JP2003119689A - 機能性パルプ - Google Patents

機能性パルプ

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JP2003119689A
JP2003119689A JP2001319821A JP2001319821A JP2003119689A JP 2003119689 A JP2003119689 A JP 2003119689A JP 2001319821 A JP2001319821 A JP 2001319821A JP 2001319821 A JP2001319821 A JP 2001319821A JP 2003119689 A JP2003119689 A JP 2003119689A
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Toshikazu Inushima
敏和 犬島
Kazumasa Tanaka
和正 田中
Shinichi Yano
紳一 矢野
Keiichi Moriya
慶一 守屋
Yukiyasu Sato
幸泰 佐藤
Katsuki Honda
勝喜 本田
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KAWABOU KK
SOZAI KAIHATSU KENKYUSHO KK
Gifu Prefecture
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KAWABOU KK
SOZAI KAIHATSU KENKYUSHO KK
Gifu Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースの水酸基と反応する化合物が化学
結合したパルプに基づき、各種用途で利用できる製品の
原料となるとともに、それらの用途で優れた機能を発揮
することができる機能性パルプを提供する。 【解決手段】 機能性パルプ15は、天然パルプ12表
面に存在する水酸基13にエポキシ化合物、カルボン酸
及びハロゲン化物から選択される少なくとも一種の反応
物11のエポキシ基14、カルボキシル基又はハロゲン
を反応させて得られる。機能性パルプ15は、パルプ1
6表面にひげ状のオリゴマーやポリマーが結合されてい
る。反応物11が各種の機能を有する官能基を含有する
ことにより、機能性パルプ15は、消臭、抗菌等の機能
を発揮するようになっている。機能性パルプ15は、攪
拌溶解してスラリー状にした後に抄紙することにより紙
製品が得られるとともに、合成樹脂のフィラーとして構
成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙製品、合成樹脂
のフィラー等の用途に応じて、弾力性、柔軟性、吸湿
性、保湿性等の機能を向上させることができる機能性パ
ルプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木材パルプや麻パルプ等の天然パ
ルプは紙製品の原料として使用されている。この紙製品
は、天然パルプスラリーを抄紙することにより製造され
ている。そして、得られる紙製品は、天然パルプ同士が
絡み合うとともに、天然パルプを構成するセルロースの
水酸基によって天然パルプ同士が水素結合している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来の
天然パルプにより製造された紙製品は、各天然パルプが
互いに絡み合うとともに、結合力の弱い水素結合により
結合されているのみであるために、弾性や柔軟性等の機
能が低い。このため、ある用途に応じた紙製品を製造す
るときには、その用途に所望される機能を発揮させるた
めに、天然パルプスラリーに柔軟剤等の添加剤を加えた
り、製造された紙製品の表面処理を行うことが行われて
いる。
【0004】しかし、これらの方法により製造された紙
製品においても、天然パルプ間には従来の絡み合い以上
の結合力が作用しないことから、弾性や柔軟性等の機能
の発揮は不十分であるという問題があった。
【0005】本発明は、上記のような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、セルロースの水酸基と反応する化合物が化
学結合したパルプに基づき、各種用途で利用できる製品
の原料となるとともに、それらの用途で優れた機能を発
揮することができる機能性パルプを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の機能性パルプは、天然パ
ルプの表面に存在する水酸基を、エポキシ化合物、カル
ボン酸及びハロゲン化物から選択される少なくとも一種
の化合物のエポキシ基、カルボキシル基又はハロゲンと
反応させて得られるものである。
【0007】請求項2に記載の発明の機能性パルプは、
請求項1に記載の発明において、前記エポキシ化合物は
水溶性エポキシ化合物である。請求項3に記載の発明の
機能性パルプは、請求項2に記載の発明において、前記
水溶性エポキシ化合物は水溶性モノエポキシ化合物であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態について詳細に説明する。本実施形態の機能性パルプ
は、天然パルプの表面に存在する複数個の水酸基を、エ
ポキシ化合物、カルボン酸及びハロゲン化物から選択さ
れる少なくとも一種の化合物(以下、反応物ともいう)
のエポキシ基、カルボキシル基又はハロゲン(以下、反
応性官能基ともいう)と反応させることにより得られ
る。
【0009】より具体的に説明すると、まず木材パルプ
や麻パルプ等の天然パルプを、叩解した後に水やトルエ
ン等の溶媒中に分散させる。次に、図1(a)及び図1
(b)に示すように、反応物11を溶媒に加えて加熱す
ることにより、天然パルプ12表面の各水酸基13と反
応性官能基14とがそれぞれ反応して機能性パルプ15
が得られる。尚、図1(a)及び図1(b)では、反応
物11の例としてエポキシ化合物を示している。
【0010】木材パルプの具体例としては、針葉樹晒パ
ルプ(N−BKP)、広葉樹晒パルプ(L−BKP)等
が挙げられる。一方、麻パルプの具体例としては、マニ
ラ麻パルプ等が挙げられる。溶媒の加熱温度は好ましく
は30〜200℃、さらに好ましくは60〜100℃で
ある。30℃未満では、天然パルプ12表面の各水酸基
13と反応性官能基14とが反応しにくい。一方、20
0℃を超えて加熱しても、天然パルプ12表面の各水酸
基13と反応性官能基14とがそれ以上反応しにくい。
【0011】また、溶媒の加熱時間は好ましくは1〜5
時間、さらに好ましくは2〜4時間である。1時間未満
では、天然パルプ12表面の各水酸基13と反応性官能
基14とが十分に反応することができない。一方、5時
間を超えて加熱しても、天然パルプ12表面の各水酸基
13と反応性官能基14とがそれ以上反応しにくい。
【0012】天然パルプ12表面の各水酸基13と反応
性官能基14との反応において、溶媒中に触媒を加える
ことにより、反応時間を短くすることができる。例え
ば、天然パルプ12表面の各水酸基13に水溶性エポキ
シ化合物のエポキシ基を反応させるときには、溶媒とし
ての水に2−メチルイミダゾール等を触媒として加えて
もよい。
【0013】さらに、天然パルプ12表面の各水酸基1
3にエポキシ化合物のエポキシ基を反応させるときに
は、溶媒としての水に溶解することができることから、
水溶性エポキシ化合物が好ましい。水溶性エポキシ化合
物のうち、柔軟性等の機能を発揮する効果が高いことか
ら、水溶性モノエポキシ化合物がさらに好ましい。
【0014】ここで、天然パルプ12表面の各水酸基1
3とエポキシ化合物のエポキシ基との反応を下記の反応
式(1)及び反応式(2)に示すとともに、同水酸基1
3とカルボン酸のカルボキシル基との反応を下記の反応
式(3)、同水酸基13とハロゲン化物のハロゲンとの
反応を下記の反応式(4)に示す。尚、下記の反応式
(1)〜(4)において、“パルプ”はパルプ表面を示
し、“HO−パルプ”はパルプ表面の水酸基13を示
す。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】 上記の反応式(1)〜(4)、図1(a)及び図1
(b)において、R1、R3及びR4は、CH3(CH2)11-O-(C
H2CH2O)15-CH2、CH3-(CH2)2-CH(CH2CH3)-O-CH2、又はR-
O-CH2(RはC11H23、C13H27又はC15H31を示す)で表さ
れるアルキルエーテル、下記の化5〜化7に示すフェニ
ルエーテル又は下記の化8〜化10に示すシリコーンオ
リゴマーを示す。尚、下記の化8において、nは重合度
を示し、分子量は1000〜10000である。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】 一方、R2は、CH2O-(CH2-CH=CH-CH2)n-OCH2(nは重合
度を示し、その値は40〜60)、又はCH2O-(CH2-CH2-
O)n-CH2(nは重合度を示し、その値は1〜22)で表
されるアルキルエーテル又は下記の化11に示すシリコ
ーンオリゴマーを示す。下記の化11において、nは重
合度を示し、分子量は300〜6000である。
【0025】
【化11】 図1(b)及び上記の反応式(1)〜(4)に示すよう
に、機能性パルプ15を構成するパルプ16の表面に
は、水酸基13の存在していた箇所にオリゴマーやポリ
マーがそれぞれ結合されている。このため、機能性パル
プ15は、パルプ16表面にひげ状のオリゴマーやポリ
マーが結合されている。そして、R1、R2並びにR3
びR4を各種の機能を有する官能基にすることにより、
機能性パルプ15は、例えば消臭、抗菌、撥水、導電
性、難燃性等の機能を発揮することができる。
【0026】パルプ16表面のオリゴマーやポリマーに
染料分子がそれぞれ反応することにより、機能性パルプ
15には、天然パルプ12よりも堅牢度の高い染色を行
うことができる。
【0027】次に、上記の機能性パルプ15の用途につ
いて、以下に説明する。第1の用途としては、上記構成
の機能性パルプ15から形成される紙製品17が挙げら
れる。図2に示すように、この紙製品17は、機能性パ
ルプ15同士が絡み合うとともに、機能性パルプ15間
では各機能性パルプ15のオリゴマーやポリマーが絡み
合っている。このため、この紙製品17は、弾性や柔軟
性等の機能を発揮することができる。
【0028】第2の用途としては、第1の用途の紙製品
17を一定の幅に切断して撚りをかけることにより糸状
紙を製作し、この糸状紙から構成される衣料用等の織物
が挙げられる。この織物は、第1の用途の紙製品17と
同様に、弾性や柔軟性等の機能を発揮することができ
る。
【0029】第3の用途としては、図3に示すように、
機能性パルプ15を含有する合成樹脂18のフィラーが
挙げられる。このフィラーは、天然パルプ12を含有す
るフィラーよりも合成樹脂18に対する相溶性を向上さ
せることができる。さらに、合成樹脂18に吸湿性や保
湿性等の新しい機能を付与することができるようになっ
ている。
【0030】以上詳述した本実施形態によれば、次のよ
うな効果が発揮される。 ・ 本実施形態の機能性パルプ15においては、天然パ
ルプ12の表面に存在する複数個の水酸基13を反応物
の反応性官能基14と反応させることにより得られる。
このため、機能性パルプ15は、パルプ16表面にひげ
状をなすとともに様々な機能を有するオリゴマーやポリ
マーが結合されている。従って、機能性パルプ15は、
パルプ16表面に存在するオリゴマーやポリマーによっ
て、各種用途で使用できる製品の原料となることができ
るとともに、それらの用途で優れた機能を発揮すること
ができる。
【0031】・ 本実施形態の機能性パルプ15におい
ては、天然パルプ12に反応させるエポキシ化合物を水
溶性エポキシ化合物にすることにより、エポキシ化合物
を溶媒である水に容易に溶解させることができる。よっ
て、水中にエポキシ基を容易に存在させることができる
ために、親水性である天然パルプ12表面の水酸基13
とエポキシ基とが容易に反応することができる。
【0032】・ 本実施形態の機能性パルプ15におい
ては、天然パルプ12に反応させるエポキシ化合物を水
溶性モノエポキシ化合物にすることにより、機能性パル
プ15同士が架橋ではなく絡み合うために、機能性パル
プ15の柔軟性をより発揮することができる。
【0033】・ 本実施形態の機能性パルプ15におい
ては、機能性パルプ15から紙製品17を構成すること
により、機能性パルプ15同士が絡み合うとともに、機
能性パルプ15間では各機能性パルプ15のオリゴマー
やポリマーが絡み合う。このため、この紙製品17は弾
性や柔軟性等の機能を発揮することができる。さらに、
この紙製品17から糸状紙を製作するときには、弾性や
柔軟性等の機能が発揮されているために、従来の天然パ
ルプ12から構成された紙製品よりも容易に扱うことが
できる。
【0034】・ 本実施形態の機能性パルプ15におい
ては、機能性パルプ15から構成された紙製品17を一
定の幅に切断して撚りをかけることにより糸状紙を製作
する。そして、この糸状紙から衣料用等の織物を構成す
ることにより、前述の紙製品17と同様に弾性や柔軟性
等の機能を発揮することができる。
【0035】・ 本実施形態の機能性パルプ15におい
ては、機能性パルプ15を合成樹脂18のフィラーとし
て構成することにより、機能性パルプ15のオリゴマー
やポリマーと合成樹脂18とが容易に相溶する。このた
め、機能性パルプ15を含有するフィラーは、天然パル
プ12を含有するフィラーよりも合成樹脂18に対する
相溶性が向上する。さらに、機能性パルプ15が有する
吸湿性や保湿性により、合成樹脂18に吸湿性や保湿性
等の新しい機能を付与することができる。
【0036】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形
態をさらに具体的に説明する。 (実施例1)木材パルプとしての針葉樹パルプと水溶性
モノエポキシ化合物とを後述するように反応させて機能
性パルプ15を得た。
【0037】まず、針葉樹パルプとしてのN−BKP
(CKHF−E、クロフトン社製)を王研式ビーター
(株式会社東洋精機製作所製)によってカナダ標準濾水
度(CSF)600cm3になるまで叩解することによ
り、パルプ原料を得た。
【0038】次に、このパルプ原料30gを2000c
3の三角フラスコにとり、水溶性モノエポキシ化合物
としてのラウリルアルコール(EO)15グリシジルエー
テル(ナガセ化成工業株式会社製、デナコールEX−1
71)400gを加えた。尚、EOはエチレンオキサイ
ドを示す。
【0039】続いて、デナコールEX−171の50重
量%に相当する200gの水を加えた後に、溶液を十分
撹拌しながら触媒としての2−メチルイミダゾール6.
4gを加えた。そして、溶液を80℃で2時間加熱した
後に、反応生成物を4000cm3の水で3回洗浄して
未反応のデナコールEX−171を取り除くことによ
り、機能性パルプ15が得られた。
【0040】(実施例2)麻パルプとしてのマニラ麻
(JK)パルプと水溶性モノエポキシ化合物とを後述す
るように反応させて機能性パルプ15を得た。
【0041】まず、実施例1と同様に、マニラ麻(J
K)パルプをCSF600cm3になるまで叩解するこ
とにより、パルプ原料を得た。次に、このパルプ原料3
0gを2000cm3の三角フラスコにとり、400g
のデナコールEX−171を加えた。
【0042】続いて、デナコールEX−171の50重
量%に相当する200gの水を加えた後に、溶液を十分
撹拌しながら触媒としての2−メチルイミダゾール6.
5gを加えた。そして、溶液を80℃で2.5時間加熱
した後に、反応生成物を4000cm3の水で3回洗浄
して未反応のデナコールEX−171を取り除くことに
より、機能性パルプ15が得られた。
【0043】(実施例3)木材パルプとしての針葉樹パ
ルプとハロゲン化物とを後述するように反応させて機能
性パルプ15を得た。
【0044】まず、実施例1と同様にしてパルプ原料を
得た。続いて、このパルプ原料を乾燥した後に30gを
1000cm3の三角フラスコにとり、ハロゲン化物と
しての4−ドデカノキシベンジルクロリド60gを加え
た。続いて、トルエン200cm3を加えた後に、溶液
を100℃で3時間加熱した。そして、反応生成物を1
000cm3のエタノールで3回洗浄して未反応の4−
ドデカノキシベンジルクロリドを取り除くことにより、
機能性パルプ15が得られた。
【0045】(実施例4)木材パルプとしての針葉樹パ
ルプとカルボン酸とを後述するように反応させて機能性
パルプ15を得た。
【0046】まず、実施例1と同様にしてパルプ原料を
得た。続いて、このパルプ原料を乾燥した後に30gを
1000cm3の三角フラスコにとり、カルボン酸とし
ての4−ドデカノキシ安息香酸60gを加えた。続い
て、トルエン200cm3を加えた後に、溶液を60℃
で5時間加熱した。そして、反応性生物を1000cm
3のエタノール及び1000cm3の水でそれぞれ3回洗
浄して未反応の4−ドデカノキシ安息香酸を取り除くこ
とにより、機能性パルプ15が得られた。
【0047】(実施例5〜10及び比較例1〜6)実施
例5〜10は、まず実施例1又は実施例2の機能性パル
プ15をミキサーで撹拌溶解してそれぞれスラリー状に
し、分散剤としてのポリエチレンオキシド水溶液を若干
加えた後にさらに撹拌して紙料をそれぞれ得た。続い
て、各紙料をJIS P 8209(パルプ試験用手す
き紙調整法)に従って抄紙して手すき紙をそれぞれ製作
した。ここで、各実施例の手すき紙の米坪量は、それぞ
れ28、40又は60gm-2とした。
【0048】一方、比較例1〜6は、実施例5〜10と
同様にして、天然パルプ12としての針葉樹パルプ又は
マニラ麻パルプから手すき紙をそれぞれ製作した。ここ
で、各比較例の手すき紙の米坪量は、実施例5〜10と
同様に、それぞれ28、40又は60gm-2とした。こ
れら手すき紙について、下記(1)〜(7)の項目に関
し測定を行った。その測定結果を表1に示す。
【0049】(1)厚さ 手すき紙の厚さを測定した。尚、表1での数値はmmで
示す。 (2)密度 手すき紙の重量をその体積で割ることにより算出した。
尚、表1での数値はgcm-3で示す。
【0050】(3)透気度 手すき紙の透気度を透気度試験機を用いて測定した。
尚、この測定は障子紙規格で行うとともに、表1での数
値は秒で示す。
【0051】(4)柔軟度 手すき紙の柔軟度を柔軟度試験機を用いて測定した。
尚、表1での数値はNで示す。また、>10は測定結果
が10N以上であったことを示す。
【0052】(5)引張強度 手すき紙の引張強度を引張強度試験機を用いて測定し
た。尚、表1での数値はNで示す。
【0053】(6)伸び率 手すき紙の伸び率を伸縮度測定機を用いて測定した。
尚、表1での数値は%で示す。
【0054】(7)湿度伸縮率 手すき紙の湿度伸縮率を伸縮度測定機を用いて測定し
た。尚、表1での数値は%で示す。
【0055】
【表1】 表1に示すように、実施例5〜9においては、透気度及
び柔軟度についてはいずれも優れた測定結果であった。
また、実施例10においては、透気度について優れた測
定結果であった。一方、比較例1〜6においては、天然
パルプ間に絡み合いがないために、柔軟度が低いという
測定結果であった。
【0056】柔軟度に関する結果は、機能性パルプ15
によって製作された手すき紙が、天然パルプ12によっ
て製作された手すき紙に対して優れた弾性及びドレープ
性を発揮していることを示している。さらに、表1に示
す結果は、機能性パルプ15によって製作された手すき
紙が、天然パルプ12によって製作された手すき紙に対
して優れた柔軟性及び透気性等の機能を発揮しているこ
とを示している。
【0057】このため、機能性パルプ15によって製作
された手すき紙から構成された衣料用の織物は、柔軟性
を発揮しているために優れたドレープ性やしなやかさを
示し、風合が増している。さらに、弾性を発揮している
ために優れたフィット感や着心地が得られ、透気性を発
揮しているために優れた清涼感や吸湿性が得られる。
【0058】また、機能性パルプ15によって製作され
た手すき紙を資材用として用いるときには、弾性を発揮
しているために優れた衝撃吸収性や湾曲性が得られる。
さらに、透気性を発揮しているために、系内と外界との
温度及び湿度を同条件に容易に保つことができる。
【0059】(実施例11及び実施例12)実施例11
は、実施例1において、針葉樹パルプに水溶性ジエポキ
シ化合物としてのエチレン,ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル(ナガセ化成工業株式会社製、デナ
コールEX−861)とデナコールEX−171との混
合物を反応させて機能性パルプ15を得た。そして、こ
の機能性パルプ15から実施例5〜10と同様にして手
すき紙を製作し、その弾性及び引張強度を測定した。
【0060】一方、実施例12は、実施例2において、
マニラ麻(JK)パルプに実施例11と同様にデナコー
ルEX−861とEX−171との混合物を反応させて
機能性パルプ15を得た。そして、この機能性パルプ1
5から実施例5〜10と同様にして手すき紙を製作し、
その弾性及び引張強度を測定した。
【0061】これらの結果、EX−861のEX−17
1に対する混合割合が1、20、50、100重量%と
増加するに従って、即ち水溶性ジエポキシ化合物の水溶
性モノエポキシ化合物に対する混合割合が増加するに従
って、製作された手すき紙の弾性の変化は少なく引張強
度が増加した。
【0062】(実施例13)実施例13は、実施例5〜
10において、天然パルプスラリーと各機能性パルプス
ラリーとの混合物から紙料を構成した。そして、これら
紙料から手すき紙をそれぞれ製作し、各手すき紙の弾
性、ドレープ性及び引張強度を測定した。
【0063】この結果、各機能性パルプスラリーの天然
パルプスラリーに対する混合割合が0、20、40、6
0、80、100重量%と増加するに従って、弾性及び
ドレープ性は直線的に増加したが引張強度は直線的に減
少した。
【0064】(実施例14)実施例14は、実施例5に
おいて、手すき紙を抄紙するときに、機能性パルプスラ
リーにポリエステル、ポリオレフィン等の熱融着繊維を
機能性パルプスラリーに対して5〜90重量%の範囲で
加えた。そして、製作された手すき紙の引張強度を測定
した。この結果、この手すき紙の引張強度は、表1に示
す実施例5の引張強度に対して3倍に増加した。
【0065】(実施例15)実施例15は、実施例5に
おいて、手すき紙を抄紙するときに、機能性パルプスラ
リーにカチオン系湿潤紙力剤を機能性パルプスラリーに
対して0.1〜2.0重量%の範囲で加えた後に撹拌し
た。続いて、アニオン系のラテックスエマルジョンバイ
ンダーをカチオン系湿潤紙力剤と同量加えて撹拌した。
そして、製作された手すき紙の引張強度を測定した。こ
の結果、この手すき紙の引張強度は、表1に示す実施例
5の引張強度に対して2倍に増加した。
【0066】(実施例16、比較例7及び比較例8)実
施例16は、低密度ポリエチレン(PE)1kgに対し
て100gの機能性パルプ15を三連ロール機により1
20℃で2時間混練して機能性パルプ充填ポリエチレン
(F−PE)を得た。このF−PEから圧縮成型器を用
いてシート(縦100mm、横100mm、厚さ0.5
mm)を成型し、このシートの室温における機械的性質
を引張試験機(TENSILON LIM−4−20
0、Toyo BALDWIN社製)を用いて測定し
た。
【0067】一方、比較例7は、PE1kgと100g
の天然パルプ12とから実施例16と同様にして天然パ
ルプ充填ポリエチレン(N−PE)を得た。そして、こ
のN−PEから実施例16と同様にしてシートを成型
し、このシートの室温における機械的性質を測定した。
さらに、比較例8は、PE1kgのみから実施例16と
同様にしてシートを成型し、このシートの室温における
機械的性質を測定した。
【0068】この結果、実施例16は、剛性率が0.9
kgmm-2となるとともに、降伏点応力が9.5kgm
-2となった。比較例7は、剛性率が0.7kgmm-2
となるとともに、降伏点応力が8kgmm-2となった。
比較例8は、剛性率が1.1kgmm-2となるととも
に、降伏点応力が11kgmm-2となった。この結果が
示すように、F−PEはN−PEよりも降伏点応力が優
れていた。尚、測定は10試験片について行い、各値は
その平均値を示す。
【0069】また、F−PE又はPEのみから製造され
たシート及び食用コップにおいて、それらの表面を触っ
た結果、F−PEから製造されたシート及び食用コップ
はPEのみから製造されたものに対してしっとりとした
感触があった。
【0070】さらに、F−PE、N−PE又はPEのみ
から製造されたシート及び食用コップにおいて、それら
の表面への水の接触角をエルマー光学性接触角測定器G
−Iを用いて測定した。この結果、F−PEから製造さ
れたシート及び食用コップの表面への水の接触角はそれ
ぞれ78°であった。一方、N−PEではそれぞれ80
°、PEのみではそれぞれ100°であった。尚、N−
PEにおいては、天然パルプとPEとの相溶性が低いた
めに、測定値にばらつきがあった。
【0071】この結果は、F−PEから製造されたシー
ト及び食用コップはPEのみから製造されたシート及び
食用コップに対して水によるその表面の濡れが増加する
ことを示している。
【0072】なお、前記実施形態を次のように変更して
構成することもできる。 ・ 前記紙製品17を機能性パルプ15とポリオレフィ
ン等の熱融着繊維とから形成してもよい。このように構
成した場合は、機能性パルプ15のみから形成された紙
製品17に対して、引張強度を高めることができる。
【0073】次に、前記実施形態から把握できる技術的
思想について以下に記載する。 ・ 天然パルプを叩解した後に溶媒中に分散させ、その
溶媒にエポキシ化合物、カルボン酸及びハロゲン化物か
ら選択される少なくとも一種の化合物を加えた後に、溶
媒を加熱することにより機能性パルプを製造することを
特徴とする機能性パルプの製造方法。この構成によれ
ば、天然パルプにエポキシ化合物、カルボン酸及びハロ
ゲン化物から選択される少なくとも一種の化合物を反応
させることにより、機能性パルプを容易に製造すること
ができる。
【0074】・ 請求項1から請求項3のいずれか一項
に記載の機能性パルプを攪拌溶解してスラリー状にした
後に抄紙することにより得られることを特徴とする紙製
品。この構成によれば、各種用途で利用できるととも
に、それらの用途で優れた機能を発揮することができ
る。
【0075】・ 請求項1から請求項3のいずれか一項
に記載の機能性パルプを含有することを特徴とする合成
樹脂のフィラー。この構成によれば、合成樹脂と容易に
相溶することができるととも、合成樹脂に吸湿性や保湿
性等の新しい機能を付与することができる。
【0076】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明
の機能性パルプによれば、セルロースの水酸基と反応す
る化合物が化学結合したパルプに基づき、各種用途で利
用できる製品の原料となるとともに、それらの用途で優
れた機能を発揮することができる。
【0077】請求項2に記載の発明の機能性パルプによ
れば、請求項1に記載の発明の効果に加え、天然パルプ
の表面に存在する水酸基にエポキシ基を容易に反応させ
ることができる。
【0078】請求項3に記載の発明の機能性パルプによ
れば、請求項2に記載の発明の効果に加え、柔軟性の機
能をより発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本実施形態の機能性パルプを製造す
る途中の状態を示す概略図、(b)は機能性パルプを示
す概略図。
【図2】 機能性パルプにより構成された紙製品を示す
概略図。
【図3】 合成樹脂中の機能性パルプを示す概略図。
【符号の説明】
11…化合物としての反応物、12…天然パルプ、13
…水酸基、15…機能性パルプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 391016842 岐阜県 岐阜県岐阜市薮田南2丁目1番1号 (72)発明者 犬島 敏和 岐阜県岐阜市正木1880番地 カワボウ 株 式会社内 (72)発明者 田中 和正 岐阜県岐阜市正木1880番地 カワボウ 株 式会社内 (72)発明者 矢野 紳一 愛知県江南市高屋町花戸155番地 有限会 社 素材開発研究所 内 (72)発明者 守屋 慶一 岐阜県岐阜市薮田南4丁目7番7−401号 (72)発明者 佐藤 幸泰 岐阜県美濃市前野777 岐阜県製品技術研 究所 美濃分室 内 (72)発明者 本田 勝喜 岐阜県美濃市前野777 岐阜県製品技術研 究所 美濃分室 内 Fターム(参考) 4L033 AA02 AB01 AC11 AC15 BA08 4L055 AA02 AA07 AC06 AF09 AF44 AG34 AG37 AG87 BB03 FA04 FA11 FA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然パルプの表面に存在する水酸基を、
    エポキシ化合物、カルボン酸及びハロゲン化物から選択
    される少なくとも一種の化合物のエポキシ基、カルボキ
    シル基又はハロゲンと反応させて得られることを特徴と
    する機能性パルプ。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ化合物は水溶性エポキシ化
    合物である請求項1に記載の機能性パルプ。
  3. 【請求項3】 前記水溶性エポキシ化合物は水溶性モノ
    エポキシ化合物である請求項2に記載の機能性パルプ。
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