JP2003112425A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP2003112425A
JP2003112425A JP2001310534A JP2001310534A JP2003112425A JP 2003112425 A JP2003112425 A JP 2003112425A JP 2001310534 A JP2001310534 A JP 2001310534A JP 2001310534 A JP2001310534 A JP 2001310534A JP 2003112425 A JP2003112425 A JP 2003112425A
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Japan
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nozzle
pressure generating
recording head
generating chamber
ink jet
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Shiro Yazaki
士郎 矢崎
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期不良を発生させることなくノズル開口を
高密度化したインクジェット式記録ヘッド及びインクジ
ェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口21が圧力発生室12側に開
口してその開口側に向かって内径が漸大するテーパ部2
2とこのテーパ部22に連通し内径が軸方向に亘って略
同一であるノズル部23とからなり、テーパ部22の開
口の中心を通る縦断面における傾斜面のなす角度θを1
0°〜20°とし、且つ開口の直径を圧力発生室12の
幅よりも所定量小さくすることにより開口の一部が隔壁
11又は接着剤25のはみ出しと重ならないようにし
て、接合不良及び吐出不良を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子
の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】また、このようなインクジェット式記録ヘ
ッドでは、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の基板に
複数のノズル開口を穿設したノズルプレートが用いら
れ、このノズルプレートが圧力発生室の形成された流路
形成基板に接合されることにより、各圧力発生室と各ノ
ズル開口とが連通している。
【0007】このようなノズルプレートでは、従来、ノ
ズル開口の形状が直線的でありインク滴の吐出量、吐出
速度等のインク吐出性能が低いという問題があったた
め、ノズル開口の圧力発生室側の内径を漸大させてイン
ク吐出特性を向上させたものが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなノズルプレートでは、圧力発生室側の開口径が比較
的大きくなるため、ノズルプレートと流路形成基板とを
接合する際に各圧力発生室とノズル開口との位置ずれが
生じやすい。このため、ノズルプレートと流路形成基板
とを比較的高精度に位置決めして接合する必要があり、
製造工程が煩雑化してしまうという問題がある。
【0009】特に、ノズル開口を比較的高密度に配列し
た場合には、圧力発生室も高密度に配列されるため圧力
発生室とノズル開口との位置ずれが生じやすく、流路形
成基板とノズルプレートとの接合不良、あるいはノズル
開口が隣接する圧力発生室と連通することによる吐出不
良等の初期不良が発生する虞がある。
【0010】本発明は、このような事情に鑑み、初期不
良を発生させることなくノズル開口を高密度化したイン
クジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、複数のノズル開口が穿設されたノズ
ルプレートと、該ノズルプレートと接着剤を介して接着
され前記ノズル開口に連通する圧力発生室が複数の隔壁
によって画成される流路形成基板と、該流路形成基板の
一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内
に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備するインクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、前記ノズル開口が前記圧
力発生室側に開口してその開口側に向かって内径が漸大
するテーパ部とこのテーパ部に連通し内径が軸方向に亘
って略同一であるノズル部とからなり、前記テーパ部は
その開口の中心を通る縦断面における傾斜面のなす角度
θが10°〜20°であり、且つ前記開口の直径を前記
圧力発生室の幅よりも所定量小さくすることにより当該
開口の一部が前記隔壁又は前記接着剤のはみ出しと重な
らないようにしたことを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0012】かかる第1の態様では、ノズル開口を比較
的高密度に配列しても、圧力発生室とノズル開口を比較
的容易に位置決めすることができ、流路形成基板とノズ
ルプレートとの接合不良、あるいは吐出不良等の初期不
良を防止することができる。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記テーパ部の開口径φ1と前記圧力発生室の幅W
との関係が、φ1<W−C(定数)を満たすと共に、こ
の定数Cが、C=(前記流路形成基板と前記ノズルプレ
ートとの位置決め精度)+(前記圧力発生室の幅Wの寸
法精度)+(前記流路形成基板と前記ノズルプレートと
を接着する接着剤のはみ出し量)で表される値であり、
且つ前記テーパ部の開口径φ1が、前記テーパ部の傾斜
面のなす角度θ、前記ノズル部の開口径φ2、前記ノズ
ル部の長さls及び前記ノズルプレートの厚さtによっ
て表される下記式(1)の関係を満たしていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッド。
【0014】
【数2】
【0015】かかる第2の態様では、テーパ部の開口径
φ1を所定の大きさで形成することにより、ノズル開口
を高密度に配列してもノズル詰まり等の初期不良が確実
に防止される。
【0016】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記圧力発生室の配列密度が200dpi以
上であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0017】かかる第3の態様では、ノズル開口が高密
度に配列されているため、高速且つ高画質印刷を実現す
ることができる。
【0018】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記ノズルプレートの厚さが、60μ
m〜90μmであることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0019】かかる第4の態様では、ノズル開口を高密
度に配列しても、インク吐出特性の低下及びクロストー
クが発生することがない。
【0020】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記ノズルプレートがステンレス鋼
(SUS)からなることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0021】かかる第5の態様では、ノズル開口が高密
度に配列されたノズルプレートを比較的容易に形成でき
る。
【0022】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記圧力発生室が異方性エッチングに
より形成され、前記圧電素子を構成する各層が成膜及び
リソグラフィ法により形成されたものであることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0023】かかる第6の態様では、比較的容易に圧力
発生室を高精度且つ高密度に形成することができる。
【0024】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを
特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0025】かかる第7の態様では、高速且つ高品質印
刷が可能なインクジェット式記録装置を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0027】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
である。また、図2(a)は、図1の平面図であり、図
2(b)は(a)のA−A’断面図である。
【0028】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸
化シリコンからなる、厚さ1〜2[μm]の弾性膜50
が形成されている。
【0029】この流路形成基板10には、シリコン単結
晶基板をその一方面側から異方性エッチングすることに
より、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室1
2が幅方向に並設されている。また、その長手方向外側
には、後述するリザーバ形成基板のリザーバ31と連通
孔51を介して連通される連通部13が形成されてい
る。また、この連通部13は、各圧力発生室12の長手
方向一端部でそれぞれインク供給路14を介して連通さ
れている。
【0030】また、この圧力発生室12は、配列密度が
1インチ当たり200個以上、本実施形態では、例え
ば、360個と比較的高密度に配列されている。
【0031】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われ
る。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をK
OH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて
(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1
の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(11
0)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが
出現し、(110)面のエッチングレートと比較して
(111)面のエッチングレートが約1/180である
という性質を利用して行われる。かかる異方性エッチン
グにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第
2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加
工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室
12を高密度に配列することができる。
【0032】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12よ
り浅く形成されており、圧力発生室12に流入するイン
クの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク
供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中ま
でエッチング(ハーフエッチング)することにより形成
されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時
間の調整により行われる。
【0033】また、流路形成基板10の開口面側には、
各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通
するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が
接着剤や熱溶着フィルム等からなる接着層25を介して
固着されている。
【0034】本実施形態のノズルプレート20は、例え
ば、ステンレス鋼(SUS)からなり、ノズル開口21
は、圧力発生室12側に設けられて開口側ほど内径が漸
大するテーパ部22と、軸方向で内径が略一定でありイ
ンク滴が吐出されるノズル部23とからなる。
【0035】なお、インク滴吐出圧力をインクに与える
圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル
開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出ス
ピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、本
実施形態のように、1インチ当たり360個のインク滴
を記録する場合、ノズル開口21のノズル部23を20
[μm]前後の直径で精度よく形成する必要がある。
【0036】また、図3の拡大図に示すように、ノズル
開口21のテーパ部22の開口径φ1は、圧力発生室1
2の幅Wよりも所定量小さい直径であり、圧力発生室1
2及びノズル開口21の寸法精度、あるいは流路形成基
板10とノズルプレート20との位置決め精度の誤差に
よってもテーパ部22と、隔壁11又は接着層25の圧
力発生室12内へのはみ出し部25aが重ならない程度
の大きさとなっている。
【0037】すなわち、テーパ部22の開口径φ1と圧
力発生室12の幅Wとは、φ1<W−C(定数)の関係
を満たしている。ここで、この定数Cは、流路形成基板
10とノズルプレート20との位置決め精度、圧力発生
室12の幅Wの寸法精度及び流路形成基板10とノズル
プレート20とを接着する際の接着層25のはみ出し量
等の組立条件等を考慮して決定される値であり、約10
μm程度である。
【0038】さらに、ノズル開口21のテーパ部22の
断面における傾斜面のなす角度(傾斜角度)θは10〜
20°であることが好ましく、例えば、本実施形態で
は、約15°となるようにした。
【0039】ノズル開口21をこのような形状とするこ
とにより、ノズル開口21を比較的高密度に配列して
も、各圧力発生室12と各ノズル開口21とを所定位置
に比較的容易且つ高精度に位置決めして、流路形成基板
10とノズルプレート20とを良好に接合することがで
きる。したがって、流路形成基板10とノズルプレート
20との接合不良を防止できると共に、ノズル開口21
の目詰まりや、ノズル開口21が隣接する圧力発生室1
2と連通すること等による吐出不良を防止することがで
きる。
【0040】ここで、このようなノズル開口21の各寸
法は、ノズル開口21のテーパ部22の開口径φ1、テ
ーパ部22の傾斜角度θ、ノズル部23の開口径φ2、
ノズル部23の長さls及びノズルプレート20の厚さ
tの関係は、下記式(1)で表される。
【0041】
【数3】
【0042】このノズル部23の開口径φ2及び長さl
sは、ヘッドの特性によって決まり、例えば、本実施形
態では、ノズル部23の開口径φ2を約20μmとし、
長さlsを約20μmとした。
【0043】また、上述したように、本実施形態では、
圧力発生室12は1インチあたり360個の割合で配列
されており、各圧力発生室12の幅Wは約55μmであ
るため、テーパ部22の開口径φ1は、φ1<55−C
(定数)となる。
【0044】なお、この定数Cは、組立条件によって決
まる値であり、例えば、C=(流路形成基板とノズルプ
レートの位置決め精度)+(圧力発生室の幅の寸法精
度)+(接着剤のはみ出し量)で表される。
【0045】本実施形態では、流路形成基板10とノズ
ルプレート20との位置決め精度が±5μm程度であ
り、圧力発生室12の幅の寸法精度が±1.5μm程度
であり、流路形成基板10とノズルプレート20とを接
着する際の接着剤のはみ出し量が片側5μm程度である
ため、C=5+1.5+(5+5)=16.5となる。
したがって、テーパ部22の開口径φ1は、φ1<3
8.5μmとしている。
【0046】さらに、このような各条件を満足したノズ
ル開口21とする場合、ノズルプレート20の厚さtは
テーパ部22の傾斜角度θに応じて上記式(1)から算
出される。すなわち、ノズルプレート20の厚さtは、
テーパ部22の傾斜角度θが10°である場合には、約
125μm以下とする必要があり、テーパ部22の傾斜
角度が20°である場合には、約72μm以下とする必
要がある。例えば、本実施形態では、ノズル開口21の
テーパ部22の傾斜角度θを15°としているため、ノ
ズルプレート20の厚さtは、約90μm以下とする必
要がある。
【0047】また、ノズルプレート20の厚さtがあま
り薄すぎると、インクを吐出する際にノズルプレート2
0自体が変形してクロストークが発生する虞があるた
め、ノズルプレート20の厚さtは、少なくとも60μ
m以上であることが好ましい。
【0048】さらに、ノズルプレート20の厚さtがあ
まり厚すぎるとノズル開口21の流路抵抗が著しく増加
してしまうため、インク吐出特性が低下する虞があるた
め、ノズルプレート20の厚さtは、90μm以下であ
ることが好ましい。
【0049】したがって、これらの点を考慮するとノズ
ルプレート20の厚さは、約60μm〜90μmである
ことが好ましい。例えば、本実施形態では、ノズルプレ
ート20の厚さを約70μm〜80μmとするのが最適
である。
【0050】これにより、クロストークを発生させるこ
となく且つインク吐出特性を低下させることなくノズル
開口を高密度化することができ、高速且つ高品質印刷を
実現することができる。
【0051】なお、流路形成基板10に設けられた弾性
膜50上には、厚さが例えば、約0.2[μm]の下電
極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜2[μm]の圧
電体層70と、厚さが例えば、約0.1[μm]の上電
極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧
電素子300を構成している。ここで、圧電素子300
は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を
含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか
一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層7
0を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極
及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加
により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本
実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電
極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極とし
ているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支
障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧
電体能動部が形成されていることになる。また、ここで
は、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により
変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと
称する。
【0052】また、流路形成基板10の圧電素子300
側には、各圧力発生室12の共通のインク室であるリザ
ーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されて
いる。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザー
バ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の
幅方向に亘って形成されており、上述したようにインク
連通孔51を介して流路形成基板10の連通部13と連
通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザ
ーバ100を構成している。
【0053】このリザーバ形成基板30としては、例え
ば、ガラス、セラミック材料等の流路形成基板10の熱
膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施
形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結
晶基板を用いて形成した。これにより、熱硬化性の接着
剤を用いた高温での接着であっても両者を確実に接着す
ることができる。
【0054】さらに、このリザーバ形成基板30には、
封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス
基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛
性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6[μ
m]のポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム)
からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一
方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の
硬質の材料(例えば、厚さが30[μm]のステンレス
鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザ
ーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去さ
れた開口部43となっているため、リザーバ100の一
方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止され、内部
圧力の変化によって変形可能な可撓部32となってい
る。
【0055】また、このリザーバ100の長手方向略中
央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ
100にインクを供給するためのインク導入口35が形
成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、イ
ンク導入口35とリザーバ100の側壁とを連通するイ
ンク導入路36が設けられている。
【0056】一方、リザーバ形成基板30の圧電素子3
00に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害
しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可
能な圧電素子保持部33が設けられている。そして、圧
電素子300は、この圧電素子保持部33内に密封さ
れ、大気中の水分等の外部環境に起因する圧電素子30
0の破壊を防止している。
【0057】なお、このように構成したインクジェット
式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続
したインク導入口35からインクを取り込み、リザーバ
100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満
たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に
従い、上電極膜80と下電極膜60との間に電圧を印加
し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわ
み変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高
まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0058】(他の実施形態)以上、本発明の一実施形
態について説明したが、インクジェット式記録ヘッドの
基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0059】例えば、上述の実施形態では、ステンレス
鋼(SUS)からなるノズルプレートを例示して説明し
たが、これに限定されず、ノズルプレートは、流路形成
基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するように
してもよい。この場合には、流路形成基板10とノズル
プレート20との熱による変形が略同一となるため、熱
硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができ
る。
【0060】また、例えば、上述の実施形態では、成膜
及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型
のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これ
に限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを
貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェ
ット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0061】また、上述の実施形態では、たわみ変位型
の圧電素子を有するインクジェット式記録ヘッドについ
て説明したが、例えば、圧電材料と電極形成材料とをサ
ンドイッチ状に交互に挟んで積層した構造の縦振動モー
ドの圧電素子を有するインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。但し、何れの場合にも、振動板が
引張り応力を有していることが必要である。
【0062】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0063】また、上述した実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
【0064】図4に示すように、インクジェット式記録
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0065】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送される
ようになっている。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、寸法精
度や位置決め精度の誤差によってテーパ部内に接着剤が
流れ込まない程度にテーパ部の開口径を圧力発生室の幅
よりも狭くし且つテーパ部の断面において傾斜面のなす
角度が10°〜20°となるようにしたので、ノズル開
口を高密度に配列しても、流路形成基板とノズルプレー
トの接合不良、あるいは吐出不良等の初期不良を発生さ
せることなく、流路形成基板とノズルプレートとを比較
的容易に位置決めして固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 隔壁 12 圧力発生室 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 25 接着層 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 90 リード電極 300 圧電素子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のノズル開口が穿設されたノズルプ
    レートと、該ノズルプレートと接着剤を介して接着され
    前記ノズル開口に連通する圧力発生室が複数の隔壁によ
    って画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方
    面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧
    力変化を生じさせる圧電素子とを具備するインクジェッ
    ト式記録ヘッドにおいて、 前記ノズル開口が前記圧力発生室側に開口してその開口
    側に向かって内径が漸大するテーパ部とこのテーパ部に
    連通し内径が軸方向に亘って略同一であるノズル部とか
    らなり、前記テーパ部はその開口の中心を通る縦断面に
    おける傾斜面のなす角度θが10°〜20°であり、且
    つ前記開口の直径を前記圧力発生室の幅よりも所定量小
    さくすることにより当該開口の一部が前記隔壁又は前記
    接着剤のはみ出しと重ならないようにしたことを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記テーパ部の開口
    径φ1と前記圧力発生室の幅Wとの関係が、φ1<W−
    C(定数)を満たすと共に、この定数Cが、C=(前記
    流路形成基板と前記ノズルプレートとの位置決め精度)
    +(前記圧力発生室の幅Wの寸法精度)+(前記流路形
    成基板と前記ノズルプレートとを接着する接着剤のはみ
    出し量)で表される値であり、 且つ前記テーパ部の開口径φ1が、前記テーパ部の傾斜
    面のなす角度θ、前記ノズル部の開口径φ2、前記ノズ
    ル部の長さls及び前記ノズルプレートの厚さtによっ
    て表される下記式(1)の関係を満たしていることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。 【数1】
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記圧力発生
    室の配列密度が200dpi以上であることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ノ
    ズルプレートの厚さが、60μm〜90μmであること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記ノ
    ズルプレートがステンレス鋼(SUS)からなることを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記圧
    力発生室が異方性エッチングにより形成され、前記圧電
    素子を構成する各層が成膜及びリソグラフィ法により形
    成されたものであることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかのインクジェット
    式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
    ト式記録装置。
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