JP2003109876A - 高分子固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents

高分子固体電解コンデンサとその製造方法

Info

Publication number
JP2003109876A
JP2003109876A JP2001299159A JP2001299159A JP2003109876A JP 2003109876 A JP2003109876 A JP 2003109876A JP 2001299159 A JP2001299159 A JP 2001299159A JP 2001299159 A JP2001299159 A JP 2001299159A JP 2003109876 A JP2003109876 A JP 2003109876A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic capacitor
foil
solid electrolytic
polymer solid
roughened
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001299159A
Other languages
English (en)
Inventor
Yumiko Yokouchi
祐美子 横内
Masahito Kurihara
雅人 栗原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001299159A priority Critical patent/JP2003109876A/ja
Publication of JP2003109876A publication Critical patent/JP2003109876A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 熱履歴時において、素子に加わるストレスが
緩和されて、変形が少なく、歩留まりの向上が可能とな
る高分子固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の両面に、
少なくとも、固体高分子電解質層および導電体層が、順
次、形成された高分子固体電解コンデンサ素子を、少な
くとも1個備え、前記高分子固体電解コンデンサ素子
が、絶縁性樹脂で形成された閉空間内に収納されてお
り、前記閉空間内の前記絶縁性樹脂との接触面にて接着
剤で固定されている高分子固体電解コンデンサであっ
て、前記接着剤が、前記高分子固体電解コンデンサ素子
と前記絶縁性樹脂との接触面に、スポット状に塗布され
ている高分子固体電解コンデンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子固体電解コ
ンデンサとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、絶縁性酸化皮膜形成
能力を有するアルミニウム、チタン、真鍮、ニッケル、
タンタルなどの金属、いわゆる弁金属を陽極に用い、こ
の弁金属の表面を陽極酸化して、絶縁性酸化皮膜を形成
した後、実質的に陰極として機能する電解質層を形成
し、さらに、グラファイトや銀などの導電層を陰極とし
て設けることによって、形成されている。
【0003】例えば、アルミニウム電解コンデンサは、
エッチング処理によって、比表面積を増大させた多孔質
アルミニウム箔を陽極とし、固体電解コンデンサの場合
は、この陽極表面に形成した酸化アルミニウム層と陰極
箔との間に、固体電解質層を設けている。固体電解コン
デンサとしては、固体電解質として、性能上の理由など
から、導電性ポリマーを用いたものが提案されている
(特許第2725553号、特公平8−31400号、
特公平4−74853号の各公報等)。
【0004】一方、電子機器の小型化、薄型化の要求に
より、電子部品には、より一層の小型化、高性能化が要
求され、回路基板には、薄層化、多層化による高機能化
が要求されている。
【0005】そこで、特開平2−54510号公報およ
び特許第2950587号公報は、固体電解コンデンサ
を、配線基板の抵抗機能や導電パターンと同様に、あら
かじめ、基板と一体的に形成し、複数の固体電解コンデ
ンサが1枚の基板上に形成された回路基板によって、電
子部品の高密度化、回路基板の薄型化を図ることを提案
している。
【0006】また、特許2738590号公報、特開2
000−353875号公報には、具体的に開示される
のは電解コンデンサではないが、基板内部に、複数のフ
ィルムコンデンサを内蔵した基板が開示されている。
【0007】対向する2枚のプリント基板間に固体電解
コンデンサを内蔵させる場合、一方のプリント基板上に
固体電解コンデンサを固定し、別のプリント基板を重
ね、樹脂によって2枚のプリント基板を接着して固体電
解コンデンサが内蔵されたプリント基板を作製するが、
1枚目のプリント基板上にコンデンサ素子を固定する
際、コンデンサ素子とプリント基板が接着される部分に
対応するコンデンサ素子面の全面に接着剤を塗布して固
定し、次いで、もう1枚のプリント基板を接着して固体
電解コンデンサが内蔵されたプリント基板を作製してい
た。
【0008】1枚目のプリント基板上にコンデンサ素子
を上記のような固定方法で作製した場合、その後の熱履
歴等により、素子とプリント基板間に設けた接着剤の膨
張・収縮が起こり、陽極電極(拡面(粗面)化され、絶
縁性酸化皮膜が形成されている弁金属からなる電極)の
一部が損傷し、コンデンサの漏れ電流が増大すること
や、ショートしてしまうといった現象が生じ、また、固
体電解質と導電性ペースト間の密着性を低減させてしま
うといった問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、その
組み立て工程や組み立て完了後の特性向上のための処理
工程、あるいは、完成後の熱履歴時において、接着剤が
膨張および収縮を繰り返しても、高分子固体電解コンデ
ンサ素子に加わるストレスが緩和されて、変形が少な
く、コンデンサの漏れ電流特性や、静電容量の周波数特
性およびインピーダンス特性が良好であり、かつ歩留ま
りの向上が可能となる高分子固体電解コンデンサとその
製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明によって達成される。 (1) 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域が、弁
金属間が電気的に接続されるように、接合され、前記表
面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端部近傍
領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域が、金
属間が電気的に接続されるように、接合されて、構成さ
れた陽極電極を有し、前記表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜
の両面に、少なくとも、固体高分子電解質層および導電
体層が、順次、形成された高分子固体電解コンデンサ素
子を、少なくとも1個備え、前記高分子固体電解コンデ
ンサ素子が、絶縁性樹脂で形成された閉空間内に収納さ
れており、前記閉空間内の前記絶縁性樹脂との接触面に
て接着剤で固定されている高分子固体電解コンデンサで
あって、前記接着剤が、前記高分子固体電解コンデンサ
素子と前記絶縁性樹脂との接触面に、スポット状に塗布
されている高分子固体電解コンデンサ。 (2) 前記高分子固体電解コンデンサ素子が、前記絶
縁性樹脂との接触面にて、直径5mm以下の複数のスポッ
ト状に塗布された接着剤により、前記絶縁性樹脂に固定
されている上記(1)の高分子固体電解コンデンサ。 (3) 前記高分子固体電解コンデンサ素子が収納され
ている閉空間が、絶縁性樹脂基板で形成されている上記
(1)または(2)の高分子固体電解コンデンサ。 (4) 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成され
た箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が粗面化
されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域が、弁
金属間が電気的に接続されるように、接合され、前記表
面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端部近傍
領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域が、金
属間が電気的に接続されるように、接合されて、構成さ
れた陽極電極を有し、前記表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜
の両面に、少なくとも、固体高分子電解質層および導電
体層が、順次、形成された高分子固体電解コンデンサ素
子を、少なくとも1個備え、前記高分子固体電解コンデ
ンサ素子を、絶縁性樹脂で形成された閉空間内に収納
し、前記閉空間内の前記絶縁性樹脂高分子固体電との接
触面に接着剤を塗布して固定する高分子固体電解コンデ
ンサの製造方法であって、前記接着剤を、前記高分子固
体電解コンデンサ素子と前記絶縁性樹脂との接触面に、
スポット状に塗布して前記高分子個体電解コンデンサ素
子を前記絶縁性樹脂に固定する高分子固体電解コンデン
サの製造方法。 (5) 前記高分子固体電解コンデンサ素子の前記絶縁
性樹脂との接触面に、直径5mm以下の複数のスポット状
の接着剤を塗布して固定する上記(4)の高分子固体電
解コンデンサの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の高分子固体電解コンデンサは、絶
縁性樹脂で形成された閉空間内に、高分子固体電解コン
デンサ素子が収納されて固定されている。ここで、閉空
間は、絶縁性樹脂で囲まれた空間を指し、例えば筺体の
内部空間であり、例えば、スルーホールなど、一部、外
部と通じる箇所や絶縁性樹脂とは異なる材料で形成され
た箇所があってもよく、本発明では、これらを含めて閉
空間というものとする。このような閉空間は、好ましく
は、絶縁性樹脂基板で形成されている。このような絶縁
性樹脂基板の他方の面には、配線パターンを形成するこ
とができ、例えば収納された高分子固体電解コンデンサ
素子と配線パターンとが電気的に接続されている。そし
て、高分子固体電解コンデンサ素子の絶縁性樹脂基板へ
の固定に際しては、高分子固体電解コンデンサ素子の絶
縁性樹脂基板との接触面に接着剤を塗布し、この接着剤
により固定が行われるが、本発明では、上記接着面全面
に接着剤を塗布せずに、スポット状に、好ましくは、直
径5mm以下のスポット状に、複数箇所、接着剤を塗布し
ているので、全面塗布に比べて、接着剤塗布後の高分子
固体電解コンデンサの組み立て工程や高分子固体電解コ
ンデンサの組み立て完了後の特性向上のための処理工
程、あるいは高分子固体電解コンデンサ完成後の熱履歴
時において、接着剤が膨張・収縮を繰り返しても、高分
子固体電解コンデンサ素子に加わるストレスが緩和され
て、変形が少なくなる。このため、コンデンサの漏れ電
流が少なく、静電容量の周波数による変化が少なく、周
波数特性が良好であり、インピーダンスが十分低くな
る。また、高分子固体電解コンデンサの組み立て完了後
の特性向上のための処理として、漏れ電流低減のための
高温高湿下での電圧印加が行われるが、このようなエー
ジング処理による不良品の発生が抑えられ、歩留まりの
よい製造が可能になる。
【0013】この場合の高分子固体電解コンデンサ素子
は、表面が粗面化(拡面化)され、絶縁性酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
粗面化されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域
が、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端部近
傍領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域が、
金属間が電気的に接続されるように、接合されて、構成
された陽極電極を有し、表面が粗面化され、絶縁性酸化
皮膜が形成された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の
両面に、少なくとも、固体高分子電解質層および導電体
層が、順次、形成された高分子固体電解コンデンサ素子
である。
【0014】このような高分子固体電解コンデンサ素子
は、その陽極電極構造の特徴から、陽極酸化により、表
面が粗面化された箔状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜が
形成されていないエッジ部分に、絶縁性酸化皮膜を形成
しても、化成溶液は、表面が粗面化された箔状の弁金属
基体の一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない箔
状の弁金属基体の一端部近傍領域との接合部を越えて、
表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体に達するこ
とがなく、したがって、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体の一端部近傍領域と、表面が粗面化されていない
箔状の弁金属基体の一端部近傍領域との接合部に、絶縁
性酸化皮膜が形成された時点で、電流は流れなくなっ
て、陽極酸化が完了し、表面が粗面化された箔状の弁金
属基体のエッジ部分に、所望のように、絶縁性酸化皮膜
を形成することが可能になる。また、高分子固体電解コ
ンデンサ素子を、回路基板(すなわち、配線パターンが
形成された絶縁性樹脂基板)に内蔵させた後に、表面が
粗面化されていない箔状の弁金属基体の表面に、経時的
に、絶縁性酸化皮膜が形成されても、表面が粗面化され
ていない箔状の弁金属基体の他端部近傍領域に、さら
に、箔状の導電性金属の一端部近傍領域が、電気的に接
続するように、接合されているから、箔状の導電性金属
に、回路基板に搭載される他の電子部品とのコンタクト
を設けることによって、所望のインピーダンス特性を有
する高分子固体電解コンデンサ素子を、回路基板に内蔵
させることが可能になる。また、重合処理時などにおい
ても、溶液の導電性金属基体への浸み上がりがなく、こ
れによるショートや、コンデンサの漏れ電流を低減でき
る。
【0015】また、本発明では、1個のコンデンサ、そ
れ自体で、小型・大容量化を図ることができる高分子固
体電解コンデンサ素子を複数個用い、アレーとした場
合、前記と同様の高分子固体電解コンデンサ素子の接着
方法をとることにより、前記と同様の効果が得られると
ともに、アレーとしているので、複数存在する高分子固
体電解コンデンサ素子の並列接続や単独使用を適宜選択
することにより、多目的に利用することができる。
【0016】また、本発明の高分子固体電解コンデンサ
は、絶縁性樹脂で形成された閉空間内に高分子固体電解
コンデンサ素子を収納しており、配線パターンを絶縁性
樹脂の外側表面に形成することもできるので、電子部品
の実装効率を向上させることができる。
【0017】本発明の高分子固体電解コンデンサは、例
えば図1に示されるものであり、図1は概略断面図であ
る。
【0018】図1に示されるように、高分子固体電解コ
ンデンサ20は、互いに対向する第一の絶縁性樹脂基板
21と第二の絶縁性樹脂基板22を備え、第一の絶縁性
樹脂基板21と第二の絶縁性樹脂基板22との間に、固
体電解コンデンサ素子10を備えている。
【0019】第一の絶縁性樹脂基板21には、互いに対
向する2つの側部に沿って、その高さが、高分子固体電
解コンデンサ素子10の厚さよりも大きいバンク23が
形成されており、高分子固体電解コンデンサ素子10
は、バンク23の間の第一の絶縁性樹脂基板21の一面
上の所定の位置に位置決めされ、接着剤29によって固
定される。
【0020】バンク23は、第一の絶縁性樹脂基板21
および第二の絶縁性樹脂基板22と同じ材質の基板を、
その周縁部に、所定面積の部分が残されるように打ち抜
き加工して、枠状の基板を形成し、第一の絶縁性樹脂基
板21および第二の絶縁性樹脂基板22と同じ材質の接
着剤(プリプレグ)を用いて、枠状の基板を第一の絶縁
性樹脂基板に固定することによって、形成されている。
【0021】第一の絶縁性樹脂基板21の他面には、配
線パターン24が形成されており、第一の絶縁性樹脂基
板21には、複数のスルーホール25A、25Bが形成
されている。
【0022】高分子固体電解コンデンサ素子10が、第
一の絶縁基板21上の所定の位置に位置決めされて、接
着剤29によって、第一の絶縁性樹脂基板21上に固定
されると、樹脂26が流し込まれ、第一の絶縁性樹脂基
板21に形成されたバンク23に当接するように、平板
状の第二の絶縁性樹脂基板22が被せられる。
【0023】接着剤29は、図1に示されるように、高
分子固体電解コンデンサ素子10の第一の絶縁性樹脂基
板21との接触面全面ではなく、一部にスポット状に、
塗布されていることが好ましく、複数の箇所にスポット
状に塗設する。このような接着剤の塗布スポット29が
設けられている様子を模式的に示したのが図2である。
このような接着剤の塗布スポット29は、高分子固体電
解コンデンサの大きさにもよるが、通常、5mm以下であ
ることが好ましい。その数はスポットの大きさなどによ
り、安定した固定が行えれば特に制限はないが、通常4
〜8個程度である。このため、塗布スポットの合計面積
は、接触面全面積の10〜50%程度であることが好ま
しい。また、スポットの直径の下限に特に制限はない
が、塗布スポットの形成しやすさなどを考えれば、3mm
程度である。また、接着剤層の厚みは、その構成にもよ
るが、通常、10〜1000μm程度である。
【0024】このように、接着剤を塗布することによ
り、高分子固体電解コンデンサ素子の安定した固定を容
易に行うことができる。また、前述のとおり、全面塗布
に比べ、熱履歴時において、接着剤の膨張・収縮による
ストレスが緩和され、変形を抑えることができる。この
ため、漏れ電流が少なくなり、静電容量の周波数特性お
よびインピーダンス特性が良好になる。
【0025】また、高分子固体電解コンデンサ素子10
は、後に詳述するように、表面が粗面化されていない箔
状のアルミニウム基体3を介し、箔状の銅基体4と表面
が粗面化され、酸化アルミニウム被膜が形成された箔状
のアルミニウム基体2とが接合され、さらに酸化アルミ
ニウム皮膜上に陰極電極14が形成されたものであるた
め、第一の絶縁性樹脂基板21側の面は必ずしも平面と
はならないが、第一の絶縁性樹脂基板21との接触面
は、多少の凹凸があっても平面と仮定した場合のもので
あり、底面全体をいうものとする。
【0026】第二の絶縁性樹脂基板22の上面には、配
線パターン27が形成され、第二の絶縁性樹脂基板22
にも、複数のスルーホール28A、28Bが形成されて
いる。
【0027】第一の絶縁性樹脂基板21と第二の絶縁性
樹脂基板22とを一体化すると、それぞれのスルーホー
ルは位置的に対応したものとなる。
【0028】樹脂26は、例えば、第一の絶縁性樹脂基
板21に形成された複数のスルーホール25Aおよび第
二の絶縁性樹脂基板22に形成された複数のスルーホー
ル28Aを一旦塞ぐように注入され、その後硬化され
る。樹脂26が硬化した後、スルーホール25Aと28
Aとが貫通するように加工される。この樹脂26は、素
子の補強部材としての機能を果す。これによって高分子
固体電解コンデンサ20が作製される。
【0029】さらに、第一の絶縁性樹脂基板21の下面
および第二の絶縁性樹脂基板22の上面には、電子部品
30が搭載され、そのコンタクトが、配線パターン2
4、27に電気的に接続される。
【0030】第一の絶縁性樹脂基板21および第二の絶
縁性樹脂基板22は、それぞれ、固体電解コンデンサ1
0の陽極電極1の箔状の銅基体4に対応する位置にスル
ーホール28B、陰極電極14に対応する位置に、スル
ーホール25Bを備えており、スルーホール28Bを介
して、高分子固体電解コンデンサ素子10の陽極電極1
の銅基体4、スルーホール25Bを介して、陰極電極1
4を目視によって、確認することができるように構成さ
れている。
【0031】スルーホール25A、28A、28Bを介
して、高分子固体電解コンデンサ素子10の陽極電極1
が、第一の絶縁性樹脂基板21に形成された配線パター
ン24あるいは第二の絶縁基板22に形成された配線パ
ターン27と、電気的に接続され、高分子固体電解コン
デンサ素子10の陰極電極14が、スルーホール25B
を介して、第一の絶縁性樹脂基板21に形成された配線
パターン24あるいは第二の絶縁性樹脂基板22に形成
された配線パターン27と、電気的に接続される。
【0032】図1においては、第一の絶縁性樹脂基板2
1に形成された配線パターン24と、高分子固体電解コ
ンデンサ素子10の陽極電極1を構成する箔状の銅基体
4とが、スルーホール28Bを介して、ハンダ31によ
って、電気的に接続され、その一方で、第一の絶縁基板
21に形成された配線パターン24と、高分子固体電解
コンデンサ10の陰極電極14が、スルーホール25に
充填された導電性樹脂32によって、電気的に接続され
た例が示されている。
【0033】上記においては、高分子固体電解コンデン
サ素子10を1個内蔵する例について説明してきたが、
本発明は、高分子固体電解コンデンサ素子10を複数個
内蔵する高分子固体電解コンデンサアレーであってもよ
い。例えば、図3に示されるように、このような高分子
固体電解コンデンサアレー20Aは、5個の高分子固体
電解コンデンサ10を有するものであってもよく、ここ
では、第一の絶縁性樹脂基板21Aの一方の面に、高分
子固体電解コンデンサ素子10が一定間隔で設置されて
いる様子が模式的に示されている。なお、第二の絶縁性
樹脂基板が用いられ、第一の絶縁性樹脂基板21Aと接
合されることや、配線パターン等については、前述の高
分子固体電解コンデンサ素子10を1個内蔵する場合と
同様であり、さらに、高分子固体電解コンデンサ素子1
0同士の間であって、第一および第二の絶縁性樹脂基板
の間には、補強のために、適宜、樹脂を配してもよい。
【0034】次に、高分子固体電解コンデンサ20ない
し高分子固体電解コンデンサアレー20Aを構成する高
分子固体電解コンデンサ素子について、図面を用いて説
明する。図4は、高分子固体電解コンデンサ素子の陽極
電極の一例を示す概略平面図であり、図5は、図4のA
−A線に沿った概略断面図である。
【0035】ここでは、絶縁酸化皮膜形成能を有する弁
金属として、アルミニウムが用いられ、図4および図5
に示されるように、高分子固体電解コンデンサ素子の陽
極電極1は、表面が粗面化(拡面化)され、表面に、絶
縁酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形成された箔
状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されていない
箔状のアルミニウム基体3と、リード電極を構成する金
属導体として、箔状の銅基体4を備えている。
【0036】図4および図5に示されるように、陽極電
極1は、表面が粗面化され、表面に、酸化アルミニウム
皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2の一端部領
域には、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム
基体3の一端部領域が、超音波溶接によって、弁金属間
が電気的に接続されるように、接合され、さらに、表面
が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の他端
部領域には、箔状の銅基体4の一端部領域が、超音波溶
接によって、金属間が電気的に接続されるように、接合
されて、形成されている。図示例では、アルミニウム基
体3と銅基体4とは端部同士の接合となっているが、ア
ルミニウム基体3が単独で存在する部位があれば、例え
ば、アルミニウム基体3の端部に銅基体4全体が重ね合
わされるような形とすることもできる。
【0037】図示例に従えば、陽極電極の形成にあたっ
ては、まず、所定寸法に切断されたリード電極を構成す
べき箔状の銅基体4と、アルミニウム箔シートから、所
定寸法に切り出され、表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3が、それぞれ、所定面積の端部領域
が互いに重なり合うように、重ね合わされる。
【0038】次いで、互いに重ね合わされている箔状の
銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニウム基体3の端
部領域とが、超音波溶接によって、接合されて、溶接接
合部5が形成される。箔状のアルミニウム基体3の表面
に、酸化アルミニウム皮膜が形成されている場合でも、
超音波溶接によって、接合することによって、酸化アル
ミニウム皮膜が除去され、金属間が電気的に接続される
ように、箔状の銅基体4の端部領域と、箔状のアルミニ
ウム基体3の端部領域とが接合される。ここに、互いに
重なり合う箔状の銅基体4の端部領域および箔状のアル
ミニウム基体3の端部領域の面積は、接合部が、所定の
強度を有するように決定される。
【0039】その後、表面が粗面化され、表面に酸化ア
ルミニウム皮膜が形成されている所定寸法の箔状のアル
ミニウム基体2が、アルミニウム箔シートから切り出さ
れ、箔状の銅基体4と箔状のアルミニウム基体3の接合
体の表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体
3と、それぞれ、所定面積の端部領域が互いに重なり合
うように、重ね合わされる。
【0040】次いで、互いに重ね合わされている表面が
粗面化され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成された
箔状のアルミニウム基体2の端部領域と、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と
が、超音波溶接によって、接合されて、溶接接合部6が
生成される。ここに、超音波溶接によって、接合するこ
とによって、箔状のアルミニウム基体2の表面に形成さ
れている酸化アルミニウム皮膜が除去され、アルミニウ
ム純金属間が電気的に接続されるように、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体3の端部領域と、
表面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2の端
部領域とが接合される。ここに、互いに重なり合う箔状
のアルミニウム基体3の端部領域および箔状のアルミニ
ウム基体2の端部領域の面積は、接合部が、所定の強度
を有するように決定される。
【0041】こうして、形成された陽極電極1は、誘電
体を構成する表面が粗面化され、表面に酸化アルミニウ
ム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基体2が、アル
ミニウム箔シートから切り出されたものであるため、そ
のエッジ部には、酸化アルミニウム皮膜が形成されては
おらず、高分子固体電解コンデンサの陽極電極として用
いるためには、表面が粗面化されている箔状のアルミニ
ウム基体2のエッジ部に、陽極酸化によって、酸化アル
ミニウム皮膜を形成することが必要である。
【0042】図6は、表面が粗面化されている箔状のア
ルミニウム基体2のエッジ部に、酸化アルミニウム皮膜
を形成する陽極酸化方法を示す概略構成図である。
【0043】図6に示されるように、ステンレスビーカ
ー7中に収容されたアジピン酸アンモニウム水溶液より
なる化成溶液8中に、表面が粗面化された箔状のアルミ
ニウム基体2の全体と、表面が粗面化されていない箔状
のアルミニウム基体3の一部が浸漬されるように、陽極
電極1がセットされ、箔状の銅基体4がプラスに、ステ
ンレスビーカー7がマイナスになるように、電圧が印加
される。
【0044】使用電圧は、形成すべき酸化アルミニウム
皮膜の膜厚に応じて、適宜決定することができ、10nm
ないし1μmの膜厚を有する酸化アルミニウム皮膜を形
成するときは、通常、数ボルトないし20ボルト程度に
設定される。
【0045】その結果、陽極酸化が開始され、化成溶液
8は、箔状のアルミニウム基体2の表面が粗面化されて
いるため、毛細管現象によって、上昇するが、箔状のア
ルミニウム基体3の表面は粗面化されていないため、表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2と、表
面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体3の接
合部を越えて、上昇することはなく、したがって、リー
ド電極を構成する箔状の銅基体4に化成溶液8が接触す
ることが確実に防止され、エッジ部を含む表面が粗面化
されている箔状のアルミニウム基体2の全表面および表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体2に接合
された表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基
体3の領域のみに、酸化アルミニウム皮膜が形成され
る。
【0046】こうして、得られた陽極電極1の表面が粗
面化され、酸化アルミニウム皮膜が形成されている箔状
のアルミニウム基体2の全表面上に、公知の方法で、陰
極電極が形成され、高分子固体電解コンデンサが作製さ
れる。
【0047】なお、表面が粗面化されていない箔状のア
ルミニウム基体3の溶接接合部6の近傍には、全周にわ
たって、絶縁性を有し、疎水性を有する領域が形成して
もよく、絶縁性を有し、疎水性を有する領域は、アモル
ファス系フッ素樹脂などを塗布して、形成できる。絶縁
性を有し、疎水性を有する領域は、陽極酸化前に、形成
されれば、何時、形成されてもよい。
【0048】また、陽極電極の銅基体等の形態は、図示
例に限定されるものではなく、陽極電極の全体大きさを
変えずに、表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔
状のアルミニウム基体の大きさを大きくするために、例
えば、銅基体と表面が粗面化されていない箔状のアルミ
ニウム基体との部分を三角形とし、それに対応する切欠
部を設けた表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔
状のアルミニウム基体を得、それに接合したものとして
もよい。
【0049】図7は、高分子固体電解コンデンサ素子の
概略断面図である。
【0050】図7に示されるように、高分子固体電解コ
ンデンサ素子10は、陽極電極1の表面が粗面化され、
酸化アルミニウム皮膜9が形成されている箔状のアルミ
ニウム基体2の全表面上に、固体高分子電解質層11、
グラファイトペースト層12および銀ペースト層13か
らなる陰極電極14を備えている。
【0051】導電性高分子化合物を含む固体高分子電解
質層11は、陽極電極1の表面が粗面化され、酸化アル
ミニウム皮膜が形成されている箔状のアルミニウム基体
2の全表面上に、化学酸化重合あるいは電解酸化重合に
よって形成され、グラファイトペースト層12および銀
ペースト層13は、固体高分子電解質層11上に、スク
リーン印刷法あるいはスプレー塗布法によって形成され
る。
【0052】こうして作製された高分子固体電解コンデ
ンサ素子10は、図1に示されるように、一対の絶縁性
樹脂基板の間に、固定されて、絶縁性樹脂基板に内蔵さ
れ、本発明の高分子固体電解コンデンサ20とされる。
高分子固体電解コンデンサアレー20Aを形成するとき
も同様である。
【0053】本発明においては、高分子固体電解コンデ
ンサ素子10の陽極電極1は、表面が粗面化され、表面
に、絶縁酸化皮膜である酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れた箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されて
いない箔状のアルミニウム基体3と、金属導体として、
箔状の銅基体4を備え、表面が粗面化され、表面に、酸
化アルミニウム皮膜が形成された箔状のアルミニウム基
体2の一端部領域と、表面が粗面化されていない箔状の
アルミニウム基体3の一端部領域が、超音波溶接によっ
て、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
さらに、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム
基体3の他端部領域と、箔状の銅基体4の一端部領域
が、超音波溶接によって、金属間が電気的に接続される
ように、接合されており、表面が粗面化されている箔状
のアルミニウム基体2のエッジ部に、陽極酸化によっ
て、酸化アルミニウム皮膜を形成するときは、化成溶液
8内に、表面が粗面化された箔状のアルミニウム基体2
の全体と、表面が粗面化されていない箔状のアルミニウ
ム基体3の一部が浸漬されるように、陽極電極1がセッ
トされて、箔状の銅基体4がプラスに、ステンレスビー
カー7がマイナスになるように、電圧が印加される。
【0054】その結果、化成溶液8は、箔状のアルミニ
ウム基体2の表面が粗面化されているため、毛細管現象
によって、上昇するが、箔状のアルミニウム基体3の表
面は粗面化されていないため、表面が粗面化されている
箔状のアルミニウム基体2と、表面が粗面化されていな
い箔状のアルミニウム基体3の接合部を越えて、上昇す
ることはなく、したがって、リード電極を構成する箔状
の銅基体4に化成溶液8が接触することが確実に防止さ
れ、エッジ部を含む表面が粗面化されている箔状のアル
ミニウム基体2の全表面および表面が粗面化されている
箔状のアルミニウム基体2に接合された表面が粗面化さ
れていない箔状のアルミニウム基体3の領域のみに、酸
化アルミニウム皮膜が形成される。
【0055】また、溶接接合部近傍の表面が粗面化され
ていない箔状のアルミニウム基体に、全周にわたって、
絶縁性を有し、疎水性を有する領域を形成する場合に
は、さらに、箔状の銅基体との間に介在する箔状のアル
ミニウム基体の表面が粗面化されていないこととあいま
って、化成溶液が、絶縁性を有し、疎水性を有する領域
を越えて、上昇することはなく、したがって、リード電
極を構成する箔状の銅基体に化成溶液が接触することを
より一層確実に防止することができ、エッジ部を含む表
面が粗面化されている箔状のアルミニウム基体の全表面
のみに、酸化アルミニウム皮膜を形成することができ
る。このため、リード電極を構成する箔状の銅基体に、
回路基板に搭載される他の電子部品とのコンタクトを設
けることによって、所望の電気的特性を有する高分子固
体電解コンデンサ素子を、回路基板に内蔵させることが
可能になる。
【0056】加えて、固体高分子電解質層を、化学酸化
結合によって形成する際に、毛細管現象によって、粗面
化された酸化アルミニウム皮膜に沿って、表面が粗面化
されていない箔状のアルミニウム基体に向けて、進行す
る原料モノマー溶液や酸化剤溶液は、溶接接合部近傍の
箔状のアルミニウム基体の全周にわたって形成された絶
縁性を有し、疎水性を有する領域によって、その進行が
妨げられるから、原料モノマー溶液や酸化剤溶液が、絶
縁性を有し、疎水性を有する領域を越えて、進み、箔状
の銅箔に達することを確実に防止することが可能にな
る。
【0057】したがって、箔状の銅基体4よりなるリー
ド電極を備え、表面が粗面化された箔状のアルミニウム
基体2の表面が酸化アルミニウム皮膜で覆われた陽極電
極1を有する電気的特性に優れた高分子固体電解コンデ
ンサ素子10を得ることができ、こうして得られた高分
子固体電解コンデンサ素子10は、その厚さを十分に薄
くすることができるから、回路基板に内蔵するのに適
し、所望のように、高分子固体電解コンデンサ素子が回
路基板に内蔵された高分子固体電解コンデンサ20を作
製することが可能になる。高分子固体電解コンデンサア
レーを作製するときも同様である。
【0058】また、第一の絶縁性樹脂基板22には、バ
ンク23が設けられ、高分子固体電解コンデンサ20の
作製にあたり、高分子固体電解コンデンサ素子10は、
第一の絶縁性樹脂基板21、バンク23および第二の絶
縁性樹脂基板22によって形成される閉空間内に収容さ
れているから、第二の絶縁性樹脂基板22を、高分子固
体電解コンデンサ素子10および第一の絶縁性樹脂基板
21と一体化させる際に、高分子固体電解コンデンサ素
子に過度な圧力が加わることがなく、したがって、箔状
のアルミニウム基体2の表面に形成された酸化アルミニ
ウム皮膜が破壊されて、陽極として作用するアルミニウ
ムと固体高分子電解質層11とが接触し、通電時に、シ
ョートが発生することを確実に防止することが可能にな
る。
【0059】上記においては、弁金属基体としてアルミ
ニウムを用い、導電性金属基体として銅を用いる例につ
いて述べたが、以下、これについてさらに説明する。
【0060】本発明において、弁金属基体は、絶縁酸化
皮膜形成能を有する金属およびその合金よりなる群から
選ばれる金属または合金によって形成される。好ましい
弁金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ニ
オブおよびジルコニウムよりなる群から選ばれる1種の
金属または2種以上の金属の合金が挙げられ、これらの
中でも、アルミニウムおよびタンタルが、とくに好まし
い。陽極電極は、これらの金属あるいは合金を、箔状に
加工して、形成される。
【0061】本発明において、導電性金属の材料は、導
電性を有する金属または合金であればよく、とくに限定
されるものではないが、好ましくは、ハンダ接続が可能
であり、とくに、銅、真鍮、ニッケル、亜鉛およびクロ
ムよりなる群から選ばれる1種の金属または2種以上の
金属の合金から選択されることが好ましく、これらの中
では、電気的特性、後工程での加工性、コストなどの観
点から、銅が最も好ましく使用される。
【0062】本発明において、固体高分子電解質層は、
導電性高分子化合物を含有し、好ましくは、化学酸化重
合あるいは電解酸化重合によって、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0063】化学酸化重合によって、固体高分子電解質
層を形成する場合、具体的には、固体高分子電解質層
は、たとえば、以下のようにして、表面が粗面化され、
絶縁性酸化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、形
成される。
【0064】まず、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜
が形成された箔状の弁金属基体上のみに、0.001な
いし2.0モル/リットルの酸化剤を含む溶液、あるい
は、さらに、ドーパント種を与える化合物を添加した溶
液を、塗布、噴霧などの方法によって、均一に付着させ
る。
【0065】次いで、好ましくは、少なくとも0.01
モル/リットルの導電性高分子化合物の原料モノマーを
含む溶液あるいは導電性高分子化合物の原料モノマー自
体を、箔状の弁金属基体の表面に形成された絶縁性酸化
皮膜に、直接接触させる。これによって、原料モノマー
が重合し、導電性高分子化合物が合成され、箔状の弁金
属基体の表面に形成された絶縁性酸化皮膜上に、導電性
高分子化合物よりなる固体高分子電解質層が形成され
る。
【0066】本発明において、固体高分子電解質層に含
まれる導電性高分子化合物としては、置換または非置換
のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物および
ヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選ば
れる化合物を、原料モノマーとするものが好ましく、こ
れらのうちでは、置換または非置換のπ共役系複素環式
化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合物が好
ましく、さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体よりなる群
から選ばれる導電性高分子化合物、とくに、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンが
好ましく使用される。
【0067】本発明において、固体高分子電解質層に好
ましく使用される導電性高分子化合物の原料モノマーの
具体例としては、未置換アニリン、アルキルアニリン
類、アルコキシアニリン類、ハロアニリン類、o−フェ
ニレンジアミン類、2,6−ジアルキルアニリン類、
2,5−ジアルコキシアニリン類、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、ピロール、3−メチルピロール、
3−エチルピロール、3−プロピルピロール、チオフェ
ン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを挙げること
ができる。
【0068】本発明において、化学酸化重合に使用され
る酸化剤は、とくに限定されるものではないが、たとえ
ば、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン化物、五
フッ化珪素、五フッ化アンチモン、四フッ化珪素、五塩
化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブ
デンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの酸素化合物、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、
過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサイドなどの過
酸化物が、酸化剤として使用される。
【0069】本発明において、必要に応じて、酸化剤に
添加されるドーパント種を与える化合物としては、たと
えば、LiPF6、LiAsF6、NaPF6、KPF6
KAsF6などの陰イオンがヘキサフロロリンアニオ
ン、ヘキサフロロ砒素アニオンであり、陽イオンがリチ
ウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチオ
ンである塩、LiBF4、NaBF4、NH4BF4、(C
34NBF4、(n−C494NBF4などの四フッ
過ホウ素塩化合物、p−トルエンスルホン酸、p−エチ
ルベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルスルホン
酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、βーナ
フタレンスルホン酸などのスルホン酸またはその誘導
体、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2,6−
ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン
酸ナトリウム、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモ
ニウムなどのスルホン酸またはその誘導体の塩、塩化第
二鉄、臭化第二鉄、塩化第二銅、臭化第二銅などの金属
ハロゲン化物、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リ
ン酸、硝酸あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩もしくはアンモニウム塩、過塩素酸、過塩素
酸ナトリウムなどの過ハロゲン酸もしくはその塩などの
ハロゲン化水素酸、無機酸またはその塩、酢酸、シュウ
酸、蟻酸、酪酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、フタル
酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、ニコチン酸な
どのモノもしくはジカルボン酸、芳香族複素環式カルボ
ン酸、トリフルオロ酢酸などのハロゲン化されたカルボ
ン酸およびこれらの塩などのカルボン酸類を挙げること
ができる。
【0070】本発明において、これらの酸化剤およびド
ーパント種を与えることのできる化合物は、水や有機溶
媒などに溶解させた適当な溶液の形で使用される。溶媒
は、単独で使用しても、2種以上を混合して、使用して
もよい。混合溶媒は、ドーパント種を与える化合物の溶
解度を高める上でも有効である。混合溶媒としては、溶
媒間に相溶性を有するものおよび酸化剤およびドーパン
ト種を与えることのできる化合物と相溶性を有するもの
が好ましい。溶媒の具体例としては、有機アミド類、含
硫化合物、エステル類、アルコール類が挙げられる。
【0071】一方、電解酸化重合によって、固体高分子
電解質層を、表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成
された箔状の弁金属基体上に形成する場合には、公知の
ように、導電性下地層を作用極として、対向電極ととも
に、導電性高分子化合物の原料モノマーと支持電解質を
含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給することによっ
て、固体高分子電解質層が形成される。
【0072】具体的には、表面が粗面化され、絶縁性酸
化皮膜が形成された箔状の弁金属基体上に、好ましく
は、化学酸化重合によって、まず、薄層の導電性下地層
が形成される。導電性下地層の厚さは、一定の重合条件
のもとで、重合回数を制御することによって、制御され
る。重合回数は、原料モノマーの種類によって決定され
る。
【0073】導電性下地層は、金属、導電性を有する金
属酸化物、導電性高分子化合物のいずれから構成しても
よいが、導電性高分子化合物から構成することが好まし
い。導電性下地層を構成するための原料モノマーとして
は、化学酸化重合に用いられる原料モノマーを用いるこ
とができ、導電性下地層に含まれる導電性高分子化合物
は、化学酸化重合によって形成される固体高分子電解質
層に含まれる導電性高分子化合物と同様である。
【0074】導電性下地層を構成するための原料モノマ
ーとして、エチレンジオキシチオフェン、ピロールを用
いる場合は、化学酸化重合のみで高分子固体電解質層を
形成する場合に生成される導電性高分子の全量の10%
〜30%(質量百分率)程度の導電性高分子が生成する
条件になるように重合回数を換算して、導電性下地層を
形成すればよい。
【0075】その後、導電性下地層を作用極として、対
向電極とともに、導電性高分子化合物の原料モノマーと
支持電解質を含んだ電解液中に浸漬し、電流を供給する
ことによって、導電性下地層上に、固体高分子電解質層
が形成される。
【0076】電解液には、必要に応じて、導電性高分子
化合物の原料モノマーおよび支持電解質に加えて、種々
の添加剤を添加することができる。
【0077】固体高分子電解質層に使用することのでき
る導電性高分子化合物は、導電性下地層に使用される導
電性高分子化合物、したがって、化学酸化重合に用いら
れる導電性高分子化合物と同様であり、置換または非置
換のπ共役系複素環式化合物、共役系芳香族化合物およ
びヘテロ原子含有共役系芳香族化合物よりなる群から選
ばれる化合物を、原料モノマーとする導電性高分子化合
物が好ましく、これらのうちでは、置換または非置換の
π共役系複素環式化合物を、原料モノマーとする導電性
高分子化合物が好ましく、さらに、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの
誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物、と
くに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオ
キシチオフェンが好ましく使用される。
【0078】支持電解質は、組み合わせるモノマーおよ
び溶媒に応じて、選択されるが、支持電解質の具体例と
しては、たとえば、塩基性の化合物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが、酸性の化合物
としては、硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素、過塩素酸、ト
リフルオロ酢酸、スルホン酸などが、塩としては、塩化
ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化カ
リウム、硝酸カリウム、過ヨウ酸ナトリウム、過塩素酸
ナトリウム、過塩素酸リチウム、ヨウ化アンモニウム、
塩化アンモニウム、四フッ化ホウ素塩化合物、テトラメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムパークロライド、テトラブチルアンモニウム
パークロライド、テトラメチルアンモニウム、D−トル
エンスルホン酸クロライド、ポリジサリチル酸トリエチ
ルアミン、10−カンファースルホン酸ナトリウムなど
が、それぞれ、挙げられる。
【0079】本発明において、支持電解質の溶解濃度
は、所望の電流密度が得られるように設定すればよく、
とくに限定されないが、一般的には、0.05ないし
1.0モル/リットルの範囲内に設定される。
【0080】本発明において、電解酸化重合で用いられ
る溶媒は、とくに限定されるものではなく、たとえば、
水、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒またはこれらの
溶媒を2種以上を混合した混合溶媒から、適宜選択する
ことができる。混合溶媒としては、溶媒間に相溶性を有
するものならびにモノマーおよび支持電解質と相溶性を
有するものが好ましく使用できる。
【0081】本発明において使用されるプロトン性溶媒
の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、
ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを挙げることが
できる。
【0082】また、非プロトン性溶媒の具体例として
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭
素、アセトニトリル、アセトン、プロピレンカーボネー
ト、ニトロメタン、ニトロベンゼン、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホ
キシドなどが挙げられる。
【0083】本発明において、電解酸化重合によって、
固体高分子電解質層を形成する場合には、定電圧法、定
電流法、電位掃引法のいずれを用いてもよい。また、電
解酸化重合の過程で、定電圧法と定電流法を組み合わせ
て、導電性高分子化合物を重合することもできる。電流
密度は、とくに限定されないが、最大で、500mA/
cm2程度である。
【0084】本発明において、化学酸化重合時あるいは
電解酸化重合時に、特開2000−100665号公報
に開示されるように、超音波を照射しつつ、導電性高分
子化合物を重合することもできる。超音波を照射しつ
つ、導電性高分子化合物を重合する場合には、得られる
固体高分子電解質層の膜質を改善することが可能にな
る。
【0085】本発明において、固体高分子電解質層の最
大厚さは、エッチングなどによって形成された陽極電極
表面の凹凸を完全に埋めることができるような厚さであ
ればよく、とくに限定されないが、一般に、5ないし1
00μm程度である。
【0086】本発明において、高分子固体電解コンデン
サ素子は、さらに、固体高分子電解質層上に、陰極とし
て機能する導電体層を備えており、導電体層としては、
グラファイトペースト層および銀ペースト層を設けるこ
とができ、グラファイトペースト層および銀ペースト層
は、スクリーン印刷法、スプレー塗布法などによって形
成することができる。 銀ペースト層のみによって、高
分子固体電解コンデンサの陰極を形成することもできる
が、グラファイトペースト層を形成する場合には、銀ペ
ースト層のみによって、固体電解コンデンサの陰極を形
成する場合に比して、銀のマイグレーションを防止する
ことができる。
【0087】陰極として、グラファイトペースト層およ
び銀ペースト層を形成するにあたっては、メタルマスク
などによって、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分を除いた部分
がマスクされ、粗面化処理が施され、絶縁酸化皮膜が形
成された箔状の弁金属基体に対応する部分にのみ、グラ
ファイトペースト層および銀ペースト層が形成される。
【0088】本発明において、絶縁性樹脂基板の材料
は、とくに限定されないが、樹脂として、接着性や耐溶
剤性などが良好なフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などによって形成するこ
とができる。
【0089】本発明において、素子の補強のために、絶
縁性樹脂基板間などに流し込まれる樹脂としては、エポ
キシ樹脂、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が用いられる。
【0090】また、接着剤としては、接着に供する材料
の組合せなどにもよるが、シリコーン系接着剤、エポキ
シ系接着剤、ポリイミド系接着剤、アクリル系接着剤な
どを用いることができる。また、樹脂基板やバンクなど
においてプリプレグを用いる場合は、プリプレグ同士の
接着が可能である。
【0091】また、導電性接着剤は、上記の接着剤材料
に、金、銀、銅、パラジウム等の金属やカーボンなどの
導電性材料を分散・混合したものであり、その導電率は
100S・cm以上(上限は通常10000S・cm程度)で
ある。
【0092】
【実施例】以下、本発明の効果をより一層明らかなもの
とするため、実施例および比較例を掲げる。
【0093】実施例1 固体高分子電解質層を有する高分子固体電解コンデンサ
素子を、以下のようにして、作製した。
【0094】銅箔シートから、0.5cm×1cmの寸法で
切り出された厚さ60μmの銅箔と、アルミニウム箔シ
ートから、1cm×1cmの寸法で切り出された粗面化処理
が施されていない厚さ60μmのアルミニウム箔を、そ
れぞれの一端部領域が3mmだけ重なり合うように、重ね
合わせ、それぞれの一端部領域が重なり合った部分を、
日本エマソン株式会社ブランソン事業本部製の40kHz
−超音波溶接機によって、接合するとともに、電気的に
接続して、銅箔と粗面化処理が施されていないアルミニ
ウム箔の接合体を形成した。
【0095】次いで、酸化アルミニウム皮膜が形成さ
れ、粗面化処理が施されている厚さ100μmのアルミ
ニウム箔シートから、1cm×1.5cmの寸法で、アルミ
ニウム箔を切り出し、その端部領域が、粗面化処理が施
されていないアルミニウム箔の他端部領域と3mmだけ重
なり合うように、銅箔と粗面化処理が施されていないア
ルミニウム箔の接合体に重ね合わせ、それぞれの端部領
域が重なり合った部分を、日本エマソン株式会社ブラン
ソン事業本部製の40kHz−超音波溶接機によって、接
合するとともに、電気的に接続して、銅箔、粗面化処理
が施されていないアルミニウム箔および粗面化処理が施
されているアルミニウム箔の接合体を形成した。
【0096】さらに、7%(質量百分率)の濃度で、
6.0のpHに調整されたアジピン酸アンモニウム水溶液
中に、酸化アルミニウム皮膜が形成され、粗面化処理が
施されているアルミニウム箔が完全に浸漬されるよう
に、こうして得られた接合体を、アジピン酸アンモニウ
ム水溶液中にセットした。この際、粗面化処理が施され
ていないアルミニウム箔の一部も、アジピン酸アンモニ
ウム水溶液中に浸されたが、銅箔は、アジピン酸アンモ
ニウム水溶液と接触させなかった。
【0097】接合体側を陽極とし、化成電流密度が50
ないし100mA/cm2、化成電圧が35ボルトの条件下
で、アジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬されている
アルミニウム箔の表面を酸化させ、酸化アルミニウム皮
膜を形成して、陽極電極を作製した。
【0098】次いで、作製された陽極電極をアジピン酸
アンモニウム水溶液から引き上げ、陽極電極の粗面化処
理が施されているアルミニウム箔の表面上に、化学酸化
重合によって、ポリピロールからなる固体高分子電解質
層を形成した。
【0099】ここに、ポリピロールからなる固体高分子
電解質層は、蒸留精製した0.1モル/リットルのピロ
ールモノマー、0.1モル/リットルのアルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムおよび0.05モル/リット
ルの硫酸鉄(III)を含むエタノール水混合溶液セル中
に、粗面化処理が施され、酸化アルミニウム皮膜が形成
されたアルミニウム箔のみが浸漬されるように、陽極電
極をセットし、30分間にわたって、攪拌し、化学酸化
重合を進行させ、同じ操作を3回にわたって、繰り返し
て、生成した。その結果、最大厚さが、約50μmの固
体高分子電解質層が形成された。
【0100】さらに、こうして得られた固体高分子電解
質層の表面に、カーボンペーストを塗布し、さらに、カ
ーボンペーストの表面に、銀ペーストを塗布して、陰極
電極を形成し、高分子固体電解コンデンサ素子を作製し
た。
【0101】一方、厚さ18μmの銅箔が、両面に貼り
合わされた厚さ1mmで、2cm×4.5cmのサイズを有す
る2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板を、
以下のようにして、準備した。
【0102】銅箔面には、電気回路を形成するために、
銅箔の不要部分を化学的にエッチングし、所定の配線パ
ターンを形成した。ただし、高分子固体電解コンデンサ
が固定されるべき側の基板面の銅箔はすべて、化学的に
エッチングして、除去した。
【0103】さらに、内蔵されるべき高分子固体電解コ
ンデンサ素子の陽極電極および陰極電極に対応するガラ
スクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の位置に、それぞ
れ、スルーホールを形成し、スルーホールと、エッチン
グされた銅箔パターン上に、無電解メッキによって、3
μmのニッケルメッキを施し、さらに、その上に、0.
08μmの金メッキを施した。
【0104】搭載される各種電子部品のためのスルーホ
ールを、さらに、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性
基板に形成した。
【0105】一方、2枚の基板と同じガラスクロス含有
エポキシ樹脂よりなる厚さ600μmの基板を、2cm×
4.5cmの寸法に加工し、加工した基板の周囲に幅3mm
の領域を残して、内側部分を、打ち抜き加工により、除
去して、バンク形成用基板を作製した。
【0106】さらに、2枚の基板と同じガラスクロス含
有エポキシ樹脂よりなる厚み50μmの2枚のエポキシ
プリプレグを、2cm×4.5cmの寸法に加工し、加工し
た基板の周囲に幅3mmの領域を残して、内側部分を、打
ち抜き加工によって、除去した。
【0107】打ち抜き加工され、内側部分が除去された
バンク形成用基板と、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶
縁性基板の一方の銅箔が除去された表面とを、上述のよ
うに加工された厚さ50μmのエポキシプリプレグの一
方を介して、密着させ、真空ホットプレス装置を用い
て、加圧および減圧下において、40分間にわたって、
175℃に保持し、エポキシプリプレグを硬化させて、
ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板と、内側部分
が除去された基板とを固定し、凹部空間を備えた絶縁性
樹脂基板を得た。
【0108】2枚のガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁
性基板の他方の銅箔が除去された表面に、高分子固体電
解コンデンサ素子の陽極電極および陰極電極が、絶縁性
樹脂基板に形成されたスルーホールに対応する位置に位
置するように、シリコーン系接着剤を用いて、高分子固
体電解コンデンサを固定した。接着剤は、図2のよう
に、スポット状に塗布し、スポットの直径は3mm、厚み
は100μmとし、陽極電極を構成する銅箔部分に、2
個、陰極電極部分に4個形成した。この接着剤の塗布面
積は、コンデンサ底面の面積(基板との接触面積)全体
の20%程度に相当する。
【0109】次いで、高分子固体電解コンデンサ素子が
固定されたガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板上
に、一方の面に、凹部空間が形成されたガラスクロス含
有エポキシ樹脂絶縁性基板を、上述のように加工された
厚さ50μmの他方のエポキシプリプレグを介して、高
分子固体電解コンデンサ素子が、凹部空間内に収容され
るように、重ね合わせ、密着させた。
【0110】こうして、密着された2枚の絶縁性樹脂基
板を、真空ホットプレス装置を用いて、加圧および減圧
下で、40分間にわたり、175℃に保持し、エポキシ
プリプレグを硬化させて、2枚のガラスクロス含有エポ
キシ樹脂絶縁性基板の間を固定した。
【0111】ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板
の冷却後、ガラスクロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の
それぞれに形成されたスルーホールを介して、ガラスク
ロス含有エポキシ樹脂絶縁性基板の表面に形成されてい
る配線パターンと、内蔵化された高分子固体電解コンデ
ンサの陽極電極の銅箔よりなるリード電極とを、ハンダ
によって、電気的に接続し、陰極電極は銀系導電性接着
剤で電気的に接続して、高分子固体電解コンデンサのサ
ンプルNo.1を得た。
【0112】こうして作製された高分子固体電解コンデ
ンサのサンプルNo.1の電気的特性を、アジレントテ
クノロジー社製インピーダンスアナライザー4294A
を用いて、評価した。
【0113】その結果、120Hzでの静電容量は43μ
Fであり、100kHzでのインピーダンスは36mΩであ
った。また、常温で、10ボルトの電圧を印加した際の
漏れ電流(5分値)は、0.8μAであった。また、静
電容量の周波数特性は、120Hzから50kHzの範囲で
43μFと、一定の値を示し、非常に良好であった。
【0114】さらに、高分子固体電解コンデンサのサン
プルNo.1を、125℃の恒温条件下で、1000時
間にわたって、放置し、全く同様にして、電気的特性を
評価したところ、120kHzでの静電容量は43μFであ
り、100kHzでのインピーダンスは38mΩであった。
さらに、常温で、10ボルトの電圧を印加した際の漏れ
電流(5分値)は、0.8μAであった。また、周波数
特性の劣化も認められなかった。
【0115】なお、上記の特性評価に先立ち、上記サン
プルを20個作製して、漏れ電流低減のためのエージン
グ処理を行い、処理中にショートするサンプルを不良品
と判定して歩留まりを評価したところ、歩留まり率は8
0%であった。このときのエージング処理は、110
℃、85%RH条件下で、10ボルトの電圧を印加する
ことにより行った。
【0116】なお、上記の特性値は、良品と判定された
ものに関して求めたものである。
【0117】比較例1 実施例1において、絶縁性樹脂基板にシリコーン系接着
剤を用いて高分子固体電解コンデンサ素子を固定する
際、高分子固体電解コンデンサ素子底面全体に接着剤を
塗布する以外は同様にして、高分子固体電解コンデンサ
のサンプルNo.2を得た。これについて、実施例1と
同様にしてて評価した。その結果、静電容量は120Hz
において43μF、50kHzにおいて24μFと、高周波
側での低下が認められた。インピーダンスは71mΩ、
漏れ電流(5分値)は19.2μAであった。また、放
置後の静電容量は120Hzにおいて43μF、50kHzに
おいて18μFであり、高周波側でさらに低下した。イ
ンピーダンスは113mΩ、漏れ電流(5分値)は5
0.1μAであった。
【0118】なお、上記の特性評価に先立ち、上記のサ
ンプルを20個作製して、実施例1と同様に歩留まりを
評価したところ、歩留まり率は40%であり、実施例1
に比べて歩留まりの低下がみられた。
【0119】以上より、接着剤の塗布方法の違いによる
効果の差が明らかであり、本発明の効果は明らかであ
る。
【0120】実施例2 実施例1において、2枚のガラスクロス含有エポキシ樹
脂絶縁性基板を(4cm×8cm(0.8mm厚)とし、バン
ク形成用基板の打ち抜き加工前の寸法を4cm×8cm(2
00μm厚)とし、接着固定用のプリプレグの打ち抜き
加工前の寸法を4cm×8cm(600μm厚)とし、高分
子固体電解コンデンサ素子を、図3に示すように、5
個、基板に内蔵させる以外は、同様にして高分子固体電
解コンデンサアレーのサンプルNo.3を得た。5個の
高分子固体電解コンデンサ素子を並列接続して実施例1
と同様に評価した。50個作製してみたところ、50個
中49個が合格品となり、歩留まりの良いことが確認さ
れた。また、同様に、良好なコンデンサ特性を示すこと
がわかった。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、熱履歴時において、素
子に加わるストレスが緩和されて、変形が少なくなる。
このため、コンデンサの漏れ電流が少なく、静電容量の
周波数特性が良好となり、インピーダンスが十分低くな
る。また、漏れ電流低減のためのエージング処理による
不良品発生が抑えられ、歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子固体電解コンデンサの一例を示
す概略断面図である。
【図2】本発明の高分子固体電解コンデンサにおいて、
接着剤の配置を模式的に示す概略構成図である。
【図3】本発明の高分子固体電解コンデンサアレーの高
分子固体電解コンデンサ素子の配置を模式的に示す概略
構成図である。
【図4】本発明に用いる高分子固体電解コンデンサ素子
の陽極電極の概略平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った概略断面図である。
【図6】表面が粗面化された箔状のアルミニウム基体の
エッジ部に、酸化アルミニウム皮膜を形成する陽極酸化
方法を示す概略構成図である。
【図7】本発明に用いる高分子固体電解コンデンサ素子
の概略断面図である。
【符号の説明】
1 陽極電極 2 表面が粗面化され、酸化皮膜が形成された箔状のア
ルミニウム基体 3 表面が粗面化されていない箔状のアルミニウム基体 4 箔状の銅基体 5 溶接接合部 6 溶接接合部 7 ステンレスビーカー 8 化成溶液 9 酸化アルミニウム皮膜 10 高分子固体電解コンデンサ素子 11 固体高分子電解質層 12 グラファイトペースト層 13 銀ペースト層 14 陰極電極 20 高分子固体電解コンデンサ 20A 高分子固体電解コンデンサアレー 21 第一の絶縁性樹脂基板 21A アレー用の第一の絶縁性樹脂基板 22 第二の絶縁性樹脂基板 23 第一の絶縁性樹脂基板のバンク 24 配線パターン 25 スルーホール 26 樹脂 27 配線パターン 28 スルーホール 29 接着剤 30 電子部品 31 ハンダ 32 導電性樹脂

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
    粗面化されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域
    が、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
    前記表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端
    部近傍領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域
    が、金属間が電気的に接続されるように、接合されて、
    構成された陽極電極を有し、 前記表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された箔
    状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の両面に、少なくと
    も、固体高分子電解質層および導電体層が、順次、形成
    された高分子固体電解コンデンサ素子を、少なくとも1
    個備え、 前記高分子固体電解コンデンサ素子が、絶縁性樹脂で形
    成された閉空間内に収納されており、前記閉空間内の前
    記絶縁性樹脂との接触面にて接着剤で固定されている高
    分子固体電解コンデンサであって、 前記接着剤が、前記高分子固体電解コンデンサ素子と前
    記絶縁性樹脂との接触面に、スポット状に塗布されてい
    る高分子固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記高分子固体電解コンデンサ素子が、
    前記絶縁性樹脂との接触面にて、直径5mm以下の複数の
    スポット状に塗布された接着剤により、前記絶縁性樹脂
    に固定されている請求項1の高分子固体電解コンデン
    サ。
  3. 【請求項3】 前記高分子固体電解コンデンサ素子が収
    納されている閉空間が、絶縁性樹脂基板で形成されてい
    る請求項1または2の高分子固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形
    成された箔状の弁金属基体の一端部近傍領域に、表面が
    粗面化されていない箔状の弁金属基体の一端部近傍領域
    が、弁金属間が電気的に接続されるように、接合され、
    前記表面が粗面化されていない箔状の弁金属基体の他端
    部近傍領域に、箔状の導電性金属基体の一端部近傍領域
    が、金属間が電気的に接続されるように、接合されて、
    構成された陽極電極を有し、 前記表面が粗面化され、絶縁性酸化皮膜が形成された箔
    状の弁金属基体の絶縁性酸化皮膜の両面に、少なくと
    も、固体高分子電解質層および導電体層が、順次、形成
    された高分子固体電解コンデンサ素子を、少なくとも1
    個備え、 前記高分子固体電解コンデンサ素子を、絶縁性樹脂で形
    成された閉空間内に収納し、前記閉空間内の前記絶縁性
    樹脂高分子固体電との接触面に接着剤を塗布して固定す
    る高分子固体電解コンデンサの製造方法であって、 前記接着剤を、前記高分子固体電解コンデンサ素子と前
    記絶縁性樹脂との接触面に、スポット状に塗布して前記
    高分子個体電解コンデンサ素子を前記絶縁性樹脂に固定
    する高分子固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記高分子固体電解コンデンサ素子の前
    記絶縁性樹脂との接触面に、直径5mm以下の複数のスポ
    ット状の接着剤を塗布して固定する請求項4の高分子固
    体電解コンデンサの製造方法。
JP2001299159A 2001-09-28 2001-09-28 高分子固体電解コンデンサとその製造方法 Withdrawn JP2003109876A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001299159A JP2003109876A (ja) 2001-09-28 2001-09-28 高分子固体電解コンデンサとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001299159A JP2003109876A (ja) 2001-09-28 2001-09-28 高分子固体電解コンデンサとその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003109876A true JP2003109876A (ja) 2003-04-11

Family

ID=19119957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001299159A Withdrawn JP2003109876A (ja) 2001-09-28 2001-09-28 高分子固体電解コンデンサとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003109876A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012099812A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Avx Corp 高電圧及び高温用途用の固体電解コンデンサ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012099812A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Avx Corp 高電圧及び高温用途用の固体電解コンデンサ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4208833B2 (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサ内蔵基板ならびにそれらの製造方法
JP4208831B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
US7099145B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing solid electrolytic capacitor
US6999303B2 (en) Solid electrolytic capacitor and process for its fabrication
US6731497B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for manufacturing the same
JP4248756B2 (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003109876A (ja) 高分子固体電解コンデンサとその製造方法
JP2004296611A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2003109878A (ja) 高分子固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2003109877A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2002359160A (ja) 固体電解コンデンサおよび固体電解コンデンサ内蔵基板ならびに固体電解コンデンサ内蔵基板の製造方法
JP2002359161A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP3943783B2 (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2002359162A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003109882A (ja) 高分子固体電解コンデンサアレー
JP2003109863A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2002359477A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003109864A (ja) 高分子固体電解コンデンサ用電極およびそれを用いた高分子固体電解コンデンサ
JP2002359449A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2002359163A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2002359157A (ja) 固体電解コンデンサ内蔵基板およびその製造方法
JP2003274642A (ja) スイッチング電源
JP2003263852A (ja) 磁気記録装置
JP2003092233A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ
JP2000100665A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040531

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20081202