この
利点を活かし、薬液および/またはガス貯蔵用などの中
空容器として好ましく用いることができる。薬液やガス
としては、例えば、フロン−11、フロン−12、フロ
ン−21、フロン−22、フロン−113、フロン−1
14、フロン−115、フロン−134a、フロン−3
2、フロン−123、フロン−124、フロン−12
5、フロン−143a、フロン−141b、フロン−1
42b、フロン−225、フロン−C318、R−50
2、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチル、塩化
メチレン、塩化エチル、メチルクロロホルム、プロパ
ン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、ひま
し油ベースのブレーキ液、グリコールエーテル系ブレー
キ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ
液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パ
ワーステアリングオイル、ウインドウオッシャ液、ガソ
リン、メタノール、エタノール、イソプタノール、ブタ
ノール、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタン、プロ
パン、天然ガス、アルゴン、ヘリウム、キセノン、医薬
剤等の気体および/または液体が挙げられる。これら薬
液および/またはガスの耐透過性が優れていることか
ら、例えば、シャンプー、リンス、液体石鹸、洗剤等の
各種薬剤用ボトル、薬液保存用タンク、ガス保存用タン
ク、冷却液タンク、オイル移液用タンク、消毒液用タン
ク、輸血ポンプ用タンク、燃料タンク、キャニスター、
ウォッシャー液タンク、オイルリザーバータンクなどの
自動車部品、医療器具用途部品、および一般生活器具部
品としてのタンク、ボトル状成形品やまたはそれらタン
クなど各種用途が挙げられる。
【0114】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものでは
ない。 (1)デザイン自由度 中空容器の肉厚部位の変更や開口部の設置容易かどうか
について調べ、容易に成形時の金型の修正で変更、設置
できるものを合格と判定した。容易に変更でない、後加
工が必要なものは不合格である。 (2)バリア性 本発明の多色射出成形と溶着方法によって得られる図4
に示す多層中空容器(内容積:約400cc、熱可塑性
樹脂層厚み:3mm、バリア層厚み:2mm、開口部直
径:3mm)中に内容積の50%のモデルガソリン(ト
ルエン//イソオクタン=50//50体積%)とエタ
ノールを90対10重量比に混合したアルコールガソリ
ン混合物を入れ、開口部を封じて60℃で500時間処
理した際の重量減量挙動からそのバリア性を評価した。
燃料減少量が0.8g/日未満を合格と判定した。燃料
減少量が0.8g/日以上は不合格である (3)層間接着性 前記多層中空容器に水を50%まで入れ、高さ2mから
コンクリート床に落下させバリア層と熱可塑性樹脂層の
界面の剥離の有無を観察し、剥離しないものを層間接着
性合格と判定した。界面で剥離したものは不合格であ
る。 (4)溶着部の強度 前記多層中空容器から図7に示す幅10mmで溶着部6
を有する試験片8と非溶着部の試験片9を切り出し、引
張強度を測定し、非溶着部の60%以上の溶着部強度を
有するものを合格と判定した。60%未満の溶着部強度
は不合格である。 (5)バリア層の相分離構造の観察(相分離構造) 前記多層中空容器の厚さ2mmのバリア層の厚さ方向に
表面より0.1〜0.2mm(5〜10%)の表層部と
表面より0.9〜1.1mm(45〜55%)の中心部
を電子顕微鏡(TEM、SEM)を用いて観察を行なっ
た。 (6)溶融粘度比 プランジャー式キャピラリーレオメーター(東洋精機製
作所社製、“キャピログラフ” タイプ1C)を用い
て、280℃でのせん断速度100秒-1および5000
-1における溶融粘度(Pa・s)を測定し下記式
(1)により求めた。
【0115】
【式5】
【0116】(参考例1)各ポリオレフィン樹脂、ポリ
アミド樹脂、液晶性樹脂および層状珪酸塩樹脂は以下の
通りである。なお、特に断らない限りはいずれも公知の
方法に従い重合を行い、調製した。 <ポリオレフィン樹脂:POおよびその製法> (a−1):常法によりMFR0.03g/10分、密
度0.956の高密度ポリエチレン、 (a−2):MFR6g/10分、密度0.956の高
密度ポリエチレン、 (a−3):MFR0.6g/10分、密度0.956
の高密度ポリエチレン100重量部、無水マレイン酸1
重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン0.1重量部を混合し、2軸
押出機を用いてシリンダー温度230℃で溶融押出して
変性ポリエチレンを得た。 (a−4):MFR6g/10分、密度0.956の高
密度ポリエチレン100重量部、無水マレイン酸1重量
部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル
パーオキシ)ヘキサン0.1重量部を混合し、2軸押出
機を用いてシリンダー温度230℃で溶融押出して変性
ポリエチレンを得た。 (a−5):MFR0.04g/10分、密度0.95
6の高密度ポリエチレン100重量部、無水マレイン酸
1重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−
ブチルパーオキシ)ヘキサン0.1重量部を混合し、2
軸押出機を用いてシリンダー温度230℃で溶融押出し
て変性ポリエチレンを得た。 <ポリアミド樹脂> (b−1):融点225℃、相対粘度2.35のナイロ
ン6樹脂。 (b−2):融点225℃、相対粘度2.75のナイロ
ン6樹脂。 (b−3):融点225℃、相対粘度4.40のナイロ
ン6樹脂。 <液晶性樹脂>p−ヒドロキシ安息香酸901重量部、
4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレ
フタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gの
ポリエチレンテレフタレ−ト346重量部及び無水酢酸
884重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込
み、重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位7
2.5モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、
エチレンジオキシ単位20モル当量、芳香族ジカルボン
酸単位27.5モル当量からなる融点265℃、275
℃の溶融粘度13Pa・s(オリフィス0.5φ×10m
m、ずり速度1,000(1/秒))の液晶性樹脂(c
−1)を得た。 <層状珪酸塩>Na型モンモリロナイト(クニミネ工
業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/10
0g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここ
にトリオクチルメチルアンモニウムクロライド48g
(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添
加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水
で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られ
た固体を80℃で真空乾燥して乾燥した層状珪酸塩(d
−1)を得た。この層状珪酸塩の無機灰分量を測定した
ところ無機灰分の割合は67重量%であった。なお無機
灰分量は層状珪酸塩0.1gを500℃の電気炉で3時
間灰化させて求めた値である。 <バリア層用の樹脂組成物の製法>表1に示す組成で前
記ポリアミド樹脂と液晶性樹脂および/または層状珪酸
塩を混合し、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機の
メインフィダーから供給し、混練温度270℃、スクリ
ュー回転数200rpmで溶融混練を行ったのち、得ら
れた混練物とポリオレフィン樹脂を同押出機を用いて混
練温度250℃、スクリュー回転数200rpmで溶融
混練を行った。得られたペレットを乾燥し、バリア層用
の樹脂組成物(B−1〜B−7)とした。
【0117】実施例1 射出成形工程として1次成形にHDPE(三井化学社
製、”ハイゼックス”、8200B)を用い、表1に示
す材料を使用して、まず図5の熱可塑性樹脂層部分を射
出成形(樹脂温度:230℃、金型温度:40℃)し、
次いで2次成形として、バリア層用の樹脂組成物B−1
を用いバリア層部分を射出成形(樹脂温度:280℃、
金型温度:80℃)する事により層間が融着した図5に
示した形状の中空容器分割体2層成形品を得た。また、
同様にして図6の分割体2層成形品も得た。
【0118】次に接合工程として図5、図6の分割体2
層成形品を振動溶着法(振動数:270Hz、振幅:
1.5mm、加圧力:10MPa)により、接合面どう
しを溶着して図4の中空容器を得た。得られた中空容器
について各特性を前記方法により評価した。結果を表2
に示す。
【0119】実施例2 バリア層用の樹脂組成物B−2を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表2に示す。
【0120】実施例3 バリア層用の樹脂組成物B−3を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表2に示す。
【0121】実施例4 バリア層用の樹脂組成物B−4を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表2に示す。
【0122】実施例5 接合工程において射出溶着法(溶着用樹脂:B−1、樹
脂温度:300℃、金型温度:80℃)使用した以外は
実施例1と同様にして中空容器を得た。結果を表2に示
す。
【0123】実施例6 バリア層用の樹脂組成物B−4と接合工程において熱板
溶着法(熱板温度:320℃、溶融時間:30秒、保持
圧力:0.1MPa)使用した以外は実施例1と同様に
して中空容器を得た。結果を表2に示す。
【0124】比較例1 外層にHDPE(三井化学社製、”ハイゼックス”、8
200B)、内層にB−1を用いた多層ブロー成形によ
り中空容器を製造した。得られた中空容器について各特
性を前記方法により評価した。結果を表3に示す。
【0125】比較例2 バリア層用の樹脂組成物B−5を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表3に示す。
【0126】比較例3 バリア層用の樹脂組成物B−6を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表3に示す。
【0127】比較例4 バリア層用の樹脂組成物B−7を使用した以外は実施例
1と同様にして中空容器を得た。結果を表3に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】実施例1〜6および比較例1〜4より特定
の相分離構造を具備したバリア層と熱可塑性樹脂層を多
色射出成形にて中空容器分割体2層成形品を形成し、次
いで接合面で溶着する本発明の方法で得られたバリア性
多層中空容器は、形状の自由度、バリア性および層間接
着性が良好であり、優れた実用価値の高いものであっ
た。
【0132】
【発明の効果】本発明の方法で得られたバリア性多層中
空容器は、従来のブロー成形では得られない形状の自由
度を有し、ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂を特定
の相構造を形成させることによって得られる特異的なバ
リア性、優れた層間溶着性等を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)ポリオレフィン樹脂成分が連続相を形成
し、(b)ポリアミド樹脂成分が分散相を形成した相構
造のモデル図である。
【図2】(b)ポリアミド樹脂成分が連続相を形成し、
(a)ポリオレフィン樹脂成分が分散相を形成した相構
造のモデル図である。
【図3】(a)ポリオレフィン樹脂成分および(b)ポ
リアミド樹脂成分が共に連続相を形成した相構造のモデ
ル図である。
【図4】バリア性多層中空容器(接合後)の正面断面図
およびその平面図である。
【図5】バリア性多層中空容器の分割体(接合前)の正
面断面図およびその平面図である。
【図6】バリア性多層中空容器の分割体(接合前)の正
面断面図およびその平面図である。
【図7】バリア性多層中空容器から切り出した溶着部強
度の評価用試験片である。
【符号の説明】
1 多層中空容器 2 多層中空容器分割体 3 多層中空容器分割体 4 バリア層 5 熱可塑性樹脂層 6 溶着部 7 開口部 8 溶着部を有する試験片 9 非溶着部の試験片
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 77/06 H 4F206 77/06 C08K 7/00 4F213 C08K 7/00 C08L 23/00 4J002 C08L 23/00 77/00 77/00 B29K 23:00 // B29K 23:00 77:00 77:00 B29L 22:00 B29L 22:00 B65D 1/00 B C Fターム(参考) 3E033 AA06 BA13 BA14 BA21 BB04 BB08 CA09 DA06 DD01 FA02 GA02 3E061 AA30 AB12 AD04 AD09 DA01 DA12 DB06 3E067 AA03 AB96 BA01C BA11B BB14B BB14C BB25B BC07B BC07C CA04 CA24 EA06 FA04 FC01 3E086 BA04 BA15 BA35 BB51 BB74 CA29 4F100 AA03A AA03H AK01B AK03A AK06B AK46A AL05A AS00A BA02 BA10A BA10B BA15 DA01 EC032 EH361 EH362 GB16 GB32 JA11A JB16B JD02A JK01 JL02 4F206 AA03 AA29 AB11 AB16 AG07 AH55 AH56 JA05 JB22 JB28 JL02 JW41 4F213 AA03 AA29 AD05 AD20 AH55 AH56 WA05 WA15 WA43 WB01 WB21 4J002 BB02W BB03W BB05W BB11W BB17W BB20W BB21W BB28W CF04Y CF05Y CF16Y CF18Y CL00X CL01X CL03X CL05X CL08Y DJ006 DJ056 FA016 GF00 GG01

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
    アミド樹脂および(c)液晶性樹脂および/または
    (d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成された
    バリア層と(e)バリア層を形成する樹脂組成物以外の
    熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を有する多層中空
    容器であって、該中空容器の一部に溶着部を有し、溶着
    部の強度が非溶着部の50%以上であることを特徴とす
    るバリア性多層中空容器。
  2. 【請求項2】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
    アミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層
    状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層
    が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形
    品中に電子顕微鏡で観察される相構造として、厚み方向
    に表面から内層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂が
    連続相かつ(b)ポリアミド樹脂が分散相となる部分、
    (b)ポリアミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレフィ
    ン樹脂が分散相となる部分、(a)ポリオレフィン樹脂
    が連続相かつ(b)ポリアミド樹脂が分散相となる部分
    が順次観察されるバリア層であることを特徴とする請求
    項1に記載のバリア性多層中空容器。
  3. 【請求項3】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
    アミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層
    状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層
    が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形
    品中の表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さに
    おいて、(a)ポリオレフィン樹脂による連続相かつ
    (b)ポリアミド樹脂による分散相が観察され、かつ、
    表面から全厚みに対し45〜55%の任意の深さにおい
    て、(b)ポリアミド樹脂による連続相かつ(a)ポリ
    オレフィン樹脂による分散相が観察されるバリア層であ
    ることを特徴とする請求項2に記載のバリア性多層中空
    容器。
  4. 【請求項4】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
    アミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層
    状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層
    が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形
    品中に電子顕微鏡で観察される相構造として、厚み方向
    に表面から内層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂及
    び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分、
    (b)ポリアミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレフィ
    ン樹脂が分散相となる部分、(a)ポリオレフィン樹脂
    及び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分が順
    次観察されるバリア層であることを特徴とする請求項1
    に記載のバリア性多層中空容器。
  5. 【請求項5】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリ
    アミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)層
    状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア層
    が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成形
    品中の表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さに
    おいて、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリアミ
    ド樹脂が共に連続相として観察され、かつ、表面から全
    厚みに対し45〜55%の任意の深さにおいて、(b)
    ポリアミド樹脂による連続相かつ(a)ポリオレフィン
    樹脂による分散相が観察されるバリア層であることを特
    徴とする請求項4に記載のバリア性多層中空容器。
  6. 【請求項6】 前記(a)ポリオレフィン樹脂および
    (b)ポリアミド樹脂の融点のいずれか高い方の温度を
    Tp(℃)とした時、Tp+10℃〜Tp+100℃の
    任意の温度において、下式(1)で定義される溶融粘度
    比が、せん断速度200秒-1以下の任意のせん断速度に
    おいて0.5以下であり、かつ、せん断速度1000秒
    -1以上の任意のせん断速度において0.8以上であるこ
    とを満足するバリア層であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載のバリア性多層中空容器。 【式1】
  7. 【請求項7】 (e)バリア層を形成する樹脂組成物以
    外の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンであることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載のバリア性多層中
    空容器。
  8. 【請求項8】 射出溶着、熱板溶着、振動溶着、熱線溶
    着およびレーザー溶着の内から選ばれる少なくとも一種
    の方法で溶着されたことを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載のバリア性多層中空容器。
  9. 【請求項9】 バリア層成分で構成された1カ所以上の
    開口部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    かに記載のバリア性多層中空容器。
  10. 【請求項10】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層と(e)バリア層を形成する樹脂組成物以外の熱可塑
    性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を有する多層中空容器を
    製造する方法であって、前記多層中空容器を構成する2
    つ以上の分割体を多色射出成形により積層形成し、続い
    て得られた分割体を相互に接合させて多層中空容器を形
    成させる溶着部の強度が非溶着部の50%以上であるこ
    とを特徴とするバリア性多層中空容器の製造方法。
  11. 【請求項11】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成
    形品中に電子顕微鏡で観察される相構造として、厚み方
    向に表面から内層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂
    が連続相かつ(b)ポリアミド樹脂が分散相となる部
    分、(b)ポリアミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレ
    フィン樹脂が分散相となる部分、(a)ポリオレフィン
    樹脂が連続相かつ(b)ポリアミド樹脂が分散相となる
    部分が順次観察されるバリア層を形成させることを特徴
    とする請求項10に記載のバリア性多層中空容器の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成
    形品中の表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さ
    において、(a)ポリオレフィン樹脂による連続相かつ
    (b)ポリアミド樹脂による分散相が観察され、かつ、
    表面から全厚みに対し45〜55%の任意の深さにおい
    て、(b)ポリアミド樹脂による連続相かつ(a)ポリ
    オレフィン樹脂による分散相が観察されるバリア層を形
    成させることを特徴とする請求項11に記載のバリア性
    多層中空容器の製造方法。
  13. 【請求項13】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成
    形品中に電子顕微鏡で観察される相構造として、厚み方
    向に表面から内層に向かって(a)ポリオレフィン樹脂
    及び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分、
    (b)ポリアミド樹脂が連続相かつ(a)ポリオレフィ
    ン樹脂が分散相となる部分、(a)ポリオレフィン樹脂
    及び(b)ポリアミド樹脂が共に連続相となる部分が順
    次観察されるバリア層を形成させることを特徴とする請
    求項10に記載のバリア性多層中空容器の製造方法。
  14. 【請求項14】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層が成形品表面に垂直な方向を厚みとした時、該樹脂成
    形品中の表面から全厚みに対し5〜10%の任意の深さ
    において、(a)ポリオレフィン樹脂及び(b)ポリア
    ミド樹脂が共に連続相として観察され、かつ、表面から
    全厚みに対し45〜55%の任意の深さにおいて、
    (b)ポリアミド樹脂による連続相かつ(a)ポリオレ
    フィン樹脂による分散相が観察されるバリア層を形成さ
    せることを特徴とする請求項13に記載のバリア性多層
    中空容器の製造方法。
  15. 【請求項15】 成形加工時の温度における下式(1)
    で定義される溶融粘度比が、せん断速度200秒-1以下
    の任意のせん断速度において0.5以下であり、かつ、
    せん断速度1000秒-1以上の任意のせん断速度におい
    て0.8以上となる、(a)ポリオレフィン樹脂、
    (b)ポリアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/また
    は(d)層状珪酸塩からなる樹脂組成物を溶融成形する
    ことを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の
    バリア性多層中空容器の製造方法。 【式2】
  16. 【請求項16】 (a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポ
    リアミド樹脂、(c)液晶性樹脂および/または(d)
    層状珪酸塩からなる樹脂組成物により形成されたバリア
    層と(e)バリア層を形成する樹脂組成物以外の熱可塑
    性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を2色射出成形により積
    層形成することを特徴とする請求項10〜15のいずれ
    かに記載のバリア性多層中空容器の製造方法。
  17. 【請求項17】 多色射出成形により得られた分割体を
    射出溶着、熱板溶着、振動溶着、熱線溶着およびレーザ
    ー溶着の内から選ばれる少なくとも一種の溶着方法で相
    互に接合させることを特徴とする請求項10〜16のい
    ずれかに記載のバリア性多層中空容器の製造方法。
  18. 【請求項18】 多色射出成形により得られた分割体を
    相互に接合させる溶着方法が射出溶着および/または振
    動溶着であることを特徴とする請求項17に記載のバリ
    ア性多層中空容器の製造方法。
  19. 【請求項19】 バリア層成分で構成された1カ所以上
    の開口部を多色射出成形で形成させることを特徴とする
    請求項10〜18のいずれかに記載のバリア性多層中空
    容器の製造方法。
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